JP7400353B2 - 印刷物の製造方法、及び印刷物の製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷物の製造方法、及び印刷物の製造装置に関する。
従来から、建築物の床、内壁や天井には、所望の画像を印字し、エンボス加工等により意匠性を付与した床材、壁紙などの部材が使用されている。また、前記床材や前記壁紙に対して、紫外線(UV)硬化材料によるコーティングや電子線硬化材料によるコーティング等を行うことにより、耐久性を向上させる試みがなされている。
そこで、耐スクラッチ性を向上させるため、例えば、繊維質基材シート上に、エチレン系樹脂からなる体積膨張層とオレフィン系樹脂からなる第1被覆樹脂層とが順に積層され、前記体積膨張層と前記第1被覆樹脂層とが架橋された層であると共に前記第1被覆樹脂層が前記体積膨張層より高い架橋度である化粧シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、基材と体積膨張剤含有液層との密着性に優れ、耐久性に優れた印刷物を製造できる印刷物の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の印刷物の製造方法は、基材表面に複数の凹部を形成する凹部形成工程と、前記基材上に体積膨張剤及び重合性化合物aを有する体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する体積膨張剤含有液層形成工程と、前記体積膨張剤含有液層を加熱して体積膨張させる体積膨張工程と、を含み、体積膨張前の体積膨張剤の平均粒子径が、前記凹部の平均開口径よりも大きいことを特徴とする。
本発明によると、基材と体積膨張剤含有液層との密着性に優れ、耐久性に優れた印刷物を製造できる印刷物の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の印刷物の製造装置の一例を示す概略図である。 図2Aは、基材の表面に複数の凹部が形成された状態の一例を示す模式図である。 図2Bは、図2Aの凹部のX-X線での概略断面図である。 図3Aは、基材の表面に凹溝が形成された状態の一例を示す模式図である。 図3Bは、図3Aの凹溝のY-Y線での概略断面図である。
(印刷物の製造方法及び印刷物の製造装置)
本発明の印刷物の製造方法は、基材表面に複数の凹部を形成する凹部形成工程と、前記基材上に体積膨張剤及び重合性化合物aを有する体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する体積膨張剤含有液層形成工程と、前記体積膨張剤含有液層を加熱して体積膨張させる体積膨張工程と、を含み、体積膨張前の体積膨張剤の平均粒子径が、前記凹部の平均開口径よりも大きく、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
本発明の印刷物の製造装置は、基材表面に複数の凹部を形成する凹部形成手段と、前記基材上に体積膨張剤及び重合性化合物aを有する体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する体積膨張剤含有液層形成手段と、前記体積膨張剤含有液層を加熱して体積膨張させる体積膨張手段と、を有し、体積膨張前の体積膨張剤の平均粒子径が、前記凹部の平均開口径よりも大きく、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
本発明の印刷物の製造方法は、本発明の印刷物の製造装置を用いて好適に実施することができ、前記凹部形成工程は前記凹部形成手段により好適に実施することができ、前記体積膨張剤含有液層形成工程は体積膨張剤含有液層形成手段により好適に実施することができ、前記体積膨張工程は前記体積膨張手段により好適に実施することができ、前記その他の工程は前記その他の手段により好適に実施することができる。
従来技術では、基材シートと体積膨張層の界面に体積膨張剤粒子が存在することにより、界面でのバインダ樹脂と基材シートの接触面積が低下し、基材と体積膨張層の密着性が低下するという課題がある。
本発明においては、基材表面に複数の凹部を形成して体積膨張剤含有液層との接触面積を増やし、体積膨張前の体積膨張剤の平均粒子径が、前記凹部の平均開口径よりも大きくすることにより、前記凹部に体積膨張剤粒子が侵入せず、体積膨張剤含有液中の重合性化合物が侵入し、侵入した凹部内で重合してポリマーとなり該ポリマーと凹部とのアンカー効果によって基材と体積膨張剤含有液層との密着性が大幅に向上し、耐久性に優れた印刷物を製造することができる。
<凹部形成工程及び凹部形成手段>
前記凹部形成工程は、基材表面に複数の凹部を形成する工程であり、凹部形成手段により実施することができる。
<<基材>>
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂フイルム、樹脂含浸紙、合成繊維からなる合成紙、天然紙、不織布等のシート、布、木質繊維板、金属板、ガラス板、セラミック板などが挙げられる。これらの中でも、加工のしやすさの点から、木質繊維板が好ましい。
前記木質繊維板としては、例えば、中密度繊維板(MDF)、高密度繊維板(HDF)、パーティクルボード、ベニヤ等の合板、表面にシートを貼り合わせた化粧板などが挙げられる。
前記基材の平均厚さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1mm以上30mm以下が好ましく、0.3mm以上20mm以下がより好ましい。
前記基材表面に複数の凹部を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチールウール法、サンドブラスト法、ヘアライン加工法、エンボス法、エッチング法などが挙げられる。これらの中でも、スチールウール法が簡便に細かい凹部を形成できる点から特に好ましい。
<<凹部>>
前記凹部とは、基材の表面を上から見た場合に観察できる窪みであり、凹部は個々に形成されていてもよく、複数の凹部が連結した凹溝であってもよく、凹部と凹溝が混在していてもよい。
凹部の開口部を上から見た形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形、楕円形、四角形、長方形、六角形、八角形、不定形などが挙げられる。
前記凹部の開口径とは、凹部の開口部を真上から見て円形の場合には、円の直径であり、凹部を真上から見て円形でない場合(非円形形状)には、非円形形状について仮想円を描き該仮想円の直径とする。なお、仮想円が描けない場合には、非円形形状の最大長さを開口径とする。
前記凹部の平均開口径は、例えば、レーザー顕微鏡(VK-X100、株式会社キーエンス製)を用い、ランダムに10個~100個の凹部の開口径を計測し、平均した平均値である。
前記凹部の平均開口径は、25μm以下が好ましく、5μm以上20μm以下がより好ましい。凹部の平均開口径が25μm以下であると、基材と体積膨張剤含有液層との密着性を向上させることができる。
本発明においては、体積膨張前の体積膨張剤の平均粒子径は、前記凹部の平均開口径よりも大きく、体積膨張前の体積膨張剤の平均粒子径は、前記凹部の平均開口径の1.2倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましい。
体積膨張前の体積膨張剤の平均粒子径は、前記凹部の平均開口径よりも大きいことにより、基材と体積膨張剤含有液層との密着性を向上させることができる。
ここで、図2Aは、基材の表面に複数の凹部が形成された状態の一例を示す模式図である。図2Bは、図2Aの凹部のX-X線での概略断面図である。
図2Aに示すように、基材1の表面に複数の凹部2を形成する。図2Bに示すように、体積膨張前の体積膨張剤3の平均粒子径L2は、凹部の平均開口径L1よりも大きいので、体積膨張剤含有液中の体積膨張剤3は凹部2内に侵入することができず、凹部2内には体積膨張剤含有液中の重合性化合物が侵入し、侵入した凹部内で重合しポリマーとなり該ポリマーと凹部とのアンカー効果によって基材と体積膨張剤含有液層との密着性が向上する。
ここで、図3Aは、基材の表面に凹溝が形成された状態の一例を示す模式図である。図3Bは、図3Aの凹溝のY-Y線での概略断面図である。
図3Aに示すように、基材1の表面に凹溝4を形成する。図3Bに示すように、体積膨張前の体積膨張剤3の平均粒子径L2は、凹部2の平均開口径L1よりも大きいので、体積膨張剤含有液中の体積膨張剤3は凹部2内に侵入することができず、凹部2内には体積膨張剤含有液中の重合性化合物が侵入し、侵入した凹部内で重合しポリマーとなり該ポリマーと凹部とのアンカー効果によって基材と体積膨張剤含有液層との密着性が向上する。
<体積膨張剤含有液層形成工程及び体積膨張剤含有液層形成手段>
前記体積膨張剤含有液層形成工程は、前記基材上に体積膨張剤及び重合性化合物aを有する体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する工程であり、体積膨張剤含有液層形成手段により実施することができる。
<<体積膨張剤含有液>>
前記体積膨張剤含有液は、体積膨張剤及び重合性化合物aを含み、必要に応じて重合開始剤、重合促進剤(増感剤)、界面活性剤を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含む。
-体積膨張剤-
前記体積膨張剤としては、加熱されることにより体積が膨張する材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱膨張性マイクロカプセル、熱分解性体積膨張剤などが挙げられる。これらの中でも、高体積膨張倍率を有し、均一で小さい独立気泡を形成できる点から、熱膨張性マイクロカプセルが好ましい。
なお、体積膨張剤を発泡剤と称することもある。
前記熱膨張性マイクロカプセルは、体積膨張化合物を熱可塑性樹脂で包み込んだコアシェル構造の粒子であり、加熱により外殻の前記熱可塑性樹脂が軟化を始めると共に、内包された前記体積膨張化合物の蒸気圧が上昇して粒子を変形させるのに十分な圧力となり、外殻の前記熱可塑性樹脂が引き伸ばされて膨張する。前記体積膨張化合物としては、例えば、低沸点の脂肪族炭化水素などが挙げられる。
前記熱膨張性マイクロカプセルとしては、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、積水化学工業株式会社製のアドバンセルEMシリーズ、AkzoNovel社製のExpancellDU、WU、MB、SL、FGシリーズ(日本国内では日本フィライト株式会社が販売)、松本油脂製薬株式会社製のマツモトマイクロスフェアーF、FNシリーズ、株式会社クレハ製のクレハマイクロスフェアーH750、H850、H1100などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記熱膨張性マイクロカプセルの体積膨張前の平均粒子径は、基材の凹部の平均開口径よりも大きければ特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm以上50μm以下が好ましい。
体積膨張前の熱膨張性マイクロカプセルの平均粒子径は、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、「LA-750」)を用いて測定することができる。
前記熱分解性体積膨張剤としては、例えば、有機系体積膨張剤、無機系体積膨張剤などが挙げられる。
前記有機系体積膨張剤としては、例えば、アゾジカルボン酸アミド(ADCA)、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)、p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機系体積膨張剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩と有機酸塩の組合せなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記熱分解性体積膨張剤としては、市販品を用いることができる。前記市販品としては、例えば、三協化成株式会社製のセルマイクCE、セルマイクCAPなどが挙げられる。
前記熱分解性体積膨張剤の体積膨張前の平均粒子径は、基材の凹部の平均開口径よりも大きければ特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2μm以上20μm以下が好ましい。
体積膨張前の熱分解性体積膨張剤の平均粒子径は、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、「LA-750」)を用いて測定することができる。
前記体積膨張剤の含有量は、体積膨張剤含有液の全量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
-重合性化合物a-
前記重合性化合物aとしては、エネルギーが付与されることなどにより重合可能な化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ビニル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基といった官能基を分子構造中に含むモノマー、オリゴマーであって、官能基を1つ有する単官能モノマー、官能基を2つ以上有する多官能モノマー、多官能オリゴマー、分子構造の種類によるウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。
--単官能モノマー--
前記単官能モノマーとしては、例えば、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ホルマール化トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、(メタ)アクリロイルモルフォリン、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジシクロペンタジエンビニルエーテル、トリシクロデカンビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルオキセタンメチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、エトキシ(4)ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が高く、堅牢性が良好な点から、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。
前記単官能モノマーの含有量は、重合性化合物aの全量に対して、80質量%以上99.5質量%以下が好ましく、90質量%以上95質量%以下がより好ましい。
--多官能モノマー--
多官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、二官能モノマー、三官能以上のモノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
二官能モノマーとしては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化オペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
三官能以上のモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレートエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多官能モノマーの[分子量/官能数量]は250以上が好ましい。前記多官能モノマーの[分子量/官能数量]が250以上であると、体積膨張剤の体積膨張性と体積膨張剤含有液層の堅牢性を両立できる。
前記体積膨張剤含有液中の前記多官能モノマーの含有量としては、前記重合性化合物aの全量に対して、0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上10質量%以下がより好ましい。前記多官能モノマーの含有量が、前記重合性化合物aの全量に対して、10質量%以下であると、意匠性(体積膨張性)と堅牢性を両立できる。
前記体積膨張剤含有液中の前記重合性化合物aの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記体積膨張剤含有液の全量に対して、60質量%以上90質量%以下が好ましく、70質量%以上85質量%以下がより好ましい。
-重合開始剤-
前記重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物の重合を開始させることが可能なものであればよい。前記重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、これらの中でも、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
前記重合開始剤の含有量は、十分な硬化速度を得るために、前記体積膨張剤含有液層の全量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
前記ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物などが挙げられる。
前記重合促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルベンジルアミン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等アミン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合促進剤の含有量は、特に制限はなく、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜決定すればよい。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸プロピレングリコール等のグリコール脂肪酸エステル、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、POE(4.2)ラウリルエーテル、POE(40)硬化ヒマシ油、POE(10)セチルエーテル、POE(9)ラウリルエーテル、POE(10)オレイルエーテル、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン、モノラウリン酸POE(6)ソルビット、POE(15)セチルエーテル、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン、POE(15)オレイルエーテル、POE(100)硬化ヒマシ油、POE(20)POP(4)セチルエーテル、POE(20)セチルエーテル、POE(20)オレイルエーテル、POE(20)ステアリルエーテル、POE(50)オレイルエーテル、POE(25)セチルエーテル、POE(25)ラウリルエーテル、POE(30)セチルエーテル、POE(40)セチルエーテルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記界面活性剤の含有量は、体積膨張剤含有液の全量に対して、0.1質量%以上2質量%以下が好ましい。
-その他の成分-
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、充填剤、体積膨張促進剤、増粘剤、防腐剤、安定剤、分散剤、有機溶媒、脱臭剤、蛍光剤、紫外線遮断剤などが挙げられる。
前記充填剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化第一鉄、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛、珪砂、クレー、タルク、シリカ類、二酸化チタン、珪酸マグネシウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、炭酸カルシウム、二酸化チタンが好ましい。
前記体積膨張促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナフテン酸亜鉛、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、2-エチルペンタン酸亜鉛、2-エチル-4-メチルペンタン酸亜鉛、2-メチルヘキサン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、イソオクチル酸亜鉛、n-オクチル酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、イソデカン酸亜鉛、n-デカン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、イソステアリン酸亜鉛、12-ヒドロキシステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、リノ一ル酸亜鉛、リノレイン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、安息香酸亜鉛、o、m又はp-トルイル酸亜鉛、p-t-ブチル安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、フタル酸亜鉛、フタル酸モノアルキル(C4~18)エステルの亜鉛塩、デヒドロ酢酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、アミノクロトン酸亜鉛、2-メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、ジンクピリチオン、尿素又はジフェニル尿素の亜鉛錯体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記増粘剤としては、例えば、ポリシアノアクリレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリメタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記防腐剤としては、特に制限はなく、従来から使用されモノマーの重合を開始させないものが用いられ、例えば、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、クロロクレゾールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記安定剤としては、貯蔵中のモノマーの重合を抑制する目的を果たすものが用いられ、例えば、アニオン性安定剤、フリーラジカル安定剤などが挙げられる。
前記アニオン性安定剤としては、例えば、メタリン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アルキルスルホン酸、五酸化リン、塩化鉄(III)、酸化アンチモン、2,4,6-トリニトロフェノール、チオール、アルキルスルホニル、アルキルスルホン、アルキルスルホキシド、亜硫酸アルキル、スルトン、二酸化硫黄、三酸化硫黄などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記フリーラジカル安定剤としては、例えば、ヒドロキノン、カテコール、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記体積膨張剤含有液は、上述した各種成分を用いて調製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、体積膨張剤と重合性化合物等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて、重合開始剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
前記体積膨張剤含有液の静的表面張力は、25℃で、20mN/m以上50mN/m以下が好ましい。
前記静的表面張力は、例えば、協和界面科学株式会社製自動表面張力計DY-300を用いて、プレート法やリング法で測定することができる。
前記体積膨張剤含有液の粘度は、25℃で、40mPa・s以上20,000mPa・s以下が好ましい。
前記体積膨張剤含有液の粘度は、例えば、アントンパール社製レオメーターMCR301により、コーンプレートCP25-1を使用して、シアレート10/s、20℃~65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。
前記基材上に、体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ナイフコート法、ノズルコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、リバースロールコート法、ロールコート法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、キャスト法、ディップ法、カーテンコート法等の塗工方法、インクジェット方式などが挙げられる。
前記体積膨張剤含有液の付与量(体積膨張剤含有液層の平均膜厚)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、耐久性を得るためには50μm以上が好ましい。ここで言う膜厚とは、硬化後・体積膨張前の膜厚である。平均膜厚の平均値の求め方としては、異なる場所5点の体積膨張剤含有液層を削り取り、その部分の基材表面から体積膨張剤含有液層表面までの高さを、例えば、レーザー顕微鏡(VK-X100、株式会社キーエンス製)を用いて計測し、平均した平均値を算出することで得られる。
また、前記体積膨張剤含有液層を形成する前に、基材表面にコロナ処理などの表面処理を施して体積膨張剤含有液層の塗膜均一性や密着性を高めることが好ましい。
<色材受容液層形成工程及び色材受容液層形成手段>
前記色材受容液層形成工程は、前記体積膨張剤含有液層上に、重合性化合物bを含有する色材受容液を付与して色材受容液層を形成する工程であり、色材受容液層形成手段により好適に実施することができる。
<<色材受容液>>
前記色材受容液は、後述する色を受容するための色材受容液層を形成するための液であり、重合性化合物bを含み、重合開始剤、重合促進剤、界面活性剤、顔料を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記重合性化合物bとしては、前記重合性化合物aと同様のものを用いることができる。
前記重合開始剤、前記重合促進剤、前記界面活性剤、及びその他の成分についても、前記体積膨張剤含有液に用いたものと同様のものを用いることができる。
前記色材受容液の静的表面張力は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよいが、25℃において20mN/m以上50mN/m以下が好ましい。
前記色材受容液の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよいが、25℃において40mPa・s以上20,000mPa・s以下が好ましい。
前記体積膨張剤含有液層上に前記色材受容液を付与して色材受容液層を形成する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記体積膨張剤含有液の付与手段に記載したものなどが挙げられる。
前記色材受容液の付与量(色材受容液層の平均厚さ)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、優れた画像品質を得るためには1μm以上が好ましい。ここで言う平均厚さとは、硬化後・体積膨張前の厚さである。平均厚さの平均値の求め方としては、前記体積膨張剤含有液層と前記色材受容液層からなる塗膜断面を顕微鏡観察し、色材受容液層の厚みを異なる場所5点で計測し、平均値を算出することで得られる。
<色材液層形成工程及び色材液層形成手段>
前記色材液層形成工程は、前記色材受容液層上に、色材及び重合性化合物cを含有する色材液を付与して色材液層を形成する工程であり、色材液層形成手段により好適に実施することができる。
<<色材液>>
前記色材液は、色材、及び重合性化合物cを含み、重合開始剤を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含む。
-重合性化合物c-
前記重合性化合物cとしては、前記重合性化合物a及び前記重合性化合物bと同様のものを用いることができる。
前記重合性化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、色材液の全量に対して、70質量%以上95質量%以下が好ましい。
-色材-
前記色材としては、本発明における目的や要求特性に応じて、ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、パープル、ホワイト、金や銀等の光沢色、などを付与する種々の顔料を用いることができる。
前記色材の含有量としては、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、前記色材液の全量に対して、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
前記顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンなどを使用することができる。
前記有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(例えば、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。
また、前記顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤を更に含んでもよい。前記分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物調製用として慣用されている分散剤が挙げられる。
-その他の成分-
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合開始剤、有機溶媒、界面活性剤、重合禁止剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防錆剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
前記重合開始剤としては、前記色材受容液と同様のものを用いることができる。
前記有機溶媒は可能であれば含まないほうが好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。
前記「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。
前記有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
前記色材液の調製方法としては、上述した各種成分を用いて調製することができる。その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、重合性モノマー、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミル等の分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、前記顔料分散液に更に重合性モノマー、開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
前記色材液の静的表面張力は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよいが、25℃で20mN/m以上50mN/m以下が好ましい。
前記色材液の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよいが、25℃で1mPa・s以上100mPa・s以下が好ましい。
前記色材液を付与する印刷手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクジェット方式が、優れた画像品質で様々な画像パターンに対してフレキシブルに対応できる点から好ましい。
前記インクジェット方式としては、例えば、吐出ヘッドの駆動方式としては、PZT等を用いた圧電素子アクチュエータ、熱エネルギーを作用させる方式、静電気力を利用したアクチュエータなどを利用したオンデマンド型のヘッドを用いることもできるし、連続噴射型の荷電制御タイプのインクジェットヘッドなどを用いることもできる。
前記色材液は、含有する色材(顔料)によって3種類又は4種類、それ以上の種類のインクであり、それぞれを個別のインクジェットヘッドによって付与することができる。また、1つのインクジェットヘッドが複数のノズル列を有し、各ノズル列から、異なる種類のインクを吐出するヘッドを用いてもより。求める画像解像度や走査回数によって、各色で必要なインクジェットヘッドのノズル密度は変わり適宜選択することができ、例えば、240npi(nozzle per inch)、300npi、600npi、1,200npiなどが挙げられる。
前記色材液の前記色材受容液層上への付与量としては、前記色材受容液層への付与量の総量は3μL/cm以下が好ましい。前記色材液の前記色材受容液層上への付与量の総量が、3μL/cm以下であると、不要な合一や混色及び色域低下を抑制することができる。
前記色材液の液滴の吐出速度が、5m/s以上15m/s以下が好ましい。吐出される液滴のドット密度(画像解像度)は240dpi×240dpi以上が好ましい。
<<硬化工程及び硬化手段>>
前記硬化工程は、外部刺激により前記体積膨張剤含有液、前記色材受容液、及び前記色材液を硬化する工程である。
前記硬化手段は、外部刺激により前記体積膨張剤含有液、前記色材受容液、及び前記色材液を硬化する手段である。
前記外部刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性エネルギー線、熱などが挙げられる。
前記活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザダイオード(UV-LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
硬化条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。紫外線の場合には、照射距離2mmにおいて6W/cm以上の強度で照射できる照射装置を用いることが好ましい。電子線の場合には、塗膜全体が硬化できるように15kGy以上の線量となる加速電圧であることが好ましい。
<<体積膨張工程及び体積膨張手段>>
前記体積膨張工程は、前記体積膨張剤含有液層を加熱して体積膨張させる工程である。
前記体積膨張手段は、前記体積膨張剤含有液層を加熱して体積膨張させる手段である。
前記体積膨張手段としては、加熱により前記体積膨張剤含有液層の体積膨張剤を体積膨張させることができる手段であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、赤外線ヒーター、温風ヒーター、加熱ローラー、高周波誘電加熱ヒーターなどが挙げられる。
前記体積膨張工程における加熱の温度としては、前記体積膨張剤の体積膨張温度以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃以上250℃以下が好ましい。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、体積膨張抑制液付与工程、透明液層形成工程、エンボス加工工程、コロナ照射による表面処理工程、曲げ加工やカット加工の工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、体積膨張抑制液付与手段、透明液層形成手段、エンボス加工手段、コロナ照射による表面処理手段、曲げ加工やカット加工の手段などが挙げられる。
前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に実施することができる。
<<体積膨張抑制液付与工程及び体積膨張抑制液付与手段>>
前記体積膨張抑制液付与工程は、前記体積膨張剤含有液層における所定の領域に体積膨張抑制液を付与する工程であり、体積膨張抑制液付与手段により実施される。
前記体積膨張抑制液付与工程を行う場合には、前記体積膨張剤含有液層の形成後、前記色材液層の形成前に行うことが好ましい。
-体積膨張抑制液-
前記体積膨張抑制液は、重合性化合物を含み、更に必要に応じて重合開始剤、界面活性剤などその他の成分を含む。
前記重合性化合物としては、例えば、多官能モノマー、多官能オリゴマーなどが挙げられる。
前記多官能モノマーとしては、前記体積膨張剤含有液に含まれる多官能モノマーと同様のものを用いることができる。例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ-ト、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、ジエチレンクリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。また、異なる多官能モノマーの混合物、多官能モノマーと単官能モノマーを混合物や、多官能を有するオリゴマーと単官能モノマーの混合物、単官能モノマー、多官能モノマー、多官能を有するオリゴマーとの混合物を用いることができる。
前記体積膨張抑制液が多官能モノマーであることにより、多官能モノマーはエネルギー付与により3次元架橋するので、前記体積膨張剤含有液層の任意の場所に前記多官能重合性化合物を付与し、エネルギーを付与することで体積膨張剤による体積膨張のオンオフを制御でき、印刷物に優れた凹凸形状による意匠性を付与することができるという利点がある。
前記体積膨張抑制液を付与する、前記体積膨張剤含有液層における所定の領域としては、例えば、製造する印刷物の凹凸形状のデータに基づいて特定することができる。前記体積膨張抑制液付与工程においては、例えば、製造する印刷物における凹凸形状のデータで、凹部(体積膨張剤含有液層を体積膨張させない領域)となっている部分に、前記体積膨張抑制液を付与して接触させ、後述する体積膨張工程における体積膨張剤含有液層の体積膨張を抑制して、任意の凹凸形状を形成することができる。
前記重合開始剤、前記界面活性剤、及び前記その他の成分としては、前記体積膨張剤含有液に用いられるものと同様のものを用いることができる。
前記体積膨張抑制液の静的表面張力は、特に制限はなく、用途や適用手段に応じて適宜調整することができるが、25℃で、20mN/m以上50mN/m以下が好ましい。
また、体積膨張抑制液の粘度は、特に制限はなく、用途や適用手段に応じて適宜調整することができるが、25℃で、1mPa・s以上100mPa・s以下が好ましい。
前記体積膨張抑制液を付与する手段としては、前記体積膨張剤含有液に用いられる手段と同様の手段を用いることができる。
前記体積膨張抑制液の付与量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、凹凸の段差を表現するために前記体積膨張剤含有液層の表面積に対する付与量を変えることで様々なパターンが得られる。前記体積膨張抑制液の付与量としては、3μL/cm以下が好ましい。
前記体積膨張抑制液の液滴の吐出速度が、5m/s以上15m/s以下が好ましい。前記体積膨張抑制液の液滴の吐出速度が、5m/s以上15m/s以下であると、吐出を安定に行うことができる。吐出される液滴のドット密度(画像解像度)は240dpi×240dpi以上が好ましい。
<<透明液層形成工程及び透明液層形成手段>>
前記透明液層形成工程は、重合性化合物を含有し、色材を含有しない透明液を前記色材液層上に付与して透明液層を形成する工程である。
前記透明液層形成手段は、重合性化合物を含有し、色材を含有しない透明液層形成液を前記色材液層上に付与して透明液層を形成する手段である。
前記透明液層形成工程は、前記色材液層形成工程後に行う。
前記重合性化合物としては、前記体積膨張剤含有液に用いられているものと同様のものを用いることができる。
前記透明液層形成液を前記色材液層上に付与する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記体積膨張剤含有液層の形成に用いた手段と同様の手段を用いることができる。
前記透明液層を前記色材液層上形成することによって、形成した前記色材液層の硬化前後の保存性を向上させることができる。
ここで、本発明の印刷物の製造装置について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一例を示す印刷物製造装置の概略図である。この図1の印刷物の製造装置100は、表面に複数の凹部を形成させた基材21上に、体積膨張剤含有液を付与するカーテンコーター10、その下流に体積膨張抑制液をインクジェット法で付与するためのヘッド11、活性エネルギー線照射装置12、色材受容液を付与するローラーコーター13、複数の色材液又は透明液をインクジェット法で付与するためのヘッドとして、ブラック用ヘッド14、マゼンタ用ヘッド15、シアン用ヘッド16、イエロー用ヘッド17、クリア用(透明液層用)ヘッド18からなる吐出ヘッドユニット19、二つ目の活性エネルギー線照射装置12、加熱装置20を有している。図1中、22は搬送ベルト、23は搬送ローラーである。基材21は搬送ベルト22と搬送ローラー23によって、図1中矢印方向に搬送される。
まず、基材表面に、スチールウール等で複数の凹部を形成し、その上に体積膨張剤含有液をカーテンコーター10により塗布し、所定の厚みの液膜(体積膨張剤含有液層)を形成する。次に、体積膨張剤含有液層が形成された基材を所定の速度で走査させ、凹凸パターンに応じた体積膨張抑制液をヘッド11から体積膨張剤含有液層に吐出する。次に、活性エネルギー線照射装置12を用い、所定の照射条件で活性エネルギー線を照射し、硬化する(体積膨張剤含有液層硬化工程)。
次に、体積膨張剤含有液層硬化工程を経て硬化された体積膨張剤含有液層上に、ローラーコーター13により、色材受容液を所定の厚みの液膜(色材受容液層)を形成する。次に、画像パターンに応じたインク(各色材液、透明液)をヘッド14~18から色材受容液層に吐出する。
次に、活性エネルギー線照射装置12を用い、所定の照射条件で活性エネルギー線を照射し、硬化する(印刷物硬化工程)。
このように印刷物硬化工程を経て硬化された印刷物を加熱装置20によって加熱し、体積膨張させることによって凹凸を形成させる。
印刷物の製造装置100は、印刷する基材の幅よりインクジェットヘッドで印刷できる幅のほうが大きく、走査回数が1回のシングルパス印刷装置の構成となっているが、基材の幅よりヘッドの幅が小さく、走査回数が複数できるような駆動機構(ヘッドユニット、又は基材搬送)を設けたマルチパス印刷装置の構成となっていても構わない。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<基材の凹部の平均開口径の測定>
基材の凹部の平均開口径は、レーザー顕微鏡(VK-X100、株式会社キーエンス製)を用いてランダムに100個の凹部の開口径を計測し、平均した平均値である。
<体積膨張剤の平均粒子径の測定>
体積膨張前の体積膨張剤の平均粒子径はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、「LA-750」)を用いて測定した。
<各液の25℃での粘度>
アントンパール社製レオメーターMCR301を用い、コーンプレートCP25-1を使用して、シアレート10/s、25℃での粘度を測定した。
<各液の25℃での静的表面張力>
自動表面張力計(DY-300、協和界面科学株式会社製)を用いて、25℃での静的表面張力を測定した。
(調製例1)
<体積膨張剤含有液A1の調製>
体積膨張剤としてのクレハマイクロスフェアー(H750、株式会社クレハ製、体積膨張前の平均粒子径20μm、体積膨張後の平均粒子径75μm)15質量部、重合性化合物aとしてイソボルニルアクリレート(巴工業株式会社製)40質量部、2-アクリロイルオキシエチルフタレート(新中村化学工業株式会社製)40質量部、及び重合開始剤としてOmnirad TPO(IGM Resins社製)5質量部を撹拌することにより、体積膨張剤含有液A1を調製した。
体積膨張剤含有液A1の25℃での静的表面張力は33mN/m、25℃での粘度は130mPa・sであった。
(調製例2)
<色材受容液A2の調製>
重合性化合物bとして2-アクリロイルオキシエチルサクシネート(新中村化学工業株式会社製)94質量部、重合開始剤としてOmnirad TPO(IGM Resins社製)5質量部、及び界面活性剤としてBYK-UV-3510(BYK社製)2質量部を撹拌することにより、色材受容液A2を調製した。
色材受容液A2の25℃での静的表面張力は20mN/m、25℃での粘度は190mPa・sであった。
(調製例3)
<ブラックインクA-Bkの調製>
重合性化合物cとしてフェノキシエチルアクリレート(東京化成工業株式会社製)25質量部、アクリロイルモルフォリン(東京化成工業株式会社製)26質量部、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(ダイセル・オルネクス株式会社製)35質量部、重合開始剤としてOmnirad TPO(IGM Resins社製)5質量部、界面活性剤/分散剤としてSolsperse32000(Lubrizol社製)2質量部、及び色材としてのSPECIAL BLACK 350(ブラック顔料、BASFジャパン社製)7質量部を撹拌することにより、ブラックインクA-Bkを調製した。
ブラックインクA-Bkの25℃での静的表面張力は24mN/m、25℃での粘度は25mPa・sであった。
(調製例4)
<マゼンタインクA-Mの調製>
重合性化合物cとしてフェノキシエチルアクリレート(東京化成工業株式会社製)25質量部、アクリロイルモルフォリン(東京化成工業株式会社製)26質量部、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(ダイセル・オルネクス株式会社製)35質量部、重合開始剤としてOmnirad TPO(IGM Resins社製)5質量部、界面活性剤/分散剤としてSolsperse32000(Lubrizol社製)2質量部、及び色材としてのCINQUASIA MAGENTA RT-355-D(マゼンタ顔料、BASFジャパン社製)7質量部を撹拌することにより、マゼンタインクA-Mを調製した。
マゼンタインクA-Mの25℃での静的表面張力は24mN/m、25℃での粘度は25mPa・sであった。
(調製例5)
<シアンインクA-Cの調製>
重合性化合物cとしてフェノキシエチルアクリレート(東京化成工業株式会社製)25質量部、アクリロイルモルフォリン(東京化成工業株式会社製)26質量部、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(ダイセル・オルネクス株式会社製)35質量部、重合開始剤としてOmnirad TPO(IGM Resins社製)5質量部、界面活性剤/分散剤としてSolsperse32000(Lubrizol社製)2質量部、及び色材としてのIRGALITE BLUE GLVO(シアン顔料、BASFジャパン社製)40質量部を撹拌することにより、シアンインクA-Cを調製した。
シアンインクA-Cの25℃での静的表面張力は24mN/m、25℃での粘度は25mPa・sであった。
(調製例6)
<イエローインクA-Yの調製>
重合性化合物cとしてフェノキシエチルアクリレート(東京化成工業株式会社製)25質量部、アクリロイルモルフォリン(東京化成工業株式会社製)26質量部、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(ダイセル・オルネクス株式会社製)35質量部、重合開始剤としてOmnirad TPO(IGM Resins社製)5質量部、界面活性剤/分散剤としてSolsperse32000(Lubrizol社製)2質量部、及び色材としてのNOVOPERM YELLOW H2G(イエロー顔料、クラリアント社製)40質量部を撹拌することにより、イエローインクA-Yを調製した。
イエローインクA-Yの25℃での静的表面張力は24mN/m、25℃での粘度は25mPa・sであった。
(実施例1)
図1に示す印刷物の製造装置100を用いて、以下のようにして、印刷物を製造した。なお、本実施例では体積膨張抑制液をインクジェット法で付与するためのヘッド11は使用していない。
基材として厚み9mmのMDF(N.P.ウッド、住友林業株式会社製)を用いた。この基材をスチールウール(番手♯0000、繊維中心径12μm、日本スチールウール株式会社製)で表面を、スチールウールを手に掴み一定方向に同じ力で連続50回擦った後、エアーブローを行い表面に凹部を形成した(凹部形成工程)。上記の方法で測定した凹部の平均開口径は12μmであった。
次に、カーテンコーター10としてチェフラ社製ラボ用フローコーターを用いて、上記凹部を形成した基材上に体積膨張剤含有液A1を100μmの厚みになるように塗布した。
次に、活性エネルギー線照射装置12として浜松ホトニクス株式会社製のリニア照射型UV-LED光源GJ-75を用い、10mmの距離から照射して体積膨張剤含有液層を硬化させた。
次に、硬化させた体積膨張剤含有液層上に、ローラーコーター13として松尾産業株式会社のイージープルーフを用いて、色材受容液A2を6μmの厚みになるように塗布した。
次に、塗布後の基材を15m/minの速度で走査させ、インク用の吐出ヘッド14~17としてリコーインダストリー株式会社製のGEN5ヘッド(MH5420、150npi×4列)を用いて、ヘッドを40℃に加温して、ブラックインクA-Bk、マゼンタインクA-M、シアンインクA-C、イエローインクA-Y、それぞれ7pLの液滴量、7m/sの液滴速度で吐出し、各色600dpi×600dpiの25%のドット密度でベタ画像の色材液層を作成した。
次に、体積膨張剤含有液層の硬化で用いた活性エネルギー線照射装置12で同様に色材液層を硬化させた。イエローインク吐出から硬化までの時間を6秒間とした。
最後に、加熱装置20で体積膨張剤含有液層を加熱し、体積膨張させて、実施例1の印刷物を得た。
なお、加熱装置20としては、日立産機システム株式会社製のルテックスブロアGシリーズ、関西電熱株式会社製の高温熱風発生用電気式ヒーターXS-2、関西電熱株式会社製ハイブローノズル50ALを組み合わせて作製した加熱装置をノズル先端からの風速30m/sec、ノズル先端の温度200℃となるように調整したものを用いた。
(実施例2)
実施例1において、基材表面への凹部形成に用いるスチールウール(番手♯0000、繊維中心径12μm、日本スチールウール株式会社製)を、スチールウール(番手♯000、繊維中心径14μm、日本スチールウール株式会社製)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の印刷物を製造した。
(実施例3)
体積膨張剤含有液A1に含まれる体積膨張剤として、H750の代わりにH850(体積膨張前の粒子径36μm、体積膨張後の粒子径188μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の印刷物を製造した。
(実施例4)
実施例3において、基材表面への凹部形成に用いるスチールウール(番手♯0000、繊維中心径12μm、日本スチールウール株式会社製)を、スチールウール(番手♯000、繊維中心径14μm、日本スチールウール株式会社製)に代えた以外は、実施例3と同様にして、実施例4の印刷物を製造した。
(実施例5)
実施例3において、基材表面への凹部形成に用いるスチールウール(番手♯0000、繊維中心径12μm、日本スチールウール株式会社製)を、スチールウール(番手♯00、繊維中心径20μm、日本スチールウール株式会社製)に代えた以外は、実施例3と同様にして、実施例5の印刷物を製造した。
(実施例6)
実施例3において、基材表面への凹部形成に用いるスチールウール(番手♯0000、繊維中心径12μm、日本スチールウール株式会社製)を、スチールウール(番手♯0、繊維中心径25μm、日本スチールウール株式会社製)に代えた以外は、実施例3と同様にして、実施例6の印刷物を製造した。
(比較例1)
実施例1において、基材表面への凹部形成を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の印刷物を製造した。
(比較例2)
実施例1において、以下のようにして、製造された表面に凹部を有する基材を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2の印刷物を製造した。
基材として厚み9mmのMDF(N.P.ウッド、住友林業株式会社製)を用いた。この基材をスチールウール(番手♯5、繊維中心径90μm、日本スチールウール株式会社製)で表面を50回擦った後、エアーブローを行い表面に凹部を形成した。凹部の平均開口径は90μmであった。
得られた実施例1~6及び比較例1~2の各印刷物について、以下のようにして、印刷物の耐久性を評価し、結果を表1に示した。
<印刷物の耐久性>
各印刷物を不織布(ベンコット、小津産業株式会社製)で100回擦る、及び爪で3回引っ掻くことにより、下記基準で体積膨張剤含有液層及び色材液層の剥離を確認し、印刷物の耐久性を評価した。
[判定基準]
〇:不織布による擦り及び爪の引っ掻きによって基材からの体積膨張剤含有液層及び色材液層の剥離が確認できない
×:不織布による擦り及び爪の引っ掻きによって基材からの体積膨張剤含有液層及び色材液層の剥離が確認できる
Figure 0007400353000001
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 基材表面に複数の凹部を形成する凹部形成工程と、
前記基材上に体積膨張剤及び重合性化合物aを有する体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する体積膨張剤含有液層形成工程と、
前記体積膨張剤含有液層を加熱して体積膨張させる体積膨張工程と、
を含み、
体積膨張前の体積膨張剤の平均粒子径が、前記凹部の平均開口径よりも大きいことを特徴とする印刷物の製造方法である。
<2> 更に、前記体積膨張剤含有液層上に、重合性化合物bを含有する色材受容液を付与して色材受容液層を形成する色材受容液層形成工程を含む前記<1>に記載の印刷物の製造方法である。
<3> 更に、前記色材受容液層上に、色材及び重合性化合物cを含有する色材液を付与して色材液層を形成する色材液層形成工程を含む前記<2>に記載の印刷物の製造方法である。
<4> 更に、前記体積膨張剤含有液層、前記色材受容液層、及び前記色材液層の少なくともいずれかに対して活性エネルギー線を照射して硬化させる硬化工程を含む前記<3>に記載の印刷物の製造方法である。
<5> 複数の前記凹部の形成が、スチールウール法、サンドブラスト法、ヘアライン加工法、エンボス法、及びエッチング法から選択される少なくともいずれかで行われる前記<1>から<4>のいずれかに記載の印刷物の製造方法である。
<6> 前記体積膨張剤の平均粒子径が、前記基材の凹部の平均開口径より1.2倍以上大きい前記<1>から<5>のいずれかに記載の印刷物の製造方法である。
<7> 前記基材の凹部の平均開口径が25μm以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の印刷物の製造方法である。
<8> 前記基材が木質繊維板である前記<1>から<7>のいずれかに記載の印刷物の製造方法である。
<9> 前記体積膨張剤が熱膨張性マイクロカプセルである前記<1>から<8>のいずれかに記載の印刷物の製造方法である。
<10> 基材表面に複数の凹部を形成する凹部形成手段と、
前記基材上に体積膨張剤及び重合性化合物aを有する体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する体積膨張剤含有液層形成手段と、
前記体積膨張剤含有液層を加熱して体積膨張させる体積膨張手段と、
を有し、
体積膨張前の体積膨張剤の平均粒子径が、前記凹部の平均開口径よりも大きいことを特徴とする印刷物の製造装置である。
<11> 更に、前記体積膨張剤含有液層上に、重合性化合物bを含有する色材受容液を付与して色材受容液層を形成する色材受容液層形成手段を有する前記<10>に記載の印刷物の製造装置である。
<12> 更に、前記色材受容液層上に、色材及び重合性化合物cを含有する色材液を付与して色材液層を形成する色材液層形成手段を有する前記<11>に記載の印刷物の製造装置である。
<13> 更に、前記体積膨張剤含有液層、前記色材受容液層、及び前記色材液層の少なくともいずれかに対して活性エネルギー線を照射して硬化させる硬化手段を有する前記<12>に記載の印刷物の製造装置である。
<14> 複数の前記凹部の形成が、スチールウール法、サンドブラスト法、ヘアライン加工法、エンボス法、及びエッチング法から選択される少なくともいずれかで行われる前記<10>から<13>のいずれかに記載の印刷物の製造装置である。
<15> 前記体積膨張剤の平均粒子径が、前記基材の凹部の平均開口径より1.2倍以上大きい前記<10>から<14>のいずれかに記載の印刷物の製造装置である。
<16> 前記基材の凹部の平均開口径が25μm以下である前記<10>から<15>のいずれかに記載の印刷物の製造装置である。
<17> 前記基材が木質繊維板である前記<10>から<16>のいずれかに記載の印刷物の製造装置である。
<18> 前記体積膨張剤が熱膨張性マイクロカプセルである前記<10>から<17>のいずれかに記載の印刷物の製造装置である。
前記<1>から<9>のいずれかに記載の印刷物の製造方法、及び前記<10>から<18>のいずれかに記載の印刷物の製造装置によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
10 カーテンコーター
11 体積膨張抑制液用ヘッド
12 活性エネルギー線照射装置
13 ローラーコーター
14 ブラック用ヘッド
15 マゼンタ用ヘッド
16 シアン用ヘッド
17 イエロー用ヘッド
18 クリア用ヘッド
19 吐出ヘッドユニット
20 加熱装置
21 基材
22 搬送ベルト
23 搬送ローラー
100 印刷物の製造装置
特開2009-96208号公報

Claims (10)

  1. 基材表面に複数の凹部及び/又は凹溝を形成する凹部形成工程と、
    前記基材上に体積膨張剤及び重合性化合物aを有する体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する体積膨張剤含有液層形成工程と、
    前記体積膨張剤含有液層を加熱して体積膨張させる体積膨張工程と、
    を含み、
    前記凹部及び前記凹溝が、円形であり、
    体積膨張前の体積膨張剤の平均粒子径が、前記凹部及び前記凹溝の平均開口径よりも大きいことを特徴とする印刷物の製造方法。
  2. 更に、前記体積膨張剤含有液層上に、重合性化合物bを含有する色材受容液を付与して色材受容液層を形成する色材受容液層形成工程を含む請求項1に記載の印刷物の製造方法。
  3. 更に、前記色材受容液層上に、色材及び重合性化合物cを含有する色材液を付与して色材液層を形成する色材液層形成工程を含む請求項2に記載の印刷物の製造方法。
  4. 更に、前記体積膨張剤含有液層、前記色材受容液層、及び前記色材液層の少なくともいずれかに対して活性エネルギー線を照射して硬化させる硬化工程を含む請求項3に記載の印刷物の製造方法。
  5. 複数の前記凹部及び前記凹溝の形成が、スチールウール法、サンドブラスト法、ヘアライン加工法、エンボス法、及びエッチング法から選択される少なくともいずれかで行われる請求項1から4のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
  6. 前記体積膨張剤の平均粒子径が、前記凹部及び前記凹溝の平均開口径より1.2倍以上大きい請求項1から5のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
  7. 記凹及び前記凹溝の平均開口径が、25μm以下である請求項1から6のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
  8. 前記基材が木質繊維板である請求項1から7のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
  9. 前記体積膨張剤が熱膨張性マイクロカプセルである請求項1から8のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
  10. 基材表面に複数の凹部及び/又は凹溝を形成する凹部形成手段と、
    前記基材上に体積膨張剤及び重合性化合物aを有する体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する体積膨張剤含有液層形成手段と、
    前記体積膨張剤含有液層を加熱して体積膨張させる体積膨張手段と、
    を有し、
    前記凹部及び前記凹溝が、円形であり、
    体積膨張前の体積膨張剤の平均粒子径が、前記凹部及び前記凹溝の平均開口径よりも大きいことを特徴とする印刷物の製造装置。
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