JP2021018431A - 液晶シール剤用組成物及びその利用 - Google Patents

液晶シール剤用組成物及びその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化性及び配向膜に対する密着性に優れたシールを形成可能な液晶シール剤用組成物を提供する。【解決手段】エポキシ樹脂及び硬化剤を含有する液晶シール剤用組成物であって、硬化剤が、カルボン酸化合物とアミン化合物との混合生成物であり、所定の式で示される固有のカルボン酸化合物、及び、他の所定の式で示される固有のアミン化合物、及びアゾール環構造を有する化合物からなる群より選択された少なくとも1種であることを特徴とする液晶シール剤用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、液晶シール剤用組成物、該液晶シール剤用組成物を用いて形成されたシールを備える液晶表示パネル、及びその製造方法に関する。
液晶表示パネル等の液晶表示素子を製造する際には、貼り合わせた2枚の基板の隙間から液晶が流れ出さないようにシールを形成する。このシールを形成するために用いられるシール剤としては、様々なものが知られている。例えば、特許文献1には、硬化性樹脂と、アミノ基当量が25以上である非結晶性のヒドラジド化合物からなるヒドラジド系熱硬化剤を含有する液晶表示素子用シール剤が記載されている。
特開2014−115639号公報
ここで、近年、液晶表示パネルの狭額縁化に伴い、シールが基板の配向膜上に形成される傾向にあり、シール剤の配向膜に対する密着性が求められている。また、液晶表示パネルの製造におけるタクトタイム短縮の観点から、シール剤の硬化性が求められている。
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、硬化性及び配向膜に対する密着性に優れたシールを形成可能な液晶シール剤用組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のカルボン酸化合物とアミン化合物との混合生成物を硬化剤として用い、この硬化剤及びエポキシ樹脂を含有する液晶シール剤用組成物が、硬化性及び配向膜に対する密着性に優れたシールを形成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、具体的には以下のとおりである。
(1) エポキシ樹脂及び硬化剤を含有する液晶シール剤用組成物であって、
前記硬化剤が、カルボン酸化合物とアミン化合物との混合生成物であり、
前記カルボン酸化合物が、式(I)
[化1]
−[COOH]x (I)
〔式中、xは1又は2であり、Rは、C〜C24の直鎖状若しくは分岐鎖を有する飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基(分岐鎖はヒドロキシル基で置換されていてもよい)である。〕で示されるカルボン酸化合物であり、
前記アミン化合物が、式(II)
[化2]
−[NH (II)
〔式中、Rは、C〜C24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、1つ以上のNH基で非連続的に中断された直鎖若しくは分岐鎖のC〜C12のアルキレン基(N原子に結合するH原子は、アミノ基又はC〜C12のアルキルアミノ基で置換されていてもよい)、C〜C14のアリーレン基、C〜Cの直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基−C〜C14のアリーレン基、又はC〜Cの直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基−C〜C14のアリーレン基−C〜Cの直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基である。〕で示されるアミン化合物、式(III)
Figure 2021018431
〔式中、Rは、それぞれ独立して、単結合であるか、又は前記Rと同じ。〕で示されるアミン化合物、式(IV)
Figure 2021018431
〔式中、R及びRは、前記と同じ。〕で示されるアミン化合物、及びアゾール環構造を有する化合物からなる群より選択された少なくとも1種であることを特徴とする液晶シール剤用組成物。
(2) 前記カルボン酸化合物が、式(Ia)
[化5]
(CH−[COOH] (Ia)
〔式中、yは、3〜24である。〕で示されるカルボン酸化合物であることを特徴とする前記(1)に記載の液晶シール剤用組成物。
(3) 前記アミン化合物が、式(IIa)
[化6]
(CH−[NH (IIa)
〔式中、zは、2〜12である。〕で示されるアミン化合物であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の液晶シール剤用組成物。
(4) 基板上に形成された配向膜と、該配向膜上に形成された前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の液晶シール剤用組成物からなるシールとを少なくとも備える液晶表示パネル。
(5) 液晶滴下工法により液晶表示パネルを製造する方法であって、
2枚の基板のうち少なくとも一方の基板上に形成された配向膜上に前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の液晶シール剤用組成物を用いてシールを形成するシール形成工程と、
前記シールの内側に液晶を滴下する液晶滴下工程と、
他方の基板を該一方の基板に貼り合わせる基板貼合工程と、
光硬化した後、熱硬化することにより前記シールを硬化させるシール硬化工程と、を少なくとも備えることを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
本発明によれば、硬化性及び配向膜に対する密着性に優れたシールを形成可能な液晶シール剤用組成物を提供することができる。
図1は、それぞれ(a)セバシン酸(カルボン酸化合物)、(b)1,12−ドデカメチレンジアミン(以下「DMDA」ともいう、アミン化合物)、(c)セバシン酸とDMDAとを常温で混合した混合物、(d)製造例1で得られた混合生成物(硬化剤)の赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)である。 図2は、本発明の一実施形態に係る液晶表示パネルの製造方法を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
<液晶シール剤用組成物>
本実施形態に係る液晶シール剤用組成物は、エポキシ樹脂及び硬化剤を含有するものである。
〔エポキシ樹脂〕
エポキシ樹脂は、一般に使用されるものを使用することができる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。なお、耐熱性を向上させる観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の具体例として、例えば、jER(登録商標)〔旧エピコート(登録商標)〕828、834、1001、1004〔三菱ケミカル(株)製〕、エピクロン(登録商標)850、860、4055〔DIC(株)製〕等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂は、グリシジル基を有する樹脂を(メタ)アクリル酸で変性したエポキシ(メタ)アクリル酸、特開2012−77202号公報に記載されているエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる部分エステル化エポキシ樹脂等の不飽和結合含有エポキシ樹脂であってもよい。なお、液晶汚染性を向上させる観点から、部分エステル化エポキシ樹脂が好ましい。
これらのエポキシ樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのエポキシ樹脂のなかでは、不飽和結合含有エポキシ樹脂を含むものが好ましく、部分エステル化エポキシ樹脂を含むものがより好ましく、部分エステル化エポキシ樹脂を単独で含むもの(換言すると、部分エステル化エポキシ樹脂)がさらに好ましい。
部分エステル化エポキシ樹脂は、例えば、まず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とアクリル酸又はメタクリル酸を、常法に従って塩基性触媒の存在下で、エポキシ基2当量に対してカルボン酸基0.9〜1.1当量となるように反応させ、この反応生成物に、質量比で約4倍のトルエンと同量の純水を加え、60〜80℃で1時間撹拌した後、静置して有機層と水層とに分離し、水層は除去する。この操作を3〜5回繰り返し、最後に有機層を回収し、残存するトルエンを真空蒸留により除去し、精製することにより、水可溶イオン性物質を低減化処理した部分エステル化エポキシ樹脂を得ることができる。
また、部分エステル化エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、好ましくは10〜90当量%、より好ましくは20〜80当量%、さらに好ましくは30〜70当量%、特に好ましくは40〜60当量%の(メタ)アクリル酸を反応させて得られた部分エステル化エポキシ樹脂が好ましい。
なお、液晶シール剤用組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、エポキシ樹脂以外の樹脂が含有されていてもよい。エポキシ樹脂以外の樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、ウレア樹脂、イミド樹脂等が挙げられる。
〔硬化剤〕
硬化剤は、カルボン酸化合物とアミン化合物との混合生成物である。換言すると、この混合生成物は、カルボン酸化合物とアミン化合物との反応によって生じた生成物を意味する。ここで、図1の各IRスペクトルに示すように、セバシン酸とDMDAとの混合生成物(d)は、セバシン酸(a)、DMDA(b)、及びセバシン酸とDMDAとを常温で混合した混合物(c)と対比して、1級アミン由来の3300cm−1付近のピーク、及びカルボン酸由来の1700cm−1付近のピークが消失している。これは、IRスペクトルが分子構造に起因する特定の分子振動に由来するものであるから、上記混合生成物(d)では、1級アミン及びカルボン酸由来の分子振動が無くなっている、又は抑制されていることを示す。一方、上記混合生成物(d)は、上記混合物(c)と対比して、COO由来の1635cm−1付近のピークが大きいことが明確に確認できる。これは、上記混合生成物(d)では、上記混合物(c)に比してCOO由来の分子振動が大きくなっていることを示す。以上により、上記混合生成物(d)は、常温ではイオン結合により塩を形成しているものと考えられる。
このように、混合生成物は、常温において、塩形成の判別がつきやすい状態、具体的には、実質的・本質的に塩を形成しているものと考えられる。換言すると、混合生成物は、その表面だけではなく、その内部も塩を形成している、即ち、混合生成物全体が塩を形成しているものと考えられる。
そして、カルボン酸化合物とアミン化合物との混合生成物を硬化剤として用い、この硬化剤及びエポキシ樹脂を含有する液晶シール剤用組成物は、加熱硬化時にカルボキシル基及びアミノ基が解離することにより硬化物を形成する。その際、乖離したカルボキシル基及びアミノ基が、被着体であるガラス表面上に存在するヒドロキシル基やポリイミド配向膜(以下、単に「配向膜」ともいう)の表面上に存在するカルボニル基、アミノ基等の官能基と、共有結合や水素結合等の分子間相互作用に由来する化学的相互作用することにより接着強度が発現するものと推定される。また、加熱硬化時におけるカルボキシル基及びアミノ基の解離に由来する分子間距離の増加に伴い、硬化収縮応力が低減し、接着強度に寄与しているものと推定される。以上により、上記硬化剤及びエポキシ樹脂を含有する液晶シール剤用組成物は、配向膜に対する密着性が向上する。
また、加熱硬化の際に解離したカルボキシル基及びアミノ基は、相乗効果により、それぞれエポキシ樹脂との反応が促進されるものと推定される。その結果、液晶シール剤用組成物は、硬化性が向上する(硬化率が高い)。
さらに、上述のごとく、カルボン酸化合物とアミン化合物との混合生成物は、常温では塩を形成し、活性種であるカルボキシル基及びアミノ基が安定な塩構造を有しているものと考えられる。その結果、液晶シール剤用組成物は、常温におけるポットライフの長寿命化(以下「液安定性」ともいう)を図ることができる。
(カルボン酸化合物)
カルボン酸化合物は、例えば、下記式(I)で示されるカルボン酸化合物等が挙げられる。
[化7]
−[COOH]x (I)
式(I)において、xは1又は2である。Rは、C〜C24の直鎖状若しくは分岐鎖を有する飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基(分岐鎖はヒドロキシル基で置換されていてもよい、以下同じ)である。
式(I)において、xが1であり、RがC〜C24の直鎖状若しくは分岐鎖を有する脂肪族飽和炭化水素基(アルキル基)であるカルボン酸化合物の具体例としては、例えば、酪酸(ブタン酸)、吉草酸(ペンタン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)等の脂肪族飽和モノカルボン酸化合物が挙げられる。
式(I)において、xが1であり、RがC〜C24の直鎖状若しく分岐鎖を有する脂肪族不飽和炭化水素基(例えば、アルケニル基、アルキニル基等)であるカルボン酸化合物の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の脂肪族不飽和モノカルボン酸化合物が挙げられる。
式(I)において、xが2であり、RがC〜C24の直鎖状若しくは分岐鎖を有する脂肪族飽和炭化水素基(アルキレン基)であるカルボン酸化合物の具体例としては、例えば、マロン酸(プロパン二酸)、コハク酸(ブタン二酸)、グルタル酸(ペンタン二酸)、アジピン酸(ヘキサン二酸)、ピメリン酸(ヘプタン二酸)、スベリン酸(オクタン二酸)、アゼライン酸(ノナン二酸)、セバシン酸(デカン二酸)等の脂肪族飽和ジカルボン酸化合物が挙げられる。
式(I)において、xが2であり、RがC〜C24の直鎖状若しくは分岐鎖を有する脂肪族不飽和炭化水素基であるカルボン酸化合物の具体例としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸化合物が挙げられる。
これらの脂肪族カルボン酸化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。なお、式(I)において、液晶シール剤用組成物の硬化性及び配向膜に対する密着性を向上させる観点から、xが1であり、RがC〜C24の直鎖状若しくは分岐鎖を有するアルキル基である脂肪族飽和モノカルボン酸化合物、及びxは2であり、RはC〜C24の直鎖状若しくは分岐鎖を有するアルキレン基である脂肪族飽和ジカルボン酸化合物が好ましく、下記式(Ia)で示される脂肪族飽和ジカルボン酸化合物がより好ましい。
[化8]
(CH−[COOH] (Ia)
式(Ia)において、yは、3〜24であり、より好ましくは3〜18であり、さらに好ましくは3〜12である。
これらの脂肪族カルボン酸化合物のなかでは、上記脂肪族飽和モノカルボン酸化合物、及び上記脂肪族飽和ジカルボン酸化合物が好ましく、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸がより好ましい。
また、式(I)において、液晶シール剤用組成物の液安定性を向上させる観点から、xが1のとき、Rは、C〜C24の直鎖状のアルキル基が好ましく、C15〜C24の直鎖状のアルキル基がより好ましい。即ち、上記脂肪族飽和モノカルボン酸化合物のなかでは、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸及びステアリン酸が好ましく、パルミチン酸及びステアリン酸がより好ましい。また、式(I)において、液晶シール剤用組成物の液安定性を向上させる観点から、xが2のとき、Rは、C〜C24の直鎖状のアルキレン基が好ましく、C〜C24の直鎖状のアルキレン基がより好ましい。即ち、上記脂肪族飽和ジカルボン酸化合物のなかでは、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸が好ましく、セバシン酸がより好ましい。
(アミン化合物)
アミン化合物は、例えば、下記式(II)で示されるアミン化合物、下記式(III)で示されるアミン化合物、下記式(IV)で示されるアミン化合物、アゾール環構造を有する化合物等が挙げられる。これらのアミン化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
[化9]
−[NH (II)
式(II)において、Rは、C〜C24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、1つ以上のNH基で非連続的に中断された直鎖若しくは分岐鎖のC〜C12のアルキレン基(N原子に結合するH原子は、アミノ基又はC〜C12のアルキルアミノ基で置換されていてもよい)、C〜C14のアリーレン基、C〜Cの直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基−C〜C14のアリーレン基、又はC〜Cの直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基−C〜C14のアリーレン基−C〜Cの直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基である。
式(II)において、RがC〜C24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基であるアミン化合物の具体例としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、プロパン−1,2−ジアミン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン等の脂肪族ジアミン化合物が挙げられる。これらの脂肪族ジアミン化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
式(II)において、Rが1つ以上のNH基(イミノ基)で非連続的に中断された直鎖若しくは分岐鎖のC〜C12のアルキレン基(N(窒素)原子に結合するH(水素)原子は、アミノ基又はC〜C12のアルキルアミノ基で置換されていてもよい)であるアミン化合物の具体例としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、トリス(2−アミノエチル)アミン(TAEA)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、3,3’−ジアミノジプロピルアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン等が挙げられる。これらのアミン化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
式(II)において、Rが、C〜C14のアリーレン基、C〜Cの直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基−C〜C14のアリーレン基、又はC〜Cの直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基−C〜C14のアリーレン基−C〜Cの直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基であるアミン化合物の具体例としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノトルエン等の芳香族ジアミン化合物が挙げられる。これらの芳香族ジアミン化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
Figure 2021018431
式(III)において、Rは、それぞれ独立して、単結合であるか、又は前記Rと同じである。式(III)で示されるアミン化合物の具体例としては、例えば、下記式(IIIa)で示される1,3−ビス(3−(アミノエチル)ベンジル)ウレア等が挙げられる。
Figure 2021018431
Figure 2021018431
式(IV)において、R及びRは、前記と同じである。式(IV)で示されるアミン化合物の具体例としては、例えば、特開2017−61694号公報に記載されている、1,1’−[メチレンビス(シクロヘキサン−1,4−ジイル)]ビス[3−(12−アミノドデシル)ウレア](A−1)、1,1’−[メチレンビス(シクロヘキサン−1,4−ジイル)]ビス[3−(2−アミノエチル)ウレア](A−2)、1,1’−[メチレンビス(シクロヘキサン−1,4−ジイル)]ビス[3−(6−アミノヘキシル)ウレア](A−3)、1,1’−(ヘキサン−1,6−ジイル)ビス[3−(12−アミノドデシル)ウレア](A−4)、1,1’−(ヘキサン−1,6−ジイル)ビス[3−(2−アミノエチル)ウレア](A−5)、1,1’−(ヘキサン−1,6−ジイル)ビス[3−(6−アミノヘキシル)ウレア](A−6)、N,N’−ヘキサメチレン[カルボニルビス(アザンジイル)−2−アミノエチル]−[カルボニルビス(アザンジイル)−6−アミノヘキシル](A−7)等が挙げられる。これらの式(IV)で示されるアミン化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、液晶シール剤用組成物の配向膜に対する密着性を向上させる観点から、式(II)において、RがC〜C24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基であるアミン化合物が好ましく、RがC〜C12の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基であるアミン化合物がより好ましい。換言すると、下記式(IIa)で示される脂肪族ジアミン化合物である。
[化13]
(CH−[NH (IIa)
式(IIa)において、zは、2〜12である。式(IIa)で示されるアミン化合物の具体例としては、上記脂肪族ジアミン化合物等が挙げられる。
また、液晶シール剤用組成物の硬化性を向上させる観点から、式(IIa)で示される脂肪族ジアミン化合物、及び式(III)で示されるアミン化合物が好ましい。
硬化剤としては、硬化性及び配向膜に対する密着性に優れたシールを形成可能な液晶シール剤用組成物を得る観点から、式(Ia)で示される脂肪族飽和ジカルボン酸化合物と、式(IIa)で示される脂肪族ジアミン化合物との混合生成物が好ましい。
また、アミン化合物として、例えば、ジアゾール、トリアゾール等のアゾール環構造を有する化合物を用いることもできる。この場合、硬化剤として、カルボン酸化合物とアゾール環構造を有する化合物との混合生成物を含有する液晶シール剤用組成物は、アゾール環構造を有する化合物のみを含有する液晶シール剤用組成物に比して、硬化性及び配向膜に対する密着性に優れたシールを形成することができる。
ジアゾールとしては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、1,2ジメチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル2−ウンデシルイミダゾール等が挙げられる。
カルボキシル基に対する第1級、第2級又は第3級アミノ基の配合量は、好ましくは0.05〜5当量であり、より好ましくは0.2〜4当量であり、さらに好ましくは0.25〜3当量であり、特に好ましくは0.5〜2当量である。
エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対する硬化剤のカルボキシル基及び第1級又は第2級アミノ基の合計量は、液晶シール剤用組成物の硬化性及び配向膜に対する密着性を向上させる観点から、好ましくは0.05〜10当量であり、より好ましくは0.1〜7当量であり、さらに好ましくは0.2〜5当量であり、特に好ましくは0.3〜2.5当量で
ある。
また、エポキシ樹脂として部分エステル化エポキシ樹脂を単独で含む場合には、部分エステル化エポキシ樹脂の不飽和結合1当量に対して、硬化剤のカルボキシル基及び第1級又は第2級アミノ基の合計量は、好ましくは0.05〜10当量であり、より好ましくは0.1〜7当量であり、さらに好ましくは0.2〜5当量であり、特に好ましくは0.3〜2.5当量である。
エポキシ樹脂に対する硬化剤の配合量が、上記範囲内であると、液晶シール剤用組成物に求められる細線化、多様な被着体に対して接着強度を確保でき、また、セルの切り出し時及び液晶セル駆動用のIC(Integrated Circuit:集積回路)の実装時等の剥がれを抑制できる接着強度を発現することができる。
エポキシ樹脂100質量部に対する硬化剤の配合割合は、好ましくは0.1〜50質量部であり、より好ましくは0.5〜40質量部であり、さらに好ましくは1〜30質量部である。また、液晶シール剤用組成物の全質量に対する無機フィラーの配合割合は0〜60質量%である。
(硬化剤の製造)
硬化剤の製造方法は、特に限定されず、例えば、まず、カルボン酸化合物及びアミン化合物を別々の溶媒に溶解又は懸濁させた溶解液又は懸濁液を調製する。次いで、アミン化合物の溶解液又は懸濁液に、カルボン酸化合物の溶解液又は懸濁液を滴下し、滴下終了後30分〜1時間攪拌することにより、カルボン酸化合物とアミン化合物との混合生成物(硬化剤)を得ることができる。その際、加温してもよく、加温温度としては、例えば150℃以下である。
カルボン酸化合物及びアミン化合物をそれぞれ溶解又は懸濁させる溶媒は、特に限定されず、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール、エタノール等が挙げられる。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、カルボン酸化合物及びアミン化合物は、それぞれ、同じ溶媒に溶解又は懸濁させてもよく、異なる溶媒に溶解又は懸濁させてもよい。
カルボン酸化合物及びアミン化合物の両方が常温で溶液の場合、又はいずれか一方が常温で溶液であり、他方が該溶液に可溶の場合、カルボン酸化合物とアミン化合物を直接混ぜるだけの方法により、カルボン酸化合物とアミン化合物との混合生成物(硬化剤)を得ることもできる。また、カルボン酸化合物及びアミン化合物の両方が常温で固体の場合、両者を混合し、必要に応じて加温することにより、カルボン酸化合物とアミン化合物との混合生成物(硬化剤)を得ることもできる。
なお、得られた硬化剤が混合生成物である(即ち、常温でイオン結合により塩を形成している)かどうかの確認は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)により、原料由来のチャートパターンが変化したことを確認すればよい。より具体的には、例えば、原料由来のピークが消失する一方、活性種を示すピークが出現したこと等を確認することにより、得られた硬化剤が混合生成物であることを確認できる。
さらに、示差走査熱量計(DSC)にて、原料由来の吸熱ピークと異なるピークが出現したことを確認することにより、得られた硬化剤が混合生成物であることを確認できる。
(他の硬化剤)
以上により得られる硬化剤は、他の熱硬化剤と組み合わせて使用してもよい。他の硬化剤としては、例えば、有機酸ヒドラジド類、イミダゾール類、アミン類、多価フェノール類、酸無水物類、ジシアンジアミド等が挙げられる。
有機酸ヒドラジド類としては、例えば、VDH、VDH−J〔1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン〕、MDH(マロン酸ジヒドラジド)、ADH(アジピン酸ジヒドラジド)、UDH、UDH−J(7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド)、LDH(オクタデカン−1,18−ジカルボン酸ジヒドラジド)等が挙げられる。
イミダゾール類としては、例えば、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン等が挙げられる。
アミン類は、アミンアダクトであってもよい。アミンアダクトとしては、例えば、イソシアネートにアミン類、又はヒドラジンをアダクトさせたもの、尿素にアミン類をアダクトさせたもの等が挙げられる。アミンアダクトの具体例としては、例えば、(株)ADEKA製、アデカハードナーEHシリーズ(例えば、EH−5015S、EH−5030S、EH−4357S、EH−5057P等)、富士化成工業(株)製、フジキュアーシリーズ(例えば、FXR−1020、FXR−1030等)等が挙げられる。
〔他の成分〕
液晶シール剤用組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤、重合禁止剤、無機フィラー、有機フィラー、遮光性材料、チキソ付与剤、カップリング剤、その他各種添加剤等が含有されていてもよい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントンの他、国際公開第WO2012/077720号パンフレットに記載されている、ジメチルアミノ安息香酸と分子中に少なくとも2個のエポキシ基を含有する化合物とを反応させて得られる光開始性化合物と、ヒドロキシチオキサントンと分子中に少なくとも2個のエポキシ基を含有する化合物とを反応させて得られる可視光増感性化合物との混合物である光重合開始剤等が挙げられる。
エポキシ樹脂100質量部に対する光重合開始剤の配合割合は、好ましくは0.5〜10質量部であり、より好ましくは1〜5質量部である。また、液晶シール剤用組成物の全質量に対する光重合開始剤の配合割合は0.5〜3質量%である。
熱重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、アゾ化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらの熱重合開始剤のなかでは、反応時にアウトガスや不純物成分の発生が少ないため、有機過酸化物が好ましい。
なお、熱重合開始剤は、10時間半減期温度が40℃〜120℃であるものが好ましい。この範囲であれば、液晶シール剤用組成物の液安定性が良好で、十分な反応性も期待できる。熱重合開始剤の10時間半減期温度は、好ましくは50〜100℃であり、より好ましくは60〜80℃である。
重合禁止剤は、液晶シール剤の保存安定性等を目的として、液晶シール剤用組成物に含有させてもよい。重合禁止剤としては、特に限定されず、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、メチルヒドロキノン等が挙げられる。
エポキシ樹脂100質量部に対する重合禁止剤の配合割合は、好ましくは0.01〜1質量部であり、より好ましくは0.05〜0.5質量部である。
無機フィラーは、硬化時の硬化収縮に伴う収縮応力の応力分散による強度向上、液晶シール剤用組成物が硬化した硬化物の耐湿性の向上等を目的として、液晶シール剤用組成物に含有させてもよい。無機フィラーとしては、特に限定されず、例えば、球状シリカ、球状アルミナ、球状酸化チタン、球状酸化アルミニウム、球状炭酸カルシウム等が挙げられる。なお、分散性に優れ、液晶滴下工法に適する液晶シール剤用組成物の配向膜に対する密着性、シールの耐湿性を向上させる観点から、球状シリカが好ましい。球状シリカとしては、例えば、(株)日本触媒製、シーホスター(登録商標)KEシリーズ(シリカ球状微粒子、例えばC50HG等)等が挙げられる。
エポキシ樹脂100質量部に対する無機フィラーの配合割合は、好ましくは0〜80質量部であり、より好ましくは1〜60質量部であり、さらに好ましくは1〜40質量部である。また、液晶シール剤用組成物の全質量に対する無機フィラーの配合割合は0〜80質量%である。
有機フィラーは、硬化時の硬化収縮に伴う収縮応力の応力分散による強度向上等を目的として、液晶シール剤用組成物に含有させてもよい。有機フィラーとしては、特に限定されず、例えば、ポリメタクリル酸メチル粒子等のアクリル粒子、ポリスチレン粒子、これらを構成するモノマーと他のモノマーとを共重合させて得られる共重合体粒子、ポリエステル粒子、ポリウレタン粒子、ゴム粒子、高いガラス転移温度を有する共重合体を含むシェルと低いガラス転移温度を有する共重合体のコアとから構成されるコアシェルタイプ粒子等が挙げられる。なお、シールの透明性を向上させる観点から、コアシェルタイプ粒子及びゴム粒子が好ましく、コアシェルタイプ粒子がより好ましい。コアシェルタイプ粒子としては、例えば、アイカ工業(株)製、ゼフィアックシリーズ(ポリメタクリル酸エステル系有機微粒子、例えばF351等)等が挙げられる。
エポキシ樹脂100質量部に対する有機フィラーの配合割合は、好ましくは0〜60質量部であり、より好ましくは1〜50質量部であり、さらに好ましくは3〜40質量部である。また、液晶シール剤用組成物の全質量に対する有機フィラーの配合割合は0〜60質量%である。
遮光性材料は、液晶表示素子のシール近傍における光漏れやコントラスト向上のため、液晶シール剤用組成物に含有させることで遮光性を付与することができる。ここで、遮光性とは、遮光性材料を含有する液晶シール剤用組成物を硬化させた硬化物が3〜5のOD(光学濃度)値を有するものをいう。遮光性材料は、特に限定されないが、液晶に対する汚染性が小さいものが好ましく、例えば、カーボンブラック、チタンブラック等が挙げられる。
チキソ付与剤は、塗工性改善等を目的として、液晶シール剤用組成物に含有させてもよい。チキソ付与剤は、特に限定されず、例えば、ヒュームドシリカ等の微粒子シリカ、微粒子アルミナ、脂肪族アマイド等が挙げられる。
カップリング剤は、界面密着性改善等を目的として、液晶シール剤用組成物に含有させてもよい。カップリング剤は、特に限定されず、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。なお、これらのシランカップリング剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂100質量部に対するカップリング剤の配合割合は、好ましくは0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.5〜3質量部である。
各種添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、塗面改良剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、老化防止剤、帯電防止剤等が挙げられる。
<液晶シール剤用組成物の製造>
液晶シール剤用組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、予め調製したエポキシ樹脂及び硬化剤と、必要に応じて他の成分とをそれぞれ所定量になるように配合し、混合することにより製造することができる。液晶シール剤用組成物は、他の成分として無機フィラー等の固形物を配合した場合には、固形物が均一に分散するように、例えばペイントロール等を用いて充分に混練して製造することが好ましい。
以上により得られる液晶シール剤用組成物は、硬化性及び配向膜に対する密着性に優れたシールを形成することができるため、液晶表示パネルの製造に好適に用いることができる。
<液晶表示パネル>
本実施形態に係る液晶表示パネルは、基板上に形成された配向膜と、配向膜上に形成された上記液晶シール剤用組成物からなるシールとを少なくとも備える。具体的には、液晶表示パネルは、対向する2枚の基板のうち少なくとも一方の基板の表面(対向面)上に配向膜が形成され、上記液晶シール剤用組成物を用いて形成されたシールを介して対向する2枚の基板が貼り合わせられている。
<液晶表示パネルの製造>
本実施形態に係る液晶表示パネルの製造方法は、液晶滴下工法(ODF工法)により液晶表示パネルを製造する方法である。液晶表示パネルの製造方法は、2枚の基板のうち少なくとも一方の基板上に形成された配向膜上に上記液晶シール剤用組成物を用いてシールを形成するシール形成工程と、シールの内側に液晶を滴下する液晶滴下工程と、他方の基板を一方の基板に貼り合わせる基板貼合工程と、光硬化した後、熱硬化することによりシールを硬化させるシール硬化工程と、を少なくとも備える。
具体的には、図2(a)に示すように、2枚の上下基板1,2のうち少なくとも一方の基板1上に形成された配向膜3上に、例えばディスペンサ(不図示)で上記液晶シール剤用組成物を塗布することにより、シール4(土手)を形成する。次いで、シール4の内側に、例えばディスペンサ5で液晶6を適量滴下する。その後、図2(b)に示すように、真空中で2枚の基板1,2を貼り合わせ、紫外線(UV)(例えば、照度及び照射時間:1000mJの場合、100mW/cm/365nmで10秒間、50mJの場合、50mW/cm/365nmで1秒間)を照射することにより、シール4を光硬化(仮硬化)させる。光硬化後、さらに例えば120℃の熱風オーブンで1時間、熱硬化することにより、シール4を本硬化させる。以上により、液晶滴下工法(ODF工法)により、液晶表示パネルを製造することができる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は例示であり、本発明を何ら限定しない。
<エポキシ樹脂の製造>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔エピクロンEXA850CRP、DIC(株)製〕340g、メタクリル酸〔東京化成工業(株)製〕90.4g、トリフェニルホスフィン〔東京化成工業(株)製〕0.5g、及びジブチルヒドロキシトルエン(BHT)100mgを混合し、100℃で6時間撹拌することにより、淡黄色透明粘稠物の部分メタアクリル化エポキシ樹脂を得た。
<硬化剤の製造>
(製造例1)
1,12−ドデカメチレンジアミン(以下、DMDAという)10.0g(0.05mol)をTHF250gに懸濁させた懸濁液Aと、セバシン酸10.1g(0.05mol)をTHF150gに溶解させた溶解液Bを調製した。次いで、25℃において、攪拌している懸濁液Aに4.6g/分のペースで溶解液Bを滴下し、30分間攪拌をした。
上記で得られた反応液をサンプリングし、溶剤を留去した後、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)(PerkinElmer社製、spectrum one、以下同じ)にて測定し、原料由来のチャートパターンが変化したことを確認して反応終了とした。具体的には、1級アミン由来の3300cm−1付近のピーク、及びカルボン酸由来の1700cm−1付近のピークが消失し、COO由来の1635cm−1付近、及び−NH 由来の2000〜3100cm−1のピークが出現したことを確認して反応終了とした。
次に、反応液をろ紙〔(有)桐山製作所製No.4〕を用い、桐山ロート〔(有)桐山製作所製〕にてろ過し、脱液を行い、得られた濾取物をTHF200gで攪拌洗浄した。その後、上記と同様の方法でろ過し、得られた濾取物を25℃で真空乾燥を1日間行った。乾燥後、得られた固体を高圧粉砕機〔商品名:ナノジェットマイザー NJM−50、(株)アイシンナノテクノロジーズ製、以下同じ〕で粉砕し、平均粒径(メジアン径)D50(以下、単に「D50」ともいう)が1.2μmの混合生成物を得た。なお、平均粒径(メジアン径)は、粒度分布計〔LA−950V2:(株)堀場製作所製、以下同じ〕を用いて測定した。
さらに、示差走査熱量計(DSC)(PerkinElmer社製、PyrisDSC4000、以下同じ)にて、上記で得られた混合生成物を測定し、DMDA由来の73℃付近のピーク、及びセバシン酸由来の136℃付近のピークとは異なる、167℃付近のピークが出現したことを確認した。
以上により得られた混合生成物を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
(製造例2)
DMDA10.0g(0.05mol)をTHF150gに溶解させた溶解液Aと、グルタル酸6.6g(0.05mol)をTHF100g及びメタノール10gの混合溶媒に溶解させた溶解液Bを調製したこと以外は、製造例1と同様にして混合生成物(D50:2.0μm)を得た。得られた混合生成物のDSC測定を行い、DMDA由来の73℃付近のピーク、及びグルタル酸由来の103℃付近のピークとは異なる、144℃付近のピークが出現したことを確認した。以上により得られた混合生成物を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
(製造例3)
DMDA5.01g(0.025mol)をTHF110gに懸濁させた懸濁液Aと、デカン酸(液体)8.62g(0.025mol)をTHF55gに溶解させた溶解液Bを調製したこと以外は、製造例1と同様にして混合生成物(D50:2.2μm)を得た。得られた混合生成物のDSC測定を行い、DMDA由来の73℃付近のピークとは異なる、79℃付近のピークが出現したことを確認した。以上により得られた混合生成物を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
(製造例4)
DMDA5.0g(0.025mol)をTHF50gに懸濁させた懸濁液Aと、パルミチン酸12.82g(0.05mol)をTHF150gに溶解させた溶解液Bを調製したこと以外は、製造例1と同様にして混合生成物(D50:2.6μm)を得た。得られた混合生成物のDSC測定を行い、DMDA由来の73℃付近のピーク、及びパルミチン酸由来の67℃付近のピークとは異なる、94℃付近のピークが出現したことを確認した。以上により得られた混合生成物を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
(製造例5)
DMDA10.02g(0.05mol)をTHF200gに懸濁させた懸濁液Aと、酪酸(液体)8.81g(0.1mol)をTHF100gに溶解させた溶解液Bを調製したこと以外は、製造例1と同様にして混合生成物(D50:2.5μm)を得た。得られた混合生成物のDSC測定を行い、DMDA由来の73℃付近のピークとは異なる、82℃付近のピークが出現したことを確認した。以上により得られた混合生成物を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
(製造例6)
エチレンジアミン(EDA)(液体)6.0g(0.1mol)をTHF100gに溶解させた溶解液Aと、セバシン酸20.2g(0.1mol)をTHF200gに溶解させた溶解液Bを調製したこと以外は、製造例1と同様にして混合生成物(D50:1.3μm)を得た。得られた混合生成物のDSC測定を行い、セバシン酸由来の136℃付近のピークとは異なる、171℃付近のピークが出現したことを確認した。以上により得られた混合生成物を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
(製造例7)
トリス(2−アミノエチル)アミン(TAEA)(液体)4.87g(0.033mol)をTHF100g及びメタノール20gの混合溶媒に分散(膨潤しているような外観)させた分散液Aと、セバシン酸10.1g(0.05mol)をTHF100gに溶解させた溶解液Bを調製したこと以外は、製造例1と同様にして混合生成物(D50:2.0μm)を得た。得られた混合生成物のDSC測定を行い、セバシン酸由来の136℃付近のピークとは異なる、200℃付近のピークが出現したことを確認した。以上により得られた混合生成物を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
(製造例8)
p−キシリレンジアミン6.81g(0.05mol)をTHF150g及びメタノール50gの混合溶媒に懸濁(淡黄色濁)させた懸濁液Aと、セバシン酸10.11g(0.05mol)をTHF100gに溶解させた溶解液Bを調製したこと以外は、製造例1と同様にして混合生成物(D50:1.5μm)を得た。得られた混合生成物のDSC測定を行い、p−キシリレンジアミン由来の62℃付近のピーク、及びセバシン酸由来の136℃付近のピークとは異なる、206℃付近のピークが出現したことを確認した。以上により得られた混合生成物を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
(製造例9)
エチレンジアミン(液体)6.0g(0.1mol)をTHF100g及びメタノール10gの混合溶媒に溶解させた溶解液Aと、グルタル酸13.2g(0.1mol)をTHF100gに溶解させた溶解液Bを調製したこと以外は、製造例1と同様にして混合生成物(D50:1.8μm)を得た。得られた混合生成物のDSC測定を行い、グルタル酸由来の103℃付近のピークとは異なる、162℃付近のピークが出現したことを確認した。以上により得られた混合生成物を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
(製造例10)
エチレンジアミン(液体)5.0g(0.0832mol)をメタノール51gに溶解させた溶解液Aと、デカン酸(液体)28.73g(0.1663mol)をメタノール65gに溶解させた溶解液Bを調製した。次いで、25℃において、攪拌している溶解液Bに1.4g/分のペースで溶解液Aを滴下した。滴下終了後、さらに溶解液Bにメタノール44gを加え、室温で2時間攪拌した後、40℃で1時間加熱攪拌した。撹拌後、製造例1と同様にして、反応液をフーリエ変換赤外分光光度計にて測定し、製造例1と同様に、原料由来のチャートパターンが変化したことを確認して反応終了とした。
その後、溶剤をエバポレーターで留去し、得られた析出物をメタノールに溶かし、氷浴することで結晶を析出させた。得られた結晶を濾取し、氷浴したメタノールで洗浄した後、40℃で減圧乾燥した。乾燥後の収量は8.43gであった。乾燥して得られた固体を上記ナノジェットマイザーで粉砕し、D50が5.1μmの混合生成物を得た。以上により得られた混合生成物を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
(製造例11)
(1)1,3−ビス(3−(アミノエチル)ベンジル)ウレアの製造
メタキシリレンジアミン750g(5.5mol)と尿素50g(0.83mol)を温度175℃で5時間反応させた。反応終了後、冷却した反応液にTHF500mLを加え、その液を攪拌したTHF1Lの中に流し入れた。析出した結晶を濾過で取り除き、得られた濾液を減圧濃縮した。さらに濃縮した濾液を攪拌したトルエン2Lの中に流し入れた。得られた白色結晶をトルエン2Lで洗浄し、減圧乾燥を行うことにより、1,3−ビス(3−(アミノエチル)ベンジル)ウレアを得た。
(2)混合生成物の製造
上記で得られた1,3−ビス(3−(アミノエチル)ベンジル)ウレア12g(79.7mmol)とセバシン酸(8.05g、39.8mmol)をメタノール1Lに添加した溶液を、50℃で3時間、加熱攪拌した。撹拌後、製造例1と同様にして、反応液をフーリエ変換赤外分光光度計にて測定し、原料由来のチャートパターンが変化したことを確認して反応終了とした。
反応終了後、得られた白色結晶を濾取し、メタノール500mLでかけ洗いで洗浄し、50℃で減圧乾燥を行なった。乾燥後の収量は19.1gであった。乾燥して得られた固体を上記ナノジェットマイザーで粉砕し、D50が2.5μmの混合生成物を得た。得られた混合生成物のDSC測定を行い、1,3−ビス(3−(アミノエチル)ベンジル)ウレア由来の98℃付近のピーク、及びセバシン酸由来の136℃付近のピークとは異なる、185℃付近のピークが出現したことを確認した。以上により得られた混合生成物を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
(製造例12)
(1)1,1’−(ヘキサン−1,6−ジイル)ビス[3−(2−アミノエチル)ウレア]の製造
エタノール118gにヘキサメチレンジイソシアナート17.17gを溶解させた溶解液Aと、エタノール150gにエチレンジアミン(液体)61.36gを溶解させた溶解液Bを調製した。次いで、三口フラスコで25℃に制御し、撹拌している溶解液Bに1.4g/分のペースで溶解液Aを滴下した。溶解液Aの滴下終了後、反応液をフーリエ変換赤外分光光度計にて測定し、イソシアナート基由来の2250cm−1付近のピークが無いことを確認して反応終了とした。
反応終了後、ろ紙〔(有)桐山製作所製No.4〕を用い、桐山ロート〔(有)桐山製作所製〕にてろ過し、脱液を行い、得られた濾取物をエタノール100mLで洗浄し、更に上記と同様の方法でろ過を行い、得られた濾取物を真空オーブンにて50℃で乾燥させた。乾燥後室温まで自然冷却し、上記ナノジェットマイザーで粉砕することにより、D50が2.2μmの1,1’−(ヘキサン−1,6−ジイル)ビス[3−(2−アミノエチル)ウレア]を製造した。
(2)混合生成物の製造
上記で得られた1,1’−(ヘキサン−1,6−ジイル)ビス[3−(2−アミノエチ
ル)ウレア]10g、及びセバシン酸(6.23g、0.0308mol)をメタノール80gに添加した溶液を、50℃で1時間、加熱攪拌した。反応終了後、得られた白色結晶を濾取し、メタノールで洗浄し、50℃で減圧乾燥を行なった。収量は12.32gであった。乾燥して得られた固体を上記ナノジェットマイザーで粉砕することにより、D50が2.0μmの混合生成物を得た。得られた混合生成物のDSC測定を行い、1,1’−(ヘキサン−1,6−ジイル)ビス[3−(2−アミノエチル)ウレア]由来の185℃付近のピーク、及びセバシン酸由来の136℃付近のピークとは異なる、163℃付近のピークが出現したことを確認した。以上により得られた混合生成物を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
(製造例13)
DMDA10.01g(0.05mol)をTHF200gに懸濁させた懸濁液Aと、安息香酸11.21g(0.1mol)をTHF100gに溶解させた溶解液Bを調製したこと以外は、製造例1と同様にして混合生成物(D50:2.3μm)を得た。得られた混合生成物のDSC測定を行い、DMDA由来の73℃付近のピーク、及び安息香酸由来の126℃付近のピークとは異なる、140℃付近のピークが出現したことを確認した。以上により得られた混合生成物を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
(製造例14)
DMDAを上記ナノジェットマイザーで粉砕することにより、D50が2.2μmの粉体を得た。得られた紛体を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
<光重合開始剤の製造>
後述する液晶シール剤用組成物の製造で用いた光重合開始剤1及び2は、以下のようにして製造した。
(光重合開始剤1の製造)
PEG400のジグリシジルエーテル〔デナコールEX−830、ナガセケムテックス(株)製、以下同じ〕26.8g、4−ジメチルアミノ安息香酸16.5g、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム3.7g、及びメチルイソブチルケトン(MIBK)25.0gをフラスコに入れ、110℃で24時間撹拌した。得られた反応混合物を室温に冷却し、クロロホルム50.0gに溶解させ、水100mLで6回洗浄した。洗浄後、有機相の溶媒を減圧留去することにより、光重合開始剤1を35.3g得た。
(光重合開始剤2の製造)
PEG400のジグリシジルエーテル26.8g、2−ヒドロキシ−9H−チオキサンテン−9−オン22.8g、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム3.7g、及びMIBK40.0gをフラスコに入れ、110℃で72時間撹拌した。得られた反応混合物を室温に冷却し、クロロホルム50.0gに溶解させ、水100mLで6回洗浄した。洗浄後、有機相の溶媒を減圧留去することにより、光重合開始剤2を36.2g得た。
<液晶シール剤用組成物の製造>
上記で得られた部分メタアクリル化エポキシ樹脂100質量部と、他の成分として、無機フィラー:二酸化ケイ素球状微粒子、シーホスターKE−C50HG〔(株)日本触媒製〕10質量部、有機フィラー:F−351〔アイカ工業(株)製〕10質量部、上記で得られた光重合開始剤1を2質量部、上記で得られた光重合開始剤2を2質量部、重合禁止剤:ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.15質量部、及びシランカップリング剤:KBM−403〔信越化学工業(株)製〕1質量部と、上記で得られた硬化剤(表1に示す配合量)とを、配合して混合することにより、液晶シール剤用組成物(表1に記載の各実施例及び比較例)を製造した。
<液晶シール剤用組成物の評価>
(硬化性)
上記で得られた各液晶シール剤用組成物を、紫外線(UV)を100mWで30秒間照射することにより光硬化した後、120℃で1時間熱硬化した。得られた硬化物をFT−IRにて測定し、以下の式に基づいて、エポキシ硬化率を算出した。その結果を表1に示す。
[数1]
エポキシ硬化率(%)=100−100×{(硬化物のエポキシ基のピーク/硬化物の基準ピーク)÷(液晶シール剤用組成物のエポキシ基のピーク/液晶シール剤用組成物の基準ピーク)} (式)
なお、上記式において、基準ピーク及びエポキシ基のピークは以下のとおりである。
基準ピーク:1540〜1480cm−1(ピークトップ1510cm−1付近)
エポキシ基のピーク:925〜895cm−1(ピークトップ910cm−1付近)
(配向膜に対する密着性)
(1)ポリイミド配向膜付基板の製造
純水洗浄後、乾燥させたITOガラス基板〔403005XG−10SQ1500A、厚さ0.7mm、ジオマテック(株)製〕にエアディスペンサを用いてポリイミド系配向液〔サンエバーSE−7492、日産化学工業(株)製〕を0.4MPa、5.0秒間滴下した。その後、スピンコーターにて10秒間で5000rpmに達し、その後20秒間キープする条件で均一塗布した。塗布後、85℃のホットプレート上で10分間プリベークし、230℃のオーブンで60分間ポストベークすることにより、ポリイミド配向膜付基板(以下、PI配向膜付基板という)を製造した。得られたPI配向膜付基板の配向膜にラビング処理を施した後、該基板を3.0cm角と2.3cm角に切り出した。
(2)試験片の作製
3.0cm角のPI配向膜付基板の中央線上で両端から9mmのところに、接着面として直径1.5mm〜2.0mm、且つ、厚さ6.0μm〜10.0μmになるように、該基板のPI配向膜上に液晶シール剤用組成物を塗布した。その後、3.0cm角及び2.3cm角のPI配向膜付基板の1辺を合わせ、両基板のPI配向膜が対抗するように、両基板を貼り合わせることにより試験片を作製した。
(3)接着強度の測定
得られた試験片にUVを3000mJ〔商品名:UB−031−A/BM−E1、アイグラフィックス(株)製〕で照射した後、120℃で60分間加熱することにより、液晶シール剤用組成物を硬化させた。硬化後の試験片のITOガラスの中央線の端から5mmのポイントをオートグラフ〔(株)島津製作所製、AGS〕にて押しぬき、接着強度を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2021018431
表1に示された結果から、硬化剤の原料として、脂肪族カルボン酸化合物が用いられた実施例1〜12の液晶シール剤用組成物は、芳香族カルボン酸化合物が用いられた比較例1の液晶シール剤用組成物と対比して、高いエポキシ硬化率を維持し、且つ接着強度が高いことが分かる。
また、硬化剤として、カルボン酸化合物とアミン化合物との混合生成物が用いられた実施例1〜12の液晶シール剤用組成物は、アミン化合物のみが用いられた比較例2の液晶シール剤用組成物と対比して、高いエポキシ硬化率を維持し、且つ接着強度が高いことが分かる。
以上により、実施例1〜12の液晶シール剤用組成物は、いずれも、硬化性及び配向膜に対する密着性を両立させることができるため、硬化性及び配向膜に対する密着性に優れたシールを形成可能である。
なお、実施例1〜12のなかでも、実施例1,2及び6の液晶シール剤用組成物は、硬化剤として、脂肪族飽和ジカルボン酸化合物と脂肪族ジアミン化合物との混合生成物が用いられているため、配向膜に対する密着性がより一層優れることが分かる。
<硬化剤の製造>
(製造例15)
2−メチルイミダゾール2.06gとパルミチン酸6.41gを混合し、100℃で完全に溶けるまで攪拌し、完溶したのを確認してから5分間攪拌した後に室温で12時間以上放置した。その後、製造例1と同様にして、反応液をフーリエ変換赤外分光光度計にて測定し、原料由来のチャートパターンが変化したことを確認して反応終了とした。具体的には、2級又は3級アミン由来の3300〜3500cm−1、及びカルボン酸由来の1700cm−1付近のピークが消失し、COO由来の1635cm−1付近、及びアミン塩由来の2000〜3100cm−1のピークが出現したことを確認して反応終了とした。得られた固体を上記ナノジェットマイザーで粉砕し、D50が2.3μmの混合生成物を得た。得られた混合生成物のDSC測定を行い、2−メチルイミダゾール由来の226℃付近のピーク、及びパルミチン酸由来の67℃付近のピークとは異なる、73℃付近のピークが出現したことを確認した。以上により得られた混合生成物を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
(製造例16)
2−メチルイミダゾール2.06gと酪酸(液体)2.21gを混合し、室温で12時間以上放置した後、2−メチルイミダゾールが完溶したのを確認した。完溶後、製造例1と同様にして、反応液をフーリエ変換赤外分光光度計にて測定し、製造例15と同様に、原料由来のチャートパターンが変化したことを確認して反応終了とした。得られた混合生成物を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
(製造例17)
2−エチル−4−メチルイミダゾール1.1gとセバシン酸2.02gの混合物にメタノールを22g注ぎ入れ、常温で10分攪拌し、完溶したことを確認した。製造例15と同様に、原料由来のチャートパターンが変化したことを確認して反応終了とした。その後、メタノールを減圧留去し、2.41gの液状の混合生成物を得た。得られた混合生成物を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
<液晶シール剤用組成物の製造>
硬化剤として、上記で得られた硬化剤(表2に示す配合量)を配合して混合したこと以外は、上記実施例1と同様にして、液晶シール剤用組成物を製造した。なお、表2に示す比較例3では、市販品の2−メチルイミダゾール〔東京化成工業(株)製〕(表2に「市販品1」と示す)を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。また、比較例4では、市販品の2−エチル−4−メチルイミダゾール〔四国化成工業(株)製〕(表2に「市販品2」と示す)を液晶シール剤用組成物の硬化剤として用いた。
<液晶シール剤用組成物の評価>
上記で得られた各液晶シール剤用組成物を用い、上記実施例1と同様にして、エポキシ硬化率及び接着強度を算出した。その結果を表2に示す。
Figure 2021018431
表2に示された結果から、硬化剤として、カルボン酸化合物とアゾール環構造を有する化合物との混合生成物が用いられた実施例13〜15の液晶シール剤用組成物は、アゾール環構造を有する化合物のみが用いられた比較例3及び4の液晶シール剤用組成物と対比して、高いエポキシ硬化率を維持し、且つ接着強度が高いことが分かる。
<液晶シール剤用組成物の他の評価>
(液安定性)
実施例1〜4、6〜8、11、12、及び比較例1、2の液晶シール剤用組成物を用い、各組成物が25℃となるように恒温処理し、RE−105U型粘度計〔東機産業(株)製〕に3°×R7.7コーンロータを取り付け、対象となる組成物0.15mLをコーンロータ内にセットし、2.5rpmで25℃の樹脂組成物の粘度を測定した。測定対象とした組成物を1週間静置し、1週間後の該組成物の粘度を上記方法で測定し、初期の粘度から1週間後の粘度の変化率(%/week)を算出した。その結果を表3に示す。なお、測定レンジオーバーの場合は、測定不可とした。測定レンジオーバーの基準は、1,200,000mPa・sである。
Figure 2021018431
<液晶シール剤用組成物の製造、及びその評価>
硬化剤として、上記で得られた硬化剤(表4に示す配合量)を配合して混合したこと以外は、上記実施例1と同様にして、液晶シール剤用組成物を製造し、そのエポキシ硬化率及び粘度の変化率(%/week)を算出した。その結果を表4に示す。
Figure 2021018431
1,2 基板
3 配向膜
4 シール
5 ディスペンサ
6 液晶

Claims (5)

  1. エポキシ樹脂及び硬化剤を含有する液晶シール剤用組成物であって、
    前記硬化剤が、カルボン酸化合物とアミン化合物との混合生成物であり、
    前記カルボン酸化合物が、式(I)
    [化1]
    −[COOH]x (I)
    〔式中、xは1又は2であり、Rは、C〜C24の直鎖状若しくは分岐鎖を有する飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基(分岐鎖はヒドロキシル基で置換されていてもよい)である。〕で示されるカルボン酸化合物であり、
    前記アミン化合物が、式(II)
    [化2]
    −[NH (II)
    〔式中、Rは、C〜C24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、1つ以上のNH基で非連続的に中断された直鎖若しくは分岐鎖のC〜C12のアルキレン基(N原子に結合するH原子は、アミノ基又はC〜C12のアルキルアミノ基で置換されていてもよい)、C〜C14のアリーレン基、C〜Cの直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基−C〜C14のアリーレン基、又はC〜Cの直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基−C〜C14のアリーレン基−C〜Cの直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基である。〕で示されるアミン化合物、式(III)
    Figure 2021018431
    〔式中、Rは、それぞれ独立して、単結合であるか、又は前記Rと同じ。〕で示されるアミン化合物、式(IV)
    Figure 2021018431
    〔式中、R及びRは、前記と同じ。〕で示されるアミン化合物、及びアゾール環構造を有する化合物からなる群より選択された少なくとも1種であることを特徴とする液晶シール剤用組成物。
  2. 前記カルボン酸化合物が、式(Ia)
    [化5]
    (CH−[COOH] (Ia)
    〔式中、yは、3〜24である。〕で示されるカルボン酸化合物であることを特徴とする請求項1に記載の液晶シール剤用組成物。
  3. 前記アミン化合物が、式(IIa)
    [化6]
    (CH−[NH (IIa)
    〔式中、zは、2〜12である。〕で示されるアミン化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶シール剤用組成物。
  4. 基板上に形成された配向膜と、該配向膜上に形成された請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶シール剤用組成物からなるシールとを少なくとも備える液晶表示パネル。
  5. 液晶滴下工法により液晶表示パネルを製造する方法であって、
    2枚の基板のうち少なくとも一方の基板上に形成された配向膜上に請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶シール剤用組成物を用いてシールを形成するシール形成工程と、
    前記シールの内側に液晶を滴下する液晶滴下工程と、
    他方の基板を該一方の基板に貼り合わせる基板貼合工程と、
    光硬化した後、熱硬化することにより前記シールを硬化させるシール硬化工程と、を少なくとも備えることを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
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