JP2021057612A - インプリント装置、インプリント方法および物品の製造方法 - Google Patents

インプリント装置、インプリント方法および物品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、基板と型の位置合わせに有利なインプリント装置を提供することを目的とする。【解決手段】 本発明のインプリント装置は、基板上のインプリント材に型を接触させた状態で、前記型と前記基板の位置合わせを行って前記インプリント材を硬化させることにより、前記基板上にパターンを形成するインプリント装置であって、前記インプリント材を硬化させる光を照射する光照射部と、前記光照射部の前記光とは波長帯域または強度が異なる光であって、前記インプリント材の粘弾性を高める光を前記インプリント材に照射する手段と、を有し、前記インプリント材の粘弾性を高める光が前記インプリント材に照射された前記基板に対して位置合わせを行うことを特徴とする。【選択図】 図2

Description

本発明は、インプリント装置、インプリント方法および物品の製造方法に関する。
半導体デバイスやMEMSなどの微細化の要求が進み、基板上の未硬化樹脂を型(モールド)で成形し、樹脂のパターンを基板上に形成するインプリント技術の開発が進んでいる。インプリント技術を用いることにより、基板上にナノメートルオーダーの微細な構造体を形成することができる。
インプリント技術の一つに、光硬化法がある。この光硬化法によるインプリント方法では、まず、基板(ウエハ)上に未硬化の光硬化性樹脂(インプリント材)を供給する。次に、基板上の樹脂と型とを接触させる(押印工程)。そして、樹脂と型とを接触させた状態で光(紫外線)を照射する(硬化工程)ことで、樹脂を硬化させる。樹脂を硬化させた後、基板と型との間隔を広げる(離型工程)ことで、硬化した樹脂から型が引き離され基板上に樹脂のパターンが形成される。
インプリント装置では、樹脂と型とを接触させた状態で、基板上に予め形成されているパターン(基板側パターン)の位置と、型に形成されているパターン(型パターン部)の位置とを合わせる必要がある。
この基板側パターンの位置と型パターン部の位置とを合わせるには、型に形成されたアライメントマークと基板に形成されたアライメントマークとを検出することで2つのマークの位置ずれを求め、この位置ずれを補正する(特許文献1)。
特許文献1は、基板上の樹脂を硬化させるための露光時間を複数に分割して間欠的に露光するようにし、露光しない期間にアライメント検出系により基板と型の位置ずれ量を求める。その位置ずれ量に基づいて基板側パターンと型パターン部の位置合わせを行うことで、樹脂を硬化させるための露光中に生じる位置ずれを低減している。
特開2013−168504号公報
一方、型に形成されたパターン(凹凸部)へ樹脂を早く充填させるために、粘弾性の低い樹脂を用いてインプリントしたり、凝縮性ガスの雰囲気中でインプリントしたりすることが提案されている。後者の方法も、樹脂の粘弾性を低下させる効果がある。
しかしながら、粘弾性を低下させると樹脂のせん断力が低くなるため、基板と型の位置合わせを行うとき、インプリント装置を設置した床からの振動等の外乱を受け易く、位置合わせ精度が低下してしまう。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、基板と型の位置合わせに有利なインプリント装置を提供することを目的とする。
本発明のインプリント装置は、基板のショット領域に配置されたインプリント材と型とを接触させた状態で、前記ショット領域と前記型との位置合わせを行って前記インプリント材を硬化させることにより、前記ショット領域にパターンを形成するインプリント装置であって、前記インプリント材の粘弾性を高める第1光と、前記ショット領域の形状を変化させる第2光を選択的に照射する調整手段を有し、前記第2光に対する前記インプリント材の感度は、前記第1光に対する前記インプリント材の感度よりも低く、前記調整手段によって前記第1光が前記ショット領域に照射された状態で、前記ショット領域と前記型との位置合わせが行われることを特徴とする。
本発明によれば、基板と型の位置合わせに有利なインプリント装置を提供することができる。
第1実施形態に係るインプリント装置の構成を示す図である。 第1実施形態に係る予備露光手段の構成および配置を示す図である。 第1実施形態に係るインプリント処理の工程を示す図である。 第4実施形態に係る予備露光手段の構成を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
(インプリント装置について)
図1を用いて、第1実施形態のインプリント装置について説明する。図1は、第1実施形態のインプリント装置1の構成を示す図である。インプリント装置1は、被処理基板としてのウエハ10(基板)上に未硬化の樹脂14(インプリント材)をモールド8(型)で成形し、ウエハ10上に樹脂14のパターンを形成する装置である。この装置は、光(紫外線)の照射によって樹脂(紫外線硬化樹脂)が硬化する光硬化法を採用したインプリント装置である。以下の図において、ウエハ10上の樹脂14に対して紫外線9を照射する照明系の光軸に平行にZ軸とし、Z軸に垂直な平面内(ウエハ10面内)に互いに直交するX軸およびY軸とする。
インプリント装置1は、光照射部2と、モールド保持機構3と、ウエハステージ4と、塗布部5と、予備露光手段6(プリ露光手段)と、制御部7とを備える。
光照射部2は、インプリント処理のうちウエハ10上の樹脂14を硬化させる際に、樹脂14に対して紫外線9を照射する。ここでは、光照射部2からの紫外線9はモールド8を介して(透過して)樹脂14を照射する。光照射部2は、不図示の光源と、光源から照射された紫外線9をインプリントに適切な光の状態(光の強度分布、照明領域など)に調整する光学素子(レンズやミラー、遮光板など)とから構成される。
モールド保持機構3は、モールド8を保持するモールドチャック11と、モールドチャック11を保持し、モールド8(モールドチャック11)を移動させるモールド駆動機構12とを有する。モールドチャック11は、モールド8を真空吸着力や静電力により引き付けることでモールド8を保持し得る。例えば、モールドチャック11が真空吸着力によりモールド8を保持する場合には、モールドチャック11は、不図示の真空ポンプに接続され、この真空ポンプのON/OFFによりモールド8の脱着を切り替える。
モールド8は、外周形状が矩形であり、ウエハ10に対する面には、例えば回路パターンなどの転写すべき凹凸パターンが3次元状に形成されたパターン部8aを含む。また、モールド8の材質は、光照射部2からの光(紫外線9)を透過させることが可能な材質であり、本実施形態では一例として石英とする。さらに、モールド8は、後述するような変形を容易とするために、紫外線9が照射される面に、平面形状が円形で、かつ、ある程度の深さを有するキャビティ(凹部)が形成された形状としてもよい。
また、モールドチャック11およびモールド駆動機構12は、光照射部2から照射された紫外線9がウエハ10に向かうように、中心部(内側)に開口領域13を有する。この開口領域13には、開口領域13の一部とモールド8とで囲まれる空間を密閉空間とする光透過部材(例えばガラス板)が設置され、真空ポンプなどを含む不図示の圧力調整装置により密閉空間内の圧力が調整される。圧力調整装置は、例えば、モールド8のパターン部8aとウエハ10上の樹脂14との接触に際して、密閉空間内の圧力をその外部よりも高く設定することで、モールド8をウエハ10に向かい凸形に撓ませる。モールド8を凸形に撓ませることで、ウエハ10上の樹脂14に対してモールド8のパターン部8aの中心部から接触させることができる。これにより、パターン部8aと樹脂14との間に気体(空気)が残留することを抑え、パターン部8aの凹凸部に樹脂14を隅々まで充填させることができる。
モールド駆動機構12は、モールド8とウエハ10上の樹脂14との接触または引き離しを行うようにモールド8をZ軸方向に移動させる。このモールド駆動機構12に採用可能なアクチュエータとしては、例えばリニアモータまたはエアシリンダがある。また、モールド駆動機構12は、モールド8の高精度な位置決めに対応するために、粗動駆動系や微動駆動系などの複数の駆動系から構成されていてもよい。さらにモールド駆動機構12は、Z軸方向だけでなくX軸方向やY軸方向、またはθ(Z軸周りの回転)方向の位置調整機能や、モールド8の傾きを補正するためのチルト機能などを有する駆動系から構成されていてもよい。
なお、インプリント装置1における接触および引き離し動作は、モールド8をZ軸方向に移動させることで実現してもよいが、ウエハステージ4をZ軸方向に移動させることで実現してもよく、または、その双方を相対的に移動させてもよい。
ウエハ10は、例えば、単結晶シリコン基板やSOI(Silicon on Insulator)基板であり、この基板上にパターンを形成する被処理面には、樹脂14として紫外線硬化樹脂が塗布される。
ウエハステージ4(基板ステージ)は、ウエハ10を保持し、モールド8とウエハ10上の樹脂14との接触に際してウエハ面内方向に移動することで、モールド8とウエハ10の位置合わせを実施する。ウエハステージ4は、ウエハ10を吸着力により保持するウエハチャック16と、このウエハチャック16を機械的手段により保持し、各軸方向に移動可能とするステージ駆動機構17とを有する。このステージ駆動機構17に採用可能なアクチュエータとしては、例えばリニアモータや平面モータがある。ステージ駆動機構17も、X軸およびY軸の各方向に対して、粗動駆動系や微動駆動系などの複数の駆動系から構成されていてもよい。さらに、Z軸方向の位置調整のための駆動系や、ウエハ10のθ方向の位置調整機能、またはウエハ10の傾きを補正するためのチルト機能などを有する構成もあり得る。また、ウエハステージ4は、その側面に、X、Y、Zの各方向に対応した複数の参照ミラー(反射部)18を備える。さらに、X、Y、Zの各方向に対応する回転方向を示すωx、ωy、ωzに対応した複数の参照ミラー18を有しても良い。
インプリント装置1には、ウエハステージ4の位置を測定するためにレーザー干渉計19(位置計測手段)を備える。インプリント装置1には、上記の参照ミラー18にそれぞれ対応して複数のレーザー干渉計19を備えていても良い。レーザー干渉計19は、それぞれの参照ミラーに対してビームを照射することで、ウエハステージ4の位置を測定する。レーザー干渉計19は、ウエハステージ4の位置を実時間で計測し、後述する制御部7は、このときの計測値に基づいてウエハ10(ウエハステージ4)を位置決め制御する。また、インプリント装置1には、モールド保持機構3の位置を測定するためのレーザー干渉計19(位置計測手段)を備えていても良い。なお、ウエハステージ4やモールド保持機構3の位置を測定はレーザー干渉計でなくても、リニアスケールやリニアエンコーダなどの測長器を用いても良い。
塗布部5(ディスペンサ)は、インプリント装置1内に設置され、ウエハ10の被処理面には未硬化の樹脂14を供給(塗布)する。インプリント材としての樹脂14は、光の照射により硬化する性質を有する光硬化性樹脂であり、半導体デバイス製造工程などの各種条件により適宜選択される。また、塗布部5には未硬化の樹脂14が吐出される吐出ノズル5aを備えている。吐出ノズル5aから吐出される樹脂14の量や塗布位置は、ウエハ10上に形成される樹脂14の厚さや、ウエハ10上に形成されるパターンの密度などにより適宜決定される。
予備露光手段6は、ウエハ10上に供給された未硬化の樹脂14に対して感度のある波長の光(樹脂が硬化する波長の光)を照射する。樹脂14は、予備露光手段6からの光が照射されることで、粘弾性が高くなる。
ウエハ10上に供給される樹脂14の粘弾性は低いため、樹脂14がモールド8のパターン部8aへ充填しやすい。そのため、パターン部8aに残留する気泡を減らすことができる。しかし、樹脂14の粘弾性が低いと外乱によりモールド8とウエハ10の位置ずれが生じる恐れがあり、モールド8とウエハ10の位置ずれが生じた状態で樹脂14を硬化させると、重ね合わせの精度が低下する。
図2は、インプリント装置1に設けられた予備露光手段6の構成および配置を示す図である。なお、図2において、図1と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。第1実施形態において、予備露光手段6で用いる光源は、未硬化の樹脂14を硬化させるための光(紫外線9)が照射される光照射部2の光源を併用する。ここで、予備露光手段6による予備露光(プリ露光)は、ウエハ10上に樹脂14を供給し、モールド8と樹脂14を接触させた後、紫外線9により樹脂14を硬化させるまでの間に行われる。つまり予備露光は、モールド8とウエハ10の位置合わせの際に行われる。モールド8とウエハ10の位置合わせは、モールドに形成されたパターン部8aに対応するアライメントマークとウエハ10に形成されたパターン20に対応するアライメントマークを検出することで行われる。パターン20は、ウエハ10上予めパターンが形成されているショット領域が含まれる。つまり、モールド8とウエハ10の位置合わせとは、パターン部8aとショット領域と重ね合わせることである。モールド8とウエハ10の位置合わせに、モールド8(パターン部8a)の形状を変える工程が含まれていても良い。
しかし、予備露光に用いる光を、光照射部2から照射された光(紫外線9)をそのまま利用すると、樹脂14に対する光の感度が高いため、モールド8とウエハ10の位置合わせが完了する前に樹脂14が硬化してしまうこともある。
そこで、第1実施形態の予備露光手段6は、光照射部2から照射された光に含まれる一部の波長の光を反射または吸収して遮光(分離)する光学フィルタ21(光学素子)を有する。または、予備露光手段6は、光照射部2から照射された光に含まれる一部の波長の光が透過する光学フィルタ21を有する。または、予備露光手段6は、光照射部2からの光を遮光する光学フィルタと、透過させる光学フィルタを組み合わせても良い。
ここでは、光学フィルタ21として、光照射部2から照射された光のうち、樹脂14に対して感度の高い波長(第1波長)の光を遮る機能を有する光学フィルタを用いる。例えば、樹脂14を硬化(感光)させる紫外線9の主な波長帯域が200〜400nmであるとする。このうち、樹脂14に対して感度の低い波長(第2波長)の光は、300〜350nmの波長帯域に存在する。したがって、光学フィルタ21は、紫外線9に含まれる光のうち第2波長の光(300〜350nmの波長帯域)を除く波長の光を遮る機能を有する光学フィルタとする。光学フィルタ21を、第2波長の光を透過させ、その他の波長の光を遮る機能を有するフィルタとしてもよい。
この光学フィルタ21は、光照射部2からウエハ10上に向かう紫外線9の光路上で、かつ光照射部2とモールド8との間に設置される。光学フィルタ21は、制御部7によって動作が制御される。光学フィルタ21は、駆動機構22により光照射部2から照射された紫外線9の光路(Z軸)に直交する平面方向(XY平面)に移動可能である。予備露光時には、図2(a)に示すように光学フィルタ21は、紫外線9の光路に配置された状態となる。一方、樹脂14の硬化露光時には、図2(b)に示すように光学フィルタ21は、紫外線9の光路から退避した状態となる。なお、第1実施形態の予備露光手段6では、光照射部2から照射された光のうち、特定の波長帯域の光が遮光される、または、透過する光学フィルタ21であればよい。そのため、光学フィルタ21には、透過率(または反射率)に波長依存性を有する干渉フィルタやビームスプリッタ(ダイクロイックミラー)などを採用し得る。
制御部7は、インプリント装置1の各構成要素の動作および調整などを制御し得る。制御部7は、例えばコンピュータなどで構成され、インプリント装置1の各構成要素に回線を介して接続され、プログラムなどにしたがって各構成要素の制御を実行し得る。本実施形態の制御部7は、少なくとも予備露光手段6の動作を制御する。なお、制御部7は、インプリント装置1の他の部分と一体で(共通の筐体内に)構成してもよいし、インプリント装置1の他の部分とは別体で(別の筐体内に)構成してもよい。
また、インプリント装置1は、インプリント処理に際し、ウエハ10上のパターン20の形状またはサイズを計測するためのアライメント検出系26を備える。このアライメント検出系26(アライメント検出手段)は、予備露光の光や硬化露光の光が入射しても、検出精度が低下しないようにするために、露光光の反射光や回折光がアライメント検出系26に入り込むのを抑制する構成にすることが好ましい。また、予備露光や硬化露光の光の、反射光や回折光がアライメント検出系26に入ったとしても、検出精度が低下しないように光学系を構成しても良い。例えば、予備露光と硬化露光の光の波長と異なる波長の光を、アライメント検出系26の光源に使用し、アライメント検出系26に予備露光や硬化露光の光を遮光する光学フィルタ(光学素子)を組込んでも良い。このような構成にすることで、予備露光中や硬化露光中であっても、アライメント検出系26の検出精度を低下せずにパターン20とパターン部8aにそれぞれ形成されたアライメントマークを検出することができる。インプリント装置1は、アライメントマークの検出結果からモールド8とウエハ10の位置ずれを求め、両者の位置合わせを行うことができる。
また、インプリント装置1は、ウエハステージ4を載置するベース定盤27と、モールド保持機構3を固定するブリッジ定盤28と、ベース定盤27から延設され、除振器29を介してブリッジ定盤28を支持するための支柱30とを備える。除振器29は、床面からブリッジ定盤28へ伝わる振動を除去する。さらに、インプリント装置1は、共に不図示であるが、モールド8を装置外部からモールド保持機構3へ搬送するモールド搬送機構や、ウエハ10を装置外部からウエハステージ4へ搬送する基板搬送機構などを含み得る。
(インプリント処理について)
次に、図3を用いて、インプリント装置1によるインプリント処理について説明する。まず、制御部7は、基板搬送機構によりウエハ10を搬入させ、ウエハステージ4上のウエハチャック16にウエハ10を載置および固定させる。次に、制御部7は、ステージ駆動機構17を駆動させ、ウエハ10上のパターン20(ショット領域)を、塗布部5による塗布位置へ移動させる。次に、制御部7は、塗布部5にパターン20上に樹脂14を塗布させる(S1:塗布工程)。次に、制御部7は、ステージ駆動機構17を再駆動させ、ウエハ10上のパターン20がモールド8に形成されたパターン部8aの直下に位置するように移動させる。次に、制御部7は、モールド駆動機構12を駆動させ、ウエハ10上の樹脂14とモールド8を接触させる(S2:押印工程)。樹脂14とモールド8が接触することにより、樹脂14は、パターン部8aの凹凸部に充填される。樹脂14とモールド8を接触させた状態で、樹脂14の粘弾性を高めるために予備露光手段6を使用して予備露光を行う(S3:予備露光工程)。粘弾性が高くなった状態でモールド8とウエハ10との位置合わせを行う(S4:アライメント工程)。位置合わせの後、樹脂14とモールド8を接触させた状態で、制御部7は、光照射部2に紫外線9を照射させ、モールド8を透過した紫外線9により樹脂14を硬化させる(S5:硬化工程)。そして、制御部7は、モールド駆動機構12を再駆動させ、硬化した樹脂14からモールド8を引き離す(S6:離型工程)。これにより、パターン20上には、パターン部8aに形成された凹凸部に倣った3次元形状の樹脂14のパターン(層)が形成(転写)される。このような一連のインプリント処理(インプリント動作)をウエハステージ4の駆動によりパターン20の領域を変更しつつ複数回実施することで、1枚のウエハ10上に複数の樹脂14のパターンを形成することができる(S7)。
パターン20とパターン部8aの位置合わせにおいて、ウエハ10とモールド8の相対移動によって生じるせん断力の大きさを考える。予備露光手段6を使用しない場合の、パターン20とパターン部8aの位置合わせ時のせん断力の最小値が0.1N未満の場合、床等からの外乱により、パターン20とパターン部8aの位置合わせ精度が低下することがある。
そのため、予備露光手段6による予備露光により、パターン20とパターン部8aの位置合わせ時のせん断力の最小値が0.1N以上、好ましくは0.3N以上、より好ましくは0.5N以上にする。また、せん断力の最大値を10N以下、好ましくは5N以下、より好ましくは1N以下になるようにする。一方で、せん断力が10Nを超える場合には、パターン20とパターン部8aの位置合わせ時に各パターン形状が崩れ、結果として位置合わせ精度が低下することがあるためである。例えば、10数nmの厚みの樹脂の粘度とせん断力の関係について評価した結果、所定のせん断力を得るためには、1000N/(m/s)オーダーの粘性係数を50%以上増加させる必要がある。粘性係数としては、最小値が10000N/(m/s)以上であることが好ましく、最大値が1000000N/(m/s)以下、より好ましくは100000N/(m/s)以下になるようにする。このように、せん断力を所定値以下になるように予備露光を行うことで、パターン20とパターン部8aの位置合わせの精度を向上させることができる。
また、予備露光手段6による露光量を予め決定するために、押印した条件で、ウエハステージ4を駆動し、予備露光の有無と予備露光を行う場合の露光量をパラメータにせん断力を測定し、必要となる予備露光の露光量を求めても良い。また、別の装置で、露光量とせん断力の関係を求め、予備露光の露光量を決定しても良い。更に、せん断力ではなく、粘性係数等の粘性を測定し、予備露光の露光量を決定しても良い。
また、予備露光手段6は、パターン20の表面に一様な強度分布でプリ露光光を照射することにより、パターン20内での粘弾性の特性が不均一にならず、パターン20とパターン部8aの位置合わせを行う際に、樹脂14のせん断力を均一にできる。結果として位置合わせに伴うパターン形状の劣化を抑制することができる。
(そのほかの条件)
第1実施形態では、同一光源を用いて、予備露光に用いる光の波長と、樹脂を硬化させるために用いる光の波長が異なる場合について説明した。一方で、予備露光に用いる光の波長と樹脂を硬化させるために用いる光の波長が同じ場合、予備露光の露光量を、硬化に必要な露光量の1/10以下、好ましくは1/100以下、より好ましくは、1/1000以下に設定することが好ましい。必要な露光量は、用いる樹脂の感度に応じて決まる。このように、未硬化の樹脂14を硬化させるのに必要な露光量に比べ、予備露光により粘弾性を高めるのに必要な露光量は非常に小さい。
また、予備露光手段6として、未硬化の樹脂14に対して感度の低い光源を使用することができる。そのため、第1波長と第2波長の光源を異なる光源で構成しても良い。樹脂を硬化させるために用いる光源(光照射部2)とは異なる光源を用いることで、未硬化の樹脂14の粘弾性を制御することができる。また、予備露光に用いる光を、予備露光に必要となる強度(露光量)になるように、光照射部2からの光を光学フィルタ21で、減光して使用しても良い。
第1実施形態では、予備露光を行うタイミングは、モールド8と樹脂14とを接触させた後として、予備露光を行った後に、パターン20とパターン部8aの位置合わせを行う。予備露光を行うタイミングはパターン20とパターン部8aの位置合わせを行っている時でも良い。さらに、樹脂14のパターン部8aへの充填性に影響ない範囲であれば、樹脂14をウエハ10上に塗布した後であって、押印工程の前に予備露光を行っても良いし、モールド8と樹脂14とを接触させる押印工程中に予備露光を行っても良い。
以上のように、本実施形態によれば、インプリント処理に際し、硬化工程前に樹脂14の粘弾性を高めている。そのため、硬化工程中にモールド8とウエハ10の位置ずれの発生を抑え、ウエハ10上に予め存在するパターン20と、新たに形成される樹脂14のパターンとの重ね合わせの精度を向上させることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るインプリント装置1について説明する。第2実施形態に係るインプリント装置1の特徴は、ウエハ10もしくはモールド8の振動を検出する振動検出手段を有し、その振動検出手段の出力が所定の値以下になるまで、予備露光を行うことである。振動検出手段の出力(例えば、振動の振幅)が10nm以下、好ましくは5nm以下、より好ましくは1nm以下になるまで、予備露光を行う。振動検出手段として、アライメント検出系26を用いても良い。アライメント検出系26が、ウエハ10上のパターン20と、モールド8に形成されたパターン部8aのそれぞれに形成されたアライメントマークを検出することで、ウエハ10とモールド8の振動を求める。第2実施形態のインプリント装置1は、求めた位置ずれ量から、ウエハ10とモールド8の相対的な振動を検出することができる。
また、振動検出手段として、ウエハステージ4の位置を計測するレーザー干渉計19により、ウエハ10の振動を検出しても良い。
振動検出手段によりウエハ10もしくはモールド8の振動を検出して、検出手段の出力が所定の値以下にするため、押印工程の後であって、パターン20とパターン部8aの位置合わせ中に、予備露光を行う。
また、予備露光での露光量が多くなりすぎると、樹脂14のせん断力の増加に伴い、パターン20とパターン部8aの位置合わせ時に各パターン形状が崩れ、結果として位置合わせ精度が低下することがある。そのため、予備露光を行うタイミングとして、パターン20とパターン部8aの位置ずれ量が100nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは25nm以下になった時に、予備露光を行うことが好ましい。予備露光を行った後、パターン20とパターン部8aの位置ずれ量が、目標位置ずれ量以下となった後に、樹脂14を硬化させるための硬化露光を行う。製造するデバイスの種類にもよるが、例えば10nm以下になったところで硬化露光を行う。
以上のように、本実施形態によれば、インプリント処理に際し、予備露光を行うことで、モールド8とウエハ10との位置合わせの精度に影響を与える振動を低減することができる。そのため、硬化工程中にモールド8とウエハ10の位置ずれの発生を抑え、ウエハ10上に予め存在するパターン20と、新たに形成される樹脂14のパターンとの重ね合わせの精度を向上させることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係るインプリント装置1について説明する。ウエハ上の樹脂14の種類によっては、硬化に必要な露光量を照射しても硬化開始が遅れる。このような場合には、硬化露光のための光の照射を硬化工程(S5)に入る前、即ちアライメント工程(S4)において開始しても良い。硬化露光のための光の照射を、硬化工程に入る前に開始することで、硬化露光の光を予備露光の光として使用する。具体的には、硬化露光の光を照射し始めてから、未硬化の樹脂14の粘弾性が高くなり、樹脂14のせん断力が必要な大きさになるまでの時間を予め計測しておく。せん断力の必要な大きさとしては、第1実施形態に示したように、パターン20とパターン部8aの位置合わせ時のせん断力の最小値が0.1N以上、好ましくは0.3N以上、より好ましくは0.5N以上にする。また、せん断力の最大値を10N以下、好ましくは5N以下、より好ましくは1N以下になるようにする。このせん断力になるまでの時間だけ、硬化工程に入る前に硬化露光の光を照射する。こうすることで、硬化露光の光を予備露光の光として使用することができる。第3実施形態に係るインプリント装置では、光照射部2からの光を照射するために光学フィルタを使用しても良いし、使用しなくても良い。
また、パターン20とパターン部8aの位置ずれ量と、その位置合わせに要する時間の関係が把握できていれば、アライメント工程の完了前であっても、所定の位置ずれ量以下になったところで、硬化露光を開始しても良い。具体的には、硬化露光を開始するタイミングとして、パターン20とパターン部8aの位置ずれ量が100nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは25nm以下になった時に、硬化露光の光の照射を開始することが好ましい。また、硬化露光の露光量を予め低く調整しておいても良い。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係るインプリント装置1について説明する。第4実施形態に係るインプリント装置1は、ウエハ10とモールド8を接触させる押印工程において予備露光を行う。モールド8はその形状を変えやすいように、紫外線9が照射される面に、平面形状が円形で、かつ、ある程度の深さを有するキャビティ(凹部)が形成されている。
予めモールド8はこのキャビティの気密性を高められるように構成されている。押印工程においてこのキャビティの圧力を制御することで、モールド8のパターン部を基板に対して、凸状に変形させる。そして、凸状に変形させたモールド8を樹脂14に接触させることで、パターン部の中心から外周部に向かって順にモールド8と樹脂14を接触させることができる。
第4実施形態に係るインプリント装置1は、モールド8と樹脂14の接触に応じて、中心部から外周部に向かって、予備露光を行う。予備露光に用いられる光を調整する光調整器の一例として、図4に示したデジタル・ミラー・デバイスを使用する。
デジタル・ミラー・デバイス(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を、ここでは「DMD」と表記する。このDMD65は、複数のミラー素子80が光反射面に配置され、それぞれのミラー素子80を面方向に個別に調整することで予備露光の光の照射量や照射位置を変化させることで、照明光を調整する調整手段である。
図4は、光調整器として採用可能なDMD65の表面構成を示す概略図である。このDMD65は、図4(a)に示すように、格子状に配列された複数のミラー素子80を有する。このDMD65を予備露光手段6内に設け、予備露光の光をミラー素子80により反射させて樹脂を照射する。これらのミラー素子80は、制御部7からの動作指令に基づいてそれぞれを面方向に変更可能である。すなわちDMD65は光の反射方向を変更可能であり、パターン20に向けて照射する任意の照射量分布を形成する。
第4実施形態では、複数のミラー素子80をモールド8と樹脂14の接触している領域に応じて、図4(b)から図4(f)に示すように、DMD65のミラー素子80の反射方向を変更する。このような予備露光を行うことで、モールド8と樹脂14が接触した場所毎に樹脂14の粘弾性を高めることができる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係るインプリント装置1について説明する。ウエハ10上に形成されたパターン20の形状とモールド8のパターン部8aの形状に差がある場合、ウエハ10、または、モールド8に熱を加えて、形状を補正する技術が知られている。インプリント装置1は、パターン部8aまたはパターン20の形状を補正するため、加熱光として、樹脂14に対して感度がない(樹脂14が硬化しない)波長の光を照射する。第5実施形態では、第4実施形態で説明したDMD65を使用し、加熱光についてもウエハ10上に照射する。この場合、同一のDMDを使用して、予備露光と加熱光を時間的に切り替えて照射しても良いし、個別にDMDを設けて、予備露光の光と加熱光を同時に照射しても良い。樹脂14の感度が低ければ、予備露光を先に行い、その後に加熱光を照射する。また、パターン形状差やパターンサイズ差が大きい場合にはあらかじめ加熱光を照射した後に、予備露光を行なっても良い。
上述の実施形態において、光照射部2から照射された光のうち、樹脂14に対して感度の高い波長(第1波長)の光を硬化露光に使用し、樹脂14が感光するものの、樹脂14に対して感度の低い波長(第2波長)の光を予備露光に使用することを示した。第5実施形態では、2種類の光に加え、樹脂14に対して感度がない波長(第3波長)の光を使用する。樹脂14に対する感度の高い波長の順番は、第1波長、第2波長、第3波長の順となる。
例えば、樹脂14を硬化させる紫外線9の主な波長(第1波長)は200〜400nmの波長帯域であるとすると、このうち、樹脂14の粘弾性が高くなるものの、感度の低い波長(第2波長)は、300〜350nmの波長帯域に存在する。更に、樹脂14に対して感度がない波長(第3波長)は400〜800nmの波長帯域に存在する。インプリント装置1は、この光を分離するような光学フィルタを使用し、硬化露光の光、予備露光の光、形状補正用の加熱光に分離し、DMD65を介して、ウエハ10を照射する。
この時、モールド8の外周部に、パターン部8aの形状を補正する不図示の形状補正機構を設けて、アライメント工程においてパターン部8aの形状を補正しても良い。また、予備露光によるウエハ10、モールド8のパターン形状の変形を考慮して、加熱光の分布を調整しても良い。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態に係るインプリント装置1について説明する。ウエハ10とモールド8の間に塗布する樹脂14の厚さが小さくなるにつれて、ウエハ10とモールド8の相対移動に必要な力(せん断力)は高くなる。この特性を利用し、せん断力を調整する。本実施形態のインプリント装置1には、粘弾性調整手段として、塗布される樹脂14の厚さに対するウエハ10とモールド8の相対移動に必要な力を予め測定し、所定の大きさの力となるように、樹脂14の塗布量を調整する塗布量調整機構を有する。
具体的には、予め、塗布部5の吐出ノズル5aから吐出される樹脂14の量を調整し、モールド8とウエハ10の間に塗布する樹脂14の厚さをパラメータに、ウエハ10とモールド8の相対移動に必要な力を測定する。力の大きさは、ウエハ10とモールド8の相対移動させる際に、モールド駆動機構12及びステージ駆動機構17の少なくとも一方の駆動力を測定することで分かる。この測定はインプリント装置上で行っても良いし、それ以外の装置で測定しても良い。
その測定結果を基に、所定の大きさの力となるように、樹脂14の塗布量を調整する。この塗布量については、形成するパターン部で樹脂14の厚さを均一に調整しても良いし、位置合わせの際にパターン形状が崩れない程度に、形成するパターン部の厚みを部分的に狭くする箇所を設けるように調整しても良い。
具体的には、パターン部8aの外周形状よりも内側の塗布領域に樹脂14を塗布し、パターン部8aと樹脂14を接触させることで、パターン部8aの外周部を樹脂14の表面張力によりウエハ10に接近させる。こうすることで、樹脂14の厚みを部分的に狭くする箇所を設けるように調整しても良い。基板上の塗布領域については塗布量によっても異なるが、パターン部8aの外周部の樹脂14の厚みが、パターン部8aの内部の樹脂14の厚みと比較して1/2以下となるように調整することが望ましい。そうすることで、パターン部8a全体と基板との間に加わる力(せん断力)の大きさを、最小値が0.1N以上、好ましくは0.3N以上、より好ましくは0.5N以上にすることができる。また、そのせん断力の最大値を10N以下、好ましくは5N以下、より好ましくは1N以下になるようにする。
また、アライメント検出系26による基板の検出箇所がパターン部8aの外周形状よりも内側にある場合においても、検出箇所の樹脂14の塗布量を少なくし、アライメント検出系26の検出箇所における樹脂14の厚みを狭くすることが望ましい。特にウエハ10の外周部を含む領域にパターンを形成する場合には、パターン部8aの外周形状よりも内側であって、ウエハ外周部近傍のアライメント検出箇所における樹脂14の厚みを狭くすることが望ましい。
樹脂14の厚みを部分的に薄くする箇所はパターン部8aの内側に限られない。アライメント検出系26による基板の検出箇所がパターン部8aの外周形状よりも外側にある場合においても、検出箇所の樹脂14の厚みを狭くするように、樹脂14の塗布量を少なくすることが望ましい。
また、パターン部8aの樹脂14の厚みを狭くする箇所については、パターン部8aの外周形状よりも内側に複数のデバイスを設ける場合など、アライメント検出系26の検出箇所に限らず、スクライブライン上の樹脂14の厚みを狭くすることが望ましい。そうすることで、部分的にモールド8とウエハ10との間に加わる力を上昇させたことによる、デバイスの回路パターン部の形状の変化を抑制することができる。
本実施形態は、せん断力の調整方法として樹脂14の厚さを変えることで、せん断力を調整している。せん断力の調整方法として、樹脂14中に粘弾性を高める材料を混合させることで、所定の大きさの力となるように調整しても良い。
また、インプリント空間に凝縮性ガスを供給してインプリント動作を行う場合がある。モールド8とウエハ10上の塗布された樹脂14との間に凝縮性ガスが閉じ込められ、液化することで、パターン部8aに樹脂14が充填する時間を短縮する方式が知られている。この凝縮性ガスにより、樹脂14の粘弾性が低くなることが知られている。この凝縮性ガスの濃度によって、樹脂14の粘弾性が変化しアライメント工程時に生じるせん断力も小さくなる。そこで、予め凝縮性ガスの濃度を測定しておき、その濃度に応じて、アライメント工程時に生じるウエハ10とモールド8の相対移動に必要な力を測定する。この測定はインプリント装置上で行っても良いし、それ以外の装置で測定しても良い。本実施形態のインプリント装置は、粘弾性調整手段として、インプリント装置に供給される凝縮性ガスの濃度を調整する供給気体調整手段を有する。供給気体調整手段は、測定結果に基づき、所定の力の大きさとなるように、濃度が調整された凝縮性ガスを供給する。
また、本実施形態のせん断力の調整は、上述の実施形態で説明した予備露光によるせん断力の調整と合わせて実施することができる。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態に係るインプリント装置1について説明する。露光光の照射により、樹脂14が硬化する際に、樹脂14中の溶存酸素や重合禁止材などの不純物により、樹脂14の硬化に要する時間が遅くなることが知られている。樹脂14の硬化に要する時間を速くするために、インプリント装置1上で不活性ガスをパージすることで、樹脂14中の溶存酸素を減らす対策や、重合禁止材などの不純物を精製して除去する対策が行われる。
そこで、本実施形態のインプリント装置1では、樹脂14の硬化の時間を調整するためにインプリント装置1に意図的に酸素を供給する。インプリント装置1には粘弾性調整手段として、露光による樹脂14の硬化時間を長くするために、モールド8と樹脂14の間に酸素を供給する酸素供給手段(供給気体調整手段)を有する。酸素供給手段は、モールド保持機構3の周りに配置され、モールド8とウエハ10の間の空間に気体を供給可能なノズルを有する。モールド8に対して1方向から気体を供給しても良いし、モールド8を取り囲むように気体を供給しても良い。
更に、Heをインプリント装置1に供給する(Heパージ)ことで、パターン部8aに樹脂14の充填を速くする方式も知られている。そこで、このHeを供給するHe供給手段(供給気体調整手段)に、少なくとも酸素を含むガスを混ぜる機構を設けても良い。この酸素の濃度は樹脂の充填性に影響ない程度に抑える必要がある。また上述の実施形態に示した凝縮性ガスに、酸素を混ぜて供給しても良い。この場合も、酸素の濃度は樹脂の充填性に影響ない程度に抑える必要がある。さらに、Heと凝縮性ガスを混ぜた混合ガスに酸素を混ぜて、インプリント装置1に供給しても良い。
本実施形態では、硬化を遅らせるために、インプリント装置1に酸素を供給する方式を示したが、意図的に重合禁止材を樹脂14に混ぜることで、硬化時間を長くして調整しても良い。この硬化時間を延ばすことにより、硬化開始後の粘弾性が低い時間を延ばすことができ、モールド8とウエハ10の位置合わせに有利なインプリント装置1を提供することができる。
また、本実施形態のせん断力の調整は、上述の実施形態で説明した予備露光によるせん断力の調整やと合わせて実施することができる。
(物品の製造方法)
上述した何れのインプリント装置も、物品としての半導体デバイスなどのデバイスの製造に使用される。基板としてのウエハやガラスプレート、フィルム上基板上にパターンを形成することができる。
物品としてのデバイス(半導体集積回路素子、液晶表示素子等)の製造方法は、上述したインプリント装置を用いて基板(ウエハ、ガラスプレート、フィルム状基板)にパターンを形成する工程を含む。さらに、該製造方法は、パターンを形成された基板をエッチングする工程を含み得る。なお、パターンドメディア(記録媒体)や光学素子などの他の物品を製造する場合には、該製造方法は、エッチングの代わりにパターンを形成された基板を加工する他の処理を含み得る。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
1 インプリント装置
3 モールド保持機構
6 予備露光手段
7 制御部
9 紫外線
16 ウエハチャック
21 光学フィルタ

Claims (13)

  1. 基板のショット領域に配置されたインプリント材と型とを接触させた状態で、前記ショット領域と前記型との位置合わせを行って前記インプリント材を硬化させることにより、前記ショット領域にパターンを形成するインプリント装置であって、
    前記インプリント材の粘弾性を高める第1光と、前記ショット領域の形状または前記型のパターン部の形状を変化させる第2光を選択的に照射する調整手段を有し、
    前記第2光に対する前記インプリント材の感度は、前記第1光に対する前記インプリント材の感度よりも低く、
    前記調整手段によって前記第1光が前記ショット領域に照射された状態で、前記ショット領域と前記型との位置合わせが行われることを特徴とするインプリント装置。
  2. 前記調整手段は、デジタルミラーデバイスであることを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
  3. 前記第2光が照射されることにより、前記ショット領域の形状と前記型のパターン部の形状との差が低減されることを特徴とする請求項1または2に記載のインプリント装置。
  4. 前記第2光に対する前記インプリント材の感度はゼロであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインプリント装置。
  5. 前記第1光と前記第2光を分離する光学フィルタをさらに有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインプリント装置。
  6. 前記調整手段は、前記型と前記インプリント材とが接触した後に、前記第1の光を前記インプリント材に照射することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインプリント装置。
  7. 前記第1の光の波長は300nm〜350nmの波長帯域にあり、前記第2の光の波長は400nm〜800nmの波長帯域にあることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインプリント装置。
  8. 前記インプリント材を硬化させる第3光を照射して前記インプリント材を硬化させる前であって、前記第1光により前記インプリント材の粘弾性を高めた後、前記第1光の照射を止めた状態で、前記型と前記ショット領域との位置合わせを行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインプリント装置。
  9. 前記インプリント材を硬化させる第3光を照射して前記インプリント材を硬化させる前であって、前記第1光を照射している間に前記型と前記ショット領域との位置合わせを行うことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインプリント装置。
  10. 前記基板と前記型の相対移動により生じる、前記インプリント材のせん断力が0.1N以上、10N以下となるように、前記第1光を照射して前記インプリント材の粘弾性を高めることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のインプリント装置。
  11. 前記インプリント材に照射される前記第1光の露光量は、前記インプリント材を硬化させるのに必要な露光量の1/10以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のインプリント装置。
  12. 基板のショット領域に配置されたインプリント材と型とを接触させた状態で、前記ショット領域と前記型との位置合わせを行って前記ショット領域にパターンを形成するインプリント方法であって、
    前記インプリント材の粘弾性を高める第1光と、前記ショット領域の形状を変化させる第2光を選択的に照射する調整手段を介して、前記第1光が前記ショット領域に照射された状態で、前記ショット領域と前記型との位置合わせを行う工程と、
    前記インプリント材と前記型とが接触した状態で前記インプリント材を硬化させる工程を含み、
    前記第2光に対する前記インプリント材の感度は、前記第1光に対する前記インプリント材の感度よりも低いことを特徴とするインプリント方法。
  13. 請求項1乃至11の何れか1項に記載のインプリント装置を用いて前記基板上にインプリント材のパターンを形成する工程と、
    前記工程でパターンが形成された基板を加工する工程と、
    を含むことを特徴とする物品の製造方法。
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