JP2021075310A - 包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】果実等植物の表皮の損傷を軽減することが可能であり、且つ、果実等植物の鮮度維持性に優れた包装体を提供する。【解決手段】植物の輸送に用いられる包装体1であって、容器本体2と、収容空間に配置される天板を有する中容器3と、を備え、前記天板は、植物収容部と、前記植物収容部よりも外方に設けられる被支持部と、を有し、前記植物収容部に、下方に凹設され植物が収容される複数の凹部が設けられ、前記被支持部に、前記天板から下方に延出する中容器脚部が設けられ、前記中容器は、前記中容器脚部のみで下方から支持されている、容器と、前記容器の少なくとも一部と密着し、前記収容空間及び前記植物収容部の少なくとも一方を密封しており、且つ、酸素透過速度が13,000〜33,000cc/atm/m2/day、及び、水蒸気透過量が40〜80g/m2/dayである熱収縮性積層フィルム5と、を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、果実等植物の輸送に用いられる包装体に関する。
採取した果実の品質を維持し、市場に提供するためには、輸送時の衝撃等から果実を保護する必要がある。表皮が比較的柔らかい苺や桃等は、輸送時の輸送容器との摩擦によって表皮が損傷するおそれがあることから、特段の対策が必要とされている。
輸送時の問題としては、特に、輸送車両が路面の微小な凹凸の上を走行した場合に、周波数が比較的高い振動がその車体に発生することがある。このような振動は、輸送車両が停車中の場合や、船舶によって輸送する場合でも、エンジンの駆動によって同様の振動が発生し、輸送容器にも伝達される。
上述の振動に対し、特許文献1に記載の輸送容器によれば、中容器を脚部のみで支持し、当該中容器の脚部が植物収容部よりも外方に位置するように設けることで、中容器脚部の間で振動する植物収容部の固有振動数を比較的低いものとしている。結果、当該輸送容器によれば、周波数が高い振動が本体底部から中容器脚部を介して植物収容部の凹部に伝達された場合でも、果実の共振とそれに伴う表皮の損傷を抑制することができる。
特開2018−193073公報
ところで、容器内に収容された果実等の鮮度維持に対しては、密閉された容器内の果実等が呼吸可能なことや、容器内の雰囲気や、車両、船舶等による輸送時や倉庫などの保管時における周辺雰囲気の制御が挙げられる。例えば、高温・高湿度下では、果実等が傷みやすく、またカビの発生率が大幅に上昇することが知られている。特に、密閉包装された容器内の湿度が果実等に与える影響は大きい。
また、湿度や温度が容器内の果実等の鮮度維持に与える影響は、密閉容器内の湿度に加え、車両・船舶等や保管施設における倉庫内等の温度や湿度も無視できない。例えば、果実等は産地で収穫され容器に収容された後、必要に応じて、車両内等に格納されて輸送されたり、倉庫内で一定時間保存され、その後、目的地に配送される過程を経ることが多い。容器内やその周辺の湿度や温度は、果実の搬入時期(季節)や地域、保管場所など様々な要因によって異なるが、一般に、容器内への収納作業を行う場所や保管場所の空調等をコントロールすることによって制御することができる。しかし、場合に応じて、果実の収容や収容後の容器の輸送・保管等が、空調設備が十分ではない設備内や野外で行われる場面も想定される。
本発明はこのような課題を解決すべく、果実等植物の表皮の損傷を軽減することが可能であり、且つ、果実等植物の鮮度維持性に優れた包装体を提供することを目的とする。
<1> 植物の輸送に用いられる包装体であって、
本体底部と、前記本体底部の周縁から上方に延出する本体側壁部と、を有し、前記本体側壁部によって囲まれた収容空間を前記本体底部の上方に形成する容器本体と、
前記本体底部と間隔を空けて前記収容空間に配置される天板を有する中容器と、を備え、
前記天板は、植物収容部と、前記植物収容部よりも外方に設けられる被支持部と、を有し、
前記植物収容部に、下方に凹設され植物が収容される複数の凹部が設けられ、
前記被支持部に、前記天板から下方に延出する中容器脚部が設けられ、
前記中容器は、前記中容器脚部のみで下方から支持されている、容器(X)と、
前記容器(X)の少なくとも一部と密着し、前記収容空間及び前記植物収容部の少なくとも一方を密封しており、且つ、酸素透過速度が13,000〜33,000cc/atm/m2/day、及び、水蒸気透過量が40〜80g/m2/dayである熱収縮性フィルム(Y)と、
を備えた包装体。
<2> 前記熱収縮性フィルム(Y)が、積層構造を有する前記<1>に記載の包装体。
<3> 前記熱収縮性フィルム(Y)が、MFRが2.0〜6.0g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を50質量%以上含む樹脂を含む一対のヒートシール層と、高圧法低密度ポリエチレン50〜10質量%及び線状低密度ポリエチレン50〜90質量%からなる混合樹脂を含む内部層を有する3層フィルムであって、前記3層フィルムの90℃自由収縮率が15%以下且つ140℃自由収縮率が70%以上の値を有し、前記内部層のゲル分率が10〜30質量%、前記一対のヒートシール層のゲル分率が各々20〜40質量%である3層架橋フィルムである前記<1>又は前記<2>に記載の包装体。
<4> 前記熱収縮性フィルム(Y)が、ヒートシール層と内部層とを有し、前記ヒートシール層が前記内部層上に積層されてなる熱収縮性多層フィルムであって、
前記ヒートシール層が、エチレンと炭素数が4〜18のα−オレフィンとを含むエチレン−α−オレフィン共重合体(A)を含み、
前記内部層が、密度が0.880〜0.910g/cm3であるプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)20〜80質量%と、密度が0.850〜0.900g/cm3である非晶性又は融解ピーク温度が120℃未満であるプロピレン−α−オレフィン共重合体(C)80〜20質量%とを含み、
前記プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)が、下記特性(B1)〜(B4)を有し、かつ、前記プロピレン−α−オレフィン共重合体(C)が、下記の特性(C1)〜(C2)を満たす前記<1>又は前記<2>に記載の包装体。
(B1)融解ピーク温度(Tmp)が120〜165℃
(B2)融解開始温度(Tms)と、融解終了温度(Tme)との差が30〜70℃
(B3)融解ピーク温度(Tmp)と、融解終了温度(Tme)との差が3〜30℃
(B4)融解熱量が20〜50J/g
(C1)融解熱量が40J/g以下
(C2)動的粘弾性測定にて求められるtanΔピーク温度が−30℃〜0℃
<5> 前記植物が、果実である前記<1>〜前記<4>のいずれかに記載の包装体。
<6> 前記容器本体の前記本体側壁部は、上端部を含む壁面の一部が前記容器本体の内周側から外周側に膨らむように形成された凸部と、前記凸部と対称となる位置に設けられ且つ壁面の一部が外周側から内周側に凹むように形成された凹部と、を備えた前記<1>〜前記<5>のいずれかに記載の包装体。
本発明によれば、果実等植物の表皮の損傷を軽減することが可能であり、且つ、果実等植物の鮮度維持性に優れた包装体を提供することができる。
第1実施形態の包装体を示す斜視図である。 容器本体と中容器との関係を示す分解図である。 第1実施形態の包装体の断面を示す概略図である。 第2実施形態の包装体の構成を示す分解図である。 第2実施形態の包装体10の断面を示す概略図である。 二重構造容器による振動吸収を説明するため図である。 第2実施形態の容器本体の変形例を示す斜視図である。
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。なお、本明細書を通じて「植物」には、果実や野菜等の青果物の他、花、草木など、輸送可能な食物が含まれる。
《包装体》
本実施形態の包装体は、植物の輸送に用いられる包装体であって、
本体底部と、前記本体底部の周縁から上方に延出する本体側壁部と、を有し、前記本体側壁部によって囲まれた収容空間を前記本体底部の上方に形成する容器本体と、前記本体底部と間隔を空けて前記収容空間に配置される天板を有する中容器と、を備え、
前記天板は、植物収容部と、前記植物収容部よりも外方に設けられる被支持部と、を有し、
前記植物収容部に、下方に凹設され植物が収容される複数の凹部が設けられ、
前記被支持部に、前記天板から下方に延出する中容器脚部が設けられ、
前記中容器は、前記中容器脚部のみで下方から支持されている、“容器(X)”と、
前記容器(X)の少なくとも一部と密着し、前記収容空間及び前記植物収容部の少なくとも一方を密封しており、且つ、酸素透過速度が13,000〜33,000cc/atm/m2/day、及び、水蒸気透過量が40〜80g/m2/dayである熱収縮性フィルム(Y)(以下、単に「フィルム(Y)」と称することがある。)と、を備える。
本実施形態の包装体によれば、特定の構造を有する容器(X)と、特定の性質を有するフィルム(Y)と、の両者を備えることによって、例えば、輸送時など容器に振動が伝わる状況における、果実等植物の表皮の損傷の軽減効果と、優れた果実等植物の鮮度維持性とを、高い次元で両立することができる。
例えば、輸送等の際に包装体の内容物に傷が生じると、当該傷部がカビや菌類の侵入口となる場合がある。果実等植物は、表皮等に傷などが生じると(人が怪我をしたときと同様に)呼吸による栄養源の消耗が早くなり、保存性が低下する。したがって、呼吸制御、水分蒸散(萎れ)制御のみに着目して包装体の内容物である植物の鮮度維持性を向上させようとしても場面に応じてその効果の上限には限界がある。
これに対し、本実施形態の包装体によれば、容器(X)を用いて輸送時における果実等植物の表皮の損傷を効果的に抑制又は軽減しつつ、さらに呼吸制御や水分蒸散制御が可能なフィルム(Y)を用いることで、容器(X)及びフィルム(Y)をそれぞれ単独で用いた場合に比して、内容物である果実等植物に対し優れた鮮度維持性を発揮することができる。
〈容器(X)〉
容器(X)は、容器本体と、中容器とを備える。
容器本体は、本体底部と、本体底部の周縁から上方に延出する本体側壁部と、を有しており、本体側壁部によって囲まれた本体底部の上方に収容空間が形成されている。
中容器は、天板を有し、天板に設けられた中容器脚部によって下方から支持され、容器本体の収容空間内に収容されている。中容器は、天板と容器本体の本体底部との間隔が空くように設計される。また、天板は、植物収容部と、被支持部と、を有する。植物収容部には、下方(天板から容器本体の本体底部に向けた方向)に向けて凹設され、植物が収容される複数の凹部が設けられている。さらに、被支持部は、天板の植物収容部よりも外方に設けられており、当該被支持部には下方に延出する中容器脚部が設けられている。
中容器は、当該中容器脚部のみで下方から支持されており、さらに、中容器脚部は、天板のうち、植物収容部よりも外方に位置する被支持部に設けられている。このため、中容器は、例えば、大きく離間した中容器脚部の上端によって天板を支持するように構成することができる。これにより、当該中容器脚部の間で振動する植物収容部の固有振動数を比較的低いものとすることができる。この結果、周波数が高い振動が本体底部から中容器脚部を介して植物収容部の凹部に伝達された場合でも、果実の共振とそれに伴う表皮の損傷を抑制することが可能になる。
中容器脚部は、その形状等について特に限定されるものではないが、例えば、天板の周縁の全体に亘って形成されていてもよい。当該構成によれば、天板の周縁の全体を中容器脚部によって支持することができるため、下方(容器本体の本体底部方向)への天板の過剰な撓みを抑制することができる。この結果、果実等植物を収容した凹部が本体底部と接触したり、それによって本体底部から凹部に振動が直接的に伝達されたりすることを抑制できる。
また、中容器脚部は、その上端から下端にかけて、天板から外方に延出するように傾斜していてもよい。当該構成によれば、中容器が外力を受けた場合に、中容器脚部を内方に倒れるように弾性変形させることが可能になる。この結果、本体底部が比較的高い周波数で振動した場合でも、中容器脚部の弾性変形によって振動の伝達を軽減し、果実等植物の共振とそれに伴う表皮の損傷を抑制することが可能になる。
さらに、中容器脚部は、その上端と下端との間に、外側面の法線方向が変化する変曲部を有していてもよい。当該構成によれば、中容器が外力を受けた場合に、中容器脚部は変曲部を起点とした弾性変形を生じ得る。この結果、本体底部が比較的高い周波数で振動した場合でも、中容器脚部の弾性変形によって振動の伝達を軽減し、果実等植物の共振とそれに伴う表皮の損傷を抑制することが可能になる。
ところで、仮に本体底部が平面であると、輸送容器を段ボール箱等に収容した際に、本体底部と段ボール箱の底面との接触範囲が一定にならないおそれがある。具体的には、段ボール箱の底面が歪んでいると、本体底部はその不作為の一部のみで段ボール箱の底面と接触する。このように、本体底部と段ボール箱の底面との接触範囲が一定ではない場合、段ボール箱から本体底部への振動の伝達経路が不規則となり、果実等植物の共振の抑制を適切におこなえない可能性がある。
そこで、容器本体は、下方に突出する複数の本体脚部を本体底部に設けてもよい。この際、複数の本体脚部は互いに離間していてもよい。これら構成によれば、段ボール箱の底面が歪んでいた場合でも、複数の本体脚部間において本体底部を変形させ、容易にその歪に追従させることができる。この結果、複数の本体脚部を段ボール等の底面と安定的に接触させ、本体底部と段ボール箱の底面との接触範囲を一定にすることが可能になる。
また、容器本体は、例えば、特願2018−219431に記載のように、側部の対称な位置であって、側部を形成する壁面の少なくとも上端部を含む部分に、内周側から外周側に膨らむように形成された凸部と、外周側から内周側に凹むように形成された凹部を具備してもよい。このような容器本体としては、前記本体側壁部に、上端部を含む壁面の一部が前記容器本体の内周側から外周側に膨らむように形成された凸部と、前記凸部と対称となる位置に設けられ且つ壁面の一部が外周側から内周側に凹むように形成された凹部と、を備えたものを用いることができる。
このような凹凸部を有することによって、積み重ねが容易にでき、利便性が増す他、包装体を積み重ねた場合に、天面の空気孔を上部の容器本体でふさがない状態を保持できる。その結果、内容物である植物の呼吸を阻害することなく、鮮度を保持することが可能となる。
容器本体と中容器とは、容器(X)の固有振動数を低下させる観点から、各々の共振領域が異なることが好ましい。例えば、共振領域の異なる別々の材料(例えば、共振領域の異なるシート材料等)を用いて容器本体及び中容器を形成することで容器本体と中容器との各共振領域を異なったものとすることができる。
一般にシート材料の“振動周波数”は次式のように表される。
Figure 2021075310
内容物の質量mが固定の場合、振動周波数は、シート材料の弾性率である材料固有のばね定数kやシート厚みを小さくすることで低く抑えられる。しかし、材料の固有振動域で外力を加えると、外部から加えられた力が小さくても材料が大きく振動する領域が存在する。この領域を“共振領域”という。本実施形態においては、容器(X)として共振領域の異なる容器本体と中容器とを組み合わせを用いると、それぞれの振動強度を打ち消しあうため、広い周波数領域下で輸送時の振動を吸収することが可能となる(二重構造容器の振動吸収効果)。例えば、図6(A)及び(B)に示すように、各材料は各々振動周波数に対する振動強度及び共振領域が異なる。このため、例えば図6(A)の材料1のみを用いて容器本体及び中容器の両者を形成すると、共振領域が一致するため二重構造容器であっても特定の振動周波数に対して振動強度が大きくなってしまう可能性がある(例えば、図6(B)の振動周波数Xにおける材料1の振動強度参照)。一方、容器本体と中容器とを各々材料1又は材料2を用いて形成し、これらを組み合わせて二重構造容器とすると、材料1及び2の振動強度が重ね合わされ、材料1及び材料2がそれぞれの振動強度を打ち消しあうため、広い周波数領域下で外力による振動の発生を抑制することができる(例えば、図6(B)における振動周波数Xにおいては、二重構造容器の振動強度は材料1と材料2とが打ち消しあい振動が吸収される)。
例えば、各々振動周波数に対する共振領域が異なる容器本体と中容器との組み合わせの例としては、容器本体にPETシート(厚み:0.25mm、弾性率(ヤング率):3500MPa)、中容器にPPシート(厚み:0.30mm,弾性率(ヤング率):1500MPa)のように各々ヤング率の異なる材料を用いた容器本体と中容器との組み合わせが挙げられる。例えば、当該容器本体と中容器との組み合わせに、内容物(植物)として苺(総質量:360g、1個当たりの質量:約20g))を使用した場合、当該構成によれば振動周波数X=5〜50Hzの範囲において苺のZ方向加速度を1G以下に抑えることができるため、苺の回転および飛び上がりを抑制することができる。これは振動周波数に対する共振領域が異なる、容器本体と中容器との組み合わせが、お互いの振動強度を打ち消しあっており、広い周波数領域下で外力による振動の発生を抑制しているものと推測される。
また、容器(X)は、容器本体と中容器との間にシート状の緩衝材を介在させてもよい。この際、中容器脚部は、緩衝材を介して本体底部によって支持されていてもよい。当該構成によれば、容器本体から中容器に伝達される振動の周波数を、緩衝材によって調整することが可能になる。緩衝材の共振周波数を中容器の共振周波数よりも低いものに設定することにより、当該振動による果実等植物の共振とそれに伴う表皮の損傷を抑制することが可能になる。
緩衝材は、その縁部が屈曲され且つ当該縁部が本体側壁部と中容器脚部との間に配置されように設置することができる。当該構成によれば、輸送容器の輸送時に中容器が収容空間内で動いても、本体側壁部と中容器脚部との衝突を、緩衝材の縁部によって緩和することができる。この結果、果実等植物に加わる衝撃を緩和し、果実等植物の表皮の損傷を抑制することが可能になる。
ところで、収容空間の隅部では、屈曲した緩衝材の縁部同士が重なることがある。容器本体から中容器に無用な振動が伝達されるのを防止する観点からは、中容器の中容器脚部が、このように重なった緩衝材の縁部を介して本体側壁部に対して固定されることがないようにすることが好ましい。中容器の中容器脚部が、重なった緩衝材の縁部を介して本体側壁部に対して固定されないようにするためには、例えば、緩衝材の縁部の高さを、本体側壁部の1/2以下とすることができる。当該構成によれば、屈曲した緩衝材の縁部が収容空間の隅部において重なっても、中容器の中容器脚部が緩衝材の縁部を介して本体側壁部に対して固定されることを容易に防止できる。
〈熱収縮性フィルム(Y)〉
本実施形態の包装体は、容器(X)の少なくとも一部と密着する熱収縮性フィルム(Y)を有する。
フィルム(Y)は、熱収縮性を有するフィルムであり、容器(X)の収容空間及び植物収容部の少なくとも一方を密封している。これにより、容器(X)に収容された果実等植物を包装体内に包装することができる。
(包装の態様)
本実施形態の包装体において、フィルム(Y)が容器(X)の少なくとも一部と密着し、収容空間及び植物収容部の少なくとも一方を密封するように、容器(X)がフィルム(Y)に包装される。
フィルム(Y)で容器(X)を包装する態様としては、特に限定はないが、容器本体の少なくとも一部とフィルム(Y)が密着するように容器本体がフィルム(Y)に包装されている形態、中容器の少なくとも一部とフィルム(Y)が密着するように中容器の植物収容部が密封されている形態、並びにこれらの組合せが挙げられる。ここで「植物収容部」を密封する態様には、植物収容部に設けられ果実等植物が収納された凹部がフィルム(Y)によって密封されている態様を含む。
また、フィルム(Y)は、容器(X)の収容空間及び植物収容部の少なくとも一方を密封するものであればその態様に限定はなく、例えば、容器(X)全体がフィルム(Y)によって包装されている態様でもよいし、容器(X)の一部(例えば、収容空間の開口部)がフィルム(Y)によって覆われている態様であってもよい。
容器(X)の全体をフィルム(Y)によって包装する態様としては、例えば、容器本体の全体をフィルム(Y)によって包装する態様が挙げられる。
また、容器(X)の一部がフィルム(Y)で覆われている態様としては、例えば、容器本体の本体側壁部の上端の縁部にフィルム(Y)を密着させて収容空間の開口部をフィルム(Y)で覆うことで当該収容空間を密封する態様や、中容器の植物収容部の表面とフィルム(Y)とが密着するように植物収容部表面をフィルム(Y)で覆うことで、果実等植物が収納された凹部を密封する態様や、中容器の全体をフィルム(Y)で覆うことで、植物収容部(特に凹部)を密封する態様などが挙げられる。
本実施形態においては、1)内容物である果実等植物が傷つきやすいものであっても、極力傷をつけずに包装でき、2)様々な容器の形状に対応でき、3)他の包装形態(例えばトップシールや成形品の蓋を付ける場合)と比較して高速包装が可能であり、4)容器(X)の側面や底面に窓や穴などの開口部を設けることで、全方向から(偏りなく)内容物の呼吸を制御できる、といった観点からは、フィルム(Y)によって容器(X)全体を包装する態様が好ましい。
フィルム(Y)は熱収縮性を有するものであれば特に限定はなく、所望の温度で熱収縮するフィルムを用いることができ、例えば、熱収縮処理時における容器(X)及び植物への影響、並びに、輸送及び保管時の耐熱性等の観点から、熱収縮温度が40〜150℃であることが好ましく、60〜150℃であることがさらに好ましく、70〜130℃であることが特に好ましい。またフィルム(Y)の熱収縮率は、MD(フィルム(Y)の長さ方向)およびTD(フィルム(Y)の巾方向)の熱収縮率が、いずれも20%以上であることが好ましく、23%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。熱収縮率の少なくともいずれかの方向が20%未満であると、特にピローシュリンク包装やトップシール包装において、隙間なく美麗に包装することができない。なお、熱収縮率は、ASTM−D2732に準拠して、140℃の温度にて積層フィルムを1分間収縮させたあと、積層フィルムのMDおよびTDの熱収縮率をそれぞれ測定することができる。
フィルム(Y)の酸素透過速度が13,000〜33,000cc/atm/m2/day、及び、水蒸気透過量が40〜80g/m2/dayである。
フィルム(Y)の酸素透過速度が13000cc/atm/m2/day未満であると収容された植物が酸欠状態となり、呼吸反応ではなく発酵反応が優位となるため、植物の鮮度保持性が低下する。また、フィルム(Y)の酸素透過速度が33,000cc/atm/m2/dayを超えると呼吸による植物の栄養源の消耗や水分蒸散が早くなる。前記酸素透過速度は、植物の鮮度保持性の観点から、13,000〜30,000cc/atm/m2/dayが好ましく、15,000〜30,000がさらに好ましく、15,000〜28,000cc/atm/m2/dayが特に好ましい。
また、フィルム(Y)の水蒸気透過量が40g/m2/day未満であると包装体内が過加湿や結露の状態となりやすく植物のカビの発生の原因となりうる。また、フィルム(Y)の水蒸気透過量が80g/m2/dayを超えると植物の水分蒸散が早く萎れの原因となる。前記水蒸気透過量は、植物の鮮度保持性の観点から、45〜75g/m2/dayが好ましく、50〜70g/m2/dayがさらに好ましい。
フィルム(Y)の厚みは、酸素透速度と水蒸気透過量のバランスの観点から、3〜30μmが好ましく、より好ましくは5〜30μm、さらに好ましくは5〜25μmである。
フィルム(Y)の材料としては、フィルムとした際に上述の特性を満たし、本実施形態の効果を害さない材料であれば特に限定はなく、公知の材料を適宜選定して用いることができる。また、フィルム(Y)は単層であってもよいし積層構造を有するフィルムであってもよい。積層構造を有する熱収縮性フィルム(Y)としては、例えば、一対のヒートシール層と、内部層とを有し、ヒートシール層に内部層が挟持された3層以上の積層を有するフィルムが挙げられる。
フィルム(Y)がヒートシール層及び内部層を有する場合、フィルム(Y)全層に対するヒートシール層の厚み比率は、特性を損なわない範囲で特に限定されるものではないが、フィルムのシール強度の観点から、5〜50%であることが好ましく、より好ましくは、10〜40%である。
内部層のフィルム(Y)全層に対する厚み比率は、特性を損なわない範囲で特に限定されるものではないが、フィルム(Y)の柔軟性の観点から、20〜80%であることが好ましく、より好ましくは、25〜80%である。
特に限定されるものではないが、積層構造を有するフィルム(Y)としては、下記フィルム(Y1)及び(Y2)を挙げることができる。
(フィルム(Y1))
積層構造を有する熱収縮性フィルム(Y)として、以下のフィルム(Y1)を用いることができる。
具体的に、フィルム(Y1)は、MFRが2.0〜6.0g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を50質量%以上含む樹脂を含む一対のヒートシール層と、高圧法低密度ポリエチレン50〜10質量%及び線状低密度ポリエチレン50〜90質量%からなる混合樹脂を含む内部層を有する3層フィルムであって、前記3層フィルムの90℃自由収縮率が15%以下且つ140℃自由収縮率が70%以上の値を有し、前記内部層のゲル分率が10〜30質量%、前記一対のヒートシール層のゲル分率が各々20〜40質量%である3層架橋フィルムである。
フィルム(Y1)は、上述のフィルム(Y)に求められる熱収縮性、酸素透過速度及び水蒸気透過量を達成することができると共に、架橋構造を有するためゲル分率が高く、また、フィルム表面の平滑性が優れるため、フィルムの透明性が高く内容物の視認性に優れる。さらに、薄膜でも高強度であるため高延伸倍率のフィルムを製造できるため、熱収縮性に優れる。
上述のように、フィルム(Y1)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を50質量%以上含む樹脂を含む一対のヒートシール層と、高圧法低密度ポリエチレン50〜10質量%と線状低密度ポリエチレン50〜90質量%との混合樹脂を含む内部層と、を有する。
−フィルム(Y1)のヒートシール層−
ヒートシール層に含まれる「エチレン−酢酸ビニル共重合体」は、とくに限定はないが、酢酸ビニル含量が5〜20質量%のものが好ましい。酢酸ビニル含量が20質量%以下だと押出成形性に優れ、酢酸臭も少ない。一方、酢酸ビニル含量が5質量%以上であると透明性に優れる。より好ましい酢酸ビニル含量は10〜17質量%である。
また、190℃、2.16kgfの条件下で測定されるエチレン−酢酸ビニル共重合体のMFRは、2.0〜6.0g/10分が好ましく、さらに好ましくは2.2〜3.0g/10分である。前記MFRが、6.0g/10分以下であると、メルトテンションが低すぎず延伸安定性が向上する他、引裂強度や突刺強度などの機械的強度に優れたものが得られる。一方、MFRが2.0g/10分以上であるとメルトテンションが高くなりすぎず、高倍率延伸時にフィルムが破れてしまうといった問題が生じにくい。
ヒートシール層中のエチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は50質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは70質量%以上である。エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量が50質量%以上であると、押出機内における防曇剤や帯電防止剤等の添加剤との混練が向上し、延伸後のフィルムの防曇性能や帯電防止性能等の付加性能をより向上させることができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、ヒートシール層には、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂、低圧法高密度ポリエチレン、遷移金属触媒によって重合された高分岐度ポリエチレンポリマー、結晶性1、2−ポリブタジエン、その他、水添ポリテルペン等の石油樹脂、プロピレンとエチレンやブテン−1との共重合体等の他の樹脂を混合して用いてもよい。例えばヒートシール層に50質量%以下の直鎖状低密度ポリエチレンを混入することによってフィルムの透明性・光沢性・ホットタックシール性を向上させたり、或いは、50質量%以下の超低密度ポリエチレンを混入してヒートシール層のメルトテンションを低下させて高温延伸安定性を向上させることができる。
−フィルム(Y1)の内部層−
フィルム(Y1)の内部層で使用する高圧法低密度ポリエチレンは、長鎖分岐の多いホモポリマーである。高圧法低密度ポリエチレンの内部層中における成分比率は50〜10質量%である。高圧法低密度ポリエチレンは線状低密度ポリエチレンに比べ、電離性放射線で比較的架橋しやすい特性を有し、且つ、高いメルトテンションを有している。このため、高圧法低密度ポリエチレンの成分比率が50質量%以下であると、メルトテンションが高くなりすぎず、延伸時にフィルムが破れにくくなり、且つ延伸時の厚み斑を生じにくくなる。一方、10質量%以上の成分比率を内部層中に有することによって、延伸に必要なメルトテンションをフィルムに付与して延伸安定性が向上し、且つドローダウン現象を防ぐ役割を担い、フィルム厚みを均一にすることができる。
内部層中に使用される高圧法低密度ポリエチレンの密度は特に限定されないが、0.910〜0.928g/cm3のものが好ましい。ここで、「密度」はJIS−K−7112に従って23℃で測定される値である。密度が0.928g/cm3以下であると延伸そのものが容易になり、また得られたフィルムの透明性が向上する。一方、密度が0.910g/cm3以上であると、樹脂が柔らかすぎることによるフィルムの剛性低下を招かず、いわゆるフィルムの腰不足によるフィルムの滑り特性低下もなく、包装機械適性が優れる。より好ましい密度は0.912〜0.926g/cm3、更に好ましくは0.914〜0.926g/cm3である。
内部層中に使用される高圧法低密度ポリエチレンの190℃、2.16kgfの条件下で測定されるMFRは特に限定されないが、0.2〜7g/10分が好ましい。MFRが7g/10分以下であるとドローダウン現象を防ぐ役割を担い、厚み斑を防ぐことができる他、フィルムに適度なメルトテンションを付与することによって延伸安定性が向上する。一方、MFRが0.2g/10分以上であると押出成形時の押出負荷が軽減され、押出効率及び生産性が向上する。より好ましいMFRは0.3〜6g/10分、更に好ましくは0.4〜5g/10分である。
内部層中における線状低密度ポリエチレンの成分比率は50〜90質量%である。内部層中における成分比率が50質量%以上であると実用的に十分な引裂強度、突刺強度等の強度物性をフィルム全体に付与することができる。一方、内部層中における成分比率が90質量%以下であると、高圧法低密度ポリエチレンの役割を発現できやすくなり延伸安定性が優れる。より好ましくは55〜85質量%、更に好ましくは60〜80質量%である。
内部層中に使用される線状低密度ポリエチレンの密度は0.900〜0.940g/cm3が好ましい。密度が0.940g/cm3以下だと延伸そのものが容易になり、得られたフィルムの透明性が向上する他、低温収縮性も得やすくなる。一方、密度が0.900g/cm3以上であると、包装機械適性に関して必要なフィルムの腰及び滑り性をフィルムに付与できる。より好ましい密度は0.905〜0.935g/cm3、更に好ましくは0.910〜0.930g/cm3である。また、190℃、2.16kgfの条件下で測定されるMFRが0.2〜7g/10分のものが好ましい。7g/10分以下だと延伸安定性が向上して、引裂強度や突刺強度等の機械的強度に優れたものが得られる。一方、MFRが0.2g/10分以上であると押出成形の押出動力が安定し、押出効率が向上する。より好ましいMFRは0.5〜5g/10分、更に好ましくは0.6〜4g/10分である。
ここで、「線状低密度ポリエチレン」とは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体のことを意味する。α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の炭素数が3〜18のものから選ばれる少なくとも1種類以上のものが挙げられ、耐衝撃性や引裂強度等の機械的強度、及び延伸製膜性の点から、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1が好ましい。線状低密度ポリエチレンにおけるエチレンの成分比率は80〜95質量%が好ましく、より好ましくは90〜95質量%である。
以上の線状低密度ポリエチレンとしては、チーグラー触媒等の従来のマルチサイト触媒を用いて得られた重合体(MSC)、又はメタロセン系触媒等のシングルサイト系触媒を用いて得られた重合体(SSC)であり、両者を混合したものでもよく、これらから少なくとも1種が用いられることが望ましい。
なお、フィルム(Y1)には、プラスチック加工で通常用いられる添加剤、すなわち防曇剤、熱安定剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、架橋調節剤等を含めてもよい。例えば、架橋調節剤を用いることで、各層間の架橋度を変えることにより、ヒートシール性等の特性を更に高めることができる。
フィルム(Y1)は、熱収縮特性及びシール時の耐熱性の点から、架橋されていることが好ましい。このため、フィルム(Y1)は、内部層及びヒートシール層を共押出して急冷固化せしめた後、電離性放射線照射により架橋されることが好ましい。当該照射時の吸収線量は、7.0〜10Mradが好ましく、7.5〜9.0Mradが更に好ましい。この後、フィルム(Y1)の原反は延伸機に導かれ、加熱ゾーンによって130〜160℃に加熱され、縦方向は4〜7倍に、横方向は4〜7倍に、即ち、面積延伸倍率16〜49倍に延伸をおこなうことが好ましい。当該条件により延伸製膜されたフィルムの自由収縮率は、90℃自由収縮率が15%以下、且つ140℃自由収縮率が70%以上の値となる。
−ゲル分率−
フィルム(Y1)のゲル分率は、内部層のゲル分率が10〜30質量%で且つ各ヒートシール層のゲル分率が20〜40質量%である。フィルム(Y1)として、好ましくは、内部層のゲル分率が16〜23質量%で且つ各ヒートシール層のゲル分率が25〜35質量%のものである。ここで、「ゲル分率」は、沸騰P−キシレン中で試料を12時間抽出し、不溶解部分の割合を次式により表示したものである。
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試料質量/抽出前の試料質量)×100
内部層及びヒートシール層のゲル分率が上述の要件を満たすことは、架橋フィルムとしての特徴である優れた熱収縮特性とその熱収縮特性を十分に発揮させるための分子配向を生じせしめるに足りる延伸製膜安定性、更には耐熱性や引裂強度、剛性等の機械的特性を確保する上で好ましい。内部層のゲル分率が10質量%以上であると、高温における延伸製膜安定性が向上するだけでなく、ドローダウン現象を防ぐ役割を担い、また熱収縮性フィルムとして必要な分子配向の付与も容易となる。一方、ヒートシール層としてエチレン−酢酸ビニルを用いた場合は架橋効率が高いため、自ずと高ゲル分率となるが、ゲル分率が20質量%以上とすることによって優れた透明性及び光沢性をフィルムに付与することができる。また、内部層のゲル分率が30質量%以下だと、前記樹脂構成では延伸時のフィルムのメルトテンションが適度となるため、16〜49倍の面積延伸倍率での高温延伸が容易となる。一方、ヒートシール層のゲル分率が40質量%以下であると、同様に延伸が容易となるだけでなく、安定したヒートシール性をフィルムに付与することができる。
フィルム(Y1)は、例えば、「ポリオレフィン系架橋フィルム」が用いられ、例えば、エチレン系重合体、プロピレン系重合体等のポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を加熱混錬、又は積層させて環状ダイから溶融樹脂を押し出した後、急冷固化させた未延伸チューブ状の原反を電子線により架橋処理を施し、延伸機に誘導、TD((フィルム(Y)の巾方向))3〜10倍、MD(フィルム(Y)の長さ方向)3〜10倍に延伸することにより作製することができる。また、フィルム(Y1)は目的に応じて、延伸後に架橋処理やコロナ処理を施すことができる。
(フィルム(Y2))
さらに、積層構造を有する熱収縮性フィルム(Y)としては、以下のフィルム(Y2)を用いてもよい。
具体的に、フィルム(Y2)は、ヒートシール層と内部層とを有し、前記ヒートシール層が前記内部層上に積層されてなる熱収縮性多層フィルムであって、
前記ヒートシール層が、エチレンと炭素数が4〜18のα−オレフィンとを含むエチレン−α−オレフィン共重合体(A)を含み、
前記内部層が、密度が0.880〜0.910g/cm3であるプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)20〜80質量%と、密度が0.850〜0.900g/cm3である非晶性又は融解ピーク温度が120℃未満であるプロピレン−α−オレフィン共重合体(C)80〜20質量%とを含み、
前記プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)が、下記特性(B1)〜(B4)を有し、かつ、前記プロピレン−α−オレフィン共重合体(C)が、下記の特性(C1)〜(C2)を満たす。
(B1)融解ピーク温度(Tmp)が120〜165℃
(B2)融解開始温度(Tms)と、融解終了温度(Tme)との差が30〜70℃
(B3)融解ピーク温度(Tmp)と、融解終了温度(Tme)との差が3〜30℃
(B4)融解熱量が20〜50J/g
(C1)融解熱量が40J/g以下
(C2)動的粘弾性測定にて求められるtanΔピーク温度が−30℃〜0℃
フィルム(Y2)は、上述のフィルム(Y)に求められる熱収縮性、酸素透過速度及び水蒸気透過量を達成することができると共に、低温で延伸することで、包装後の変形回復性に優れ、傷つきやすい内容物の場合にも、内容物を傷つけずにタイトに包装できる。さらに、また遅延回復性を有するため、包装後に内容物が動いてフィルムに触れたとしてもシワが生じることなく、きれいな包装状態を保つことができる。
−フィルム(Y2)のヒートシール層−
ヒートシール層は、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)を含む。フィルム(Y2)は、当該ヒートシール層を有することによって、包装機械適性、特に滑り性、シール強度、縮包装後の透明性、光沢性といった光学特性が良好となる。
前記エチレン−α−オレフィン共重合体(A)としては、エチレンと炭素数が4〜18のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種類の単量体とのランダム共重合体が好ましい。前記α−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどが挙げられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、マルチサイト系触媒又はシングルサイト系触媒のどちらの触媒を用いて重合されたものでもよいが、透明性が必要な内容物を包装する場合、シングルサイト系触媒で重合されたものを使用することが好ましい。この場合には、透明性の観点から、GPCによって測定される分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下のものを使用することが好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)の密度は、シール性、光学特性の観点から0.890〜0.930g/cm3であることが好ましく、より好ましくは、0.900〜0.920g/cm3である。密度が0.890g/cm3以上である場合、フィルム表面のベタツキが少なく、包装機械との滑り性が良好となる点で好ましく、密度が0.930g/cm3以下である場合、フィルムの光学特性が良好となる点で好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体(A)のメルトフローレートは、0.2〜7.0g/10minであることが好ましい。メルトフローレートが0.2g/10min以上である場合、フィルム強度が得られる点で好ましく、7.0g/10min以下である場合、延伸工程での製膜安定性が得られる点で好ましい。
フィルム(Y2)において、ヒートシール層には、その特性を損なわない範囲で、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)以外の他の樹脂を配合してもよい。その他の樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、上述のエチレン−α−オレフィン共重合体(A)とは異なるX線法による結晶化度が30%以下のα−オレフィン共重合体よりなる軟質樹脂、これら樹脂を酸変性などにより改質したもの、ポリブテン系樹脂、結晶性1,2−ポリブタジエン、非晶性のポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。
−フィルム(Y2)の内部層−
フィルム(Y2)において、内部層は、密度が0.880〜0.910g/cm3であるプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)20〜80質量%と、密度が0.850〜0.900g/cm3である、非晶性又は融解ピーク温度が120℃未満であるプロピレン−α−オレフィン共重合体(C)80〜20質量%とを含む。
フィルム(Y2)において、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)は、プロピレンと、エチレン及び炭素原子数4〜8のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種類の単量体とのランダム共重合体又はブロック共重合体が好ましい。
プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)におけるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。これらの中でも、特にエチレン又は1−ブテンが好適である。プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)としては、エチレン成分を30質量%以下、好ましくは1〜25質量%含有するプロピレン・エチレンのランダム共重合体又はブロック共重合体、1−ブテンを20質量%以下含有するプロピレン・1−ブテンのランダム共重合体又はブロック共重合体、又はエチレン成分を30質量%以下、かつ1−ブテン成分を20質量%以下含有する、プロピレン・エチレン・1−ブテンの3成分からなるランダム共重合体又はブロック共重合体が好適な樹脂として挙げられる。
プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)の密度は、0.880〜0.910g/cm3であり、0.890〜0.905g/cm3であることが好ましい。密度が0.880g/cm3以上である場合、フィルムに剛性が付与でき包装機械におけるフィルムの操作性を向上させることができ、密度が0.910g/cm3以下である場合、フィルムの変形回復性を向上させることができる。
プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)の融解ピーク温度(Tmp:特性B1)は120〜165℃であり、120〜155℃であることが好ましい。融解ピーク温度が、120℃以上である場合、耐熱性を付与することができ、融解ピーク温度が165℃以下である場合、製膜時の延伸安定性を得ることができる。
プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)の融解開始温度(Tms)と融解終了温度(Tme)の差(以下、単に「ΔTmA」と記載する場合がある。:特性B2)が、30〜70℃であり、35〜65℃であることが好ましく、より好ましくは40〜60℃である。ΔTmAが30℃以上である場合、フィルムに低温収縮性が付与することができ、ΔTmAが70℃以下である場合、フィルムに高収縮性を付与することができる。
プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)の融解ピーク温度(Tmp)と融解終了温度(Tme)との差(以下、単に「ΔTmB」と記載する場合がある。:特性B3)が3〜30℃であり、5〜25℃であることが好ましい。ΔTmBが3℃以上である場合、包装工程において、シール時に樹脂の抜け落ちを抑制することができ、ΔTmBが30℃以下である場合、フィルムの製膜安定性を得ることができる。
プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)の融解熱量(ΔHm:特性B4)が、20〜50J/gであり、25〜48J/gであることが好ましい。ΔHmが20J/g以上である場合、フィルムの耐熱性を向上させることができ、ΔHmが50J/g以下である場合、フィルムの低温収縮性を向上させることができ、変形回復性に優れるフィルムとすることができる。
プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)の内部層の成分としての比率は、20〜80質量%であり、好ましくは30〜70質量%であり、より好ましくは40〜60質量%である。比率が20質量%以上である場合、製膜安定性が良好となり、比率が80質量%以下である場合、フィルムの柔軟性を得ることができる。
プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のメルトフローレートは、限定されるものではないが、0.1〜10g/10minであることが好ましい。
フィルム(Y2)において、プロピレン−α−オレフィン共重合体(C)は、プロピレンと、20質量%以下のエチレン又は炭素原子数4〜8のα−オレフィンとから得られる共重合体が好ましい。非晶性又は融解ピーク温度が120℃未満であるプロピレン−α−オレフィン共重合体(C)におけるα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテンなどが挙げられるが、中でもα−オレフィンとして好ましいのはエチレン又は1−ブテンである。
フィルム(Y2)において、プロピレン−α−オレフィン共重合体(C)は、融解ピークを示さない非晶性であるか、融解ピーク温度が120℃未満である。融解ピークを示さない非晶性である場合、フィルムに柔軟性が付与され、融解ピーク温度が120℃未満である場合、低温収縮性が付与される。
プロピレン−α−オレフィン共重合体(C)は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他いずれの触媒を用いて重合されたものでもよい。
プロピレン−α−オレフィン共重合体(C)の密度は、0.850〜0.900g/cm3であり、0.855〜0.895g/cm3であることが好ましい。密度が0.850g/cm3以上である場合、フィルムに破断伸びが付与され、包装機械適性の点で好ましく、密度が0.900g/cm3以下である場合、フィルムに剛性を付与できる点で好ましい。
プロピレン−α−オレフィン共重合体(C)の融解熱量(特性C1)は、40J/g以下であり、30J/g以下であることが好ましく、25J/g以下であることがより好ましく、20J/G以下であることがさらに好ましい。融解熱量が40J/g以下である場合、フィルムに低温収縮性を付与できる点、収縮後の包装体において変形回復性を向上できる点で好ましい。
プロピレン−α−オレフィン共重合体(C)の動的粘弾性測定にて求められるtanΔピーク温度(特性C2)は、−30℃〜0℃であり、好ましくは−28〜−5℃である。tanΔピーク温度が−30〜0℃である場合、フィルム包装工程において、被包装体が冷凍又は冷蔵品である場合においても、収縮時にフィルムと被包装体の接触面において、フィルムの収縮性が阻害されにくくなり、熱収縮後にシワが生じづらい点で好ましい。
プロピレン−α−オレフィン共重合体(C)に含まれるα−オレフィンがエチレンである場合、その含有量としては5〜17質量%が好ましく、より好ましくは、7〜16質量%である。エチレン含有量が5質量%以上である場合、フィルムの変形回復性が良好となる点で好ましく、エチレン含有量が17質量%以下である場合、フィルムに剛性を付与できる点で好ましい。
プロピレン−α−オレフィン共重合体(C)の内部層の成分としての比率は、20〜80質量%であり、好ましくは30〜70質量%であり、より好ましくは40〜60質量%である。比率が20質量%以上である場合、フィルム熱収縮後に変形回復性を付与することができ、比率が80質量%以下である場合、フィルムの耐熱性が良好となる。
プロピレン−α−オレフィン共重合体(C)のメルトフローレートは、限定されるものではないが、0.1〜10g/10minであることが好ましい。
フィルム(Y2)において、融解開始温度(Tms)、融解終了温度(Tme)、融解ピーク温度(Tmp)、融解熱量(ΔHm)は、示指走査型熱量計(DSC)を用いて測定することにより規定することができる。サンプル量を5〜10mgとし、測定雰囲気を窒素雰囲気とし、熱量標準としてインジウムを使用して行う。加熱プログラムとしては、まず、サンプルを10℃/分の昇温速度で0℃から、200℃まで昇温し(1st.融解挙動)、200℃で1分間放置後、10℃/分の降温速度で200℃から0℃まで冷却し0℃で1分間放置した(1st.結晶化挙動)。その後10℃/分の昇温速度で0℃から200℃まで昇温した(2nd.融解挙動)。融解ピーク温度(Tmp)は、上述の2nd.融解挙動から得られた比熱曲線において、最大吸熱量を示す温度である。また、完全溶融状態の比熱曲線を低温側に直接外挿して得られる直線をベースラインとして、融解熱量(ΔHm)を計算し、融解熱量の5%の熱量が吸熱される温度を融解開始温度(Tms)とし、融解熱量の95%の熱量が吸熱される温度を融解終了温度(Tme)とする。
フィルム(Y2)において、内部層には、特性を損なわない範囲で、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)及びプロピレン−α−オレフィン共重合体(C)以外の他の樹脂を配合してもよい。その他の樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、これら樹脂を酸変性などにより改質したもの、プロピレン単独重合体、ポリブテン系樹脂、結晶性1,2−ポリブタジエン、非晶性のポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。
(熱収縮性多層フィルム)
熱収縮性多層フィルムであるフィルム(Y2)は、高収縮性と、収縮包装後の良好な変形回復性とを両立した、熱収縮性多層フィルムであり、以下の特性を有することが好ましい。
(I)120℃におけるフィルムの縦、横熱収縮率が共に45〜80%である。
(II)80〜140℃におけるフィルムの縦、横少なくとも一方の最大熱収縮応力が、250〜400gf/mm2である。
フィルム(Y2)において、熱収縮性多層フィルムの熱収縮率は、ASTM D−2732に準じて測定することができる。測定温度は、ピロー収縮包装を想定し、120℃にて評価する。120℃での熱収縮率は、収縮包装後に角残りのない美麗な仕上がりを得るために、フィルムの縦、横両方向において45〜80%であることが好ましく、より好ましくは、45〜75%である。120℃での熱収縮率が45%以上である場合、角残りのない美麗な包装仕上がりが得られる点で好ましい。また、120℃での熱収縮率が80%以下である場合、より低温でフィルムが収縮可能となる点で好ましい。
フィルム(Y2)において、熱収縮性多層フィルムの熱収縮応力は、ASTM D−2838に準じて測定することができる。測定温度は、実際に収縮包装を行う温度である、80〜140℃の間で測定する。80〜140℃の間での熱収縮応力は、規定のフィルム余裕率を持った一次包装体を、収縮トンネルで熱収縮する際に予め針などを用いて設けられた小孔から、迅速に空気を除き、タイトな包装仕上がりを得るために必要であり、80〜140℃におけるフィルムの縦、横少なくとも一方の最大熱収縮応力が250〜400gf/mm2であることが必要であり、好ましくは、270〜380gf/mm2である。80〜140℃の間での収縮応力値が250gf/mm2以上である場合、フィルム収縮時に事前に設けられた小孔から空気を除きやすくなり、フィルム収縮後の包装体においてタイト感が得られ、変形回復性が向上する点で好ましく、80〜140℃の間での収縮応力値が400gf/mm2以下の場合、収縮応力によって、フィルム内部の空気を取り除く際に、発泡ポリスチレン製などのトレー変形を抑制できる点で好ましい。
フィルム(Y2)には、良好な防曇性と滑り性を付与するために添加剤などを配合してもよい。添加剤としては、多価アルコールの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
多価アルコールの脂肪酸エステルとしては、多価アルコールのモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステル、ポリ脂肪酸エステルなどが挙げられ、炭素原子数が8〜18の飽和又は不飽和脂肪酸のモノグリセリンエステル、ジグリセリンエステル、トリグリセリンエステル、テトラグリセリンエステル、ソルビタンエステルが好ましく、より好ましくは炭素原子数が12〜18の飽和又は不飽和脂肪酸のモノグリセリンエステル、ジグリセリンエステル、トリグリセリンエステル、テトラグリセリンエステル、ソルビタンエステルである。具体的には、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノミリステート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンジパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリンモノオレート、グリセリンジオレート、グリセリントリオレート、グリセリンモノリノレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンミリステート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンジオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンリノレート、ジグリセリンラウレート、ジグリセリンミリステート、ジグリセリンパルミテート、ジグリセリンステアレート、ジグリセリンオレート、ジグリセリンリノレート、トリグリセリンラウレート、トリグリセリンオレート、トリグリセリンステアレート、テトラグリセリンラウレート、テトラグリセリンオレート、テトラグリセリンステアレートなどが挙げられるが、ラウリン酸又はオレイン酸のグリセリンエステルと、ジグリセリンエステルを併用することが防曇性と滑り性を両立するために好ましい。
フィルムに良好な防曇性と滑り性を付与するための添加剤を配合する層としては、ヒートシール層及び/又は内部層、そしてヒートシール層と内部層との間に中間層が存在する場合はヒートシール層と中間層に加えることが好ましい。各層の樹脂への添加方法としては、添加剤を高濃度含有させた樹脂(マスターバッチ)を用いて希釈する方法だけでなく、添加剤を加熱させ溶融状態とし、直接樹脂に注入する方法も活用できる。
また、その他の添加剤として多価アルコールの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル以外の界面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤、低分子量石油樹脂に代表される粘接着剤、ミネラルオイルなどの液体添加剤は、防曇性、滑り性を損なわない程度に各層に添加することもできる。
フィルム(Y2)は、その特性を損なわない範囲で、エチレン−α−オレフィン共重合体(A)からなるヒートシール層と、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)とプロピレン−α−オレフィン共重合体(C)からなる内部層との間に、中間層を用いてもよい。中間層は、(i)防曇性を持続させるための防曇剤の保持層として、(ii)ヒートシール層と内部層との接着性を向上させ、層間剥離を抑制するため、(iii)回収した樹脂を押出機で再ペレット化したものを入れる、フィルムの回収層といった理由から設けると好ましく、前記(i)、(ii)、(iii)の理由からその本来の特性を損なわない範囲で、ヒートシール層、内部層に使用される共重合体以外の他の樹脂や添加剤などを60質量%以下で配合してもよい。
回収した樹脂としては、フィルムを製造する際に回収される樹脂であれば特に限定されないが、本実施の形態のフィルムを再度溶融させて得られる樹脂などが挙げられる。前記他の樹脂としては、ポリブテン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体樹脂、エチレン−メタアクリル酸共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、プロピレン単独重合体が挙げられる。
中間層の熱収縮性多層フィルム全層に対する厚み比率は、特性を損なわない範囲で特に限定されるものではないが、60%以下であることが好ましく、より好ましくは55%である。中間層の比率が60%以下である場合、延伸安定性が良好となる点で好ましい。
フィルム(Y2)において、ヒートシール層と内部層との配置としては、ヒートシール層が内部層に積層されている配置であれば、特に限定されるものではないが、例えばヒートシール層(以下、単に「S」と記載する場合がある。)と、内部層(以下、単に「C」と記載する場合がある。)からなる2層の場合:S/C、両表面層が、ヒートシール層からなる3層の場合:S/C/S、中間層(以下、単に「B」と記載する場合がある。)を1層用いる全3層からなる場合:S/B/C、S/C/B、両表面層がヒートシール層からなり、中間層を1層用いる全4層からなる場合:S/B/C/S、中間層を2層用いる全4層である場合:S/B/C/B、両表面層がヒートシール層からなり、中間層を2層用いる全5層からなる場合S/B/C/B/Sなどが挙げられる。また、中間層Bと異なる中間層(以下、単に「D」と記載する場合がある。)を併用することも可能であり、S/B/C/D、S/D/C/B、S/D/B/C、S/B/D/Cからなる4層、S/D/B/C/S、S/B/C/D/S、S/B/D/C/Sからなる5層や、S/B/D/C/B/Sからなる6層、S/B/D/C/B/D/Sからなる7層など、他に8層、及びそれ以上の層からも構成することができる。
本実施の形態における層の配置としては、S/B/C又はS/C/Sなどの少なくとも3層から構成されることが好ましく、S/B/C又はS/B/C/B/Sなど中間層がヒートシール層と内部層の間に積層されて構成されることが好ましい。
フィルム(Y2)の熱収縮性多層フィルムは、例えば、「ポリオレフィン系低温熱収縮フィルム」が用いられ、例えば、エチレン系重合体、プロピレン系重合体等のポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂を加熱混錬、または積層させて環状ダイから溶融樹脂を押し出した後、急冷固化させた未延伸チューブ状の原反を延伸機に誘導、延伸開始点を樹脂の融点以下になるように再加熱し、MD(フィルム(Y)の長さ方向)2〜5倍、TD(フィルム(Y)の幅方向)2〜5倍に延伸し作製することが出来る。またフィルム(Y2)は目的に応じて延伸前または延伸後に架橋処理やコロナ処理を施すことができる。
以下、図を用いて本実施形態の包装体の構造例について説明する。
[第1実施形態]
図を参照しながら、第1実施形態の包装体1の構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る包装体を示す斜視図である。図2は、容器本体と中容器との関係を示す分解図である。図3は、第1実施形態の包装体1の断面を示す概略図であり、当該断面の一部は省略されている。本実施形態においては、植物として果実(苺)を用い、容器(X)の全体がフィルム(Y)によって包装されている態様について説明する。
図1に示すように、包装体1は、容器本体2と、中容器3と、フィルム5とを備えており、容器本体2及び中容器3の全体がフィルム5で覆われている。包装体1は、複数の苺を収容するとともに、その輸送に用いられる容器である。また、輸送後、苺を収容した状態で包装体1を店頭に陳列することもできる。
容器本体2は、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂によって形成されている。図2に示されるように、容器本体2は、本体底部21と、本体側壁部22と、を有している。本体底部21は略平板形状の部位であり、その外形は平面視で長方形を呈している。本体側壁部22は、本体底部21の周縁から上方に延出している。本体側壁部22は、本体底部21の周縁の全体に亘って形成され、閉じた環状を呈している。本体底部21と本体側壁部22とは一体的に形成され、その厚さはいずれも0.20mm〜0.50mm程度で一様とされている。容器本体2は、各々の共振領域が異なるように中容器3とは別の材料を用いて形成されている。
容器本体2は、収容空間20を形成している。収容空間20は、本体底部21と本体側壁部22とによって区画され、上方が開放された空間である。なお、容器本体2には図3に示すように、本体脚部25が設けられている。本体脚部25は、本体底部21と一体的に形成されており、本体底部21から下方に突出している。本体脚部25は、本体底部21の四隅の近傍に1つずつ設けられている。
図1〜3に示されるように、中容器3は、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂によって形成されている。中容器3の厚さは0.1mm〜0.5mm程度であり、可撓性を有している。図2に示されるように、中容器3は天板31を有している。天板31は略平板形状の部位であり、その外形は平面視で容器本体2の本体底部21よりもやや小さい長方形を呈している。また、天板31は、植物収容部311と、被支持部312と、を有している。
植物収容部311は、天板31のうち内方寄りの部位である。植物収容部311には、天板31から下方に凹設された凹部32が設けられている。凹部32は、天板31の短辺方向に4つ、長辺方向に5つ、互いに間隔を空けて直線状に配列されている。例えば、短辺方向の寸法が150mm、長辺方向の寸法が210mmの包装体1の場合、凹部32の数は、3個から20個が好ましい。
図3に示されるように、凹部32は、凹部底面32aと、起立側面32bと、傾斜側面32cと、を有している。凹部底面32aは、下方に向かって突出するように湾曲した面である。起立側面32bは、その下端が凹部底面32aに接続され、天板31に向かって延出するとともに、その上端が天板31に接続された面である。傾斜側面32cは、その下端が凹部底面32aに接続され、起立側面32bよりも緩やかな角度で天板31に向かって延出するとともに、その上端が天板31に接続された面である。
被支持部312は、天板31のうち植物収容部311よりも外方の部位である。被支持部312は、植物収容部311を包囲するとともに、天板31の周縁の全体に亘って設けられている。
被支持部312には、天板31から下方に延出する中容器脚部34が設けられている。中容器脚部34と天板31とは一体的に形成されている。中容器脚部34は、天板31に接続される上端34a側から下端34b側にかけて、天板31から外方に延出するように傾斜している。
また、中容器脚部34は、上端34aと下端34bとの間に2つの変曲部34cを有している。変曲部34cは、その外側面の法線方向が、外側面の他の部位の法線方向と異なっている。変曲部34cは、天板31の短辺と長辺のそれぞれ沿って直線状に延びるように形成されており、これにより、中容器脚部34は階段形状を呈している。
このように形成された中容器3は、容器本体2の収容空間20に配置される。中容器3は、容器本体2に対して拘束されることなく、その中容器脚部34の下端34bのみで本体底部21の上面と接触することによって支持される。中容器3を容器本体2に対して拘束しないことにより、容器本体2から中容器3への振動の伝達を軽減することができる。
なお、図2おいては図示が省略されているが、図3に示すように、本体底部21と中容器脚部34との間には、エアパッキン4がその縁部を屈曲させた状態で設置されている。
エアパッキン4は、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂材料によって形成され、全体としてシート状を呈している。エアパッキン4としては、正面視で矩形状を呈しており、その外形が容器本体2の本体底部21よりも大きいシート状のものを用いることができる。また、エアパッキン4は、複数の気泡部を有し、シート41の一側面に気泡部42が互いに間隔を空けて形成されている。また、各気泡部42には、空気が内包されている。
さらに、図3に示すように、容器本体2の本体側壁部22と中容器脚部34bとの間には隙間が形成される。当該隙間の寸法は0.1mmから5mm程度であることが好ましい。このような寸法とすることにより、輸送時の収容空間20内における中容器3の移動を小さくしながら、二重容器構造による振動吸収効果を発現することができ、この結果、中容器3の移動に伴う苺Sへの衝撃を抑制することができる。
中容器3が収容空間20に配置されることにより、天板31は本体底部21と間隔を空けて配置される。また、凹部32の凹部底面32aと、本体底部21の上面との間にはエアパッキン4を介して3mm程度の隙間が形成される。
図3に示すように、包装体1が収容する苺Sは、中容器3の凹部32内に収容される。苺Sは、凹部32内に収容されると、その下面が凹部底面32aと接して支持され、側面が起立側面32b及び傾斜側面32cと接して覆われる。つまり、凹部32は、収容する苺Sを安定して保持できるように、苺Sの外形に沿う形状を呈している。凹部32に苺Sが収容された場合でも凹部底面32aが本体底部21の上面と接触することが無いように、中容器3には所定の剛性が与えられている。
容器本体2及び中容器3は、凹部32に苺Sが収容された状態で、フィルム5によって覆われている。図3に示すように、フィルム5は容器本体2の全体を覆っており、容器本体2の外側の表面全体に密着している。これにより、収容空間20がフィルム5によって密封されている。
また、図3に示すように、中容器3は、容器本体2の本体側壁部22の上端221に対し、天板31の高さが低くなるように中容器脚部34の高さが設定される。例えば、フィルム5によって容器本体2が覆われた後に、フィルム5と天板31との隙間が十分に確保されるように本体側壁部22及び中容器脚部34の高さが設定される。
また、フィルム5には、上述のようにフィルム(Y)が用いられる。例えば、視認性や美粧性の観点から、フィルム5は透明であることが好ましい。フィルム5が透明であれば、苺Sが包装体1に収容されたまま店頭に陳列された場合でも、消費者は蓋部材越しに苺Sの状態を視認することができる。
包装体1は、苺Sを収容した後、容器本体2の全体をフィルム5で覆い、その後、減圧下で加熱して、フィルム5を熱収縮させる。これにより、容器本体2の外表面全体にフィルム5を密着させることができる。
本実施形態の作用について説明する。
上述したように、中容器3は、その中容器脚部34のみで本体底部21と接触することによって支持されている。中容器脚部34は、天板31のうち、植物収容部311よりも外方に位置する被支持部312に設けられている。したがって、この構成によれば、大きく離間した中容器脚部34の上端34aによって天板31を支持している。
非輸送時等、包装体1が外力を受けていない場合は、天板31は、凹部32に収容した苺Sの重さのために若干下方に撓むものの、概ね本体底部21と略水平な状態となる。
一方、輸送時等、包装体1が外力を受けると、天板31に振動が生じる場合がある。このとき、天板31は、中容器脚部34の上端34aを支点としたモードで変形する。
このように、天板31は大きく離間した中容器脚部34の上端34aを支点として変形するため、その固有振動数は比較的低いものとなる。この結果、周波数が比較的高い振動が本体底部21から中容器脚部34を介して植物収容部311の凹部32に伝達された場合でも、苺Sの共振とそれに伴う表皮の損傷を抑制することが可能になる。
中容器脚部34は、天板31の周縁の全体に亘って形成されている。
この構成によれば、天板31の周縁の全体を中容器脚部34によって支持することにより、下方への天板31の過剰な撓みを抑制することができる。この結果、苺Sを収容した凹部32が本体底部21と接触したり、それによって本体底部21から凹部32に振動が直接的に伝達されたりすることを抑制できる。
中容器脚部34は、上端34a側から下端34b側にかけて、天板31から外方に延出するように傾斜している。
この構成によれば、中容器3が外力を受けた場合に、中容器脚部34を内方に倒れるように弾性変形させることが可能になる。この結果、本体底部21が比較的高い周波数で振動した場合でも、中容器脚部34の弾性変形によって振動の伝達を軽減し、苺Sの共振とそれに伴う表皮の損傷を抑制することが可能になる。
中容器脚部34は、その上端34aと下端34bとの間に、外側面の法線方向が変化する変曲部34cを有している。
この構成によれば、中容器3が外力を受けた場合に、中容器脚部34は変曲部34cを起点とした弾性変形を生じ得る。この結果、本体底部21が比較的高い周波数で振動した場合でも、中容器脚部34の弾性変形によって振動の伝達を軽減し、苺Sの共振とそれに伴う表皮の損傷を抑制することが可能になる。
中容器3の天板31の高さが、本体側壁部22の上端221よりも低い位置に設定される。
この構成によれば、フィルム5によって容器本体2を覆った際に天板31とフィルム5とが接触して中容器3がフィルム5に拘束されるの防ぐことができる。これにより、本体底部21から凹部32に振動がフィルム5を介して直接的に伝達されたりすることを抑制できる。
包装体1は、容器本体2と中容器3との間にシート状の緩衝材であるエアパッキン4を備える。中容器脚部34は、エアパッキン4を介して本体底部21によって支持されている。
この構成によれば、容器本体2から中容器3に伝達される振動の周波数を、エアパッキン4によって調整することが可能になる。エアパッキン4の共振周波数を中容器3の共振周波数よりも低いものに設定することにより、当該振動による苺Sの共振とそれに伴う表皮の損傷を抑制することが可能になる。
[第2実施形態]
次に、図を参照しながら、第2実施形態の包装体10の構成について説明する。図4は、第2実施形態の包装体の構成を示す分解図である。図5は、第2実施形態の包装体10の断面を示す概略図であり、当該断面の一部は省略されている。第2実施形態は第1実施形態とフィルム(Y)による包装の態様に関する変形例である。本実施形態においては、植物として果実(苺)を用い、容器(X)の中容器がフィルム(Y)によって包装されている態様について説明する。なお、第1実施形態と同様の部材については同様の番号を付しその説明を省略する。
図4に示すように、包装体10は、第1実施形態同様に、複数の苺を収容するとともに、その輸送に用いられる容器である。包装体10は、容器本体2と、中容器3と、フィルム50とで構成されている。フィルム50は正面視で矩形状を呈しており、その外形が中容器3の植物収容部31よりも大きいシート状のものを用いることができる。
また、図5に示すように、中容器3は凹部32に苺Sが収容された状態で、天板31の植物収容部311の表面と密着するようにフィルム50によって覆われている。これにより、各凹部32がフィルム50によって密封されている。フィルム50としては上述のフィルム(Y)が用いられる。例えば、視認性や美粧性の観点から、フィルム50は透明であることが好ましい。フィルム50が透明であれば、苺Sが包装体10に収容されたまま、又は、店頭に陳列された場合でも、消費者は蓋部材越しに苺Sの状態を視認することができる。
本実施形態では、中容器3自体がフィルム50に覆われているため、中容器3が容器本体2に対して拘束されることなく、その中容器脚部34の下端34bのみで本体底部21の上面と接触することによって支持される。このように、中容器3を容器本体2に対して拘束しないことによって、容器本体2から中容器3への振動の伝達を軽減することができる。
なお、本実施形態においては、中容器3自体がフィルム50に覆われていることから、フィルム50との関係から中容器3が容器本体2に対して拘束されることがない。このため、中容器3の天板31の高さを容器本体2の本体側壁部22の上端よりも低く設計する必要はなく、天板31と本体側壁部22の上端との高さの関係を所望に応じて変更することができる。例えば、図5に示すように、容器本体2自体をフィルム50によって覆わない場合には、天板31の高さを本体側壁部22の上端よりも高くしてもよい。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されず、適宜変更することができる。
上述の第1実施形態では、変曲部34cは、天板31の短辺と長辺のそれぞれ沿って直線状に延びるように形成されている。しかしながら、本発明はこの態様に限定されない。変曲部は、中容器脚部34の上端34aと下端34bとの間で蛇行する曲線状に延びるものであってもよい。
上述の第1実施形態では、緩衝材としてエアパッキン4が用いられている。しかしながら、本発明はこの態様に限定されない。緩衝材は、例えば、樹脂材料によって形成されたスポンジ、クッションや、不織布など、種々のものを採用することができる。
また、第2実施形態においては、容器本体2自体はフィルム50によって覆われていない。しかしながら、本発明はこの態様に限定されない。例えば、図示を省略する蓋部材を容器本体2の収容空間20の開口部に設置したり、他のフィルムによって容器本体2の収容空間20の開口部を覆ったり、さらに、容器本体2の全体が他のフィルムによって覆われていてもよい。このような場合、第1実施形態のように、蓋部材や他のフィルムによって中容器3が容器本体2に対して拘束されることがないように、天板31の高さが本体側壁部22の上端よりも低いことが好ましい。
さらに、蓋部材や他のフィルムを用いて容器本体2の収容空間20の開口部を塞ぐ場合、収容空間20内の通気性や水蒸気透過性が確保されていることが好ましい。このため、蓋部材や他のフィルムを用いて容器本体2の収容空間20の開口部を塞ぐ場合、当該蓋部材や他のフィルムの酸素透過速度及び水蒸気透過量は、フィルム(Y)に求められるように、酸素透過速度が13,000〜33,000cc/atm/m2/day、及び、水蒸気透過量が40〜60g/m2/dayであることが好ましい。
(変形例)
また、第2実施形態においては、容器本体2に代えて、図7に示す容器本体100を用いてもよい。図7は、第2実施形態の容器本体の変形例を示す斜視図である。図7に示すように、容器本体100の本体側壁部22には、凸部60と、凸部60と対称となる位置に設けられた凹部70と、が設けられている。
容器本体100において、本体側壁部22は、本体底部21に対して、それぞれ略垂直方向やや外方に向かって立ち上がって形成される。
凸部60は、本体側壁部22の上端部を含む壁面の一部が容器本体100の内周側から外周側に膨らむように形成される。凸部60は、上方から観察した場合に、平面視で容器本体100の外周側に略台形状に突出している。凹部60側の本体側壁部22の壁面の上端側には、凹部60の両側に載置面80Aが設けられている。
凹部70は、本体側壁部22の壁面の一部が外周側から内周側に凹むように形成される。凹部70は、上方から観察した場合に、平面視で容器本体100の内周側に略台形状に突出している。凹部70の上端側には、載置面80Bが設けられている。
本変形例において凹部70は凸部60と対称となる位置に設けられる。図7においては、本体底部21の面方向の略中心を軸として点対象となるように、対向する本体側壁部22の一方に凸部60が設けられ、他方に凹部70が設けられている。このため、2以上の容器本体100を積み重ねる際、凸部60と凹部70とが同じ向きとなるように積み重ねると上側に位置する容器本体が下側に位置する容器本体の収容空間内にすっぽり収まって重なる。一方、凸部60と凹部70とが別の向きとなるように積み重ねた際には、凸部60の底面、及び、凹部70側の本体側壁部22の底面の各々が、載置面80B及び載置面80A上に載置される。このため、包装体10の積み重ねが容易にでき、利便性が増す他、包装体10を積み重ねた場合に、フィルム50の上部を容器本体100の底面でふさがない状態を保持できる。その結果、内容物である植物の呼吸を阻害することなく、鮮度を保持することが可能となる。なお、本変形例において凸部60と凹部70とは、各々が対称となる位置に設けられる例の一つとして対向する本体側壁部22に各部が設けられているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、凸部60と凹部70との位置関係は、2以上の容器本体100を積み重ねる際、一方の向きとなるように積み重ねると上側に位置する容器本体が下側に位置する容器本体の収容空間内にすっぽり収まって重なり、容器本体100を180°回転させて別の向きとなるように積み重ねた際には、凸部60の底面、及び、凹部70側の本体側壁部22の底面の各々が、各載置面上に載置される構成であれば特に限定はない。
なお、凸部、凹部の形状及び位置は上述の変形例に限定されるものではなく、適宜変更することができる。また、当該変形例は第2実施形態に限定されるものではなく、第1実施形態においても適用可能である。
以下、実施例により本発明について具体的に説明するが本発明は当該実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
第1の実施形態における図2に示す容器本体(非晶性ポリエチレンテレフタレート(A−PET)と中容器(ポリプロピレン(PP)))とを有する容器(X)に、イチゴを15つずつ詰め(イチゴの重さ20g前後/個)、各イチゴの上面にシールを張り付けたのち、包装をおこなった。包装には、旭化成(株)製の「サンテックCフィルム」(上述のフィルム(Y2)に相当)を用た。フィルムで容器(X)の容器本体の全てを覆い、その後、120℃に設定したシュリンクトンネル中で3秒間の熱処理を行い、熱収縮させて包装体を得た。包装体に対し下記の各測定をおこなった。
<酸素透過速度、及び、水蒸気透過量の測定>
JIS−K7126(2006)又はJIS−K7129B(2008)に準拠して各々酸素透過速度及び水蒸気透過量を測定した。
<輸送テスト>
3トントラック車(冷蔵車)を使用し、冷凍庫内に包装体(5パック)を格納して約700km走行し、輸送テストを実施した。
(保存テスト)
輸送テストの後、各包装体を10日間5℃の冷蔵庫にて保存した後、冷蔵庫から取り出し、下記基準に従ってガス濃度及び食味を評価した。
−ガス濃度の基準−
MOCON社製の「Checkpoint3」を用いて保存テスト後の包装体内の酸素濃度(O2)/二酸化炭素濃度(CO2)を測定した。
(評価点)
5 O2:5%以上10%以下、且つ、CO2:5%以下
4 O2:5%以上10%以下、且つ、CO2:5%超10%以下
3 O2:10%超15%以下、且つ、CO2:5%以下
2 O2:10%超15%以下、且つ、CO2:5%超10%
1 前記以外
−食味の基準−
保存テスト後のイチゴの食味試験を実施した。
(評価点)
5:保存テスト前とほぼ同等の味であり良好であった。
4:保存テスト前に比して多少味が劣るものの良好であった。
3:保存テスト前に比して味が低下していた。
2:果実の一部に痛みがあり食味が不可な箇所があった。
1:果実全体として痛みがあり食味が不可であった。
(回転数)
輸送テストの終了後、イチゴに貼りつけたシールを基準とし、テスト開始の位置からシールがずれていたイチゴを輸送中に回転したとし、目視で評価した。また、包装体一つに収容されるイチゴ15個中回転が認められた数の平均値(5パック)を回転数とした。
(伝導度)
包装した5パックのうち、1パックの包装を開封した。
100mlの精製水を入れた200gビーカーにイチゴを1個ずつ入れ、イチゴを水に浸漬した。20分後、イチゴを取り出し浸漬した水からゴミ等を軽くろ過して除去し、浸漬水の電気伝導度を測定した。
電気伝導度は、HORIBA社製の導電率計(型番ES−51)を使用して伝導度を測定した。
傷のついたイチゴを水に浸漬すると傷部から果汁のイオン性物質が溶け出すため、測定値をイチゴの傷つきの指標とした。
(評価)
A:伝導度15S/c未満
B:伝導度15S/cm以上20S/cm未満
C:伝導度20S/cm以上
<総合評価>
輸送テストと保存テストの結果を加味し、包装体としての性能を下記基準に従って総合的に評価した。
(基準)
A:とても良い
B:良い
C:悪い
[実施例2,比較例1〜9]
容器及びフィルムとして下記表に記載のものを用いた以外は実施例1と同様にして包装体を作製し、実施例1と同様の評価をおこなった。
Figure 2021075310
表に示すように実施例の包装体は、輸送テスト及び保存テスト共に良好であった。
一方、本発明に係るフィルム(Y)及び容器(X)以外のフィルム及び容器を用いた比較例1及び5は、特に保存性テストの結果が劣っていた。
また、本発明に係る容器(X)と本実施形態に係るフィルム(Y)以外の蓋又はフィルムを用いた比較例2〜4及び8〜9は、輸送テストの結果は良好であったものの、保存テストの結果に劣るものであった。また、比較例7は、本発明に係る容器(X)を用いたものの輸送及び保存テストのいずれにおいても悪い結果であった。これは、比較例7はフィルムの水蒸気透過度と酸素透過度との双方が本願実施形態の範囲外であるため、輸送時において植物の腐敗(軟果)が発生しため、輸送テストの結果が悪かったものと推測される。
さらに、比較例6は、フィルムの水蒸気透過度と酸素透過度との双方が本願実施形態の範囲内であるが、本発明に係る容器(X)以外の容器を用いているため、輸送テスト及び保存テストの結果に劣るものであった。
1,10:包装体、2,100:容器本体、3:中容器、4:エアパッキン(緩衝材)、5,50:フィルム、20:収容空間、21:本体底部、22:本体側壁部、211:本体脚部、31:天板、32:凹部、34:中容器脚部、34c:変曲部、311:植物収容部、312:被支持部、S:苺(植物),60:凹部、70:凸部、80A,80B:載置面

Claims (6)

  1. 植物の輸送に用いられる包装体であって、
    本体底部と、前記本体底部の周縁から上方に延出する本体側壁部と、を有し、前記本体側壁部によって囲まれた収容空間を前記本体底部の上方に形成する容器本体と、
    前記本体底部と間隔を空けて前記収容空間に配置される天板を有する中容器と、を備え、
    前記天板は、植物収容部と、前記植物収容部よりも外方に設けられる被支持部と、を有し、
    前記植物収容部に、下方に凹設され植物が収容される複数の凹部が設けられ、
    前記被支持部に、前記天板から下方に延出する中容器脚部が設けられ、
    前記中容器は、前記中容器脚部のみで下方から支持されている、容器(X)と、
    前記容器(X)の少なくとも一部と密着し、前記収容空間及び前記植物収容部の少なくとも一方を密封しており、且つ、酸素透過速度が13,000〜33,000cc/atm/m2/day、及び、水蒸気透過量が40〜80g/m2/dayである熱収縮性フィルム(Y)と、
    を備えた包装体。
  2. 前記熱収縮性フィルム(Y)が、積層構造を有する請求項1に記載の包装体。
  3. 前記熱収縮性フィルム(Y)が、MFRが2.0〜6.0g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を50質量%以上含む樹脂を含む一対のヒートシール層と、高圧法低密度ポリエチレン50〜10質量%及び線状低密度ポリエチレン50〜90質量%からなる混合樹脂を含む内部層を有する3層フィルムであって、前記3層フィルムの90℃自由収縮率が15%以下且つ140℃自由収縮率が70%以上の値を有し、前記内部層のゲル分率が10〜30質量%、前記一対のヒートシール層のゲル分率が各々20〜40質量%である3層架橋フィルムである請求項1又は請求項2に記載の包装体。
  4. 前記熱収縮性フィルム(Y)が、ヒートシール層と内部層とを有し、前記ヒートシール層が前記内部層上に積層されてなる熱収縮性多層フィルムであって、
    前記ヒートシール層が、エチレンと炭素数が4〜18のα−オレフィンとを含むエチレン−α−オレフィン共重合体(A)を含み、
    前記内部層が、密度が0.880〜0.910g/cm3であるプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)20〜80質量%と、密度が0.850〜0.900g/cm3である非晶性又は融解ピーク温度が120℃未満であるプロピレン−α−オレフィン共重合体(C)80〜20質量%とを含み、
    前記プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)が、下記特性(B1)〜(B4)を有し、かつ、前記プロピレン−α−オレフィン共重合体(C)が、下記の特性(C1)〜(C2)を満たす請求項1又は請求項2に記載の包装体。
    (B1)融解ピーク温度(Tmp)が120〜165℃
    (B2)融解開始温度(Tms)と、融解終了温度(Tme)との差が30〜70℃
    (B3)融解ピーク温度(Tmp)と、融解終了温度(Tme)との差が3〜30℃
    (B4)融解熱量が20〜50J/g
    (C1)融解熱量が40J/g以下
    (C2)動的粘弾性測定にて求められるtanΔピーク温度が−30℃〜0℃
  5. 前記植物が、果実である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の包装体。
  6. 前記容器本体の前記本体側壁部は、上端部を含む壁面の一部が前記容器本体の内周側から外周側に膨らむように形成された凸部と、前記凸部と対称となる位置に設けられ且つ壁面の一部が外周側から内周側に凹むように形成された凹部と、を備えた請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の包装体。
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