図1を参照して、本発明の実施形態の燃焼装置は、燃焼筐1を備えている。燃焼筐1の下部と上部には、夫々バーナユニット2と給湯用の熱交換器3とが収納されており、更に、燃焼筐1の下面には、バーナユニット2に燃焼用空気を供給する燃焼ファン4が接続されている。そして、バーナユニット2からの燃焼ガスにより熱交換器3の上流側の給水管3aからの水を加熱し、熱交換器3の下流側の出湯管3bに所定の設定給湯温度に加熱された温水が出湯されるようにしている。熱交換器3を通過した燃焼ガスは、燃焼筐1の上部に開設した排気口1aから外部に排出される。
バーナユニット2は、第1乃至第3の3個のバーナ21,22,23を有している。本実施形態では、計15本の単位バーナ2aを並設して、2本の単位バーナ2aで第1バーナ21、4本の単位バーナ2aで第2バーナ22、残りの9本の単位バーナ2aで第3バーナ23を構成している。尚、各バーナ21,22,23を各所定本数の単位バーナ2aで構成せずに、所定本数の単位バーナ2aと同様の燃焼能力を持つ各一個のバーナで各バーナ21,22,23を構成することも可能である。
バーナユニット2に燃料ガスを供給するガス供給路5には、電磁開閉弁から成る元弁6と、その下流側の比例弁7とが介設されている。また、比例弁7の下流側のガス供給路5の部分は、第1バーナ21に連なる第1分岐路51と、第2バーナ22に連なる第2分岐路52と、第3バーナ23に連なる第3分岐路53とに分岐されている。これら第1乃至第3分岐路51,52,53には、夫々電磁開閉弁から成る第1乃至第3能力切換弁81,82,83が介設されている。そして、第1乃至第3能力切換弁81,82,83の開閉で燃料ガスを供給するバーナの組合せを変更して、バーナユニット2全体の燃焼能力を複数段に切換えるようにしている。
具体的に説明すれば、第1能力切換弁81を開弁して第1バーナ21のみに燃料ガスを供給することにより、バーナユニット2全体の燃焼能力を最も低い第1段の能力(単位バーナ2本分の能力)に切換え、第2能力切換弁82を開弁して第2バーナ22のみに燃料ガスを供給することにより、バーナユニット2全体の燃焼能力を第2段の能力(単位バーナ4本分の能力)に切換え、第1と第2の両能力切換弁81,82を開弁して第1と第2の両バーナ21,22に燃料ガスを供給することにより、バーナユニット2全体の燃焼能力を第3段の能力(単位バーナ6本分の能力)に切換え、第1と第3の両能力切換弁81,83を開弁して第1と第3の両バーナ21,23に燃料ガスを供給することにより、バーナユニット2全体の燃焼能力を第4段の能力(単位バーナ11本分の能力)に切換え、第1乃至第3能力切換弁81,82,83を開弁して第1乃至第3バーナ21,22,23に燃料ガスを供給することにより、バーナユニット2全体の燃焼能力を最も高い第5段の能力(単位バーナ15本分の能力)に切換えるようにしている。
燃焼装置は、更に、燃焼ファン4、元弁6、比例弁7及び能力切換弁81,82,83を制御する制御手段たるマイクロコンピュータから成るコントローラ9を備えている。コントローラ9は、比例弁7に通電する比例弁電流を各燃焼能力毎に設定される下限値と上限値との間で、且つ、燃焼ファン4の回転数(以下、ファン回転数と記す)を比例弁電流の下限値と上限値に対応する下限回転数と上限回転数との間で夫々要求燃焼量(設定給湯温度の温水を出湯するのに必要な燃焼量)に応じて可変する制御を行うと共に、要求燃焼量が現時点の燃焼能力で比例弁電流を上限値にしたときに得られるバーナユニット2全体の燃焼量を基準にして設定される所定の能力アップ判別値以上になったときに、燃焼能力を高くする能力アップ制御を行い、要求燃焼量が現時点の燃焼能力で比例弁電流を下限値にしたときに得られるバーナユニット全体の燃焼量を基準にして設定される所定の能力ダウン判別値以下になったときに、燃焼能力を低くする能力ダウン制御を行うように構成されている。尚、要求燃焼量は、給湯開始当初は、給湯流量と給水温度と設定給湯温度とからフィードフォワード方式で求められ、その後は、実際の給湯温度に基づいてフィードバック方式で求められる。
能力アップ判別値や能力ダウン判別値は、比例弁電流を上限値や下限値にしたときに得られるバーナユニット2全体の燃焼量と等しくしてもよい。但し、能力ダウン制御の実行時に、能力ダウン制御前の燃焼量と同等の燃焼量が得られるように比例弁電流を大きくしても、実際の燃焼量は比例弁7の応答遅れで直ちには増加しないため、燃焼量が実際に増加するまでは燃焼量が不足して、フィードバック方式で求められる要求燃焼量が比例弁電流を上限値にしたときに得られる燃焼量を上回ることがある。同様に、能力アップ制御の実行に、能力アップ制御前の燃焼量と同等の燃焼量が得られるように比例弁電流を小さくしても、実際の燃焼量は比例弁7の応答遅れで直ちには減少しないため、燃焼量が実際に減少するまでは燃焼量が過大となって、フィードバック方式で求められる要求燃焼量が比例弁電流を下限値にしたときに得られる燃焼量を下回ることがある。このような場合にもハンチングを生じないように、能力アップ判別値は、比例弁電流を上限値にしたときに得られる燃焼量よりも所定割合(例えば、15%)大きな値に設定し、能力ダウン判別値は、比例弁電流を下限値にしたときに得られる燃焼量よりも所定割合(例えば、15%)小さな値に設定することが望ましい。
図2は、各段の燃焼能力で得られる燃焼量と燃焼ファン4の回転数(ファン回転数)との関係を表す燃焼特性ラインを示している。燃焼特性ラインは、第1段の燃焼能力ではラインL1、第2段の燃焼能力ではラインL2、第3段の燃焼能力ではラインL3、第4段の燃焼能力ではラインL4、第5段の燃焼能力ではラインL5になる。ここで、比例弁電流の下限値と上限値は、各段の燃焼能力で比例弁電流を上限値にしたときのバーナユニット2全体の燃焼量がそれより1段高い燃焼能力で比例弁電流を下限値にしたときのバーナユニット2全体の燃焼量を上回るように設定され、能力順位で隣接する燃焼能力間で重ね代Wを持つことになる。そのため、一旦能力ダウン制御が行われると、要求燃焼量が重ね代W以上増加しない限り能力アップ制御は行われず、また、一旦能力アップ制御が行われると、要求燃焼量が重ね代W以上減少しない限り能力ダウン制御は行われず、要求燃焼量の微小変化で能力アップ制御と能力ダウン制御が短時間で繰り返される現象(ハンチング)が防止される。
然し、燃焼能力の比が大きくなる燃焼能力間の重ね代、具体的には、第1段と第2段の燃焼能力間の重ね代Wや、第3段と第4段の燃焼能力間の重ね代Wは比較的小さくなる。そのため、部品や製造のバラツキにより、第1段と第2段の燃焼能力間の重ね代Wや、第3段と第4段の燃焼能力間の重ね代Wが図3に示されている重ね代よりさらに小さくなると、第1段と第2段の燃焼能力間や第3段と第4段の燃焼能力間でのハンチングを生ずる可能性がある。
そこで、本実施形態では、コントローラ9により図3、図4に示すハンチング防止制御を行うようにしている。尚、図3、図4で「能力(N)」は、所定の燃焼能力たる第2段の燃焼能力又は第4段の燃焼能力を指し、「能力(N−1)」は、所定の燃焼能力より1段低い燃焼能力たる第1段の燃焼能力又は第3段の燃焼能力を指す。
ハンチング防止制御では、図3に示す如く、先ず、能力(N−1)で燃焼している状態で(STEP1)、要求燃焼量Qが能力(N−1)における能力アップ判別値YQ(N−1)up以上になったか否かを判別する(STEP2)。Q<YQ(N−1)upであれば、要求燃焼量Qが能力(N−1)における能力ダウン判別値YQ(N−1)down以下になったか否かを判別する(STEP3)。そして、Q≦YQ(N−1)downであれば、能力ダウン制御を行い(STEP4)、Q>YQ(N−1)downであれば、STEP2に戻る。
STEP2でQ≧YQ(N−1)upと判別されたときは、その時点での給湯流量及び設定給湯温度を記憶し(STEP5)、その後、能力(N)への能力アップ制御を行う(STEP6)。次に、要求燃焼量Qが能力(N)における能力ダウン判別値YQ(N)down以下になったか否かを判別する(STEP7)。Q>YQ(N)downであれば、要求燃焼量Qが能力(N)における能力アップ判別値YQ(N)up以上になったか否かを判別する(STEP8)。そして、Q≧YQ(N)upであれば、能力アップ制御を行い(STEP9)、Q<YQ(N)upであれば、STEP7に戻る。
STEP7でQ≦YQ(N)downと判別されたときは、その時点での給湯流量及び設定給湯温度がSTEP5で記憶した能力アップ制御前の給湯流量及び設定給湯温度と同等であるか否かを判別する(STEP10)。尚、給湯流量と記憶した能力アップ制御前の給湯流量との差が僅か(例えば、±0.5L/min以下)であれば同等と判断する。そして、給湯流量及び設定給湯温度が記憶した能力アップ制御前の給湯流量及び設定給湯温度と同等であれば、給湯流量及び設定給湯温度が変化していない状態でQ≦YQ(N)downになったと判断し、先ず、能力(N)での比例弁電流の下限値I(N)minが補正済みであるか否かを判別する(STEP11)。そして、補正済みでなければ、燃焼ファン4の下限回転数を変化させずに、能力(N)での比例弁電流の下限値I(N)minを所定の補正量(例えば、補正前のI(N)minの4%)減少させる下限値補正制御を行い(STEP12)、次に、この下限値補正制御の実行から一定時間(例えば、50秒)経過したか否かを判別し(STEP13)、一定時間経過するまではSTEP10に戻ることを繰り返す。そして、次にSTEP11に進むと、能力(N)での比例弁電流の下限値I(N)minは補正済みと判別されるため、STEP14に進み、要求燃焼量Qが能力(N)における第2の能力ダウン判別値YQ(N)down´以下になったか否を判別する。そして、Q>YQ(N)down´であれば、一定時間経過するまでSTEP13を経由してSTEP10に戻ることを繰り返す。
尚、第2の能力ダウン判別値YQ(N)down´は、上記能力ダウン判別値YQ(N)downよりも低い値に設定される。例えば、能力ダウン判別値YQ(N)downが比例弁電流を下限値I(N)minにしたときに得られる燃焼量よりも15%小さな値に設定されるのに対し、第2の能力ダウン判別値YQ(N)down´は、比例弁電流を下限値I(N)minにしたときに得られる燃焼量よりも25%小さな値に設定される。
下限値補正制御から一定時間経過すると、STEP15に進み、要求燃焼量Qが能力(N)における能力ダウン判別値YQ(N)down(下限値I(N)minの減少補正に合わせて減少補正された値)以下であるか否かを判別する。そして、Q>YQ(N)downであれば、STEP8に進み、Q≦YQ(N)downであれば、その時点での給湯流量及び設定給湯温度を記憶、更新し(STEP16)、その後、能力(N−1)への能力ダウン制御を行う(STEP17)。また、STEP10において給湯流量及び設定給湯温度が記憶した能力アップ制御前の給湯流量及び設定給湯温度と同等でないと判別されたときと、STEP14でQ≦YQ(N)down´と判別されたときは、STEP16に直接進む。
以上の如く能力ダウン制御を行うと、図4に示す如く、要求燃焼量Qが能力(N−1)における能力アップ判別値YQ(N−1)up以上になったか否かを判別する(STEP18)。Q<YQ(N−1)upであれば、要求燃焼量Qが能力(N−1)における能力ダウン判別値YQ(N−1)down以下になったか否かを判別する(STEP19)。そして、Q≦YQ(N−1)downであれば、能力ダウン制御を行い(STEP20)、Q>YQ(N−1)downであれば、STEP18に戻る。
STEP18でQ≧YQ(N−1)upと判別されたときは、その時点での給湯流量及び設定給湯温度がSTEP16で記憶した能力ダウン制御前の給湯流量及び設定給湯温度と同等であるか否かを判別する(STEP21)。そして、給湯流量及び設定給湯温度が記憶した能力ダウン制御前の給湯流量及び設定給湯温度と同等であれば、給湯流量及び設定給湯温度が変化していない状態でQ≧YQ(N−1)upになったと判断し、先ず、能力(N−1)での比例弁電流の上限値I(N−1)maxが補正済みであるか否かを判別する(STEP22)。そして、補正済みでなければ、燃焼ファン4の上限回転数を変化させずに、能力(N−1)での比例弁電流の上限値I(N−1)maxを所定の補正量(例えば、補正前のI(N−1)maxの3%)増加させる上限値補正制御を行い(STEP23)、次に、この上限値補正制御の実行から一定時間(例えば、50秒)経過したか否かを判別し(STEP24)、一定時間経過するまではSTEP21に戻ることを繰り返す。そして、次にSTEP22に進むと、能力(N−1)での比例弁電流の上限値I(N−1)maxは補正済みと判別されるため、STEP25に進み、要求燃焼量Qが能力(N−1)における第2の能力アップ判別値YQ(N−1)up´以上になったか否を判別する。そして、Q<YQ(N−1)up´であれば、一定時間経過するまでSTEP24を経由してSTEP21に戻ることを繰り返す。
尚、第2の能力アップ判別値YQ(N−1)up´は、上記能力アップ判別値YQ(N−1)upよりも高い値に設定される。例えば、能力アップ判別値YQ(N−1)upが比例弁電流を上限値I(N−1)maxにしたときに得られる燃焼量よりも15%大きな値に設定されるのに対し、第2の能力アップ判別値YQ(N−1)up´は、比例弁電流を上限値I(N−1)maxにしたときに得られる燃焼量よりも25%大きな値に設定される。
上限値補正制御から一定時間経過すると、STEP26に進み、要求燃焼量Qが能力(N−1)における能力アップ判別値YQ(N−1)up(上限値I(N−1)maxの増加補正に合わせて増加補正された値)以上であるか否かを判別する。そして、Q<YQ(N−1)upであれば、STEP19に進み、Q≧YQ(N−1)upであれば、その時点での給湯流量及び設定給湯温度を記憶、更新し(STEP27)、その後、能力(N)への能力アップ制御を行って(STEP28)、STEP7に戻る。また、STEP21において給湯流量及び設定給湯温度が記憶した能力ダウン制御前の給湯流量及び設定給湯温度と同等でないと判別されたときと、STEP25でQ≧YQ(N−1)up´と判別されたときは、STEP27に直接進む。尚、能力(N−1)が第1段の燃焼能力である場合、STEP3,4及びSTEP19,20の処理は実行されない。
上記の如く下限値補正制御で能力(N)、即ち、第2段や第4段の燃焼能力における比例弁電流の下限値I(N)minを減少補正すれば、第2段や第4段の燃焼能力における下限燃焼量(比例弁電流を下限値にしたときに得られるバーナユニット2全体の燃焼量)が補正前の値から減少して、第1段と第2段の燃焼能力間や第3段と第4段の燃焼能力間の重ね代が増加する。また、上限値補正制御で能力(N−1)、即ち、第1段や第3段の燃焼能力における比例弁電流の上限値I(N−1)maxを増加補正すれば、第1段や第3段の燃焼能力における上限燃焼量(比例弁電流を上限値にしたときに得られるバーナユニット全体の燃焼量)が補正前の値から増加して、第1段と第2段の燃焼能力間や第3段と第4段の燃焼能力間の重ね代が増加する。従って、ハンチングを生じやすい事態、即ち、第2段や第4段の燃焼能力への能力アップ制御後に、給湯流量及び設定給湯温度が変化していない状態で要求燃焼量が第2段や第4段の燃焼能力における能力ダウン判別値以下になったり、第1段や第3段の燃焼能力への能力ダウン制御後に、給湯流量及び設定給湯温度が変化していない状態で要求燃焼量が第1段や第3段の燃焼能力における能力アップ判別値以上になったりする事態に陥っても、下限値補正制御や上限値補正制御で第1段と第2段の燃焼能力間や第3段と第4段の燃焼能力間の重ね代を増加させることができるため、ハンチングの発生を有効に防止することができる。そして、下限値補正制御や上限値補正制御では、燃焼ファン4の下限回転数や上限回転数を変化させないため、バーナの赤熱や燃焼不良を生ずることもない。
更に、本実施形態では、直近に実行された能力(N)への能力アップ制御前の給湯流量及び設定給湯温度を記憶し、当該能力アップ制御後に要求燃焼量Qが能力ダウン判別値YQ(N)down以下になった時点での給湯流量及び設定給湯温度が記憶した能力アップ制御前の給湯流量及び設定給湯温度と同等である場合に、下限値補正制御を行い、また、直近に実行された能力(N−1)への能力ダウン制御前の給湯流量及び設定給湯温度を記憶し、当該能力ダウン制御後に要求燃焼量Qが能力アップ判別値YQ(N−1)up以上になった時点での給湯流量及び設定給湯温度が記憶した能力ダウン制御前の給湯流量及び設定給湯温度と同等である場合に、上限値補正制御を行っている。そのため、給湯流量及び設定給湯温度が変化していないことを確実に確認した上で、下限値補正制御や上限値補正制御を行うことができる。
また、下限値補正制御による比例弁電流の下限値I(N)minの減少補正量は、所定の燃焼能力として選択され複数の燃焼能力、即ち、第2段の燃焼能力と第4段の燃焼能力の夫々で個別に設定され、同様に、上限値補正制御による比例弁電流の上限値I(N−1)maxの増加補正量は、所定の燃焼能力として選択された複数の燃焼能力より1段低い複数の燃焼能力、即ち、第1段の燃焼能力と第3段の燃焼能力の夫々で個別に設定されることが望ましい。これによれば、比例弁電流の下限値I(N)minの減少補正量や比例弁電流の上限値I(N−1)maxの増加補正量を、各燃焼能力に合わせて、ハンチング防止に最適な値に過不足なく設定することができる。
ところで、下限値補正制御の実行後、能力(N)のまま比例弁電流が補正前の下限値I(N)min以下になったり、上限値補正制御の実行後、能力(N−1)のまま比例弁電流が補正前の上限値I(N−1)max以上になったりしても、給湯温度は直ぐには低下したり上昇したりしない。その結果、フィードバック方式で求められる要求燃焼量Qが減少補正された下限値I(N)minに対応する能力ダウン判別値YQ(N)downを下回ったり、増加補正された上限値I(N−1)maxに対応する能力アップ判別値YQ(N−1)upを上回ったりし、ハンチングを生ずる可能性がある。
そこで、本実施形態では、下限値補正制御や上限値補正制御の実行から一定時間経過するまで、給湯流量及び設定給湯温度が変化していない状態(STEP10やSTEP21で「YES」と判別される状態)では能力ダウン制御や能力アップ制御を実行しないようにしている。これによれば、下限値補正制御や上限値補正制御の実行後、能力(N)のまま比例弁電流が補正前の下限値I(N)min以下になったり、能力(N−1)のまま比例弁電流が補正前の上限値I(N−1)max以上になったりした場合、一定時間経過するまでに給湯温度が低下したり上昇したりするため、要求燃焼量Qが減少補正された下限値I(N)minに対応する能力ダウン判別値YQ(N)downを下回ったり、増加補正された上限値I(N−1)maxに対応する能力アップ判別値YQ(N−1)upを上回ったりすることがなく、安定的にハンチングを防止できる。
更に、本実施形態では、下限値補正制御や上限値補正制御の実行から一定時間経過する前であって、且つ、給湯流量及び設定給湯温度が変化していない状態であっても、要求燃焼量Qが能力ダウン判別値YQ(N)downよりも低く設定される第2の能力ダウン判別値YQ(N)down´以下になったときや能力アップ判別値YQ(N−1)upよりも高く設定される第2の能力アップ判別値YQ(N−1)up´以上になったときは、能力ダウン制御や能力アップ制御を実行するため、給湯温度が設定給湯温度から大幅にずれることを防止できる。
図5は、ハンチング防止制御の他の実施形態を示している。図5でT1は、第2段や第4段の燃焼能力から成る能力(N)とそれより1段低い第1段や第3段の燃焼能力から成る能力(N−1)との間での能力ダウン制御から能力アップ制御までの経過時間(以下、第1経過時間という)であり、T2は、能力(N)と能力(N−1)との間での能力アップ制御から能力ダウン制御までの経過時間(以下、第2経過時間という)である。
図5に示すハンチング防止制御では、先ず、STEP101で第1フラグF1が「0」にリセットされているか否かを判別する。尚、第1フラグF1は、バーナユニット2の消火時に「0」にリセットされる。そして、F1=0であれば、STEP102に進んで、第1経過時間T1が所定時間(例えば、1分)YT以下になったか否かを判別する。
T1≦YTになったときは、STEP103で第1フラグF1を「1」にセットすると共に、STEP104で下限値補正制御を行い、その後にSTEP105に進む。下限値補正制御では、上記実施形態と同様に、燃焼ファン4の下限回転数を変化させずに、能力(N)での比例弁電流の下限値I(N)minを所定の補正量減少させる。これにより、能力(N)と能力(N−1)との間の重ね代が増加する。
T1>YTであれば、STEP102から直接STEP105に進む。また、T1≦YTになって、STEP103で第1フラグF1が「1」にセットされると、以後STEP101から直接STEP105に進む。STEP105では、第2フラグF2が「0」にリセットされているか否かが判別される。尚、第2フラグF2は、バーナユニット2の消火時に「0」にリセットされる。そして、F2=0であれば、STEP106に進んで、第2経過時間T2が所定時間YT以下になったか否かを判別する。
T2≦YTになったときは、STEP107で第2フラグF2を「1」にセットすると共に、STEP108で上限値補正制御を行い、その後にSTEP109に進む。上限値補正制御では、上記実施形態と同様に、燃焼ファン4の上限回転数を変化させずに、能力(N−1)での比例弁電流の上限値I(N−1)maxを所定の補正量増加させる。これにより、能力(N)と能力(N−1)との間の重ね代が増加する。
T2>YTであれば、STEP106から直接STEP109に進む。また、T2≦YTになって、STEP107で第2フラグF2が「1」にセットされると、以後STEP105から直接STEP109に進む。
STEP109では、給湯停止でバーナユニット2の消火指令が出されたか否かを判別し、消火指令が出されるまでは、STEP109からSTEP101に戻って、上記の処理を繰り返す。消火指令が出されたときは、STEP110に進んで第1と第2の両フラグF1,F2を「0」にリセットし、一連の処理を終了する。
図5に示すハンチング防止制御によれば、第1経過時間T1が所定時間YT以下になったとき、即ち、能力(N)から能力(N−1)への能力ダウン制御から所定時間YT内に能力(N−1)から能力(N)への能力アップ制御が行われたときは、要求燃焼量Qが通常時よりも余分に減少しない限り次の能力ダウン制御が行われなくなる。また、第2経過時間T2が所定時間YT以下になったとき、即ち、能力(N−1)から能力(N)への能力アップ制御から所定時間YT内に能力(N)から能力(N−1)への能力ダウン制御が行われたときは、要求燃焼量が通常時よりも余分に増加しない限り次の能力アップ制御が行われなくなる。そのため、能力(N)と能力(N−1)との間でのハンチングの発生を効果的に抑制できる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、ハンチング防止制御として上限値補正制御と下限値補正制御との両方を行うようにしているが、上限値補正制御と下限値補正制御との一方のみを行うようにしてもよい。