JP5464432B2 - 給湯装置 - Google Patents
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Description
即ち多くの給湯装置は、燃焼装置と熱交換器とを内蔵している。そして使用者が給湯栓を開く等の行為によって給湯装置内に通水が生じると、燃焼装置に自動的に点火され、熱交換器を通過する水を昇温させる。
また給湯装置から出湯される湯の温度が所望の設定温度となる様に、燃焼量が調節される。
しかしながら依然として給湯栓が開かれている様な場合は、給湯装置内に通水が存在しているので、燃焼装置が自動的に再点火されることとなる。
また小燃焼量に切り換わった状態で、給湯栓が閉じられ、給湯を終えた場合には、小燃焼量で燃焼されたことを学習させ、再度給湯栓が開かれて燃焼が開始される場合には目標値を小燃焼量に切り換えた状態のままで燃焼が開始される。
上記した発明は、特許文献1に開示されている。
そして使用者が再度給水栓を開いて給湯装置内に通水が生じると、学習された第3減量燃焼量をFF制御の目標値として燃焼が開始される。
例えばマンションの高層階や上水網の末端に位置する家屋では、給水源の圧力が他の地域に比べて低い場合がある。また自家水道や、古い町の上水道では、配管が細く大流量の上水を供給できない場合がある。
この様な給水源の圧力が低い場合や、給水能力自体が低い地域に特許文献1に記載の給湯装置が設置された場合であって、給湯栓の他に給水栓が同時に開かれる様な場合では、給湯装置に供給される水量が一時的に極端に低下する。
この段階で、家族のトイレ使用が終わると、高温出湯異常が発生することはない。
そしてこれ以降に新たに給湯栓を開くと、第3減量燃焼量を目標値として燃焼が開始される。
この場合においても、前記した様に一人の使用者が浴室で給湯栓を開いた直後に、家族がトイレを使用し、便器の洗浄に水が使用されると高温出湯異常が生じ、さらに第3減量燃焼量から第4減量燃焼量に燃焼量が絞られ、この第4減量燃焼量が給湯装置に学習されてしまう。
一方、第3減量燃焼量で燃焼が開始されたり、第4減量燃焼量で燃焼が開始されるのは、燃料を絞りすぎの状態であり、出湯温度の立ち上がりが遅れる。
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、特許文献1に開示した給湯装置を改良し、高い安全性を維持しつつ、出湯温度の立ち上がりの遅れを防止することができる給湯装置の開発を課題とするものである。
例えば補正初期燃焼量SPは、初期燃焼量FPに係数Bn(1よりも小さい)を掛けた数量や、一定の燃焼量を引いた燃焼量が採用される。
先の例で説明すると、本発明の給湯装置が高温出湯異常を繰り返した場合、リトライのたびに第1減量燃焼量、第2減量燃焼量、第3減量燃焼量、第4減量燃焼量という様に燃焼量が絞られるが、例えばリトライを4回繰り返して学習された場合でも、補正初期燃焼量SPは最終的な燃焼量たる第4減量燃焼量とはならない。
例えば、補正初期燃焼量SPは、係数B1(例えば0.9)を初期燃焼量FPに掛けた0.9FPとする。そしてさらに0.9FP(補正初期燃焼量SP)で燃焼装置を燃焼させ、且つ出湯温度が異常な高温となった場合には燃焼を停止し、熱交換器に対する通水が所定量以上維持されている場合には燃焼量を補正初期燃焼量SPから小燃焼量側に補正して燃焼装置を再度燃焼させるが、この際の補正第1減量燃焼量は、例えば先の第1減量燃焼量に一定の定数(例えばBn)を掛けたり、第1減量燃焼量から一定値を引いた数量を引いた燃焼量が採用される。
また補正初期燃焼量SPとして補正前の第1減量燃焼量等を採用してもよい。この場合には、最初に第1減量燃焼量で燃焼が開始され、高温出湯異常が発生すると、第2減量燃焼量に補正される。そしてリトライのたびに第3減量燃焼量、第4減量燃焼量、第5減量燃焼量、第6減量燃焼量という様に燃焼量が絞られる。
本発明の実施形態の給湯装置1は、燃焼量の制御方法に特徴があり、給湯装置1の機械的構造は、公知のそれと大差ない。そのため給湯装置1の機械的構造については、簡単な説明に止める。
本発明の実施形態の給湯装置1は、公知のそれと同様に、燃料ガスを燃焼する燃焼装置2と、燃焼装置2で加熱された湯水を外部に供給するための配管等により構成された通水系統20と、燃焼装置2に燃料ガスの供給を行う燃料系統30とによって構成されている。また電気的な制御を行う機器として制御装置40を備えている。なお本実施形態では、制御装置40で燃焼量演算機能が発揮される。
本実施形態では、合計13本のバーナ5が配されており、9本のバーナ5で形成された大燃焼エリア7と、4本のバーナ5で形成された小燃焼エリア8に区分されており、燃焼エリアを切り換えることによって燃焼能力を変更することができる。
元ガス電磁弁34は、燃焼部3で燃焼されている間は常に開成されており、燃焼が停止すると閉止される。
ガス比例弁35は、開度を調整して図示しないガス供給源からの燃料ガスの供給量を調整するものである。
電磁弁36,37は、ガス供給主管33と燃料供給支管31,32との接続部に配されており、2つの電磁弁36,37は互いに独立して制御されるものであり、電磁弁36,37を切り換えることによって燃料ガスが供給される燃焼エリアを変更することができる。
ここで本実施形態で採用する熱交換器22は、一次熱交換器11と二次熱交換器12とが直列に連結されたものであり、燃焼ガスの顕熱と潜熱を回収することができるものである。
即ち一次熱交換器11は、焼部部3で発生した燃焼ガスの主に顕熱を回収して湯水を加熱する熱交換器である。一方、二次熱交換器12は、一次熱交換器11より燃焼ガスの流れ方向下流側に位置し、燃焼ガスに含まれる水蒸気の潜熱を回収して湯水を加熱する熱交換器である。一次熱交換器11と二次熱交換器12は、接続配管26により直列に接続されている。なお内部の水は、二次熱交換器12側から一次熱交換器11側に流れる。
一方、熱交換器22から出湯口42に至る間には、水量調整弁24と出湯温度センサー28が設けられている。
さらに本実施形態の給湯装置1では、熱交換器22を迂回するバイパス配管25が設けられている。バイパス配管25は、熱交換器22の上流側であって水量センサー23のさらに上流側と、熱交換器22の下流側であって熱交換器22と水量調整弁24との中間部分とを接続するものである。
従って本実施形態では、給水口41から導入された水は、熱交換器22側とバイパス配管25側に分岐され、熱交換器22で昇温された高温の湯に、バイパス配管25を流れる冷水が混合されて出湯口42から出湯される。
本実施形態の給湯装置1は、特許文献1に開示した給湯装置1と同様に、水量センサー23が熱交換器22に所定の最低水量の通水があることを検知(MOQがあるという表現をする場合がある)すると、燃焼装置2に自動的に点火され、燃焼が開始される。
本実施形態の給湯装置1は、FF制御(フィードフォワード制御)と、FB制御(フィードバック制御)を駆使して電磁弁36,37とガス比例弁35とを制御し、燃焼量を増減して設定温度の湯を出湯させる機能を備えている。
ここでFF制御では、ガス比例弁35の開度と、燃焼量との関係が予めデータ化されており、後記する式に基づいて演算された燃焼量を目標値とし、前記したデータを参照して目標値の燃焼量となる様にガス比例弁35の開度を制御する。
一方、FB制御では、出湯温度センサー28の検知温度をフィードバックしてガス比例弁35の開度を補正する。
なお給湯装置1の燃焼量は、号数で表示される。例えば本実施形態の給湯装置1は、最低号数が2.5号、最高号数が25号の仕様とされ、2.5号〜25号の範囲で出湯能力が可変な給湯装置1である。ここで1.0号とは1L/分の水を摂氏25度昇温させ得る出湯能力のことであり、燃焼によるガス消費量分の発熱量に熱交換効率を乗じたものに相当する。
この様に給湯装置1では、FF制御による誤差をFB制御で補正することにより、出湯温度を制御している。
またFF制御では、給湯装置1に入水された水の全量を、設定温度または設定温度の近傍に水を加熱することができる通常燃焼量(号数)MPを目安として燃焼量を制御する。
ここで給湯装置1に設けられた水量センサー23は、バイパス配管25の分岐部45よりも下流側に設けられており、バイパス配管25を流れる水量を直接的に検知することはできない。そのため水量センサー23の検出値は、給湯装置1全体の通水量Qiを正確に表すものではなく、水量センサー23の検出値は全体の通水量Qiよりも少ない。そこで本実施形態では、水量センサー23の検出値に補正係数を乗じた数を通水量Qiとしている。
なお前記した様に1.0号とは1L/分の水を摂氏25度昇温させ得る熱量である。
通常燃焼量(号数)MPを演算する式は、次の通りである。
MP:通常燃焼量(号数)
Ts :設定温度
Ti :入水温度
Qi :通水量
FP:初期燃焼量(号数)
SP:補正初期燃焼量(号数)
MP:通常燃焼量(号数)
An:リトライ係数(A0〜A7)
ここで
A0:1.3(初期値)
A1:1.2(第1減量補正)
A2:1.1(第2減量補正)
A3:1.0(第3減量補正)
A4:0.9(第4減量補正)
A5:0.8(第5減量補正)
A6:0.7(第6減量補正)
A7:0.6(第7減量補正)
Bn:初期値補正係数(B0〜B3)
ここで
B0:1.0(初期値)
B1:0.9(第1初期値補正)
B2:0.8(第2初期値補正)
B3:0.7(第3初期値補正)
(1)実際の出湯温度が設定温度に近づいたか否か。
(2)出湯量が安定したか否か。
また「出湯量が安定したか否か」は、燃焼開始からの積算通水量が一定以上になったか否かで判断する。
本実施形態の給湯装置1では、図2の様な出湯温度の上昇曲線を描くことを想定して設計されている。
また本実施形態の燃焼装置2では、燃焼開始初期における出湯温度の立ち上げを円滑にするために、燃焼開始初期においては、通常燃焼量(号数)MPよりも多い燃焼量たる初期燃焼量FPを燃焼量の目標値として燃焼される。より具体的には、燃焼装置2は、工場から出荷する際に前記した式1のリトライ係数Anと、初期値補正係数Bnがいずれも初期値たるA0,B0に設定されている。
従って燃焼開始初期においては、燃焼装置2が次式の熱量を発生する様に運転される。
FP:初期燃焼量(号数)
An:リトライ係数(A0〜A7)
A0:1.3(初期値)
Bn:初期値補正係数(B0〜B3)
B0:1.0(初期値)
そして燃焼開始から時間が経過し、燃焼状態が安定すると、FF制御の目標値を変更し、燃焼量が通常燃焼量(号数)MPとなる様にガス比例弁35等を制御する。ここで通常燃焼量(号数)MPは、給水を設定温度または設定温度の近傍に水を加熱することができる燃焼量であるから、出湯温度は、温度上昇曲線を変えて図2の様に設定温度Tsに収斂する。
初期燃焼量FP及び通常燃焼量MPの設定が適正であるならば、出湯温度はオーバーシュートすることなく、且つ早期に設定温度に収斂する。また通常燃焼量(号数)MPは、給水を設定温度または設定温度の近傍に水を加熱することができる燃焼量であるから、フィードバック制御機能による補正量FBPは外乱に対する補正だけであり、図2の様に僅かである。
そのため出湯温度の上昇曲線は、必ずしも図2の様な理想的な曲線を描くとは言えず、程度の大小はあるが、オーバーシュートやアンダーシュートが発生する場合の方が多いといえる。
初期燃焼量FPが過大である場合は、設定温度Tsよりも過度に高い仮想設定温度Tsuを目標として上昇する。
そのため出湯温度は早期の内に設定温度Tsを突破し、オーバーシュートする。しかしながら、通常燃焼量MPが適正であるから、燃焼状態が安定すると、出湯温度はしだいに低下し、設定温度に収斂する。また通常燃焼量(号数)MPは、通水を設定温度または設定温度の近傍に水を加熱することができる燃焼量であるから、フィードバック制御機能による補正量FBPは外乱に対する補正量だけであり、図3の様に僅かである。
なおこのパターンは、給湯栓を始めに少しだけ開き、その後に全開にして流量を急増させた様な場合や、後記するリトライや学習によって初期燃焼量FPが補正された場合に発生するパターンである。
そして燃焼開始から時間が経過し、燃焼状態が安定すると、FF制御の目標値を変更し、燃焼量が通常燃焼量(号数)MPとなる様にガス比例弁35等を制御する。ここで通常燃焼量(号数)MPは、給水を設定温度または設定温度の近傍に水を加熱することができる燃焼量であるから、出湯温度は、温度上昇曲線を変えて図4の様に設定温度Tsに収斂する。
この様に初期燃焼量FPが過小である場合には、燃焼開始初期における高温出湯異常は発生しにくい。
初期燃焼量FPが過大である場合は、設定温度Tsよりも過度に高い仮想設定温度Tsuを目標として上昇する。
そのため出湯温度は早期の内に設定温度Tsを突破し、オーバーシュートする。
しかしながら、この段階では、FB制御が機能するから、FB制御によって負の補正量FBPが付加され、出湯温度Taが設定温度Tsに落ちつく。
この様に通常燃焼量(号数)MPが過大である場合は、出湯温度が設定温度Tsよりも高い温度に収斂しようとするから、フィードバック制御機能による補正量FBPが大きい。
このパターンについても、給湯栓を始めに少しだけ開き、その後に全開にして流量を急増させた様な場合や、後記するリトライや学習によって初期燃焼量FPが補正された場合に発生するパターンである。
そして燃焼開始から時間が経過し、燃焼状態が安定すると、FF制御の目標値を変更し、燃焼量が通常燃焼量(号数)MPとなる様にガス比例弁35等を制御するが、通常燃焼量(号数)MP自体が過小であるから、出湯温度は、設定温度Tsよりも低い温度に収斂しようとする。
しかしながら、この段階では、FB制御が機能するから、FB制御によって正の補正量FBPが付加され、出湯温度Taが設定温度Tsに落ちつく。
この様に通常燃焼量(号数)MPが過小である場合は、出湯温度が設定温度Tsよりも低い温度に収斂しようとするから、フィードバック制御機能による補正量FBPが大きい。
この様に初期燃焼量FPが過小であり、且つ通常燃焼量MPも過小である場合には、燃焼開始初期における高温出湯異常は発生しにくい。
そして燃焼開始初期においては、FF制御だけによって燃焼量が調整され、燃焼が安定すると、FF制御による誤差をFB制御で補正することにより、出湯温度を制御する。そのため給湯装置1から出湯される湯は、急速に昇温し、出湯温度Taが設定温度Tsに収斂する。即ち燃焼開始初期においては、FF制御の目標値たる初期燃焼量FPが、
FP=MP・A0・B0=1.3MP
であり、通常燃焼量(号数)MPの1.3倍の燃焼量をFF制御の目標値としてガス比例弁35等が制御される。
即ち次式によって第1減量燃焼量に変更した初期燃焼量FPが演算される。
FP:初期燃焼量(号数)
A1:リトライ係数:1.2(第1減量補正)
B0:初期値補正係数:1.0(初期値)
即ち高温出湯異常が発生した場合であって、且つ給湯装置1内に通水が存在し続けている場合(MOQが有る状態)には、基本燃焼量から第1減量燃焼量に燃焼量を絞って燃焼装置2が再燃焼される。
即ち次式によって第2減量燃焼量に変更した初期燃焼量FPが演算される。
FP:初期燃焼量(号数)
A2:リトライ係数:1.1(第2減量補正)
B0:初期値補正係数:1.0(初期値)
即ち図7は、高温出湯異常が発生する代表的なパターンであり、初期燃焼量FPが過大であるために高温出湯異常が発生した場合の昇温パターンである。
初期燃焼量FPが過大である場合は、前記した様に設定温度Tsよりも過度に高い仮想設定温度Tsuを目標として上昇する。
そのため出湯温度は早期の内に設定温度Tsを突破し、オーバーシュートする。そしてこの時に出湯温度が危険温度(例えば摂氏60度以上)を越えると、高温出湯異常となり、燃焼装置2が強制的に停止される。
即ちFF制御の目標値たる初期燃焼量FPが、1.3MPから1.2MPに減少されて再燃焼される(図8)。
ここで燃焼が安定するまでの間に、出湯温度が危険温度(例えば摂氏60度以上)を越えなければ、図9に示すようにFF制御の目標値が通常燃焼量(号数)MPに変更され、さらにフィードバック制御機能による正又は負の補正量FBPが付加され、出湯温度Taを設定温度Tsに近づく。
給水栓が依然として開いており、熱交換器22に最低水量の水が通過しておれば(MOQがある状態)、初期燃焼量FPを第3減量燃焼量に絞る。さらに高温出湯異常発生すると、初期燃焼量FPを第4減量燃焼量に絞り。それでも高温出湯異常発生する場合は第5減量燃焼量に絞る。本実施形態では、第7減量燃焼量まで絞ることができる。最終条件たる第7減量燃焼量まで絞っても高温出湯異常が発生す場合は、給湯装置1に根本的な故障があると考えられるので、燃焼装置2の動作をロックし、以後は熱交換器22に最低水量の水が通過していても燃焼を開始させない。
即ち次式によって初期燃焼量FPから小燃焼量側に補正した第1補正初期燃焼量SPが演算される。
SP:補正初期燃焼量(号数)
A0:リトライ係数:1.3(初期値)
B1:初期値補正係数:0.9(第1初期値補正)
そして燃焼開始初期においては、FF制御だけによって燃焼量が調整される。ここで燃焼開始初期においては、FF制御の目標値は、補正初期燃焼量SPであり、1.17MPであって、初期値よりも燃焼量が絞られている。そのため、初期値の状態と比較すると、燃焼開始時の昇温曲線の傾斜が緩いものとなる。
ただし、新たに給湯栓が開かれた場合の燃焼開始初期におけるFF制御の目標値は、前回の給湯の際に高温出湯異常が解除された第5減量燃焼量よりも大きいので、第5減量燃焼量による場合に比べると、燃焼開始時の昇温曲線の傾斜は急傾斜となり、出湯温度の立ち上がりは早い。
即ち次式によって第1減量燃焼量に変更した補正初期燃焼量SPが演算される。
SP:補正初期燃焼量(号数)
A1:リトライ係数:1.2(第1減量補正)
B1:初期値補正係数:0.9(第1初期値補正)
即ち初期燃焼量FPから第1補正初期燃焼量SPに変更した後に高温出湯異常が発生した場合であって、且つ給湯装置1内に通水が存在し続けている場合には、第1補正初期燃焼量SPの基本燃焼量(初期値補正係数がB1の場合の燃焼量)を第1減量燃焼量(SPに対する第1減量燃焼量)に絞り、再点火後はこれをFF制御の目標値として燃焼装置2が制御される。
即ち次式によって第2減量燃焼量に変更した初期燃焼量FPが演算される。
FP:初期燃焼量(号数)
A2:リトライ係数:1.1(第1減量補正)
B1:初期値補正係数:0.9(第1初期値補正)
即ち次式によって初期燃焼量FPから小燃焼量側に補正した第1補正初期燃焼量SPが演算される。
SP:補正初期燃焼量(号数)
A0:リトライ係数:1.3(初期値)
B2:初期値補正係数:0.8(第2初期値補正)
即ち次式によって第1減量燃焼量に変更した補正初期燃焼量SPが演算される。
SP:補正初期燃焼量(号数)
A1:リトライ係数:1.2(第1減量補正)
B2:初期値補正係数:0.8(第2初期値補正)
即ち初期燃焼量FPから第2補正初期燃焼量SPに変更した後に高温出湯異常が発生した場合であって、且つ給湯装置1内に通水が存在し続けている場合には、再点火後、第2補正初期燃焼量SPの基本燃焼量を第1減量燃焼量(SPに対する第1減量燃焼量)に絞って燃焼装置2がFF制御される。
この状態で、高温出湯異常が発生すると、先の場合と同様に、燃焼開始初期におけるFF制御の燃焼量の目標値を一段階ずつ減少させ(A0からA1,A2へと順次変更)、高温出湯異常が解消されて通常の温度の出湯が実現し、給湯を終えて熱交換器22内の通水が無くなったならば、燃焼開始初期におけるFF制御の目標値を補正初期燃焼量SPの初期値(B1を維持してA3等からA0に変更)に戻す。以後、新たに熱交換器22に通水があれば、燃焼開始初期においては、初期値の目標値でFF制御を行う。
また熱交換器22に通水が維持されている間に、高温出湯異常が所定回数以上繰り返された後に高温出湯異常が解消されて通常の温度の出湯が実現し、給湯を終えて熱交換器22内の通水が無くなったならば、燃焼開始初期におけるFF制御の目標値を最初の補正初期燃焼量SPからさらに低下させる(B1をB2に変更)。
即ち本実施形態では、フィードバック制御機能による正又は負の補正量FBPに注目し、燃焼状態が安定した状態における補正量FBPが小さいことを条件として一旦下げたFF制御の燃焼量の目標値を復帰させる。
以下、この理由を説明する。
このパターンは、前記した様にリトライや学習によって初期燃焼量FPが補正された場合に発生するパターンである。またこのパターンは、給湯栓を始めに少しだけ開き、その後に全開にして流量を急増させた様な場合や、後記するリトライや学習によって初期燃焼量FPが補正された場合に発生するパターンであり、突発的な要因が存在する場合に限られ、給湯装置1の異常や設定の誤りではない。
ただしただ一回だけ補正量FBPが小さいからといってFF制御の目標値を復帰させるのは、偶発的に補正量FBPが小さかった場合を排除できないので、燃焼状態が安定した状態で補正量FBPが小さいという条件を連続して所定回数満足する場合に、補正初期燃焼量SPを一段階ずつ復帰させる。
例えば燃焼状態が安定した状態で補正量FBPが小さいという条件が連続して5回続いた場合には、補正初期燃焼量SPを一段階ずつ復帰させる。
なお、図11、図12のフローチャートでは、工程中に能力切り換えとが無いことを前提としている。即ち前記した様に、本実施形態では、必要な燃焼量に応じて燃焼区画の大小を決定し、当該区画に燃料を供給する電磁弁36,37を開く。また燃焼量が大きく変動した場合は、電磁弁36,37を切り換えて燃焼区画を変更する。この動作を能力切り換えと称する。
能力切り換えを行う場合には、各燃焼エリアへの火移りを円滑に行わしめるため、一旦全ての燃焼エリアのバーナを燃焼させる。そのため一時的に供給熱量が過多となり、出湯温度も一時的に上昇し、前記した図2から図6のいずれの昇温パターンにも当てはまらない昇温過程を辿る。そのため図11、図12で示す工程中に能力切り換えが実行された場合は、ステップ1等に戻す等のクリア作業が実行される。
即ちステップ5、6では、
(1)実際の出湯温度が設定温度に近づいたか否か。
(2)出湯量が安定したか否か。
を確認する。
より具体的には、ステップ5で設定温度Ts と出湯温度Taとを比較し、この差が一定(摂氏2度)未満となったか否かという点と、積算流量があるか否か(所定値S以上、例えば0.2リットル以上流れたか否か)を確認する。
またステップ6では、積算流量が、一定値以上であるか否か(所定値L以上、例えば3リットル以上であるか否か)を確認する。
ステップ5,6のいずれかが満足されれば、ステップ7に移行し、FF制御に加えてFB制御を機能させる。
現在のFF制御の燃焼量の目標値が、通常燃焼量MP以上であるならば、ステップ9に移行し、ただちにFF制御の燃焼量の目標値を初期燃焼量FPから通常燃焼量MPに変更する。
即ちステップ10でタイマの計時を開始し、ステップ11で一定時間の経過を待つ。一定時間が経過すればステップ12に移行し、FF制御の燃焼量の目標値を徐々に通常燃焼量MPに変更する。
そしてステップ13で、現在のFFの燃焼量の目標値が、通常燃焼量MP以上であることが確認されると、ステップ9に移行し、FF制御の燃焼量の目標値を通常燃焼量MPと一致させる。
図12の制御フローは、初期燃焼量FP及び補正初期燃焼量SPを変更する制御であり、左列は、初期燃焼量FP及び補正初期燃焼量SPを減少させて行く制御であり、右列は、減少させた初期燃焼量FP及び補正初期燃焼量SPを復帰させる制御である。
従って一旦MOQがオフとなり、給湯作業が一旦終了した状態となれば、現在のリトライ係数Anに係わらず、リトライ係数Anが初期値に戻る。
図12のフローチャートの説明に戻ると、ステップ3で高温出湯異常の発生の有無を確認する。
ここで高温出湯異常が発生したならば、ステップ4に移行して、燃焼を強制停止し、ステップ5に移行してリトライ係数Anを1段階上げる。例えば、現在のリトライ係数AnがA0(初期値)であるならば、A1(第1減量補正)に変更し、現在のリトライ係数AnがA1(第1減量補正)であるならば、A2(第2減量補正)に変更する。
仮に、現在のリトライ係数AnがA0(初期値)であり、A1(第1減量補正)に変更されたと仮定して説明を続ける。
本実施形態では、ステップ6でダウンカウンタはクリアされるから、正常な給湯が連続して行われなければダウンカウンタは積算加算されない。
リトライの数が5未満である場合には、ステップ1に戻り、MOQのオンオフ状態を確認する。ここでステップ1に戻り、再度MOQのオンオフ状態を確認してMOQがオンである場合とは、例えば使用者が給湯栓を開いて高温出湯異常が発生し、燃焼が停止されたが、依然として給湯栓が開かれたままの状態である様な場合である。
前記した仮定下においては、リトライの回数が2であり、5未満である場合から、ステップ1に戻り、三たびMOQのオンオフ状態を確認する。
こうしてステップ1〜ステップ7を繰り返し、アップカウンタが加算を続けられ、アップカウンタの数が5となると、ステップ8に移行し、初期値補正係数Bnを一段階上げる。例えば、現在の初期値補正係数BnがB0(初期値)であるならば、B1(第1初期値補正)に変更し、現在の初期値補正係数BnがB1(第1初期値補正)であるならば、B2(第2初期値補正)に変更する。
仮に、現在の初期値補正係数BnがB0(初期値)であり、B1(第1初期値補正)に変更されたと仮定して説明を続ける。
もしこれ以降も、MOQがオン状態を続けており、且つ高温出湯異常が発生しつづければ、ステップ1〜ステップ9までの動作を繰り返す。より具体的には、先にステップ1〜7の工程を繰り返す。ここで再度ステップ2に移行して燃焼装置2に再点火され、図11のフローチャートに基づいて燃焼量の制御が並行して行われるが、この時同時に実行されている燃焼量の制御では、初期燃焼量FPが補正初期燃焼量SPに変更されている。またリトライ係数Anは、その都度変更される。
従って一旦、給湯作業が終了してMOQがオフになっても、初期値補正係数Bnはそのまま記憶されており、新たなMOQがオンになった場合には、記憶された初期値補正係数Bnで燃焼制御が行われる。
前記した様にステップ3では、高温出湯異常の発生を確認するが、機器が正常であり、且つ外乱も無いのであれば、高温出湯異常は発生しない。即ち通常の状態においては、大多数の場合、ステップ3はNOとなり、ステップ11以降に移行する。ステップ11〜ステップ13では、一定時間以上、正常な給湯動作を維持しているか否かを検知し、同時にこの間のフィードバック制御機能による正又は負の補正量FBPが所定値以下であるか否かを検知している。
FF量:現在のFF量制御の燃焼量
FBP:現在のFB制御の補正量
従って燃焼開始時の出湯温度の上昇曲線が、前記した図2〜図6のいずれの軌跡を辿ったとしても、出湯温度は安定期に入っている。従って補正量FBPの大小を確認することにより、通常燃焼量MPが適正であるか否かを推定することができる。そして前記した様に、通常燃焼量MPが適正であるならば、補正初期燃焼量SPの補正段階を繰り下げたり、補正初期燃焼量SPを初期燃焼量FPに戻しても構わない。
また一定時間の間、上記した二つの条件を維持し続けておれば、ステップ13からステップ14に移行し、前記したアップカウンタをクリアし、ダウンカウンタに1を加算する。
本実施形態では、ステップ14でアップカウンタがクリアされるから、単一のMOQオン中に連続して高温出湯異常が発生しなければアップカウンタは加算されない。また単一のMOQオン中に正常な給湯が行われた時間が一定以上あれば、アップカウンタがクリアされる。
ダウンカウンタの数が5未満である場合には、ステップ1に戻る。なおフローチャートには表れていないが、ダウンカウンタが加算されるのは、MOQオンが維持されている間に1回限りであり、長時間に渡って連続的に安定して給湯を行っても、ダウンカウンタが連続して加算される訳ではない。
そして遂には、初期値補正係数BnがB0(初期値)に復帰し、補正初期燃焼量SPが初期値たる初期燃焼量FPに戻る。そのため出湯温度の立ち上げ速度が復帰し、使い勝手が向上する。
ただしPI成分(比例と積分)のゲインを通水流に応じて一律の変化率で変化させると、大流量時には出湯温度の収束時間が短くなるが、小流量時には出湯温度の応答速度が遅いため、出湯温度のハンチングが起きる場合がある。
逆にPI成分のゲインが小さい場合には、小流量時には出湯温度の収束時間が短くなるが、大流量時には出湯温度の収束時間が長くなる。
また当該ゲインを小さく設定すると、出湯温度が大きくオーバーシュートした場合に、オーバーシュートからの戻りが遅くなるという問題がある。
例えば次の式によってI成分(積分)を変化させる。
(I成分=Ki・インテグラル{流量・(設定温度Ts−出湯温度Ta)/25})
Ki:I分における本来のゲイン
ここで、Kiを流量による可変方式とするためにKiを次の様に定義して流量が少ないときほどKiが小さくなる様にする。
Ki=A・流量+B
ここで〔C≦Ki≦D〕
A,B,C,D:定数
ただし
(設定温度Ts−出湯温度Ta)の値に制限を設ける。
E≦(設定温度Ts−出湯温度Ta)≦F
A,B,C,D:定数
その結果、各流量における出湯温度の最適な応答特性を満足させることができ、出湯温度の収束時間を短くすることができる。また出湯温度がオーバーシュートしても、戻り速度が早いので、出湯温度がオーバーシュートしても、出湯温度を早期に所望の温度に収束させることができる。
2 燃焼装置
3 燃焼部
5 バーナ
22 熱交換器
23 水量センサー
25 バイパス配管
27 入水温度センサー
28 出湯温度センサー
30 燃料系統
35 ガス比例弁
40 制御装置
Claims (4)
- 燃焼装置と、熱交換器とを有し、前記熱交換器に所定量以上の通水があることを条件として燃焼装置が燃焼し、燃焼熱で熱交換器内の水を加熱し、設定温度の湯を出湯させる給湯装置であって、入水温度と、通水量と、前記設定温度に基づいて燃焼量を演算する燃焼量演算機能を備え、燃焼開始初期においては燃焼量演算機能で演算された初期燃焼量FPを基準として燃焼装置を燃焼させ、且つ出湯温度が異常な高温となった場合には燃焼を停止し、熱交換器に対する通水が所定量以上維持されている場合には燃焼量を初期燃焼量FPから小燃焼量側に補正して燃焼装置を再度燃焼させ、さらに出湯温度が異常な高温となった場合には燃焼を停止し、熱交換器に対する通水が所定量以上維持されている場合には前記補正後の燃焼量から更に小燃焼量側に補正して燃焼装置を再度燃焼させるリトライ機能を備えた給湯装置において、リトライの回数が一定回数以上となった場合であって、一旦熱交換器に対する通水が所定量未満となりその後に熱交換器に対する通水が所定量以上となった場合には、前記初期燃焼量FPを小燃焼側に補正し、当該小燃焼側に補正された補正初期燃焼量SPで燃焼装置を燃焼させ、且つ出湯温度が異常な高温となった場合には燃焼を停止し、熱交換器に対する通水が所定量以上維持されている場合には燃焼量を補正初期燃焼量SPから小燃焼量側に補正して燃焼装置を再度燃焼させ、さらに出湯温度が異常な高温となった場合には燃焼を停止し、熱交換器に対する通水が所定量以上維持されている場合には前記補正後の燃焼量から更に小燃焼量側に補正して燃焼装置を再度燃焼させることを特徴とする給湯装置。
- 燃焼量演算機能に加えて出湯温度をフィードバックして燃焼装置の燃焼量を補正制御するフィードバック制御機能を備え、燃焼量演算機能によって演算された燃焼量と、フィードバック制御機能による正又は負の補正量FBPによって燃焼装置を燃焼させるものであり、前記燃焼量演算機能は設定温度または設定温度の近傍に水を加熱することができる通常燃焼量MPを演算することが可能であり、前記初期燃焼量FPは通常燃焼量MPよりも大きい燃焼量であって設定温度以上に水を加熱することができる燃焼量であり、前記補正初期燃焼量SPは前記通常燃焼量MP以上又は以下の燃焼量であり、熱交換器に対する通水が所定量未満である状態から通水が所定量以上となった場合における燃焼開始初期においては前記初期燃焼量FP又は補正初期燃焼量SPで燃焼装置を燃焼させ、一定の条件を充足後は通常燃焼量MPと、フィードバック制御機能による正又は負の補正量FBPによって燃焼装置を燃焼させるものであり、前記補正初期燃焼量SPで燃焼装置が燃焼を開始した場合であって、前記一定の条件を充足後のフィードバック制御機能による正又は負の補正量FBPが所定量以下となったことを条件の一つとして補正初期燃焼量SPを初期燃焼量FPに復帰させることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
- 燃焼開始初期においてはフィードバック制御機能を働かせず、燃焼開始後からの積算出湯量が所定値S以上であり且つ出湯温度が所定の温度以上となった場合、あるいは燃焼開始後からの積算出湯量が前記Sよりも多量の所定値L以上となった場合にフィードバック制御機能を働かせ、通常燃焼量MPとフィードバック制御機能による正又は負の補正量FBPを付加して燃焼装置を燃焼させることを特徴とする請求項2に記載の給湯装置。
- 補正初期燃焼量SPが通常燃焼量MPよりも小さい場合には、補正初期燃焼量SPで燃焼されている状態から、通常燃焼量MPとフィードバック制御機能による正又は負の補正量FBPを付加して燃焼装置を燃焼させる状態に徐々に移行させることを特徴とする請求項2又は3に記載の給湯装置。
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