JP2021021019A - 塗料組成物 - Google Patents

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Kazuma Tanishi
一磨 田西
岳人 佐々岡
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岳人 佐々岡
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剛 大山
顕寛 川口
Akihiro Kawaguchi
顕寛 川口
祥生 辻
Yoshio Tsuji
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Abstract

【課題】 大型被塗物の塗装において好適に用いることができる塗料組成物を提供すること。【解決手段】 水酸基含有ビニル共重合体(a)および水酸基含有ポリエステル樹脂(b)を含む、水酸基含有樹脂(I)、および、イソシアネート硬化剤(II)、を含む塗料組成物であって、上記水酸基含有ポリエステル樹脂(b)の重量平均分子量は、500〜2,500の範囲内であり、上記塗料組成物中に含まれる水酸基含有ビニル共重合体(a)および水酸基含有ポリエステル樹脂(b)の樹脂固形分質量比は、(a)/(b)=1.71〜8.98の範囲内である、塗料組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、水酸基含有ビニル共重合体および水酸基含有ポリエステル樹脂を含む塗料組成物に関する。
工業製品などの物品は、種々の機能を有する塗膜を有することが多い。例えば自動車車体などの被塗物の表面には、種々の役割を持つ複数の塗膜を順次形成して、被塗物を保護すると同時に美しい外観および優れた意匠を付与している。このような被塗物の塗装において、特に表面側に設けられる塗膜は、塗装物の外観および意匠を大きく左右する。そのため、このような塗膜においては、良好な塗膜外観を有していることが求められる。
例えば自動車車体の塗装分野などにおいては、焼付硬化型塗料組成物を被塗物に塗装したのち、工場ラインに備わった乾燥炉で、均一条件で焼付硬化させて塗膜を形成する手法が用いられている。その一方で、大型で広い被塗面をもつ、例えばトラック、バス、などの大型の架装車両、鉄道車両、産業機械、建設機械などで焼付硬化型塗料組成物を使用するには、専用の大型乾燥炉を設置しないと正常な焼付硬化塗膜を形成させることは困難である。そこで、このような大型の被塗物を塗装する場合は、高温加熱工程を必須とせず、常温または低温加熱条件下でも塗膜形成を行うことができる塗料組成物が選択されている。
常温または低温加熱条件下でも塗膜形成を行うことができる塗料組成物として、例えば、水酸基含有樹脂およびイソシアネート硬化剤を含む塗料組成物が知られている。例えばWO2015/005434号明細書(特許文献1)には、(A)水酸基含有アクリル樹脂、(B)水酸基含有ポリエステル樹脂、(C)着色顔料および/または光輝性顔料、および(D)ポリイソシアネート化合物を含む塗料組成物が記載される(請求項1)。そしてこの塗料組成物は、ABS樹脂、ASA樹脂などの塗装に好適に用いることができると記載される(請求項7)。
WO2015/005434号明細書
特許文献1に記載の塗料組成物は、低温での硬化が可能で、かつ合成樹脂成型品にプライマーを用いないで直接着色塗料を塗装して加熱硬化するだけで、仕上がり性および耐加水分解性、耐薬品性、耐候性にも優れる塗膜が得ることができると記載される。一方で、例えば架装車両などの大型の被塗物は、大型であることから塗装面積が広い。そのため、低温加熱硬化型塗料組成物を、大型の被塗物に塗装する場合は、塗膜外観不良などの不具合が生じることがあることがあった。
本発明は上記従来技術の課題を解決することを課題とする。より特定すれば、本発明は、大型被塗物の塗装において好適に用いることができる塗料組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]
水酸基含有ビニル共重合体(a)および水酸基含有ポリエステル樹脂(b)を含む、水酸基含有樹脂(I)、および
イソシアネート硬化剤(II)、
を含む塗料組成物であって、
上記水酸基含有ポリエステル樹脂(b)の重量平均分子量は、500〜2,500の範囲内であり、
上記塗料組成物中に含まれる水酸基含有ビニル共重合体(a)および水酸基含有ポリエステル樹脂(b)の樹脂固形分質量比は、(a)/(b)=1.71〜8.98の範囲内である、
塗料組成物。
[2]
さらに硬化触媒を含み、塗料組成物中に含まれる硬化触媒の量は、上記水酸基含有樹脂(I)の樹脂固形分100質量部に対して0.04質量部以上0.18質量部以下である、上記塗料組成物。
[3]
さらに負触媒を含み、塗料組成物中に含まれる負触媒の量は、上記水酸基含有樹脂(I)の樹脂固形分100質量部に対して0.96質量部以上5.16質量部以下である、[2]の塗料組成物。
[4]
上記塗料組成物中に含まれる硬化触媒および負触媒の質量比は、硬化触媒/負触媒=0.01〜0.20の範囲内である、[3]の塗料組成物。
[5]
上記水酸基含有ビニル共重合体(a)のSP値は9.5〜11.2の範囲内であり、上記水酸基含有ポリエステル樹脂(b)のSP値は10.0〜12.0の範囲内である、上記塗料組成物。
[6]
上記硬化触媒は、Bi、Zn、Al、ZrおよびSnからなる群から選択される金属元素を含む有機金属触媒を1種またはそれ以上含む、[2]〜[5]いずれかに記載の塗料組成物。
[7]
上記負触媒は酸触媒であり、炭素数7〜20の芳香族カルボン酸および炭素数4〜11の分枝状カルボン酸からなる群から選択される1種またはそれ以上含む、[3]〜[6]いずれかに記載の塗料組成物。
[8]
常温硬化型塗料組成物である、上記塗料組成物。
[9]
架装車両塗装用である、上記塗料組成物。
本発明の塗料組成物は、大型被塗物塗装用、特に架装車両塗装用として好適に用いることができる塗料組成物である。
まず、本発明に至った経緯を説明する。本発明者らは、架装車両などの大型の被塗物の塗装に好適に用いることができる塗料組成物の開発を行った。例えばトラック、バスなどの大型の被塗物は、普通自動車などと比較して塗装面積が広いため、塗装開始から塗装終了までにある程度の時間が必要となる。さらに、上記のような大型の被塗物は、例えば普通自動車の製造において用いられるようなオートメーション化された塗装及び焼付乾燥炉ブースは使用されず、車両の製造現場において塗装されることが多い。このような塗装においては、一般に車体の区切り毎にスプレー塗装するため、最初に塗装した一方の区切り箇所が順次乾燥・硬化状態となった後に、他方の区切りをスプレー塗装した際に飛散した塗料組成物が付着して塗装表面が粗くなる、スプレーダスト現象が生じることがある。
スプレーダストの不具合を解消する手法の1つとして、例えば、蒸発速度が遅い希釈溶媒を用いる手法が挙げられる。しかしながら、このような希釈溶媒を単に用いるのみでは、塗膜の乾燥・硬化が遅くなることによる、塗装作業性の悪化が生じるおそれがある。
上述の通り、スプレーダストの不具合の解消と塗装作業性とを両立することは、相反する技術的課題について共に解決を図ることとなる。本発明者らは、上記技術的課題の両方を解決することを目的とした。そして、水酸基含有ビニル共重合体(a)および特定の水酸基含有ポリエステル樹脂(b)を含む水酸基含有樹脂(I)を用いることによって、両方の技術的課題を解決することができることを実験により見いだし、本発明を完成するに至った。
上記塗料組成物は、水酸基含有ビニル共重合体(a)および水酸基含有ポリエステル樹脂(b)を含む、水酸基含有樹脂(I)、および、イソシアネート硬化剤(II)、を含む塗料組成物である。以下、上記塗料組成物に含まれる各成分について記載する。
水酸基含有ビニル共重合体(a)
上記塗料組成物に含まれる水酸基含有樹脂(I)は、水酸基含有ビニル共重合体(a)および水酸基含有ポリエステル樹脂(b)を含む。上記水酸基含有ビニル共重合体(a)は、エチレン性不飽和基を有するモノマーを含むモノマー混合物を共重合することによって調製することができる。上記水酸基含有ビニル共重合体(a)は、水酸基含有アクリル樹脂であるのが好ましい。
上記水酸基含有ビニル共重合体(a)の調製は、好ましくは、水酸基含有エチレン性不飽和モノマーを含むモノマー混合物を共重合することによって調製することができる。
水酸基含有エチレン性不飽和モノマーとして、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、これら水酸基含有(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンとの反応物、および、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールとアクリル酸またはメタクリル酸とのエステル化物などが挙げられる。さらに、上記多価アルコールと、アクリル酸またはメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した反応物を用いることもできる。
上記モノマー混合物は、水酸基含有エチレン性不飽和モノマー以外のエチレン性不飽和モノマーを含んでもよい。このようなエチレン性不飽和モノマーとして、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n、iまたはt−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー;
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの、カルボキシル基含有モノマー、および、マレイン酸エチル、マレイン酸ブチル、イタコン酸エチル、イタコン酸ブチルなどのジカルボン酸モノエステルモノマーなどの、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマー;
アリルアミン、p−ビニルアニリンなどの、アミノ基含有エチレン性不飽和モノマー;
(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの脂環基含有エチレン性不飽和モノマー;
(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステルモノマー;
アミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキルアミドモノマー;
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メトキシブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのその他のアミド基含有エチレン性不飽和モノマー;
(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル系モノマー;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの飽和脂肪族カルボン酸ビニルエステルモノマー;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系モノマー;
などを挙げることができる。
これらのモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレートまたはメタアクリレート」を意味する。
水酸基含有エチレン性不飽和モノマー以外のエチレン性不飽和モノマーのうち、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが好ましく用いられる。
上記モノマー混合物の重合方法として、当業者に通常用いられる方法を用いることができる。重合方法として、例えば、ラジカル重合開始剤を用いた、塊状重合法、溶液重合法、塊状重合後に懸濁重合を行う塊状−懸濁二段重合法などを用いることができる。これらの中でも、溶液重合法が特に好ましく用いることができる。溶液重合法として、例えば、上記モノマー混合物を、ラジカル重合開始剤の存在下で、例えば80〜200℃の温度で撹拌しながら加熱する方法などが挙げられる。
上記水酸基含有ビニル共重合体(a)は、重量平均分子量が5,000〜60,000の範囲内であるのが好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であることによって、得られる塗膜の良好な物性および良好な塗装作業性を確保することができる利点がある。上記数平均分子量は、5,500〜30,000の範囲内であるのがより好ましく、6,000〜20,000の範囲内であるのがさらに好ましい。
なお本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量である。
上記水酸基含有ビニル共重合体(a)は、固形分水酸基価が40〜180mgKOH/gの範囲内であるのが好ましい。固形分水酸基価が上記範囲内であることによって、イソシアネート硬化剤との良好な反応性および得られる複層塗膜の良好な塗膜物性を確保することができる利点がある。上記固形分水酸基価は60〜150mgKOH/gの範囲内であるのがより好ましい。
上記水酸基含有ビニル共重合体(a)は、固形分酸価が0〜20mgKOH/gであるのが好ましい。固形分酸価が上記範囲内であることによって、得られる塗膜の良好な塗膜物性を確保することができる利点がある。上記固形分酸価は0〜10mgKOH/gの範囲内であるのがより好ましい。
水酸基含有ビニル共重合体(a)として、市販されるアクリル樹脂を用いてもよい。このようなアクリル樹脂の具体例として、DIC社製の商品名「アクリディック」シリーズ、三菱ケミカル社製の商品名「ダイヤナール」シリーズ、日立化成工業社製の商品名「ヒタロイド」シリーズ、Allnex社製の商品名「MACRYNAL(登録商標)」、「SETALUX(登録商標)」シリーズ、大成ファインケミカル社製の商品名「アクリルポリオール#6000」シリーズ、東レ社製の商品名「コータックス」シリーズなどが挙げられる。
上記水酸基含有ビニル共重合体(a)のSP値は9.5〜11.2の範囲内であるのが好ましい。水酸基含有ビニル共重合体(a)のSP値が上記範囲内であることによって、塗膜の樹脂成分の透明性、塗料の貯蔵安定性、顔料の分散安定性を向上させることができる利点がある。
水酸基含有ポリエステル樹脂(b)
上記塗料組成物に含まれる水酸基含有樹脂(I)は、水酸基含有ビニル共重合体(a)に加えて、特定の水酸基含有ポリエステル樹脂(b)を含む。水酸基含有ポリエステル樹脂(b)として、一般にポリエステルポリオールと呼ばれる、1分子中に2個以上の水酸基を有するポリエステル樹脂が好適に用いられる。このようなポリエステル樹脂は、多価アルコールと多塩基酸またはその無水物とを重縮合(エステル反応)して調製することができる。
多価アルコールの具体例として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ヒドロキシアルキル化ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)ジメチルヒダントイン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカプロラクトンポリオール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−(ヒドロキシエチル)イソシアネートなどが挙げられる。これらの多価アルコールは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多塩基酸またはその無水物の具体例として、例えば、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、無水コハク酸、乳酸、ドデセニルコハク酸、ドデセニル無水コハク酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、無水エンド酸などが挙げられる。これらの多塩基酸またはその無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水酸基含有ポリエステル樹脂(b)として、上記に従い調製したポリエステル樹脂に、ラクトン、油脂または脂肪酸、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などを用いて変性した、変性ポリエステル樹脂を用いることもできる。例えば、油脂または脂肪酸変性ポリエステル樹脂は、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、ヤシ油、コーン油、綿実油、亜麻仁油、荏の油、ケシ油、紅花油、大豆油、桐油などの油脂、またはこれらの油脂から抽出した脂肪酸を用いて、ポリエステル樹脂を変性したものである。この、油脂または脂肪酸変性ポリエステル樹脂の製造においては、ポリエステル樹脂100質量部に対して、上述した油脂および/または脂肪酸を合計で30質量部程度まで加えるのが好ましい。
上記水酸基含有ポリエステル樹脂(b)は、重量平均分子量が500〜2,500の範囲内である。上記重量平均分子量が500未満である場合は、マスキング可能時間、指触乾燥性、耐タレ性が劣るおそれがある。一方で、重量平均分子量が2,500を超える場合は、スプレーダストの不具合などにより、得られる塗膜の外観が劣るおそれがある。水酸基含有ポリエステル樹脂(b)の重量平均分子量は、1,500〜2,200の範囲内であるのがより好ましい。
上記水酸基含有ポリエステル樹脂(b)は、固形分水酸基価が40〜350mgKOH/gの範囲内であるのが好ましい。固形分水酸基価が上記範囲内であることによって、イソシアネート硬化剤(II)との良好な反応性を確保することができ、得られる塗膜の塗膜物性を良好な範囲に設計することができる利点がある。上記固形分水酸基価は80〜300mgKOH/gの範囲内であるのがより好ましい。
上記水酸基含有ポリエステル樹脂(b)のSP値は10.0〜12.0の範囲内であるのが好ましい。水酸基含有ポリエステル樹脂(b)のSP値が上記範囲内であることによって、塗膜の樹脂成分の透明性、塗料の貯蔵安定性、顔料の分散安定性を向上させることができる利点がある。
水酸基含有樹脂(I)
上記塗料組成物中に含まれる水酸基含有樹脂(I)は、上記水酸基含有ビニル共重合体(a)および水酸基含有ポリエステル樹脂(b)の両方を含む。そして、上記水酸基含有ビニル共重合体(a)および水酸基含有ポリエステル樹脂(b)の樹脂固形分質量比は、(a)/(b)=1.71〜8.98の範囲内であることを条件とする。上記樹脂固形分質量比(a)/(b)は、(a)/(b)=3.00〜6.66の範囲内であるのがより好ましい。上記水酸基含有ビニル共重合体(a)および水酸基含有ポリエステル樹脂(b)の樹脂固形分質量比が上記範囲内であることによって、スプレーダストの不具合の解消と塗装作業性とを両立することができる。
イソシアネート硬化剤(II)
イソシアネート硬化剤は、上記水酸基含有樹脂(I)が有する水酸基と反応して架橋構造を形成する硬化剤として用いられる。イソシアネート硬化剤として、脂肪族、脂環式、芳香族基含有脂肪族または芳香族の、ジイソシアネート、ジイソシアネートの二量体、ジイソシアネートの三量体(好ましくはイソシアヌレート型イソシアネート(いわゆるイソシアヌレート))など多官能イソシアネート硬化剤を用いることができる。このようなイソシアネート硬化剤はいわゆるアシンメトリー型のものであってもよい。
代表的なイソシアネート硬化剤として、例えば、
トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、メタキシリレンジイソシアネート(MXDI)等の芳香族ジイソシアネート;
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;
イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;
およびこれらのビュレット体、ヌレート体、トリメチロールプロパン(TMP)アダクト体、ウレトジオン体等;
を挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
イソシアネート硬化剤として、ブロックイソシアネートを用いることもできる。ブロックイソシアネートは、上記多官能イソシアネート硬化剤のイソシアネート基を、ブロック剤でブロックすることによって、調製することができる。ブロック剤は、ポリイソシアネート基に付加し、常温では安定であるが解離温度以上に加熱すると遊離のイソシアネート基を再生し得るものである。ブロック剤としては、ε−カプロラクタム、ブチルセロソルブなどの一般的に使用されるものを用いることができる。
イソシアネート硬化剤(II)として、反応性などの点から、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、または、これらのビュレット体、ヌレート体、トリメチロールプロパン(TMP)アダクト体、ウレトジオン体等を用いるのが好ましく、脂肪族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートのヌレート体、ビュレット体等を用いるのがさらに好ましい。
塗料組成物中に含まれるイソシアネート硬化剤(II)の量は、塗料組成物の形態(例えば着色塗料組成物か、クリヤー塗料組成物か、またはメタリック塗料組成物か、など)に応じて適宜選択することができる。塗料組成物中に含まれるイソシアネート硬化剤(II)の量は、例えば、上記水酸基含有樹脂(I)の樹脂固形分100質量部に対して20〜70質量部の範囲内であるのが好ましく、25〜65質量部の範囲内であるのがより好ましい。
また、イソシアネート硬化剤(II)が有するイソシアネート基と、水酸基含有樹脂(I)が有する水酸基との当量比(NCO/OH)が0.5〜3.0の範囲内となる量であるのが好ましく、1.0〜2.0の範囲内となる量であるのがより好ましい。
硬化触媒
上記塗料組成物は、硬化触媒を含むのが好ましい。上記塗料組成物において好適に用いることができる硬化触媒として、例えば、Bi、Zn、Al、ZrおよびSnからなる群から選択される金属元素を含む有機金属触媒が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
Biを含む有機金属触媒として、例えば、ビスマスカルボン酸およびその塩などが挙げられる。
Znを含む有機金属触媒として、例えば、亜鉛錯体触媒などが挙げられる。
Alを含む有機金属触媒として、例えば、アルミニウム錯体触媒などが挙げられる。
Zrを含む有機金属触媒として、例えば、ジルコニウムキレート触媒などが挙げられる。
Snを含む有機金属触媒として、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテートなどのジアルキルスズジカルボキシレート;ジブチルスズオキサイドなどのスズオキサイド化合物;2−エチルヘキサン酸スズなどのスズカルボン酸塩;などが挙げられる。
上記硬化触媒として、市販品を用いてもよい。市販品として例えば、Bi、Zr、AlおよびZnのうち少なくとも1種を含む有機金属触媒であるK−KATシリーズ(楠本化成株式会社製);Snを含む有機金属触媒である、TVS tin lau(日東化成株式会社製)、アデカスタブシリーズ(ADEKA社製)、Zr、Tiを少なくとも1種を含む有機金属触媒であるオルガチックスシリーズ(マツモトファインケミカル株式会社社製)、Zn、Biを少なくとも1種を含む有機金属触媒であるBorchi Katシリーズ(Borchers社製);などが挙げられる。
上記塗料組成物が硬化触媒を含む場合における、塗料組成物中に含まれる硬化触媒の量は、上記水酸基含有樹脂(I)の樹脂固形分100質量部に対して0.04質量部以上0.18質量部以下であるのが好ましい。
負触媒
上記塗料組成物は、上記硬化触媒に加えて負触媒を含むのが好ましい。本明細書において「負触媒」とは、上記硬化触媒を抑制する機能を発揮する触媒を意味する。負触媒として、酸触媒を用いるのが好ましい。
負触媒として、例えば、炭素数7〜20の芳香族カルボン酸、炭素数4〜11の分枝状カルボン酸などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
炭素数7〜20の芳香族カルボン酸の具体例として、例えば、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸、メチル安息香酸、ヒドロキシトルイル酸、ヒドロキシメチル安息香酸、ヒドロキシイソプロピルメチル安息香酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、ブチル安息香酸、フタル酸、ヒロドキシフタル酸などが挙げられる。
炭素数4〜11の分枝状カルボン酸の具体例として、例えば、2−メチル酪酸、3−メチル酪酸、2,2,−ジメチルプロパン酸、2−エチル酪酸、2−メチルペンタン酸、4−メチルペンタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルペンタン酸、2−エチル−2−メチル酪酸、2,2−ジメチルペンタン酸、2−メチルヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、3−エチルヘキサン酸、2−エチル−2−メチルペンタン酸、2−メチルオクタン酸、2,2−ジメチルヘプタン酸、2−プロピルヘプタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、2,2,4,4−テトラメチルペンタン酸などが挙げられる。
上記塗料組成物が負触媒を含む場合における、塗料組成物中に含まれる負触媒の量は、前記水酸基含有樹脂(I)の樹脂固形分100質量部に対して0.96質量部以上5.16質量部以下であるのが好ましい。
また、塗料組成物中に含まれる硬化触媒および負触媒の質量比は、硬化触媒/負触媒=0.01〜0.20の範囲内であるのが好ましく、硬化触媒/負触媒=0.04〜0.07の範囲内であるのがより好ましい。上記硬化触媒および負触媒の質量比が上記範囲内であることによって、スプレーダストの不具合の解消と塗装作業性とを高位で両立することができる利点がある。
他の成分等
上記塗料組成物は、上記成分に加えて、目的、用途に応じて、他の成分を必要に応じて含んでもよい。他の成分として例えば、各種顔料、樹脂粒子、上記以外の樹脂成分、分散剤、粘性調整剤、造膜助剤、そして塗料組成物において通常用いられる添加剤(例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、消泡剤、表面調整剤、ピンホール防止剤、防錆剤、レベリング剤)などが挙げられる。これらの他の成分は、本開示の塗料組成物が有する諸物性を損なわない態様で添加することができる。
上記塗料組成物は、クリヤー塗料組成物であってもよく、着色塗料組成物であってもよい。例えば、上記塗料組成物がクリヤー塗料組成物である場合は、着色顔料、光輝性顔料以外の顔料(例えば、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、クレー、タルクなどの体質顔料など)を含むのが好ましい。なお本明細書においては、クリヤー塗料組成物において、着色顔料、光輝性顔料を含む態様を完全に排除するものではなく、当業者においてクリヤー塗料組成物として認識することができることを条件として、必要に応じて着色顔料、光輝性顔料などを含んでもよい。
また、例えば上記塗料組成物が着色塗料組成物である場合は、着色顔料を含むのが好ましい。着色顔料として、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、黄色酸化鉄などの無機着色顔料;そして、種々の有機着色顔料、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料;アゾレッド、アゾイエロー、アゾオレンジなどのアゾ系顔料;キナクリドンレッド、シンカシャレッド、シンカシャマゼンタなどのキナクリドン系顔料;ペリレンレッド、ペリレンマルーンなどのペリレン系顔料;カルバゾールバイオレット、アントラピリジン、フラバンスロンイエロー、イソインドリンイエロー、インダスロンブルー、ジブロムアンザスロンレッド、アントラキノンレッド、ジケトピロロピロールなど、が挙げられる。上記着色顔料は、例えば界面活性剤処理、樹脂分散処理、樹脂被覆処理などの処理方法によって処理された顔料であってもよい。
上記塗料組成物は、必要に応じて有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒として、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200(何れもエクソン化学社製)、トルエン、キシレン、メトキシブチルアセテート、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、石油エーテル、石油ナフサなどが挙げられる。
塗料組成物の調製および塗膜形成方法
上記塗料組成物は、上記成分をそれぞれ当業者に知られた方法によって混合することによって、調製することができる。塗料組成物の調製方法は、当業者において通常用いられる方法を用いることができる。例えば、ニーダーまたはロール等を用いた混練混合手段、または、サンドグラインドミルまたはディスパー等を用いた分散混合手段等の、当業者において通常用いられる方法を用いることができる。
上記塗料組成物は、1液形であってもよいし、2液形であってもよい。2液形である場合は、水酸基含有樹脂(I)を含む第1剤と、イソシアネート硬化剤(II)を含む第2剤とから構成されるのが好ましい。上記塗料組成物が2液形である場合における混合時期には、任意の方法であってよく、例えば、使用前に水酸基含有樹脂(I)を含む第1剤と、イソシアネート硬化剤(II)を含む第2剤とを混合して、通常の塗装方法により塗装してもよい。また、2液混合ガンでそれぞれの液をガンまで送液し、ガン先で混合する方法で塗装してもよい。
上記塗料組成物を被塗物に塗装して硬化させることによって、被塗物上に塗膜を形成することができる。被塗物として、例えば、金属基材、プラスチック基材およびこれらの複合基材等が挙げられる。金属基材として、例えば、鉄、鋼、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等の金属およびこれらの金属を含む合金等が挙げられる。金属基材は、亜鉛、銅、クロム等のメッキが施されていてもよく、また、クロム酸、リン酸亜鉛またはジルコニウム塩等の表面処理剤を用いた表面処理が施されていてもよい。プラスチック基材として、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。これらの基材は、プライマー塗装が施されていてもよい。
被塗物は、上記基材を含む成形物であってもよい。成形物として、例えば、大型車両車体、各種車両車体品等の各種成形物が挙げられる。そして上記塗料組成物は、例えば、熱容量が大きいかまたは大型であり、加熱炉中において被塗物に熱が十分に伝達しないかまたは加熱硬化工程の実施自体が困難である被塗物である場合において、特に好適に用いることができる。このような被塗物として、具体的には、架装車両(例えば、トラック、バスなど);鉄道車両;船体;工事用・建設機械(例えば、ブルドーザー、スクレイパー、油圧ショベル、堀削機、ディーゼルハンマー、油圧ハンマー、ロードローラー、ボーリングマシーンなど);産業機械(例えば、弱電・重電機器、農業機械、鋼製家具、工作機械など);などが挙げられる。上記塗料組成物は、被塗物の熱容量が大きいかまたは大型であり、塗装後の高温加熱硬化処理が困難である被塗物に対する塗装においても、好適に用いることができる利点がある。上記塗料組成物は、例えば大型車両などの大型被塗物塗装用、特に架装車両塗装用として好適に用いることができる。
上記塗料組成物を塗装する方法は特に限定されず、例えば、浸漬、刷毛、ローラー、ロールコーター、エアスプレー、エアレススプレー、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーター等の一般に用いられている塗装方法等を挙げることができる。上記スプレー塗装においては、必要に応じて2液混合ガンを用いてもよい。これらは被塗物に応じて適宜選択することができる。
塗料組成物の塗装は、塗膜形成後の乾燥膜厚が20〜150μm、好ましくは30〜100μmとなるように行われる。塗料組成物の硬化温度は、20℃〜150℃の範囲内であるのが好ましく、20℃〜100℃の範囲内であるのがより好ましい。硬化時間は、硬化温度に応じて適宜選択することができ、例えば、10分〜7日の間であってよい。上記塗料組成物は、例えば常温硬化型塗料組成物として好適に用いることができる。
上記塗料組成物は、水酸基含有ビニル共重合体(a)および特定の水酸基含有ポリエステル樹脂(b)を含む水酸基含有樹脂(I)を含むことによって、スプレーダストの不具合の解消と塗装作業性という、相反する技術的課題について共に解決を図ることが可能となった。さらに、硬化触媒および負触媒を特定量比で用いることによって、上記相反する技術的課題を高位で解決することができる利点がある。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
実施例1 塗料組成物の製造
水酸基含有ビニル共重合体(a)であるダイヤナール LR−2658(三菱ケミカル社製、水酸基含有アクリル樹脂)84.98部、水酸基含有ポリエステル樹脂(b)であるP−3010(株式会社クラレ社製)15.02部、硬化触媒であるTVS tin lau(日東化成株式会社製)、ジブチルスズジラウレート)0.13部(有効成分量)および負触媒である2−エチルヘキサン酸 3.59部を混合して、主剤を調製した。
イソシアネート硬化剤(II)として、コロネート HXR(東ソー株式会社製、変性ポリイソシアネート)31.39部を用いた。
実施例2〜11および比較例1〜4 塗料組成物の製造
各成分の種類および量を、下記表に記載の通り変更したこと以外は、実施例1と同様の手順により、塗料組成物を調製した。
実施例12 塗料組成物の製造
あらかじめ、顔料(TIPAQUE CR−95(二酸化チタン、石原産業株式会社製)、合計102.56部)と水酸基含有ビニル共重合体(a)であるダイヤナール LR−2658(三菱ケミカル社製、水酸基含有アクリル樹脂)41.70部を混合し、その顔料が10μm以下になるまでダイノーミルにて分散し、着色ペーストを得た。着色ペーストに水酸基含有ビニル共重合体(a)であるダイヤナール LR−2658(三菱ケミカル社製、水酸基含有アクリル樹脂)42.92部、水酸基含有ポリエステル樹脂(b)であるP−3010(株式会社クラレ社製)15.38部、硬化触媒であるTVS tin lau(日東化成株式会社製)、ジブチルスズジラウレート)0.06部(有効成分量)、負触媒である2−エチルヘキサン酸 0.96部を混合して、主剤を調製した。
イソシアネート硬化剤(II)として、コロネート HXR(東ソー株式会社製、変性ポリイソシアネート)44.87部を用いた。
実施例13 塗料組成物の製造
あらかじめ、メタリック顔料ペーストであるアルペーストTCR2062(東洋アルミニウム社製)33.33部を水酸基含有ビニル共重合体(a)であるダイヤナール LR−2658(三菱ケミカル社製、水酸基含有アクリル樹脂)30.00部と混合し、均一になるまで攪拌した。更に水酸基含有ビニル共重合体(a)であるダイヤナール LR−2658(三菱ケミカル社製、水酸基含有アクリル樹脂)33.11部、水酸基含有ポリエステル樹脂(b)であるP−3010(株式会社クラレ社製)36.89部、硬化触媒であるTVS tin lau(日東化成株式会社製)、ジブチルスズジラウレート)0.09部(有効成分量)、負触媒である2−エチルヘキサン酸 0.44部を混合して、主剤を調製した。
イソシアネート硬化剤(II)として、コロネート HXR(東ソー株式会社製、変性ポリイソシアネート)62.22部を用いた。
実施例14 塗料組成物の製造
負触媒として4−ターシャリブチル安息香酸を用いたこと以外は、実施例2と同様の手順により、塗料組成物を調製した。
上記実施例で得られた塗料組成物の希釈は、下記に従い行った。

(塗料希釈条件)
実施例1〜11、14および比較例1〜4(クリヤー塗料)
希釈剤:主剤100に対して10

実施例12(ソリッド塗料)
希釈剤:主剤100に対して30

実施例13(メタリック塗料)
希釈剤:主剤100に対して100
また、上記希釈剤として下記有機溶媒を用いた。
希釈剤:酢酸イソブチル:30〜35部、酢酸ノルマルブチル:20〜25部、酢酸エチル:5〜10部、メチルシクロヘキサン:5〜10部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:1〜5部、3−エトキシプロピオン酸エチル:10〜15部、脂肪族炭化水素:1〜5部、高沸点芳香族ナフサ:5〜10部の混合溶液。
実施例および比較例で調製した塗料組成物を用いて、下記評価を行った。評価結果を下記表に示す。
ダストなじみ性評価
上記実施例および比較例より得られた塗料組成物を、試験板(20×30cmブリキ板を2枚並べた状態)に対して、乾燥膜厚が30〜100μmとなるようにスプレー塗装した。塗装後の試験板を、塗装面が垂直となる状態で、温度23±2℃及び湿度50±2%条件下で30分間保持した。
試験板の1枚は、評価基準板として保管した。残りの1枚は、架台に取り付けて、取り付けた試験板の横で、塗料組成物を3回スプレー塗装し、スプレーダストが発生しうる状況とした(ダスト塗装)。
試験板を架台から外し、目視評価を行った。併せて、WaveScanを用いて塗膜平滑性を測定し、参考値として用いた。

評価基準
◎:ダスト塗装前後で外観変化なし
○:ダスト塗装後の試験板は、平滑性がダスト塗装前よりやや劣る
△:ダスト塗装後の試験板は、目視ではダストが確認できないが、触るとざらつきがあり、平滑性がダスト塗装前より劣る
×:ダスト塗装後の試験板は、ダスト粒子が白く残っている状態であることが目視確認される
指触乾燥性評価
JIS K5600−1−1の規定に準拠して評価を行った。
スプレーガン(W−200−152G、アネスト岩田社製)を用いて、塗装条件:手元圧0.3MPa、吐出3.5回戻、パターン全開、1.5回塗装、により、実施例および比較例で得られた塗料組成物を、試験板(40cm×60cm)に対してスプレー塗装した。
塗装した試験板を、温度23±2℃及び湿度50±2%条件下で静置し、塗装した塗膜表面の中央に触れた場合において指先が汚れない状態になるまでの時間(指触乾燥時間)を測定した。
マスキング可能時間評価
スプレーガン(W−200−152G、アネスト岩田社製)を用いて、塗装条件:手元圧0.3MPa、吐出3.5回戻、パターン全開、1.5回塗装、により、実施例および比較例で得られた塗料組成物を、試験板(40cm×60cm)に対してスプレー塗装した。
塗装した試験板を、温度23±2℃及び湿度50±2%条件下で2時間静置した。その後、18mmマスキングテープ(3M社製Scotch(登録商標)平面紙マスキングテープ 244)を塗膜表面に貼り付け、貼り付けから30分後にマスキングテープを剥がした。上記作業を、1時間おきに繰り返した。剥がした箇所にテープ残り跡が目視で確認できなくなる状態になるまでの時間(マスキング可能時間)を測定した。
ポットライフ評価
実施例および比較例で調製した塗料組成物を20℃条件下で静置した。
塗料組成物の主剤、硬化剤および希釈剤を混合し、混合直後の粘度(簡易測定粘度)を、粘度カップNK−2を用いて下記手順により測定し、測定した時間(秒)を初期粘度値とした。
混合から1時間経過した後の粘度を上記と同様にして測定し、同様の操作を30分おきに繰り返した。
時間経過後の粘度(秒)と、初期粘度(秒)との差が2秒を超えるまでに要した混合物静置時間をポットライフとし、評価した。
粘度カップNK−2による簡易粘度測定手順
混合物中に粘度カップを入れ、次いで粘度カップを中から引き上げ、この時点より時間(秒)の測定を開始した。
粘度カップ中の混合物が、粘度カップの下部の小孔より流出し、混合物流出の流れが途切れるまでに要した時間(秒)を測定した。
Figure 2021021019
Figure 2021021019
Figure 2021021019
表中に記載された各成分は以下の通りである。
・水酸基含有ポリエステル樹脂(b)
(b−1):P−1010(株式会社クラレ社製、重量平均分子量1,000)
(b−2):P−2010(株式会社クラレ社製、重量平均分子量2,000)
(b−3):FLEXOREZ148(KING INDUSTRIES社製、重量平均分子量3,000)
(b−4):P−510(株式会社クラレ社製、重量平均分子量500)
(b−5):R−6010(株式会社クラレ社製、重量平均分子量6,000)

・負触媒
(1):2−エチルヘキサン酸
(2):4−ターシャリブチル安息香酸
実施例の塗料組成物はいずれも、ダストなじみ性が良好であることが確認された。また、指触乾燥性が30分以内であり、マスキング可能時間が10時間以内であることが確認された。また、ポットライフも1〜5時間の範囲内であり塗装作業性が良好であることが確認された。
比較例1は、水酸基含有ポリエステル樹脂(b)の重量平均分子量が上記範囲に満たない例である。この例では、指触乾燥性およびマスキング可能時間が早い一方で、ダストなじみ性が悪いことが確認された。
比較例2は、水酸基含有ポリエステル樹脂(b)の重量平均分子量が上記範囲を超える例である。この例では、ダストなじみ性が良好であるものの、指触乾燥性が悪く、またマスキング可能時間まで長時間を要するため、塗装作業性が悪いことが確認された。
比較例3は、水酸基含有ポリエステル樹脂(b)を含まない例である。この例では、指触乾燥性およびマスキング可能時間が早い一方で、ダストなじみ性が悪いことが確認された。
比較例4は、水酸基含有ポリエステル樹脂(b)の量が多く、質量比(a)/(b)が1.71未満である例である。この例では、ダストなじみ性が良好であるものの、指触乾燥性が悪く、またマスキング可能時間まで長時間を要するため、塗装作業性が悪いことが確認された。
上記塗料組成物は、大型被塗物、特に架装車両の塗装において好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 水酸基含有ビニル共重合体(a)および水酸基含有ポリエステル樹脂(b)を含む、水酸基含有樹脂(I)、および
    イソシアネート硬化剤(II)、
    を含む塗料組成物であって、
    前記水酸基含有ポリエステル樹脂(b)の重量平均分子量は、500〜2,500の範囲内であり、
    前記塗料組成物中に含まれる水酸基含有ビニル共重合体(a)および水酸基含有ポリエステル樹脂(b)の樹脂固形分質量比は、(a)/(b)=1.71〜8.98の範囲内である、
    塗料組成物。
  2. さらに硬化触媒を含み、塗料組成物中に含まれる硬化触媒の量は、前記水酸基含有樹脂(I)の樹脂固形分100質量部に対して0.04質量部以上0.18質量部以下である、請求項1記載の塗料組成物。
  3. さらに負触媒を含み、塗料組成物中に含まれる負触媒の量は、前記水酸基含有樹脂(I)の樹脂固形分100質量部に対して0.96質量部以上5.16質量部以下である、請求項2記載の塗料組成物。
  4. 前記塗料組成物中に含まれる硬化触媒および負触媒の質量比は、硬化触媒/負触媒=0.01〜0.20の範囲内である、請求項3記載の塗料組成物。
  5. 前記水酸基含有ビニル共重合体(a)のSP値は9.5〜11.2の範囲内であり、前記水酸基含有ポリエステル樹脂(b)のSP値は10.0〜12.0の範囲内である、請求項1〜4いずれかに記載の塗料組成物。
  6. 前記硬化触媒は、Bi、Zn、Al、ZrおよびSnからなる群から選択される金属元素を含む有機金属触媒を1種またはそれ以上含む、請求項2〜5いずれかに記載の塗料組成物。
  7. 前記負触媒は酸触媒であり、炭素数7〜20の芳香族カルボン酸および炭素数4〜11の分枝状カルボン酸からなる群から選択される1種またはそれ以上含む、請求項3〜6いずれかに記載の塗料組成物。
  8. 常温硬化型塗料組成物である、請求項1〜7いずれかに記載の塗料組成物。
  9. 架装車両塗装用である、請求項1〜8いずれかに記載の塗料組成物。
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