JP2021050007A - 合成樹脂製キャップ及び容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好なタンパーエビデンス性を維持しながら、閉栓トルクの低減を図ることのできる合成樹脂製キャップ及び容器を提供すること。【解決手段】容器口部Mの外周に形成された雄ねじM1に螺合する雌ねじ5が設けられたスカート壁3と、該スカート壁3の下側に弱化部6を介して連結されたタンパーエビデンスバンド7とを具備した合成樹脂製キャップ1であって、前記タンパーエビデンスバンド7の内側に、周方向に間隔をおいて複数のフック8を有し、前記フック8は、前記容器口部Mに対する当該キャップ1の装着に伴い、前記容器口部Mの外周に設けられた環状突起9を乗り越えてその下方に至り、この乗り越え後は該環状突起9に係止するように構成され、前記フック8において、前記環状突起9を乗り越える際に該環状突起9によって拡径案内される部分8b、8cに摩擦低減領域を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、例えば、飲料物等の内容物を収容する容器の口部に装着される合成樹脂製キャップ及び容器に関する。
飲料物等の内容物を収容する容器の口部に装着されるキャップとして、一目で開封の有無を確認可能に構成されたものが広く用いられている。このようなキャップとして、容器口部の雄ねじに螺合する雌ねじが設けられたスカート壁を有するキャップ本体(主部)と、スカート壁の下側に弱化部(破断ライン)を介して連結されたタンパーエビデンスバンド(タンパーエビデント裾部)とを具備するものが知られている(特許文献1参照)。
斯かるキャップでは、容器口部に装着された状態からの開封操作(最初の開栓操作)に伴い、タンパーエビデンスバンドの内周に設けられたフック(係止手段)が容器口部の外周に設けられた環状突起(係止あご部)に係止した後、弱化部が破断され、キャップ本体とタンパーエビデンスバンドとが互いに分離される。従って、弱化部の破断の有無を視認することにより、開封操作が行われたか否かを容易に確認することができる。
特許第6518456号公報
ところで、上記従来のキャップでは、キャップを容器口部に装着する閉栓の過程で、図4に示すように、フック8が環状突起9を乗り越えてその下方に至るまでの間に、フック8は環状突起9によって拡径案内されるが、フック8が環状突起9を乗り越える際の抵抗が大きいと閉栓トルクが増大してしまう。閉栓トルクの増大は、キャッピング不良等の問題を引き起こす恐れがある。そこで、閉栓トルクの低減を図るべく、フック8や環状突起9を小さくすると、閉栓後にフック8が環状突起9にしっかりと係止せず、開栓の際に弱化部が破断することなくフック8が環状突起9を乗り越えてしまう所謂すっぽ抜けが生じ易くなり、タンパーエビデンス性が低下するという別の問題が生じることになる。
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、良好なタンパーエビデンス性を維持しながら、閉栓トルクの低減を図ることのできる合成樹脂製キャップ及び容器を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る合成樹脂製キャップは、容器口部の外周に形成された雄ねじに螺合する雌ねじが設けられたスカート壁と、該スカート壁の下側に弱化部を介して連結されたタンパーエビデンスバンドとを具備した合成樹脂製キャップであって、前記タンパーエビデンスバンドの内側に、周方向に間隔をおいて複数のフックを有し、前記フックは、前記容器口部に対する当該キャップの装着に伴い、前記容器口部の外周に設けられた環状突起を乗り越えてその下方に至り、この乗り越え後は該環状突起に係止するように構成され、前記フックにおいて、前記環状突起を乗り越える際に該環状突起によって拡径案内される部分に摩擦低減領域を有する(請求項1)。
上記合成樹脂製キャップにおいて、前記フックは、前記環状突起に係止する係止部と、縦断面形状が前記タンパーエビデンスバンドの内側に向かって凸の湾曲を描く湾曲部と、前記タンパーエビデンスバンドの内側への突出量が下側ほど小さくなる傾斜部とを上側からこの順に有し、少なくとも前記湾曲部又は前記傾斜部の何れか一方に前記摩擦低減領域を有するようにしてもよい(請求項2)。
上記合成樹脂製キャップにおいて、前記摩擦低減領域は、JIS B0601に規定される算術平均粗さ(Ra)が前記タンパーエビデンスバンドの軸方向において1〜25μmの粗面とされていてもよい(請求項3)。
一方、上記目的を達成するために、本発明に係る容器は、請求項1〜3の何れか一項に記載の合成樹脂製キャップが容器口部に装着される容器であり、前記環状突起において前記フックを拡径案内する部分に摩擦低減領域を有する(請求項4)。
本願発明では、良好なタンパーエビデンス性を維持しながら、閉栓トルクの低減を図ることのできる合成樹脂製キャップ及び容器が得られる。
すなわち、本願の各請求項に係る発明の合成樹脂製キャップでは、摩擦低減領域を設けることにより、フックが環状突起を乗り越える際の摩擦抵抗は小さくなり、ひいては閉栓トルクの低減を図ることができる。しかも、この場合、フックと環状突起との係止への影響を皆無とし、タンパーエビデンス性を損なわないようにすることもできる。
請求項3に係る発明では、摩擦低減領域の表面粗さを所定のものとすることにより、閉栓トルクの低減をより確実なものとすることができる。
請求項4に係る発明の容器では、フックのみではなく容器口部側にも摩擦低減領域を設けるので、閉栓トルクの更なる低減を図ることができる。
本発明の一実施の形態に係る合成樹脂製キャップを備えた容器の要部の構成を概略的に示す説明図である。 前記合成樹脂製キャップの構成を概略的に示す縦断面図である。 前記容器の要部の構成を概略的に示す縦断面図である。 フックが環状突起を乗り越える際のタンパーエビデンスバンドの変形の仕方を概略的に示す説明図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
図1、図2に示す合成樹脂製キャップ(以下、キャップという)1は、例えばペットボトル等の容器の口部Mに装着されて使用されるものであり、コンプレッション成形又はインジェクション成形によって、ポリエチレンで一体的に成形されている。なお、キャップ1を形成する素材は、特に限定されるものではなく、本実施形態で用いたポリエチレンの他、ポリプロピレン等が好適に用いられる。なお、図1において、キャップ1の右半分の図示は省略してある。
そして、キャップ1は、平面視において略円形状の天壁2と、この天壁2の外周部から下向きに延びる略円筒状のスカート壁3を有している。ここで、スカート壁3の外周面にはローレット溝4を、内周面には雌ねじ5を設けてあり、この雌ねじ5は容器口部Mの外周に形成された雄ねじM1に結合可能である(図2参照)。
また、キャップ1は、未開封(開栓が一度もされていないこと)を証明する機能を有するピルファープルーフキャップであり、スカート壁3の下側には、スカート壁3の全周にわたって延びる環状弱化部(弱化部の一例)6を介してタンパーエビデンスバンド(以下、単に「バンド」という)7を連結してある。
すなわち、環状弱化部6は、スカート壁3とバンド7とを上下に画するものであり、スカート壁3及びバンド7の周方向に断続して延びる(ミシン目状の)スリットと、隣り合うスリットの間に存在するブリッジとで構成され、ブリッジは所定の力で引っ張られると破断する。
そして、このバンド7の内周側には、内向きに突出するフック8を、周方向に間隔をおいて複数(例えば5個)設けてある。各フック8は、キャップ1が容器口部に装着された状態で、容器口部Mの外周において雄ねじM1よりも下方に形成された環状突起(ビード部)9(図1参照)の略下側へ位置し、開封操作によって環状突起9に係止する。すなわち、フック8は、環状突起9に下方から係止可能に構成されている。
また、図3に示すように、バンド7の内周側において、フック8の上方には、バンド7の内側に突出し、その突出量はフック9よりも小さい突出部10が連なり、さらに、突出部10の上方には上側ほど内径が大きくなる傾斜ガイド11が連なっている。
突出部10は、内周面が円筒状になるように構成され、バンド7における突出部10及び傾斜ガイド11よりも上方の部位の内径よりも小さい内径を有し、環状突起9の最大外径は、突出部10の内径より大きく、バンド7における傾斜ガイド11よりも上方の部位の内径より小さい。
上記構成からなるキャップ1は、容器口部Mに装着され未開封の密封状態では、環状突起9の外周面から下面にかけて位置するコーナー部9aの少なくとも一部が、傾斜ガイド11の上端から下端までの間の高さ位置に位置するように構成されている(図3参照)。このとき、コーナー部9aは、傾斜ガイド11に接触していても接触していなくてもよいが、少なくとも傾斜ガイド11以外の部位に環状突起9が接触しないようにするのが好ましい。このような接触が生じていると、開栓トルクが増大するためである。
そして、この図3に示す状態からキャップ1を開封方向に回転させると、容器口部Mに対してキャップ1が相対的に上昇し、やがてフック8が環状突起9に下方から係止する状態となる。そして、さらにキャップ1を開封方向に回転させることにより容器口部Mに装着されたキャップ1を開封する際、容器口部Mの環状突起9の外周面に対して突出部10の内周面が当接し、これにより、キャップ1が斜めに持ち上がったりがたついたりすることが防止され、環状弱化部6が偏らずに略均一に破断するので、タンパーエビデンス性は良好となる。
ところで、各フック8は、容器口部Mに対するキャップ1の装着(閉栓)に伴い、容器口部Mの外周に設けられた環状突起9を乗り越えてその下方に至るものであり、この乗り越えの際に環状突起9によって拡径案内され(図4参照)、バンド7は弾性的に拡径変形し、乗り越えた後は元の形状に弾性復帰して環状突起9に係止してその上方に乗り越え不可能となるように構成されている。そして、上述のように、各フック8が環状突起9を乗り越える際の抵抗が大きいと閉栓トルクが増大することになる。
そこで、本実施形態のキャップ1では、フック8において、環状突起9を乗り越える際に環状突起9に拡径案内される(接触する)部分に、摩擦抵抗が小さくなる摩擦低減領域を設ける。
詳述すると、図3に示すように、まず、フック8は、開栓時に環状突起9に係止する係止部8aと、縦断面形状がバンド7の内側に向かって凸の湾曲を描く湾曲部8bと、バンド7の内側への突出量が下側ほど小さくなる傾斜部8cとを上側からこの順に有し(図3のフック8の中の破線は、係止部8a、湾曲部8b、傾斜部8cの境界を示す)、環状突起9は、コーナー部9aの上側に、上側に向かって縮径し、この傾斜角度(縮径度合い)は上側ほど大きくなる拡径案内部9bを有する。
そして、少なくとも湾曲部8b又は傾斜部8cの何れか一方に摩擦低減領域(図示していない)を設ける。この摩擦低減領域は、JIS B0601に規定される算術平均粗さ(Ra)がバンド7の軸方向において1〜25μm(好ましくは2〜20μm)の粗面とされているものであり、この粗面化自体は、例えばキャップ1の金型表面に対するサンドブラスト、放電加工等、公知の方法を適用することにより行える。ちなみに、キャップ1において摩擦低減領域以外の領域(粗面化しない部分)は、算術平均粗さ(Ra)が例えば0.5μm以下の滑面となっている。
このように摩擦低減領域を設けることにより、フック8が環状突起9を乗り越える際の摩擦抵抗は小さくなり、ひいては閉栓トルクの低減を図ることができる。しかも、この場合、フック8と環状突起9との係止への影響を皆無とし、タンパーエビデンス性を損なわないようにすることもできる。
ここで、閉栓トルクの低減を重視する観点からは、湾曲部8b及び傾斜部8cの全面にわたって摩擦低減領域を設けることが好ましい。そして、この場合、環状弱化部6が破断することなくフック8が環状突起9を乗り越えてしまう所謂すっぽ抜けが生じない範囲で、係止部8aにも摩擦低減領域を設けるようにしてもよい。
しかし、例えば、湾曲部8b又は傾斜部8cの何れか一方に、全面ではなく部分的に摩擦低減領域を設けてもよく、この場合でも、全く摩擦低減領域を設けない場合よりも閉栓トルクは低減することになる。また、閉栓トルクの低減を重視する観点からは、全てのフック8に摩擦低減領域を設けるのが好ましいが、一部のフック8のみに摩擦低減領域を設けるようにしてもよい。
さらに、環状突起9においてフック8を拡径案内する部分(拡径案内部9b)に摩擦低減領域(表面粗さは例えばキャップ1(フック8)に設ける場合と同様とすることができる)を設けてもよく、この場合は、閉栓トルクの更なる低減を図ることが可能となる。また、このとき、閉栓トルクの低減を重視する観点からは、摩擦低減領域を拡径案内部9bに全面的に設けるのが好ましいが、これに限らず、例えば拡径案内部9bの上半分(上局面)のみに設けるなど、部分的に設けてもよい。
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
フック8や環状突起9に設ける摩擦低減領域を、突出部10や傾斜ガイド11に設け、開栓トルクの低減を図るようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、バンド7に突出部10及び傾斜ガイド11を設けているが、これに限らず、例えば突出部10や傾斜ガイド11を無くしてもよく、この場合、フック8の係止部8aが外周側に向かって拡大することになる。
なお、上記変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
1 合成樹脂製キャップ
2 天壁
3 スカート壁
4 ローレット溝
5 雌ねじ
6 環状弱化部
7 タンパーエビデンスバンド
8 フック
8a 係止部
8b 湾曲部
8c 傾斜部
9 環状突起
9a コーナー部
9b 拡径案内部
10 突出部
11 傾斜ガイド
M 容器口部
M1 雄ねじ

Claims (4)

  1. 容器口部の外周に形成された雄ねじに螺合する雌ねじが設けられたスカート壁と、該スカート壁の下側に弱化部を介して連結されたタンパーエビデンスバンドとを具備した合成樹脂製キャップであって、
    前記タンパーエビデンスバンドの内側に、周方向に間隔をおいて複数のフックを有し、
    前記フックは、前記容器口部に対する当該キャップの装着に伴い、前記容器口部の外周に設けられた環状突起を乗り越えてその下方に至り、この乗り越え後は該環状突起に係止するように構成され、
    前記フックにおいて、前記環状突起を乗り越える際に該環状突起によって拡径案内される部分に摩擦低減領域を有する合成樹脂製キャップ。
  2. 前記フックは、前記環状突起に係止する係止部と、縦断面形状が前記タンパーエビデンスバンドの内側に向かって凸の湾曲を描く湾曲部と、前記タンパーエビデンスバンドの内側への突出量が下側ほど小さくなる傾斜部とを上側からこの順に有し、少なくとも前記湾曲部又は前記傾斜部の何れか一方に前記摩擦低減領域を有する請求項1に記載の合成樹脂製キャップ。
  3. 前記摩擦低減領域は、JIS B0601に規定される算術平均粗さ(Ra)が前記タンパーエビデンスバンドの軸方向において1〜25μmの粗面とされている請求項1又は2に記載の合成樹脂製キャップ。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の合成樹脂製キャップが容器口部に装着される容器であり、前記環状突起において前記フックを拡径案内する部分に摩擦低減領域を有する容器。
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