JP2021126040A - 搬送装置、生産システム、及び物品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 可動子を安定してスムーズに搬送することができる搬送装置を提供する。【解決手段】 搬送装置は、第1の方向に沿って移動する可動子と、第1の方向に沿って配置され、可動子の位置情報を検出する複数の第1のセンサを有する固定子と、複数の第1のセンサの検出値から求められる複数の第1のセンサの少なくとも1つと可動子との相対位置と、複数の第1センサが可動子を検出する検出時間との少なくとも1つに基づき、可動子の位置情報を補正し、可動子の位置および/または姿勢を制御する制御部と、を有する。【選択図】 図14

Description

本発明は、搬送システム及びその制御方法に関する。
一般に、工業製品を組み立てるための生産ラインや半導体露光装置等では、搬送システムが用いられている。特に、生産ラインにおける搬送システムは、自動化された生産ライン内または生産ライン間の複数のステーションの間で、部品等のワークを搬送する。また、生産装置(プロセス装置)中の搬送装置として使われる場合もある。搬送システムとしては、可動磁石型リニアモータによる搬送システムが既に提案されている。
可動磁石型リニアモータによる搬送システムでは、可動子に永久磁石が配置され、永久磁石に対向するようにリニアモータ固定子がフレームに設置される。さらに、前記固定子が設置されたフレームに可動子を検出するセンサを備える。このセンサの検出データに基づき可動子の位置及び姿勢を算出し、その位置及び姿勢に基づき制御されることにより、リニアモータの駆動制御が行われる。
例えば、特許文献1には、可動磁石型の磁気浮上搬送装置の制御方法が開示されている。文献1に記載されている磁気浮上搬送装置は、可動子が常時3個の変位センサと6個の磁極と対向するように設置することで、変位センサにより可動子との垂直方向距離を計測し、可動子の3次元座標を特定し制御している。
特開平5−64315号公報
上記従来技術の搬送システムにおいて、固定子側に設置されたセンサで可動子を検出し制御する搬送システムでは、前記可動子の位置を連続的に算出しながら制御を行うには、可動子が搬送方向に移動するに従い、センサを切替えながら搬送する必要がある。
前記センサの切り替わりに際し、新たに可動子を検出しなくなるセンサ(排出センサ)と可動子を検出し始めるセンサ(進入センサ)は、同一の検出面を示す出力が得られることが理想的である。しかしながら、センサの取付け精度やセンサ毎の機差、あるいは検出対象である可動子の表面状態の違いなどから前記センサの出力には差が生じ、これら検出データを用いて算出される位置及び姿勢は大きく変動する。これにより、可動子の振動といった好ましくない挙動が生じるという課題があり、上記従来技術では十分に除去できないことがあった。そして、前記の振動は、可動子の安定搬送が維持できない、あるいはワークの破損といった深刻な問題の要因となることがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、可動子を安定してスムーズに搬送することができる搬送装置及びその制御方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の態様の搬送装置は、第1の方向に沿って移動する可動子と、前記第1の方向に沿って配置され、前記可動子の位置情報を検出する複数の第1のセンサを有する固定子と、前記複数の第1のセンサの検出値から求められる前記複数の第1のセンサの少なくとも1つと前記可動子との相対位置と、前記複数の第1センサが前記可動子を検出する検出時間と、の少なくとも1つに基づき、前記可動子の位置情報を補正し、前記可動子の位置および/または姿勢を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
上記課題を解決するための第2の態様の搬送装置は、第1の方向に沿って移動する可動子と、前記第1の方向に沿って配置され前記可動子の前記第1方向の位置情報を検出する複数の第1のセンサと、前記可動子の前記第1の方向に交差する第2の方向の位置情報を検出する複数の第2のセンサと、を有する固定子と、前記複数の第1のセンサの検出値を用いて前記複数の第2のセンサの少なくとも1つを選択し、選択された前記第2のセンサと前記可動子との相対位置に基づき、前記可動子の第2の方向の位置情報を補正し、前記可動子の位置および/または姿勢を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、搬送時のセンサの切り替えにより生じる可動子の位置の算出結果の変動を小さく抑えることが可能となり、可動子を安定してスムーズに搬送することができる。
本発明の第1実施形態による搬送装置を示す概略図である。 本発明の第1実施形態による搬送装置を示す概略図である。 本発明の第1実施形態を示す搬送システム構成図である。 本発明の第1実施形態のデータフローを説明する概略図である。 本発明の第1実施形態の搬送方向位置検出を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態の搬送方向に直交した方向の可動子姿勢算出情報処理を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態のセンサの設置位置情報に基づき係数を算出する関数を例示する概略図である。 本発明の第1実施形態の搬送方向に直交した図7と異なる方向の可動子姿勢算出情報処理を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態の搬送方向に直交した方向の可動子姿勢算出処理を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態の搬送方向に直交した図9と異なる方向の可動子姿勢算出処理を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態の効果を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態における可動子姿勢算出情報処理関数の異なる構成を例示する概略図である。 本発明の第1実施形態における永久磁石に対してX方向及びZ方向に独立に力を印加する方法を示す概略図である。 本発明の第2実施形態による搬送システム全体を示す概略図である。 本発明の第2実施形態を示す搬送システム構成図である。 本発明の第2実施形態のデータフローを説明する概略図である。 本発明の第2実施形態の搬送方向位置検出を説明する概略図である。 本発明の第2実施形態の効果を説明する概略図である。 本発明の第2実施形態の効果を説明する概略図である。 本発明の第2実施形態を説明する概略図である。 本発明の第2実施形態による搬送システムを示す概略図である。
本実施形態による搬送装置について図面を参照して説明する。
図1、図2(A)および図2(B)は、本実施形態による搬送装置を示す概略図である。
図1、図2(A)および図2(B)において、201は搬送路を構成する固定子、301は台車、スライダ、又はキャリッジを構成する可動子を示す。図1は、本実施形態の固定子201及び可動子301をY方向から見た概略図である。図2(A)は、本実施形態の固定子201および可動子301を−X方向から見た概略図である。図2(B)は、可動子301の上面における永久磁石303の配置を示している。また、図2(A)の左半分は、図2Bの(A)−(A)線に沿った断面(A)を示している。また、図2(A)の右半分は、図2Bの(B)−(B)線に沿った断面(B)を示している。
なお、図1、図2(A)および図2(B)では、固定子201に対して1台の可動子301を示しているが、これに限定されるものではない。搬送装置1においては、複数台の可動子301が固定子201上を搬送され得る。
本実施形態による搬送装置1は、固定子201により可動子301を搬送することにより、可動子301に保持されたワーク302を生産装置に搬送するために用いることが好ましい。あるいは、生産装置(プロセス装置)中の搬送装置として用いてもよい。本実施形態による搬送装置によって搬送される可動子に保持されたワークに加工作業あるいは検査作業等の作業(工程作業)を施すことにより、高精度に物品を製造することができる。
なお、実施形態による搬送装置と生産装置が含まれるシステムを、本明細書において生産システムと称する場合がある。本明細書における生産装置とは、ワークに対して加工作業あるいは検査作業等の作業を施すための装置のことを言い、例えば、検査装置、組み立て装置、半導体露光装置、蒸着装置等が挙げられる。本実施形態による生産システムは、複数の生産装置を有していてもよく、複数の生産装置は、ワークに対して同じ作業を施すための生産装置であってもよいし、別の作業を施すための生産装置であってもよい。
ここで、以下の説明において用いる座標軸、方向等を定義する。まず、可動子301の搬送方向である水平方向に沿ってX軸をとり、可動子301の搬送方向をX方向とする。また、X方向と直交する方向である鉛直方向に沿ってZ軸をとり、鉛直方向をZ方向とする。また、X方向及びZ方向に直交する方向に沿ってY軸をとり、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向とする。さらに、X軸周りの回転をWx、Y軸、Z軸周りの回転を各々Wy,Wzとする。また、乗算の記号として“*”を、冪乗の記号として“^”を使用する。また、自然指数関数をexp()として表記する。また、可動子301のY+側をR側、Y−側をL側として記載する。なお、可動子301の搬送方向は必ずしも水平方向である必要はないが、その場合も搬送方向をX方向として同様にY方向及びZ方向を定めることができる。
搬送装置1は、リニアガイド等の案内装置を持たず、固定子201上において非接触で可動子301を搬送する磁気浮上型の搬送装置として構成されている。
図2(B)に示すように、可動子301は、永久磁石303として、永久磁石303aR、303bR、303cR、303dR、303aL、303bL、303cL、303dLを有している。
可動子301のR側の上面に、永久磁石303aR、303bR、303cR、303dRが取り付けられている。また、可動子301のL側の上面に、永久磁石303aL、303bL、303cL、303dLが取り付けられている。なお、以下では、特に区別する必要がないかぎり、可動子301の永久磁石を単に「永久磁石303」と表記する。また、R側とL側とを区別する必要まではないが、各永久磁石303を個別に特定する必要がある場合、各永久磁石303に対する符号の末尾からR又はLを除いた識別子としての小文字のアルファベットまでの符号を用いて各永久磁石303を個別に特定する。この場合、「永久磁石303a」、「永久磁石303b」、「永久磁石303c」又は「永久磁石303d」と表記して、各永久磁石303を個別に特定する。
永久磁石303aR、303dRは、可動子301のX方向に沿ったR側の上面におけるX方向の一方の端部及び他方の端部に取り付けられている。永久磁石303bR、303cRは、可動子301のR側の上面の永久磁石303aR、303dR間に取り付けられている。永久磁石303aR、303bR、303cR、303dRは、例えば、X方向に等ピッチに配置されている。また、永久磁石303aR、303bR、303cR、303dRは、それぞれの中心が、例えば可動子301のR側の上面中心を通過するX方向に沿った直線上に並ぶように配置されている。
永久磁石303aL、303dLは、可動子301のX方向に沿ったL側の上面におけるX方向の一方の端部及び他方の端部に取り付けられている。永久磁石303bL、303cLは、可動子301のL側の上面の永久磁石303aL、303dL間に取り付けられている。永久磁石303aL、303bL、303cL、303dLは、例えば、X方向に等ピッチに配置されている。また、永久磁石303aL、303bL、303cL、303dLは、それぞれの中心が、例えば可動子301のL側の上面中心を通過するX方向に沿った直線上に並ぶように配置されている。さらに、永久磁石303aL、303bL、303cL、303dLは、X方向においてそれぞれ永久磁石303aR、303bR、303cR、303dRと同位置に配置されている。
本実施形態では可動子の上面に磁石群を有する例を示すが、可動子の側面に磁石群を有していてもよい。
可動子301の上面におけるR側の部分に配置されている永久磁石303aR、303bR、303cR、303dRは、それぞれ可動子301の中心である原点OからY方向のR側に距離rx3だけ離れた位置に配置されている。
また、可動子301の上面におけるL側の部分に配置されている永久磁石303aL、303bL、303cL、303dLは、原点OからY方向のL側に距離rx3だけ離れた位置に配置されている。
永久磁石303a、303dは、それぞれ原点OからX方向の一方及び他方の側に距離rz3だけ離れた位置に取り付けられている。永久磁石303c、303bは、それぞれ原点OからX方向の一方及び他方の側に距離ry3だけ離れた位置に取り付けられている。
可動子301の上面において、上述のように永久磁石303が配置されたR側の部分とL側の部分との間の中央部分は、搬送すべきワーク302が載せられる部分になっている。
永久磁石303aR、303dR、303aL、303dLは、それぞれY方向に沿って配置された2個の永久磁石のセットである。永久磁石303a、303dは、それぞれ、固定子201側を向く外側の磁極の極性が交互になるように2個の永久磁石がY方向に沿って並べられて構成されたものである。なお、永久磁石303a、303dを構成するY方向に沿って配置された永久磁石の数は、2個に限定されるものではなく、複数個であればよい。また、永久磁石303a、303dを構成する永久磁石が配置される方向は、必ずしも搬送方向であるX方向と直交するY方向である必要はなく、X方向(第1の方向)と交差する方向(第2の方向)であればよい。すなわち、永久磁石303a、303dは、それぞれ磁極の極性が交互になるようにX方向と交差する方向(第2の方向)に沿って配置された複数の永久磁石からなる磁石群であればよい。
一方、永久磁石303bR、303cR、303bL、303cLは、それぞれX方向に沿って配置された3個の永久磁石のセットである。永久磁石303b、303cは、それぞれ、固定子201側を向く外側の磁極の極性が交互に異なるように3個の永久磁石がX方向に沿って並べられて構成されている。なお、永久磁石303b、303cを構成するX方向に沿って配置された永久磁石の数は、3個に限定されるものではなく、複数個であればよい。すなわち、永久磁石303b、303cは、磁極の極性が交互になるようにX方向に沿って配置された複数の永久磁石からなる磁石群であればよい。
各永久磁石303は、可動子301のR側及びL側の上面に設けられたヨーク307に取り付けられている。ヨーク307は、透磁率の大きな物質、例えば鉄で構成されている。本明細書において透磁率の大きな物質とは、透磁率が5000以上の物質のことを言う。
こうして、永久磁石303が配置された可動子301は、固定子201の複数のコイル202により後述するように永久磁石303が受ける電磁力により姿勢が6軸制御され、かつ、X方向に移動可能に制御される。
一方、固定子201には、図2(A)に示すように、可動子301の上面の上方に位置するように複数のコイル202が取り付けられている。複数のコイル202は、可動子301の上面のR側及びL側の部分における永久磁石303のそれぞれと上方から対向可能にX方向に沿って2列に配置されて固定子201に取り付けられている。R側の複数のコイル202は、可動子301のR側の永久磁石303aR、303bR、303cR、303dRと上方から対向可能にX方向に沿って1列に配置されている。L側の複数のコイル202は、可動子301のL側の永久磁石303aL、303bL、303cL、303dLと上方から対向可能にX方向に沿って1列に配置されている。
可動子301は、X方向に沿って2列に配置された複数のコイル202に沿ってX方向に移動可能である。可動子301は、その上面に搬送すべきワーク102を載せた状態で搬送される。可動子301は、例えば、ワークホルダ等のワーク102を可動子301上に保持する保持機構を有していてもよい。
固定子201は、可動子301の搬送方向であるX方向に沿って2列に配置された複数のコイル202を有している。固定子201は、搬送方向であるX方向に延在して可動子301の搬送路を形成する。
複数のコイル202は、可動子301のR側及びL側の永久磁石303と対向可能なように、X方向に沿って2列に配置されて固定子201に取り付けられている。R側において1列に配置された複数のコイル202は、可動子301のR側の永久磁石303aR、303bR、303cR、303dRと対向可能にX方向に沿って配置されている。また、L側において1列に配置された複数のコイル202は、可動子301のL側の永久磁石303aL、303bL、303cL、303dLと対向可能にX方向に沿って配置されている。
本実施形態では、可動子301のR側及びL側のコイル202の列が、それぞれ、互いに構成する複数の永久磁石の配置方向が異なる永久磁石303a、303d及び永久磁石303b、303cに対向可能に配置されている。このため、少ない列数のコイル202で、後述するように可動子301に対して搬送方向及び搬送方向とは異なる力を印加することができ、よって可動子301の搬送制御及び姿勢制御を実現することができる。
複数のコイル202は、X方向に所定の間隔で並べられている。また、各コイル202は、その中心軸がZ方向を向くように取り付けられている。なお、コイル202は、コア有のコイルでもよいし、コアレス型のコイルでもよい。
複数のコイル202は、例えば3個ずつの単位で電流制御されるようになっている。そのコイル202の通電制御される単位を「コイルユニット203」と記載する。コイル202は、通電されることにより、可動子301の永久磁石303との間で電磁力を発生して可動子301に対して力を印加することができる。
図2(B)において、永久磁石303a、303dは、それぞれY方向に2個の永久磁石が並べられた磁石群により構成されていている。これに対して、各コイル202は、永久磁石303a、303dの2個の永久磁石のY方向の中心がコイル202のY方向の中心と合致するように配置されている。永久磁石303a、303dに対向するコイル202に通電することで、永久磁石303a、303dに対してY方向に力を発生する。
また、永久磁石303b、303cは、X方向に3個の永久磁石が並べられた磁石群により構成されている。これに対して、永久磁石303b、303cに対向するコイル202に通電することで、永久磁石303b、303cに対してX方向及びZ方向に力を発生する。本実施形態では、磁石群を構成する磁石として永久磁石を用いているが、電磁石を用いても構わない。
図2(A)に示す101は、Xセンサ(第1のセンサ)であり、例えば、可動子301に取付けたリニアスケール304を検出し、可動子301の搬送方向の位置を特定するリニアエンコーダである。また、図2(A)に示す102は、Yセンサ(第2のセンサ)であり、可動子301とのY方向距離を検出する。Zセンサ103(第3のセンサ)は可動子301とのZ方向距離を検出する。YセンサやZセンサには、例えば渦電流センサなどを配置することが考えられる。なお、Xセンサについては、レーザ干渉計などリニアエンコーダ以外とする構成も可能である。
複数のXセンサ101(第1のセンサ)は、それぞれ可動子301のリニアスケール304と対向可能なようにX方向(第1の方向)に沿って固定子201に取り付けられている。各Xセンサ101は、可動子301に取り付けられたリニアスケール304を読み取ることで、可動子301のXセンサ101に対する相対的な位置を検出してその検出値を出力することができる。
複数のYセンサ102(第2のセンサ)は、それぞれ可動子301のYターゲット305と対向可能なようにX方向(第1の方向)に沿って固定子201に取り付けられている。各Yセンサ102は、可動子301に取り付けられたYターゲット305との間のY方向の相対距離を検出してその検出値を出力することができる。ここでYターゲット305とは、可動子301に取り付けられている、可動子の目標とする搬送方向と平行な面を有する凸部であり、可動子の目標とする搬送方向と平行な面を固定子に固定されたYセンサ102で測定する。これにより、可動子のY方向の位置および/または姿勢を検知することが可能となる。Yセンサ102(第2のセンサ)は、必ずしも搬送方向であるX方向と直交するY方向の相対距離を検出する必要はなく、X方向(第1の方向)と交差する方向(第2の方向)であればよい。可動子との間の相対距離を直接検出することも可能であるが、可動子自体を高精度に加工することが困難である場合があるため、そのような場合はYターゲット305を用いることができる。
複数のZセンサ103(第3のセンサ)は、それぞれ可動子301のZターゲット306と対向可能なようにX方向に沿って固定子201に2列に取り付けられている。各Zセンサ103は、可動子301に取り付けられたZターゲット306との間のZ方向の相対距離を検出して出力することができる。ここでZターゲット306とは、可動子301に取り付けられている、鉛直方向と直交する方向の面に有する凸部であり、鉛直方向と直交する方向の面を固定子に固定されたZセンサ103で測定する。これにより可動子の鉛直方向の位置および/または姿勢を検知することが可能となる。Zセンサ103(第3のセンサ)は、必ずしも搬送方向であるX方向と直交するZ方向の相対距離を検出する必要はなく、X方向(第1の方向)と交差する方向(第3の方向)であればよい。可動子との間の相対距離を直接検出することも可能であるが、可動子自体を高精度に加工することが困難である場合があるため、そのような場合はZターゲット306を用いることができる。
本実施形態において、Xセンサ101、Yセンサ102、Zセンサ103を固定子の底部に設け、リニアスケール304、Yターゲット305、Zターゲット306を可動子の底面に設ける例を示した。しかしこれに限るものではない。リニアスケール304、Yターゲット305、Zターゲット306は、可動子のいずれの位置に設けてもよく、それに対向可能な位置であれば、Xセンサ101、Yセンサ102、Zセンサ103は、固定子のいずれの位置に設けられていてもよい。また、Yセンサ102、Zセンサ103は両方備える必要はなく、どちらかだけ一方だけであっても本発明の効果を発揮することができる。例えば、Yセンサ102がなくても、Y方向は、磁石の吸引力のみで制御しない搬送装置等に適用することもできる。また、Zセンサ103がなくとも、磁石の吸引力のみでZ方向の制御しない構成とすることもできる。あるいはエアなど別の方法で浮上させる構成とすることもできる。さらに、Z方向に浮上制御を実施しない、XYステージなどに適用することもできる。
次に、本実施形態による搬送装置1を制御する制御部についてさらに図3を用いて説明する。図3は、本実施形態による搬送装置1を制御する制御部3を示す概略図である。
図3に示すように、制御部3は、統合コントローラ401と、コイルコントローラ402と、センサコントローラ404とを有し、可動子301と固定子201とを含む搬送装置1を制御する制御部として機能する。統合コントローラ401には、コイルコントローラ402が通信可能に接続されている。また、統合コントローラ401には、センサコントローラ404が通信可能に接続されている。
コイルコントローラ402には、複数の電流コントローラ403が通信可能に接続されている。コイルコントローラ402及びこれに接続された複数の電流コントローラ403は、2列のコイル202のそれぞれの列に対応して設けられている。各電流コントローラ403には、コイルユニット203が接続されている。電流コントローラ403は、接続されたコイルユニット203の各々のコイル202の電流の大きさを制御することができる。
コイルコントローラ402は、接続された各々の電流コントローラ403に対して目標となる電流値を指令する。電流コントローラ403は接続されたコイル202の電流量を制御する。
センサコントローラ404には、複数のXセンサ101、複数のYセンサ102及び複数のZセンサ103が通信可能に接続されている。
複数のXセンサ101は、可動子301が搬送中もそのうちの1つが必ず1台の可動子301の位置を測定できるような間隔で固定子201に取り付けられている。また、複数のYセンサ102は、そのうちの2つが必ず1台の可動子301のYターゲット305を測定できるような間隔で固定子201に取り付けられている。また、複数のZセンサ103は、その2列のうちの3つが必ず1台の可動子301のZターゲット306を測定できるような間隔で固定子201に取り付けられている。
統合コントローラ401は、Xセンサ101、Yセンサ102及びZセンサ103からの出力に基づき、複数のコイル202に印加する電流指令値を決定して、コイルコントローラ402に送信する。コイルコントローラ402は、統合コントローラ401からの電流指令値に基づき、上述のように電流コントローラ403に対して電流値を指令する。これにより、統合コントローラ401は、制御装置として機能し、固定子201に沿って可動子301を非接触で搬送するとともに、搬送する可動子301の姿勢を6軸で制御する。
以下、統合コントローラ401により実行される可動子301の姿勢制御方法について図4を用いて説明する。図4は、本実施形態による搬送装置1における可動子301の姿勢制御方法を示す概略図である。図4は、可動子301の姿勢制御方法の概略について主にそのデータの流れに着目して示している。統合コントローラ401は、以下に説明するように、可動子位置算出関数501、可動子姿勢算出情報処理関数502、可動子姿勢算出関数503、可動子姿勢制御関数504及びコイル電流算出関数505を用いた処理を実行する。これにより、統合コントローラ401は、可動子301の姿勢を6軸で制御しつつ、可動子301の搬送を制御する。なお、統合コントローラ401に代えて、コイルコントローラ402が統合コントローラ401と同様の処理を実行するように構成することもできる。
まず、可動子位置算出関数501は、複数のXセンサ101からの測定値及びその取り付け位置の情報から、搬送路を構成する固定子201上にある可動子301の台数及び位置を計算する。これにより、可動子位置算出関数501は、可動子301に関する情報である可動子情報506の可動子位置情報(X)及び台数情報を更新する。可動子位置情報(X)は、固定子201上の可動子301の搬送方向であるX方向における位置を示している。可動子情報506は、例えば図4中にPOS−1、POS−2、…と示すように固定子201上の可動子301ごとに用意される。
次いで、可動子姿勢算出情報処理関数502は、可動子位置算出関数501により更新された可動子情報506の可動子位置情報(X)から、各々の可動子301を測定可能なYセンサ102及びZセンサ103を特定する。この際、可動子姿勢算出情報処理関数502において、特定されたYセンサ102及びZセンサ103の固定子201上のセンサ設置位置情報507と可動子位置情報(X)に基づいて、係数(W)を算出する。
可動子姿勢算出関数503は、特定されたYセンサ102及びZセンサ103から出力される検出値と、可動子姿勢算出情報処理関数502で算出された係数(W)に基づき、姿勢情報(Y,Z,Wx、Wy,Wz)を算出して可動子情報506を更新する。可動子姿勢算出関数503により更新された可動子情報506は、可動子位置情報(X)及び姿勢情報(Y,Z,Wx、Wy,Wz)を含んでいる。
次いで、可動子姿勢制御関数504は、可動子位置情報(X)及び姿勢情報(Y,Z,Wx、Wy,Wz)を含む現在の可動子情報506及び姿勢目標値から、各々の可動子301について印加力情報509を算出する。印加力情報509は、各々の可動子301に印加すべき力の大きさに関する情報である。印加力情報509は、後述する印加すべき力Tの力の3軸成分(Tx,Ty,Tz)及びトルクの3軸成分(Twx,Twy,Twz)に関する情報を含んでいる。印加力情報509は、例えば図4中にTRQ−1、TRQ−2、…と示すように固定子201上の可動子301ごとに用意される。
次いで、コイル電流算出関数505は、印加力情報509及び可動子情報506に基づき、各コイル202に印加する電流指令値510を決定する。
こうして、統合コントローラ401は、可動子位置算出関数501、可動子姿勢算出情報処理関数502、可動子姿勢算出関数503、可動子姿勢制御関数504及びコイル電流算出関数505を用いた処理を実行することにより、電流指令値510を決定する。統合コントローラ401は、決定した電流指令値510をコイルコントローラ402に送信する。
ここで、可動子位置算出関数501による処理について図5を用いて説明する。図5は、可動子位置算出関数による処理を説明する概略図である。また、図5は、図1に示す−Zの方向から可動子を見た時の、図1および図3に示す可動子301a、301bの底面におけるリニアスケール304a、304bおよびXセンサ101a〜101fの位置関係を示した図である。
図5において、基準点Oeは、Xセンサ101が取り付けられている固定子201の位置基準である。また、基準点Osは、可動子301に取り付けられているリニアスケール304a、304bの位置基準である。図5では、可動子301として2台の可動子301a、301bが搬送され、Xセンサ101として3つのXセンサ101a、101b、101fが配置されている場合を示している。なお、リニアスケール304a、304bは、各可動子301a、301bの同じ位置にX方向に沿って取り付けられている。
例えば、図5に示す可動子301bのリニアスケール304bには、1つのXセンサ101fが対向している。Xセンサ101fは、可動子301bのリニアスケール304bを読み取って距離Pfを出力する。また、Xセンサ101fの基準点Oeを原点とするX軸上の位置はSfである。したがって、可動子301bの位置Pos(301b)は次式(1)により算出することができる。
Pos(301b)=Sf−Pf…式(1)
例えば、図5に示す可動子301aのリニアスケール304aには、2つのXセンサ101a、101bが対向している。Xセンサ101aは、可動子301aのリニアスケール304aを読み取って距離Paを出力する。また、Xセンサ101aの基準点Oeを原点とするX軸上の位置はSaである。したがって、Xセンサ101aの検出値の出力に基づく可動子301aのX軸上の位置Pos(301a)は、次式(2)で算出することができる。
Pos(301a)=Sa−Pa…式(2)
また、Xセンサ101bは、可動子301aのリニアスケール304aを読み取って距離Pbを出力する。また、Xセンサ101bの基準点Oeを原点とするX軸上の位置はSbである。したがって、Xセンサ101bの検出値の出力に基づく可動子301aのX軸上の位置Pos(301a)′は、次式(3)により算出することができる。
Pos(301a)′=Sb−Pb…式(3)
ここで、各々のXセンサ101a、101bの設置位置は予め正確に測定されているため、2つの値Pos(301a)、Pos(301a)′の差は十分に小さい。このように2つのXセンサ101の出力に基づく可動子301のX軸上の位置の差が十分小さい場合は、それら2つのXセンサ101は、同一の可動子301のリニアスケール304を観測していると判定することができる。
なお、複数のXセンサ101が同一の可動子301と対向する場合は、たとえば、複数のXセンサ101の出力に基づく位置の平均値を算出する等して、観測された可動子301の位置を一意に決定することができる。あるいはいずれかのXセンサ101の検出値の出力に基づく位置を可動子301の位置と決定してもよい。
可動子位置算出関数501は、上述のようにしてXセンサ101の出力に基づき、可動子位置情報として可動子301のX方向における位置Xを算出して決定する。可動子位置算出関数501により更新された可動子情報506の可動子位置情報(X)から各々の可動子301を測定可能なYセンサ102及びZセンサ103を特定する。
次に、可動子姿勢算出情報処理関数502による処理について、図6を用いて説明する。図6(A)、図6(B)における上側の図面は、図1に示す−Zの方向から可動子を見た時の、図1に示す可動子301(301a)の底面におけるYターゲット305(305a)およびYセンサ102(102a〜102c)の位置関係を示した図である。図6(B)は、図6(A)に比べて可動子が+X方向に沿って少し進んだ状態を示す。
可動子または可動子のYターゲットには、検出対象領域として、その中心部に第一の領域、端部に第二の領域、第一の領域と第二の領域の間に第三の領域を設定しておく。以下、第一の領域をセンサ情報有効領域510A、第二の領域をセンサ情報無効領域512a、512b、第三の領域をセンサ情報荷重領域511a、511bと称する場合がある。
図6(A)、図6(B)における下側の図面に示すように、センサ情報有効領域510Aは、センサ情報が有効であると判断される領域である(係数Wは1が与えられる)。
センサ情報無効領域512a、512bは、Yセンサ102がYターゲット305の端を検出し、検出値の出力が不安定、つまり検出誤差が一定以上となる領域であり、Yセンサの検出値の出力を無視するために設けられる(係数Wは0が与えられる)。
センサ情報荷重領域511a、511bは、センサ情報有効領域510Aとセンサ情報無効領域512a、512bとの間の領域であり、その領域内の位置によりセンサの検出値に対して重みづけを与えるための領域である(係数Wは0以上1以下の値与えられる)。このように、Yセンサの検出値を用いた可動子の位置情報は係数によって調整可能となる。
例えば、図6(A)に示す可動子301aは、可動子位置情報(X)がPosXaと算出されている。そして、PosXaと各々のセンサ設置位置情報507であるSa、Sb、Scの関係から3つのYセンサ102a、102b、102cが可動子301aを測定可能なYセンサであると特定される。
図6(A)のYセンサ102aおよび102bは、センサ情報有効領域510Aに存在すると判定されるため、次式(4)(5)のように算出される。
W(102a)=1…式(4)
W(102b)=1…式(5)
図6(A)のYセンサ102cは、センサ情報無効領域512bに存在すると判定されるため、次式(6)のように算出される。
W(102c)=0…式(6)
同様に図6(B)に示す可動子301aは、可動子位置情報(X)がPosXaと算出されており、複数のYセンサ102a、102b、102cが測定可能なYセンサであると特定される。
図6(B)のYセンサ102bおよび102cは、センサ情報有効領域510Aに存在すると判定されるため、次式(7)(8)のように算出される。
W(102b)=1…式(7)
W(102c)=1…式(8)
また、図6(B)のYセンサ102aは、センサ情報荷重領域511aに存在すると判定される。このようなセンサ情報荷重領域511aに存在すると判定された場合、0以上1以下の係数(W)を算出する。例えば、次式(9)のようなシグモイド関数などの、0から1または1から0に単調に増減する連続関数を用いて、係数(W)は、0以上1以下の値で算出される。式(9)におけるaはシグモイド関数のゲインである。図7(A)に、係数Wの関数を示す。図7(A)の点線がセンサ情報荷重領域511aにおける係数(W)の関数である。ちなみに実線は、センサ情報荷重領域511bにおける係数(W)の関数である。式(9)におけるPaは、可動子位置情報(X)であるPosXaと、Yセンサ102aのセンサ設置位置情報507であるSaから算出されるYセンサ102aと可動子301aとの相対距離である。
W(102a)=1/(1+exp(−a*Pa))…式(9)
Zセンサ103に関しても同様の処理を実施する。
図8(A)、図8(B)における上側の図面は、図1に示す−Zの方向から可動子を見た時の、図1に示す可動子301(301a)の底面のZターゲット306(306Ra)およびZセンサ103(103Ra〜103Rc)の位置関係を示した図である。図8(B)は、図8(A)に比べて可動子が+X方向に沿って少し進んだ状態を示す。
例えば、図8(A)に示す可動子301aは、可動子位置情報(X)がPosXaと算出されている。そして、PosXaと各々のセンサ設置位置情報507であるSRa、及びSRbの関係から3つのZセンサ103Ra、103Rb、103Rcが可動子301aを測定可能なZセンサであると特定される。
図8(A)のZセンサ103Raおよび103Rbは、センサ情報有効領域510Bに存在すると判定されるため、次式(10)(11)のように算出される。
W(103Ra)=1…式(10)
W(103Rb)=1…式(11)
図8(A)の103Rcは、センサ情報無効領域512dに存在すると判定されるため、次式(12)のように算出される。
W(103Rc)=0…式(12)
同様に図8(B)に示す可動子301aは、可動子位置情報(X)がPosXaと算出されており、複数のZセンサ103Ra、103Rb、103Rcが測定可能なZセンサであると特定される。
図8(B)のZセンサ103Rb、103Rcは、センサ情報有効領域510Bに存在すると判定されるため、次式(13)(14)のように算出される。
W(103Rb)=1…式(13)
W(103Rc)=1…式(14)
また、図8(B)のZセンサ103Raは、センサ情報荷重領域511cに存在すると判定される。このようなセンサ情報荷重領域511cに存在すると判定された場合、0以上1以下の係数(W)を算出する。例えば、次式(15)のようなシグモイド関数などの、0から1または1から0に単調に増減する連続関数を用いて、係数(W)は、0以上1以下の値で算出される。式(15)におけるaはシグモイド関数のゲインである。図7(A)に、係数Wの関数を示す。図7(A)の点線がセンサ情報荷重領域511cにおける係数(W)の関数である。ちなみに実線は、センサ情報荷重領域511dにおける係数(W)の関数である。式(15)におけるPRaは、可動子位置情報(X)であるPosXaと、Zセンサ103Raのセンサ設置位置情報507であるSRaから算出されるZセンサ103Raと可動子301aとの相対距離である。
W(103Ra)=1/(1+exp(−a*PRa))…式(15)
上述の可動子姿勢算出情報処理関数502において算出される係数(W)を用いて、可動子姿勢算出関数503で可動子301の姿勢情報を求める。これにより、センサ情報の有効状態と無効状態を連続的に変化させながら、可動子301の姿勢算出ができる。これにより可動子301の搬送により可動子情報506の算出に用いるセンサが切り替わる際の不連続的な検出位置及び姿勢の変動を抑えることが可能となる。
なお、係数(W)を算出する関数としては、上述のシグモイド関数を用いる他、図7(B)に示すような線形関数や、図7(C)に示すように段階的に係数(W)を変化させる不連続関数に置き換えることが可能である。また、図7(D)及び図7(E)に示すような双曲線関数に置き換えることが可能である。図7(A)のシグモイド関数は、滑らかに0〜1を変化させることが可能であり、ゲインの調整でその変化率を変えることができる。これに対し、図7(B)の線形関数は、センサ情報荷重領域511により一意に決まり、四則演算のみで構成されるため高速に処理できる。また、図7(C)の不連続関数は、係数のプロファイルとして統合コントローラ401のメモリ上等に保持して係数の算出処理なしで実現することができ、上記関数以外の複雑な係数のプロファイルも設定可能である。なお、図7中に示すPosSensorは、可動子位置情報(X)とセンサ設置位置情報507から算出されるセンサと可動子301との相対距離である。
特に、図7(C)に示すような段階的に係数(W)を変化させる不連続関数は、可動子301と各センサ102、103との位置関係により算出される係数(W)を係数プロファイルとして、統合コントローラ401のメモリ上に保持する。これにより、可動子姿勢算出情報処理関数502と同様の処理を実行するように構成することもできる。
可動子姿勢算出情報処理関数502は、上述のようにして可動子情報506の可動子位置情報(X)とセンサ設置位置情報507から係数(W)を算出する。算出した係数(W)を付加した可動子姿勢算出情報508を出力し、可動子情報506とともに可動子姿勢算出関数503の入力とする。
次に、可動子姿勢算出関数503による処理について図9及び図10を用いて説明する。
図9では、可動子301として可動子301cが搬送され、Yセンサ102としてYセンサ102s、102t、102uが配置されている場合を示している。図9に示す可動子301cのYターゲット305cには、3つのYセンサ102s、102t、102uが対向している。3つのYセンサ102s、102t、102uが出力する相対距離の値をそれぞれYs、Yt、Yuとし、図中黒丸で測定値(検出値)を示す。すると、可動子301cの位置Y及びZ軸周りの回転量Wzは、回帰直線の傾き、及び切片と考えることができる。
可動子位置情報(Y,Wz)である回帰直線Y=a*X+bの各パラメータは、例えば、最小二乗法を用いて、次式(16)に示す荷重有り二乗誤差を最小化するa,bを算出することで求められる。この場合、回帰直線の傾きaがtan(Wz)、切片bが位置Yとなる。また、式(16)において、Ws、Wt、Wuは、可動子算出情報508に含まれる各Yセンサ102s、102t、102uの係数である。
Ws*(Ys−(a*Ps+b))^2+Wt*(Yt−(a*Pt+b))^2+Wu*(Yu−(a*Pu+b))^2…式(16)
また、少なくとも2つのYセンサ102が対向すれば可動子301の可動子位置情報(Y、Wz)は算出できるが、上述のように、可動子301の位置によっては3つ以上のYセンサ102が対向する場合もありうる。その場合も、同様に最小二乗法等を使ってYターゲット305の傾き、すなわちZ軸周りの回転量Wzと可動子301の位置Yを算出することができる。
なお、Yセンサ102は、可動子301の姿勢検出精度の観点から、係数(W)が1となるセンサ情報有効領域510に少なくとも2個は存在するように搬送方向(X)に沿って固定子201上に設置されていることが望ましい。つまり、隣接するYセンサ間の距離は、センサ情報有効領域510AのX方向の長さK(図6(A)(B)参照)の半分以下であることが好ましい。
また、図10では、可動子301として可動子301dが搬送され、Zセンサ103としてZセンサ103d、103e、103fが配置されている場合を示している。図10(A)及び図10(B)に示す可動子301dのZターゲット306には、3つのZセンサ103d、103e、103fが対向している。ここで、3つのZセンサ103d、103e、103fが出力する相対距離の値をそれぞれZd、Ze、Zfとし、図中黒丸で測定値を示す。すると、可動子301dの位置Zと、Y軸周りの回転量Wy及びX軸周りの回転量Wxは、それぞれ回帰平面の各パラメータとして求めることができる。
可動子位置情報(Z,Wx,Wy)である回帰平面Z=d*X+e*Y+fの各パラメータは、例えば、最小二乗法を用いて、次式(17)に示す荷重有り二乗誤差を最小化するd,e,fを算出することで求められる。この場合、dがtan(Wy)、eがtan(Wx)、fが位置Zとなる。また、式(17)において、Wd、We及びWfは、可動子姿勢算出情報508に含まれる各Zセンサ103d、103e、103fの係数である。
Wd*(Zd−(d*PdX+e*PdY+f))^2+We*(Ze−(d*PeX+e*PeY+f))^2+Wf*(Zf−(d*PfX+e*PfY+f))^2…式(17)
また、可動子301の位置によっては4つ以上のZセンサ103が対向する場合もありうる。その場合も、同様に最小二乗法等を使ってZターゲット306の傾き、すなわちX軸周りの回転量Wx及びY軸周りの回転量Wyと、可動子301の位置Zを算出することができる。
なお、Zセンサ103は、可動子301の姿勢検出精度の観点から、係数(W)が1となるセンサ情報有効領域510Bに少なくともR側及びL側の一方には1個、他方には2個、搬送方向(X)に沿って設置されていることが望ましい。本実施形態は、R側に少なくとも2個、L側に少なくとも1個の例を示したが、L側に少なくとも2個、R側に少なくとも1個であってもよい。つまり、センサ情報有効領域510Bに少なくとも2個設置するためには、隣接するZセンサ103間の距離は、センサ情報有効領域510BのX方向の長さL(図8(A)(B)参照)の半分以下であることが好ましい。センサ情報有効領域510Bに少なくとも1個設置するためには、隣接するYセンサ間の距離は、センサ情報有効領域510BのX方向の長さL(図8(A)(B)参照)以下であることが好ましい。
可動子姿勢算出関数503は、上述のようにして、可動子301の姿勢情報として位置Y及び位置Z、各軸周りの回転量Wx、Wy,Wzを算出することができる。
上述で算出された可動子情報506を用いて、可動子姿勢制御関数504により、可動子301に印加する力Tを算出し、コイル電流算出関数505が各永久磁石303に働く力から各コイル202に印加する電流量を決定する。
次に、コイル電流算出関数505による処理について図2(B)を用いて説明する。なお、以下で用いる力の表記において、X方向、Y方向及びZ方向の力が働く方向をそれぞれx、y、zで示し、図2(B)におけるY+側であるR側をR、Y−側であるL側をL、X+側をf、X−側をbで示す。
図2(B)においてR側及びL側の各永久磁石303に働く力をそれぞれ次のように表記する。各永久磁石303に働く力は、電流が印加された複数のコイル202により永久磁石303が受ける電磁力である。永久磁石303は、電流が印加された複数のコイル202により、可動子101の搬送方向であるX方向の電磁力のほか、X方向とは異なる方向であるY方向及びZ方向の電磁力を受ける。
R側の永久磁石303に働く力の表記は、それぞれ次のとおりである。
FzfR:R側の永久磁石303bRのZ方向に働く力
FxfR:R側の永久磁石303bRのX方向に働く力
FyfR:R側の永久磁石303aRのY方向に働く力
FxbR:R側の永久磁石303cRのX方向に働く力
FybR:R側の永久磁石303dRのY方向に働く力
FzbR:R側の永久磁石303cRのZ方向に働く力
L側の永久磁石303に働く力の表記は、それぞれ次のとおりである。
FzfL:L側の永久磁石303bLのZ方向に働く力
FxfL:L側の永久磁石303bLのX方向に働く力
FyfL:L側の永久磁石303aLのY方向に働く力
FxbL:L側の永久磁石303cLのX方向に働く力
FybL:L側の永久磁石303dLのY方向に働く力
FzbL:L側の永久磁石303cLのZ方向に働く力
また、可動子301に対して印加される力Tを次式(18)により表記する。なお、Tx、Ty、Tzは、力の3軸成分であり、それぞれ力のX方向成分、Y方向成分及びZ方向成分である。また、Twx,Twy、Twzは、モーメントの3軸成分であり、それぞれモーメントのX軸周り成分、Y軸周り成分及びZ軸周り成分である。本実施形態による搬送装置1は、これら力Tの6軸成分(Tx,Ty,Tz,Twx,Twy,Twz)を制御することにより、可動子301の姿勢を6軸で制御しつつ、可動子301の搬送を制御する。
T=(Tx,Ty,Tz,Twx,Twy,Twz)…式(18)
すると、Tx、Ty、Tz、Twx、Twy、Twzは、それぞれ次式(19a)、(19b)、(19c)、(19d)、(19e)及び(19f)により算出される。
Tx=FxfR+FxbR+FxfL+FxbL…式(19a)
Ty=FyfL+FyfR+FybL+FybR…式(19b)
Tz=FzbR+FzbL+FzfR+FzfL…式(19c)
Twx={(FzfL+FzbL)−(FzfR+FzbR)}*rx3…式(19d)
Twy={(FzfL+FzfR)−(FzbL+FzbR)}*ry3…式(19e)
Twz={(FyfL+FyfR)−(FybL+FybR)}*rz3…式(19f)
このとき、永久磁石303に働く力については、次式(19g)、(19h)、(19i)及び(19j)により表される制限を導入することができる。これらの制限を導入することにより、所定の6軸成分を有する力Tを得るための各永久磁石303に働く力の組み合わせを一意に決定することができる。
FxfR=FxbR=FxfL=FxbL…式(19g)
FyfL=FyfR…式(19h)
FybL=FybR…式(19i)
FzbR=FzbL…式(19j)
次に、コイル電流算出関数505が、各永久磁石303に働く力から各コイル202に印加する電流量を決定する方法について説明する。
まず、N極及びS極の極性がY方向に交互に並んだ永久磁石303a、303dにZ方向の力を印加する場合について説明する。なお、コイル202は、そのZ方向の中心が永久磁石303a、303dのY方向の中心に位置するように配置されている。これにより、永久磁石303a、303dに対してX方向及びZ方向に働く力は、殆ど発生しないようになっている。
Xを可動子301の位置、jを列に並んだコイル202の番号として、単位電流当たりのコイル202(j)のY方向に働く力の大きさをFy(j、X)とし、コイル202(j)に印加する電流をi(j)とする。なお、コイル202(j)は、j番目のコイル202である。この場合、電流i(j)は、次式(8)を満足するように決定することができる。なお、次式(20)は、永久磁石303dRについての式である。他の永久磁石303aR、303aL、303dLについても同様にしてコイル202に印加する電流を決定することができる。
ΣFy(j、X)*i(j)=FybR…式(20)
なお、複数のコイル202が永久磁石303に力を及ぼす場合には、各コイル202が及ぼす力に応じて単位電流当たりの力の大きさで電流を按分することにより、永久磁石303に働く力を一意に決定することができる。
また、図2(B)に示すように、永久磁石303は、可動子301のL側及びR側に対称に配置されている。このような永久磁石303の対称配置により、永久磁石303に働く多成分の力、例えば永久磁石303a、303dに働くWxの力、すなわちX軸周りのモーメント成分をL側及びR側の力で相殺することが可能になる。この結果、より高精度な可動子301の姿勢の制御が可能になる。
次に、N極、S極及びN極の極性がX方向に交互に並んだ永久磁石303bに対してX方向及びZ方向に対して独立に力を印加する方法について説明する。図13は、永久磁石303bに対してX方向及びZ方向に独立に力を印加する方法を説明する概略図である。コイル電流算出関数505は、以下に従って、永久磁石303bに対してX方向及びZ方向に対して独立に力を印加するためにコイル202に印加する電流指令値を決定する。なお、永久磁石303cについても、永久磁石303bと同様にX方向及びZ方向に対して独立に力を印加することができる。
Xを可動子301の位置、jを列に並んだコイル202の番号として、単位電流当たりのコイル202(j)のX方向及びZ方向に働く力の大きさを、それぞれFx(j、X)及びFz(j、X)とする。また、コイル202(j)の電流の大きさをi(j)とする。なおコイル202(j)は、j番目のコイル202である。
図13中の上段の図は、横にX軸、縦にY軸を取り、永久磁石303bRに対向する6個のコイル202を抜き出して示す図である。図13中の中段の図は、図13中の上段の図をY方向から見た図である。コイル202には、X方向に並んだ順に1から6までの番号jを付与し、以下では例えばコイル202(1)のように表記して各コイル202を特定する。
図13中の上段及び中段の図に示すように、コイル202は、距離Lのピッチでされている。一方、可動子301の永久磁石303は、距離3/2*Lのピッチで配置されている。
図13中の下段のグラフは、図13中の上段及び中段の図に示す各々のコイル202に対して単位電流を印加した際に発生するX方向の力Fx及びZ方向の力Fzの大きさを模式的に示したグラフである。
簡単のため、図13では、コイル202のX方向の位置の原点Ocをコイル202(3)とコイル202(4)の中間とし、永久磁石303bRのX方向の中心Omを原点としている。このため、図13は、OcとOmとが合致した場合、すなわちX=0の場合を示している。
このとき、例えばコイル202(4)に対して働く単位電流当たりの力は、X方向にFx(4,0)、Z方向にFz(4,0)の大きさである。また、コイル202(5)に対して働く単位電流当たりの力は、X方向にFx(5,0)、Z方向にFz(5,0)の大きさである。
ここで、コイル202(1)〜202(6)に印加する電流値をそれぞれi(1)〜i(6)とする。すると、永久磁石303bRに対して、X方向に働く力の大きさFxfR及びZ方向に働く力の大きさFzfRは、それぞれ一般的に次式(21)及び(22)で表される。
FxfR=Fx(1,X)*i(1)+Fx(2,X)*i(2)+Fx(3,X)*i(3)+Fx(4,X)*i(4)+Fx(5,X)*i(5)+Fx(6,X)*i(6)…式(21)
FzfR=Fz(1,X)*i(1)+Fz(2,X)*i(2)+Fz(3,X)*i(3)+Fz(4,X)*i(4)+Fz(5,X)*i(5)+Fz(6,X)*i(6)…式(22)
上記式(21)及び(22)を満足する電流値i(1)〜i(6)をそれぞれコイル202(1)〜202(6)に印加されるように電流指令値を決定することにより、永久磁石303bRに対してX方向及びZ方向に独立に力を印加することができる。コイル電流算出関数505は、永久磁石b303に対してX方向及びZ方向に独立に力を印加するために、上述のようにしてコイル202(j)に印加する電流指令値を決定することができる。
より簡単のため、図13に示す場合において、永久磁石303bRに対してコイル202(1)〜202(6)のうちのコイル202(3)、202(4)、202(5)だけを使い、さらにこれら3つの電流値の総和が0となるように制御する場合を例に考える。この例の場合、永久磁石303bRに対してX方向に働く力FxfR及びZ方向に働く力FzfRは、それぞれ次式(23)及び(24)により表される。
FxfR=Fx(3,X)*i(3)+Fx(4,X)*i(4)+Fx(5,X)*i(5)…式(23)
FzfR=Fz(3,X)*i(3)+Fz(4,X)*i(4)+Fz(5,X)*i(5)…式(24)
また、コイル202(1)〜202(6)の電流値は、次式(25)及び(26)を満足するように設定することができる。
i(3)+i(4)+i(5)=0…式(25)
i(1)=i(2)=i(6)=0…式(26)
したがって、永久磁石303bRに対して必要な力の大きさ(FxfR、FzfR)が決定された場合、電流値i(1)、i(2)、i(3)、i(4)、i(5)及びi(6)を一意に決定することができる。こうして決定される電流指令値により可動子301にX方向及びZ方向に力が印加される。可動子301に印加されるX方向の力により、可動子301は、X方向に移動する推進力を得てX方向に移動する。また、こうして決定される電流指令値により可動子301に印加されるX方向及びZ方向の力により、可動子301はその姿勢が制御される。
こうして、統合コントローラ401は、複数のコイル202に印加する電流を制御することにより、可動子301に印加する力の6軸成分のそれぞれを制御する。
なお、可動子301の搬送により永久磁石303bRの中心Omに対してコイル202の中心Ocが移動した場合、すなわちX≠0の場合は、移動した位置に応じたコイル202を選択することができる。さらに、コイル202に発生する単位電流当たりの力に基づいて、上記と同様の計算を実行することができる。
上述のようにして、統合コントローラ401は、複数のコイル202に印加する電流の電流指令値を決定して制御することにより、固定子201上での可動子301の姿勢を6軸で制御しつつ、可動子301の非接触での固定子201上の搬送を制御する。すなわち、統合コントローラ401は、可動子301の搬送を制御する搬送制御手段として機能し、複数のコイル202により永久磁石303が受ける電磁力を制御することにより、固定子201上における可動子301の非接触での搬送を制御する。また、統合コントローラ401は、可動子301の姿勢を制御する姿勢制御手段として機能し、固定子201上における可動子301の姿勢を6軸で制御する。なお、制御装置としての統合コントローラ401の機能の全部又は一部は、コイルコントローラ402その他の制御装置により代替されうる。
このように、本実施形態によれば、2列に配置された複数のコイル202により、可動子301に対して、3軸の力成分(Tx,Ty,Tz)及び3軸のモーメント成分(Twx,Twy,Twz)の6軸の力を印加することができる。これにより、可動子301の姿勢を6軸で制御しつつ、可動子301の搬送を制御することができる。本実施形態によれば、制御すべき変数である力の6軸成分の数よりも少ない列数である2列のコイル202により、可動子301の姿勢の6軸制御しつつ、可動子301の搬送を制御することができる。
したがって、本実施形態によれば、コイル202の列数を少なく構成することができるため、システムの大型化や複雑化を伴うことなく、可動子301の姿勢を制御しつつ、可動子301を非接触で搬送することができる。さらに、本実施形態によれば、コイル202の列数を少なく構成することができるため、安価に小型の磁気浮上型の搬送システムを構成することができる。
また、本実施形態によれば、可動子301の上面に永久磁石303が配置されているため、ワーク302に対する良好なアクセスを実現することができる。これにより、可動子301上のワーク302に対して、高い自由度で工程装置により加工作業を施すことができる。
次に本発明の効果について、図11に示すYセンサの検出の例を用いて説明する。
図11(A)は、図示しない可動子301が搬送に伴い、可動子301に取付けられたYターゲット305が移動する様子を示したものであり、複数のYセンサ102a、102b、102cは、センサの取付け精度のばらつきにより、センサ設置位置が異なる。
図11(B)〜(E)に示すように可動子301の搬送に伴い、図中PosXaに示す位置で、Yセンサ102cが新たにYターゲット305を検出し始める。
図11(B)は、センサ情報荷重領域511を有さない、従来技術による可動子位置情報(Y,Wz)の算出結果である。このYセンサ102の切り替わりにより、可動子位置情報(Y,Wz)の算出結果が不連続に大きく変動する。
これに対し、シグモイド関数により算出される係数(W)を用いた可動子位置情報(Y,Wz)の算出結果を図11(C)に示す。また、線形関数により算出される係数(W)を用いた結果を図11(D)、図7(C)に示すような不連続関数により算出される係数(W)を用いた結果を図11(E)に示す。図11中センサ情報荷重領域511で示す領域において、Yセンサ102cの係数(W)が各々の関数により算出され、可動子位置情報(Y,Wz)の算出に用いられる。
検出センサが切り替わる際の検出位置及び姿勢は、可動子301の振動抑制の観点から図11(C)のように滑らかに変動することが望ましい。しかし、可動子位置情報の算出処理の高速化など実装上の都合から線形関数や不連続関数で構成しても、図11(D)、(E)に示すように前記変動を小さく抑えることが可能である。
なお、可動子301の搬送により可動子情報506の算出に用いるセンサが次々に切り替わる。その際、センサの設置位置が、センサ情報無効領域512b→センサ情報荷重領域511b→センサ情報有効領域510A→センサ情報荷重領域511a→センサ情報無効領域512aと係数(W)を伴って、連続的に変化する。このため、本実施形態によれば、検出センサが切り替わる際の検出位置及び姿勢の変動を小さく抑えることができる。したがって、検出センサの切り替わりに起因する可動子の振動が除去でき安定搬送が可能となる。
なお、本実施形態では、センサ情報荷重領域511とセンサ情報無効領域512は可動子301の前後にのみ設けた例を示した。しかし、可動子301の構成によっては、ターゲット305、306が搬送方向に分割して配置される場合や、ターゲット305、306の取付け精度のばらつきにより浮きや変形が生じている場合などがある。この際、センサ102、103の検出が不安定となり、検出誤差が一定以上となる箇所が複数存在する可能性がある。このような場合には、図12に示すように、Yターゲット305をYターゲット3051と3052に分割することも可能である。あるいはZターゲット306Rを306R1、306R2に、306Lを、306L1、306L2に分割することも可能である。それに合わせてセンサ情報有効領域510を分割し、センサ情報荷重領域511とセンサ情報無効領域512を設定する。
これにより、Yターゲット305、Zターゲット306の分割等に起因する検出位置および姿勢の変動を抑えることができる。
本実施形態において、搬送装置1は、可動磁石型リニアモータ(ムービング永久磁石型リニアモータ、可動界磁型リニアモータ)による例を示したが、これに限るものではない。搬送装置1は、可動コイル型リニアモータ(ムービングコイル型リニアモータ、固定界磁型リニアモータ)であってもよい。
[第2実施形態]
以下、図面を参照して本発明の第2実施形態について図14乃至図21を用いて説明する。
図14は、第2実施形態による搬送システム全体を示す概略図である。第2実施形態の搬送システムは、可動子301をガイドレール204によってY方向及びZ方向に移動しないように規制されている。また、固定子201に取り付けられたセンサはXセンサ101のみである。以下、第1実施形態と同様の作用を有する構成については同じ符号を付し説明を省略する。
第2実施形態による搬送システム1001は、台車、スライダ又はキャリッジを構成する可動子301と、搬送路を構成する固定子201と、固定子201に固定された複数のXセンサ101を有している。搬送システム1001は、可動磁石型リニアモータ(ムービング永久磁石型リニアモータ、可動界磁型リニアモータ)による搬送システムである。
また、可動子301は、ガイドレール204によってY方向及びZ方向に移動しないように規制されている。本実施形態ではガイドレール204によって規制する例を示したが、ガイドローラーによってY方向及びZ方向を規制してもよい。
Xセンサ101は、例えば、可動子301に取付けたリニアスケール304を検出し、可動子301の搬送方向位置を特定するリニアエンコーダである。
複数のXセンサ101は、それぞれ可動子301のリニアスケール304と対向可能なようにX方向に沿って固定子201に取り付けられている。各Xセンサ101は、可動子301に取り付けられたリニアスケール304を読み取ることで、可動子301のXセンサ101に対する相対的な位置を検出して出力することができる。
次に、本実施形態による搬送システム1001を制御する制御システムについてさらに図15を用いて説明する。図15は、第2実施形態による搬送システム1001を制御する制御システムを示す概略図である。
図15に示すように、制御システムは、上位コントローラ1400と、統合コントローラ1401(1401aおよび1401b)と、コイルコントローラ1402と、センサコントローラ1404とを有し、可動子301と固定子201とを含む搬送システム1001を制御する制御装置として機能する。上位コントローラ1400には、統合コントローラ1401が通信可能に接続されている。統合コントローラ1401には、コイルコントローラ1402が通信可能に接続されている。また、統合コントローラ1401には、センサコントローラ1404が通信可能に接続されている。
上位コントローラ1400は、搬送システム1001と可動子301上のワーク302に加工作業を施す工程装置を含めた生産装置全体の制御を行う。上位コントローラ1400は、統合コントローラ1401に対して、各可動子301の移動指令(移動先、移動速度、移動加減速度等)を送信する。
コイルコントローラ1402には、図示しない複数の電流コントローラ1403が通信可能に接続されている。コイルコントローラ1402及びこれに接続された複数の電流コントローラ1403は、複数のコイル202に対応して設けられている。各電流コントローラ1403には、コイルユニット203が接続されている。電流コントローラ1403は、接続されたコイルユニット203の各々のコイル202の電流の大きさを制御することができる。
コイルコントローラ1402は、接続された各々の電流コントローラ1403に対して目標となる電流値を指令する。電流コントローラ1403は接続されたコイル202の電流量を制御する。
センサコントローラ1404には、複数のXセンサ101が通信可能に接続されている。
複数のXセンサ101は、可動子301が搬送中もそのうちの1つが必ず1台の可動子301の位置を測定できるような間隔で固定子201に取り付けられている。
統合コントローラ1401は、Xセンサ101からの出力に基づき、複数のコイル202に印加する電流指令値を決定して、コイルコントローラ1402に送信する。コイルコントローラ1402は、統合コントローラ1401からの電流指令値に基づき、電流コントローラ1403に対して電流値を指令し、電流制御を実行する。これにより、統合コントローラ1401は、制御装置として機能し、固定子201に沿って可動子301を搬送制御する。
以下、統合コントローラ1401により実行される可動子301の位置制御方法について図16を用いて説明する。図16は、本実施形態による搬送システム1001における可動子301の制御方法を示す概略図である。図16は、可動子301の制御方法の概略について主にそのデータの流れに着目して示している。統合コントローラ1401は、以下に説明するように、可動子位置算出情報処理関数1512、可動子位置算出関数1513、可動子位置制御関数1514及びコイル電流算出関数1515を用いた処理を実行する。これにより、統合コントローラ1401は、可動子301の位置を制御しつつ、可動子301の搬送を制御する。なお、統合コントローラ1401に代えて、コイルコントローラ1402が統合コントローラ1401と同様の処理を実行するように構成することもできる。
まず、可動子位置算出情報処理関数1512は、複数のXセンサ101からの測定値及びその取り付け位置の情報1507から、可動子位置算出情報1508を算出する。次に、可動子位置算出関数1513は、可動子位置算出情報1508から、搬送路を構成する固定子201上にある可動子301の台数及び位置を計算する。これにより、可動子位置算出関数1513は、可動子301に関する情報である可動子情報1506の可動子位置情報、及び台数情報を更新する。可動子位置情報は、固定子201上の可動子301の搬送方向であるX方向における位置を示している。可動子情報1506は、固定子201上の可動子301ごとに用意される。
可動子位置算出情報処理関数1512は、複数のXセンサ101の測定値から、各々の可動子301に取り付けられたリニアスケール304を検出しているXセンサ101を特定する。この際、特定されたXセンサ101の固定子201上のセンサ設置位置情報1507と測定値に基づいて、係数(W)を算出する。
次いで、可動子位置算出関数1513は、特定されたXセンサ101の測定値と算出した係数(W)を含む可動子位置算出情報1508、及びセンサ位置情報1507に基づき、各々の可動子301の位置情報を算出して可動子情報1506を更新する。
次いで、可動子位置制御関数1514は、可動子位置情報を含む現在の可動子情報1506及び位置目標値から、各々の可動子301について印加力情報1509を算出する。印加力情報1509は、各々の可動子301に印加すべき力の大きさに関する情報である。印加力情報1509は、例えば図16中にTrq−1、Trq−2、…と示すように固定子201上の可動子301ごとに用意される。
次いで、コイル電流算出関数1515は、印加力情報1509及び可動子情報1506に基づき、各コイル202に印加する電流指令値15101を決定する。
こうして、統合コントローラ1401は、可動子位置算出情報処理関数1512、可動子位置算出関数1513、可動子位置制御関数1514及びコイル電流算出関数1515を用いた処理を実行することにより、電流指令値15101を決定する。統合コントローラ1401は、決定した電流指令値15101をコイルコントローラ1402に送信する。
ここで、可動子位置算出情報処理関数1512による処理について図17を用いて説明する。図17は、可動子位置算出情報処理関数1512による処理を説明する概略図である。
図17において、基準点Oeは、Xセンサ101が取り付けられている固定子201の位置基準である。また、基準点Osは、可動子301に取り付けられているリニアスケール304の位置基準である。図17では、可動子301として2台の可動子301a、301bが搬送され、Xセンサ101として4つのXセンサ101a、101b、101c、101dが配置されている場合を示している。なお、リニアスケール304は、各可動子301a、301bの同じ位置にX方向に沿って取り付けられている。
可動子301を観測している各々のXセンサ101a〜101dは、各出力距離Pa、Pb、Pc、Pdに基づいて0以上1以下の係数(W)を算出する。
例えば、図17のXセンサ101a及び101cは、センサ情報有効領域1510に存在すると判定されるため、次式(27)、(28)のように算出される。
W(101a)=1…式(27)
W(101c)=1…式(28)
また、図17のXセンサ101bは、センサ情報無効領域1512aに存在すると判定されるため、次式(29)のように算出される。センサ情報無効領域1512は、Xセンサ101がリニアスケール304の端を検出するため、Xセンサ101の検出誤差が一定以上となる領域での出力を無視するために設ける。
W(101b)=0…式(29)
また、図17のXセンサ101dは、センサ情報荷重領域1511bに存在すると判定されるため、例えば、次式(30)のようなシグモイド関数などの、0から1または1から0に単調に増減する連続関数を用いて、0以上1以下の値で算出される。式(30)におけるaはシグモイド関数のゲインである。
W(101d)=1/(1+exp(−a*Pd))…式(30)
可動子位置算出情報処理関数1512は、上述のようにしてXセンサ101の出力と、センサ設置位置情報1507に基づき、係数(W)を算出する。算出した係数(W)を付加した可動子位置算出情報1508を出力し、可動子位置算出関数1513の入力とする。
なお、係数(W)を算出する関数として第1実施形態で例示した他の関数を用いる方法や、係数プロファイルとして、統合コントローラ1401のメモリ上に保持することで、上述の可動子位置算出情報処理関数1512と同様の処理を実施することが可能である。
次に、可動子位置算出関数1513による処理について図17を用いて説明する。
例えば、図17に示す可動子301aのリニアスケール304には、1つのXセンサ101aが対向している。Xセンサ101aは、可動子301aのリニアスケール304を読み取って距離Paを出力する。また、Xセンサ101aの基準点Oeを原点とするX軸上の位置はSaである。したがって、Xセンサ101aの出力を用いて可動子301aの位置Pos(301a、101a)は次式(31)により算出することができる。
Pos(301a、101a)=Sa−Pa…式(31)
例えば、図17に示す可動子301bのリニアスケール304には、3つのXセンサ101b、101c、101dが対向している。Xセンサ101bは、可動子301bのリニアスケール304を読み取って距離Pbを出力する。また、Xセンサ101bの基準点Oeを原点とするX軸上の位置はSbである。したがって、Xセンサ101bの出力に基づく可動子301bのX軸上の位置Pos(301b、101b)は、次式(32)で算出することができる。
Pos(301b、101b)=Sb−Pb…式(32)
また同様に、Xセンサ101cと101dは、可動子301bのリニアスケール304を読み取ってそれぞれ距離Pc、Pdを出力する。また、Xセンサ101cと101dの基準点Oeを原点とするX軸上の位置はそれぞれSc、Sdである。したがって、Xセンサ101cと101dの出力に基づく可動子301bのX軸上の位置Pos(301b、101c)、Pos(301b、101d)は、次式(33)、(34)により算出することができる。
Pos(301b、101c)=Sc−Pc…式(33)
Pos(301b、101d)=Sd−Pd…式(34)
ここで、各々のXセンサ101b、101c、101dの設置位置は予め正確に測定されているため、3つの値Pos(301b、101b)、Pos(301b、101c)、Pos(301b、101d)の差は可動子301の長さに対し十分に小さい。このように複数のXセンサ101の出力に基づく可動子301のX軸上の位置の差が十分小さい場合は、それら複数のXセンサ101は、同一の可動子301のリニアスケール304を観測していると判定することができる。
次に、同一の可動子301を観測していると判定したXセンサ101の出力に基づき算出される可動子301のX軸上の位置Pos(301、101)と、可動子位置算出情報1508に基づいて、加重平均を算出することで観測された可動子301の位置を一意に決定する。
例えば、図17に示す可動子301aの位置Pos(301a)は、次式(35)を用いて算出される。
Pos(301a)=W(101a)*Pos(301a、101a)/W(101a)…式(35)
あるいは、計算誤差の観点から、同一の可動子301を検出しているXセンサ101が1つのみの場合は、次式(36)を用いることも可能である。
Pos(301a)=Pos(301a、101a)…式(36)
次に、例えば図17に示す可動子301bの位置Pos(301b)は、次式(37)を用いて算出される。
Pos(301b)={W(101b)*Pos(301b、101b)+W(101c)*Pos(301b、101c)+W(101d)*Pos(301b、101d)}/{W(101b)+W(101c)+W(101d)}…式(37)
次いで、可動子位置制御関数1514は、現在の可動子情報1506及び目標値(指令位置)から、各々の可動子301について印加力情報1509を算出する。印加力情報1509は、各々の可動子301に印加すべき力の大きさに関する情報である。
次いで、コイル電流算出関数1515は、印加力情報1509及び可動子情報1506に基づき、各コイル202に印加する電流指令値15101を決定する。
次に、コイル電流算出関数1515による処理について図20を用いて説明する。なお、以下で用いる力の表記において、X方向、Y方向の力が働く方向をそれぞれx、yで示す。
図21(a)において、永久磁石303に働く力を次のように表記する。各永久磁石303に働く力は、電流が印加された複数のコイル202により永久磁石303が受ける電磁力である。永久磁石303は、電流が印加された複数のコイル202により、可動子301の搬送方向であるX方向の電磁力Fxの他、Y方向の電磁力Fyを受ける。
S極及びN極の極性がX方向に交互に並んだ永久磁石303に対してX方向に対して力を印加する方法について説明する。図20は、永久磁石303に対してX方向に力を印加する方法を説明する概略図である。コイル電流算出関数1515は、以下に従って、永久磁石303に対してX方向に対して力を印加するためにコイル202に印加する電流指令値を決定する。
Xを可動子301の位置、jを列に並んだコイル202の番号として、単位電流当たりのコイル202(j)のX方向及びY方向に働く力の大きさを、Fx(j、X)及びFy(j、X)とする。また、コイル202(j)の電流の大きさをi(j)とする。なおコイル202(j)は、j番目のコイル202である。
図20中の上段の図は、横にX軸、縦にZ軸を取り、永久磁石303に対向する9個のコイル202を抜き出して示す図である。図20中の中段の図は、図20中の上段の図をZ方向から見た図である。コイル202には、X方向に並んだ順に1から6までの番号jを付与し、以下では例えばコイル202(1)のように表記して各コイル202を特定する。
図20中の上段及び中段の図に示すように、コイル202は、距離Lのピッチでされている。一方、可動子301の永久磁石303は、距離3/2*Lのピッチで配置されている。
図20中の下段のグラフは、図20中の上段及び中段の図に示す各々のコイル202に対して単位電流を印加した際に発生するX方向の力Fx及びY方向の力Fyの大きさを模式的に示したグラフである。
簡単のため、図20では、コイル202のX方向の位置の原点Ocをコイル202(5)の中心とし、永久磁石303のX方向の中心Omを原点としている。このため、図20は、OcとOmとが合致した場合、すなわちX=0の場合を示している。
このとき、例えばコイル202(4)に対して働く単位電流当たりの力は、X方向にFx(4,0)、Y方向にFy(4,0)の大きさである。また、コイル202(5)に対して働く単位電流当たりの力は、X方向にFx(5,0)、Y方向にFy(5,0)の大きさである。
ここで、コイル202(1)〜202(9)に印加する電流値をそれぞれi(1)〜i(9)とする。すると、永久磁石303に対して、X方向に働く力の大きさFx及びY方向に働く力の大きさFyは、それぞれ一般的に次式(38)及び(39)で表される。
Fx=Σ{Fx(j,X)*i(j)}、(j=1、…、9)…式(38)
Fy=Σ{Fy(j,X)*i(j)}、(j=1、…、9)…式(39)
上記式(38)及び(39)を満足する電流値i(1)〜i(9)をそれぞれコイル202(1)〜202(9)に印加されるように電流指令値を決定することにより、永久磁石303に対してX方向及びY方向に力を印加することができる。コイル電流算出関数1515は、永久磁石303に対してX方向及びY方向に力を印加するために、上述のようにしてコイル202(j)に印加する電流指令値を決定することができる。
より簡単のため、図20に示す場合において、永久磁石303に対してコイル202(1)〜202(9)のうちのコイル202(3)、202(4)、202(5)だけを使い、さらにこれら3つの電流値の総和が0となるように制御する場合を例に考える。この例の場合、永久磁石303に対してX方向に働く力Fx及びY方向に働く力Fyは、それぞれ次式(40)及び(41)により表される。
Fx=Fx(3,X)*i(3)+Fx(4,X)*i(4)+Fx(5,X)*i(5)…式(40)
Fy=Fy(3,X)*i(3)+Fy(4,X)*i(4)+Fy(5,X)*i(5)…式(41)
また、コイル202(1)〜202(9)の電流値は、次式(42)及び(43)を満足するように設定することができる。
i(3)+i(4)+i(5)=0…式(42)
i(1)=i(2)=i(6)=i(7)=i(8)=i(9)=0…式(43)
また、図21(b)に示すように、可動子301は、ガイドレール204によりY方向に拘束されているが、不要な負荷をかけずに搬送されることが望ましい。そのため、永久磁石303に対してY方向に働く力Fyは、次式(44)を満足するように設定することが望ましい。
Fy=0…式(44)
したがって、永久磁石303に対して必要な力の大きさFxが決定された場合、電流値i(1)〜i(9)を一意に決定することができる。こうして決定される電流指令値により可動子301にX方向の力が印加される。可動子301に印加されるX方向の力により、可動子301は、X方向に移動する推進力を得てX方向に搬送制御される。
こうして、統合コントローラ1401は、複数のコイル202に印加する電流を制御することにより、可動子301に印加するX方向の力を制御する。
なお、可動子301の搬送により永久磁石303bRの中心Omに対してコイル202の中心Ocが移動した場合、すなわちX≠0の場合は、移動した位置に応じたコイル202を選択することができる。さらに、コイル202に発生する単位電流当たりの力に基づいて、上記と同様の計算を実行することができる。
上述のようにして、統合コントローラ1401は、複数のコイル202に印加する電流の電流指令値を決定して制御することにより、固定子201上での可動子301の位置を制御する。すなわち、統合コントローラ1401は、可動子301の搬送を制御する搬送制御手段として機能し、複数のコイル202により永久磁石303が受ける電磁力を制御することにより、固定子201上における可動子301の搬送を制御する。なお、制御装置としての統合コントローラ1401の機能の全部又は一部は、コイルコントローラ1402その他の制御装置により代替されうる。
次に本発明の効果について、図18及び図19に示すXセンサの検出の例を用いて説明する。
図18は、図示しない可動子301が搬送に伴い、可動子301に取付けられたリニアスケール304が移動する様子を示したものであり、複数のXセンサ101a、101bは、センサの取付け精度のばらつきにより、センサ設置位置が異なる。図18中において、破線で示すXセンサ101a′、101b′が設計におけるXセンサの設置位置であり、Xセンサ101a、101bが実際に取り付けられているXセンサの設置位置を模式的に表したものである。
図18に示すように可動子301の搬送に伴い、Xセンサ101bが新たにリニアスケール304を検出し始める。検出センサが切り替わる際の検出位置及び姿勢は、可動子301の振動抑制の観点からXセンサ101の切り替わりに依らず誤差なく検出されることが望ましい。しかし、上述のようにセンサの取り付け精度や機差などにより、検出誤差が生じる。
従来技術においては、Xセンサ101の切り替わりにより、可動子位置情報の算出結果が不連続に大きく変動することがあった。これに対し、係数(W)を用いた可動子位置情報の算出結果は、連続的に変化し、Xセンサの切り替わりによる検出位置の変動を小さく抑えることができる。
なお、可動子301の搬送により可動子情報1506の算出に用いるセンサが次々に切り替わる。その際、センサの設置位置が、センサ情報無効領域1512b→センサ情報荷重領域1511b→センサ情報有効領域1510A→センサ情報荷重領域1511a→センサ情報無効領域1512aと係数(W)を伴って、連続的に変化する。このため、本実施形態によれば、検出センサが切り替わる際の検出位置の変動を小さく抑えることができる。したがって、検出センサの切り替わりに起因する可動子の振動が除去でき安定搬送が可能となる。
また、第1実施形態における、図4の可動子位置算出関数501で示す可動子301の可動子位置情報の算出処理を、第2実施形態の可動子位置算出情報処理関数1512、可動子位置算出関数1513に置き換えることも可能である。これにより、第1実施形態の可動子位置情報の算出処理においても、第2実施形態と同様に第1の方向の検出センサの切り替わりに起因する可動子の振動が除去できる。
また、本実施形態において、可動子位置算出情報処理関数1512で算出される係数(W)は、可動子301とXセンサ101の(出力と設置位置から算出される)相対位置に基づいて算出したが、Xセンサ101の検出時間に応じて係数(W)を算出する方法を用いることもできる。下記に示すこの方法であれば、可動子301の移動速度に依らず、検出センサの切り替わりに起因する可動子の振動を除去でき、安定搬送が可能となる。なお、可動子301をXセンサ101が検出する検出時間に応じた可動子の位置情報を補正する本例に対して、可動子301とXセンサ101の相対位置の情報を加味しても構わない。
例えば、図19のXセンサ101eは、可動子301cの搬送に伴い、時刻Tsに可動子301cを検出し始め、時刻Teに可動子301cを検出しなくなる。
例えば、図19のXセンサ101eは、時刻TsからT1と時刻T4からTeまでは、センサ情報無効時間1522と判定されるため、次式(45)のように算出される。
W(101e、t)=0、(Ts<t<T1、T4<t<Te)…式(45)
また、図19のXセンサ101eは、時刻T2からT3までは、センサ情報有効時間1520と判定されるため、次式(46)のように算出される。
W(101e、t)=1、(T2≦t≦T3)…式(46)
また、図19のXセンサ101eは、時刻T1からT2と時刻T3からT4までは、センサ情報荷重時間1521と判定される。そのため、例えば、次式(47)、(48)のようなシグモイド関数などの、0から1または1から0に単調に増減する連続関数を用いて、0以上1以下の値で算出される。式(47)、(48)におけるaはシグモイド関数のゲインである。
W(101e、t)=1/{1+exp(−a*(t−t1´))}、(T1≦t<T2、t1´=(T2―T1)/2)…式(47)
W(101e、t)=1−1/{1+exp(−a*(t−t2´))}、(T3<t≦T4、t2´=(T4―T3)/2)…式(48)
可動子位置算出情報処理関数1512は、上述のようにしてXセンサ101の検出時間に基づき、係数(W)を算出するようにしても良い。算出した係数(W)を付加した可動子位置算出情報1508を出力し、可動子位置算出関数1513の入力とする。
なお、可動子301cを検出しなくなる時刻Teは、可動子301cの移動状態に応じて決定することができる。
例えば、図19の可動子301cが一定速度Vcで搬送されている場合は、検出終了時刻Teは、次式(49)のように決定される。式(49)におけるLcは、可動子301cに設置されたリニアスケール304の長さである。
Te=Ts+Lc/Vc…式(49)
また、Xセンサ101が可動子301を検出している際に、可動子301が停止等した場合は、その停止時間、及び加減速時間を加算することで、検出終了時刻Teを正しく決定することができる。
こうして算出した係数(W)を付加した可動子位置算出情報1508として可動子の位置制御をすることで、同様に検出センサが切り替わる際の検出位置の変動を小さく抑えることができる。
101 Xセンサ
102 Yセンサ
103 Zセンサ
201 固定子
202 コイル
203 コイルユニット
301 可動子
302 ワーク
303 永久磁石
304 リニアスケール
305 Yターゲット
306 Zターゲット

Claims (15)

  1. 第1の方向に沿って移動する可動子と、
    前記第1の方向に沿って配置され、前記可動子の位置情報を検出する複数の第1のセンサを有する固定子と、
    前記複数の第1のセンサの検出値から求められる前記複数の第1のセンサの少なくとも1つと前記可動子との相対位置と、前記複数の第1センサが前記可動子を検出する検出時間と、の少なくとも1つに基づき、前記可動子の位置情報を補正し、前記可動子の位置および/または姿勢を制御する制御部と、を有することを特徴とする搬送装置。
  2. 前記制御部は、前記複数の第1センサの複数の検出値のうちの少なくとも1つを係数を用いて調整し、前記可動子の位置情報を補正することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
  3. 前記可動子の検出対象領域は、中心部に設定される第一の領域、前記第1の方向の端部に設定される第二の領域、および前記第一の領域と前記第二の領域の間の第三の領域に設定され、
    前記制御部が用いる前記係数は、前記複数の第1のセンサの少なくとも1つの第1センサが、前記第一の領域、前記第二の領域、及び前記第三の領域のいずれに属するかによって異なることを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
  4. 前記係数は複数であり、前記係数の少なくとも1つが、
    前記複数の第1センサの少なくとも1つと前記可動子との相対位置に応じて、重みづけが0から1の間で変化するように設定されていることを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
  5. 第1の方向に沿って移動する可動子と、
    前記第1の方向に沿って配置され前記可動子の前記第1方向の位置情報を検出する複数の第1のセンサと、前記可動子の前記第1の方向に交差する第2の方向の位置情報を検出する複数の第2のセンサと、を有する固定子と、
    前記複数の第1のセンサの検出値を用いて前記複数の第2のセンサの少なくとも1つを選択し、選択された前記第2のセンサと前記可動子との相対位置に基づき、前記可動子の第2の方向の位置情報を補正し、前記可動子の位置および/または姿勢を制御する制御部と、を有することを特徴とする搬送装置。
  6. 前記制御部は、前記複数の第2センサの複数の検出値のうちの少なくとも1つを係数を用いて調整し、前記可動子の第2の方向の位置情報を補正することを特徴とする請求項5に記載の搬送装置。
  7. 前記可動子の検出対象領域は、中心部に設定される第一の領域、前記第1の方向の端部に設定される第二の領域、および前記第一の領域と前記第二の領域の間の第三の領域に設定され、
    前記制御部が用いる前記係数は、前記複数の第2のセンサの少なくとも1つが、前記第一の領域、前記第二の領域、及び前記第三の領域のいずれに属するかによって異なることを特徴とする請求項6に記載の搬送装置。
  8. 前記係数は複数であり、前記係数の少なくとも1つが、
    選択された前記第2センサと前記可動子との相対位置に応じて、重みづけが0から1の間で変化するように設定されていることを特徴とする請求項7に記載の搬送装置。
  9. 前記複数の第2のセンサのうちの隣り合う2つの距離は、前記可動子の前記第一の領域における前記第1の方向の長さの半分以下であることを特徴とする請求項7または8に記載の搬送装置。
  10. 前記固定子は、前記可動子の前記第1の方向および前記第2の方向と交差する第3方向位置情報を検出する複数の第3センサを有し、
    前記制御部は、前記複数の第1のセンサの検出値を用いて前記複数の第3のセンサの少なくとも1つを選択し、選択された前記第3のセンサと前記可動子との相対位置に基づき、前記可動子の第3の方向の位置情報を補正し、前記可動子の位置および/または姿勢を制御することを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項に記載の搬送装置。
  11. 前記制御部は、前記複数の第3センサの複数の検出値のうちの少なくとも1つを係数を用いて調整し、前記可動子の第3の方向の位置情報を補正することを特徴とする請求項10に記載の搬送装置。
  12. 前記可動子は、前記第1の方向に沿って配置された複数の磁石からなる第1の磁石群と、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って配置された複数の磁石からなる第2の磁石群とを有し、
    前記固定子は、前記第1の磁石群および前記第2の磁石群に対向可能に前記第1の方向に沿って配置された複数のコイルを有することを特徴とする請求項5乃至11いずれか一項記載の搬送装置。
  13. 前記可動子は前記第1の磁石群と前記複数のコイルによって前記第1の方向に移動制御され、前記第2の磁石群と前記コイルによって前記第1の方向と交差する第2の方向における位置を制御されることを特徴とする請求項12記載の搬送装置。
  14. 請求項1乃至13いずれか一項に記載の搬送装置と、前記搬送装置によって移動するワークに加工を行なう生産装置とを有することを特徴とする生産システム。
  15. 請求項14に記載の生産システムによって製造されることを特徴とする物品の製造方法。
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