JP2021073915A - トマト原料中の5’−アデニル酸を5’−イノシン酸に変換する方法、並びに、トマト加工品及びその製造方法 - Google Patents

トマト原料中の5’−アデニル酸を5’−イノシン酸に変換する方法、並びに、トマト加工品及びその製造方法 Download PDF

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【課題】デアミナーゼ酵素の至適pHよりも低pHの条件で、トマト原料中の5’−アデニル酸を5’−イノシン酸へ効率的に変換すること。【解決手段】デアミナーゼ酵素の至適pHよりも低pHの条件で、トマト原料に含まれる5’−アデニル酸をうま味の強い5’−イノシン酸に変換する酵素反応を効率的に行うこと。すなわち、pH調整をしていないトマト原料に対して、液体に溶解させたデアミナーゼ酵素を温度維持後のトマト原料において0.1%(w/w)以上になるように添加すること、及び、酵素反応時の温度を20℃以上60℃以下に維持することである。【選択図】図1

Description

本発明が関係するのは、トマト原料中の5’−アデニル酸を5’−イノシン酸に変換する方法、並びに、トマト加工品及びその製造方法である。
近年、うま味が豊富な食品素材が認知され、多様な料理に使用されている。うま味成分としては、グルタミン酸をはじめとするアミノ酸由来のもの及び5’−イノシン酸、5’−グアニル酸等の核酸由来のものがあるが、野菜が持つうま味成分はアミノ酸由来のものが多い。また、うま味成分を組み合わせることにより相乗的にうま味を強く感じられることは良く認知されている。うま味成分が豊富に含まれる食材として鰹節、昆布、椎茸等がよく知られているが、野菜の中でもトマトはグルタミン酸が多く含まれることが知られている。食材に含まれるうま味を増強する方法も検討されており、酵素反応によりうま味成分を生成する方法は、公知である。例えば、特許文献1には、トマト由来原料にデアミナーゼ酵素処理することでアデニル酸をイノシン酸に変換することが記載されており、アルカリ等を添加してpHを5.2付近に調整後、酵素反応を行っている。しかしながら、pHを中性に近づけると酵素反応中にも細菌等が多く発生するため、殺菌で多くの熱を加える必要があった。一方でトマトは加熱すると好ましくない香味が発生する性質があるため、香味を損なわないようにするためには、pHを低く保持したまま酵素反応を行う方法が求められた。
US20140287097A1
本発明が解決しようとする課題は、デアミナーゼ酵素の至適pHよりも低pHの条件で、トマト原料中の5’−アデニル酸を5’−イノシン酸へ変換することである。
以上を踏まえて、本願発明者が鋭意検討して見出したのは、デアミナーゼ酵素の至適pHよりも低pHの条件で、トマト原料に含まれる5’−アデニル酸をうま味の強い5’−イノシン酸に変換する酵素反応を効率的に行う方法である。すなわち、pH調整をしていないトマト原料に対して、液体に溶解させたデアミナーゼ酵素を温度維持後のトマト原料において0.1%(w/w)以上となるように添加すること、及び、酵素反応時の温度を20℃以上60℃以下に維持することである。この観点から、本発明を定義すると、以下のとおりである。
本発明に係るトマト加工品の製造方法を構成するのは、少なくとも、酵素添加工程及び温度維持工程である。酵素添加工程では、温度維持後のトマト原料において0.1%(w/w)以上となるように、デアミナーゼ酵素が添加される。温度維持工程では、酵素添加後のトマト原料が20℃以上60℃以下、好ましくは25℃以上50℃以下で温度維持される。温度維持前のトマト原料に対しては、pH調整を行わず、温度維持時のpHは4.1以上であることが好ましい。トマト加工品の製造方法を構成するのは、さらに、加熱工程である。加熱工程では、温度維持後のトマト原料を加熱してデアミナーゼ酵素を完全に失活させる。温度維持後のトマト原料が含有するのは、5’−アデニル酸及び5’−イノシン酸であり、5’−アデニル酸と5’−イノシン酸の濃度比(IMP(ppm)/AMP(ppm))は、0.95以上であり、好ましくは1.02以上であり、より好ましくは2.32以上である。当該トマト原料は、トマトしょう液又はトマトペーストであることが好ましい。
本発明に係るトマト原料の5’−アデニル酸を5’−イノシン酸へ変換する方法を構成するのは、少なくとも、酵素添加工程及び温度維持工程である。酵素添加工程では、温度維持後のトマト原料において0.1%(w/w)以上となるように、デアミナーゼ酵素が添加される。温度維持工程では、酵素添加後のトマト原料が20℃以上60℃以下、好ましくは25℃以上50℃以下で温度維持される。温度維持前のトマト原料に対しては、pH調整を行わず、温度維持時のpHは4.1以上であることが好ましい。トマト加工品のうま味成分を増強する方法を構成するのは、さらに、加熱工程である。加熱工程では、温度維持後のトマト原料を加熱してデアミナーゼ酵素を完全に失活させる。温度維持後のトマト原料が含有するのは、5’−アデニル酸及び5’−イノシン酸であり、5’−アデニル酸と5’−イノシン酸の濃度比(IMP(ppm)/AMP(ppm))は、0.95以上であり、好ましくは1.02以上であり、より好ましくは2.32以上である。当該トマト原料は、トマトしょう液又はトマトペーストであることが好ましい。
本発明に係るトマト加工品が含有するのは、5’−アデニル酸及び5’−イノシン酸である。5’−アデニル酸と5’−イノシン酸の濃度比(IMP(ppm)/AMP(ppm))は、0.95以上であり、好ましくは1.02以上であり、より好ましくは2.32以上である。トマト加工品のBrixは20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。トマト加工品のpHは、4.1以上4.6未満であることが好ましい。
本発明に係るトマト含有飲食品が含有するのは、前述のトマト加工品であり、その用途は、減塩である。
本発明が可能にするのは、デアミナーゼ酵素の至適pHよりも低pHの条件で、トマト原料中に含まれる5’−アデニル酸をうま味の強い5’−イノシン酸に効率的に酵素変換することである。すなわち、pH調整を行わずとも、デアミナーゼによる酵素反応を効率的に行うことができる。それにより、トマト原料中のうま味成分を増強することができ、トマトに含まれるグルタミン酸とのうま味の相乗効果の増強も期待できる。また、pHを低く保持したまま酵素反応を行うことにより、殺菌に伴う熱履歴を抑えることができ、加熱による好ましくない香味を抑制することができる。
本実施の形態に係るトマト加工品の製造方法の流れ図 各温度条件で処理したトマト加工品中の5’−イノシン酸、5’−アデニル酸及びイノシンの濃度を示した図 各pH条件で処理したトマト加工品中の5’−イノシン酸と5’−アデニル酸の濃度を示した図
<トマト加工品>
本実施の形態に係るトマト加工品(以下、「本加工品」という。)が少なくとも含有するのは、デアミナーゼ酵素で酵素反応した後のトマト原料であり、本加工品は、5’−アデニル酸及び5’−イノシン酸を含有することを特徴とする。当該トマト原料、デアミナーゼ酵素及び5’−イノシン酸の詳細は、後述する。その他の原料として排除されないのは、調味料、食品添加物、その他の食品材料である。これらの原料の形態は、不問であり、固体でも、液体でも良い。
<トマト原料>
トマト原料はトマト搾汁であればよく、その形態は、不問である。トマト搾汁とは、トマトを破砕して搾汁し或いは裏ごしし、皮や種子等を除去して得られるトマト搾汁、トマト搾汁からパルプ分の一部または全部を除去したもの、及び、これらを濃縮したものを意味する。例示すると、トマトジュース、トマトピューレ、トマトペースト、トマトしょう液であり、好ましくは、トマトペースト又は濃縮されたトマトしょう液である。
<デアミナーゼ酵素>
デアミナーゼ酵素の種類は、不問であり、カビ、酵母、細菌等の各種微生物由来のもの、植物由来のもの、動物由来のもののうちから選択して使用することができる。市販の酵素を用いることも可能であり、例示すると、スミチームDEA(新日本化学工業社製)又はデアミザイムG(天野エンザイム社製)等である。市販のデアミナーゼ酵素は一般的に粉末状であるが、水等の液体に溶解させた状態で添加することが好ましい。酵素の添加量及び反応温度等の条件は、後述する。トマト加工品中では、生成された5’−イノシン酸をイノシンに変換する可能性があるため、失活された状態で存在することが好ましい。
<5’−アデニル酸>
5’−アデニル酸は一般的なトマト中に50〜200(ppm)の濃度で含有される核酸であり、弱いうま味を呈する。トマト以外の野菜にはほとんど含まれていない。
<5’−イノシン酸>
5’−イノシン酸はトマト及び他の野菜中に元々ほとんど含有されない核酸であり、強いうま味を呈する。デアミナーゼ酵素により、5’−アデニル酸からアンモニア基が離脱され、5’−イノシン酸を生成することができる。
<トマト含有飲食品>
本実施の形態に係るトマト含有飲食品は、前述のトマト加工品を含有する。トマト加工品は、うま味が増強されることから、減塩用途での使用に適している。
<本加工品の製造方法の概要>
図1が示すのは、本加工品の製造方法(以下、「本製法」という。)の流れである。本製法を構成するのは、主に、濃縮(S10)、酵素添加(S20)、温度維持(S30)、並びに加熱(S40)である。このうち、濃縮(S10)の採用及びその時期は、任意である。
<濃縮(S10)>
濃縮の目的は、酵素反応の基質となる5’−アデニル酸の濃度を高めることである。それにより、酵素反応で生成する5’−イノシン酸の濃度が高まる。なお、生産効率の観点から、Brix20%以上に濃縮することが好ましい。濃縮の方法は、不問であり、一般的な方法を用いることができる。例示すると、通常の加熱による濃縮、減圧濃縮、低温濃縮、真空濃縮、凍結濃縮、及び逆浸透濃縮等である。濃縮の時期は、目的に応じて適宜選択することができるが、酵素添加(S20)の前又は温度維持(S30)以降であることが好ましい。
<酵素添加(S20)>
酵素は、市販の酵素を用いることができる。市販のデアミナーゼ酵素は一般的に粉末状であるが、水等の液体に溶解させた状態で添加することが好ましい。添加する酵素は、温度維持後のトマト原料において0.1%(w/w)以上となる量を添加すればよい。ここでの温度維持後の酵素は、失活したものを含む。ただし、基質に対して酵素の添加量が多すぎると5’−イノシン酸がイノシンに変換されてしまうため、5’−アデニル酸100ppmとなるトマト原料に対して、酵素の添加量は2.0%(w/w)以下にすることが好ましい。逆に、基質に対して酵素の添加量が少ないと酵素反応の効率が低下するため、トマト原料のBrixが40以上の場合は、0.1%(w/w)よりも高濃度となるように酵素の添加量を適宜調節することが好ましい。また、酵素添加後は酵素がトマト原料中で均一に拡散するように攪拌することが好ましい。酵素添加の時期は、温度維持(S30)の前である。
<温度維持(S30)>
温度維持の目的は、トマト原料中の5’−アデニル酸を酵素反応により5’−イノシン酸に変換することである。酵素反応時の温度は、20℃以上60℃以下、好ましくは25℃以上50℃以下とする。温度維持時間は、酵素反応が十分に行われるように温度、酵素濃度、及び、トマト原料の種類や濃度等に応じて適宜設定することができる。ただし、温度維持時間が長すぎると5’−イノシン酸がイノシンに変換されてしまうこと及び微生物制御の観点から、120分以下であることが好ましい。また、温度維持中は、適宜攪拌することが好ましい。なお、デアミナーゼ酵素の至適pHは一般的に5以上であるのに対し、トマト搾汁のpHは4.2前後であるが、本実施の形態では、温度維持前のトマト原料においてpH調整を行わない。温度維持の時期は、酵素添加(S20)の後であり、加熱(S40)よりも前である。
<加熱(S40)>
加熱の目的は、温度維持後の酵素を失活させることである。温度維持後のトマト原料に対し、85℃以上で10分以上又はこれと同等の熱をかければよい。加熱方法は公知の方法を用いることができ、例示すると、蒸気加熱、煮沸等である。加熱の時期は、温度維持(S30)の後である。
<本加工品のうま味成分>
本加工品に含有されるうま味成分は、主にグルタミン酸及び5’−イノシン酸である。グルタミン酸はトマト中に元々含まれている成分であり、5’−イノシン酸は5’−アデニル酸から酵素変換されたものである。5’−アデニル酸は、トマト中に元々含まれているうま味成分であるが、呈するうま味は弱いため、5’−イノシン酸に変換されることにより、本加工品のうま味が増強される。また、グルタミン酸と5’−イノシン酸が共存することで、さらに、うま味の相乗効果が期待される。一般的に、うま味が増強されると、塩分を減らした場合でも、食べたときに味の物足りなさを補完することができることから、本加工品は、減塩用途での使用に適している。
<本加工品の5’−アデニル酸及び5’−イノシン酸の濃度比>
温度維持後の5’−アデニル酸及び5’−イノシン酸の濃度比(IMP(ppm)/AMP(ppm))は、0.95以上であればよい。当該範囲であればうま味の増強効果が得られるが、好ましくは1.02以上であり、より好ましくは2.32以上である。5’−アデニル酸及び5’−イノシン酸の濃度測定方法は、公知慣用の方法であれば足り、特に限定されないが、その一例は、後述する。
<実施例1>
トマトしょう液(41°Bxトマト濃縮果汁CTE(ポルトガル)211kg、カゴメ社製)にデアミナーゼ酵素(デアミザイムG、天野エンザイム社製)を0.3%(w/w)添加し、45℃で60分間酵素反応を行った。その後、90℃で10分加熱して酵素を失活させた。これを対照区分とし、さらに、これを酵素添加をしていないトマトしょう液に配合して、表1の区分1〜3とした。配合量は、事前の予備評価において、訓練されたパネラー2名によりうま味の差がみられると判断した量を区分2とし、その前後の区分を区分1及び区分3として設定した。それぞれの区分の5’−アデニル酸及び5’−イノシン酸の濃度は後述する測定方法により測定し、表1に示した。
訓練されたパネラー12名を対象として、1対2点法により対照及び区分1〜3について、官能評価を行った。評価項目は、対照と比較してうま味に違いがあるか否かであり、違いがあると答えた人数を調べた。加熱により酵素失活を行った後の5’−アデニル酸及び5’−イノシン酸の濃度比(IMP(ppm)/AMP(ppm))と官能評価の結果を表1に示す。なお、うま味の閾値は、訓練されたパネラーであっても個人差が出てしまうため、人数に明らかな差がみられる濃度を、うま味の増強効果有無の境界とした。
Figure 2021073915
<核酸の濃度測定方法>
以下の要領で5’−アデニル酸及び5’−イノシン酸の濃度を測定した。なお、検量線を作成するために、それぞれ5’−アデニル酸として、アデノシン5’−リン酸(A0158、東京化成社製)及び5’−イノシン酸として、イノシン5’−リン酸・二ナトリウム水和物(I0036、東京化成社製)を標準液として用いた。
<試料の調製>
サンプル10gを50ml容メスフラスコに精秤し、50mlにメスアップした。メスフラスコ内のサンプルをよく混ぜた後、5A濾紙にてろ過した。濾液をディスポーザブルシリンジフィルター(TOYO DISMIC−25CS Cellulose Acetate 0.45μm HYDROPHILIC、ADVANTEC社製)にて濾過し、クロマトグラフ用ガラス製バイアル瓶に分注した。調製したサンプルをHPLCにて分析した。HPLCの分析条件は以下に示す。
<HPLC測定条件>
装置:紫外検出器付き高速液体クロマトグラフ(日立製作所Chromaster)
カラム:Develosil RPAQUEOUS AR−5、4.6mm×250mm
ガードカラム:RP−ARガードカラム(野村化学)
移動相(A液):100mMリン酸緩衝液(pH2.5)
移動相(B液):90%アセトニトリル
流速:1.0ml/min
検出波長:254nm
カラム温度:40℃
試料注入量:10μl
分析時間:38分/サンプル
グラジエントの条件は表2の通りとした。
Figure 2021073915
<実施例2>
トマトしょう液(41°Bxトマト濃縮果汁CTE(ポルトガル)、カゴメ社製)30gに対し、蒸留水に溶解させて1.0%(w/w)に調製したデアミナーゼ酵素(デアミザイムG、天野エンザイム社製)液を3g添加した。それを図2に示す各温度で60分間加熱した後、沸騰水で15分間加熱して酵素を失活させた。加熱により酵素失活を行った後の5’−アデニル酸5’−イノシン酸及びイノシンの濃度を図2に示す。なお、イノシンの濃度測定は、上記核酸の濃度測定方法と同様の方法で、イノシン(和光純薬社製)を標準液として用いて行った。対照として、酵素液の代わりに蒸留水を用いた。
<実施例3>
トマトしょう液(41°Bxトマト濃縮果汁CTE(ポルトガル)、カゴメ社製)30gをクエン酸塩により図3に示す各pHに調整した。デアミナーゼ酵素(デアミザイムG、天野エンザイム社製)を蒸留水に溶解させて1.0%(w/w)に調製したものを、pH調整後のトマトしょう液に3g添加し、45℃で60分間加熱した後、沸騰水で15分間加熱した。それ以外の操作は、実施例2と同様であった。加熱により酵素失活を行った後の5’−アデニル酸及び5’−イノシン酸のそれぞれの濃度を図3に示す。
<実施例4>
トマトしょう液(41°Bxトマト濃縮果汁CTE(ポルトガル)、カゴメ社製)又はBrixが24〜29のトマトペースト(米国産CBペースト、カゴメ社製)をトマト原料として、表3に示す酵素濃度、酵素反応、加熱の条件で実施例2と同様に処理を行った。加熱により酵素失活を行った後の5’−アデニル酸及び5’−イノシン酸のそれぞれの濃度及び濃度比(IMP(ppm)/AMP(ppm))を表3に示す。
Figure 2021073915
<評価結果>
実施例1では、区分1及び2では12人中5人が、区分3においては12人中9人が対照と違いがあると答えた。うま味の閾値は訓練されたパネラーであっても個人差があることから、人数に明らかな差がみられた濃度について、うま味の増強効果があると判断した。したがって、うま味の増強効果を得るには、IMP/AMPは1前後、つまり、0.95以上であればよい。
実施例2において、75℃ではAMPからIMPへの変換が起こっていないが、65℃ではわずかに起こっている。また、55℃では65℃と比較して各段に酵素反応が起こっているため、60℃前後で反応性が大きく変わると考えられる。IMP(ppm)/AMP(ppm)の値は、酵素反応の温度が25℃で4.91、35℃で13.22、45℃で3.53、55℃で0.66であった。したがって、酵素反応時の温度は、20℃以上60℃以下であればよく、好ましくは25℃以上50℃以下である。
実施例3において、IMP/AMPの値は、pH4.0で0.62、pH4.1で1.39であった。したがって、トマト原料のpHは、4.1以上であればよい。
実施例4において、区分4及び区分5では、IMP/AMPの値は0.95より低かったが、区分6〜10では0.95以上であった。区分4及び区分5のトマト原料はBrix45前後であり、AMPの初期濃度が区分6〜10よりも高かったことから、Brix40以上のトマト原料において、酵素反応を効率的に行うためには、適宜酵素濃度を高くする、或いは、酵素反応時間を長く設定する必要があると考えられる。
本発明が有用な分野は、トマト含有調味料及びトマト含有飲食品の製造である。

Claims (15)

  1. トマト加工品の製造方法であって、それを構成するのは、少なくとも次の工程である:
    酵素添加:ここでトマト原料に添加されるのは、液体に溶解させたデアミナーゼ酵素であり、デアミナーゼ酵素の添加量は、温度維持後のトマト原料において0.1%(w/w)以上となる量であり、
    温度維持:ここで維持されるのは、酵素添加後のトマト原料の温度であり、その温度は、20℃以上60℃以下であり、
    かつ、温度維持前にpH調整をしない。
  2. 請求項1の製造方法であって、
    温度維持時のトマト原料のpHは、4.1以上である。
  3. 請求項1又は2の製造方法であって、さらに、次の工程を含む:
    加熱:ここで加熱されるのは、温度維持後のトマト原料であり、加熱によりデアミナーゼ酵素は失活する。
  4. 請求項1乃至3の何れかの製造方法であって、
    温度維持後のトマト原料が含有するのは、少なくとも、5’−アデニル酸及び5’−イノシン酸であり、
    5’−アデニル酸と5’−イノシン酸の濃度比(IMP(ppm)/AMP(ppm))は、0.95以上である。
  5. 請求項1乃至4の何れかの製造方法であって、
    前記トマト原料は、トマトしょう液又はトマトペーストである。
  6. トマト原料中の5’−アデニル酸を5’−イノシン酸に変換する方法であって、
    それを構成するのは、少なくとも次の工程である:
    酵素添加:ここでトマト原料に添加されるのは、液体に溶解させたデアミナーゼ酵素であり、デアミナーゼ酵素の添加量は、温度維持後のトマト原料において0.1%(w/w)以上となる量であり、
    温度維持:ここで維持されるのは、酵素添加後のトマト原料の温度であり、その温度は20℃以上60℃以下であり、
    かつ、温度維持前にpH調整をしない。
  7. 請求項6の方法であって、
    温度維持時のトマト原料のpHは、4.1以上である。
  8. 請求項6又は7の方法であって、さらに、次の工程を含む:
    加熱:ここで加熱されるのは、温度維持後のトマト原料であり、加熱によりデアミナーゼ酵素は失活する。
  9. 請求項6乃至8の何れかの方法であって、
    温度維持後のトマト原料が含有するのは、少なくとも、5’−アデニル酸及び5’−イノシン酸であり、
    5’−アデニル酸と5’−イノシン酸の濃度比(IMP(ppm)/AMP(ppm))は、0.95以上である。
  10. 請求項6乃至9の何れかの方法であって、
    前記トマト原料は、トマトしょう液又はトマトペーストである。
  11. トマト加工品であって、それが含有するのは、
    5’−アデニル酸及び5’−イノシン酸であり、
    5’−アデニル酸と5’−イノシン酸の濃度比(IMP(ppm)/AMP(ppm))は、0.95以上である。
  12. 請求項11のトマト加工品であって、
    そのpHは、4.1以上4.6未満である。
  13. 請求項11又は12のトマト加工品であって、
    そのBrixは20%以上である。
  14. トマト含有飲食品であって、
    それが含有するのは、請求項11乃至13の何れかのトマト加工品である。
  15. 請求項14のトマト含有飲食品であって、
    前記トマト加工品を含有させる目的は、減塩である。
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