JP2022041480A - 凹凸表面物の製造方法 - Google Patents

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逸樹 菅
Itsuki Suga
美樹子 ▲高▼田
Mikiko Takada
祐馬 臼井
Yuma Usui
由貴男 藤原
Yukio Fujiwara
琢磨 中村
Takuma Nakamura
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Abstract

Figure 2022041480000001
【課題】意匠性及び堅牢性に優れる凹凸表面物を得ることができ、かつ生産性に優れる凹凸表面物の製造方法の提供。
【解決手段】基材11上に、体積膨張剤を含有する体積膨張剤含有層25を形成し、前記基材上の前記体積膨張剤含有層における抑制剤付与領域24Aに、前記体積膨張剤の体積膨張を抑制する抑制剤23を付与する抑制剤付与工程と、前記体積膨張剤含有層における前記体積膨張剤を体積膨張させる体積膨張工程と、前記体積膨張剤含有層の前記抑制剤付与領域とは異なる他の領域24Bに、活性エネルギー線硬化型組成物を付与する活性エネルギー線硬化型組成物付与工程と、を含む凹凸表面物の製造方法である。
【選択図】図3B

Description

本発明は、凹凸表面物の製造方法に関する。
建築物の床、内壁や天井には、所望の画像を印字し、エンボス加工等により意匠性を付与した床材、壁紙などの部材が使用されている。また、床材や壁紙に紫外線(UV)硬化材料によるコーティング、電子線硬化材料によるコーティング等を行うことにより、耐久性を向上させる試みがなされている。
近年、インクジェット方式により所望の画像を印刷し、床材や壁紙などに展開すること
が試みられている。特に、画像と共に、表面に凹凸構造を付与した印刷物が3次元的な立
体感による豪華な装飾効果が得られることから普及してきている。
表面に凹凸構造を形成する方式としては、活性エネルギー線硬化型組成物をインクジェットで積層する積層方式と、体積膨張剤を含有するインクを付与し、この体積膨張剤を体積膨張させることで凹凸構造を形成する発泡方式がある。
前記発泡方式としては、例えば、発泡樹脂層及び表面保護層を有し、最表面に電離放射線硬化型樹脂層がパターン状に形成されており、電離放射線硬化型樹脂層が形成されていない領域に対して電離放射線硬化型樹脂層が形成されている領域が凹部になっている凹凸表面物の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、意匠性及び堅牢性に優れる凹凸表面物を得ることができ、生産性に優れる凹凸表面物の製造方法を提供すること目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の凹凸表面物の製造方法は、基材上に、体積膨張剤を含有する体積膨張剤含有層を形成し、前記基材上の前記体積膨張剤含有層における抑制剤付与領域に、前記体積膨張剤の体積膨張を抑制する抑制剤を付与する抑制剤付与工程と、
前記体積膨張剤含有層における前記体積膨張剤を体積膨張させる体積膨張工程と、
前記体積膨張剤含有層の前記抑制剤付与領域とは異なる他の領域に、活性エネルギー線硬化型組成物を付与する活性エネルギー線硬化型組成物付与工程と、を含む。
本発明によると、意匠性及び堅牢性に優れる凹凸表面物を得ることができ、生産性に優れる凹凸表面物の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の凹凸表面物の製造方法によって、製造される凹凸表面物の一例を示す模式図である。 図2は、実施例1における凹凸表面物の製造装置の一例を示す模式図である。 図3Aは、本発明の凹凸表面物の製造方法における体積膨張剤含有層形成工程後の製造物の一例を示す模式図である。 図3Bは、本発明の凹凸表面物の製造方法における抑制剤付与工程後の製造物の一例を示す模式図である。 図3Cは、本発明の凹凸表面物の製造方法における体積膨張工程後の製造物の一例を示す模式図である。 図3Dは、本発明の凹凸表面物の製造方法における活性エネルギー線硬化型組成物付与工程後の製造物の一例を示す模式図である。 図4は、実施例1における凹凸表面物の一例を示す断面図である。 図5は、実施例2から4における凹凸表面物の製造装置の一例を示す模式図である。 図6は、実施例2における凹凸表面物の一例を示す断面図である。 図7は、実施例3における凹凸表面物の一例を示す断面図である。 図8は、実施例4における凹凸表面物の一例を示す断面図である。 図9は、実施例5から6における凹凸表面物の製造装置の一例を示す模式図である。 図10は、実施例5における凹凸表面物の一例を示す断面図である。 図11は、実施例6における凹凸表面物の一例を示す断面図である。 図12は、実施例7における凹凸表面物の製造装置の一例を示す模式図である。 図13は、実施例7における凹凸表面物の一例を示す断面図である。 図14は、比較例1における凹凸表面物の一例を示す断面図である。 図15は、比較例2における凹凸表面物の一例を示す断面図である。
(凹凸表面物の製造方法)
本発明の凹凸表面物の製造方法は、基材上に、体積膨張剤を含有する体積膨張剤含有層を形成し、前記基材上の前記体積膨張剤含有層における抑制剤付与領域に、前記体積膨張剤の体積膨張を抑制する抑制剤を付与する抑制剤付与工程と、
前記体積膨張剤含有層における前記体積膨張剤を体積膨張させる体積膨張工程と、
前記体積膨張剤含有層の前記抑制剤付与領域とは異なる他の領域に、活性エネルギー線硬化型組成物を付与する活性エネルギー線硬化型組成物付与工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
従来技術の積層方式では、活性エネルギー線硬化型組成物を含むインクを、少量ずつ多層にわたり積み重ねるため、生産性が低いという問題点がある。
また、従来技術の発泡方式では、体積膨張剤が加熱され体積膨張することで、凹凸表面物の凸部が形成されるが、加熱し過ぎると体積膨張剤が破裂し高い凹凸差を形成することができず、優れた意匠性が得られないという問題がある。また、発泡方式における凹凸形成は、体積膨張剤が体積膨張することによって気泡が生ずるため、堅牢性が低いという問題がある。
そこで、本発明者らが鋭意検討したところ、堅牢性及び意匠性に優れる前記積層方式と生産性に優れる前記発泡方式を組み合わせることで、体積膨張層の低い機械的強度を活性エネルギー線硬化型組成物による層により補い、かつ活性エネルギー線硬化型組成物による層を積層することで高い凹凸差を形成することができることを知見した。また、本発明者らは、体積膨張剤を加熱し体積膨張させるだけで凹凸差を形成することができる体積膨張層を形成することによって、高い生産性が得られることを知見した。
本発明において、凹凸表面物の「凸部」とは、基準面に対して鉛直方向上向きに突出している(出っ張っている)領域、及び基準面に対して鉛直方向下向きに突出している(へこんでいる)領域ではない領域の少なくともいずれかを意味する。なお、基準面とは、凹凸表面物を含む面であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、図1に示すように、基材11を含む面と平行であり且つ抑制剤を付与した体積膨張剤含有層25Aを含む面X、基材11を含む面と平行であり且つ活性エネルギー線硬化型組成物による層26を含む面X、基材11を含む面と平行であり且つ前記面X及び面Xとの間に位置する面Xなどを選択することができる。
また、本発明において、凹凸表面物の「凹部」とは、基準面に対して鉛直方向下向きに突出している(へこんでいる)領域、及び基準面に対して鉛直方向上向きに突出している(出っ張っている)領域ではない領域の少なくともいずれかを意味する。
本発明において凹凸表面物とは、基準面と同一平面上にない領域を含むもの、即ち、前記凸部及び凹部を有するものを意味する。
本発明において、「意匠性」とは、凹凸差による立体感があることを意味する。
<体積膨張剤含有層形成工程>
前記体積膨張剤含有層形成工程は、基材上に、体積膨張剤を含有する体積膨張剤含有層を形成する工程である。
前記体積膨張剤含有層形成工程は、複数回行うことが好ましく、2回以上5回以下行うことがより好ましい。これにより、体積膨張層において、より高い凹凸差を生じさせることができる。前記体積膨張剤含有層形成工程としては、3回以上行うと、細かい凹凸形状を生成することができる。
なお、前記体積膨張剤含有層形成工程としては、後述する活性エネルギー線硬化型組成物付与工程の前に行ってもよく、前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程の後に行ってもよい。これらの中でも、活性エネルギー線硬化型組成物によって凹凸表面物の表面に細かい凹凸差を形成することができる点から、前記体積膨張剤含有層形成工程は、前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程の前に行ことが好ましい。
<<体積膨張剤>>
前記体積膨張剤としては、体積膨張剤の一成分からなる単剤であってもよく、その他の成分を含有する体積膨張剤組成物でもよい。前記その他の成分としては、重合性化合物、重合開始剤、表面張力調整剤などが挙げられる。
-体積膨張剤-
前記体積膨張剤としては、例えば、熱膨張性マイクロカプセル、熱分解性体積膨張剤などが挙げられる。これらの中でも、高体積膨張倍率を有し、均一で小さい独立気泡を形成できる点から、熱膨張性マイクロカプセルが好ましい。なお、体積膨張剤は「発泡剤」と称することもある。
前記熱膨張性マイクロカプセルは、前記体積膨張化合物を熱可塑性樹脂で包み込んだコアシェル構造の粒子であり、加熱により外殻の前記熱可塑性樹脂が軟化を始めると共に、内包された前記体積膨張化合物の蒸気圧が上昇して粒子を変形させるのに十分な圧力となり、外殻の熱可塑性樹脂が引き伸ばされて膨張する。
前記体積膨張化合物としては、例えば、低沸点の脂肪族炭化水素などが挙げられる。
前記低沸点の脂肪族炭化水素としては、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n-ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n-ヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン及びシクロヘキサン、イソオクタン、イソドデカンなどが挙げられる。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、テフロン(登録商標)、アクリル樹脂、などが挙げられる。
前記熱膨張性マイクロカプセルとしては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、積水化学工業株式会社製のアドバンセルEMシリーズ、AkzoNovel社製のExpancellDU、WU、MB、SL、FGシリーズ(日本国内では日本フィライト株式会社が販売)、松本油脂製薬株式会社製のマツモトマイクロスフェアーF、FNシリーズ、株式会社クレハ製のクレハマイクロスフェアーH750、H850、H1100などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記熱分解性体積膨張剤としては、例えば、有機系体積膨張剤、無機系体積膨張剤などが挙げられる。
前記有機系体積膨張剤としては、例えば、アゾジカルボン酸アミド(ADCA)、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)、p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、ナフテン酸亜鉛などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機系体積膨張剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩と有機酸塩の組合せなどが挙げられる。
前記体積膨張剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、体積膨張剤組成物の全量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
前記体積膨張剤の体積膨張させる前の体積平均粒径としては、1μm以上200μm以下が好ましい。
前記体積膨張剤を体積膨張させた後に生ずる気泡の体積平均径としては、200μm以下が好ましく、20μm以上200μm以下がより好ましい。前記気泡の体積平均径が、200μm以下であると、凹凸表面物の表面の粗さを小さくすることができる。
なお、前記気泡の体積平均径とは、前記体積膨張剤が体積膨張後に外殻が残る熱膨張性マイクロカプセルである場合は、前記外殻の厚みを含む外径を意味し、前記体積膨張剤が体積膨張後に外殻が残らない熱分解性体積膨張剤である場合は、前記気泡の内径を意味する。
前記気泡の体積平均径としては、前記体積膨張層において、基材側よりも表面側の方が小さいことが好ましく、例えば、1つの体積膨張層において、基材側から表面側にむかって連続的に前記気泡の体積平均径が小さくなっていてもよく(即ち、傾斜材料になっている場合)、複数の体積膨張層において、基材側から表面側にむかって不連続的に前記気泡の体積平均径が小さくなっていてもよい(即ち、粒径の異なる体積膨張剤を含む体積膨張層の積層構造の場合)。前記気泡の体積平均径が、前記体積膨張層において、基材側よりも表面側の方が小さいことで、凹凸表面物の表面の粗さを小さくすることができる。
前記気泡の体積平均径としては、例えば、以下のように測定することができる。
(1)体積膨張させた体積膨張層を樹脂で包埋した後にミクロトーム等で切断する。
(2)得られた断面を、顕微鏡を用いて観察し、1つの気泡における最大の径が現れるように切断されている気泡を一定個数選定する。
(3)選定した気泡の円相当径を測定し、その平均を「体積膨張剤を体積膨張させた後に生ずる気泡の体積平均径」とする。
なお、1つの気泡における最大の径が現れるように切断されている気泡、観察範囲内(例えば、切断面のうち、基材面に平行な直線上で1mm程度の幅をもち、断面全体を含むような高さをもつ長方形範囲内)において、径の大きい気泡から順に10%の気泡を選出した。
-重合性化合物-
前記重合性化合物としては、エネルギーが付与されることなどにより重合可能な化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単官能モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。
--単官能モノマー--
前記単官能モノマーとしては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を分子構造中に1つ有するモノマーなどが挙げられる。
前記単官能モノマーとしては、例えば、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ホルマール化トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、(メタ)アクリロイルモルフォリン、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジシクロペンタジエンビニルエーテル、トリシクロデカンビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルオキセタンメチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、エトキシ(4)ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が高く、堅牢性が良好な点から、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。
前記単官能モノマーの含有量は、体積膨張剤組成物の全量に対して、80質量%以上99.5質量%以下が好ましく、90質量%以上95質量%以下がより好ましい。
--多官能モノマー--
前記多官能モノマーは、ビニル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を分子構造中に2つ以上有する化合物である。
前記多官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート〔CH=CH-CO-(OC)n-OCOCH=CH(n≒9)、同(n≒14)、同(n≒23)〕、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクレート〔CH=C(CH)-CO-(OC-OCOC(CH)=CH(n≒7)〕、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルペンタ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、ポリウレタントリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリウレタンペンタ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、エトキシ化(4)ビスフェノールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多官能モノマーの[分子量/官能数量]は250以上であることが、体積膨張性と堅牢性を両立できる点から好ましい。
前記体積膨張剤組成物における前記多官能モノマーの含有量は、重合性化合物の全量に対して、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。また、前記多官能モノマーの含有量は、重合性化合物の全量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。前記多官能モノマーの含有量は、重合性化合物の全量に対して、10質量%以下であると、意匠性(体積膨張性)と堅牢性を両立できるという利点がある。
-重合開始剤-
前記重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。これらの中でも、凹凸形状による意匠性及び画像品質の耐久性の点から、光重合開始剤がより好ましい。
前記光重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、これらの中でも、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
前記重合開始剤の含有量は、十分な硬化速度を得るために、体積膨張剤組成物の全量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
前記ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(例えば、チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物などが挙げられる。
また、前記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用することもできる。
前記重合促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルベンジルアミン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン化合物などが挙げられる。
前記重合促進剤の含有量は、特に制限はなく、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定すればよい。
-表面張力調整剤-
前記表面張力調整剤としては、表面張力を調整可能であり、エネルギーに対して非反応性であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記表面張力調整剤としては、市販品を用いることができ、例えば、BYK-UV3510(ビックケミー社製)、BYK-3550(ビックケミー社製)、BYK-3990(ビックケミー社製)、BYK35600(ビックケミー社製)などが挙げられる。
-その他の成分-
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、充填剤、体積膨張促進剤、分散剤、色材、有機溶媒、ブロッキング防止剤、増粘剤、防腐剤、安定剤、脱臭剤、蛍光剤、紫外線遮断剤などが挙げられる。
--充填剤--
前記充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化第一鉄、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛、珪砂、クレー、タルク、シリカ類、二酸化チタン、珪酸マグネシウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましい。
--体積膨張促進剤--
前記体積膨張促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナフテン酸亜鉛、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、2-エチルペンタン酸亜鉛、2-エチル-4-メチルペンタン酸亜鉛、2-メチルヘキサン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、イソオクチル酸亜鉛、n-オクチル酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、イソデカン酸亜鉛、n-デカン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、イソステアリン酸亜鉛、12-ヒドロキシステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、リノール酸亜鉛、リノレイン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、安息香酸亜鉛、o、m又はp-トルイル酸亜鉛、p-t-ブチル安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、フタル酸亜鉛、フタル酸モノアルキル(C4~18)エステルの亜鉛塩、デヒドロ酢酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、アミノクロトン酸亜鉛、2-メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、ジンクピリチオン、尿素又はジフェニル尿素の亜鉛錯体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--増粘剤--
前記増粘剤としては、例えば、ポリシアノアクリレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリメタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。
--防腐剤--
前記防腐剤は、従来から使用されモノマーの重合を開始させないもの、例えば、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、クロロクレゾールなどが挙げられる。
--安定剤--
前記安定剤は、貯蔵中のモノマーの重合を抑制する目的を果たし、アニオン性安定剤、フリーラジカル安定剤などが挙げられる。
前記アニオン性安定剤としては、例えば、メタリン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アルキルスルホン酸、五酸化リン、塩化鉄(III)、酸化アンチモン、2,4,6-トリニトロフェノール、チオール、アルキルスルホニル、アルキルスルホン酸、アルキルスルホキシド、亜硫酸アルキル、スルトン、二酸化硫黄、三酸化硫黄などが挙げられる。
前記フリーラジカル安定剤としては、例えば、ヒドロキノン、カテコール、又はこれらの誘導体などが挙げられる。
-体積膨張剤組成物の調製-
本発明に用いられる体積膨張剤組成物の調製方法としては、特に制限はなく、上述した各種成分を用いて調製することができ、その調製手段や条件については目的に応じて適宜選択することができる。
前記体積膨張剤を含有する体積膨張剤含有層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記体積膨張剤組成物を、ナイフコート法、ノズルコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、リバースロールコート法、ロールコート法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、キャスト法、ディップ法、カーテンコート法等の塗工方法、インクジェット方式などにより付与する方法が挙げられる。
前記体積膨張剤含有層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、250μm以上が更に好ましく、300μm以上500μm以下が特に好ましい。
前記体積膨張剤含有層の平均厚みが25μm以上であると、凹凸差のある体積膨張層を形成することができ、優れた凹凸形状による意匠性を付与することができる。
なお、前記平均厚みは、異なる10点における前記体積膨張剤含有層の厚みの平均値であっても、前記体積膨張剤組成物の付与量から算出する値であってもよい。
<<基材>>
前記基材の形状及び構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィルム、シート、板などが挙げられる。なお、前記フィルムとは、平均厚みが200μm未満で軟質製のものを意味し、前記シートとは、平均厚みが200μm以上で軟質製のもの、又は平均厚みが500μm未満で硬質製のものを意味する。
前記基材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラスチック、天然紙、合成繊維からなる合成紙、不織布、布、レザー、木材、金属、ガラス、建築用材料、セラミックス及びそれらの複合材料などが挙げられる。これらの中でも、耐久性を有する基材が好ましく、建築用材料がより好ましい。
前記プラスチックとしては、例えば、ポリエステル;ポリプロピレン;ポリエチレン;ナイロン、ビニロン、アクリル等のプラスチック、又は前記フィルムの貼り合わせたものなどが挙げられる。
前記プラスチックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、強度の点から、一軸又は二軸延伸されていることが好ましい。
前記天然紙としては、例えば、和紙、パルプ紙、木綿紙、藁紙、板紙などが挙げられる。
前記合成紙としては、例えば、合成パルプ紙、合成フィルム紙、合成プラスチック板紙などが挙げられる。
前記不織布としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン繊維をシート状に散布し、熱圧着させてシート状に形成したものなどが挙げられる。
前記布としては、例えば、天然繊維、再生繊維、合成繊維及びそれらの繊維を組み合わせた繊維を用いた織物などが挙げられる。
前記木材としては、例えば、MDF、HDF、パーティクルボード、ベニヤなどの合材、表面にシートを貼り合わせた化粧板などが挙げられる。前記木材の平均厚みとしては、2mm以上30mm以下が好ましい。
前記金属としては、特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、合金、アルミニウム、アルミニウム複合材料などが挙げられる。前記合金としては、例えば、ガルバリウム鋼板(登録商標)などが挙げられる。前記アルミニウム複合材料としては、例えば、熱可塑性の樹脂等をアルミニウムシートで挟んだ複合材料などが挙げられる。
前記ガラスとしては、例えば、フロートガラス、色ガラス、強化ガラス、網入りガラス、すりガラス、フロストガラス、ミラーガラスなどが挙げられる。前記ガラスとしては、ガラス板の形態が好ましい。前記ガラス板の平均厚みとしては、0.3mm以上20mm以下が好ましい。
前記セラミックスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、不燃建材の代表的な素材として石膏ボードやケイカル板などが挙げられる。
前記建築用材料としては、例えば、床材、壁紙、内装材、壁板材、巾木材、天井材、柱などで使用される熱硬化型樹脂、繊維版、パーティクルボード、及びこれらの材料の表面に、熱硬化型樹脂、オレフィン、ポリエステル、PVCの化粧板を設けた材料などが挙げられる。
前記基材の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記基材としては、表面が表面処理されていることが好ましい。これにより、体積膨張剤が体積膨張することによって基材から剥離しやすい体積膨張層が、前記基材から剥離するのを防ぐことができる。
前記基材の表面処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、表面処理液を基材上に付与し、前記表面処理液を硬化させることで前記基材を表面処理することができる。
前記表面処理液としては、重合性化合物を含み、色材を含むことが好ましい。
前記重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記体積膨張剤含有組成物に含まれる重合性化合物と同様のものを用いることができる。
色材としては、表面処理液中に溶解又は安定に分散し熱安定性に優れた染料又は顔料が適している。これらの中でも、溶解性染料(Solvent Dye)が好ましい。なお、色の調整等を行うために2種類以上の色材を適宜混合してもよい。
-その他の成分-
前記その他の成分としては、例えば、有機溶媒、水などが挙げられる。
<抑制剤付与工程>
前記抑制剤付与工程は、前記基材上の前記体積膨張剤含有層における抑制剤付与領域に、前記体積膨張剤の体積膨張を抑制する抑制剤を付与する工程である。
前記抑制剤付与工程においては、後述する体積膨張工程において前記体積膨張剤含有層の前記体積膨張剤の体積膨張を抑制したい抑制剤付与領域(以下、一の領域と称することがある)に前記抑制剤含有組成物を付与する。
前記抑制剤付与工程としては、複数回行うことが好ましく、2回以上5回以下行うことがより好ましい。また、前記抑制剤付与工程としては、前記体積膨張剤含有層形成工程よりも多く行うことがより好ましい。これにより、前記体積膨張剤含有層における一の領域に、より多くの量の抑制剤を付与できるため、体積膨張層において、より高い凹凸差を生じさせることができる。
前記抑制剤付与工程を複数回行う場合は、前記抑制剤の付与を同じ領域に対して行うこともできるし、異なる領域に対して行うこともできる。
前記異なる領域とは、前記一の領域と重複していない領域を含む場合(即ち、前記一の領域と全体が重複していなくても一部が重複している場合)を意味する。
<<抑制剤>>
前記抑制剤としては、多官能モノマーを含む。
前記抑制剤としては、抑制剤の一成分からなる単剤であってもよく、その他の成分を含有する抑制剤含有組成物でもよい。前記その他の成分としては、表面張力調整剤などが挙げられる。
-多官能モノマー-
前記多官能モノマーとしては、前記体積膨張剤組成物における多官能モノマーと同様のものを用いることができ、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ-ト、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、異なる多官能モノマーの混合物、多官能モノマーと単官能モノマーを混合物や、多官能を有するオリゴマーと単官能モノマーの混合物、単官能モノマー、多官能モノマー、多官能を有するオリゴマーとの混合物を用いることができる。
前記抑制剤含有組成物が前記多官能モノマーを含有することにより、前記多官能モノマーがエネルギー付与により3次元架橋するため、後述する硬化工程により、前記抑制剤含有組成物を付与していない前記体積膨張剤含有層に比べて前記抑制剤含有組成物を付与した前記体積膨張剤含有層を強固に硬化し、前記抑制剤含有組成物を付与した体積膨張剤含有層の体積膨張を抑制することができる。そのため、前記体積膨張剤含有層の任意の場所に前記抑制剤含有組成物を付与し、前記体積膨張剤含有層を体積膨張させる領域及び体積膨張させない領域を形成することにより、体積膨張させる領域を凸部、体積膨張させない領域を凹部として形成し、優れた凹凸形状による意匠性を付与することができる。
-表面張力調整剤-
前記表面張力調整剤としては、表面張力を調整可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、BYK-3550(ビックケミー社製)、BYK-3990(ビックケミー社製)、BYK35600(ビックケミー社製)などが挙げられる。
前記抑制剤を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクジェット方式が、様々な体積膨張パターン(体積膨張抑制パターン)に対してフレキシブルに対応できる点から好ましい。
前記インクジェット方式を用いる前記抑制剤含有組成物を付与する手段としては、例えば、吐出ヘッドの駆動方式としては、PZT等を用いた圧電素子アクチュエータ、熱エネルギーを作用させる方式、静電気力を利用したアクチュエータなどを利用したオンデマンド型のヘッドを用いることもできるし、連続噴射型の荷電制御タイプのヘッドなどを用いることもできる。
前記抑制剤含有組成物の付与量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記体積膨張剤含有層の表面積に対して、0.014μL/cm以上2.8μL/cm以下が好ましい。
<体積膨張工程>
前記体積膨張工程としては、前記体積膨張剤含有層における前記体積膨張剤を体積膨張させる工程である。前記体積膨張工程によって、前記体積膨張剤含有層における前記抑制剤が付与された前記一の領域以外の他の領域において体積膨張層を形成することができる。
前記他の領域とは、前記一の領域以外の領域、即ち、前記抑制剤付与工程において、前記抑制剤を付与していない領域を意味する。
なお、前記体積膨張工程としては、後述する活性エネルギー線硬化型組成物付与工程の前に行ってもよく、前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程の後に行ってもよい。これらの中でも、活性エネルギー線硬化型組成物によって凹凸表面物の表面に細かい凹凸差を形成することができる点から、前記体積膨張工程は、前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程の前に行ことが好ましい。
前記体積膨張とは、体積膨張剤として前記熱膨張性マイクロカプセルを用いる場合は、前記熱膨張性マイクロカプセル内の前記体積膨張化合物がガス化することによって生じる蒸気圧で、外殻の前記熱可塑性樹脂自体が引き伸ばされ、前記熱膨張性マイクロカプセル自体の体積が増加することを意味する。また、体積膨張剤として前記熱分解性体積膨張剤を用いる場合は、前記熱分解性体積膨張剤が存在する領域において、前記熱分解性体積膨張剤の一部又は全部がガス化した後の体積が、ガス化する前の体積よりも増加することを意味する。
前記体積膨張工程としては、体積膨張手段によって実施される。
体積膨張層形成手段としては、加熱により前記体積膨張剤含有層の前記体積膨張剤を体積膨張させることができる手段であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、赤外線ヒーター、温風ヒーター、加熱ローラーなどが挙げられる。
前記加熱の温度としては、体積膨張剤が体積膨張を生じるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃以上200℃以下が好ましい。なお、加熱温度としては、ここでの温度は、加熱装置の設定温度でもよく、前記基材の測定温度でもよい。
前記体積膨張工程の後の凹凸表面物としては、前記抑制剤が付与された前記体積膨張剤含有層の表面から、前記体積膨張剤が体積膨張された表面であって前記抑制剤が付与されていない表面までの平均高さが、30μm以上であることが好ましい。
前記平均高さとしては、例えば、以下のように測定することができる。
前記体積膨張層の異なる30箇所において、基材に対して垂直である断面の高さプロファイルをレーザー顕微鏡により取得し、各高さプロファイルにおいて、前記抑制剤が付与された体積膨張剤含有層の表面の最も低い点と前記体積膨張剤が体積膨張された表面であって抑制剤が付与されていない表面のもっとも高いところの高低差を測定し、その平均を測定することで得られる。
<活性エネルギー線硬化型組成物付与工程>
前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程は、基材上に、前記一の領域とは異なる他の領域に、活性エネルギー線硬化型組成物を付与する工程である。前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程によって、基材上に、活性エネルギー線硬化型組成物による層が形成される。
なお、前記「基材」とは、前記体積膨張剤含有層形成工程における「基材」と同じ基材を意味する。
前記活性エネルギー線硬化型組成物としては、前記体積膨張剤含有層の前記抑制剤付与領域(以下、一の領域と称することがある)とは異なる他の領域に、活性エネルギー線硬化型組成物を付与される。
前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程としては、前記活性エネルギー線硬化型組成物の付与を前記体積膨張剤含有層の全表面に対して行うことが好ましい。これにより、より堅牢性に優れた凹凸表面物を得ることができる。
前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程としては、前記体積膨張工程の後に行ってもよく、前記抑制剤付与工程の後かつ前記体積膨張工程の前に行ってもよく、前記抑制剤付与工程の前に行ってもよい。これらの中でも、活性エネルギー線硬化型組成物によって凹凸表面物の表面に細かい凹凸差を形成することができる点から、前記体積膨張工程の後に行うことが好ましい。
前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程としては、複数回行うことが好ましく、2回以上5回以下行うことがより好ましい。これにより、より高い凹凸差を生じさせることができる。
前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程を複数回行う場合は、前記活性エネルギー線硬化型組成物の付与を同じ領域に対して行うこともできるし、異なる領域に対して行うこともできる。前記活性エネルギー線硬化型組成物を異なる領域に対して付与することで、凹凸表面物の表面に細かい凹凸差を形成することができる。
前記同じ領域とは、例えば、前記凹凸表面物を平面視したときに、1回目の抑制剤付与工程によって付与した領域と完全に一致していることを意味する。
前記異なる領域とは、例えば、前記凹凸表面物を平面視したときに、1回目の抑制剤付与工程によって付与した領域と完全には一致していないことを意味する。
前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程の後の凹凸表面物としては、前記活性エネルギー線硬化型組成物による層の平均厚みが、5μm以上であることが好ましい。
<<活性エネルギー線硬化型組成物>>
前記活性エネルギー線硬化型組成物は、ラジカル重合性化合物を含有し、色材を含有することが好ましく、更に必要に応じて重合開始剤、界面活性剤、重合禁止剤、分散剤、及びその他成分等を含有してもよい。活性エネルギー線硬化型組成物は、活性エネルギー線を照射されることで硬化して硬化物を形成する組成物である。
「硬化(固化)する」とは、組成物中の重合性化合物の重合反応によりポリマーが形成されることを表すが、組成物が完全に固化する場合に限られず、一部重合することによって増粘する場合や、固化と増粘がともに生じる場合なども含まれる。
「硬化物(固化物)」とは、ポリマーを表すが、固体に限られず、増粘物や、固体と増粘物の混在物なども含まれる。
-ラジカル重合性化合物-
ラジカル重合性化合物とは、ラジカル重合によりポリマーを形成することができる化合物を表し、典型的には1つ以上のラジカル重合性官能基を有するモノマー単位としての化合物である。
ラジカル重合性化合物としては、例えば、ラジカル重合性モノマー、ラジカル重合性オリゴマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、ラジカル重合性単官能モノマー、ラジカル重合性多官能モノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合性単官能モノマー、ラジカル重合性多官能モノマー、及びラジカル重合性オリゴマーはいずれも、活性エネルギー線によってラジカル重合して得られる硬化物のモノマー単位である。
ラジカル重合性単官能モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記ラジカル重合性単官能モノマーとしては、重量平均分子量150以下のラジカル重合性単官能モノマーが好ましい。
ラジカル重合性多官能モノマーとしては、例えば、2官能モノマー、3官能以上のモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
2官能のラジカル重合性多官能モノマーとしては、例えば、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化オペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
3官能以上のラジカル重合性多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレートエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、2官能以上6官能以下の多官能オリゴマーが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ラジカル重合性オリゴマーとしては、ラジカル重合性ウレタンオリゴマーが好ましい。ラジカル重合性オリゴマーがラジカル重合性ウレタンオリゴマーであると、ウレタン基と硬化物中の重合物(ポリマー)における側鎖間で相互作用が生じ、硬化物の靭性を向上させることができる。
また、ラジカル重合性ウレタンオリゴマーとしては、ウレタンアクリレートオリゴマーであることが好ましい。
ラジカル重合性化合物の含有量は、組成物全量に対して、50.0質量%以上であることが好ましく、60.0質量%以上であることがより好ましく、70.0質量%以上であることが更に好ましく、80.0質量%以上であることが特に好ましい。また、99.0質量%以下であることが好ましく、95.0質量%以下であることがより好ましい。
ラジカル重合性モノマーの含有量は、組成物中のラジカル重合化合物含有量に対して、40.0質量%以上であることが好ましく、50.0質量%以上であることがより好ましい。また、80.0質量%以下であることが好ましく、70.0質量%以下であることがより好ましい。
ラジカル重合性単官能モノマーの含有量は、組成物中のラジカル重合化合物含有量に対して、30.0質量%以上であることが好ましく、40.0質量%以上であることがより好ましい。また、99.0質量%以下であることが好ましく、95.0質量%以下であることがより好ましい。
ラジカル重合性多官能モノマーの含有量は、組成物中のラジカル重合化合物含有量に対して、10.0質量%以上であることが好ましい。また、40.0質量%以下であることが好ましく、30.0質量%以下であることがより好ましい。
ラジカル重合性オリゴマーの含有量は、組成物中のラジカル重合化合物含有量に対して、1.0質量%以上であることが好ましく、10.0質量%以上であることがより好ましい。また、40.0質量%以下であることが好ましく、30.0質量%以下であることがより好ましい。
-重合開始剤-
前記重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤などが挙げられる。
前記ラジカル重合開始剤としては、光(特に波長220nm~400nmの紫外線)の照射によりラジカルを生成する任意の物質を用いることができる。1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物中のラジカル重合性化合物の質量に対して0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。
前記ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2、2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-クロロベンゾフェノン、p,p-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、メチルベンゾイルフォーメート、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシドなどが挙げられる。
前記カチオン重合開始剤としては、光(特に波長220nm~400nmの紫外線)の照射によりカチオンを生成する任意の物質を用いることができる。1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物中の非ラジカル重合性化合物(A)の質量に対して0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。
前記カチオン重合開始剤としては、例えば、ビス[4-ジフェニルスルホニウムフェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(チーテック(Chitec)からチバキュア(Chivacure)1176として入手可能である)、トリス(4-(4-アセチルフェニル)チオフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(BASF製のイルガキュア(登録商標)PAG290)、トリス(4-(4-アセチルフェニル)チオフェニル)スルホニウムトリス[(トリフルオロメチル)スルホニル]メチド(BASF製のイルガキュア(登録商標)GSID26-1)、及びトリス(4-(4-アセチルフェニル)チオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート(BASF製のイルガキュア(登録商標)270)、[4-(1-メチルエチル)フェニル](4-メチルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(ロディア(Rhodia)からロードルシル(Rhodorsil)2074として入手可能である)、4-[4-(2-クロロベンゾイル)フェニルチオ]フェニルビス(4-フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(アデカ(Adeka)からSP-172として)、アデカ製のSP-300、及び(PF6-m(C2n+1)(式中、mは1~5の整数であり、かつnは1~4の整数である)のアニオンを有する芳香族スルホニウム塩(サンアプロ株式会社から1価スルホニウム塩のCPI-200KまたはCPI-200Sとして入手可能なもの、サンアプロ株式会社から入手可能なTK-1、またはサンアプロ株式会社から入手可能なHS-1)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
-界面活性剤-
界面活性剤としては、例えば、分子量200以上5,000以下の化合物であることが好ましく、具体的には、PEG型非イオン界面活性剤[ノニルフェノールのエチレンオキサイド(以下EOと略記)1~40モル付加物、ステアリン酸EO1~40モル付加物等]、多価アルコール型非イオン界面活性剤(ソルビタンパルミチン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸トリエステル等)、フッ素含有界面活性剤(パーフルオロアルキルEO1~50モル付加物、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベタイン等)、変性シリコーンオイル[ポリエーテル変性シリコーンオイル、(メタ)アクリレート変性シリコーンオイル等]などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
-重合禁止剤-
重合禁止剤としては、例えば、フェノール化合物[ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2,2-メチレン-ビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン等]、硫黄化合物[ジラウリルチオジプロピオネート等]、リン化合物[トリフェニルフォスファイト等]、アミン化合物[フェノチアジン等]などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
-色材-
色材としては、活性エネルギー線硬化型組成物中に溶解又は安定に分散し熱安定性に優れた染料又は顔料が適している。これらの中でも、溶解性染料(Solvent Dye)が好ましい。なお、色の調整等を行うために2種類以上の色材を適宜混合してもよい。前記活性エネルギー線硬化型組成物が、前記色材を含むことで、凹凸表面物に画像を形成することができる。
-その他の成分-
前記その他の成分としては、例えば、有機溶媒、水などが挙げられる。
[活性エネルギー線硬化型組成物の調製方法]
前記活性エネルギー線硬化型組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、ラジカル重合性化合物、色材、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて分散液を調製し、当該分散液にさらに、重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させ、次に固体成分を混合させることにより調製することができる。
前記活性エネルギー線硬化型組成物を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクジェット方式が、様々なパターンに対してフレキシブルに対応できる点から好ましい。
前記インクジェット方式を用いる前記活性エネルギー線硬化型組成物を付与する手段としては、例えば、前記抑制剤を付与する手段と同様の手段が挙げられる。
前記活性エネルギー線硬化型組成物の付与量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記付与対象の表面積に対して、0.1μL/cm以上1,000μL/cm以下が好ましい。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硬化工程、画像形成工程、エンボス加工工程、制御工程などが挙げられる。
<<硬化工程>>
前記硬化工程は、前記体積膨張剤含有層、前記抑制剤、及び活性エネルギー線硬化型組成物による層の少なくともいずれかを硬化する工程である。
なお、前記硬化工程としては、それぞれの層を形成するごとに硬化を行ってもよく、それぞれの層を形成するごとに半硬化させ全ての工程が終了した後に各層を完全に反応させる硬化を行ってもよいし、抑制剤付与工程、及び活性エネルギー線硬化型組成物付与工程の後に一度行ってもよい。
前記硬化工程としては、前記体積膨張剤含有層、前記抑制剤、及び活性エネルギー線硬化型組成物による層の少なくともいずれかを硬化することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性エネルギー線を付与する方法などが挙げられる。
前記活性エネルギーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、紫外線、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものなどが挙げられる。特に、高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザダイオード(UV-LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
硬化条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記紫外線の場合には、照射距離2mmにおいて6W/cm以上の強度で照射できる照射装置を用いることが好ましい。
前記電子線の場合には、硬化させたい対象を電子線照射装置から最も遠い箇所に置いたときに15kGy以上の線量となる加速電圧であることが好ましい。
<<画像形成工程>>
前記画像形成工程は、前記体積膨張層上に、インクを付与して画像を形成する工程である。
-インク-
前記インクは、色材を含有し、凹凸形状による意匠性及び画像品質の耐久性の点から、重合性化合物及び重合開始剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
--色材--
前記色材としては、本発明における色材組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。
前記色材の含有量は、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜選択することができ、色材組成物の全量に対して、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
前記顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンなどが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(例えば、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。
また、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤を更に含んでもよい。
前記分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
前記染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
--重合性化合物--
前記重合性化合物としては、例えば、前記体積膨張剤組成物における重合性化合物と同じものを用いることができるし、前記体積膨張剤組成物における重合性化合物と異なるものを用いることもできる。
--重合開始剤--
前記重合開始剤としては、前記体積膨張剤含有層における体積膨張剤組成物の重合開始剤と同様のものを用いることができる。
--その他の成分--
その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機溶媒、界面活性剤、重合禁止剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、増粘剤などが挙げられる。
本発明に用いられるインクは、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
-インクの調製-
本発明に用いられるインクは、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、色材としての顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液に、更に重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
<粘度>
本発明に用いられるインクの粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、当該組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を適用する場合には、20℃から65℃の範囲における粘度、望ましくは25℃における粘度が3mPa・s以上40mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上15mPa・s以下がより好ましく、6mPa・s以上12mPa・s以下が特に好ましい。また当該粘度範囲を、上記有機溶媒を含まずに満たしていることが特に好ましい。なお、上記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE-22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃~65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM-150IIIを用いることができる。
前記体積膨張層上に、前記インクを付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクジェット方式が、生産性や少ロット多品種へのフレキシブル対応が可能な点から好ましい。
前記インクジェット方式としては、例えば、吐出ヘッドの駆動方式としては、PZT等を用いた圧電素子アクチュエータ、熱エネルギーを作用させる方式、静電気力を利用したアクチュエータなどを利用したオンデマンド型のヘッドを用いることもできるし、連続噴射型の荷電制御タイプのヘッドなどを用いることもできる。
<<エンボス加工工程>>
前記エンボス加工工程は、前記体積膨張層及び前記画像に凹凸模様を形成する工程であり、エンボス加工手段により実施される。
前記凹凸模様としては、通常、壁紙、化粧板等に凹凸を付与する目的で使用されるエンボス加工、ケミカルエンボス加工、ロータリースクリーン加工、又は盛り上げ印刷等の方法を選択使用することができる。
前記エンボス加工工程としては、例えば、エンボス版を用いる加工、ケミカルエンボス加工、ロータリースクリーン、又は盛り上げ印刷により凹凸を付与する方法などが挙げられる。
前記エンボス加工手段としては、加熱後冷却ローラーでエンボス加工する手段、及び熱ローラエンボスを用いて一度にエンボス加工する手段のいずれであっても構わない。
前記エンボス加工によるエンボスの深さとしては、0.08mm以上0.50mm以下が好ましい。前記エンボスの深さが、0.08mm以上であると、立体感を出すことができ、0.50mm以下であると、表面の摩耗強さを向上できる。
エンボス加工により形成される凹凸模様の形状としては、例えば、木目版導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝などが挙げられる。
ここで、本発明の凹凸表面物の製造方法に用いられる本発明の凹凸表面物の製造装置について、図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明の凹凸表面物の製造装置の一例を示す概略図である。この図2の凹凸表面物の製造装置100は、基材111上に体積膨張剤組成物を付与するフローコーター121と、その下流に抑制剤をインクジェット法で付与するための抑制剤用ヘッド122、体積膨張剤含有層を硬化させるための活性エネルギー線照射装置123、加熱装置124、活性エネルギー線硬化型組成物をインクジェット法で付与するための活性エネルギー線硬化型組成物用ヘッド125、活性エネルギー線硬化型組成物による層を硬化させるための活性エネルギー線照射装置123、
画像形成用インクをインクジェット法で付与するための画像形成インク用ヘッド126、画像形成用インクを硬化させるための活性エネルギー線照射装置123を有する。なお、図2中、130は搬送ベルト、131は送り出しローラーであり、132は巻取りローラーである。基材111は、図2中矢印方向に搬送される。
まず、基材111表面に、体積膨張剤組成物をフローコーター121により塗布して、体積膨張剤含有層を形成する。
次に、体積膨張剤含有層が形成された基材111を所定の速度で搬送させ、抑制剤用ヘッド122から抑制剤を体積膨張剤含有層の体積膨張させない領域に吐出する。
次に、体積膨張剤含有層及び抑制剤に対して活性エネルギー線照射装置123を用い、所定の照射条件で活性エネルギー線を照射し、硬化する。
次に、得られた硬化物に対して、加熱装置124により加熱すると、体積膨張剤含有層における抑制剤を付与しなかった領域においては体積膨張が生じ体積膨張層を得ることができる。なお、抑制剤を付与した領域においては体積膨張が生じない。このようにして凹凸表面を有する凹凸表面物を得ることができる。
次に、加熱装置124による加熱によって生じた体積膨張層上に、活性エネルギー線硬化型組成物用ヘッド125から活性エネルギー線硬化型組成物を吐出し、活性エネルギー線硬化型組成物による層を形成する。
次に、活性エネルギー線硬化型組成物に対して活性エネルギー線照射装置123を用い、所定の照射条件で活性エネルギー線を照射し、硬化する。
最後に、画像形成インク用ヘッド126から、画像形成用インクを吐出し、画像を形成する。
本発明の凹凸表面物の製造方法により製造される凹凸表面物は、優れた凹凸形状による意匠性及び画像品質を有すると共に、長期間に亘って優れた凹凸形状による意匠性及び画像品質を保持することができるので、例えば、床材、壁紙、内装材、壁材、巾木材、天井材、柱等の建築用材料などの用途に好適である。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
図2に示すような凹凸表面物の製造装置を用いて、下記形成条件及び硬化条件で凹凸表面物の製造を行った。図4は、実施例1によって得られた凹凸表面物の一例を示す概略図である。
<表面処理工程>
まず、基材としての厚さ0.6mmの鋼板の表面に、下記表面処理液をワイヤレスバーOSP-30(オーエスジーシステムプロダクツ社製)を用いて塗布した後に、活性エネルギー線照射装置(リニア照射型UV-LED光源GJ-75、浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、照射強度4W/cm、基材-活性エネルギー線照射装置間の距離10mm、及び照射時間1秒の条件で、活性エネルギー線を照射し、表面処理された基材を得た。
-表面処理液-
・エポキシアクリレートオリゴマー(CN131、アルケマ株式会社製):50質量部
・2-アクリロイルオキシプロピルフタル酸(ACB-21、新中村工業株式会社製):25質量部
・イソボルニルアクリレート(SR506、アルケマ株式会社製):25質量部
・2,4,6-trimethylbenzoyl-diphenyl phosphine oxide(Omnirad TPO、Irgacure製):5質量部
<体積膨張剤含有層形成工程>
次に、前記表面処理された基材の表面に、下記の体積膨張剤組成物をフローコーター121(チェフラ社製)により平均厚みが100μmとなるように塗布し、図3Aに示すように体積膨張剤含有層を形成した。
-体積膨張剤組成物-
・2-アクリロイルオキシプロピルフタル酸(ACB-21、新中村工業株式会社製):50質量部
・イソボルニルアクリレート(SR506、アルケマ株式会社製):50質量部
・マイクロスフィア(H750、株式会社クレハ製):15質量部
・2,4,6-trimethylbenzoyl-diphenyl phosphine oxide(Omnirad TPO、Irgacure製):5質量部
・1,6-ヘキサンジオールアクリレート(SR238、アルケマ株式会社製):0.1質量部
<抑制剤付与工程>
次に、前記体積膨張剤含有層が形成された基材を15m/minの速度で走査させ、抑制剤用ヘッド122(GEN5ヘッド(MH5420、150npi×4列、リコーインダストリー株式会社製))を用いて、ベタ(28pl/nozzle)、吐出速度7m/sec、周波数2.4KHzの条件で、下記の抑制剤含有組成物を、図3Bに示すように基材111上の体積膨張剤含有層に対して付与した。なお、前記抑制剤付与工程では、図3Bに示すように、前記抑制剤含有組成物が付与された領域24A(以下、一の領域と称することがある)と、前記抑制剤含有組成物が付与されていない領域24B(以下、他の領域と称することがある)とが形成されるように、前記抑制剤含有組成物を付与した。
-抑制剤含有組成物-
・1,6-ヘキサンジオールアクリレート(SR238、アルケマ株式会社製):100質量部
・2,4,6-trimethylbenzoyl-diphenyl phosphine oxide(Omnirad TPO、Irgacure製):5質量部
<硬化工程>
次に、前記体積膨張剤含有層に対して、活性エネルギー線照射装置123(リニア照射型UV-LED光源GJ-75、浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、照射強度4W/cm、基材-活性エネルギー線照射装置間の距離10mm、及び照射時間1秒の条件で、活性エネルギー線を照射し、前記体積膨張剤含有層を硬化させた。
<体積膨張工程>
次に、硬化された前記体積膨張剤含有層が形成された基材を100mm/secの速度で走査させ、硬化された前記体積膨張剤含有層を、加熱装置124(日立産機システム株式会社製のルテックスブロアGシリーズ、株式会社関西電熱製の高温熱風発生用電気式ヒーターXS-2、株式会社関西電熱製ハイブローノズル50ALを組み合わせて作製した加熱装置)を用いて、ノズル先端からの風速30m/sec、ノズル先端の温度200℃の条件で加熱を行い、図3Cに示すように前記体積膨張剤含有層における前記他の領域24Bに含まれる体積膨張剤22を体積膨張させて、体積膨張層を形成した。
<活性エネルギー線硬化型組成物付与工程>
次に、活性エネルギー線硬化型組成物用ヘッド125(GEN5ヘッド(MH5420、150npi×4列、リコーインダストリー株式会社製)×3個)を用いて、ベタ(28pl/nozzle)、吐出速度7m/sec、周波数2.4KHzの条件で、下記の活性エネルギー線硬化型組成物を、前記体積膨張層上に平均厚みが30μmとなるように付与し、活性エネルギー線硬化型組成物による層を形成した。なお、前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程では、図3Dに示すように、前記他の領域24Bの半分の領域上に、活性エネルギー線硬化型組成物による層を形成した。
-活性エネルギー線硬化型組成物-
・フェノキシエチルアクリレート(東京化成工業株式会社製):25質量部
・アクリロイルモルフォリン(東京化成工業株式会社製):26質量部
・トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(ダイセル・オルネクス株式会社製):35質量部
・Omnirad TPO(IGM Resins社製):5質量部
・Solsperse32000(Lubrizol社製):2質量部
・CINQUASIA MAGENTA RT-355-D(BASFジャパン社製):7質量部
<硬化工程>
次に、前記活性エネルギー線硬化型組成物による層に対して、活性エネルギー線照射装置123(リニア照射型UV-LED光源GJ-75、浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、照射強度4W/cm、基材-活性エネルギー線照射装置間の距離10mm、及び照射時間1秒の条件で、活性エネルギー線を照射し、前記活性エネルギー線硬化型組成物による層を硬化させた。
(実施例2)
実施例1において、図5に示すような凹凸表面物の製造装置を用いて、前記体積膨張剤含有層形成工程、前記抑制剤付与工程、及び前記硬化工程を2回行った以外は、実施例1と同様にして、図6に示すような凹凸表面物の製造を行った。なお、1回目の体積膨張剤含有層形成工程及び抑制剤付与工程を、それぞれ第1の体積膨張剤含有層形成工程及び第1の抑制剤付与工程と称し、2回目の体積膨張剤含有層形成工程及び抑制剤付与工程を、それぞれ第2の体積膨張剤含有層形成工程及び第2の抑制剤付与工程と称する。
前記第2の抑制剤付与工程は、前記第1の抑制剤付与工程と同じ領域に、抑制剤含有組成物を付与した。
(実施例3)
実施例2において、前記第2の抑制剤付与工程が、前記第1の抑制剤付与工程と異なる領域に抑制剤含有組成物を付与した以外は、実施例2と同様にして、図7に示すような凹凸表面物の製造を行った。
(実施例4)
実施例3において、前記第2の体積膨張剤含有層形成工程において、体積膨張剤を、マイクロスフィア(H750、株式会社クレハ製、体積膨張させた後に生ずる気泡の体積平均径が75nm)からマイクロスフィア(H450、株式会社クレハ製、体積膨張させた後に生ずる気泡の体積平均径が55nm)に変更した以外は、実施例3と同様にして、図8に示すような凹凸表面物の製造を行った。
(実施例5)
実施例1において、図9に示すような凹凸表面物の製造装置を用いて、前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程、及び前記硬化工程を2回行った以外は、実施例1と同様にして、図10に示すような凹凸表面物の製造を行った。なお、1回目の活性エネルギー線硬化型組成物付与工程を、第1の活性エネルギー線硬化型組成物付与工程と称し、2回目の活性エネルギー線硬化型組成物付与工程を、第2の活性エネルギー線硬化型組成物付与工程と称する。
前記第2の活性エネルギー線硬化型組成物付与工程は、前記第1の抑制剤付与工程と同じ領域に、活性エネルギー線硬化型組成物を付与した。
(実施例6)
実施例5において、前記第2の活性エネルギー線硬化型組成物付与工程が、前記第1の活性エネルギー線硬化型組成物付与工程と異なる領域に活性エネルギー線硬化型組成物付与工程を付与した以外は、実施例5と同様にして、図11に示すような凹凸表面物の製造を行った。
(実施例7)
実施例1において、図12に示すような凹凸表面物の製造装置を用いて、前記体積膨張剤含有層形成工程の前に、活性エネルギー線硬化型組成物付与工程を行った以外は、実施例1と同様にして、図13に示すような凹凸表面物の製造を行った。
(比較例1)
実施例1において、前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、図14に示すような凹凸表面物の製造を行った。
(比較例2)
実施例1において、前記体積膨張剤含有層形成工程を行わずに、前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程を10回繰り返した以外は、実施例1と同様にして、図15に示すような凹凸表面物の製造を行った。
次に、各実施例及び比較例において製造した凹凸表面物について、意匠性、生産性、堅牢性、表面の粗さを評価した。結果を表1に示す。
<意匠性>
各実施例及び比較例において製造した凹凸表面物において、図3Dに示すように、前記体積膨張剤含有層の表面から、前記体積膨張剤が体積膨張された表面であって、前記抑制剤が付与されていない表面までの平均高さX(μm)、及び前記活性エネルギー線硬化型組成物による層の厚み(μm)から、下記式(1)に基づき、凹凸表面物の凹凸差(μm)を評価した。
凹凸表面物の凹凸差(μm)=X+Y・・・式(1)
なお、前記X及びYは、以下のように求めた。
前記Xは、まずレーザー顕微鏡(VK-X110、株式会社キーエンス製)、ソフトウェア(VK-H1XA)、対物レンズ(倍率10倍)を用いて、前記体積膨張剤含有層の表面における異なる30点の厚み(μm)を測定し、その平均厚みXを求めた。また、前記体積膨張層が体積膨張された表面であって、前記抑制剤が付与されてない表面における異なる30点の厚み(μm)を測定し、その平均厚みXを求めた。前記Xと前記Xとからその差(前記X)を求めた。
前記Yとしては、前記Xと同様の前記レーザー顕微鏡、前記ソフトウェア、前記対物レンズを用いて、前記活性エネルギー線硬化型組成物による層の表面における異なる点の厚みを測定し、その平均厚みYを求めた。前記Xと前記Yとからその差(前記Y)を求めた。
<堅牢性>
各実施例及び比較例において製造した凹凸表面物において、JIS K5600 5-4に準拠して、コーテック株式会社製の鉛筆ひっかき硬度試験器(型式:KT-VF2391)を用い、荷重750gにて、引っかき硬度(鉛筆法)試験を実施し、得られた引っかき硬度の結果から、堅牢性を評価した。
<生産性>
各実施例及び比較例において、凹凸表面物の製造時間を測定し、生産性を評価した。前記製造時間の測定としては、実施例1~6及び比較例1~2においては、体積膨張剤含有層形成工程を開始してから硬化工程を終了する(即ち、凹凸表面物が得られる)までの経過時間(秒)の測定を行った。また、実施例7においては、活性エネルギー線硬化型組成物付与工程を開始してから硬化工程を終了するまでの経過時間(秒)の測定を行った。
<表面の粗さ>
各凹凸表面物の表面の粗さRa(μm)をJIS B0601-1994に準拠したサーフコム株式会社の接触表面粗さ計を用いて測定した。
Figure 2022041480000002
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 基材上に、体積膨張剤を含有する体積膨張剤含有層を形成し、前記基材上の前記体積膨張剤含有層における抑制剤付与領域に、前記体積膨張剤の体積膨張を抑制する抑制剤を付与する抑制剤付与工程と、
前記体積膨張剤含有層における前記体積膨張剤を体積膨張させる体積膨張工程と、
前記体積膨張剤含有層の前記抑制剤付与領域とは異なる他の領域に、活性エネルギー線硬化型組成物を付与する活性エネルギー線硬化型組成物付与工程と、
を含むことを特徴とする凹凸表面物の製造方法である。
<2> 基材上に、活性エネルギー線硬化型組成物を付与する活性エネルギー線硬化型組成物付与工程と、
前記活性エネルギー線硬化型組成物を有する基材上に、体積膨張剤を含有する体積膨張剤含有層を形成し、前記基材上の前記体積膨張剤含有層における抑制剤付与領域に、前記体積膨張剤の体積膨張を抑制する抑制剤を付与する抑制剤付与工程と、
前記体積膨張剤含有層における前記体積膨張剤を体積膨張させる体積膨張工程と、を含み、
前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程において、前記活性エネルギー線硬化型組成物が、前記抑制剤付与領域とは異なる領域に付与されることを特徴とする凹凸表面物の製造方法である。
<3> 前記抑制剤付与工程を複数回行う、前記<1>から<2>のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法である。
<4> 前記抑制剤の付与を異なる領域に対して行う、前記<3>に記載の凹凸表面物の製造方法である。
<5> 前記体積膨張剤を体積膨張させた後に生ずる気泡の体積平均径が、前記基材側よりも表面側の方が小さい、前記<1>から<4>のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法である。
<6> 前記体積膨張剤を体積膨張させた後に生ずる気泡の体積平均径が、100nm以下である、前記<1>から<5>のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法である。
<7> 前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程を複数回行う、前記<1>から<6>のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法である。
<8> 前記活性エネルギー線硬化型組成物の付与を異なる領域に対して行う、前記<1>から<7>のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法である。
<9> 前記活性エネルギー線硬化型組成物が色材を含有する、前記<1>から<8>のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法である。
<10> 前記活性エネルギー線硬化型組成物の付与を前記体積膨張剤含有層の全表面に対して行う、前記<2>から<9>のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法である。
<11> 前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程により形成された前記活性エネルギー線硬化型組成物による層の厚みが、前記体積膨張工程により体積膨張された前記体積膨張剤含有層の厚みよりも大きい、前記<1>から<10>のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法である。
<12> 前記抑制剤が付与された前記体積膨張剤含有層の表面から、前記体積膨張剤が体積膨張された表面であって前記抑制剤が付与されていない表面までの平均高さが、30μm以上である、前記<1>から<11>のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法である。
<13> 前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程により形成された前記活性エネルギー線硬化型組成物による層の厚みが、5μm以上である、前記<1>から<12>のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法である。
<14> 前記抑制剤及び前記前記活性エネルギー線硬化型組成物の少なくともいずれかの付与が、インクジェット法により行われる、前記<1>から<13>のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法である。
<15> 前記体積膨張剤含有層の形成が、体積膨張剤及び多官能モノマーを含有する体積膨張剤含有液を付与することにより行われる、前記<1>から<14>のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法である。
<16> 前記基材の表面が表面処理された、前記<1>から<15>のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法である。
<17> 前記基材の表面処理が、多官能モノマー及び色材を含む表面処理液を用いて行われる、前記<16>に記載の凹凸表面物の製造方法である。
前記<1>から<16>のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
100 凹凸表面物の製造装置
11、111 基材
21 体積膨張剤含有層
21’ 体積膨張層
22 体積膨張剤
23 抑制剤
24A 一の領域(凹部)
24B その他の領域(凸部)
特許第5742972号公報

Claims (17)

  1. 基材上に、体積膨張剤を含有する体積膨張剤含有層を形成し、前記基材上の前記体積膨張剤含有層における抑制剤付与領域に、前記体積膨張剤の体積膨張を抑制する抑制剤を付与する抑制剤付与工程と、
    前記体積膨張剤含有層における前記体積膨張剤を体積膨張させる体積膨張工程と、
    前記体積膨張剤含有層の前記抑制剤付与領域とは異なる他の領域に、活性エネルギー線硬化型組成物を付与する活性エネルギー線硬化型組成物付与工程と、
    を含むことを特徴とする凹凸表面物の製造方法。
  2. 基材上に、活性エネルギー線硬化型組成物を付与する活性エネルギー線硬化型組成物付与工程と、
    前記活性エネルギー線硬化型組成物を有する基材上に、体積膨張剤を含有する体積膨張剤含有層を形成し、前記基材上の前記体積膨張剤含有層における抑制剤付与領域に、前記体積膨張剤の体積膨張を抑制する抑制剤を付与する抑制剤付与工程と、
    前記体積膨張剤含有層における前記体積膨張剤を体積膨張させる体積膨張工程と、を含み、
    前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程において、前記活性エネルギー線硬化型組成物が、前記抑制剤付与領域とは異なる領域に付与されることを特徴とする凹凸表面物の製造方法。
  3. 前記抑制剤付与工程を複数回行う、請求項1から2のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法。
  4. 前記抑制剤の付与を異なる領域に対して行う、請求項3に記載の凹凸表面物の製造方法。
  5. 前記体積膨張剤を体積膨張させた後に生ずる気泡の体積平均径が、前記基材側よりも表面側の方が小さい、請求項1から4のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法。
  6. 前記体積膨張剤を体積膨張させた後に生ずる気泡の体積平均径が、100nm以下である、請求項1から5のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法。
  7. 前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程を複数回行う、請求項1から6のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法。
  8. 前記活性エネルギー線硬化型組成物の付与を異なる領域に対して行う、請求項1から7のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法。
  9. 前記活性エネルギー線硬化型組成物が色材を含有する、請求項1から8のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法。
  10. 前記活性エネルギー線硬化型組成物の付与を前記体積膨張剤含有層の全表面に対して行う、請求項2から9のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法。
  11. 前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程により形成された前記活性エネルギー線硬化型組成物による層の厚みが、前記体積膨張工程により体積膨張された前記体積膨張剤含有層の厚みよりも大きい、請求項1から10のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法。
  12. 前記抑制剤が付与された前記体積膨張剤含有層の表面から、前記体積膨張剤が体積膨張された表面であって前記抑制剤が付与されていない表面までの平均高さが、30μm以上である、請求項1から11のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法。
  13. 前記活性エネルギー線硬化型組成物付与工程により形成された前記活性エネルギー線硬化型組成物による層の厚みが、5μm以上である、請求項1から12のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法。
  14. 前記抑制剤及び前記前記活性エネルギー線硬化型組成物の少なくともいずれかの付与が、インクジェット法により行われる、請求項1から13のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法。
  15. 前記体積膨張剤含有層の形成が、体積膨張剤及び多官能モノマーを含有する体積膨張剤含有液を付与することにより行われる、請求項1から14のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法。
  16. 前記基材の表面が表面処理された、請求項1から15のいずれかに記載の凹凸表面物の製造方法。
  17. 前記基材の表面処理が、多官能モノマー及び色材を含む表面処理液を用いて行われる、請求項16に記載の凹凸表面物の製造方法。

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