JP2014025019A - ポリアクリロニトリル系重合体、および炭素繊維前駆体繊維ならびに炭素繊維の製造方法 - Google Patents

ポリアクリロニトリル系重合体、および炭素繊維前駆体繊維ならびに炭素繊維の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】触媒金属が均一かつ高濃度に分散した、触媒黒鉛化反応を起こすことが可能な炭素繊維前駆体繊維を製造するために必要な、ポリアクリロニトリル系重合体を提供する。
【解決手段】アクリロニトリル、および第VIII族金属とビニル基を有する有機酸の塩を共重合成分として含有するポリアクリロニトリル系重合体。
【選択図】なし

Description

本発明は、結晶性の高い炭素繊維の製造に好適なポリアクリロニトリル系重合体、およびそのポリアクリロニトリル系重合体を用いた炭素繊維前駆体繊維ならびに炭素繊維の製造方法に関するものである。
炭素繊維は、他の繊維に比べて高い比強度および比弾性率を有するため、複合材料用補強繊維として、従来からのスポーツ用途や航空・宇宙用途に加え、自動車や土木・建築、圧力容器および風車ブレードなどの一般産業用途にも幅広く展開されており、さらなる生産性の向上と高弾性率化両立の要請が高い。
炭素繊維の中で、最も広く利用されているポリアクリロニトリル(以下、PANと略記することがある)系炭素繊維は、その前駆体となるPAN系重合体からなる紡糸溶液を湿式紡糸、乾式紡糸または乾湿式紡糸して炭素繊維前駆体繊維(以下、前駆体繊維と略記することがある)を得た後、それを200〜400℃の温度の酸化性雰囲気下で加熱して耐炎化繊維へ転換し、少なくとも1000℃の温度の不活性雰囲気下で加熱して炭素化することによって工業的に製造されている。
弾性率の高い炭素繊維を得るためには、炭素繊維の配向度を上げる、または、結晶性を上げる方法がある。炭素繊維の配向度を高く制御する手法としては、前述の各製造工程において、繊維束の張力を高くする、あるいは延伸倍率を高く設定することがよく行われるが、その結果毛羽立ちや糸切れを起こすことが多い。また、炭素繊維の結晶性を上げる一般的な方法としては、炭化工程の温度を高める方法があるが、炭素繊維の生産性との両立が難しい。炭化温度を上げずに結晶性を向上させる方法として、触媒黒鉛化という技術がある。触媒金属を使用することで炭素化反応の活性化エネルギーを低下させ、低温で炭化させた場合にも高温で炭化した炭素繊維同様の炭素構造を形成することが可能となる。
これまで、触媒黒鉛化を利用して弾性率の高い炭素繊維を得る方法として、PAN系重合体からなる紡糸溶液や炭素繊維前駆体繊維に触媒金属の粉や塩や錯体を添加する方法(特許文献1、2参照。)が知られている。しかしながら、炭素繊維前駆体繊維の表面に触媒金属を添加すると炭素繊維の表面のみが高結晶化し、弾性率の向上は認められない。また、紡糸溶液中に金属の粉を添加した際には均一に分散させることが難しく強度の低下が著しい、金属塩や錯体を添加した場合には紡糸工程において触媒金属が溶出してしまう等の問題がある。
特許第734856号公報 特許第826096号公報
このように、これまで触媒黒鉛化を利用して弾性率の高い炭素繊維を得ることの試みはなされているものの、従来技術には上述の問題があることが本発明者らの追試実験によっても明らかにされているところである。そこで本発明は、触媒金属が均一かつ高濃度に分散した、触媒黒鉛化反応を起こすことが可能な炭素繊維前駆体繊維を製造するために必要な、ポリアクリロニトリル系重合体を提供することを課題とする。
かかる課題を解決するための本発明は、次の構成を有するものである。すなわち、本発明のポリアクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリル、および第VIII族金属とビニル基を有する有機酸の塩を共重合成分として含有するポリアクリロニトリル系重合体である。
本発明のポリアクリロニトリル系重合体の好ましい態様によれば、前記ポリアクリロニトリル系重合体に含まれる第VIII族金属は、鉄、コバルト、およびニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属である。
本発明のポリアクリロニトリル系重合体の好ましい態様によれば、前記ポリアクリロニトリル系重合体に含まれる第VIII族金属の含有量は、ポリアクリロニトリル系重合体を構成するモノマーのモル数に対して0.1モル%以上である。
本発明の炭素繊維前駆体繊維は、前記ポリアクリロニトリル系重合体を湿式または乾湿式紡糸法により紡糸することによって製造することができる。
また、本発明の炭素繊維は、前記炭素繊維前駆体繊維を200〜300℃の温度の空気中において耐炎化する耐炎化工程と、該耐炎化工程で得られた繊維を、300〜800℃の温度の不活性雰囲気中において予備炭化する予備炭化工程と、該予備炭化工程で得られた繊維を1000〜2000℃の温度の不活性雰囲気中において炭化する炭化工程を順次経ることによって製造することができる。
本発明によれば、ポリアクリロニトリル系重合体の共重合成分として、第VIII族金属とビニル基を有する有機酸の塩を使用することにより、炭素繊維前駆体繊維の製造時における金属溶出を抑制し、触媒黒鉛化によって結晶性の高い炭素繊維を製造することができる。
本発明者らは、触媒金属が均一かつ高濃度に分散した、触媒黒鉛化反応を起こすことが可能な炭素繊維前駆体繊維を製造するために、鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
本発明におけるポリアクリロニトリル系共重合体(以下、単にPAN系共重合体と記述することがある。)は、アクリロニトリル、および第VIII族金属とビニル基を有する有機酸の塩を共重合成分として含有するポリアクリロニトリル系重合体である。
本発明において、ポリアクリロニトリル系重合体の共重合成分として、アクリロニトリルに加え第VIII族金属とビニル基を有する有機酸の塩を用いることにより、ポリアクリロニトリル系重合体のポリマー鎖内に第VIII族金属が導入され、紡糸工程における第VIII族金属の溶出を抑制することができ、その結果、第VIII族金属が均一かつ高濃度に分散した炭素繊維前駆体繊維を製造することができる。また、第VIII族金属を均一かつ高濃度に分散した炭素繊維前駆体繊維を用いることで、炭化工程において触媒黒鉛化反応を起こし、結晶性の高い炭素繊維を製造することができる。
第VIII族金属としては、鉄、コバルト、およびニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属であることが好ましい。鉄、コバルト、およびニッケルは触媒黒鉛化に用いられる触媒金属の中でも、低い炭化温度から触媒黒鉛化効果を発現することができるため、炭素繊維の高結晶化を促進しやすい。
第VIII族金属の含有量としては、ポリアクリロニトリル系重合体を構成するモノマーのモル数に対して0.1モル%以上であることが好ましい。ポリアクリロニトリル系重合体を構成するモノマーとは、本発明の共重合成分として使用されるアクリロニトリル、および第VIII族金属とビニル基を有する有機酸の塩の他、前記以外のアクリロニトリルと共重合可能なビニル化合物のことである。ビニル基を有する有機酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、などを用いることができる。また、アクリロニトリルと共重合可能なビニル化合物としては、耐炎化を促進する観点から、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそれらアルカリ金属塩、アンモニウム塩および低級アルキルエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびそれらの塩類またはアルキルエステル類などを用いることができる。
本発明で使用される第VIII族金属の含有量を、ポリアクリロニトリル系重合体を構成するモノマーのモル数に対して0.1モル%より少なくすると、触媒黒鉛化効果が現れにくくなり、本発明の効果が得られなくなることがある。なお、第VIII族金属の含有量を、ポリアクリロニトリル系重合体を構成するモノマーのモル数に対して10モル%以上とすると、共重合部分での熱分解による分子断裂が顕著となり、得られる炭素繊維の引張強度が大幅に低下することが懸念されるため、かかる観点から、第VIII族金属の含有量としては、ポリアクリロニトリル系重合体を構成するモノマーのモル数に対して0.1〜10モル%であることがより好ましい。さらに好ましくは、0.2〜3モル%である。
本発明のポリアクリロニトリル系重合体の製造する方法としては、溶液重合、懸濁重合、乳化重合など公知の重合方法を選択することができるが、共重合成分を均一に重合するという観点からは、溶液重合を用いることが好ましい。溶液重合で行う場合の溶液としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのポリアクリロニトリルが可溶な有機溶媒を用いるのが一般的である。
なお、本発明のポリアクリロニトリル系重合体を前述の溶液重合により製造する際に、第VIII族金属の含有量を増加させすぎると、粘度が上昇して撹拌が困難になる場合がある。このような場合であっても、第VIII族金属の配位子となる化合物を添加することで粘度を減少させて重合を継続させることができる。第VIII族金属の配位子となる化合物としては、アセチルアセトン等の公知の化合物を使用することができる。第VIII族金属の配位子を添加することで粘度が減少するメカニズムは必ずしも明らかにされていないが、配位子の添加によって第VIII族金属とポリアクリロニトリル系重合体の相互作用が弱まることで粘度が減少するのではないかと推察される。
次に、本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法について説明する。
本発明の炭素繊維前駆体繊維は、前記したポリアクリロニトリル系重合体を用いる。通常、かかる重合体をジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのポリアクリロニトリル可溶な溶媒に溶解し、紡糸原液とする。溶液重合を用いる場合、重合に用いる溶媒と紡糸原液に用いる溶媒を同じものにしておくと、再溶解する工程が不要となり好ましい。紡糸原液中の重合体の濃度は、原液安定性の観点から、10〜40質量%であることが好ましい。
本発明では、紡糸原液を、湿式紡糸法または乾湿式紡糸法により口金から紡出し、凝固浴に導入して繊維を凝固せしめる。得られる炭素繊維前駆体繊維の緻密性を高める観点からは、乾湿式紡糸法が、より好ましい。本発明において、前記凝固浴には、紡糸原液に溶媒として用いた、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの溶媒と、いわゆる凝固促進成分を含ませることが好ましい。凝固促進成分としては、前記重合体を溶解せず、かつ紡糸原液に用いる溶媒と相溶性があるものが使用できる。具体的には、水を使用するのが好ましい。
紡出された繊維は、通常、水洗工程で溶媒が除去された後、浴中延伸温度30〜98℃で約2〜6倍に浴中延伸されるが、本発明はこれに限定されない。水洗工程を省略して紡出後、すぐに浴中延伸を行ってから水洗処理しても良い。
浴中延伸工程の後、単繊維同士の接着を防止する意味から、油剤を付与することが好ましい。油剤の成分としては、耐熱性の面から、例えば、アミノ変性シリコーンなどの変性シリコーンを含有する油剤が好適である。乾燥工程は、浴中延伸後の糸条をホットドラムなどで乾燥することによって行われるが、乾燥温度および時間等は適宜選択することができる。また、必要に応じて、乾燥緻密化後の糸条を加圧スチーム延伸することも行われる。
得られる炭素繊維前駆体繊維は、通常、連続のマルチフィラメント(束)の形状であり、フィラメント数は好ましくは1,000〜3,000,000本であり、より好ましくは6,000〜36,000本である。単繊維の繊度は、0.5〜1.5dtexであることが好ましい。
次に、本発明の炭素繊維の製造方法について説明する。
前記した方法により製造された炭素繊維前駆体繊維を、200〜300℃の温度の空気中において、好ましくは延伸比0.8〜2.5で延伸しながら、耐炎化処理した後、300〜800℃の温度の不活性雰囲気中において、好ましくは延伸比0.9〜1.5で延伸しながら予備炭化処理し、1000〜2000℃の最高温度の不活性雰囲気中において、好ましくは延伸比0.9〜1.1で延伸しながら、炭化処理して炭素繊維を製造する。不活性雰囲気に用いられるガスとしては、窒素、アルゴンおよびキセノンなどを例示することができ、経済的な観点からは窒素が好ましく用いられる。
このようにして製造される炭素繊維は、炭化温度を上げずとも触媒黒鉛化により結晶性が高いものとなり、スポーツ用途、航空・宇宙用途、ならびに自動車や土木・建築、圧力容器および風車ブレードなどの一般産業用途に好適な炭素繊維を生産性良く製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。本実施例で用いた測定方法を次に説明する。
<炭素繊維前駆体繊維およびポリアクリロニトリル系重合体溶液中の第VIII族金属含有量>
炭素繊維前駆体繊維の第VIII族金属含有量は、蛍光X線分析装置にて測定した。 蛍光X線分析装置には、日本フィリップス社製蛍光X線装置VENUS200を用いた。一次X線源はScを用い、測定時の条件としては、減圧気圧4〜8Paの条件で、温度37℃、25秒間の測定時間とした。測定試料であるポリアクリロニトリル系重合体、炭素繊維前駆体繊維は長さ30mm、幅30mm、厚さ2mmのテフロン(登録商標)製の板に隙間のないように巻き付けて測定に供した。この際、炭素繊維前駆体繊維は長さ60cmにサンプリングして用いた。
得られた炭素繊維前駆体繊維の第VIII族金属の蛍光X線強度から、検量線を用い、それぞれについて第VIII族金属の含有量を求めた。また、ポリアクリロニトリル系重合体溶液中の第VIII族金属含有量は、添加した第VIII族金属のモル数とポリアクリロニトリル系重合体を構成するモノマーのモル数から計算によって求めた。
<炭素繊維の結晶子サイズ>
測定に供する炭素繊維を引き揃え、コロジオン・アルコール溶液を用いて固めることにより、長さ4cm、1辺の長さが1mmの四角柱の測定試料を用意する。用意された測定試料について、広角X線回折装置を用いて、次の条件により測定を行った。
・X線源:CuKα線(管電圧40kV、管電流30mA)
・検出器:ゴニオメーター+モノクロメーター+シンチレーションカウンター
・走査範囲:2θ=10乃至40°
・走査モード:ステップスキャン、ステップ単位0.02°、計数時間2秒。
得られた回折パターンにおいて、2θ=25乃至26°付近に現れるピークについて、半値幅を求め、この値から、次のシェラー(Scherrer)の式により結晶サイズを算出した。
・結晶サイズ(nm)=Kλ/βcosθ
但し、
・K:1.0、λ:0.15418nm(X線の波長)
・β:(β −β 1/2
・β:見かけの半値幅(測定値)rad、β:1.046×10−2rad
・θ:Braggの回析角
なお、後述の実施例および比較例においては、上記広角X線回折装置として、島津製作所製XRD−6100を用いた。
(実施例1〜9)
アクリロニトリルと、表1に示した共重合組成(残りはアクリロニトリル)からなる共重合成分を、ジメチルスルホキシドを溶媒とする溶液重合法により、アゾビスイソブチロニトリルを開始剤としてラジカル重合し、濃度20質量%のポリアクリロニトリル系重合体溶液を得た。表1の共重合成分欄に示すアクリル酸コバルトはアクリル酸とコバルトの塩、アクリル酸鉄はアクリル酸と鉄の塩、アクリル酸ニッケルはアクリル酸とニッケルの塩をそれぞれ指す。なお、重合中に粘度が上昇して撹拌が困難になった場合には、アセチルアセトンを添加し、粘度を低下させて重合を継続した。
得られたポリアクリロニトリル系重合体溶液を、40℃の温度で、単孔の直径0.15mm、孔数6000の紡糸口金を用い、一旦空気中に吐出し、約2mmの空間を通過させた後、10℃の温度にコントロールした40質量%ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により凝固糸条とした。このようにして得られた凝固糸条を、常法により水洗した後、90℃の温水中で3倍に延伸し、さらにアミノ変性シリコーン系シリコーン油剤を付与して浴中延伸糸を得た。この浴中延伸糸を、180℃の温度に加熱したローラーを用いて乾燥熱処理を行うことで、単繊維繊度が1.3dtex、フィラメント数が6000の炭素繊維前駆体繊維を得た。
得られた炭素繊維前駆体繊維を、240〜260℃の温度の温度分布を有する空気中において延伸比1.0で延伸しながらで耐炎化処理した。続いて300〜700℃の温度の窒素雰囲気中において、延伸比1.1で延伸しながら予備炭化処理を行い、さらに最高温度1500℃の窒素雰囲気中において、延伸比を0.96に設定して炭化処理を行い、炭素繊維を得た。結果を表1に示す。
(比較例1)
アクリロニトリル99.5モル%とイタコン酸0.5モル%を共重合したポリアクリロニトリル系重合体を、ジメチルスルホキシドを溶媒とする溶液重合法により、アゾビスイソブチロニトリルを開始剤としてラジカル重合し、濃度22質量%のポリアクリロニトリル系重合体溶液を得た。
得られたポリアクリロニトリル系重合体溶液を、実施例1〜9と同様の方法を用いて炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維を得た。結果を表1に示す。
(比較例2、3)
比較例1と同様にして濃度22質量%のポリアクリロニトリル系重合体溶液を得た後、塩化コバルトのジメチルスルホキシド溶液を前記のポリアクリロニトリル系重合体溶液に添加し、コバルトを含有する濃度20質量%の紡糸原液を得た。
得られた紡糸原液を用いて、実施例1〜9と同様の方法を用いて炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維を得た。結果を表1に示す。
実施例1〜9と比較例1〜3の結晶サイズと比較すると、比較例1〜3の結晶サイズに比べて実施例1〜9の結晶サイズは増加しており、本発明による結晶性の向上効果が確認できる。さらに、実施例1〜9と比較例2、3とを比較すると、実施例1〜9では比較例2、3に比べて炭素繊維前駆体繊維中の第VIII族金属含有量が高く、本発明では紡糸工程での金属の溶出を抑制できていることが確認できる。
Figure 2014025019

Claims (5)

  1. アクリロニトリル、および第VIII族金属とビニル基を有する有機酸の塩を共重合成分として含有するポリアクリロニトリル系重合体。
  2. 第VIII族金属が、鉄、コバルト、およびニッケルからなる群から選択される少なくとも一種の金属である、請求項1に記載のポリアクリロニトリル系重合体。
  3. 第VIII族金属の含有量が、ポリアクリロニトリル系重合体を構成するモノマーのモル数に対して0.1モル%以上である、請求項1または2に記載のポリアクリロニトリル系重合体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリアクリロニトリル系重合体を湿式または乾湿式紡糸法により紡糸する炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  5. 請求項4に記載の方法により製造される炭素繊維前駆体繊維を、200〜300℃の温度の空気中において耐炎化する耐炎化工程と、該耐炎化工程で得られた繊維を、300〜800℃の温度の不活性雰囲気中において予備炭化する予備炭化工程と、該予備炭化工程で得られた繊維を1000〜2000℃の温度の不活性雰囲気中において炭化する炭化工程を順次経て炭素繊維を得る炭素繊維の製造方法。
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