JP2021023158A - 自走式作業機 - Google Patents

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Abstract

【課題】切換え容易、かつ保管スペースをコンパクトにできる草刈部を提供する。【解決手段】作業部4は支持アームに昇降自在かつ水平方向に回動自在に取付けられ、かつ、作業状態又は非作業状態の選択が可能である。支持アームは昇降自在のメインアーム7と、該メインアームに連結部9を介して連結される作業アーム11とからなる。メインアームの先端部側の一部が内側に屈曲されて屈曲部74が形成され、該屈曲部と作業アームとが連結部を頂点とする三角形状に連結される。メインアームが作業アームを回避動作させた姿勢で垂直方向に反転されることにより作業部が本体部2の上方に位置される。作業状態と非作業状態を容易に切り換えることができ、迅速に作業を開始することができる。また終業時に迅速かつ簡単に保管姿勢に移行することができる。長尺の支持アームを屈曲、反転させて保管するので、保管スペースを節約することができる。【選択図】図3

Description

本願発明は自走式作業機に関し、さらに詳しくは草刈作業機に関する。
草刈部が本体部より前後左右の側方に延長された構造の草刈作業機の多くは、保管時の保管スペースが大となる難がある。
従来はこれを避けるため、草刈部を本体部から離脱させて保管することも行われた。しかしながら、かかる場合は草刈部4を作業状態に組み立てるとき、時間と手間がかかるという別の難が生じる。
また従来は草刈部4を上方に回動させて持ち上げ固定する方法も存在した。しかしこの場合は、上方へのスペースが余計に必要となる問題があった。
特開2007−037489号公報
本願発明は上記背景より、作業状態と非作業状態を容易に切り換えることができる自走式作業機を供することを目的とする。
また保管スペースをコンパクトにすることができる自走式作業機を供することをも目的とする。
上記課題解決のため、本願発明による自走式作業機は、本体部と、該本体部の進行方向両側に設けられた走行部と、該本体部に支持アームを介して連結される作業部とからなり、上記作業部は支持アームに昇降自在かつ水平方向に回動自在に取付けられ、かつ、作業状態又は非作業状態の選択が可能であり、上記支持アームは昇降自在のメインアームと、該メインアームに連結部を介して連結される作業アームとからなり、上記メインアームの先端部側の一部が内側に屈曲されて、屈曲点より先端部側に屈曲部が形成され、該屈曲部と作業アームとが連結部を頂点とする三角形状に連結され、メインアームが上記作業アームを回避動作させた姿勢で垂直方向に反転されることにより作業部が本体部の上方に位置されることを特徴とする。
また請求項2による本願発明による自走式作業機は、請求項1記載の自走式作業機において、上記連結部に上記作業アームの上方への回動を規制する上部第2規制体及び上記作業アームの下方への回動を規制する下部第2規制体からなる第2規制体が設けられ、該第2規制体にて上記作業アームを固定することを特徴とする。
また請求項3による本願発明による自走式作業機は、請求項1又は請求項2記載の自走式作業機において、上記メインアームの基部に第1規制体が設けられ、該第1規制体に開始点突起と終止点突起とが対設され、メインアームの反転動作に際し該メインアームの周方向に回動して上記終止点突起が当接ピンに当接されることによりメインアームの下降が停止されることを特徴とする。
また請求項4による本願発明による自走式作業機は、請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の自走式作業機において、着脱自在のピンからなる第1固定部が設けられ、該第1固定部が上記メインアームの回動軸及び上記第1規制体に挿入されることにより上記メインアームが固定されることを特徴とする。
また請求項5による本願発明による自走式作業機は、請求項4記載の自走式作業機において、上記第1固定部のピンがばねにより回動軸方向に付勢されることを特徴とする。
また請求項6による本願発明による自走式作業機は、請求項1乃至請求項5のいずれか一記載の自走式作業機において、着脱自在のピンからなる第2固定部が設けられ、該第2固定部が上記連結部に挿入されることにより上記連結部が固定されることを特徴とする。
また請求項7による本願発明による自走式作業機は、請求項6記載の自走式作業機において、上記第2固定部のピンがばねにより垂直方向に付勢されることを特徴とする。
また請求項8による本願発明による自走式作業機は、請求項1乃至請求項7のいずれか一記載の自走式作業機において、着脱自在のピンからなる第3固定部が設けられ、該第3固定部が上記作業アームの第3固定孔に挿入されることにより上記作業アームが固定されることを特徴とする。
また請求項9による本願発明による自走式作業機は、請求項8記載の自走式作業機において、上記第3固定部のピンがばねにより上記作業アーム方向に付勢されることを特徴とする。
また請求項10による本願発明による自走式作業機は、請求項1乃至請求項9のいずれか一記載の自走式作業機において、上記連結部が機体の略重心位置に設けられることを特徴とする。
また請求項11による本願発明による自走式作業機は、請求項1乃至請求項10いずれか一記載の自走式作業機において、上記回避動作が上記走行部間の領域内にて行われることを特徴とする。
本願発明による自走式作業機によれば、作業状態と非作業状態を容易に切り換えることができるので、迅速に作業を開始することができ、また終業時に迅速かつ簡単に保管姿勢に移行することができる。
さらに、長尺の支持アームを屈曲、反転させて保管するので、保管スペースを節約することができる。
本願発明による自走式作業機の実施の形態を示す平面図である。 図1の正面図である。 図1の非作業状態の平面図である。 図3の正面図である。 メインアームを作業状態とした場合の背面図である。 メインアームを非作業状態に反転した場合の背面図である。 (A)は図5VII部の拡大図、(B)は図6VII部の拡大図である。 (A)は作業状態における要部拡大平面図であり、(B)は(A)の断面図である。 (A)は非作業状態における要部拡大平面図であり、(B)は(A)の断面図である。 図1のA矢視拡大縦断面図である。 図10の要部拡大図である。 図10XーXの拡大断面図であり、(A)は連結部を固定した状態を示し、(B)は第3固定部により作業アームを固定した状態を示す。 (A)は昇降アームの詳細を示す要部正面図、(B)は(A)の要部側面図である。 (A)は地面追従性の説明に使用する要部正面図、(B)は(A)の要部側面図である。 本願発明による自走式作業機の他の実施の形態を示す概略平面図である。 本願発明による自走式作業機のさらに他の実施の形態を示す概略平面図である。
次に、実施の形態を示す図面に基づき、本願発明による自走式作業機をさらに詳しく説明する。なお、便宜上同一の機能を奏する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図1乃至図14において、自走式作業機1は、本体部2と、走行部3と、作業部4からなり、ラジコンと呼ばれる操作送信機(図示省略)により操縦され、矢示方向に走行する。
本体部2は、本体フレーム21が水平方向に設けられ、該本体フレーム21に後に述べる駆動輪31を駆動せしめる走行モータ(図示省略)を備えた走行部3が配置され、上記走行モータの駆動源たるバッテリ(図示省略)が載置される。23は本体フレーム21に設置される制御部であり、該制御部には自走式作業機1の主電源等を操作する主電源スイッチが配される。24は本体カバーである。
走行部3は本体部2の進行方向両側に配設される。該走行部3は、上記した走行モータ(図示省略)、駆動輪31たる後輪と従動輪32たる前輪からなり、両輪間に転輪33を介して、クローラベルト34が掛け渡される。また本体フレーム21に、走行フレーム35が固着されており、この走行フレーム35に上記した走行モータ、駆動輪31、従動輪32及び転輪33の回転軸芯が回転可能に取り付けられる。
作業部4は、本体部2の進行方向前方に設けられ、刈刃41と、該刈刃41を作動させるモータ42と、刈刃41の回転に支障を来たさないようにするため設けられる接地体43と、刈り取った草が飛散しないよう設けられる刈刃カバー44とからなる。上記作業部4は、作業状態における最下点つまり接地体43の位置が前輪32の位置より下方側とされる。作業部4は、後述するように、作業状態又は非作業状態の選択が可能となっている。
5は本体部2に設けられた昇降自在の昇降アームである。該昇降アーム5に支持アーム6のメインアーム7が取り付けられる。該支持アーム6は昇降自在のメインアーム7と、該メインアーム7に連結部9を介して連結される作業アーム11とからなる。
メインアーム7は、基部72と、延長部73と、屈曲部74とからなる。基部72は進行方向と直交方向に横設され、端部に設けた回動軸71(図8、図9に示す)が上記昇降アーム5のボス部50のアーム固定用の孔50a(図8、図9に示す)に回動自在に嵌合される。延長部73は基部72から進行方向に屈曲されて形成される。屈曲部74は先端部側の一部が屈曲点74aから内側に鈍角の屈曲角Cにて屈曲されて形成される。上記屈曲部74と作業アーム11とは連結部9を頂点とする三角形状に形成される。
上記回動軸71の周面には貫通孔75が設けられ、該貫通孔75に、メインアーム7固定用の第1固定ピン76がばね77により脱離可能に挿入される。78は第1固定ピン76を上記孔75に係止するための突起である。上記した第1固定ピン76、ばね77及び突起78にて第1固定部79が形成される。
81はリング状の第1規制体であり、上記回動軸71に回動自在に設けられる。該第1規制体81の周面には2個の突起、即ち、開始点突起81a及び終止点突起81bが対設され、上記昇降アーム5に設ける当接ピン51(図8、図9に示す)に当たって昇降が停止する。図5は、第1規制体81によりメインアーム7を作業状態での最大限に下降させて規制した状態を示す。また図6は第1規制体81によりメインアーム7を非作業状態に反転させて規制した状態を示す。図7(A)は作業状態での第1規制体81の動作を、(B)は非作業状態での第1規制体81の動作を各示す。上記メインアーム7の屈曲部74の先端部74bは、図10に示すように、垂直方向に屈曲される。
9は連結金具からなる連結部であり、上記メインアーム7の先端部74bに、水平方向に回動自在に連結される。詳しくみると、連結部9は、図10乃至図12に示すように、上記メインアーム7の先端部74bに回動軸91が水平方向に回動自在に嵌着され、他方水平方向に延びる連結片90に作業アーム11が連結される。上記連結部9は、平面視機体全幅D3の略中心線上であって、正面視機体の略中央部に位置する重心Gの位置に設けられる。93は弾性体であり、ガイドロッド94に巻着され水平方向に付勢される。該弾性体93の付勢力は障害物衝突時に機体の走行力より小に設定される。この弾性体93の付勢力により、後述するように、作業中回避動作された作業部4が元位置に復帰する。
上記回動軸91は回動支点となり、その近傍に作業アーム11の第2規制体12を設ける。この第2規制体12は、作業状態における作業アーム11の上方への過度の回動を規制する上部第2規制体12a及び作業アーム11の下方への過度の回動を規制する下部第2規制体12bからなり、両方相まって作業アーム11の垂直方向への過度の回動を規制する。即ち、刈刃41の地面に対する過剰傾斜は、刈り跡がきれいにならない等の不都合が生じるため、連結部9の回動支点部の近傍に、上部第2規制体12a及び下部第2規制体12bを固設する。この上部第2規制体12により、作業状態において、作業アーム11が過剰に回動して刈刃との角度が付きすぎることを防止する。また、下部第2規制体12bにより、作業状態において、作業アーム11が過剰に下方に回動できないように規制している。本実施例では、作業アーム11がほぼ水平より下方へは回動されないよう、規制されている。
非作業状態では、連結部9の側部に設けた第3固定部16(図12に示す)によって、作業アーム11の回動が固定される。この第3固定部16によって、非作業状態においても作業アーム11は連結部9に対し相対的に位置を固定された状態であるので、作業部が本体部に干渉することが防止される。
92は第2固定部であり、第2固定ピン92aと、該第2固定ピン92aが挿入される第2固定孔92bと、該第2固定ピン92aを付勢するばね92cとからなる。13は作業アーム11の垂直方向の回動支点となる回動軸である。
16は第3固定部であり、ばね15(図12(A)(B)に示す)により脱離可能に挿入される第3固定ピン14からなる。該第3固定ピン14は、作業アーム11に向かって付勢されたばね15が巻着され、作業アーム11の基部に、作業アーム11に直交する方向にて設けられる。該第3固定ピン14の周面には突起14aが設けられ、固定時に該突起14aがロック孔14cに挿入されることにより、作業アーム11がロックされる。11aは作業アーム11の周面に設けられた第3固定孔である。第3固定ピン14は長孔からなるスライド孔14bを介して第3固定孔11aに挿入される。
図10及び図11は上記第2固定部92を最もよく表わす。図12(A)は作業部4を格納位置にした後第2固定部92の第2固定ピン92aにより連結部9を固定した状態を示し、図12(B)は作業部4を格納位置に固定した後、第3固定部16の第3固定ピン14により作業アーム11を固定した状態を示す。
図13及び図14は昇降アーム5の詳細を示す。52は昇降モータ、52aは昇降モータ52の出力軸であり、該出力軸52aは昇降ギヤ53に歯合する。該昇降ギヤ53は昇降アーム5に直交する方向に設けられ、垂直方向に回動する。54は昇降アーム5と一体に昇降される作用ピンである。55は上記昇降ギヤ52に突設された下降規制手段である。即ち、該下降規制手段55は、上記昇降ギヤ53に、昇降ギヤ53と直交する方向にて固着され、上記作用ピン54に当接して昇降アーム5の下死点を形成する。56は昇降アーム5の昇降支点となる支点ピンであり、上記昇降アーム5が回動自在に嵌合される。57は上記昇降アーム5の作用点側端部に設けられるばねであり、上方に付勢され、その付勢力により上記昇降アーム5、ひいては作業部4を押し上げる。58はばね57のガイドピンである。上記昇降アーム5は支点ピン54に回動自在に嵌合される。59は上記昇降アーム5の支点部材である。
ここで、第1規制体81、第2規制体12並びに第1固定部79、第2固定部92及び第3固定部16についてまとめてみる。
第1規制体81は開始点突起81aと終止点突起81bが対設され、昇降アーム5に設ける当接ピン51に当たって昇降が停止する。即ち、非作業状態時は当接ピン51に終止点突起81bが当接され、作業状態時は当接ピン51に開始点突起81aが当接される。これにより、作業状態でのメインアーム7の過度の下降を防止し、また昇降アーム5により、草刈部4を上昇させたとき、浮上過少による地面との引きずりを防止する。さらに非作業状態でのメインアーム7を固定し、格納時に草刈部4と本体部2との接触を防止する(図8、図9)。
第2規制体12は、上部第2規制体12aと下部第2規制体12bとからなり、連結部9の作業アーム11との連結点に設けられ、若干垂直方向に遊びのある作業アーム11の垂直方向への過度の回動を規制する。またこれにより、非作業状態での作業アーム11の過度の下降が防止される(図11)。
第1固定部79は、着脱自在の第1固定ピン76からなり、該第1固定ピン76を上記回動軸71の貫通孔75及び上記第1規制体81に挿入することにより、メインアーム7を固定する(図8、図9)。
第2固定部92は、着脱自在の第2固定ピン92aからなり、格納に際し、該第2固定ピン92aを連結部9の第2固定孔92bに挿入することにより連結部9を固定し、作業部4及びメインアーム7と本体部2との接触を防止する。即ち、メインアーム7の貫通孔75に挿脱自在の第1固定ピン76を、また連結部9の第2固定孔92bに第2固定ピン92aを各挿入することにより、非作業状態におけるメインアーム7及び連結部9を固定する(図10乃至図12)。
第3固定部16は、着脱自在の第3固定ピン14からなり、該第3固定ピン14を作業アーム11の第3固定孔11aに挿入することにより、作業アーム11を固定する(図10乃至図12)。
ここで、各部の寸法について説明する。図示実施例において、走行部3の全長W1は765mm、走行部3前端から作業部4までの突出量W2は804mm、機体の全長W3は1569mmである。クローラベルト34の幅D1は100mm、走行部3の全幅D2は578mm、本体の全幅D3は654mm、作業状態での機体の全幅D4は874mm、作業状態における作業部4の機体中心線からの突出量D5は547mm、回避動作時の同突出量D6は290mmである。作業部4の高さH1は89mm、機体の全高H2は400mmである。延長部73の長さは474mm、作業アーム11の長さは416mmである。接地高L1は405mm、軸距長L2は495mmである。本実施例では、機体の重心Gは、機体の中心線から10mmずれ、前輪よりから進行方向後方へ192mm、接地高195mmに位置する。
(1)通常時の機体動作
支持アーム6は、メインアーム7及び作業アーム11によって、草刈部4が適正な対地角度を維持した状態で昇降する。なお、本願発明において「適正な対地角度」とは草刈部4が接地面に接触した場合に接地面と平行を保つことができることであって、完全な角度維持を意味するものではない。
草刈部4は、図1に実線で示す位置、つまり走行部3より外側の位置で草刈作業をする。
このとき、草刈部4は弾性体93の付勢力によって、走行部より外側に突出された位置にて作業をしている。
(2)異常時の機体動作
草刈部4が障害物に衝突したとき、草刈部4は次のような回避動作をする。
即ち、草刈部4は弾性体93の付勢力に打ち勝って障害物に押されるため、内側即ち図1に2点鎖線で示す位置(走行部3、3間の領域内)まで回動する。
機体が障害物を通過すると、作業アーム11が弾性体93の付勢力により、外側即ち図1に実線で示す位置まで回動するため、元の位置に復帰する。よって元のように草刈作業を継続することができる。回避動作の間、刈刃は回転したままであるので、草刈作業の中断はない。
よって、作業者は草刈部4と障害物との衝突を気にせず作業することができ、機体の操作が容易となる。
ここで走行安定性について説明する。本実施の形態においては機体前方で作業アーム11により外側に突出される作業部4とメインアーム7の屈曲部74とが連結部9を頂点にして互いに反対側に設けられるため、機体の進行方向に対する左右のバランスが大きく異なることが防止され、走行部への偏荷重による直進性の低下、傾斜地での転倒に対する安定性を確保など、走行の安定性に寄与する。
この点を詳述する。左右の走行部3のいずれか一方に接地荷重が偏り、偏荷重になると、接地荷重が小さい側の走行部3はスリップして、操縦者の意図した走行が困難になる。例えば、直進させようと操作しても、機体が片方の走行部3のスリップによって、駆動力が地面に伝わらず、結果として直進せずに旋回する。あるいは、左右の走行部3のうち、接地荷重が大きい側に旋回する場合、接地荷重が小さい側の走行部3がスリップするため機体を旋回させることができない等、走行に関し効率的に行えない不都合が生じる。とくに、機体の左右側に傾斜した地面を走行する場合、上記した不都合な点がより顕著に出てくる。また、転倒に関し、上記同様に、機体の左右側に傾斜した地面GLを走行する場合で、接地荷重が大きい側の走行部3が傾斜面の低い側に位置した状況が発生すると、転倒のリスク等が増大することから、安全性確保のためにも、前述した状況の発生は極力避ける必要がある。偏荷重があった場合、左右の傾斜方向が入れ替わると、作業者が感じる操作感も変化するため、安全な作業機の運用には、進行方向の左右における重心Gはできる限り、中央寄りにすることが好ましい。
したがって、操縦者が機体を走行させる際に、走行する地形を気にすることなく、円滑に操作するためには、機体全体の重心Gの位置を、左右走行部3、3が接地する部分の中央近傍に位置させることが重要である。
本願発明においては前記したように、機体の進行方向に対する左右のバランスが大きく変化するのが防止されるので、走行部3の偏荷重による直進性の低下や傾斜地での転倒に対する安定性を確保することができるのである。
昇降アーム5は昇降ギヤ53と作用ピン54により機体が下方のみで支持される構造であるので、次に詳述するように、草刈部4が障害物に乗り上げても、草刈部4は地面に追従することができる。
即ち、作業部4の昇降に際し、上下方向の回動支点部は、昇降アームの回動支点56(図13、図14に示す)、メインアーム7の回動支点71(図8、図9に示す)、作業アーム11の回動支点13(図11、図12に示す)の3か所に存在する。とくに、進行方向の左右方向に延びる回動軸を持つ昇降アーム5の回動支点56及びメインアーム7の回動支点71によって、地面追従効果を発揮する。詳しく述べると、作業部4の上下方向の移動は、昇降アーム5の昇降が担当し、作業部4の傾きを昇降アーム5に支持されたメインアーム7の回動により維持する。すなわち、図5に示す窪地P1の場合又は図14(A)に示す凸状地P2の場合、回動支点部とくに左右方向の回動軸を上記した2か所、つまり、昇降アームの回動支点56及びメインアーム7の回動支点71に設けることにより、刈刃41の地面に対するアプローチの自由度が増加し、刈刃41の回転面は地面に対し平行を保つことができる。この結果、草刈作業時は、刈刃が地面に接触して破損したり、刈刃の回転面と地面との角度が悪く、例えば対地角度が極端に付くなどした場合でも、草刈ができない等の不具合を解消することができる。
また、作業アーム11の回動支点13の上下回動によって、機体の進行方向の左右方向への傾斜にも対応することができる。さらに言えば、作業アーム11は垂直方向に多少の遊びがあるため、下方への追従は自重により回動され、上方へは衝突した障害物の押圧力により回動する。よって本実施の形態によれば、地面追従性が従来に比し格段に向上された。
このように、上下方向の回動支点軸を合計3か所とすることにより、前後左右の傾斜面や凹凸に対応することができる。また、草刈部4が回避回動中であって、この回避回動領域に凹凸部があっても、昇降アーム5、メインアーム7及び作業アーム11の3か所が協働することにより、この領域中の回動時でも地面に追従しながら草刈り作業をすることができる。
本実施の形態では、作業部4の作業状態における接地体43の最下点が走行部3の従動輪32より下方側に位置する。よって、走行部3より前方の作業部4が位置する作業面が、作業部4が接地している作業面より窪んだ状況においても、作業部4がこの窪んだ作業面に追従することができ、凸部P2のみならず凹部P1への追従も可能となる。
また、図示実施形態のような構成とすることにより、両立が困難であった草刈部4を連結するアーム類の簡素化の実現と草刈性能の確保を同時に達成する。つまり、機体前方に大きく草刈部4がオーバーハングするにもかかわらず、機体全体の重心は走行部の接地領域に対し中央部に位置させることができる。これは、上記した草刈部4の地面追従効果に加え、前後バランスの問題も解決する。つまり、前後のバランスが良好であるので、草刈部4が前方に沈み込む、あるいは、前方に'つんのめる'ような現象がない。この結果、草刈部4は地面に対して適正な位置関係を保ったまま草刈をすることができるので、作業者が地面の状況を逐一気にせずとも、草刈をすることが可能となるのである。
この地面追従性に関し、例えば、文献2のような構成の場合、補助カッターユニットU2を回動させるのは、水平軸である連結ピン15と、垂直軸である回動支点軸12の2か所である。この補助カッターユニットU2により地面の凹凸を乗り越えようとする場合、連結ピン15によって押し上げられるようにして上方に回動すると、連結ピン15から遠方に位置する補助カッターC2は、必然的に地面より高くなるので、草を刈ることが困難となる。 具体的に述べると、補助カッターユニットU2の連結ピン15の再近傍の補助カッターC2のみに凹凸があった場合、この補助カッターC2より遠方に位置する補助カッターは、凹凸の高さ以上に浮き上がって草が刈れない問題がある。
この点、本実施の形態によれば、図14のように走行面に凸部が形成された路面においても、前記したように機体の進行方向に対する左右のバランスが大きく異なることが防止されるので、走行部3への偏荷重による直進性の低下、傾斜地での転倒に対する安定性を確保など、走行の安定性が良いのである。
また走行安定性に関しては、文献2では、補助カッターC2への伝動部材が多数存在することにより、機体全体のバランスが悪化し、この状態で走行すると、操縦者の意図通りの走行が困難になる。
これに対し、本実施の形態によれば、部品点数も比較的少なく、機体から突出する草刈に係る部分を軽量に保ち、かつ、機体全体の重心バランスを適正に保つことができるから、地面追従性や走行安定性が良好であり、作業者は草刈作業に専念することができる。
上記実施の形態の場合、作業部4自体の高さがメインアーム7より高い場合でも、屈曲部74によって作業部4との干渉を回避することができるので、作業部4自体の高さに制限を設けることなく、機体の中央部に回避動作させることができる。
(1)作業状態時
草刈部4は、図1に2点鎖線で示す非作業状態、即ち、格納時の姿勢のまま、メインアーム7が下降方向に反転動作し、作業状態となる。この反転動作は開始点突起81aが当接ピン51に当接することにより止まる。
草刈部4は、図1及び図2に示す如く、メインアーム7が進行方向に沿って前方に延長される。
このとき、作業アーム11の前部は図1に実線で示す位置、即ち、走行部より外側の位置にあり、草刈部4はこの位置にて草刈作業をする。
開始点突起81aが当接ピン51に当接することにより、メインアーム7が下方に過度に下降するのを防止するので、昇降アーム5により、草刈部4を上昇させたとき、浮上過少による地面との引きずりが防止される。
(2)非作業状態時(格納時)
まず、作業アーム11が内側に回動され、草刈部4が図1に2点鎖線で示す位置、即ち、回避動作の位置に移動される。
この状態で、メインアーム7を作業者の手動により上昇反転させることによって、図6に示す如く、支持アーム6及び草刈部4が反転・回動される。この反転動作により、図3及び図6に示すように、支持アーム6及び草刈部4が走行部3、3の領域内における本体部2の上方に畳まれ格納される。この反転動作は終止点突起81bが当接ピン51に当たることにより止まる。これにより、メインアーム7の過度の下降が防止され、また、メインアーム7及び草刈部4と本体部2との接触が防止される。
第1固定部79及び第2固定部92により、草刈部4及び支持アーム6は固定される。即ち、第1固定部79のピン76による固定及び第2固定部92のピン92aによる固定により、草刈部4及び支持アーム6は本体部2の上方に確実に固定されるから、草刈部4及び支持アーム6と本体部2との接触が防止される。
また機体をトラック等の荷台に載せて搬送するとき、機体の姿勢が固定するので、安全確実に搬送することができる。
また非作業状態の機体姿勢は、全高及び全長がともにコンパクトに小さくなるので、保管等に便利である。
本願発明は上記実施の形態に制限されない。例えば、メインアーム7の屈曲方向は図1の場合の反対例であってもよい。つまり、内側に屈曲されるメインアーム7の屈曲部74と外側に突出される作業部4とが連結部9を頂点にして互いに反対方向にセットされていれば、メインアーム7の屈曲の方向性は問わない。
また連結部9の位置は重心Gの位置の近傍であれば、正確に重心Gの位置に設けなくても足りる。
作業部4は本体部2の進行方向後方に設けられてもよい。この場合は、メインアーム7の屈曲部74の屈曲角Dは、図15に示すように狭角に屈曲される。
図16に示す実施の形態の場合、昇降アーム5に垂直方向に回動自在に連結されたメインアーム7は、屈曲されずにストレートに延長され、先端部74bが連結部9にて作業アーム11に水平方向に回動自在に連結される。この場合メインアーム7に屈曲部74が形成されないため、機体の重心Gは、中央部ではなく、作業アーム11と同じ方向に偏心され、作業アーム11側に45mm程度ずれて位置される。また作業部4の回避動作は、2点鎖線で示す如く、メインアーム7の下方に位置するように振れる。この余の構成は図1に述べた実施の形態の場合と同様である。
また本願発明による自走式作業機は、必ずしもラジコン操縦されなくてもよい。
本願発明による自走式作業機は草刈作業にも活用することができる。
1 自走式作業機
2 本体部
21 本体フレーム
23 制御部
24 本体カバー
3 走行部
31 駆動輪
32 従動輪
33 転輪
34 クローラベルト
35 走行フレーム
4 作業部(草刈部)
41 刈刃
42 モータ
43 接地体
44 刈刃カバー
5 昇降アーム
50 ボス
50a アーム固定用孔
51 当接ピン
52 昇降モータ
52a 出力軸
53 昇降ギヤ
54 作用ピン
55 下降規制手段
56 支点ピン
57 ばね
58 ガイドピン
59 支点部材
6 支持アーム
7 メインアーム
71 回動軸
72 基部
73 延長部
74 屈曲部
74a 屈曲点
74b 先端部
75 貫通孔
76 第1固定ピン
77 ばね
78 突起
79 第1固定部
81 第1規制体
81a 開始点突起
81b 終止点突起
9 連結部
90 連結片
91 回動軸
92 第2固定部
92a 第2固定ピン
92b 第2固定孔
92c ばね
93 弾性体
94 ガイドロッド
11 作業アーム
11a 第3固定孔
12 第2規制体
12a 上部第2規制体
12b 下部第2規制体
13 回動軸(回動支点)
14 第3固定ピン
14a 突起
14b スライド孔
14c ロック孔
15 ばね
16 第3固定部

Claims (11)

  1. 本体部と、該本体部の進行方向両側に設けられた走行部と、該本体部に支持アームを介して連結される作業部とからなり、
    上記作業部は支持アームに昇降自在かつ水平方向に回動自在に取付けられ、かつ、作業状態又は非作業状態の選択が可能であり、
    上記支持アームは昇降自在のメインアームと、該メインアームに連結部を介して連結される作業アームとからなり、
    上記メインアームの先端部側の一部が内側に屈曲されて、屈曲点より先端部側に屈曲部が形成され、該屈曲部と作業アームとが連結部を頂点とする三角形状に連結され、
    メインアームが上記作業アームを回避動作させた姿勢で垂直方向に反転されることにより作業部が本体部の上方に位置されることを特徴とする自走式作業機。
  2. 請求項1記載の自走式作業機において、上記連結部に上記作業アームの上方への回動を規制する上部第2規制体及び上記作業アームの下方への回動を規制する下部第2規制体からなる第2規制体が設けられ、該第2規制体にて上記作業アームを固定することを特徴とする自走式作業機。
  3. 請求項1又は請求項2記載の自走式作業機において、上記メインアームの基部に第1規制体が設けられ、該第1規制体に開始点突起と終止点突起とが対設され、メインアームの反転動作に際し該メインアームの周方向に回動して上記終止点突起が当接ピンに当接されることによりメインアームの下降が停止されることを特徴とする自走式作業機。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の自走式作業機において、着脱自在のピンからなる第1固定部が設けられ、該第1固定部が上記メインアームの回動軸及び上記第1規制体に挿入されることにより上記メインアームが固定されることを特徴とする自走式作業機。
  5. 請求項4記載の自走式作業機において、上記第1固定部のピンがばねにより回動軸方向に付勢されることを特徴とする自走式作業機。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一記載の自走式作業機において、着脱自在のピンからなる第2固定部が設けられ、該第2固定部が上記連結部に挿入されることにより上記連結部が固定されることを特徴とする自走式作業機。
  7. 請求項6記載の自走式作業機において、上記第2固定部のピンがばねにより垂直方向に付勢されることを特徴とする自走式作業機。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一記載の自走式作業機において、着脱自在のピンからなる第3固定部が設けられ、該第3固定部が上記作業アームの第3固定孔に挿入されることにより上記作業アームが固定されることを特徴とする自走式作業機。
  9. 請求項8記載の自走式作業機において、上記第3固定部のピンがばねにより上記作業アーム方向に付勢されることを特徴とする自走式作業機。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか一記載の自走式作業機において、上記連結部が機体の略重心位置に設けられることを特徴とする自走式作業機。
  11. 請求項1乃至請求項10いずれか一記載の自走式作業機において、上記回避動作が上記走行部間の領域内にて行われることを特徴とする自走式作業機。
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