JP2021058885A - 下水処理システム - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特開2013−233482号公報等に広く開示されているように、活性汚泥法を適用する廃水処理システムは、基本的には最初沈殿池(なお小規模下水処理システムでは省略する場合がある)と、反応槽と、最終沈殿池とから構成される。そして、活性汚泥法に従って、供給された廃水から最初沈殿池で生汚泥が分離された後、流路を通って供給された廃水に対して反応槽の中で曝気・エアレーションによって酸素を溶解させると同時に攪拌混合し、その中に主に好気性微生物からなる活性汚泥を浮遊滞留させた後、流路を通って供給された最終沈殿池で活性汚泥を沈殿させて、上澄みの水を放流水として流出させる。反応槽は、曝気槽、反応タンク、エアレーションタンク、生物処理槽などと呼ばれることもあり、曝気時間は6〜14時間である。最終沈殿池で沈殿した活性汚泥の一部は、返送汚泥として再び反応槽に戻されて、残りは余剰汚泥として機械濃縮設備で濃縮される。
すなわち、本発明の下水処理システムは、下水のための中継ポンプ場と、最初沈殿池、生物処理槽および最終沈殿池のうち少なくとも生物処理槽および最終沈殿池を備え、下水道管渠を介して、前記中継ポンプ場からの下水を受け、これを処理する下水処理設備とを備えた下水処理システムにおいて、
前記最初沈殿池および最終沈殿池のうち少なくとも最終沈殿池に接続され、最初沈殿池からの余剰汚泥および最終沈殿池からの返送汚泥のうち少なくとも最終沈殿池からの返送汚泥を受け、これを脱水するための脱水手段、
この脱水手段からの脱水汚泥を、温度を60℃〜110℃に保った状態で、酸素を供給して、前記脱水汚泥中のグラム陽性の好気性微生物により好気性発酵させ、これによりグラム陰性の嫌気性および通性嫌気性微生物を分解死滅させるとともに、この好気性発酵以降に生成された好気性微生物の芽胞を含有する微生物資材を製造する微生物資材製造装置、
後述する微生物活性化装置に、該下水処理システムの系のいずれかからの水を給送するための水給送手段、
後述する微生物活性化装置に、酸素を供給するための酸素供給手段、および
前記微生物資材製造装置からの微生物資材を受け、かつ前記酸素供給手段からの酸素、および前記水給送手段からの水の供給を受けると共に、この水の温度を10℃〜40℃に、酸素濃度を1〜10mg/Lに維持して、前記微生物資材の前記芽胞を発芽させて、活性化させ、この活性化された微生物資材を前記中継ポンプ場に供給する微生物活性化装置を備え、
前記好気性微生物が、フィルミクテス門のグラム陽性のバシラス綱に属するもの、および/または放線菌門のグラム陽性のアクチノバクテリア綱に属するもの、および/またはクロロフレクサス門のグラム陽性菌を含む
ことを特徴とするものである。
前記微生物資材は、それに含まれる微生物のうち、放線菌門のグラム陽性のアクチノバクテリア綱に属するものが最も多い。前記微生物活性化装置へ供給する前記水が、前記下水処理設備により処理済みの水であることが好ましい。前記微生物活性化装置へ供給する前記水は、前記下水処理設備が、前記最終沈殿池からの水を消毒するための消毒槽を備えている場合、この消毒槽における消毒前の水であることが好ましい。
前記水給送手段からの水の温度は、15℃〜40℃の範囲に維持される。また、前記水給送手段からの水は、前記芽胞の発芽に必要な栄養素を備えていることが好ましい。前記酸素供給手段からの酸素は、通常、空気の形態で供給される
前記嫌気性および通性嫌気性微生物としては、腸内に存在するプロテオバクテリア門のグラム陰性の硫酸塩還元菌を含むもの、および/またはバクテロイデス門のグラム陰性のものが挙げられる。
下水の酸素濃度が増大した結果、嫌気性細菌である硫酸塩還元菌を失活化させ硫化水素の生成を抑制する結果として、硫酸生成菌の抑制により硫酸の生成の防止を行うとともに、好気性微生物により、中継ポンプ場直下からの下水管渠の壁面のバイオフィルム内細菌条件を良好な状態に改善させることができ、これによって、硫酸の発生を抑制し、下水管渠の腐食を防止し、長寿命化するとともに、前記好気性微生物の活動により下水自体の清浄化を図り、後の設備の負担を軽減することができる。
第1水給送手段72からの水中の溶存酸素量が不足している場合には、第1酸素供給手段74から酸素を供給する。この供給される酸素は、空気の形で供給されても良い。この場合、酸素発生装置や酸素タンクを特別に設ける必要はない
なお、従来技術(特開2001−271510号公報参照)において、本発明の微生物資材にほぼ相当する発酵物(肥料のための)を下水汚泥に直接添加するものがあるが、その目的は、活性汚泥の沈殿の促進であり、その目的が本発明の目的とは異なっている。また、前記従来技術からは、当該発酵物を前記生物反応槽に直接添加することも考えられるが、前記生物反応槽には、栄養素を優先して消費する他の微生物(グラム陰性菌等)が多く存在し、芽胞の発芽のための栄養素等が枯渇し、あるいは少なくなっているため、生物反応槽に直接添加された芽胞は、発芽することなく、あるいは発芽に長時間を必要とする。したがって、有用微生物の下水処理の機能の発揮は限定的であると思われる。
一方、前記嫌気性および通性嫌気性微生物としては、腸内に存在するプロテオバクテリア門のグラム陰性の硫酸塩還元菌を含むもの、および/またはバクテロイデス門のグラム陰性のものを挙げることができる。
下水の酸素濃度が増大した結果、嫌気性細菌である硫酸塩還元菌を失活化させ硫化水素の生成を抑制する結果として、硫酸生成菌の抑制により硫酸の生成の防止を行うとともに、好気性微生物により、中継ポンプ場直下からの下水管渠の壁面のバイオフィルム内細菌条件を良好な状態に改善させることができ、これによって、硫酸の発生を抑制し、下水管渠の腐食を防止し、長寿命化するとともに、前記好気性微生物の活動により下水自体の清浄化を図り、後の設備の負担を軽減することができる。
20 中継ポンプ場
50 下水処理設備
52 最初沈殿池
54 生物処理槽
56 最終沈殿池
58 消毒槽
60 脱水装置
62 微生物資材製造装置
70 第1微生物活性化装置
72 第1水給送手段
74 第1酸素供給手段
80 第2微生物活性化装置
82 第2水給送手段
84 第2酸素供給手段
100 下水管渠
P ポンプ
Claims (9)
- 下水のための中継ポンプ場と、最初沈殿池、生物処理槽および最終沈殿池のうち少なくとも生物処理槽および最終沈殿池を備え、下水道管渠を介して、前記中継ポンプ場からの下水を受け、これを処理する下水処理設備とを備えた下水処理システムにおいて、
前記最初沈殿池および最終沈殿池のうち少なくとも最終沈殿池に接続され、最初沈殿池からの余剰汚泥および最終沈殿池からの返送汚泥のうち少なくとも最終沈殿池からの返送汚泥を受け、これを脱水するための脱水手段、
この脱水手段からの脱水汚泥を、温度を60℃〜110℃に保った状態で、酸素を供給して、前記脱水汚泥中のグラム陽性の好気性微生物により好気性発酵させ、これによりグラム陰性の嫌気性および通性嫌気性微生物を分解死滅させるとともに、この好気性発酵以降に生成された好気性微生物の芽胞を含有する微生物資材を製造する微生物資材製造装置、
後述する微生物活性化装置に、該下水処理システムの系のいずれかからの水を給送するための水給送手段、
後述する微生物活性化装置に、酸素を供給するための酸素供給手段、および
前記微生物資材製造装置からの微生物資材を受け、かつ前記酸素供給手段からの酸素、および前記水給送手段からの水の供給を受けると共に、この水の温度を10℃〜40℃に、酸素濃度を1〜10mg/Lに維持して、前記微生物資材の前記芽胞を発芽させて、活性化させ、この活性化された微生物資材を前記中継ポンプ場に供給する微生物活性化装置を備え、
前記好気性微生物が、フィルミクテス門のグラム陽性のバシラス綱に属するもの、および/または放線菌門のグラム陽性のアクチノバクテリア綱に属するもの、および/またはクロロフレクサス門のグラム陽性菌を含む
ことを特徴とする下水処理システム。 - 前記前記好気性微生物が、放線菌門のグラム陽性のアクチノバクテリア綱に属するものを含む請求項1の下水処理システム。
- 前記微生物資材は、それに含まれる微生物のうち、放線菌門のグラム陽性のアクチノバクテリア綱に属するものが最も多い請求項2の下水処理システム。
- 前記微生物活性化装置へ供給する前記水が、前記下水処理設備により処理済みの水である請求項1〜3のいずれかの下水処理システム。
- 前記微生物活性化装置へ供給する前記水は、前記下水処理設備が、前記最終沈殿池からの水を消毒するための消毒槽を備えている場合、この消毒槽における消毒前の水である請求項4の下水処理システム。
- 前記水給送手段からの水の温度を15℃〜40℃の範囲に維持する請求項1〜5のいずれかの下水処理システム。
- 前記水給送手段からの水が、前記芽胞の発芽に必要な栄養素を備えている請求項1〜6のいずれかの下水処理システム。
- 前記酸素供給手段からの酸素が、空気の形態で供給される請求項1〜7のいずれかの下水処理システム。
- 前記嫌気性および通性嫌気性微生物が、腸内に存在するプロテオバクテリア門のグラム陰性の硫酸塩還元菌を含むもの、および/またはバクテロイデス門のグラム陰性のものである請求項1〜8のいずれかの下水処理システム。
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