JP7166524B2 - 炭素材料前駆体成形体、その製造方法、及びそれを用いた炭素材料の製造方法 - Google Patents

炭素材料前駆体成形体、その製造方法、及びそれを用いた炭素材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭素材料前駆体成形体、その製造方法、及びそれを用いた炭素材料の製造方法に関し、より詳しくは、アクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体成形体、その製造方法、及びそれを用いた炭素材料の製造方法に関する。
炭素材料の1種である炭素繊維の製造方法としては、従来から、ポリアクリロニトリルを紡糸して得られる炭素繊維前駆体に耐炎化処理を施した後、炭化処理を施す方法が主として採用されている(例えば、特公昭37-4405号公報(特許文献1)、特開2015-74844号公報(特許文献2)、特開2016-40419号公報(特許文献3)、特開2016-113726号公報(特許文献4))。この方法に用いられるポリアクリロニトリルは安価な汎用溶媒に溶解しにくいため、重合や紡糸の際に、ジメチルスルホキシドやN,N-ジメチルアセトアミド等の高価な溶媒を使用する必要があり、炭素繊維の製造コストが高くなるという問題があった。
また、特開2013-103992号公報(特許文献5)には、アクリロニトリル単位96~97.5質量部と、アクリルアミド単位2.5~4質量部と、カルボン酸含有ビニルモノマー0.01~0.5質量部とからなるポリアクリロニトリル系共重合体からなる炭素材料前駆体繊維が記載されている。このポリアクリロニトリル系共重合体は、ポリマーの水溶性に寄与するアクリルアミド単位やカルボン酸含有ビニルモノマー単位を含有するものの、これらの含有量が少ないため、水には不溶であり、重合や成形加工の際に、N,N-ジメチルアセトアミド等の高価な溶媒を使用する必要があり、炭素繊維の製造コストが高くなるという問題があった。
さらに、ポリアクリロニトリルやその共重合体に加熱処理を施すと、急激な発熱が起こり、ポリアクリロニトリルやその共重合体の熱分解が加速されるため、炭素材料(炭素繊維)の収率が低くなるという問題があった。このため、ポリアクリロニトリルやその共重合体を用いて炭素材料(炭素繊維)を製造する場合には、耐炎化処理や炭化処理の昇温過程において、急激な発熱が発生しないように、長時間をかけて徐々に昇温する必要があった。
一方、アクリルアミド単位を多く含有するアクリルアミド系ポリマーは水溶性のポリマーであり、重合や成形加工(フィルム化、シート化、紡糸等)の際に、安価で環境負荷の小さい水を溶媒として使用することができるため、炭素材料の製造コストの削減が期待される。特開2018-90791号公報(特許文献6)には、アクリルアミド系ポリマーと、酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分とを含有する炭素材料前駆体が記載されている。この炭素材料前駆体においては、炭化収率を向上させるために、酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分が配合されている。このような酸等の添加成分を配合した炭素材料前駆体に耐炎化処理及び炭化処理を施した場合、得られる炭素材料に微量の前記添加成分が残存する場合があった。このため、酸等の添加成分を含まない炭素材料を効率的に得る方法の開発が期待されている。
特公昭37-4405号公報 特開2015-74844号公報 特開2016-40419号公報 特開2016-113726号公報 特開2013-103992号公報 特開2018-90791号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、酸等の添加成分を配合しなくても、高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を有する、アクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体成形体、その製造方法、及びそれを用いた炭素材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体を用いて、特定の含水率を有する成形体を作製することによって、酸等の添加成分を配合しなくても、高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を有する炭素材料前駆体成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の炭素材料前駆体成形体は、アクリルアミド系モノマーの単独重合体、並びに、アクリルアミド系モノマー50モル%以上とシアン化ビニル系モノマー、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸エステル、ビニル系モノマー及びオレフィン系モノマーからなる群から選択される少なくとも1種の他の重合性モノマー50モル%以下との共重合体からなる群から選択される少なくとも1種のアクリルアミド系ポリマーからなり、含水率が3.0~27質量%であることを特徴とするものである。このような炭素材料前駆体においては、前記含水率が3.5~25質量%であることが好ましい。
また、本発明の炭素材料前駆体成形体の製造方法は、アクリルアミド系モノマーの単独重合体、並びに、アクリルアミド系モノマー50モル%以上とシアン化ビニル系モノマー、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸エステル、ビニル系モノマー及びオレフィン系モノマーからなる群から選択される少なくとも1種の他の重合性モノマー50モル%以下との共重合体からなる群から選択される少なくとも1種のアクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体を用いて、含水率が3.0~27質量%の成形体を作製することを特徴とする方法である。
さらに、本発明の炭素材料製造方法は、前記本発明の炭素材料前駆体に耐炎化処理を施し、次いで、炭化処理を施すことを特徴とする方法である。
なお、本発明の炭素材料前駆体成形体が、酸等の添加成分を配合しなくても、高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を示す理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の炭素材料前駆体成形体に耐炎化処理を施した場合、脱水反応や脱アンモニア反応により進行するアクリルアミド系モノマー単位同士の分子内環化反応が起こり、イミド環構造やビシクロ環構造等の環状構造が形成される。このとき、炭素材料前駆体成形体中に特定の割合で水が存在することによって、アクリルアミド系ポリマーが可塑化されて運動性が高まり、通常、環化反応や架橋反応が起こりにくい配置や立体構造のアクリルアミド系モノマー単位においても環化反応や架橋反応が起こりやすくなり、分子内環化反応と分子間架橋反応とが効率的に進行するため、ポリマー鎖の熱分解が抑制されるとともに、耐炎性の高い環状構造が形成されると推察される。また、耐炎化処理時の加熱温度が高くなるにつれて、炭素材料前駆体成形体中の水が除去されやすくなるが、分子内環化反応が平衡反応であるため、ルシャトリエの原理により、水の減少に対して、脱水反応である分子内環化反応が加速され、耐炎性の高い環状構造が形成されると推察される。このように、本発明の炭素材料前駆体成形体は、耐炎化処理によって耐炎性の高い環状構造を多く含有する耐炎化物を形成するため、炭化処理における耐炎化物の炭化収率が向上し、耐炎化・炭化の総収率が向上すると推察される。
一方、炭素材料前駆体成形体中の水の割合が少なすぎると、耐炎化処理時にアクリルアミド系ポリマーが十分に可塑化せず、分子内環化反応や分子間架橋反応が効率的に進行しないため、ポリマー鎖の熱分解が十分に抑制されず、また、耐炎性の高い環状構造が形成されにくくなると推察される。他方、炭素材料前駆体成形体中の水の割合が多すぎると、耐炎化処理時の加熱温度が高くなるにつれて、炭素材料前駆体成形体から多量の水が除去され、この水の気化熱によりアクリルアミド系ポリマーが冷却されるため、分子内環化反応の反応性が低下し、耐炎性の高い環状構造が形成されにくくなると推察される。
本発明によれば、酸等の添加成分を配合しなくても、高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を有する、アクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体成形体を得ることが可能となる。また、このような本発明の炭素材料前駆体成形体を用いることによって、効率よく炭素材料を製造することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
〔炭素材料前駆体成形体〕
先ず、本発明の炭素材料前駆体成形体について説明する。本発明の炭素材料前駆体成形体は、アクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体と、3.0~27質量%の水を含有するものである。
(アクリルアミド系ポリマー)
本発明に用いられるアクリルアミド系ポリマーとしては、アクリルアミド系モノマーの単独重合体であっても、アクリルアミド系モノマーと他の重合性モノマーとの共重合体であってもよいが、炭素材料前駆体の耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が向上するという観点から、アクリルアミド系モノマーと他の重合性モノマーとの共重合体が好ましい。
また、本発明に用いられるアクリルアミド系ポリマーは、水性溶媒(水、アルコール等、及びこれらの混合溶媒)及び水系混合溶媒(前記水性溶媒と有機溶媒(テトラヒドロフラン等)との混合溶媒)のうちの少なくとも一方に可溶なものであることが好ましい。これにより、炭素材料前駆体を成形する際には、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた乾式成形(乾式紡糸)、乾湿式成形(乾湿式紡糸)、湿式成形(湿式紡糸)、又はエレクトロスピニングが可能となり、低コストで安全に炭素材料を製造することが可能となる。また、後述する炭素材料前駆体組成物を製造する際に、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた湿式混合が可能となり、アクリルアミド系ポリマーと後述する添加成分とを均一かつ低コストで安全に混合することが可能となる。さらに、得られた炭素材料前駆体組成物を成形する際には、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた乾式成形(乾式紡糸)、乾湿式成形(乾湿式紡糸)、湿式成形(湿式紡糸)、又はエレクトロスピニングが可能となり、低コストで安全に炭素材料を製造することが可能となる。なお、前記水系混合溶媒中の有機溶媒の含有量としては、前記水性溶媒に不溶又は難溶なアクリルアミド系ポリマーが有機溶媒を混合することによって溶解する量であれば特に制限はない。また、このようなアクリルアミド系ポリマーの中でも、より低コストで安全に炭素材料前駆体組成物や炭素材料を製造することが可能となるという観点から、前記水性溶媒に可溶なアクリルアミド系ポリマーが好ましく、水に可溶な(水溶性の)アクリルアミド系ポリマーがより好ましい。
さらに、本発明に用いられるアクリルアミド系ポリマーの重量平均分子量の上限としては、特に制限はないが、通常500万以下であり、炭素材料前駆体の成形加工性(フィルム加工性、シート加工性、紡糸性等)の観点から、200万以下が好ましく、100万以下がより好ましく、40万以下が更に好ましく、30万以下が特に好ましい。また、アクリルアミド系ポリマーの重量平均分子量の下限としては、特に制限はないが、通常1万以上であり、炭素材料前駆体の強度の観点から、2万以上が好ましく、3万以上がより好ましく、4万以上が特に好ましい。なお、前記アクリルアミド系ポリマーの重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定されるものである。
前記アクリルアミド系モノマーと他の重合性モノマーとの共重合体におけるアクリルアミド系モノマー単位の含有量の下限としては、前記共重合体の水性溶媒又は水系混合溶媒に対する可溶性の観点から、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上が特に好ましい。また、アクリルアミド系モノマー単位の含有量の上限としては、炭素材料前駆体の耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が向上するという観点から、99.9モル%以下が好ましく、99モル%以下がより好ましく、95モル%以下が更に好ましく、90モル%以下が特に好ましく、85モル%以下が最も好ましい。
前記アクリルアミド系モノマーと他の重合性モノマーとの共重合体における他の重合性モノマー単位の含有量の下限としては、炭素材料前駆体の耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が向上するという観点から、0.1モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましく、5モル%以上が更に好ましく、10モル%以上が特に好ましく、15モル%以上が最も好ましい。また、他の重合性モノマー単位の含有量の上限としては、前記共重合体の水性溶媒又は水系混合溶媒に対する可溶性の観点から、50モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましく、30モル%以下が特に好ましい。
前記アクリルアミド系モノマーとしては、例えば、アクリルアミド;N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-n-プロピルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-n-ブチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド等のN-アルキルアクリルアミド;N-シクロヘキシルアクリルアミド等のN-シクロアルキルアクリルアミド;N,N-ジメチルアクリルアミド等のジアルキルアクリルアミド;ジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等のジアルキルアミノアルキルアクリルアミド;N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N-(ヒドロキシエチル)アクリルアミド等のヒドロキシアルキルアクリルアミド;N-フェニルアクリルアミド等のN-アリールアクリルアミド;ジアセトンアクリルアミド;N,N’-メチレンビスアクリルアミド等のN,N’-アルキレンビスアクリルアミド;メタクリルアミド;N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-n-プロピルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-n-ブチルメタクリルアミド、N-tert-ブチルメタクリルアミド等のN-アルキルメタクリルアミド;N-シクロヘキシルメタクリルアミド等のN-シクロアルキルメタクリルアミド;N,N-ジメチルメタクリルアミド等のジアルキルメタクリルアミド;ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等のジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド;N-(ヒドロキシメチル)メタクリルアミド、N-(ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等のヒドロキシアルキルメタクリルアミド;N-フェニルメタクリルアミド等のN-アリールメタクリルアミド;ジアセトンメタクリルアミド;N,N’-メチレンビスメタクリルアミド等のN,N’-アルキレンビスメタクリルアミドが挙げられる。これらのアクリルアミド系モノマーは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、これらのアクリルアミド系モノマーの中でも、水性溶媒又は水系混合溶媒への溶解性が高いという観点から、アクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド、ジアルキルアクリルアミド、メタクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミド、ジアルキルメタクリルアミドが好ましく、アクリルアミドが特に好ましい。
前記他の重合性モノマーとしては、例えば、シアン化ビニル系モノマー、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸エステル、ビニル系モノマー、オレフィン系モノマーが挙げられる。前記シアン化ビニル系モノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2-ヒドロキシエチルアクリロニトリル、クロロアクリロニトリル、クロロメタクリロニトリル、メトキシアクリロニトリル、メトキシメタクリロニトリル等が挙げられる。前記不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等が挙げられ、前記不飽和カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、イタコン酸無水物等が挙げられ、前記不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル等が挙げられ、前記ビニル系モノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル系モノマー、塩化ビニル、ビニルアルコール等が挙げられ、前記オレフィン系モノマーとしては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。これらの他の重合性モノマーは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、これらの他の重合性モノマーの中でも、炭素材料前駆体の成形加工性、耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が向上するという観点から、シアン化ビニル系モノマーが好ましく、アクリロニトリルが特に好ましく、前記共重合体の水性溶媒又は水系混合溶媒に対する可溶性の観点からは、不飽和カルボン酸及びその塩が好ましい。
このようなアクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体を製造する方法としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、リビングラジカル重合等の公知の重合反応を、溶液重合、懸濁重合、沈殿重合、分散重合、乳化重合(例えば、逆相乳化重合)等の重合方法によって行う方法を採用することができる。前記重合反応の中でも、炭素材料前駆体を低コストで製造できるという観点から、ラジカル重合が好ましい。また、溶液重合を採用する場合、溶媒としては、原料のモノマー及び得られるアクリルアミド系ポリマーが溶解するものを使用することが好ましく、低コストで安全に製造できるという観点から、前記水性溶媒(水、アルコール等、及びこれらの混合溶媒等)又は前記水系混合溶媒(前記水性溶媒と有機溶媒(テトラヒドロフラン等)との混合溶媒)を使用することがより好ましく、前記水性溶媒を使用することが特に好ましく、水を使用することが最も好ましい。
前記ラジカル重合においては、重合開始剤として、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の従来公知のラジカル重合開始剤を使用することができるが、溶媒として前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を使用する場合には、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒(好ましくは前記水性溶媒、より好ましくは水)に可溶なラジカル重合開始剤が好ましい。また、アクリルアミド系ポリマーを低分子量化し、炭素材料前駆体の成形加工性を向上させるという観点から、前記重合開始剤に代えて又は加えて、テトラメチルエチレンジアミン等の従来公知の重合促進剤やn-ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン等の分子量調節剤を用いることが好ましく、前記前記重合開始剤と前記重合促進剤とを併用することが好ましく、過硫酸アンモニウムとテトラメチルエチレンジアミンとを併用することが特に好ましい。
重合開始剤を添加する際の温度としては特に制限はないが、得られるアクリルアミド系ポリマーの重量平均分子量Mwを低下させ、炭素材料前駆体の成形加工性を向上させるという観点から、35℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、45℃以上が更に好ましく、50℃以上が特に好ましく、55℃以上が最も好ましい。また、前記重合反応の温度としては特に制限はないが、得られるアクリルアミド系ポリマーの重量平均分子量Mwを低下させ、炭素材料前駆体の成形加工性を向上させるという観点から、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上が特に好ましく、75℃以上が最も好ましい。
(炭素材料前駆体成形体及びその製造方法)
本発明の炭素材料前駆体成形体は、前記アクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体と、3.0~27質量%の水とを含有するものである。このような含水率を有する炭素材料前駆体成形体は高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を示す。一方、炭素材料前駆体成形体の含水率が前記下限未満又は前記上限を超えると、耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が低下する。また、耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が更に向上するという観点から、炭素材料前駆体成形体の含水率としては、3.5~25質量%が好ましく、4.0~24質量%がより好ましく、4.5~23質量%が更に好ましく、4.7~22質量%が特に好ましく、5.0~20質量%が最も好ましい。
本発明の炭素材料前駆体成形体の形状としては特に制限はなく、例えば、フィルム状、シート状、繊維状等が挙げられる。本発明の炭素材料前駆体成形体がフィルムの場合、その厚みとしては特に制限はないが、得られる炭素材料の耐炎化・炭化の総収率と強度が向上するという観点から、1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、300μm以下が更に好ましく、100μm以下が特に好ましい。また、本発明の炭素材料前駆体成形体が繊維の場合、その直径としては特に制限はないが、得られる炭素材料の耐炎化・炭化の総収率と強度が向上するという観点から、1000μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、100μm以下が更に好ましく、50μm以下が特に好ましく、30μm以下が最も好ましい。
また、本発明の炭素材料前駆体成形体は、高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を示すため、酸等の添加成分を配合せずに、そのまま炭素材料の製造に使用することが可能であるが、耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が更に向上するという観点から、本発明の炭素材料前駆体成形体には、前記アクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体に加えて、酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の添加成分が含まれていてもよい。
このような添加成分の含有量としては、耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率がより向上するという観点から、前記炭素材料前駆体100質量部に対して0.1~100質量部が好ましく、0.2~50質量部がより好ましく、0.5~30質量部が更に好ましく、1~20質量部が特に好ましい。
前記酸としては、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸、ポリホウ酸、硫酸、硝酸、炭酸、塩酸等の無機酸、シュウ酸、クエン酸、スルホン酸、酢酸等の有機酸が挙げられる。また、このような酸の塩としては、金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられ、アンモニウム塩、アミン塩が好ましく、アンモニウム塩がより好ましい。特に、これらの添加成分のうち、得られる炭素材料前駆体の耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が更に向上するという観点から、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸、ポリホウ酸、硫酸、及びこれらのアンモニウム塩が好ましく、リン酸、ポリリン酸、及びこれらのアンモニウム塩が特に好ましい。
前記添加成分は、前記水性溶媒及び前記水系混合溶媒のうちの少なくとも一方(より好ましくは前記水性溶媒、特に好ましくは水)に可溶なものであることが好ましい。これにより、添加成分を含有する炭素材料前駆体成形体を製造する際に、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた湿式混合が可能となり、前記アクリルアミド系ポリマーと前記添加成分とを均一かつ低コストで安全に混合することが可能となる。また、前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒を用いた乾式成形(乾式紡糸)、乾湿式成形(乾湿式紡糸)、湿式成形(湿式紡糸)、又はエレクトロスピニングが可能となり、低コストで安全に炭素材料を製造することが可能となる。
このような所望の含水率を有する炭素材料前駆体成形体は以下のようにして作製(製造)することができる。先ず、前記アクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体又は前記炭素材料前駆体と前記添加成分とを含有する炭素材料前駆体組成物を、所望の形状(例えば、フィルム状、シート状、繊維状)に成形加工する。このとき、前記炭素材料前駆体又は前記炭素材料前駆体組成物をそのまま加圧成形したり、溶融状態の前記炭素材料前駆体又は前記炭素材料前駆体組成物を用いて溶融成形(例えば、溶融キャスト成形、溶融押出成形、射出成形、溶融紡糸、スパンボンド、メルトブローン、遠心紡糸)してもよいが、前記炭素材料前駆体又は前記炭素材料前駆体組成物が前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒に可溶な場合には、成形加工性が高まるという観点から、前記炭素材料前駆体又は前記炭素材料前駆体組成物を前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒に溶解し、得られた水性溶液又は水系混合溶液を用いて成形すること、或いは、前述の重合後の炭素材料前駆体の溶液又は後述する湿式混合で得られる炭素材料前駆体組成物の溶液をそのまま若しくは所望の濃度に調整した後、成形すること、が好ましい。このような成形方法としては、溶液キャスト成形、湿式成形、乾式紡糸、湿式紡糸、乾湿式紡糸、ゲル紡糸、フラッシュ紡糸、又はエレクトロスピニングを行うことが好ましい。これにより、所望の形状の炭素材料前駆体又は炭素材料前駆体組成物を低コストで安全に製造することができる。また、より低コストで安全に炭素材料を製造することができるという観点から、溶媒として前記水性溶媒を使用することがより好ましく、水を使用することが特に好ましい。このように予め所望の形状に成形加工した炭素材料前駆体又は炭素材料前駆体組成物を用いることによって、所望の形状の炭素材料(例えば、炭素フィルム、炭素シート、炭素繊維)を製造することができる。
また、前記水性溶液又は前記水系混合溶液における前記炭素材料前駆体又は前記炭素材料前駆体組成物の濃度としては特に制限はないが、生産性向上とコスト低減の観点から、20質量%以上の高濃度が好ましい。なお、前記炭素材料前駆体又は前記炭素材料前駆体組成物の濃度が高くなりすぎると、前記水性溶液又は前記水系混合溶液の粘度が高くなり、成形加工性が低下するため、前記水性溶液又は前記水系混合溶液の濃度を、粘度を指標として、成形加工が可能な濃度に調整することが好ましい。
前記炭素材料前駆体組成物を製造する方法としては、溶融状態の前記炭素材料前駆体に前記添加成分を直接混合する方法(溶融混合)、前記炭素材料前駆体と前記添加成分とをドライブレンドする方法(乾式混合)、前記添加成分を含有する水性溶液又は水系混合溶液、或いは前記炭素材料前駆体は完全溶解していないが前記添加成分は溶解している溶液に所望の形状(例えば、フィルム状、シート状、繊維状)に成形した前記炭素材料前駆体を浸漬したり、通過させたりする方法等を採用することも可能であるが、使用する前記炭素材料前駆体及び前記添加成分が前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒に可溶な場合には、前記炭素材料前駆体と前記添加成分とを均一に混合することができるという観点から、前記炭素材料前駆体と前記添加成分とを前記水性溶媒又は前記水系混合溶媒中で混合する方法(湿式混合)が好ましい。また、湿式混合としては、前記炭素材料前駆体の製造に際し、前述の重合を前記水性溶媒中又は前記水系混合溶媒中で行った場合に、重合後等に前記添加成分を混合する方法も採用することができる。さらに、得られる溶液から前記溶媒を除去することによって炭素材料前駆体組成物を回収し、これを後述する炭素材料の製造に用いることができるほか、前記溶媒を除去することなく、得られる溶液をそのまま後述する炭素材料の製造に用いることもできる。また、前記湿式混合においては、より低コストで安全に炭素材料前駆体組成物を製造できるという観点から、溶媒として前記水性溶媒を使用することが好ましく、水を使用することがより好ましい。さらに、前記溶媒を除去する方法としては特に制限はなく、減圧留去、再沈殿、熱風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の公知の方法のうちの少なくとも1つの方法を採用することができる。
次に、得られた炭素材料前駆体成形体(例えば、フィルム、シート、繊維)に、所望の含水率となるように、乾燥条件(乾燥方法、乾燥温度、乾燥時間)を制御しながら乾燥処理を施したり、水を添加(例えば、スプレー等により直接添加、高湿度雰囲気下や水蒸気中で保持)したりすることによって、炭素材料前駆体成形体の含水率を調整することができる。このような含水率の調整は、成形工程の後半、成形後、耐炎化処理前、耐炎化処理中のいずれで行ってもよいが、耐炎化収率や炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が向上するという観点から、成形工程の後半、成形後、耐炎化処理前のいずれかで行うことが好ましい。
本発明の炭素材料前駆体成形体の製造方法において、乾燥処理により炭素材料前駆体成形体の含水率を調整する場合、乾燥条件(乾燥方法、乾燥温度、乾燥時間)は炭素材料前駆体成形体の含水率が所望の値となるように適宜設定することができ、特に制限はないが、例えば、乾燥方法としては真空乾燥が好ましく、乾燥温度としては25~75℃が好ましく、30~70℃がより好ましく、35~65℃が更に好ましく、40~60℃が特に好ましく、乾燥時間としては1.5~11時間が好ましく、2~10時間がより好ましく、3~9時間が更に好ましい。
〔炭素材料の製造方法〕
次に、本発明の炭素材料の製造方法について説明する。本発明の炭素材料の製造方法としては、前記本発明の炭素材料前駆体成形体に、直接炭化処理を施すことも可能であるが、高収率で炭素材料が得られるという観点から、耐炎化処理を施し、次いで、炭化処理を施すことが好ましい。
本発明の炭素材料の好ましい製造方法においては、先ず、前記炭素材料前駆体成形体に酸化性雰囲気下(例えば、空気中)で加熱処理を施す(耐炎化処理)。本発明の炭素材料前駆体成形体は、アクリルアミド系ポリマーからなり、特定の含水率を有するものであるため、耐炎化処理によって熱分解されにくく、また、炭素材料前駆体を構成するアクリルアミド系ポリマーの構造が耐炎化処理によって耐熱性の高い構造に変換されるため、高い耐炎化収率を示す。さらに、耐炎化処理が施された炭素材料前駆体(耐炎化物)は、耐熱性の高い構造を有しているため、高い炭化収率を示す。特に、前記添加成分を含有する炭素材料前駆体成形体においては、添加成分である酸やその塩の触媒作用により、アクリルアミド系ポリマーの脱アンモニア反応や脱水反応が促進されるため、分子内に環状構造(イミド環構造)が形成されやすく、アクリルアミド系ポリマーの構造が耐熱性の高い構造に変換されやすいため、炭素材料前駆体成形体の耐炎化収率や耐炎化物の炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が更に高くなる。
このような耐炎化処理における加熱温度としては、150~500℃が好ましく、200~450℃がより好ましく、耐熱性の高い構造に効率的に変換し、耐炎化・炭化の総収率が高くなるという観点から、280~420℃が更に好ましく、310~410℃がまた更に好ましく、330~400℃が特に好ましく、340~390℃が最も好ましい。耐炎化処理における加熱温度が前記上限を超えると、生成する耐炎化物が熱分解される傾向にあり、他方、前記下限未満になると、アクリルアミド系ポリマーの脱アンモニア反応や脱水反応が促進されず、分子内に環状構造(イミド環構造)が形成されにくいため、生成する耐炎化物の耐熱性が低く、炭素材料前駆体成形体の耐炎化収率や耐炎化物の炭化収率、耐炎化・炭化の総収率が低下する傾向にある。また、耐炎化処理における加熱時間としては特に制限はなく、長時間(例えば1時間超)の加熱も可能であるが、コスト低減の観点から1~60分間が好ましい。
次に、このようにして耐炎化処理が施された炭素材料前駆体成形体(耐炎化物)に、不活性雰囲気下(窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス中)、前記耐炎化処理における加熱温度よりも高い温度で加熱処理を施す(炭化処理)。これにより、耐炎化物が炭化し、所望の炭素材料が得られる。このような炭化処理における加熱温度としては500℃以上が好ましく、1000℃以上がより好ましい。また、加熱温度の上限としては3000℃以下が好ましく、2500℃以下がより好ましい。さらに、炭化処理における加熱時間としては特に制限はないが、1~60分間が好ましく、1~30分間がより好ましい。また、前記炭化処理においては、例えば、先に1000℃未満の温度で加熱処理を行った後、1000℃以上の温度で加熱処理を行うといったように、複数回の加熱処理を行うこともできる。なお、本発明の炭素材料の製造方法においては、前記耐炎化処理を施さずに、このような炭化処理を、本発明の炭素材料前駆体又は炭素材料前駆体組成物に直接施すことも可能であるが、炭素材料の総収率が高くなるという観点から、耐炎化処理を施した後、炭化処理を施すことが好ましい。また、本発明にかかる「炭化処理」には、一般的に、不活性ガス雰囲気下、2000~3000℃で加熱することによって行われる「黒鉛化」を含んでいてもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で使用した各アクリルアミド系ポリマーは以下の方法により合成した。
(合成例1)
アクリルアミド(AAm)12.8g(0.18mol)をイオン交換水180mlに溶解し、得られた水溶液にテトラメチルエチレンジアミン1.35ml(0.009mol)及び過硫酸アンモニウム0.252g(0.0011mol)を添加して、窒素雰囲気下、60℃で3時間重合反応を行った。得られた水溶液をメタノール中に投入して重合物を析出させ、これを回収して80℃で12時間真空乾燥させることにより、水溶性のポリアクリルアミド(PAAm)を得た。
このPAAmの重量平均分子量Mwを、ゲル浸透クロマトグラフィー(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)を用いて下記の条件で測定したところ、Mw=13万であった。
〔測定条件〕
カラム:TSKgel GMPWXL×2本+TSKgel G2500PWXL×1本。
溶離液:100mM硝酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル=80/20。
溶離液流量:1.0ml/min。
カラム温度:40℃。
分子量標準物質:標準ポリエチレンオキシド/標準ポリエチレングリコール。
検出器:示差屈折率検出器。
(合成例2)
アクリルアミド(AAm)96.0g(1.35mol)及びアクリロニトリル(AN)23.9g(0.45mol)をイオン交換水480mlに溶解し、得られた水溶液にテトラメチルエチレンジアミン6.75ml(0.045mol)及び過硫酸アンモニウム1.52g(0.0067mol)を添加して、窒素雰囲気下、50℃で3時間重合反応を行った。得られた水溶液をメタノール中に投入して共重合物を析出させ、これを回収して80℃で12時間真空乾燥させることにより、水溶性のアクリルアミド/アクリロニトリル共重合体(AAm/AN共重合体)を得た。このAAm/AN共重合体の重量平均分子量Mwを合成例1と同様にして測定したところ、Mw=13万であった。
また、このAAm/AN共重合体を重水に溶解し、得られた溶液について、室温、周波数100MHzの条件で13C-NMR測定を行った。得られた13C-NMRスペクトルにおいて、約121ppm~約122ppmに現れる、アクリロニトリルのシアノ基の炭素に由来するピークと約177ppm~約182ppmに現れる、アクリルアミドのカルボニル基の炭素に由来するピークとの積分強度比に基づいて、AAm/AN共重合体中のアクリルアミド(AAm)単位とアクリロニトリル(AN)単位とのモル比を算出したところ、AAm/AN=75mol%/25mol%であった。
(合成例3)
アクリルアミド(AAm)96.0g(1.35mol)及びアクリロニトリル(AN)23.9g(0.45mol)をイオン交換水480mlに溶解し、得られた水溶液にテトラメチルエチレンジアミン6.75ml(0.045mol)を添加して、窒素雰囲気下、攪拌しながら45℃まで昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム2.52g(0.011mol)を添加した後、78℃で2時間重合反応を行い、さらに、90℃で1時間重合反応を行った。得られた水溶液をメタノール中に投入して共重合物を析出させ、これを回収して80℃で12時間真空乾燥させることにより、水溶性のアクリルアミド/アクリロニトリル共重合体(AAm/AN共重合体)を得た。このAAm/AN共重合体の重量平均分子量Mwを合成例1と同様にして測定したところ、Mw=6.2万であった。また、このAAm/AN共重合体中のアクリルアミド(AAm)単位とアクリロニトリル(AN)単位とのモル比を合成例1と同様にして算出したところ、AAm/AN=75mol%/25mol%であった。
(合成例4)
アクリルアミド(AAm)96.0g(1.35mol)及びアクリロニトリル(AN)23.9g(0.45mol)をイオン交換水480mlに溶解し、得られた水溶液にテトラメチルエチレンジアミン6.75ml(0.045mol)を添加して、窒素雰囲気下、攪拌しながら60℃まで昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム2.52g(0.011mol)を添加した後、78℃で2時間重合反応を行い、さらに、90℃で1時間重合反応を行った。得られた水溶液をメタノール中に投入して共重合物を析出させ、これを回収して80℃で12時間真空乾燥させることにより、水溶性のアクリルアミド/アクリロニトリル共重合体(AAm/AN共重合体)を得た。このAAm/AN共重合体の重量平均分子量Mwを合成例1と同様にして測定したところ、Mw=5.3万であった。また、このAAm/AN共重合体中のアクリルアミド(AAm)単位とアクリロニトリル(AN)単位とのモル比を合成例1と同様にして算出したところ、AAm/AN=75mol%/25mol%であった。
(実施例1)
炭素材料前駆体として合成例1で得られたPAAm(Mw=13万、組成:AAm=100mol%)を、炭素材料前駆体濃度が10質量%となるようにイオン交換水に溶解した。得られた水溶液をテフロン(登録商標)製シート上にキャストした後、室温(約23℃)、湿度約50%RHの雰囲気下に18時間放置した。その後、50℃で8時間真空乾燥を行い、炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。
(実施例2)
真空乾燥時間を4時間に変更した以外は実施例1と同様にして炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。
(実施例3)
真空乾燥温度を40℃に、真空乾燥時間を4時間に変更した以外は実施例1と同様にして炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。
(実施例4)
炭素材料前駆体として合成例2で得られたAAm/AN共重合体(Mw=13万、組成:AAm/AN=75mol%/25mol%)を用いた以外は実施例1と同様にして炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。
(実施例5)
真空乾燥時間を4時間に変更した以外は実施例4と同様にして炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。
(実施例6)
真空乾燥温度を40℃に、真空乾燥時間を6時間に変更した以外は実施例4と同様にして炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。
(実施例7)
炭素材料前駆体として合成例3で得られたAAm/AN共重合体(Mw=6.2万、組成:AAm/AN=75mol%/25mol%)を用い、真空乾燥温度を40℃に、真空乾燥時間を4時間に変更した以外は実施例1と同様にして炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。
(実施例8)
炭素材料前駆体として合成例4で得られたAAm/AN共重合体(Mw=5.3万、組成:AAm/AN=75mol%/25mol%)を用い、真空乾燥温度を40℃に、真空乾燥時間を2時間に変更した以外は実施例1と同様にして炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。
(比較例1)
真空乾燥温度を80℃に、真空乾燥時間を12時間に変更した以外は実施例1と同様にして炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。
(比較例2)
真空乾燥温度を70℃に、真空乾燥時間を12時間に変更した以外は実施例1と同様にして炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。
(比較例3)
真空乾燥温度を40℃に、真空乾燥時間を1時間に変更した以外は実施例1と同様にして炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。
(比較例4)
真空乾燥温度を80℃に、真空乾燥時間を12時間に変更した以外は実施例4と同様にして炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。
(比較例5)
真空乾燥温度を70℃に、真空乾燥時間を12時間に変更した以外は実施例4と同様にして炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。
(比較例6)
真空乾燥温度を80℃に、真空乾燥時間を12時間に変更した以外は実施例7と同様にして炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。
(比較例7)
真空乾燥温度を70℃に、真空乾燥時間を12時間に変更した以外は実施例8と同様にして炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。
(比較例8)
真空乾燥時間を1時間に変更した以外は実施例8と同様にして炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。
(比較例9)
真空乾燥の代わりに、120℃で3時間熱風乾燥させた以外は実施例1と同様にして炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。
(比較例10)
真空乾燥温度を80℃に、真空乾燥時間を12時間に変更した以外は実施例1と同様にして炭素材料前駆体フィルム(約20mm×約20mm、厚さ:約150μm)を得た。その後、この炭素材料前駆体フィルムを室温(約23℃)、湿度60%RHの雰囲気下に1週間放置した。
<炭素材料前駆体フィルムの含水率の測定>
実施例及び比較例で得られた炭素材料前駆体フィルムの一部をそれぞれ切り取り、その質量を測定した後、120℃で3時間真空乾燥させて水分を完全に除去した。得られた真空乾燥後の炭素材料前駆体フィルムの質量を測定し、下記式:
含水率[%]={(Mini-M120)/Mini}×100
〔Mini:120℃で3時間真空乾燥させる前の炭素材料前駆体フィルムの質量、M120:120℃で3時間真空乾燥させた後の炭素材料前駆体フィルムの質量〕
により炭素材料前駆体フィルムの含水率を求めた。その結果を表1に示す。
<耐炎化収率の測定>
実施例及び比較例で得られた炭素材料前駆体フィルムをそれぞれ約2mg切り取り、その質量を測定した後、示差熱天秤(株式会社リガク製「TG8120」)を用いて、空気流量500ml/minの空気雰囲気下、昇温速度10℃/minで室温から350℃まで加熱し、350℃で10分間保持(耐炎化処理)して炭素材料前駆体フィルムの耐炎化物を得た。耐炎化処理前後の炭素材料前駆体フィルムの質量保持率(炭素材料前駆体フィルムの耐炎化収率)を、耐炎化処理前の炭素材料前駆体フィルムに含まれる水分の影響を考慮し、前記炭素材料前駆体フィルムの含水率から算出した水分量を除いた耐炎化処理前の炭素材料前駆体フィルムの質量を基準として、下記式:
炭素材料前駆体フィルムの耐炎化収率[%]=M350/Mtrue×100
〔M350:空気雰囲気下、350℃で10分間加熱した後の炭素材料前駆体フィルム(耐炎化物)の質量、Mtrue:水分量を除いた耐炎化処理前の炭素材料前駆体フィルムの質量〕
により求めた。その結果を表1に示す。
<炭化収率の測定>
前記炭素材料前駆体フィルムの耐炎化物を示差熱天秤(株式会社リガク製「TG8120」)を用いて、窒素流量500ml/minの窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minで室温から1000℃まで加熱(炭化処理)して炭素材料を得た。この炭化処理前後の耐炎化物の質量保持率(1000℃における耐炎化物の炭化収率)を、耐炎化物に吸着した水の影響を考慮し、150℃における耐炎化物の質量を基準として、下記式:
耐炎化物の炭化収率[%]=M1000/M150×100
〔M1000:窒素雰囲気下、1000℃まで加熱した後の耐炎化物(炭素材料)の質量、M150:150℃における耐炎化物の質量〕
により求めた。その結果を表1に示す。
<耐炎化・炭化の総収率の算出>
実施例及び比較例で得られた炭素材料前駆体フィルムの耐炎化・炭化の総収率を、下記式:
耐炎化・炭化の総収率[%]=(耐炎化収率/100)×(炭化収率/100)×100
により求めた。その結果を表1に示す。
Figure 0007166524000001
表1に示した、実施例1~3と比較例1~2、9、実施例4~6と比較例4~5、実施例7と比較例6、実施例8と比較例7とを対比すると明らかなように、所定の含水率となるように真空乾燥を施したアクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体フィルム(実施例1~3、実施例4~6、実施例7、実施例8)は、80℃で12時間の真空乾燥(比較例1、比較例4、比較例6)や70℃で12時間の真空乾燥(比較例2、比較例5、比較例7)、120℃で3時間の熱風乾燥(比較例9)を施して含水率が2.5質量%以下となったアクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体フィルムに比べて、耐炎化収率、耐炎化物の炭化収率、及び耐炎化・炭化の総収率が高くなることがわかった。
また、実施例1~3と比較例3、実施例8と比較例8とを対比すると明らかなように、所定の含水率となるように真空乾燥を施したアクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体フィルム(実施例1~3、実施例8)は、40℃で1時間の真空乾燥を施して含水率が28.5質量%以上となったアクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体フィルム(比較例3、比較例8)に比べて、耐炎化収率、耐炎化物の炭化収率、及び耐炎化・炭化の総収率が高くなることがわかった。
さらに、実施例1と実施例4、実施例2と実施例5、実施例3と実施例7とを対比すると明らかなように、同程度の含水率を有する、アクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体フィルムにおいては、シアン化ビニル系モノマー単位を含有する炭素材料前駆体フィルム(実施例4~5、実施例7)の方が、アクリルアミドの単独重合体からなる炭素材料前駆体フィルム(実施例1~3)に比べて、耐炎化収率、耐炎化物の炭化収率、及び耐炎化・炭化の総収率が高くなることがわかった。
また、80℃で12時間の真空乾燥を施した後、室温、60%RHの雰囲気下で1週間放置したアクリルアミドの単独重合体からなる炭素材料前駆体フィルム(比較例10)は、含水率が0.5質量%となるものの、耐炎化収率、耐炎化物の炭化収率、及び耐炎化・炭化の総収率はいずれも、80℃で12時間の真空乾燥を施して含水率が0.0質量%となったアクリルアミドの単独重合体からなる炭素材料前駆体フィルム(比較例1)と同等であり、所定の含水率を有する炭素材料前駆体フィルム(実施例1~3)に比べて劣っていることがわかった。
なお、炭素材料前駆体として合成例1で得られたPAAm(Mw=13万、組成:AAm=100mol%)を用いて作製し、80℃で12時間の真空乾燥を施して含水率が0.0質量%となったアクリルアミドの単独重合体からなる炭素材料前駆体フィルムを、室温(約23℃)、60%RHの雰囲気下で2週間放置した場合には含水率は0.8質量%となることがわかった。また、炭素材料前駆体として合成例2で得られたAAm/AN共重合体(Mw=13万、組成:AAm/AN=75mol%/25mol%)を用いて作製し、80℃で12時間の真空乾燥を施して含水率が0.0質量%となったアクリルアミド/アクリロニトリル共重合体からなる炭素材料前駆体フィルムを、室温(約23℃)、60%RHの雰囲気下で1週間放置した場合には含水率は0.3質量%となり、2週間放置した場合には含水率は0.4質量%となることがわかった。これらの結果から、アクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体フィルムを80℃で12時間の真空乾燥を施して含水率を0.0質量%とした後、室温(約23℃)、60%RHの雰囲気下で2週間放置しても、含水率は0.8質量%以下であることがわかった。また、アクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体フィルムは、シアン化ビニル系モノマー単位を含有することによって、吸水性が低くなることがわかった。
〔耐炎化処理温度の影響〕
<耐炎化収率の測定>
実施例2及び実施例5で得られた炭素材料前駆体フィルムをそれぞれ約2mg切り取り、その質量を測定した後、示差熱天秤(株式会社リガク製「TG8120」)を用いて、空気流量500ml/minの空気雰囲気下、昇温速度10℃/minで室温から所定温度まで加熱し、所定温度で10分間保持(耐炎化処理)して炭素材料前駆体フィルムの耐炎化物を得た。耐炎化処理前後の炭素材料前駆体フィルムの質量保持率(炭素材料前駆体フィルムの耐炎化収率)を、耐炎化処理前の炭素材料前駆体フィルムに含まれる水分の影響を考慮し、前記炭素材料前駆体フィルムの含水率から算出した水分量を除いた耐炎化処理前の炭素材料前駆体フィルムの質量を基準として、下記式:
炭素材料前駆体フィルムの耐炎化収率[%]=M/Mtrue×100
〔M:空気雰囲気下、所定温度T[℃]で10分間加熱した後の炭素材料前駆体フィルム(耐炎化物)の質量、Mtrue:水分量を除いた耐炎化処理前の炭素材料前駆体フィルムの質量〕
により求めた。その結果を表2に示す。
<炭化収率の測定>
前記炭素材料前駆体フィルムの耐炎化物を示差熱天秤(株式会社リガク製「TG8120」)を用いて、窒素流量500ml/minの窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minで室温から1000℃まで加熱(炭化処理)して炭素材料を得た。この炭化処理前後の耐炎化物の質量保持率(1000℃における耐炎化物の炭化収率)を、耐炎化物に吸着した水の影響を考慮し、150℃における耐炎化物の質量を基準として、下記式:
耐炎化物の炭化収率[%]=M1000/M150×100
〔M1000:窒素雰囲気下、1000℃まで加熱した後の耐炎化物(炭素材料)の質量、M150:150℃における耐炎化物の質量〕
により求めた。その結果を表2に示す。
<耐炎化・炭化の総収率の算出>
実施例2及び実施例5で得られた炭素材料前駆体フィルムの耐炎化・炭化の総収率を、下記式:
耐炎化・炭化の総収率[%]=(耐炎化収率/100)×(炭化収率/100)×100
により求めた。その結果を表2に示す。
Figure 0007166524000002
表2に示したように、耐炎化処理温度が低くなるにつれて、炭素材料前駆体フィルムの耐炎化収率が高くなり、耐炎化処理温度が高くなるにつれて、耐炎化物の炭化収率が高くなるものの、最終的に得られる耐炎化・炭化の総収率が高くなるという観点において、好適な耐炎化処理温度範囲が存在することがわかった。
<炭素材料の結晶性の評価>
実施例で得られた各炭素材料前駆体フィルムに、上記のようにして耐炎化処理及び炭化処理を施して得られた炭素材料のラマンスペクトルを、レーザーラマン分光分析装置(日本分光株式会社製「NSR-3300」)を用いて測定し、得られたラマンスペクトルにける、1690cm-1付近のグラファイト構造由来のGピークと1350cm-1付近のグラファイト構造の欠陥由来のDピークとの強度比(G/D)を求めたところ、いずれの炭素材料においても、ラマンスペクトルに明りょうなGピークが観察され、また、G/D値は1.0であり、グラファイト構造が形成されていることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、酸等の添加成分を配合しなくても、高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を有する、アクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体成形体を得ることが可能となる。
したがって、本発明の炭素材料の製造方法は、使用する炭素材料前駆体成形体が高い耐炎化収率、高い炭化収率及び高い耐炎化・炭化の総収率を有するため、低コストで効率よく安定して炭素材料を製造することが可能な方法として有用である。

Claims (4)

  1. アクリルアミド系モノマーの単独重合体、並びに、アクリルアミド系モノマー50モル%以上とシアン化ビニル系モノマー、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸エステル、ビニル系モノマー及びオレフィン系モノマーからなる群から選択される少なくとも1種の他の重合性モノマー50モル%以下との共重合体からなる群から選択される少なくとも1種の アクリルアミド系ポリマーからなり、含水率が3.0~27質量%であることを特徴とする炭素材料前駆体成形体。
  2. 前記含水率が3.5~25質量%であることを特徴とする請求項1に記載の炭素材料前駆体成形体。
  3. アクリルアミド系モノマーの単独重合体、並びに、アクリルアミド系モノマー50モル%以上とシアン化ビニル系モノマー、不飽和カルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸エステル、ビニル系モノマー及びオレフィン系モノマーからなる群から選択される少なくとも1種の他の重合性モノマー50モル%以下との共重合体からなる群から選択される少なくとも1種の アクリルアミド系ポリマーからなる炭素材料前駆体を用いて、含水率が3.0~27質量%の成形体を作製することを特徴とする炭素材料前駆体成形体の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の炭素材料前駆体成形体に耐炎化処理を施し、次いで、炭化処理を施すことを特徴とする炭素材料の製造方法。
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