JP2021017056A - 印刷方法及び印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた凹凸形状による意匠性及び画像品質を有する印刷物が得られると共に、長期間に亘って優れた凹凸形状による意匠性及び画像品質を保持することができる印刷方法の提供。【解決手段】体積膨張剤を含有する体積膨張剤組成物を付与して体積膨張剤層を形成する体積膨張剤層形成工程と、体積膨張抑制剤を含有する体積膨張抑制剤組成物を前記体積膨張剤層に付与する体積膨張抑制剤組成物付与工程と、活性エネルギー線の照射により、前記体積膨張剤層を硬化させる硬化工程と、前記体積膨張剤層を加熱することにより体積膨張させる体積膨張工程と、を含み、前記体積膨張剤組成物の25℃における粘度が50mPa・s以上1,500mPa・s以下であり、前記体積膨張剤組成物の静的表面張力と前記体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力との差が、絶対値で、5mN/m以下である印刷方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、印刷方法及び印刷装置に関する。
建築物の床、内壁や天井には、所望の画像を印字し、エンボス加工等により意匠性を付与した床材、壁紙などの部材が使用されている。また、床材や壁紙に紫外線(UV)硬化材料によるコーティング、電子線硬化材料によるコーティング等を行うことにより、耐久性を向上させる試みがなされている。
近年、インクジェット方式により所望の画像を印刷し、床材や壁紙などに展開することが試みられている。例えば、体積膨張剤層、画像形成層、及び表面保護層からなり、体積膨張剤層は熱可塑性樹脂及び体積膨張剤を含有し、画像形成層及び表面保護層が電子線照射により架橋又は硬化させる発泡壁紙の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、水系樹脂を使用したケミカルエンボス法により意匠性を形成し、表面を、UVコーティングを付与することで、凹凸模様に耐汚染性、表面強度を付与することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、優れた凹凸形状による意匠性及び画像品質を有する印刷物が得られると共に、長期間に亘って優れた凹凸形状による意匠性及び画像品質を保持することができる印刷方法を提供すること目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の印刷方法は、体積膨張剤を含有する体積膨張剤組成物を付与して体積膨張剤層を形成する体積膨張剤層形成工程と、体積膨張抑制剤を含有する体積膨張抑制剤組成物を前記体積膨張剤層に付与する体積膨張抑制剤組成物付与工程と、活性エネルギー線の照射により、前記体積膨張剤層を硬化させる硬化工程と、前記体積膨張剤層を加熱することにより体積膨張させる体積膨張工程と、を含み、前記体積膨張剤組成物の25℃における粘度が50mPa・s以上1,500mPa・s以下であり、前記体積膨張剤組成物の静的表面張力と前記体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力との差が、絶対値で、5mN/m以下である。
本発明によると、優れた凹凸形状による意匠性及び画像品質を有する印刷物が得られると共に、長期間に亘って優れた凹凸形状による意匠性及び画像品質を保持することができる印刷方法を提供することができる。
図1は、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物の親和性が低い場合において、体積膨張抑制剤組成物を体積膨張剤層に付与した状態を示す図である。 図2は、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物の親和性が高い場合において、体積膨張抑制剤組成物を体積膨張剤層に付与した状態を示す図である。 図3は、本発明の印刷方法で用いる本発明の印刷装置の一例を示す概略図である。 図4は、実施例7で得られた印刷物の体積膨張後の断面写真である。 図5は、比較例1で得られた印刷物の体積膨張後の断面写真である。 図6は、比較例3で得られた印刷物の体積膨張後の断面写真である。
(印刷方法及び印刷装置)
本発明の印刷方法は、体積膨張剤を含有する体積膨張剤組成物を付与して体積膨張剤層を形成する体積膨張剤層形成工程と、体積膨張抑制剤を含有する体積膨張抑制剤組成物を前記体積膨張剤層に付与する体積膨張抑制剤組成物付与工程と、活性エネルギー線の照射により、前記体積膨張剤層を硬化させる硬化工程と、前記体積膨張剤層を加熱することにより体積膨張させる体積膨張工程と、を含み、前記体積膨張剤組成物の25℃における粘度が50mPa・s以上1,500mPa・s以下であり、前記体積膨張剤組成物の静的表面張力と前記体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力との差が、絶対値で、5mN/m以下である印刷方法であり、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の印刷装置は、体積膨張剤を含有する体積膨張剤組成物を付与して体積膨張剤層を形成する体積膨張剤層形成手段と、体積膨張抑制剤を含有する体積膨張抑制剤組成物を前記体積膨張剤層に付与する体積膨張抑制剤組成物付与手段と、活性エネルギー線の照射により、前記体積膨張剤層を硬化させる硬化手段と、前記体積膨張剤層を加熱することにより体積膨張させる体積膨張手段と、を有し、前記体積膨張剤組成物の25℃における粘度が50mPa・s以上1,500mPa・s以下であり、前記体積膨張剤組成物の静的表面張力と前記体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力との差が、絶対値で、5mN/m以下であり、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の印刷方法は、本発明の印刷装置により実施することができ、体積膨張剤層形成工程は体積膨張剤層形成手段により実施することができ、体積膨張抑制剤組成物付与工程は体積膨張抑制剤組成物付与手段により実施することができ、硬化工程は硬化手段により実施することができ、体積膨張工程は体積膨張手段により実施することができ、その他の工程はその他の手段により行うことができる。
特許文献1に記載の従来技術では、表面コーティングによる印刷物の保護や熱分解性体積膨張剤の発泡だけによる意匠性付与では、凹凸形状による意匠性及び画像品質の耐久性が不十分であり、更に、厚さが薄い体積膨張剤層では凹凸差のある体積膨張剤層を形成できず、優れた凹凸形状による意匠性を付与できないという課題がある。
また、特許文献2に記載の従来技術では、耐久性、低体積膨張剤層膜厚で高い意匠性を付与するという問題は解決できていない。
ここで、本発明の印刷方法及び印刷装置により凹凸を形成し、意匠性を付与できる理由について説明する。
体積膨張剤を含む体積膨張剤層の、任意の場所に、多官能モノマーを含む発泡抑制剤を塗布することにより、凹凸のオンオフ制御を行うことができる。
低体積膨張剤層膜厚で凹凸差のある形状が形成できる理由としては、体積膨張剤層に高発泡倍である(高い発泡性がある)熱可塑性ポリマーセルを用い、多官能モノマーを含む抑制剤をインクジェット法でパターニングすることで、低膜厚高発泡で高い凹凸差を付与できる。
体積膨張剤層が堅牢性を有する理由としては、本発明では、体積膨張剤層に活性エネルギー線を照射することにより硬化する活性エネルギー線硬化型材料を用いることによって耐久性、及び耐溶剤性が高いといった堅牢性を向上させることができる。
また、抑制面積(吐出面積)によらず、高意匠な凹凸パターンが形成できる理由については、定かではないが、体積膨張剤組成物と体積膨張剤層に付与する体積膨張抑制剤組成物の粘度、及び静的表面張力を制御することにより、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物の親和性を向上し、体積膨張抑制剤組成物の体積膨張剤層中での浸透状態をコントロールすることが可能になると考えられる。
ここで、図1は、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物の親和性が低い場合の体積膨張抑制剤組成物を体積膨張剤層に付与した状態を示す図である。
また、図2は、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物の親和性が高い場合の体積膨張抑制剤組成物を体積膨張剤層に付与した状態を示す図である。
体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力差が絶対値で5mN/mを超え、両者の親和性が低い場合には、体積膨張抑制剤組成物が体積膨張剤層中で干渉しあってしまい、図1に示すように、体積膨張剤が押しのけられ、予期せぬ体積膨張状態になってしまう。これは特に高ドット密度で体積膨張抑制剤組成物を吐出する際に顕著にみられ、干渉が起こった結果、体積膨張抑制剤が表面に集まってしまい、体積膨張抑制効果が殆ど得られないといった問題が発生する。
一方、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力差が絶対値で5mN/m以下であり、両者の親和性が高い場合には、体積膨張抑制剤組成物が体積膨張剤層に付与後、内部まで拡散しながら浸透していく過程で、体積膨張剤層深部にある体積膨張剤周辺にも染み渡るため、図2に示すように、体積膨張抑制剤組成物のドット密度に関係なく、様々なバリエーションの凹凸形状を形成することが可能となる。
したがって、本発明においては、体積膨張剤を含有する体積膨張剤組成物を付与して体積膨張剤層を形成する体積膨張剤層形成工程と、体積膨張抑制剤を含有する体積膨張抑制剤組成物を前記体積膨張剤層に付与する体積膨張抑制剤組成物付与工程と、活性エネルギー線の照射により、前記体積膨張剤層を硬化させる硬化工程と、前記体積膨張剤層を加熱することにより体積膨張させる体積膨張工程と、を含み、前記体積膨張剤組成物の25℃における粘度が50mPa・s以上1,500mPa・s以下であり、前記体積膨張剤組成物の静的表面張力と前記体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力との差が、絶対値で、5mN/m以下であることにより、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物の親和性が高くなり、体積膨張抑制剤組成物のドット密度に関係なく、様々なバリエーションの凹凸形状を形成でき、長期間に亘って優れた凹凸形状による意匠性及び画像品質を両立することができる。
更に、体積膨張抑制剤としては多官能モノマーを用いることが好ましい。この多官能モノマーはエネルギーの付与により3次元架橋するので、体積膨張剤層の体積膨張させたくない箇所に多官能モノマーを付与し活性エネルギー線を照射して硬化させることで体積膨張のオンオフを制御でき、印刷物に優れた凹凸形状による意匠性を付与することができる。
本発明においては、体積膨張剤組成物の25℃における粘度が50mPa・s以上1,500mPa・s以下であり、100mPa・s以上1,000mPa・s以下が好ましく、125mPa・s以上775mPa・s以下がより好ましい。
前記体積膨張剤組成物の25℃における粘度が50mPa・s以上1,500mPa・s以下であると、塗布安定性、塗布後の膜厚ムラ、抑制剤による制御のバランスが良いという利点がある。
体積膨張剤組成物の25℃における粘度は、例えば、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE−22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を25℃に設定し、測定することができる。
前記体積膨張剤組成物の静的表面張力は、27mN/m以上35mN/m以下が好ましい。
前記体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力は、27mN/m以上40mN/m以下が好ましい。
前記体積膨張剤組成物の静的表面張力と前記体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力との差が、絶対値で、5mN/m以下であり、0mN以上3mN以下が好ましく、0mN/m以上2.9mN/m以下がより好ましい。
前記体積膨張剤組成物の静的表面張力と前記体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力との差が、絶対値で、5mN/m以下であると、体積膨張抑制剤が体積膨張剤組成物の表面に留まることなく内部に浸透するという利点がある。
体積膨張剤組成物及び体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力は、例えば、協和界面化学株式会社製の自動表面張力計DY−300のプレート法により測定することができる。
<体積膨張剤層形成工程及び体積膨張剤層形成手段>
体積膨張剤層形成工程は、体積膨張剤を含有する体積膨張剤組成物を付与して体積膨張剤層を形成する工程であり、体積膨張剤層形成手段により実施される。
体積膨張剤を含有する体積膨張剤組成物は、基材上に付与することが好ましい。
<<基材>>
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラスチックフィルム、合成繊維からなる合成紙、不織布等のシート、建築用材料などが挙げられる。これらの中でも、耐久性を有する基材が好ましく、建築用材料がより好ましい。
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然紙、合成紙等の紙、プラスチックフィルム、不織布、布、木材、金属薄膜などが挙げられる。
前記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム;ポリプロピレンフィルム;ポリエチレンフィルム;ナイロン、ビニロン、アクリル等のプラスチックフィルム、又は前記フィルムの貼り合わせたものなどが挙げられる。
前記プラスチックフィルムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、強度の点から、一軸又は二軸延伸されていることが好ましい。
前記不織布としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン繊維をシート状に散布し、熱圧着させてシート状に形成したものなどが挙げられる。
前記建築用材料としては、例えば、床材、壁紙、内装材、壁板材、巾木材、天井材、柱などで使用される熱硬化性樹脂、繊維版、パーティクルボード、又は上記素材の表面に、熱硬化性樹脂、オレフィン、ポリエステル、PVC等の化粧板を設けたものが挙げられる。
前記基材上に、体積膨張剤組成物を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナイフコート法、ノズルコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、リバースロールコート法、ロールコート法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、キャスト法、ディップ法、カーテンコート法等の塗工方法、インクジェット方式などが挙げられる。
体積膨張剤層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、250μm以上が更に好ましく、300μm以上500μm以下が特に好ましい。
体積膨張剤層の平均厚みが100μm以上であると、凹凸差のある体積膨張剤層を形成することができ、優れた凹凸形状による意匠性を付与することができる。
体積膨張剤層の体積膨張後の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100μm以上が好ましく、310μm以上がより好ましく、400μm以上が更に好ましく、400μm以上2,000μm以下が特に好ましい。
体積膨張後の平均厚みが100μm以上であると、体積膨張抑制剤組成物による凹凸差のある体積膨張剤層を形成することができ、優れた凹凸形状による意匠性を付与することができる。
<<体積膨張剤組成物>>
体積膨張剤組成物は、体積膨張剤を含有し、活性エネルギー線硬化型材料及び表面張力調整剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
−体積膨張剤−
体積膨張剤としては、熱膨張性マイクロカプセル又は熱分解性体積膨張剤が用いられる。これらの中でも、高体積膨張倍率を有し、均一で小さい独立気泡を形成できる点から、熱膨張性マイクロカプセルが好ましい。なお、体積膨張剤は「発泡剤」と称することもある。
熱膨張性マイクロカプセルは、体積膨張剤を熱可塑性樹脂で包み込んだコアシェル構造の粒子であり、加熱により外殻の熱可塑性樹脂が軟化を始めると共に、内包された体積膨張化合物の蒸気圧が上昇して粒子を変形させるのに十分な圧力となり、外殻の熱可塑性樹脂が引き伸ばされて膨張する。体積膨張化合物としては、例えば、低沸点の脂肪族炭化水素などが挙げられる。
熱膨張性マイクロカプセルとしては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、積水化学工業株式会社製のアドバンセルEMシリーズ、AkzoNovel社製のExpancellDU、WU、MB、SL、FGシリーズ(日本国内では日本フィライト株式会社が販売)、松本油脂製薬株式会社製のマツモトマイクロスフェアーF、FNシリーズ、株式会社クレハ製のクレハマイクロスフェアーH750、H850、H1100などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱分解性体積膨張剤としては、有機系体積膨張剤又は無機系体積膨張剤が用いられる。
有機系体積膨張剤としては、例えば、アゾジカルボン酸アミド(ADCA)、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、ナフテン酸亜鉛などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機系体積膨張剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩と有機酸塩の組合せなどが挙げられる。
前記体積膨張剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、体積膨張剤組成物の全量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
<<活性エネルギー線硬化型材料>>
活性エネルギー線硬化型材料としては、単官能モノマー及び多官能モノマーを含む。
−単官能モノマー−
単官能モノマーは、ビニル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を分子構造中に1つ有する。
単官能モノマーとしては、例えば、γ−ブチロラクトン(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ホルマール化トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、(メタ)アクリロイルモルフォリン、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジシクロペンタジエンビニルエーテル、トリシクロデカンビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルオキセタンメチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、エトキシ(4)ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が高く、堅牢性が良好な点から、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。
単官能モノマーの含有量は、体積膨張剤組成物の全量に対して、80質量%以上99.5質量%以下が好ましく、90質量%以上95質量%以下がより好ましい。
−多官能モノマー−
多官能モノマーは、ビニル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を分子構造中に2つ以上有する化合物である。
多官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート〔CH=CH−CO−(OC)n−OCOCH=CH(n≒9)、同(n≒14)、同(n≒23)〕、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクレート〔CH=C(CH)−CO−(OC−OCOC(CH)=CH(n≒7)〕、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルペンタ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、ポリウレタントリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリウレタンペンタ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、エトキシ化(4)ビスフェノールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多官能モノマーの[分子量/官能数量]は250以上であることが、体積膨張性と堅牢性を両立できる点から好ましい。
体積膨張剤組成物における多官能モノマーの含有量は、重合性化合物の全量に対して、10質量%以下であり、1質量%以下が好ましい。また、多官能モノマーの含有量は、重合性化合物の全量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。多官能モノマーの含有量は、重合性化合物の全量に対して、10質量%以下であると、意匠性(体積膨張性)と堅牢性を両立できるという利点がある。
−重合開始剤−
重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。これらの中でも、凹凸形状による意匠性及び画像品質の耐久性の点から、光重合開始剤がより好ましい。
光重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、これらの中でも、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
重合開始剤の含有量は、十分な硬化速度を得るために、体積膨張剤組成物の全量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(例えば、チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物などが挙げられる。
また、上記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用することもできる。
重合促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルベンジルアミン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン化合物などが挙げられる。
重合促進剤の含有量は、特に制限はなく、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定すればよい。
−表面張力調整剤−
表面張力調整剤としては、表面張力を調整可能であり、活性エネルギー線に対して非反応性であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。表面張力調整剤としては、市販品を用いることができ、例えば、BYK−UV3510(ビックケミー社製)、BYK−3550(ビックケミー社製)、BYK−3990(ビックケミー社製)、BYK35600(ビックケミー社製)などが挙げられる。
−その他の成分−
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、充填剤、体積膨張促進剤、分散剤、色材、有機溶媒、ブロッキング防止剤、増粘剤、防腐剤、安定剤、脱臭剤、蛍光剤、紫外線遮断剤などが挙げられる。
−−充填剤−−
前記充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化第一鉄、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛、珪砂、クレー、タルク、シリカ類、二酸化チタン、珪酸マグネシウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましい。
−−体積膨張促進剤−−
体積膨張促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナフテン酸亜鉛、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、2−エチルペンタン酸亜鉛、2−エチル−4−メチルペンタン酸亜鉛、2−メチルヘキサン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、イソオクチル酸亜鉛、n−オクチル酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、イソデカン酸亜鉛、n−デカン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、イソステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、リノール酸亜鉛、リノレイン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、安息香酸亜鉛、o、m又はp−トルイル酸亜鉛、p−t−ブチル安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、フタル酸亜鉛、フタル酸モノアルキル(C4〜18)エステルの亜鉛塩、デヒドロ酢酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、アミノクロトン酸亜鉛、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、ジンクピリチオン、尿素又はジフェニル尿素の亜鉛錯体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−増粘剤−−
増粘剤としては、例えば、ポリシアノアクリレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリメタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。
−−防腐剤−−
防腐剤は、従来から使用されモノマーの重合を開始させないもの、例えば、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、クロロクレゾールなどが挙げられる。
−−安定剤−−
安定剤は、貯蔵中のモノマーの重合を抑制する目的を果たし、アニオン性安定剤、フリーラジカル安定剤などが挙げられる。
アニオン性安定剤としては、例えば、メタリン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アルキルスルホン酸、五酸化リン、塩化鉄(III)、酸化アンチモン、2,4,6−トリニトロフェノール、チオール、アルキルスルホニル、アルキルスルホン酸、アルキルスルホキシド、亜硫酸アルキル、スルトン、二酸化硫黄、三酸化硫黄などが挙げられる。
フリーラジカル安定剤としては、例えば、ヒドロキノン、カテコール、又はこれらの誘導体などが挙げられる。
−体積膨張剤組成物の調製−
本発明に用いられる体積膨張剤組成物は、上述した各種成分を用いて調製することができ、その調製手段や条件については特に限定されない。
<体積膨張抑制剤組成物付与工程及び体積膨張抑制剤組成物付与手段>
体積膨張抑制剤組成物付与工程は、体積膨張抑制剤を含有する体積膨張抑制剤組成物を前記体積膨張剤層に付与する工程であり、体積膨張抑制剤組成物付与手段により実施される。
体積膨張抑制剤組成物付与工程においては、体積膨張剤層の体積膨張させたくない箇所に体積膨張抑制剤組成物を付与する。
体積膨張抑制剤組成物は、体積膨張抑制剤として多官能モノマーを含有し、表面張力調整剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記多官能モノマーとしては、上記体積膨張剤組成物における多官能モノマーと同様のものを用いることができ、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ−ト、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレンクリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、異なる多官能モノマーの混合物、多官能モノマーと単官能モノマーを混合物や、多官能を有するオリゴマーと単官能モノマーの混合物、単官能モノマー、多官能モノマー、多官能を有するオリゴマーとの混合物を用いることができる。
体積膨張抑制剤組成物が体積膨張抑制剤として多官能モノマーを含有することにより、多官能重合性化合物はエネルギー付与により3次元架橋するので、体積膨張剤層の任意の場所に多官能重合性化合物を付与しエネルギーを付与することで体積膨張のオンオフを制御でき、印刷物に優れた凹凸形状による意匠性を付与することができるという利点がある。
−表面張力調整剤−
表面張力調整剤としては、表面張力を調整可能であり、活性エネルギー線硬化型材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、BYK−3550(ビックケミー社製)、BYK−3990(ビックケミー社製)、BYK35600(ビックケミー社製)などが挙げられる。
体積膨張抑制剤組成物を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクジェット方式が、様々な体積膨張パターン(体積膨張抑制パターン)に対してフレキシブルに対応できる点から好ましい。
インクジェット方式としては、例えば、吐出ヘッドの駆動方式としては、PZT等を用いた圧電素子アクチュエータ、熱エネルギーを作用させる方式、静電気力を利用したアクチュエータなどを利用したオンデマンド型のヘッドを用いることもできるし、連続噴射型の荷電制御タイプのヘッドなどを用いることもできる。
体積膨張抑制剤組成物の付与量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、体積膨張剤層の表面積に対して、0.014μL/cm以上2.8μL/cm以下が好ましい。
<色材層形成工程及び色材層形成手段>
色材層形成工程は、色材を含有する色材組成物を付与して色材層を形成する工程であり、色材層形成手段により実施される。
<<色材組成物>>
前記色材組成物は、色材を含有し、凹凸形状による意匠性及び画像品質の耐久性の点から、重合性化合物及び重合開始剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
−色材−
色材としては、本発明における色材組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。
色材の含有量は、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、色材組成物の全量に対して、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンなどが挙げられる。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(例えば、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。
また、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤を更に含んでもよい。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
−重合性化合物−
重合性化合物としては、上記体積膨張剤層における体積膨張剤組成物の重合性化合物と同様のものを用いることができる。
−重合開始剤−
重合開始剤としては、上記体積膨張剤層における体積膨張剤組成物の重合開始剤と同様のものを用いることができる。
<その他の成分>
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機溶媒、界面活性剤、重合禁止剤、レべリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、増粘剤などが挙げられる。
−−有機溶媒−−
本発明に用いられる色材組成物は、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
−色材組成物の調製−
本発明に用いられる色材組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、色材としての顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液に、更に重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
<粘度>
本発明に用いられる色材組成物の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、当該組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を適用する場合には、20℃から65℃の範囲における粘度、望ましくは25℃における粘度が3mPa・s以上40mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上15mPa・s以下がより好ましく、6mPa・s以上12mPa・s以下が特に好ましい。また当該粘度範囲を、上記有機溶媒を含まずに満たしていることが特に好ましい。なお、上記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE−22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃〜65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM−150IIIを用いることができる。
前記体積膨張剤層上に、上記色材組成物を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクジェット方式が、生産性や少ロット多品種へのフレキシブル対応が可能な点から好ましい。
インクジェット方式としては、例えば、吐出ヘッドの駆動方式としては、PZT等を用いた圧電素子アクチュエータ、熱エネルギーを作用させる方式、静電気力を利用したアクチュエータなどを利用したオンデマンド型のヘッドを用いることもできるし、連続噴射型の荷電制御タイプのヘッドなどを用いることもできる。
<硬化工程及び硬化手段>
活性エネルギー線の照射により、前記体積膨張剤層を硬化させる工程、硬化手段により実施される。
活性エネルギー線を体積膨張剤層に照射することにより体積膨張剤層が硬化する。また、色材層が重合性化合物を含む場合には、活性エネルギー線の照射により色材層が硬化する。色材層が重合性化合物を含まない場合には、活性エネルギー線の照射により色材層は変化しない。エネルギーが活性エネルギー線である場合には、更に前記体積膨張剤層を加熱して体積膨張させる体積膨張工程を含むことが好ましい。
−活性エネルギー線−
活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
硬化条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、紫外線の場合には、照射距離2mmにおいて6W/cm以上の強度で照射できる照射装置を用いることが好ましい。
電子線の場合には、硬化させたい電子線照射装置から最も遠い箇所に15kGy以上の線量となる加速電圧であることが好ましい。
<体積膨張工程及び体積膨張手段>
体積膨張工程は、体積膨張剤層を加熱して体積膨張させる工程であり、体積膨張手段により実施される。
体積膨張手段としては、加熱により体積膨張剤層の体積膨張剤を体積膨張させることができる手段であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、赤外線ヒーター、温風ヒーター、加熱ローラーなどが挙げられる。
前記加熱の温度としては、体積膨張剤の熱分解温度以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃以上200℃以下が好ましい。
<その他の工程及びその他の手段>
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エンボス加工工程、制御工程などが挙げられる。
その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エンボス加工手段、制御手段などが挙げられる。
<<エンボス加工工程及びエンボス加工手段>>
前記エンボス加工工程は、体積膨張剤層及び色材層に凹凸模様を形成する工程であり、エンボス加工手段により実施される。
前記凹凸模様としては、通常、壁紙、化粧板等に凹凸を付与する目的で使用されるエンボス加工、ケミカルエンボス加工、ロータリースクリーン加工、又は盛り上げ印刷等の方法を選択使用することができる。
前記エンボス加工工程としては、例えば、エンボス版を用いる加工、ケミカルエンボス加工、ロータリースクリーン、又は盛り上げ印刷により凹凸を付与する方法などが挙げられる。
前記エンボス加工手段としては、加熱後冷却ローラーでエンボス加工する手段、及び熱ローラエンボスを用いて一度にエンボス加工する手段のいずれであっても構わない。
前記エンボス加工によるエンボスの深さとしては、0.08mm以上0.50mm以下が好ましい。前記エンボスの深さが、0.08mm以上であると、立体感を出すことができ、0.50mm以下であると、表面の摩耗強さを向上できる。
エンボス加工により形成される凹凸模様の形状としては、例えば、木目版導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝などが挙げられる。
ここで、本発明の印刷方法に用いられる本発明の印刷装置について、図面を参照して詳細に説明する。
図3は、本発明の印刷装置の一例を示す概略図である。この図3の印刷装置100は、基材19上に体積膨張剤組成物を塗布する塗布ローラー10と、その下流に体積膨張抑制剤組成物用ヘッド11、ブラック用ヘッド12、シアン用ヘッド13、マゼンタ用ヘッド14、及びイエロー用ヘッド15からなる吐出ヘッド16と、活性エネルギー線照射装置17と、加熱装置18とを有している。なお、図3中、20は搬送ベルト、21は塗布ローラー10と対向する送り出しローラーであり、22は巻取りローラーである。
基材19は巻取りローラー22で搬送ベルト20が巻き取られることにより、図3中矢印方向に搬送される。
まず、基材表面に、体積膨張剤組成物を塗布ローラー10により塗布して、体積膨張剤層を形成する。
次に、体積膨張剤層が形成された基材19を所定の速度で走査させ、体積膨張抑制剤組成物用ヘッド11から体積膨張抑制剤組成物を体積膨張剤層の体積膨張させたくない箇所に吐出する。次いで、ブラック用ヘッド12、シアン用ヘッド13、マゼンタ用ヘッド14、及びイエロー用ヘッド15の各色用ヘッドから、ブラック用、シアン用、マゼンタ用、及びイエロー用の色材組成物をインクジェット方式で吐出して、色材層を形成する。
次に、体積膨張剤層に対して活性エネルギー線照射装置17を用い、所定の照射条件で活性エネルギー線を照射し、硬化する。
次に、得られた硬化物に対して、加熱装置18により加熱すると、加熱した箇所の体積膨張剤層が体積膨張し、優れた凹凸形状による意匠性及び画像品質を有する印刷物が得られる。
本発明の印刷方法及び本発明の印刷装置により製造される印刷物は、優れた凹凸形状による意匠性及び画像品質を有する印刷物が得られると共に、長期間に亘って優れた凹凸形状による意匠性及び画像品質を保持することができるので、例えば、床材、壁紙、内装材、壁材、巾木材、天井材、柱等の建築用材料などの用途に好適である。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例では、体積膨張剤組成物の粘度、体積膨張剤組成物及び体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力は、以下のようにして測定した。
<粘度の測定>
東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE−22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を25℃に設定し、測定した。
<静的表面張力の測定>
協和界面化学株式会社製の自動表面張力計DY−300のプレート法により、協和界面化学株式会社製の白金プレート(横幅23.85mm、厚み:0.15mm)、測定物の温度調整として協和界面化学株式会社製の温冷水循環器4VTを用いて25℃に設定、ステージ速度は0.2mm/sに設定し、測定した。
(実施例1)
図3は、実施例1で用いる本発明の印刷装置を示す概略図である。この図1の印刷装置100は、基材19上に体積膨張剤組成物を塗布する塗布ローラー10と、その下流に体積膨張抑制剤組成物用ヘッド11、ブラック用ヘッド12、シアン用ヘッド13、マゼンタ用ヘッド14、及びイエロー用ヘッド15からなる吐出ヘッド16と、活性エネルギー線照射装置17と、加熱装置18とを有している。なお、図3中、20は搬送ベルト、21は塗布ローラー10と対向する送り出しローラーであり、22は巻取りローラーである。基材19は巻取りローラー22で搬送ベルト20が巻き取られることにより、図3中矢印方向に搬送される。
吐出ヘッド16としては、株式会社リコープリンティングシステムズ製のGEN4ヘッド(MH2420)を用い、体積膨張抑制剤組成物用ヘッド11と、ブラック用ヘッド12と、シアン用ヘッド13と、マゼンタ用ヘッド14と、イエロー用ヘッド15とを5つずつ並列に配置し、吐出ヘッド16を45℃に加温して、20pLの液滴サイズで描画できるよう、周波数をコントロールした。
活性エネルギー線照射装置17としては、岩崎電気株式会社製のEC300/30/30mAを用い、不活性ガスブランケット内は、不活性ガス源として、コンプレッサー付きNガス発生装置(Maxi−Flow30、Inhouse Gas社製)を0.2MPa・sの圧力で接続し、2L/分〜10L/分の流量でNをフローさせ、酸素濃度が500ppm以下となるように設定した。
加熱装置18としては、日立産機システム株式会社製のルテックスブロアGシリーズ、株式会社関西電熱製の高温熱風発生用電気式ヒーターXS−2、株式会社関西電熱製ハイブローノズル50ALを組み合わせて作製した加熱装置をノズル先端からの風速30m/secとなるように調整したものを用いた。
まず、基材19として、質量80g/mの用紙(オストリッチダイヤ ハイグレード普通紙RJPH−03)の表面に、下記の体積膨張剤組成物を塗布ローラー10により平均厚みが100μmとなるように塗布し、体積膨張剤層を形成した。
次に、体積膨張剤層が形成された基材を15m/minの速度で走査させ、体積膨張抑制剤組成物用ヘッド11から下記の体積膨張抑制剤組成物を体積膨張剤層の体積膨張させたくない箇所に吐出した。次いで、ブラック用ヘッド12、シアン用ヘッド13、マゼンタ用ヘッド14、及びイエロー用ヘッド15から、下記のブラック用、シアン用、マゼンタ用、及びイエロー用の色材組成物をインクジェット方式により25%画像(各色フィルムの4分1の幅)を描画し、色材層を形成した。
次に、体積膨張剤層及び色材層に対して活性エネルギー線照射装置17を用い、加速電圧30kV、30線量kGyの照射条件で活性エネルギー線を照射し、硬化させた。
次に、得られた硬化物に対して、加熱装置18により170℃で10秒間加熱すると、体積膨張剤層の加熱した箇所が体積膨張した。以上により、実施例1の印刷物が得られた。
<体積膨張剤組成物>
イソボロニルアクリレート(巴工業株式会社製)90質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(巴工業株式会社製)10質量部からなる重合性化合物94質量%に対して、体積膨張剤としてのアゾジカルボン酸アミド(永和化成工業株式会社製)3質量%、及び体積膨張促進剤としてのナフテン酸亜鉛(東京化成工業株式会社製)3質量%を添加し、撹拌することにより、体積膨張剤組成物を調製した。
<体積膨張抑制剤組成物>
多官能モノマーとして1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(SR238、サートマー社製)を用い、これを体積膨張抑制剤組成物とした。
<ブラック用色材組成物の調製>
アクリロイルモルフォリン(東京化成工業株式会社製)60質量部、ベンジルアクリレート(東京化成工業株式会社製)20質量部、及び色材としてのSPECIAL BLACK 250(ブラック顔料、BASFジャパン社製)40質量部を撹拌することにより、ブラック用色材組成物を調製した。
<シアン用色材組成物の調製>
アクリロイルモルフォリン(東京化成工業株式会社製)60質量部、ベンジルアクリレート(東京化成工業株式会社製)20質量部、及び色材としてのIRGALITE BLUE GLVO(シアン顔料、BASFジャパン社製)40質量部を撹拌することにより、シアン用色材組成物を調製した。
<マゼンタ用色材組成物の調製>
アクリロイルモルフォリン(東京化成工業株式会社製)60質量部、ベンジルアクリレート(東京化成工業株式会社製)20質量部、及び色材としてのCINQUASIA MAGENTA RT−355−D(マゼンタ顔料、BASFジャパン社製)40質量部を撹拌することにより、マゼンタ用色材組成物を調製した。
<イエロー用色材組成物の調製>
アクリロイルモルフォリン(東京化成工業株式会社製)60質量部、ベンジルアクリレート(東京化成工業株式会社製)20質量部、及び色材としてのNOVOPERM YELLOW H2G(イエロー顔料、クラリアント社製)40質量部を撹拌することにより、イエロー用色材組成物を調製した。
実施例1における体積膨張剤組成物の25℃での粘度は126mPa・s、静的表面張力は、32.9mN/mであり、体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力は35.7mN/mであり、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物との静的表面張力差は、絶対値で、2.8mN/mであった。
(実施例2)
実施例1において、以下の体積膨張剤組成物、及び体積膨張抑制剤組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の印刷物を得た。
<体積膨張剤組成物>
イソボロニルアクリレート(巴工業株式会社製)50質量部、2−アクリロイルオキシプロピルフタル酸(ACB−21、新中村化学工業株式会社製)50質量部からなる重合性化合物94質量%に対して、体積膨張剤としてのアゾジカルボン酸アミド(永和化成工業株式会社製)3質量%、及び体積膨張促進剤としてのナフテン酸亜鉛(東京化成工業株式会社製)3質量%を添加し、撹拌することにより、体積膨張剤組成物を調製した。
<体積膨張抑制剤組成物>
多官能モノマーとしてネオペンチルグリコールジアクリレート(SR247、サートマー社製)を用い、これを体積膨張抑制剤組成物とした。
実施例2における体積膨張剤組成物の25℃での粘度は126mPa・s、静的表面張力は32.9mN/mであり、体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力は32.8mN/mであり、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物との静的表面張力差は、絶対値で、0.1mN/mであった。
(実施例3)
実施例1において、以下の体積膨張抑制剤組成物に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の印刷物を得た。
<体積膨張抑制剤組成物>
多官能モノマー(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)100質量部に対して、表面張力調整剤としてUV3510(ビックケミー社製)0.01質量部を添加し、混合することにより、体積膨張抑制剤組成物を調製した。
実施例3における体積膨張剤組成物の25℃での粘度は126mPa・s、静的表面張力は32.9mN/mであり、体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力は33.5mN/mであり、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物との静的表面張力差は、絶対値で、0.6mN/mであった。
(実施例4)
実施例1において、以下の体積膨張抑制剤組成物に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例4の印刷物を得た。
<体積膨張抑制剤組成物>
多官能モノマー(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)100質量部に対して、表面張力調整剤としてUV3510(ビックケミー社製)0.15質量部を添加し、混合することにより、体積膨張抑制剤組成物を調製した。
実施例4における体積膨張剤組成物の25℃での粘度は126mPa・s、静的表面張力は32.9mN/mであり、体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力は30.0mN/mであり、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物との静的表面張力差は、絶対値で、2.9mN/mであった。
(実施例5)
実施例1において、以下の体積膨張抑制剤組成物に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の印刷物を得た。
<体積膨張抑制剤組成物>
多官能モノマーとして1,3−ブチレングリコールジアクリレート(SR212、サートマー社製)を用い、これを体積膨張抑制剤組成物とした。
実施例5における体積膨張剤組成物の25℃の粘度は126mPa・s、静的表面張力は32.9mN/mであり、体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力は33.6mN/mであり、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物との静的表面張力差は、絶対値で、0.7mN/mであった。
(実施例6)
実施例1において、以下の体積膨張剤組成物及び体積膨張抑制剤組成物に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例6の印刷物を得た。
<体積膨張剤組成物>
イソボロニルアクリレート(巴工業株式会社製)50質量部、2−アクリロイルオキシプロピルフタル酸(ACB−21、新中村化学工業株式会社製)50質量部からなる組成物93.9質量%に対して、体積膨張剤としてのアゾジカルボン酸アミド(永和化成工業株式会社製)3質量%、体積膨張促進剤としてのナフテン酸亜鉛(東京化成工業株式会社製)3質量%、及び表面張力調整剤としてのUV3570(ビックケミー社製)0.1質量部を添加し、撹拌することにより、体積膨張剤組成物を調製した。
<体積膨張抑制剤組成物>
多官能モノマー(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート)100質量部に対して、表面張力調整剤としてUV3510(ビックケミー社製)0.15質量部を添加し、混合することにより、体積膨張抑制剤組成物を調製した。
実施例6における体積膨張剤組成物の25℃での粘度は126mPa・s、静的表面張力は30mN/mであり、体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力は30mN/mであり、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物との静的表面張力差は、絶対値で、0mN/mであった。
(実施例7)
実施例1において、以下の体積膨張剤組成物に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例7の印刷物を得た。
<体積膨張剤組成物>
イソボロニルアクリレート(巴工業株式会社製)50質量部、2−アクリロイルオキシプロピルフタル酸(ACB−21、新中村化学工業株式会社製)50質量部、及びクレハマイクロスフェアー(株式会社クレハ製、H750)2質量部を添加し、撹拌することにより、体積膨張剤組成物を調製した。
実施例7における体積膨張剤組成物の25℃での粘度は126mPa・s、静的表面張力は32.9mN/mであり、体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力は35.7mN/mであり、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物との静的表面張力差は、絶対値で、2.8mN/mであった。
実施例7で得られた印刷物の体積膨張後の断面形状を図4に示した。図4の結果から、体積膨張抑制剤が体積膨張層表面から内部に浸透しており体積膨張を抑制していることがわかった。
(実施例8)
実施例1において、以下の体積膨張剤組成物に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例8の印刷物を得た。
<体積膨張剤組成物>
2−アクリロイルオキシエチルコハク酸(A−SA、新中村化学工業株式会社製)50質量部、2−アクリロイルオキシプロピルフタル酸(ACB−21、新中村化学工業株式会社製)50質量部からなる重合性化合物94質量%に対して、体積膨張剤としてのアゾジカルボン酸アミド(永和化成工業株式会社製)3質量%、及び体積膨張促進剤としてのナフテン酸亜鉛(東京化成工業株式会社製)3質量%を添加し、撹拌することにより、体積膨張剤組成物を調製した。
実施例8における体積膨張剤組成物の25℃での粘度は771mPa・s、静的表面張力は33.5mN/mであり、体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力は35.7mN/mであり、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物との静的表面張力差は、絶対値で、2.2mN/mであった。
(実施例9)
実施例1において、以下の体積膨張剤組成物に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例9の印刷物を得た。
<体積膨張剤組成物>
2−アクリロイルオキシエチルコハク酸(A−SA、新中村化学工業株式会社製)33質量部、2−アクリロイルオキシプロピルフタル酸(ACB−21、新中村化学工業株式会社製)67質量部からなる重合性化合物94質量%に対して、体積膨張剤としてのアゾジカルボン酸アミド(永和化成工業株式会社製)3質量%、及び体積膨張促進剤としてのナフテン酸亜鉛(東京化成工業株式会社製)3質量%を添加し、撹拌することにより、体積膨張剤組成物を調製した。
実施例9における体積膨張剤組成物の25℃での粘度は196mPa・s、静的表面張力は33.9mN/mであり、体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力は35.7mN/mであり、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物との静的表面張力差は、絶対値で、1.6mN/mであった。
(比較例1)
実施例7において、以下の体積膨張剤組成物に代えた以外は、実施例7と同様にして、比較例1の印刷物を得た。
<体積膨張剤組成物>
イソボロニルアクリレート(巴工業株式会社製)90質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(巴工業株式会社製)10質量部からなる組成物93質量%に対して、クレハマイクロスフェアー(株式会社クレハ製、H750)2質量部を添加し、表面張力調整剤としてのUV3510(ビックケミー社製)1質量%を添加し、撹拌することにより、体積膨張剤組成物を調製した。
比較例1における体積膨張剤組成物の25℃での粘度は40mPa・s、静的表面張力は、25.7mN/mであり、体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力は35.7mN/mであり、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物との静的表面張力差は、絶対値で、10mN/mであった。
比較例1で得られた印刷物の体積膨張後の断面形状を図5に示した。図5の結果から、体積膨張抑制剤が体積膨張層内部に浸透せず、表面近傍に堆積しているため、体積膨張を制御できておらず不均一な凹凸が発生していることがわかった。
(比較例2)
実施例7において、以下の体積膨張剤組成物に代えた以外は、実施例7と同様にして、比較例2の印刷物を得た。
<体積膨張剤組成物>
イソボロニルアクリレート(巴工業株式会社製)90質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(巴工業株式会社製)10質量部からなる組成物93.9質量%に対して、体積膨張剤としての及びクレハマイクロスフェアー(株式会社クレハ製、H750)2質量部、表面張力調整剤としてのUV3510(ビックケミー社製)0.1質量%を添加し、撹拌することにより、体積膨張剤組成物を調製した。
比較例2における体積膨張剤組成物の25℃での粘度は39mPa・s、静的表面張力は、30.7mN/mであり、体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力は35.7mN/mであり、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物との静的表面張力差は、絶対値で、5mN/mであった。
(比較例3)
実施例1において、以下の体積膨張剤組成物に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例3の印刷物を得た。
<体積膨張剤組成物>
イソボロニルアクリレート(巴工業株式会社製)67質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(巴工業株式会社製)33質量部からなる重合性化合物94質量%に対して、体積膨張剤としてのアゾジカルボン酸アミド(永和化成工業株式会社製)3質量%、及び体積膨張促進剤としてのナフテン酸亜鉛(東京化成工業株式会社製)3質量%を添加し、撹拌することにより、体積膨張剤組成物を調製した。
比較例3における体積膨張剤組成物の25℃での粘度は3,350mPa・s、静的表面張力は33.8mN/mであり、体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力は35.7mN/mであり、体積膨張剤組成物と体積膨張抑制剤組成物との静的表面張力差は、絶対値で、1.9mN/mであった。
比較例3で得られた印刷物の体積膨張後の断面形状を図6に示した。図6の結果から、体積膨張抑制剤が体積膨張層内部に浸透せず、表面近傍に堆積しているため、体積膨張を制御できておらず不均一な凹凸が発生していることがわかった。
次に、得られた実施例1〜9及び比較例1〜3の各印刷物について、以下のようにして、凹凸形状による意匠性、凹凸形状による意匠性及び画像品質の耐久性を評価した。結果を表1〜表3に示した。
<凹凸形状による意匠性>
得られた印刷物の表面を目視、手触りにより体積膨張抑制剤組成物の塗布パターンに対して凹凸形状による意匠性がどの程度あるかを、下記基準で評価した。なお、C以上が実施可能なレベルである。
[評価基準]
A:体積膨張抑制剤組成物の塗布パターンと凹凸形状が一致しており、凹凸差が目視だけで明確に確認できる
B:体積膨張抑制剤組成物の塗布パターンと凹凸形状が一致しており、凹凸差が目視だけで見える
C:体積膨張抑制剤組成物の塗布パターンに対する凹凸形状が目視ではわからないが、手触りによって一致していると感じる
D:体積膨張抑制剤組成物の塗布パターンに対する凹凸形状が目視、手触りでも凹凸形状があること判断できない
<凹凸形状による意匠性及び画像品質の耐久性の評価方法>
得られた印刷物表面をカッターにより傷をつけた後、アセトンを吹き付け12時間放置した後、紙で印刷物表面を10回擦り、摩擦後の画像部、体積膨張状態の程度を顕微鏡及び目視観察し、下記基準で凹凸形状による意匠性及び画像品質の耐久性を判定した。
[評価基準]
A:画像部の滲み、体積膨張剤層の基材からの剥離が発生せず非常に良好なレベル
B:画像部の滲み、体積膨張剤層の基材からの剥離がほとんど発生せず良好なレベル
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 体積膨張剤を含有する体積膨張剤組成物を付与して体積膨張剤層を形成する体積膨張剤層形成工程と、
体積膨張抑制剤を含有する体積膨張抑制剤組成物を前記体積膨張剤層に付与する体積膨張抑制剤組成物付与工程と、
活性エネルギー線の照射により、前記体積膨張剤層を硬化させる硬化工程と、
前記体積膨張剤層を加熱することにより体積膨張させる体積膨張工程と、を含み、
前記体積膨張剤組成物の25℃における粘度が50mPa・s以上1,500mPa・s以下であり、
前記体積膨張剤組成物の静的表面張力と前記体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力との差が、絶対値で、5mN/m以下であることを特徴とする印刷方法である。
<2> 前記体積膨張剤が、熱分解性体積膨張剤又は熱膨張性マイクロカプセルである前記<1>に記載の印刷方法である。
<3> 前記体積膨張抑制剤が、多官能モノマーである前記<1>から<2>のいずれかに記載の印刷方法である。
<4> 前記体積膨張抑制剤組成物がインクジェット方式で付与される前記<1>から<3>のいずれかに記載の印刷方法である。
<5> 前記体積膨張剤組成物が、活性エネルギー線硬化型材料を更に含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の印刷方法である。
<6> 前記体積膨張剤組成物及び前記体積膨張抑制剤組成物が、表面張力調整剤を含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の印刷方法である。
<7> 前記体積膨張剤組成物に含まれる表面張力調整剤が、活性エネルギー線に対して非反応性である前記<6>に記載の印刷方法である。
<8> 前記体積膨張抑制剤組成物に含まれる表面張力調整剤が、活性エネルギー線硬化型材料である前記<6>に記載の印刷方法である。
<9> 色材を含有する色材組成物を付与して色材層を形成する色材層形成工程を更に含む前記<1>から<8>のいずれかに記載の印刷方法である。
<10> 前記色材組成物が、活性エネルギー線硬化型材料を更に含有する前記<9>に記載の印刷方法である。
<11> 活性エネルギー線の照射により、前記色材層を硬化させる色材層硬化工程を含む前記<9>から<10>のいずれかに記載の印刷方法である。
<12> 体積膨張剤を含有する体積膨張剤組成物を付与して体積膨張剤層を形成する体積膨張剤層形成手段と、
体積膨張抑制剤を含有する体積膨張抑制剤組成物を前記体積膨張剤層に付与する体積膨張抑制剤組成物付与手段と、
活性エネルギー線の照射により、前記体積膨張剤層を硬化させる硬化手段と、
前記体積膨張剤層を加熱することにより体積膨張させる体積膨張手段と、を有し、
前記体積膨張剤組成物の25℃における粘度が50mPa・s以上1,500mPa・s以下であり、
前記体積膨張剤組成物の静的表面張力と前記体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力との差が、絶対値で、5mN/m以下であることを特徴とする印刷装置である。
<13> 前記体積膨張剤が、熱分解性体積膨張剤又は熱膨張性マイクロカプセルである前記<12>に記載の印刷装置である。
<14> 前記体積膨張抑制剤が、多官能モノマーである前記<12>から<13>のいずれかに記載の印刷装置である。
<15> 前記体積膨張抑制剤組成物がインクジェット方式で付与される前記<12>から<14>のいずれかに記載の印刷装置である。
<16> 前記体積膨張剤組成物が、活性エネルギー線硬化型材料を更に含有する前記<12>から<15>のいずれかに記載の印刷装置である。
<17> 前記体積膨張剤組成物及び前記体積膨張抑制剤組成物が、表面張力調整剤を含有する前記<12>から<16>のいずれかに記載の印刷装置である。
<18> 前記体積膨張剤組成物に含まれる表面張力調整剤が、活性エネルギー線に対して非反応性である前記<17>に記載の印刷装置である。
<19> 前記体積膨張抑制剤組成物に含まれる表面張力調整剤が、活性エネルギー線硬化型材料である前記<17>に記載の印刷装置である。
<20> 色材を含有する色材組成物を付与して色材層を形成する色材層形成手段を更に有する前記<12>から<19>のいずれかに記載の印刷装置である。
<21> 前記色材組成物が、活性エネルギー線硬化型材料を更に含有する前記<20>に記載の印刷装置である。
<22> 活性エネルギー線の照射により、前記色材層を硬化させる色材層硬化工程を含む前記<12>から<21>のいずれかに記載の印刷装置である。
前記<1>から<12>のいずれかに記載の印刷方法、及び前記<13>から<22>のいずれかに記載の印刷装置によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
10 塗布ローラー
11 体積膨張抑制剤組成物用ヘッド
12 ブラック用ヘッド
13 シアン用ヘッド
14 マゼンタ用ヘッド
15 イエロー用ヘッド
16 吐出ヘッド
17 活性エネルギー線照射装置
18 加熱装置
19 基材
20 搬送ベルト
21 送り出しローラー
22 巻取りローラー
27 活性エネルギー線照射装置
37 活性エネルギー線照射装置
47 活性エネルギー線照射装置
100 印刷装置
特許第5195999号公報 特開平10−76587号公報

Claims (12)

  1. 体積膨張剤を含有する体積膨張剤組成物を付与して体積膨張剤層を形成する体積膨張剤層形成工程と、
    体積膨張抑制剤を含有する体積膨張抑制剤組成物を前記体積膨張剤層に付与する体積膨張抑制剤組成物付与工程と、
    活性エネルギー線の照射により、前記体積膨張剤層を硬化させる硬化工程と、
    前記体積膨張剤層を加熱することにより体積膨張させる体積膨張工程と、を含み、
    前記体積膨張剤組成物の25℃における粘度が50mPa・s以上1,500mPa・s以下であり、
    前記体積膨張剤組成物の静的表面張力と前記体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力との差が、絶対値で、5mN/m以下であることを特徴とする印刷方法。
  2. 前記体積膨張剤が、熱分解性体積膨張剤又は熱膨張性マイクロカプセルである請求項1に記載の印刷方法。
  3. 前記体積膨張抑制剤が、多官能モノマーである請求項1から2のいずれかに記載の印刷方法。
  4. 前記体積膨張抑制剤組成物がインクジェット方式で付与される請求項1から3のいずれかに記載の印刷方法。
  5. 前記体積膨張剤組成物が、活性エネルギー線硬化型材料を更に含有する請求項1から4のいずれかに記載の印刷方法。
  6. 前記体積膨張剤組成物及び前記体積膨張抑制剤組成物が、表面張力調整剤を含有する請求項1から5のいずれかに記載の印刷方法。
  7. 前記体積膨張剤組成物に含まれる表面張力調整剤が、活性エネルギー線に対して非反応性である請求項6に記載の印刷方法。
  8. 前記体積膨張抑制剤組成物に含まれる表面張力調整剤が、活性エネルギー線硬化型材料である請求項6に記載の印刷方法。
  9. 色材を含有する色材組成物を付与して色材層を形成する色材層形成工程を更に含む請求項1から8のいずれかに記載の印刷方法。
  10. 前記色材組成物が、活性エネルギー線硬化型材料を更に含有する請求項9に記載の印刷方法。
  11. 活性エネルギー線の照射により、前記色材層を硬化させる色材層硬化工程を含む請求項9から10のいずれかに記載の印刷方法。
  12. 体積膨張剤を含有する体積膨張剤組成物を付与して体積膨張剤層を形成する体積膨張剤層形成手段と、
    体積膨張抑制剤を含有する体積膨張抑制剤組成物を前記体積膨張剤層に付与する体積膨張抑制剤組成物付与手段と、
    活性エネルギー線の照射により、前記体積膨張剤層を硬化させる硬化手段と、
    前記体積膨張剤層を加熱することにより体積膨張させる体積膨張手段と、を有し、
    前記体積膨張剤組成物の25℃における粘度が50mPa・s以上1,500mPa・s以下であり、
    前記体積膨張剤組成物の静的表面張力と前記体積膨張抑制剤組成物の静的表面張力との差が、絶対値で、5mN/m以下であることを特徴とする印刷装置。

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