JP2021046631A - 耐炎化繊維、その製造方法、及び炭素繊維の製造方法 - Google Patents

耐炎化繊維、その製造方法、及び炭素繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アクリルアミド系ポリマーに由来し、高温での耐荷重性に優れ、高い強度、高い弾性率及び高い炭化収率を有する耐炎化繊維を提供すること。【解決手段】アクリルアミド系ポリマーに由来し、赤外吸収スペクトルにおける1560〜1595cm−1の範囲に吸収ピークAが存在し、かつ、前記吸収ピークAの強度(IA)と1648cm−1の吸収ピークBの強度(IB)との比(IA/IB)が0.5〜10であることを特徴とする耐炎化繊維。【選択図】なし

Description

本発明は、耐炎化繊維、その製造方法、及び炭素繊維の製造方法に関する。
炭素繊維の製造方法としては、従来から、ポリアクリロニトリルを紡糸して得られる炭素繊維前駆体に耐炎化処理を施した後、炭化処理を施す方法が主として採用されている(例えば、特公昭37−4405号公報(特許文献1)、特開2015−74844号公報(特許文献2)、特開2016−40419号公報(特許文献3)、特開2016−113726号公報(特許文献4))。この方法に用いられるポリアクリロニトリルは安価な汎用溶媒に溶解しにくいため、重合や紡糸の際に、ジメチルスルホキシドやN,N−ジメチルアセトアミド等の高価な溶媒を使用する必要があり、炭素繊維の製造コストが高くなるという問題があった。
また、特開2013−103992号公報(特許文献5)には、アクリロニトリル単位96〜97.5質量部と、アクリルアミド単位2.5〜4質量部と、カルボン酸含有ビニルモノマー0.01〜0.5質量部とからなるポリアクリロニトリル系共重合体からなる炭素繊維前駆体繊維が記載されている。このポリアクリロニトリル系共重合体は、ポリマーの水溶性に寄与するアクリルアミド単位やカルボン酸含有ビニルモノマー単位を含有するものの、これらの含有量が少ないため、水には不溶であり、重合や成形加工(紡糸)の際に、N,N−ジメチルアセトアミド等の高価な溶媒を使用する必要があり、炭素繊維の製造コストが高くなるという問題があった。
さらに、ポリアクリロニトリルやその共重合体に加熱処理を施すと、急激な発熱が起こり、ポリアクリロニトリルやその共重合体の熱分解が加速されるため、炭素材料(炭素繊維)の収率が低くなるという問題があった。このため、ポリアクリロニトリルやその共重合体を用いて炭素材料(炭素繊維)を製造する場合には、耐炎化処理の昇温過程において、急激な発熱が発生しないように、長時間をかけて徐々に昇温する必要があった。
一方、アクリルアミド単位を多く含有するアクリルアミド系ポリマーは水溶性のポリマーであり、重合や成形加工(フィルム化、シート化、紡糸等)の際に、安価で環境負荷の小さい水を溶媒として使用することができるため、炭素材料の製造コストの削減が期待される。例えば、特開2018−90791号公報(特許文献6)には、アクリルアミド系ポリマーと、酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分とを含有する炭素材料前駆体組成物、及びそれを用いた炭素材料の製造方法が記載されている。また、特開2019−26827号公報(特許文献7)には、アクリルアミド系モノマー単位50〜99.9モル%とシアン化ビニル系モノマー単位0.1〜50モル%とを含有するアクリルアミド/シアン化ビニル系共重合体からなる炭素材料前駆体、及びこの炭素材料前駆体と、酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分とを含有する炭素材料前駆体組成物、並びに、これらを用いた炭素材料の製造方法が記載されている。しかしながら、これらの炭素材料の製造方法における炭化収率は、必ずしも十分なものではなく、未だ改良の余地があった。
特公昭37−4405号公報 特開2015−74844号公報 特開2016−40419号公報 特開2016−113726号公報 特開2013−103992号公報 特開2018−90791号公報 特開2019−26827号公報
本発明者らは、アクリルアミド系ポリマー繊維に耐炎化処理を施すことによって得られる耐炎化繊維に炭化処理を施した場合、炭素繊維の生産性や強度が低下する場合があること、さらに、耐炎化繊維の搬送時や炭化処理時の糸切れがそれらの原因の一つであることを見出した。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、アクリルアミド系ポリマーに由来し、高温での耐荷重性に優れ、高い強度、高い弾性率及び高い炭化収率を有する耐炎化繊維及びその製造方法、並びに高収率で炭素繊維を製造することが可能な炭素繊維の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アクリルアミド系ポリマー繊維に所定の張力を付与しながら、酸化性雰囲気下、得られる耐炎化繊維の赤外吸収スペクトルにおける1560〜1595cm−1の範囲に存在する吸収ピークAの強度(I)と1648cm−1の吸収ピークBの強度(I)との比(I/I)が所定の値となるまで加熱処理(耐炎化処理)を施すことによって、高温での耐荷重性に優れ、高い強度、高い弾性率及び高い炭化収率を有する耐炎化繊維が得られ、さらに、このような耐炎化繊維に炭化処理を施すことによって、高収率で炭素繊維が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の耐炎化繊維は、アクリルアミド系ポリマーに由来し、赤外吸収スペクトルにおける1560〜1595cm−1の範囲に吸収ピークAが存在し、かつ、前記吸収ピークAの強度(I)と1648cm−1の吸収ピークBの強度(I)との比(I/I)が0.5〜10(好ましくは、0.7〜10)であることを特徴とするものである。
また、本発明の耐炎化繊維の製造方法は、アクリルアミド系ポリマー繊維に、0.07〜200mN/texの張力を付与しながら、酸化性雰囲気下、得られる耐炎化繊維の赤外吸収スペクトルにおける1560〜1595cm−1の範囲に存在する吸収ピークAの強度(I)と1648cm−1の吸収ピークBの強度(I)との比(I/I)が0.5〜10になるまで加熱処理を施すことを特徴とする方法である。
本発明の耐炎化繊維の製造方法において、前記アクリルアミド系ポリマー繊維が酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分を更に含有するものである場合には、前記加熱処理は少なくとも260〜450℃の範囲内の温度で施されることが好ましく、また、前記アクリルアミド系ポリマー繊維が前記添加成分を含まない場合には、前記加熱処理は少なくとも310〜500℃の範囲内の温度で施されることが好ましい。
また、本発明の炭素繊維の製造方法は、前記本発明の耐炎化繊維に炭化処理を施すことを特徴とする方法であり、例えば、前記本発明の耐炎化繊維の製造方法により耐炎化繊維を製造する工程と、前記耐炎化繊維に炭化処理を施す工程と、を含むことを特徴とする方法である。
なお、本発明の耐炎化繊維の製造方法によって、高温での耐荷重性に優れ、高い強度、高い弾性率及び高い炭化収率を有する耐炎化繊維が得られる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、アクリルアミド系ポリマー繊維に所定の張力を付与しながら、酸化性雰囲気下、得られる耐炎化繊維の赤外吸収スペクトルにおける1560〜1595cm−1の範囲に存在する吸収ピークAの強度(I)と1648cm−1の吸収ピークBの強度(I)との比(I/I)が所定の値となるまで加熱処理(耐炎化処理)を施すことによって、アクリルアミド系ポリマーを耐炎化処理することによって生じるイミド環構造だけでなく、イミド環構造が隣接する官能基と更に反応して、例えば、下記式で示されるような2環以上の多環が連続した構造が形成されると推察される。なお、2環以上の多環が連続した構造は下記式で示される2環又は3環が連続した構造に限定されるものではなく、4環以上の多環が連続した構造であってもよい。
Figure 2021046631
Figure 2021046631
そして、このような2環以上の多環が連続した構造が耐熱性に優れており、また、高強度及び高弾性率を兼ね備えているため、本発明の耐炎化繊維は、耐熱性が高く、高温での耐荷重性に優れており、また、高い強度及び高い弾性率を示すと推察される。さらに、このような耐熱性に優れた耐炎化繊維は、炭化処理時の熱分解が抑制されるため、効率的に炭化反応が進行し、高い炭化収率を示すと推察される。
本発明によれば、アクリルアミド系ポリマーに由来し、高温での耐荷重性に優れ、高い強度、高い弾性率及び高い炭化収率を有する耐炎化繊維を得ることができる。また、このような耐炎化繊維に炭化処理を施すことによって、高収率で炭素繊維を製造することが可能となる。
実施例3及び比較例1で得られた耐炎化繊維の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
〔耐炎化繊維の製造方法〕
先ず、本発明の耐炎化繊維の製造方法について説明する。本発明の耐炎化繊維の製造方法は、アクリルアミド系ポリマー繊維に、0.07〜200mN/texの張力を付与しながら、酸化性雰囲気下、得られる耐炎化繊維の赤外吸収スペクトルにおける1560〜1595cm−1の範囲に存在する吸収ピークAの強度(I)と1648cm−1の吸収ピークBの強度(I)との比(I/I)が0.5〜10になるまで加熱処理(耐炎化処理)を施す方法である。
(アクリルアミド系ポリマー)
本発明に用いられるアクリルアミド系ポリマーとしては、アクリルアミド系モノマーの単独重合体であっても、アクリルアミド系モノマーと他の重合性モノマーとの共重合体であってもよいが、耐炎化繊維の炭化収率が向上するという観点から、アクリルアミド系モノマーと他の重合性モノマーとの共重合体が好ましい。
また、本発明に用いられるアクリルアミド系ポリマーは、水性溶媒(水、アルコール等、及びこれらの混合溶媒)及び水系混合溶媒(前記水性溶媒と有機溶媒(テトラヒドロフラン等)との混合溶媒)のうちの少なくとも一方に可溶なものであることが好ましい。これにより、アクリルアミド系ポリマーを紡糸する際には、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた乾式紡糸、乾湿式紡糸、湿式紡糸、又はエレクトロスピニングが可能となり、低コストで安全に耐炎化繊維及び炭素繊維を製造することが可能となる。また、アクリルアミド系ポリマーに後述する添加成分を配合する場合に、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた湿式混合が可能となり、アクリルアミド系ポリマーと後述する添加成分とを均一かつ低コストで安全に混合することが可能となる。なお、前記水系混合溶媒中の有機溶媒の含有量としては、前記水性溶媒に不溶又は難溶なアクリルアミド系ポリマーが有機溶媒を混合することによって溶解する量であれば特に制限はない。また、このようなアクリルアミド系ポリマーの中でも、より低コストで安全に耐炎化繊維及び炭素繊維を製造することが可能となるという観点から、前記水性溶媒に可溶なアクリルアミド系ポリマーが好ましく、水に可溶な(水溶性の)アクリルアミド系ポリマーがより好ましい。
さらに、本発明に用いられるアクリルアミド系ポリマーの重量平均分子量の上限としては、特に制限はないが、通常500万以下であり、アクリルアミド系ポリマーの紡糸性の観点から、200万以下が好ましく、100万以下がより好ましく、40万以下が更に好ましく、30万以下が特に好ましい。また、アクリルアミド系ポリマーの重量平均分子量の下限としては、特に制限はないが、通常1万以上であり、アクリルアミド系ポリマー繊維の強度の観点から、2万以上が好ましく、3万以上がより好ましく、4万以上が特に好ましい。なお、前記アクリルアミド系ポリマーの重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定されるものである。
前記アクリルアミド系モノマーと他の重合性モノマーとの共重合体におけるアクリルアミド系モノマー単位の含有量の下限としては、前記共重合体の水性溶媒又は水系混合溶媒に対する可溶性の観点から、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上が特に好ましい。また、アクリルアミド系モノマー単位の含有量の上限としては、耐炎化繊維の炭化収率が向上するという観点から、99.9モル%以下が好ましく、99モル%以下がより好ましく、95モル%以下が更に好ましく、90モル%以下が特に好ましく、85モル%以下が最も好ましい。
前記アクリルアミド系モノマーと他の重合性モノマーとの共重合体における他の重合性モノマー単位の含有量の下限としては、耐炎化繊維の炭化収率が向上するという観点から、0.1モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましく、5モル%以上が更に好ましく、10モル%以上が特に好ましく、15モル%以上が最も好ましい。また、他の重合性モノマー単位の含有量の上限としては、前記共重合体の水性溶媒又は水系混合溶媒に対する可溶性の観点から、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、30モル%以下が特に好ましい。
前記アクリルアミド系モノマーとしては、例えば、アクリルアミド;N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド等のN−アルキルアクリルアミド;N−シクロヘキシルアクリルアミド等のN−シクロアルキルアクリルアミド;N,N−ジメチルアクリルアミド等のジアルキルアクリルアミド;ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のジアルキルアミノアルキルアクリルアミド;N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(ヒドロキシエチル)アクリルアミド等のヒドロキシアルキルアクリルアミド;N−フェニルアクリルアミド等のN−アリールアクリルアミド;ジアセトンアクリルアミド;N,N’−メチレンビスアクリルアミド等のN,N’−アルキレンビスアクリルアミド;メタクリルアミド;N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−ブチルメタクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド等のN−アルキルメタクリルアミド;N−シクロヘキシルメタクリルアミド等のN−シクロアルキルメタクリルアミド;N,N−ジメチルメタクリルアミド等のジアルキルメタクリルアミド;ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等のジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド;N−(ヒドロキシメチル)メタクリルアミド、N−(ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等のヒドロキシアルキルメタクリルアミド;N−フェニルメタクリルアミド等のN−アリールメタクリルアミド;ジアセトンメタクリルアミド;N,N’−メチレンビスメタクリルアミド等のN,N’−アルキレンビスメタクリルアミドが挙げられる。これらのアクリルアミド系モノマーは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、これらのアクリルアミド系モノマーの中でも、水性溶媒又は水系混合溶媒への溶解性が高いという観点から、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、ジアルキルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、ジアルキルメタクリルアミドが好ましく、アクリルアミドが特に好ましい。
前記他の重合性モノマーとしては、例えば、シアン化ビニル系モノマー、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸エステル、ビニル系モノマー、オレフィン系モノマーが挙げられる。前記シアン化ビニル系モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ヒドロキシエチルアクリロニトリル、クロロアクリロニトリル、クロロメタクリロニトリル、メトキシアクリロニトリル、メトキシメタクリロニトリル等が挙げられる。前記不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等が挙げられ、前記不飽和カルボン酸の塩としては、前記不飽和カルボン酸の金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられ、前記不飽和カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、イタコン酸無水物等が挙げられ、前記不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられ、前記ビニル系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系モノマー、塩化ビニル、ビニルアルコール等が挙げられ、前記オレフィン系モノマーとしては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。これらの他の重合性モノマーは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、これらの他の重合性モノマーの中でも、アクリルアミド系ポリマーの紡糸性、耐炎化繊維の炭化収率が向上するという観点から、シアン化ビニル系モノマーが好ましく、アクリロニトリルが特に好ましく、前記共重合体の水性溶媒又は水系混合溶媒に対する可溶性の観点からは、不飽和カルボン酸及びその塩が好ましい。
このようなアクリルアミド系ポリマーを合成する方法としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、リビングラジカル重合等の公知の重合反応を、溶液重合、懸濁重合、沈殿重合、分散重合、乳化重合(例えば、逆相乳化重合)等の重合方法によって行う方法を採用することができる。前記重合反応の中でも、アクリルアミド系ポリマーを低コストで合成できるという観点から、ラジカル重合が好ましい。また、溶液重合を採用する場合、溶媒としては、原料のモノマー及び得られるアクリルアミド系ポリマーが溶解するものを使用することが好ましく、低コストで安全に合成できるという観点から、前記水性溶媒(水、アルコール等、及びこれらの混合溶媒等)又は前記水系混合溶媒(前記水性溶媒と有機溶媒(テトラヒドロフラン等)との混合溶媒)を使用することがより好ましく、前記水性溶媒を使用することが特に好ましく、水を使用することが最も好ましい。
前記ラジカル重合においては、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の従来公知のラジカル重合開始剤を使用することができるが、溶媒として前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を使用する場合には、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒(好ましくは前記水性溶媒、より好ましくは水)に可溶なラジカル重合開始剤が好ましい。また、アクリルアミド系ポリマーを低分子量化し、アクリルアミド系ポリマーの紡糸性を向上させるという観点から、前記重合開始剤に代えて又は加えて、テトラメチルエチレンジアミン等の従来公知の重合促進剤やn−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン等の分子量調節剤を用いることが好ましく、前記前記重合開始剤と前記重合促進剤とを併用することが好ましく、過硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンとを併用することが特に好ましい。
前記重合反応の温度としては特に制限はないが、得られるアクリルアミド系ポリマーの重量平均分子量Mwを低下させ、アクリルアミド系ポリマーの紡糸性を向上させるという観点から、35℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましく、70℃以上が特に好ましく、75℃以上が最も好ましい。
(アクリルアミド系ポリマー繊維)
本発明に用いられるアクリルアミド系ポリマー繊維は、前記アクリルアミド系ポリマーからなるものであり、その繊度としては特に制限はないが、1×10−8〜100tex/本が好ましく、1×10−6〜60tex/本がより好ましく、0.001〜40tex/本が更に好ましく、0.01〜10tex/本がまた更に好ましく、0.02〜2tex/本が特に好ましく、0.03〜0.4tex/本が最も好ましい。アクリルアミド系ポリマー繊維の繊度が前記下限未満になると、糸切れが発生しやすく、安定した巻取りや耐炎化処理が困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、耐炎化繊維の表層付近と中心付近の構造差が大きくなり、得られる炭素繊維の引張強度及び引張弾性率が低下する傾向にある。
また、前記アクリルアミド系ポリマー繊維の平均繊維径としては特に制限はないが、3nm〜300μmが好ましく、30nm〜250μmがより好ましく、1〜200μmが更に好ましく、3〜100μmがまた更に好ましく、4〜40μmが特に好ましく、5〜20μmが最も好ましい。アクリルアミド系ポリマー繊維の平均繊維径が前記下限未満になると、糸切れが発生しやすく、安定した巻取りや耐炎化処理が困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、耐炎化繊維の表層付近と中心付近の構造差が大きくなり、得られる炭素繊維の引張強度及び引張弾性率が低下する傾向にある。
さらに、前記アクリルアミド系ポリマー繊維においては、特に制限はないが、絶乾状態での密度が1.20g/cm以上であることが好ましく、1.21g/cm以上であることがより好ましく、1.22g/cm以上であることが更に好ましく、1.23g/cm以上であることが特に好ましく、1.24g/cm以上であることが最も好ましい。このような密度を有するアクリルアミド系ポリマー繊維を用いることによって、耐炎化処理による環化反応が加速する傾向にあり、耐炎化処理後の耐炎化繊維の炭化収率が向上する傾向にある。
また、前記アクリルアミド系ポリマー繊維は、酸等の添加成分を配合せずに、そのまま耐炎化繊維及び炭素繊維の製造に使用することが可能であるが、脱水反応や脱アンモニア反応による環状構造の形成が加速し、さらに、2環以上の多環が連続した構造の形成が加速することによって、得られる耐炎化繊維の赤外吸収スペクトルにおける前記吸収ピークAと前記吸収ピークBとの強度比(I/I)が所定の値になりやすくなるという観点から、前記アクリルアミド系ポリマー繊維には、前記アクリルアミド系ポリマーに加えて、酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分が含まれていてもよい。前記添加成分を含むアクリルアミド系ポリマー繊維に張力を付与しながら耐炎化処理を施すことによって、脱水反応や脱アンモニア反応による環状構造の形成が加速し、さらに、2環以上の多環が連続した構造の形成が加速し、赤外吸収スペクトルにおける前記吸収ピークAと前記吸収ピークBとの強度比(I/I)が所定の値になりやすくなるため、高温での耐荷重性に優れ、高い強度、高い弾性率及び高い炭化収率を有する耐炎化繊維が得られる。また、本発明の耐炎化繊維においては、前記添加成分及びその残渣の少なくとも一部が残存していてもよい。さらに、耐炎化繊維に前記添加成分を加えて炭化処理を行ってもよい。
このような添加成分の含有量としては、アクリルアミド系ポリマー繊維から作製した耐炎化繊維の高温での耐荷重性、強度、弾性率及び炭化収率がより向上するという観点から、前記アクリルアミド系ポリマー100質量部に対して0.1〜100質量部が好ましく、0.2〜50質量部がより好ましく、0.5〜30質量部が更に好ましく、1〜20質量部が特に好ましく、1〜10質量部が最も好ましい。
前記酸としては、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸、ポリホウ酸、硫酸、硝酸、炭酸、塩酸等の無機酸、シュウ酸、クエン酸、スルホン酸、酢酸等の有機酸が挙げられる。また、このような酸の塩としては、金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられ、アンモニウム塩、アミン塩が好ましく、アンモニウム塩がより好ましい。特に、これらの添加成分のうち、アクリルアミド系ポリマー繊維から作製した耐炎化繊維の高温での耐荷重性、強度、弾性率及び炭化収率がより向上するが更に向上するという観点から、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸、ポリホウ酸、硫酸、及びこれらのアンモニウム塩が好ましく、リン酸、ポリリン酸、及びこれらのアンモニウム塩が特に好ましい。
前記添加成分は、前記水性溶媒及び前記水系混合溶媒のうちの少なくとも一方(より好ましくは前記水性溶媒、特に好ましくは水)に可溶なものであることが好ましい。これにより、添加成分を含有するアクリルアミド系ポリマー繊維を製造する際に、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた湿式混合が可能となり、前記アクリルアミド系ポリマーと前記添加成分とを均一かつ低コストで安全に混合することが可能となる。また、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた乾式紡糸、乾湿式紡糸、湿式紡糸、又はエレクトロスピニングが可能となり、低コストで安全に耐炎化繊維及び炭素繊維を製造することが可能となる。
このようなアクリルアミド系ポリマー繊維は以下のようにして作製(製造)することができる。先ず、前記アクリルアミド系ポリマー又は前記アクリルアミド系ポリマーと前記添加成分とを含有するアクリルアミド系ポリマー組成物を紡糸する。このとき、溶融状態の前記アクリルアミド系ポリマー又は前記アクリルアミド系ポリマー組成物を用いて溶融紡糸、スパンボンド、メルトブローン、遠心紡糸してもよいが、前記アクリルアミド系ポリマー又は前記アクリルアミド系ポリマー組成物が前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒に可溶な場合には、紡糸性が高まるという観点から、前記アクリルアミド系ポリマー又は前記アクリルアミド系ポリマー組成物を前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒に溶解し、得られた水性溶液又は水系混合溶液を用いて紡糸すること、或いは、前述の重合後のアクリルアミド系ポリマーの溶液又は後述する湿式混合で得られるアクリルアミド系ポリマー組成物の溶液をそのまま若しくは所望の濃度に調整した後、紡糸することが好ましい。このような紡糸方法としては、乾式紡糸、湿式紡糸、乾湿式紡糸、ゲル紡糸、フラッシュ紡糸、又はエレクトロスピニングが好ましい。これにより、所望の繊度及び平均繊維径を有するアクリルアミド系ポリマー繊維を低コストで安全に作製(製造)することができる。また、より低コストで安全にアクリルアミド系ポリマー繊維を製造することができるという観点から、溶媒として前記水性溶媒を使用することがより好ましく、水を使用することが特に好ましい。
また、前記水性溶液又は前記水系混合溶液における前記アクリルアミド系ポリマーの濃度としては特に制限はないが、生産性向上とコスト低減の観点から、20質量%以上の高濃度が好ましい。なお、前記アクリルアミド系ポリマーの濃度が高くなりすぎると、前記水性溶液又は前記水系混合溶液の粘度が高くなり、紡糸性が低下するため、前記水性溶液又は前記水系混合溶液の濃度を、粘度を指標として、紡糸が可能な濃度に調整することが好ましい。
前記アクリルアミド系ポリマー組成物を製造する方法としては、溶融状態の前記アクリルアミド系ポリマーに前記添加成分を直接混合する方法(溶融混合)、前記アクリルアミド系ポリマーと前記添加成分とをドライブレンドする方法(乾式混合)、前記添加成分を含有する水性溶液又は水系混合溶液、或いは前記アクリルアミド系ポリマーは完全溶解していないが前記添加成分は溶解している溶液に繊維状に成形した前記アクリルアミド系ポリマーを浸漬したり、通過させたりする方法等を採用することも可能であるが、使用する前記アクリルアミド系ポリマー及び前記添加成分が前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒に可溶な場合には、前記アクリルアミド系ポリマーと前記添加成分とを均一に混合することができるという観点から、前記アクリルアミド系ポリマーと前記添加成分とを前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒中で混合する方法(湿式混合)が好ましい。また、湿式混合としては、前記アクリルアミド系ポリマーの合成に際し、前述の重合を前記水性溶媒中又は前記水系混合溶媒中で行った場合に、重合後等に前記添加成分を混合する方法も採用することができる。さらに、得られる溶液から前記溶媒を除去することによって前記アクリルアミド系ポリマー組成物を回収し、これを後述する炭素繊維の製造に用いることができるほか、前記溶媒を除去することなく、得られる溶液をそのまま後述する炭素繊維の製造に用いることもできる。また、前記湿式混合においては、より低コストで安全に前記アクリルアミド系ポリマー組成物を製造できるという観点から、溶媒として前記水性溶媒を使用することが好ましく、水を使用することがより好ましい。さらに、前記溶媒を除去する方法としては特に制限はなく、減圧留去、再沈殿、熱風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の公知の方法のうちの少なくとも1つの方法を採用することができる。
このようなアクリルアミド系ポリマー繊維は、単繊維として使用してもよいし、繊維束として使用してもよい。前記アクリルアミド系ポリマー繊維を繊維束として使用する場合、1糸条あたりのフィラメント数としては特に制限はないが、耐炎化繊維及び炭素繊維の高生産性及び機械特性が向上するという観点から、50〜96000本が好ましく、100〜48000本がより好ましく、500〜36000本が更に好ましく、1000〜24000本が特に好ましい。1糸条あたりのフィラメント数が前記上限を超えると、耐炎化処理時に焼成ムラが生じる場合がある。
また、このようなアクリルアミド系ポリマー繊維には、繊維の集束性、ハンドリングの向上、繊維同士の癒着の防止という観点から、シリコーン系油剤等の従来公知の油剤を塗布してもよい。
(耐炎化繊維の製造方法)
本発明の耐炎化繊維の製造方法は、前記アクリルアミド系ポリマー繊維に、0.07〜200mN/texの張力を付与しながら、酸化性雰囲気下、得られる耐炎化繊維の赤外吸収スペクトルにおける1560〜1595cm−1の範囲に存在する吸収ピークAの強度(I)と1648cm−1の吸収ピークBの強度(I)との比(I/I)が0.5〜10になるまで加熱処理(耐炎化処理)を施す方法である。本発明に用いられる前記アクリルアミド系ポリマー繊維は、耐炎化処理によって熱分解されにくく、また、アクリルアミド系ポリマーの構造が耐炎化処理によって耐熱性の高い構造に変換されるため、得られる耐炎化繊維は、高温での耐荷重性に優れ、高い強度、高い弾性率及び高い炭化収率を示す。特に、前記添加成分を含有する前記アクリルアミド系ポリマー繊維においては、添加成分である酸やその塩の触媒作用により、アクリルアミド系ポリマーの脱アンモニア反応や脱水反応が促進されるため、分子内に環状構造(イミド環構造)や2環以上の多環が連続した構造が形成されやすく、アクリルアミド系ポリマーの構造が耐熱性の高い構造に変換されやすいため、耐炎化繊維の高温での耐荷重性、強度、弾性率及び炭化収率が更に高くなる。
耐炎化繊維の赤外吸収スペクトルにおける1648cm−1の吸収ピークBは、アクリルアミド系ポリマーのカルボニル基に由来する吸収ピークである。一方、耐炎化繊維の赤外吸収スペクトルにおける1560〜1595cm−1の範囲に存在する吸収ピークAは、例えば、下記式で表される2個以上の六員環が縮合したラダー構造において、R−N=C−NH−C(=O)−構造(破線で囲った部分の構造)中のN−H結合、C−N結合、C=N結合、C=O結合に由来する吸収ピークである。なお、本発明において、耐炎化処理によって形成される構造は下記式で表される構造に限定されるものではなく、例えば、4個以上の六員環からなるラダー構造が形成されていてもよい。
Figure 2021046631
Figure 2021046631
前記アクリルアミド系ポリマー繊維に耐炎化処理を施すと、通常、隣接するアクリルアミド基同士が結合して1個のイミド環が形成するが、前記アクリルアミド系ポリマー繊維に所定の張力を付与しながら、後述するように、特定の温度で耐炎化処理を施すことによって、赤外吸収スペクトルにおいて1560〜1595cm−1の範囲に吸収ピークAが存在する2個以上の六員環が縮合したラダー構造が形成される。この2個以上の六員環が縮合したラダー構造は耐熱性に優れており、高温での耐荷重性に優れ、また、高強度及び高弾性率を示す。したがって、この2個以上の六員環が縮合したラダー構造を多く含有する耐炎化繊維、すなわち、赤外吸収スペクトルにおける前記吸収ピークの強度比(I/I)が所定の範囲にある耐炎化繊維は、耐熱性に優れており、高温での耐荷重性に優れ、高い強度、高い弾性率及び高い炭化収率を示す。
本発明の耐炎化繊維の製造方法においては、このような吸収ピークの強度比(I/I)が0.5〜10になるまで、好ましくは0.7〜10になるまで、より好ましくは1.0〜9になるまで、更に好ましくは1.2〜8になるまで、特に好ましくは1.4〜7になるまで、最も好ましくは1.8〜6になるまで、加熱処理(耐炎化処理)を施す。前記耐炎化繊維の吸収ピークの強度比(I/I)が前記下限未満になると、耐炎化繊維の高温での耐荷重性、強度、弾性率及び炭化収率が低下する傾向にあり、他方、前記吸収ピークの強度比(I/I)が前記上限を超える耐炎化繊維を得るためには、耐炎化処理時間を長くしてエネルギー量を増大させる必要があり、耐炎化繊維の分解が増加する傾向にあり、また、耐炎化処理時間を長くしても、炭化収率を高める効果が飽和する傾向にある。
また、本発明の耐炎化繊維の製造方法において、前記アクリルアミド系ポリマー繊維に付与する張力は、0.07〜200mN/texであって、前記吸収ピークの強度比(I/I)が所定の範囲内にあれば特に制限はないが、0.10〜100mN/texであることが好ましく、0.20〜50mN/texであることがより好ましく、0.25〜15mN/texであることが更に好ましく、0.30〜10mN/texであることが特に好ましく、0.35〜5mN/texであることが最も好ましい。前記アクリルアミド系ポリマー繊維に付与する張力が前記下限未満になると、前記吸収ピークの強度比(I/I)が所定の値にならず、耐炎化繊維の高温での耐荷重性、強度、弾性率及び炭化収率が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、耐炎化処理時に前記アクリルアミド系ポリマー繊維の切断が生じる場合がある。なお、本発明において、前記アクリルアミド系ポリマー繊維に付与する張力(単位:mN/tex)は、耐炎化処理時に前記アクリルアミド系ポリマー繊維に付与する張力(単位:mN)を、前記アクリルアミド系ポリマー繊維の絶乾状態での繊度(単位:tex)で除した値、すなわち、前記アクリルアミド系ポリマー繊維の単位繊度当たりの張力である。また、このような前記アクリルアミド系ポリマー繊維に付与する張力は、耐炎化炉等の加熱装置の出口側等でロードセル、バネ、重り等によって調整することができる。
さらに、本発明の耐炎化繊維の製造方法において、前記耐炎化処理は、前記吸収ピークの強度比(I/I)が所定の値になる条件(温度、時間等)で施されるのであれば特に制限はないが、150〜500℃の範囲内の温度で施されることが好ましく、200〜500℃の範囲内の温度で施されることがより好ましく、250〜450℃の範囲内の温度で施されることが更に好ましい。なお、このような温度で施される耐炎化処理には、前記範囲内の温度での耐炎化処理だけでなく、前記範囲内の温度までの昇温過程等における耐炎化処理が含まれていてもよい。
特に、前記アクリルアミド系ポリマー繊維に前記添加成分が含まれている場合には、前記耐炎化処理は、260〜450℃の範囲内の温度で施されることが好ましく、270〜450℃の範囲内の温度で施されることがより好ましく、290〜440℃の範囲内の温度で施されることが更に好ましく、310〜430℃の範囲内の温度で施されることがまた更に好ましく、330〜420℃の範囲内の温度で施されることが特に好ましく、380〜410℃の範囲内の温度で施されることが最も好ましい。なお、この場合の耐炎化処理には、前記範囲内の温度での耐炎化処理だけでなく、前記範囲内の温度までの昇温過程等における耐炎化処理が含まれていてもよい。
また、前記アクリルアミド系ポリマー繊維に前記添加成分が含まれていない場合には、前記耐炎化処理は、310〜500℃の範囲内の温度で施されることが好ましく、320〜450℃の範囲内の温度で施されることがより好ましく、340〜440℃の範囲内の温度で施されることが更に好ましく、350〜430℃の範囲内の温度で施されることがまた更に好ましく、360〜420℃の範囲内の温度で施されることが特に好ましく、370〜410℃の範囲内の温度で施されることが最も好ましい。なお、この場合の耐炎化処理にも、前記範囲内の温度での耐炎化処理だけでなく、前記範囲内の温度までの昇温過程等における耐炎化処理が含まれていてもよい。
前記温度範囲の下限未満の温度で耐炎化処理を施すと、耐炎化繊維の前記吸収ピークの強度比(I/I)が所定の値にならず、耐炎化繊維の高温での耐荷重性、強度、弾性率及び炭化収率が低下する傾向にあり、他方、前記温度範囲の上限を超える温度で耐炎化処理を施すと、製造時のエネルギーコストが高くなる傾向にある。
耐炎化処理時間(前記耐炎化処理時の最高温度での加熱時間)としては特に制限はなく、長時間(例えば2時間超)の加熱も可能であるが、1〜120分間が好ましく、2〜60分間がより好ましく、3〜50分間が更に好ましく、4〜40分間が特に好ましい。耐炎化処理における前記加熱時間を前記下限以上とすることにより、炭化収率を向上させることができ、他方、2時間以下とすることにより、コストを低減することができる。
〔耐炎化繊維〕
本発明の耐炎化繊維は、アクリルアミド系ポリマーに由来し、赤外吸収スペクトルにおける1560〜1595cm−1の範囲に吸収ピークAが存在し、かつ、前記吸収ピークAの強度(I)と1648cm−1の吸収ピークBの強度(I)との比(I/I)が0.5〜10である繊維である。このような耐炎化繊維は、耐熱性に優れ、高温での耐荷重性に優れており、また、高い強度、高い弾性率及び高い炭化収率を示すことから、炭化処理前や炭化処理時に糸切れが発生しにくいため、本発明の耐炎化繊維を用いることによって、高収率で炭素製造を製造することが可能となる。
一方、1560〜1595cm−1の範囲に吸収ピークが存在しない耐炎化繊維や前記吸収ピークの強度比(I/I)が前記下限未満にある耐炎化繊維は、高温での耐荷重性、強度、弾性率及び炭化収率が低下する傾向にあり、他方、前記吸収ピークの強度比(I/I)が前記上限を超える耐炎化繊維を得るためには、耐炎化処理時間を長くしてエネルギー量を増大させる必要があり、耐炎化繊維の分解が増加する傾向にあり、また、耐炎化処理時間を長くしても、炭化収率を高める効果が飽和する傾向にある。また、高温での耐荷重性、強度、弾性率及び炭化収率が向上するという観点から、前記吸収ピークの強度比(I/I)としては、0.7〜10が好ましく、1.0〜9がより好ましく、1.2〜8が更に好ましく、1.4〜7が特に好ましく、1.8〜6が最も好ましい。
また、本発明の耐炎化繊維の平均繊維径としては特に制限はないが、3nm〜300μmが好ましく、30nm〜150μmがより好ましく、1〜60μmが更に好ましく、3〜20μmがまた更に好ましく、4〜15μmが特に好ましく、5〜10μmが最も好ましい。耐炎化繊維の平均繊維径が前記下限未満になると、炭化処理前や炭化処理時の耐炎化繊維束の搬送性が低下し、一部の繊維において切断が生じる場合があり、他方、前記上限を超えると、炭化処理時に繊維の表層付近と中心付近の構造差が大きくなるため、得られる炭素繊維の引張強度及び引張弾性率が低下する傾向にある。
また、このような本発明の耐炎化繊維の平均繊維径は、耐炎化繊維の炭化収率が向上するという観点から、耐炎化処理前の前記アクリルアミド系ポリマー繊維の平均繊維径に比べて、5%以上小さいことが好ましく、10%以上小さいことがより好ましく、15%以上小さいことが更に好ましく、20%以上小さいことが特に好ましく、25%以上小さいことがとりわけ好ましく、30%以上小さいことが最も好ましい。
〔炭素繊維の製造方法〕
本発明の炭素繊維の製造方法は、前記本発明の耐炎化繊維に炭化処理を施す方法であり、例えば、前記本発明の耐炎化繊維の製造方法により耐炎化繊維を製造する工程と、前記耐炎化繊維に炭化処理を施す工程とを含む方法である。
前記耐炎化繊維炭化処理を施す方法としては、前記耐炎化繊維に、不活性雰囲気下(窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス中)、前記耐炎化処理における温度よりも高い温度で加熱処理を施す(炭化処理)。これにより、耐炎化繊維が炭化し、所望の炭素繊維が得られる。このような炭化処理における加熱温度としては500℃以上が好ましく、1000℃以上がより好ましい。なお、本発明にかかる「炭化処理」には、一般的に、不活性ガス雰囲気下、2000〜3000℃で加熱することによって行われる「黒鉛化」を含んでいてもよい。また、加熱温度の上限としては3000℃以下が好ましく、2500℃以下がより好ましい。さらに、炭化処理における加熱時間としては特に制限はないが、30秒〜60分間が好ましく、1〜30分間がより好ましい。また、前記炭化処理においては、例えば、先に1000℃未満の温度で加熱処理(予備炭化処理)を行った後、1000℃以上の温度で加熱処理(炭化処理)を行い、さらに、2000℃以上の温度で加熱処理(黒鉛化処理)を行うといったように、複数回の加熱処理を行うこともできる。
このようにして得られる炭素繊維の平均繊維径としては特に制限はないが、3nm〜300μmが好ましく、30nm〜150μmがより好ましく、1〜60μmが更に好ましく、3〜20μmがまた更に好ましく、4〜15μmが特に好ましく、5〜10μmが最も好ましい。炭素繊維の平均繊維径が前記下限未満になると、樹脂等をマトリックスとして複合材料を作製する場合に、マトリックスの粘度が高いと炭素繊維束中への樹脂等の含浸不足が生じ、複合材料の引張強度が低下する場合があり、他方、前記上限を超えると、炭素繊維の引張強度が低下する傾向にある。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で使用した各アクリルアミド系ポリマー及び各アクリルアミド系ポリマー繊維は以下の方法により調製した。
(調製例1)
アクリルアミド(AM)75mol%及びアクリロニトリル(AN)25mol%からなるモノマー100質量部とテトラメチルエチレンジアミン4.36質量部とをイオン交換水566.7質量部に溶解し、得られた水溶液に、窒素雰囲気下で撹拌しながら、過硫酸アンモニウム3.43質量部を添加した後、70℃で150分間加熱し、次いで、90℃まで30分かけて昇温した後、90℃で1時間加熱して重合反応を行った(重合率:87%)。得られた水溶液をメタノール中に滴下して共重合物を析出させ、これを回収して80℃で12時間真空乾燥させ、水溶性のアクリルアミド/アクリロニトリル共重合体(AM/AN共重合体、AM/AN=80mol%/20mol%)粉末(p−1)を得た。
(調製例2)
アクリルアミド(AM)100質量部とテトラメチルエチレンジアミン8.78質量部とをイオン交換水2912質量部に溶解し、得られた水溶液に、窒素雰囲気下で撹拌しながら、過硫酸アンモニウム1.95質量部を添加した後、60℃で3時間重合反応を行った。得られた水溶液をメタノール中に滴下して単独重合物を析出させ、これを回収して80℃で12時間真空乾燥させ、水溶性のポリアクリルアミド(PAM、AM=100mol%)粉末(p−2)を得た。
(製造例1)
調製例1で得られたAM/AN共重合体(AM/AN=80mol%/20mol%)粉末(p−1)をイオン交換水に溶解し、得られた水溶液を用いて乾式紡糸を行い、アクリルアミド系ポリマー繊維(f−1)を作製した。このアクリルアミド系ポリマー繊維(f−1)600本を束ねてアクリルアミド系ポリマー繊維束を作製し、以下の方法により、前記アクリルアミド系ポリマー繊維束の繊度、単繊維の繊度及び平均繊維径(前記アクリルアミド系ポリマー繊維(f−1)の平均繊維径)を求めたところ、繊維束の繊度は198texであり、単繊維の繊度は0.33tex/本であり、単繊維の平均繊維径は18μmであった。
<アクリルアミド系ポリマー繊維束及びその単繊維の繊度>
前記アクリルアミド系ポリマー繊維束の質量を測定して、下記式:
繊維束の繊度[tex]=繊維束の質量[g]/繊維長[m]×1000[m]
により前記繊維束の繊度を算出し、前記繊維束を構成する単繊維の繊度(前記アクリルアミド系ポリマー繊維の繊度)を求めた。
<アクリルアミド系ポリマー繊維の平均繊維径>
乾式自動密度計(マイクロメリティックス社製「アキュピックII 1340」)を用いて前記アクリルアミド系ポリマー繊維束の密度を測定し、下記式:
D={(Dt×4×1000)/(ρ×π×n)}1/2
〔前記式中、Dは繊維束を構成する単繊維の平均繊維径[μm]を表し、Dtは繊維束の繊度[tex]を表し、ρは繊維束の密度[g/cm]を表し、nは繊維束を構成する単繊維の本数[本]を表す。〕
により前記繊維束を構成する単繊維の平均繊維径(前記アクリルアミド系ポリマー繊維の平均繊維径)を算出した。
(製造例2)
調製例1で得られたAM/AN共重合体(AM/AN=80mol%/20mol%)粉末(p−1)をイオン交換水に溶解し、得られた水溶液にAM/AN共重合体100質量部に対して3質量部のリン酸を添加して完全に溶解させた。得られた水溶液を用いて乾式紡糸を行い、アクリルアミド系ポリマー繊維(f−2)を作製した。このアクリルアミド系ポリマー繊維(f−2)350本を束ねてアクリルアミド系ポリマー繊維束を作製し、製造例1と同様にして、前記アクリルアミド系ポリマー繊維束の繊度、単繊維の繊度及び平均繊維径(前記アクリルアミド系ポリマー繊維(f−2)の平均繊維径)を求めたところ、繊維束の繊度は133texであり、単繊維の繊度は0.38tex/本であり、単繊維の平均繊維径は19μmであった。
(製造例3)
リン酸の代わりにAM/AN共重合体100質量部に対して3質量部のリン酸水素二アンモニウムを添加した以外は製造例2と同様にして、アクリルアミド系ポリマー繊維(f−3)を作製した。このアクリルアミド系ポリマー繊維(f−3)600本を束ねてアクリルアミド系ポリマー繊維束を作製し、製造例1と同様にして、前記アクリルアミド系ポリマー繊維束の繊度、単繊維の繊度及び平均繊維径(前記アクリルアミド系ポリマー繊維(f−3)の平均繊維径)を求めたところ、繊維束の繊度は276texであり、単繊維の繊度は0.46tex/本であり、単繊維の平均繊維径は21μmであった。
(製造例4)
調製例1で得られたAM/AN共重合体粉末(p−1)の代わりに調製例2で得られたPAM(AM=100mol%)粉末(p−2)を用いた以外は製造例1と同様にして、アクリルアミド系ポリマー繊維(f−4)を作製した。このアクリルアミド系ポリマー繊維(f−4)600本を束ねてアクリルアミド系ポリマー繊維束を作製し、製造例1と同様にして、前記アクリルアミド系ポリマー繊維束の繊度、単繊維の繊度及び平均繊維径(前記アクリルアミド系ポリマー繊維(f−4)の平均繊維径)を求めたところ、繊維束の繊度は240texであり、単繊維の繊度は0.40tex/本であり、単繊維の平均繊維径は20μmであった。
(実施例1)
製造例1で得られたアクリルアミド系ポリマー繊維(f−1)600本を束ねて前駆体繊維束を作製し、この前駆体繊維束を加熱炉内に設置して、空気雰囲気下、50℃から150℃まで10℃/分で昇温した後、前記前駆体繊維束に0.4mN/texの張力を付与しながら、150℃から360℃(耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度))まで10℃/分で昇温し、更に引き続いて、前記前駆体繊維束に0.4mN/texの張力を付与しながら、360℃(耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度))で10分間加熱処理(耐炎化処理)を施して耐炎化繊維束を得た。
得られた耐炎化繊維束4束を束ねて耐炎化繊維2400本からなる耐炎化繊維束を作製し、この耐炎化繊維束を加熱炉内に搬送して、窒素雰囲気下、1000℃で3分間の加熱処理(炭化処理)を施して炭素繊維束を得た。
(実施例2)
耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度)を400℃に変更した以外は実施例1と同様にして、耐炎化繊維束及び炭素繊維束を作製した。
(実施例3)
前記アクリルアミド系ポリマー繊維(f−1)の代わりに製造例2で得られたアクリルアミド系ポリマー繊維(f−2)350本を束ねて前駆体繊維束を作製し、耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度)を350℃に変更した以外は実施例1と同様にして、耐炎化繊維束を作製した。さらに、この耐炎化繊維束8束を束ねて耐炎化繊維2800本からなる耐炎化繊維束を作製した以外は実施例1と同様にして、炭素繊維束を作製した。
(実施例4)
耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度)を400℃に変更した以外は実施例3と同様にして、耐炎化繊維束及び炭素繊維束を作製した。
(実施例5)
前記アクリルアミド系ポリマー繊維(f−1)の代わりに製造例3で得られたアクリルアミド系ポリマー繊維(f−3)600本を束ねて前駆体繊維束を作製し、耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度)を300℃に、耐炎化処理時間(前記最高温度での加熱時間)を30分間に、前駆体繊維束に付与する張力を0.2mN/texに変更した以外は実施例1と同様にして、耐炎化繊維束及び炭素繊維束を作製した。
(実施例6)
耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度)を320℃に変更した以外は実施例5と同様にして、耐炎化繊維束及び炭素繊維束を作製した。
(実施例7)
前記アクリルアミド系ポリマー繊維(f−1)の代わりに製造例4で得られたアクリルアミド系ポリマー繊維(f−4)600本を束ねて前駆体繊維束を作製し、耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度)を350℃に、前駆体繊維束に付与する張力を0.2mN/texに変更した以外は実施例1と同様にして、耐炎化繊維束及び炭素繊維束を作製した。
(実施例8)
耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度)を400℃に変更した以外は実施例7と同様にして、耐炎化繊維束及び炭素繊維束を作製した。
(比較例1)
耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度)を300℃に、耐炎化処理時間(前記最高温度での加熱時間)を30分間に、前駆体繊維束に付与する張力を0.2mN/texに変更した以外は実施例1と同様にして、耐炎化繊維束及び炭素繊維束を作製した。
(比較例2)
耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度)を320℃に、耐炎化処理時間(前記最高温度での加熱時間)を30分間に変更し、前駆体繊維束に張力を付与しなかった以外は実施例1と同様にして、耐炎化繊維束及び炭素繊維束を作製した。
(比較例3)
調製例1で得られたAM/AN共重合体(AM/AN=80mol%/20mol%)粉末(p−1)を加熱炉内に設置して、空気雰囲気下、室温から350℃(耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度))まで10℃/分で昇温した後、350℃(耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度))で30分間加熱処理(耐炎化処理)を施して耐炎化粉末を得た。
得られた耐炎化粉末を加熱炉内に設置して、窒素雰囲気下、室温から1000℃まで20℃/分で昇温した後、1000℃で3分間の加熱処理(炭化処理)を施して炭素粉末を得た。
(比較例4)
耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度)を400℃に変更した以外は比較例3と同様にして、耐炎化粉末及び炭素粉末を作製した。
(比較例5)
調製例1で得られたAM/AN共重合体(AM/AN=80mol%/20mol%)粉末(p−1)をAM/AN共重合体濃度が20質量%となるようにイオン交換水に溶解し、得られた水溶液にAM/AN共重合体100質量部に対して3質量部のリン酸水素二アンモニウムを添加して完全に溶解させた。得られた水溶液から水を減圧留去し、析出した固体成分を真空乾燥させた後、粉砕処理を施して、AM/AN共重合体とリン酸水素二アンモニウムとを含有する前駆体混合粉末を得た。
前記AM/AN共重合体粉末(p−1)の代わりに前記前駆体混合粉末を用い、耐炎化処理時間(耐炎化処理時の最高温度)を10分間に変更した以外は比較例3と同様にして、耐炎化粉末及び炭素粉末を作製した。
(比較例6)
耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度)を300℃に、耐炎化処理時間(前記最高温度での加熱時間)を10分間に変更した以外は比較例3と同様にして、耐炎化粉末及び炭素粉末を作製した。
(比較例7)
耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度)を300℃に変更した以外は比較例3と同様にして、耐炎化粉末及び炭素粉末を作製した。
(比較例8)
前記アクリルアミド系ポリマー繊維(f−1)の代わりに製造例4で得られたアクリルアミド系ポリマー繊維(f−4)600本を束ねて前駆体繊維束を作製し、耐炎化処理温度(耐炎化処理時の最高温度)を300℃に変更し、前記前駆体繊維束に張力を付与しなかった以外は実施例1と同様にして、耐炎化繊維束及び炭素繊維束を作製した。
<耐炎化繊維の平均繊維径>
得られた耐炎化繊維束をマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「デジタルマイクロスコープVHX−1000」)を用いて観察し、単繊維の繊維径の測定点を無作為に10箇所抽出して前記耐炎化繊維束を構成する耐炎化単繊維の繊維径を測定し、その平均値(耐炎化繊維の平均繊維径)を求めた。その結果を表1に示す。
<耐炎化繊維(又は耐炎化粉末)の赤外分光分析>
得られた耐炎化繊維束(又は耐炎化粉末)の赤外吸収スペクトルをフーリエ変換赤外分光光度計(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製「Nicolet 8700FT−IR」)を用いてATR法(ATR結晶:Zn−Se、測定波数範囲:650〜4000cm−1、分解能:4cm−1)により測定した。図1には、一例として、実施例3及び比較例1で得られた耐炎化繊維束の赤外吸収スペクトルを示した。
得られた赤外吸収スペクトルにおいて、吸収ピークA(1560〜1595cm−1)の有無を確認した。その結果を表1に示す。例えば、図1に示した結果から明らかなように、実施例3で得られた耐炎化繊維束の赤外吸収スペクトルには1560〜1595cm−1の範囲内に吸収ピークAの存在が確認されたが、比較例1で得られた耐炎化繊維束の赤外吸収スペクトルには確認されなかった。
また、得られた赤外吸収スペクトルに基づいて、前記吸収ピークAの強度(I)との吸収ピークB(1648cm−1)の強度(I)との比(I/I)を求めた。その結果を表1に示す。なお、吸収ピークの強度比は、650cm−1の吸光度と1850cm−1付近の吸収ピークの終点とを結んだ直線をベースライン(図1中の点線)とし、各吸収ピークの位置において前記ベースラインからピークトップまでの高さ(図1中の破線)を計測し、この高さの比として求めた。
<耐炎化繊維の高温耐荷重性>
得られた耐炎化繊維束を加熱炉内に設置して所定の質量の重りを取付け、窒素雰囲気下、室温から350℃まで10℃/分で昇温した後、350℃で10分間加熱処理を行い、繊維の切断の有無を観察した。この測定を種々の質量の重りを用いて行い、繊維の切断が確認されたときの重りの質量から繊維1000本当たりの質量を算出し、これを高温での耐荷重として、下記基準で高温耐荷重性を評価した。その結果を表1に示す。
A:高温での耐荷重が繊維1000本当たり15g以上。
B:高温での耐荷重が繊維1000本当たり8g以上15g未満。
C:高温での耐荷重が繊維1000本当たり8g未満。
<耐炎化繊維の引張強度及び引張弾性率>
得られた耐炎化繊維束から単繊維を取出し、微小強度評価試験機(株式会社島津製作所製「マイクロオートグラフMST−I」)を用いてJIS R7606に準拠して室温にて引張試験(標線間距離:25mm、引張速度:1mm/分)を行い、引張強度及び引張弾性率を測定し、5回の測定の平均値を求めた。
<炭素繊維の平均繊維径>
得られた炭素繊維束をマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「デジタルマイクロスコープVHX−1000」)を用いて観察し、単繊維の繊維径の測定点を無作為に10箇所抽出して前記炭素繊維束を構成する炭素繊維の繊維径を測定し、その平均値(炭素繊維の平均繊維径)を求めた。その結果を表1に示す。
<炭化収率>
炭化収率を下記式:
炭化収率[%]=炭素繊維束の質量[mg]/炭化処理前の耐炎化繊維束の質量[mg]×100
により求めた。その結果を表1に示す。なお、炭化処理前の耐炎化繊維束の質量としては、耐炎化繊維束を120℃で2時間真空乾燥して耐炎化繊維束に吸着した水分量を算出し、この水分量を考慮した値を使用した。
Figure 2021046631
表1に示したように、アクリルアミド系ポリマー繊維に、所定の張力を付与しながら、得られる耐炎化繊維の赤外吸収スペクトルにおける吸収ピークA(1560〜1595cm−1)と吸収ピークB(1648cm−1)との強度比(I/I)が所定の値となるまで、酸化性雰囲気下で加熱処理を施した場合(実施例1〜8)には、高温での耐荷重性に優れ、高い強度、高い弾性率及び高い炭化収率を有する耐炎化繊維が得られることがわかった。
一方、所定の張力を付与せずに加熱処理を行った場合(比較例2、8)には、得られた耐炎化繊維は、赤外吸収スペクトルにおいて吸収ピークAが観察されず、高温での耐荷重性、繊維の強度及び弾性率に劣り、炭化収率も低いものであった。また、所定の張力を付与しながら加熱処理を行った場合でも、得られた耐炎化繊維の赤外吸収スペクトルにおいて吸収ピークAが観察されなかった場合(比較例1)には、得られた耐炎化繊維は、高温での耐荷重性、繊維の強度及び弾性率に劣り、炭化収率も低いものであった。
また、アクリルアミド系ポリマー粉末に加熱処理を施した場合(比較例3〜7)には、得られた耐炎化粉末の赤外吸収スペクトルにおいて吸収ピークAが観察されなかった。これは、アクリルアミド系ポリマー粉末に張力を付与できなかったためと考えられる。
具体的には、実施例1〜2、7〜8に示した結果から明らかなように、所定の張力を付与しながら350℃以上の温度で加熱処理(耐炎化処理)を行うことによって、得られる耐炎化繊維は、赤外吸収スペクトルにおいて吸収ピークA(1560〜1595cm−1)と吸収ピークB(1648cm−1)との強度比(I/I)が所定の値となり、高温での耐荷重性に優れ、高い強度、高い弾性率及び高い炭化収率を有するものとなることがわかった。
一方、比較例1〜2、8に示した結果から明らかなように、張力を付与しなかった場合(比較例2、8)や所定の張力を付与した場合でも300℃で加熱処理(耐炎化処理)を行った場合(比較例1)には、得られる耐炎化繊維は、赤外吸収スペクトルにおいて吸収ピークAが観察されず、高温での耐荷重性、繊維の強度及び弾性率に劣り、炭化収率も低いものとなることがわかった。
しかしながら、実施例5と比較例1とを対比すると明らかなように、所定の張力を付与し、300℃で加熱処理(耐炎化処理)を行った場合でも、アクリルアミド系ポリマー繊維にリン酸塩を添加することによって、得られる耐炎化繊維は、赤外吸収スペクトルにおいて吸収ピークA(1560〜1595cm−1)と吸収ピークB(1648cm−1)との強度比(I/I)が所定の値となり、高温での耐荷重性に優れ、高い強度、高い弾性率及び高い炭化収率を有するものとなることがわかった。
また、実施例1、3〜5、7及び比較例1に示した結果から明らかなように、得られた耐炎化繊維は、赤外吸収スペクトルにおける吸収ピークの強度比(I/I)が高いほど、高温での耐荷重性、引張強度、引張弾性率及び炭化収率が向上する傾向にあることがわかった。
以上説明したように、本発明によれば、アクリルアミド系ポリマーに由来し、高温での耐荷重性に優れ、高い強度、高い弾性率及び高い炭化収率を有する耐炎化繊維を得ることができる。また、このような耐炎化繊維に炭化処理を施すことによって、高収率で炭素繊維を製造することが可能となる。
さらに、このような炭素繊維は、軽量性、強度、弾性率、耐腐食性等の各種特性に優れているため、例えば、航空用材料、宇宙用材料、自動車用材料、圧力容器、土木・建築用材料、ロボット用材料、通信機器材料、医療用材料、電子材料、ウェアラブル材料、風車、ゴルフシャフト、釣竿等のスポーツ用品等の各種用途の材料として広く使用することができる。また、本発明によって得られる耐炎化繊維は、耐熱性及び難燃性に優れているため、炭素繊維の中間原料のほか、防炎断熱材、スパッタシート、各種フィルター等にも使用することができる。

Claims (7)

  1. アクリルアミド系ポリマーに由来し、赤外吸収スペクトルにおける1560〜1595cm−1の範囲に吸収ピークAが存在し、かつ、前記吸収ピークAの強度(I)と1648cm−1の吸収ピークBの強度(I)との比(I/I)が0.5〜10であることを特徴とする耐炎化繊維。
  2. 前記吸収ピークの強度比(I/I)が0.7〜10であることを特徴とする請求項1に記載の耐炎化繊維。
  3. 請求項1又は2に記載の耐炎化繊維に炭化処理を施すことを特徴とする炭素繊維の製造方法。
  4. アクリルアミド系ポリマー繊維に、0.07〜200mN/texの張力を付与しながら、酸化性雰囲気下、得られる耐炎化繊維の赤外吸収スペクトルにおける1560〜1595cm−1の範囲に存在する吸収ピークAの強度(I)と1648cm−1の吸収ピークBの強度(I)との比(I/I)が0.5〜10になるまで加熱処理を施すことを特徴とする耐炎化繊維の製造方法。
  5. 前記アクリルアミド系ポリマー繊維が酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分を更に含有するものであり、前記加熱処理が少なくとも260〜450℃の範囲内の温度で施されることを特徴とする請求項4に記載の耐炎化繊維の製造方法。
  6. 前記アクリルアミド系ポリマー繊維が酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分を含有しないものであり、前記加熱処理が少なくとも310〜500℃の範囲内の温度で施されることを特徴とする請求項4に記載の耐炎化繊維の製造方法。
  7. 請求項4〜6のうちのいずれか一項に記載の方法により耐炎化繊維を製造する工程と、
    前記耐炎化繊維に炭化処理を施す工程と、
    を含むことを特徴とする炭素繊維の製造方法。
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