JP2021065884A - 基板処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板に対する液処理効果が高く、かつ、基板の裏面に傷を発生させ難い基板処理装置を提供する。【解決手段】基板100を搬送する搬送装置50Aは、基板100の下方において、軸方向に延びるとともに駆動装置により回転駆動される回転軸51と、回転軸51に軸支された複数の搬送ローラ53と、を備えており、複数の搬送ローラ53には、軸方向について一端側と他端側とに配される一対の第1ローラ61と、軸方向について第1ローラ61に対して中央側に配されていて且つ第1ローラ61よりも径大とされる第2ローラ62と、が少なくとも含まれており、第1ローラ61は、回転軸51の回転駆動とともに回転軸51と一体に回転するのに対し、第2ローラ62は、回転軸51とは別個に回転する。【選択図】図2
Description
本発明は、基板に対して処理液を供給して液処理する基板処理装置に関する。
従来、例えば液晶表示装置の主要構成部品である液晶パネルの製造においては、基板の表面に付着した異物を除去するべく、基板の表面を純水等の洗浄液により洗浄している。このように基板を洗浄する基板洗浄機は複数の処理槽を備えており、基板は、主洗浄面(上面)とは反対側の板面(下面)が搬送装置の搬送ローラによって断続的に支持されながら、洗浄機内を搬送方向に沿って搬送されつつ洗浄されるようになっている。このような搬送ローラは、基板の搬送方向と直交する方向に延びる回転軸に軸支されており、回転軸に連結された駆動モータの駆動により、回転軸の回転駆動と共に回転して基板を搬送方向に送り出すようになっている。
ところで最近では、基板のサイズの大型化、また、板厚の薄型化がますます進んでいる。そしてこれに伴い、基板のうち搬送ローラで支持されていない領域の撓みが大きくなり、撓んだ部分で洗浄液の液だまりが発生するという問題がある。このような液だまりは緩衝材のような役割を果たし、ノズル等から噴出される洗浄液の基板に対する打撃力の低下を引き起こすため、基板の洗浄処理が十分に行われなくなる虞がある。
そこで、基板の撓みによる洗浄液の液だまりを回避するべく、基板の中央側が比較的に高い位置となる弓形となるように反った状態で基板を搬送することが提案されている。具体的には、基板を支持する搬送ローラの径を、基板の搬送方向と直交する方向において中央側が大きく、端部側が小さい構成とされた洗浄機が提案されている。このような洗浄機では、基板上に噴出された洗浄液は高さが低い端部側に流れ落ちるため、基板に液だまりが発生することを回避することができる。すなわち、基板の洗浄処理を効果的に行うことができる。
しかし、上述したように、径が異なる複数の搬送ローラを基板の搬送方向と直交する方向において一括に回転駆動させる場合、搬送ローラの径によって、基板の送り出し速度に違いが生じる。このため、基板の搬送速度が安定し難い上、実際の基板の搬送速度と異なる送り出し速度で回転している搬送ローラが基板の裏面で滑り、その結果、基板の裏面に傷がついて液晶パネルの品質の低下を招くという問題があった。このような問題は、搬送速度が速くなるほど顕著である。これは、ローラの回転速度(単位:rpm)が速くなるほど、各ローラ間の周速度(単位:mm/sec)の差が大きくなるからである。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、基板に対する液処理効果が高く、かつ、基板の裏面に傷を発生させ難い基板処理装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の一実施形態は、基板に対して処理液を供給して液処理する基板処理装置であって、前記基板を搬送方向に搬送する搬送装置を備え、前記搬送装置は、前記基板の下方において、前記基板に沿いかつ前記搬送方向と直交する軸方向に延びるとともに駆動装置により回転駆動される回転軸と、前記回転軸に軸支された複数の搬送ローラと、を備えており、複数の前記搬送ローラには、前記軸方向について一端側と他端側とに配される一対の第1ローラと、前記軸方向について前記第1ローラに対して中央側に配されていて且つ前記第1ローラよりも径大とされる第2ローラと、が少なくとも含まれており、前記第1ローラは、前記回転軸の回転駆動とともに前記回転軸と一体に回転するのに対し、前記第2ローラは、前記回転軸とは別個に回転する基板処理装置である。
(2)また本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、前記第2ローラは、前記回転軸に軸支されるとともに前記基板を支持する基板支持ローラと、前記軸方向において前記基板支持ローラの両側において隙間を介して前記回転軸に固定されていて前記基板支持ローラよりも径小の一対の固定部材と、を含み、前記基板支持ローラが前記回転軸に対して回転自在に支持されている基板処理装置である。
(3)また本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、前記第2ローラは前記回転軸に対してベアリングを介して軸支されるとともに回転自在に支持されている基板処理装置である。
(4)また本発明のある実施形態は、上記(1)から(3)のいずれかひとつの構成に加え、前記第1ローラのうちの、前記軸方向における前記回転軸の端部側に、前記回転軸の径方向に突出して前記基板の前記軸方向のずれを規制する位置ずれ規制部を有する基板処理装置である。
(5)また本発明のある実施形態は、上記(1)から(4)のいずれかひとつの構成に加え、前記第1ローラに対して前記基板を介して上側に対向状に配されていて前記第1ローラとの間で前記基板を挟み込む押さえローラを備える基板処理装置である。
本発明によれば、基板に対する液処理効果が高く、かつ、基板の裏面に傷を発生させ難い基板処理装置が得られる。
実施形態1を、図1から図5によって説明する。基板処理装置1は、例えばポリイミド膜がラビング法により配向処理され、表面に微細な粉塵や削りカス等の異物が付着した状態の液晶パネル用基板100の異物を洗浄処理するために使用されるものである。本実施形態おいて液晶パネル用基板100は、まず前処理材が被膜され、その後前処理材を純水置換してから、純水洗浄を行うようになっている。基板処理装置1は、図1に示すように、複数の処理槽を備えている。
なお、以下の説明においては、図1のX軸方向を液晶パネル用基板100の搬送方向(前後方向)とし、紙面に直交するY軸方向を回転軸51の軸方向とし、Z軸方向を上下方向とする。また、図1の左側を搬送方向の上流側とし、図1の右側を搬送方向の下流側とする。この基板処理装置1において、液晶パネル用基板100は、主処理面が上側に向けられた略水平な状態で搬送方向の上流側に搬入され、その長辺方向がX軸方向に沿うとともにその短辺方向がY軸方向に沿った姿勢で、搬送装置50によって搬送方向の上流側から下流側へと搬送される。
基板処理装置1は、図1に示すように4つの処理槽を備えており、これらの槽は上流側(左側)から順に、被膜処理槽10、置換槽20、洗浄槽30、乾燥槽40とされている。基板処理装置1は搬送装置50を備えており、この搬送装置50には、液晶パネル用基板100を搬送方向(X軸方向)に沿って搬送する複数の搬送ローラ53が設けられている。液晶パネル用基板100は、前処理材の薄膜の形成予定面(上面)とは反対側の板面(下面)が搬送装置50の搬送ローラ53によって断続的に支持されながら、搬送装置50により各槽内を搬送方向に沿って順に搬送されるとともに、各槽内において処理される。
被膜処理槽10は、水洗前の乾いた状態の液晶パネル用基板100に、前処理材としてのイソプロピルアルコール(IPA)の薄膜を被膜させるための槽である。被膜処理槽10のうち、搬入された液晶パネル用基板100の上方には、搬送方向における上流側にカーテンシャワー11が設けられると共に、下流側にパイプシャワー12が設けられており、これらのカーテンシャワー11およびパイプシャワー12により、液晶パネル用基板100の表面にIPAを洗浄ムラがない均一な状態で供給するようになっている。また、被膜処理槽10の出口付近にはエアナイフ13が設けられており、このエアナイフ13により過剰なIPAが除去され、上面(配向処理面)全体がIPAの薄膜で被覆された状態の液晶パネル用基板100が、被膜処理槽10から置換槽20に搬送されるようになっている。
置換槽20のうち、搬送装置50によって搬入された液晶パネル用基板100の上方には、搬送方向における上流側に被膜処理槽10と同様にカーテンシャワー21が設けられるとともに、下流側には、複数のノズルからなるノズルシャワー22が設けられている。これらのカーテンシャワー21およびノズルシャワー22からは、液晶パネル用基板100上に、置換用の純水が吐出されるようになっている。液晶パネル用基板100の表面に供給された純水は、IPAと置き換わり、液晶パネル用基板100の表面は純水で隙間なく覆われた状態とされる。
置換槽20において表面が純水置換された液晶パネル用基板100は、搬送装置50により洗浄槽30内に搬送される。洗浄槽30のうち、搬入された液晶パネル用基板100の上方には、置換槽20と同様に、ノズルシャワー31が搬送方向(X軸方向)と直交するように複数列並んで設けられている(本実施形態においては3列)。これらのノズルシャワー31から噴出される純水により、液晶パネル用基板100は高圧洗浄され、表面の異物が除去される。
洗浄槽30の出口付近にはエアナイフ32が設けられている。エアナイフ32により液切りされた液晶パネル用基板100は、搬送装置50により乾燥槽40に搬送される。液晶パネル用基板100は、乾燥槽40内において、エアナイフ32の液切りのみでは除去しきれていない吸湿水分が高温乾燥により完全に除去される。そして、高温乾燥後、基板処理装置1から搬出される。
次に、搬送装置50について説明する。搬送装置50は、液晶パネル用基板100の下方において、液晶パネル用基板100に沿い(X−Y面)かつ液晶パネル用基板100の搬送方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に延びるとともに、駆動装置により回転駆動される回転軸51と、回転軸51に軸支された複数の搬送ローラ53とを備えている。以下、回転軸51の延び方向(Y軸方向)を、軸方向と称することとする。また、複数の同一部材については、一の部材に符号を付し、他の部材については符号を省略することがある。
図4を参照して説明すると、本実施形態おいて、複数の搬送ローラ53は、軸方向において5つ設けられている。以下、これらのうち回転軸51の両端に配された一対の搬送ローラ53を端部搬送ローラ53A、中央の搬送ローラ53を中央搬送ローラ53C、端部搬送ローラ53Aと中央搬送ローラ53Cとの間に位置する一対の搬送ローラ53を、中間搬送ローラ53Bと称する。液晶パネル用基板100は、その搬送方向(X軸方向)に延びる中心線が中央搬送ローラ53Cと略一致するように搬送装置50に支持された状態で、搬送方向に搬送される。
複数の搬送ローラ53のうち一対の端部搬送ローラ53Aは、円盤状の径小部54と、同じく円盤状で径小部54より径大とされた径大部56とが、連結部55を介して軸方向に重畳された略二段形態をなして一体に形成されている。詳細には、径小部54および径大部56の互いに対向する面の端縁部同士が、これらの板面の延在方向と交差する交差方向に延びる湾曲状あるいはテーパー付き連結部55を介して一体に連結された形態をなしている。
一対の端部搬送ローラ53Aは、径大部56が外側(回転軸51の端部側)となる向きで回転軸51に対して軸支され、当該径大部56が回転軸51に対してねじ止めされることによって固定されている。すなわち、一対の端部搬送ローラ53Aは、回転軸51と一体に回転するようになっている。また、液晶パネル用基板100は、端部搬送ローラ53Aのうち径小部54の外周面に支持されるようになっている。これにより、搬送装置50に支持された液晶パネル用基板100が軸方向(Y軸方向)においてにずれそうになった場合でも、液晶パネル用基板100の端縁部は、軸方向の外側に突出した連結部55または径大部56に突き当たり、軸方向のずれが抑制されるようになっている。つまり径大部56は、液晶パネル用基板100の軸方向のずれを規制する位置ずれ規制部としての機能を有している。なお、この端部搬送ローラ53Aの搬送ローラ53としての径は、液晶パネル用基板100が径小部54の外周に支持されることから、径小部54の径を指すものとする。
一方、中央搬送ローラ53Cおよび一対の中間搬送ローラ53Bは、図4および図5に示すように、回転軸51に軸支されるとともに液晶パネル用基板100を下方側から支持する円盤状の基板支持ローラ57と、同じく回転軸51に軸支されるとともに基板支持ローラ57を軸方向における両側から挟持する固定部材58とから構成されている。基板支持ローラ57は、回転軸51に対して回転自在(フリーな状態)に軸支されている。固定部材58は基板支持ローラ57よりも径小とされており、回転軸51に軸支されるとともに、回転軸51に対してねじ止めによって固定されている。つまり、固定部材58は、回転軸51の回転駆動とともに回転するようになっている。基板支持ローラ57は、これら一対の固定部材58の間に強固に挟持されて固定部材58と一体とされており、これにより、基板支持ローラ57は固定部材58を介して回転軸51と一体に回転するようになっている。なお、基板支持ローラ57は、例えば、フッ素樹脂であるPTFE製である。また、液晶パネル用基板100は、基板支持ローラ57の外周面に支持される。
さて、本実施形態において、搬送装置50のうち洗浄槽30の内部に配された部分50Aは、他の領域に配された搬送装置50とは異なった特有の構成を備えている。以下、洗浄槽30の内部に配された本実施形態の搬送装置50Aについて、図2および図3を参照して詳細に説明する。
洗浄槽30において、搬送方向と直交する軸方向(Y軸方向)に並んだ複数(本実施形態では5つ)の搬送ローラ53は、それぞれ異なる径を有して回転軸51に軸支されている。具体的には、中央搬送ローラ53C(の液晶パネル用基板100が支持される支持ローラ57)が最も径大とされ、端部搬送ローラ53A(の液晶パネル用基板100が支持される径小部54)が最も径小とされ、中間搬送ローラ53B(の液晶パネル用基板100が支持される支持ローラ57)がその間の径を有するように設定されている。つまり、搬送装置50Aによって搬送される液晶パネル用基板100は、洗浄槽30内においては、軸方向(Y軸方向)において中央部が上方に膨出する弓形とされた状態で搬送されるようになっている(図2参照)。
これは、液晶パネル用基板100のサイズの大型化、および、板厚の薄型化に伴い、液晶パネル用基板100のうち搬送ローラ53で支持されていない部分の撓みが大きくなり、撓んだ部分で純水の液だまりが発生して液晶パネル用基板100の洗浄が不充分になる事を防ぐためである。このように、液晶パネル用基板100を弓形に反らせた状態で洗浄を行うことにより、液晶パネル用基板100上に噴出された純水(洗浄液の一例)を端部側に流し、液晶パネル用基板100に液だまりが発生することを回避することができる。すなわち、液晶パネル用基板100の洗浄効果を高めることができる。
ところで、上述したように、径が異なる複数の搬送ローラ53を液晶パネル用基板100の搬送方向(X軸方向)において一括に回転駆動させる場合、各搬送ローラ53の径によって、液晶パネル用基板100の送り出し速度に違いが生じる。このため、実際の液晶パネル用基板100の搬送速度と異なる送り出し速度で回転している搬送ローラ53が液晶パネル用基板100の裏面で滑り、その結果、液晶パネル用基板100の裏面に傷がついて液晶パネルの品質の低下を招くという問題があった。
そこで本実施形態においては、複数の搬送ローラ53を、回転軸51の回転駆動と共に回転軸51と一体に回転する駆動ローラ61(第1ローラの一例)と、回転軸51に対して回転自在な、すなわち、回転軸51とは別個に回転する非駆動ローラ62(第2ローラの一例)の2種類に分ける構成とした。
具体的には、本実施形態において駆動ローラ61は、上述した一対の端部搬送ローラ53Aであって、この一対の端部搬送ローラ53Aの送り出し速度が液晶パネル用基板100の搬送速度とされる。
これに対し非駆動ローラ62は、中央搬送ローラ53Cおよび一対の中間搬送ローラ53Bであって、これらは、回転軸51に対して回転自在とされており、回転軸51とは別個に回転するようになっている。具体的には、中央搬送ローラ53Cおよび一対の中間搬送ローラ53Bは、図3に示すように、回転軸51に対して回転自在に軸支されるとともに液晶パネル用基板100を下方から支持する円盤状の基板支持ローラ57と、同じく回転軸51に軸支されるとともに基板支持ローラ57の軸方向における両側において基板支持ローラ57と隙間を介して配される固定部材58とから構成されている。固定部材58は、基板支持ローラ57よりも径小とされており、回転軸51に軸支されるとともに回転軸51に対してねじ止めによって固定されている。つまり固定部材58は、基板支持ローラ57を回転軸51に対して回転自在に支持している。このような構成により、中央搬送ローラ53Cおよび一対の中間搬送ローラ53Bは、回転軸51に対して回転自在な非駆動ローラ62とされ、回転軸51とは別個に回転するようになっている。
このような構成により、洗浄槽30内において液晶パネル用基板100は、搬送装置50Aの駆動ローラ61(一対の端部搬送ローラ53A)によって、回転軸51の回転速度に基づく所定の速度で搬送方向に搬送される。一方、非駆動ローラ62(中央搬送ローラ53Cおよび一対の中間搬送ローラ53B)は、液晶パネル用基板100を下方から支持しつつ、液晶パネル用基板100の搬送速度に応じて液晶パネル用基板100との摩擦により回転するようになっている。つまり、径が異なる個々の搬送ローラ53は従動回転するようになっており、それぞれが回転軸51の回転速度に応じた個別の送り出し速度で回転することがないから、搬送された液晶パネル用基板100の裏面に搬送ローラ53の送り出し速度が異なることによる滑りが発生することが回避され、傷が付くことが抑制されるという作用効果が得られる。
またこの時、各搬送ローラ53の基板支持ローラ57は、一対の固定部材58によって支持されて軸方向(Y軸方向)のずれが抑制されるようになっているから、液晶パネル用基板100を安定した状態で搬送することが可能である。
次に、本実施形態の基板処理装置1を用いて液晶パネル用基板100の洗浄を行った実施例と、従来の基板処理装置により液晶パネル用基板100の洗浄を行った比較例とを検証する。
<実験例1>
洗浄槽30の搬送装置として、上述した搬送装置50Aを使用した基板処理装置1によって液晶パネル用基板100の洗浄を行った。洗浄後の液晶パネル用基板100において、表面(主洗浄面)の洗浄性、すなわち、異物除去性と、裏面(搬送装置50Aの支持面)の傷を観察した。
洗浄槽30の搬送装置として、上述した搬送装置50Aを使用した基板処理装置1によって液晶パネル用基板100の洗浄を行った。洗浄後の液晶パネル用基板100において、表面(主洗浄面)の洗浄性、すなわち、異物除去性と、裏面(搬送装置50Aの支持面)の傷を観察した。
<比較例1>
図6に示す従来の搬送装置150を用いた基板処理装置によって液晶パネル用基板100の洗浄を行った。この搬送装置150の複数の搬送ローラ53は、全て、回転軸51の回転駆動とともに回転する同径の駆動ローラ61とされている。これにより、液晶パネル用基板100は搬送ローラ53の支持面以外の領域で下方に向けて撓みが生じ、洗浄槽30において純水をノズルシャワー31から噴出した際には、撓み部分に液だまりが発生するようになっている。 洗浄後の液晶パネル用基板100において、上記実施例1と同様に、表面の洗浄性と、裏面の傷を観察した。
図6に示す従来の搬送装置150を用いた基板処理装置によって液晶パネル用基板100の洗浄を行った。この搬送装置150の複数の搬送ローラ53は、全て、回転軸51の回転駆動とともに回転する同径の駆動ローラ61とされている。これにより、液晶パネル用基板100は搬送ローラ53の支持面以外の領域で下方に向けて撓みが生じ、洗浄槽30において純水をノズルシャワー31から噴出した際には、撓み部分に液だまりが発生するようになっている。 洗浄後の液晶パネル用基板100において、上記実施例1と同様に、表面の洗浄性と、裏面の傷を観察した。
<比較例2>
図7に示す従来の搬送装置250を用いた基板処理装置によって液晶パネル用基板100の洗浄を行った。この搬送装置250の複数の搬送ローラ53は、比較例1の搬送ローラ53のうち中央に配された中央搬送ローラ53C(基板支持ローラ57)及び一対の中間搬送ローラ53B(基板支持ローラ57)が摩耗して径小となった例を示すものである。この例では、搬送される液晶パネル用基板100の中央部分が下方に凹状に撓む。また、複数の搬送ローラ53の径に差が生じたことにより、液晶パネル用基板100の送り出し速度にも差が生じている。洗浄後の液晶パネル用基板100において、上記実施例1と同様に、表面の洗浄性と、裏面の傷を観察した。
図7に示す従来の搬送装置250を用いた基板処理装置によって液晶パネル用基板100の洗浄を行った。この搬送装置250の複数の搬送ローラ53は、比較例1の搬送ローラ53のうち中央に配された中央搬送ローラ53C(基板支持ローラ57)及び一対の中間搬送ローラ53B(基板支持ローラ57)が摩耗して径小となった例を示すものである。この例では、搬送される液晶パネル用基板100の中央部分が下方に凹状に撓む。また、複数の搬送ローラ53の径に差が生じたことにより、液晶パネル用基板100の送り出し速度にも差が生じている。洗浄後の液晶パネル用基板100において、上記実施例1と同様に、表面の洗浄性と、裏面の傷を観察した。
<比較例3>
図8に示す従来の搬送装置350を用いた基板処理装置によって液晶パネル用基板100の洗浄を行った。この搬送装置350の複数の搬送ローラ53は、回転軸51の軸方向(Y軸方向)における中央側ほど径大となるように設定されており、これにより液晶パネル用基板100は、実施例1と同様に、洗浄槽30内において中央部が上方に膨出した弓形の状態で搬送される。つまり、洗浄槽30においてノズルシャワー31から噴出された純水は、液晶パネル用基板100の端部側へ流れ落ちるようになっている。
図8に示す従来の搬送装置350を用いた基板処理装置によって液晶パネル用基板100の洗浄を行った。この搬送装置350の複数の搬送ローラ53は、回転軸51の軸方向(Y軸方向)における中央側ほど径大となるように設定されており、これにより液晶パネル用基板100は、実施例1と同様に、洗浄槽30内において中央部が上方に膨出した弓形の状態で搬送される。つまり、洗浄槽30においてノズルシャワー31から噴出された純水は、液晶パネル用基板100の端部側へ流れ落ちるようになっている。
一方、複数の搬送ローラ53は実施例1とは異なり、全て回転軸51の回転駆動とともに回転する駆動ローラ61とされている。つまり、個々の搬送ローラ53の送り出し速度が異なっており、液晶パネル用基板100の搬送時には、少なくとも一部の搬送ローラ53で液晶パネル用基板100との間に滑りが生じるようになっている。洗浄後の液晶パネル用基板100において、上記実施例1と同様に、表面の洗浄性と、裏面の傷を観察した。
上記実験例1および比較例1から3の検証結果を図9に示す。図9の表に示すように、複数の搬送ローラ53を全て同径の駆動ローラ61とした比較例1では、液晶パネル用基板100が搬送ローラ53の支持面以外の領域で下方に向けて撓むことにより部分的に洗浄効果が損なわれ、洗浄性が良くなかった。また、中央搬送ローラ53C(基板支持ローラ57)及び一対の中間搬送ローラ53B(基板支持ローラ57)が摩耗して径小とされた比較例2では、液晶パネル用基板100の中央が撓むことにより全体の洗浄性が損なわれた上に、複数の搬送ローラ53の径に差が生じたために液晶パネル用基板100の送り出し速度にも差が生じ、液晶パネル用基板100の裏面において搬送ローラ53が滑って傷が発生した。
さらに、回転軸51の軸方向における中央側が径大とされた比較例3においては、液晶パネル用基板100は中央部が上方に膨出した弓形の状態で搬送されるため、純水が液晶パネル用基板100の端部側へ流れ落ち、洗浄性に優れていた。その一方、個々の搬送ローラ53の径が異なることにより各搬送ローラ53における液晶パネル用基板100の送り出し速度が異なり、液晶パネル用基板100の実際の搬送速度と異なる送り出し速度で回転している搬送ローラ53と液晶パネル用基板100との間に滑りが生じて、裏面傷の発生につながった。
これに対し、洗浄槽30において本実施形態の搬送装置50Aを使用した実施例1では、液晶パネル用基板100は中央部が上方に膨出した弓形の状態で搬送されるため、洗浄性に優れる上、搬送ローラ53は、回転軸51による回転駆動により液晶パネル用基板100を搬送方向に送り出す駆動ローラ61と、液晶パネル用基板100の搬送速度に合わせて液晶パネル用基板100との摩擦によって従動回転しつつ、液晶パネル用基板100を下方から支持する非駆動ローラ62とに分かれているから、液晶パネル用基板100の裏面と搬送ローラ53との間の滑りが抑制され、液晶パネル用基板100の裏面に傷が発生することを回避できた。
本実施形態の基板処理装置1は、液晶パネル用基板100に対して純水(処理液)を供給して洗浄(液処理)する基板処理装置1であって、液晶パネル用基板100を搬送方向に搬送する搬送装置50Aを備え、搬送装置50Aは、液晶パネル用基板100の下方において、液晶パネル用基板100に沿いかつ搬送方向(X軸方向)と直交(交差)する軸方向(Y軸方向)に延びるとともに駆動装置により回転駆動される回転軸51と、回転軸51に軸支された複数の搬送ローラ53と、を備えており、複数の搬送ローラ53には、軸方向について一端側と他端側とに配される一対の駆動ローラ(第1ローラ)61と、軸方向について駆動ローラ61に対して中央側に配されていて且つ駆動ローラ61よりも径大とされる非駆動ローラ(第2ローラ)62と、が少なくとも含まれており、駆動ローラ61は、回転軸51の回転駆動とともに回転軸と一体に回転するのに対し、非駆動ローラ62は、回転軸51とは別個に回転する。
このような構成によれば、複数の搬送ローラ53に含まれて回転軸51の軸方向について一端側と他端側とに配される一対の駆動ローラ61が回転軸51と一体に回転することで、液晶パネル用基板100の搬送が図られる。これに対し、回転軸51の軸方向について中央側に配される非駆動ローラ62は、駆動ローラ61よりも径大とされるものの、回転軸51とは別個に回転するようになっているので、液晶パネル用基板100の裏面で滑ることがなく、液晶パネル用基板100の裏面に傷がつくことが回避される。
また、非駆動ローラ62は、回転軸51に軸支され液晶パネル用基板100を支持する基板支持ローラ57と、軸方向において基板支持ローラ57の両側において隙間を介して回転軸51に固定されていて基板支持ローラ57よりも径小の一対の固定部材58と、を含む。このような構成によれば、基板支持ローラ57を回転軸51に対して回転自在に支持することができる。
また、回転軸51の軸方向における両端に配された一対の端部搬送ローラ53Aは、回転軸51の軸方向における端部側に、回転軸51の径方向に突出して液晶パネル用基板100の軸方向のずれを規制する径大部56を有している。このような構成によれば、搬送時に液晶パネル用基板100がずれ難い。
このように、本実施形態によれば、液晶パネル用基板100に対する液処理効果が高く、かつ、液晶パネル用基板100の裏面に傷を発生させない基板処理装置1を提供することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、本発明の基板処理装置を液晶パネル用基板100を洗浄処理する基板処理装置1に適用した例を示したが、基板処理装置は、他の基板処理を行う基板処理装置に適用することもできる。
(2)上記実施形態では、搬送ローラ53を回転軸51の軸方向において奇数設ける例を示したが、搬送ローラは偶数設ける構成としてもよい。この場合、中央搬送ローラが一対設けられることになる。加えて、液晶パネル用基板100は、その搬送方向(X軸方向)に延びる中心線が、一対の中央搬送ローラ53C間の中心に略一致するように搬送装置50に支持された状態で、搬送方向に搬送されることになる。
(3)また、搬送ローラは基板の大きさに応じていくつ設けてもよい。
(4)搬送装置50Aは、図10に示すように、押さえローラ81を備えていてもよい。押さえローラ81は、駆動ローラ61に対して液晶パネル用基板100の端部を介して上側に対向状に配されており、駆動ローラ61の径小部54との間で液晶パネル用基板100の端部を挟み込んでいる。この押さえローラ81によれば、上反り状態で搬送される液晶パネル用基板100の端部が浮き上がって搬送エラーが生じる事態を生じ難くすることができる。この押さえローラ81は、搬送ローラ53の回転軸51とほぼ平行な回転軸82に対して回転自在に軸支されている。また、押さえローラ81の上側には、押さえローラ81を弾性的に支持する弾性部材83が備えられている。弾性部材83によれば、液晶パネル用基板100の端部が駆動ローラ61と押さえローラ81との間でリジッドに固定されることが避けられるから、搬送時の振動に起因して液晶パネル用基板100の端部に割れなどが生じ難くなる。なお、駆動ローラ61と押さえローラ81との間に挟み込まれる液晶パネル用基板100の端部は、実際には液晶パネルとしては利用されない端材部分(非有効エリア)であるから、押さえローラ81が干渉することで傷付いたとしても、製造される液晶パネルの品位に悪影響が及ぶのを避けることができる。
(5)上記実施形態では、回転軸と別個に回転する第2ローラは、回転軸51に対して回転自在(フリーな状態)とされた非駆動ローラ62である例を示したが、第2ローラは、回転軸とは異なる駆動源により回転が制御された搬送ローラであってもよい。
(6)上記実施形態では、基板処理装置1が1つの洗浄槽30を有する構成を示したが、洗浄槽の数については限定されない。
(7)洗浄槽は、ノズルシャワーに限らず、超音波シャワーやバブルジェット(登録商標)、キャビテーションジェット、高圧スプレーシャワー、二流体等、異物除去効果に応じて洗浄ツールを自由に選択することができる。
(8)洗浄槽を例えば二流体洗浄槽とする場合、エア比率が高いとTFT基板(液晶パネル用基板の一例)の静電破壊の発生が懸念される。この場合、回転軸と基板を支持する第2ローラとの摩擦を極力抑えることが好適であり、例えば、回転軸71にベアリング72を採用してもよい(図11参照)。この場合、例えば、中心部を金属製として、外周を樹脂製のOリング73としてもよい。このような構成の第2ローラであれば、回転軸との間にベアリング72が介在することで、回転軸に対してローラを回転自在に支持することができる。
(9)また、第2ローラの基板接触部分を、テフロン(登録商標)コーティングすることにより、摩擦力を抑制することができる。
(10)上記実施形態では、基板支持ローラ57をフッ素樹脂であるPTFE製としたが、基板支持ローラはこれに限定されるものでなく、PET、PEEK等、用途に応じて適宜変更可能である。本実施形態では、洗浄液を純水としたが、薬剤洗浄槽に使用する場合は、その該当薬液に耐性のある材料を適宜使用すればよい。
1:基板処理装置、30:洗浄槽(基板処理装置)、50,50A:搬送装置、51:回転軸、53:搬送ローラ、53A:端部搬送ローラ、53B:中間搬送ローラ、53C:中央搬送ローラ、54:径小部、56:径大部(位置ずれ規制部)、57:基板支持ローラ、58:固定部材、61:駆動ローラ(第1ローラ)、62:非駆動ローラ(第2ローラ)、81:押さえローラ、100:液晶パネル用基板(基板)
Claims (5)
- 基板に対して処理液を供給して液処理する基板処理装置であって、
前記基板を搬送方向に搬送する搬送装置を備え、
前記搬送装置は、前記基板の下方において、前記基板に沿いかつ前記搬送方向と直交する軸方向に延びるとともに駆動装置により回転駆動される回転軸と、前記回転軸に軸支された複数の搬送ローラと、を備えており、
複数の前記搬送ローラには、前記軸方向について一端側と他端側とに配される一対の第1ローラと、前記軸方向について前記第1ローラに対して中央側に配されていて且つ前記第1ローラよりも径大とされる第2ローラと、が少なくとも含まれており、
前記第1ローラは、前記回転軸の回転駆動とともに前記回転軸と一体に回転するのに対し、前記第2ローラは、前記回転軸とは別個に回転する基板処理装置。 - 前記第2ローラは、前記回転軸に軸支されるとともに前記基板を支持する基板支持ローラと、前記軸方向において前記基板支持ローラの両側において隙間を介して前記回転軸に固定されていて前記基板支持ローラよりも径小の一対の固定部材と、を含み、前記基板支持ローラが前記回転軸に対して回転自在に支持されている、請求項1に記載の基板処理装置。
- 前記第2ローラは、前記回転軸に対してベアリングを介して軸支されるとともに回転自在に支持されている請求項1に記載の基板処理装置。
- 前記第1ローラのうちの、前記軸方向における前記回転軸の端部側に、前記回転軸の径方向に突出して前記基板の前記軸方向のずれを規制する位置ずれ規制部を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
- 前記第1ローラに対して前記基板を介して上側に対向状に配されていて前記第1ローラとの間で前記基板を挟み込む押さえローラを備える請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US201962924374P | 2019-10-22 | 2019-10-22 | |
US62/924,374 | 2019-10-22 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021065884A true JP2021065884A (ja) | 2021-04-30 |
Family
ID=75638005
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020152600A Pending JP2021065884A (ja) | 2019-10-22 | 2020-09-11 | 基板処理装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021065884A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115535519A (zh) * | 2022-09-21 | 2022-12-30 | 漳州市百事得家具有限公司 | 一种应用于定制家具生产的智能柔性封边生产线 |
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2020
- 2020-09-11 JP JP2020152600A patent/JP2021065884A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN115535519A (zh) * | 2022-09-21 | 2022-12-30 | 漳州市百事得家具有限公司 | 一种应用于定制家具生产的智能柔性封边生产线 |
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