JP2019021569A - 有機el表示パネル、有機el表示装置、および、製造方法 - Google Patents

有機el表示パネル、有機el表示装置、および、製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発光層と機能層とのうち少なくとも1層を塗布法で形成する有機EL表示パネルにおいて好適な隔壁構造を有する有機EL表示パネル、および、その製造方法を提供する。【解決手段】有機EL表示パネルであって、基板と、前記基板上に複数並設され、それぞれが一方向に延伸する複数の隔壁と、隣り合う前記隔壁間の隔壁間隙の各々において、前記一方向に沿って配された複数の画素電極と、前記画素電極の上方において、前記隔壁間隙に形成された、有機発光材料を含む発光層と、前記発光層の上方に配設される対向電極とを備え、前記隔壁のそれぞれは、下部隔壁層と、前記下部隔壁層上に配され、フッ素系樹脂で形成される上部隔壁層とを含み、前記上部隔壁層の下面は、前記下部隔壁層の上面より前記隔壁間隙側に広がる庇構造を形成しており、前記発光層は、前記下部隔壁層の側面部に接し、かつ、前記上部隔壁層の表面に接しないように形成されている。【選択図】図3

Description

本開示は、有機材料の電界発光現象を利用した有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた有機EL表示パネル、有機EL表示装置、および、その製造方法に関する。
近年、表示装置に有機EL素子を利用したものが普及しつつある。
有機EL素子は、陽極と陰極との間に、少なくとも発光層が挟まれた構造を有している。現在、発光層や機能層を効率よく形成する方法として、機能性材料を含むインクをインクジェット法等のウェットプロセスで塗布して形成することが行われている。ウェットプロセスでは、真空蒸着装置と比較して製造装置が小型化することができ、また、機能性材料を蒸着する際に使用するシャドウマスクを使用する必要がない。そのため、シャドウマスクの位置合わせ等の作業が必要なく、大型パネルの生成や量産性を考慮したパネルサイズを混合したような大型基板の製造も容易となり、効率の良いパネル生成に適した特徴がある。また蒸着法と異なり、インクジェット法では、高価な発光材料等の機能性材料の使用効率が向上することより、パネル製造コストの低減が可能となる。
一方、発光層および機能層を形成するための発光材料や機能性材料を溶解したインクを塗り分け印刷するためにはバンクと呼ばれるサブピクセルごとに形成した隔壁が必要となる。このような隔壁を形成する場合に、特許文献1や特許文献2に開示されているように、隔壁の上部と下部とが異なる材料を用いる構成がある。
特開2007−220656号公報 特開2007−80765号公報
隔壁の上部と下部とを異なる材料で形成する場合において、隔壁下部を親液性の材料で形成し、隔壁間の開口部において隔壁上部と隔壁下部との境界高さを最も狭くする、いわゆる「庇構造」の隔壁を形成する手法がある。このようにすることで、庇部分の下側となる、隔壁下部と発光層または機能層との接触面の濡れ性が向上し、開口部全体に機能性材料を含むインクを行き渡らせることができる。これらの提案における構造においては、庇の裏側が親液性となるため、すなわち、隔壁下部と隔壁上部との境界となる高さ以下となる領域では、インクの乾燥時において、庇部裏側にインクが付着した状態となり、インク液面表面が下がってもインクと隔壁との接触点が下がらず、発光層や機能層の端部が隔壁側面に沿ってせり上がる現象が発生しやすい。これにより、開口部、いわゆるサブピクセル内に塗布された発光層や機能層の膜厚が不均質となり、発光特性の向上が困難となる課題となる。具体的には、平坦な膜と比較して、寿命が短くなる、視野角の変化が発生する、などの問題がある。
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、発光層と機能層とのうち少なくとも1層を塗布法で形成する有機EL表示パネルにおいて好適な隔壁構造を有する有機EL表示パネル、および、その製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る有機EL表示パネルは、基板と、前記基板上に複数並設され、それぞれが一方向に延伸する複数の隔壁と、隣り合う前記隔壁間の隔壁間隙の各々において、前記一方向に沿って配された複数の画素電極と、前記画素電極の上方において、前記隔壁間隙に形成された、有機発光材料を含む発光層と、前記発光層の上方に配設される対向電極とを備え、前記隔壁のそれぞれは、下部隔壁層と、前記下部隔壁層上に配され、フッ素系樹脂で形成される上部隔壁層とを含み、前記上部隔壁層の下面は、前記下部隔壁層の上面より前記隔壁間隙側に広がる庇構造を形成しており、前記発光層は、前記下部隔壁層の側面部に接し、かつ、前記上部隔壁層の表面に接しないように形成されている。
上記態様の有機EL表示パネルによれば、庇構造裏側部が撥液性を示すため上部隔壁層による濡れ上がりを抑止しピンニング位置を下部隔壁層の側壁表面まで低くできるため、発光層や機能層の膜厚を均一化させることができ、所望の発光特性を得ることができる。
実施の形態に係る有機EL表示パネル100の構成を模式的に示す断面図である。 実施の形態に係る有機EL表示パネル100の構成を模式的に示す平面図である。 実施の形態および比較例のそれぞれにおいて塗布法により発光層を形成した状態を示す部分断面図である。 実施の形態に係る隔壁14の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図である。 実施の形態に係る隔壁14の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図である。 実施の形態に係る隔壁14の製造過程を示すフローチャートである。 実施の形態に係る有機EL表示パネル100の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図である。(a)は、基材上にTFT層が形成された状態を示す部分断面図である。(b)は、TFT層上に層間絶縁層が形成された状態を示す部分断面図である。(c)は、層間絶縁層上に画素電極材料層が形成された状態を示す部分断面図である。(d)は、画素電極材料層がパターニングされて画素電極が形成された状態を示す部分断面図である。(e)は、画素電極および層間絶縁層上に隔壁が形成された状態を示す部分断面図である。 実施の形態に係る有機EL表示パネル100の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図である。(a)は、隔壁の開口部内に正孔注入層が形成された状態を示す部分断面図である。(b)は、隔壁の開口部内に正孔輸送層が形成された状態を示す部分断面図である。(c)は、隔壁の開口部内において発光層が形成された状態を示す部分断面図である。 実施の形態に係る有機EL表示パネル100の製造過程の一部を模式的に示す部分断面図である。(a)は、隔壁上および発光層上に電子輸送層が形成された状態を示す部分断面図である。(b)は、電子輸送層上に電子注入層が形成された状態を示す部分断面図である。(c)は、電子注入層上に対向電極が形成された状態を示す部分断面図である。(d)は、対向電極上に封止層が形成された状態を示す部分断面図である。 実施の形態に係る有機EL表示パネル100の製造過程を示すフローチャートである。 実施の形態に係る有機EL表示装置の概略構成を示す模式ブロック図である。
≪本開示の態様≫
本開示の一態様に係る有機EL表示パネルは、基板と、前記基板上に複数並設され、それぞれが一方向に延伸する複数の隔壁と、隣り合う前記隔壁間の隔壁間隙の各々において、前記一方向に沿って配された複数の画素電極と、前記画素電極の上方において、前記隔壁間隙に形成された、有機発光材料を含む発光層と、前記発光層の上方に配設される対向電極とを備え、前記隔壁のそれぞれは、下部隔壁層と、前記下部隔壁層上に配され、フッ素系樹脂で形成される上部隔壁層とを含み、前記上部隔壁層の下面は、前記下部隔壁層の上面より前記隔壁間隙側に広がる庇構造を形成しており、前記発光層は、前記下部隔壁層の側面部に接し、かつ、前記上部隔壁層の表面に接しないように形成されている。
また、本開示の一態様に係る有機EL表示パネルの製造方法は、基板を準備する工程と、前記基板の上方において、互いに交差する第1方向及び第2方向に沿って複数の画素電極を形成する工程と、前記基板の上方において、前記第2方向に前記画素電極を区画するように、前記第1方向に沿って、隔壁を複数形成する工程と、前記画素電極の上方かつ前記隔壁間の間隙に、発光材料を含むインクを塗布することで発光層を形成する工程と、前記発光層の上方に対向電極を形成する工程とを含み、前記隔壁のそれぞれは、下部隔壁層と、前記下部隔壁層上に配され、フッ素系樹脂で形成される上部隔壁層とを含み、前記隔壁を複数形成する工程において、前記上部隔壁層の下面を、前記下部隔壁層の上面より前記隔壁間隙側に広がる庇構造に形成し、前記基板を基準としたとき、前記下部隔壁層の上面の高さを、前記発光層の上面の高さより高くする。
上記態様の有機EL表示パネル、または、上記態様の製造方法によれば、上部隔壁層による濡れ上がりを抑止しピンニング位置を下部隔壁層の側壁表面まで低くできるため、発光層や機能層の膜厚を均一化させることができ、所望の発光特性を得ることができる。
また、上記態様の有機EL表示パネル、または、上記態様の製造方法において、以下のようにしてもよい。
前記隔壁間隙における前記下部隔壁層の表面は、前記上部隔壁層の表面に対し、撥液性が低い、としてもよい。
これにより、下部隔壁層の上面より低い高さの範囲については隔壁層表面の濡れ性がよくなるため、下方向の毛細管力が発生し、これによりピンニング位置が下がり均質な発光層を形成することができる。
これにより、下部隔壁層表面の濡れ性を向上させることができる。
また、下部隔壁層は、絶縁性の無機材料からなる、としてもよい。
これにより、下部隔壁層表面の濡れ性が向上するとともに、上部隔壁層の形成プロセスの影響を受けることなく、下部隔壁層を形成することができる。
また、前記発光層は有機発光材料を含むインクの塗布によって形成され、前記上部隔壁層の表面、すなわち上部隔壁部頂部、側壁部、庇部における前記インクの接触角は、30°以上であればよく、より好ましくは50°以上である、としてもよい。
これにより、機能性材料を含むインクが隔壁頂部を濡れ拡がることで隣接するサブピクセルへのインク混合や混色が発生することを抑止する機能は損なわれなく、インクが上部隔壁層の表面に付着することによる濡れ上がり現象の発生を抑止することができる。
≪実施の形態≫
本発明の一態様である有機EL表示パネルについて説明する。
図1は、実施の形態に係る有機EL表示パネル100の部分断面図である。有機EL表示パネル100は、3つの色(赤色、緑色、青色)を発光する有機EL素子1(R)、1(G)、1(B)で構成される画素を複数備えている。
有機EL表示パネル100において、各有機EL素子1は、前方(図1における紙面上方)に光を出射するいわゆるトップエミッション型である。
有機EL素子1(R)と、有機EL素子1(G)と、有機EL素子1(B)は、ほぼ同様の構成を有するので、区別しないときは、有機EL素子1として説明する。
図1に示すように、有機EL素子1は、基板11、層間絶縁層12、画素電極13、隔壁14、正孔注入層15、正孔輸送層16、発光層17、電子輸送層18、電子注入層19、対向電極20、および、封止層21を備える。隔壁14は、下部隔壁層14aと上部隔壁層14bとからなる。なお、基板11、層間絶縁層12、電子輸送層18、電子注入層19、対向電極20、および、封止層21は、画素ごとに形成されているのではなく、有機EL表示パネル100が備える複数の有機EL素子1に共通して形成されている。
図2は、有機EL表示パネル100の模式平面図である。図2に示すように、実施の形態に係る有機EL表示パネル100は、所謂ラインバンク構造を採用している。すなわち、有機EL表示パネル100は、各々がX方向に長尺で、Y方向に互いに間隔をあけて配置された複数条の隔壁14と、各々がY方向に長尺で、X方向に互いに間隔をあけて配置された複数条の副壁14dとを備える。なお、図1は、図2のA−A断面図に相当する。
隣接する一対の隔壁第14と、隣接する一対の副壁14dとで規定される領域に、有機EL素子1(R)、1(G)、1(B)のいずれかが形成され、そのそれぞれがサブピクセルとなる。各サブピクセルのY方向の長さは、例えば、300μmである。
以下、有機EL表示パネル100の各部構成について説明する。
<基板>
基板11は、絶縁材料である基材111と、TFT(Thin Film Transistor)層112とを含む。TFT層112には、画素ごとに駆動回路が形成されている。基材111は、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素などの半導体基板、プラスチック基板等を採用することができる。プラスチック材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂を用いてもよい。例えば、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリサルホン(PSu)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられる。これらよりプロセス温度に対して耐久性を有するように選択し、1種、または2種以上を積層した積層体を用いることができる。
<層間絶縁層>
層間絶縁層12は、基板11上に形成されている。層間絶縁層12は、樹脂材料からなり、TFT層112の上面の段差を平坦化するためのものである。樹脂材料としては、例えば、ポジ型の感光性材料が挙げられる。また、このような感光性材料として、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。また、図1の断面図には示されていないが、層間絶縁層12には、画素ごとにコンタクトホールが形成されている。
<画素電極>
画素電極13は、光反射性の金属材料からなる金属層を含み、層間絶縁層12上に形成されている。画素電極13は、画素ごとに設けられ、層間絶縁層12に設けられたコンタクトホールを通じてTFT層112と電気的に接続されている。
本実施形態においては、画素電極13は、陽極として機能する。
光反射性を具備する金属材料の具体例としては、Ag(銀)、Al(アルミニウム)、アルミニウム合金、Mo(モリブデン)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCr(モリブデンとクロムの合金)、MoW(モリブデンとタングステンの合金)、NiCr(ニッケルとクロムの合金)などが挙げられる。
画素電極13は、金属層単独で構成してもよいが、金属層の上に、ITO(酸化インジウム錫)やIZO(酸化インジウム亜鉛)のような金属酸化物からなる層を積層した積層構造としてもよい。
<隔壁>
隔壁14は、画素電極13の上面の一部の領域を露出させ、その周辺の領域を被覆した状態で画素電極13上に形成されている。画素電極13上面において隔壁14で被覆されていない領域(以下、「開口部」という)は、サブピクセルに対応している。すなわち、隔壁14は、サブピクセルごとに設けられた開口部14cを有する。
本実施の形態において、隔壁14は、画素電極13が形成されていない部分では、層間絶縁層12上に形成されている。すなわち、画素電極13が形成されていない部分では、隔壁14の底面は層間絶縁層12の上面と接している。
隔壁14は、正孔注入層15や正孔輸送層16、発光層17を塗布法で形成する際、塗布されたインクがあふれ出ないようにするための構造物として機能する。隔壁14は、下部隔壁層14aと、その上部に形成される上部隔壁層14bとからなる。上部隔壁層14bは、その全体がフッ素を含有する絶縁性の有機材料からなる。一方、下部隔壁層14aは、上部隔壁層14bの材料より撥液性の低い絶縁性の材料からなり、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂などの有機材料や、酸化シリコンなどの無機材料からなる。上部隔壁層14bの形状は、四角錐台上であり、断面は上方を先細りとする順テーパーの台形状である。下部隔壁層14aの形状は、四角錐台上であり、断面は上方を先細りとする順テーパーの台形状である。なお、上部隔壁層14bの下面は、下部隔壁層14aの上面に対し、開口部14c側に広がる庇構造を形成している。すなわち、下部隔壁層14aと上部隔壁層14bとの境界面において、上部隔壁層14bの下面の一部が下部隔壁層14aに覆われず開口部14cに直接面している。
<副壁>
副壁14dは、画素電極13の上面の一部の領域を露出させ、その周辺の領域を被覆した状態で画素電極13上に形成されている。副壁14dの延伸する方向は、隔壁14が延伸する方向と直交している。副壁14dのそれぞれは、複数の開口部14cにわたって形成されており、開口部14c内において、隣接する画素電極13を区画している。
本実施の形態において、副壁14dは、画素電極13が形成されていない部分では、層間絶縁層12上に形成されている。すなわち、画素電極13が形成されていない部分では、副壁14dの底面は層間絶縁層12の上面と接している。
副壁14dは、正孔注入層15や正孔輸送層16、発光層17を塗布法で形成する際、塗布されたインクの列方向(Y方向)への流動を規制するためのものである。副壁14dの形状は、四角錐台上であり、断面は上方を先細りとする順テーパーの台形状である。また、層間絶縁層12からの副壁14dの高さは、層間絶縁層12からの隔壁14の高さよりも低い。副壁14dは、樹脂材料からなり、例えば、ポジ型の感光性材料を用いることができる。このような感光性材料として、具体的には、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。なお、副壁14dの表面はフッ素系化合物およびフッ素系樹脂を含まない。
<正孔注入層>
正孔注入層15は、画素電極13から発光層17への正孔(ホール)の注入を促進させる目的で、画素電極13上に設けられている。正孔注入層15の材料の具体例としては、例えば、PEDOT/PSS(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料が挙げられる。
なお、正孔注入層15は、遷移金属の酸化物で形成してもよい。遷移金属の具体例としては、Ag(銀)、Mo(モリブデン)、Cr(クロム)、V(バナジウム)、W(タングステン)、Ni(ニッケル)、Ir(イリジウム)などである。遷移金属は複数の酸化数を取るため、複数の準位を取ることができ、その結果、正孔注入が容易になり、駆動電圧の低減に寄与するからである。この場合、正孔注入層15は、大きな仕事関数を有することが好ましい。
<正孔輸送層>
正孔輸送層16は、正孔注入層15から注入された正孔を発光層17へ輸送する機能を有し、正孔を正孔注入層15から発光層17へと効率よく輸送するため、正孔移動度の高い有機材料で形成されている。正孔輸送層16の形成は、有機材料溶液の塗布および乾燥により行われる。正孔輸送層16を形成する有機材料としては、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはポリアリールアミンやその誘導体等の高分子化合物を用いることができる。
また、正孔輸送層16はトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、ブタジエン化合物、ポリスチレン誘導体、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、テトラフェニルベンゼン誘導体を用いて形成されてもよい。特に好ましくは、ポリフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物等を用いてもよい。この場合、正孔輸送層16は、真空蒸着法により形成される。
<発光層>
発光層17は、開口部14c内に形成されている。発光層17は、正孔と電子の再結合によりR、G、Bの各色の光を出射する機能を有する。発光層17の材料としては、公知の材料を利用することができる。
発光層17に含まれる有機発光材料としては、例えば、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物およびアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質を用いることができる。また、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウムなどの燐光を発光する金属錯体等の公知の燐光物質を用いることができる。また、発光層17は、ポリフルオレンやその誘導体、ポリフェニレンやその誘導体、あるいはポリアリールアミンやその誘導体等の高分子化合物等、もしくは前記低分子化合物と前記高分子化合物の混合物を用いて形成されてもよい。
なお、発光層17は、塗布法により形成される発光層/機能層としては、最も対向電極側に位置する層であり、その上面は下部隔壁層14aの上面より低い。すなわち、発光層17は、下部隔壁層14aと接触しているが、上部隔壁層14bとは直接接触していない。
<電子輸送層>
電子輸送層18は、複数の画素に共通して発光層17および隔壁14上に形成されており、対向電極20から注入された電子を発光層17へと輸送する機能を有する。電子輸送層18は、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などを用い形成されている。
<電子注入層>
電子注入層19は、電子輸送層18上に複数の画素に共通して設けられており、対向電極20から発光層17への電子の注入を促進させる機能を有する。
電子注入層19は、例えば、電子輸送性を有する有機材料に、電子注入性を向上させる金属材料がドープされてなる。ここで、ドープとは、金属材料の金属原子または金属イオンを有機材料中に略均等に分散させることを指し、具体的には、有機材料と微量の金属材料を含む単一の相を形成することを指す。なお、それ以外の相、特に、金属片や金属膜など、金属材料のみからなる相、または、金属材料を主成分とする相は、存在していないことが好ましい。また、有機材料と微量の金属材料を含む単一の相において、金属原子または金属イオンの濃度は均一であることが好ましく、金属原子または金属イオンは凝集していないことが好ましい。金属材料としては、アルカリ金属、または、アルカリ土類金属から選択されることが好ましく、BaまたはLiがより好ましい。本実施の形態では、Baが選択される。また、電子注入層19における金属材料のドープ量は5〜40wt%が好ましい。本実施の形態では、20wt%である。電子輸送性を有する有機材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などのπ電子系低分子有機材料が挙げられる。
なお、電子注入層19は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属から選択される金属のフッ化物層を発光層17側に有していてもよい。
<対向電極>
対向電極20は、複数の画素に共通して電子注入層19上に形成されており、陰極として機能する。
対向電極20は、透光性と導電性とを兼ね備えており、金属材料で形成された金属層、金属酸化物で形成された金属酸化物層のうち少なくとも一方を含んでいる。透光性を確保するため、金属層の膜厚は1nm〜50nm程度である。金属層の材料としては、例えば、Ag、Agを主成分とする銀合金、Al、Alを主成分とするAl合金が挙げられる。Ag合金としては、マグネシウム−銀合金(MgAg)、インジウム−銀合金が挙げられる。Agは、基本的に低抵抗率を有し、Ag合金は、耐熱性、耐腐食性に優れ、長期にわたって良好な電気伝導性を維持できる点で好ましい。Al合金としては、マグネシウム−アルミニウム合金(MgAl)、リチウム−アルミニウム合金(LiAl)が挙げられる。その他の合金として、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金が挙げられる。金属酸化物層の材料としては、例えば、ITO(酸化インジウム錫)、IZO(酸化インジウム亜鉛)が挙げられる。
陰極は、金属層単独、または、金属酸化物層単独で構成してもよいが、金属層の上に金属酸化物層を積層した積層構造、あるいは金属酸化物層の上に金属層を積層した積層構造としてもよい。
<封止層>
対向電極20の上には、封止層21が設けられている。封止層21は、基板11の反対側から不純物(水、酸素)が対向電極20、電子注入層19、電子輸送層18、発光層17等へと侵入するのを防ぎ、不純物によるこれらの層の劣化を抑制する機能を有する。封止層21は、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの透光性材料を用い形成される。また、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成された層の上に、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂材料からなる封止樹脂層を設けてもよい。
本実施の形態においては、有機EL表示パネル100がトップエミッション型であるため、封止層21は光透過性の材料で形成されることが必要となる。
<その他>
なお図1には示されないが、封止層21の上に、封止樹脂を介してカラーフィルタや上部基板を貼り合せてもよい。上部基板を貼り合せることによって、正孔注入層15、正孔輸送層16、発光層17、電子輸送層18、電子注入層19、対向電極20を水分および空気などから保護できる。
<実施の形態に係る隔壁の効果>
以下、模式図を用いて、実施の形態に係る隔壁14と、他の構造を有する隔壁との差異について説明する。図3は、実施例および比較例における発光層の形成を示す模式断面図である。なお、図中の左右方向はX方向、上下方向はZ方向に対応する。なお、実施例と比較例との間で、下部隔壁層の構成に差異はなく、上部隔壁層についても材料およびそれに起因する表面の撥水性のみが異なっている。また、乾燥後の発光層の厚さは、実施例および比較例のいずれにおいても、下部隔壁層の高さより小さい。
図3(b)は、撥液性が低い下部隔壁層14a上に、同様に撥液性が低い上部隔壁層114bを形成した比較例1において、発光層117を塗布法により形成した状態を示す模式断面図である。図3(b)に示すように、上部隔壁層114bの撥液性が低い場合、発光層材料を含むインクにより上部隔壁層114bの側面表面114b11が濡れると、そのインクがその場所にとどまり、そのまま乾燥する。その結果、インクが乾燥してその体積が減少しても、隔壁の側面とインクとの接触位置が画素電極13側に下がってこない、という濡れ上がり現象が生じる。そのため、図3(b)の模式図に示すように、発光層117の端部1172は、発光層117の体積ではなくその材料となる乾燥前のインクの体積に依存した、画素電極13から過度にピンニング位置が高い位置となる。その結果、発光層117の上面1172は、端部が隔壁の側面に沿ってせり上がり、中央部が窪んだ形状となる。そのため、発光層117の膜厚が均一とならない、という課題が生じる。さらに、上部隔壁層114bの頂部の撥液性が低いと、乾燥前のインクが上部隔壁層114bを乗り越える危険性が上昇する。すなわち、インクの混合、特に、有機発光材料の混合による混色が発生する危険性が上昇する。
これに対し、図3(c)は、図3(b)の比較例1において上部隔壁層114bの上面と側面に撥液性を付与した比較例2における、発光層117を塗布法により形成した状態を示す模式断面図である。撥液性の付与は、例えば、CF4のプラズマ処理等によりフッ素化処理を施すこと、あるいは、フッ素系化合物を含有するコーティング材、もしくはフッ素系樹脂でコーティングする、などにより、上面と側面にフッ素コーティング114b1を形成する方法がある。この場合、図3(c)に示すように、上部隔壁層114bの側面の撥液性が向上するため、インクが隔壁の側面に付着する可能性を低くすることができる。一方で、上部隔壁層114bの下面において下部隔壁層14aに覆われていない部分114b2については、上部隔壁層114bの影となるため、表面処理によりフッ素コーティング114b1を形成することが困難である。そのため、上部隔壁層114bの下面114b3の撥液性が不十分となり、インクによる濡れが発生すると、そのインクがその場所にとどまり、そのまま乾燥する。その結果、上部隔壁層114bの下面と側面との境界、すなわち、フッ素コーティング114b1の下面外周114b2がピンニング位置となる。そのため、発光層217の上面2172は、端部が上部隔壁層114bの下面外周114b2に張り付くようにせり上がり、中央部が窪んだ形状となる。そのため、発光層217の膜厚が均一とならない、という課題が生じる。
これらの構成に対し、図3(a)は、実施の形態に係る隔壁14を形成し、発光層117を塗布法により形成した状態を示す模式断面図である。この場合、上部隔壁層14bの側面14b1は、図3(c)に示す比較例2における上部隔壁層114bの側面114b1と同様に撥液性が高いため、インクが隔壁の側面に付着する可能性を低くすることができる。さらに、実施の形態に係る隔壁14はその全体が撥液性を有しているため、上部隔壁層14bの下面において下部隔壁層14aに覆われていない部分14b2においても撥液性が高く、インクの濡れが起こりにくい。したがって、上部隔壁層14bの表面ではいずれの場所においてもインクの濡れが起こりにくく、濡れ上がりが発生しづらい。その結果、隔壁14側面のインク液面端部は、下部隔壁層14aの側壁上まで下がることとなる。したがって、発光層の濡れ上がりは比較例1、2と比べて起こりにくく、また、起こってもピンニング位置は上部隔壁層14bに接触しない低い位置となるためその程度は比較例1、2と比べて小さい。したがって、実施例に係る隔壁14の内側に塗布法により発光層を形成する際、上面が平坦となるように発光層17が形成される。
なお、上部隔壁層14bの側面14b1にインクがとどまらないためには、上部隔壁層14bの側面14b1における発光層等の材料となるインクの接触角が30°以上であることが好ましく、50°以上であることがより好ましい。このような構成により、上部隔壁層14bの側面14b1にインクがとどまって乾燥することによる、上部隔壁層14bの側面14b1でピンニングが発生することを抑止することができる。
以上説明したように、実施の形態に係る隔壁構造は、発光層および/または機能層を塗布法で形成時、インクをあふれ出させない構造物として好適である上、膜厚を均一化して有機EL素子の特性向上においても好適である。
2.有機EL素子1の製造方法
<隔壁の製造方法>
次に、有機EL表示パネル100の製造方法について、図面を用い説明する。
まず、隔壁14の製造方法について、詳細に説明する。図4、図5は、隔壁14の製造における各工程での状態を示す模式断面図である。図6は、隔壁14の製造方法を示すフローチャートである。
(1)下部隔壁材料層1410の形成
図7(d)に示すように、基板11上に層間絶縁層12、画素電極13を形成する(詳細は後述する)。次に、図4(a)に示すように、層間絶縁層12と画素電極13とを覆うように下部隔壁材料層1410を形成する(ステップS110)。下部隔壁材料層1410は、例えば、絶縁体の有機材料であるアクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂が用いられる。具体的には、例えば、フェノール樹脂を溶媒(例えば、PGMEAや乳酸エチルとGBLの混合溶媒)に溶解させた溶液を画素電極13上および層間絶縁層12上にスピンコート法などを用いて一様に塗布することにより形成される。または、下部隔壁材料層1410は、例えば、絶縁体の無機材料である酸化シリコンが用いられる。具体的には、例えば、シランまたはシラン化合物と酸素とを混合したガスを用いて、プラズマCVD法により酸化シリコン層が形成される。なお、絶縁体の無機材料は、反応性スパッタ法等、他の方法で形成してもよい。
(2)上部隔壁材料層1420の形成
次に、図4(b)に示すように、下部隔壁材料層1410上に、上部隔壁材料層1420を形成する(ステップS120)。上部隔壁材料層1420は、例えば、フッ素を含有するポリオレフィンなどフッ素樹脂や、フッ素化合物を添加した有機材料が用いられる。具体的には、例えば、フッ素樹脂を溶媒に溶解させた溶液を下部隔壁材料層1410上にスピンコート法などを用いて一様に塗布することにより形成される。
(3)フォトレジスト層290の形成
次に、図4(c)に示すように、上部隔壁材料層1420上にフォトレジスト層290を形成する(ステップS130)。フォトレジスト層290は、例えば、ポジ型の感光性材料であるアクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂が用いられる。具体的には、例えば、隔壁用樹脂であるフェノール樹脂を溶媒(例えば、乳酸エチルとGBLの混合溶媒)に溶解させた溶液を上部隔壁材料層1420上にスピンコート法などを用いて一様に塗布することにより形成される。このとき、上部隔壁材料層1420にフォトレジスト層290を塗布するためには、フォトレジスト層溶液にフッ素系界面活性剤を適宜添加することで可能となる。
(4)パターニング
次に、図4(d)に示すように、フォトマスク201を用いてフォトレジスト層220をパターン露光する(ステップS140)。続けて、図5(a)に示すように、現像によって未硬化のフォトレジスト層220を取り除きレジストマスク29を形成する(ステップS150)。
(5)上部隔壁層14bの成形
次に、図5(b)に示すように、レジストマスク29間に露出した上部隔壁材料層1420をエッチングにより除去し、レジストマスク29直下に上部隔壁層1420を形成する(ステップS160)。エッチングの方法としては、ガスを用いたドライエッチングでもよいし、溶剤を用いたウェットエッチングでもよい。
(6)下部隔壁層14aの成形
次に、図5(c)に示すように、上部隔壁層14b間に露出した各隔壁材料層1410をオーバーエッチングにより除去し、上部隔壁層14b直下に下部隔壁層14aを形成する(ステップS170)。ここで、オーバーエッチングとは、X方向において、成形後の下部隔壁層14aの間に形成される空隙の幅が上部隔壁層14b間の空隙よりも広くなるまでエッチングを行うことを指す。エッチングの方法としては、ガスを用いたドライエッチングでもよいし、溶剤を用いたウェットエッチングでもよい。
(7)レジストマスク29の除去
最後に、図5(d)に示すように、レジストマスク29を除去することにより(ステップS180)、隔壁が完成する。このように、本実施形態に係る有機EL表示パネル100においては、隔壁が上部隔壁層と下部隔壁層とからなり、上部隔壁層はフッ素系化合物を含み、または、フッ素系樹脂からなり、下部隔壁層の材料は上部隔壁層の材料より撥液性が低く、隣接する下部隔壁層の間隔は隣接する上部隔壁層の間隔より大きく、形成される発光層の上面は下部隔壁層の上面より低いことを特徴とする。この特徴により、機能層や発光層の材料となるインクが上部隔壁層の表面にとどまることを抑止し、均質な膜厚の機能層や発光層を形成することができる。
<補足>
隔壁14の形成方法においては、上部隔壁層14bの成形後、下部隔壁層14aの成形を行ってからレジストマスク29の除去を行うとした。しかしながら、上部隔壁層14bの成形後、レジストマスク29の除去を行った後に下部隔壁層14aの成形を行うとしてもよい。エッチングにより下部隔壁層14aを成形する際、成形後の上部隔壁層14bがマスクとして機能するため、レジストマスク29が上部隔壁層14b上に存在している必要はないからである。
また、発光層以外の機能層、例えば、正孔注入層や正孔輸送層等を塗布法により形成する場合、塗布法で形成される発光層、機能層のうち、最も対向電極側に位置する層における対向電極側の面(上面)の高さが、下部隔壁層14aの高さより低くなるように下部隔壁層14aの高さを設計する。これにより、発光層のみならず、塗布法により形成される機能層についても、均質な膜厚とすることができる。
<有機EL表示パネルの製造方法>
次に、有機EL表示パネル100全体の製造方法について、図面を用い説明する。図7〜図9は、有機EL表示パネル100の製造における各工程での状態を示す模式断面図である。また、図10は、有機EL表示パネル100の製造方法を示すフローチャートである。
(1)基板11の作成
まず、図7(a)に示すように、基材111上にTFT層112を成膜して基板11を形成し、(図10のステップS1)。TFT層112は、公知のTFTの製造方法により成膜することができる。
次に、図7(b)に示すように、基板11上に層間絶縁層12を形成する(図10のステップS2)。層間絶縁層12は、例えば、プラズマCVD法、スパッタリング法などを用いて積層形成することができる。
次に、層間絶縁層12における、TFT層のソース電極上の箇所にドライエッチングを行い、コンタクトホールを生成する。コンタクトホールは、その底部にソース電極の底面が露出されるように形成される。
次に、コンタクトホールの内壁に沿って接続電極層を形成する。接続電極層の上部は、その一部が層間絶縁層12上に配される。接続電極層の形成は、例えば、スパッタリング法を用いることができ、金属膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法およびウェットエッチング法を用いパターニングすることがなされる。
(2)画素電極13の作成
次に、図7(c)に示すように、層間絶縁層12上に画素電極材料層130を形成する(図10のステップS3)。画素電極材料層130は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法などを用いて形成することができる。
そして、図7(d)に示すように、画素電極材料層130をエッチングによりパターニングして、サブピクセルごとに区画された複数の画素電極13を形成する(図7のステップS4)。
(3)副壁14dの作成
次に、画素電極13および層間絶縁層12上に、副壁14dの材料である副壁用樹脂を塗布し、副壁材料層を形成する(図10のステップS5)。副壁用樹脂には、例えば、ポジ型の感光性材料であるフェノール樹脂が用いられる。副壁材料層は、フェノール樹脂を溶媒に溶解させた溶液を画素電極13上および層間絶縁層12上にスピンコート法などを用いて一様に塗布することにより形成される。そして、副壁材料層にパターン露光と現像を行うことで副壁14dを形成する。
(4)隔壁14の作成
次に、図7(e)に示すように、画素電極13および層間絶縁層12上に、隔壁14を形成する(ステップS6)。詳細については上述したのでここでは説明を省略する。
次に、副壁14d、隔壁14の焼成を行い(図10のステップS7)、これにより、発光層17の形成領域となる開口部14cが規定される。副壁14d、隔壁14の焼成は、例えば、150℃以上210℃以下の温度で60分間行う。
(5)正孔注入層の成膜
次に、図8(a)に示すように、隔壁14および副壁14dが規定する開口部14cに対し、正孔注入層15の構成材料を含むインクを、インクジェットヘッド401のノズル4030から吐出して開口部14c内の画素電極13上に塗布し、焼成(乾燥)を行って、正孔注入層15を形成する(図10のステップS8)。
(6)正孔輸送層の成膜
次に、図8(b)に示すように、正孔輸送層16の構成材料を含むインクを、インクジェットヘッド401のノズル4030から吐出して開口部14c内の正孔注入層15上に塗布し、焼成(乾燥)を行って、正孔輸送層16を形成する(図10のステップS9)。
(7)発光層の成膜
次に、図8(c)に示すように、発光層17の構成材料を含むインクを、インクジェットヘッド401のノズル4030から吐出して開口部14c内の正孔注入層15上に塗布し、焼成(乾燥)を行って、発光層17を形成する(図10のステップS10)。
(8)電子輸送層の成膜
次に、図9(a)に示すように、発光層17上および隔壁14上に、電子輸送層18を構成する材料を真空蒸着法またはスパッタリング法により各サブピクセルに共通して成膜し、電子輸送層18を形成する(図10のステップS11)。
(9)電子注入層の成膜
次に、図9(b)に示すように、電子輸送層18上に、電子注入層19を構成する材料を、蒸着法、スピンコート法、キャスト法などの方法により電子輸送層18上に成膜し、各サブ画素に共通して電子注入層19を形成する(図10のステップS12)。
(10)対向電極の成膜
次に、図9(c)に示すように、電子注入層19上に、対向電極20を構成する材料を真空蒸着法またはスパッタリング法により各サブピクセルに共通して成膜し、対向電極20を形成する(図10のステップS13)。
(11)封止層の成膜
最後に、図9(d)に示すように、対向電極20上に、封止層を形成する材料をCVD法またはスパッタリング法により各サブピクセルに共通して成膜し、封止層21を形成する(図10のステップS14)。
以上の工程を経ることにより有機EL表示パネル100が完成する。
なお、封止層21の上にカラーフィルタや上部基板を載置し、接合してもよい。
3.有機EL表示装置の全体構成
図11は、有機EL表示パネル100を備えた有機EL表示装置1000の構成を示す模式ブロック図である。図11に示すように、有機EL表示装置1000は、有機EL表示パネル100と、これに接続された駆動制御部200とを含む構成である。駆動制御部200は、4つの駆動回路210〜240と、制御回路250とから構成されている。
なお、実際の有機EL表示装置1000では、有機EL表示パネル100に対する駆動制御部200の配置については、これに限られない。
4.変形例
(1)上記実施の形態においては、有機EL表示パネルはトップエミッション型であるとして、画素電極が光反射性を有し、対向電極が光透過性を有する場合について説明した。しかしながら、本開示に係る有機EL表示パネルは、いわゆるボトムエミッション型であるとしてもよい。
(2)上記実施の形態においては、有機EL素子1において正孔注入層15、正孔輸送層16、発光層17は全て塗布法により形成されるとしたが、少なくとも1つが塗布法で形成されればよく、それ以外の層は他の方法、例えば、蒸着法、スパッタリング法などにより形成されるとしてもよい。
また、正孔注入層15、正孔輸送層16、電子輸送層18、電子注入層19は必ずしも上記実施の形態の構成である必要はない。いずれか1以上を備えないとしてもよいし、さらにほかの機能層を備えていてもよい。また、例えば、電子輸送層18と電子注入層19に替えて、単一の電子注入輸送層を備える、としてもよい。
また、発光層17と対向電極20との間に、塗布法により形成される層、例えば、中間層等を備えてもよい。この場合において、塗布法により形成される層のうち最も対向電極20側にある層の上面が、下部隔壁層17aと上部隔壁層17bとの境界面より低いことが好ましい。
(3)以上、本開示に係る有機EL表示パネルおよび有機EL表示装置について、実施の形態および変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態および変形例に限定されるものではない。上記実施の形態および変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態および変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
本発明は、発光層、機能層のうち少なくとも1つを塗布法で形成する有機EL表示パネルにおいて、発光層、機能層の膜厚を均一化することにより、発光特性の優れた有機EL表示パネルを製造するのに有用である。
1 有機EL素子
11 基板
12 層間絶縁層
13 画素電極
14 隔壁
14a 下部隔壁層
14b 上部隔壁層
14d 副壁
14c 開口部
15 正孔注入層
16 正孔輸送層
17 発光層
18 電子輸送層
19 電子注入層
20 対向電極
1000 有機EL表示装置

Claims (9)

  1. 基板と、
    前記基板上に複数並設され、それぞれが一方向に延伸する複数の隔壁と、
    隣り合う前記隔壁間の隔壁間隙の各々において、前記一方向に沿って配された複数の画素電極と、
    前記画素電極の上方において、前記隔壁間隙に形成された、有機発光材料を含む発光層と、
    前記発光層の上方に配設される対向電極と
    を備え、
    前記隔壁のそれぞれは、下部隔壁層と、前記下部隔壁層上に配され、フッ素系樹脂で形成される上部隔壁層とを含み、
    前記上部隔壁層の下面は、前記下部隔壁層の上面より前記隔壁間隙側に広がる庇構造を形成しており、
    前記発光層は、前記下部隔壁層の側面部に接し、かつ、前記上部隔壁層の表面に接しないように形成されている
    有機EL表示パネル。
  2. 前記隔壁間隙における前記下部隔壁層の表面は、前記上部隔壁層の表面に対し、撥液性が低い
    請求項1に記載の有機EL表示パネル。
  3. 前記下部隔壁層は、絶縁性の無機材料からなる
    請求項1または2に記載の有機EL表示パネル。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の有機EL表示パネルを備える有機EL表示装置。
  5. 基板を準備する工程と、
    前記基板の上方において、互いに交差する第1方向及び第2方向に沿って複数の画素電極を形成する工程と、
    前記基板の上方において、前記第2方向に前記画素電極を区画するように、前記第1方向に沿って、隔壁を複数形成する工程と、
    前記画素電極の上方かつ前記隔壁間の間隙に、発光材料を含むインクを塗布することで発光層を形成する工程と、
    前記発光層の上方に対向電極を形成する工程と
    を含み、
    前記隔壁のそれぞれは、下部隔壁層と、前記下部隔壁層上に配され、フッ素系樹脂で形成される上部隔壁層とを含み、
    前記隔壁を複数形成する工程において、前記上部隔壁層の下面を、前記下部隔壁層の上面より前記隔壁間隙側に広がる庇構造に形成し、
    前記基板を基準としたとき、前記下部隔壁層の上面の高さを、前記発光層の上面の高さより高くする
    有機EL表示パネルの製造方法。
  6. 前記隔壁間隙における前記下部隔壁層の表面は、前記上部隔壁層の表面に対し、撥液性が低い
    請求項5に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  7. 前記隔壁を複数形成する工程において、前記下部隔壁層を絶縁性の無機材料で形成する
    請求項5または6に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  8. 前記発光層は有機発光材料を含むインクの塗布によって形成され、
    前記上部隔壁層の表面における前記インクの接触角は、30°以上である。
    請求項5から7のいずれか1項に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
  9. 前記上部隔壁層の表面における前記インクの接触角は、50°以上である。
    請求項8に記載の有機EL表示パネルの製造方法。
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WO2023281344A1 (ja) * 2021-07-08 2023-01-12 株式会社半導体エネルギー研究所 表示装置
WO2023144643A1 (ja) * 2022-01-28 2023-08-03 株式会社半導体エネルギー研究所 表示装置、及び表示装置の作製方法

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