JP2021031440A - 天然物由来の低分子抗酸化性化合物を含有する活性酸素除去剤と、マクロファージとリンパ球を増強するために用いられる天然物由来の免疫活性化剤とを有する抗腫瘍剤セット - Google Patents

天然物由来の低分子抗酸化性化合物を含有する活性酸素除去剤と、マクロファージとリンパ球を増強するために用いられる天然物由来の免疫活性化剤とを有する抗腫瘍剤セット Download PDF

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Abstract

【課題】優れた抗腫瘍剤セット、すなわち、投与開始時期をずらした方がよい「2種の剤の組み合わせ」を提供すること。【解決手段】天然物由来の低分子抗酸化性化合物を含有する活性酸素除去剤と、マクロファージを増強しリンパ球を増強するために用いられる天然物由来の免疫活性化剤とを有し、それらを併用して経口投与されて使用される抗腫瘍剤セットであって、該免疫活性化剤は、野蚕由来の冬虫夏草抽出物、プロポリス抽出物、アガリクス茸抽出物及び霊芝抽出物を含有する抗腫瘍剤セット、及び、該抗腫瘍剤セットを使用する際に使用し、血液中の、白血球の数、マクロファージの数、リンパ球の数、及び、顆粒球の数を記入できるようになっている管理表。【選択図】図1

Description

本発明は、抗腫瘍剤セットに関し、更に詳しくは、天然物由来の活性酸素除去剤と、天然物由来の免疫活性化剤とを有する抗腫瘍剤セットに関するものである。
天然物に由来する成分を含有し、免疫系に働きかける薬剤は、多く知られている。
特許文献1には、天然物のパラミロンとグリシドールとの反応により修飾されている水溶性パラミロン誘導体を主成分とする免疫能賦活化物質が記載されており、特許文献2には、複数個のグルコース残基からなるグルカンに複数個のリン酸基が結合しているリン酸化糖を含んでなる免疫増強剤が記載されている。
また、特許文献3には、茶エキス及び/又はエピガロカテキンガレートを含有する免疫調節剤が記載されている。
しかしながら、これらの公知技術は、免疫活性化の効果が強くなく、複合物の場合は複合物による相乗効果も少なかった。
更に、天然物からの抽出方法や、天然物に含有される有効成分に結合している不要な脂肪やタンパク質の除去等に気を配ったものではなく、通常の抽出方法、すなわち、天然物自体から又は天然物の乾燥品から、例えば有機溶剤又は水との混合溶媒で抽出するだけのものであった。
特許文献4には、野蚕由来の冬虫夏草抽出物、プロポリス抽出物、アガリクス茸抽出物、及び、霊芝抽出物を有効成分として含有する免疫活性化剤が記載され、特許文献5には、上記免疫活性化剤を上部消化管から吸収されるように服用すると効果的であることが記載されている。
しかしながら、上記何れの特許文献にも、天然物由来の成分が白血球中のマクロファージを増強させることは記載されていない。また、実際に病院等で、ヒトを対象として、マクロファージを増強させることによって、抗腫瘍効果を得たと言う記載もない。
しかも、上記した免疫活性化剤には抗腫瘍効果があるとはされてはいるが、該免疫活性化剤を、単にそれだけ摂取したのでは、十分な免疫活性化効果や抗腫瘍効果は、十分には得られなかった。
一方、特許文献7には、プロポリスから、乳化剤を含む混合溶媒を用いて抽出処理して得た抽出残渣に水を加えて撹拌して固液分離する工程を含む活性酸素消去剤の製造方法が記載されている。
また、特許文献6には、生薬に遠赤外線を照射して焙煎して、その後、発酵させて、該生薬の抗腫瘍活性を強化させる方法が記載されている。
しかしながら、これらの公知技術は、活性酸素除去の効果が強くなく、複合物の場合は複合物による相乗効果も少なかった。
更に、上記何れの文献にも、得られた活性酸素消去剤と免疫活性化剤とを組み合わせて使用すると、抗腫瘍に効果的であることは記載されていない。
抗腫瘍剤への要求は、ますます高くなってきているが、天然物に由来しない合成物である抗腫瘍剤(抗癌剤)では、ヒトによっては効かなかったり、効果が不十分であったり、副作用があったりして、改善が望まれていた。
特に、天然物に由来した活性酸素消去剤と天然物に由来した免疫活性化剤との組み合わせについては、殆ど知られていなかった。
特開平6−065303号公報 特開2004−043326号公報 特開2015−155383号公報 特開2018−177690号公報 特開2018−188412号公報 特開2000−159682号公報 特開2005−336137号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、優れた抗腫瘍剤セットを提供することにあり、好ましくは、投与開始時期を(好ましくは活性酸素除去剤投与が先になるように)調整した「2種の別々の剤の組み合わせ」を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、「有効成分として、特定の4種の天然物からの抽出物を含有させた免疫活性化剤」を経口投与する前に、「活性酸素除去剤」を投与しておくと、該活性酸素除去剤を投与しておかないときと比べて、著しく該免疫活性化剤の免疫活性化能が上がり、その結果として、抗腫瘍効果が増大することを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、天然物由来の低分子抗酸化性化合物を含有する活性酸素除去剤と、マクロファージを増強しリンパ球を増強するために用いられる天然物由来の免疫活性化剤とを有し、
該活性酸素除去剤と該免疫活性化剤とは、併用して経口投与されて使用される抗腫瘍剤セットであって、
該免疫活性化剤は、少なくとも、野蚕由来の冬虫夏草抽出物、プロポリス抽出物、アガリクス茸抽出物、及び、霊芝抽出物を含有するものであることを特徴とする抗腫瘍剤セットを提供するものである。
また、本発明は、上記活性酸素除去剤と上記免疫活性化剤は、上記免疫活性化剤の投与開始に3日以上先立って上記活性酸素除去剤が投与開始されるための上記の抗腫瘍剤セットを提供するものである。
また、本発明は、上記免疫活性化剤の剤型が粉末又は顆粒である上記の抗腫瘍剤セットを提供するものである。
また、本発明は、上記免疫活性化剤に含有される野蚕由来の冬虫夏草抽出物が、以下の工程の全てを有する製造方法で得られるものである上記の抗腫瘍剤セットを提供するものである。
(1’)野蚕由来の冬虫夏草を溶媒X’に浸漬し静置した後、濾過して濾液Aを得る工程
(2’)濾液Aに脂質分解酵素を加えて酵素処理をした後、濾過して濾液Bを得る工程
(3’)濾液Bから混合溶媒を留去して固形物Fを得る工程
(6’)固形物Fを溶媒に溶解して得た溶液J又は該溶液Jの濃縮溶液から、スプレードライ法によって粉末Pを得る工程
(7’)粉末P、及び、上記糖若しくは糖誘導体を溶媒Z’に溶解して溶液Kを得る工程
(8’)溶液K、又は、該溶液Kの濃縮溶液から、スプレードライ法によって粉末Qを得る工程
また、本発明は、上記活性酸素除去剤が、少なくとも、以下の工程の全てを有する製造方法で得られるものである上記の抗腫瘍剤セットを提供するものである。
(11’)植物由来の天然原料に遠赤外線を照射して加熱する工程
(12’)麹菌を用いて発酵させる工程
(13’)粉末化する工程
(14’)工程(13’)で得られたものに油を加えて混合する工程
また、本発明は、上記免疫活性化剤が、血液中の、白血球の数、マクロファージの数、及び/又は、リンパ球の数を増加させるためのものである上記の抗腫瘍剤セットを提供するものである。
また、本発明は、上記免疫活性化剤がマクロファージ増強剤である上記の抗腫瘍剤セットを提供するものである。
また、本発明は、上記の抗腫瘍剤セットを使用する際に使用する管理表であって、
行又は列に、日付若しくは上記活性酸素除去剤の投与開始からの日数を記入し、もう一方の列又は行に、血液中の、少なくとも、白血球の数、マクロファージの数、リンパ球の数、及び、顆粒球の数を記入できるようになっていることを特徴とする管理表を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点と上記課題を解決し、優れた抗腫瘍剤セットを提供することができる。
本発明の抗腫瘍剤セットは、活性酸素除去剤と免疫活性化剤とを有しており、該活性酸素除去剤と該免疫活性化剤は、好ましくは、該免疫活性化剤の投与開始に3日以上先立って該活性酸素除去剤が投与開始される。
本発明における免疫活性化剤のみを摂取すると、免疫活性効果に伴う抗腫瘍効果が十分に得られない場合があるが、それに先立って又は同時に活性酸素除去剤を摂取しておく(摂取する)と、意外にも、本発明における免疫活性化剤の免疫活性効果に伴う抗腫瘍効果が十分に得られるようになる。
特に、腫瘍(癌)が進行していないときには、本発明における免疫活性化剤のみを摂取しても、十分に抗腫瘍効果が得られるが、腫瘍が進行しているときには、本発明における免疫活性化剤のみを摂取しても、十分に抗腫瘍効果が得られない場合がある。
しかしながら、本発明における活性酸素除去剤を併用すると(好ましくは先に摂取しておくと)、本発明における免疫活性化剤の効果が十分に発揮されて抗腫瘍効果が得られるようになる。
現在使用されている抗癌剤は、多くがヒトの免疫機能を低下させる。一方、本発明の抗腫瘍剤セット、すなわち、本発明において活性酸素除去剤によって効果が高められた「本発明における免疫活性化剤」は、免疫機能を低下させる現在の抗癌剤とは大きく異なり、むしろヒトの免疫機能を亢進させることによって、ヒトが自ら有している免疫機能によって、腫瘍に抵抗することができる。
本発明における免疫活性化剤を摂取すると、多くの場合、眠くなり、副交感神経が交感神経より優位になる。また、本発明における免疫活性化剤は、分析の結果、「コリン又はコリン誘導体」の一種であるアセチルコリンを含有していた。このことから、本発明における免疫活性化剤を摂取すると副交感神経が優位となる。
一方、白血球のうちのリンパ球にはアセチルコリンのレセプター(受容体)が存在するので、副交感神経が優位になってアセチルコリンが分泌されると、リンパ球が反応してリンパ球の数が増える等と言ったリンパ球の活性化が起こる。また、経口摂取で血液中にアセチルコリンが取り込まれると、リンパ球が反応してリンパ球の数が増える。
本発明における免疫活性化剤を摂取すると、白血球中に含まれるマクロファージの割合が増えることが確かめられた(実施例参照)。また、本発明における免疫活性化剤は、血液中の、白血球、マクロファージ及びリンパ球の絶対数も増加させることが確かめられた(実施例参照)。
リンパ球が活性化しマクロファージが活性化することによって、免疫効果や抗腫瘍効果が得られたと考えられる。
しかしながら、細胞内に活性酸素が存在すると、マクロファージが、腫瘍細胞を温存するような作用(例えば、腫瘍細胞に栄養を補充するように血管を延ばすように指示する、腫瘍細胞の転移を促すような信号を発信する、免疫細胞が腫瘍細胞を攻撃しないように指示する等)をすると言われている。
本発明によれば、まず、(好ましくは特定の)活性酸素除去剤が効果的に活性酸素を除去するので、その後、免疫活性化剤が効果的に働いて抗腫瘍効果を発揮する。
過度のストレス等で交感神経が優位になり、アドレナリンが過剰に分泌されると、そのレセプターを有する顆粒球が増加し、該増加した顆粒球は死ぬときに大量の活性酸素を産生する。その大量に増えた活性酸素は、組織の細胞を攻撃し、正常な細胞分裂を阻害し、腫瘍発生の引き金になる。
様々な機構で活性酸素は産生されるが、活性酸素全体に対して、顆粒球から放出されるものが約80%を占める。
従って、顆粒球が増加すれば、組織破壊が進むことになるが、このとき、同時にリンパ球が減少してしまうことになるので、本来、誰でも一晩で大量に発現する腫瘍細胞を殺傷できなくなり、免疫抑制状態になり、リンパ球の急激な減少がおきて、腫瘍細胞の増殖を許すことになる。
顆粒球から放出された活性酸素を抑制すれば、免疫細胞の働きを調整できるが、該活性酸素を抑制しておくために、本発明における特定の活性酸素除去剤の摂取が極めて有効である。これを摂取することによって、増大した活性酸素を減少させることができ、免疫細胞の司令塔であるマクロファージが、生体が正常になったという信号をサイトカインに伝え、免疫細胞を調整する(例えば暴走を抑制する)。
そして、その後に、本発明における特定の免疫活性化剤を摂取することによって、腫瘍細胞を攻撃するリンパ球が適正に産生され、リンパ球の活性化が達成され、腫瘍細胞が減少したと考えられる。
本発明における活性酸素除去剤は、細胞内のミトコンドリアで最初に発生するスーパーオキサイドを、酸素と過酸化水素に変えて、最終的に水にする。
また、細胞外に出た、一重項酸素、過酸化水素、ヒドロキシルラジカルも、本発明の活性酸素除去剤に含有されている天然物由来の成分(低分子抗酸化性化合物)によって失活させることができる。
本発明における活性酸素除去剤は、脂質である細胞膜のレセプターに受け入れられ易くするように、ω-3脂肪酸等の油を加えて混合して得られたものであることが好ましい。このような態様にすることによって、レセプターに受け入れられ、細胞内に入り、上記した活性酸素除去の効果を好適に発揮する。そして、その後に摂取した免疫活性化剤を効果的に働かせることができる。
本発明における免疫活性化剤の原材料は天然の生物由来のものである。天然物ではない合成の(純粋の)アセチルコリン、その誘導体又はその前駆体を摂取しても、眠くもならなければ、免疫活性効果も抗腫瘍効果もなかった。
本発明における免疫活性化剤の各成分の化学構造は明らかではないが、それぞれが数百種類以上の化学物質を含むと考えられ、それらは全て天然物由来もの(生物由来のもの)である。該成分が生物進化の過程で生じた天然物であるが故に、ヒトの体内の上記機序(副交感神経を優位化、マクロファージ・リンパ球の増強(活性化)等)に対し有効に作用したものと考えられる。すなわち、例えば、原材料が天然素材であるために、リンパ球のレセプター(受容体)が受け入れたことが考えられる。
本発明における免疫活性化剤は、好ましくは、賦形剤として若しくは「有効成分以外の実質的に全部の成分」として「糖若しくは糖誘導体」を含有し、かつ、経口摂取されることによって、主に口腔又は食道からヒトの体内に取り込まれるようにする。従来の「腸管膜からの吸収による免疫機構」に依存しないようにすれば、本発明における免疫活性化剤の効果をさらに発揮できる。
そのことは、上部消化管内に長時間留めておくように摂取し、本発明の抗腫瘍剤における有効成分の含有量に上限を設けると、すなわち、1回に摂取する有効成分の量に上限を設けると、本発明の効果を奏し易くなることからも裏付けられる。
更に、本発明における免疫活性化剤は、特定の製造方法で製造されたものであると特にその効果を発揮する。該「特定の製造方法」は、天然の原材料に対し、特定の溶媒で抽出したり、脂質分解酵素を加えて酵素処理をしたり、超臨界抽出法を用いたり、ナイアシンアミドを加えたりすることで、(得られた抗腫瘍剤の成分の化学構造は明らかにはなってはいないが)ヒトの体内での上記機序(副交感神経を優位化、マクロファージやリンパ球の増強等)に対し特に有効に作用する成分(及びそれらの組成)になったものと考えられる。
実際、癌患者に、本発明における活性酸素除去剤を10日間投与した後に、本発明における免疫活性化剤を経口投与したところ、実施例に示すように、7日で白血球数が0.48×10[個/L(血液)]から1.32×10[個/L(血液)]と2.8倍になり、マクロファージ数が0.09×10[個/L(血液)]から0.35×10[個/L(血液)]と3.9倍になり、リンパ球数が0.34×10[個/L(血液)]から0.86×10[個/L(血液)]と2.5倍になった。
既存の抗癌剤の多くは、投与すると一般にマクロファージやリンパ球が減少する。
癌患者は例外なく免疫抑制状態にあると言われ、大半の癌患者でリンパ球の個数が30%以下になっており、進行癌患者では約20%、末期癌患者で約10%になっていると言われている。
本発明の抗腫瘍剤は、腫瘍(癌)に対し直接攻撃するのを避けて、本来体内で異物攻撃すべき免疫機能に働きかけて、具体的には、マクロファージを増強しリンパ球を増強させて、生体内で自在に腫瘍(癌)を攻撃させる、と言う効果を有する。
評価例8における本発明における活性酸素除去剤と免疫活性化剤の投与期間(横軸)と、白血球数、リンパ球数、及び、マクロファージ数(縦軸)の(絶対値の)推移を示すグラフである。 評価例8における本発明における活性酸素除去剤と免疫活性化剤の投与期間(横軸)と、リンパ球数/白血球数、及び、マクロファージ数/白血球数(縦軸)の(百分率の)推移を示すグラフである。 本発明の抗腫瘍剤セットを使用する際に使用する管理表の一例を示す図であり、評価例7の生データが記入されたものである。 本発明の抗腫瘍剤セットを使用する際に使用する未記入の管理表の一例を示す図である。 本発明の抗腫瘍剤セットにおける活性酸素除去剤と免疫活性化剤の投与方法と発明の効果(作用・原理)を示す図である。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
本発明の抗腫瘍剤セットは、「天然物由来の低分子抗酸化性化合物を含有する活性酸素除去剤」と、「マクロファージを増強しリンパ球を増強するために用いられる天然物由来の免疫活性化剤」とを有し、
該活性酸素除去剤と該免疫活性化剤とは、併用して経口投与されて使用され、
該免疫活性化剤は、少なくとも、野蚕由来の冬虫夏草抽出物、プロポリス抽出物、アガリクス茸抽出物、及び、霊芝抽出物を含有するものである、ことを特徴とする。
<抗腫瘍剤セット>
上記活性酸素除去剤と上記免疫活性化剤は、抗腫瘍剤セットとして、上記免疫活性化剤の投与開始に3日以上先立って上記活性酸素除去剤が投与開始されることが好ましい。抗腫瘍剤セットは、上記の用途に用いられることが好ましい。
上記活性酸素除去剤の投与開始を、上記免疫活性化剤の投与開始の3日以上前にし、該活性酸素除去剤によって血液中の顆粒球の数が減少し始めたら、該免疫活性化剤の投与を開始することがより好ましい。
特に限定はされないが、更に好ましくは4日以上20日以下、特に好ましくは5日以上15日以下先立って用いられることが望ましい。
投与開始日の差が、上記下限以上であると、活性酸素除去効果が十分に発揮され、顆粒球の数が減少し始めているので、免疫活性化剤の投与を開始しても無駄にならない。
活性酸素除去剤は、早めに投与を開始することが好ましいが、マクロファージは顆粒球過多の場合には、悪影響を及ぼす場合があるので、顆粒球の数(の推移)等を考慮して、投与開始日の差についての上記下限が決められる。
なお、該免疫活性化剤を投与している期間に、該活性酸素除去剤をも併用投与しても問題はないので、その間は同時に投与してもよい。
<<免疫活性化剤>>
本発明における免疫活性化剤は、経口摂取できる剤型を有し、経口摂取する用途に用いられるものである。更に、副交感神経を興奮・刺激等し、交感神経に対して優位化させる用途に用いられるものであることが好ましい。更に、本発明における免疫活性化剤は、マクロファージを増強しリンパ球を増強する用途に用いられる。
マクロファージには、例えば前記したような機能があるので、免疫機能を活性化させ抗腫瘍効果を奏することができる。また、リンパ球にはアセチルコリンのレセプター(受容体)が存在するので、副交感神経が優位になることでアセチルコリンが分泌され、リンパ球が活性化し抗腫瘍効果を奏する。
本発明の抗腫瘍剤の腫瘍には、癌が含まれ、血液細胞が腫瘍化したもの(白血病等)も含まれる。
本発明における免疫活性化剤は、有効成分として、少なくとも、野蚕由来の冬虫夏草抽出物、プロポリス抽出物、アガリクス茸抽出物、及び、霊芝抽出物を含有する。
このうち、「野蚕由来の冬虫夏草抽出物」における「野蚕」とは、糸を生成することができる野生の昆虫の幼虫又は蛹であって、「家畜化された蚕(家蚕)」以外のものを言う。
冬虫夏草とは、地中にいる昆虫又は蜘蛛に子嚢菌等の菌が寄生し、地上にキノコ(子実体)を生じさせたときの該キノコ(子実体)のことを言い、「野蚕由来」とは、野蚕の幼虫又は蛹から生じることを言う。
従来の冬虫夏草は、殆どが蟻(特に、擬黒多刺蟻)から生じるものであったが、本発明における免疫活性化剤における冬虫夏草は、野蚕から生じるものであり、そのために本発明の顕著な効果を奏する。
プロポリスは、ミツバチ等が植物源から採取した樹脂等が練り合わされてなる混合物である。
アガリクス茸は、ハラタケ科ハラタケ属のキノコであり、ニセモリノカサで、キノコヒメマツタケカワリハラタケ、ヒメマツタケとも言われるものである。
霊芝は、マンネンタケ科のキノコであり、万年茸、霊芝草とも言われるものであり、日本で人工栽培が可能になった。
野蚕由来の冬虫夏草、プロポリス、アガリクス茸、及び、霊芝の、原産地や、更に下位の分類である亜種等は、特に限定はない。また、本発明における免疫活性化剤に実際に使用される原材料としては、自然界から採取したものでもよく、栽培したものでもよい。
本発明における免疫活性化剤は、該免疫活性化剤全体中、抽出物は固形分換算で、
上記冬虫夏草抽出物の含有量が0.5〜10質量%、
上記プロポリス抽出物の含有量が0.1〜10質量%、
上記アガリクス茸抽出物の含有量が0.1〜8質量%、及び、
上記霊芝抽出物の含有量が0.03〜5質量%、
であることが好ましい。
特に好ましくは、該免疫活性化剤全体中、抽出物は固形分換算で、
上記冬虫夏草抽出物の含有量が0.8〜5質量%、
上記プロポリス抽出物の含有量が1〜5質量%、
上記アガリクス茸抽出物の含有量が0.3〜3質量%、及び、
上記霊芝抽出物の含有量が0.1〜1質量%、である。
上記した4種の抽出物の含有量の値は、好ましい範囲、特に好ましい範囲の間で、相互に交換(入れ替え)できるものとする。
冬虫夏草抽出物、プロポリス抽出物、アガリクス茸抽出物、霊芝抽出物の含有量の上限が上記以下であると、本発明の前記した効果を特に発揮する。
上記それぞれの含有量(質量%)の合計量を100質量%から引いた残量は、後記する「糖又は糖誘導体」の含有量(質量%)であることが好ましい。それ以外の含有物は排除されないが、残量の内の90質量%以上が後記する「糖又は糖誘導体」であることが好ましく、残量の実質的に全てが後記する「糖又は糖誘導体」であることが特に好ましい。
後述する通り、本発明における免疫活性化剤は、最も好ましくは1包(個)当たり約1gとし、1回に約1包(個)〜約3包(個)摂取し、1日当たり約3回〜約4回摂取することであるが、含有量の上限が上記以下であると、1回の摂取での体内への吸収が、主に口腔又は食道から行われ、空腸や回腸の腸間膜に存在するパイエル板からの有効成分の吸収量が少なくなるために、その効果が長期間継続する。有効成分の含有量が多過ぎると、パイエル板から有効成分が相対的に多く吸収され、そのことによる免疫機能の亢進は、約1か月で弱まるので、長期間に亘り1回の摂取量を多くして摂取し続けた場合には、本発明の前記効果が減少する場合がある。
また、含有量の上限が上記以下であると、口腔内の粘膜からの吸収が好適に行われ、有効成分が効率的に体内に取り込まれる。有効成分の含有量が多過ぎると、すなわち有効成分の1回の摂取量が多過ぎると、口腔内の粘膜からの吸収が逆に抑制される。
本発明における免疫活性化剤は、前記した「有効成分」に加え、「糖又は糖誘導体」を含有することが好ましい。該有効成分は、虫の風味、キノコの風味、その他の雑風味等があって、単独では極めて不味いものである。「糖又は糖誘導体」(特に好ましくは、マルチトール)を配合することで、有効成分の不味さが軽減される。
本発明における免疫活性化剤は、口腔内に長時間(例えば30秒以上)留めておくと効果的であるので、そのような「不味い有効成分」を長時間口腔内に留めておいたときに不味さを感じさせない点で、「糖又は糖誘導体」は重要である。
本発明における免疫活性化剤においては、上記「有効成分」と「糖若しくは糖誘導体」の含有割合については、「糖若しくは糖誘導体」の含有量が、該免疫活性化剤全体に対して、40〜99質量%が好ましく、55〜98.5質量%がより好ましく、70〜98質量%が更に好ましく、80〜97.5質量%が特に好ましい。
該糖としては、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖(澱粉、セルロース、ガム等を含む)等が挙げられ、該糖誘導体としては、糖アルコール、糖のエステル化物、糖のメトキシ化物、糖のヒドロキシプロピル化物、糖の分解物等が挙げられる。「糖若しくは糖誘導体」は、常温で固体であることが、免疫活性化剤の剤型を粉末又は顆粒にするために好ましい。
例えば、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)等の単糖;スクロース(ショ糖)、トレハロース等の二糖、澱粉等の多糖は不要なカロリーがある。トレハロースでもカロリーが多過ぎる場合があり、また口腔内に(夜摂取した際の特に朝に)、ネバネバ感が残り気持ちが悪い場合がある。
より好ましくは、本発明における免疫活性化剤を口腔内に留めておき易い、製造がし易い等の点から糖アルコールであり、特に好ましくは、有効成分の効果をブロックし難い、雑味がない等の点からマルチトールである。本発明における免疫活性化剤は、直ぐに呑み込まず口腔内に留めておくと効果的であるので、雑味がないことが特に好ましい。
糖アルコールは、カロリーが一般には低いので好ましいが、キシリトールやエリスリトールは雑味が気になる場合がある。
本発明における「糖若しくは糖誘導体」は、賦形剤であると共に、本発明における免疫活性化剤の1回の摂取量の上限を抑えて上記した効果を得るために特に重要である。すなわち、本発明における免疫活性化剤を、口腔内に留めさせて、上部消化管(口腔から十二指腸)から吸収させ、特に口腔又は食道から吸収させ、腸間膜に多くは至らせないために特に重要である。
有効成分の1回の摂取量を低く抑えると、口腔内の粘膜からの吸収が促進されたり、腸のパイエル板からの有効成分の吸収量が少なくなって長期間継続摂取しても効果が持続したりする。
本発明における免疫活性化剤を摂取すると、それが口腔内の粘膜で吸収され、口腔内の粘膜で刺激・活性化されたマクロファージやリンパ球の影響が全身に広がっていることも考えられる。従って、本発明における免疫活性化剤は、粘膜免疫活性化剤でもあり、下部消化管粘膜免疫活性化剤でもあり、口腔内粘膜免疫活性化剤でもある。
限定はされないが、本発明における免疫活性化剤の製造に際しては、例えば、後述する工程(2’)又は(2)を行って「有効成分に結合している脂質」を除去することが好ましい。このように脂質が除去されると有効成分の濃度が実質的に上がることになるため、余分な脂質が結合して質量を無駄に増加させていた従来のものに比べ、本発明における免疫活性化剤の1回の摂取量は、なおさら低く抑えることが好ましい。
本発明における免疫活性化剤は、副交感神経優位時に服用すると、更に前記した効果を発揮する。特に、午後5時以降翌日午前5時までに服用することが、該時間帯が一般に副交感神経優位であるために好ましい。特に好ましくは、午後8時以降翌日午前5時までに服用することである。1日に複数回摂取するときは、少なくとも1回は上記時間帯に服用することが上記点から好ましいが、全回上記時間帯に服用することが上記点から特に好ましい。
血液中の顆粒球が活性化しているときに摂取すると、「リンパ球活性化による抗腫瘍効果」が薄れる場合がある。
本発明における免疫活性化剤の有効成分には、コリン又はコリン誘導体が含有されていることが確かめられている。
「コリン誘導体」とは、化学構造中にコリンの骨格を有するもの、ヒトの体内でアセチルコリンに変換される化学構造を主たる化学構造として有するものを言う。
「コリン又はコリン誘導体」としては、例えば、コリン、アセチルコリン、ホスホコリン、グリセロホスホコリン、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリンの一部等が挙げられる。
本発明における免疫活性化剤は、好ましくは、副交感神経優位化と言う用途に有効であり、実施例に記載した通り、本発明における免疫活性化剤を摂取すると眠くなることからも、本発明における免疫活性化剤が、副交感神経優位化と言う用途に効果を発揮することを裏付けている。
本発明における免疫活性化剤は、剤型が粉末又は顆粒であることが好ましい。「糖若しくは糖誘導体」を含有することに加え、更に「粉末又は顆粒」であると、経口摂取したときに、上部消化管(口腔、食道、胃を経て十二指腸までの範囲)、特に口腔又は食道から体内に吸収され易くなり、本発明の前記効果を発揮する。
本発明における免疫活性化剤は、粉末又は顆粒であって、1包(1単位)あたり免疫活性化剤全体として、0.3g以上3g以下を含有することが好ましく、0.5g以上2g以下を含有することがより好ましく、0.7g以上1.5g以下を含有することが特に好ましい。
1包(1単位)あたりの免疫活性化剤が上記範囲であると、例えば、特に好ましい「包/回」の範囲で摂取したときに、好適な1回の摂取量となる。
従って、好適な本発明における免疫活性化剤の1回の摂取量は、1回の摂取包数に、上記1包(1単位)に含まれる免疫活性化剤の量を掛け合わせた値の範囲である。すなわち、好ましくは0.3g以上5g以下であり、より好ましくは0.5g以上4.5g以下であり、特に好ましくは0.7g以上4g以下である。
1包(1単位)あたりの免疫活性化剤の量や、免疫活性化剤の1回の摂取量が上記上限以下であると、前記した「有効成分の含有量が前記上限以下であるときの効果」が発揮され易くなる。一方、上記下限以上であると、摂取量として十分となり、摂取量が少な過ぎて本発明の効果を発揮しないと言うことがない。
上記免疫活性化剤に含有される野蚕由来の冬虫夏草抽出物は、以下の工程(1’)、(2’)、(3’)、(6’)、(7’)、及び、(8’)を含む製造方法で製造されるものであることが好ましい。
(1’)野蚕由来の冬虫夏草を溶媒X’に浸漬し静置した後、濾過して濾液Aを得る工程
(2’)濾液Aに脂質分解酵素を加えて酵素処理をした後、濾過して濾液Bを得る工程
(3’)濾液Bから混合溶媒を留去して固形物Fを得る工程
(6’)固形物Fを溶媒に溶解して得た溶液J又は該溶液Jの濃縮溶液から、スプレードライ法によって粉末Pを得る工程
(7’)粉末P、及び、上記糖若しくは糖誘導体を溶媒Z’に溶解して溶液Kを得る工程
(8’)溶液K、又は、該溶液Kの濃縮溶液から、スプレードライ法によって粉末Qを得る工程
上記免疫活性化剤に含有される野蚕由来の冬虫夏草抽出物は、以下の工程(1)ないし(8)の全てを含む製造方法で製造されるものであることが特に好ましい。
(1)野蚕由来の冬虫夏草を、アルコールと水の混合溶媒Xに浸漬し、室温下に静置した後、濾過して濾液Aを得る工程。
(2)工程(1)で得た濾液Aに脂質分解酵素を加えて酵素処理をした後、濾過して濾液Bを得る工程。
(3)工程(2)で得た濾液Bから混合溶媒を留去して固形物Fを得る工程。
(4)工程(3)で得た固形物Fから、超臨界抽出法を用いて固形物Gを得る工程。
(5)工程(4)で得た固形物Gをアルコールと水の混合溶媒Yに溶解し、そこに更に、ナイアシンアミドを溶解して溶液Jを得る工程。
(6)工程(5)で得た溶液J又は該溶液Jの濃縮溶液から、スプレードライ法によって粉末Pを得る工程。
(7)工程(6)で得た粉末P及び上記糖若しくは糖誘導体を、アルコールと水の混合溶媒Zに溶解して溶液Kを得る工程。
(8)工程(7)で得た溶液K又は該溶液Kの濃縮溶液から、スプレードライ法によって粉末Qを得る工程。
前記好ましい工程(1’)(2’)(3’)(6’)(7’)(8’)は、上記特に好ましい工程の(1)ないし(8)の上位概念なので、上位概念化すれば足りるので、以下には、上記特に好ましい工程の(1)ないし(8)(下位概念)についてのみ記載する。
野蚕由来の冬虫夏草抽出物は、上記工程(1)ないし(8)を行って得ることが好ましいが、野蚕由来の冬虫夏草とプロポリスは、上記工程を行うことがより好ましく、野蚕由来の冬虫夏草、プロポリス、アガリクス茸、霊芝の全てに対して、上記工程を行うことが特に好ましい。
工程(1)では、野蚕由来の冬虫夏草を、アルコールと水の混合溶媒Xに浸漬し、室温下に静置した後、濾過して濾液Aを得る。
上記原材料は、乾燥前のものでも乾燥したものでもよい。全ての原材料の合計質量(kg)と混合溶媒Xの体積(L)の比率は、特に限定はなく常法に従えばよいが、1:[0.6〜10]が好ましく、1:[1〜5]がより好ましく、1:[2〜3]が特に好ましい。この範囲であると、溶媒が無駄にならず、溶媒留去に時間と費用がかからず、浸漬や撹拌が好適に行われて抽出効率が上がる。
上記アルコールは、抽出効率、生体に対しての安全性、沸点等から決められるが、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。中でも、エタノールが上記点等から特に好ましい。
混合溶媒Xにおけるアルコール(好ましくはエタノール)と水の比率は、混合溶媒Xを調製する際の両者の配合体積全体に対して、アルコール(特に好ましくはエタノール)45〜98体積%が好ましく、60〜95体積%がより好ましく、75〜90体積%が特に好ましく、80〜85体積%が最も好ましい。
少なくとも室温下に静置した後に濾過をするが、静置する期間があればよく、途中で撹拌や振動を与えてもよい。静置する期間は、トータルで1日以上が好ましく、2日〜10日がより好ましく、3日〜6日が特に好ましい。少なくとも室温に静置する期間があればよく、途中で加熱(好ましくは60℃以下)期間があってもよい。上記「室温」は、5℃〜40℃を意味し、好ましくは10℃〜35℃であり、特に好ましくは15℃〜30℃である。
上記濾過は、常法に従えばよく、吸引濾過、加圧濾過、自然濾過等が挙げられる。濾材等も適宜選択される。濾過前等にデカンテーションを加えてもよい。
工程(2)では、工程(1)で得た濾液Aに脂質分解酵素を加えて酵素処理をした後、濾過して濾液Bを得る。
該脂質分解酵素としては、グリセリンのエステルを分解して脂肪酸を遊離するリパーゼ、リン脂質を分解するホスホリパーゼ等が挙げられるが、リパーゼが好ましい。
酵素処理は、例えば、室温(定義と好ましい範囲は上記と同じ)で、好ましくは1〜10時間、より好ましくは2〜6時間処理する。処理中は適宜撹拌を加えることが好ましい。
上記濾液Aの体積に対して加える上記脂質分解酵素の質量は特に限定はないが、濾液Aの1Lに対して、脂質分解酵素3g〜300gが好ましく、10g〜100gがより好ましく、20g〜60gが特に好ましい。
濾過して濾液Bを得る際の濾過は、常法に従えばよく、吸引濾過、加圧濾過、自然濾過等が挙げられる。濾材等も適宜選択される。濾過前等にデカンテーションを加えてもよい。
工程(3)では、工程(2)で得た濾液Bから混合溶媒を留去して固形物Fを得る。該混合溶媒は、主に工程(1)で加えた混合溶媒Xに由来するものである。加熱及び/又は減圧して混合溶媒を留去することが好ましい。
上記「固形物F」には、反固形物を含み、ハルツ状態のもの、混合溶媒を若干含むもの等も含まれる。
工程(4)では、工程(3)で得た固形物Fから、超臨界抽出法を用いて固形物Gを得る。超臨界抽出法は常法に従って行う。該超臨界抽出法に用いられる抽出流体は二酸化炭素が好ましい。すなわち、工程(4)では、超臨界二酸化炭素抽出法を用いることが好ましい。
工程(5)では、工程(4)で得た固形物Gをアルコールと水の混合溶媒Yに溶解し、そこに更に、ナイアシンアミドを溶解して溶液Jを得る。
該混合溶媒Yの実際に使用される組成は、上記混合溶媒Xの実際に使用される組成と異なるものでもよいが、混合溶媒Yの好ましい組成範囲は、混合溶媒Xの上記した好ましい組成範囲と同じである。
ナイアシンアミドを溶解させるが、ナイアシンアミドを溶媒に一旦溶解しておいてから該溶液を、固形物Gの混合溶媒Yに溶解させることが好ましい。該溶媒の好ましい範囲としては、混合溶媒Xの上記した好ましい組成範囲と同じである。
ナイアシンアミドを用いることによって、該ナイアシンアミド(由来物)が最終の免疫活性化剤に残存して、該免疫活性化剤の副交感神経優位化及び/又はリンパ球活性化が促進される。
使用するナイアシンアミドの量は、工程(1)で使用した原材料全体の1質量部に対して、0.3質量部以上3質量部以下が好ましく、0.5質量部以上2質量部以下がより好ましく、0.7質量部以上1.5質量部以下が特に好ましい。
工程(6)では、工程(5)で得た溶液J又は該溶液Jの濃縮溶液から、スプレードライ法によって粉末Pを得る。スプレードライ法は常法に従って行う。
溶液Jからその濃縮溶液得る方法は、溶媒を留去する方法が好ましく、減圧留去が特に好ましい。濃縮率については、スプレードライ法が好適にできる濃度、粘度等にまで濃縮することが好ましい。
工程(7)では、工程(6)で得た粉末P及び上記糖若しくは糖誘導体を、アルコールと水の混合溶媒Zに溶解して溶液Kを得る。
ここで用いる「糖若しくは糖誘導体」の好ましいものや範囲は前記した通りである。「糖若しくは糖誘導体」としては、マルチトールが特に好ましい。また、混合溶媒Zの好ましい組成範囲は、混合溶媒Xの上記した好ましい組成範囲と同じである。
「糖若しくは糖誘導体」(好ましくはマルチトール)の好ましい使用量は、前記した「有効成分と「糖若しくは糖誘導体」との比が前記した好ましい比になるようにする。すなわち、免疫活性化剤中の有効成分の含有量が、前記した好ましい含有量になるように、「糖若しくは糖誘導体」を加える。
工程(6)で得た粉末Pを一旦溶液として、「糖若しくは糖誘導体」も一旦溶液として、それら2つの溶液を混合することで、混合溶媒Zに溶解した溶液Kを得てもよい。
工程(8)では、工程(7)で得た溶液K又は該溶液Kの濃縮溶液から、スプレードライ法によって粉末Qを得る。スプレードライ法は常法に従って行う。
濃縮については、スプレードライ法が好適にできる濃度、粘度等にまで濃縮することが好ましい。
本発明における免疫活性化剤は、上記のようにして得られた野蚕由来の冬虫夏草抽出物に、プロポリス抽出物、アガリクス茸抽出物、及び、霊芝抽出物を配合して得られる。プロポリス、アガリクス及び霊芝から、それぞれ抽出物を得る方法は、特に限定はなく、水とエタノールの混合溶剤で常法によって抽出すればよいが、上記した野蚕由来の冬虫夏草抽出物と同様の方法で抽出することが好ましい。
野蚕由来の冬虫夏草抽出物の製造方法における「工程(1)ないし(8)の全てを含む製造方法」を使用して製造されるようなものである免疫活性化剤は、前記した本発明の効果をより発揮する。
「工程(1)ないし(8)の全てを含む製造方法」を使用して製造されるようなものである免疫活性化剤は、成分を数百種類以上含むと考えられるが、それらの成分を同定すること、それらの成分から本発明の効果を奏する有効成分を同定することは、不可能であるか又はおよそ実際的でない(「不可能・非実際的事情」がある)。
天然物が複数種含有されるものについて、成分の化学構造決定の困難さ以上に、それらが有効成分か否かの判定は、実験室での簡便法がないので、直接哺乳類で、最終的にはヒトで行わなくてはならず、なおさら、不可能であるか又はおよそ実際的でない(「不可能・非実際的事情」がある)。
従って、特に好ましい「本発明における免疫活性化剤」については、製造方法で特定する以外に方法がない。
本発明における免疫活性化剤の摂取方法は、有効成分が口腔内で体内に吸収されるように、口腔内で30秒以上留まらせておくことが好ましい。より好ましくは45秒以上、特に好ましくは1分以上留まらせておくようにする。また、故意になるべく呑み込まないようにすることが好ましい。また、水を用いて呑み込まないようにすることが好ましい。「糖又は糖誘導体」は、有効成分を口腔内に留めておいても、有効成分の不味さを軽減してくれる。
本発明における免疫活性化剤は、口腔内で30秒以上留まらせておくように摂取すると、より効果的であることが、実際に実施例で確かめられている。
本発明における免疫活性化剤を口腔内に留まらせるとその効果が増大することから、本発明における免疫活性化剤は、摂取すると口腔内の粘膜で吸収されていると考えられる。
従って、本発明における免疫活性化剤は、粘膜免疫活性化剤でもあり、特に口腔内粘膜免疫活性化剤でもある。
本発明における免疫活性化剤は、1日に1回以上摂取することが好ましく、1日に2回以上摂取することがより好ましく、1日に3回以上摂取することが特に好ましい。上限は、特に限定はないが、1日に7回以下摂取することが好ましく、1日に5回以下摂取することが特に好ましい。
本発明における免疫活性化剤は、午後5時以降翌日午前9時までに服用することが好ましく、午後5時以降翌日午前5時までに服用することが特に好ましい。既に副交感神経が優位となっている時間帯に、更に副交感神経を優位化させることができる。午後8時以降翌日午前5時までに服用することが特に好ましい。
1日に複数回摂取するときは、少なくとも1回は上記時間帯に摂取することが好ましく、摂取回数の少なくとも半分は上記時間帯に摂取することがより好ましく、かかる複数回の摂取の略全回を、上記時間帯に摂取することが特に好ましい。
<<活性酸素除去剤>>
活性酸素(Reactive Oxygen Species)とは、酸素分子がより反応性の高い分子・原子・ラジカルに変化したものの総称であり、スーパーオキシドアニオンラジカル、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、一重項酸素がある。
本発明における活性酸素除去剤は、細胞内に発生した活性酸素であるスーパーオキシドアニオン(・O2−)を酸素と過酸化水素とに不均化するスーパーオキシドディスムターゼ(Superoxide dismutase, SOD)と同様の働きをする。
また、本発明における活性酸素除去剤は、上記スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)と同様の働きをして、スーパーオキシドアニオン(・O2−)を除去するのみならず、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、又は、一重項酸素をも除去する。
本発明における活性酸素除去剤は、天然物由来の低分子抗酸化性化合物を含有するものであることが必須であるが、少なくとも、以下の工程の全てを以下の順番で有する製造方法で製造されるものであることが好ましい。
(11’)植物由来の天然原料に遠赤外線を照射して加熱する工程
(12’)麹菌を用いて発酵させる工程
(13’)粉末化する工程
(14’)工程(13’)で得られたものに油を加えて混合する工程
上記した工程(11’)、(12’)、(13’)、(14’)の特に好ましい態様は、それぞれ、以下の工程(11)、(12)、(13)、(14)である。
本発明における活性酸素除去剤は、天然物由来の低分子抗酸化性化合物を含有するものであることが必須であるが、少なくとも、以下の工程(11)ないし(14)の全てを有する製造方法で得られるものが特に好ましい。
(11)大豆、糠、及び、胚芽を含有する天然原料に遠赤外線を照射して加熱する工程
(12)工程(11)で得られたものを、麹菌を用いて発酵させる工程
(13)工程(12)で得られたもの粉末化する工程
(14)工程(13)で得られたもの、ω-3脂肪酸を含有する油、及び、ω-6脂肪酸若しくはω-9脂肪酸を含有する油を加えて混合する工程
工程(11)は、大豆、糠、及び、胚芽を含有する天然原料に遠赤外線を照射して加熱する工程である。
更に、工程(11)で使用される天然原料は、更に、鳩麦、胡麻、緑茶、クコの実、及び/又は、ユーグレナを含有することが好ましい。すなわち、鳩麦、胡麻、緑茶、クコの実、及び、ユーグレナよりなる群から選ばれた少なくとも1種の天然原料を含有することが好ましい。
少なくとも1種以上を更に含有することが好ましいが、該群から選ばれた2種以上を更に含有することがより好ましく、該群から選ばれた3種以上を更に含有することが更に好ましく、該群から選ばれたなるべく多くの種を更に含有することが特に好ましく、大豆、糠、及び、胚芽に加えて、鳩麦、胡麻、緑茶、クコの実、及び、ユーグレナの全てを更に含有することが最も好ましい
上記天然原料の内の1種に、遠赤外線を照射して加熱して、その後に混合してもよいし、上記天然原料の内の幾つか又は全部を混合しておいてから、遠赤外線を照射して加熱してもよい。
遠赤外線照射による加熱は、100℃以下が好ましく、98℃以下がより好ましく、96℃以下が特に好ましい。また、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上が特に好ましい。
遠赤外線照射による加熱は、使用する天然原料に依存して、特に限定はないが、ゆっくりと加熱することが好ましく、具体的には、20分以上24時間以下が好ましく、30分以上10時間以下がより好ましく、40分以上4時間以下が特に好ましい。
遠赤外線としては、波長4μm以上14μm以下が好ましく、限定はされないが、陶器等の容器に該天然原料を収納して、該陶器を加熱して該容器内に遠赤外線を照射することによって該天然原料を加熱することが好ましい。
遠赤外線を照射することによって、該天然原料の内部も加熱され、該天然原料の全体を均一に加熱することができる。また、過昇温による有効成分の分解・失活を抑制し、植物中の高分子鎖を適度に切断し、「有効成分」又は「その後の発酵によって有効成分になる成分」を、低分子化合物又はオリゴマーとして得ることができる。
なお、他の加熱方法を併用することは排除されない。また、該「加熱」は、所謂「焙煎」とも言われるものも含まれる。
大豆は、特に限定はなく、何れの種類のものでも用いられる。
糠は、玄米等の穀物を、精米等の精白するときに発生する、果皮・種皮等の外皮と胚芽との混合物であり、少なくとも、デンプン、脂肪、タンパク質、微量元素(リン等)等が含まれている。糠の原料である穀物としては、米、大麦、小麦、燕麦等が挙げられ、それぞれ、米糠、麦糠、ふすま、オートブラン等と言われている。中でも、米糠が好ましい。
胚芽は、植物の胚であり、種子の内部にあって成長して芽になる部分のことである。該胚芽は、小麦胚芽、大麦胚芽、鳩麦胚芽、米胚芽等、特に限定はないが、小麦胚芽が特に好ましい。
なお、胚芽米を作った後の糠には胚芽が含まれていないが、一般に、糠には胚芽が含まれていることがある。その場合には、上記胚芽とは、該糠に含まれている胚芽でもよいし、別途、胚芽だけを糠に追加してもよい。米糠と、それに別途追加した小麦胚芽又は米胚芽の組み合わせが特に好ましい。
鳩麦、胡麻、緑茶、クコの実は、特に限定はなく、何れの種類のものでも用いられる。
ユーグレナは、特に限定はなく、ミドリムシであれば、何れも用いられ、「ユーグレナ」として市販されているものも用いられ得る。
工程(12)は、工程(11)で得られたものを、麹菌を用いて発酵させる工程である。
使用される麹菌は、特に限定されず、何れも使用可能である。
発酵温度は、20℃以上38℃以下が好ましく、27℃以上37℃以下がより好ましく、34℃以上36℃以下が特に好ましい。
醗酵によって、新たな成分が生成することが考えられるが、それと共に、上記工程(11)で加熱後にある程度切断した中分子鎖又はオリゴマーの重合鎖を更に切断し、有効成分を、低分子化合物、又は、切断され繰り返し単位を有さない化合物として得ることができる。
工程(11)と工程(12)によって、使用した天然原料(植物等)中に含まれる「高分子の主鎖の単位又は側鎖」として存在する活性酸素除去物質を、「低分子化合物、又は、繰り返し単位を有さない化合物」として得ることができる。
該化合物は、活性酸素防止活性が、工程(11)での加熱前の化合物や、工程(12)での醗酵前の化合物より、活性酸素除去の効果が高い。
工程(13)は、工程(12)で得られたもの粉末化する工程である。
粉末化は、何れの粉砕機を使用して行ってもよく、使用時に高熱が発生して、活性酸素除去物質を失活させないものが好ましい。乳鉢、臼等を使用した粉末化が、熱を発生し難いために特に好ましい。
該粉末化は、体内に取り込まれ易くすると共に、以下の工程(14)の処理をより効果的にするために行われる。
工程(12)又は工程(13)の後で、工程(14)の前に、「他の天然原料」を配合することも好ましい。「他の天然原料」としては、抹茶等の緑茶;ユーグレナ(ミドリムシ);柚子、蜜柑等の柑橘;等が挙げられる。「他の天然原料」は、工程(11)で使用される「天然原料」と重複していてもよい。「他の天然原料」は、配合前に粉末化されていることが好ましい。
工程(14)は、「工程(13)で得られたもの」、「ω-3脂肪酸を含有する油」、及び、「ω-6脂肪酸若しくはω-9脂肪酸を含有する油」を加えて混合する工程である。
「ω-3脂肪酸を含有する油」や、「ω-6脂肪酸若しくはω-9脂肪酸を含有する油」は、それぞれ1種で使用してもよく、2種以上を配合して使用してもよい。
特定の油と混合して、前記粉末を「油剤」の態様に変換することによって、細胞膜は脂質であるので、ヒトの体内にあるレセプターに受け入れられて細胞内に入り、上記した活性酸素除去の効果を発揮する。そして、前記したように、その後に又は同時に摂取した「本発明における免疫活性化剤」を効果的に働かせることができる。
ω-3脂肪酸は、「ω-6脂肪酸若しくはω-9脂肪酸」と混合使用することによって、上記効果を好適に奏させることができる。
ここで「ω-3脂肪酸を含有する油」としては、精製したものを使用してもよいが、ω-3脂肪酸を含有する天然油の形で使用することが好ましい。
ω-3脂肪酸を含有する油としては、グリーンナッツオイル;アマニ油;シソ油;いわし、あじ、さば、カツオ、マグロ、サケ等の青魚に含有される油(エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)等);等が挙げられる。中でも、特に、グリーンナッツオイルが好ましい。
ω-6脂肪酸を含有する油としては、コーン油、サフラワー油、ヒマワリ油、ベニバナ油、大豆油、ゴマ油等が挙げられる。
ω-9脂肪酸を含有する油としては、オリーブ油、キャノーラ油、高オレイン酸サフラワー油等が挙げられる。中でも、特に、オリーブ油が好ましい。
上記植物油は、焙煎したものから抽出したものでも、焙煎していないものから抽出したものでも、それらの混合でもよい。
工程(14)では、上記油(脂肪酸を含む)以外の食用油を追加してもよい。また、ヒトの体内のレセプターに受容され難くならない範囲で水を少量ならば追加してもよい。
該油と工程(13)で得られた粉末を混合する際の、油と粉末との割合は、粉末が両者の合計量の40〜99質量%の範囲が好ましく、50〜98質量%がより好ましく、60〜97質量%が特に好ましい。
粉末が少な過ぎると、有効成分である活性酸素除去物質の濃度が低いために、活性酸素の産生を抑制する効果が低下する場合がある。一方、油が少な過ぎると、レセプターに受容され難くなる、細胞内への浸透力が低下する、等の場合がある。
<剤型>
本発明における活性酸素除去剤の剤型は、経口投与できる剤型であれば特に限定はなく、カプセル剤;油剤;賦形剤等を配合して粉剤、顆粒剤、錠剤等にしたもの;等が挙げられる。
製剤の際、公知の可食性の、賦形剤、配合剤、香料、矯味料、着色剤等を追加配合することができる。
<用途限定された抗腫瘍剤セット>
本発明の抗腫瘍剤セットは、評価例8及び評価例9にも示されている通り、「免疫活性を落とす抗癌剤」を断薬してから、上記活性酸素除去剤と上記免疫活性化剤の投与をするために(かかる用途に)使用されるものであることが好ましい。
また、本発明の抗腫瘍剤セットは、実際に評価例8に示されている通り、免疫活性化剤が、血液中の、白血球の数、マクロファージの数、及び/又は、リンパ球の数を増加させるために(かかる用途に)使用されるものであることが好ましい。特に、顕著な効果を奏することから、本発明の抗腫瘍剤セットは、免疫活性化剤が、血液中のマクロファージの数を増加させるために(かかる用途に)使用されるものであることが好ましい。
本発明の抗腫瘍剤セットは、実際に評価例8に示されている通り、免疫活性化剤が、白血球全体に対するマクロファージの含有割合を増加させるために(かかる用途に)使用されるものであることが好ましく、従って、本発明は、抗腫瘍剤セットが有する上記免疫活性化剤がマクロファージ増強剤である、上記の抗腫瘍剤セットであることが好ましい。
<管理表>
本発明は、上記の抗腫瘍剤セットを使用する際に使用する管理表であって、
行又は列に、日付若しくは上記活性酸素除去剤の投与開始からの日数を記入し、もう一方の列又は行に、血液中の、少なくとも、白血球の数、マクロファージの数、リンパ球の数、及び、顆粒球の数を記入できるようになっていることを特徴とする管理表でもある。
本発明の抗腫瘍剤セットは、血液中の、白血球の数、マクロファージの数、及び/又は、リンパ球の数を増加させることが特徴である。特に、血液中の、マクロファージの絶対数を増加させることが大きな特徴である。
本発明の管理表には、それらの数字を書き込めるようになっている(図4参照)。
更に、上記列又は行に、白血球全体に対する、マクロファージの含有割合、リンパ球の含有割合、及び/又は、顆粒球の含有割合を記入できるようになっていることが好ましい(図4参照)。
また、該管理表には、活性酸素除去剤を摂取し始めてから何日後から免疫活性化剤を摂取し始めたか、何日間それぞれの剤を摂取したかが分かるように、上記行又は列に、日付若しくは上記活性酸素除去剤の投与開始からの日数を記入できるようになっている(図4参照)。
図3、4に管理表の一例を示す。図3の管理表は、下記する評価例7で用いられた管理表である。図3では、活性酸素除去剤を摂取し始めた日を「第1日」としている。図3では、測定値が記入されているが、本発明の管理表は、測定値が記入してあるものには限らず、測定値が記入してない原紙・雛形でもある。
なお、図3中の「SOD」は、評価例7で用いた本発明における活性酸素除去剤のことであり、図3中の「LA」、図4中の「LAEX」は、評価例7で用いた本発明における免疫活性化剤のことである。
該管理表は、図3のように紙に手書き用でもよいし、モニター上にインプット用でもよい。
該管理表によって、血液中の各数値の推移が分かり易くなると共に、摂取を開始する日等が直ぐに分かるようになる。
以下に、製造例、評価例等を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
製造例1
<免疫活性化剤の製造1>
以下の工程(1)ないし(8)を行って、野蚕由来の冬虫夏草抽出物を得た。
ただし、混合溶媒X、Y、Zとしては、何れも、エタノール/水=80/20(体積混合比)で混合して得たものを使用した。
「室温」は25℃とした。
超臨界抽出法の抽出媒体は二酸化炭素とし、スプレードライ法、酵素処理、濾過、留去等は、常法に従って行った。
「糖若しくは糖誘導体」としては、マルチトールを使用した。
(1)野蚕由来の冬虫夏草を、アルコールと水の混合溶媒Xに浸漬し、室温下に静置した後、濾過して濾液Aを得る工程。
(2)工程(1)で得た濾液Aに脂質分解酵素を加えて酵素処理をした後、濾過して濾液Bを得る工程。
(3)工程(2)で得た濾液Bから混合溶媒を留去して固形物Fを得る工程。
(4)工程(3)で得た固形物Fから、超臨界抽出法を用いて固形物Gを得る工程。
(5)工程(4)で得た固形物Gをアルコールと水の混合溶媒Yに溶解し、そこに更に、ナイアシンアミドを溶解して溶液Jを得る工程。
(6)工程(5)で得た溶液J又は該溶液Jの濃縮溶液から、スプレードライ法によって粉末Pを得る工程。
(7)工程(6)で得た粉末P及び「糖若しくは糖誘導体」を、アルコールと水の混合溶媒Zに溶解して溶液Kを得る工程。
(8)工程(7)で得た溶液K又は該溶液Kの濃縮溶液から、スプレードライ法によって粉末Qを得る工程。
次いで、工程(9)として、プロポリス、アガリクス茸、及び、霊芝を、上記した混合比の「アルコールと水の混合溶媒」に浸漬して、常法に従いそれぞれの抽出物を得た。
工程(1)では「野蚕由来の冬虫夏草」のみが選択されたので、工程(9)では、上記工程(8)で得られた粉末Qに、プロポリス抽出物、アガリクス茸抽出物、及び、霊芝抽出物の粉末を全て混合して、「4種混合粉末Q」を得た。
製造例2
<免疫活性化剤の製造2>
野蚕の冬虫夏草抽出物のみならず、プロポリス抽出物、アガリクス茸抽出物及び霊芝抽出物についても全て、上記工程(1)ないし(8)を行って粉末Qを得た。すなわち、プロポリス、アガリクス茸及び霊芝をそれぞれ原材料とし、それぞれに工程(1)ないし工程(8)を行って、3種の粉末Qを得た。
次いで、工程(9)において、その3種の粉末Qを、上記工程(8)で得られた「野蚕由来の冬虫夏草抽出物とマルチトールからなる粉末Q」に配合し、均一になるまで混合して、「4種の粉末Q」よりなる粉末状の免疫活性化剤を製造した。
製造例3
<比較免疫活性化剤の製造>
製造例2の工程(9)において、野蚕由来の冬虫夏草抽出物、プロポリス抽出物、アガリクス茸抽出物、及び、霊芝抽出物のうちから、それぞれ1種だけを混合しないで、他の3種だけの粉末Qを均一になるまで混合して、合計4種類の粉末状の比較免疫活性化剤(1種だけを欠いている比較免疫活性化剤)を製造した。それぞれの有効成分の免疫活性化剤全体に対する含有量は、製造例2と同様とした。
製造例4
<(比較)免疫活性化剤包の製造>
製造例1ないし製造例3で得られた免疫活性化剤は、有効成分である、野蚕由来の冬虫夏草抽出物、プロポリス抽出物、アガリクス茸抽出物、及び、霊芝抽出物を、免疫活性化剤全体に対して、野蚕由来の冬虫夏草抽出物3質量%、プロポリス抽出物3質量、アガリクス茸抽出物2質量%、及び、霊芝抽出物1質量%含有するものであり、残量は全てマルチトールであった。そのような濃度になるように、「工程(7)におけるマルチトールの使用量」及び「4種の粉末の混合比」を調整した(製造例3の比較免疫活性化剤では3種の混合)。
得られた免疫活性化剤の粉末を、1包に1.00gずつ包んで、「免疫活性化剤包」及び「比較免疫活性化剤包」とした。
製造例5
<活性酸素除去剤の製造1>
工程(11)において、天然原料として、大豆、糠、胚芽、鳩麦、胡麻、緑茶、クコの実、及び、ユーグレナ(ミドリムシ)各1質量部を波長4μm以上14μm以下の遠赤外線を放射する陶器製の容器に入れ、95℃で3時間、撹拌下に加熱した。遠赤外線が全体に照射されるように十分に撹拌した。
工程(12)において、米麹を全体量の2質量%加え、36℃で72時間醗酵させた。
次いで、工程(13)において、30℃を保ちつつ、臼を用いて粉末化した。
工程(14)において、ω-9脂肪酸を含有するオリーブ油を1.5質量部、ω-3脂肪酸を含有するグリーンナッツオイルを1.5質量部、胡麻油を1.5質量部、及び、水を1.0質量部、を混合し、そこに、臼で粉末化した上記粉末を、100質量部加え、均一になるまで撹拌し、室温25℃で1週間静置して、活性酸素除去剤を得た。
工程(14)で得られた活性酸素除去剤を、ハードカプセルに、3g封入して経口剤を得た。
製造例6
<活性酸素除去剤の製造2>
製造例5の工程(11)において、天然原料として、大豆、糠、及び、小麦胚芽を、各1質量部用いた。
また、製造例5の工程(14)において、ω-9脂肪酸を含有するオリーブ油を1.5質量部、及び、ω-3脂肪酸を含有するグリーンナッツオイルを1.5質量部、水を2質量部、を混合し、そこに、臼で粉末化した上記粉末を、100質量部加え、均一になるまで撹拌し、室温25℃で1週間静置した。
それ以外は、製造例4と同様にして、活性酸素除去剤を得た。
上記で得られた活性酸素除去剤を、製造例5と同様にハードカプセルに封入して経口剤を得た。
製造例7
<活性酸素除去剤3の製造>
製造例6において、大豆、米糠、及び、小麦胚芽の内の1種を用いない以外は、製造例6と同様にして、合計3種類の粉末状の比較活性酸素除去剤(1種だけを欠いている活性酸素除去剤)を製造した。
得られた活性酸素除去剤を、製造例6と同様にハードカプセルに封入して経口剤を得た。
製造例8
<活性酸素除去剤4の製造>
製造例5の工程(14)において、オリーブ油のみを用いて、工程(13)で得られた粉末を加えて混合した。なお、該オリーブ油には、ω-9脂肪酸は含まれていたが、ω-3脂肪酸が含まれていない。
それ以外は、製造例5と同様にして、活性酸素除去剤を製造した。
得られた活性酸素除去剤を、製造例5と同様にハードカプセルに封入して比較経口剤を得た。
測定例1
<免疫活性化剤中のアセチルコリンの測定>
製造例1及び製造例2で得られた免疫活性化剤中のアセチルコリンを、蛍光法で定量した結果、4種の有効成分の合計質量に対して、0.14質量%のアセチルコリンを含有していた。「コリン又はコリン誘導体」の含有量は、アセチルコリンだけの上記含有量より更に多いと考えられる。
野蚕は、通常は地中で動かない状態であるため、野蚕の体内にアセチルコリンが蓄積したことが考えられる。
評価例1
20歳から80歳の健康な男女10人に、製造例4で得られた「免疫活性化剤包」を、それぞれ1包だけ口に入れて、1分以上口腔内に留めてもらった。
摂取の時刻は、10人とも午後8時から午後10時までの間とし、摂取の前後2時間は、何も口に入れないでもらった。
10人中9人が、直ぐに眠くなったと証言した。なお、10人とも、摂取しないときには眠くならなかった。摂取後に副交感神経が優位になったと考えられた。
後記する評価例8で実際に癌患者に投与した結果、該患者は眠くなり、更に白血球数とマクロファージ数とリンパ球数が増加していたので、「眠くなること」で、免疫活性化剤の効果を推し量ることができると推認された。すなわち、眠くなることが免疫活性化剤の効果のバロメータとなると考えられた。
従って以上から、製造例1及び製造例2で製造された免疫活性化剤、すなわち、製造例3で製造された免疫活性化剤包は、副交感神経を優位に導き、抗腫瘍効果があると推認された。
評価例2
評価例1において、「免疫活性化剤包」を、1包だけ口に入れてもらったことに代えて、1/8、1/5包、1/3包、1/2包、1.5包、2包を口に入れてもらった以外は、評価例1と同様に評価した。
その結果、1/5包、1/3包、1/2包及び1.5包は、評価例1とほぼ同様の人数だけ眠くなった人がいたが、それ以外の1/8包と2包は、眠くなった人が有意に少なかった。従って、有効成分の好ましい摂取量には、下限と上限があることが分かった。
評価例3
評価例1において、「免疫活性化剤包」を口に入れてから1分以上口腔内に留めてもらったことに代えて、口に入れてから直ぐに呑み込んでもらった。
その結果、10人中2人が眠くなったと回答したに過ぎなかった。なお、10人とも、摂取しないときには眠くならなかった。
評価例1では、免疫活性化剤が、上部消化管で、特に口腔内で吸収されて本発明の効果を奏すると考えられた。一方、評価例3では、免疫活性化剤が口腔内の粘膜から吸収されるだけの時間がなかったため、本発明の効果を若干奏するに止まったと考えられた。
評価例4
製造例1、2において製造した免疫活性化剤の剤型が粉末状(粉末剤)であったことに代え、顆粒剤、懸濁液、カプセル剤、錠剤、トローチ剤に代えて評価した。それ以外は評価例1と同様に評価した。
眠くなる程度は、高い順に、粉末剤=顆粒剤≫トローチ剤=錠剤≫懸濁液=カプセル剤、であった。なお、「=」は同等、「≫」は左辺が右辺より非常に大きいことを示す。
これより、本発明における免疫活性化剤は、粉末又は顆粒であることが好ましく、口腔内に留めておくことが極めて有効であることが示唆された。
評価例5
<比較評価>
製造例3で製造した比較免疫活性化剤を用いて製造例4で得られた「比較免疫活性化剤包」を、評価例1と同様に評価したところ、それぞれ1種を欠いた「4種類の比較免疫活性化剤」で、眠くなった人の数は、10人中1〜2人であった。
野蚕由来の冬虫夏草抽出物、プロポリス抽出物、アガリクス茸抽出物、及び、霊芝抽出物の4種全てが必須であることが分かった。
また、本発明における活性酸素除去剤を、製造例3で製造したこの比較免疫活性化剤の摂取に先立って又は同時に摂取しておいても(摂取しても)、抗腫瘍効果は得られないことが示唆された。
測定例2
<活性酸素除去剤の活性酸素除去効果の測定>
製造例5ないし8で得た活性酸素除去剤を、以下のようにして、活性酸素除去効果を測定した。
油性の不飽和脂肪酸(docosahexaenoic acid)が、紫外線によって発生する活性酵素と反応して過酸化脂質を生成する反応系(TBA(thiobarbituric acid)反応系)に、製造例5〜8で製造された(比較)活性酸素除去剤を添加し、この過酸化脂質の生成が抑制される程度を測定した。
すなわち、docosahexaenoic acidを100倍に希釈したもの0.1mLを用い、製造例で製造された活性酸素除去剤1.8mg/mLを添加し、生成した過酸化脂質を、TBA反応系で測定した。
製造例5〜8で製造された活性酸素除去剤は、油性の不飽和脂肪酸(docosahexaenoic acid)が紫外線に照射されて過酸化脂質(TBA)が生成されるのを有意に抑制した。中でも、製造例5、6で製造された活性酸素除去剤は、過酸化脂質(TBA)が生成されるのを強く抑制した。
測定例2より、製造例5〜8で得た活性酸素除去剤は、活性酸素除去効果が高かった。特に、製造例5、6で得た活性酸素除去剤は、活性酸素除去効果が極めて高かった。
評価例6
製造例5ないし8で製造した(比較)活性酸素除去剤を、それぞれハードカプセルに封入した経口剤を、下記するストレスが貯まった人10人に対して、それぞれ処方した。
その結果、製造例5〜8で製造した活性酸素除去剤を摂取した人は、何れもストレスがなくなったが、製造例5、6で製造した活性酸素除去剤を摂取した人は、ストレスが特になくなった。ここで、ストレスとは、具体的には、働き過ぎ、仕事での人間関係に関する悩み、多種の薬の飲み過ぎ等であったが、それがなくなった。
上記事実より、製造例5〜8で得た活性酸素除去剤、特に製造例5、6で得た活性酸素除去剤には、活性酸素除去効果があることが人でも確かめられた。
評価例6より、製造例5、6で製造した活性酸素除去剤を摂取した後に、本発明における免疫活性化剤を摂取したときには、抗腫瘍効果は得られるが、製造例7、8で製造した比較活性酸素除去剤を摂取した後に、本発明における免疫活性化剤を摂取しても、抗腫瘍効果は得られないことが示唆された。
評価例7
中華人民共和国の航天中心医院(北京大学航天臨床医学院)において、医師と患者の承諾を得て、以下の検討をさせてもらった。
35歳の骨髄性白血病の末期癌の女性患者に、製造例5で製造した活性酸素除去剤が1個のハードカプセルに3g封入された経口剤を、1回に2個/回、一日に、3回/日服用してもらった。
活性酸素除去剤への投与を開始した日を「第1日」とし、該活性酸素除去剤は、上記用量で、第14日まで投与を続けた(図1、2、3参照)。すなわち、免疫活性化剤を投与しているときも、該活性酸素除去剤の投与を続けた。
なお、該患者は、骨髄移植をする予定であったので、抗癌剤は断薬する必要があった。すなわち、「活性酸素除去剤の投与を開始した上記第1日」の1週間前から抗癌剤を断薬していた。抗癌剤の断薬は、活性酸素除去剤の投与を開始した日から骨髄移植が行われた第30日まで続いたが、その間、上記投与と下記投与を行った。
活性酸素除去剤投与開始から10日目から、製造例1で製造した免疫活性化剤の粉末を、製造例4で1包に1.00gずつ包んで得た免疫活性化剤包を1回に3包ずつ投与した。
その後、以下のように、上記患者に投与開始した(図1、2、3参照)。
免疫活性化剤投与第1日目(活性酸素除去剤投与開始から10日目)は、夕方(午後5時)から投与を始め、1晩(1日)に3回投与した。
免疫活性化剤投与第2〜4日目(活性酸素除去剤投与開始から11日目〜13日目)は、免疫活性化剤投与第1日目と同様に、1晩(1日)に2個ずつ3回投与した。
免疫活性化剤投与第5日目(活性酸素除去剤投与開始から14日目)は、夕方(午後5時)に1回投与した。それ以後の夜中の投与は、吐き気がひどいため中止した。
免疫活性化剤投与第6〜8日目(活性酸素除去剤投与開始から15日目〜17日目)は、吐き気がひどいため、終日中止した。
結果を以下に示す。( )内の倍数は、免疫活性化剤投与第2日目の個数に対する個数比(倍数)である。
免疫活性化剤投与第2日目(活性酸素除去剤投与第11日目)の午前は、
白血球数は、 0.48×10[個/L(血液)]
マクロファージ数は、0.09×10[個/L(血液)]
リンパ球数は、 0.34×10[個/L(血液)]
マクロファージ数の白血球数に対する割合(個数%)は、18.8%
リンパ球数の白血球数に対する割合(個数%)は、 70.8%
免疫活性化剤投与第8日目(活性酸素除去剤投与第17日目)の午前は、
白血球数は、 1.32×10[個/L(血液)](2.8倍)
マクロファージ数は、0.35×10[個/L(血液)](3.9倍)
リンパ球数は、 0.86×10[個/L(血液)](2.5倍)
マクロファージ数の白血球数に対する割合(個数%)は、26.5%
リンパ球数の白血球数に対する割合(個数%)は、 65.2%
免疫活性化剤投与第10、12、13、14日目(活性酸素除去剤投与第19、21、22、23日目)の測定値は、上記結果と共に、図1、図2及び図3に示した。
なお、正常値は、以下の通りである。
白血球数は、 (3.5〜9.5)×10[個/L(血液)]
マクロファージ数は、(0.10〜0.60)×10[個/L(血液)]
リンパ球数は、 (1.1〜3.2)×10[個/L(血液)]
マクロファージ数の白血球数に対する割合(個数%)は、3.0〜10.0%
リンパ球数の白血球数に対する割合(個数%)は、 20.0〜50.0%
免疫活性化剤投与第1日目(活性酸素除去剤投与第10日目)と、免疫活性化剤投与第17日目(活性酸素除去剤投与第26日目)に、骨髄より採取した細胞の検査を行った。
その結果、腫瘍細胞が78%から43%に減少した。減少率45%(=(78−43)/78)であった(図示せず)。
上記の通り、免疫活性化剤投与6日間で、白血球数が2.8倍になり、マクロファージ数が3.9倍になり、リンパ球数が2.5倍になった。また、投与によって骨髄中の腫瘍細胞が45%減少した。その後、この女性患者は退院した。
本発明における活性酸素除去剤を10日間投与した後、本発明の免疫活性化剤を6日間投与したところ(その間も活性酸素除去剤を投与し続けた)、上記の結果が得られたことから、該活性酸素除去剤と該免疫活性化剤とを有する抗腫瘍剤セットは、骨髄性白血病の末期癌の患者に有効であることが立証された。
特に、進行した癌の患者には、該免疫活性化剤の投与開始に先立って、該活性酸素除去剤の投与を開始して投与し続けると、有効であることが分かった。
評価例8
抗癌剤を服用していない51歳の女性の肝臓癌の患者に、製造例5で製造した活性酸素除去剤が1個のハードカプセルに3g封入された経口剤を、1回に2個/回、一日に3回/日、摂取してもらった。
5日間、摂取してもらった後、製造例2で製造した免疫活性化剤の粉末を製造例4で免疫活性化剤包としたものを2包ずつ3回/日、15日間摂取してもらった。その間も、同様の活性酸素除去剤を併用摂取してもらった。
その結果、CEA(腫瘍/糖鎖抗原)が、234ng/mLから、450ng/mLに、CA15−3(腫瘍/腫瘍関連抗原)が、840u/mLから、451u/mLに、TPA(血液形態・機能検査)が、664u/Lから、240u/Lになった。
評価例9
抗癌剤を服用していない55歳の大腸癌の男性患者に、製造例5で製造した活性酸素除去剤が1個のハードカプセルに3g封入された経口剤を、1回に2個/回、一日に3回/日、摂取してもらった。
5日間、摂取してもらった後、製造例2で製造した免疫活性化剤の粉末を製造例4で免疫活性化剤包としたものを、2包ずつ3回/日、30日間摂取してもらった。その間も、同様の活性酸素除去剤を併用摂取してもらった。
その結果、赤血球数が、3300から6300に上がった。癌マーカー(CEA、CA19−9)が適値になり、CTで再発所見なしであった。
評価例10
抗癌剤を服用していない74歳の大腸癌の男性患者に、製造例6で製造した活性酸素除去剤が1個のハードカプセルに3g封入された経口剤を、1回に2個/回、一日に3回/日、摂取してもらった。
5日間、摂取してもらった後、製造例1で製造した免疫活性化剤の粉末を製造例4で免疫活性化剤包としたものを、3包ずつ3回/日、14日間摂取してもらった。
その結果、体調に合わせて休みながら、農作業ができるようになった。
評価例11
活性酸素除去剤の投与をしない場合は、前記した単独での測定例・評価例の結果からして、抗腫瘍効果を示さないことが示唆された。
また、製造例2で製造した免疫活性化剤の粉末に代えて、製造例4で製造した比較免疫活性化剤の粉末を投与した場合は、前記した単独での測定例・評価例の結果からして、抗腫瘍効果を示さないことが示唆された。
また、免疫活性を落とす抗癌剤を、断薬せず本発明の抗腫瘍剤セットと併用し、投与し続けたときは、抗腫瘍効果を十分に示さなかった。
すなわち、免疫活性を落とす抗癌剤を断薬し、本発明における活性酸素除去剤を投与開始してから3日以上経過してから、本発明における免疫活性化剤を投与開始することで、抗腫瘍効果が好適に奏される。
本発明の、「野蚕由来の冬虫夏草抽出物、プロポリス抽出物、アガリクス茸抽出物及び霊芝抽出物を含有する免疫活性化剤」、並びに、前記の方法で処理した活性酸素除去剤を有する抗腫瘍剤セットは、有効成分は実質的に全て天然素材からなり、免疫系に働きかけて抗腫瘍効果を奏し、従来の抗癌剤にはない作用・機序により抗腫瘍効果を発揮するので、製薬分野、医療分野、健康食品等の製造又は使用分野等に広く利用されるものである。

Claims (14)

  1. 天然物由来の低分子抗酸化性化合物を含有する活性酸素除去剤と、
    マクロファージを増強し、リンパ球を増強するために用いられる天然物由来の免疫活性化剤とを有し、
    該活性酸素除去剤と該免疫活性化剤とは、併用して経口投与されて使用される抗腫瘍剤セットであって、
    該免疫活性化剤は、少なくとも、野蚕由来の冬虫夏草抽出物、プロポリス抽出物、アガリクス茸抽出物、及び、霊芝抽出物を含有するものである
    ことを特徴とする抗腫瘍剤セット。
  2. 上記活性酸素除去剤と上記免疫活性化剤は、上記免疫活性化剤の投与開始に3日以上先立って上記活性酸素除去剤が投与開始されるための請求項1に記載の抗腫瘍剤セット。
  3. 上記免疫活性化剤の剤型が粉末又は顆粒である請求項1又は請求項2に記載の抗腫瘍剤セット。
  4. 上記免疫活性化剤は、更に、糖若しくは糖誘導体を含有する請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の抗腫瘍剤セット。
  5. 免疫活性化剤全体中、
    上記冬虫夏草抽出物の含有量が0.5〜10質量%、
    上記プロポリス抽出物の含有量が0.1〜10質量%、
    上記アガリクス茸抽出物の含有量が0.1〜8質量%、及び、
    上記霊芝抽出物の含有量が0.03〜5質量%
    である請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の抗腫瘍剤セット。
  6. 上記免疫活性化剤に含有される野蚕由来の冬虫夏草抽出物が、以下の工程の全てを有する製造方法で得られるものである請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の抗腫瘍剤セット。
    (1’)野蚕由来の冬虫夏草を溶媒X’に浸漬し静置した後、濾過して濾液Aを得る工程
    (2’)濾液Aに脂質分解酵素を加えて酵素処理をした後、濾過して濾液Bを得る工程
    (3’)濾液Bから混合溶媒を留去して固形物Fを得る工程
    (6’)固形物Fを溶媒に溶解して得た溶液J又は該溶液Jの濃縮溶液から、スプレードライ法によって粉末Pを得る工程
    (7’)粉末P、及び、上記糖若しくは糖誘導体を溶媒Z’に溶解して溶液Kを得る工程
    (8’)溶液K、又は、該溶液Kの濃縮溶液から、スプレードライ法によって粉末Qを得る工程
  7. 上記免疫活性化剤に含有される野蚕由来の冬虫夏草抽出物が、以下の工程(1)ないし(8)の全てを有する製造方法で得られるものである請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の抗腫瘍剤セット。
    (1)野蚕由来の冬虫夏草を、アルコールと水の混合溶媒Xに浸漬し、室温下に静置した後、濾過して濾液Aを得る工程
    (2)工程(1)で得た濾液Aに脂質分解酵素を加えて酵素処理をした後、濾過して濾液Bを得る工程
    (3)工程(2)で得た濾液Bから混合溶媒を留去して固形物Fを得る工程
    (4)工程(3)で得た固形物Fから、超臨界抽出法を用いて固形物Gを得る工程
    (5)工程(4)で得た固形物Gをアルコールと水の混合溶媒Yに溶解し、そこに更に、ナイアシンアミドを溶解して溶液Jを得る工程
    (6)工程(5)で得た溶液J又は該溶液Jの濃縮溶液から、スプレードライ法によって粉末Pを得る工程
    (7)工程(6)で得た粉末P及び上記糖若しくは糖誘導体を、アルコールと水の混合溶媒Zに溶解して溶液Kを得る工程
    (8)工程(7)で得た溶液K又は該溶液Kの濃縮溶液から、スプレードライ法によって粉末Qを得る工程
  8. 上記活性酸素除去剤が、少なくとも、以下の工程の全てを有する製造方法で得られるものである請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の抗腫瘍剤セット。
    (11’)植物由来の天然原料に遠赤外線を照射して加熱する工程
    (12’)麹菌を用いて発酵させる工程
    (13’)粉末化する工程
    (14’)工程(13’)で得られたものに油を加えて混合する工程
  9. 免疫活性を落とす抗癌剤を断薬してから、上記活性酸素除去剤と上記免疫活性化剤の投与をするための請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の抗腫瘍剤セット。
  10. 上記免疫活性化剤が、血液中の、白血球の数、マクロファージの数、及び/又は、リンパ球の数を増加させるためのものである請求項1ないし請求項9の何れかの請求項に記載の抗腫瘍剤セット。
  11. 上記免疫活性化剤が、白血球全体に対するマクロファージの含有割合を増加させるためのものである請求項1ないし請求項10の何れかの請求項に記載の抗腫瘍剤セット。
  12. 上記免疫活性化剤がマクロファージ増強剤である請求項1ないし請求項11の何れかの請求項に記載の抗腫瘍剤セット。
  13. 請求項1ないし請求項12の何れかの請求項に記載の抗腫瘍剤セットを使用する際に使用する管理表であって、
    行又は列に、日付若しくは上記活性酸素除去剤の投与開始からの日数を記入し、もう一方の列又は行に、血液中の、少なくとも、白血球の数、マクロファージの数、リンパ球の数、及び、顆粒球の数を記入できるようになっていることを特徴とする管理表。
  14. 更に、上記列又は行に、白血球全体に対する、マクロファージの含有割合、リンパ球の含有割合、及び/又は、顆粒球の含有割合を記入できるようになっている請求項13に記載の管理表。

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JP2019153433A Pending JP2021031440A (ja) 2019-08-26 2019-08-26 天然物由来の低分子抗酸化性化合物を含有する活性酸素除去剤と、マクロファージとリンパ球を増強するために用いられる天然物由来の免疫活性化剤とを有する抗腫瘍剤セット

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114307235A (zh) * 2021-12-10 2022-04-12 江苏鸿祺生物科技有限公司 一种高含量黄酮的蜂胶及其超临界萃取工艺

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CN114307235A (zh) * 2021-12-10 2022-04-12 江苏鸿祺生物科技有限公司 一种高含量黄酮的蜂胶及其超临界萃取工艺
CN114307235B (zh) * 2021-12-10 2023-03-31 江苏蜂奥生物科技有限公司 一种高含量黄酮的蜂胶及其超临界萃取工艺

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