JP2021063277A - 蒸着用マスク、および、有機el表示パネルの製造方法 - Google Patents

蒸着用マスク、および、有機el表示パネルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】開口を追加できる表示パネルの表示領域外に対応する蒸着用マスク、特に、評価用の試験片を形成するための蒸着用マスクにおいて、引張応力を加えても開口の変形や位置の移動が発生しづらいマスクを提供する。【解決手段】表示パネルの製造時における気相成長工程で用いられ、前記表示パネルの表示領域外方のパネル表面に品質管理用のパターンを形成するため第1方向に張力が加わった状態で使用される、前記第1方向に長尺な形状の蒸着用マスクであって、第1開口が形成される1以上の第1領域と、前記パターン領域に対して前記第1方向に隣接し、前記第1方向に直交する第2方向の幅が前記第1開口より小さく、前記第2方向に長尺の第2開口が1以上形成される1以上の第2領域とを備えることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本開示は、真空蒸着、スパッタリング、CVD等の気相成長法で用いる蒸着用マスクに関し、特に、表示パネルの製造に用いるマスクに関する。
表示装置の表示素子として有機EL素子などの能動素子を利用したものが普及しつつある。
表示素子は、2つの電極の間、すなわち陽極と陰極との間に、機能層が挟まれた構造を有している。機能層や電極を形成する方法として、真空蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法(CVD; Chemical Vapor Deposition)、原子層堆積法(ALD;Atomic Layer Deposition)などの気相成長法で形成することが行われている。気相成長法では、シャドウマスク(以下、「蒸着用マスク」または単に「マスク」とも表記する)を使用し、必要な個所にのみ成膜を行うことにより成膜とパターニングを同時に行う方法が用いられる。
マスクは基板の一部を物理的に遮蔽するものであるため、マスク開口と形成されるパターンは同じ寸法であり、基板サイズとマスクサイズも同一の寸法である。したがって、パネルの大型化に伴い、マスクの大型化が必要となる。そこで、基板サイズの1枚のマスクに替えて、短冊状のマスクを複数組み合わせて1枚の基板に対応するマスクとして使用する手法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特開2015−28214号公報 特開2014−133934号公報 特開2009−41061号公報
マスクには一般的に金属が用いられるため、熱膨張や重力負荷等による皺や撓みによるパターンの変形を防ぐため、マスクは引張応力(張力)が加えられた状態で保持される。しかしながら、短冊状のマスクを複数組み合わせる場合、短軸方向には引張応力を加えることができないため、長軸方向にのみ張力を加えることになる。したがって、マスクの開口部周辺に応力集中が起きると開口部周辺が不均質に伸張又は圧縮し、開口の変形や位置移動が生じてパターニング精度が低下する場合がある。
本開示は、開口を追加できる表示パネルの表示領域外に対応する蒸着用マスク、特に、評価用の試験片を形成するための蒸着用マスクにおいて、引張応力を加えても開口の変形や位置の移動が発生しづらいマスク、および、そのマスクを用いた気相成長工程を含む表示パネルの製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る蒸着用マスクは、表示パネルの製造時における気相成長工程で用いられ、前記表示パネルの表示領域外方のパネル表面に品質管理用のパターンを形成するため第1方向に張力が加わった状態で使用される、前記第1方向に長尺な形状の蒸着用マスクであって、第1開口が形成される1以上の第1領域と、前記パターン領域に対して前記第1方向に隣接し、前記第1方向に直交する第2方向の幅が前記第1開口より小さく、前記第2方向に長尺の第2開口が1以上形成される1以上の第2領域とを備えることを特徴とする。
上記態様の蒸着用マスクによれば、引張応力を加えた場合における、第1領域における最大応力と第2領域における最大応力をともに制限することができ、開口の変形や位置の移動を容易に抑制することができる。したがって、発光パネルにおける気相成長膜のパターニングの精度を向上させることができる。
実施の態様の一形態に係る蒸着用マスク100の平面概略図および使用の状態を示す平面概略図である。 実施の態様の一形態に係る蒸着用マスク100の平面概略図および使用の状態を示す平面概略図である。 実施の態様の一形態に係る蒸着用マスク100におけるパターン領域とダミー領域それぞれの設定例を示す平面概略図である。 比較例に係る蒸着用マスクにおけるパターン領域とダミー領域それぞれの設定例を示す平面概略図である。 実施の態様の一形態および比較例に係る蒸着用マスク100における長軸方向の公称ひずみと、短軸方向の公称ひずみ又は主面と直交する向きの変位との関係を示す模式図である。 実施の態様の一形態に係る蒸着用マスクにおける引張応力を付加したときの応力分布を示すコンター図である。 実施の形態の他の一形態に係る蒸着用マスク100におけるパターン領域とダミー領域それぞれの設定例を示す平面概略図である。 実施の形態の他の一形態に係る蒸着用マスク及び比較例に係る蒸着用マスクにおける引張応力を付加したときの応力分布を示すコンター図である。 実施の形態に係る有機EL表示パネルの製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、基板上にTFT層が形成された状態、(b)は、基板上に層間絶縁層が形成された状態、(c)は、層間絶縁層上に画素電極材料が形成された状態、(d)は、画素電極層が形成された状態、(e)は、層間絶縁層および画素電極上に隔壁材料層が形成された状態を示す。 実施の形態に係る有機EL表示パネルの製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、隔壁層が形成された状態、(b)は、画素電極上に正孔注入層が形成された状態、(c)は、正孔注入層上に正孔輸送層が形成された状態、(d)は、正孔注入層上に発光層が形成された状態を示す。 実施の形態に係る有機EL表示パネルの製造過程の一部を模式的に示す部分断面図であって、(a)は、発光層および隔壁層上に電子輸送層が形成された状態、(b)は電子輸送層上に電子注入層が形成された状態、(c)は、電子注入層上に対向電極が形成された状態、(d)は、対向電極上に封止層が形成された状態を示す。 実施の形態に係る有機EL表示パネルの製造過程を示すフローチャートである。 実施の形態に係る有機EL表示装置の概略ブロック図である。
≪本開示の一態様に至った経緯≫
表示パネルにおける電極や機能層、封止層の製造工程において、物理気相成長法である蒸着法やスパッタリングは金属や金属酸化物を用いる電極や正孔注入層、有機低分子材料を用いる電子注入層や電子輸送層の製造において、化学気相成長法(CVD)や原子層堆積法(ALD)は酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコンを用いる封止層の製造において、それぞれ好適な手法である。一方で、気相成長法では所望の位置にのみ成膜することが困難であるため、(a)一様に成膜した後で不要な部分をエッチング等により除去する、(b)蒸着用マスクを用いてマスクの開口部に対応する部分にのみ成膜する、のいずれかが行われる。蒸着用マスクを用いる方法は、事後にエッチング等のパターン工程を必要としないため、工程数を削減でき、エッチング等による機能層やその下部層へのダメージを考慮する必要がない、という点で好適な手法である。
一方で、蒸着用マスクは基板等の一部を直接的に被覆するため、基板と同じサイズの蒸着用マスクを準備し、パターンと同じサイズの開口を開設する必要がある。したがって、基板が大型化すると蒸着用マスクもそれに伴って大型化し、ハンドリング等が困難となる課題がある。そこで、例えば、特許文献1、特許文献2等に開示されているように、1枚の蒸着用マスクを複数枚の短冊状の部分マスクとして作成し、これら部分マスクを隙間なく並べて固定することで1枚の基板に対応するマスクとして用いる技術が使用されている。
また、蒸着用マスクは、成膜環境に対する耐候性に優れ、高精度な加工が可能な金属材料が用いられる。しかしながら、蒸着用マスクは温度ムラによる不均質な熱膨張、マスクへの材料付着による不均質な重力負荷等により、皺や撓みが発生することがあり、この現象によってパターンの変形や位置ずれが発生する。この課題を解決するため、蒸着用マスクは引張応力を付加された状態で使用され、皺や撓みの発生を抑止している。しかしながら、マスクにはパターンに対応する開口が設けられているため、マスクへの応力は一様ではなく、応力集中によって開口付近の応力が高くなり、マスクのゆがみの原因となる課題が存在する(例えば、特許文献1、特許文献3参照)。特に、短冊状のマスクを使用する場合には、マスクの短軸方向への張力が付与できないため、長軸方向への引張応力が短軸方向への圧縮応力として作用し、マスクのゆがみの原因となる。特許文献1、特許文献2では、開口を設けないダミー領域のマスク肉厚を意図的に薄くするなどの方法で意図的にダミー領域に応力集中を発生させてパターン開口付近の応力集中を抑止し、これによって開口の変形を抑止している。しかしながら、この方法ではダミー領域の伸びによってパターン開口の位置ずれが起きる、パターン開口付近とダミー領域との間でマスクの構造が異なるため設計が複雑となる課題がある。
発明者は、上記課題に鑑み、特に、ダミー開口を設けることのできる評価用領域に用いる蒸着用マスクにおいて、簡易な設計により短冊状のマスクにおける応力集中による変形を抑止する蒸着用マスクについて検討し、本開示に至ったものである。
≪開示の態様≫
実施の形態の一態様に係る蒸着用マスクは、表示パネルの製造時における気相成長工程で用いられ、前記表示パネルの表示領域外方のパネル表面に品質管理用のパターンを形成するため第1方向に張力が加わった状態で使用される、前記第1方向に長尺な形状の蒸着用マスクであって、第1開口が形成される1以上の第1領域と、前記パターン領域に対して前記第1方向に隣接し、前記第1方向に直交する第2方向の幅が前記第1開口より小さく、前記第2方向に長尺の第2開口が1以上形成される1以上の第2領域とを備えることを特徴とする。
上記態様の蒸着用マスクによれば、引張応力を加えた場合における、第1領域における最大応力と第2領域における最大応力をともに制限することができ、開口の変形や位置の移動を容易に抑制することができる。したがって、発光パネルにおける気相成長膜のパターニングの精度を向上させることができる。
実施の形態の一態様に係る蒸着用マスクにおいて、前記第2方向における前記第2開口の幅は、前記第2方向における前記第1開口の幅の70%以上95%以下である、としてもよい。
上記態様の蒸着用マスクによれば、引張応力を加えた場合における、第1領域における最大応力と第2領域における最大応力をより小さく制限することができる。
実施の形態の一態様に係る蒸着用マスクにおいて、前記第1方向における前記第2開口の幅は、前記第2方向における前記第2開口の幅の50%以下である、としてもよい。
上記態様の蒸着用マスクによれば、引張応力を加えた場合における、第1領域における最大応力と第2領域における最大応力をより小さく制限することができる。
実施の形態の一態様に係る蒸着用マスクにおいて、前記第2開口は前記第2方向に沿って延伸する略矩形状であり、前記第1領域からの距離が大きい2つの角を丸くした形状である、としてもよい。
上記態様の蒸着用マスクによれば、引張応力を加えた場合における、第1領域における最大応力と第2領域における最大応力をより小さく制限することができる。
実施の形態の一態様に係る蒸着用マスクにおいて、前記第2領域に、前記第2方向の幅が前記第2開口より小さい第3開口がさらに形成されており、前記第2開口と前記第3開口とは前記第1方向に並び、かつ、前記第3開口は前記第2開口よりも前記第1領域から離間している、としてもよい。
上記態様の蒸着用マスクによれば、引張応力を加えた場合における、第1領域における最大応力と第2領域における最大応力をより小さく制限することができる。
実施の形態の一態様に係る蒸着用マスクにおいて、前記第1方向における前記第3開口の幅は、前記第1方向における前記第2開口の幅と略等しく、前記第2方向における前記第3開口の長さは、前記第2方向における前記第2開口の長さの70%以上95%以下である、としてもよい。
上記態様の蒸着用マスクによれば、引張応力を加えた場合における、第1領域における最大応力と第2領域における最大応力をより小さく制限することができる。
実施の形態の一態様に係る蒸着用マスクにおいて、前記第3開口は前記第2方向に沿って延伸する略矩形状であり、前記第1領域からの距離が大きい2つの角を丸くした形状である、としてもよい。
上記態様の蒸着用マスクによれば、引張応力を加えた場合における、第1領域における最大応力と第2領域における最大応力をより小さく制限することができる。
実施の形態の一態様に係る蒸着用マスクにおいて、前記第2領域に、前記第2方向の幅が前記第1開口と同一の第4開口がさらに形成されており、前記第2開口と前記第4開口とは前記第1方向に並び、かつ、前記第2開口は前記第4開口よりも前記第1領域から離間している、としてもよい。
上記態様の蒸着用マスクによれば、引張応力を加えた場合における、第1領域における最大応力と第2領域における最大応力をより小さく制限することができる。
実施の形態の一態様に係る蒸着用マスクにおいて、前記第4開口は前記第2方向に沿って延伸する略矩形状であり、前記第1領域からの距離が大きい2つの角を丸くした形状である、としてもよい。
上記態様の蒸着用マスクによれば、引張応力を加えた場合における、第1領域における最大応力と第2領域における最大応力をより小さく制限することができる。
実施の形態の一態様に係る蒸着用マスクにおいて、前記第1領域に形成される前記第1開口は品質管理用のパターンを形成するための開口であり、前記第2領域に形成される前記第2開口は前記第1開口の周辺の応力を緩和するための開口であるとしてもよい。
上記態様の蒸着用マスクによれば、品質管理用のパターニングを高精度に行うことができる。
実施の形態の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法は、上部電極と機能層とのうち1以上を気相成長法により成膜する有機EL表示パネルの製造方法であって、基板上に画素電極を形成する工程と、前記画素電極上方に気相成長法により気相成膜層を形成する工程を含む工程とを含み、前記気相成膜層を形成する工程において、第1方向に長尺な形状で、第1開口と、前記開口に対して前記第1方向に隣接し、前記第1方向に直交する第2方向の幅が前記第1開口より小さく、前記第2方向に長尺の第2開口とが開設された蒸着用マスクを前記第1方向に張力が加わった状態で使用し、前記気相成膜層を形成する工程により、前記第1開口を用いて、前記基板上において前記有機EL表示パネルの表示領域外方表面に気相成膜層の品質管理用パターンを形成することを特徴とする。
上記態様の有機EL表示パネルの製造方法によれば、蒸着マスクに引張応力を加えた場合における、第1領域における最大応力と第2領域における最大応力をともに制限することができ、開口の変形や位置の移動を容易に抑制することができる。したがって、気相成膜層の品質管理用パターンのパターニング精度を向上させることができ、品質管理が容易となる。
実施の形態の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法において、前記気相成長法は、真空蒸着法、スパッタリング、CVD、ALDのいずれかである、としてもよい。
上記態様の有機EL表示パネルの製造方法によれば、真空蒸着法、スパッタリング、CVD、ALDのいずれかで成膜する気相成長層の品質管理が容易となる。
≪実施の形態≫
1.蒸着用マスクの構成
<マスクの概要>
実施の形態に係るマスク100は、表示パネル基板の非表示領域に形成すべきパターンに対応する開口を有する部材である。マスク100は、開口以外の部分は蒸着層材料を遮る機能を有する部材からなり、例えば、インバー(Fe−36%Ni)などの金属膜からなる。マスク100は、図1(a)に示すように、表示パネル基板の非表示領域に形成すべき蒸着層と同様の形状を備える第1開口(パターン開口)110が開設される第1領域(パターン領域)101と、応力集中を緩和するための第2開口(ダミー開口)121〜123が開設される第2領域(ダミー領域)102とを備える。第2領域102は、第1領域101に対してマスク100の長軸方向(使用時の引張方向)であるX方向に隣接していることが好ましく、1つの第1領域が2つの第2領域によってX方向に挟まれた配置となっていることがより好ましい。なお、ここで述べる蒸着層とは真空蒸着法によって形成される層のみならず蒸着用マスク(シャドウマスク)によってパターニングが可能な気相成長法によって形成される層全般を指し、スパッタリングなどの他の物理気相成長法やCVD、ALDなどの化学気相成長法によって形成される層も含む。同様に、蒸着用マスクとは気相成長法で用いるシャドウマスクを指し、スパッタリングなどの他の物理気相成長法やCVDやALDなどの化学気相成長法に用いるシャドウマスクも含む。
図1(b)は、マスク100の使用状態を示す模式図である。図1(b)に示すように、マスク100は、例えば、X方向に同じ長さを有するマスク150〜190とともに、X方向の両端を揃えY方向に隙間なく並べた状態でマスク枠300に固定され、全体として表示パネル基板に対応する蒸着用マスク200として使用される。このとき、マスク100は、表示パネルの発光領域に対応する領域310には表示パネルの表示面に垂直な方向に重ならない。なお、ここでは蒸着用マスク200を構成する短冊状のマスク100および150〜190はすべて異なるものとしたが、同一パターンの短冊状のマスクを2つ以上用いるとしてもよい。
また、図2では、マスク150〜180の代わりにY方向に長尺の短冊状のマスク210および220をマスク100および190に対して交差するように配置している。
また、蒸着用マスク200を構成する短冊状のマスク100および150〜190はY方向に隙間なく並べた状態ではなく、例えば、表示パネル基板の発光領域に対応する領域310にはマスクが存在しておらず、表示パネル基板の非表示領域に対応する部分にのみマスクが存在するとしてもよい。
<第1領域と第2領域との関係>
以下、好適な第2領域の設定の方法についてより詳細に説明する。
図3は、実施の形態に係る第1領域と第2領域との関係を示す模式図である。図3(a)の模式図に示すように、パターン開口510が開設されるパターン領域101に対してX方向に隣接するように、ダミー開口511、512が開設されるダミー領域102が設けられる。
なお、図3(a)ではパターン領域101に対してダミー領域102を図中左側にのみ設けているが、図3(a)のパターン領域101の右側(Xの正方向)に、左右を反転させたダミー領域102を設けることが好ましい。なお、パターン開口510とダミー開口511とのX方向の距離、ダミー開口511とダミー開口512とのX方向の距離はそれぞれ、ダミー開口511のX方向の開口幅の50%以上200%以下が好ましい。また、ここでは、ダミー開口をパターン開口510の片側に2つ設ける例を示したが、1つであっても良いし、3つ以上設けても良い。
図3(b)の模式図は、実施例Aとしての第2領域の実施例である。実施例Aでは、ダミー開口521、522が設けられ、例えば、パターン開口510のX方向の幅は、5.1mm、Y方向の幅は、6.6mmである。パターン開口510の角部は、例えば曲率半径1.5mmである。ダミー開口521、522のY方向の幅は、パターン開口510のY方向の幅と等しい。例えば、ダミー開口521のX方向の幅は、2.0mm、ダミー開口522のX方向の幅は、2.0mmである。パターン開口510とダミー開口521とのX方向の距離、ダミー開口521とダミー開口522とのX方向の距離は、例えば、それぞれ、1.8mmである。ダミー開口521とダミー開口522の角部は、例えば、それぞれ曲率半径0.5mmである。また、ダミー開口521、522のX方向の幅は、ダミー開口521、522のY方向の幅の50%以下であることが好ましい。また、パターン開口510のX方向の幅は、4.0mmから100mmであってもよく、Y方向の幅は、4.0mmから50mmであってもよい。また、パターン開口510とダミー開口521とのX方向の距離、および、ダミー開口521とダミー開口522とのX方向の距離は、それぞれ、1mm以上5mm以下であればよい。これらの範囲は、以下説明する実施例でも同様である。
図3(c)の模式図は、実施例Bとしての第2領域の実施例である。実施例Bでは、ダミー開口531、532が設けられる。ダミー開口531のY方向の幅は、パターン開口510のY方向の幅と等しく、ダミー開口532のY方向の幅は、5.6mmである。パターン開口510とダミー開口531とのX方向の距離、ダミー開口531とダミー開口532とのX方向の距離は、例えば、それぞれ、1.8mmである。なお、ダミー開口532のY方向の幅は、パターン開口510のY方向の幅の70%以上95%以下であってもよい。なお、ダミー開口531、532のX方向の幅は、ダミー開口521、522のX方向の幅と等しい。
図3(d)の模式図は、実施例Cとしての第2領域の実施例である。実施例Cでは、ダミー開口541、542が設けられる。例えば、ダミー開口541のY方向の幅は、5.6mmである。例えば、ダミー開口542のY方向の幅は、4.6mmである。すなわち、(パターン開口510のY方向の幅)>(ダミー開口541のY方向の幅)>ダミー開口542のY方向の幅)の関係となっている。パターン開口510とダミー開口541とのX方向の距離、ダミー開口541とダミー開口542とのX方向の距離は、例えば、それぞれ、1.8mmである。ダミー開口541のY方向の幅は、パターン開口510のY方向の幅の70%以上95%以下であり、ダミー開口542のY方向の幅は、ダミー開口541のY方向の幅の70%以上95%以下である。なお、ダミー開口541、542のX方向の幅は、ダミー開口521、522のX方向の幅と等しい。
図3(e)の模式図は、実施例Dとしての第2領域の実施例である。実施例Dでは、ダミー開口121、122が設けられる。ダミー開口121のY方向の幅は、ダミー開口541のY方向の幅と同一であり、ダミー開口122のY方向の幅は、ダミー開口542のY方向の幅と同一である。すなわち、(パターン開口510のY方向の幅)>(ダミー開口121のY方向の幅)>ダミー開口122のY方向の幅)の関係となっている。ダミー開口121、122のX方向の幅は、ダミー開口541、542のX方向の幅と等しい。さらに、ダミー開口121、ダミー開口122のパターン開口110より遠い側の2つの角部は、例えば曲率半径1.5mmであり、パターン開口110より近い側の2つの角部は、例えば曲率半径0.5mmである。すなわち、ダミー開口121、ダミー開口122のパターン開口110より遠い側の2つの角部は、パターン開口110より近い側の2つの角部より、その曲率半径が大きい。ダミー開口121、122のY方向の幅は、パターン開口510のY方向の幅と等しい。例えば、ダミー開口121のX方向の幅は、2.0mm、ダミー開口122のX方向の幅は、2.0mmである。パターン開口110とダミー開口121とのX方向の距離、ダミー開口121とダミー開口122とのX方向の距離は、例えば、それぞれ、1.8mmである。ダミー開口121とダミー開口122の角部は、例えば、それぞれ曲率半径0.5mmである。
図3(f)の模式図は、実施例Eとしての第2領域の実施例である。実施例Eでは、開口510とY方向に離れた位置に開口510と同一形状の開口570が設けられており、さらに開口510に対してダミー開口551、552が、開口570に対してダミー開口581、582が設けられる。ダミー開口551、552のY方向の幅は、ダミー開口541、542より小さく、たとえばダミー開口551のY方向の幅は5.4mmであり、ダミー開口552のY方向の幅は4.2mmである。さらに開口510のY方向の中心軸から0.1mmずれた位置に形成されている。またダミー開口581、582のY方向の幅はそれぞれダミー開口551、552と同一形状である。ダミー開口551、581のY方向の幅はパターン開口510、570のY方向の幅の70%以上95%以下であり、ダミー開口552、582のY方向の幅は、ダミー開口511、581のY方向の幅の70%以上95%以下である。なお、ダミー開口551、552および581、582のX方向の幅は、ダミー開口521、522のX方向の幅と等しい。
図3(g)の模式図は、実施例Fとしての第2領域の実施例である。実施例Fでは、開口部510に対してダミー開口561、562が、開口部570に対してダミー開口591、592が設けられる。ダミー開口561、591のY方向の幅は、ダミー開口551、581のY方向の幅と同一であり、ダミー開口562、592のY方向の幅は、ダミー開口552、582のY方向の幅と同一である。ダミー開口561、562および591、592のX方向の幅は、ダミー開口551、552のX方向の幅と等しい。さらに、ダミー開口561、562、ダミー開口591、592はいずれも、パターン開口510および570より遠い側の2つの角が丸く、その半径(Rの値)は1.5mmである。
<ダミー開口による応力分散の効果>
以下に示す表1は、実施例A〜Fおよび、以下に説明する比較例A〜Hにおける、パターン開口周辺の最大応力とダミー開口周辺の最大応力とを示す図である。なお、応力の値は、マスクの長軸方向(X方向)におけるマスク全体の公称ひずみ(長軸方向におけるマスクの伸び率)が同一となるように引張応力を付加した場合における、比較例Aにおけるパターン開口周辺の応力を100とした相対値を示している。
Figure 2021063277
比較例Aは、パターン開口110が開設されたパターン領域101のみを備え、ダミー領域が存在しない構成である。
比較例B〜Eは、図4(a)に示すように、ダミー領域に円形のダミー開口601を設けた構成であり、ダミー開口601の直径は2mmである。なお、比較例B〜Eはダミー開口601の位置が異なり、パターン開口110とダミー開口601とのX方向の距離ΔXと、短軸方向におけるパターン開口110の一端をY=0としたときのダミー開口601のY方向の位置ΔYは、以下に示すとおりである。
Figure 2021063277
比較例F〜Hは、図4(b)に示すように、ダミー領域にダミー開口602を設けた構成であり、ダミー開口602の形状は、比較例B〜Eのダミー開口601のパターン開口110側の端を平坦にした形状である。なお、比較例F〜Hはダミー開口602の位置が異なり、パターン開口110とダミー開口602とのX方向の距離ΔXと、短軸方向におけるパターン開口110の一端をY=0としたときのダミー開口602のY方向の位置ΔYは、以下に示すとおりである。
Figure 2021063277
表1に示すように、実施例A〜Fでは、パターン開口周囲の最大応力が85以下であり、かつ、ダミー開口周囲の最大応力が低い。特に、実施例B〜Fにおいて、パターン開口周囲の最大応力が85以下であり、かつ、ダミー開口周囲の最大応力が95以下である。これに対し、比較例A〜Hでは、パターン開口周囲の最大応力が90以上である。すなわち、実施例では、パターン開口周囲の最大応力、ダミー開口周囲の最大応力がいずれも小さい。
図5(a)は、実施例Dと比較例AそれぞれのY方向の公称ひずみを示す関係図であり、横軸がX方向の公称ひずみ、縦軸がY方向の公称ひずみである。比較例Aでは関係401に示す関係であるのに対し、実施例Dでは関係402に示す関係である。すなわち、実施例Dでは、X方向の公称ひずみが比較例Aと同じであるときY方向の公称ひずみの絶対値が小さく、短軸方向の変形が小さい。つまり、実施例Dは、比較例Aよりも開口の変形が起こりづらい。また、図5(b)は、実施例Dと比較例AそれぞれのZ方向(マスク面と垂直な方向)の変形度合いを示すものであり、横軸がX方向の公称ひずみ、縦軸がZ方向の変位量である。比較例Aでは関係412に示す関係であるのに対し、実施例Dでは関係411に示す関係である。なわち、実施例Dでは、X方向の公称ひずみが比較例Aと同じであるときZ方向の変形量の絶対値が小さい。つまり、実施例Dは、比較例Aよりもマスクの撓み、皺、捩じれが起こりづらい。
すなわち、実施例A〜Fの構成は、各比較例の構成に対し、パターン開口の周辺とダミー開口の周辺のいずれに対しても応力集中が発生しづらい構成であり、容易にマスクの変形を抑止してパターニングの精度を向上させることができる。
<ダミー開口による応力分散効果に関する考察>
図6(a)〜(f)は、実施例A〜Fのそれぞれにおける、引張応力印加時の応力分布をコンター図で示したものである。図6(a)〜(f)に示されているように、パターン開口とパターン開口とに挟まれた部分、パターン開口とダミー開口とに挟まれた部分、および、ダミー開口にX方向に隣接する部分は、応力値が均一である。また、パターン開口またはダミー開口に対してY方向に隣接する部分も、応力値が均一である。したがって、X方向に応力のムラが存在せず、パターンの変形や位置ずれが起こりづらい。
一方、上述したように、図4(a)や図4(b)に示される比較例B〜Hのダミー開口の場合、パターン開口周辺の最大応力、ダミー開口周辺の最大応力がともに大きく、実施例のようなパターンの変形や位置ずれの抑止の効果が小さい。
実施例A〜Fと比較例B〜Hとを比較した場合、実施例A〜Fでは、ダミー開口の縦横比(X方向幅に対するY方向の幅)が大きく、また、パターン開口のY方向幅に対するダミー開口のY方向幅の比が大きい。また、パターン開口とダミー開口とでY方向における中心位置が異ならない。実施例A〜Fでは、特に、Y方向において、パターン開口とダミー開口との間で中心位置及び幅において大きく差が存在しない。この構成により、実施例A〜Fでは、Y方向における応力の偏りが生じづらくなり、応力集中が起きづらくなってダミー開口の周辺とパターン開口の周辺とで最大応力に差が生じないと考えられる。
また、実施例A〜Fでは、パターン開口とダミー開口との距離、ダミー開口とダミー開口との距離がいずれも2mm以下である。すなわち、パターン開口とダミー開口との距離、ダミー開口とダミー開口との距離が、それぞれダミー開口のX方向の幅の50%以上200%以下となっているため、ダミー開口とパターン開口のいずれか一方のみに応力集中が起きづらくなっており、最大応力にムラが生じにくい結果が生じていると考えられる。
<変形例>
図7(a)〜(d)に他のマスクパターンの模式図を示す。
図7(a)は実施例Gに係るマスクパターンであり、パターン領域101−1に複数のパターン開口110とパターン領域101−2に1つのパターン開口110が開設され、ダミー領域102−1、102−2、102−3にダミー開口が開設される。ダミー領域102−1および102−3には、パターン開口110に近い側からY方向に長軸なダミー開口121、122、123が開設され、それぞれパターン開口110から遠い側の2角が丸く設定されている。また、パターン領域101−1とパターン領域101−2との間にはダミー領域102−2が存在し、パターン開口110に近接しない側の2角の曲率半径をパターン開口110に近接する側の2角の曲率半径より大きく設定されたダミー開口121をX方向の中心から対称に2つ開設されている。パターン領域101−1とパターン領域101−2とのX方向の距離が、ダミー領域102−1とダミー領域102−3とのX方向の加えた幅より小さい場合には、本実施例のように、2つのパターン領域の間に2つのパターン領域の中心から対称のダミー領域を設ける。
図7(b)は実施例Hに係るマスクパターンであり、パターン領域101−1にパターン開口110−1とパターン領域101−2にパターン開口110−2が開設され、ダミー領域102−1、102−2、102−3にダミー開口が開設される。パターン開口110−1とパターン開口110−2はX方向の幅が異なる。ダミー領域102−1、102−2、102−3は実施例Gと同一の構成である。
図7(c)は実施例Iに係るマスクパターンであり、パターン領域101−1〜101−5のそれぞれにパターン開口110が開設され、パターン領域の間およびパターン領域にX方向に隣接する箇所にダミー領域102−1〜102−6が開設されている。ダミー領域102−2〜102−4には単一のダミー開口123が開設され、ダミー領域102−1、102−6にはダミー開口121、122が開設される。ダミー領域102−5には3つのダミー開口が開設され、パターン領域に隣接する2つのダミー開口121とその間にダミー開口123が開設される。ダミー開口123は、2つの最近接のパターン開口110のX方向の中心点に対して対称形である。
図7(d)は実施例Jに係るマスクパターンであり、パターン領域101−1〜101−5のそれぞれにパターン開口110が開設され、パターン領域の間に位置するダミー領域102−2〜102−4のそれぞれにダミー開口122が開設されている。ダミー開口122のY方向の幅は、パターン領域101のY方向の幅と略同一である。また、パターン領域列101−1〜101−4のX方向両端にダミー領域102−1、102−5が、パターン領域101−5のX方向両端にダミー領域102−6、102−7が存在し、それぞれにダミー開口121が開設される。ダミー開口121のY方向の幅は、パターン領域から離れるほど狭くなるテーパ形状となっている。
図8(a)〜(d)は、図6と同様、実施例G〜Jのそれぞれに対応する引張応力印加時の応力分布のコンター図であり、図8(e)〜(h)は、実施例G〜Jからダミー領域とダミー開口とを除いた比較例I〜Lのそれぞれに対応する引張応力印加時の応力分布のコンター図である。実施例Gに係る図8(a)と比較例Iに係る図8(e)を比較すると、比較例Iでは応力にムラがあり、特に、パターン領域のX方向端部に位置するパターン開口のY方向周囲に応力が集中しているのに対し、実施例Gではパターン領域およびダミー領域のY方向周囲における応力ムラがなく、応力集中現象が緩和しているのが確認できる。実施例Hに係る図8(b)と比較例Jに係る図8(f)との関係、実施例Iに係る図8(c)と比較例Kに係る図8(g)との関係、実施例Jに係る図8(d)と比較例Lに係る図8(h)との関係、のそれぞれについても同様である。
<まとめ>
以上説明したように、本実施の形態に係る蒸着用マスクによれば、パターン開口に対してマスクの長軸方向に隣接するように、マスクの短軸方向に長尺なダミー開口を設けることで、蒸着用マスクに引張応力を付加しても蒸着用マスク全体の変形を抑止することができる。したがって、表示パネルの製造工程においてダミー開口によるパターニングが行われても問題が起きない箇所、特に、表示領域外に品質管理用の評価用成膜サンプルを形成する蒸着用マスクにおいて、高精度なパターニングが可能となる。また、ダミー開口は、パターン開口に対してマスクの短軸方向の幅が70%以上95%以下、縦横比が50%以下、X方向の間隔がダミー開口の開口幅の50%以上200%以下となるように形成することが好ましく、パターン開口の形状にかかわらず容易に設計を行うことができる。さらに、ダミー開口の形状を矩形、さらには、パターン開口から遠い側の角を丸くするという単純な形状とすることで、容易に、応力集中を緩和できる蒸着用マスクを形成することができる。
2.有機EL表示パネルの製造方法
以下、実施の形態の一態様である表示パネルの製造方法として、有機EL表示パネルの製造方法について説明する。図9から図11は、有機EL表示パネル1000の製造における各工程での状態を示す模式断面図である。また、図12は、有機EL表示パネル1000の製造方法を示すフローチャートである。
(1)基板11の作成
まず、図9(a)に示すように、基材1110上にTFT層1120を成膜して基板11を形成し、(ステップS1)。TFT層1120は、公知のTFTの製造方法により成膜することができる。
次に、図9(b)に示すように、基板11上に層間絶縁層12を形成する(ステップS2)。層間絶縁層12は、例えば、プラズマCVD法、スパッタリング法などを用いて積層形成することができる。
次に、層間絶縁層12における、TFT層のソース電極上の箇所にドライエッチングを行い、コンタクトホールを生成する。コンタクトホールは、その底部にソース電極の底面が露出されるように形成される。
次に、コンタクトホールの内壁に沿って接続電極層を形成する。接続電極層の上部は、その一部が層間絶縁層12上に配される。接続電極層の形成は、例えば、スパッタリング法を用いることができ、金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法およびウェットエッチング法を用いパターニングすることがなされる。
(2)画素電極13の作成
次に、図9(c)に示すように、層間絶縁層12上に画素電極材料層1300を形成する(ステップS3)。画素電極材料層1300は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法などを用いて形成することができる。
そして、図9(d)に示すように、画素電極材料層1300をエッチングによりパターニングして、サブピクセルごとに区画された複数の画素電極13を形成する(ステップS4)。
(3)副壁14x、隔壁14の作成
次に、画素電極13および層間絶縁層12上に、副壁の材料である副壁用樹脂を塗布し、副壁材料層を形成する。副壁用樹脂には、例えば、感光性材料であるフェノール樹脂が用いられる。副壁材料層は、フェノール樹脂を溶媒に溶解させた溶液を画素電極13上および層間絶縁層12上にスピンコート法などを用いて一様に塗布することにより形成される。そして、副壁材料層にパターン露光と現像を行うことで副壁14xを形成する。
そして、図9(e)に示すように、画素電極13および層間絶縁層12、副壁14x上に、隔壁の材料である隔壁用樹脂を塗布し、隔壁材料層1400を形成する(ステップS5)。隔壁用樹脂には、例えば、感光性材料であるアクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂に、撥液性を有する界面活性剤であるフッ素化合物が添加されて用いられる。隔壁材料層は、スピンコート法などを用いて一様に塗布することにより形成される。そして、隔壁材料層1400に対して、実施の形態に係るフォトマスクと露光装置とを用いてパターン露光を行い、現像を行うことで、図10(a)に示すように、隔壁14を形成する。
最後に、焼成を行うことで、副壁14xと隔壁14が完成する(ステップS6)。焼成は、例えば、150℃以上210℃以下の温度で60分間行う。
(4)正孔注入層の成膜
次に、図10(b)に示すように、隔壁14および副壁14xが規定する開口部14aに対し、正孔注入層15の構成材料を含むインクを、インクジェットヘッド4010のノズル4011から吐出して開口部14a内の画素電極13上に塗布し、焼成(乾燥)を行って、正孔注入層15を形成する(ステップS7)。
(5)正孔輸送層の成膜
次に、図10(c)に示すように、隔壁14および副壁14xが規定する開口部14aに対し、正孔輸送層16の構成材料を含むインクを、インクジェットヘッド4020のノズル4021から吐出して開口部14a内の正孔注入層15上に塗布し、焼成(乾燥)を行って、正孔輸送層16を形成する(ステップS8)。
(6)発光層の成膜
次に、図10(d)に示すように、発光層17の構成材料を含むインクを、インクジェットヘッド4030のノズル4031から吐出して開口部14a内の正孔輸送層16上に塗布し、焼成(乾燥)を行って、発光層17を形成する(ステップS9)。
(7)電子輸送層の成膜
次に、図11(a)に示すように、発光層17上および隔壁14上に、電子輸送層18を構成する材料を真空蒸着法またはスパッタリング法により各サブピクセルに共通して成膜し、電子輸送層18を形成する(ステップS10)。このとき、実施の形態に係る蒸着用マスク100を用いて、表示領域外の層間絶縁層12上に、電子輸送層18と同じ材料、同じ膜厚の電子輸送層成膜サンプル18xを形成する。
(8)電子注入層の成膜
次に、図11(b)に示すように、電子輸送層18上に、電子注入層19を構成する材料を、蒸着法、スピンコート法、キャスト法などの方法により電子輸送層18上に成膜し、各サブ画素に共通して電子注入層19を形成する(ステップS11)。このとき、実施の形態に係る蒸着用マスク100を用いて、表示領域外の層間絶縁層12上に、電子注入層19と同じ材料、同じ膜厚の電子注入層成膜サンプル19xを形成する。
(9)対向電極の成膜
次に、図11(c)に示すように、電子注入層19上に、対向電極20を構成する材料を真空蒸着法またはスパッタリング法により各サブピクセルに共通して成膜し、対向電極20を形成する(ステップS12)。このとき、実施の形態に係る蒸着用マスク100を用いて、表示領域外の層間絶縁層12上に、対向電極20と同じ材料、同じ膜厚の対向電極成膜サンプル20xを形成する。
(10)封止層の成膜
最後に、図11(d)に示すように、対向電極20上に、封止層を形成する材料をCVD法またはスパッタリング法により各サブピクセルに共通して成膜し、封止層21を形成する(ステップS13)。このとき、実施の形態に係る蒸着用マスク100を用いて、表示領域外の層間絶縁層12上に、封止層21と同じ材料、同じ膜厚の封止層成膜サンプル21xを形成する。
以上の工程を経ることにより有機EL表示パネル1000が完成する。
以下、有機EL表示パネル1000の各部構成について説明する。
<基板>
基板11は、絶縁材料である基材1110と、TFT(Thin Film Transistor)層1120とを含む。TFT層1120には、画素ごとに駆動回路が形成されている。基材1110は、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素などの半導体基板、プラスチック基板等を採用することができる。
<層間絶縁層>
層間絶縁層12は、基板11上に形成されている。層間絶縁層12は、樹脂材料からなり、TFT層1120の上面の段差を平坦化するためのものである。
<画素電極>
画素電極13は、導電性材料を含み、層間絶縁層12上に形成されている。画素電極13は、画素ごとに設けられ、層間絶縁層12に設けられたコンタクトホールを通じてTFT層1120と電気的に接続されている。
有機EL表示パネル1000が対向電極20側に発光する、いわゆるトップエミッション型である場合には、画素電極13は、光反射性の金属材料からなる金属層で形成されることが好ましい。一方、有機EL表示パネル1000が基板11側に発光する、いわゆるボトムエミッション型である場合には、画素電極13は、透光性を有することが好ましい。
本実施形態においては、画素電極13は、光反射性の陽極として機能する。
光反射性を具備する金属材料の具体例としては、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、アルミニウム合金、Mo(モリブデン)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、MoW(モリブデンとタングステンの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)などが挙げられる。
透光性を具備する導電性材料としては、ITO(酸化インジウム錫)やIZO(酸化インジウム亜鉛)のような金属酸化物が挙げられる。また、Ag、Agを主成分とする銀合金、Al、Alを主成分とするAl合金の薄膜であってもよい。金属薄膜の場合、透光性を確保するため、金属層の膜厚は1nm〜50nm程度であることが好ましい。Ag合金としては、マグネシウム−銀合金(MgAg)、インジウム−銀合金が挙げられる。Agは、基本的に低抵抗率を有し、Ag合金は、耐熱性、耐腐食性に優れ、長期にわたって良好な電気伝導性を維持できる点で好ましい。Al合金としては、マグネシウム−アルミニウム合金(MgAl)、リチウム−アルミニウム合金(LiAl)が挙げられる。その他の合金として、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金が挙げられる。
画素電極13は、単一層であってもよいし、金属層と金属酸化物からなる積層構造としてもよい。
<隔壁>
隔壁14は、画素電極13の上面の一部の領域を露出させ、その周辺の領域を被覆した状態で画素電極13上に形成されている。画素電極13上面において隔壁14で被覆されていない領域(以下、「開口部」という)は、サブピクセルに対応している。すなわち、隔壁14は、サブピクセルごとに設けられた開口部14aを有する。
本実施の形態において、隔壁14は、画素電極13が形成されていない部分では、層間絶縁層12上に形成されている。すなわち、画素電極13が形成されていない部分では、隔壁14の底面は層間絶縁層12の上面と接している。
隔壁14は、正孔注入層15、正孔輸送層16、発光層17を塗布法で形成する際、塗布されたインクが隣接するサブピクセルのインクと接触しないようにするための構造物として機能する。また、隔壁14は、正孔注入層15、正孔輸送層16、発光層17を気相成長法で形成する際、蒸着用マスクを載置するための構造物として機能する。隔壁14は、正孔注入層15、正孔輸送層16、発光層17の少なくとも1つが塗布法で形成される塗布膜である場合には、少なくとも表面が撥液性を有し、隔壁14の断面は上方を先細りとする順テーパーの台形状もしくは上に凸のお椀状である。隔壁14は、絶縁性の樹脂材料からなる母材に、フッ素系化合物やシリコーン系化合物などの撥液性の界面活性剤が添加されてなる。絶縁性の樹脂材料である母材としては、例えば、ネガ型の感光性材料を用いることができ、具体的には、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。なお、母材は例えば、ポジ型の感光材料を用いてもよいし、感光性でない材料を用いてもよい。
<副壁>
副壁14xは、画素電極13の上面の一部の領域を露出させ、その周辺の領域を被覆した状態で画素電極13上に形成されている。副壁14xの延伸する方向は、隔壁14が延伸する方向と直交している。副壁14xのそれぞれは、複数の開口部14aにわたって形成されており、開口部14a内において、隣接する画素電極13を区画している。
<正孔注入層>
正孔注入層15は、画素電極13から発光層17への正孔(ホール)の注入を促進させる目的で、画素電極13上に設けられている。正孔注入層15の材料の具体例としては、例えば、PEDOT/PSS(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料である。または、正孔注入層15は、遷移金属の酸化物であってもよい。遷移金属の具体例としては、Ag(銀)、Mo(モリブデン)、Cr(クロム)、V(バナジウム)、W(タングステン)、Ni(ニッケル)、Ir(イリジウム)などである。遷移金属は複数の酸化数を取るため、複数の準位を取ることができ、その結果、正孔注入が容易になり、駆動電圧の低減に寄与するからである。この場合、正孔注入層15は、大きな仕事関数を有することが好ましい。正孔注入層15が遷移金属の酸化物である場合には、スパッタリングなどの気相成長法で形成されてもよい。また、正孔注入層15が気相成長法で形成される場合には、ステップS3で画素電極材料層1300を形成した後に正孔注入材料層を形成し、ステップS4において画素電極材料層1300と正孔注入材料層とを同時にパターニングしてもよい。
なお、正孔注入層15は、遷移金属の酸化物層と有機層との2層が積層された構造であってもよい。
<正孔輸送層>
正孔輸送層16は、正孔注入層15から注入された正孔を発光層17へ輸送する機能を有し、正孔を正孔注入層15から発光層17へと効率よく輸送するため、正孔移動度の高い有機材料で形成されている。正孔輸送層16は、ポリフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物等を用いてもよい。この場合、正孔輸送層16は、真空蒸着法により形成される。なお、正孔輸送層16の材料および製造方法は上述のものに限られず、正孔輸送機能を有する任意の材料を用いてよく、正孔輸送層16の製造に用いることのできる任意の製造方法で形成されてよい。
<発光層>
発光層17は、開口部14a内に形成されている。発光層17は、正孔と電子の再結合によりR、G、Bの各色の光を出射する機能を有する。発光層17の材料としては、公知の材料を利用することができる。
発光層17に含まれる有機発光材料としては、例えば、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物およびアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質を用いることができる。また、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウムなどの燐光を発光する金属錯体等の公知の燐光物質を用いることができる。また、発光層17は、ポリフルオレンやその誘導体、ポリフェニレンやその誘導体、あるいはポリアリールアミンやその誘導体等の高分子化合物等、もしくは前記低分子化合物と前記高分子化合物の混合物を用いて形成されてもよい。
<電子輸送層>
電子輸送層18は、複数の画素に共通して発光層17および隔壁14上に形成されており、対向電極20から注入された電子を発光層17へと輸送する機能を有する。電子輸送層18は、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などを用い形成されている。
<電子注入層>
電子注入層19は、電子輸送層18上に複数の画素に共通して設けられており、対向電極20から発光層17への電子の注入を促進させる機能を有する。
電子注入層19は、例えば、電子輸送性を有する有機材料に、電子注入性を向上させる金属材料がドープされてなる。ここで、ドープとは、金属材料の金属原子または金属イオンを有機材料中に略均等に分散させることを指し、具体的には、有機材料と微量の金属材料を含む単一の相を形成することを指す。なお、それ以外の相、特に、金属片や金属膜など、金属材料のみからなる相、または、金属材料を主成分とする相は、存在していないことが好ましい。また、有機材料と微量の金属材料を含む単一の相において、金属原子または金属イオンの濃度は均一であることが好ましく、金属原子または金属イオンは凝集していないことが好ましい。金属材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または、希土類金属から選択されることが好ましく、Ba、Li、Ybがより好ましい。本実施の形態では、Baが選択される。また、電子注入層19における金属材料のドープ量は5〜40wt%が好ましい。本実施の形態では、20wt%である。電子輸送性を有する有機材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などのπ電子系低分子有機材料が挙げられる。
なお、電子注入層19は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属から選択される金属のフッ化物層を発光層17側に有していてもよい。
<対向電極>
対向電極20は、複数の画素に共通して電子注入層19上に形成されており、陰極として機能する。
有機EL表示パネル1000が対向電極20側に発光する、いわゆるトップエミッション型である場合には、対向電極20は、透光性と導電性とを兼ね備えることが好ましい。一方、有機EL表示パネル1000が基板11側に発光する、いわゆるボトムエミッション型である場合には、対向電極20は、光反射性の金属材料からなる金属層で形成されることが好ましい。
透光性を具備する導電性材料としては、ITO(酸化インジウム錫)やIZO(酸化インジウム亜鉛)のような金属酸化物が挙げられる。また、Ag、Agを主成分とする銀合金、Al、Alを主成分とするAl合金の薄膜であってもよい。金属薄膜の場合、透光性を確保するため、金属層の膜厚は1nm〜50nm程度であることが好ましい。Ag合金としては、マグネシウム−銀合金(MgAg)、インジウム−銀合金が挙げられる。Agは、基本的に低抵抗率を有し、Ag合金は、耐熱性、耐腐食性に優れ、長期にわたって良好な電気伝導性を維持できる点で好ましい。Al合金としては、マグネシウム−アルミニウム合金(MgAl)、リチウム−アルミニウム合金(LiAl)が挙げられる。その他の合金として、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金が挙げられる。
光反射性を具備する金属材料の具体例としては、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、アルミニウム合金、Mo(モリブデン)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、MoW(モリブデンとタングステンの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)などが挙げられる。
対向電極20は、単一層であってもよいし、金属層と金属酸化物からなる積層構造としてもよい。
<封止層>
対向電極20の上には、封止層21が設けられている。封止層21は、基板11の反対側から不純物(水、酸素)が対向電極20、電子注入層19、電子輸送層18、発光層17等へと侵入するのを防ぎ、不純物によるこれらの層の劣化を抑制する機能を有する。封止層21は、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などを用い形成される。また、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成された層の上に、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂材料からなる封止樹脂層を設けてもよい。
有機EL表示パネル1000が対向電極20側に発光する、いわゆるトップエミッション型である場合には、封止層21は光透過性の材料で形成されることが必要となる。
<その他>
なお図9〜11には示されないが、封止層21の上に、封止樹脂を介してカラーフィルタや上部基板を貼り合せてもよい。上部基板を貼り合せることによって、正孔注入層15、正孔輸送層16、発光層17、電子輸送層18、電子注入層19、対向電極20を水分および空気などから保護できる。
<まとめ>
以上説明したように、本実施の形態に係る表示パネルの製造方法によれば、表示領域外における蒸着膜の成膜サンプルの形成に際し、高精度にパターニングを行うことが可能となる。したがって、表示パネルの品質管理が容易となる。
3.有機EL表示装置の全体構成
図13は、有機EL表示パネル1000を備えた有機EL表示装置10000の構成を示す模式ブロック図である。図13に示すように、有機EL表示装置10000は、有機EL表示パネル1000と、これに接続された駆動制御部2000とを含む構成である。駆動制御部2000は、4つの駆動回路2100〜2400と、制御回路2500とから構成されている。
なお、実際の有機EL表示装置10000では、有機EL表示パネル1000に対する駆動制御部2000の配置については、これに限られない。
4.補足
(1)上記実施の形態においては、電子輸送層、電子注入層、対向電極、封止層それぞれの成膜サンプルを個別に形成するものとしたが、成膜サンプルの形成はこれに限られず、例えば、画素電極や正孔注入層、正孔輸送層の成膜サンプルを形成してもよい。また、成膜サンプルを積層させてもよい。さらに、成膜サンプルの形成箇所はTFT層1120や層間絶縁層12が形成されない基材1110の端部でもよいし、別途準備した品質管理用基板上であってもよい。
(2)上記実施の形態においては、表示パネルの例として塗布型の有機EL表示パネルについて説明したが、表示パネルは、例えば、蒸着型の有機EL表示パネルであってもよいし、他の自発光パネルであってもよい。また、表示パネルは自発光パネルに限られず、例えば、透過型ないし反射型の液晶表示パネルであってもよい。
(3)以上、本開示に係る蒸着用マスク、および、表示パネルの製造方法について、実施の形態及び変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態および変形例に限定されるものではない。上記実施の形態および変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態および変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
本発明は、蒸着法、スパッタリング法、CVD法などの気相成長法で形成される構成要素を含む表示パネルの製造方法において、成膜サンプルのパターニング精度を向上させることにより、品質管理を容易とすることに有用である。
100 シャドウマスク(蒸着用マスク)
101 パターン領域(第1領域)
110 パターン開口(第1開口)
102 ダミー領域(第2領域)
121、122、123 ダミー開口(第2開口)
1000 有機EL表示パネル
11 基板
12 層間絶縁層
13 画素電極
14 隔壁
15 正孔注入層
16 正孔輸送層
17 発光層
18 電子輸送層
19 電子注入層
20 対向電極
21 封止層
10000 有機EL表示装置

Claims (12)

  1. 表示パネルの製造時における気相成長工程で用いられ、前記表示パネルの表示領域外方のパネル表面に品質管理用のパターンを形成するため第1方向に張力が加わった状態で使用される、前記第1方向に長尺な形状の蒸着用マスクであって、
    第1開口が形成される1以上の第1領域と、
    前記パターン領域に対して前記第1方向に隣接し、前記第1方向に直交する第2方向の幅が前記第1開口より小さく、前記第2方向に長尺の第2開口が1以上形成される1以上の第2領域と
    を備えることを特徴とする蒸着用マスク。
  2. 前記第2方向における前記第2開口の幅は、前記第2方向における前記第1開口の幅の70%以上95%以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の蒸着用マスク。
  3. 前記第1方向における前記第2開口の幅は、前記第2方向における前記第2開口の幅の50%以下である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着用マスク。
  4. 前記第2開口は前記第2方向に沿って延伸する略矩形状であり、前記第1領域からの距離が大きい2つの角を丸くした形状である
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の蒸着用マスク。
  5. 前記第2領域に、前記第2方向の幅が前記第2開口より小さい第3開口がさらに形成されており、
    前記第2開口と前記第3開口とは前記第1方向に並び、かつ、前記第3開口は前記第2開口よりも前記第1領域から離間している
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の蒸着用マスク。
  6. 前記第1方向における前記第3開口の幅は、前記第1方向における前記第2開口の幅と略等しく、
    前記第2方向における前記第3開口の長さは、前記第2方向における前記第2開口の長さの70%以上95%以下である
    ことを特徴とする請求項5に記載の蒸着用マスク。
  7. 前記第3開口は前記第2方向に沿って延伸する略矩形状であり、前記第1領域からの距離が大きい2つの角を丸くした形状である
    ことを特徴とする請求項5または6に記載の蒸着用マスク。
  8. 前記第2領域に、前記第2方向の幅が前記第1開口と同一の第4開口がさらに形成されており、
    前記第2開口と前記第4開口とは前記第1方向に並び、かつ、前記第2開口は前記第4開口よりも前記第1領域から離間している
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の蒸着用マスク。
  9. 前記第4開口は前記第2方向に沿って延伸する略矩形状であり、前記第1領域からの距離が大きい2つの角を丸くした形状である
    ことを特徴とする請求項8に記載の蒸着用マスク。
  10. 前記第1領域に形成される前記第1開口は品質管理用のパターンを形成するための開口であり、
    前記第2領域に形成される前記第2開口は前記第1開口の周辺の応力を緩和するための開口である
    ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の蒸着用マスク。
  11. 上部電極と機能層とのうち1以上を気相成長法により成膜する有機EL表示パネルの製造方法であって、
    基板上に画素電極を形成する工程と、
    前記画素電極上方に気相成長法により気相成膜層を形成する工程を含む工程とを含み、
    前記気相成膜層を形成する工程において、第1方向に長尺な形状で、第1開口と、前記開口に対して前記第1方向に隣接し、前記第1方向に直交する第2方向の幅が前記第1開口より小さく、前記第2方向に長尺の第2開口とが開設された蒸着用マスクを前記第1方向に張力が加わった状態で使用し、
    前記気相成膜層を形成する工程により、前記第1開口を用いて、前記基板上において前記有機EL表示パネルの表示領域外方表面に気相成膜層の品質管理用パターンを形成する
    ことを特徴とする有機EL表示パネルの製造方法。
  12. 前記気相成長法は、真空蒸着法、スパッタリング、CVD、ALDのいずれかである
    ことを特徴とする請求項11に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
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