JP2021031614A - 光配向性重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
光学フィルムとしては延伸複屈折フィルムが使用されていたが、近年、延伸複屈折フィルムに代えて、液晶性化合物を用いた光学異方性層を使用することが提案されている。
また、特許文献2には、所定の光配向性基を含む繰り返し単位Aと、所定の架橋性基を含む繰り返し単位Bとを有する、光配向性共重合体を含有する光配向膜用組成物を用いて形成した光配向膜が記載されている([請求項1][請求項13])。
そこで、本発明者らは、未反応の単量体(以下、「残存モノマー」とも略す。)を除去するプロセスとして、多量の溶媒を使用する再沈殿法に代えて、反応濃度の向上や開始剤の追加添加などの方法を採用したところ、未反応の単量体の残存率は1〜5%程度に留まるため、液晶配向性が劣ることを明らかとした。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
光配向性基を有する単量体を重合し、光配向性基を含む繰り返し単位を有する光配向性重合体を合成する重合工程と、
重合工程の後に、吸着剤を用いて未反応の単量体の少なくとも一部を除去する吸着工程とを有する、光配向性重合体の製造方法。
[2] 吸着剤が、有機微粒子または無機微粒子である、[1]に記載の光配向性重合体の製造方法。
[3] 吸着剤が、表面の少なくとも一部が官能基で修飾された有機微粒子または無機微粒子である、[1]または[2]に記載の光配向性重合体の製造方法。
[4] 未反応の単量体が、エチレン性不飽和二重結合を含む官能基を有し、
吸着剤が、表面の少なくとも一部がメルカプト基で修飾された有機微粒子または無機微粒子であり、
吸着工程が、未反応の単量体と吸着剤とのエン−チオール反応を利用した処理工程である、[1]〜[3]のいずれかに記載の光配向性重合体の製造方法。
[5] 光配向性基が、光の作用により二量化および異性化の少なくとも一方が生じる基である、[1]〜[4]のいずれかに記載の光配向性重合体の製造方法。
[6] 光配向性基が、桂皮酸誘導体、クマリン誘導体、カルコン誘導体、マレイミド誘導体、アゾベンゼン化合物、スチルベン化合物およびスピロピラン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の誘導体または化合物の骨格を有する基である、[1]〜[5]のいずれかに記載の光配向性重合体の製造方法。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本願明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、各成分は、各成分に該当する物質を1種単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上の物質を併用する場合、その成分についての含有量とは、特段の断りが無い限り、併用した物質の合計の含有量を指す。
本発明の光配向性重合体の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」とも略す。)は、光配向性基を含む繰り返し単位を有する光配向性重合体の製造方法であって、光配向性基を有する単量体を重合し、光配向性基を含む繰り返し単位を有する光配向性重合体を合成する重合工程と、重合工程の後に、吸着剤を用いて未反応の単量体の少なくとも一部を除去する吸着工程とを有する。
これは、詳細には明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
すなわち、本発明においては、多量の溶媒を使用する再沈殿法に代えて、吸着剤を用いて未反応の単量体の少なくとも一部を除去する方法(以下、「吸着法」とも略す。)を採用することにより、環境負荷の低減を図ることができる。
また、吸着法を採用することにより、意外にも、製造対象である光配向性重合体の吸着よりも未反応の単量体の吸着が促進され、未反応の単量体の残存率を0.1%未満に抑制することができたため、製造される光配向性重合体を用いて形成した光配向膜の液晶配向性が良好になったと考えられる。
本発明の製造方法が有する重合工程は、光配向性基を有する単量体を重合し、光配向性基を含む繰り返し単位を有する光配向性重合体を合成する工程である。
光配向性重合体の合成に用いるモノマーは、光配向性基を有する単量体であれば特に限定されない。
エチレン性不飽和二重結合を有する官能基としては、具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基が挙げられ、アクリロイル基またはメタクリロイル基であることが好ましい。
ここで、光の作用により二量化する基としては、具体的には、例えば、桂皮酸誘導体(M. Schadt et al., J. Appl. Phys., vol. 31, No. 7, page 2155 (1992))、クマリン誘導体(M. Schadt et al., Nature., vol. 381, page 212 (1996))、カルコン誘導体(小川俊博他、液晶討論会講演予稿集,2AB03(1997))、マレイミド誘導体、および、ベンゾフェノン誘導体(Y. K. Jang et al., SID Int. Symposium Digest, P-53(1997))からなる群から選択される少なくとも1種の誘導体の骨格を有する基などが好適に挙げられる。
一方、光の作用により異性化する基としては、具体的には、例えば、アゾベンゼン化合物(K. Ichimura et al.,Mol.Cryst.Liq.Cryst .,298,221(1997))、スチルベン化合物(J.G.Victor and J.M.Torkelson,Macromolecules,20,2241(1987))、スピロピラン化合物(K. Ichimura et al., Chemistry Letters, page 1063 (1992) ;K.Ichimura et al., Thin Solid Films, vol. 235, page 101 (1993) )、桂皮酸化合物(K.Ichimura et al.,Macromolecules,30,903(1997))、および、ヒドラゾノ−β−ケトエステル化合物(S. Yamamura et al., Liquid Crystals, vol. 13, No. 2, page 189 (1993))からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の骨格を有する基などが好適に挙げられる。
上記式(mA)中、R1の一態様が示す置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、シアノ基、または、アミノ基であることが好ましい。
分岐状のアルキル基としては、炭素数3〜6のアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、イソプロピル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
環状のアルキル基としては、炭素数3〜6のアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
2価の連結基としては、光配向性基が液晶性化合物と相互作用しやすくなり、隣接する液晶層の液晶配向性がより良好となる理由から、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリーレン基、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−C(=O)−)、および、置換基を有していてもよいイミノ基(−NH−)からなる群から選択される少なくとも2以上の基を組み合わせた2価の連結基であることが好ましい。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、中でも、フッ素原子、塩素原子であるのが好ましい。
アルキル基としては、例えば、炭素数1〜18の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等)がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが更に好ましく、メチル基またはエチル基であるのが特に好ましい。
アルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜18のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜8のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、メトキシエトキシ基等)がより好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基であることが更に好ましく、メトキシ基またはエトキシ基であるのが特に好ましい。
アリール基としては、例えば、炭素数6〜12のアリール基が挙げられ、具体的には、例えば、フェニル基、α−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられ、中でも、フェニル基が好ましい。
アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ、ナフトキシ、イミダゾイルオキシ、ベンゾイミダゾイルオキシ、ピリジン−4−イルオキシ、ピリミジニルオキシ、キナゾリニルオキシ、プリニルオキシ、チオフェン−3−イルオキシなどが挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。
また、分岐状のアルキレン基としては、具体的には、例えば、ジメチルメチレン基、メチルエチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、2−エチル−2−メチルプロピレン基などが挙げられる。
また、環状のアルキレン基としては、具体的には、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロオクチレン基、シクロデシレン基、アダマンタン−ジイル基、ノルボルナン−ジイル基、exo−テトラヒドロジシクロペンタジエン−ジイル基などが挙げられ、中でも、シクロヘキシレン基が好ましい。
なお、この好適態様においては、シクロアルカン環を構成する炭素原子の一部は、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい。また、シクロアルカン環を構成する炭素原子の一部が窒素原子で置換されている場合は、シクロアルカン環とは別に窒素原子を有していなくてもよい。
ここで、シクロアルカン環は、炭素数6以上のシクロアルカン環であることが好ましく、その具体例としては、シクロヘキサン環、シクロペプタン環、シクロオクタン環、シクロドデカン環、シクロドコサン環等が挙げられる。
なお、下記式(a3)で表される基以外の置換基の具体例は、上記式(A)中のR1の一態様が示す置換基で説明したものと同様のものが挙げられる。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基などが挙げられ、中でも、メチル基またはエチル基が好ましい。
環状のアルキル基としては、炭素数3〜6のアルキル基が好ましく、具体的には、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、中でも、シクロヘキシル基が好ましい。
なお、上記式(a3)中のR7が表す1価の有機基としては、上述した直鎖状のアルキル基および環状のアルキル基を直接または単結合を介して複数組み合わせたものであってもよい。
ここで、電子供与性の置換基(電子供与性基)とは、ハメット値(Hammett置換基定数σp)が0以下の置換基のことをいい、例えば、上述した置換基のうち、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基などが挙げられる。
これらのうち、アルコキシ基であることが好ましく、隣接する液晶層の液晶配向性が更に良好となる理由から、炭素数が6〜16のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数7〜10のアルコキシ基であることが更に好ましい。
上記重合工程で合成される光配向性重合体が共重合体とする場合は、上述した光配向性基を有する単量体以外に、例えば、架橋性基を有する単量体を用いることができる。
また、L2は、2価の連結基を表す。なお、L2が表す2価の連結基としては、上記式(mA)中のL1が表す2価の連結基で説明したものと同様のものが挙げられる。
また、Bは、下記式(PG−1)〜(PG−9)で表されるいずれかの架橋性基を表す。
また、R9は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、または、トリフルオロメチル基を表す。ただし、上記式(PG−2)、(PG−5)、(PG−6)および(PG−9)における複数のR9は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記重合工程で合成される光配向性重合体が共重合体とする場合は、上述した光配向性基を有する単量体、および、上述した架橋性基を有する単量体以外に、他の繰り返し単位を形成する単量体を有していてもよい。
このような他の繰り返し単位を形成する単量体としては、例えば、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、アクリルアミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物、ビニル化合物等が挙げられる。
0.03 ≦ a/(a+b) ≦ 0.5 ・・・(11)
0.03 ≦ a/(a+b) ≦ 0.3 ・・・(12)
0.03 ≦ a/(a+b) ≦ 0.2 ・・・(13)
0.05 ≦ a/(a+b) ≦ 0.2 ・・・(14)
ここで、本発明における重量平均分子量および数平均分子量は、以下に示す条件でゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法により測定された値である。
・溶媒(溶離液):THF(テトラヒドロフラン)
・装置名:TOSOH HLC−8320GPC
・カラム:TOSOH TSKgel Super HZM−H(4.6mm×15cm
)を3本接続して使用
・カラム温度:40℃
・試料濃度:0.1質量%
・流速:1.0ml/min
・校正曲線:TOSOH製TSK標準ポリスチレン Mw=2800000〜1050(Mw/Mn=1.03〜1.06)までの7サンプルによる校正曲線を使用
本発明の製造方法が有する吸着工程は、上記重合工程の後に、吸着剤を用いて未反応の単量体の少なくとも一部を除去する工程である。
吸着剤としては、例えば、ゼオライト、アルミナ、シリカゲル、活性白土、珪藻土等の無機吸着剤;活性炭、吸着用合成樹脂、イオン交換樹脂等の有機吸着剤;が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ここで、有機微粒子とは、有機吸着剤を微粒子化したものであり、例えば、上述した活性炭などを微粒子化したものが挙げられる。
また、無機微粒子とは、無機吸着剤を微粒子化したものであり、例えば、上述したゼオライトなどを微粒子化したものが挙げられる。
有機微粒子または無機微粒子の平均粒子径は特に限定されないが、0.01〜1.0mmであることが好ましく、0.2〜1.0mmであることがより好ましい。なお、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用い、体積基準の粒度累積線図を作成したときの、粒度累積率50%における粒子径を平均粒子径(Dv50)とする。
ここで、微粒子の表面の少なくとも一部を修飾する官能基としては、例えば、メルカプト基、アミノ基、水酸基、シラノール基、カルボキシ基、ホスホ基、スルホ基などが挙げられ、中でも、メルカプト基であることが好ましい。
また、吸着工程における温度条件は特に限定されず、吸着工程における溶液粘度とハンドリングの観点から、10〜60℃であることが好ましく、20〜50℃であることがより好ましい。
〔モノマーmA−125の合成〕
撹拌羽、温度計、滴下ロートおよび還流管を備えた2L三口フラスコに、N−メチルピロリドン270g、p−ヒドロキシベンズアルデヒド90g、炭酸カリウム132g、ヨウ化カリウム1.2gを量りとり、60℃で攪拌した。
次いで、1−ブロモオクタン157gを滴下ロートを用いて1時間かけて滴下し、滴下終了後、70℃で3時間攪拌した。
反応液を室温(23℃)まで冷却した後、分液ロートに移液し、酢酸エチル320mL、および、純水640mLを加えて分液洗浄し、得られた有機層を更に塩水340mLで分液洗浄した。
得られた有機層を撹拌羽、温度計、滴下ロートおよび還流管を備えた2L三口フラスコに移液し、室温で攪拌しながら、マロン酸151g、ピリジン39.1g、および、アニリン3.8gを添加し、60℃で1時間、80℃で4時間反応させた。
反応液を攪拌しながら45℃まで冷却した後、メタノール120mL、希塩酸100mL、および、メタノール/水混合溶媒(120mL/120mL)を逐次添加することで白色固体を析出させた。
析出した白色固体を吸引濾過により濾別、洗浄した後、70℃で終夜送風乾燥することで、4−オクチルオキシ桂皮酸198g(収率97%)を得た。
次いで、メタクリル酸クロリド76.2gを滴下ロートを用いて1時間かけて滴下し、滴下終了後、40℃で1時間撹拌した。
反応液を室温まで冷却した後、析出した塩を吸引ろ過で除去した。得られた有機層を撹拌羽、温度計、滴下ロートおよび還流管を備えた5L三口フラスコに移し、水冷下で撹拌した。
次いで、4−オクチルオキシ桂皮酸192g、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩146g、および、N,N−ジメチルアミノピリジン42.4gを添加し、室温で4時間反応させた。
反応液を室温で攪拌しながら、メタノール800mL、および、メタノール/水混合溶媒(320mL/480mL)を逐次滴下することで白色固体を析出させた。
析出した白色固体を吸引濾過により濾別、洗浄した後、50℃で終夜送風乾燥することで、以下に示すモノマーmA−125を白色固体として240g得た(収率79%)。
なお、以下に示すモノマーmA−125は、上述した繰り返し単位A−125を形成するモノマーに該当するものである。
撹拌羽、温度計、滴下ロートおよび還流管を備えた2L三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド800g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート90.4g、4−オクチルオキシ桂皮酸192g、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩146g、N,N−ジメチルアミノピリジン42.4gを添加し、室温で4時間反応させた。
反応液を室温で攪拌しながら、メタノール800mL、メタノール/水混合溶媒(320mL/480mL)を逐次滴下することで白色固体を析出させた。析出した白色固体を吸引濾過により濾別、洗浄した後、50℃で終夜送風乾燥することで、以下に示すモノマーmA−98を白色固体として188g得た(収率70%)。
なお、以下に示すモノマーmA−98は、上述した繰り返し単位A−98を形成するモノマーに該当するものである。
原料の4−オクチルオキシ桂皮酸を4−(フェニルアゾ)安息香酸に変更した以外は、モノマーmA−98と同様の方法で、以下に示すモノマーmA−201を合成した。
なお、以下に示すモノマーmA−201は、以下に示す繰り返し単位A−201を形成するモノマーに該当するものである。
原料の2−ヒドロキシエチルメタクリレートをメタクリル酸に変更し、4−オクチルオキシ桂皮酸を4’−ヒドロキシカルコンに変えた以外は、モノマーmA−98と同様の方法で、以下に示すモノマーmA−202を合成した。
なお、以下に示すモノマーmA−202は、以下に示す繰り返し単位A−202を形成するモノマーに該当するものである。
上述した繰り返し単位B−32を形成する下記モノマーmB−32は市販のサイクロマーM−100(ダイセル社製)を用いた。
冷却管、温度計、および撹拌機を備えたフラスコに、溶媒として2−ブタノン5質量部を仕込み、フラスコ内に窒素を15mL/min流しながら、水浴加熱により還流させた。ここに、モノマーmA−98を10質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を0.2質量部と、溶媒として2−ブタノン5質量部を混合した溶液を、3時間かけて滴下し、更に3時間還流状態を維持したまま撹拌した。反応終了後、40℃まで放冷し、2−ブタノン30質量部を加えて希釈することで約20質量%の重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液を、活性白土40質量部を充填したカラム(吸着塔)に通し、更に2−ブタノン40質量部で洗浄することで、光配向性基を有する重合体P−1を含む溶液を得た。
冷却管、温度計、および撹拌機を備えたフラスコに、溶媒として2−ブタノン5質量部を仕込み、フラスコ内に窒素を15mL/min流しながら、水浴加熱により還流させた。ここに、モノマーmA−98を10質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を0.2質量部と、溶媒として2−ブタノン5質量部を混合した溶液を、3時間かけて滴下し、更に3時間還流状態を維持したまま撹拌した。
反応終了後、60℃まで放冷し、吸着剤として有機微粒子〔商品名:ダイヤイオンWK40L、平均粒子径:0.72mm、三菱ケミカル社製〕を10質量部添加した後、更に3時間攪拌した。
次いで、吸引濾過により濾別し、2−ブタノン30質量部を用いて濾材を洗浄することで約20質量%の光配向性基を有する重合体P−2を含む溶液を得た。
下記表1に示す繰り返し単位を形成するモノマーとして、合成した各モノマーを用い、下記表1に示す重量平均分子量となるように重合開始剤の添加量を変更し、下表1に示す吸着剤を用いた以外は、実施例2で合成した重合体P−2を含む溶液と同様の方法で、重合体P−3〜P−4を含む溶液を合成した。
なお、下記表1に示す吸着剤としては、以下に示すものを用いた。
・無機微粒子〔商品名:キョーワード(登録商標)200、平均粒子径:0.3mm、協和化学工業社製〕
・表面修飾微粒子〔商品名:sicastar(NH2)、平均粒子径:0.02mm、コアフロント社製〕
冷却管、温度計、および撹拌機を備えたフラスコに、溶媒として2−ブタノン5質量部を仕込み、フラスコ内に窒素を15mL/min流しながら、水浴加熱により還流させた。ここに、モノマーmA−98を10質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を0.2質量部と、溶媒として2−ブタノン5質量部を混合した溶液を、3時間かけて滴下し、更に3時間還流状態を維持したまま撹拌した。2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.2質量部と、溶媒として2−ブタノン1質量部を混合した溶液を一括添加した後、40℃まで放冷し、2−ブタノン30質量部を加えて希釈することで約20質量%の重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液を、以下に示す吸着剤40質量部を充填したカラム(吸着塔)に通し、更に2−ブタノン40質量部で洗浄することで、光配向性基を有する重合体P−5を含む溶液を得た。
なお、実施例5における吸着工程は、下記表1中では、「SH×吸着塔」と表記している。
<吸着剤>
表面の少なくとも一部がメルカプト基で修飾された有機微粒子〔商品名:キレスパール(登録商標)CH400、平均粒子径:0.6mm、キレスト社製〕
冷却管、温度計、および撹拌機を備えたフラスコに、溶媒として2−ブタノン5質量部を仕込み、フラスコ内に窒素を15mL/min流しながら、水浴加熱により還流させた。ここに、モノマーmA−98を10質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を0.2質量部と、溶媒として2−ブタノン5質量部を混合した溶液を、3時間かけて滴下し、更に3時間還流状態を維持したまま撹拌した。
反応終了後、60℃まで放冷し、以下に示す吸着剤として樹脂系微粒子(商品名:ダイヤイオンWK40L、平均粒子径:0.72mm、三菱ケミカル社製)を10質量部、および、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を1質量部添加した後、更に3時間攪拌した。
次いで、吸引濾過により濾別し、2−ブタノン30質量部を用いて濾材を洗浄することで約20質量%の光配向性基を有する重合体P−6を含む溶液を得た。
なお、実施例5における吸着工程は、下記表1中では、「SH×微粒子」と表記している。
<吸着剤>
表面の少なくとも一部がメルカプト基で修飾された無機微粒子〔商品名:SiliaMetS Thiol、平均粒子径:0.13mm、SILICYCLE社製〕
下記表1に示す繰り返し単位を形成するモノマーとして、合成した各モノマーを用いた以外は、実施例6で合成した重合体P−6を含む溶液と同様の方法で、重合体P−7〜P−9を含む溶液を合成した。
吸着剤を用いなかった以外は、実施例8と同様の方法で、重合体H−1を含む溶液を合成した。なお、比較例1については、下記表1中、吸着工程(吸着剤)の項目を「なし(無処理)」と表記している。
吸着剤を用いなかった以外は、実施例9と同様の方法で、重合体H−2を含む溶液を合成した。なお、比較例2については、下記表1中、吸着工程(吸着剤)の項目を「なし(無処理)」と表記している。
冷却管、温度計、および撹拌機を備えたフラスコに、溶媒として2−ブタノン5質量部を仕込み、フラスコ内に窒素を15mL/min流しながら、水浴加熱により還流させた。ここに、モノマーmA−201を10質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を0.2質量部と、溶媒として2−ブタノン5質量部を混合した溶液を、3時間かけて滴下し、さらに3時間還流状態を維持したまま撹拌した。反応終了後、室温まで放冷し、2−ブタノン30質量部を加えて希釈することで約20質量%の重合体溶液を得た。得られた重合体溶液を400質量部のメタノール中へ投入して重合体を沈殿させ、回収した沈殿物をろ別し、100質量部のメタノールで2回繰り返して洗浄した後、50℃において12時間送風乾燥することにより、光配向性基を有する重合体H−3を得た。
なお、比較例3については、下記表1中、吸着工程(吸着剤)の項目を「なし(再沈)」と表記している。
実施例1〜9および比較例1〜3で合成した重合体を含む溶液(ポリマー溶液)を製造する際の産業廃棄物量を以下の基準で評価した。結果を下記表2に示す。なお、ポリマー溶液は、仕込みのモノマー量、仕込みの溶剤量、および、希釈溶剤量の合計50質量部である。
A:産業廃棄物の質量がポリマー溶液の質量の1/10未満
B:産業廃棄物の質量がポリマー溶液の質量の1/10以上2倍未満
C:産業廃棄物の質量がポリマー溶液の質量の2倍以上
酢酸ブチル80質量部に対して、実施例1で合成した重合体P−1を含む溶液22質量部と、下記構造式で表される熱酸発生剤0.07質量部とを添加し、光配向膜用組成物を調製した。
同様の方法で、他の実施例および比較例で合成した重合体を含む溶液についても、酢酸ブチル80質量部に対して22質量部添加した光配向膜用組成物を調製した。
セルロースアシレートフィルムとして、特開2014−164169号公報の比較例1と同じものを用いた。
このフィルムの片側の面に、先に調製した各光配向膜用組成物をバーコーターで塗布した。塗布後、80℃のホットプレート上で5分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ0.2μmの光異性化組成物層を形成した。得られた光異性化組成物層を偏光紫外線照射(10mJ/cm2、超高圧水銀ランプ使用)することで、光配向膜を形成した。
次いで、光配向膜上に、ネマチック液晶性化合物(ZLI−4792、メルク社製)をバーコーターで塗布し、組成物層を形成した。形成した組成物層をホットプレート上でいったん90℃まで加熱した後、60℃に冷却させて配向を安定化させた。
その後、60℃に保ち、窒素雰囲気下(酸素濃度100ppm)で紫外線照射(500mJ/cm2、超高圧水銀ランプ使用)によって配向を固定化し、厚さ2.0μmの光学異方性層を形成し、光学積層体を作製した。
光配向膜上に塗布したネマチック液晶性化合物に代えて、以下に示す光学異方性層用塗布液(液晶101)を用いた以外は、実施例9と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例10の光学積層体とした。
光学異方性層用塗布液(液晶101)
─────────────────────────────────
・下記液晶性化合物L−1 80.00質量部
・下記液晶性化合物L−2 20.00質量部
・重合開始剤(IRGACURE 184、BASF社製)
3.00質量部
・重合開始剤(IRGACURE OXE−01、BASF社製)
3.00質量部
・レベリング剤(下記化合物G−1) 0.20質量部
・メチルエチルケトン 424.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光配向膜上に塗布したネマチック液晶性化合物に代えて、以下に示す光学異方性層用塗布液(液晶102)を用いた以外は、実施例9と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例11の光学積層体とした。
光学異方性層用塗布液(液晶102)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記液晶性化合物L−3 42.00質量部
・下記液晶性化合物L−4 42.00質量部
・下記重合性化合物A−1 16.00質量部
・下記重合開始剤S−1(オキシム型) 0.50質量部
・レベリング剤(上記化合物G−1) 0.20質量部
・ハイソルブMTEM(東邦化学工業社製) 2.00質量部
・NKエステルA−200(新中村化学工業社製) 1.00質量部
・メチルエチルケトン 424.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
なお、下記液晶性化合物L−3およびL−4のアクリロイルオキシ基に隣接する基は、プロピレン基(メチル基がエチレン基に置換した基)を表し、下記液晶性化合物L−3およびL−4は、メチル基の位置が異なる位置異性体の混合物を表す。
光配向膜上に塗布したネマチック液晶性化合物に代えて、以下に示す光学異方性層用塗布液(液晶103)を用いた以外は、実施例9と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例12の光学積層体とした。
光学異方性層用塗布液(液晶103)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記液晶性化合物L−5 42.00質量部
・下記液晶性化合物L−6 42.00質量部
・上記重合性化合物A−1 16.00質量部
・上記重合開始剤S−1(オキシム型) 0.50質量部
・レベリング剤(上記化合物G−1) 0.20質量部
・ハイソルブMTEM(東邦化学工業社製) 2.00質量部
・NKエステルA−200(新中村化学工業社製) 1.00質量部
・メチルエチルケトン 424.8質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光配向膜上に塗布したネマチック液晶性化合物に代えて、以下に示す光学異方性層用塗布液(液晶104)を用いた以外は、実施例9と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例13の光学積層体とした。
光学異方性層用塗布液(液晶104)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記高分子液晶性化合物L−7 4.032質量部
・下記界面改良剤F1 0.039質量部
・重合開始剤IRGACURE819(BASF社製)0.043質量部
・シクロペンタノン 66.500質量部
・テトラヒドロフラン 28.500質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光配向膜上に塗布したネマチック液晶性化合物に代えて、以下に示す光学異方性層用塗布液(液晶105)を用い、以下に示す作製方法で液晶性化合物の配向を固定化した以外は、実施例9と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を実施例14の光学積層体とした。
光学異方性層用塗布液(液晶105)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・下記液晶性化合物L−8 39.00質量部
・下記液晶性化合物L−9 39.00質量部
・下記液晶性化合物L−10 17.00質量部
・上記重合性化合物A−1 5.00質量部
・上記重合開始剤S−1(オキシム型) 0.50質量部
・レベリング剤(上記化合物G−1) 0.20質量部
・シクロペンタノン 235.00質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
光配向膜上に光学異方性層用塗布液(液晶105)を、バーコーターを用いて塗布した。光配向膜上に形成された塗膜を温風にて120℃に加熱し、その後60℃に冷却した後に窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて波長365nmにて100mJ/cm2の紫外線を塗膜に照射し、続いて120℃に加熱しながら500mJ/cm2の紫外線を塗膜に照射することで、液晶性化合物の配向を固定化し、実施例14の光学積層体を作製した。
光配向膜上に塗布したネマチック液晶性化合物に代えて、上述した光学異方性層用塗布液(液晶101)を用いた以外は、比較例2と同様の方法により、光学積層体を作製した。この光学積層体を比較例4の光学積層体とした。
作製した光学積層体について、偏光顕微鏡を用いて消光位から2度ずらした状態で観察した。その結果、以下の基準で評価した。結果を下記表2に示す。
AA:液晶ダイレクタが均一に整って配向し、表示性能が優れる
A:液晶ダイレクタの乱れがなく、面状が安定している
B:液晶ダイレクタの乱れがごくわずかであり、面状が安定している
C:液晶ダイレクタの乱れが部分的であり、面状が安定している
D:液晶ダイレクタが大幅に乱れて面状が安定せず、表示性能が非常に劣る
なお、本願明細書において、安定した面状とは、クロスニコル配置した2枚の偏光板の間に光学積層体を設置して観察した際にムラや配向不良等の欠陥がない状態を意図する。
また、本願明細書において、液晶ダイレクタとは液晶性分子の長軸が配向している方向(配向主軸)のベクトルを意図する。
また、吸着処理に代えて、再沈殿法を利用した場合は、製造される光配向性重合体を用いて形成した光配向膜の液晶配向性は良好であるが、環境負荷が大きくなることが分かった(比較例3)。
特に、実施例1〜3の対比から、吸着剤として有機微粒子または無機粒子を用いると、環境負荷がより小さくなることが分かった。
また、実施例2〜4の対比から、吸着剤が、表面の少なくとも一部が官能基で修飾された無機微粒子であると、光配向膜の液晶配向性がより良好となることが分かり、吸着剤が、表面の少なくとも一部がメルカプト基で修飾された無機微粒子であると、光配向膜の液晶配向性が更に良好となることが分かった。これは、未反応の単量体と吸着剤とのエン−チオール反応により、残存モノマー量が低減したためと考えられる。
また、実施例6〜7の対比から、光配向性基が、桂皮酸誘導体またはアゾベンゼン化合物の骨格を有する基であると、光配向膜の液晶配向性がより良好となることが分かった。
Claims (6)
- 光配向性基を含む繰り返し単位を有する光配向性重合体の製造方法であって、
光配向性基を有する単量体を重合し、光配向性基を含む繰り返し単位を有する光配向性重合体を合成する重合工程と、
前記重合工程の後に、吸着剤を用いて未反応の単量体の少なくとも一部を除去する吸着工程とを有する、光配向性重合体の製造方法。 - 前記吸着剤が、有機微粒子または無機微粒子である、請求項1に記載の光配向性重合体の製造方法。
- 前記吸着剤が、表面の少なくとも一部が官能基で修飾された有機微粒子または無機微粒子である、請求項1または2に記載の光配向性重合体の製造方法。
- 前記未反応の単量体が、エチレン性不飽和二重結合を含む官能基を有し、
前記吸着剤が、表面の少なくとも一部がメルカプト基で修飾された有機微粒子または無機微粒子であり、
前記吸着工程が、前記未反応の単量体と前記吸着剤とのエン−チオール反応を利用した処理工程である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光配向性重合体の製造方法。 - 前記光配向性基が、光の作用により二量化および異性化の少なくとも一方が生じる基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光配向性重合体の製造方法。
- 前記光配向性基が、桂皮酸誘導体、クマリン誘導体、カルコン誘導体、マレイミド誘導体、アゾベンゼン化合物、スチルベン化合物およびスピロピラン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の誘導体または化合物の骨格を有する基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光配向性重合体の製造方法。
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