JP7385642B2 - 塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、塗料組成物に関する。
自動車に使用されているプラスチック部品(例えば、バンパー、プラスチックフェンダーおよびプラスチックバックドア)の塗装に欠陥が存在すると、それを覆うように再度、塗装が行われる。行程負荷を低減するために、通常、欠陥が存在するプラスチック部品に研磨などの前処理を行うことなく、そのまま再度塗装が行われる。この塗装を、ノンサンドリコートと言う。特許文献1は、リコート性が高い塗料組成物を開示している。
特開2021-172688号公報
特許文献1では、硬化した無機粒子を含むフィルムの、表面自由エネルギーを制御することにより、リコート性を向上させている。本発明は、上記特許文献とは異なる構成により、外観およびノンサンドリコート性に優れる塗膜が得られる塗料組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]
塗料組成物であって、
水酸基含有アクリル樹脂(a)と、
前記塗料組成物中に分散している架橋有機粒子(b)と、
セルロース誘導体(c)と、
イソシアネート基を3つ以上有するイソシアヌレート化合物(d)と、を含み、
前記セルロース誘導体(c)の配合量は、前記塗料組成物に含まれる水酸基含有樹脂の合計の固形分100質量部に対して、0.1質量部以上であり、
前記塗料組成物の、23℃で、フローカップ法により測定される粘度が20秒以上35秒以下である、塗料組成物。
[2]
前記セルロース誘導体(c)は、数平均分子量が10,000以上40,000以下であり、ガラス転移温度が85℃以上である、上記[1]に記載の塗料組成物。
[3]
前記セルロース誘導体(c)は、セルロースエステルを含む、上記[1]または[2]に記載の塗料組成物。
[4]
前記水酸基含有アクリル樹脂(a)は、水酸基価が90mgKOH/g以上190mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が3,500以上8,000以下であり、ガラス転移温度が10℃以上70℃以下である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の塗料組成物。
[5]
さらに、水酸基含有ポリエステル樹脂(e)を含み、
前記水酸基含有アクリル樹脂(a)の固形分100質量部に対する、前記水酸基含有ポリエステル樹脂(e)の配合量は、0.1質量部以上25質量部以下である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の塗料組成物。
本発明によれば、外観およびノンサンドリコート性に優れるクリヤー塗膜が得られる、塗料組成物が提供される。
既存の塗膜を研磨により剥離した後、行われる塗装は、補修と言われる。補修では、既存の塗膜が除去されるため、新しい塗膜との密着性は通常、問題とはならない。
一方、上記の通り、ノンサンドリコートでは、通常、欠陥周辺の塗膜は除去されない。そのため、ノンサンドリコートにおいて、既存の塗膜と再塗装によって形成される塗膜との密着性が重要である。以下、既存の塗膜と新しい塗膜との密着性を、ノンサンドリコート性という。ノンサンドリコート性に優れるとは、既存の塗膜と新しい塗膜との密着性が高いことを言う。
既存の塗膜と再塗装によって形成される塗膜とは、同一組成の塗料により形成される場合が多いが、これに限らない。異なる組成の塗膜同士の密着性は、特に低下し易い。ノンサンドリコート性には、既存の塗膜の最外に配置されるクリヤー塗膜の物性が特に関係する。
イソシアネート化合物と水酸基含有樹脂から構成される二液タイプの塗料は、イソシアネート基と水酸基との反応によって硬化する。しかし、この反応は、通常、塗膜の硬化工程においてすべて進行するわけではなく、硬化後にも経時的に進行していく。特に、低温短時間の条件で硬化が行われる場合、この傾向が顕著である。ノンサンドリコートは、既存の塗膜が形成されてからある程度時間が経過した後、行われる場合が多い。ノンサンドリコートまでの間に上記の経時的な反応が進行して、未反応のイソシアネート基および水酸基が減少すると、ノンサンドリコート性は低下し易い。また、ノンサンドリコートされるまでの間に、イソシアネート基が空気中の水分と反応すると、既存の塗膜の表面にウレア結合が形成されて、やはりノンサンドリコート性が低下し得る。
塗膜は、外観に優れることもまた重要である。優れた外観とノンサンドリコート性とを両立するために、本実施形態では、特定量のセルロース誘導体を使用する。さらに、塗料組成物の粘度を規定する。特定量のセルロース誘導体は、ノンサンドリコート性を向上させる。塗料が適切な粘度を有していることは、塗膜の外観を向上させる。
[塗料組成物]
本実施形態に係る塗料組成物は、水酸基含有アクリル樹脂(a)と、塗料組成物中に分散している架橋有機粒子(b)と、セルロース誘導体(c)と、イソシアネート基を3つ以上有するイソシアヌレート化合物(d)と、を含む。セルロース誘導体(c)の配合量は、塗料組成物に含まれる水酸基含有樹脂の合計の固形分100質量部に対して、0.1質量部以上である。
本実施形態に係る塗料組成物から得られる塗膜は、新たに付与される塗料との密着性に優れる。そのため、本実施形態に係る塗料組成物は、特に、被塗物に最初に形成される複合塗膜の最外に形成されるクリヤー塗膜用の塗料として適している。
23℃でフローカップ法により測定される塗料組成物の粘度は、20秒以上35秒以下である。これにより、セルロース誘導体(c)が0.1質量部以上配合されていても、塗膜の外観を向上することができる。上記粘度は、塗装に供される塗料組成物のものであって、調製直後(具体的には、硬化剤とそれ以外の成分とが混合された直後)のものである。塗装に供される塗料組成物は、通常、希釈成分を用いて希釈されている。この場合、上記粘度は、希釈後の塗料組成物のものである。以下、上記粘度を塗装粘度ηと称する。
塗装粘度ηは、23秒以上であってよい。塗装粘度ηは、35秒以下であってよく、30秒以下であってよい。
塗料組成物の粘度は、JIS K5600-2-2:1999の「3.フローカップ法」に準拠して、23℃下、No4フォードカップで測定される。粘度は、同じ構成の異なる5つの塗料組成物の粘度の平均値である。
塗料組成物の固形分濃度は特に限定されない。低VOCおよび工程短縮の観点から、塗料組成物の固形分濃度は、例えば、45質量%以上60質量%以下である。上記固形分濃度は、上記の通り、塗装に供される塗料組成物のものである。塗料組成物の固形分濃度は、48質量%以上であってよく、50質量%以上であってよい。塗料組成物の固形分濃度は、58質量%以下であってよく、57質量%以下であってよい。塗料組成物の固形分は、非水溶媒等の希釈成分を除く全成分である。
以下、水酸基含有アクリル樹脂(a)、および、その他の水酸基を含有する塗膜形成成分(典型的には、後述する水酸基含有ポリエステル樹脂(e)。ただし、硬化剤を除く。)を、水酸基含有樹脂と総称する。
(a)水酸基含有アクリル樹脂
水酸基含有アクリル樹脂(a)は、塗膜のベースとなる樹脂(塗膜形成成分)である。水酸基含有アクリル樹脂(a)は、イソシアヌレート化合物(d)と反応して、架橋構造を形成する。
水酸基含有アクリル樹脂(a)は、1分子内に複数のアクリロイル基と1以上(典型的には、2以上)の水酸基とを有する。アクリル樹脂は、アクリル酸およびそのエステル、メタクリル酸およびそのエステルのうちの少なくとも一つのモノマーを重合して得られる。
水酸基含有アクリル樹脂(a)の水酸基価は、例えば、90mgKOH/g以上である。これにより、架橋密度が高くなり易い。水酸基含有アクリル樹脂(a)の水酸基価は、100mgKOH/g以上であってよく、110mgKOH/g以上であってよい。水酸基含有アクリル樹脂(a)の水酸基価は、例えば、190mgKOH/g以下である。これにより、塗膜の親水化が抑制されて、塗膜の耐水性が向上し易い。水酸基含有アクリル樹脂(a)の水酸基価は、180mgKOH/g以下であってよく、170mgKOH/g以下であってよい。一態様において、水酸基含有アクリル樹脂(a)の水酸基価は、90mgKOH/g以上190mgKOH/g以下である。
水酸基価は、JIS K 0070に記載されている水酸化カリウム水溶液を用いる中和滴定法により求めることができる。
水酸基含有アクリル樹脂(a)の重量平均分子量は、例えば、3,500以上である。これにより、得られる塗膜の硬度および耐候性が向上し易い。水酸基含有アクリル樹脂(a)の重量平均分子量は、4,000以上であってよい。水酸基含有アクリル樹脂(a)の重量平均分子量は、例えば、8,000以下である。これにより、塗料組成物の過度な粘度上昇が抑制され易くなる。水酸基含有アクリル樹脂(a)の重量平均分子量は、7,000以下であってよく、6,000以下であってよい。一態様において、水酸基含有アクリル樹脂(a)の重量平均分子量は、3,500以上8,000以下である。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したクロマトグラムから、標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出できる。ゲルパーミエーションクロマトグラフとしては、例えば、HLC-8200(東ソー社製)が用いられる。これを用いた測定条件は以下の通りである。
カラム: TSgel Super Multipore HZ-M 3本
展開溶媒: テトラヒドロフラン
カラム注入口オーブン: 40℃
流量: 0.35ml
検出器 示差屈折率検出器(RI)
標準ポリスチレン 東ソー株式会社製PSオリゴマーキット
水酸基含有アクリル樹脂(a)のガラス転移温度(Tg)は、例えば、10℃以上である。これにより、得られる塗膜の耐汚染性、耐擦り傷性および硬度が向上し易い。水酸基含有アクリル樹脂(a)のTgは、15℃以上であってよい。水酸基含有アクリル樹脂(a)のTgは、例えば、70℃以下である。これにより、クリヤー塗料組成物の速乾性が向上し易い。水酸基含有アクリル樹脂(a)のTgは、60℃以下であってよく、55℃以下であってよい。一態様において、水酸基含有アクリル樹脂(a)のTgは、10℃以上70℃以下である。
ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、以下の方法により求められる。水酸基含有アクリル樹脂(a)に対して、昇温速度10℃/minにて20℃から150℃に昇温する工程(工程1)と、工程1の後、降温速度10℃/minにて150℃から-50℃に降温する工程(工程2)と、工程2の後、昇温速度10℃/minにて-50℃から150℃に昇温する工程(工程3)とを行う。工程3の昇温時のチャートから得られる値が、当該水酸基含有アクリル樹脂(a)のTgである。DSCとしては、例えば、熱分析装置SSC5200(セイコー電子製)が用いられる。
硬度の観点から、水酸基含有アクリル樹脂(a)は、水酸基価が90mgKOH/g以上190mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が3,500以上8,000以下であり、かつ、Tgが10℃以上70℃以下であることが好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂(a)の酸価(AV)は、2mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であってよい。これにより、得られる塗膜の平滑性が良好になり易い。さらに、塗料組成物を他の未硬化の塗膜上に塗装したとき、混相の発生が抑制され易い。水酸基含有アクリル樹脂(a)の酸価は、3mgKOH/g以上であってよい。水酸基含有アクリル樹脂(a)の酸価は、20mgKOH/g以下であってよく、15mgKOH/g以下であってよい。酸価は、水酸基価と同様の方法により求めることができる。
塗料組成物の固形分100質量部に占める、水酸基含有アクリル樹脂(a)の固形分量は、例えば、60質量部以上である。これにより、得られる塗膜の外観(特に、平滑性)が向上し易い。水酸基含有アクリル樹脂(a)の上記固形分量は、65質量部以上であってよく、70質量部以上であってよい。水酸基含有アクリル樹脂(a)の上記固形分量は、例えば、95質量部以下である。これにより、塗料組成物の乾燥性が向上し易い。水酸基含有アクリル樹脂(a)の上記固形分量は、90質量部以下であってよく、85質量部以下であってよい。一態様において、塗料組成物の固形分100質量部に占める、水酸基含有アクリル樹脂(a)の固形分量は、60質量部以上95質量部以下である。
水酸基含有アクリル樹脂(a)の原料モノマーとしては、例えば、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル等のアクリル酸ヒドロキシエステル;メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸4-ヒドロキシブチル等のメタクリル酸ヒドロキシエステル;が挙げられる。さらに、必要に応じて、アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸イソボロニル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸イソボロニル等のメタクリル酸エステル;スチレン等の芳香環を有するエチレン性不飽和モノマー等を用いてもよい。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。市販の水酸基含有アクリル樹脂(a)を用いてもよい。
(b)架橋有機粒子
架橋有機粒子(b)は、有機化合物である。架橋有機粒子(b)は、塗料組成物に含まれる各成分に対して不溶であって、塗料組成物中で粒子状に分散している。
架橋有機粒子(b)は、クリヤー塗料組成物中において粒子状で均一に分散している。そのため、架橋有機粒子(b)は、水酸基含有樹脂とイソシアヌレート化合物との間に入り込み易く、両者を分離した状態で維持することができる。これにより、クリヤー塗料組成物のポットライフが向上し得る。ポットライフの向上により、塗膜の外観も向上し得る。
ポットライフとは、主剤(典型的には、上記の水酸基含有樹脂)と硬化剤等とを混合してから、塗料として使用できる間の時間である。主剤と硬化剤とを混合すると、両者の反応が開始されて塗料組成物の硬化が進行し、粘度が上昇する。ポットライフが短いということは、保管中に硬化反応が進行し易く、塗料組成物の粘度が増大しているということである。塗料組成物の粘度が過度に高くなると、均一に塗布することが困難となり、平滑な塗膜が得られ難い。
さらに、架橋有機粒子(b)は分散しているため、塗料中では当該粒子間で相互作用が働き難い。そのため、架橋有機粒子(b)自身による、塗料組成物の粘度上昇も抑制される。一方、塗装によって希釈成分が揮発すると、架橋有機粒子(b)同士の距離が近くなって、相互作用が強く働く。そのため、塗料組成物の粘度が上昇して、タレが抑制され、作業性が向上する。
架橋有機粒子(b)の粒子径は特に限定されない。架橋有機粒子(b)の塗料組成物中における平均粒子径は、50nm以上であってよく、80nm以上であってよい。架橋有機粒子(b)の平均粒子径は、1,000nm以下であってよく、500nm以下であってよい。一態様において、架橋有機粒子(b)の平均粒子径は、50nm以上1,000nm以下である。架橋有機粒子(b)の平均粒子径は、レーザ回折・散乱方式の粒度分布測定装置を用いた個数基準の粒度分布における、一次粒子の50%平均粒子径(D50)である。
水酸基含有樹脂の合計の固形分100質量部に対する、架橋有機粒子(b)の配合量は、例えば、0.1質量部以上である。これにより、塗料組成物のポットライフの向上が期待できる。架橋有機粒子(b)の上記配合量は、0.5質量部以上であってよく、1質量部以上であってよい。架橋有機粒子(b)の上記配合量は、例えば、10質量部以下である。これにより、塗料組成物の塗装粘度の増大が抑制され易い。架橋有機粒子(b)の上記配合量は、7質量部以下であってよく、5質量部以下であってよい。一態様において、水酸基含有樹脂の合計の固形分100質量部に対する、架橋有機粒子(b)の配合量は、0.1質量部以上10質量部以下である。
架橋有機粒子(b)は、特に限定されない。架橋有機粒子(b)としては、例えば、溶媒置換架橋有機粒子(b1)および非水系架橋有機粒子(b2)が挙げられる。溶媒置換架橋有機粒子(b1)は、水媒体中で架橋モノマーを乳化重合させた後、有機溶媒に置換して、得られた架橋有機粒子を分散させることにより得られる。非水系架橋有機粒子(b2)は、非水系の溶媒中で分散重合を行うことにより、架橋有機粒子を直接的に有機溶剤中に分散させる方法により得らえる。
溶媒置換架橋有機粒子(以下、SS粒子と称する場合がある。)は、例えば、(メタ)アクリル樹脂である。「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの両方を含む概念である。
SS粒子(b1)は、例えば、以下のようにして調製される。
まず、エチレン性不飽和単量体(b11)と架橋性単量体(b12)とを水性溶媒中で公知の方法により乳化重合して、重合体架橋微粒子を含むエマルションを得る。その後、エマルションに含まれる水を除去する。これにより、SS粒子(b1)が得られる。水の除去は、例えば、水性溶媒の有機溶媒への置換、共沸、遠心分離、濾過、乾燥によって行われる。水性溶媒を有機溶媒に置換する場合、SS粒子(b1)は、有機溶媒に分散した状態で得られる。
エチレン性不飽和単量体(b11)として、代表的には、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
エチレン性不飽和単量体(b11)として、上記のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルとともに、これと共重合し得る他のエチレン性不飽和結合を有する単量体を用いてもよい。他の単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
架橋性単量体(b12)として、代表的には、1分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体(b12a)、および、相互に反応し得る基をそれぞれ有する2種のエチレン性不飽和基含有単量体の組み合わせ(b12b)が挙げられる。単量体(b12a)および単量体の組み合わせ(b12b)は、それぞれ単独で、あるいは組み合わせて用いられる。
単量体(b12a)としては、例えば、多価アルコールの重合性不飽和モノカルボン酸エステル、多塩基酸の重合性不飽和アルコールエステル、および、2以上のビニル基を有する芳香族化合物が挙げられる。
SS粒子(b1)の原料モノマーとして、さらに、架橋剤と反応し得る官能基を有する単量体(b13)を用いてもよい。単量体(b13)として、代表的には、カルボキシル基含有単量体、ヒドロキシル基含有単量体、含窒素単量体が挙げられる。
非水系架橋有機粒子(以下、NAD粒子と称する場合がある。)(b2)は、例えば、(メタ)アクリル樹脂である。NAD粒子(b2)は、コアシェル型である。
NAD粒子(b2)において、コア部は、例えば、水酸基を含有するアクリル酸エステルモノマー(b21)、あるいはカルボキシル基を有するα,β-エチレン性不飽和モノマー(b22a)と、水酸基を有するα,β-エチレン性不飽和モノマー(b22b)とを含む。コア部の水酸基価は、例えば、100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である。
水酸基を含有するアクリル酸エステルモノマー(b21)としては、例えば、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシイソプロピル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が挙げられる。
カルボキシル基を有するα,β-エチレン性不飽和モノマー(b22a)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。水酸基を有するα,β-エチレン性不飽和モノマー(e22b)としては、アクリル酸2-ヒドロキシエチル等のアクリル酸ヒドロキシエステル;メタクリル酸2-ヒドロキシエチル等のメタクリル酸ヒドロキシエステル;が挙げられる。
コア部は、さらに、アクリル酸;アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル;ビニル基を1つまたは2つ有するモノマー;イソシアネート基を有するモノマー;アリル基を有するモノマー;エポキシ基を有するモノマー;ビニル基を1つまたは2つ有する酸無水物;を含んでいてもよい。
また、架橋性単量体(b12)として、代表的には、1分子内に2個以上のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体(b12a)、および、相互に反応し得る基をそれぞれ有する2種のエチレン性不飽和基含有単量体の組み合わせ(b12b)が挙げられる。単量体(b12a)および単量体の組み合わせ(b12b)は、それぞれ単独で、あるいは組み合わせて用いられる。
NAD粒子(b2)において、シェル部は、例えば、水酸基含有アクリル樹脂(ポリマー)を含む。シェル部の水酸基価は、例えば、50mgKOH/g以上160mgKOH/g以下である。
シェル部の原料モノマーとしては、例えば、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル等のアクリル酸ヒドロキシエステル;メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸4-ヒドロキシブチル等のメタクリル酸ヒドロキシエステル;が挙げられる。シェル部の原料モノマーは、さらに、アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸イソボロニル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸イソボロニル等のメタクリル酸エステル;スチレン等の芳香環を有するエチレン性不飽和モノマー;を含んでいてよい。
NAD粒子(b2)は、例えば、上記シェル部の構成材料(ポリマー)と、上記コア部の構成材料(モノマー)とを、当該モノマーは溶解するが、ポリマーは溶解しない溶剤中で重合することにより、製造できる。
(c)セルロース誘導体
適切な量のセルロース誘導体は、ノンサンドリコート性を向上させる。セルロース誘導体は、塗膜の表面に偏在し易く、塗膜の表面の凝集力を高めることができる。よって、セルロース誘導体を含む既存の塗膜は、新しい塗膜との密着性(すなわち、ノンサンドリコート性)が高い。
セルロース誘導体(c)の配合量は、塗料組成物に含まれる水酸基含有樹脂の合計の固形分100質量部に対して、0.1質量部以上である。これにより、得られる塗膜のノンサンドリコート性が向上する。セルロース誘導体(c)の上記配合量は、1質量部以上であってよく、2質量部以上であってよい。セルロース誘導体(c)の粘度に関わらず、セルロース誘導体(c)の上記配合量は0.1質量部以上である。
一方、セルロース誘導体(c)の上記配合量の上限値は、セルロース誘導体(c)の粘度や他の配合成分を考慮して、塗装粘度が35秒を超えないように設定される。例えば、ASTM-D-1343に記載された方法(ボールドロップ法によるセルロース誘導体の粘度の標準試験法)により測定される粘度が0.005秒以上0.5秒未満のセルロース誘導体(c)の上記配合量は、例えば、10質量部以下であり、7質量部以下であってよい。セルロース誘導体(c)の上記粘度が0.5秒以上5秒未満のセルロース誘導体(c)の上記配合量は、例えば、5質量部未満であり、3質量部以下であってよい。セルロース誘導体(c)の上記粘度が5秒以上のセルロース誘導体(c)の上記配合量は、3質量部未満であり、1質量部以下であってよい。
セルロース誘導体(c)の数平均分子量は、例えば、10,000以上である。これにより、ノンサンドリコート性がさらに向上し得る。セルロース誘導体(c)の数平均分子量は、12,000以上であってよく、15,000以上であってよい。セルロース誘導体(c)の数平均分子量は、例えば、40,000以下である。これにより、塗料組成物の粘度上昇が抑制される。セルロース誘導体(c)の数平均分子量は、30,000以下であってよく、25,000以下であってよい。一態様において、セルロース誘導体(c)の数平均分子量は、10,000以上40,000以下である。
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定される、スチレンホモポリマー換算値である。
セルロース誘導体(c)のTgは、例えば、85℃以上である。これにより、クリヤー塗料組成物が成膜するとき凝集力が向上して、密着性がさらに向上する。セルロース誘導体(f)のTgは、例えば、130℃以下である。これにより、クリヤー塗料組成物の上記粘度が、35秒以下に維持され易くなる。一態様において、セルロース誘導体(f)のTgは、85℃以上130℃以下である。この場合、ノンサンドリコート性がさらに向上して、粘度が20秒以上35秒以下に維持され易い。
同様に、ノンサンドリコート性および塗料粘度の最適化の両立の観点から、セルロース誘導体(c)は、数平均分子量が10,000以上40,000以下であり、かつ、ガラス転移温度が85℃以上であることが好ましい。
セルロース誘導体(c)は、特に限定されない。セルロース誘導体(c)としては、代表的には、セルロースエーテルおよびセルロースエステルが挙げられる。セルロース誘導体(c)は、セルロースエーテルおよびセルロースエステルよりなる群から選択される少なくとも1つを含んでいてよく、少なくともセルロースエステルを含んでいてよい。
セルロースエステルとしては、具体的には、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースブチレート、セルローストリブチレート、セルロースプロピオネート、セルローストリプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、カルボキシメチルセルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースアセテートプロピオネート、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートブチレートサクシネート、セルロースプロピオネートブチレートが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、樹脂成分との溶解性および粘性の発現等の観点から、カルボキシメチルセルロースアセテートブチレート(CAB)が好ましい。
セルロースエーテルとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドリキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。
(d)イソシアヌレート化合物
イソシアヌレート化合物(d)は硬化剤であり、水酸基含有樹脂と反応して架橋構造を形成し、塗料組成物を硬化させる。
イソシアヌレート化合物(d)は、1分子中に少なくとも3個のイソシアネート基と、トリアジントリオン環とを有する。イソシアヌレート化合物(d)は、1分子中に3個のイソシアネート基を有していてよい。イソシアヌレート化合物(d)は、典型的には、ポリイソシアネート化合物の三量体である。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、分子中にイソシアネート基に結合していない芳香環を有する脂肪族ポリイソシアネート(芳香脂肪族ポリイソシアネート)、芳香族ポリイソシアネート、これらポリイソシアネートの誘導体などを挙げることができる。具体的には、トリレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4-トリメチルへキサンジイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート-(1,11)、リジンエステルジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。なかでも、イソシアヌレート化合物(d)は、炭素数3以上24以下の脂肪族ポリイソシアネートの三量体であってよく、炭素数5以上18以下の脂肪族ポリイソシアネートの三量体であってよい。
イソシアヌレート化合物(d)に含まれるイソシアネート基と、水酸基含有樹脂に含まれる水酸基との当量比:NCO/OHは、0.8以上であってよく、0.9以上であってよく、1.0以上であってよい。当量比がこの範囲であると、得られる塗膜の凝集力が高まり易くなって、ノンサンドリコート性も向上し得る。当量比:NCO/OHは、2.0以下であってよく、1.8以下であってよく、1.5以下であってよい。当量比がこの範囲であると、ウレタン結合の形成が抑制されるため、ノンサンドリコート性の向上が期待できる。一態様において、当量比:NCO/OHは、0.8以上2.0以下である。本実施形態に係る塗料組成物によれば、上記当量比:NCO/OHの範囲内で反応率が経時的に変化する場合であっても、優れたノンサンドリコート性を達成できる。
(その他の硬化剤)
本実施形態に係る塗料組成物は、その他の硬化剤として、例えば、イソシアヌレート化合物(d)以外のポリイソシアネート化合物をさらに含み得る。その他のポリイソシアネート化合物としては、2官能イソシアネートから誘導されるウレトジオン、イミノオキザジアジンジオン、ビウレット体、アダクト体等のポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。その他の硬化剤の含有量は、塗膜形成成分に応じて適宜設定される。
(e)水酸基含有ポリエステル樹脂
本実施形態に係る塗料組成物は、さらに、水酸基含有ポリエステル樹脂(e)を含んでいてよい。水酸基含有ポリエステル樹脂(e)もまた、塗膜形成成分であって、イソシアヌレート化合物(d)と反応して、架橋構造を形成する。水酸基含有ポリエステル樹脂(e)は、複数のエステル結合と1以上の水酸基とを有する。
水酸基含有アクリル樹脂(a)は、塗料組成物の粘度を増大させ易い。一方、水酸基含有ポリエステル樹脂(e)は、一般に粘度が低く、また水酸基価を高くし易い。水酸基含有ポリエステル樹脂(e)を併用することにより、粘度上昇を抑制しながら、架橋密度を向上することができる。
水酸基含有ポリエステル樹脂(e)の水酸基価は、例えば、80mgKOH/g以上である。これにより、塗膜の架橋密度が高くなり易い。水酸基含有ポリエステル樹脂(e)の水酸基価は、100mgKOH/g以上であってよい。水酸基含有ポリエステル樹脂(e)の水酸基価は、例えば、500mgKOH/g以下である。これにより、塗膜の親水化が抑制されて、塗膜の耐水性が向上し易い。水酸基含有ポリエステル樹脂(e)の水酸基価は、480mgKOH/g以下であってよく、450mgKOH/g以下であってよい。一態様において、水酸基含有アクリル樹脂(a)の水酸基価は、80mgKOH/g以上500mgKOH/g以下である。
水酸基含有ポリエステル樹脂(e)の数平均分子量は、例えば、700以上である。これにより、得られる塗膜の硬度および耐候性が向上し易い。水酸基含有ポリエステル樹脂(e)の数平均分子量は、900以上であってよい。水酸基含有ポリエステル樹脂(e)の数平均分子量は、例えば、2,500以下である。これにより、塗料組成物の過度な粘度上昇が抑制され易くなる。水酸基含有ポリエステル樹脂(e)の数平均分子量は、2,000以下であってよい。一態様において、水酸基含有ポリエステル樹脂(e)の数平均分子量は、700以上2,000以下である。
粘度の観点から、水酸基含有ポリエステル樹脂(e)は、水酸基価が80mgKOH/g以上500mgKOH/g以下であり、かつ、数平均分子量が700以上2,000以下であることが好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂(a)の固形分100質量部に対する、水酸基含有ポリエステル樹脂(e)の配合量は、例えば、固形分換算で0.1質量部以上である。これにより、塗膜の架橋密度が高くなり易い。水酸基含有ポリエステル樹脂(e)の上記配合量は、例えば、固形分換算で25部以下である。これにより、塗膜の耐水性が向上し易い。一態様において、水酸基含有アクリル樹脂(a)の固形分100質量部に対する、水酸基含有ポリエステル樹脂(e)の配合量は、固形分換算で0.1質量部以上25質量部以下である。
水酸基含有ポリエステル樹脂(e)は、例えば、多価アルコールと多塩基酸またはその無水物とを重縮合(エステル反応)することにより得られる。市販の水酸基含有ポリエステル樹脂を用いてもよい。
多価アルコールは特に限定されず、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ヒドロキシアルキル化ビスフェノールA、1,4-シクロヘキサンジメタノール、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピル-2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピオネート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)ジメチルヒダントイン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカプロラクトンポリオール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス-(ヒドロキシエチル)イソシアネートが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
多塩基酸またはその無水物は特に限定されず、例えば、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、無水コハク酸、乳酸、ドデセニルコハク酸、ドデセニル無水コハク酸、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、無水エンド酸が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
水酸基含有ポリエステル樹脂は、ラクトン、油脂または脂肪酸、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などを用いて変性されていてもよい。油脂または脂肪酸は特に限定されず、例えば、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、ヤシ油、コーン油、綿実油、亜麻仁油、荏の油、ケシ油、紅花油、大豆油、桐油などの油脂、またはこれらの油脂から抽出した脂肪酸が挙げられる。
(その他の水酸基含有樹脂)
本実施形態に係る塗料組成物は、水酸基含有アクリル樹脂(a)および水酸基含有ポリエステル樹脂(e)以外の、その他の水酸基含有樹脂として、例えば、ポリカーボネートポリオール樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂、ポリカプロラクトンポリオール樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種をさらに含み得る。
水酸基含有樹脂の合計の固形分100質量部に占める、その他の水酸基含有樹脂の固形分量は、例えば、10質量部以下であり、5質量部以下である。
(f)希釈成分
本実施形態に係る塗料組成物は、希釈成分(f)を含み得る。塗料組成物は、塗装方法や、温度および湿度等の塗装環境等を考慮して、適宜希釈成分によって希釈される。希釈成分としては、水および非水溶媒が挙げられる。本実施形態に係る塗料組成物はまた、各成分の製造の際に使用された非水溶媒等を含み得る。
非水溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン、ミネラルスプリット等の脂肪族または脂環式炭化水素系溶媒;アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶媒;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、t-ブチルベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、テトラリン、デカリン等の芳香族炭化水素系有機溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸アルミ等のエステル系有機溶媒;モノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル-エーテル系有機溶媒;ジオキサンなどのエーテル系有機溶媒が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
(粘性調整剤)
本実施形態に係る塗料組成物は、粘性調整剤を含み得る。粘性調整剤は、本発明の効果を妨げない範囲で使用できる。水酸基含有樹脂の合計の固形分100質量部に対する、他の粘性調整剤の配合量は、5質量部以下であってよく、3質量部以下であってよい。
他の粘性調整剤としては、例えば、無機粘性剤、ウレタン会合型粘性剤、ポリカルボン酸型粘性剤およびアマイド系粘性剤が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。無機粘性剤としては、例えば、層状シリケート(ケイ酸塩鉱物)、ハロゲン化鉱物、酸化鉱物、炭酸塩鉱物、ホウ酸塩鉱物、硫酸塩鉱物、モリブデン酸塩鉱物、タングステン酸塩鉱物、リン酸塩鉱物、ヒ酸塩鉱物およびバナジン酸塩鉱物が挙げられる。ウレタン会合型粘性剤としては、例えば、疎水性鎖を分子中に持つポリウレタン系粘性剤、および、主鎖の少なくとも一部が疎水性ウレタン鎖であるウレタン-ウレア系粘性剤が挙げられる。
(その他の添加剤)
本実施形態に係る塗料組成物は、その他、塗料分野において一般的に使用される添加剤を含み得る。例えば、透明性を阻害しない範囲において、着色顔料および/または光輝性顔料を含んでいてよい。さらに、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤、表面調整剤、触媒等を含んでいてよい。
本実施形態に係る塗料組成物は、クリヤー塗膜を形成するのに適している。クリヤー塗膜は、通常、被塗物上に形成された1以上の他の塗膜(典型的には、ベース塗膜)を覆うように、最外に配置される。本実施形態に係る塗料組成物を用いて最外に位置するクリヤー塗膜を形成すると、ノンサンドリコート性が発揮され易い。
[塗膜]
本実施形態に係る塗料組成物を用いて、塗膜が形成される。得られる塗膜は、外観およびノンサンドリコート性に優れる。本実施形態に係る塗膜は、既存の塗膜上に積層される塗膜であってよく、被塗物に最初に形成される塗膜であってよい。
塗膜の厚さは特に限定されない。耐擦傷性および平滑性の観点から、クリヤー塗膜の乾燥後の厚さは、例えば、15μm以上であり、20μm以上であってよい。クリヤー塗膜の厚さは、50μm以下であってよく、40μm以下であってよい。塗膜の厚さは、電磁式膜厚計(例えば、SANKO社製SDM-miniR)により測定できる。塗膜の厚さは、任意の5点における塗膜の厚さの平均値である。
塗膜は優れた外観を有し、例えば、高い平滑性を有する。表面反射率の測定機(例えば、BYK社製、Micro Wave Scan-T)により測定される、塗膜の光沢に起因する値であるW4と塗膜の平滑性に起因する値であるW1がともに20以下であり得る。Micro Wave Scan-Tでは、レーザ光を、その光源を移動させながら、塗膜に角度60°で照射して、その反射光を測定する。測定された反射光は、波長ごとに分類される。上記のW4が小さいほど、光沢が高く、W1が小さいほど、平滑である。W1、W4は調製直後の塗料組成物により形成された塗膜に対して、測定された数値である。
本実施形態に係る塗膜は、ノンサンドリコート性に優れる。例えば、被塗物に本実施形態に係る塗料組成物を用いて、既存の塗膜に相当する塗膜を形成した後、常温で長期間(例えば、25℃で10日間)放置し、その後、当該塗膜上に、他の塗膜を再び形成した場合であっても、既存の塗膜と新しい塗膜との間の剥離が生じ難い。特に、既存の塗膜と新しい塗膜とが同一組成である場合、ノンサンドリコート性はより向上する。
塗膜の密着性評価には、例えば、JIS K-5600-5-6に準じた手法が用いられる。試験片の塗面上に、JIS K-5600-5-6にて規定される単一刃切り込み工具を垂直に当て、素地(基材)にまで達する切込み(平行線1)を入れる。さらに、この平行線1に平行な切込みを等間隔に10本入れる。この11本の平行線1に垂直に交わり、かつ、素地にまで達する切込み(平行線2)を等間隔に11本入れる。平行線1同士および平行線2同士の間隔は、それぞれ2mmとする。このようにして、4本の直線に囲まれた正方形100個を有する碁盤目部を形成する。
上記の碁盤目部に、JIS K-5600-5-6にて規定される透明感圧着テープを、塗面との間に気泡が含まれないように密着させる。その後、当該テープを、0.5秒から1.0秒の間に一気に剥がし、碁盤目部の剥離状態を目視にて評価する。塗膜の剥離は、既存の塗膜と新しい塗膜との間、既存の塗膜と基材との間で生じ得る。いずれかの剥離が生じている場合、塗膜が剥離していると評価する。いずれの剥離も見られない場合、本実施形態に係る塗料組成物を用いて得られる塗膜は、基材との密着性に優れ、かつ、ノンサンドリコート性に優れると評価できる。
[塗膜の形成方法]
塗膜は、対象物に塗料組成物を塗装した後、硬化させることにより形成される。塗料組成物は加熱により硬化し得る。塗装方法および硬化条件については後述する。
[塗装物品]
塗装物品は、被塗物と、被塗物上に形成され、かつ、少なくとも本実施形態に係る塗料組成物により形成される塗膜と、を備える。塗装物品は、予めプライマーおよびベース塗膜を備えてよい。この場合、本実施形態に係る塗料組成物はクリヤー塗膜の形成に用いられてよい。以下、本実施形態に係る塗料組成物がクリヤー塗膜の形成に使用される場合について説明する。ただし、本実施形態に係る塗料組成物の用途はこれに限定されない。
(被塗物)
被塗物の材質は特に限定されない。被塗物の材質としては、例えば、金属、樹脂、ガラスが挙げられる。被塗物の形状も特に限定されない。被塗物は、具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体および自動車車体用の部品、スポイラー、バンパー、ミラーカバー、グリル、ドアノブ等の自動車部品が挙げられる。
金属としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛またはこれらの合金(例えば、鋼)が挙げられる。金属製の被塗物としては、代表的には、冷延鋼板、熱延鋼板、ステンレス、電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、亜鉛-アルミニウム合金系めっき鋼板、亜鉛-鉄合金系めっき鋼板、亜鉛-マグネシウム合金系めっき鋼板、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金系めっき鋼板、アルミニウム系めっき鋼板、アルミニウム-シリコン合金系めっき鋼板、錫系めっき鋼板等の鋼板が挙げられる。
金属製の被塗物は、表面処理されていてもよい。表面処理としては、例えば、リン酸塩処理、クロメート処理、ジルコニウム化成処理、複合酸化物処理が挙げられる。金属製の被塗物は、表面処理後、さらに電着塗料によって塗装されていてもよい。電着塗料は、カチオン型であってよく、アニオン型であってよい。
樹脂としては、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられる。樹脂製の被塗物は、脱脂処理されていることが好ましい。
(プライマー塗膜)
プライマー塗膜は、被塗物とベース塗膜との間に介在する。プライマー塗膜によって、ベース塗膜と被塗物(特には、樹脂製の被塗物)との付着性が向上する。また、被塗物の表面が不均一な場合、プライマー塗装により塗装面が均一になって、ベース塗膜のムラが抑制され易くなる。
プライマー塗膜は、例えば、塗膜形成成分と、素材付着成分、粘性調整剤と、希釈成分と、顔料と、必要に応じて硬化剤とを含むプライマー塗料組成物により形成される。プライマー塗料組成物は、必要に応じて種々の上記添加剤を含み得る。プライマー塗料組成物は、溶剤系であってもよいし、水系であってもよい。塗膜形成成分、硬化剤、粘性調整剤、希釈成分および顔料としては、ベース塗料組成物に配合されるものとして例示された各成分を挙げることができる。例えば、水系のプライマー塗料組成物の20℃でB型粘度計により測定される粘度は、500cps/6rpm以上6,000cps/6rpm以下である。プライマー塗料組成物の固形分含有率は、例えば、30質量%以上50質量%以下である。プライマー塗料組成物の固形分は、プライマー塗料組成物から希釈成分を除いた全成分である。
プライマー塗膜の厚さは特に限定されない。塗装物品の平滑性および耐チッピング性の点で、プライマー塗膜の厚さは5μm以上40μm以下であってよい。プライマー塗膜の厚さは、7μm以上であってよい。プライマー塗膜の厚さは、25μm以下であってよい。
(ベース塗膜)
ベース塗膜は、1層であってよく、2層以上の積層塗膜であってよい。ベース塗膜は、例えば、1層または2層以上のいわゆるベース塗膜であり得る。
<ベース塗膜>
ベース塗膜は、例えば、塗膜形成成分と、硬化剤と、粘性調整剤と、希釈成分と、顔料とを含むベース塗料組成物により形成される。ベース塗料組成物は、必要に応じて種々の上記添加剤を含み得る。各ベース塗膜に含まれる成分は同じであってもよいし、異なっていてもよい。ベース塗料組成物は、溶剤系であってもよいし、水系であってもよい。ベース塗料組成物に配合される塗膜形成成分、硬化剤、粘性調整剤および希釈成分としては、上記の塗料組成物に配合されるものとして例示された各成分を挙げることができる。
ベース塗料組成物の20℃でB型粘度計により測定される粘度は、水性塗料の場合、例えば、500cps/6rpm以上6,000cps/6rpm以下である。ベース塗料組成物の固形分割合は、例えば、30質量%以上70質量%以下である。ベース塗料組成物の固形分は、ベース塗料組成物から希釈成分を除いた全成分である。
ベース塗膜の厚さは特に限定されず、目的に応じて適宜設定される。ベース塗膜の1層当たりの厚さは、例えば、10μm以上であり、15μm以上であってよい。ベース塗膜の1層当たりの厚さは、例えば、45μm以下であってよく、30μm以下であってよい。
顔料としては、例えば、着色顔料、光輝性顔料および体質顔料が挙げられる。
着色顔料としては、例えば、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料および金属錯体顔料等の有機系着色顔料:黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラックおよび二酸化チタン等の無機着色顔料が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
光輝性顔料としては、例えば、金属片(アルミニウム、クロム、金、銀、銅、真鍮、チタン、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等)、金属酸化物片、パール顔料、金属あるいは金属酸化物で被覆されたガラスフレーク、金属酸化物で被覆されたシリカフレーク、グラファイト、ホログラム顔料およびコレステリック液晶ポリマー挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
体質顔料として、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレーおよびタルクが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
全顔料の濃度、すなわち、ベース塗料組成物の樹脂固形分100質量%に対する全顔料の質量割合(PWC)は、0.1質量%以上50質量%以下が好ましい。これにより、得られる塗膜の平滑性が向上する。個々の顔料のPWCは特に限定されない。光輝性顔料のPWCは、例えば、1質量%以上40質量%以下であってよい。光輝性顔料のPWCは、5質量%以上が好ましい。光輝性顔料のPWCは、30質量%以下が好ましい。
[塗装物品の製造方法]
上記の塗装物品は、被塗物上に、ベース塗料組成物を塗装して未硬化のベース塗膜を形成する工程と、未硬化のベース塗膜を硬化させる工程と、ベース塗膜上に、クリヤー塗料組成物を塗装して未硬化のクリヤー塗膜を形成する工程と、未硬化のクリヤー塗膜を硬化させる工程と、を備える方法により製造される。
上記の塗装物品は、また、被塗物上に、プライマー塗料組成物を塗装して未硬化のプライマー塗膜を形成する工程と、未硬化のプライマー塗膜を硬化させる工程と、ベース塗料組成物を塗装して未硬化のベース塗膜を形成する工程と、未硬化のベース塗膜を硬化させる工程と、ベース塗膜上に、クリヤー塗料組成物を塗装して未硬化のクリヤー塗膜を形成する工程と、未硬化のクリヤー塗膜を硬化させる工程と、を備える方法により製造されてもよい。
クリヤー塗膜が形成される際、プライマー塗膜やベース塗膜は硬化していてもよく、未硬化であってもよい。なかでも、生産性、付着性および耐水性の観点から、各塗膜を硬化させることなく積層した後(いわゆる、ウェット・オン・ウェット塗装)、これら複数の未硬化の塗膜を同時に硬化させることが好ましい。すなわち、塗装物品は、被塗物上に、プライマー塗料組成物およびベース塗料組成物を塗装して、未硬化のプライマー塗膜およびベース塗膜を形成する工程と、未硬化のベース塗膜上に、クリヤー塗料組成物を塗装して未硬化のクリヤー塗膜を形成する工程と、未硬化のプライマー塗膜、ベース塗膜および未硬化のクリヤー塗膜を硬化させる工程と、を備える方法により製造されることが好ましい。
以下、ウェット・オン・ウェット塗装によって、プライマー塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜を有する塗装物品を製造する場合を例に挙げて、各工程を説明する。ただし、本実施形態に係る塗装物品の製造方法はこれに限定されない。
(I)未硬化のプライマー塗膜を形成する工程
未硬化のプライマー塗膜は、上記のプライマー塗料組成物を被塗物に塗装することにより形成される。プライマー塗料組成物は、例えば、硬化後のプライマー塗膜の厚さが5μm以上40μm以下になるように、塗装される。
塗装方法は特に限定されない。塗装方法としては、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装が挙げられる。これらの方法と静電塗装とを組み合わせてもよい。なかでも、塗着効率の観点から、回転霧化式静電塗装が好ましい。回転霧化式静電塗装には、例えば、通称「マイクロ・マイクロベル(μμベル)」、「マイクロベル(μベル)」、「メタリックベル(メタベル)」などと呼ばれる回転霧化式の静電塗装機が用いられる。
プライマー塗料組成物を塗装した後、予備乾燥(プレヒートとも称される)を行ってもよい。これにより、プライマー塗料組成物に含まれる希釈成分が、硬化工程において突沸することが抑制されて、ワキの発生が抑制され易くなる。さらに、予備乾燥により、未硬化のプライマー塗膜とその上に塗装される塗料組成物とが混ざりあうことが抑制されて、混相が形成され難くなる。そのため、得られる塗装物品の平滑性が向上し易くなる。
予備乾燥の条件は特に限定されない。予備乾燥としては、例えば、20℃以上25℃以下の温度条件で5分以上15分以下放置する方法、50℃以上80℃以下の温度条件で30秒以上10分以下加熱する方法が挙げられる。
(II)未硬化のベース塗膜を形成する工程
未硬化のベース塗膜は、上記のベース塗料組成物を被塗物に塗装することにより形成される。ベース塗料組成物は、例えば、硬化後のベース塗膜の厚さが10μm以上45μm以下になるように、塗装される。
塗装方法は特に限定されない。塗装方法としては、例えば、プライマー塗料組成物の塗装方法と同様の方法が挙げられる。
上記と同様の観点から、ベース塗料組成物を塗装した後、プライマーと同様に予備乾燥(プレヒートとも称される)を行ってもよい。予備乾燥の条件は特に限定されない予備乾燥の条件は特に限定されず、プライマー塗膜の予備乾燥と同様であってよい。
(III)未硬化のクリヤー塗膜を形成する工程
未硬化のクリヤー塗膜は、本実施形態に係る塗料組成物(以下、クリヤー塗料組成物と称する場合がある。)をベース塗膜上に塗装することにより形成される。クリヤー塗料組成物は、例えば、硬化後のクリヤー塗膜の厚さが15μm以上50μm以下になるように、塗装される。
塗装方法は特に限定されない。塗装方法としては、例えば、プライマー塗料組成物の塗装方法と同様の方法が挙げられる。なかでも、塗着効率の観点から、回転霧化式静電塗装が好ましい。クリヤー塗料組成物を塗装した後、予備乾燥を行ってもよい。予備乾燥の条件は特に限定されず、プライマー塗膜あるいはベース塗膜の予備乾燥と同様であってよい。
(IV)硬化工程
未硬化の各塗膜を硬化させる。各塗膜は加熱により硬化し得る。本工程では、プライマー塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜が一度に硬化されてよい。
加熱条件は、各塗料組成物の組成や被塗物の材質等に応じて適宜設定される。加熱温度は、例えば60℃以上120℃以下であり、65℃以上90℃以下であってよい。本実施形態に係るクリヤー塗料組成物によれば、このような低温であっても、最終的には高い硬度を有するクリヤー塗膜が形成される。
加熱時間は、加熱温度に応じて適宜設定すればよい。加熱温度が60℃以上120℃以下の場合、加熱時間は、例えば10分以上60分以下であり、15分以上45分以下であってよい。加熱時間は、加熱装置内が目的の温度に達し、被塗物が目的の温度に保たれている時間を意味し、目的の温度に達するまでの時間は考慮しない。加熱装置としては、例えば、熱風、電気、ガス、赤外線等の加熱源を利用した乾燥炉が挙げられる。
以下、本発明を実施例によって説明する。本発明は以下に記載した実施例に限定されるものではない。
[実施例1~7、比較例1~2]
表1に示す成分および配合量に従い、各成分を混合した。NCO/OH比は、1/1とした。得られた塗料組成物の固形分濃度とその粘度は表1に記載した。
実施例および比較例で使用された各成分は、以下の通りである。(a)水酸基含有アクリル樹脂は、以下のように製造した。
[水酸基含有アクリル樹脂Aの製造]
攪拌羽根、温度計、滴下装置、温度制御装置、窒素ガス導入口および冷却管を備えた反応装置に、酢酸ブチルを57部仕込み、窒素ガスを導入しながら、攪拌下で120℃まで昇温した。この反応装置に、メタクリル酸0.8部、2-エチルヘキシルアクリレート26.8部、メチルメタクリレート33.0部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート39.4部からなる混合物と、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサネート10部を酢酸ブチル5部に溶解した溶液とを、3時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間熟成させた。その後、この反応装置に、さらにt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサネート0.2部を酢酸ブチル5部に溶解した溶液を、1時間かけて滴下した。反応装置内を120℃に保ったまま2時間熟成して、反応を完了し、水酸基含有アクリル樹脂を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂の不揮発分は60%、重量平均分子量は4,500、ガラス転移温度は20℃であった。水酸基価(OHV)は、モノマー配合から170と算出された。
(b)架橋有機粒子
商品名AZS-607、日本ペイント社製、平均粒子径86nm
(c)セルロース誘導体
A:商品名イーストマンCAB 551-0.01、イーストマン ケミカル カンパニー社製、CAB、数平均分子量16,000、粘度0.01秒、Tg85℃
B:商品名イーストマンCAB 551-0.2、イーストマン ケミカル カンパニー社製、CAB、数平均分子量10,000、粘度0.2秒、Tg101℃
C:商品名イーストマンCAB 381-0.1、イーストマン ケミカル カンパニー社製、CAB、数平均分子量20,000、粘度0.1秒、Tg123℃
(d)イソシアヌレート化合物
商品名N3300、コベストロ社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート
(e)水酸基含有ポリエステル樹脂
商品名ベッコライトWHF-348、DIC社製、水酸基価110mgKOH/g、数平均分子量990
(f)希釈成分
酢酸-n-ブチル
[評価]
(1)モノコート複層塗膜の評価
実施例および比較例で調製された塗料組成物、または、これら塗料組成物により形成されたクリヤー塗膜を有する試験片Aに対し、以下の評価を行った。試験片Aは、プライマー塗膜とベース塗膜と上記のクリヤー塗膜とからなる複層塗膜Iを備える。試験片Aの作製方法は以下の通りである。評価結果を表1に示す。
(試験片Aの作製)
被塗物として、自動車用PP基材を準備し、これをイソプロピルアルコールでワイプした。次いで、この基材に、日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社製の水性プライマー塗料WB-1200CD-5をスプレーガン(アネスト岩田株式会社製;W-101-134G)を用いて、乾燥膜厚が7μmになるように塗装した。その後、温度20±5℃、相対湿度78%以下の環境下で1分間放置後、60℃の電気オーブンで5分間乾燥した。次いで、被塗物が30℃以下になったことを確認し、日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社製の水性ベース塗料AR-3020-1#1F7(シルバー)を、スプレーガン(アネスト岩田株式会社製;W-101-134G)を用いて、乾燥膜厚が15μmになるように塗装した。その後、温度20±5℃、相対湿度78%以下の環境下で1分間放置後、80℃の電気オーブンで3分間乾燥し、PP基材上に未硬化のプライマー塗膜およびベース塗膜を形成した。
続いて、未硬化のベース塗膜上に、調製された直後のクリヤー塗料組成物を、スプレーガン(アネスト岩田株式会社製;W-101-134G)を用いて、乾燥膜厚が30μmになるように塗装した。その後、この基材を、温度20±5℃、相対湿度78%以下の環境下で10分間放置して、未硬化のクリヤー塗膜を形成した。次いで、乾燥機を用いて、これら複層塗膜を備える基材を120℃で20分間加熱して、硬化されたプライマー塗膜とベース塗膜とクリヤー塗膜とからなる複層塗膜Iを有する試験片Aを得た。
(a)塗装粘度η
調製直後の塗料組成物の粘度を、JIS K5600-2-2:1999の「3.フローカップ法」に準拠して、23℃下、No4フォードカップを用いて測定した。同じ構成の異なる5つの塗料組成物の粘度の平均値を、塗装粘度ηとした。
(b)外観
試験片Aの光沢と平滑性を、表面測定機(BYK社製、Micro Wave Scan-T)により評価した。評価基準は、以下の通りである。
良:W1、W4がともに20以下
不良:W1、W4のいずれかが20超
(c)初期付着性
試験片Aの塗面上に、JIS K-5600-5-6にて規定される単一刃切り込み工具を垂直に当て、素地(基材)にまで達する切込み(平行線1)を入れた。さらに、この平行線1に平行な切込みを等間隔に10本入れた。この11本の平行線1に垂直に交わり、かつ、素地にまで達する切込み(平行線2)を等間隔に11本入れた。平行線1同士および平行線2同士の間隔は、それぞれ2mmとした。このようにして、4本の直線に囲まれた正方形100個を有する碁盤目部を形成した。
上記の碁盤目部に、JIS K-5600-5-6にて規定される透明感圧着テープを、塗面との間に気泡が含まれないように密着させた。その後、当該テープを、0.5秒から1.0秒の間に一気に剥がし、碁盤目部の剥離状態を目視にて評価した。評価基準は以下の通りである。評価が「良」以上であれば、実用上問題がない。
最良:塗膜の剥離が全く認められない
良:塗膜の剥離枚数が5個/100個未満
不良:塗膜の剥離枚数が5個/100個以上
(d)耐水性
試験片Aを、40℃に保持された水槽に240時間浸漬した。その後、試験片Aを水から引き揚げて、常温で5分間乾燥した。次いで、試験片Aに対して、外観変化の有無を確認後、上記と同様にして碁盤目部を形成し、剥離試験を行った。外観および密着性の評価基準は、以下の通りである。いずれも、評価が「良」以上であれば、実用上問題がない。
(外観)
最良:外観の変化がない
良:外観にわずかな変化が認められる
不良:外観に明らかな変化が認められる
(付着性)
最良:塗膜の剥離が全く認められない
良:塗膜の剥離枚数が1個/100個以上5個/100個未満
不良:塗膜の剥離枚数が5/100以上
(2)ノンサンドリコート複層塗膜の評価
実施例および比較例で調製された塗料組成物、または、これら塗料組成物により形成されたクリヤー塗膜を有する試験片BおよびCに対し、ノンサンドリコート性を評価した。評価結果を表1に示す。
試験片Bは、上記の複層塗膜Iを2組備える。試験片Bは、ノンサンドリコートが行われるまでに長期間経過した状態を想定したものである。試験片Cは、下記の複層塗膜IIとIIIとを備える。試験片Cは、複層塗膜IIのクリヤー塗膜にNCOがより多く配合される一方、複層塗膜IIIのクリヤー塗膜にNCOがより少なく配合されており、さらに、過剰に加熱された場合を想定したものである。NCO/OHが大きいと、ウレア結合やウレタン結合が生じ易く、通常、ノンサンドリコート性は低下し易い。NCO/OHが小さいと、塗膜の凝集力が低下し易いため、通常、初期付着性や耐水性が低下し易い。
試験片B、Cの作製方法は以下の通りである。
(試験片Bの作製)
試験片Aを作製し、温度20±5℃、相対湿度78%以下の環境下で10日間保管した。その後、試験片Aの作製と同様の塗料、方法および条件にて、試験片Aのクリヤー塗膜の上に、試験片Aと同じ複層塗膜Iを有する試験片Bを得た。
(試験片Cの作製)
下記の複層塗膜IIを有する試験片A’に、下記の複層塗膜IIIを形成し、試験片Cを得た。
<試験片A’の作製>
試験片Aと同様にして、PP基材上に未硬化のプライマー塗膜およびベース塗膜を形成した。別途、NCO/OH比を1.2/1に変更したこと以外は、各実施例および比較例と同様にして、各クリヤー塗料組成物を調製した。続いて、上記の未硬化のベース塗膜上に、このクリヤー塗料組成物を用いて、試験片Aと同様にして未硬化のクリヤー塗膜を形成した。次いで、乾燥機を用いて、これら複層塗膜を備える基材を120℃で60分間加熱して、硬化した複層塗膜IIを有する試験片A’を得た。
<試験片Cの作製>
作製された試験片A’を、温度20±5℃、相対湿度78%以下の環境下で10日間保管した。その後、試験片Aの作製と同様の塗料、方法および条件にて、試験片A’のクリヤー塗膜の上に、未硬化のプライマー塗膜およびベース塗膜を形成した。
別途、NCO/OH比を0.8/1に変更したこと以外は、各実施例および比較例と同様にして、各クリヤー塗料組成物を調製した。上記の未硬化のベース塗膜上に、このクリヤー塗料組成物を用いて、試験片Aと同様にしてクリヤー塗膜を形成した。このようにして、基材と複層塗膜IIと複層塗膜IIIとを有する試験片Cを得た。
(e)ノンサンドリコート性A(初期付着性)
試験片BおよびCに対して、上記と同様にして碁盤目部を形成し、上記と同様にして剥離試験および評価を行った。剥離が、既存の塗膜と新しい塗膜との間で生じているのか、あるいは、既存の塗膜と基材との間で生じているのかも確認した。評価が「良」以上であれば、実用上問題がない。
(f)ノンサンドリコート性B(耐水性)
試験片BおよびCに対して、上記と同様にして耐水試験を実施して、上記と同様にして外観観察、剥離試験および評価を行った。いずれも、評価が「良」以上であれば、実用上問題がない。
モノコート複層塗膜に関し、実施例1~7のクリヤー塗料組成物を用いた塗膜は、外観および耐水性のいずれも良好である。ノンサンドリコート複層塗膜に関し、実施例1~7のクリヤー塗料組成物を用いた塗膜は、不利な条件で形成されている場合にも、優れたノンサンドリコート性を示す。
モノコート複層塗膜に関し、比較例2のクリヤー塗料組成物はセルロース誘導体が過剰に配合されているため粘度が高く、外観に劣る。ノンサンドリコート複層塗膜に関し、比較例1のクリヤー塗料組成物はセルロース誘導体が配合されていないため、初期付着性および耐水試験後の付着性に劣る。
本発明の塗料組成物は、例えば、自動車車両、自動車用部品において好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. 塗料組成物であって、
    水酸基含有アクリル樹脂(a)と、
    前記塗料組成物中に分散している架橋有機粒子(b)と、
    セルロース誘導体(c)と、
    イソシアネート基を3つ以上有するイソシアヌレート化合物(d)と、を含み、
    前記セルロース誘導体(c)の配合量は、前記塗料組成物に含まれる水酸基含有樹脂の合計の固形分100質量部に対して、0.1質量部以上であり、
    前記塗料組成物の、23℃で、フローカップ法により測定される粘度が20秒以上35秒以下であり、
    前記架橋有機粒子(b)の配合量は、前記塗料組成物に含まれる水酸基含有樹脂の合計の固形分100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下である、クリヤー塗料組成物。
  2. 前記セルロース誘導体(c)は、数平均分子量が10,000以上40,000以下であり、ガラス転移温度が85℃以上である、請求項1に記載のクリヤー塗料組成物。
  3. 前記セルロース誘導体(c)は、セルロースエステルを含む、請求項1または2に記載のクリヤー塗料組成物。
  4. 前記水酸基含有アクリル樹脂(a)は、水酸基価が90mgKOH/g以上190mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が3,500以上8,000以下であり、ガラス転移温度が10℃以上70℃以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のクリヤー塗料組成物。
  5. さらに、水酸基含有ポリエステル樹脂(e)を含み、
    前記水酸基含有アクリル樹脂(a)の固形分100質量部に対する、前記水酸基含有ポリエステル樹脂(e)の配合量は、0.1質量部以上25質量部以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のクリヤー塗料組成物。
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