JP2023083978A - 搬送システム - Google Patents

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秀忠 楢原
Hidetada Narahara
聡 温品
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Abstract

Figure 2023083978000001
【課題】同一搬送路内に必要な加工軸に相当する制御軸を備えた搬送システムを提供する。
【解決手段】搬送システムは、固定子の第1及び第2の部分を有する第1の搬送部及び第2の搬送部と、可動子の位置及び/又は姿勢を制御可能な制御部と、を有し、第1の部分は、可動子が第1の方向に移動可能な第1のガイド部と、可動子の第1の方向の位置を検出する第1の検出部と、を有し、第2の部分は、可動子の第1の方向と交差する第2の方向の位置を検出する第2の検出部を有し、制御部は、第1の搬送部において、第1の検出部の検出情報に基づいて、可動子の第1の方向の位置を制御し、制御部は、第2の搬送部において、第1の検出部の検出情報及び第2の検出部の検出情報に基づいて、可動子の第1の方向の位置を制御し、可動子の第2の方向の位置及び/又は第1の方向及び第2の方向と交差する第3の方向に沿った軸周りの回転量を制御する。
【選択図】図2A

Description

本発明は、搬送システムに関する。
一般に、工業製品を組み立てるための生産ラインでは、搬送システムが用いられている。特に、生産ラインにおける搬送システムは、ファクトリーオートメーション化された生産ライン内又は生産ラインの間の複数のステーションの間で、部品等のワークを搬送する。また、プロセス装置中の搬送装置として使われる場合もある。搬送システムとしては、可動磁石型リニアモータによる搬送システムが既に提案されている。
生産ラインにおける搬送システムは、一般的に搬送方向が一方向に決まっており、複数の可動子が部品等のワークの搬送を行う。可動子は各工程の前で停止し、各工程が可動子上の位置決めされたワークに対して加工等を行っている。
例えば、特許文献1には、搬送部にリニアモータを構成するリニアモータ固定子が設けられたリニアモータ駆動区間と、モータにより駆動されるベルトコンベアが設けられた機械式駆動区間とを同一搬送システム内に用いることが開示されている。
特許第6417187号公報
しかしながら、特許文献1に記載のシステムに対して、工程装置の加工軸に相当する制御を加えようとすると、装置スペースが増加し、別システムを設ける必要がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、同一搬送路内に必要な加工軸に相当する制御軸を備えた搬送システムを提供することを目的とする。
本発明の一観点によれば、可動子と、前記可動子が搬送される、固定子の第1の部分を有する第1の搬送部と、前記第1の搬送部と隣接し、前記可動子が搬送される、前記固定子の第2の部分を有する第2の搬送部と、前記可動子の位置及び/又は姿勢を制御可能な制御部と、を有し、前記第1の部分は、前記可動子が第1の方向に移動可能な第1のガイド部と、前記可動子の前記第1の方向の位置を検出する第1の検出部と、を有し、前記第2の部分は、前記可動子の前記第1の方向と交差する第2の方向の位置を検出する第2の検出部を有し、前記制御部は、前記第1の搬送部において、前記第1の検出部の検出情報に基づいて、前記可動子の前記第1の方向の位置を制御し、前記制御部は、前記第2の搬送部において、前記第1の検出部の検出情報及び前記第2の検出部の検出情報に基づいて、前記可動子の前記第1の方向の位置を制御し、前記可動子の前記第2の方向の位置及び/又は前記第1の方向及び前記第2の方向と交差する第3の方向に沿った軸周りの回転量を制御することを特徴とする搬送システムが提供される。
本発明によれば、同一搬送路内に必要な加工軸に相当する制御軸を備えた搬送システムを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る搬送システムの構成を示す概略図である。 本発明の第1実施形態による搬送システムの構成を示す概略図である。 本発明の第1実施形態による搬送システムの構成を示す概略図である。 本発明の第1実施形態による搬送システムの構成を示す概略図である。 本発明の第1実施形態による搬送システムの動作を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態による搬送システムの動作を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態による搬送システムの動作を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態による搬送システムの動作を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態による搬送システムの動作を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態による搬送システムの動作を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態による搬送システムの動作を説明する説明図である。 本発明の第1実施形態による搬送システムの動作を説明する説明図である。 本発明の第2実施形態による搬送システムの構成を示す概略図である。 本発明の第2実施形態による搬送システムの構成を示す概略図である。 本発明の第2実施形態による搬送システムの構成を示す概略図である。 本発明の第2実施形態による搬送システムの構成を示す動作図である。 本発明の第2実施形態による搬送システムの動作を説明する説明図である。 本発明の第3実施形態による搬送システムの構成を示す概略図である。 本発明の第3実施形態による搬送システムの構成を示す概略図である。 本発明の第3実施形態による搬送システムの構成を示す概略図である。 本発明の第3実施形態による搬送システムの構成を示す概略図である。 本発明の第3実施形態による搬送システムの動作を説明する説明図である。 本発明の第4実施形態による搬送システムの構成を示す概略図である。 本発明の第4実施形態による搬送システムの構成を示す概略図である。 本発明の第4実施形態による搬送システムの構成を示す概略図である。 本発明の第4実施形態による搬送システムの構成を示す概略図である。
[第1実施形態]
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態について図1乃至図4Cを用いて説明する。本実施形態による搬送システムは、可動子に永久磁石、固定子にコイルが設置されたムービングマグネット型(MM)型リニアモータによる搬送システムである。
まず、本実施形態による搬送システム1の構成について図1乃至図2Cを用いて説明する。図1は、本実施形態による可動子101及び固定子201を含む搬送システム1の構成を示す概略図である。図2A乃至図2Cは、本実施形態による搬送システム1における可動子101及び固定子201を示す概略構成図である。なお、以下の説明では、複数存在する構成要素について、必要に応じて数字の符号の後に小文字のアルファベットを付して個々を区別し、特に区別する必要がない場合には共通の数字のみの符号を用いる。
図1に示すように、本実施形態による搬送システム1は、統合コントローラ301と、コイルコントローラ302と、センサコントローラ304と、可動子101と、固定子201を有している。固定子201は、可動子101をX方向に搬送可能な1軸制御区間21を構成する第1の部分2011と、可動子101をX方向に搬送可能なだけでなく、可動子101をZ方向等に制御可能な多軸制御区間22を構成する第2の部分2012とを含んでいる。搬送路10は、1軸制御区間21と多軸制御区間22との組み合わせで構築されている。図1において、多軸制御区間22は、1軸制御区間21aに対してX方向の正側に隣接し、1軸制御区間21bに対してX方向の負側に隣接している。可動子101は、例えば、X方向の正側に移動し、1軸制御区間21aから多軸制御区間22に移動し、多軸制御区間22から1軸制御区間21bに移動するように搬送される。なお、可動子101は、X方向の負側に移動することもできる。
1軸制御区間21及び多軸制御区間22は、それぞれ可動子101が搬送される搬送部である。1軸制御区間21及び多軸制御区間22は、X方向において、互いに交互に隣接するように配置されていてもよいし、複数の1軸制御区間21又は多軸制御区間22が連続して配置されていてもよい。1軸制御区間21の固定子201の第1の部分2011には、複数のリニアエンコーダ204の一部2041が取り付けられて設置されている。多軸制御区間22の固定子201の第2の部分2012には、複数のリニアエンコーダ204の一部2042が取り付けられて設置されている。複数のリニアエンコーダ204は、可動子101の搬送中もそのうちの1つが必ず1台の可動子101の位置を測定できるような間隔で固定子201に取り付けられている。
さらに、多軸制御区間22の固定子201の第2の部分2012には、複数のZセンサ206がX方向に2列に取り付けられて設置されている。複数のZセンサ206は、その2列のうちの3つが必ず1台の可動子101のZターゲット106(図2B等を参照)を測定できるような間隔で固定子201の第2の部分2012に取り付けられている。
統合コントローラ301には、複数のコイルコントローラ302が通信可能に接続されている。各コイルコントローラ302には、複数のコイル202(図2A等を参照)が接続されている。また、統合コントローラ301には、センサコントローラ304が通信可能に接続されている。センサコントローラ304には、複数のリニアエンコーダ204と複数のZセンサ206とが通信可能に接続されている。
統合コントローラ301は、接続された各々のコイルコントローラ302に対して各コイル202に印加すべき電流の目標となる電流値を指令することができる。コイルコントローラ302は、接続された各々のコイル202の電流を制御することができる。
より具体的には、統合コントローラ301は、リニアエンコーダ204又はZセンサ206からの出力に基づき、複数のコイル202に印加する電流指令値を決定して、各々のコイルコントローラ302に送信する。コイルコントローラ302は、統合コントローラ301からの電流指令値に基づき、上述のように接続されたコイル202に流す電流の電流量及びタイミングを制御する。これにより、統合コントローラ301は、可動子101の動作を制御する制御部として機能し、固定子201に沿って可動子101を搬送する。
例えば、統合コントローラ301は、可動子101が1軸制御区間21aに位置するときは、リニアエンコーダ204からの出力に基づき、コイルコントローラ302aに対して電流指令値を送信する。可動子101が多軸制御区間22に位置するときは、リニアエンコーダ204及びZセンサ206からの出力に基づき、コイルコントローラ302bに対して電流指令値を送信する。これにより、統合コントローラ301は、それぞれの対応した制御区間で可動子101に対して1軸又は多軸の制御を行う。
本実施形態による搬送システム1は、可動磁石型リニアモータ(ムービング永久磁石型リニアモータ、可動界磁型リニアモータ)による搬送システムである。また、本実施形態による搬送システム1は、後述するように、可動子101により搬送されたワーク102に対して加工を施す工程装置3をも有する加工システムの一部を構成している。
ここで、以下の説明において用いる座標軸、方向等を定義する。まず、可動子101の搬送方向である水平方向に沿ってX軸をとり、可動子101の搬送方向をX方向とする。また、X方向と直交する方向である鉛直方向に沿ってZ軸をとり、鉛直方向をZ方向とする。また、X方向及びZ方向に直交する方向に沿ってY軸をとり、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向とする。さらに、X軸周りの回転方向をWx方向、Y軸周りの回転方向をWz方向、Z軸周りの回転方向をWz方向とする。また、可動子101の各方向の変位として、X方向の位置をX、Y方向の位置をY、Z方向の位置をZとする。また、可動子101の各回転方向の変位である回転量として、Wx方向の回転量をWx、Wy方向の回転量をWy、Wz方向の回転量をWzとする。また、乗算の記号として”*”を使用する。また、可動子101の中心を原点Oとし、原点Oに対してY方向の正側をL側、Y方向の負側をR側として記載する。なお、可動子101の搬送方向は必ずしも水平方向である必要はないが、その場合も搬送方向をX方向として同様にY方向及びZ方向を定めることができる。また、X方向、Y方向及びZ方向は、必ずしも互いに直交する方向に限定されるものではなく、互いに交差する方向として定義することもできる。
次に、本実施形態による搬送システム1における可動子101について図2A乃至図2Cを用いて説明する。図2Aは可動子101及び固定子201を含む搬送システム1をZ方向の正側から見た図、図2Bは可動子101及び固定子201を含む搬送システム1をX方向の正側から見た図、図2Cは可動子101をZ方向の負側から見た図である。
可動子101は、固定子201の第1の部分2011にX方向に沿って設置されたガイドレール50に沿って走行可能なローラ60を有している。ローラ60は、可動子101のZ方向の負側の面である下面に取り付けられて設置されている。ローラ60は、Y方向の移動を規制しX方向への移動可能なローラ60aと、Z方向の負側の移動を規制しX方向への移動可能なローラ60bとを含んでいる。
なお、ローラ60は、固定子201の第1の部分2011の側に設置されていてもよい。この場合、可動子101には、ガイドレール50の代わりになる構造が設置される。
また、可動子101は、複数の永久磁石40、具体的には永久磁石40bR、40cR、40bL、40cLを有している。各永久磁石40は、複数の永久磁石を含む永久磁石群である。複数の永久磁石40は、可動子101の下面に取り付けられて設置されている。可動子101の下面に設置された複数の永久磁石40は、下面のL側端部及びR側端部にX方向に沿って2列に配置されている。具体的には、可動子101の下面のR側端部に、ヨーク107を介して永久磁石40bR、40cRが取り付けられている。また、可動子101の下面のL側端部に、ヨーク107を介して永久磁石40bL、40cLが取り付けられている。
なお、以下では、特に区別する必要がない限り、可動子101の永久磁石を単に「永久磁石40」と表記する。また、R側とL側とを区別する必要まではないが、各永久磁石40を個別に特定する必要がある場合、各永久磁石40に対する符号の末尾からR又はLを除いた識別子としての小文字のアルファベットまでの符号を用いて各永久磁石40を個別に特定する。この場合、「永久磁石40b」、「永久磁石40c」と表記して、各永久磁石40を個別に特定する。
また、永久磁石40bR、40cRは、それぞれの中心が、例えば可動子101の下面の中心からR側に距離rx3だけ離れてX方向に沿って直線上に並ぶように配置されている。永久磁石40bR、40cRは、それぞれ原点OからX方向の一方及び他方の側に距離ry3だけ離れた位置に配置されている。
また、永久磁石40bL、40cLは、それぞれの中心が、例えば可動子101の下面の中心からL側に距離rx3だけ離れてX方向に沿って直線上に並ぶように配置されている。永久磁石40bL、40cLは、それぞれ原点OからX方向の一方及び他方の側に距離ry3だけ離れた位置に配置されている。これにより、永久磁石40bL、40cLは、X方向においてそれぞれ永久磁石40bR、40cRと同位置に配置されている。また、X方向において、永久磁石40bL、40cLの間隔は、永久磁石40bR、40cRの間隔と同じになっている。
こうして、永久磁石40b、40cは、それぞれ原点OからY方向に距離rx3だけ離れた位置に取り付けられている。また、永久磁石40b、40cは、それぞれ原点OからX方向の一方及び他方の側に距離ry3だけ離れた位置に取り付けられている。
一方、永久磁石40bR、40cR、40bL、40cLは、それぞれX方向に沿って配置された3個の永久磁石のセットである。永久磁石40b、40cは、それぞれ、固定子201側を向く外側の磁極の極性が交互に異なるように3個の永久磁石がX方向に沿って並べられて構成されている。なお、永久磁石40b、40cを構成するX方向に沿って配置された永久磁石の数は、3個に限定されるものではなく、複数個であればよい。すなわち、永久磁石40b、40cは、磁極の極性が交互になるようにX方向に沿って配置された複数の永久磁石からなる磁石群であればよい。
各永久磁石40は、可動子101の下面のR側及びL側に設けられたヨーク107に取り付けられている。ヨーク107は、透磁率の大きな物質、例えば鉄で構成されている。
こうして、可動子101には、可動子101のX軸に沿った中心軸を対称軸として、複数の永久磁石40の下面のR側及びL側に対称に配置されている。永久磁石40が配置された可動子101は、固定子201の複数のコイル202により後述するように永久磁石40が受ける電磁力により姿勢が多軸制御されつつ移動可能に構成されている。
可動子101は、固定子201の第1の部分2011においてX方向に沿って2列に配置された複数のコイル202に沿ってX方向に移動可能である。可動子101は、その上面に搬送すべきワーク102を載置又は装着した状態で搬送されうる。可動子101は、例えば、ワークホルダ等のワーク102を可動子101上に保持する保持機構を有していてもよい。
固定子201の第1の部分2011に沿って搬送される可動子101は、リニアスケール104と、Zターゲット106とを有している。リニアスケール104は、可動子101の側面にX方向に沿って取り付けられて設置されている。Zターゲット106は、可動子101の上部にX方向に沿って取り付けられて設置されている。Zターゲット106は、L側及びR側の両側にそれぞれ取り付けられている。
次に、本実施形態による搬送システム1における固定子201について図2A乃至図2Cを用いて説明する。
固定子201は、可動子101の搬送方向であるX方向に沿って2列に配置された複数のコイル202を有している。固定子201には、複数のコイル202がそれぞれ下面のR側及びL側からZ方向に可動子101に対向するように取り付けられて設置されている。固定子201は、搬送方向であるX方向に延在して可動子101の搬送路10を形成する。固定子201は、可動子101を1軸で制御する1軸制御区間21を構成する固定子201の第1の部分2011と、可動子101を多軸で制御する多軸制御区間22を構成する固定子201の第2の部分2012とを含んでいる。
また、固定子201の第1の部分2011は、複数のリニアエンコーダ204を有している。多軸制御区間22を構成する固定子201の第2の部分2012は、X軸制御以外の制御に必要な複数のZセンサ206を有している。
複数のコイル202は、可動子101の下面におけるR側及びL側の永久磁石40と対向可能なように、X方向に沿って2列に配置されて固定子201に取り付けられている。R側において1列に配置された複数のコイル202は、可動子101のR側の永久磁石40bR、40cRと対向可能にX方向に沿って配置されている。また、L側において1列に配置された複数のコイル202は、可動子101のL側の永久磁石40bL、40cLと対向可能にX方向に沿って配置されている。
固定子201は、電流が印加された各コイル202により、搬送方向であるX方向に沿って移動可能な可動子101に力を印加する。これにより、可動子101は、位置及び姿勢が制御され搬送方向に沿って搬送される。
リニアエンコーダ204及びZセンサ206は、搬送方向に沿って移動する可動子101の位置及び姿勢を検出する検出部として機能する。リニアエンコーダ204は、可動子101に設置されたリニアスケール104を読み取り可能なように固定子201に取り付けられて設置されている。リニアエンコーダ204は、リニアスケール104を読み取ることにより、可動子101のX方向の位置、すなわち可動子101のリニアエンコーダ204に対する相対的な位置を検出する。複数のZセンサ206は、可動子101のZ方向の位置、すなわち可動子101に設置されたZターゲット106との間のZ方向の距離を検出可能なように固定子201の第2の部分2012に取り付けられて設置されている。統合コントローラ301は、リニアエンコーダ204の検出情報である可動子101のX方向の位置及びZセンサ206の検出情報である可動子101のZ方向の位置に基づいて可動子101の位置及び/又は姿勢を制御することができる。
また、固定子201には、1軸制御区間21にある固定子201の第1の部分2011及び多軸制御区間22にある固定子202の第2の部分2012にわたって可動子101がローラ60を介してX方向及びZ方向の正側に移動可能なガイド部であるガイドレール50が設置されている。可動子101のY方向への移動は、Y方向においてガイドレール50の両側からガイドレール50に接触するローラ60aにより規制される。可動子101のZ方向の負側への移動は、Z方向においてガイドレール50の正側からガイドレール50に接触するローラ60bにより規制される。
搬送システム1は、例えば、固定子201により可動子101を搬送することにより、可動子101上のワーク102を、ワーク102に対して加工作業を施す工程装置3に搬送する。図2Aには、固定子201により形成された搬送路10に対して複数の工程装置3a、3b、3cが設置されている場合を例示している。ワーク102に加工作業を施すことにより、高精度な物品を製造することができる。なお、図2Aでは、固定子201に対して1台の可動子101を示しているが、これに限定されるものではない。搬送システム1においては、複数台の可動子101が固定子201上を搬送されうる。
本実施形態による搬送システム1では、同一の搬送路10内に1軸制御区間21とZセンサ206を有する多軸制御区間22とが設けられている。これにより、本実施形態では、可動子101と固定子201が同一であっても、後述するように可動子101に対して搬送方向であるX方向、Z方向及びWy方向に力を印加することができ、よって可動子101の搬送制御及び姿勢制御を実現することができる。
次に、統合コントローラ301により実行される可動子101の姿勢制御方法について図3A乃至図3Eを用いて説明する。なお、統合コントローラ301に代えて、コイルコントローラ302が統合コントローラ301と同様の処理を実行するように構成することもできる。
図3Aは、本実施形態による搬送システム1における可動子101の姿勢制御方法を示す概略図である。図3Aは、可動子101の姿勢制御方法の概略について主にそのデータの流れに着目して示している。統合コントローラ301は、以下に説明するように、可動子位置算出関数401、可動子姿勢算出関数402、可動子姿勢制御関数403及びコイル電流算出関数404を用いた処理を実行する。これにより、統合コントローラ301は、可動子101の姿勢を制御しつつ、可動子101の搬送を制御する。
まず、可動子位置算出関数401は、複数のリニアエンコーダ204からの測定値及びその取り付け位置の情報から、搬送路10を構成する固定子201の第1の部分2011上にある可動子101の台数及び位置を計算する。上記の計算により、可動子位置算出関数401は、可動子101に関する情報である可動子情報406aの可動子位置情報(X)及び台数情報を更新する。可動子位置情報(X)は、固定子201上の可動子101の搬送方向であるX方向における位置を示している。可動子情報406aは、例えば図3A中にPOS-1、POS-2、…と示すように固定子201上の可動子101ごとに用意される。
次いで、可動子姿勢算出関数402は、可動子位置算出関数401により更新された可動子情報406aの可動子位置情報(X)から、各々の可動子101を測定可能なZセンサ206を特定する。
次いで、可動子姿勢算出関数402は、各々の可動子101の姿勢に関する情報である姿勢情報(Z,Wy)を算出して可動子情報406aを更新して可動子情報406bを得る。可動子姿勢算出関数402は、特定されたZセンサ206から出力される値に基づき、姿勢(Z,Wy)を算出する。可動子姿勢算出関数402により更新された可動子情報406bは、可動子位置情報(X)及び姿勢情報(Z,Wy)を含んでいる。このとき、1軸制御区間21における可動子101を制御する可動子姿勢算出関数402は、Zセンサ206の入力がないため、可動子情報406aを可動子情報406bとして扱う。
次いで、可動子姿勢制御関数403は、可動子位置情報(X)及び姿勢情報(Z,Wy)を含む現在の可動子情報406b及び姿勢目標値から、各々の可動子101について印加力情報408を算出する。印加力情報408は、各々の可動子101に印加すべき力の大きさに関する情報である。印加力情報408は、印加すべき力Tの力の2軸成分(Tx,Tz)及びトルクの1軸成分(Twy)に関する情報を含んでいる。印加力情報408は、例えば図3A中にTRQ-1、TRQ-2、…と示すように固定子201の第2の部分2012上の可動子101ごとに用意される。
ここで、力の2軸成分であるTx、Tzは、それぞれ力のX方向成分、Z方向成分である。また、トルクの1軸成分であるTwyは、Y軸周り成分である。本実施形態による搬送システム1は、これら力Tの3軸成分(Tx,Tz,Twy)を制御することにより、1軸制御区間21では可動子101の位置を制御し、多軸制御区間22では可動子101の位置及び姿勢を制御しつつ、可動子101の搬送を制御する。具体的には、搬送システム1は、1軸制御区間21ではTxを制御して可動子101の搬送を制御し、多軸制御区間22ではTx,Tz,Twyを制御して可動子101の位置及び姿勢を制御しつつ、可動子101の搬送を制御する。このとき、1軸制御区間21における可動子101を制御する可動子姿勢制御関数403は、姿勢情報(Z,Wy)を必要とせず、可動子位置情報(X)の目標値から可動子101について印加力情報408を算出する。この場合、印加力情報408は、印加すべき力Tの力の1軸成分(Tx)に関する情報を含んでいる。
次いで、コイル電流算出関数404は、印加力情報408及び可動子情報406bに基づき、各コイル202に印加する電流指令値409を決定する。
こうして、統合コントローラ301は、可動子位置算出関数401、可動子姿勢算出関数402、可動子姿勢制御関数403及びコイル電流算出関数404を用いた処理を実行することにより、電流指令値409を決定する。統合コントローラ301は、決定した電流指令値409をコイルコントローラ302に送信する。
可動子101の位置及び姿勢の制御についてさらに図3Bを用いて詳細に説明する。図3Bは、可動子101の位置及び姿勢を制御するための制御ブロックの一例を示す概略図である。
図3Bにおいて、Pは、可動子101の位置及び姿勢(位置姿勢又は状態ともいう)であり、可動子位置情報及び姿勢情報を成分とする。refは、位置の目標値及び姿勢の目標値である。errは、目標値refと位置及び姿勢Pとの間の偏差である。
可動子姿勢制御関数403は、偏差errの大きさ、偏差errの変化、偏差errの積算値等に基づき、目標値refを実現するために可動子101に印加すべき力Tを算出する。
コイル電流算出関数404は、印加すべき力T並びに位置及び姿勢Pに基づき、可動子101に力Tを印加するためにコイル202に印加すべきコイル電流Iを算出する。こうして算出されたコイル電流Iがコイル202に印加されることにより、力Tが可動子101に作用して位置及び姿勢Pが目標値refに変化する。
このように制御ブロックを構成することにより、可動子101の位置及び姿勢Pを所望の目標値refに制御することが可能になる。
ここで、可動子位置算出関数401による処理について図3Cを用いて説明する。図3Cは、可動子位置算出関数401による処理を説明する概略図である。
図3Cにおいて、基準点Oeは、リニアエンコーダ204が取り付けられている固定子201の位置基準である。また、基準点Osは、可動子101に取り付けられているリニアスケール104の位置基準である。図3Cでは、可動子101として2台の可動子101a、101bが搬送され、リニアエンコーダ204として3つのリニアエンコーダ204a、204b、204cが配置されている場合を示している。なお、リニアスケール104は、各可動子101a、101bの同じ位置にX方向に沿って取り付けられている。
例えば、図3Cに示す可動子101bのリニアスケール104には、1つのリニアエンコーダ204cが対向している。リニアエンコーダ204cは、可動子101bのリニアスケール104を読み取って距離Pcを出力する。また、リニアエンコーダ204cの基準点Oeを原点とするX軸上の位置はScである。したがって、可動子101bの位置Pos(101b)は次式(1)により算出することができる。
Pos(101b)=Sc-Pc …式(1)
例えば、図3Cに示す可動子101aのリニアスケール104には、2つのリニアエンコーダ204a、204bが対向している。リニアエンコーダ204aは、可動子101aのリニアスケール104を読み取って距離Paを出力する。また、リニアエンコーダ204aの基準点Oeを原点とするX軸上の位置はSaである。したがって、リニアエンコーダ204aの出力に基づく可動子101aのX軸上の位置Pos(101a)は、次式(2)で算出することができる。
Pos(101a)=Sa-Pa …式(2)
また、リニアエンコーダ204bは、可動子101aのリニアスケール104を読み取って距離Pbを出力する。また、リニアエンコーダ204bの基準点Oeを原点とするX軸上の位置はSbである。したがって、リニアエンコーダ204bの出力に基づく可動子101aのX軸上の位置Pos(101a)′は、次式(3)により算出することができる。
Pos(101a)′=Sb-Pb …式(3)
ここで、各々のリニアエンコーダ204a、204bの位置は予め正確に測定されているため、2つの値Pos(101a)、Pos(101a)′の差は十分に小さい。このように2つのリニアエンコーダ204の出力に基づく可動子101のX軸上の位置の差が十分小さい場合は、それら2つのリニアエンコーダ204は、同一の可動子101のリニアスケール104を観測していると判定することができる。
なお、複数のリニアエンコーダ204が同一の可動子101と対向する場合は、複数のリニアエンコーダ204の出力に基づく位置の平均値を算出する等して、観測された可動子101の位置を一意に決定することができる。
可動子位置算出関数401は、上述のようにしてリニアエンコーダ204の出力に基づき、可動子位置情報として可動子101のX方向における位置Xを算出して決定する。これにより、可動子101が1軸制御区間21及び多軸制御区間22のそれぞれの区間に位置するときの位置Xを決定することができる。
次に、多軸制御区間22に可動子101が位置するときの姿勢情報を決定する可動子姿勢算出関数402による処理について図3D及び図3Eを用いて説明する。図3D及び図3Eは、可動子姿勢算出関数402による処理を説明する概略図である。
図3D及び図3Eでは、可動子101として可動子101dが搬送され、Zセンサ206としてZセンサ206a、206b、206cが配置されている場合を示している。可動子101dのZターゲット106には、3つのZセンサ206a、206b、206cが対向している。ここで、3つのZセンサ206a、206b、206cが出力する相対距離の値をそれぞれZa、Zb、Zcとする。また、X方向のセンサ間距離、すなわちZセンサ206a、206b間の距離をLz1とする。また、Y方向のセンサ間距離、すなわちZセンサ206a、206c間の距離をLz2とする。すると、Y軸周りの回転量Wy及びX軸周りの回転量Wxは、それぞれ次式(4a)及び(4b)により算出することができる。
Wy=(Zb-Za)/Lz1 …式(4a)
Wx=(Zc-Za)/Lz2 …式(4b)
可動子姿勢算出関数402は、上述のようにして、可動子101の姿勢情報として回転量Wy、Wxを算出することができる。なお、可動子姿勢算出関数402は、回転量Wy、Wxのうち、多軸制御区間22における制御に必要なWyのみを算出することができる。
また、可動子姿勢算出関数402は、次のようにして可動子101の姿勢情報として可動子101のZ方向の位置Zを算出することができる。以下、可動子101のZ方向の位置Zの算出について図3D及び図3Eを用いて説明する。
可動子101dがかかる3つのZセンサ206をそれぞれZセンサ206a、206b、206cとする。また、Zセンサ206a、206b、206cの測定値をそれぞれZa、Zb、Zcとする。また、Zセンサ206aのX座標とZセンサ206cのX座標とは同一である。また、リニアエンコーダ204は、Zセンサ206aとZセンサ206cとの中間の位置にあるものとする。また、Zセンサ206a及びZセンサ206cの位置XをOe″とする。さらに、Oe″から可動子101dの中心Os″までの距離をdX″とする。このとき、可動子101dのZ方向の位置Zは、次式により近似的に計算して算出することができる。
Z=(Za+Zb)/2+Wy*dX″ …式(5a)
なお、Wyの回転量が大きい場合には、さらに近似の精度を高めて算出することができる。
こうして、統合コントローラ301は、可動子位置算出関数401及び可動子姿勢算出関数402を用いた処理を実行することにより、可動子101の位置及び姿勢を取得する取得部として機能する。
次に、コイル電流算出関数404による処理について図2Cを用いて説明する。なお、以下で用いる力の表記において、X方向、Y方向及びZ方向の力が働く方向をそれぞれx、y、zで示し、図2CにおけるY+側であるL側をL、Y-側であるR側をR、X+側をf、X-方向をbで示す。
図2CにおいてR側及びL側の各永久磁石40に働く力をそれぞれ次のように表記する。各永久磁石40に働く力は、電流が印加された複数のコイル202により永久磁石40が受ける電磁力である。永久磁石40は、電流が印加された複数のコイル202により、可動子101の搬送方向であるX方向の電磁力のほか、X方向とは異なる方向であるZ方向の電磁力を受ける。
R側の永久磁石40に働く力の表記は、それぞれ次のとおりである。
FxfR:R側の永久磁石40bRのX方向に働く力
FzfR:R側の永久磁石40bRのZ方向に働く力
FxbR:R側の永久磁石40cRのX方向に働く力
FzbR:R側の永久磁石40cRのZ方向に働く力
L側の永久磁石40に働く力の表記は、それぞれ次のとおりである。
FxfL:L側の永久磁石40bLのX方向に働く力
FzfL:L側の永久磁石40bLのZ方向に働く力
FxbL:L側の永久磁石40cLのX方向に働く力
FzbL:L側の永久磁石40cLのZ方向に働く力
また、可動子101に対して印加される力Tを次式(6a)により表記する。なお、Tx、Tzは、力の2軸成分であり、それぞれ力のX方向成分、Z方向成分である。また、Twyは、モーメントの1軸成分であり、Y軸周り成分である。本実施形態による搬送システム1は、これら力Tの3軸成分(Tx,Tz,Twy)を制御することにより、1軸制御区間21において可動子101の搬送を制御し、多軸制御区間22において可動子101の位置及び姿勢の3軸成分及び搬送を制御する。
T=(Tx,Tz,Twy) …式(6a)
すると、Tx、Tz、Twyは、それぞれ次式(7a)、(7c)及び(7e)により算出される。
Tx=FxfR+FxbR+FxfL+FxbL …式(7a)
Tz=FzbR+FzbL+FzfR+FzfL …式(7c)
Twy={(FzfL+FzfR)-(FzbL+FzbR)}*ry3 …式(7e)
このとき、永久磁石40に働く力については、次式(7g)、(7j)及び(7k)により表される制限を導入することができる。これらの制限を導入することにより、所定の6軸成分を有する力Tを得るための各永久磁石40に働く力の組み合わせを一意に決定することができる。
FxfR=FxbR=FxfL=FxbL …式(7g)
FzfR=FzfL …式(7j)
FzbR=FzbL …式(7k)
次に、コイル電流算出関数404が、各永久磁石40に働く力から各コイル202に印加する電流量を決定する方法について説明する。
まず、永久磁石40b、40cにZ方向の力を印加する場合について説明する。なお、コイル202は、そのX方向の中心が永久磁石40b、40cのX方向の中心に位置するように配置されている。これにより、永久磁石40b、40cに対してY方向に働く力は、殆ど発生しないようになっている。
Xを可動子101の位置、jを列に並んだコイル202の番号として、単位電流当たりのコイル202(j)のZ方向に働く力の大きさをFz(j、X)とし、コイル202(j)に印加する電流をi(j)とする。なお、コイル202(j)は、j番目のコイル202である。この場合、電流i(j)は、次式(8)を満足するように決定することができる。なお、次式(8)は、永久磁石40bRについての式である。他の永久磁石40cR、40bL、40cLについても同様にしてコイル202に印加する電流を決定することができる。
ΣFz(j、X)*i(j)=FzfR …式(8a)
コイル電流算出関数404は、上述のようにしてコイル202(j)に印加する電流指令値を決定することができる。こうして決定される電流指令値により可動子101に印加されるZ方向の力により、可動子101は、Z方向に浮上する浮上力を得るとともに、その姿勢が制御される。
なお、複数のコイル202が永久磁石40に力を及ぼす場合には、各コイル202が及ぼす力に応じて単位電流当たりの力の大きさで電流を按分することにより、永久磁石40に働く力を一意に決定することができる。
図4Aは、横にX軸、縦にY軸を取り、永久磁石40bRに対向する6個のコイル202を抜き出して示す図である。図4Bは、図4AをY方向から見た図である。コイル202には、X方向に並んだ順に1から6までの番号jを付与し、以下では例えばコイル202(1)のように表記して各コイル202を特定する。
図4A及び図4Bに示すように、コイル202は、距離Lのピッチで配置されている。一方、可動子101の永久磁石40は、距離3/2*Lのピッチで配置されている。
図4Cのグラフは、図4A及び図4Bに示す各々のコイル202に対して単位電流を印加した際に発生するX方向の力Fx及びZ方向の力Fzの大きさを模式的に示したグラフである。
簡単のため、図4A乃至図4Cでは、コイル202のX方向の位置の原点Ocをコイル202(3)とコイル202(4)の中間とし、永久磁石40bRのX方向の中心Omを原点としている。このため、図4A乃至図4Cは、OcとOmとが合致した場合、すなわちX=0の場合を示している。
このとき、例えばコイル202(4)に対して働く単位電流当たりの力は、X方向にFx(4,0)、Z方向にFz(4,0)の大きさである。また、コイル202(5)に対して働く単位電流当たりの力は、X方向にFx(5,0)、Z方向にFz(5,0)の大きさである。
ここで、コイル202(1)~202(6)に印加する電流値をそれぞれi(1)~i(6)とする。すると、永久磁石40bRに対して、X方向に働く力の大きさFxfR及びZ方向に働く力の大きさFzfRは、それぞれ一般的に次式(9)及び(10)で表される。
FxfR=Fx(1,X)*i(1)+Fx(2,X)*i(2)+Fx(3,X)*i(3)+Fx(4,X)*i(4)+Fx(5,X)*i(5)+Fx(6,X)*i(6) …式(9)
FzfR=Fz(1,X)*i(1)+Fz(2,X)*i(2)+Fz(3,X)*i(3)+Fz(4,X)*i(4)+Fz(5,X)*i(5)+Fz(6,X)*i(6) …式(10)
上記式(9)及び(10)を満足する電流値i(1)~i(6)をそれぞれコイル202(1)~202(6)に印加されるように電流指令値を決定することにより、永久磁石40bRに対してX方向及びZ方向に独立に力を印加することができる。コイル電流算出関数404は、永久磁石40に対してX方向及びZ方向に独立に力を印加するために、上述のようにしてコイル202(j)に印加する電流指令値を決定することができる。
簡単のため、図4A乃至図4Cに示す場合において、永久磁石40bRに対してコイル202(1)~202(6)のうちのコイル202(3)、202(4)、202(5)だけを使い、これら3つの電流値の総和が0となるように制御する場合を例に考える。この例の場合、永久磁石40bRに対してX方向に働く力FxfR及びZ方向に働く力FzfRは、それぞれ次式(11)及び(12)により表される。
FxfR=Fx(3,X)*i(3)+Fx(4,X)*i(4)+Fx(5,X)*i(5) …式(11)
FzfR=Fz(3,X)*i(3)+Fz(4,X)*i(4)+Fz(5,X)*i(5) …式(12)
また、コイル202(1)~202(6)の電流値は、次式(13)及び(14)を満足するように設定することができる。
i(3)+i(4)+i(5)=0 …式(13)
i(1)=i(2)=i(6)=0 …式(14)
したがって、永久磁石40bRに対して必要な力の大きさ(FxfR、FzfR)が決定された場合、電流値i(1)、i(2)、i(3)、i(4)、i(5)及びi(6)を一意に決定することができる。こうして決定される電流指令値により可動子101にX方向及びZ方向に力が印加される。可動子101に印加されるX方向の力により、可動子101は、X方向に移動する推進力を得てX方向に移動する。また、こうして決定される電流指令値により可動子101に印加されるX方向及びZ方向の力により、可動子101はその姿勢が制御される。
こうして、統合コントローラ301は、複数のコイル202に印加する電流を制御することにより、可動子101に印加する力の3軸成分のそれぞれを制御する。
なお、可動子101の搬送により永久磁石40bRの中心Omに対してコイル202の中心Ocが移動した場合、すなわちX≠0の場合は、移動した位置に応じたコイル202を選択することができる。さらに、コイル202に発生する単位電流当たりの力に基づいて、上記と同様の計算を実行することができる。
統合コントローラ301は、上述のように可動子101に印加する力の3軸成分(Tx、Tz、Twy)を制御することにより、1軸制御区間21及び多軸制御区間22において、可動子101の位置及び姿勢を制御することができる。すなわち、統合コントローラ301は、1軸制御区間21において、可動子101のX方向の位置を制御することができる。また、統合コントローラ301は、多軸制御区間22において、可動子101のX方向の位置(X)を制御するほか、Z方向の姿勢(Z)及びWy方向の姿勢(Wy)を制御することができる。統合コントローラ301は、多軸制御区間22において、Z方向の姿勢(Z)及びWy方向の姿勢(Wy)のうちの少なくとも一方を適宜制御することができる。
なお、以下では、可動子101のX方向の位置の制御をX軸の制御ともいう。また、可動子101の姿勢の制御について、Y方向の姿勢の制御をY軸の制御、Z方向の姿勢の制御をZ軸の制御、Wx方向の姿勢の制御をWx軸の制御、Wy方向の姿勢の制御をWy軸の制御、Wz方向の姿勢の制御をWz軸の制御ともいう。
統合コントローラ301は、1軸制御区間21と多軸制御区間22とを含む搬送路10において搬送される可動子101の位置に応じて、可動子101の多軸制御を開始又は終了することができる。
まず、1軸制御区間21から多軸制御区間22へ可動子101が搬送される際の多軸制御の開始について説明する。
統合コントローラ301は、可動子101が多軸制御区間22に進入してその可動子101の姿勢を算出することができたタイミングで多軸制御を開始することができる。具体的には、統合コントローラ301は、最低3つのZセンサ206が同一の可動子101を検出した段階で、その可動子101についてX軸の制御に加えてX軸以外のZ軸及びWy軸の制御を開始することができる。
多軸制御を開始する際、統合コントローラ301は、可動子101について検出された姿勢(Z,Wy)を姿勢の目標値として扱うことができる。これにより、可動子101のX軸以外の姿勢(Z,Wy)を維持したまま可動子101を搬送することができる。
なお、多軸制御開始のタイミングは、多軸制御区間22に可動子101が進入した直後の姿勢を算出することができたタイミングに限定されるものではない。多軸制御開始のタイミングは、多軸制御区間22内で位置及び姿勢を算出することができるタイミングであればよい。
また、統合コントローラ301は、工程装置3bによりワーク102を加工するために可動子101を停止すべき停止位置まで可動子101搬送された後に多軸制御を開始することもできる。この場合、統合コントローラ301は、工程装置3bの必要とする可動子101の動作を実現する電流指令値をコイルコントローラ302に送信し、工程装置3bによる加工に応じて可動子101の位置及び姿勢を制御することができる。
次に、多軸制御区間22から1軸制御区間21へ可動子101が搬送される際の多軸制御の終了について説明する。
統合コントローラ301は、可動子101が1軸制御区間21に進入して可動子101の姿勢を算出することができなくなったタイミングで多軸制御を終了することができる。具体的には、統合コントローラ301は、同一の可動子101を検出するZセンサ206の数が3つから2つに変化したタイミングでZ軸及びWy軸の制御を終了して多軸制御を終了することができる。
なお、多軸制御終了のタイミングは、上述のタイミング以外のタイミングであってもよい。具体的には、統合コントローラ301は、工程装置3bから加工作業終了を示す信号を受信した後に多軸制御を終了することができる。また、統合コントローラ301は、可動子101のローラ60がガイドレール50に接触したタイミングで多軸制御を終了してインピーダンス制御を開始することができる。また、統合コントローラ301は、可動子101のローラ60がガイドレール50に接触したタイミングで多軸制御により可動子101の位置及び姿勢を所定の位置及び姿勢に制御し、その後多軸制御を終了して1軸制御を開始することができる。また、統合コントローラ301は、ガイドレール50への接触をトリガーとせずに、記憶装置等の予め記憶されたX方向の位置に可動子101が到達したらインピーダンス制御を開始し又は多軸制御を終了して1軸制御を開始することができる。
上述のようにして、統合コントローラ301は、複数のコイル202に印加する電流の電流指令値を決定して可動子101を制御する。これにより、統合コントローラ301は、1軸制御区間21においてはX軸の制御により可動子101の搬送を制御し、多軸制御区間22においてはX軸、Z軸及びWy軸の制御により可動子101の搬送及び姿勢を制御することができる。
このように、統合コントローラ301は、可動子101の位置及び姿勢を制御する制御部として機能し、固定子201上における可動子101の位置及び姿勢を制御する。なお、制御部としての統合コントローラ301の機能の全部又は一部は、コイルコントローラ302その他の制御装置により代替されうる。
以上のとおり、本実施形態によれば、1軸制御区間21において可動子101に対して1軸の力成分(Tx)を印加することができる。さらに、多軸制御区間22において可動子101に対して3軸の力成分及びトルク成分(Tx,Tz,Twy)を独立して印加することができる。このため、本実施形態によれば、同一の搬送路10上に工程装置3の必要とする加工軸に対応したセンサを設置することで、1軸制御区間21と多軸制御区間22とを設けることができる。すなわち、同一の搬送路10内に各工程に必要な加工軸に相当する制御軸を備えた搬送システム1を提供することができる。
なお、本実施形態では3軸の力成分及びトルク成分(Tx,Tz,Twy)を可動子101に印加する場合について説明したが、これに限定されるものではない。可動子101の大きさが小さく、Wy方向の姿勢を無視しうる場合、多軸制御区間22において可動子101に対して2軸の力成分及びトルク成分(Tx,Tz)を独立して印加するように搬送システム1を構成することもできる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による搬送システムについて図5A乃至図6Bを用いて説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
本実施形態による搬送システム1の構成は、第1実施形態による搬送システム1の構成と基本的に同様である。本実施形態による搬送システム1は、多軸制御区間22においてZセンサ206の代わりにYセンサ205を使用し、X軸、Y軸及びWz軸の制御を行う点で第1実施形態による搬送システム1とは異なっている。また、本実施形態による搬送システム1は、可動子101がY軸制御用の永久磁石40を具備している点で第1実施形態による搬送システム1とは異なっている。また、本実施形態による搬送システム1は、多軸制御区間22において多軸用ガイドレール51が設けられている点で第1実施形態による搬送システム1とは異なっている。さらに、本実施形態による搬送システム1は、統合コントローラ301において姿勢目標値及び多軸制御終了位置を記憶して保持するための記憶部が設けられている点で第1実施形態による搬送システム1とは異なっている。
まず、本実施形態による搬送システム1における可動子101について図5A乃至図5Cを用いて説明する。図5Aは可動子101及び固定子201を含む搬送システム1をZ方向の正側から見た図、図5Bは可動子101及び固定子201を含む搬送システム1をX方向の正側から見た図、図5Cは可動子101をZ方向の負側から見た図である。
本実施形態では、可動子101は、第1実施形態による永久磁石40に加えて、永久磁石40aR、40dR、40aL、40dLを有している。永久磁石40aR、40dR、40aL、40dLは、可動子101の下面に取り付けられて設置されている。
永久磁石40aR、40dR、40aL、40dLは、可動子101の下面のL側端部及びR側端部にX方向に沿った2列配置されている。具体的には、可動子101の下面のR側端部に、ヨーク107を介して永久磁石40aR、40dRが取り付けられている。また、可動子101の下面のL側端部に、ヨーク107を介して永久磁石40aL、40dLが取り付けられている。
永久磁石40aR、40dRは、可動子101のX方向に沿った下面のR側におけるX方向の一方の端部及び他方の端部に取り付けられている。永久磁石40bR、40cRは、可動子101の下面のR側の永久磁石40aR、40dRの間に取り付けられている。永久磁石40aR、40bR、40cR、40dRは、例えば、X方向に等ピッチに配置されている。また、永久磁石40aR、40bR、40cR、40dRは、それぞれの中心が、例えば可動子101の下面の中心からR側に距離rx3だけ離れてX方向に沿って直線上に並ぶように配置されている。
永久磁石40aL、40dLは、可動子101のX方向に沿った下面のL側におけるX方向の一方の端部及び他方の端部に取り付けられている。永久磁石40bL、40cLは、可動子101の下面のL側の永久磁石40aL、40dLの間に取り付けられている。永久磁石40aL、40bL、40cL、40dLは、例えば、X方向に等ピッチに配置されている。また、永久磁石40aL、40bL、40cL、40dLは、それぞれの中心が、例えば可動子101の下面の中心からL側に距離rx3だけ離れてX方向に沿って直線上に並ぶように配置されている。さらに、永久磁石40aL、40bL、40cL、40dLは、X方向においてそれぞれ永久磁石40aR、40bR、40cR、40dRと同位置に配置されている。
永久磁石40a、40dは、それぞれ可動子101の中心である原点OからX方向の一方及び他方の側に距離rz3だけ離れた位置に取り付けられている。永久磁石40a、40b、40c、40dは、それぞれ原点OからY方向に距離rx3だけ離れた位置に取り付けられている。永久磁石40c、40bは、それぞれ原点OからX方向の一方及び他方の側に距離ry3だけ離れた位置に取り付けられている。
永久磁石40aR、40dR、40aL、40dLは、それぞれY方向に沿って配置された2個の永久磁石のセットである。永久磁石40a、40dは、それぞれ、固定子201側を向く外側の磁極の極性が交互に異なるように2個の永久磁石がY方向に沿って並べられて構成されたものである。なお、永久磁石40a、40dを構成するY方向に沿って配置された永久磁石の数は、2個に限定されるものではなく、複数個であればよい。また、永久磁石40a、40dを構成する永久磁石が配置される方向は、必ずしも搬送方向であるX方向と直交するY方向である必要はなく、X方向と交差する方向であればよい。すなわち、永久磁石40a、40dは、それぞれ磁極の極性が交互になるようにX方向と交差する方向に沿って配置された複数の永久磁石からなる磁石群であればよい。
固定子201の第2の部分2012に沿って搬送される可動子101は、リニアスケール104と、Yターゲット105とを有している。Yターゲット105は、可動子101の側面部にX方向に沿って取り付けられている。
次に、本実施形態による搬送システム1における固定子201について5A乃至図5Cを用いて説明する。
固定子201は、第1実施形態と同様に、1軸制御区間21を構成する固定子201の第1の部分2011と、多軸制御区間22を構成する固定子201の第2の部分2012とを含んでいる。1軸制御区間21である固定子201の第1の部分2011には、第1実施形態と同様にガイドレール50が設置されている。多軸制御区間22である固定子201の第2の部分2012には、ガイドレール50と、多軸用ガイドレール51とが設置されている。多軸制御区間22の1軸制御区間21側の両端には、1軸制御区間21と同様のガイドレール50が設置されている。
多軸制御区間22の多軸用ガイドレール51は、ガイドレール50の間に設置されている。多軸用ガイドレール51は、可動子101がX方向及びY方向に移動可能なガイド部である。多軸用ガイドレール51は、Y方向に可動子101が移動可能なようにガイドレール50よりY方向に細くなっている。
多軸制御区間22の両端に設置されたガイドレール50は、1軸制御区間21のガイドレール50と一体的に接続されている。また、多軸制御区間22の両端に設置されたガイドレール50は、最低2つのYセンサ205が同一の可動子101を検出可能になるX方向の位置まで設置されている。
また、固定子201は、複数のコイル202と、複数のリニアエンコーダ204とを有している。固定子201のうち、多軸制御区間22を構成する固定子201の第2の部分2012は、X軸制御以外の制御に必要な複数のYセンサ205を有している。
複数のコイル202は、可動子101の下面のR側及びL側の永久磁石40と対向可能なように、X方向に沿って2列に配置されて固定子201に取り付けられている。R側において1列に配置された複数のコイル202は、可動子101のR側の永久磁石40aR、40bR、40cR、40dRと対向可能にX方向に沿って配置されている。また、L側において1列に配置された複数のコイル202は、可動子101のL側の永久磁石40aL、40bL、40cL、40dRと対向可能にX方向に沿って配置されている。
リニアエンコーダ204及びYセンサ205は、搬送方向であるX方向に沿って移動する可動子101の位置及び姿勢を検出する検出部として機能する。複数のYセンサ205は、それぞれ可動子101のYターゲット105と対向可能なようにX方向に沿って固定子201の第2の部分2012に取り付けられて設置されている。各Yセンサ205は、可動子101のY方向の位置、すなわち可動子101に取り付けられたYターゲット105との間のY方向の相対距離を検出して出力することができる。統合コントローラ301は、リニアエンコーダ204の検出情報である可動子101のX方向の位置及びYセンサ205の検出情報である可動子101のY方向の位置に基づいて可動子101の位置及び/又は姿勢を制御することができる。
本実施形態では、可動子101のR側及びL側のコイル202の列が、それぞれ、互いに構成する複数の永久磁石の配置方向が異なる永久磁石40a、40d及び永久磁石40b、40cに対向可能に配置されている。このため、少ない列数のコイル202で、後述するように可動子101に対して搬送方向及び搬送方向とは異なる力を印加することができ、よって可動子101の搬送制御及び姿勢制御を実現することができる。
次に、統合コントローラ301により実行される可動子101の姿勢制御方法について図6A及び図6Bを用いて説明する。
本実施形態による姿勢制御方法は、多軸制御区間22において、Zセンサ206の代わりにYセンサ205を使用し、X軸、Y軸及びWz軸の制御を行う点で第1実施形態による姿勢制御方法とは異なっている。具体的には、可動子姿勢算出関数402、可動子姿勢制御関数403及びコイル電流算出関数404による処理、並びに印加力情報408に関する処理が異なっている。
図6Aは、本実施形態による搬送システム1における可動子101の姿勢制御方法を示す概略図である。図6Aは、図3Aと同様に、可動子101の姿勢制御方法の概略について主にそのデータの流れに着目して示している。本実施形態でも、統合コントローラ301は、可動子位置算出関数401、可動子姿勢算出関数402、可動子姿勢制御関数403及びコイル電流算出関数404を用いた処理を実行して、可動子101の姿勢を制御しつつ、可動子101の搬送を制御する。
可動子姿勢算出関数402は、可動子位置算出関数401により第1実施形態と同様に更新された可動子情報406aの可動子位置情報(X)から、各々の可動子101を測定可能なYセンサ205を特定する。
次いで、可動子姿勢算出関数402は、特定されたYセンサ205から出力される値に基づき、各々の可動子101の姿勢に関する情報である姿勢情報(Y,Wz)を算出して可動子情報406aを更新して可動子情報406bを得る。可動子姿勢算出関数402により更新された可動子情報406bは、可動子位置情報(X)及び姿勢情報(Y,Wz)を含んでいる。
次いで、可動子姿勢制御関数403は、可動子位置情報(X)及び姿勢情報(Y,Wz)を含む現在の可動子情報406b及び姿勢目標値から、各々の可動子101について印加力情報408を算出する。印加力情報408は、各々の可動子101に印加すべき力の大きさに関する情報である。本実施形態では、印加力情報408は、後述する印加すべき力Tの力の2軸成分(Tx,Ty)及びトルクの1軸成分(Twz)に関する情報を含んでいる。
ここで、力の2軸成分であるTx、Tyは、それぞれ力のX方向成分、Y方向成分である。また、トルクの1軸成分であるTwzは、Z軸周り成分である。本実施形態による搬送システム1は、これら力Tの3軸成分(Tx,Ty,Twz)を制御することにより、1軸制御区間21では可動子101の位置を制御し、多軸制御区間22では可動子101の位置及び姿勢を制御しつつ、可動子101の搬送を制御する。具体的には、搬送システム1は、1軸制御区間21ではTxを制御して可動子101の搬送を制御し、多軸制御区間22ではTx,Ty,Twzを制御して可動子101の位置及び姿勢を制御しつつ、可動子101の搬送を制御する。このとき、1軸制御区間21における可動子101を制御する可動子姿勢制御関数403は、姿勢情報(Y,Wz)を必要とせず、可動子位置情報(X)の目標値から可動子101について印加力情報408を算出する。この場合、印加力情報408は、印加すべき力Tの力の1軸成分(Tx)に関する情報を含んでいる。
コイル電流算出関数404は、印加力情報408及び可動子情報406bに基づき、各コイル202に印加する電流指令値409を決定する。
ここで、可動子姿勢算出関数402による処理について図6Bを用いて説明する。図6Bは、可動子姿勢算出関数402による処理を説明する概略図である。
図6Bでは、可動子101として可動子101cが搬送され、Yセンサ205としてYセンサ205a、205bが配置されている場合を示している。図6Bに示す可動子101cのYターゲット105には、2つのYセンサ205a、205bが対向している。2つのYセンサ205a、205bが出力する相対距離の値をそれぞれYa、Ybとし、Yセンサ205a、205b間の間隔がLyの場合、可動子101cのZ軸周りの回転量Wzは、次式(4c)により算出される。
Wz=(Ya-Yb)/Ly …式(4c)
なお、可動子101の位置によっては3つ以上のYセンサ205が対向する場合もありうる。その場合、最小二乗法等を使ってYターゲット105の傾き、すなわちZ軸周りの回転量Wzを算出することができる。
また、可動子姿勢算出関数402は、次のようにして可動子101の姿勢情報として可動子101のY方向の位置Yを算出することができる。可動子101のY方向の位置Yの算出について図6Bを用いて説明する。図6Bにおいて、Yセンサ205aの位置とYセンサ205bの位置との中点をOe′とする。さらに、式(1)~(3)で得られた可動子101cの位置をOs′とし、Oe′からOs′までの距離をdX′とする。このとき、可動子101cのY方向の位置Yは、次式(5b)により近似的に計算して算出することができる。
Y=(Ya+Yb)/2-Wz*dX′ …式(5b)
なお、位置YはWzの回転量が大きい場合には、さらに近似の精度を高めて算出することができる。
次に、コイル電流算出関数404による処理について図5Cを用いて説明する。
R側の永久磁石40に働く力の表記は、それぞれ次のとおりである。
FxfR:R側の永久磁石40bRのX方向に働く力
FyfR:R側の永久磁石40aRのY方向に働く力
FxbR:R側の永久磁石40cRのX方向に働く力
FybR:R側の永久磁石40dRのY方向に働く力
L側の永久磁石40に働く力の表記は、それぞれ次のとおりである。
FxfL:L側の永久磁石40bLのX方向に働く力
FyfL:L側の永久磁石40aLのY方向に働く力
FxbL:L側の永久磁石40cLのX方向に働く力
FybL:L側の永久磁石40dLのY方向に働く力
また、可動子101に対して印加される力Tを次式(6b)により表記する。なお、Tx、Tyは、力の2軸成分であり、それぞれ力のX方向成分、Y方向成分である。また、Twzは、モーメントの1軸成分であり、Z軸周り成分である。本実施形態による搬送システム1は、これら力Tの3軸成分(Tx,Ty,Twz)を制御することにより、1軸制御区間21において可動子101の搬送を制御し、多軸制御区間22において可動子101の位置及び姿勢の3軸成分及び搬送を制御する。
T=(Tx,Ty,Twz) …式(6b)
すると、Tx、Ty、Twzは、それぞれ次式(7a)、(7b)及び(7f)により算出される。
Tx=FxfR+FxbR+FxfL+FxbL …式(7a)
Ty=FyfL+FyfR+FybL+FybR …式(7b)
Twz={(FyfL+FyfR)-(FybL+FybR)}*rz3 …式(7f)
このとき、永久磁石40に働く力については、次式(7g)、(7h)及び(7i)により表される制限を導入することができる。これらの制限を導入することにより、所定の6軸成分を有する力Tを得るための各永久磁石40に働く力の組み合わせを一意に決定することができる。
FxfR=FxbR=FxfL=FxbL …式(7g)
FyfL=FyfR …式(7h)
FybL=FybR …式(7i)
次に、コイル電流算出関数404が、各永久磁石40に働く力から各コイル202に印加する電流量を決定する方法について説明する。本実施形態では、N極及びS極の極性がZ方向に交互に並んだ永久磁石40a、40dにY方向の力を印加する場合について説明する。なお、コイル202は、そのY方向の中心が永久磁石40a、40dのY方向の中心に位置するように配置されている。これにより、永久磁石40a、40dに対してX方向及びZ方向に働く力は、殆ど発生しないようになっている。
Xを可動子101の位置、jを列に並んだコイル202の番号として、単位電流当たりのコイル202(j)のY方向に働く力の大きさをFy(j、X)とし、コイル202(j)に印加する電流をi(j)とする。なお、コイル202(j)は、j番目のコイル202である。この場合、電流i(j)は、次式(8b)を満足するように決定することができる。なお、次式(8b)は、永久磁石40dRについての式である。他の永久磁石40aR、40aL、40dLについても同様にしてコイル202に印加する電流を決定することができる。
ΣFy(j、X)*i(j)=FybR …式(8b)
コイル電流算出関数404は、上述のようにしてコイル202(j)に印加する電流指令値を決定することができる。こうして決定される電流指令値により可動子101に印加されるY方向の力により、可動子101は、Y方向に姿勢が制御される。
なお、複数のコイル202が永久磁石40に力を及ぼす場合には、各コイル202が及ぼす力に応じて単位電流当たりの力の大きさで電流を按分することにより、永久磁石40に働く力を一意に決定することができる。
統合コントローラ301は、上述のように可動子101に印加する力の3軸成分(Tx、Ty、Twz)を制御することにより、1軸制御区間21及び多軸制御区間22において、可動子101の位置及び姿勢を制御することができる。すなわち、統合コントローラ301は、1軸制御区間21において、可動子101のX方向の位置を制御することができる。また、統合コントローラ301は、多軸制御区間22において、可動子101のX方向の位置(X)を制御するほか、Y方向の姿勢(Y)及びWz方向の姿勢(Wz)のうちの少なくとも一方を適宜制御することができる。
次に、1軸制御区間21から多軸制御区間22へ可動子101が搬送される際の多軸制御開始について説明する。
統合コントローラ301は、可動子101が多軸制御区間22に進入してその可動子101の姿勢を算出できたタイミングで多軸制御を開始することができる。本実施形態では、具体的には、統合コントローラ301は、最低2つのYセンサ205が同一の可動子101を検出した段階で、その可動子101についてX軸の制御に加えてX軸以外のY軸及びWz軸の制御を開始することができる。
多軸制御を開始する際、統合コントローラ301は、可動子101について検出された姿勢(Y,Wz)を姿勢の目標値として扱うことができる。これにより、可動子101のX軸以外の姿勢(Y,Wz)を維持したまま可動子101を搬送することができる。
なお、本実施形態でも、多軸制御開始のタイミングは、多軸制御区間22に可動子101が進入した直後の姿勢を算出することができたタイミングに限定されるものではない。多軸制御開始のタイミングは、多軸制御区間22内で位置及び姿勢を算出することができるタイミングであればよい。
また、本実施形態でも、統合コントローラ301は、工程装置3bによりワーク102を加工するために可動子101を停止すべき停止位置まで可動子101搬送された後に多軸制御を開始することもできる。この場合、統合コントローラ301は、工程装置3bが必要とする可動子101の動作を実現する電流指令値をコイルコントローラ302に送信し、工程装置3bによる加工に応じて可動子101の位置及び姿勢を制御することができる。
次に、多軸制御区間22から1軸制御区間21へ可動子101が搬送される際の多軸制御終了について説明する。
統合コントローラ301は、可動子101が1軸制御区間21に進入して可動子101の姿勢を算出できなくなったタイミングで多軸制御を終了することができる。本実施形態では、具体的には、統合コントローラ301は、同一の可動子101を検出するYセンサ205の数が2つから1つに変化したタイミングでY軸及びWz軸の制御を終了して多軸制御を終了することができる。
なお、多軸制御終了のタイミングは、上述のタイミング以外のタイミングであってもよい。多軸制御終了のタイミングの他の具体例は、第1実施形態において説明したとおりである。
以上のとおり、本実施形態によれば、1軸制御区間21において可動子101に対して1軸の力成分(Tx)を印加することができる。さらに、多軸制御区間22において可動子101に対して3軸の力成分及びトルク成分(Tx,Ty,Twz)を独立して印加することができる。このため、本実施形態によれば、同一の搬送路10上に工程装置3が必要とする加工軸に対応したセンサを設置することで、1軸制御区間21と多軸制御区間22とを設けることができる。すなわち、同一の搬送路10内に各工程に必要な加工軸に相当する制御軸を備えた搬送システム1を提供することができる。
なお、本実施形態では3軸の力成分及びトルク成分(Tx,Ty,Twz)を可動子101に印加する場合について説明したが、これに限定されるものではない。可動子101の大きさが小さく、Wz方向の姿勢を無視しうる場合、多軸制御区間22において可動子101に対して2軸の力成分及びトルク成分(Tx,Ty)を独立して印加するように搬送システム1を構成することもできる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による搬送システムについて図7A乃至図8を用いて説明する。なお、上記第1及び第2実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
本実施形態による搬送システム1の構成は、第2実施形態による搬送システム1の構成と基本的に同様である。本実施形態による搬送システム1は、多軸制御区間22において固定子201の第2の部分2012が有するYセンサ205及びZセンサ206を使用し、X軸、Y軸、Z軸、Wx軸、Wy軸及びWz軸の制御を行い浮上搬送する点で第2実施形態による搬送システム1とは異なっている。また、可動子101及び固定子201の構成の一部の点で第2実施形態による搬送システム1とは異なっている。また、1軸制御区間21においてのガイドレール50及び多軸制御区間22においての多軸用ガイドレール51の形状の点で第2実施形態による搬送システム1とは異なっている。
まず、本実施形態による搬送システム1における可動子101について図7A乃至図7Cを用いて説明する。図7Aは可動子101及び固定子201を含む搬送システム1をZ方向の正側から見た図、図7Bは可動子101及び固定子201を含む搬送システム1をX方向の正側から見た図、図7Cは可動子101をZ方向の負側から見た図である。
可動子101は、Z方向の負側の面である下面において、固定子201に設置されたガイドレール50に沿って走行可能なローラ60が取り付けられて設置されている。ローラ60は、例えば、ガイドレール50の両側の側面に接触してY方向及びZ方向に固定されつつガイドレール50に沿って走行可能に構成されている。また、ローラ60は、多軸用ガイドレール51aによりY方向及びZ方向の移動が所定の範囲に記載されるように構成されている。
可動子101は、第2実施形態と同様の複数の永久磁石40を有している。
具体的には、可動子101の下面のR側に、永久磁石40aR、40bR、40cR、40dRが取り付けられている。また、可動子101の下面のL側に、永久磁石40aL、40bL、40cL、40dLが取り付けられている。
固定子201に沿って搬送される可動子101は、リニアスケール104と、Yターゲット105と、Zターゲット106とを有している。リニアスケール104及びYターゲット105は、可動子101の側面にそれぞれ取り付けられて設置されている。Zターゲット106は、可動子101の底部にX方向に沿って取り付けられて設置されている。統合コントローラ301は、それぞれリニアエンコーダ204、Yセンサ205及びZセンサ206の検出情報である可動子101のX方向の位置、Y方向の位置及びZ方向の位置に基づいて可動子101の位置及び/又は姿勢を制御することができる。
次に、本実施形態による搬送システム1における固定子201について図7A乃至図7Cを用いて説明する。
固定子201は、第2実施形態と同様に、1軸制御区間21を構成する固定子201の第1の部分2011と、多軸制御区間22を構成する固定子201の第2の部分2012とを含んでいる。1軸制御区間21である固定子201の第1の部分2011には、第2実施形態と同様にガイドレール50が設置されている。多軸制御区間22である固定子201の第2の部分2012には、ガイドレール50と、多軸用ガイドレール51aとが設置されている。多軸制御区間22の1軸制御区間21側の両端には、1軸制御区間21と同様のガイドレール50が設置されている。
多軸制御区間22の多軸用ガイドレール51aは、ガイドレール50の間に設置されている。また、多軸用ガイドレール51aは、Y方向及びZ方向に可動子101が移動可能なようにガイドレール50よりY方向及びZ方向に細くなっている。
多軸制御区間22の両端に設置されたガイドレール50は、1軸制御区間21のガイドレール50と一体的に接続されている。また、多軸制御区間22の両端に設置されたガイドレール50は、最低2つのYセンサ205及び最低3つのZセンサ206が同一の可動子101を検出可能になるX方向の位置まで設置されている。
固定子201は、複数のコイル202と、複数のリニアエンコーダ204とを有している。固定子201のうち、多軸制御区間22を構成する固定子201の第2の部分2012は、X軸制御以外の制御に必要な複数のYセンサ205及び複数のZセンサ206を有している。
複数のコイル202は、第2実施形態と同様に、可動子101の下面のR側及びL側の永久磁石40と対向可能なようにX方向に沿って2列に配置されて固定子201に取り付けられている。
リニアエンコーダ204、Yセンサ205及びZセンサ206は、搬送方向であるX方向に沿って移動する可動子101の位置及び姿勢を検出する検出部として機能する。
複数のYセンサ205は、それぞれ可動子101のYターゲット105と対向可能なようにX方向に沿って固定子201に取り付けられて設置されている。各Yセンサ205は、可動子101に取り付けられたYターゲット105との間のY方向の相対距離を検出して出力することができる。
複数のZセンサ206は、それぞれ可動子101のZターゲット106と対向可能なようにX方向に沿って固定子201に取り付けられて設置されている。各Zセンサ206は、可動子101に取り付けられたZターゲット106との間のZ方向の距離を検出可能なように固定子201に取り付けられて設置されている。
次に、統合コントローラ301により実行される可動子101の姿勢制御方法について図8を用いて説明する。
本実施形態による姿勢制御方法は、多軸制御区間22において、Yセンサ205及びZセンサ206を使用し、X軸、Y軸、Z軸、Wx軸、Wy軸及びWz軸の制御を行う点で第2実施形態による姿勢制御方法とは異なっている。具体的には、可動子姿勢算出関数402、可動子姿勢制御関数403及びコイル電流算出関数404による処理、並びに印加力情報408に関する処理が異なっている。
図8は、本実施形態による搬送システム1における可動子101の姿勢制御方法を示す概略図である。図8は、図3A及び図6Aと同様に、可動子101の姿勢制御方法の概略について主にそのデータの流れに着目して示している。本実施形態でも、統合コントローラ301は、可動子位置算出関数401、可動子姿勢算出関数402、可動子姿勢制御関数403及びコイル電流算出関数404を用いた処理を実行して、可動子101の姿勢を制御しつつ、可動子101の搬送を制御する。
可動子姿勢算出関数402は、可動子位置算出関数401により第1実施形態と同様に更新された可動子情報406aの可動子位置情報(X)から、各々の可動子101を測定可能なYセンサ205及びZセンサ206を特定する。
次いで、可動子姿勢算出関数402は、特定されたYセンサ205及びZセンサ206から出力される値に基づき、各々の可動子101の姿勢に関する情報である姿勢情報(Y,Z,Wx、Wy,Wz)を算出する。これにより、可動子姿勢算出関数402は、可動子情報406aを更新して可動子情報406bを得る。可動子姿勢算出関数402により更新された可動子情報406bは、可動子位置情報(X)及び姿勢情報(Y,Z,Wx,Wy,Wz)を含んでいる。
次いで、可動子姿勢制御関数403は、可動子位置情報(X)及び姿勢情報(Y,Z,Wx、Wy,Wz)を含む現在の可動子情報406b及び姿勢目標値から、各々の可動子101について印加力情報408を算出する。印加力情報408は、各々の可動子101に印加すべき力の大きさに関する情報である。本実施形態では、印加力情報408は、後述する印加すべき力Tの力の3軸成分(Tx,Ty,Tz)及びトルクの3軸成分(Twx,Twy,Twz)に関する情報を含んでいる。
ここで、力の3軸成分であるTx、Ty、Tzは、それぞれ力のX方向成分、Y方向成分、Z方向成分である。また、トルクの3軸成分であるTwx、Twy、Twzは、それぞれX軸周り成分、Y軸周り成分、Z軸周り成分である。本実施形態による搬送システム1は、これら力Tの6軸成分(Tx,Ty,Tz,Twx,Twy,Twz)を制御する。これにより、搬送システム1は、1軸制御区間21では可動子101の位置を制御し、多軸制御区間22では可動子101の位置及び姿勢を制御しつつ、可動子101の搬送を制御する。具体的には、搬送システム1は、1軸制御区間21ではTxを制御して可動子101の搬送を制御し、多軸制御区間22ではTx,Ty,Tz,Twx,Twy,Twzを制御して可動子101の位置及び姿勢を制御しつつ、可動子101の搬送を制御する。このとき、1軸制御区間21における可動子101を制御する可動子姿勢制御関数403は、姿勢情報(Y,Z,Wx、Wy,Wz)を必要とせず、可動子位置情報(X)の目標値から可動子101について印加力情報408を算出する。この場合、印加力情報408は、印加すべき力Tの力の1軸成分(Tx)に関する情報を含んでいる。
可動子姿勢算出関数402は、第1及び第2実施形態で説明した同様の算出方法でY、Z、Wy、Wzの姿勢を算出することができる。さらに、回転量Wxは次式(4b)により算出することができる。これにより、可動子姿勢算出関数402は、姿勢情報(Y,Z,Wx,Wy,Wz)を算出できる。
Wx=(Zc-Za)/Lz2 …式(4b)
次に、コイル電流算出関数404による処理について説明する。可動子101に対して印加される力Tを次式(6c)により表記する。なお、Tx、Ty、Tzは、力の3軸成分であり、それぞれ力のX方向成分、Y方向成分及びZ方向成分である。また、Twx、Twy、Twzは、モーメントの3軸成分であり、X軸周り成分、Y軸周り成分及びZ軸周り成分である。本実施形態による搬送システム1は、これら力Tの6軸成分(Tx,Ty,Tz,Twx,Twy,Twz)を制御することにより、可動子101の姿勢を6軸で浮上制御しつつ、可動子101の搬送を制御する。本実施形態でも、搬送システム1は、1軸制御区間21において可動子101の搬送を制御し、多軸制御区間22において可動子101の位置及び姿勢の6軸成分及び搬送を制御する。
T=(Tx,Ty,Tz,Twx,Twy,Twz) …式(6c)
すると、Tx、Ty、Tz、Twx、Twy、Twzは、それぞれ次式(7a)、(7b)、(7c)、(7d)、(7e)及び(7f)により算出される。
Tx=FxfR+FxbR+FxfL+FxbL …式(7a)
Ty=FyfL+FyfR+FybL+FybR …式(7b)
Tz=FzbR+FzbL+FzfR+FzfL …式(7c)
Twx={(FzfL+FzbL)-(FzfR+FzbR)}*rx3 …式(7d)
Twy={(FzfL+FzfR)-(FzbL+FzbR)}*ry3 …式(7e)
Twz={(FyfL+FyfR)-(FybL+FybR)}*rz3 …式(7f)
このとき、永久磁石40に働く力については、次式(7g)、(7h)、(7i)、(7j)及び(7k)により表される制限を導入することができる。これらの制限を導入することにより、所定の6軸成分を有する力Tを得るための各永久磁石40に働く力の組み合わせを一意に決定することができる。
FxfR=FxbR=FxfL=FxbL …式(7g)
FyfL=FyfR …式(7h)
FybL=FybR …式(7i)
FzfR=FzfL …式(7j)
FzbR=FzbL …式(7k)
コイル電流算出関数404は、第1及び第2実施形態で説明した同様の算出方法により各永久磁石103に働く力から各コイル202に印加する電流量を決定することができる。こうして、統合コントローラ301は、複数のコイル202に印加する電流を制御することにより、可動子101に印加する力の6軸成分のそれぞれを制御することができる。
統合コントローラ301は、上述のように可動子101に印加する力の6軸成分(Tx、Ty、Tz、Twx、Twy、Twz)を制御することにより、1軸制御区間21及び多軸制御区間22において、可動子101の位置及び姿勢を制御することができる。すなわち、統合コントローラ301は、1軸制御区間21において、可動子101のX方向の位置を制御することができる。また、統合コントローラ301は、多軸制御区間22において、可動子101のX方向の位置(X)を制御するほか、Y方向及びZ方向の姿勢(Y、Z)並びにWx方向、Wy方向及びWz方向の姿勢(Wx、Wy、Wz)を制御することができる。統合コントローラ301は、多軸制御区間22において、Y方向及びZ方向の姿勢(Y、Z)並びにWx方向、Wy方向及びWz方向の姿勢(Wx、Wy、Wz)のうちの少なくともいずれかを適宜制御することができる。
次に、多軸制御区間22内におけるガイドレール50から多軸用ガイドレール51aへ乗り継ぎを含む、多軸制御区間22へ可動子101が搬送される際の多軸制御(浮上制御)について説明する。
統合コントローラ301は、可動子101が多軸制御区間22に進入してその可動子101の姿勢を算出できたタイミングで多軸制御(浮上制御)を開始することができる。具体的には、統合コントローラ301は、最低2つのYセンサ205及び最低3つのZセンサ206が同一の可動子101を検出した段階で、その可動子101についてX軸の制御に加えてX軸以外のY軸、Z軸、Wx軸、Wy軸及びWz軸の制御を開始する。
多軸制御を開始する際、統合コントローラ301は、可動子101について検出された姿勢(Y,Z,Wx,Wy,Wz)を姿勢の目標値として扱うことができる。これにより、可動子101のX軸以外の姿勢(Y,Z,Wx,Wy,Wz)を維持したまま可動子101を搬送することができる。
このとき、統合コントローラ301は、ガイドレール50により可動子101の姿勢が固定されているとき、すなわち姿勢(Y,Z,Wx,Wy,Wz)がガイドレール50により規制されているときに多軸制御を開始することができる。これにより、多軸制御区間22の多軸用ガイドレール51aに可動子101が進入する前に多軸制御(浮上制御)へ移行することができ、可動子101の位置及び姿勢を高精度に制御することが可能になる。
次に、多軸制御区間22内における多軸用ガイドレール51aからガイドレール50へ乗り継ぎを含む、1軸制御区間21へ可動子101が搬送される際の多軸制御(浮上制御)について説明する。
統合コントローラ301は、工程装置3bでの加工動作終了後の可動子101の停止位置から、多軸制御区間22から1軸制御区間21へ可動子101を搬送する命令を行う際に、X軸以外の軸の制御について制御移行のための準備目標値を指示する。統合コントローラ301は、予め取得した可動子101がガイドレール50上で姿勢が固定されている時の位置及び姿勢の算出位置を、制御移行のための準備目標値として記憶している。これにより、可動子101は、ガイドレール50に衝突することなく多軸用ガイドレール51aからガイドレール50に進入することができる。
統合コントローラ301は、可動子101が多軸制御区間22内のガイドレール50に進入して可動子101の姿勢が固定されたタイミングで多軸制御を終了することができる。具体的には、統合コントローラ301は、予め多軸制御(浮上制御)を終了するX方向の位置である終了位置を記憶しておき、その位置を可動子101が通過したタイミングで多軸制御を終了することができる。
以上のとおり、本実施形態によれば、1軸制御区間21において可動子101に対して1軸のX軸を制御することができる。さらに、多軸制御区間22において可動子101に対して6軸(X軸、Y軸、Z軸及びWx軸、Wy軸、Wz軸)すべてを制御(浮上制御)することができる。このため、本実施形態によれば、同一の搬送路10上に工程装置3の必要とする加工軸に対応したセンサを設置し、多軸用ガイドレール51aを多軸制御区間22に設置することで、1軸制御区間21と多軸制御区間22を設けることができる。すなわち、同一の搬送路10内に各工程に必要な加工軸に相当する制御軸を備えた搬送システム1を提供することができる。
なお、多軸制御区間22の多軸用ガイドレール51aとしては、図7Dに示す形状を有するガイドレール51bを用いることもできる。ガイドレール51bは、Y方向及びZ方向に両側のローラ60a及び60bを支持可能にY方向の両側に突出した凸状部511bを有している。多軸制御区間22においてガイドレール51bによりY方向及びZ方向に可動子101が支持されているため、6軸の加工動作が必要とされる工程装置3bの加工位置までY軸、Z軸及びWy軸の制御を行わなくてもよい。この場合、工程装置3bの加工位置に可動子101が到着した後から6軸制御の浮上制御を開始することができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による搬送システムについて図9A乃至図10を用いて説明する。なお、上記第3実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
本実施形態による搬送システム1の構成は、第3実施形態による搬送システム1の構成と基本的に同様である。本実施形態による搬送システム1は、多軸制御区間22において固定子201の第2の部分2012に多軸用ガイドレール51aが設置されていない点で第3実施形態による搬送システム1とは異なっている。また、本実施形態による搬送システム1は、ガイドレール50に対して進入補助部材500が設置されている点で第3実施形態による搬送システム1とは異なっている。
なお、第1及び第2実施形態による搬送システム1においても、本実施形態による搬送システム1と同様に多軸用ガイドレール51が設置されておらず、ガイドレール50に対して進入補助部材500が設置されている構成を採用することもできる。
本実施形態による搬送システム1における固定子201について図9A乃至図9Cを用いて説明する。図9Aは可動子101及び固定子201を含む搬送システム1をZ方向の正側から見た図、図9Bは可動子101及び固定子201を含む搬送システム1をX方向の正側から見た図、図9Cは進入補助部材500をX方向の正側から見た図である。
固定子201の第1の部分2011には、1軸用のガイドレール50のみが設置されている。多軸制御区間22に設置されているガイドレール50の切れ目であるガイドレール50の端部には、進入補助部材500が設置されている。
進入補助部材500は、図9Cに示すように可動子101のローラ60のガイドレール50に対しての進入を補助するため、角を切り落とした加工がされている。これにより、多軸制御区間22内から可動子101がガイドレール50へ乗り継ぎ、1軸制御区間21へ可動子101が搬送される際、制御移行のための準備目標値の値がずれていても、進入補助部材500を介してスムーズに乗り継ぐことができる。また、進入補助部材500に可動子101が進入した際にインピーダンス制御を行ってもよい。これにより進入補助部材500から受ける力を弱めガイドレール50への進入をスムーズにすることができる。
以上のとおり、本実施形態によれば、多軸用ガイドレール51aが設置されていなくても、1軸制御区間21において可動子101に対して1軸のX軸を制御することができる。さらに、多軸制御区間22において可動子101に対してX軸、Y軸、Z軸、Wx軸、Wy軸及びWz軸の6軸すべてを制御(浮上制御)して可動子101を搬送することができる。このため、本実施形態によれば、同一の搬送路10上に1軸制御区間21と多軸制御区間22とを設けることができる。すなわち、同一の搬送路10内に各工程に必要な加工軸に相当する制御軸を備えた搬送システム1を提供することができる。
なお、上記第3実施形態で使用した多軸制御区間22内の多軸用ガイドレール51aと進入補助部材500を用いて図10に示す形態をとってもよい。この場合、進入補助部材500は、多軸用ガイドレール51aとガイドレール50との間に多軸用ガイドレール51aの端からガイドレール50の端を繋ぐように設置されている。進入補助部材500の長さは、X方向に自由に変えて設置してもよい。その時の進入補助部材500の形状は、多軸用ガイドレール51aの端からガイドレール50の端の頂点を結んだ線を外形線とする形状とすることができる。
また、多軸制御は、第3実施形態のタイミングで終了しなくてもよい。統合コントローラ301は、可動子101が多軸制御区間22内の多軸用ガイドレール51a又は進入補助部材500の位置に到達したタイミングで多軸制御を終了することもできる。具体的には、統合コントローラ301は、多軸用ガイドレール51a又は進入補助部材500に対して可動子101のローラ60が接地する位置へ移動した後、X軸以外の制御を終了することができる。これにより、可動子101のローラ60は進入補助部材500の形状に沿ってX方向に移動することができ、多軸制御区間22と1軸制御区間21とを乗り継ぐことができる。これにより、同一の搬送路10内に各工程に必要な加工軸に相当する制御軸を備えた搬送システム1を提供することができる。
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、可動子101に永久磁石40、固定子201にコイル202のムービングマグネット型のリニアモータにより搬送システム1を構成した場合について説明したが、これに限定されるものではない。搬送システム1は、固定子201に永久磁石40、可動子101にコイル202を配置したムービングコイル型のリニアモータにより構成することもできる。
以上、本発明による搬送システムを実施例1から実施例4で述べた。本発明による搬送システムは、電子機器等の物品を製造する製造システムにおいて、物品となるワークに対して各作業工程を実施する工作機械等の各工程装置の作業領域にワークを可動子とともに搬送する搬送システムとして利用することができる。作業工程を実施する工程装置は、ワークに対して部品の組み付けを実施する装置、塗装を実施する装置等、あらゆる装置であってよい。また、製造される物品も特定のものに限定されるものではなく、あらゆる部品であってよい。
このように、本発明による搬送システムを用いて、同一搬送路内に各工程に必要な加工軸に相当する制御軸を備えた搬送システムを提供することができる。
1 搬送システム
3 工程装置
10 搬送路
21 1軸制御区間
22 多軸制御区間
40 永久磁石
50 ガイドレール
51 多軸用ガイドレール
60 ローラ
101 可動子
102 ワーク
104 リニアスケール
105 Yターゲット
106 Zターゲット
107 ヨーク
201 固定子
202 コイル
204 リニアエンコーダ
205 Yセンサ
206 Zセンサ
301 統合コントローラ
302 コイルコントローラ
304 センサコントローラ
500 進入補助部材

Claims (12)

  1. 可動子と、
    前記可動子が搬送される、固定子の第1の部分を有する第1の搬送部と、
    前記第1の搬送部と隣接し、前記可動子が搬送される、前記固定子の第2の部分を有する第2の搬送部と、
    前記可動子の位置及び/又は姿勢を制御可能な制御部と、を有し、
    前記第1の部分は、前記可動子が第1の方向に移動可能な第1のガイド部と、前記可動子の前記第1の方向の位置を検出する第1の検出部と、を有し、
    前記第2の部分は、前記可動子の前記第1の方向と交差する第2の方向の位置を検出する第2の検出部を有し、
    前記制御部は、前記第1の搬送部において、前記第1の検出部の検出情報に基づいて、前記可動子の前記第1の方向の位置を制御し、
    前記制御部は、前記第2の搬送部において、前記第1の検出部の検出情報及び前記第2の検出部の検出情報に基づいて、前記可動子の前記第1の方向の位置を制御し、前記可動子の前記第2の方向の位置及び/又は前記第1の方向及び前記第2の方向と交差する第3の方向に沿った軸周りの回転量を制御する
    ことを特徴とする搬送システム。
  2. 前記第2の部分は、前記可動子の前記第3の方向の位置を検出する第3の検出部を有し、
    前記制御部は、前記第2の搬送部において、前記第1の検出部の検出情報、前記第2の検出部の検出情報及び前記第3の検出部の検出情報に基づいて、前記可動子の前記第1の方向の位置を制御し、前記可動子の前記第2の方向の位置、前記可動子の前記第3の方向の位置、前記第1の方向に沿った軸周りの回転量、前記第2の方向に沿った軸周りの回転量及び/又は前記第3の方向に沿った軸周り回転量を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
  3. 前記第2の部分は、前記可動子の前記第1の方向の位置を検出する第4の検出部を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送システム。
  4. 前記制御部は、前記可動子が前記第2の搬送部に進入したときに、前記可動子の前記第2の方向の位置及び/又は前記第3の方向に沿った軸周りの回転量の制御を開始する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の搬送システム。
  5. 前記第2の部分は、前記可動子が前記第1の方向及び前記第2の方向へ移動可能な第2のガイド部を有する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の搬送システム。
  6. 前記可動子は、前記第2の搬送部から前記第1の搬送部に移動し、
    前記第2の部分は、前記可動子が移動するガイド部を有しない
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の搬送システム。
  7. 前記第2の部分は、前記可動子の前記第1のガイド部への進入を補助する部材を有する
    ことを特徴とする請求項6に記載の搬送システム。
  8. 前記可動子は、前記第2の搬送部から前記第1の搬送部に移動し、
    前記第2の部分は、前記第2のガイド部から前記第1のガイド部への進入を補助する部材を有する
    ことを特徴とする請求項5に記載の搬送システム。
  9. 前記可動子は複数の永久磁石を有し、
    前記第1の部分及び前記第2の部分は複数のコイルを有し、
    前記制御部は、前記複数の永久磁石と前記複数のコイルとの間に働く力を制御する
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の搬送システム。
  10. 前記可動子は複数のコイルを有し、
    前記第1の部分及び前記第2の部分は複数の永久磁石を有し、
    前記制御部は、前記複数の永久磁石と前記複数のコイルとの間に働く力を制御する
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の搬送システム。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載された搬送システムと、
    前記可動子により搬送されるワークに対して加工を施す工程装置と
    を有することを特徴とする加工システム。
  12. 請求項11に記載の加工システムを用いて物品を製造する物品の製造方法であって、
    前記可動子により前記ワークを搬送する工程と、
    前記可動子により搬送された前記ワークに対して、前記工程装置により前記加工を施す工程と
    を有することを特徴とする物品の製造方法。
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