本発明の実施形態に関して図面を参照して説明する。
まず、本実施形態による加工システムの全体構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態による加工システムの全体構成を示す概略図であり、システム全体を上面から見た図を概略的に表したものである。
図1に示すように、本実施形態による加工システム00は、搬送路に沿って台車を移動させる台車移動手段と、ワークを搭載可能な台車10(搬送台車と称する場合がある)と、加工ツールとを有する。
具体的には、台車移動手段によって台車を複数位置へと搬送可能な搬送路として、搬送装置往路1(搬送往路と称する場合がある)と、搬送装置復路2(搬送復路と称する場合がある)と、台車移載装置3と、台車移載装置4を有している。また、搬送路に隣接する所定の位置に配され、ワークを台車に搭載するための、ワーク投入装置5と、ワークを台車から排出するための、ワーク排出装置6を有する。さらに、搬送路に隣接する所定の位置に配された、加工前検査装置7と、加工後検査装置8と、加工装置9と、を有している。加工前検査装置7と加工後検査装置8は、一つの検査装置によって兼用されていてもよい。また、本明細書において、加工前検査装置7を第一の検査装置、加工後検査装置8を第二の検査装置と称する場合がある。本実施形態による加工システム00は、加工すべき加工対象であるワークWを搬送するとともに、搬送台車10上でワークWを位置決めする搬送システム01を含んでいる。台車移動手段である搬送システム01は、少なくとも、搬送装置往路1を有する。また、搬送システム01は、搬送装置往路1の他に、搬送装置復路2と、台車移載装置3と、台車移載装置4と、を有していてもよい。搬送装置往路1、搬送装置復路2、台車移載装置3、及び台車移載装置4は、移動部である搬送台車10の搬送路を構成する。本明細書において、搬送台車10を移動部、搬送台車10の搬送路を固定部と称する場合がある。本明細書において、搬送装置往路1は搬送装置復路2であってもよく、搬送装置復路2は搬送装置往路1であってもよい。
ここで、以下の説明において用いる直交座標系であるXYZ座標系のX軸、Y軸及びZ軸の各座標軸及び方向を定義する。まず、搬送台車10の搬送方向に沿ってX軸をとる。また、X軸と平行(水平)に置かれた後述の架台02に対して垂直な軸、すなわち鉛直方向に沿った軸をZ軸とし、X軸及びZ軸と直交する軸をY軸とする。このように座標軸が定義されるXYZ座標系において、X軸に沿った方向をX方向とし、X方向のうち、搬送台車10の搬送方向と同方向を+X方向、+X方向とは逆方向を−X方向とする。また、Y軸に沿った方向をY方向とし、Y方向のうち、+X方向に対して右側から左側に向かう方向を+Y方向とし、+Y方向とは逆方向を−Y方向とする。また、Z軸に沿った方向をZ方向とし、Z方向のうち、搬送路側から搬送台車10側に向かう方向、すなわち鉛直上向き方向を+Z方向とし、搬送台車10側から搬送路側に向かう方向、すなわち鉛直下向き方向を−Z方向とする。
本実施形態における加工システム00においては、それぞれ搬送台車10を搬送する直線状の搬送路を構成する搬送装置往路1及び搬送装置復路2が互いに平行に設置されているがこれに限るものではない。台車である搬送台車10は、搬送装置往路1及び搬送装置復路2に沿って搬送される。搬送装置往路1の最上流には、搬送装置復路から搬送装置往路に搬送台車を搬送するための台車移載装置3(第一の台車移載装置)が設置されていてもよい。また、搬送装置往路1の最下流には、搬送装置往路から搬送装置復路に搬送台車を搬送するための台車移載装置4(第二の台車移載装置)が設置されていてもよい。搬送装置往路1に沿って搬送された搬送台車10は、台車移載装置4により搬送装置復路2に移載されてもよい。また、搬送装置復路2に沿って搬送された搬送台車10は、台車移載装置3により搬送装置往路1に移載されてもよい。すなわち、搬送台車10は、搬送装置往路1及び搬送装置復路2に沿って循環搬送されてもよい。なお、搬送台車10は、1台だけ設置されていてもよいし、複数台設置されていてもよい。
台車移動手段である搬送装置は、搬送装置往路1または搬送装置復路2を含み、搬送装置往路1及び搬送装置復路2は、モジュール化されて構成されており、複数の搬送モジュール11を有している。
搬送装置往路1の上流の前記搬送装置往路1に隣接する所定の位置には、前記搬送装置往路上を搬送する搬送台車10にワークWを供給して搭載するためのワーク供給装置であるワーク投入装置5が設置されていてもよい。搬送装置往路1の下流の前記搬送装置往路1に隣接する所定の位置には、前記搬送装置往路に沿って搬送される搬送台車10よりワークWを取り出して排出するためのワーク排出装置6が設置されていてもよい。
ワーク投入装置5とワーク排出装置6との間であって、前記搬送装置往路1に隣接する所定の位置には、前記搬送装置往路1に沿って搬送する搬送台車上のワークの位置を検出するための加工前検査装置7が設置されていてもよい。また、加工前検査装置7にて位置検出した結果に基づいて、塗布やボンディング、組立作業等の加工を行うための加工装置9が設置されていてもよい。また、加工を行った後に、あらかじめ定められた通りの加工が施されたかどうか、加工状態を検査するための、加工後検査装置8が設置されていてもよい。なお、加工装置9は1台のみ設置されている場合や複数台設置されている場合があってもよい。複数台の加工装置9は、一定の間隔で設置されている場合や、任意の間隔で設置されている場合があってもよい。また、加工前検査装置7と加工後検査装置8は、一台の、前記台車に搭載されたワークを検査する検査装置(手段)によって兼用されていてもよい。
加工装置9は、特に限定されるものではなく、ワークWに対して種々の加工作業を施す加工装置を用いることができる。
搬送台車10は、搬送装置往路1に対して所定の間隔で設置されたワーク投入装置5、加工装置9及びワーク排出装置6の間を順次搬送される台車である。搬送台車10には、ワーク投入装置5にてワークWが供給されて投入される。次いで、搬送台車10上でのワークWの位置決め及び固定を経た後、搬送台車10上のワークWに対して、加工装置7により所定の加工作業が施される。加工装置9によるすべての加工作業が完了した後、ワーク排出装置6により、搬送台車10上からワークWが取り出され、物品が製造される。
(第一の実施形態)
次に、搬送システム01における搬送装置往路1、搬送装置復路2、台車移載装置3、4及び搬送台車10の構成の第一の実施形態の概略について、図2〜図4を用いて説明する。
図2は、搬送装置往路1を説明する概略図である。図3は、搬送台車10及び搬送路の一部である搬送モジュール11を説明する概略図である。図4は、搬送台車10および搬送モジュール11の断面図である。
加工システム00は、複数の搬送モジュール11、台車移載装置3及び台車移載装置4にそれぞれ通信可能に接続された複数の下位コントローラ43を有している。下位コントローラ43は、接続先の搬送モジュール11又は台車移載装置3、4を制御する。
なお、図2では、説明を簡単にするため、5つの搬送モジュール11を示し、それぞれに接続された下位コントローラ43として、5つの下位コントローラ43a、43b、43c、43d、43eを示している。また、台車移載装置3に接続された下位コントローラ43として、下位コントローラ43f、43gを示している。また、台車移載装置4に接続された下位コントローラ43として、下位コントローラ43h、43iを示している。説明では、特に区別する必要がないかぎり、下位コントローラを単に「下位コントローラ43」と表記する。複数の下位コントローラ43は、下位コントローラネットワーク42に接続されている。
加工システム00は、さらに、中位コントローラ41と、上位コントローラ40とを有している。複数の下位コントローラ43には、下位コントローラネットワーク42を介して、中位コントローラ41が通信可能に接続されている。中位コントローラ41は、複数の下位コントローラ43を制御する。さらに、中位コントローラ41には、中位コントローラ41に動作指令を送る上位コントローラ40が接続されている。本実施形態においては、搬送モジュールのそれぞれに、それぞれ下位コントローラが配置されている例を示した。しかし、これに限るものではなく、搬送モジュール全体を一つのコントローラ(例えば一台のコンピュータのCPU(制御部))が制御してもよい。または、複数の搬送モジュールごとに一つのコントローラ(例えば一台のコンピュータのCPU(制御部))が制御してもよい。本実施形態の下位コントローラとは、このような制御部である形態も含むものとする。また、本実施形態の中位コントローラ、上位コントローラについても、下位コントローラとは別のコントローラである例を記載したが、これに限るものではない。例えば、下位コントローラと同じ一台のコンピュータのCPU(制御部)が制御してもよい。本実施形態の中位コントローラ、および上位コントローラとは、このような制御部である形態も含むものとする。
図2に示すように、搬送モジュール11は、架台02の水平な設置面上に設置されている。搬送モジュール11は、搬送モジュール筺体15と、エンコーダ12a、12b、12cと、台車を駆動するためのコイル群13と、ガイドレール14とを有している。また、下位コントローラ43には、図示しない電源が接続されている。
コイル群13は、X方向に沿って搬送モジュール筺体15に取り付けられている。ガイドレール14は、X方向に沿って搬送モジュール筺体15の上に取り付けられている。
搬送台車10は、後述の台車ベース30と、スケール32と、ガイドブロック35を有している。
次に、搬送台車10及び搬送モジュール11の構成について図3および図4を用いて説明する。固定部である搬送路の一部である搬送モジュール11は、搬送モジュール筺体15を含む。移動部である搬送台車10は、搬送台車ベース30を含む。
本実施形態の搬送モジュール11は、外側の筐体15と内側の筐体19と台車駆動コイル13を有している。搬送モジュール11は、外側筐体底部15cと2つの外側筐体側部15a、15bを有し、外側筐体底部15cに、外側筐体底部15cと交差する方向に間をあけて2つの外側筐体側部15a、15bが対向して配置されている。内側の筐体(台車駆動コイルブラケットと称する場合がある)19は、間をあけて配置された2つ内側筐体側部15a、15bの間に、内側筐体底部19cと2つの内側筐体側部19a、19bを有する。そして、内側筐体底部19cに、内側筐体底部19cと交差する方向に間をあけて2つの内側筐体側部19a、19bが対向して配置されている。そして、間をあけて配置された2つの内側筐体側部19a、19bの間に、対の台車駆動コイル13がX方向に沿って複数並べて設置されている。このX方向に沿って並べて配置された対の台車駆動コイルの間を搬送台車10に設置された永久磁石33および永久磁石ブラケット34が通過するように構成されている。本実施形態においては、外側の筐体15および内側の筐体19を合わせて搬送モジュール筐体と称する場合がある。
内側筐体底部19cは、外側筐体側部15a、15bに設けられた貫通穴15aa、15ab、15ba、15bb(15abは不図示)を通じて取り付け部19d、19eおよび放熱板17a、17bに取り付けられている。また取り付け部19ca、19cb、19cc、19cd(19cbは不図示)は、外側筐体底部15cに設置されている。
エンコーダ12はエンコーダブラケット18を介して外側筺体側部15bに設置されている。図3において、エンコーダは一つの搬送モジュール11に対して3つ設けられている例を示したがこれに限らず、少なくとも1つ以上のエンコーダを有していればよい。
ガイドレール14は外側筐体側部15a、15bの上面にそれぞれ並列に設置されている。つまり、X方向に沿って2本設置されている。
搬送台車ベース30の下面にガイドブロック35、永久磁石ブラケット34が設置されており、T型構造となっている。永久磁石ブラケットに埋めこまれるように永久磁石33が設置されている。本明細書において、永久磁石ブラケット34と永久磁石33とをあわせて永久磁石と称する。
搬送台車ベース30に取り付けられた複数の永久磁石33と、搬送モジュール筺体に取り付けられた台車駆動コイル13との間には、台車駆動コイル13に電流を印加することによって、搬送台車10を駆動する電磁力が発生する。搬送台車10は、複数の永久磁石33と台車駆動コイル13との間に発生する電磁力により駆動され、搬送装置往路1上を+X方向に沿って搬送される。このように、本実施形態では、台車駆動コイル13は動かず、永久磁石33が移動する、ムービングマグネット(MM)型リニアモータによる搬送システム01が構成されている。
スケール32はスケールブラケット31を介して、台車ベース30の側面にエンコーダ12が位置検出可能な位置に取り付けられている。つまり、スケールとエンコーダ12が対向して取り付けられている。そしてスケール32は、搬送台車10の位置検出に用いられるパターンを有している。スケールブラケット31を介さず直接スケール32が台車ベース30の側部に取り付けられてもよく、本明細書においては、スケールブラケット31とスケール32とをあわせてスケールと称する場合がある。
そして、搬送モジュール筺体15、19の外側筐体側部15bに、エンコーダブラケット(センサ取り付け部材)18を介してエンコーダ12が設置される。エンコーダ12はエンコーダブラケット18によってエンコーダのスケール読み取り部であるエンコーダ検出部をスケールと対向して配置されるように調整されている。本実施形態ではエンコーダを3個設置する例を示したが、これに限るものではない。エンコーダブラケット18を介さず直接エンコーダを取り付けてもよく、本明細書においては、エンコーダブラケット18とエンコーダ12とをあわせてエンコーダと称する場合がある。また、本実施形態に於いてはエンコーダとスケールを用いて移動部の位置を検出する形態について述べるがこれに限ることなく、固定部と移動部の位置を検出できる公知のセンサを用いることができる。本明細書においては、移動部に取り付けられる部材をスケール、固定部に取り付けられる部材をエンコーダまたはセンサと称する。また、カバー17はエンコーダ12及びスケール32の保護のために設置されている。
エンコーダ12aとエンコーダ12bの間隔およびエンコーダ12bとエンコーダ12cの間隔は搬送台車10に取り付けたスケール32の長さよりも短いことが好ましい。そうすることによって搬送モジュール11上のどの位置においても搬送台車10の位置をいずれかのエンコーダ12によって検出することができる。
搬送モジュール11のエンコーダ12は、搬送台車10に取り付けられたスケール32とのギャップが一定となるように搬送モジュール筺体15に取り付けられている。エンコーダ12は、スケール32のパターンを読み取ることにより、搬送台車10のX方向における位置を、エンコーダ12からの相対位置として検出することができる。
下位コントローラ43は、接続されたエンコーダ12の出力及びそのエンコーダ12が設置された位置に基づき、搬送モジュール11上における搬送台車10の位置を算出することができる。下位コントローラ43は、算出した搬送台車10の位置等に応じて、台車駆動コイル13に印加される電流量を制御することができる。これにより、下位コントローラ43は、搬送台車10を所定の位置まで所定の速度で搬送して停止させることができる。
また、下位コントローラ43は、隣接する搬送モジュール11から接続先の搬送モジュール11に搬送台車10が進入することをエンコーダ12により検知することができる。下位コントローラ43は、接続先の搬送モジュール11に進入した搬送台車10を所定の位置まで所定の速度で搬送し、停止させるため、接続先の搬送モジュール11内における搬送台車10の制御を行う。
下位コントローラ43は、中位コントローラ41と情報をやり取りするための通信機能を有している。下位コントローラ43は、その下位コントローラ43が保有するエンコーダ12により検出される搬送台車10の位置情報等に関する通信を中位コントローラ41と行う。
中位コントローラ41は、搬送台車10を動作させるための指令を下位コントローラ43のそれぞれに送信することができる。これにより、中位コントローラ41は、複数台の搬送台車10の制御を行うことができる。
なお、搬送装置復路2も、搬送台車10の搬送方向が、搬送装置往路1における搬送方向とは逆方向となるように構成されている点を除き、上述した搬送装置往路1と同様の構成を有している。
続いて、台車移載装置3及び台車移載装置4の構成について説明する。台車移載装置3及び台車移載装置4は、図2に示すように、それぞれ、Y方向に動作可能な台車移載アクチュエータ50と、台車移載アクチュエータ50上に搭載され、搬送モジュール11と同様の構成のモジュールとを有している。
本実施形態では、台車移載装置3及び台車移載装置4の構成に搬送モジュール11を用いて説明するが、他の構成で移載することも可能であり、これに限定されるものではない。
台車移載装置3に接続された下位コントローラ43fは、台車移載装置3の台車移載アクチュエータ50を制御する。台車移載装置3に接続された下位コントローラ43gは、下位コントローラ43a、43b、43c、43eと同様に、台車移載装置3の搬送モジュール11と同様の構成のモジュールを制御する。また、台車移載装置4に接続された下位コントローラ43hは、台車移載装置4の台車移載アクチュエータ50を制御する。台車移載装置4に接続された下位コントローラ43iは、下位コントローラ43a、43bと同様に、台車移載装置4の搬送モジュール11と同様の構成のモジュールを制御する。
台車移載装置3及び台車移載装置4は、それぞれ、搬送装置往路1と搬送装置復路2との間を動作することにより、搬送台車10の移載を行う。台車移載装置4は、搬送装置往路1に沿って搬送された搬送台車10を、搬送装置往路1から搬送装置復路2に移載する。台車移載装置3は、搬送装置復路2に沿って搬送された搬送台車10を、搬送装置復路2から搬送装置往路1に移載する。
上位コントローラ40は、加工システム00全体を制御し、中位コントローラ41の他に、ワーク投入装置5、ワーク排出装置6、加工前検査装置7、加工後検査装置8、加工装置9用のコントローラ(不図示)等が通信可能に接続されている。上位コントローラ40は、加工システム00における各装置の動作及び動作順を制御する。
次に台車上の構成及びワークに関して図5を用いて説明する。図5は搬送台車10およびワークを上方向から見た図である。搬送台車ベース30上にワーク把持機構36が設置されており、ワーク投入装置5にてワークが供給された後、ワークを搬送台車10上に固定する。ワーク把持機構36にて固定されたワークは搬送台車10に移動や、加工装置9により加工が施される際の外力の影響によっても、位置がずれることがないように構成される。
ワーク上にX方向に配列された複数の加工点P(1,0)〜P(xm−1,0)及び複数の加工点P(1,yn)〜P(xm−1,yn)が設けられている。また、Y方向に配列された複数の加工点P(0,1)〜P(0,yn−1)及び複数の加工点P(xm,1)〜P(xm,yn−1)が設けられている。なお、本明細書では加工点Pについて、特に区別する必要のないときは単に加工点Pと称する。
また、ワーク上の座標点(0,0)にアライメントマークAM1、座標点(xm,0)にアライメントマークAM2、座標点(0,yn)にアライメントマークAM3、座標点(xm,yn)にアライメントマークAM4が設けられている。アライメントマークAM1、AM2、AM3、AM4の位置を検出することで、それぞれの加工点Pの位置が算出できるように構成されている。すなわち、加工前検査装置7にてアライメントマークAM1,AM2,AM3,AM4の位置を測定し、測定結果を元に、加工装置9にて加工を行う加工点Pの位置補正を行う。加工前検査装置7にて測定した結果を元に、加工装置9にて加工を行った結果の検査を加工後検査装置9にて行う。なお、本明細書ではアライメントマークAM1、AM2、AM3,AM4について、特に区別する必要のないときは単にアライメントマークAMと称する。
次に加工装置9(図1参照)について、図6及び図7を用いて説明する。図6は加工装置9の正面図であり、加工装置9を−X方向に見た図である。図7は加工装置9の図6中のAA断面及びBB断面を表した断面図である。また、加工装置9は、例えば、ワーク上の加工点Pのボンディングを行うボンディング装置である。
加工装置9は、加工ツール移動台車60と、加工ツール搬送路である加工ツール駆動モジュール61を有する。加工装置9が、例えばボンディング装置の場合は、加工ツール移動台車60をボンディングヘッド移動台車60と称し、加工ツール駆動モジュール61をボンディングヘッド駆動モジュール61と称する場合がある。
加工ツール駆動モジュール61は加工ツール駆動モジュール筺体65上に加工ツール駆動モジュール筺体65と合わせて閉構造となるように配置された下部解放の凹型構造の台車駆動コイルブラケット69が配置されている。台車駆動コイルブラケット69には、内壁に対向して設置された対の台車駆動コイル63が設置されている。
エンコーダ62はエンコーダブラケット68を介して加工ツール駆動モジュール筺体65に設置されている。
ガイドレール64は、搬送路である搬送装置往路1を構成する搬送モジュール11のガイドレール14(図3参照)と交差する方向に、加工ツール駆動モジュール筺体65の上面に並列に2本設置されている。つまり搬送モジュール11によって移動する台車の移動方向とは交差する方向にガイドレール64は設置されている。交差する方向は、搬送モジュール11によって移動する台車の移動方向と垂直方向であることが、制御のしやすさから好ましい。
加工ツール移動台車60には、駆動台車ベース80の下面にガイドブロック85が設置されている。加工ツール移動台車60は、ガイドブロック85にガイドされてガイドレール64に沿って移動する。加工ツール移動台車60の上面には永久磁石ブラケット84が設置されており、永久磁石ブラケットに埋めこまれるように複数の永久磁石83が設置されている。本明細書において、永久磁石ブラケット84と永久磁石83とをあわせて永久磁石と称する。永久磁石ブラケット84は、台車駆動コイルブラケット69を介して加工ツール駆動モジュール筺体65に取り付けられた、対の台車駆動コイル63の間を通過するように構成されている。
台車駆動コイルブラケット69を介して加工ツール駆動モジュール筺体65に取り付けられた台車駆動コイル63に電流が印加されると、加工ツール移動台車60に取り付けられた複数の永久磁石83との間に電磁力が発生する。この発生した電磁力が推進力となり、加工ツール移動台車60はガイドレール64に沿ってY方向に移動される。つまり、本実施形態のボンディング装置において、加工ツール(ボンディングヘッド)移動台車60は移動部であり、加工ツール(ボンディングヘッド)駆動モジュール61は固定部である。
また、加工ツール移動台車60には、台車駆動コイル63と永久磁石83の間に発生する磁力による吸引力もしくは反発力が加わる。永久磁石ブラケット84は、対の台車駆動コイル63の間を通過するように構成されているため、各側面で発生する磁力による吸引力・反発力は相殺される。
また、この磁力は加工ツール駆動モジュール側にも作用し、台車駆動コイル63がX方向に相互に引き合うもしくは反発しあう力が発生する。加工ツール駆動モジュール筺体65と台車駆動コイルブラケット69により構成される閉構造は、同力に対して十分な剛性を確保できる配置になっている。
駆動台車ベース80上には加工ツールアクチュエータ72が設置されており、Z方向に移動可能に構成される。加工ツールアクチュエータ72の可動部には加工ツールアーム71を介して加工ツール70が設置されており、ワーク上の加工点に対してボンディングの加工を施すことができる。
加工ツールアクチュエータ72は、コイル・永久磁石により発生する電磁力の作用線上に配置されている。そして、駆動台車ベース80上で永久磁石ブラケット84とY方向で連結されており、コイル・永久磁石により発生する電磁力が力の作用線上で直接伝達される配置となっている。加工ツールアクチュエータ72と永久磁石ブラケット84は、構造物を介して連結してもよい。
加工ツール移動台車60の重心は、コイル・永久磁石により発生する電磁力の作用線上に配置されている。この配置には調整機構を設けてもよい。
エンコーダ62はエンコーダブラケット68を介して加工ツール駆動モジュール筺体65に設置されている。
スケール82はスケールブラケット81を介して駆動台車ベース80側面に、エンコーダ62が位置検出可能で、加工ツール移動台車60の重心高さと一致する位置に取り付けられている。これにより、駆動時慣性による加工ツール移動台車60のY軸回りの回転の影響を軽減できる。そしてスケール82は、加工ツール移動台車60の位置検出に用いられるパターンを有している。スケール82は、スケールブラケット81を介さず駆動台車ベース80に直接取り付けられてもよく、本明細書においては、スケールブラケット81とスケール82とをあわせてスケールと称する場合がある。スケール82は、駆動台車ベース80の両側面に張り付けられてもよい。両側面のスケール82を2つのエンコーダ62で読み取ることで、駆動時慣性による加工ツール移動台車60のZ軸回りの回転を検出することができる。また、スケール82は、上記以外の位置に張り付けられてもよい。
エンコーダ62はエンコーダブラケット68によってエンコーダのスケール読み取り部であるエンコーダ検出部がスケールと対向して配置されるように調整されている。エンコーダ62は、エンコーダブラケット68を介さず加工ツール駆動モジュール筺体65に直接取り付けてもよく、本明細書においては、エンコーダブラケット68とエンコーダ62とをあわせてエンコーダと称する場合がある。
エンコーダ62は、加工ツール移動台車60に取り付けられたスケール82とのギャップが一定となるように加工ツール駆動モジュール筺体65に取り付けられている。エンコーダ62は、スケール82が有している位置検出用のパターンを読み取ることにより、加工ツール移動台車60のY方向における位置を、エンコーダ62からの相対位置として検出することができる。スケールはY方向に十分な長さを有しており、エンコーダ62はY方向において適切な位置に配置されており、加工ツール移動台車60の位置を常に検出できる配置となっている。
搬送モジュール11と同様に加工ツール駆動モジュール61は図示しない加工ツール駆動モジュール61のために設けられた下位コントローラ43αに接続されており、加工ツール移動台車60を制御することができる。また、下位コントローラ43αは下位コントローラネットワーク42を介して、中位コントローラ41に通信可能に接続されている。
また、加工ツール70及び加工ツール駆動アクチュエータ72は上位コントローラ40と接続されており、上位コントローラ40からの指令により動作する。
次に加工装置9にかかる力関係について、図18を用いて説明する。図18は加工装置9の正面図であり、加工装置9を−X方向に見た図である。
台車駆動コイルブラケット69を介して加工ツール駆動モジュール筺体65に取り付けられた台車駆動コイル63に電流が印加されると、加工ツール移動台車60に取り付けられた複数の永久磁石83との間に電磁力190が発生する。この発生した電磁力190が推進力となり、加工ツール移動台車60はガイドレール64に沿ってY方向に移動される。
加工ツール移動台車60の重心191が電磁力190の作用線からずれている場合、加工ツール移動台車60には以下式に示すモーメントが発生する。
F×ΔL
Fは電磁力190、ΔLは電磁力190の作用線から重心191までの距離192である。重心191を電磁力190の作用線上に近い位置に配置することで距離192を0に近づけることができ、電磁利力190により発生するモーメントをほとんど0にできる。重心191の電磁力190の作用線からの距離192を±1cm以内とすると振動の発生をより抑えることができるため好ましい。これにより、加工ツール移動台車60の加速、減速、停止時において、慣性モーメントによる電磁力190に対する偶力を小さくし、残留振動の発生を抑制できる。これにより、速度と精度および信頼性を上げることができる。また、構造が簡単で単純かつ低剛性のガイドレール64が使用できるため、装置コストの低減が図れる。
次に、加工前検査装置(第一の検査装置)7及び加工後検査装置(第二の検査装置)8の構成について図8を用いて説明する。ワーク上のアライメントマークAM及び加工点Pの検査を行うためのカメラ90がカメラブラケット91を介してカメラ駆動アクチュエータ92の可動部に設置されている。カメラ駆動アクチュエータ92はY方向に動作可能に検査装置ベース93に設置されている。
また、カメラ90及びカメラ駆動アクチュエータ92は上位コントローラ40と接続されており、上位コントローラ40からの指令により動作する。
次に、搬送台車10、加工ツール駆動台車60、カメラ駆動アクチュエータ92の教示点について図9を用いて説明する。
まず、搬送台車10の教示点について説明する。教示点TP11は台車移載装置3上の教示点である。教示点TP12はワーク投入装置3にてワーク投入をおこなうための教示点である。教示点TP50はワーク排出装置6にてワーク排出を行うための教示点である。教示点51は台車移載装置4上の教示点である。TP52は搬送装置復路2上の台車移載装置4近傍の教示点である。
教示点TP20は加工前検査装置7におけるワーク上のアライメントマークAM1,AM3の検査を行うための教示位置であり、教示点TP21は加工前検査装置7におけるワーク上のアライメントマークAM2,AM4の検査を行うための教示位置である。
教示点TP30は加工装置9におけるワーク上のX座標位置が0の位置に配置される加工点Pに加工を行うための教示位置である。教示点TP31は加工装置9におけるワーク上のX座標位置が1の位置に配置される加工点Pに加工を行うための教示位置である。教示点TP3xmは加工装置9におけるワーク上のX座標位置がxmの位置に配置される加工点Pに加工を行うための教示位置である。
教示点TP40は加工後検査装置8におけるワーク上のX座標位置が0の位置に配置される加工点Pの検査を行うための教示位置である。教示点TP41は加工後検査装置8におけるワーク上のX座標位置が1の位置に配置される加工点Pの検査を行うための教示位置である。教示点TP3xmは加工後検査装置8におけるワーク上のX座標位置がxmの位置に配置される加工点Pの検査を行うための教示位置である。
上記の教示位置を順次移動することで搬送台車10は搬送システム内を循環動作する。なお、搬送台車10が複数の場合には、上記の教示点は複数の台車で共有され、それぞれの教示点を使用する搬送台車10が順次切り替わる。
次に加工前検査装置7のカメラ駆動アクチュエータ92の教示点について説明する。教示点TP70はワーク上のアライメントマークAM1,AM2の検査を行うための教示点であり、教示点TP71はワーク上のアライメントマークAM3,AM4の検査を行うための教示点である。
次に加工装置9の加工ツール駆動台車60の教示点について説明する。教示点TP80は加工装置9におけるワーク上のY座標位置が0の位置に配置される加工点Pの加工を行うための教示位置である。教示点TP81は加工装置9におけるワーク上のY座標位置が1の位置に配置される加工点Pの加工を行うための教示位置である。教示点TP8ynは加工装置9におけるワーク上のY標位置がYnの位置に配置される加工点Pの加工を行うための教示点である。
次に加工後検査装置8のカメラ駆動アクチュエータ92の教示点について説明する。教示点TP90は加工後検査装置8におけるワーク上のY座標位置が0の位置に配置される加工点Pの検査を行うための教示位置である。教示点TP91は加工後検査装置8におけるワーク上のY座標位置が1の位置に配置される加工点Pの検査を行うための教示位置である。教示点TP9ynは加工後検査装置8におけるワーク上のY標位置がYnの位置に配置される加工点Pの検査を行うための教示点である。
上記の搬送台車10の教示点とカメラ駆動アクチュエータ92及び加工ツール駆動台車60の教示点の組合せによりワーク上の各加工点P及びアライメントマークAMの加工や検査が行われる。
なお、上記までに記載したそれぞれの教示点が搬送モジュール11の境界に配置されることがないように、ワーク投入装置5、ワーク排出装置6、加工前検査装置7、加工後検査装置8、加工装置9をそれぞれ配置するのが望ましい。そのようにすることで、それぞれの装置における加工等のための搬送台車10の動作による振動等の影響が他の搬送モジュールに伝搬することが防止できる。さらに搬送モジュール11が搭載される架台02を搬送モジュール11毎に分割することでその効果はさらに期待できる。
次に搬送台車10が搬送システム01の循環経路上を1周する際の動作について図10を用いて説明する。
図10は各時刻における搬送台車10、台車移載装置3、台車移載装置4の位置と、ワーク投入装置5、ワーク排出装置6の稼働状態を表しており、101は台車10の位置であり、102は台車移載装置3の位置であり、103は台車移載装置4の位置である。また、104はワーク投入装置5の稼働状態を表し、105はワーク排出装置6の稼働状態を表す。
縦軸は台車10、台車移載装置3、台車移載装置4については各教示点を表し、ワーク投入装置5、ワーク排出装置6については装置状態がワークの投入中及び排出中か待機中かを表している。
横軸は時間を表しており、t0は初期時刻、t1は1サイクル目開始時刻、t2〜t8はそれぞれ2サイクル目開始時刻〜8サイクル目開始時刻である。8サイクル目開始時刻t8の時刻で、搬送台車10は搬送システム01上の循環搬送経路を1周し、1サイクル目開始時刻t1と同様の位置に戻る。CTはサイクルタイムである。
1サイクル目開始時刻t1の時刻で台車移載装置3上の教示点TP11に停止している搬送台車10は移動を開始し、時刻t11には教示点TP12に到着する。搬送台車10が教示点TP12に到着すると、ワーク投入装置5が投入中状態に移行し、搬送台車10上にワークを投入する。ワーク投入装置5がワーク投入動作を完了し、待機状態に戻ることで1サイクル目の作業を完了し、2サイクル目が開始するのが2サイクル目開始時刻t2である。
2サイクル目開始時刻t2に教示点TP12に停止している搬送台車10が移動を開始し、時刻t21には教示点TP20に到着する。教示点TP20に到着すると、加工前検査装置7が検査を開始する。なお、加工前検査装置7での動作は後述する。加工前検査装置7が検査を完了することで2サイクル目の作業を完了し、3サイクル目が開始するのが3サイクル目開始時刻t3である。
3サイクル目開始時刻t3に教示点TP22に停止している搬送台車10が移動を開始し、時刻t31には教示点TP30に到着する。教示点TP30に到着すると、加工装置9が加工動作を開始する。なお、加工装置9での動作は後述する。加工装置9が加工動作を完了することで3サイクル目の作業を完了し、4サイクル目が開始するのが4サイクル目開始時刻t4である。
4サイクル目開始時刻t4に教示点TP30に停止している搬送台車10が移動を開始し、時刻t41には教示点TP40に到着する。教示点TP40に到着すると、加工後検査装置8が検査を開始する。なお、加工後検査装置8での動作は後述する。加工後検査装置8が検査を完了することで4サイクル目の作業を完了し、5サイクル目が開始するのが5サイクル目開始時刻t5である。
5サイクル目開始時刻t5に教示点TP4xmに停止している搬送台車10が移動を開始し、時刻t51には教示点TP50に到着する。搬送台車10が教示点TP50に到着すると、ワーク排出装置6が排出中状態に移行し、搬送台車10上のワークを排出する。ワーク排出装置6がワーク排出動作を完了し、待機状態に戻ることで5サイクル目の作業を完了し、6サイクル目が開始するのが6サイクル目開始時刻t6である。
6サイクル目開始時刻t6に教示点TP50に停止している搬送台車10が移動を開始し、時刻t61に台車移載装置4上の教示点51に到着する。搬送台車10が教示点51に到着すると、台車移載装置4が教示点TP63から教示点TP64への移動を開始する。時刻t62に台車移載装置4が教示点TP64に到着すると、搬送台車10は教示点TP51から教示点TP52への移動を開始する。時刻t63に搬送台車10が教示点TP52に到着すると、台車移載装置4は教示点TP64から教示点TP63への移動を開始する。台車移載装置4の移動が完了することで6サイクル目の作業を完了し、7サイクル目が開始するのが7サイクル目開始時刻t7である。
7サイクル目開始時刻t7に台車移載装置3上の教示点TP11に停止している上記にて動作を説明している搬送台車10とは別の搬送台車10が移動を開始し、時刻t71に教示点12に到着する。なお、この動作は1サイクル目の動作として1サイクル目開始時刻t1から2サイクル目動作開始時刻t2にて説明した動作と同様の動作である。
搬送台車10が教示点12に到着すると、台車移載装置3が教示点TP61から教示点TP62への移動を開始する。台車移載装置3が教示点TP62に到着するのが時刻t72である。
一方、7サイクル目開始時刻t7に教示点52に停止していた搬送台車10は台車移載装置3上の教示点TP11への移動を開始する。搬送台車10が搬送装置復路2上を移動している間に、時刻t72となり、台車移載装置3が教示点62に到着する。その後、台車移載装置3が搬送装置復路2から台車移載装置3への乗継動作を行い、時刻t73に台車移載装置上の教示点11に到着する。なお、この乗継動作については、搬送台車10が教示点52から教示点11への移動の際に途中停止することなく行ってもよい。また、搬送装置復路2上の台車移載装置3近傍にて台車移載装置3が教示点TP62への移動を完了するのを待つ為に他の教示点を設けても構わない。また、上記の説明では搬送装置10が時刻t63から7サイクル目開始時刻t7までの間に教示点52にて停止しているが、停止することなく、教示点TP11への移動を行ってもよいし、搬送装置復路2上の任意の点に別の教示点を設けても構わない。
時刻t73に搬送台車10が教示点11への移動を完了すると、台車移載装置3が教示点TP62から教示点TP61への移動を開始する。台車移載装置3が教示点TP61に到着するのが8サイクル目開始時刻t8であり、搬送台車10が搬送システム01の循環経路上を1周し、初期時刻t0の位置に戻ってくる。
次に図10における2サイクル目動作開始時刻t2から3サイクル目動作開始時刻t3の時刻についての、搬送台車10及び加工前検査装置7の詳細動作を図11にて説明する。
図11は各時刻における搬送台車10、加工前検査装置7のカメラ駆動アクチュエータ92の位置と、カメラ90の稼働状態を表しており、111は搬送台車10の位置である。112はカメラ駆動アクチュータ902の位置であり、113はカメラ90の稼働状態を表す。
2サイクル目開始時刻t2に教示点TP12に停止している搬送台車10が教示点20への移動を開始する。搬送台車10が教示点TP20に到着するのが、時刻t21である。搬送台車10が教示点20に到着すると、カメラ90と搬送台車10上のワークのアライメントマークAM1の位置合わせが完了し、カメラ90が検査を開始する。
検査の方法は、特に限定されないが、例えば、カメラが撮影した画像を画像処理することによって、基準値からのずれ量を検出する方法を用いることができる。
時刻t22にカメラ90の検査が完了すると、搬送台車10が教示点TP21への移動を開始する。搬送台車10が教示点TP21に到着するのが時刻t23である。搬送台車10が教示点TP21に到着すると、カメラ90と搬送台車10上のワークのアライメントマークAM2の位置合わせが完了し、カメラ90が検査を開始する。
検査の方法は、特に限定されないが、例えば、カメラが撮影した画像を画像処理することによって、基準値からのずれ量を検出する方法を用いることができる。
時刻t24にカメラ90の検査が完了すると、搬送台車10が教示点TP20への移動を開始する。搬送台車10の移動と共にカメラ駆動アクチュエータ92が教示点TP70から教示点TP71への移動を開始する。搬送台車10が教示点TP20に到着し、且つカメラ駆動アクチュエータ92がTP71に到着するのが時刻t25である。搬送台車10が教示点TP21に到着し、カメラ駆動アクチュエータ92が教示点TP71に到着すると、カメラ90と搬送台車10上のワークのアライメントマークAM3の位置合わせが完了し、カメラ90が検査を開始する。
検査の方法は、特に限定されないが、例えば、カメラが撮影した画像を画像処理することによって、基準値からのずれ量を検出する方法を用いることができる。
時刻t26にカメラ90の検査が完了すると、搬送台車10が教示点TP21への移動を開始する。搬送台車10が教示点TP21に到着するのが時刻t27である。搬送台車10が教示点TP21に到着すると、カメラ90と搬送台車10上のワークのアライメントマークAM4の位置合わせが完了し、カメラ90が検査を開始する。
検査の方法は、特に限定されないが、例えば、カメラが撮影した画像を画像処理することによって、基準値からのずれ量を検出する方法を用いることができる。
時刻t28にカメラ90の検査が完了すると、カメラ駆動アクチュエータ92が教示点TP70への移動を開始する。カメラ駆動アクチュエータ92が教示点TP70に到着し、2サイクル目の作業を完了し、3サイクル目が開始するのが3サイクル目開始時刻t3である。
上記により、アライメントマークAM1、AM2、AM3、AM4の検査が完了し、検査結果から搬送台車10上に保持されているワークの位置を算出する。
そして、算出されたワークの位置から、各教示点の補正量を求める。例えば図28に示すように、ワークが傾いている場合の補正量の求め方の一例を説明する。例えば、図28のアライメントマークの位置が、それぞれ基準値より±1ずれているとする。その時の各教示点の位置における基準値からずれている値をそれぞれ算出し、算出した値を基準値に加えて、各教示点の位置を補正する。具体的には、アライメントマークAM1の基準の位置は、(0,0)であるべきところ、(−1,+1)と検出され、アライメントマークAM2は、(xm,0)であるべきところ、(xm−1,0−1)と検出されたとする。また、アライメントマークAM3は、(0,yn)であるべきところ、(1,yn+1)と検出され、アライメントマークAM4は、(xm,yn)であるべきところ、(xm+1,yn−1)と検出されたとする。その場合の、教示点の補正された位置は、例えば、P(1,0)(P(x1,0))は、P(x1−1,+1−((1−(−1)/n)×1))となり、P(xm−1,0)は、P(xm−1−1,+1−((1−(−1)/n)×(n−1)))となる。
次に図10における3サイクル目動作開始時刻t3から4サイクル目動作開始時刻t4の時刻についての、搬送台車10及び加工装置9の詳細動作を図1、図7を参照しながら、図12にて説明する。
図12は各時刻における搬送台車10、加工装置9のボンディングヘッド駆動台車60の位置と、ボンディングヘッド70の稼働状態を表している。121は搬送台車10の位置であり、122はボンディングヘッド駆動台車60の位置であり、123はボンディングヘッド70の稼働状態を表す。なお、ここでの説明においては、ボンディングヘッド70の稼働状態は、ボンディングヘッド70とボンディングヘッドアクチュエータ72の動作のことを表している。ボンディングヘッド70の稼働状態123のボンディング中の状態については、ボンディングヘッドアクチュエータ72が下降してワークに接触し、ボンディングヘッド70がボンディングを行う。ボンディングが完了すると、ボンディングヘッドアクチュエータ72が上昇して、元の位置に戻るまでの一連の動作について表している。以下、説明を簡単にするために、アライメントマークが基準位置からずれていなかった場合の動作について説明する。つまり、ワークの位置が基準通りの位置に台車に保持されている場合の動作について説明する。ワークの位置がずれてしまっている場合は、上述した教示点の補正位置に搬送台車を移動させて加工を行なうものとする。
3サイクル目開始時刻t3に教示点TP21に停止している搬送台車10が教示点31への移動を開始する。搬送台車10が教示点TP31に到着するのが、時刻t31である。搬送台車10が教示点TP31に到着すると、ボンディングヘッド70と搬送台車10上のワークの加工点P(1,0)の位置合わせが完了し、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。
時刻t32に加工点P(1,0)のボンディングが完了すると、搬送台車10が次の教示点への移動を開始し、次の教示点に到着すると、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。これらの動作を加工点P(1,0)から加工点P(xm−1,0)まで繰返し行う。加工点P(xm−1,0)のボンディングが完了するのが、時刻t34である。
時刻t34に加工点P(xm−1,0)のボンディングが完了すると、搬送台車10が教示点TP3xmへの移動を開始し、ボンディングヘッド駆動台車60が教示点TP80から教示点TP81への移動を開始する。時刻t35に搬送台車10が教示点TP3xmに到着し、ボンディングヘッド駆動台車60が教示点TP81に到着すると、ボンディングヘッド70と搬送台車10上のワークの加工点P(xm,1)の位置合わせが完了する。ここで、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。
時刻t36に加工点P(xm,1)のボンディングが完了すると、ボンディングヘッド駆動台車60が次の教示点への移動を開始し、次の教示点に到着すると、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。これらの動作を加工点P(xm,1)から加工点P(xm,yn−1)まで繰返し行う。加工点P(xm,yn−1)のボンディングが完了するのが、時刻t38である。
時刻t38に加工点P(xm,yn−1)のボンディングが完了すると、搬送台車10が教示点TP3xm−1への移動を開始し、ボンディングヘッド駆動台車60が教示点TP8yn−1から教示点TP8ynへの移動を開始する。時刻t39に搬送台車10が教示点TP3xm−1に到着し、ボンディングヘッド駆動台車60が教示点TP8ynに到着すると、ボンディングヘッド70と搬送台車10上のワークの加工点P(xm−1,yn)の位置合わせが完了する。そして、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。
時刻t3aに加工点P(xm−1,yn)のボンディングが完了すると、搬送台車10が次の教示点への移動を開始し、次の教示点に到着すると、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。これらの動作を加工点P(xm−1,yn)から加工点P(1,yn)まで繰返し行う。加工点P(1,yn)のボンディングが完了するのが、時刻t3cである。
時刻t3cに加工点P(1,yn)のボンディングが完了すると、搬送台車10が教示点TP30への移動を開始し、ボンディングヘッド駆動台車60が教示点TP8ynから教示点TP8yn−1への移動を開始する。時刻t3dに搬送台車10が教示点TP30に到着し、ボンディングヘッド駆動台車60が教示点TP8yn−1に到着すると、ボンディングヘッド70と搬送台車10上のワークの加工点P(0,yn−1)の位置合わせが完了する。そして、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。
時刻t3eに加工点P(0,yn−1)のボンディングが完了すると、ボンディングヘッド駆動台車60が次の教示点への移動を開始し、次の教示点に到着すると、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。これらの動作を加工点P(0,yn−1)から加工点P(0,1)まで繰返し行う。加工点P(0,1)のボンディングが完了するのが、時刻t3gである。
加工点P(0,1)のボンディングが完了すると、ボンディングヘッド駆動台車60が教示点TP80への移動を開始する。ボンディングヘッド駆動台車60が教示点TP80に到着し、3サイクル目の作業を完了し、4サイクル目が開始するのが4サイクル目開始時刻t4である。
上記で説明したように、搬送台車10とボンディングヘッド駆動台車60の動作の組合せによって、ワーク上の加工点Pとボンディングヘッド70の位置合わせを行い、加工を行うことができる。
次に図10における4サイクル目動作開始時刻t4から5サイクル目動作開始時刻t5の時刻についての、搬送台車10及び加工後検査装置8の詳細動作を図13にて説明する。
図13は各時刻における搬送台車10、加工後検査装置8のカメラ駆動アクチュエータ92の位置と、カメラ90の稼働状態を表している。131は搬送台車10の位置であり、132はカメラ駆動アクチュータ902の位置であり、133はカメラ90の稼働状態を表す。
4サイクル目開始時刻t4に教示点TP30に停止している搬送台車10が教示点40への移動を開始する。搬送台車10が教示点TP40に到着するのが、時刻t41である。搬送台車10が教示点TP40に到着すると、搬送台車10は教示点TP4xmへの移動を開始し、あらかじめ設定した所定の加速時間にて加速した後に、一定速にて移動を行う。
搬送台車10が教示点TP41を通過するのが、時刻t42であり、カメラ90がワーク上の加工点P(1,0)の検査が可能な位置を通過する。教示点TP41を通過すると共に、カメラ90に検査開始指令し、カメラ90が検査を行う。同様に次の教示点を通過する際にも検査を行い、これらの検査を加工点P(1,0)から加工点P(xm−1,0)まで繰返し行う。加工点P(xm−1,0)の検査が完了した後、搬送台車が教示点TP4xmに到着するのが、時刻t44である。
時刻t44に搬送台車10が教示点TP4xmに到着すると同時にカメラ駆動アクチュエータ92が教示点TP90から教示点TP9ynへの移動を開始する。カメラ駆動アクチュエータ92はあらかじめ設定した所定の加速時間にて加速した後に、一定速にて移動を行う。
カメラ駆動アクチュエータ92が教示点TP91を通過するのが、時刻t45であり、カメラ90がワーク上の加工点P(xm,1)の検査が可能な位置を通過する。教示点TP91を通過すると共に、カメラ90に検査開始指令し、カメラ90が検査を行う。同様に次の教示点を通過する際にも検査を行い、これらの検査を加工点P(xm,1)から加工点P(xm,yn−1)まで繰返し行う。加工点P(xm,yn−1)の検査が完了した後、搬送台車が教示点TP4ynに到着するのが、時刻t47である。
時刻t47にカメラ駆動アクチュエータ92が教示点TP4ynに到着すると同時に搬送台車10が教示点TP4xmから教示点TP40への移動を開始する。搬送台車10はあらかじめ設定した所定の加速時間にて加速した後に、一定速にて移動を行う。
搬送台車10が教示点TP4xm−1を通過するのが、時刻t48であり、カメラ90がワーク上の加工点P(xm−1,yn)の検査が可能な位置を通過する。教示点TP4xm−1を通過すると共に、カメラ90に検査開始指令し、カメラ90が検査を行う。同様に次の教示点を通過する際にも検査を行い、これらの検査を加工点P(xm−1,yn)から加工点P(1,yn)まで繰返し行う。加工点P(1,yn)の検査が完了した後、搬送台車10が教示点TP40に到着するのが、時刻t4aである。
時刻t4aに搬送台車10が教示点TP40に到着すると同時にカメラ駆動アクチュエータ92が教示点TP9ynから教示点TP90への移動を開始する。カメラ駆動アクチュエータ92はあらかじめ設定した所定の加速時間にて加速した後に、一定速にて移動を行う。
カメラ駆動アクチュエータ92が教示点TP4yn−1を通過するのが、時刻t4bであり、カメラ90がワーク上の加工点P(0,yn−1)の検査が可能な位置を通過する。教示点TPTP4yn−1を通過すると共に、カメラ90に検査開始指令し、カメラ90が検査を行う。同様に次の教示点を通過する際にも検査を行い、これらの検査を加工点P(0,yn−1)から加工点P(0,1)まで繰返し行う。加工点P(0,1)の検査が完了した後、搬送台車10が教示点TP90に到着して、4サイクル目の作業を完了し、5サイクル目が開始するのが5サイクル目開始時刻t5である。
上記で説明したとおり、搬送台車10とカメラ駆動アクチュエータ92の動作の組合せによって、ワーク上の加工点Pとボンディングヘッド70の位置合わせを行い、検査を行うことができる。
また、その他の効果として、搬送台車または加工ツール駆動台車上に搭載されている移動体が軽量化される。よって、加速、減速、停止時に装置に与える振動の発生を抑えることができ、加工精度の向上や低剛性の装置架台上に設置することも可能となる。
また、搬送台車及び加工ツール駆動台車をコイル群から電磁力を受ける永久磁石または強磁性体によって動作するリニアアクチュエータとする。これにより、より高精度な動作や停止が可能となり、搬送台車上に永久磁石又は強磁性体を搭載することで、駆動部に電力等の供給が不要となり、配線レスな搬送装置とすることができる。配線レスな搬送装置とすることで、搬送台車の動作域が制限されることがなくなり循環動作等も可能となる。
これらの総合的な効果によって、装置全体が小型化されると共に、装置コストを抑えることができる。
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、加工前検査装置(第一の検査装置)7、加工後検査装置(第二の検査装置)8、または加工装置9にY方向駆動アクチュエータを備える例を記載したが、搬送モジュールにY方向駆動アクチュエータを備えていてもよい。本実施形態では、搬送モジュールにY方向駆動アクチュエータを備える例を示す。本実施形態では、第一の実施形態と同じ作用を有する構成には同じ符号を付し、第一の実施形態と異なる部分について主に説明し、第一の実施形態と同じ作用を有する部分については説明を省略する場合がある。
本明細書においては、Y方向駆動アクチュエータを備えた搬送モジュールを連動搬送モジュールと称する。この連動搬送モジュールの構成について図14を用いて説明する。連動搬送モジュール21は、搬送モジュール11をY方向に動作可能なY方向駆動アクチュエータ26を含む。
本実施形態ではY方向駆動アクチュエータ26の構成として、搬送モジュール11と同様のムービングマグネット型リニアモータを用いて説明するが、他の構成で駆動することも可能であり、これに限定されるものではない。
連動搬送モジュール21は、連動搬送モジュールベース25上面にY方向に沿って搬送モジュール駆動コイル23が設置されている。搬送モジュール駆動コイル23に対向するように永久磁石27および永久磁石ブラケット28が搬送モジュール11の底面に設置されている。ガイドレール24は連動搬送モジュールベース25の上面に並列に2本設置されている。
永久磁石ブラケット28は、搬送モジュール11の底面の貫通穴を通じて、搬送モジュールに固定されている。永久磁石27は永久磁石ブラケット28に接着されている。
搬送モジュール駆動コイル23には、下位コントローラ43から電流が印加される。電流印可によって、複数の永久磁石27と、搬送モジュール駆動コイル23との間に、搬送モジュール11をY方向に駆動する電磁力が発生する。電磁力により、連動搬送モジュール21上の搬送モジュール11は、搬送装置往路1または搬送装置復路2上をY方向ガイドレール24に沿って駆動される。
エンコーダ22はエンコーダブラケット2cを介して、連動搬送モジュールベース25の上面に設置されている。スケール29はスケールブラケット2cを介して、エンコーダ22に対向するように搬送モジュール11の底面に取り付けられている。連動搬送モジュール21のエンコーダ22は、スケール29のパターンを読み取ることにより、連動搬送モジュール11のY方向における位置を、エンコーダ22からの相対位置として検出することができる。
下位コントローラ43は、接続されたエンコーダ22の出力及びそのエンコーダ22が設置された位置に基づき、連動搬送モジュールベース25上における搬送モジュール11の位置を算出することができる。
さらに、エンコーダ22が設置された位置と搬送台車10の位置関係を用いて、連動搬送モジュールベース25上における搬送台車10のY方向位置を算出することができる。
下位コントローラ43は、算出した搬送台車10の位置等に応じて、台車駆動コイル13および台車駆動コイル23に印加される電流量を制御することができる。これにより、下位コントローラ43は、連動搬送モジュール21上の搬送台車10のXY方向の位置を、所定の位置まで所定の速度で搬送して停止させることができる。
第一の実施形態で説明した加工前検査装置7、加工後検査装置8、および加工装置9の少なくともいずれかの処理が可能な位置に位置している搬送モジュールにかえて、この連動搬送モジュールを配置することができる。
図19では、加工前検査装置7および加工後検査装置8の処理が可能な位置に位置している搬送モジュールに、連動搬送モジュール配置した例を示す。
次に、図19を用いて、搬送台車10、ボンディングヘッド駆動台車60、連動搬送モジュール21の教示点について説明する。
まず、搬送台車10の教示点について説明する。教示点TP11は台車移載装置3上の教示点である。教示点TP12はワーク投入装置3にてワーク投入をおこなうための教示点である。教示点TP50はワーク排出装置6にてワーク排出を行うための教示点である。教示点51は台車移載装置4上の教示点である。TP52は搬送装置復路2上の台車移載装置4近傍の教示点である。
教示点TP20は加工前検査装置7におけるワーク上のアライメントマークAM1,AM3の検査を行うための教示位置であり、教示点TP21は加工前検査装置7におけるワーク上のアライメントマークAM2,AM4の検査を行うための教示位置である。
教示点TP30は加工装置9におけるワーク上のX座標位置が0の位置に配置される加工点Pに加工を行うための教示位置である。教示点TP31は加工装置9におけるワーク上のX座標位置が1の位置に配置される加工点Pに加工を行うための教示位置である。教示点TP3xmは加工装置9におけるワーク上のX座標位置がxmの位置に配置される加工点Pに加工を行うための教示位置である。
教示点TP40は加工後検査装置8におけるワーク上のX座標位置が0の位置に配置される加工点Pの検査を行うための教示位置である。教示点TP41は加工後検査装置8におけるワーク上のX座標位置が1の位置に配置される加工点Pの検査を行うための教示位置である。教示点TP3xmは加工後検査装置8におけるワーク上のX座標位置がxmの位置に配置される加工点Pの検査を行うための教示位置である。
上記の教示位置を順次移動することで搬送台車10は搬送システム内を循環動作する。なお、搬送台車10が複数の場合には、上記の教示点は複数の台車で共有され、それぞれの教示点を使用する搬送台車10が順次切り替わる。
次に加工前検査装置7の連動搬送モジュール21の教示点について説明する。教示点TP70はワーク上のアライメントマークAM1,AM2の検査を行うための教示点であり、教示点TP71はワーク上のアライメントマークAM3,AM4の検査を行うための教示点である。
次に加工装置9のボンディングヘッド駆動台車60の教示点について説明する。本実施形態においては、説明を簡単にするために、アライメントマークが基準位置からずれていなかった場合の動作について説明する。つまり、ワークの位置が基準通りの位置に台車に保持されている場合の動作について説明する。ワークの位置がずれてしまっている場合は、第一の実施形態で説明したように、教示点の補正位置に搬送台車を移動させて加工を行なうものとする。
教示点TP80は加工装置9におけるワーク上のY座標位置が0の位置に配置される加工点Pの加工を行うための教示位置である。教示点TP81は加工装置9におけるワーク上のY座標位置が1の位置に配置される加工点Pの加工を行うための教示位置である。教示点TP8ynは加工装置9におけるワーク上のY標位置がYnの位置に配置される加工点Pの加工を行うための教示点である。
次に加工後検査装置8の連動搬送モジュール21の教示点について説明する。教示点TP90は加工後検査装置8におけるワーク上のY座標位置が0の位置に配置される加工点Pの検査を行うための教示位置である。教示点TP91は加工後検査装置8におけるワーク上のY座標位置が1の位置に配置される加工点Pの検査を行うための教示位置である。教示点TP9ynは加工後検査装置8におけるワーク上のY標位置がYnの位置に配置される加工点Pの検査を行うための教示点である。
上記の搬送台車10の教示点と連動搬送モジュール21及びボンディングヘッド駆動台車60の教示点の組合せによりワーク上の各加工点P及びアライメントマークAMの加工や検査が行われる。
なお、上記までに記載したそれぞれの教示点が搬送モジュール11の境界に配置されることがないように、ワーク投入装置5、ワーク排出装置6、加工前検査装置7、加工後検査装置8、加工装置9をそれぞれ配置するのが望ましい。そのようにすることで、それぞれの装置における加工等のための搬送台車10の動作による振動等の影響が他の搬送モジュールに伝搬することが防止できる。さらに搬送モジュール11が搭載される架台02を搬送モジュール11毎に分割することでその効果はさらに期待できる。
次に搬送台車10が搬送システム01の循環経路上を1周する際の動作について図20を用いて説明する。
図20は各時刻における搬送台車10、台車移載装置3、台車移載装置4の位置と、ワーク投入装置5、ワーク排出装置6の稼働状態を表しており、101は台車10の位置であり、102は台車移載装置3の位置であり、103は台車移載装置4の位置である。また、104はワーク投入装置5の稼働状態を表し、105はワーク排出装置6の稼働状態を表す。
縦軸は台車10、台車移載装置3、台車移載装置4については各教示点を表し、ワーク投入装置5、ワーク排出装置6については装置状態がワークの投入中及び排出中か待機中かを表している。
横軸は時間を表しており、t0は初期時刻、t1は1サイクル目開始時刻、t2〜t8はそれぞれ2サイクル目開始時刻〜8サイクル目開始時刻である。8サイクル目開始時刻t8の時刻で、搬送台車10は搬送システム01上の循環搬送経路を1周し、1サイクル目開始時刻t1と同様の位置に戻る。CTはサイクルタイムである。
1サイクル目開始時刻t1の時刻で台車移載装置3上の教示点TP11に停止している搬送台車10は移動を開始し、時刻t11には教示点TP12に到着する。搬送台車10が教示点TP12に到着すると、ワーク投入装置5が投入中状態に移行し、搬送台車10上にワークを投入する。ワーク投入装置5がワーク投入動作を完了し、待機状態に戻ることで1サイクル目の作業を完了し、2サイクル目が開始するのが2サイクル目開始時刻t2である。
2サイクル目開始時刻t2に教示点TP12に停止している搬送台車10が移動を開始し、時刻t21には教示点TP20に到着する。教示点TP20に到着すると、加工前検査装置7が検査を開始する。なお、加工前検査装置7での動作は後述する。加工前検査装置7が検査を完了することで2サイクル目の作業を完了し、3サイクル目が開始するのが3サイクル目開始時刻t3である。
3サイクル目開始時刻t3に教示点TP21に停止している搬送台車10が移動を開始し、時刻t31には教示点TP30に到着する。教示点TP30に到着すると、加工装置9が加工動作を開始する。なお、加工装置9での動作は後述する。加工装置9が加工動作を完了することで3サイクル目の作業を完了し、4サイクル目が開始するのが4サイクル目開始時刻t4である。
4サイクル目開始時刻t4に教示点TP30に停止している搬送台車10が移動を開始し、時刻t41には教示点TP40に到着する。教示点TP40に到着すると、加工後検査装置8が検査を開始する。なお、加工後検査装置8での動作は後述する。加工後検査装置8が検査を完了することで4サイクル目の作業を完了し、5サイクル目が開始するのが5サイクル目開始時刻t5である。
5サイクル目開始時刻t5に教示点TP4xmに停止している搬送台車10が移動を開始し、時刻t51には教示点TP50に到着する。搬送台車10が教示点TP50に到着すると、ワーク排出装置6が排出中状態に移行し、搬送台車10上のワークを排出する。ワーク排出装置6がワーク排出動作を完了し、待機状態に戻ることで5サイクル目の作業を完了し、6サイクル目が開始するのが6サイクル目開始時刻t6である。
6サイクル目開始時刻t6に教示点TP50に停止している搬送台車10が移動を開始し、時刻t61に台車移載装置4上の教示点51に到着する。搬送台車10が教示点51に到着すると、台車移載装置4が教示点TP63から教示点TP64への移動を開始する。時刻t62に台車移載装置4が教示点TP64に到着すると、搬送台車10は教示点TP51から教示点TP52への移動を開始する。時刻t63に搬送台車10が教示点TP52に到着すると、台車移載装置4は教示点TP64から教示点TP63への移動を開始する。台車移載装置4の移動が完了することで6サイクル目の作業を完了し、7サイクル目が開始するのが7サイクル目開始時刻t7である。
7サイクル目開始時刻t7に台車移載装置3上の教示点TP11に停止している上記にて動作を説明している搬送台車10とは別の搬送台車10が移動を開始し、時刻t71に教示点12に到着する。なお、この動作は1サイクル目の動作として1サイクル目開始時刻t1から2サイクル目動作開始時刻t2にて説明した動作と同様の動作である。
搬送台車10が教示点12に到着すると、台車移載装置3が教示点TP61から教示点TP62への移動を開始する。台車移載装置3が教示点TP62に到着するのが時刻t72である。
一方、7サイクル目開始時刻t7に教示点52に停止していた搬送台車10は台車移載装置3上の教示点TP11への移動を開始する。搬送台車10が搬送装置復路2上を移動している間に、時刻t72となり、台車移載装置3が教示点62に到着する。その後、台車移載装置3が搬送装置復路2から台車移載装置3への乗継動作を行い、時刻t73に台車移載装置上の教示点11に到着する。なお、この乗継動作については、搬送台車10が教示点52から教示点11への移動の際に途中停止することなく行ってもよい。また、搬送装置復路2上の台車移載装置3近傍にて台車移載装置3が教示点TP62への移動を完了するのを待つ為に他の教示点を設けても構わない。また、上記の説明では搬送装置10が時刻t63から7サイクル目開始時刻t7までの間に教示点52にて停止しているが、停止することなく、教示点TP11への移動を行ってもよいし、搬送装置復路2上の任意の点に別の教示点を設けても構わない。
時刻t73に搬送台車10が教示点11への移動を完了すると、台車移載装置3が教示点TP62から教示点TP61への移動を開始する。台車移載装置3が教示点TP61に到着するのが8サイクル目開始時刻t8であり、搬送台車10が搬送システム01の循環経路上を1周し、初期時刻t0の位置に戻ってくる。
次に図20における2サイクル目動作開始時刻t2から3サイクル目動作開始時刻t3の時刻についての、搬送台車10及び加工前検査装置7、連動搬送モジュール21の詳細動作を図21にて説明する。
図21は各時刻における搬送台車10、加工前検査装置7の連動搬送モジュール21の位置と、カメラ90の稼働状態を表しており、111は搬送台車10の位置であり、112は連動搬送モジュール21の位置であり、113はカメラ90の稼働状態を表す。
2サイクル目開始時刻t2に教示点TP12に停止している搬送台車10が教示点20への移動を開始する。搬送台車10が教示点TP20に到着するのが、時刻t21である。搬送台車10が教示点20に到着すると、カメラ90と搬送台車10上のワークのアライメントマークAM1の位置合わせが完了し、カメラ90が検査を開始する。
時刻t22にカメラ90の検査が完了すると、搬送台車10が教示点TP21への移動を開始する。搬送台車10が教示点TP21に到着するのが時刻t23である。搬送台車10が教示点TP21に到着すると、カメラ90と搬送台車10上のワークのアライメントマークAM2の位置合わせが完了し、カメラ90が検査を開始する。
時刻t24にカメラ90の検査が完了すると、搬送台車10が教示点TP20への移動を開始する。搬送台車10の移動と共に連動搬送モジュール21が教示点TP70から教示点TP71への移動を開始する。搬送台車10が教示点TP20に到着し、且つ連動搬送モジュール21がTP71に到着するのが時刻t25である。搬送台車10が教示点TP21に到着し、連動搬送モジュール21が教示点TP71に到着すると、カメラ90と搬送台車10上のワークのアライメントマークAM3の位置合わせが完了し、カメラ90が検査を開始する。
時刻t26にカメラ90の検査が完了すると、搬送台車10が教示点TP21への移動を開始する。搬送台車10が教示点TP21に到着するのが時刻t27である。搬送台車10が教示点TP21に到着すると、カメラ90と搬送台車10上のワークのアライメントマークAM4の位置合わせが完了し、カメラ90が検査を開始する。
時刻t28にカメラ90の検査が完了すると、カ連動搬送モジュール21が教示点TP70への移動を開始する。連動搬送モジュール21が教示点TP70に到着し、2サイクル目の作業を完了し、3サイクル目が開始するのが3サイクル目開始時刻t3である。
上記により、アライメントマークAM1、AM2、AM3、AM4の検査が完了し、検査結果から搬送台車10上に保持されているワークの位置を算出する
次に図20における3サイクル目動作開始時刻t3から4サイクル目動作開始時刻t4の時刻についての、搬送台車10及び加工装置9の詳細動作を図22にて説明する。
図22は各時刻における搬送台車10、加工装置9のボンディングヘッド駆動台車60の位置と、ボンディングヘッド70の稼働状態を表している。121は搬送台車10の位置であり、122はボンディングヘッド駆動台車60の位置であり、123はボンディングヘッド70の稼働状態を表す。なお、ここでの説明においては、ボンディングヘッド70の稼働状態は、ボンディングヘッド70とボンディングヘッドアクチュエータ72の動作のことを表している。ボンディングヘッド70の稼働状態123のボンディング中の状態については、ボンディングヘッドアクチュエータ72が下降してワークに接触し、ボンディングヘッド70がボンディングを行う。ボンディングが完了すると、ボンディングヘッドアクチュエータ72が上昇して、元の位置に戻るまでの一連の動作について表している。
3サイクル目開始時刻t3に教示点TP21に停止している搬送台車10が教示点31への移動を開始する。搬送台車10が教示点TP31に到着するのが、時刻t31である。搬送台車10が教示点TP31に到着すると、ボンディングヘッド70と搬送台車10上のワークの加工点P(1、0)の位置合わせが完了し、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。
時刻t32に加工点P(1、0)のボンディングが完了すると、搬送台車10が次の教示点への移動を開始し、次の教示点に到着すると、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。これらの動作を加工点P(1、0)から加工点P(xm−1、0)まで繰返し行う。加工点P(xm−1、0)のボンディングが完了するのが、時刻t34である。
時刻t34に加工点P(xm−1、0)のボンディングが完了すると、搬送台車10が教示点TP3xmへの移動を開始し、ボンディングヘッド駆動台車60が教示点TP80から教示点TP81への移動を開始する。時刻t35に搬送台車10が教示点TP3xmに到着し、ボンディングヘッド駆動台車60が教示点TP81に到着すると、ボンディングヘッド70と搬送台車10上のワークの加工点P(xm、1)の位置合わせが完了する。ここで、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。
時刻t36に加工点P(xm、1)のボンディングが完了すると、ボンディングヘッド駆動台車60が次の教示点への移動を開始し、次の教示点に到着すると、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。これらの動作を加工点P(xm、1)から加工点P(xm、yn−1)まで繰返し行う。加工点P(xm、yn−1)のボンディングが完了するのが、時刻t38である。
時刻t38に加工点P(xm、yn−1)のボンディングが完了すると、搬送台車10が教示点TP3xm−1への移動を開始し、ボンディングヘッド駆動台車60が教示点TP8yn−1から教示点TP8ynへの移動を開始する。時刻t39に搬送台車10が教示点TP3xm−1に到着し、ボンディングヘッド駆動台車60が教示点TP8ynに到着すると、ボンディングヘッド70と搬送台車10上のワークの加工点P(xm−1、yn)の位置合わせが完了する。ここで、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。
時刻t3aに加工点P(xm−1、yn)のボンディングが完了すると、搬送台車10が次の教示点への移動を開始し、次の教示点に到着すると、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。これらの動作を加工点P(xm−1、yn)から加工点P(1、yn)まで繰返し行う。加工点P(1、yn)のボンディングが完了するのが、時刻t3cである。
時刻t3cに加工点P(1、yn)のボンディングが完了すると、搬送台車10が教示点TP30への移動を開始し、ボンディングヘッド駆動台車60が教示点TP8ynから教示点TP8yn−1への移動を開始する。時刻t3dに搬送台車10が教示点TP30に到着し、ボンディングヘッド駆動台車60が教示点TP8yn−1に到着すると、ボンディングヘッド70と搬送台車10上のワークの加工点P(0、yn−1)の位置合わせが完了する。ここで、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。
時刻t3eに加工点P(0、yn−1)のボンディングが完了すると、ボンディングヘッド駆動台車60が次の教示点への移動を開始し、次の教示点に到着すると、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。これらの動作を加工点P(0、yn−1)から加工点P(0、1)まで繰返し行う。加工点P(0、1)のボンディングが完了するのが、時刻t3gである。
加工点P(0、1)のボンディングが完了すると、ボンディングヘッド駆動台車60が教示点TP80への移動を開始する。ボンディングヘッド駆動台車60が教示点TP80に到着し、3サイクル目の作業を完了し、4サイクル目が開始するのが4サイクル目開始時刻t4である。
上記で説明したように、搬送台車10とボンディングヘッド駆動台車60の動作の組合せによって、ワーク上の加工点Pとボンディングヘッド70の位置合わせを行い、加工を行うことができる。
次に図20における4サイクル目動作開始時刻t4から5サイクル目動作開始時刻t5の時刻についての、搬送台車10及び加工後検査装置8の詳細動作を図23にて説明する。
図23は各時刻における搬送台車10、加工後検査装置8の連動搬送モジュール21の位置と、カメラ90の稼働状態を表している。131は搬送台車10の位置であり、132は連動搬送モジュール21の位置であり、133はカメラ90の稼働状態を表す。
4サイクル目開始時刻t4に教示点TP30に停止している搬送台車10が教示点40への移動を開始する。搬送台車10が教示点TP40に到着するのが、時刻t41である。搬送台車10が教示点TP40に到着すると、搬送台車10は教示点TP4xmへの移動を開始し、あらかじめ設定した所定の加速時間にて加速した後に、一定速にて移動を行う。
搬送台車10が教示点TP41を通過するのが、時刻t42であり、カメラ90がワーク上の加工点P(1,0)の検査が可能な位置を通過する。教示点TP41を通過すると共に、カメラ90に検査開始指令し、カメラ90が検査を行う。同様に次の教示点を通過する際にも検査を行い、これらの検査を加工点P(1,0)から加工点P(xm−1,0)まで繰返し行う。加工点P(xm−1,0)の検査が完了した後、搬送台車が教示点TP4xmに到着するのが、時刻t44である。
時刻t44に搬送台車10が教示点TP4xmに到着すると同時に連動搬送モジュール21が教示点TP90から教示点TP9ynへの移動を開始する。連動搬送モジュール21はあらかじめ設定した所定の加速時間にて加速した後に、一定速にて移動を行う。
連動搬送モジュール21が教示点TP91を通過するのが、時刻t45であり、カメラ90がワーク上の加工点P(xm,1)の検査が可能な位置を通過する。教示点TP91を通過すると共に、カメラ90に検査開始指令し、カメラ90が検査を行う。同様に次の教示点を通過する際にも検査を行い、これらの検査を加工点P(xm,1)から加工点P(xm,yn−1)まで繰返し行う。加工点P(xm,yn−1)の検査が完了した後、搬送台車が教示点TP4ynに到着するのが、時刻t47である。
時刻t47に連動搬送モジュール21が教示点TP4ynに到着すると同時に搬送台車10が教示点TP4xmから教示点TP40への移動を開始する。搬送台車10はあらかじめ設定した所定の加速時間にて加速した後に、一定速にて移動を行う。
搬送台車10が教示点TP4xm−1を通過するのが、時刻t48であり、カメラ90がワーク上の加工点P(xm−1,yn)の検査が可能な位置を通過する。教示点TP4xm−1を通過すると共に、カメラ90に検査開始指令し、カメラ90が検査を行う。同様に次の教示点を通過する際にも検査を行い、これらの検査を加工点P(xm−1,yn)から加工点P(1,yn)まで繰返し行う。加工点P(1,yn)の検査が完了した後、搬送台車10が教示点TP40に到着するのが、時刻t4aである。
時刻t4aに搬送台車10が教示点TP40に到着すると同時に連動搬送モジュール21が教示点TP9ynから教示点TP90への移動を開始する。連動搬送モジュール21はあらかじめ設定した所定の加速時間にて加速した後に、一定速にて移動を行う。
連動搬送モジュール21が教示点TP4yn−1を通過するのが、時刻t4bであり、カメラ90がワーク上の加工点P(0,yn−1)の検査が可能な位置を通過する。教示点TPTP4yn−1を通過すると共に、カメラ90に検査開始指令し、カメラ90が検査を行う。同様に次の教示点を通過する際にも検査を行い、これらの検査を加工点P(0,yn−1)から加工点P(0,1)まで繰返し行う。加工点P(0,1)の検査が完了した後、搬送台車10が教示点TP90に到着して、4サイクル目の作業を完了し、5サイクル目が開始するのが5サイクル目開始時刻t5である。
本実施形態によれば、搬送モジュール11と連動搬送モジュール21により搬送台車10をXYに移動させることができる。そのため、加工前検査装置7および加工後検査装置8をXY方向に駆動させることなく検査を行うことが可能となる。その結果、検査ツール側の支持部材を低剛性な構造にすることができ、装置サイズやコストを低減することができる。
(第三の実施形態)
次に、加工装置システム00における搬送装置往路1、搬送装置復路2、台車移載装置3、4、ワーク投入装置5、ワーク排出装置6、加工前検査装置7、加工装置9の構成の第三の実施形態の概略について、図24、図25を用いて説明する。第二の実施形態では、第一の実施形態における加工前検査装置7および加工後検査装置8の処理が可能な位置に位置している搬送モジュールに、連動搬送モジュールを配置する例を示した。本実施形態では、台車移載装置3および台車移載装置4を連動搬送モジュールとする例を示す。そして、Y方向駆動アクチュエータによって処理が可能な位置に加工前検査装置7を配置し、台車移載装置4のY方向駆動アクチュエータによって処理が可能な位置に加工後検査装置8を配置する例を示す。本実施形態では、第一の実施形態と同じ作用を有する構成には同じ符号を付し、第一の実施形態、第二の実施形態と異なる部分について主に説明し、第一の実施形態、第二の実施形態と同じ作用を有する部分については説明を省略する場合がある。
図24は、加工システム00の全体構成および教示点を示す概略図である。ワーク投入装置5およびワーク排出装置6は搬送装置復路2に沿って配置されている。加工装置9は搬送装置往路1に沿って配置されている。加工前検査装置7は、台車移載装置3の下流側に、搬送装置往路1に沿って配置されている。加工後検査装置8は、台車移載装置4の上流側に、搬送装置往路1に沿って配置されている。
図25は各時刻における搬送台車10、台車移載装置3、台車移載装置4の位置と、ワーク投入装置5、ワーク排出装置6の稼働状態を表しており、201は台車10の位置であり、202は台車移載装置3の位置であり、203は台車移載装置4の位置である。また、204はワーク投入装置5の稼働状態を表し、205はワーク排出装置6の稼働状態を表す。
縦軸は台車10、台車移載装置3、台車移載装置4については各教示点を表し、ワーク投入装置5、ワーク排出装置6については装置状態がワークの投入中及び排出中か待機中かを表している。
横軸は時間を表しており、t0は初期時刻、t1は1サイクル目開始時刻、t2〜t6はそれぞれ2サイクル目開始時刻〜6サイクル目開始時刻である。6サイクル目開始時刻t6の時刻で、搬送台車10は搬送システム01上の循環搬送経路を1周し、1サイクル目開始時刻t1と同様の位置に戻る。CTはサイクルタイムである。
1サイクル目開始時刻t1の時刻で搬送装置復路2上の教示点TP13に停止している搬送台車10は移動を開始し、時刻t11には教示点TP12に到着する。搬送台車10が教示点TP12に到着すると、ワーク投入装置5が投入中状態に移行し、搬送台車10上にワークを投入する。ワーク投入装置5がワーク投入動作を完了し、待機状態に戻ることで1サイクル目の作業を完了し、2サイクル目が開始するのが2サイクル目開始時刻t2である。
2サイクル目開始時刻t2に教示点TP12に停止している搬送台車10が移動を開始し、時刻t21に教示点TP11に到着する。次に、台車移載装置3が教示点TP62から移動を開始し、時刻t22に教示点TP61へ到着する。そして、搬送台車10が教示点TP11から移動を開始し、時刻t23に教示点TP20へ到着する。教示点TP20に到着すると、加工前検査装置7が検査を開始する。
加工前検査は、時刻t23に開始され、時刻t2cまでの間に完了する。本実施形態における時刻t23〜t2cまでの動作は、第二の実施形態における図21に記載の時刻t21〜t3までの動作と同様である。
時刻t2cに加工前検査を完了すると、搬送台車は移動を開始し、時刻t2dに教示点TP22へ到着する。次に台車移載装置3は時刻t2dに教示点TP62へ移動を開始する。台車移載装置が教示点TP62への移動が完了することで、2サイクル目の作業を完了し、3サイクル目が開始するのが3サイクル目開始時刻t3である。
3サイクル目開始時刻t3に教示点TP22に停止している搬送台車10が移動を開始し、時刻t31には教示点TP30に到着する。教示点TP30に到着すると、加工装置9が加工動作を開始する。なお、本実施形態における加工装置9での動作は、第二の実施形態における図22に記載の動作と同様である。加工装置9が加工動作を完了することで3サイクル目の作業を完了し、4サイクル目が開始するのが4サイクル目開始時刻t4である。
4サイクル目開始時刻t4に教示点TP30に停止している搬送台車10が移動を開始し、時刻t41には教示点TP40に到着する。教示点TP40に到着すると、加工後検査装置8が検査を開始し、時刻t4dに検査を完了する。なお、本実施形態における時刻t4〜時刻t4dまでの動作は、第一の実施形態における図23に記載の時刻t4〜t5までの動作と同様である。
時刻t4dに搬送台車10は移動を開始し、時刻t4eに教示点TP51に到着する。次に、台車移載装置4が移動を開始し、時刻t4fに教示点TP64に到着する。そして、搬送台車10が時刻t4fに移動を開始し、時刻t4gに教示点TP52へ到着する。最後に、台車移載装置4が時刻t4gに教示点TP63に移動を開始する。台車移載装置4が教示点TP63に到着することで4サイクル目の作業を完了し、5サイクル目が開始するのが5サイクル目開始時刻t5である。
5サイクル目開始時刻t5に教示点TP52に停止している搬送台車10が移動を開始し、時刻t51には教示点TP50に到着する。搬送台車10が教示点TP50に到着すると、ワーク排出装置6が排出中状態に移行し、搬送台車10上のワークを排出する。時刻t52にワーク排出装置6がワーク排出動作を完了し、待機状態に戻ると、搬送台車10は教示点TP13へ移動を開始する。搬送台車10が教示点TP13へ到着することで5サイクル目の作業を完了し、6サイクル目が開始するのが6サイクル目開始時刻t6である。時刻t6をもって、搬送台車10が搬送システム01の循環経路上を1周し、初期時刻t0の位置に戻ってくる。
本実施形態によれば、台車移載装置3および台車移載装置4を用いて搬送台車10をXYに移動させることで、加工前検査や加工後検査を行うことができる。そのため、加工装置システム00内のY方向駆動アクチュエータの数を減らすことができる。
さらに、ワーク投入装置5およびワーク排出装置6を搬送装置復路2に配置することで、搬送路に沿って配置される加工装置および検査装置を、搬送装置往路1と搬送装置復路2に分散することができる。その結果として、搬送装置往路1および搬送装置復路2の全長を短縮することができ、加工装置システム00のサイズをさらに小さくすることができる。
以上のことから、本実施形態によれば、加工装置システムをより狭小なスペースに配置することが可能となる。
(第四の実施形態)
次に、加工装置システム00における搬送装置往路1、搬送装置復路2、台車移載装置3、4、ワーク投入装置5、ワーク排出装置6、加工前検査装置7、加工装置9の構成の第四の実施形態の概略について、図26、図27を用いて説明する。第二の実施形態では、第一の実施形態における加工前検査装置7および加工後検査装置8の処理が可能な位置に位置している搬送モジュールに、連動搬送モジュールを配置する例を示した。本実施形態では、それに加えて、加工装置9の処理が可能な位置に位置している搬送モジュールに連動搬送モジュールを配置する例を示す。本実施形態では、第一の実施形態と同じ作用を有する構成には同じ符号を付し、第一の実施形態、第二の実施形態、第三実施形態と異なる部分について主に説明する。そして、第一の実施形態、第二の実施形態、第三実施形態と同じ作用を有する部分については説明を省略する場合がある。
図26は、加工システム00の全体構成および教示点を示す概略図である。図26における加工システム00の全体構成では、加工装置9は連動搬送モジュール21を含む搬送モジュール10に沿った位置に配置されている。また、加工装置9にはY方向駆動アクチュエータが搭載されていない。
図26における加工システム00の教示点配置では、加工装置9が配置された搬送モジュール11は、搬送台車10に対して複数の教示点TP30、TP31、…TP3xmを持つ。また、加工装置9が配置された連動搬送モジュール21は複数の教示点TP80、TP81、…TP8ymを持つ。これらの教示点の組み合わせによってワーク上の任意の加工点Pを加工装置9が加工可能な位置まで搬送することができる。
なお、本実施形態の全体構成および教示点は、図26に関する上記の表記を除いて、第二の実施形態と同様である。
また、本実施形態における搬送台車10が搬送システム01の循環経路上を1周する際の動作については、第二の実施形態における図20の3サイクル目動作開始時刻t3から4サイクル目動作開始時刻t4のまでの動作を除いて、第二の実施形態と同様である。
本実施形態における3サイクル目動作開始時刻t3から4サイクル目動作開始時刻t4のまでの動作を、図27を用いて説明する。図27は本実施形態における3サイクル目動作開始時刻t3から4サイクル目動作開始時刻t4のまでの加工動作の詳細図である。図27は各時刻における搬送台車10、加工装置9の連動搬送モジュール21、およびボンディングヘッド70の稼働状態を表している。321は搬送台車10の位置であり、322は連動搬送モジュール21の位置であり、323はボンディングヘッド70の稼働状態を表す。
なお、ここでの説明においては、ボンディングヘッド70の稼働状態は、ボンディングヘッド70とボンディングヘッドアクチュエータ72の動作のことを表している。ボンディングヘッド70の稼働状態323のボンディング中の状態については、ボンディングヘッドアクチュエータ72が下降してワークに接触し、ボンディングヘッド70がボンディングを行う。ボンディングが完了すると、ボンディングヘッドアクチュエータ72が上昇して、元の位置に戻るまでの一連の動作について表している。
3サイクル目開始時刻t3に教示点TP21に停止している搬送台車10が教示点31への移動を開始する。搬送台車10が教示点TP31に到着するのが、時刻t31である。搬送台車10が教示点TP31に到着すると、連動搬送モジュール21と搬送台車10上のワークの加工点P(1、0)の位置合わせが完了し、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。
時刻t32に加工点P(1、0)のボンディングが完了すると、搬送台車10が次の教示点への移動を開始し、次の教示点に到着すると、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。これらの動作を加工点P(1、0)から加工点P(xm−1、0)まで繰返し行う。加工点P(xm−1、0)のボンディングが完了するのが、時刻t34である。
時刻t34に加工点P(xm−1、0)のボンディングが完了すると、搬送台車10が教示点TP3xmへの移動を開始し、連動搬送モジュール21が教示点TP80から教示点TP81への移動を開始する。時刻t35に搬送台車10が教示点TP3xmに到着し、連動搬送モジュール21が教示点TP81に到着すると、ボンディングヘッド70と搬送台車10上のワークの加工点P(xm、1)の位置合わせが完了する。ここで、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。
時刻t36に加工点P(xm、1)のボンディングが完了すると、連動搬送モジュール21が次の教示点への移動を開始し、次の教示点に到着すると、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。これらの動作を加工点P(xm、1)から加工点P(xm、yn−1)まで繰返し行う。加工点P(xm、yn−1)のボンディングが完了するのが、時刻t38である。
時刻t38に加工点P(xm、yn−1)のボンディングが完了すると、搬送台車10が教示点TP3xm−1への移動を開始し、連動搬送モジュール21が教示点TP8yn−1から教示点TP8ynへの移動を開始する。時刻t39に搬送台車10が教示点TP3xm−1に到着し、ボンディングヘッド駆動台車60が教示点TP8ynに到着すると、ボンディングヘッド70と搬送台車10上のワークの加工点P(xm−1、yn)の位置合わせが完了する。ここで、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。
時刻t3aに加工点P(xm−1、yn)のボンディングが完了すると、搬送台車10が次の教示点への移動を開始し、次の教示点に到着すると、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。これらの動作を加工点P(xm−1、yn)から加工点P(1、yn)まで繰返し行う。加工点P(1、yn)のボンディングが完了するのが、時刻t3cである。
時刻t3cに加工点P(1、yn)のボンディングが完了すると、搬送台車10が教示点TP30への移動を開始し、連動搬送モジュール21が教示点TP8ynから教示点TP8yn−1への移動を開始する。時刻t3dに搬送台車10が教示点TP30に到着し、連動搬送モジュール21が教示点TP8yn−1に到着すると、ボンディングヘッド70と搬送台車10上のワークの加工点P(0、yn−1)の位置合わせが完了する。ここで、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。
時刻t3eに加工点P(0、yn−1)のボンディングが完了すると、連動搬送モジュール21が次の教示点への移動を開始し、次の教示点に到着すると、ボンディングヘッド70がボンディングを開始する。これらの動作を加工点P(0、yn−1)から加工点P(0、1)まで繰返し行う。加工点P(0、1)のボンディングが完了するのが、時刻t3gである。
加工点P(0、1)のボンディングが完了すると、連動搬送モジュール21が教示点TP80への移動を開始する。連動搬送モジュール21が教示点TP80に到着し、3サイクル目の作業を完了し、4サイクル目が開始するのが4サイクル目開始時刻t4である。
上記で説明したように、搬送台車10と連動搬送モジュール21の動作の組合せによって、ワーク上の加工点Pとボンディングヘッド70の位置合わせを行い、加工を行うことができる。
本実施形態によれば、搬送モジュール11と連動搬送モジュール21により搬送台車10をXYに移動させることができる。そのため、加工装置9をY方向に駆動させることなく加工を行うことが可能となる。その結果、加工ツール側の支持部材を低剛性な構造にすることができ、装置サイズやコストを低減することができる。
(第五の実施形態)
次に、第五の実施形態の概略について、図15、図16を用いて説明する。
図15は、加工システムの全体構成を示す概略図である。ワーク投入装置5、ワーク排出装置6、加工前検査装置7、加工装置9は、搬送装置往路1、搬送装置復路2、台車移載装置3、4、で形成された循環搬送路に沿って配設されている。そして、前記循環搬送路において、投入装置、加工装置、排出装置、検査装置の順に配設されている。
図16は各時刻におけるワーク投入装置5、ワーク排出装置6、加工前検査装置7、加工装置9の稼働状態および搬送台車10の位置を表したものである。ワーク投入装置5、ワーク排出装置6については装置状態がワークの投入中及び排出中か待機中かを表している。加工前検査装置7については装置状態がワークの検査中か待機中かを表している。なお、加工前検査装置7については加工後の検査も行えるものとして、動作は加工前検査に限定しない。加工装置9についてはワークの加工中か待機中かを示している。
図15に示すようにワーク投入装置5、ワーク排出装置6、加工前検査装置7、加工装置9を循環搬送路に沿って配設することで、一台の加工前検査装置で加工前検査と加工後検査を行うことができる。これにより複数の検査装置を設置することなく一台の検査装置で加工前検査と加工後検査を実施することができる。
さらに、ワーク投入装置5、ワーク排出装置6、加工前検査装置7、加工装置9の動作完了待ちをすることなくワーク投入装置5、ワーク排出装置6、加工前検査装置7、加工装置9の間を搬送台車10が移動することができる。よって、サイクルタイムの短縮を実現することができる。
(第六の実施形態)
次に、加工装置システム00における搬送装置往路1、搬送装置復路2、台車移載装置3、4、ワーク投入装置5、ワーク排出装置6、加工前検査装置7、加工装置9の構成の第三の実施形態の概略について、図17を用いて説明する。
図17は、加工システムの全体構成を示す概略図である。ワーク投入装置5、ワーク排出装置6、加工前検査装置7、加工装置9は、搬送装置往路1、搬送装置復路2、台車移載装置3、4、で形成された循環搬送路に沿って配設されている。前記循環搬送路において、投入装置、加工装置、排出装置、検査装置の順に配設されている。ここで投入装置、加工装置、排出装置は前記循環搬送路を形成する搬送装置往路1に沿って、検査装置は搬送装置復路2に沿って配置されている。
図17に示すようにワーク投入装置5、ワーク排出装置6、加工前検査装置7、加工装置9を循環搬送路に沿って配設することで、一台の加工前検査装置で加工前検査と加工後検査を行うことができる。これにより複数の検査装置を設置することなく一台の検査装置で加工前検査と加工後検査を実施することができる。
さらに、ワーク投入装置5、ワーク排出装置6、加工前検査装置7、加工装置9の動作完了待ちをすることなくワーク投入装置5、ワーク排出装置6、加工前検査装置7、加工装置9の間を搬送台車10が移動することができる。よって、サイクルタイムの短縮を実現することができる。
さらに、加工前検査装置7による加工後検査の結果が不合格であり、加工装置9での再加工や修正加工が必要である場合に、加工前検査装置7による加工後検査を終えたワークを移動する搬送台車10が再度、加工装置9にワークを再度移動することができる。再度加工装置9に移動したワークには所定の再加工や修正加工を行うことができる。