以下、添付図面を参照しながら本発明をその例示的な実施形態を通して説明する。図1には、本発明の一実施形態のインプリント装置1の構成が示されている。インプリント装置1は、インプリント処理を実行し、これにより基板Sの上にインプリント材IMの硬化物からなるパターンを形成する。インプリント処理は、基板Sの上のインプリント材IMと型Mとを接触させる接触工程と、該接触工程の後に基板Sと型Mとのアライメントを行うアライメント工程と、該アライメント工程の後にインプリント材IMを硬化させる硬化工程とを含みうる。
インプリント材は、光が照射されることによって硬化する光硬化性組成物である。光硬化性組成物は、少なくとも重合性化合物と光重合開始剤とを含有し、必要に応じて非重合性化合物または溶剤を更に含有してもよい。非重合性化合物は、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー成分などの群から選択される少なくとも一種である。インプリント材は、液滴状、或いは複数の液滴が繋がってできた島状又は膜状となって基板上に配置されうる。インプリント材の粘度(25℃における粘度)は、例えば、1mPa・s以上100mPa・s以下でありうる。基板の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、金属、半導体、樹脂等が用いられうる。必要に応じて、基板の表面に、基板とは別の材料からなる部材が設けられてもよい。基板は、例えば、シリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、石英ガラスである。
本明細書および添付図面では、基板Sの表面に平行な方向をXY平面とするXYZ座標系において方向を示す。XYZ座標系におけるX軸、Y軸、Z軸にそれぞれ平行な方向をX方向、Y方向、Z方向とし、X軸周りの回転、Y軸周りの回転、Z軸周りの回転をそれぞれθX、θY、θZとする。X軸、Y軸、Z軸に関する制御または駆動は、それぞれX軸に平行な方向、Y軸に平行な方向、Z軸に平行な方向に関する制御または駆動を意味する。また、θX軸、θY軸、θZ軸に関する制御または駆動は、それぞれX軸に平行な軸の周りの回転、Y軸に平行な軸の周りの回転、Z軸に平行な軸の周りの回転に関する制御または駆動を意味する。また、位置は、X軸、Y軸、Z軸の座標に基づいて特定されうる情報であり、姿勢は、θX軸、θY軸、θZ軸の値で特定されうる情報である。基板またはその領域と型Mまたはその領域とのアライメントは、基板Sおよび型Mの少なくとも一方の位置および/または姿勢の制御を含みうる。また、アライメントは、基板Sおよび型Mの少なくとも一方の形状を補正あるいは変更するための制御を含みうる。
インプリント装置1は、基板Sを保持し駆動する基板駆動機構SD、および、基板駆動機構SDを支持するベースフレームBF、型Mを保持し駆動する型駆動機構MDを備えうる。基板駆動機構SDおよび型駆動機構MDは、基板Sと型Mとの相対位置が調整されるように基板駆動機構SDおよび型駆動機構MDの少なくとも一方を駆動する駆動機構DRVを構成する。駆動機構DRVによる相対位置の調整は、基板Sの上のインプリント材IMに対する型Mの接触、および、硬化したインプリント材IM(硬化物のパターン)からの型Mの分離のための駆動を含む。
基板駆動機構SDは、基板Sを保持する基板保持部SH、基板保持部SHを支持する基板ステージSS、および、基板ステージSSを駆動することによって基板Sを駆動する基板駆動アクチュエータSMを含みうる。基板駆動機構SDは、基板Sを複数の軸(例えば、X軸、Y軸、θZ軸の3軸、好ましくは、X軸、Y軸、Z軸、θX軸、θY軸、θZ軸の6軸)について駆動するように構成されうる。基板Sの位置および姿勢の制御は、計測器29によって基板Sの位置および姿勢を計測し、その計測の結果に基づいてなされうる。
型駆動機構MDは、型Mを保持する型保持部MH、および、型保持部MHを駆動することによって型Mを駆動する型駆動アクチュエータMMを含みうる。型保持部MHは、型Mを変形させる型変形機構を含みうる。該型変形機構は、例えば、型Mの側面に力を加えることによって型Mを変形させうる。型駆動機構MDは、型Mを複数の軸(例えば、Z軸、θX軸、θY軸の3軸、好ましくは、X軸、Y軸、Z軸、θX軸、θY軸、θZ軸の6軸)について駆動するように構成されうる。型Mは、インプリント処理によって基板Sの上のインプリント材IMに転写すべきパターンが形成されたパターン領域を有する。型駆動機構MDは、型Mの裏面側(パターン領域PRの反対側)の空間SPの圧力を調整することによって、型M(のパターン領域PR)を基板Sに向かって凸形状に変形させたり、平坦にしたりする圧力調整器PCを含みうる。型Mを基板Sに向かって凸形状に変形させた状態で、基板Sの上のインプリント材IMとパターン領域PRとの接触が開始され、その後、インプリント材IMとパターン領域PRとの接触領域が徐々に拡大するように圧力調整器PCが空間SPの圧力を調整しうる。
インプリント装置1は、基板Sの上にインプリント材IMを供給、塗布あるいは配置するディスペンサ5を備えうる。しかし、インプリント材IMは、インプリント装置1の外部装置において基板Sの上に供給、塗布あるいは配置されてもよい。
インプリント装置1は、硬化工程において、基板Sと型M(のパターン領域PR)との間のインプリント材IMに対してインプリント材IMを硬化させるための光9(硬化光)を光路LPに照射するための光源(硬化光源)2を備えうる。光路LPは、型Mおよびインプリント材IMを介して基板Sに至る光路である。インプリント装置1は、更に、基板Sに設けられたアライメントマークおよび型Mに設けられたアライメントマークとの相対位置を検出する検出器12を備えうる。検出器12は、基板Sに設けられたアライメントマークおよび型Mに設けられたアライメントマークを検出光15で照明し、これらのアライメントマークによって形成される像を撮像しうる。検出光15も、光路LPに照射される光として理解される。
インプリント装置1は、更に、基板Sの上のインプリント材IMと型M(のパターン領域PR)との接触状態、あるいは、基板Sとの型M(のパターン領域PR)との間の空間へのインプリント材IMの充填状態を検出するための撮像部6を備えうる。撮像部6は、その他、基板Sと型Mとの間の異物を検出するためにも使用されうる。撮像部6は、基板S、インプリント材IMおよび型Mで構成される積層構造を観測光18で照明し、この積層構造によって形成される像を撮像しうる。観測光18も、光路LPに照射される光として理解される。
インプリント装置1は、更に、変調光21を光路LPに照射する光源ユニット20を備えうる。後述のように、光源ユニット20は、空間光変調器を含み、この空間光変調器によって変調された光である変調光21を光路LPに照射する。変調光21は、基板Sと型Mとのアライメントのために基板Sを変形させる第1変調光およびインプリント材IMを部分的に硬化させる第2変調光を含みうる。光路LPに第1変調光が照射されるときは、光路LPに第2変調光が照射されず、光路LPに第2変調光が照射されるときは、光路LPに第1変調光が照射されないことが好ましい。ただし、変調光21が光路LPに照射される期間における十分に短い期間であれば、第1変調光および第2変調光の双方が光路LPに照射されてもよい。第1変調光および第2変調光は、波長域が互いに重複しない光である。あるいは、第1変調光および第2変調光は、互いに異なる波長にピークを有する光でありうる。
第1変調光は、基板S、より詳しくは基板Sのパターン形成領域(ショット領域)を目標形状に変形させる光強度分布(照度分布)が基板Sの形成されるように変調された光でありうる。基板Sに対する第1変調光の照射によって、基板Sに温度分布が形成され、この温度分布によって基板Sのパターン形成領域が目標形状に変形する。基板Sのパターン形成領域が目標形状に変形し、基板Sのパターン形成領域と型Mのパターン領域PRとのアライメントが完了した時点で硬化工程(硬化光源2によってインプリント材IMに硬化光が照射され、インプリント材IMが硬化される工程)が実行される。第1変調光は、インプリント材IMを硬化させない波長を有する光である。
第2変調光は、インプリント材IMを硬化させる波長、換言すると、インプリント材IMの粘性(粘弾性)を高める波長を有する。第2変調光は、例えば、基板Sの上のインプリント材IMのうち基板Sのパターン形成領域の周辺部(枠状領域)におけるインプリント材IMを硬化させるように変調された光でありうる。このような第2変調光の照射は、枠露光と呼ぶことができ、接触工程および/またはアライメント工程において実行され、基板Sのパターン形成領域の外にインプリント材IMが押し出されることを防止するために有利である。インプリント装置1で用いられる型Mは、メサ部と呼ばれる領域を含み、メサ部にパターン領域PRが形成されうる。枠露光を実行することによって、基板Sに対して凸形状であるメサ部の側面にインプリント材が付着することを低減することができる。あるいは、第2変調光は、基板Sのパターン形成領域の任意の箇所におけるインプリント材IMの粘性を高め、これによってインプリンント材IMによる基板Sと型Mとの結合力を高めるように変調された光でありうる。このような第2変調光の照射は、制振露光と呼ぶことができ、アライメント工程において実行され、アライメント精度を向上させうる。インプリント材IMによる基板Sと型Mとの結合力が弱い状態(第2変調光の照射前)では、基板Sおよび型Mは、外乱等によって個別に振動しうる(つまり、基板Sと型Mとの間に相対的な振動が大きい)。インプリント材IMへの第2変調光の照射によりインプリント材IMの粘性を部分的に高め、基板Sと型Mとの結合力を高めることによって、基板Sと型Mとの間の相対的な振動を低減し、アライメントの収束性を向上させることができる。一例において、基板Sと型Mと間の相対移動によって発生するせん断力の大きさが0.5~1.0Nの範囲内になるように第2変調光の照射によってインプリント材IMの粘性(粘弾性)を高めることが、アライメントの収束性を向上させるために効果的である。
硬化光源2、検出器12、撮像部6および光源ユニット20のそれぞれの光軸は、光路LPを共有する。これを実現するために、合成ミラー22、ダイクロイックミラー23、24が設けられている。合成ミラー22は、観測光18を透過し、変調光21を反射する。ダイクロイックミラー23は、観測光18および変調光21を透過し、検出光15を反射する。ダイクロイックミラー24は、観測光18、変調光21および検出光15を透過し、硬化光9を反射する。
インプリント装置1は、更に、上記の基板駆動機構SD、型駆動機構MD、圧力調整器PC、ディスペンサ5、計測器29、硬化光源2、検出器12、撮像部6および光源ユニット20等を制御する制御部7を備えうる。制御部7は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Arrayの略。)などのPLD(Programmable Logic Deviceの略。)、又は、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略。)、又は、プログラムが組み込まれた汎用又は専用のコンピュータ、又は、これらの全部または一部の組み合わせによって構成されうる。
図2には、光源ユニット20の構成例が示されている。光源ユニット20は、第1変調光を生成するための第1波長域を有する第1光を発生する第1光源121と、第2変調光を生成するための第2波長域を有する第2光を発生する第2光源122とを含みうる。また、光源ユニット20は、第1光を変調した第1変調光および第2光を変調した第2変調光を発生する空間光変調器としてのDMD(デジタルミラーデバイス)133を含みうる。また、光源ユニット20は、第1光源121からの第1光および第2光源122からの第2光を空間光変調器としてのDMD133の入射させる光学系(125、126、111、132)を含みうる。
一例において、光源ユニット20は、照明部120と、変調部130とを光ファイバ110で接続して構成されうる。照明部120は、第1光源121、第2光源122、第1コントローラ123、第2コントローラ124、ミラー125、126を含みうる。第1光源121が発生する第1光の光路と第2光源122が発生する第2光の光路とはミラー125、126によって共通化され、光ファイバ110の入射部111に接続されている。光ファイバ110の射出部112は、変調部130に接続されている。
第1コントローラ123は、制御部7からの指令に従って第1光源121を制御する。第1光源121の制御は、第1光源121の点灯および消灯の制御を含みうる。第1光源121の制御は、更に、第1光源121が発生する第1光の強度の制御を含んでもよい。例えば、第1コントローラ123は、制御部7からの指令値に従った電流値を有する電流を第1光源121に供給する定電流回路を含みうる。あるいは、第1コントローラ123は、指令値に従って第1光源121を駆動する駆動回路と、第1光源121が発生する第1光の一部を受光する光電変換センサとを含み、該光電変換センサの出力を該駆動回路にフィードバックする構成を有しうる。
第2コントローラ124は、制御部7からの指令に従って第2光源122を制御する。第2光源122の制御は、第2光源122の点灯および消灯の制御を含みうる。第2光源122の制御は、更に、第2光源122が発生する第2光の強度の制御を含んでもよい。例えば、第2コントローラ124は、制御部7からの指令値に従った電流値を有する電流を第2光源122に供給する定電流回路を含みうる。あるいは、第2コントローラ124は、指令値に従って第2光源122を駆動する駆動回路と、第2光源122が発生する第2光の一部を受光する光電変換センサとを含み、該光電変換センサの出力を該駆動回路にフィードバックする構成を有しうる。
制御部7は、第1光源121および第2光源122を個別に制御しうる。制御部7は、例えば、第1光源121および第2光源122の一方を点灯させるときは他方を消灯させるように第1光源121および第2光源122を制御しうる。他の観点において、第1光源121からの第1光および第2光源122からの第2光の一方が空間光変調器(DMD133)に入射しているときは、第1光および第2光の他方は該空間光変調器に入射しない構成が採用されうる。これは、例えば、第1、第2コントローラ123、124による第1、第2光源121、122の制御、または、第1光および第2光の一方を選択的に遮断する機構によって実現されうる。
ここで、硬化光9、検出光15、観測光18、変調光21(第1変調光、第2変調光)に対する波長の割り当ての一例を説明する。硬化光9は、インプリント材IMを硬化させる光であり、一例において、300nm~380nmの範囲内に任意の波長域を有しうるが、300nm以下の波長域を有してもよい。検出光15は、アライメントマークを検出するための光であり、一例において、550nm~750nmの波長域を有する。観測光18は、インプリント材IMと型Mとの接触状態および基板Sと型Mとの間の空間へのインプリント材IMの充填状態等を観察するための光である。観測光18は、例えば、400nm~480nmの波長域から、硬化光9および検出光15の波長域と重複しない波長域が選択されうる。変調光21は、インプリント材IMを硬化させない波長域を有する第1変調光と、インプリント材IMを硬化させる波長域を有する第2変調光を含む。
変調光21は、観測光18と同様の波長域、例えば、400nm~480nmの波長域から硬化光9および検出光15の波長域と重複しないように選択されうる。第1変調光は、第1光源121が発生した第1光を変調部130(DMD133)が変調することによって生成される。第2変調光は、第2光源122が発生した第2光を変調部130(DMD133)が変調することによって生成される。インプリント材IMが硬化する波長域の上限から、第1光源121が発生する第1光および第2光源122が発生する第2光の波長を決定することができる。例えば、インプリント材IMが硬化する波長域の上限が440nmであれば、第1光源121が発生する第1光の波長を460nm程度とし、第2光源122が発生する第2光の波長を410nm程度とすることができる。第1光源121および第2光源122は、波長幅が狭い単波長光を発生する光源であることが好ましく、例えば、レーザーダイオードが適している。また、レーザーダイオードは、高速に点灯、消灯を切り替えることができる点で優れている。
光ファイバ110を介して変調部130に伝送された光は、光学系132を介して、空間光変調器としてのDMD133に入射する。光学系132は、例えば、集光光学系、および、該集光光学系からの光を均一化してDMD133を照明する照明系(例えば、マイクロレンズアレイ)を含みうる。DMD133は、光を反射する複数のマイクロミラー(不図示)と、該複数のマイクロミラーをそれぞれ駆動するアクチュエータとを含む。各アクチュエータは、制御部7からの指令に従って、対応するマイクロミラーを複数のマイクロミラーの配列面に対して-12度(ON状態)または+12度(OFF状態)の角度に制御する。ON状態のマイクロミラーで反射された光は、変調光として、DMD133と基板Sとを光学系に共役関係にする光学系134(投影光学系)を介して基板Sの上に像を形成する。OFF状態のマイクロミラーで反射された光は、基板Sに到達しない方向に反射される。全てのマイクロミラーをON状態にしたときに基板Sに投影される領域(最大照射領域)は、基板Sの最大パターン形成領域のサイズより大きい。第2変調光を基板Sのパターン形成領域の周辺部(枠状領域)を照射することを考慮して、最大照射領域は、最大パターン形成領域より1mm以上大きい領域に設定されうる。DMD133に代えて、他の空間光変調器、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)が採用されてもよい。
変調部130を構成している光学系は、インプリント材IMを硬化させない波長の第1光(第1変調光)およびインプリント材IMを硬化させる波長の第2光(第2変調光)の双方を透過させる必要がある。また、一般的なDMDでは、420nm以下の波長では、マイクロミラーアレイに照射可能な最大光強度が低下し、更に、紫外光と可視光との境界である400nm付近では、マイクロミラーアレイに照射可能な最大光強度が1/1000程度に極端に低下する。そこで、波長幅が短いレーザーダイオード等を使って、インプリント材IMが硬化する波長域の上限付近に第1光源121の波長および第2光源122の波長を近づけることが望ましい。
制御部7は、例えば、基板Sの表面上に形成すべき光強度分布(照度分布)データに基づいて、DMD133の各マイクロミラーのON状態およびOFF状態の切り替えを制御する制御データを生成しうる。光強度分布データは、例えば、各マイクロミラーをON状態にする時間に関する情報および各マイクロミラーをOFF状態にする時間に関する情報を含みうる。ON状態のマイクロミラーが多いほど、また、ON状態が長いほど、基板Sのパターン形成領域を大きな露光量を与えることができる。
制御部7は、第1光を変調して第1変調光を発生するための光強度分布データと、第2光を変調して第2変調光を発生するための光強度分布データとを格納するメモリを含みうる。第1光を変調して第1変調光を発生するための光強度分布データは、基板Sの上のインプリント材IMのうち基板Sのパターン形成領域の周辺部(枠状領域)におけるインプリント材IMを硬化される光強度分布データを含みうる。また、第1光を変調して第1変調光を発生するための光強度分布データは、基板Sのパターン形成領域の任意の箇所におけるインプリント材IMの粘性を高めてインプリンント材IMを介した基板Sと型Mとの結合力を高めるための光強度分布データを含みうる。
変調部130を第1光源121および第2光源122で共有する構成は、変調部130あるいは光源ユニット20を小型化すること、これによりインプリント装置1の構造を単純化するために有利である。これは、光路LPの付近に変調部130を配置することを容易にする。照明部120と変調部130とを相互に分離した構成は、熱源となる照明部120をインプリント装置1の光路LPから遠い位置に配置するために有利である。しかし、光ファイバ110を使用せず、照明部120と変調部130とを近接して配置してもよい。あるいは、変調部130に照明部120を組み込んでもよい。また、第1光源121と変調部130とを第1光ファイバで接続し、第2光源122と変調部130とを第2光ファイバで接続してもよく、この場合、第1光ファイバから出る第1光の光路と第2光ファイバから出る第2光の光路とが結合されうる。
図3(a)には、インプリント装置1によって実行されるインプリント処理における光源ユニット20の第1動作例が示されている。図3(a)において、「インプリント処理」は、インプリント処理の進行を示している。インプリント処理は、基板Sの上のインプリント材IMと型Mとを接触させる接触工程と、該接触工程の後に基板Sと型Mとのアライメントを行うアライメント工程と、該アライメント工程の後にインプリント材IMを硬化させる硬化工程とを含みうる。接触工程は、駆動機構DRVによって基板Sの上のインプリント材IMと型M(のパターン領域PR)とを接触させる工程である。この接触工程は、例えば、基板Sの上のインプリント材IMと凸形状に変形された型Mのパターン領域PRとの接触の開始によって開始し、パターン領域PRの全域が平坦にされることによって終了する期間でありうる。インプリント処理は、接触工程に付随する工程として、駆動機構DRVによって基板Sの上のインプリント材IMと型Mとを相互に近づける駆動工程を有し、この工程は図3(a)では「駆動」として記載されている。
アライメント工程では、検出器12によって検出される結果に基づいて、基板Sのパターン形成領域と型Mのパターン領域PRとがアライメントされるように駆動機構DRVによって基板Sおよび型Mの少なくとも一方が駆動される。また、アライメント工程では、検出器12によって検出される結果に基づいて、基板Sのパターン形成領域と型Mのパターン領域PRとがアライメントされるように型駆動機構によって型Mが変形されうる。また、アライメント工程では、検出器12によって検出される結果に基づいて、基板Sのパターン形成領域と型Mのパターン領域PRとがアライメントされるように、後述の変形工程が実行されうる。
アライメント工程と並行して充填工程が進行する。充填工程では、基板Sと型Mのパターン領域PRとの間のインプリント材IMがパターン領域PRのパターンを構成する凹部に充填され、また、基板Sと型Mのパターン領域PRとの間に存在する空隙が消失する。アライメント工程および充填工程は、図3(a)では、「充填およびアライメント」として記載されている。一例において、充填工程がアライメント工程に先行して開始しうる。また、図3(a)では、硬化工程は「硬化」として、分離工程は「分離」として記載されている。
図3(a)において、「DMDによる光変調」は、光源ユニット20のDMD133による光の変調を示す。「C」は、部分硬化工程であり、インプリント材IMを硬化させる波長域の光である第2光を変調して生成される第2変調光が光路LPに照射されることを示す。部分硬化工程Cでは、前述の枠状領域におけるインプリント材IMが硬化され(枠露光)、および/または、基板Sのパターン形成領域の任意の箇所におけるインプリント材IMの粘性が高められる(制振露光)。「D」は、変形工程であり、インプリント材IMを硬化させない波長域の光である第1光を変調して生成される第1変調光が光路LPに照射されることを示す。変形工程Dでは、基板Sのパターン形成領域と型Mのパターン領域PRとのアライメントのために、基板Sのパターン形成領域が変形される。「OFF」は、光路LPに第1変調光も第2変調光も照射されないことを示す。
枠露光を行う部分硬化工程Cの期間(タイミング、時間長さ)は、枠状領域におけるインプリント材IMを硬化させて基板Sのパターン形成領域の外にインプリント材IMが押し出されることを防止するように決定されうる。あるいは、制振露光を行う部分硬化工程Cの期間(タイミング、時間長さ)は、インプリント材IMの粘性を部分的に高めて基板Sと型Mとの結合力を高めることによって基板Sと型Mとの間の相対的な振動を低減するように決定されうる。変形工程Dの期間(タイミング、時間長さ)は、硬化工程において硬化光源2からの硬化光9によってインプリント材IMを硬化させる時点において基板Sのパターン形成領域が目標形状になるように決定されうる。
図3(b)には、インプリント装置1によって実行されるインプリント処理における光源ユニット20の第2動作例が示されている。標記方法は、図3(a)の標記方法に従う。図3(b)に示された第2例では、図3(a)に示された例における「OFF」の期間が省略ないし短縮されている。部分硬化工程Cの期間と変形工程Dの期間とは重複させることができない。考えられうる1つの制約の下では、接触工程においては部分硬化工程Cが実行されない。これは、接触工程においてインプリント材IMが部分的にでも硬化すると、インプリント材IMが広がることが妨げられ、後の充填工程における充填が妨げられるからである。このような制約の下では、部分硬化工程Cの後に変形工程Dが実行される場合、互いに並行して進行するアライメント工程および充填工程に要する時間は、部分工程Cの期間と変形工程Dの期間との合計時間より短くすることはできない。
図4(a)~(c)には、特許請求の範囲に記載されたインプリント装置の動作に対応する第3、第4および第5動作例が示されている。標記方法は、図3(a)の標記方法に従う。第3、第4および第5動作例は、少なくとも、第1動作O1、第2動作O2および第3動作O3を含みうる。第1動作O1では、インプリント材IMを硬化させない第1変調光が光路LPに供給される(つまり、変形工程Dが実行される)。第2動作は、第1動作の後に実行され、第2動作では、インプリント材IMを硬化させる第2変調光が光路LPに供給される(つまり、部分硬化工程Cが実行される)。第3動作は、第2動作の後に実行され、第3動作では、インプリント材IMが硬化されない第1変調光が光路LPに供給される(つまり、変形工程Dが実行される)。第2動作O2および第3動作O3は、アライメント工程と並行して実行されうる。他の観点において、第2動作O2は、アライメント工程の開始後に開始されうる。
第1動作O1は、アライメント工程の開始前に開始されうる。一例において、第1動作O1は、接触工程において(より具体的には、接触工程における任意のタイミングで)開始されうる。あるいは、第1動作O1は、アライメント工程の開始後に開始されうる。第3動作O3は、基板Sと型Mとのアライメントのための基板S(パターン形成領域)の変形が硬化工程の開始時に完了するように実行されうる。あるいは、第1動作O1および第3動作O3は、基板Sと型Mとのアライメントのための基板S(パターン形成領域)の変形が硬化工程の開始時に完了するように実行されうる。第3、第4および第5動作例では、排他的にしか実行できず、それぞれの実行時間に制約がある変形工程Cおよび部分硬化工程Dが、見かけ上は並行して実行される。
第2動作O2と第3動作O3との間において、単位動作UOが少なくとも1回は実行されうる。単位動作UOは、第1変調光が光路LPに供給される動作(変形工程D)および第2変調光が光路LPに供給される動作(部分硬化工程C)を含む。第1動作O1としての変形工程D、第3動作O3として変形工程D、および、単位動作UOにおける変形工程Dは、基板Sと型Mとのアライメントのための基板S(パターン形成領域)の変形が硬化工程の開始時に完了するように実行されうる。
部分硬化工程Cは、前述のように、枠露光および/または制振露光を含むことができる。
枠露光の実行期間は、基板Sのパターン形成領域の外にインプリント材IMが押し出されることが防止されるように決定される。制振露光は、基板Sと型Mとの間の相対的な振動が低減されアライメントの収束性が向上するようになされうる。枠露光および制振露光の双方が実行される場合、典型的には、枠露光が制振露光より先になされうる。
第1動作O1(変形工程)の後に第2動作O2(部分硬化工程)を実行し、第2動作O2の後に第3動作O3(変形工程)を実行する手順では、第1動作O1の終了後に基板Sの温度が低下(即ち基板Sが放熱)しうる。そのため、以後に実行される変形工程Dおいて、その温度の低下部分を補う必要がある。しかし、第2動作O2(枠露光および/または制振露光)の実行タイミングは、その目的によって制限されうるので、第1動作O1を第2動作O2に先行して実行することによって、第2動作O2の後に実行すべき第3動作O3の実行時間を短縮することができる。また、第1動作O1は、アライメント工程の開始前に開始されうる。
図3(a)、(b)に示された第1、第2動作例では、通常はアライメント工程および充填工程の開始後に部分硬化工程Cおよび変形工程Dが開始されるので、これがアライメント工程および充填工程を短縮する際の制限となりうる。つまり、アライメント工程および充填工程の実行時間を部分硬化工程Cおよび変形工程Dの双方に要する時間よりも短くすることはでいない。一方、図4(a)、(b)、(c)に例示された第3、第4、第5動作例では、アライメント工程および充填工程の実行時間は、第1動作O1の開始から第3動作O3の終了までに要する時間よりも短くてもよい。これは、アライメント工程および充填工程の実行時間を可能な限り短くしつつ、変形工程および部分硬化工程をそれらに要求される時間的な制約の下で実行することを可能にする。
図4(a)、(b)に示された第3、第4動作例では、第2動作O2と第3動作O3との間において、変形工程Dおよび部分硬化工程Cを含む単位動作UOが少なくとも1回または複数回にわたって実行される。単位動作UOを構成する変形工程Dと部分硬化工程Cとの時間的な比率は、任意に設定しうる。複数回にわたって単位動作UOが実行される場合、前記比率は、単位動作UO毎に個別に設定されてよい。第3、第4動作例は、各部分硬化工程Cの時間を短くし、これにより各部分硬化工程Cにおける基板Sの放熱を小さくするために有利である。各部分硬化工程Cの時間は、その時間内における基板Sの放熱による基板Sの変形が線形であると見做せるように決定されてもよい。これは、各変形工程Sにおける基板Sの入熱量(第1変調光の照射量)をより簡単に決定するために有利である。
図4(c)に示された第5動作例では、第2動作O2と第3動作O3との間に単位動作UOが挿入されていない。そのため、第2動作O2の時間が長くなり、その時間における基板Sの温度低下が大きくなりうる。一方で、第5動作例では、変形工程Cと部分硬化工程Dとの間の切り替え回数が少ないので、切り替えに要する時間を低減すること、および/または、動作を制御する制御パラメータ(制御情報)の単純化に有利である。
図4(a)、(b)、(c)に示された第3、第4、第5動作例では、接触工程において第1動作O1が開始されているが、アライメント工程の開始後に第1動作O1が開始されてもよい。この場合においても、排他的にしか実行できず、それぞれの実行時間に制約がある変形工程Cおよび部分硬化工程Dが見かけ上は並行して実行されうる。
図5(a)には、DMD133による光変調と、第1光源121および第2光源122の点灯および消灯との制御の一例が示されている。第1光源121および第2光源122の点灯および消灯は、過渡応答特性を有するので、第1光源121および第2光源122の点灯および消灯を完全に排他的に制御することは難しい。つまり、第1光源121および第2光源122は、点灯状態と消灯状態との間に中間的な状態を有しうる。第1光源121および第2光源122が過渡状態にある場合、第1光源121からの第1光および第2光源122からの第2光の双方がDMD133に入射しうる。この状態で、DMD133が変調動作を行うと、第1光および第2光の双方が変調された光が光路LPに照射されうる。これは、第2光がDMD133によって無秩序に変調された光による基板Sの望ましくない変形を引き起こしうる。
そこで、図5(a)に示された例では、第1光源121および第2光源122が過渡状態にある期間では、DMD133は、DMD133からの光が光路LPに照射されないOFF状態に制御される。なお、一例において、第1光源121および第2光源122の点灯および消灯の切り替えには、100マイクロ秒程度が必要であり、DMD133のパターンの切り替え(変調状態の切り替え)には、例えば、10マイクロ秒程度が必要である。
図5(b)には、DMD133による光変調と、第1光源121および第2光源122の点灯および消灯との制御の他の例が示されている。図5(b)の例では、DMD133の意図的なOFF期間が省略ないし短縮されている。このような制御は、スループットの向上に有利である。DMD133が部分硬化工程Cのために変調された状態で、インプリント材IMを硬化させない第1光(変形工程Dのための光)が過渡時間に基板Sを変形させる量を無視可能な場合がある。この場合、DMD133が変形工程Dのための変調状態から部分硬化工程Cのための変調状態に変更された後に、第1光を発生する第1光源121が点灯状態から消灯状態に変更されるとともに第2光を発生する第2光源122が消灯状態から点灯状態に変更されうる。また、第1光を発生する第1光源121が消灯状態から点灯状態に変更されるとともに第2光を発生する第2光源122が点灯状態から消灯状態に変更された後に、DMD133が部分硬化工程Cのための変調状態かる部分硬化工程Cのための変調状態に変更されうる。
図5(c)には、DMD133による光変調と、第1光源121および第2光源122の点灯および消灯との制御の更に他の例が示されている。図5(c)の例では、DMD133の意図的なOFF期間が省略ないし短縮されている。このような制御は、スループットの向上に有利である。DMD133が変形工程Dのために変調された状態で、インプリント材IMを硬化させる第2光(部分硬化工程Cのための光)が過渡時間に基板Sを変形させる量を無視可能な場合がある。この場合、DMD133が部分硬化工程Cのための変調状態から変形工程Dのための変調状態に変更された後に、第1光を発生する第1光源121が消灯状態から点灯状態に変更されるとともに第2光を発生する第2光源122が消灯状態から点灯状態に変更されうる。また、第1光を発生する第1光源121が消灯状態から点灯状態に変更されるとともに第2光を発生する第2光源122が点灯状態かる消灯状態に変更された後に、DMD133が部分硬化工程Cのための変調状態から部分硬化工程Cのための変調状態に変更されうる。
図6(a)には、図3(a)、(b)に示された第1、第2動作例の変形工程Dにおける基板S(のパターン領域)の変形量(熱変形量)の時間的な変化が例示されている。図6(b)には、図4(b)、(c)に示された第3、第4動作例に倣って複数回の単位動作UOを伴う第1、第2および第3動作を実行した場合における基板S(のパターン領域)の変形量(熱変形量)の時間的な変化が例示されている。図6(b)、(c)において、白部分(ON)は変形工程Dを示し、グレー部分(OFF)は部分硬化工程Cを示す。部分硬化工程C(OFF)では、基板Sに対する第1変調光の照射がなされないので、熱膨張による変形量が低下する。この変形量の低下分を相殺する量を考慮して後続の変形工程C(ON)を制御する必要がある。変形量の変化は、例えば、指数関数を含む関数で表現されうる。この指数関数の時定数を予め求めておくことによって、各変形工程Dの時間、変形工程Dと部分硬化工程Cとの時間比率等を決定することができる。また、第1光の強度が調整されてもよい。
図6(b)の例と図6(c)の例とは、変形工程Dおよび部分硬化工程Cを含む各単位動作UOの実行時間(結果として、単位動作UOの繰り返し回数)を変更した場合の熱変形量の変化の違いを示している。図6(b)の例は、変形工程Dと部分硬化工程Cとの間の切り替えの回数が少ない点で、スループットの向上に有利である。一方、図6(c)の例では、各単位動作UOの時間が短いので、各単位動作UOにおける熱変形量の変化を線形であると見做して熱変形量を制御することができる。また、図6(c)の例では、熱変形量の増減幅を小さくし、基板Sのパターン形成領域の変形を精密に制御することができる。
インプリント装置を用いて形成した硬化物のパターンは、各種物品の少なくとも一部に恒久的に、或いは各種物品を製造する際に一時的に、用いられる。物品とは、電気回路素子、光学素子、MEMS、記録素子、センサ、或いは、型等である。電気回路素子としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAMのような、揮発性或いは不揮発性の半導体メモリや、LSI、CCD、イメージセンサ、FPGAのような半導体素子等が挙げられる。光学素子としては、マイクロレンズ、導光体、導波路、反射防止膜、回折格子、偏光素子、カラーフィルタ、発光素子、ディスプレイ、太陽電池等が挙げられる。MEMSとしては、DMD、マイクロ流路、電気機械変換素子等が挙げられる。記録素子としては、CD、DVDのような光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、磁気ヘッド等が挙げられる。センサとしては、磁気センサ、光センサ、ジャイロセンサ等が挙げられる。型としては、インプリント用のモールド等が挙げられる。
硬化物のパターンは、上記物品の少なくとも一部の構成部材として、そのまま用いられるか、或いは、レジストマスクとして一時的に用いられる。基板の加工工程においてエッチング又はイオン注入等が行われた後、レジストマスクは除去される。
次に、インプリント装置によって基板にパターンを形成し、該パターンが形成された基板を処理し、該処理が行われた基板から物品を製造する物品製造方法について説明する。図7(a)に示すように、絶縁体等の被加工材2zが表面に形成されたシリコンウエハ等の基板1zを用意し、続いて、インクジェット法等により、被加工材2zの表面にインプリント材3zを付与する。ここでは、複数の液滴状になったインプリント材3zが基板上に付与された様子を示している。
図7(b)に示すように、インプリント用の型4zを、その凹凸パターンが形成された側を基板上のインプリント材3zに向け、対向させる。図7(c)に示すように、インプリント材3zが付与された基板1と型4zとを接触させ、圧力を加える。インプリント材3zは型4zと被加工材2zとの隙間に充填される。この状態で硬化用のエネルギーとして光を型4zを介して照射すると、インプリント材3zは硬化する。
図7(d)に示すように、インプリント材3zを硬化させた後、型4zと基板1zを引き離すと、基板1z上にインプリント材3zの硬化物のパターンが形成される。この硬化物のパターンは、型の凹部が硬化物の凸部に、型の凸部が硬化物の凹部に対応した形状になっており、即ち、インプリント材3zに型4zの凹凸パターンが転写されたことになる。
図7(e)に示すように、硬化物のパターンを耐エッチングマスクとしてエッチングを行うと、被加工材2zの表面のうち、硬化物が無いか或いは薄く残存した部分が除去され、溝5zとなる。図7(f)に示すように、硬化物のパターンを除去すると、被加工材2zの表面に溝5zが形成された物品を得ることができる。ここでは硬化物のパターンを除去したが、加工後も除去せずに、例えば、半導体素子等に含まれる層間絶縁用の膜、つまり、物品の構成部材として利用してもよい。
次に、物品の別の製造方法について説明する。図8(a)に示すように、石英ガラス等の基板1yを用意し、続いて、インクジェット法等により、基板1yの表面にインプリント材3yを付与する。必要に応じて、基板1yの表面に金属や金属化合物等の別の材料の層を設けても良い。
図8(b)に示すように、インプリント用の型4yを、その凹凸パターンが形成された側を基板上のインプリント材3yに向け、対向させる。図8(c)に示すように、インプリント材3yが付与された基板1yと型4yとを接触させ、圧力を加える。インプリント材3yは型4yと基板1yとの隙間に充填される。この状態で光を型4yを透して照射すると、インプリント材3は硬化する。
図8(d)に示すように、インプリント材3yを硬化させた後、型4yと基板1yを引き離すと、基板1y上にインプリント材3yの硬化物のパターンが形成される。こうして硬化物のパターンを構成部材として有する物品が得られる。なお、図8(d)の状態で硬化物のパターンをマスクとして、基板1yをエッチング加工すれば、型4yに対して凹部と凸部が反転した物品、例えば、インプリント用の型を得ることもできる。