JP6177983B1 - 複層塗膜形成方法及び塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウェットオンウェット塗装により、被塗物上に乾燥性と塗膜外観の両方に優れた複層塗膜を形成する複層塗膜形成方法の提供。【解決手段】被塗物上に、下塗り塗料組成物を塗装して、未乾燥の下塗り塗膜を形成する、下塗り塗膜形成工程、得られた未乾燥の下塗り塗膜の上に、上塗り塗料組成物を、ウェットオンウェットで塗装し、未乾燥の上塗り塗膜を形成する、上塗り塗膜形成工程、及び得られた未乾燥の下塗り塗膜及び未乾燥の上塗り塗膜を同時に乾燥させて複層塗膜を形成する、乾燥工程、を包含する複層塗膜形成方法において、下塗り塗料組成物は、チクソトロピー性を有しており、塗装時に加えられる高いせん断速度により、レべリング性とタレ性に最適な粘度特性を制御する複層塗膜形成方法。【選択図】なし

Description

本発明は、下塗り塗料組成物及び上塗り塗料組成物をウェットオンウェットで塗装することができる複層塗膜形成方法に関する。また、本発明は、ウェットオンウェット塗装に適した塗料組成物に関する。
産業機械及び建設機械等は、一般に大型であり、そして強い荷重に耐えうるため、自動車車体等と比較して構成基材(鋼板)の厚みがあるという特徴がある。そのため、このような産業機械、建設機械が被塗物である場合は、被塗物の熱容量が大きく、加熱炉中において被塗物に熱が十分に伝達しないという問題がある。上記理由により、産業機械、建設機械の塗装においては、自動車車体の塗装において用いられる一般的な熱硬化型塗料組成物を用いることができず、例えば100℃以下で塗膜を形成することができる塗料組成物が一般に用いられている。
特開2003−226839号公報(特許文献1)には、基体樹脂として水酸基含有樹脂(A)、硬化剤としてポリイソシアネート化合物(B)、及びウレタン硬化触媒として有機錫化合物(C)を含有する塗料組成物であって、該塗料中にリン酸基を存在せしめることを特徴とする塗料組成物が記載されている(請求項1等)。
また、産業機械、建設機械等の塗装においては、一般に、防食性等を向上させることを目的として、例えば特許文献1に記載されるようなイソシアネート硬化型塗料組成物が複数回(例えば、2回)塗装されている。更に、産業機械、建設機械等においては、優れた耐候性を満たすことも要求とされている。
例えば、防食性及び耐候性の両方の性能を満足する塗膜を形成する方法として、下塗り塗料組成物として防食性に優れた塗料組成物を用いて、その後に、耐候性に優れた上塗り塗料組成物を用いる方法が考えられる。例えば特開2010−188239号公報(特許文献2)には、バインダー樹脂成分の全質量を基準にしてエポキシ当量が400〜2,000g/eqである変性エポキシ樹脂、アミン樹脂及び反応性希釈剤からなるバインダー樹脂成分を含む弱溶剤型ハイソリッド変性エポキシ樹脂塗料を下塗りし、次いで、水酸基価が10〜100mgKOH/gであるポリオール樹脂及びポリイソシアネート樹脂からなるバインダー樹脂成分を含む弱溶剤型ハイソリッドポリウレタン樹脂塗料を上塗りすることを特徴とする、厚膜型防食塗膜の形成方法が記載されている(請求項1)。
この方法は、それぞれ1回の下塗り及び上塗りで従来の各層の多層塗りによる防食効果と同等の防食効果を得ることができると記載されている。
近年、ウェットオンウェットと称される塗装方法が注目されている。この塗装方法は、下塗り塗料組成物を塗装した後、下塗り塗料組成物を乾燥させずに上塗り塗料組成物を塗装し、その後に2種類の塗膜を同時に乾燥させることによって、塗装工程を短縮することができる塗装方法がある。
本発明者等は、特許第5221822号(特許文献3)及び特許5324715号(特許文献4)において、ほとんどインターバルを置かないウェットオンウェット塗装により複層塗膜を形成するために、上塗り塗料組成物及び下塗り塗料組成物を限定し、更に上塗り層と下塗り層の表面張力の差を特定することを提案した。
特開2003−226839号公報 特開2010−188239号公報 特許第5221822号公報 特許第5324715号公報
しかしながら、特許文献1において開示された塗料組成物を用いる場合、例えば2回塗装を行っても、平滑性の高い塗膜外観を得ることができず、更に、防食性及び耐候性の両方を高度に満足する塗膜を形成することはできなかった。
一方、特許文献2において開示された塗膜形成方法を用いた場合、下塗り塗装後に常温で24時間乾燥させた後に上塗り塗料の塗装が行われている([0036]段落等)。この方法は、塗装に長時間を要するため、塗装工程効率が悪いという問題がある。
ここで、下塗り塗料組成物及び上塗り塗料組成物をウェットオンウェット塗装する場合、未乾燥の2種類の塗料が混層して塗膜外観が悪化するという不具合が生じやすいという問題がある。ウェットオンウェット塗装においては更に、外気に接している上塗り塗料組成物が先に乾燥して硬化(乾燥)塗膜を形成した後に、その下にある未乾燥の下塗り塗膜中に含まれる揮発成分が蒸発することによって発生するチヂミ等の塗膜不具合が発生することもある。このため、塗膜外観に優れたウェットオンウェット塗装する方法が必要とされている。
特許文献3及び4において開示されたウェットオンウェット塗装によると、産業機械、建設機械等に適した塗膜を形成できる。しかし、塗装膜厚が厚くなると塗膜にワキが発生する等の不具合が生じる場合がある。なお、本明細書において、「ワキ」とは塗膜表面に発生する針穴のような小さな穴や突起を意味する。
ウェットオンウェット塗装においては、作業効率を高めるために、塗布された塗料組成物を速やかに乾燥させ、塗膜を形成することが求められている。例えば、乾燥性を向上させる(速める)と、塗膜形成に必要な時間を短縮できる。しかし、単に乾燥性を向上させると、塗装作業性は良くなるものの、塗膜の肌荒れ、ムラ等の塗膜外観不良を生じる場合があった。近年、産業機械、建設機械等においてもデザイン性に優れたものが販売されており、優れたなじみ性等の特性が要求されている。
ウェットオンウェット塗装の分野においては、より乾燥性が良好で、かつ塗膜外観、例えばなじみ性に優れた高外観塗膜の形成方法の提供が依然として求められている。その上、防食性及び耐候性についても、優れていることがより望ましい。
更に、近年、環境負荷低減の意識が高まり、環境に配慮した商品への置換が求められている。塗料分野においては、例えば、有機溶剤の使用量を低減することが要求されている。特に、厚生労働省による特定化学物質障害予防規則(特化則)の対象物質については、作業者の安全、健康面を考慮し、製造、塗装、廃棄等の全ての作業において暴露を回避又は最小化されることが望ましい。
本発明は、上記現状に鑑み、ウェットオンウェット塗装により、被塗物上に乾燥性と塗膜外観の両方に優れた複層塗膜を形成する複層塗膜形成方法を提供することを目的とする。また、得られた塗膜が優れた塗膜物性、例えば、耐候性及び防食性を有する複層塗膜を形成できる複層塗膜形成方法を提供することを目的とする。
更に、本発明は、作業者の安全、健康面を考慮し、厚生労働省による特定化学物質障害予防規則(特化則)の対象物質について法的制限を受けない複層塗膜形成方法を提供することを目的とする。
更に、本発明は、優れた塗膜外観、及び優れた塗膜物性、例えば、耐候性及び防食性を有する複層塗膜を被塗物上に形成できる、ウェットオンウェット塗装用の塗料組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、作業者の安全、健康面を考慮し、特化則の対象物質について法的制限を受けないウェットオンウェット塗装用の塗料組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]被塗物上に、下塗り塗料組成物を塗装して、未乾燥の下塗り塗膜を形成する、下塗り塗膜形成工程、
得られた未乾燥の下塗り塗膜の上に、上塗り塗料組成物を、ウェットオンウェットで塗装し、未乾燥の上塗り塗膜を形成する、上塗り塗膜形成工程、及び
得られた未乾燥の下塗り塗膜及び未乾燥の上塗り塗膜を同時に乾燥させて複層塗膜を形成する、乾燥工程、を包含する、複層塗膜形成方法であって、
前記下塗り塗料組成物が、アクリル樹脂を含む塗膜形成樹脂、イソシアネート化合物を含む硬化剤、体質顔料及び粘性調整剤を含んでおり、
前記上塗り塗料組成物が、アクリル樹脂を含む塗膜形成樹脂、イソシアネート化合物を含む硬化剤、体質顔料及び粘性調整剤を含んでおり、
前記下塗り塗料組成物におけるアクリル樹脂の数平均分子量が3,000〜20,000であり、
前記下塗り塗料組成物は、測定温度25℃において、せん断速度を0.1sec−1とした測定開始時間を時間Tとし、
前記時間Tから20秒後の時間Tにおける粘度をVとし、時間Tにおいて、せん断速度を1,000sec−1とし、
前記時間Tから20秒後の時間Tにおける粘度を粘度Vとし、時間Tにおいてせん断速度を0.1sec−1とし、
時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して70%以下の粘度であり、かつ時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して30%以上の粘度である、複層塗膜形成方法。
[2]前記下塗り塗料組成物におけるアクリル樹脂の固形分水酸基価が50〜250である、[1]に記載の複層塗膜形成方法。
[3]前記下塗り塗料組成物に含まれる塗膜形成樹脂が、更にポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂の少なくとも1を含む、[1]又は[2]に記載の複層塗膜形成方法。
[4]前記下塗り塗料組成物に含まれる塗膜形成樹脂が、更にシランカップリング剤を含む、[1]から[3]のいずれか1に記載の複層塗膜形成方法。
[5]前記上塗り塗料組成物におけるアクリル樹脂の数平均分子量が3,000〜20,000である、[1]から[4]のいずれか1に記載の複層塗膜形成方法。
[6]前記上塗り塗料組成物に含まれる塗膜形成樹脂が、更にポリエステル樹脂を含む、[1]から[5]のいずれか1に記載の複層塗膜形成方法。
[7]前記体質顔料が炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルクからなる群から選択される少なくとも1である、[1]から[6]のいずれか1に記載の複層塗膜形成方法。
[8]前記粘性調整剤が、ポリオレフィン系粘性調整剤、ポリアマイド系粘性調整剤、有機ベントナイト系粘性調整剤、無機顔料、扁平顔料、架橋樹脂粒子及び非架橋樹脂粒子からなる群から選択される少なくとも1である、[1]から[7]のいずれか1に記載の複層塗膜形成方法。
[9]前記被塗物が建設機械又は産業機械である、[1]から[8]のいずれか1に記載の複層塗膜形成方法。
[10]ウェットオンウェット塗装用の塗料組成物であって、
前記塗料組成物は、アクリル樹脂を含む塗膜形成樹脂、イソシアネート化合物を含む硬化剤、体質顔料及び粘性調整剤を含んでおり、
前記アクリル樹脂の数平均分子量が3,000〜20,000であり、
前記塗料組成物は、測定温度25℃において、せん断速度を0.1sec−1とした測定開始時間を時間Tとし、
前記時間Tから20秒後の時間Tにおける粘度をVとし、時間Tにおいて、せん断速度を1,000sec−1とし、
前記時間Tから20秒後の時間Tにおける粘度を粘度Vとし、時間Tにおいてせん断速度を0.1sec−1とし、
時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して70%以下の粘度であり、かつ時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して30%以上の粘度である、塗料組成物。
[11]前記粘性調整剤が、ポリオレフィン系粘性調整剤、ポリアマイド系粘性調整剤、有機ベントナイト系粘性調整剤、無機顔料、扁平顔料、架橋樹脂粒子及び非架橋樹脂粒子からなる群から選択される少なくとも1である、[10]に記載の塗料組成物。
本発明の複層塗膜形成方法によると、ウェットオンウェット塗装により、被塗物上に乾燥性と塗膜外観の両方に優れた複層塗膜を形成でき、その上、特化則の対象物質について法的制限を受けない。
別の態様において、本発明のウェットオンウェット塗装用の塗料組成物は、被塗物上に乾燥性と塗膜外観の両方に優れ、特化則の対象物質について法的制限を受けることなく複層塗膜を形成できる。
図1は、本発明における下塗り塗料組成物の、粘度と時間の関係を示す模式図である。
まず、本発明に至る過程を説明する。
塗料の乾燥性を向上させるためには、蒸発速度の速い溶剤を配合し、かつ樹脂の分子量を上げることが考えられる。例えば、塗料組成物中にキシレン等の蒸発速度の速い有機溶剤を比較的多く配合し、塗料の乾燥性を向上させることが行われている。
一方、塗膜外観を向上させるためには、蒸発速度の遅い溶剤を配合し、かつ樹脂の分子量を下げること、更に、塗料の固形分を下げることが考えられる。
このように、塗料の乾燥性を向上させること及び塗膜外観を向上させることは、相反する事象であり、両立することは困難であった。
このように、これまで両立することが困難であるとされてきた、塗料の乾燥性を向上させること及び塗膜外観を向上させることを、本発明者らは、本明細書において開示されている発明により解決した。
本発明に係る塗膜形成樹脂であれば、塗料組成物の乾燥性を大きく向上させ、塗装作業性及び工程短縮を可能とした。更に、体質顔料及び粘性調整剤を併用することにより、塗料の高せん断時の粘度を低くし、粘度回復性を遅くすることが可能となり、塗膜外観の低下を抑制することができた。このように、例えば、粘度回復性を制御することで、乾燥性を保ちつつ、塗膜外観の低下を抑制することができた。
その上、本発明による複層塗膜形成方法によると、人体安全、環境保全の観点から、溶剤の使用を低減でき、更に、厚生労働省による特定化学物質障害予防規則(特化則)の法的制限を受けない、すなわち、特化則を遵守した塗料設計が可能となった。
このような効果を有する、本発明の複層塗膜形成方法は、
被塗物上に、下塗り塗料組成物を塗装して、未乾燥の下塗り塗膜を形成する、下塗り塗膜形成工程、
得られた未乾燥の下塗り塗膜の上に、上塗り塗料組成物を、ウェットオンウェットで塗装し、未乾燥の上塗り塗膜を形成する、上塗り塗膜形成工程、及び
得られた未乾燥の下塗り塗膜及び未乾燥の上塗り塗膜を同時に乾燥させて複層塗膜を形成する、乾燥工程、を包含する、複層塗膜形成方法であって、
前記下塗り塗料組成物が、アクリル樹脂を含む塗膜形成樹脂、イソシアネート化合物を含む硬化剤、体質顔料及び粘性調整剤を含んでおり、
前記上塗り塗料組成物が、アクリル樹脂を含む塗膜形成樹脂、イソシアネート化合物を含む硬化剤、体質顔料及び粘性調整剤を含んでおり、
前記下塗り塗料組成物におけるアクリル樹脂の数平均分子量が3,000〜20,000であり、
前記下塗り塗料組成物は、測定温度25℃において、せん断速度を0.1sec−1とした測定開始時間を時間Tとし、
前記時間Tから20秒後の時間Tにおける粘度をVとし、時間Tにおいて、せん断速度を1,000sec−1とし、
前記時間Tから20秒後の時間Tにおける粘度を粘度Vとし、時間Tにおいてせん断速度を0.1sec−1とし、
時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して70%以下の粘度であり、かつ時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して30%以上の粘度である、複層塗膜形成方法に関する。
本発明の複層塗膜形成方法は、組成が異なる下塗り塗料組成物及び上塗り塗料組成物をウェットオンウェット塗装する場合であっても、乾燥性が良好なため、混層、なじみ性不良等による塗膜の不具合を伴うことなく、また、レベリング性とタレ性に最適な粘度特性を示すことができるので、良好な外観を有する複層塗膜を形成することができる。
同様のことが、組成が同じ下塗り塗料組成物及び上塗り塗料組成物をウェットオンウェット塗装する場合においても当てはまる。
ある態様において、複層塗膜は、良好な防食性付与機能を有する下塗り塗膜及び耐候性付与機能を有する上塗り塗膜によって、優れた防食性、耐候性及び塗膜物性が達成されている。
本発明の複層塗膜形成方法は、下塗り塗料組成物を塗装後に加熱硬化工程や冷却工程を経ることなく、かつほとんどインターバルを置かずに上塗り塗料組成物をウェットオンウェット塗装することが可能である。このため、下塗り塗膜の硬化のための加熱設備等を設ける必要がなく、塗装設備投資を削減することができ、そして塗装工程を短縮することができる。
したがって、本発明の複層塗膜形成方法は、例えば、産業機械又は建設機械等の大型で熱容量が大きい被塗物の塗装に特に適している。
下塗り塗料組成物
本発明における下塗り塗料組成物は、塗膜形成樹脂、硬化剤、体質顔料及び粘性調整剤を含み、塗膜形成樹脂は、アクリル樹脂を含み、硬化剤はイソシアネート化合物を含む。
本発明における下塗り塗料組成物は、測定温度25℃において、せん断速度を0.1sec−1とした測定開始時間を時間Tとし、
前記時間Tから20秒後の時間Tにおける粘度をVとし、時間Tにおいて、せん断速度を1,000sec−1とし、
前記時間Tから20秒後の時間Tにおける粘度を粘度Vとし、時間Tにおいてせん断速度を0.1sec−1とし、
時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して70%以下の粘度であり、かつ時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して30%以上の粘度である。
例えば、図1は、本発明における下塗り塗料組成物の、粘度と時間の関係を示す模式図である。なお、この模式図は、上記関係を説明する一例であり、用いる下塗り塗料組成物に応じて、波形は変形し得る。
このような条件を有することにより、本発明における下塗り塗料組成物は、レベリングとタレ性に最適な粘度特性を示すことができ、下塗り塗料組成物は、優れた乾燥性となじみ性を有することができる。
例えば、本発明における下塗り塗料組成物は、チクソトロピー性を有しており、刷毛やスプレー等による塗装時には高いせん断速度が加わる(例えば、図1におけるT〜T間)。高いせん断速度を加え、下塗り塗料組成物に低い粘度を与えて良好な作業性を得るように制御され得る。
本発明においては、塗装後の低いせん断応力下(例えば、図1におけるT以降)では、高い仕上り性(平滑性)を得るために、低粘度によるレベリング性とタレ抑制のバランスとを保てるよう、塗料組成物には本発明においての要求される粘度回復性が付与されている。
ここで、本明細書において、時間Tから20秒経過後の時間Tの時点における粘度Vを、低せん断時の粘度として記載する。時間Tにおいては、せん断速度が0.1sec−1(低せん断速度)から、せん断速度が1,000sec−1(高せん断速度)へと切替る変曲点であり、粘度Vは、低せん断力に依存した状態であると推測できるからである。
一方、本明細書において、時間Tから20秒後の時間Tの時点における粘度Vを、高せん断時の粘度として記載する。時間Tにおいては、せん断速度が1,000sec−1(高せん断速度)から、せん断速度が0.1sec−1(低せん断速度)へと切替わる変曲点であり、粘度Vは、高せん断力に依存した状態であると推測できるからである。
また、本明細書において、粘度回復性は、高せん断力を加えた塗料組成物を、前記高せん断力を解放した場合(低せん断時)における、粘度回復の挙動を示す指標である。
例えば、図1におけるT〜T間において高せん断力を加えて粘度を低下させ(粘度V)、時間Tにおいて低せん断力に切替え、時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して70%以下の値を示し、かつ時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して30%以上の値を示す場合、本発明に係る塗料組成物は適切な範囲の粘度回復性を有していると評価できる。
適切な範囲の粘度回復性を有することにより、より良好な乾燥性を有し、かつ塗膜外観、例えば、なじみ性に優れた塗膜を形成できる。
ある態様において、時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して70%以下の値を示し、かつ時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して30%以上の値を示す。
ある態様においては、粘度Vは、粘度Vよりも高い値を示す。
別の態様において、時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して50%以下の粘度であり、かつ時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して30%以上の粘度である。
時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して70%以下の値を示し、かつ時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して30%以上の粘度であることにより、ウェットオンウェット塗装する場合、未乾燥の2種類の塗料が混層して塗膜外観が悪化するという不具合を回避でき、チヂミ等の塗膜不具合を大きく低減又は抑制でき、外観に優れた塗膜を形成できる。さらに、塗装膜厚を厚くする場合においても、ワキが発生する等の不具合を抑制できる。
加えて、塗布された塗料組成物は良好な乾燥性を有し、作業効率を高めることが可能となる。
また、本発明の製造方法であれば、乾燥性と粘度のバランスを保つことができるので、塗膜の肌荒れ、ムラ等を抑制でき、さらに、優れたなじみ性等の特性を示すことができる。従って、ウェットオンウェット塗装において、より良好な乾燥性を有し、かつ塗膜外観、例えばなじみ性及び塗膜平滑性に優れた塗膜を形成できる。
一方、時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度V及び時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vの少なくとも1方が、上記範囲外の粘度である場合、塗装ダストのなじみ性不良やタレ発生による塗膜外観不良という問題が生じるおそれがある。
粘度回復性の指標である、時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して70%以下の値を示し、かつ時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して30%以上の粘度であることは、粘度計を用いて測定でき、例えば、粘弾性測定装置MCR−300(Anton Paar社製)を用いて測定できる。また、本発明に係る上塗り塗料組成物及び塗料組成物についても、下塗り塗料組成物と同様にして粘度を測定できる。
ある態様において、塗膜形成樹脂に含まれるアクリル樹脂の数平均分子量が3,000〜15,000である場合、時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して70%以下の値を示し、かつ時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して30%以上の粘度である。
別の態様において、時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して50%以下の粘度であり、かつ時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して55%以上の粘度である。
アクリル樹脂の平均分子量と粘度回復性の指標がこのような範囲となることにより、ウェットオンウェット塗装において、乾燥性を向上させることができ、かつ塗膜外観、例えばなじみ性及び塗膜平滑性に優れた塗膜を形成できる。
ある態様において、塗膜形成樹脂に含まれるアクリル樹脂の数平均分子量が3,500以上〜12,000の範囲内である場合、時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して70%以下の値を示し、かつ時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して60%以上の粘度である。
別の態様において、時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して60%以下の粘度であり、かつ時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して55%以上の粘度である。
アクリル樹脂の平均分子量と粘度回復性の指標がこのような範囲となることにより、ウェットオンウェット塗装において、乾燥性を向上させることができ、かつ塗膜外観、例えばなじみ性及び塗膜平滑性に優れた塗膜を形成できる。
下塗り塗料組成物が、優れた粘度回復性等の粘度特性を有することにより、本発明の複層塗膜形成方法は、アクリル樹脂が3,000〜20,000の数平均分子量を有する場合であっても、下塗り塗料組成物が良好なレベリング性を示すことができ、塗料乾燥時における外観不良、例えば、塗膜の肌荒れ、ムラ等を抑制又は低減できる。本発明における下塗り塗料組成物は、塗膜のレベリング性及びなじみ性が良好であるという特徴を有する。これにより、本発明における下塗り塗料組成物は、良好な乾燥性と外観を併せ持つことができる。
測定温度25℃において、せん断速度0.1sec−1で粘度測定を開始し(測定開始時間T)、測定開始時間Tから20秒後(時間T)の粘度V(低せん断時の粘度)は、例えば、1.5〜25.0Pa・sであり、好ましくは1.5〜14.0Pa・sであり、ある態様においては、1.5〜10.0Pa・sである。
粘度Vが上記の範囲内にあることにより、塗料中に含まれる顔料の沈降や色別れを抑制できる。なお、後述の上塗り塗料組成物についても、同様の範囲が好ましい。
測定温度25℃において、前記時間Tにおいて、せん断速度を1,000sec−1に切替え、前記時間Tから20秒後(時間T)の粘度V(高せん断時の粘度)は、好ましくは0.05〜0.5Pa・sであり、例えば0.05〜0.3Pa・sである。粘度Vが上記の範囲内であることにより、良好な塗装作業性が得られる。なお、後述の上塗り塗料組成物についても、同様の範囲が好ましい。
1)塗膜形成樹脂
(A−1)アクリル樹脂
本発明における下塗り塗料組成物は塗膜形成樹脂としてアクリル樹脂(A−1)を含む。アクリル樹脂(A−1)が含まれることによって、下塗り塗膜に付着性、耐水性等の良好な塗膜性能が付与される。また、表面形状が平滑な塗膜を形成でき、例えば、優れた表面平滑性を有する塗膜を形成できる。
下塗り塗料組成物に含まれるアクリル樹脂(A−1)は、水酸基含有モノマー(a)及び他のモノマー(b)を共重合することによって調製することができる。
水酸基含有モノマー(a)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、これら水酸基含有(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンとの反応物及びポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル化物等が挙げられる。更に、上記多価アルコールと、アクリル酸又はメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合した反応物を用いることもできる。これらの水酸基含有モノマー(a)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタアクリレートを意味する。
他のモノマー(b)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の、カルボキシル基含有モノマー及びマレイン酸エチル、マレイン酸ブチル、イタコン酸エチル、イタコン酸ブチル等のジカルボン酸モノエステルモノマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n、i又はt−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキルエステルモノマー;アミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸アミノアルキルアミドモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メトキシブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のその他のアミド基含有モノマー;(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル等のシアン化ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の飽和脂肪族カルボン酸ビニルエステルモノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー;等を挙げることができる。これらの他のモノマー(b)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記他のモノマー(b)のうち、アクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が好ましく用いられる。
水酸基含有モノマー(a)及び他のモノマー(b)の重合方法として、当業者に通常用いられる方法を用いることができる。重合方法として、例えば、ラジカル重合開始剤を用いた、塊状重合法、溶液重合法、塊状重合後に懸濁重合を行う塊状−懸濁二段重合法等を用いることができる。これらの中でも、溶液重合法が特に好ましく用いることができる。溶液重合法として、例えば、上記モノマー混合物を、ラジカル重合開始剤の存在下で、例えば80〜200℃の温度で撹拌しながら加熱する方法等が挙げられる。
下塗り塗料組成物におけるアクリル樹脂の数平均分子量は3,000〜20,000であり、好ましくは3,500〜15,000であり、例えば、3,500〜12,000である。アクリル樹脂の数平均分子量が上記の範囲内にあることにより、塗料組成物の乾燥性を向上させるこができる。
なお、本発明においては、上記の範囲内に分子量を有するアクリル樹脂を単に用いるのではなく、本発明に係る体質顔料及び粘性調整剤と併用される。この組合せによって、上記範囲内に分子量を有するアクリル樹脂を用いても、塗料の乾燥性を向上することができ、その上、塗膜外観を損なわない。
一方、数平均分子量が3,000未満である場合は、良好な塗膜の乾燥性が得られず、また、得られる複層塗膜の塗膜物性が劣るおそれがあり、数平均分子量が20,000を超える場合は、塗膜の光沢が劣る等良好な塗膜外観が得られないおそれがある。
また、アクリル樹脂の数平均分子量が上記の範囲内にあることにより、塗料組成物は良好な乾燥性を有し、例えば、塗装ブース内に飛び散った塗料組成物のベタツキによるダスト付着等を防止でき、良好な塗装環境を保つことができる。
なお、本明細書中において数平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定したポリスチレン換算による値である。アクリル樹脂(A−1)は1種のみ使用することもできるが、塗膜性能のバランス化を計るために、2種あるいはそれ以上の種類を併用することもできる。
上記アクリル樹脂(A−1)は、固形分水酸基価が50〜250mgKOH/gであるのが好ましい。固形分水酸基価が上記の範囲内にあることにより、イソシアネート化合物(D−1)と適切に反応させることができ、所望の塗膜物性が得られる。アクリル樹脂(A−1)の固形分水酸基価は50〜200mgKOH/gであるのがより好ましい。
上記アクリル樹脂(A−1)は、固形分酸価が2〜50mgKOH/gであるのが好ましい。固形分酸価が上記の範囲内にあることにより、所望の塗膜物性が得られる。アクリル樹脂(A−1)の固形分酸価は5〜20mgKOH/gであるのがより好ましい。なお、本明細書中において、樹脂の酸価及び水酸基価は、いずれも固形分換算での値を示し、JIS K 0070に準拠した方法により測定された値である。
アクリル樹脂(A−1)として、市販されるアクリル樹脂を用いてもよい。このようなアクリル樹脂の具体例として、DIC社製の商品名「アクリディック」シリーズ(例えば、アクリディックA−428等)、三菱レイヨン社製の商品名「ダイヤナール」シリーズ、(例えば、ダイヤナールLR−2657等)、日立化成工業社製の商品名「ヒタロイド」シリーズ等が挙げられる。
(B−1)ポリエステル樹脂
本発明における下塗り塗料組成物は塗膜形成樹脂としてポリエステル樹脂(B−1)を含むことができる。下塗り塗料組成物にポリエステル樹脂(B−1)を含むことによって塗装作業性が向上し、得られる塗膜の外観が向上するという利点がある。このようなポリエステル樹脂(B−1)として、一般にポリエステルポリオールと呼ばれる、1分子中に2個以上の水酸基を有するポリエステル樹脂が好適に用いられる。このようなポリエステル樹脂は、多価アルコールと多塩基酸又はその無水物とを重縮合(エステル反応)して調製することができる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、ヒドロキシアルキル化ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)ジメチルヒダントイン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカプロラクトンポリオール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−(ヒドロキシエチル)イソシアネート等が挙げられる。これらの多価アルコールは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多塩基酸又はその無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、無水コハク酸、乳酸、ドデセニルコハク酸、ドデセニル無水コハク酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、無水エンド酸等が挙げられる。これらの多塩基酸又はその無水物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル樹脂(B−1)として、上記に従い調製したポリエステル樹脂に、ラクトン、油脂又は脂肪酸、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等を用いて変性した変性ポリエステル樹脂を用いることもできる。例えば、油脂又は脂肪酸変性ポリエステル樹脂は、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、ヤシ油、コーン油、綿実油、亜麻仁油、荏の油、ケシ油、紅花油、大豆油、桐油等の油脂、又はこれらの油脂から抽出した脂肪酸を用いて、ポリエステル樹脂を変性したものである。この、油脂又は脂肪酸変性ポリエステル樹脂の製造においては、ポリエステル樹脂100質量部に対して、上述した油脂及び/又は脂肪酸を合計で30質量部程度まで加えるのが好ましい。
上記ポリエステル樹脂(B−1)は、数平均分子量が500〜6,000であるのが好ましい。数平均分子量が上記の範囲内にあることにより、塗装作業性が良好となり、かつ所望の塗膜性能が得られる。ポリエステル樹脂(B−1)は、数平均分子量が1,000〜4,000であるのがより好ましい。
上記ポリエステル樹脂(B−1)は、固形分水酸基価が40〜350mgKOH/gであるのが好ましい。固形分水酸基価が上記の範囲内にあることにより、イソシアネート化合物(D−1)と適切に反応させることができ、所望の塗膜性能が得られる。ポリエステル樹脂(B−1)の固形分水酸基価は40〜300mgKOH/gであるのがより好ましい。
(C−1)エポキシ樹脂
本発明における下塗り塗料組成物は、塗膜形成樹脂としてエポキシ樹脂(C−1)が含まれ得る。下塗り塗料組成物中にエポキシ樹脂(C−1)が含まれることによって、得られる複層塗膜の防食性が向上するという利点がある。エポキシ樹脂(C−1)として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はノボラック型エポキシ樹脂の少なくともいずれか一方が含まれるのが好ましい。
本発明において、エポキシ樹脂(C−1)は、上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はノボラック型エポキシ樹脂に加えて、更に他のエポキシ樹脂が含まれていてもよい。他のエポキシ樹脂の具体例として、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂等を挙げることができる。
エポキシ樹脂(C−1)全量に占めるビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はノボラック型エポキシ樹脂の量は、10〜100質量%であるのが好ましく、20〜100質量%であるのがより好ましい。エポキシ樹脂(C−1)全量に占めるビスフェノールA型エポキシ樹脂及び/又はノボラック型エポキシ樹脂の量が上記の範囲内にあることにより、被塗物に対する密着性がより向上する。
エポキシ樹脂(C−1)のエポキシ当量は、100〜1,000g/eqであることが好ましく、150〜1,000g/eqであることがより好ましい。エポキシ当量が上記の範囲内にあることにより、被塗物に対する密着性及び塗装作業性を良好に保つことができる。なお、エポキシ樹脂(C−1)が複数の樹脂の混合物である場合は、含まれる全てのエポキシ樹脂のエポキシ当量が上記範囲内であることがより好ましい。
エポキシ樹脂(C−1)の数平均分子量は、200〜2,000であることが好ましい。数平均分子量が上記の範囲内にあることによって、より良好な塗膜物性及び塗装作業性が得られる利点がある。
エポキシ樹脂(C−1)として用いることができる市販品の具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品であるjER#828(ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、エポキシ当量184〜194g/eq、数平均分子量約380、三菱化学社製)、jER#1001(ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂、エポキシ当量450〜500g/eq、数平均分子量約900、三菱化学社製)、jER#1004(ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂、エポキシ当量875〜975g/eq、数平均分子量約1600、三菱化学社製)等;を挙げることができる。本発明に用いられるエポキシ樹脂(C−1)は、上記例示されたエポキシ樹脂に限定されるものではなく、一般に市販されている、その他のエポキシ樹脂も使用することができる。
2)硬化剤
(D−1)イソシアネート化合物
本発明における下塗り塗料組成物は、硬化剤としてイソシアネート化合物(D−1)を含む。
イソシアネート化合物(D−1)としては、脂肪族、脂環式、芳香族基含有脂肪族又は芳香族の、ジイソシアネート、ジイソシアネートの二量体、ジイソシアネートの三量体(好ましくはイソシアヌレート型イソシアネート(いわゆるイソシアヌレート))等多官能イソシアネート化合物を用いることができる。このようなイソシアネート化合物はいわゆるアシンメトリー型のものであってもよい。
ジイソシアネートとしては、例えば、5〜24個、好ましくは6〜18個の炭素原子を含むジイソシアネート等が挙げられる。このようなジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルへキサンジイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート−(1,11)、リジンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−及び1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート:IPDI)、4,4’−ジイソシアナトジシクロメタン、ω,ω’−ジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジプロピルジイソシアネート、シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,5−ジメチル−2,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,5−トリメチル−2,4−ビス(ω−イソシアナトエチル)−ベンゼン、1,3,5−トリメチル−2,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリエチル‐2,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、ジシクロヘキシルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。また、2,4−ジイソシアナトトルエン及び/又は2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,4−ジイソシアナトイソプロピルベンゼンのような芳香族ジイソシアネートも用いることができる。
上記イソシアヌレート型イソシアネートとしては上述したジイソシアネートの三量体を挙げることができる。なお、このようなイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
イソシアネート化合物(D−1)は、含まれるイソシアネート化合物の少なくとも一部がイソシアヌレート型イソシアネート化合物であることが好ましい。また、本発明においては、上記イソシアヌレート型イソシアネート化合物を、それ以外の脂肪族、脂環式、芳香族基含有脂肪族又は芳香族の多官能イソシアネート化合物(好適にはジイソシアネート)と組み合わせて混合物として使用することもできる。この場合、イソシアネート化合物(D−1)の全量中における上記イソシアヌレート型イソシアネート化合物の含有割合が60質量%以上であることが好ましい。
上記塗膜形成樹脂に対する、イソシアネート化合物(D−1)の含有量は、上記塗膜形成樹脂に含まれる水酸基の総数1に対して、イソシアネート化合物(D−1)中のイソシアネート基が0.5〜1.5であることが好ましい。イソシアネート化合物(D−1)の含有量が上記の範囲内にあることにより、十分な硬化が得られ、所望の塗膜物性が得られる。
3)顔料
(E−1)
本発明における下塗り塗料組成物は、体質顔料(E−1)を含む。
体質顔料としては、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ケイ酸、ケイ酸塩、酸化アルミニウム水和物、硫酸カルシウム、石膏、雲母状酸化鉄(MIO)、ガラスフレーク、スゾライト・マイカ、クラライト・マイカ等が挙げられる。
ある態様において、体質顔料は、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルクからなる群から選択されるものである。例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム及び表面処理タルク等を用いることができる。このような体質顔料を単独で用いてもよく、組合せて用いてもよい。
体質顔料を、本発明における粘性調整剤と併用することにより、本発明における下塗り塗料組成物の粘度及び粘性挙動、例えば粘度回復性を適切に調整でき、塗料組成物に対して適切なレベリングとタレ性を付与できる。これにより、本発明の方法により形成された複層塗膜は、良好な塗膜外観を有することができる。
ある態様において、本発明における下塗り塗料組成物は、上記体質顔料(E−1)に加えて、体質顔料(E−1)以外の顔料を含んでもよい。このような顔料として、例えば、塗料分野において一般的に用いられる顔料を用いることができ、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、鉛白、黒鉛、硫化亜鉛、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化クロム、黄色ニッケルチタン、黄色クロムチタン、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ウルトラマリンブルー、キナクリドン類、アゾ系赤・黄色顔料等の着色顔料;モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、亜鉛末(Zn)、リン酸亜鉛、アルミ粉(Al)等の防錆顔料が挙げられる。
これらの着色顔料及び防錆顔料は、それぞれ1種のみが用いられてもよいし、2種以上を併用してもよい。
下塗り塗料組成物においては、防錆顔料を1種以上含むことが好ましい。上記体質顔料と、防錆顔料を併用することにより、得られる複層塗膜の防食性等が更に向上するという利点がある。
4)粘性調整剤
(F−1)粘性調整剤
本発明における下塗り塗料組成物は、粘性調整剤(F−1)を含む。本発明における下塗り塗料組成物は、粘性調整剤を用いることで、下塗り塗料組成物にチクソトロピー性を付与できる。また、混層、タレ等による塗膜外観の低下を低減できる。しかし、粘性調整剤のみを単独で用いても乾燥性と塗膜外観を両立させることは困難である。
このため、本発明においては、体質顔料と粘性調整剤とを併用することにより、塗料の高せん断時の粘度を低くし、かつ粘度の回復性を遅くすることが可能となり、塗膜外観の低下を抑制することができる。このような組合せを有することにより、優れた外観を塗膜にもたらすことができる。
また、本発明における塗膜形成樹脂と、体質顔料と、粘性調整剤とを用いることにより、塗料組成物は乾燥性に優れ、かつ得られた塗膜は優れた外観を有することができる。
粘性調整剤としては、一般にチクソトロピー性を示すものを用いることができ、例えば、ポリオレフィンのコロイド状膨潤分散体等のポリオレフィン系粘性調整剤、脂肪酸アマイドの膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポリアミノアマイドの燐酸塩等のポリアマイド系粘性調整剤、有機酸スメクタイト粘土、モンモリロナイト等の有機ベントナイト系粘性調整剤、架橋樹脂粒子及び非架橋樹脂粒子等が挙げられる。
ポリオレフィン系粘性調整剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリエチレンを酸素等と接触させて得られる酸化ポリエチレン系、ポリプロピレンを酸素等と接触させて得られる酸化ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体を酸素等と接触して得られる酸化エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体が挙げられ、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、酸化エチレン−プロピレン共重合体が好ましく、酸化ポリエチレンがより好ましい。
酸化ポリエチレンは、酸化ポリエチレンを微細な粒子にして、コロイド状の膨潤分散体にしたものが更に好ましく、沈降防止やレオロジー改良効果を有するものが挙げられる。
酸化ポリエチレンとしては、下記の化式に示す酸化ポリエチレンが挙げられる。
Figure 0006177983
酸化ポリエチレンの数平均分子量は、本発明における下塗り塗料組成物に含まれる各成分との相溶性の観点から、3,000〜5,000であることが好ましい。また、酸化ポリエチレンの分子中には複数の−OH基が存在し、−OHの酸素原子と−OH基又は他の置換基等における水素原子との間に形成される水素結合によって緩やかに結合している。
例えば、酸化ポリエチレンワックス(酸価が3〜70mgKOH/g)を用いてもよい。
粘性調整剤(F−1)として用いることができる酸化ポリエチレンとしては、具体的には、楠本化成社製の「ディスパロンPF−911」等が挙げられる。
粘性調整剤(F−1)として用いることができるポリアマイド系粘性調整剤としては、例えば、脂肪酸アマイドを用いることができる。市販品として入手可能な脂肪酸アマイドとしては、粉末状態のものやペースト状態のものが知られている。ペースト状態のものは、一般にキシレンやアルコール等の溶剤によって希釈されている。
上記脂肪酸アマイドの一例としては、下記式に示すような一般構造を有するジアマイドが挙げられる。
Figure 0006177983
上記ジアマイドは、ジアミンに水酸基含有脂肪酸を反応させることにより得られる化合物である。上記(化2)式において、R1は水酸基含有脂肪酸から水酸基及びカルボキシル基を除いた残基を示しており、R2はジアミンからアミノ基を除いた残基を示している。なお、上記ジアマイドにおいて、両端のR1のいずれか一方にOH基が結合していないような脂肪酸アマイドも粘性制御剤として知られており、本発明において用いることができるものである。
また、脂肪酸アマイドの他の例として、下記式に示す一般構造を有するポリアマイドが挙げられる。
Figure 0006177983
上記のポリアマイドは、多塩基カルボン酸とジアミンと水酸基含有脂肪酸を反応させて得られる化合物である。上記(化3)式において、R及びRは、上記(化2)式と同様であり、Rは多塩基カルボン酸からカルボキシル基を除いた残基を示している。平均重合度nは、3〜5程度が一般的である。また、数平均分子量(Mn)は1,000〜2,000程度のものが一般的である。
本発明の塗料中に用いる脂肪酸アマイドとしては、上記のジアマイド及びポリアマイドの単体及び混合物が挙げられ、具体的には、楠本化成社製の「ディスパロンNS−5025(ジアマイド)」等が挙げられる。
5)シランカップリング剤
本発明における下塗り塗料組成物は、シランカップリング剤(G−1)を含んでもよい。シランカップリング剤を用いることにより、形成された複層塗膜は、優れた耐衝撃性、密着性を備えることができる。更には、優れた防食性、付着性を備えることができる。
シランカップリング剤として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリル基含有シランカップリング剤;3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤;N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩等のアミノ基含有シランカップリング剤;3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド基含有シランカップリング剤;3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤;ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド基含有シランカップリング剤;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤;等が挙げられる。
アミノ基含有シランカップリング剤の具体例としては、KBE−903(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、KBM−602(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)及びKBM−603(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)(以上、全て信越化学工業社製)等を挙げることができる。
エポキシ基含有シランカップリング剤の具体例としては、KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、KBE−403(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)、KBE−402(3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン)、KBM−303(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)、KBM−402(3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)(以上、全て信越化学工業社製)等を挙げることができる。
6)その他の構成要素
本発明における下塗り塗料組成物は、必要に応じて、上記以外の塗料組成物として公知の各種添加剤を含んでもよい。各種添加剤としては、例えば、タレ止め・沈降防止剤、硬化触媒(有機金属触媒)、色分れ防止剤、分散剤、消泡・ワキ防止剤、増粘剤、粘性調整剤、レベリング剤、ツヤ消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、造膜助剤、有機溶剤等を挙げることができる。これらの構成要素の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜調整される。
有機溶剤としては、溶剤型塗料において通常用いられるものを含むことができる。このような溶剤として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ソルベッソ100(エクソン化学社製)、メトキシブチルアセテート、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、石油エーテル、石油ナフサ等が挙げられる。特に、使用量により特化側の法的制限を受ける有機溶剤、例えば、キシレン等を選択しなくても塗料設計が可能となる。
有機溶剤の含有量は特に制限されるものではないものの、近年における環境保全及び環境負荷を考慮した量で用いるのがより好ましい。特に、本発明においては、下塗り塗料組成物が、本発明における塗膜形成樹脂、粘性調整剤、体質顔料を含むので、有機溶剤の使用量を、これまでの溶剤型塗料組成物と比べて大幅に低減でき、更に特化則を遵守した塗料設計が可能となる。
本発明における下塗り塗料組成物は、塗膜形成樹脂、硬化剤、体質顔料及び粘性調整剤を含んでいる。
例えば、塗膜形成樹脂、硬化剤、体質顔料及び粘性調整剤の固形分の合計を100質量%としたとき、塗膜形成樹脂の固形分比率は、20〜80質量%であることが好ましく、例えば、30〜60質量%であり、ある態様においては35〜55質量%である。
本発明において、塗膜形成樹脂はアクリル樹脂を含む。塗膜耐水性、防食性及び仕上がり性の観点から、アクリル樹脂(A−1)の固形分比率は、塗膜形成樹脂の固形分100質量%に対して、40〜100質量%であることが好ましく、例えば、50〜100質量%であり、ある態様においては50〜90質量%である。別の態様においては、90〜100質量部である。
このような範囲でアクリル樹脂を含むことにより、ウェットオンウェット塗装により、被塗物上に乾燥性により優れた複層塗膜を形成でき、その上、特化則の対象物質について法的制限を受けない。
なお、本発明において、「塗膜形成樹脂の固形分」は、アクリル樹脂の固形分に加えて、所望により添加されるポリエステル樹脂の固形分、エポキシ樹脂の固形分及びその他の塗膜形成樹脂に含まれ得る樹脂の固形分の合計量を意味する。
塗膜形成樹脂がポリエステル樹脂(B−1)を含む場合、塗装作業性と塗膜の耐久性の観点から、ポリエステル樹脂(B−1)の固形分比率は、塗膜形成樹脂の固形分100質量%に対して、0〜40質量%であることが好ましく、例えば、1〜20質量%であり、ある態様においては、5〜15質量%である。
塗膜形成樹脂がエポキシ樹脂(C−1)を含む場合、防食性、クラックの発生及び被塗物に対する密着性の観点から、エポキシ樹脂(C−1)の固形分比率は、塗膜形成樹脂の固形分100質量%に対して、0〜20質量%であることが好ましく、例えば、1〜15質量%であり、ある態様においては5〜15質量%である。
硬化剤の固形分比率は、硬化性と耐傷性の観点から、塗膜形成樹脂の固形分100質量%に対して、5〜50質量%であることが好ましく、例えば、10〜45質量%であり、ある態様においては15〜40質量%である。
硬化剤としてイソシアネート化合物(D−1)を用いる場合、硬化性と耐傷性の観点から、イソシアネート化合物(D−1)の固形分比率は、塗膜形成樹脂の固形分100質量%に対して、5〜50質量%であることが好ましく、例えば、10〜45質量%であり、ある態様においては15〜40質量%である。
体質顔料(E−1)の固形分比率は、塗料組成物に対して適切なレベリングとタレ性を付与できる観点から、塗膜形成樹脂の固形分100質量%に対して、10〜70質量%であることが好ましく、例えば、20〜60質量%あり、ある態様においては30〜50質量%である。
粘性調整剤(F−1)の固形分比率は、塗料組成物の粘度を低くし、塗膜に平滑性をもたらす観点から、塗膜形成樹脂の固形分100質量%に対して、0.1〜10質量%であることが好ましく、例えば、0.3〜8質量%であり、ある態様においては0.5〜7質量%である。
シランカップリング剤の固形分比率は、優れた耐衝撃性、一次密着性を備える観点から、塗膜形成樹脂の固形分100質量%に対して、0〜10質量%であることが好ましく、例えば、3〜8質量%であり、ある態様においては3.5〜8質量%である。
本発明においては、これらの数値範囲を適宜組合せることができる。
上塗り塗料組成物
本発明における上塗り塗料組成物は、塗膜形成樹脂、硬化剤、体質顔料及び粘性調整剤を含み、塗膜形成樹脂は、アクリル樹脂を含み、硬化剤はイソシアネート化合物を含む。
上塗り塗料組成物は、上述した下塗り塗料組成物と同一の塗料組成物であってもよく、用途に応じて、適宜選択できる。
ある態様において、本発明における上塗り塗料組成物は、測定温度25℃において、せん断速度を0.1sec−1とした測定開始時間を時間T1−2とし、
前記時間T1−2から20秒後の時間T2−2における粘度をV2−2とし、時間T2−2において、せん断速度を1,000sec−1とし、
前記時間T2−2から20秒後の時間T3−2における粘度を粘度V3−2とし、時間T3−2においてせん断速度を0.1sec−1とし、
時間T3−2から2秒後の時間T4−2における粘度V4−2は、粘度V2−2に対して70%以下の粘度であり、かつ時間T3−2から30秒後の時間T5−2における粘度V5−2は、粘度V2−2に対して30%以上の粘度である。
例えば、本発明における下塗り塗料組成物は、チクソトロピー性を有しており、例えば、刷毛やスプレー等による塗装時には高いせん断速度が加わる。高いせん断速度を加え、低い粘度を与えて良好な作業性を得るように制御され得る。
本発明においては、塗装後の低いせん断応力下では、高い仕上り性(平滑性)を得るための低粘度によるレベリング性とタレ抑制のための粘度回復性との適したバランスが付与されている。
上塗り塗料組成物が、このような粘度特性を有することにより、本発明の複層塗膜形成方法において、アクリル樹脂が3,000〜20,000の数平均分子量を有する場合であっても、上塗り塗料組成物が良好なレベリング性を示すことができ、塗料乾燥時における外観不良、例えば、塗膜の肌荒れ、ムラ等を抑制又は低減できる。本発明における上塗り塗料組成物は、塗膜のレベリング性及びなじみ性が良好であるという特徴を有する。これにより、本発明における上塗り塗料組成物は、良好な速乾性と、外観を併せ持つことができる。
測定温度25℃において、せん断速度0.1sec−1で粘度測定を開始し(測定開始時間T1−2)、測定開始時間T1−2から20秒後(時間T2−2)の粘度V2−2(低せん断時の粘度)は、例えば、1.5〜25.0Pa・sであり、好ましくは1.5〜14.0Pa・sであり、ある態様においては、1.5〜10.0Pa・sである。
粘度V2−2が上記の範囲内にあることにより、塗料中に含まれる顔料の沈降や色別れを抑制できる。
測定温度25℃において、前記時間T2−2において、せん断速度を1,000sec−1に切替え、前記時間T2−2から20秒後(時間T3−2)の粘度V3−2(高せん断時の粘度)は、好ましくは0.05〜0.5Pa・sであり、例えば0.05〜0.3Pa・sである。粘度V3−2が上記の範囲内であることにより、良好な塗装作業性が得られる。
ある態様において、時間T3−2から2秒後の時間T4−2における粘度V4−2は、粘度V2−2に対して50%以下の粘度であり、かつ時間T3−2から30秒後の時間T5−2における粘度V5−2は、粘度V2−2に対して60%以上の粘度である。
ここで、時間T3−2から2秒後の時間T4−2における粘度V4−2は、粘度V2−2に対して40%以下の粘度であり、かつ時間T3−2から30秒後の時間T5−2における粘度V5−2は、粘度V2−2に対して70%以上の粘度であることにより、速乾性の塗料組成物でありながらも、最適なレベリングとタレ性を示すことができる。このような粘度特性を有することで、例えば、産業機械、建設機械等をウェットオンウェット塗装する場合であっても、乾燥性が良好のため混層、なじみ等による塗膜の不具合を伴うことなく、良好な外観を有する複層塗膜を形成することができる。
1)塗膜形成樹脂
(A−2)アクリル樹脂
アクリル樹脂(A−2)として具体的には、上記の下塗り塗料組成物のところで述べたアクリル樹脂(A−1)を挙げることができる。
ある態様において、上塗り塗料組成物におけるアクリル樹脂の数平均分子量は3,000〜20,000であり、好ましくは3,500〜15,000であり、例えば、3,500〜12,000である。
アクリル樹脂の数平均分子量がこのような範囲内にあることにより、塗料組成物の乾燥性を向上させるこができる。
なお、本発明においては、このような範囲内に分子量を有するアクリル樹脂を単に用いるのではなく、本発明に係る体質顔料及び粘性調整剤と併用される。この組合せによって、上記範囲内に分子量を有するアクリル樹脂を用いても、塗料の乾燥性を向上することができ、その上、塗膜外観を損なわない。
一方、数平均分子量が3,000未満である場合は、良好な塗膜の乾燥性が得られず、また、得られる複層塗膜の塗膜物性が劣るおそれがあり、数平均分子量が20,000を超える場合は、塗膜の光沢が劣る等良好な塗膜外観が得られないおそれがある。
(B−2)ポリエステル樹脂
本発明における上塗り塗料組成物は、塗膜形成樹脂としてポリエステル樹脂(B−2)を含むことができる。ポリエステル樹脂(B−2)として具体的には、上記の下塗り塗料組成物のところで述べたポリエステル樹脂(B−1)を挙げることができる。また、配合量等の条件についても、上記ポリエステル樹脂(B−1)と同様の範囲で使用できる。
2)硬化剤
(D−2)イソシアネート化合物
本発明における上塗り塗料組成物は、硬化剤としてイソシアネート化合物(D−1)を含む。イソシアネート化合物(D−2)として具体的には、上記した下塗り塗料組成物のところで述べたイソシアネート化合物(D−1)を挙げることができる。配合量等の条件についても、上記イソシアネート化合物(D−1)と同様の範囲で使用できる。
3)体質顔料
本発明における上塗り塗料組成物は、体質顔料(E−2)を含む。体質顔料(E−2)として具体的には、上記した下塗り塗料組成物のところで述べた体質顔料(E−1)を挙げることができる。配合量等の条件についても、上記体質顔料(E−1)と同様の範囲で使用できる。
4)粘性調整剤
本発明における上塗り塗料組成物は、粘性調整剤(F−2)を含む。粘性調整剤(F−2)として具体的には、上記した下塗り塗料組成物のところで述べた粘性調整剤(F−1)を挙げることができる。配合量等の条件についても、上記粘性調整剤(F−1)と同様の範囲で使用できる。
6)その他の構成要素
上塗り塗料組成物は更に、下塗り塗料組成物において含まれ得る各種添加剤(例えば、有機溶剤、硬化触媒、タレ止め・沈降防止剤、粘性調整剤、紫外線吸収剤等)を含んでもよい。
複層塗膜形成方法
A.被塗物
本発明の複層塗膜形成方法における被塗物として、例えば、鉄、亜鉛、錫、銅、チタン、ブリキ、トタン等の金属基材が挙げられる。これらの金属基材は、亜鉛、銅、クロム等のメッキが施されていてもよく、また、クロム酸、リン酸亜鉛又はジルコニウム塩等の表面処理剤を用いた表面処理が施されていてもよい。
本発明の複層塗膜形成方法は、例えば、熱容量が大きく、加熱炉中において被塗物に熱が十分に伝達しない金属基材等が被塗物である場合において、特に好適に用いることができる。このような被塗物として、具体的には、建設機械(例えば、ブルドーザー、スクレイパー、油圧ショベル、堀削機、運搬機械(トラック、トレーラー等)、クレーン・荷役機械、基礎工事用機械(ディーゼルハンマー、油圧ハンマー等)、トンネル工事用機械(ボーリングマシーン等)、ロードローラー等);一般工業用と呼ばれる弱電・重電機器、農業機械、鋼製家具、工作機械及び大型車両等の産業機械;その他熱容量が大きく加熱しても昇温し難い被塗物等が挙げられる。本発明における複層塗膜形成方法は、熱容量が大きく加熱しても昇温し難い被塗物である建設機械又は産業機械の塗装に好適に用いることができる。
B.塗装方法
<下塗り>
下塗り塗料組成物及び上塗り塗料組成物を塗装する方法は特に限定されず、例えば、浸漬、刷毛、ローラー、ロールコーター、エアースプレー、エアレススプレー、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーター、静電塗装等の一般に用いられている塗装方法等を挙げることができる。この中でも、エアースプレー、エアレススプレー、カーテンフローコーターが好ましい。これらは被塗物の用途及び形状に応じて適宜選択することができる。
下塗り塗料組成物は、乾燥膜厚が10〜100μmの範囲となる量で塗装するのが好ましく、15〜70μmの範囲となる量で塗装するのがより好ましい。こうして未乾燥の下塗り塗膜を形成した後、上塗り塗料組成物を塗装することができる(ウェットオンウェット塗装)。未乾燥の下塗り塗膜を形成後、上塗り塗料組成物を塗装するまでの塗装間隔(インターバル)は、作業効率の観点から室温(5〜35℃)で0〜60分が好ましく、1〜30分がより好ましく、1〜15分が更に好ましい。本発明の複層塗膜形成方法を用いれば、下塗り塗膜がほとんど乾いていない状態で上塗り塗料を塗装しても、塗膜外観に優れた複層塗膜を得ることが可能である。また、下塗り塗膜が一般的な室温を超える温度(例えば40〜100℃、より好ましくは40〜80℃)で1分〜10分間程度仮乾燥させ、下塗り塗膜が半乾燥の状態で上塗り塗料を塗装することも可能である。
<上塗り>
上塗り塗料組成物は、乾燥膜厚が10〜200μmの範囲となる量で塗装するのが好ましく、20〜100μmの範囲となる量で塗装するのがより好ましい。こうして得られた、未乾燥の下塗り塗膜及び未乾燥の上塗り塗膜は、室温(5〜35℃)で1〜10日間放置するか、又は一般的な室温を超える温度(例えば50〜100℃、より好ましくは60〜80℃)で15〜60分間強制乾燥することによって、複層塗膜を得ることができる。
本発明の別の態様においては、ウェットオンウェット塗装用の塗料組成物が提供される。ウェットオンウェット塗装用の塗料組成物は、アクリル樹脂を含む塗膜形成樹脂、イソシアネート化合物を含む硬化剤、体質顔料及び粘性調整剤を含んでおり、
前記アクリル樹脂の数平均分子量が3,000〜20,000であり、
前記塗料組成物は、測定温度25℃において、せん断速度を0.1sec−1とした測定開始時間を時間Tとし、
前記時間Tから20秒後の時間Tにおける粘度をVとし、時間Tにおいて、せん断速度を1,000sec−1とし、
前記時間Tから20秒後の時間Tにおける粘度を粘度Vとし、時間Tにおいてせん断速度を0.1sec−1とし、
時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して70%以下の粘度であり、かつ時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して30%以上の粘度である、塗料組成物である。
アクリル樹脂を含む塗膜形成樹脂、イソシアネート化合物を含む硬化剤、体質顔料及び粘性調整剤の各成分については、上述した下塗り塗料組成物において説明した各成分を挙げることができる。
更に、塗料組成物における各粘度、時間等についても、上述した下塗り塗料組成物において説明した粘度範囲、時間を挙げることができる。
複層塗膜
本発明の複層塗膜形成方法及びウェットオンウェット塗装用の塗料組成物により形成される複層塗膜は、塗料組成物が良好な乾燥性を有することにより、混層、なじみ等による塗膜の不具合を伴うことなく、更に、適切に調整された粘度を有するために、良好な外観を有する。
また、複層塗膜は、良好な防食性付与機能を有する下塗り塗膜及び耐候性付与機能を有する上塗り塗膜によって、優れた防食性、耐候性等の塗膜物性が達成されている。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中「部」及び「%」は、ことわりのない限り質量基準による。
<樹脂の製造>
(製造例1) アクリル樹脂1の製造
窒素導入管、撹拌機、温度調節機、滴下ロート及びデカンターを備えた冷却管を取り付けた1Lの反応容器に酢酸ブチル35部を仕込み、温度を120℃にした。次に、アクリルモノマーとして、スチレン5.0部、メタクリル酸0.3部、メチルメタクリレート61.0部、2−エチルヘキシルメタクリレート17.7部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート18.0部及び反応開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4部を滴下ロートに仕込みモノマー溶液とした。反応容器内を120℃に保持しながら3時間かけてこのモノマー溶液を滴下した。滴下後更に1時間120℃で保持した。得られたアクリル樹脂1は数平均分子量11,000、固形分水酸基価70mgKOH/g、固形分酸価2mgKOH/g、固形分濃度は75%であった。
(製造例2) アクリル樹脂2の製造
アクリルモノマーを、スチレン5.0部、メタクリル酸0.8部、メチルメタクリレート58.7部、2−エチルヘキシルメタクリレート17.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート18.5部とした以外は製造例1と同様に作製した。得られたアクリル樹脂2は数平均分子量3,200、固形分水酸基価80mgKOH/g、固形分酸価5mgKOH/g、固形分濃度は63%であった。
(製造例3) アクリル樹脂3の製造
アクリルモノマーを、スチレン5.0部、メタクリル酸0.8部、メチルメタクリレート46.6部、2−エチルヘキシルメタクリレート10.6部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート37.0部とした以外は製造例1と同様に作製した。得られたアクリル樹脂3は数平均分子量5,000、固形分水酸基価160mgKOH/g、固形分酸価5mgKOH/g、固形分濃度は70%であった。
(製造例4) アクリル樹脂4の製造
アクリルモノマーを、スチレン5.0部、メタクリル酸1.5部、メチルメタクリレート59.0部、2−エチルヘキシルメタクリレート18.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート16.5部とした以外は製造例1と同様に作製した。得られたアクリル樹脂4は数平均分子量16,000、固形分水酸基価70mgKOH/g、固形分酸価10mgKOH/g、固形分濃度は50%であった。
(製造例5) アクリル樹脂6の製造
アクリルモノマーを、スチレン5.0部、メタクリル酸0.3部、メチルメタクリレート64.0部、2−エチルヘキシルメタクリレート19.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート11.7部とした以外は製造例1と同様に作製した。得られたアクリル樹脂6は数平均分子量23,000、固形分水酸基価50mgKOH/g、固形分酸価2mgKOH/g、固形分濃度は40%であった。
なお、上記アクリル樹脂2〜6の製造においては、数平均分子量、樹脂粘度等により、反応開始剤量、固形分濃度等を当該技術分野において公知の方法により適宜調整した。
(製造例7) ポリエステル樹脂1の製造
撹拌機、温度調節機、冷却管を備えた2Lの反応容器に、イソフタル酸15.6部、ヘキサヒドロ無水フタル酸21.8部、ネオペンチルグリコール15.2部、トリメチロールプロパン18.0部、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル6.1部、カージュラーE10P(ヘキシオン社製 バーサティック酸グリシジルエステル)7.9部、ε−カプロラクトン15.4部を仕込み、昇温した。反応により生成する水を除去しながら縮合反応を進めた。昇温開始より約2時間をかけて温度を190℃にし、カルボン酸相当の酸価が8になるまで撹拌と脱水を継続し、反応を終了した。更に酢酸ブチル16部を加えた。得られたポリエステル樹脂1は数平均分子量1,500、固形分水酸基価230mgKOH/g、固形分酸価8mgKOH/g、固形分濃度は80%であった。
<評価塗膜作製例> (下塗り塗料組成物の製造例1)下塗り塗料組成物1の製造
分散容器に、アクリル樹脂1(水酸基価=70、数平均分子量=11,000)を55部、体質顔料として重質炭酸カルシウムスーパー#2000(丸尾カルシウム社製)を11部、着色顔料としてTAROX合成酸化鉄LL−XLO(チタン工業社製)を9部、分散剤としてBYK−161(ビックケミー・ジャパン社製)を1部、表面調整剤としてBYK−392(ビックケミー・ジャパン社製)を1部、及び溶剤として酢酸ブチルを19部、を添加し、ガラスビーズを入れて分散し、粒度が10μm以下になるまで分散を行った。その後、粘性調整剤1としてディスパロンPF−911(酸化ポリエチレン系、楠本化成社製)3部を添加し、撹拌を行った。
その後、塗膜形成樹脂であるアクリル樹脂に含まれる水酸基の総数と、イソシアネート基との比率が1:1になるように、イソシアヌレート型のイソシアネート化合物としてスミジュール3300(固形分濃度100質量%、HDIのイソシアヌレート体(3量体)、日本ポリウレタン社製)の酢酸ブチル溶液(固形分濃度50%)11部を加えて攪拌を行い、下塗り塗料組成物1を得た(下記表1A参照)。
(下塗り塗料組成物の製造例2〜16)
各成分の量を、下記表1Aに示す量に変更したこと以外は製造例1と同様にして、下塗り塗料組成物2〜16を製造した。
なお、下記表1に示すアクリル樹脂5は、アクリディックA−859B(固形分濃度75質量%、固形分水酸基価130mgKOH/g、数平均分子量2,100、DIC社製)である。エポキシ樹脂1は、jER#828(エポキシ当量189g/eq、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学社製)である。シランカップリング剤は、KBM−403(信越化学工業社製)である。体質顔料である沈降性硫酸バリウムは、バリエースB−34(堺化学工業社製)である。粘性調整剤2は、ディスパロンNS−5025(ポリアマイド系、楠本化成社製)である。
Figure 0006177983
(上塗り塗料組成物の製造例21〜27)
各成分の量を、下記表1Bに示す量に変更したこと以外は、下塗り塗料組成物の製造例と同様にして、上塗り塗料組成物を製造した。
Figure 0006177983
実施例1
複層塗膜の形成
大きさ0.8×70×150mmのJIS G 3141(SPCC−SB)冷間圧延鋼板を、キシレンで脱脂した。次いで、下塗り塗料組成物の製造例1で得られた下塗り塗料組成物1を、40μmの乾燥膜厚になるようにエアレススプレーを用いて塗装して未乾燥の下塗り塗膜を形成した。
続けて、室温で3分のインターバルを置いて、下塗り塗膜が未乾燥の状態で、製造例で得られた上塗り塗料組成物1を、40μmの乾燥膜厚になるようにエアレススプレーを用いてウェットオンウェット塗装をして未乾燥の上塗り塗膜を形成した。
10分間室温で放置した後、80℃で30分間乾燥させて(強制乾燥)、所定の乾燥膜厚の複層塗膜を得た。乾燥膜厚は80μmの複層塗膜を得た(表2A参照)。
なお、下塗り塗料組成物及び上塗り塗料組成物は、予めNK−2カップで60秒(25℃)となるように酢酸ブチルで希釈し、試験に供した。
実施例2〜15、比較例1〜7
各実施例及び比較例に対応する、表2Aに示す処方の下塗り塗料組成物及び上塗り塗料組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして複層塗膜を得た。
Figure 0006177983
Figure 0006177983
評価項目
上記実施例及び比較例の複層塗膜について、下記評価を行った。実施例および比較例に関する各結果を、表2Aおよび表2Bに示す。
粘度回復性
各実施例及び比較例における下塗り塗料組成物について、粘弾性測定装置MCR−300(治具:パラレルプレートCP50、Anton Paar社製)を用いて粘度を測定し、以下に示す指標で粘度回復性を評価した。測定条件は、以下のとおりである。また、上塗り塗料組成物についても、下塗り塗料組成物と同様にして粘度を測定し評価した。
測定温度25℃において、せん断速度0.1sec−1で粘度測定を開始した(測定開始時間T1)。
測定開始時間Tにおける粘度Vとした。
次に、前記測定開始時間Tから20秒後(時間T)の粘度を低せん断時の粘度(V)とした。それと同時に、前記時間Tにおいて、せん断速度を1,000sec−1に切替えた。
更に、前記時間Tから20秒後(時間T)の粘度を高せん断時の粘度(V)とした。それと同時に、前記時間Tにおいて、再度せん断速度を0.1sec−1に切替えた。
次いで、時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vを測定し、時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vを測定した。
得られた各種データに基づき、時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vを測定し、時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vを測定し、粘度回復性の指標とした。
得られた結果を表2Aおよび2Bに示す。
塗膜乾燥性
下塗り塗料組成物、上塗り塗料組成物それぞれの乾燥性を、下記基準により評価した。△以上を合格とした。
○:塗装終了から5分後、指触し、指に塗料が全く付着しない。
○△:塗装終了から10分後、指触し、指に塗料が全く付着しない。
△:塗装終了から15分後、指触し、指に塗料が全く付着しない。
△×:塗装終了から30分後、指触し、指に塗料が全く付着しない。
×:塗装終了から30分後に指触すると、指に塗料が付着する。
複層塗膜外観(目視外観)
上塗り塗料組成物を塗装した直後の未乾燥の複層塗膜外観を、下記基準に基づき、目視で評価した。なお、塗膜外観(タレ性)評価のための複層塗膜は、前記冷間圧延鋼板を地面に対して垂直に立てて設置し、その状態で下塗り塗料組成物及び上塗り塗料組成物を所定の乾燥膜厚となるように塗装して形成した。
○:タレが見られず、良好な外観である。
△:一部にタレが見られる。
×:全面にタレが見られる。
複層塗膜外観(光沢
得られた複層塗膜の光沢値(60°光沢値)を、多角度光沢計GS−4K(スガ試験機社製)により測定し、下記基準に基づき評価した。
◎:光沢保持率が85%以上
○:光沢保持率が80%以上85%未満
△:光沢保持率が50%以上80%未満
×:光沢保持率が50%未満
複層塗膜外観(平滑性;なじみ性)
複層塗膜外観の平滑性は、wave scan T(BYK Gardner社製)を用いて塗膜表面の仕上がり外観を評価した。
wave scan(ウェーブスキャン)は、測定機から出るレーザー光を塗面に当てて反射光の強度を逐一検出器によって検出し、反射光の強度により肉眼での観察に近い塗膜表面の光学的凹凸を観察できる。測定波長として、長波長側の評価値と、短波長側の評価値を測定できる。
より詳細には、各うねり波長W1〜W4におけるうねりの強度を測定することにより、平滑性を評価できる。ここで、各うねり波長W1〜W4におけるうねりの強度は、レーザービームを試料表面に照射しながら走査し、その反射ビームの強度(拡散、集光)をセンサーで検出、解析し数値化したものである。評価数値が小さい程、各うねり波長W1〜W4に対応するうねりが少なく、試料表面が平滑であることを表す。例えば、被塗物が建設機械又は産業機械である場合、波長W2及び/又は波長W3にて評価できる。
各うねり波長及びうねりの強度の基準強度値を以下に示す。いずれにおいても、数値が小さいほど平滑性が高い。
うねり波長W1(波長2.4mm以上 ):基準強度値22
うねり波長W2(波長0.8mm以上 2.4mm未満):基準強度値40
うねり波長W3(波長0.32mm以上0.8mm未満):基準強度値35
うねり波長W4(波長0.32mm未満 ):基準強度値20
得られたW1〜W4の4つの数値のうち、W2及びW3について、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。△以上を合格とした。
○(極めて良好):W2の数値が25以下であり、かつW3の数値が20以下である。
△(良好):W2の数値が26以上40以下であるか、又はW3の数値が21以上35以下である。
△×(不良):W2の数値が41超であるか、又はW3の数値が36超である。
×(極めて不良):W2の数値が41超であり、かつW3の数値が36超である。
耐食性
得られた複層塗膜に、基材に達するようにカッターナイフで長さ10cmのクロスカット傷を入れた。JIS K 5600−7−1(JIS Z 2371)記載の耐中性塩水噴霧性試験法に従い、塩水噴霧試験機ST-11L(スガ試験機社製)で240時間、塩水噴霧試験を実施した。その後、クロスカット部からの錆及びフクレの発生を、下記基準に基づき、目視で評価した。
○:発生した錆又はフクレの最大幅がクロスカット部より2mm未満
△:発生した錆又はフクレの最大幅がクロスカット部より2mm以上4mm未満
×:発生した錆又はフクレの最大幅がクロスカット部より4mm以上
二次密着性
防錆性を評価した塗板をクロスカットに沿ってセロハン粘着テープを貼り、それを剥がし、クロスカットからの剥離幅を測定し、下記基準に基づき評価した。○△以上を合格とした。
○:剥離幅が1mm以内
○△:剥離幅が1mmを超え、3mm以内
△:剥離幅が3mmを超え、5mm以内
×:剥離幅が5mmを超える
促進耐候性
JIS K 5600−7−7記載のキセノンランプ法に従い、スーパーキセノンウェザーメーターSX2−75(スガ試験機社製)で促進耐候性試験を実施した。試験時間500時間後の塗膜の60°光沢値を、多角度光沢計GS-4K(スガ試験機社製)により測定し、試験前の60°光沢値に対する変化率(光沢保持率)を、下記基準に基づき評価した。
○:光沢保持率が80%以上
△:光沢保持率が50%以上80%未満
×:光沢保持率が50%未満
このように、本発明に係る複層塗膜形成方法によると、良好な乾燥性と高外観が両立するという効果が得られる。また、本発明に係る塗膜形成方法によると、特化則の対象物質について法的制限を受けない。
一方、例えば、比較例1においては、下塗り塗料組成物に含まれるアクリル樹脂の数平均分子量が、本発明の範囲よりも大きく下回るため、塗膜乾燥性が不十分であった。また、二次密着性についても剥離幅が大きいという問題を有している。
比較例2においては、下塗り塗料組成物に含まれるアクリル樹脂の数平均分子量が、本発明の範囲を大きく上回るため、光沢が乏しく、また、なじみ性が悪く、平滑性に乏しい塗膜が得られた。
比較例3においては、下塗り塗料組成物の時間Tにおける粘度Vが本発明の範囲を超過しており、光沢が乏しく、また、なじみ性が悪く、平滑性に乏しい塗膜が得られた。
比較例4においては、下塗り塗料組成物が体質顔料を含まないため、光沢が乏しく、また、なじみ性が悪く、平滑性に乏しい塗膜が得られた。また、二次密着性についても剥離幅が大きいという問題を有している。
比較例5においては、下塗り塗料組成物が粘性調整剤を含まないため、粘度が立ち上がらず、タレル傾向があった。また、目視外観が極めて悪く、さらに、光沢が乏しく、また、なじみ性が悪く、平滑性に乏しい塗膜が得られた。さらに、耐候性も不十分であった。
本発明によって、優れた乾燥性及び塗膜外観を有する複層塗膜を、ウェットオンウェット塗装によって形成することができる。本発明において形成される複層塗膜は、熱硬化工程を経ることなく形成されるという特徴も有する。そのため、ヒート設備等を設ける必要がなく、塗装設備投資を削減することができ、そして塗装工程を短縮することができるという産業上の利点がある。さらに、本発明は、作業者の安全、健康面を考慮し、特化則の対象物質について法的制限を受けない複層塗膜形成方法を提供する。このため、本発明の複層塗膜形成方法は、産業機械又は建設機械といった、大型で熱容量が大きい被塗物の塗装に特に適している。
また、本発明によるウェットオンウェット塗装用の塗料組成物は、優れた速乾性及び塗膜外観を有する複層塗膜を形成でき、作業者の安全、健康面を考慮し、特化則の対象物質について法的制限を受けない複層塗膜を形成できる。

Claims (11)

  1. 被塗物上に、下塗り塗料組成物を塗装して、未乾燥の下塗り塗膜を形成する、下塗り塗膜形成工程、
    得られた未乾燥の下塗り塗膜の上に、上塗り塗料組成物を、ウェットオンウェットで塗装し、未乾燥の上塗り塗膜を形成する、上塗り塗膜形成工程、及び
    得られた未乾燥の下塗り塗膜及び未乾燥の上塗り塗膜を同時に乾燥させて複層塗膜を形成する、乾燥工程、を包含する、複層塗膜形成方法であって、
    前記下塗り塗料組成物が、アクリル樹脂を含む塗膜形成樹脂、イソシアネート化合物を含む硬化剤、体質顔料及び粘性調整剤を含んでおり、
    前記上塗り塗料組成物が、アクリル樹脂を含む塗膜形成樹脂、イソシアネート化合物を含む硬化剤、体質顔料及び粘性調整剤を含んでおり、
    前記下塗り塗料組成物におけるアクリル樹脂の数平均分子量が3,000〜20,000であり、
    前記下塗り塗料組成物は、測定温度25℃において、せん断速度を0.1sec−1とした測定開始時間を時間Tとし、
    前記時間Tから20秒後の時間Tにおける粘度をVとし、時間Tにおいて、せん断速度を1,000sec−1とし、
    前記時間Tから20秒後の時間Tにおける粘度を粘度Vとし、時間Tにおいてせん断速度を0.1sec−1とし、
    時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して70%以下の粘度であり、かつ時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して30%以上の粘度である、複層塗膜形成方法。
  2. 前記下塗り塗料組成物におけるアクリル樹脂の固形分水酸基価が50〜250である、請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  3. 前記下塗り塗料組成物に含まれる塗膜形成樹脂が、更にポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂の少なくとも1を含む、請求項1又は2に記載の複層塗膜形成方法。
  4. 前記下塗り塗料組成物に含まれる塗膜形成樹脂が、更にシランカップリング剤を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  5. 前記上塗り塗料組成物におけるアクリル樹脂の数平均分子量が3,000〜20,000である、請求項1から4のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  6. 前記上塗り塗料組成物に含まれる塗膜形成樹脂が、更にポリエステル樹脂を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  7. 前記体質顔料が炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルクからなる群から選択される少なくとも1である、請求項1から6のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  8. 前記粘性調整剤が、ポリオレフィン系粘性調整剤、ポリアマイド系粘性調整剤、有機ベントナイト系粘性調整剤、架橋樹脂粒子及び非架橋樹脂粒子からなる群から選択される少なくとも1である、請求項1から7のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  9. 前記被塗物が建設機械又は産業機械である、請求項1から8のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  10. ウェットオンウェット塗装用の塗料組成物であって、
    前記塗料組成物は、アクリル樹脂を含む塗膜形成樹脂、イソシアネート化合物を含む硬化剤、体質顔料及び粘性調整剤を含んでおり、
    前記アクリル樹脂の数平均分子量が3,000〜20,000であり、
    前記塗料組成物は、測定温度25℃において、せん断速度を0.1sec−1とした測定開始時間を時間Tとし、
    前記時間Tから20秒後の時間Tにおける粘度をVとし、時間Tにおいて、せん断速度を1,000sec−1とし、
    前記時間Tから20秒後の時間Tにおける粘度を粘度Vとし、時間Tにおいてせん断速度を0.1sec−1とし、
    時間Tから2秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して70%以下の粘度であり、かつ時間Tから30秒後の時間Tにおける粘度Vは、粘度Vに対して30%以上の粘度である、塗料組成物。
  11. 前記粘性調整剤が、ポリオレフィン系粘性調整剤、ポリアマイド系粘性調整剤、有機ベントナイト系粘性調整剤、架橋樹脂粒子及び非架橋樹脂粒子からなる群から選択される少なくとも1である、請求項10に記載の塗料組成物。
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