JP2021031439A - 免疫細胞の暴走を抑制しdnaやテロメアの損傷防護を行う経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法 - Google Patents

免疫細胞の暴走を抑制しdnaやテロメアの損傷防護を行う経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】経口摂取用の優れた活性酸素除去剤の製造方法、特に、原料である天然物を特定し、特定の方法で低分子量化し、特定の方法でヒトの体内の細胞膜のレセプターに受容され易くした活性酸素除去剤の製造方法、及び、該製造方法で製造される活性酸素除去剤の提供。【解決手段】以下の工程1ないし工程4の全てを有する経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法、及び、該製造方法で製造された経口摂取用活性酸素除去剤。(1)大豆、糠、及び、胚芽を含有する天然原料に遠赤外線を照射して加熱する工程(2)工程1で得られたものを、麹菌を用いて発酵させる工程(3)工程2で得られたものを粉末化する工程(4)工程3で得られた粉末に、ω-3脂肪酸を含有する油、及び、ω-6脂肪酸若しくはω-9脂肪酸を含有する油を加えて噴霧する工程【選択図】図1

Description

本発明は、経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法に関し、更に詳しくは、特定の天然原料を用い、特定の複数工程を用いる経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法、及び、該製造方法で得られる経口摂取用活性酸素除去剤に関するものである。
動物は生存のために酸素を必要とし、酸素は生体内で種々の生体機能の発現と維持に重要な役割を果たしている。
生体は種々の刺激を受け、体内に、スーパーオキシドアニオン、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素等の活性化された酸素(以下、「活性酸素」と略記する)が発生し、これが生体内の種々の化学反応に関与することが知られている。
また、活性酸素種は、生体に対して酸化ストレスを与えることから、疾患の原因になるだけでなく、老化症状を促進させる等、多くの障害の原因となっていると考えられている。
一方、生体には、活性酸素を除去する機構が本来備わっており、酸化ストレスに対して生体防御を行っていることが知られている。免疫機構を含むこの生体防御機構が損なわれると、該防御機構は活性酸素を完全に除去・解毒することができなくなり、疾病の発症、老化等を引き起こす可能性がある。該酸化ストレスを引き起こすリスク因子としては、心理的・肉体的なストレス、紫外線、放射線、大気汚染、たばこ、薬剤、酸化された物質の摂取等が考えられる
活性酸素を除去する剤の種類としては、皮膚等に付与する外用剤、経口投与剤、注射剤等が知られている。
また、該剤の有効成分や(抽出)由来物としては、単一化合物、複数化合物、合成化合物、天然由来化合物、天然由来化合物の複合物等が知られている。
このうち、天然由来化合物(の複合物)を有効成分とする経口投与剤に限定しても種々知られている。
例えば、特許文献1には、種子又はその胚芽を焙煎し、次いで発酵する活性酸素抑制組成物が記載されており、特許文献2には、オウゴン中に含まれるバイカレインを含有する活性酸素捕捉除去剤が記載されている。また、特許文献3には、米糠類及び大豆類を含む発酵原料を、枯草菌で液体培養して得られる発酵エキスと、ビール酵母及び/又はほうじ茶エキスとを含有してなる活性酸素除去用組成物が記載されている。
また、特許文献4には、プロポリス原塊粉砕物を、水と有機溶剤と乳化剤を含む混合溶媒を用いて抽出処理したのちに固液分離し、その濃縮液を製品とする活性酸素消去剤の製造方法が記載されている。特許文献5には、非加熱状態にある植物原材料を、糖と共に容器内で発酵させ、水分を低減させてなる抗酸化組成物が記載され、該植物原材料として、種々の野菜やハーブが挙がっている。特許文献6には、ザクロ果実エキス及び/又はアセロラ果汁とアロエ葉肉搾汁を含有する酸化ストレス軽減のための経口組成物が記載されている。
しかしながら、これらの公知技術は、活性酸素除去の効果が弱く、複合物の場合は、該複合物による相乗効果も少なかった。また、これらの公知文献には、免疫細胞の暴走を抑制することも、テロメアやDNAの損傷を防護することも記載されていない。また、これらの活性酸素除去剤は、免疫活性化剤の投与の前に投与すると、該免疫活性化剤の効果を十分に発揮させることも記載されていない。
生体内の活性酸素除去への要求は、ますます高くなってきており、天然物に由来した活性酸素除去への要求も高くなっているが、効果が不十分であったりして改善が望まれていた。
特開昭63−079834号公報 特開昭64−050877号公報 特開2001−000140号公報 特開2005−336137号公報 特開2018−019687号公報 特開2018−035080号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、経口摂取用の優れた活性酸素除去剤の製造方法を提供することにあり、天然由来であるためにヒトに効果的に作用する活性酸素除去剤の製造方法、及び、該製造方法で製造された活性酸素除去剤を提供することにある。
特に、原料である天然物を特定し、特定の方法で低分子量化し、特定の方法でヒトの体内のレセプターに受容され易くした活性酸素除去剤の製造方法、及び、該製造方法で製造される活性酸素除去剤を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の植物や該植物の特定の部位から出発し、特定の複数の処理を行うことによって、該植物(の部位)に含有される「繰り返し単位を有する高分子」から有効成分を切り離し、更に、粉末化後に特定の油を用いて処理し、体内のレセプターに受容され易くすることによって、優れた活性酸素除去剤が製造できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の工程1ないし工程4の全てを有することを特徴とする経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法を提供するものである。
(1)大豆、糠、及び、胚芽を含有する天然原料に遠赤外線を照射して加熱する工程
(2)工程1で得られたものを、麹菌を用いて発酵させる工程
(3)工程2で得られたものを粉末化する工程
(4)工程3で得られた粉末に、ω-3脂肪酸を含有する油、及び、ω-6脂肪酸若しくはω-9脂肪酸を含有する油を噴霧して混合する工程
また、本発明は、上記工程1における天然原料が、更に、鳩麦、胡麻、緑茶、クコの実、及び、ユーグレナよりなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する上記の経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記工程4で使用するω-3脂肪酸を含有する油が、グリーンナッツ油である上記の経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の「経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法」を使用して製造されるものであって、天然物由来の活性酸素除去効果のある「低分子量化合物、又は、繰り返し単位を有さない化合物」を含有することを特徴とする経口摂取用活性酸素除去剤を提供するものである。
本発明によれば、前記問題点と課題を解決し、優れた経口摂取用活性酸素除去剤を提供することができる。
特に、大豆、糠、及び、胚芽を含有する天然原料に遠赤外線を照射して加熱し、次いで、該加熱して得られたものを、麹菌を用いて発酵させることによって、該天然原料中に存在する「繰り返し単位を有する高分子」から、「実質的には繰り返し単位を有さない低分子」を切り離すことができ、活性酸素除去にとっての有効成分を得ることができる。
更に、該有効成分を含有するものを粉末化し、「ω-3脂肪酸を含有する油」、及び、「ω-6脂肪酸若しくはω-9脂肪酸を含有する油」を加えて、該粉末表面を該油で被覆することで、ヒトの体内のレセプターに取り込まれ易くできる。
こうすることで、優れた経口摂取用活性酸素除去剤が得られる。
活性酸素は、生体に酸化ストレスを与え、体内に存在する免疫機構を含む生体防御機構の働きを阻害する。該生体防御機構が崩れると、腫瘍細胞が増殖する等、種々の疾病を発症し、また種々の老化現象を引き起こす。
活性酸素除去剤は、このような酸化ストレスに対して生体を防御する。具体的には、皮膚の劣化を防いだり、(テロメア鎖等も含む)DNAの損傷を防いだり、免疫細胞の暴走を防いだりする。従って、本発明は、免疫細胞の暴走を抑制しDNAの損傷防護を行う経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法でもある。
本発明の経口摂取用活性酸素除去剤は、体内の活性酸素を除去して上記した作用を好適に及ぼすと共に、ヒトの体内の免疫機構を正常に働き易くする状態にする効果を有する。
従って、本発明の活性酸素除去剤は、免疫活性化剤の摂取に先立って摂取しておくことによって、該免疫活性化剤の免疫活性効果を、本来有している効果通りに、又は、より効果的に奏させることができる(図1〜5参照)。本発明の活性酸素除去剤と免疫活性化剤を、両方とも生物に由来したものとすることによって、上記効果は一段と優れたものとなる。
例えば、細胞内に活性酸素が存在すると、マクロファージが腫瘍細胞を温存するような作用(例えば、腫瘍細胞に栄養を補充するように血管を延ばすように指示する、腫瘍細胞の転移を促すような信号を発信する、免疫細胞が腫瘍細胞を攻撃しないように指示する等)をすると言われている。
本発明の経口摂取用活性酸素除去剤によれば、効果的に活性酸素を除去するので、ヒトの体内に存在する免疫機構が正常に作用するようになる。すなわち、本発明の経口摂取用活性酸素除去剤を摂取した後に、免疫活性化剤を摂取すれば、ヒトが本来有している免疫機構が正常に働いて抗腫瘍効果を発揮する。
また、過度のストレス等で交感神経が優位になり、アドレナリンが過剰に分泌されると、そのレセプターを有する顆粒球が増加し、該増加した顆粒球は死ぬときに大量の活性酸素を産生する。その大量に増えた活性酸素は、組織の細胞を攻撃し、正常な細胞分裂を阻害し、腫瘍発生等、種々の疾病の引き金になる。
様々な機構で活性酸素は産生されるが、活性酸素全体に対して、顆粒球から放出されるものが約80%を占める。
従って、顆粒球が増加すれば、組織破壊が進むことになるが、このとき、同時にリンパ球が減少してしまうことになるので、本来、誰でも一晩で大量に発現する腫瘍細胞を殺傷できなくなり、免疫抑制状態になり、リンパ球の急激な減少がおきて、腫瘍細胞の増殖等、種々の病気の発病を許すことになる。
顆粒球から放出された活性酸素を抑制すれば、免疫細胞の働きを調整できるが、該活性酸素を抑制しておくために、本発明の特定の工程で製造される経口摂取用活性酸素除去剤が極めて有効である。これを摂取することによって、増大した活性酸素を減少させることができ、免疫細胞の司令塔であるマクロファージが、生体が正常になったという信号をサイトカインに伝え、免疫細胞を調整する(例えば暴走を抑制する)。
そして、その後に免疫活性化剤を摂取することによって、リンパ球が適正に産生され活性化が達成され、腫瘍細胞の減少、病気の快復等が実現したと考えられる(図5参照)。
本発明の経口摂取用活性酸素除去剤は、細胞内のミトコンドリアで最初に発生するスーパーオキサイドを、酸素と過酸化水素に変えて、最終的に水にする。
また、細胞外に出た、過酸化水素、一重項酸素、ヒドロキシルラジカルも、本発明の経口摂取用活性酸素除去剤に含有されている天然物由来の成分(低分子抗酸化性化合物)によって失活させることができる。
本発明の経口摂取用活性酸素除去剤は、脂質である細胞膜のレセプターに受け入れられ易くするように、ω-3脂肪酸等の油を加えて混合して得られたものであるので、このような態様にすることによって、レセプターに受け入れられ、細胞内に入り、上記した活性酸素除去の効果を好適に発揮する。
評価例2における本発明における活性酸素除去剤と免疫活性化剤の投与期間(横軸)と、白血球数、リンパ球数、及び、マクロファージ数(縦軸)の(絶対値の)推移を示すグラフである。 評価例2における本発明における活性酸素除去剤と免疫活性化剤の投与期間(横軸)と、リンパ球数/白血球数、及び、マクロファージ数/白血球数(縦軸)の(百分率の)推移を示すグラフである。 本発明の活性酸素除去剤を免疫活性化剤と併用して投与する際に使用する管理表の一例を示す図であり、評価例2の生データが記入されたものである。 本発明の活性酸素除去剤を免疫活性化剤と併用して投与する際に使用する未記入の管理表の一例を示す図である。 本発明の活性酸素除去剤を免疫活性化剤と併用して投与する際における活性酸素除去剤と免疫活性化剤の投与方法と発明の効果(作用・原理)を示す図である。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
<経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法>
本発明の経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法は、以下の工程1ないし工程4の全てを有することを特徴とする。
(1)大豆、糠、及び、胚芽を含有する天然原料に遠赤外線を照射して加熱する工程
(2)工程1で得られたものを、麹菌を用いて発酵させる工程
(3)工程2で得られたものを粉末化する工程
(4)工程3で得られた粉末、ω-3脂肪酸を含有する油、及び、ω-6脂肪酸若しくはω-9脂肪酸を含有する油を噴霧して混合する工程
活性酸素(Reactive Oxygen Species)とは、酸素分子がより反応性の高い分子・原子・ラジカルに変化したものの総称であり、スーパーオキシドアニオンラジカル、過酸化水素、一重項酸素、ヒドロキシルラジカル等がある。
本発明の経口摂取用活性酸素除去剤は、細胞内に発生した活性酸素であるスーパーオキシドアニオン(・O2−)を酸素と過酸化水素とに不均化するスーパーオキシドディスムターゼ(Superoxide dismutase, SOD)と同様の働きをする。
また、本発明の経口摂取用活性酸素除去剤は、上記スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)と同様の働きをして、スーパーオキシドアニオン(・O2−)を除去するのみならず、過酸化水素、一重項酸素、又は、ヒドロキシルラジカルをも除去する。
<<工程1>>
工程1は、大豆、糠、及び、胚芽を含有する天然原料に遠赤外線を照射して加熱する工程である。
大豆の種類は、特に限定はなく、何れの種類のものでも用いられる。
糠は、玄米等の穀物を、精米等の精白するときに発生する、果皮・種皮等の外皮と胚芽との混合物であり、少なくとも、デンプン、脂肪、タンパク質、微量元素(リン等)等が含まれている。糠の原料である穀物としては、米、大麦、小麦、燕麦等が挙げられ、それぞれ、米糠、麦糠、ふすま、オートブラン等と言われており、何れも好適に用いられるが、中でも米糠が特に好ましい。
胚芽は、植物の胚であり、種子の内部にあって成長して芽になる部分のことである。該胚芽は、小麦胚芽、大麦胚芽、鳩麦胚芽、米胚芽等、特に限定はなく、何れも好適に用いられるが、中でも小麦胚芽が特に好ましい。
なお、胚芽米を作った後の糠には胚芽が含まれていないが、一般に、糠には胚芽が含まれていることがある。その場合には、上記胚芽とは、該糠に含まれている胚芽でもよいし、別途、胚芽だけを糠に追加してもよい。米糠と、それに別途追加した小麦胚芽又は米胚芽の組み合わせが特に好ましい。
上記天然原料は、大豆、糠、及び、胚芽を含有することが必須であるが、更に、鳩麦、胡麻、緑茶、クコの実、及び、ユーグレナよりなる群から選ばれた少なくとも1種を含有することが好ましく、該群から選ばれた2種以上を含有することがより好ましく、該群から選ばれた3種以上を含有することが更に好ましく、該群から選ばれた4種以上を含有することが特に好ましい。
また、該群の中で、少なくとも、鳩麦、クコの実又はユーグレナが選ばれることが好ましく、クコの実又はユーグレナが選ばれることが特に好ましい。
また、該群の中で、少なくとも、クコの実とユーグレナが選ばれることが好ましく、鳩麦とクコの実とユーグレナが選ばれることがより好ましい。更に、大豆、糠及び胚芽に加えて、鳩麦、胡麻、緑茶、クコの実及びユーグレナの全てを用いることが特に好ましい。
鳩麦、胡麻、緑茶、クコの実は、特に限定はなく、何れの種類のものでも用いられる。
ユーグレナは、特に限定はなく、ミドリムシであれば、何れも用いられ、「ユーグレナ」として市販されているものも用いられ得る。
上記天然原料に遠赤外線を照射して加熱する。
上記天然原料の内の1種に遠赤外線を照射して加熱して(個別に加熱して)、その後に混合してもよいし、上記天然原料の内の幾つか又は全部を混合しておいてから、遠赤外線を照射して加熱してもよい。
遠赤外線照射による加熱は、100℃以下が好ましく、98℃以下がより好ましく、96℃以下が特に好ましい。また、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上が特に好ましい。
遠赤外線照射による加熱は、使用する天然原料に依存して、特に限定はないが、ゆっくりと加熱することが好ましく、具体的には、20分以上24時間以下が好ましく、30分以上10時間以下がより好ましく、40分以上4時間以下が特に好ましい。
遠赤外線としては、波長4μm以上14μm以下のものが好ましく、限定はされないが、陶器等の容器に該天然原料を収納して、該陶器を加熱して該陶器から該容器内に遠赤外線を照射することによって該天然原料を加熱することが特に好ましい。
遠赤外線を照射することによって、該天然原料の内部も加熱され、該天然原料の全体を均一に加熱することができる。また、過昇温による有効成分の分解・失活を抑制し、植物中の高分子鎖を適度に切断し、「有効成分」又は「その後の発酵によって有効成分になる成分」を、低分子化合物又はオリゴマーとして得ることができる。
なお、他の加熱方法を併用することは排除されない。また、該「加熱」には、所謂「焙煎」と言われているものも含まれる。
工程1において、上記天然原料中に含まれる高分子の主鎖又は側鎖に化学結合している活性酸素除去物質を、加熱によって該化学結合を切断し、「低中分子量化合物若しくはオリゴマー、又は、繰り返し単位のない若しくは少ない化合物」として得る。以下、かかる操作を「低分子量化」と略記することがある。
このことによって、下記する工程2で、更に低分子量化又は単量体化が可能となる。
<<工程2>>
工程2は、工程1で得られたものを、麹菌を用いて発酵させる工程である。
使用される麹菌は、特に限定されず、何れのものも使用可能である。
発酵温度は、20℃以上38℃以下が好ましく、27℃以上37℃以下がより好ましく、34℃以上36℃以下が特に好ましい。
工程2では、発酵によって新たな成分が生成することが考えられるが、それと共に、上記天然原料中に含まれる高分子の主鎖又は側鎖に化学結合している活性酸素除去物質を、発酵によって該化学結合を切断し、「低分子量化合物、又は、繰り返し単位を有さない単量体」として得る。以下、かかる操作も「低分子量化」と略記することがある。
工程1と工程2の両方を行うことによって、工程1での加熱によってある程度切断した低中分子鎖又はオリゴマーの重合鎖を、更に切断し、有効成分を「低分子化合物」又は「(切断され)繰り返し単位を有さない化合物」として得ることができる。該切断は、高分子の主鎖でも起こり、高分子鎖にペンダントに結合した化合物の部分でも起こる。
得られた化合物は、活性酸素除去活性が、工程1での加熱前の化合物や、工程2での発酵前の化合物より高くなる。
<<工程3>>
工程3は、工程2で得られたものを粉末化する工程である。
粉末化は、何れの粉砕機を使用して行ってもよいが、使用時に高熱が発生して、活性酸素除去化合物を失活させないものが好ましい。乳鉢、臼等を使用した粉末化が、熱を発生し難いために特に好ましい。
工程3の粉末化に際しては、粉末化対象物(工程2で得られたもの)の温度は、60℃以下に保つことが好ましく、50℃以下に保つことがより好ましく、40℃以下に保つことが更に好ましく、35℃以下に保つことが特に好ましい。上記温度以下であると、粉末化対象物(工程2で得られたもの)の活性酸素除去効果が失活し難い。
該粉末化は、化合物がヒトの体内に取り込まれ易くすると共に、以下の工程4の処理をより効果的にする等のために行われる。
<<他の天然原料の粉末の配合>>
工程2又は工程3の後で、工程4の前に、限定はされないが、「他の天然原料」の粉末を配合することも可能である。ここで配合する「他の天然原料」は、工程1で使用される「天然原料」と重複してもよい。「他の天然原料」として具体的には、抹茶等の緑茶;ユーグレナ(ミドリムシ);柚子、蜜柑等の柑橘;等が挙げられる。「他の天然原料」は、工程3で得られたものと粒径を統一するため等の点から、配合前に粉末化されていることが好ましい。
<<工程4>>
工程4は、「工程3で得られたもの」に、「ω-3脂肪酸を含有する油」、及び、「ω-6脂肪酸若しくはω-9脂肪酸を含有する油」を加えて、噴霧して混合する工程である。
「ω-3脂肪酸を含有する油」や、「ω-6脂肪酸若しくはω-9脂肪酸を含有する油」は、それぞれ1種で使用してもよく、2種以上を配合して使用してもよい。噴霧して混合することによって、油が「工程1、2、3を行って得られた粉末」の少なくとも表面を被覆して、下記する効果を発揮するようになる。
特定の油と混合して、前記粉末を「油剤の態様」に変換することによって、細胞膜は脂質であるので、ヒトの体内にあるレセプターに受け入れられて細胞内に入り、上記した活性酸素除去の効果を好適に発揮できるようになる。
ω-3脂肪酸は、「ω-6脂肪酸若しくはω-9脂肪酸」と混合使用することによって、上記効果を更に好適に奏させることができる。
ここで「ω-3脂肪酸を含有する油」としては、精製したものを使用してもよいが、ω-3脂肪酸を含有する天然油の形で使用することが好ましい。
ω-3脂肪酸を含有する油としては、グリーンナッツ油;アマニ油;シソ油;いわし、あじ、さば、カツオ、マグロ、サケ等の青魚に含有される油(エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)等);等が挙げられる。中でも、レセプターに受け入れられ易くできる点等から、植物から抽出した油(植物油)が好ましく、変性し難い点等から、グリーンナッツオイルが特に好ましい。
ω-6脂肪酸を含有する油としては、例えば、コーン油、サフラワー油、ヒマワリ油、ベニバナ油、大豆油、ゴマ油等が挙げられる。
ω-9脂肪酸を含有する油としては、例えば、オリーブ油、キャノーラ油、高オレイン酸サフラワー油等が、好ましいものとして挙げられる。
「ω-6脂肪酸若しくはω-9脂肪酸を含有する油」としては、「ω-9脂肪酸を含有する油」が好ましく、より好ましくはω-9脂肪酸を含有する植物から抽出した油(植物油)が挙げられ、中でも、ω-9脂肪酸を含有する植物油であるオリーブ油が特に好ましい。
上記植物油等の油は、焙煎したものから抽出したものでも、焙煎していないものから抽出したものでも、それらの混合でもよい。
工程4では、上記油(脂肪酸を含む)以外の食用油を追加してもよい。
また、ヒトの体内のレセプターに受容され難くならない範囲で水を追加してもよい。水と上記油との混合物を工程3で得られた粉末に噴霧して混合してもよい。
該油と工程3で得られた粉末を混合する際の「油と粉末との割合」については、油の総質量が、「工程3で得られた粉末」と「工程4で使用する油」の合計質量に対して、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。
粉末が少な過ぎると、有効成分である活性酸素除去物質の濃度が低いために、活性酸素の産生を抑制する効果が低下する等の場合がある。一方、油が少な過ぎると、細胞膜のレセプターに受容され難くなる、細胞内への浸透力が低下する、均一な噴霧・混合が困難になる等の場合がある。
<経口摂取用活性酸素除去剤>
本発明は、上記の「経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法」を使用して製造されるものであって、天然物由来の活性酸素除去効果のある「低分子量化合物、又は、繰り返し単位を有さない化合物」を含有することを特徴とする経口摂取用活性酸素除去剤でもある。
ここで、「低分子量化合物」とは、分子量が5000以下のものを言い、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下、特に好ましくは1000以下であり、天然原料に含まれていた天然高分子の主鎖が単量体(モノマー)になるまで切れずに、オリゴマーになっているものも含まれる。
「繰り返し単位を有さない化合物」の分子量は特に限定はない。
「低分子量化合物」も「繰り返し単位を有さない化合物」も、大豆、糠、胚芽等の天然原料に含まれていた天然高分子の側鎖に結合していた化学構造に由来するものと、主鎖に結合していた化学構造に由来するものとを含む。
上記低分子量化は、前記した工程1及び工程2で行われる。
低分子量化されていることによって、レセプターから体内に取り込まれ易くなっている。また、粉末化され(工程3)、特定の油で処理される(工程4)ことによって、更に、レセプターから細胞内に取り込まれ易くなっている。
本発明の経口摂取用活性酸素除去剤は、天然原料(好ましくは植物由来の天然高分子)に結合している「低分子量化合物又は繰り返し単位を有さない化合物」を含有しているので、ヒトの体内に取り込まれ易く、ヒトも植物も同じ進化の過程を経ているので「活性酸素除去効果等の前記した生体内効果」を奏し易い。
なお、本発明の経口摂取用活性酸素除去剤には、極めて多くの有効成分が含有されているところ、それらの成分を同定すること、それらの成分から本発明の効果を奏する有効成分を同定することは、不可能であるか又はおよそ実際的でない(「不可能・非実際的事情」がある)。従って、本発明の経口摂取用活性酸素除去剤については、製造方法で特定する以外に方法がない。
<剤型>
本発明における経口摂取用活性酸素除去剤の剤型は、経口投与できる剤型であれば特に限定はなく、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、錠剤等が挙げられる。
また、製剤に際して、公知の可食性の、賦形剤、配合剤、香料、矯味料、着色剤等を追加配合することができる。
<用途限定された経口摂取用活性酸素除去剤>
本発明の経口摂取用活性酸素除去剤は、評価例にも示されている通り、「免疫活性を減少させる抗癌剤等の剤」を断薬してから、経口摂取用活性酸素除去剤を投与するために(かかる用途に)使用されるものであることが好ましい。
また、本発明の経口摂取用活性酸素除去剤は、前記「発明の効果」や、実際に後記する評価例に示されている通り、免疫活性化剤の投与に先立って投与するために(かかる用途に)使用されるものであることが好ましい。本発明の経口摂取用活性酸素除去剤の投与によって顆粒球の値が標準値に近づいたら免疫活性化剤の投与を開始することが好ましい。
該免疫活性化剤としては、限定はないが、血液中の、白血球の数、マクロファージの数、及び/又は、リンパ球の数を増加させるものであることが好ましい。
上記免疫活性化剤としては、限定はないが、冬虫夏草抽出物、プロポリス抽出物、アガリクス茸抽出物、又は、霊芝抽出物を含有するものであることが好ましく、それらの全てを含有するものであることが特に好ましい。
<管理表>
行又は列に、日付若しくは上記活性酸素除去剤の投与開始からの日数を記入し、もう一方の列又は行に、血液中の、少なくとも、白血球の数、マクロファージの数、リンパ球の数、及び、顆粒球の数を記入できるようになっている管理表、更に好ましくは、上記列又は行に、白血球全体に対する、マクロファージの含有割合、リンパ球の含有割合、及び/又は、顆粒球の含有割合を記入できるようになっている管理表に、数値を記入することが好ましい。
そのような管理表(測定値未記入の雛形)の一例を図4に示し、該管理表に評価例2における測定値が記入されたものを図3に示す。
該管理表を用いれば、活性酸素除去剤の投与開始の日;種々の測定値の推移;投与量や投与頻度が分かり易くなり、処方の決定に役立つ。
以下に、製造例、評価例等を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
製造例1
<経口摂取用活性酸素除去剤の製造1>
工程1において、天然原料として、大豆、糠、胚芽、鳩麦、胡麻、緑茶、クコの実、及び、ユーグレナ(ミドリムシ)各1質量部を、波長4μm以上14μm以下の遠赤外線を放射する陶器製の容器に入れ、95℃で3時間、撹拌下に加熱した。遠赤外線が全体に照射されるように十分に撹拌した。糠は米糠、胚芽は小麦胚芽を用いた。
工程2において、米麹を全体量の2質量%加え、36℃で72時間発酵させた。
次いで、工程3において、30℃を保ちつつ、臼を用いて粉末化した。
工程4において、ω-3脂肪酸を含有するグリーンナッツオイルを1.5質量部、ω-6脂肪酸を含有するゴマ油を1.5質量部、ω-9脂肪酸を含有するオリーブ油を1.5質量部、及び、水を1.0質量部、を混合して混合液を得た。臼で粉末化した上記粉末100質量部に対して、上記した混合液を撹拌下に噴霧し、均一になるまで更に撹拌して、経口摂取用活性酸素除去剤を得た。
工程4で得られた経口摂取用活性酸素除去剤を、ハードカプセルに、3g封入して経口カプセル剤を得た。
製造例2
<経口摂取用活性酸素除去剤の製造2>
工程1において、天然原料として、大豆、糠、及び、胚芽を、各1質量部用いた。
また、工程4において、ω-3脂肪酸を含有するグリーンナッツオイルを1.5質量部、ω-9脂肪酸を含有するオリーブ油を1.5質量部、及び、水を2質量部、を混合し、そこに、臼で粉末化した上記粉末を100質量部加え、均一になるまで撹拌した。
それ以外は、製造例1と同様にして、経口摂取用活性酸素除去剤を得た。
上記で得られた経口摂取用活性酸素除去剤を、製造例1と同様にハードカプセルに封入して経口カプセル剤を得た。
製造例3
<比較経口摂取用活性酸素除去剤3の製造>
製造例2において、大豆、米糠、及び、胚芽の内の1種を用いない以外は、製造例2と同様にして、合計3種類の粉末状の比較経口摂取用活性酸素除去剤(1種だけを欠いている比較経口摂取用活性酸素除去剤)を製造した。
得られた比較経口摂取用活性酸素除去剤を、製造例6と同様にハードカプセルに封入して比較経口カプセル剤を得た。
製造例4
<比較経口摂取用活性酸素除去剤4の製造>
製造例1の工程4において、オリーブ油のみを用いて、製造例1の工程3で得られた粉末を加えて混合した。なお、オリーブ油には、ω-9脂肪酸は含まれているが、ω-3脂肪酸が含まれていない。
それ以外は、製造例1と同様にして、比較経口摂取用活性酸素除去剤を製造した。
得られた比較経口摂取用活性酸素除去剤を、製造例1と同様にハードカプセルに封入して比較経口カプセル剤を得た。
測定例1
<(比較)経口摂取用活性酸素除去剤の活性酸素除去効果の測定>
製造例1ないし3で得た(比較)経口摂取用活性酸素除去剤を、以下のようにして、活性酸素除去効果を測定した。
油性の不飽和脂肪酸(docosahexaenoic acid)が、紫外線によって発生する活性酵素と反応して過酸化脂質を生成する反応系(TBA(thiobarbituric acid)反応系)に、製造例1〜3で製造された(比較)経口摂取用活性酸素除去剤を添加し、この過酸化脂質の生成が抑制される程度を測定した。
すなわち、docosahexaenoic acidを100倍に希釈したもの0.1mLを用い、製造例で製造された経口摂取用活性酸素除去剤1.8mg/mLを添加し、生成した過酸化脂質を、TBA反応系で測定した。
製造例1、2で製造された経口摂取用活性酸素除去剤は、何れも、油性の不飽和脂肪酸(docosahexaenoic acid)が紫外線に照射されて過酸化脂質(TBA)が生成されるのを抑制した。特に、製造例1で製造された経口摂取用活性酸素除去剤は、強く、過酸化脂質(TBA)が生成されるのを強く抑制した。
しかしながら、製造例3で製造された、大豆、糠、胚芽のうちの1つを欠く比較経口摂取用活性酸素除去剤は、何れも、過酸化脂質(TBA)が生成されるのを強くは抑制しなかった。なお、製造例4で製造された比較経口摂取用活性酸素除去剤は、工程3までは製造例1と同一なので、過酸化脂質(TBA)が生成されるのを抑制した。
測定例2
<(比較)経口摂取用活性酸素除去剤のレセプターからの取り込まれ方>
製造例4で得た、「ω-3脂肪酸を含有していない比較経口摂取用活性酸素除去剤」は、レセプターから細胞内に取り込まれる場合もあったが、肉食等によって細胞膜が硬化している場合には、レセプターから細胞内に取り込まれ難い。
一方、製造例1で得た「ω-3脂肪酸を含有している経口摂取用活性酸素除去剤」は、細胞膜が硬化している場合であっても、レセプターから細胞内に取り込まれ易い。
なお、ω-6脂肪酸を含有する油であるゴマ油を用いた場合は、納豆に類似した匂いがして服用し難かった。
従って、工程4において使用する油は、グリーンナッツ油等のω-3脂肪酸を含有する植物油、及び、オリーブ油等のω-9脂肪酸を含有する植物油が最適であることが分かった。
評価例1
<ヒトでの評価>
製造例1ないし4で製造した(比較)経口摂取用活性酸素除去剤を、それぞれハードカプセルに封入した(比較)経口カプセル剤を、下記するストレスが貯まった人10人に対して、それぞれ処方した。
その結果、製造例1、2で製造した経口摂取用活性酸素除去剤を摂取した人は、何れもストレスが有意になくなったが、製造例3、4で製造した比較経口摂取用活性酸素除去剤を摂取した人は、ストレスが有意になくならなかった。ここで、ストレスとは、具体的には、働き過ぎ、仕事での人間関係に関する悩み、多種の薬の飲み過ぎ等であったが、本発明の経口摂取用活性酸素除去剤を摂取した人は、何れもストレスが有意になくなった。
<測定例1、2と評価例1のまとめ>
上記事実より、製造例1、2で得た経口摂取用活性酸素除去剤には、活性酸素除去効果があることがヒトでも確かめられた。
一方、製造例3で製造した比較経口摂取用活性酸素除去剤は、大豆、糠、胚芽のうちの1つを欠いているので、活性酸素除去効果が少なく、ヒトでの評価も良くなかった。また、製造例4で製造した比較経口摂取用活性酸素除去剤は、粉末が「ω-3脂肪酸を含有する油」で処理されていないので、活性酸素除去効果はあっても、レセプターからの取り込みが少ないためにヒトでの評価が良くなかった。
参考製造例1
<免疫活性化剤の製造>
以下の工程(M1)ないし(M8)を行って、野蚕由来の冬虫夏草抽出物を得た。
ただし、混合溶媒X、Y、Zとしては、何れも、エタノール/水=80/20(体積混合比)で混合して得たものを使用した。
超臨界抽出法の抽出媒体は二酸化炭素とし、スプレードライ法、酵素処理、濾過、留去等は、常法に従って行った。
「糖若しくは糖誘導体」としては、マルチトールを使用した。
(M1)野蚕由来の冬虫夏草を、アルコールと水の混合溶媒Xに浸漬し、室温下に静置した後、濾過して濾液Aを得る工程。
(M2)工程(M1)で得た濾液Aに脂質分解酵素を加えて酵素処理をした後、濾過して濾液Bを得る工程。
(M3)工程(M2)で得た濾液Bから混合溶媒を留去して固形物Fを得る工程。
(M4)工程(M3)で得た固形物Fから、超臨界抽出法を用いて固形物Gを得る工程。
(M5)工程(M4)で得た固形物Gをアルコールと水の混合溶媒Yに溶解し、そこに更に、ナイアシンアミドを溶解して溶液Jを得る工程。
(M6)工程(M5)で得た溶液J又は該溶液Jの濃縮溶液から、スプレードライ法によって粉末Pを得る工程。
(M7)工程(M6)で得た粉末P及び「糖若しくは糖誘導体」を、アルコールと水の混合溶媒Zに溶解して溶液Kを得る工程。
(M8)工程(M7)で得た溶液K又は該溶液Kの濃縮溶液から、スプレードライ法によって粉末Qを得る工程。
次いで、工程(M9)として、プロポリス、アガリクス茸、及び、霊芝を、上記した混合比の「アルコールと水の混合溶媒」に浸漬して、常法に従いそれぞれの抽出物を得た。
工程(M1)では「野蚕由来の冬虫夏草」のみが選択されたので、工程(M9)では、上記工程(M8)で得られた粉末Qに、プロポリス抽出物、アガリクス茸抽出物、及び、霊芝抽出物の粉末を全て混合して、「4種混合粉末Q」を得た。
上記製造方法で得られた「4種混合粉末Q」には、免疫活性化能があることは、別途確認した。
評価例2
<ヒトでの評価>
中華人民共和国の航天中心医院(北京大学航天臨床医学院)において、医師と患者の承諾を得て、以下の検討をさせてもらった。
35歳の骨髄性白血病の末期癌の女性患者に、製造例1で製造した経口摂取用活性酸素除去剤が1個のハードカプセルに3g封入された経口剤を、1回に2個/回、一日に、3回/日服用してもらった。
経口摂取用活性酸素除去剤への投与を開始した日を「第1日」とし、該経口摂取用活性酸素除去剤は、上記用量で、第14日まで投与を続けた。すなわち、下記の免疫活性化剤を投与しているときも、該経口摂取用活性酸素除去剤の投与を続けた。
なお、該患者は、骨髄移植をする予定であったので、抗癌剤は断薬する必要があった。すなわち、「経口摂取用活性酸素除去剤の投与を開始した上記第1日」の1週間前から抗癌剤を断薬していた。抗癌剤の断薬は、経口摂取用活性酸素除去剤の投与を開始した日から骨髄移植が行われた第30日まで続いたが、その間、経口摂取用活性酸素除去剤と免疫活性化剤の投与を行った。
製造例1で製造した経口摂取用活性酸素除去剤の投与開始から10日目から、上記参考製造例1で製造した免疫活性化剤の粉末を、1包に1.00gずつ包んで得た免疫活性化剤包を1回に3包ずつ投与した。
免疫活性化剤投与第1日目(経口摂取用活性酸素除去剤投与開始から10日目)は、1晩(1日)に2包ずつ3回投与した。
免疫活性化剤投与第2〜4日目(経口摂取用活性酸素除去剤投与開始から11日目〜13日目)は、免疫活性化剤投与第1日目と同様に、1晩(1日)に2包ずつ3回投与した(以上、図3参照)。
免疫活性化剤投与第5日目(経口摂取用活性酸素除去剤投与開始から14日目)は、夕方(午後5時)に1回投与した(図3参照)。
結果を以下と図1〜3に示す。( )内の倍数は、免疫活性化剤投与第2日目の個数に対する個数比(倍数)である。
免疫活性化剤投与第2日目(経口摂取用活性酸素除去剤投与第11日目)の午前は、
白血球数は、 0.48×10[個/L(血液)]
マクロファージ数は、0.09×10[個/L(血液)]
リンパ球数は、 0.34×10[個/L(血液)]
マクロファージ数の白血球数に対する割合(個数%)は、18.8%
リンパ球数の白血球数に対する割合(個数%)は、 70.8%
免疫活性化剤投与第8日目(経口摂取用活性酸素除去剤投与第17日目)の午前は、
白血球数は、 1.32×10[個/L(血液)](2.8倍)
マクロファージ数は、0.35×10[個/L(血液)](3.9倍)
リンパ球数は、 0.86×10[個/L(血液)](2.5倍)
マクロファージ数の白血球数に対する割合(個数%)は、26.5%
リンパ球数の白血球数に対する割合(個数%)は、 65.2%
免疫活性化剤投与第1日目(経口摂取用活性酸素除去剤投与第10日目)と、免疫活性化剤投与第17日目(経口摂取用活性酸素除去剤投与第26日目)に、骨髄より採取した細胞の検査を行った。その結果、腫瘍細胞が78%から43%に減少した。減少率45%(=(78−43)/78)であった。
上記の通り、免疫活性化剤投与6日間で、白血球数が2.8倍になり、マクロファージ数が3.9倍になり、リンパ球数が2.5倍になった。また、投与によって骨髄中の腫瘍細胞が45%減少した。
本発明の経口摂取用活性酸素除去剤を10日間投与した後、参考製造例1で製造した免疫活性化剤を6日間投与したところ(その間も経口摂取用活性酸素除去剤を投与し続けた)、上記の結果が得られたことから(図1〜3参照)、本発明の経口摂取用活性酸素除去剤は、免疫活性化剤の投与に先立って投与すると有効であることが分かった。
<経口摂取用活性酸素除去剤としての結果>
このことは、本発明の経口摂取用活性酸素除去剤は、測定例1、2及び評価例1の結果によれば活性酸素除去効果があることから、前記「発明の効果」に記載した作用・原理に基いて、「参考製造例1で製造した免疫活性化剤」の免疫活性化効果が奏されたと考えられた。図5に、評価例2の効果を奏した作用・原理を示す。
一方、本発明の経口摂取用活性酸素除去剤を投与しない場合も、製造例3、4で製造した比較経口摂取用活性酸素除去剤を投与した場合も、「参考製造例1で製造した免疫活性化剤」の抗腫瘍効果が得られなかった。
このことによって、前記「発明の効果」に記載した作用・原理が成り立ち、本発明の経口摂取用活性酸素除去剤を投与した後でないと、免疫活性機構が作用しないことが示唆された。また、「製造例3、4で製造した比較経口摂取用活性酸素除去剤」には、活性酸素除去効果がないことが示唆された。
評価例3
<ヒトでの評価>
製造例1、2で製造した経口摂取用活性酸素除去剤は、アトピー性皮膚炎を含む皮膚病の治療や、DNAの損傷防護に有効であった。
評価例4
<ヒトでの評価>
抗癌剤を服用していない51歳の女性の肝臓癌の患者に、製造例1で製造した経口摂取用活性酸素除去剤が1個のハードカプセルに3g封入された経口剤を、1回に2個/回、1日に3回/日、摂取してもらった。
5日間、摂取してもらった後、参考製造例1で製造した免疫活性化剤の粉末を2包ずつ3回/日、15日間摂取してもらった。その間も、同様の経口摂取用活性酸素除去剤を併用摂取してもらった。
その結果、CEA(腫瘍/糖鎖抗原)が、234ng/mLから、450ng/mLに、CA15−3(腫瘍/腫瘍関連抗原)が、840u/mLから、451u/mLに、TPA(血液形態・機能検査)が、664u/Lから、240u/Lになった。
評価例5
抗癌剤を服用していない55歳の大腸癌の男性患者に、製造例1で製造した経口摂取用活性酸素除去剤が1個のハードカプセルに3g封入された経口剤を、1回に2個/回、1日に3回/日、摂取してもらった。
5日間、摂取してもらった後、参考製造例1で製造した免疫活性化剤の粉末を、2包ずつ3回/日、30日間摂取してもらった。その間も、同様の経口摂取用活性酸素除去剤を併用摂取してもらった。
その結果、赤血球数が、3300から6300に上がった。癌マーカー(CEA、CA19−9)が適値になり、CTで再発所見なしであった。
評価例6
抗癌剤を服用していない74歳の大腸癌の男性患者に、製造例1で製造した経口摂取用活性酸素除去剤が1個のハードカプセルに3g封入された経口剤を、1回に2個/回、1日に3回/日、摂取してもらった。
5日間、摂取してもらった後、参考製造例1で製造した免疫活性化剤の粉末を、3包ずつ3回/日、14日間摂取してもらった。
その結果、体調に合わせて休みながら、農作業ができるようになった。
評価例7
経口摂取用活性酸素除去剤の投与をしない場合、及び、製造例3、4で製造した比較免疫活性化剤の粉末を投与した場合は、前記した単独での測定例1、2、評価例1の結果、及び、前記「発明の効果」に記載した作用・原理からして、抗腫瘍効果を示さないことが示唆された。
また、免疫活性を落とす抗癌剤を投与したときは、抗腫瘍効果を示さなかった。
すなわち、免疫活性を落とす抗癌剤を断薬し、免疫機構を正常に戻してから、本発明の経口摂取用活性酸素除去剤を投与し、投与を開始してから3日以上経過してから、免疫活性化剤を投与開始することで、抗腫瘍効果が特に好適に奏された。
本発明の、経口摂取用活性酸素除去剤は、有効成分は実質的に全て天然素材からなり、活性酸素を効果的に除去するので、活性酸素による種々の問題点(DNAの損傷等)を回避できる。また、免疫細胞の暴走を抑制するので、「免疫系に働きかけて抗腫瘍効果を奏する剤」の投与に先立って投与することで、従来の抗癌剤にはない(作用・機序によって)効果を発揮させられる。従って、製薬分野、医療分野、健康食品等の製造又は使用分野等に広く利用されるものである。

Claims (13)

  1. 以下の工程1ないし工程4の全てを有することを特徴とする経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法。
    (1)大豆、糠、及び、胚芽を含有する天然原料に遠赤外線を照射して加熱する工程
    (2)工程1で得られたものを、麹菌を用いて発酵させる工程
    (3)工程2で得られたものを粉末化する工程
    (4)工程3で得られた粉末に、ω-3脂肪酸を含有する油、及び、ω-6脂肪酸若しくはω-9脂肪酸を含有する油を噴霧して混合する工程
  2. 上記工程1における天然原料が、更に、鳩麦、胡麻、緑茶、クコの実、及び、ユーグレナよりなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する請求項1に記載の経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法。
  3. 上記工程1における天然原料が、更に、鳩麦、胡麻、緑茶、クコの実、及び、ユーグレナよりなる群から選ばれた2種以上を含有する請求項2に記載の経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法。
  4. 上記工程1において、遠赤外線を照射して50℃以上95℃以下に加熱する請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法。
  5. 上記工程1において、上記天然原料中に含まれる高分子の主鎖又は側鎖に化学結合している活性酸素除去物質を、加熱によって該化学結合を切断し、「低分子量化合物若しくはオリゴマー、又は、繰り返し単位のない若しくは少ない化合物」として得る請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法。
  6. 上記工程2において、上記天然原料中に含まれる高分子の主鎖又は側鎖に化学結合している活性酸素除去物質を、発酵によって該化学結合を切断し、「低分子量化合物、又は、繰り返し単位を有さない単量体」として得る請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法。
  7. 上記工程3において、60℃以下で粉末化する請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法。
  8. 上記工程4で使用するω-3脂肪酸を含有する油が、グリーンナッツ油である請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法。
  9. 上記工程4で使用する「ω-6脂肪酸若しくはω-9脂肪酸を含有する油」が、オリーブ油である請求項1ないし請求項8の何れかの請求項に記載の経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法。
  10. 上記工程4で使用する油の総質量が、「工程3で得られた粉末」と「工程4で使用する油」の合計質量に対して、1質量%以上20質量%以下である請求項1ないし請求項9の何れかの請求項に記載の経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法。
  11. 請求項1ないし請求項9の何れかの請求項に記載の経口摂取用活性酸素除去剤の製造方法を使用して製造されるものであって、天然物由来の活性酸素除去効果のある「低分子量化合物、又は、繰り返し単位を有さない化合物」を含有することを特徴とする経口摂取用活性酸素除去剤。
  12. 天然由来の免疫活性化剤の投与開始に先立って投与しておくための請求項11に記載の経口摂取用活性酸素除去剤。
  13. 免疫活性を減少させる抗癌剤を断薬してから投与するための請求項11又は請求項12に記載の経口摂取用活性酸素除去剤。


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