JP2021004965A - トナー - Google Patents

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JP2021004965A JP2019118234A JP2019118234A JP2021004965A JP 2021004965 A JP2021004965 A JP 2021004965A JP 2019118234 A JP2019118234 A JP 2019118234A JP 2019118234 A JP2019118234 A JP 2019118234A JP 2021004965 A JP2021004965 A JP 2021004965A
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隆穂 柴田
小堀 尚邦
Naokuni Kobori
尚邦 小堀
三浦 正治
Masaharu Miura
正治 三浦
剛 大津
Takeshi Otsu
剛 大津
陽介 岩崎
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陽介 岩崎
山下 大輔
Daisuke Yamashita
大輔 山下
和起子 勝間田
Wakiko Katsumata
和起子 勝間田
仁思 佐野
Hitoshi Sano
仁思 佐野
健太 満生
Kenta Mansho
健太 満生
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Yuichi Mizoo
祐一 溝尾
隼人 井田
Hayato Ida
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Abstract

【課題】低温定着性と高温高湿度環境下においても帯電維持性が高いレベルで両立できるトナー、およびその製造方法を提供する。【解決手段】非晶性樹脂および結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体を含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体は、別途示されるモノマーユニットY1とモノマーユニットY2とを有し、前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の水酸基価が、20mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、前記トナー粒子中の前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の含有量が、前記トナー粒子中の非晶性樹脂100質量部に対して1以上30質量部以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成方法において使用するトナーに関する。
近年、画像形成に際して、省エネルギー化への要求の高まりに伴い、トナーの定着温度をより低温化させる取り組みが採られるようになってきている。その一つとして、軟化温度の低いポリエステルを用いることで、さらに定着温度を下げることが提案されている。ところが、軟化温度が低いために、保存時や輸送時等の静置状態下でトナー同士が融着してしまいブロッキングが発生することがある。
そこでブロッキング耐性と低温定着性の両立の手段として、融点を超えると粘度が大きく低下するシャープメルト性を有した結晶性樹脂を用いる技術が提案されている。(特許文献1)しかしながら、結着樹脂として結晶性樹脂である結晶性ポリエステルを単独で用いる場合、結晶性ポリエステルの電気抵抗の低さに起因して、摩擦帯電後に徐々にトナーの電荷が逃げてしまうことが大きな課題であった。
そこで、結晶性ポリエステルの添加量を下げ、結晶性ポリエステルと相溶性の高い非晶性樹脂を混合して用いたトナーが提案されている(特許文献2)。
また、結晶性ポリエステルのエステル基濃度を一定量以下にすることで、極性を下げて電気抵抗を改善した結晶性ポリエステルが提案されている。(特許文献3)
また、結晶性ポリエステルと同様の作用を示すものとして、炭素数16以上の長鎖炭化水素骨格を有するアルコール化合物、エステル化合物、アミド化合物、カルボン酸化合物などの極性官能基を含有する低分子結晶性化合物を用いる技術が提案されている。(特許文献3)
特開平4−120554号公報 特開2011−81355号公報 特開2008−281884号公報
上記特許文献2に開示されているように、結着樹脂として結晶性ポリエステルと共に、非晶性樹脂を含有するトナーの場合、相溶性の高い樹脂同士を組み合わせると、シャープメルト性が良化し、低温定着性が向上する。しかしながら、非晶性樹脂との相溶性を高めるためには、より極性の低い結晶性ポリエステルの極性を高める必要があるため、電気抵抗が低い結晶性ポリエステルに起因した帯電保持性の低下が誘起され、帯電性が低下する場合があった。
上記特許文献3に開示されているように、結晶性ポリエステルのエステル基濃度を調整し、低極性化させた場合、結晶性ポリエステルの電気抵抗が高くなることで、帯電性は良化するものの、同時に非晶性樹脂との極性差が広がり、相溶性が下がる。このため、低温定着性は十分ではない場合があった。
すなわち、従来の結晶性ポリエステルと非晶性樹脂とを含むトナーの場合、低温定着性と帯電性とがトレードオフの関係である。このため、結晶性ポリエステルの極性を制御し、結晶性樹脂と非晶性樹脂との相溶性を制御するだけでは、低温定着性と帯電性とを高いレベルで両立することは難しかった。
上記特許文献3に開示されているように、結晶性ポリエステルの代わりに、極性官能基を含有する低分子結晶性化合物をトナーに含有した場合も同様に、高温高湿度環境下において、摩擦帯電後に徐々に電荷が逃げてしまう場合があった。特に高温高湿度環境下での帯電性が十分ではなかった。極性官能基を含有する低分子結晶性化合物としては、炭素数16以上の長鎖炭化水素骨格を有するアルコール化合物、エステル化合物、アミド化合物、またはカルボン酸化合物などが挙げられる。高温高湿度環境下での帯電性が十分ではないことは、前記低分子結晶性化合物が、非晶性樹脂との相溶性を高めるために高極性の官能基を含有していることに起因している。すなわち、非晶性樹脂がポリエステルやスチレンアクリル樹脂などトナーの結着樹脂として一般的に使用される樹脂の場合、上記の官能基は極性が高いほど、非晶性樹脂と炭素数16以上の長鎖炭化水素骨格を有する低分子結晶性化合物との相溶性は高まる。このため、低温定着性は良好となるが、官能基の極性の高さが起因して高温高湿度環境下における帯電性が低下してしまうというトレードオフの関係であった。
そこで本発明の目的は、低温定着性と高温高湿度環境下における帯電維持性とが高いレベルで両立できるトナーを提供することである。
本発明者らは、可塑剤由来の帯電性を良化させるために、体積抵抗が高く、ガラス転移温度が室温以下である結晶性樹脂である、エチレンやプロピレンなどのオレフィン系化合物に由来するモノマーユニットを有する共重合体に着目した。
本発明者らは、オレフィン系材料と非晶性樹脂との相溶性を改善させるために、オレフィン系材料中に水酸基を含有させ、極性を向上させることで低温定着性を良化させる検討を試みた。
水酸基を有するオレフィン系樹脂として、食品包装用途などに一般的に使用されているエチレンポバール(EVOH:エチレン−ビニルアルコール共重合体)を用いた検討を実施した。その結果、該材料では相溶性の向上は確認できたものの、該材料の融点が高いため低温定着性は十分ではなく、多量の水酸基の極性に起因した帯電保持性にも課題があった。
そこで、本発明者らのさらなる検討の結果、水酸基価が、20mgKOH/g以上200mgKOH/g以下の結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体を可塑剤として用いることで低温定着性、帯電保持性に優れたトナーが得られた。オレフィン系水酸基含有共重合体の水酸基の含有量を制御することで、水素結合に起因した分子間力が弱まるため、融点が低下する。また、水酸基価を上記範囲に制御した場合、本発明の結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体は、水酸基を有するにも関わらず、同等の溶解度パラメーター(極性)を有する従来の結晶性化合物と比較して大幅に高抵抗になり、帯電保持性が向上した。詳細は不明だが、電荷漏洩を誘起する極性の高い水酸基が極性の低いオレフィン部位中でミクロ相分離を起こすために、水酸基の運動性が低下し、抵抗が高まったものと考えている。
すなわち、本発明は、非晶性樹脂および結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体は、下記式(1)で示されるモノマーユニットY1と下記式(2)で示されるモノマーユニットY2とを有し、
前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の水酸基価が、20mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、
前記トナー粒子中の前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の含有量が、前記トナー粒子中の非晶性樹脂100質量部に対して1以上30質量部以下である。
Figure 2021004965
Figure 2021004965
(前記式(1)及び(2)中、RはH又はCHを示し、RはH又はCHを示す。)
本発明によれば、低温定着性と高温高湿度環境下における帯電維持性とが高いレベルで両立できるトナーを提供することができる。
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
また、モノマーユニットとは、ポリマー又は樹脂中のモノマー物質の反応した形態をいう。
本発明のトナーは、非晶性樹脂および結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体は、下記式(1)で示されるモノマーユニットY1と下記式(2)で示されるモノマーユニットY2とを有し、
前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の水酸基価が、20mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、
前記トナー粒子中の前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の含有量が、前記トナー粒子中の非晶性樹脂100質量部に対して1以上30質量部以下である。
Figure 2021004965
Figure 2021004965
(前記式(1)及び(2)中、RはH又はCHを示し、RはH又はCHを示す。)
本発明において、結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体とは、ポリオレフィン骨格に、共重合などの手段で水酸基を有するモノマーユニットが導入された高分子である。具体的には上記式(1)で示されるモノマーユニットY1と、上記式(2)で示されるモノマーユニットY2を有する。
以下、式(1)で示されるモノマーユニットY1、及び、式(2)で示されるモノマーユニットY2に関し具体的に説明する。
式(1)で示されるモノマーユニットY1、及び、式(2)で示されるモノマーユニットY2において、RがH、及び、RがHである結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体(以下、エチレン−ポバールともいう)が融点を低く設計できる。このため低温定着性の観点から好ましい。
該結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体は、1種又は複数種含有されてもよい。
また、結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の全質量をWとし、
式(1)で示されるモノマーユニットY1の質量をlとし、
式(2)で示されるモノマーユニットY2の質量をmとしたときに、
低温定着性や帯電維持性の観点から、樹脂成分に含まれる結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体における(l+m)/Wの値は、0.80以上であることが好ましく、0.95以上であることがより好ましく、1.00であることがさらに好ましい。
該結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体は、該モノマーユニットY1及びモノマーユニットY2以外のモノマーユニットを含有してもよい。本発明の効果を損なわなければ特に限定はされないが、例えば、下記式(3)で示されるモノマーユニットや、下記式(4)で示されるモノマーユニットや、下記式(5)で示されるモノマーユニットなどが挙げられる。
これらは、結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体を製造する共重合反応の際に、相当するモノマーを添加することや、結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体を高分子反応により変性させることで導入することができる。
Figure 2021004965
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(前記式(5)中、RはH又はCHを示し、RはCH又はCを示す。)
低温定着性の観点から、本発明における結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の含有量は、後述する非晶性樹脂100質量部に対して、1質量部以上、30質量部以下である。該結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体を、非晶性樹脂100質量部に対し15質量部以上含有させることによって、低温定着性がより良好になる。また、該結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体を30質量部以下含有することによって、帯電性が向上する。
本発明における結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体は、後述する非晶性樹脂を含有するマトリックス中で相分離しており、ドメインを形成している。前記のようなマトリックスドメイン構造は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いたトナーの断面観察により、以下のように測定する。
まず、観察すべきトナー粒子を常温硬化性のエポキシ樹脂中に十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で1日間以上硬化反応させて、トナーを包埋した硬化物を得る。次に、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用いて、硬化物から超薄膜切片を切り出し、得られた薄膜切片を四酸化ルテニウム及び/または四酸化オスミニウムにて染色を施した。その後、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、トナー粒子1個の断面が視野に入る倍率(約10000倍)にて写真撮影する。四酸化ルテニウムや四酸化オスミニウムで染色することで、トナーに含有する結晶化度の異なる成分がコントラストを持って染色される。このため、透過型電子顕微鏡観察により、トナー中に含有する結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体のドメインを同定することができる。
本発明のトナーにおいて、必要に応じて添加する離型剤を含む場合、結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体のドメインと離型剤のドメインとは、たとえば、以下の方法で同定することができる。
まず、観察すべきトナー粒子を常温硬化性のエポキシ樹脂中に十分に分散させた後、温度40℃の雰囲気中で1日間以上硬化反応させて、トナーを包埋した硬化物を得る。次に、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用いて、トナーを包埋した硬化物の断面を出し、断面が露出した状態の硬化物を離型剤のみが溶解するような有機溶剤(例えばヘキサン)中に3時間浸漬し、離型剤ドメインのみを抽出する。その後、温度40℃の雰囲気中で1日間以上硬化物を乾燥し、超薄膜切片を切り出し、得られた薄膜切片を四酸化ルテニウム及び/または四酸化オスミニウムにて染色を施した。その後、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、トナー粒子1個の断面が視野に入る倍率(約10000倍)にて写真撮影する。離型剤のドメインは上記工程でヘキサン中に溶解するため、得られるTEM画像では、離型剤のドメイン部分は空隙を形成し、結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体のドメインのみが染色される。
また、異なる方法としてはEDAX(エネルギー分散型X線分析)のようなX線による元素分析により、離型剤、結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体が特有の元素を含有する場合は上記手法のように分離作業をすることなく、同定することができる。
本発明における結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体を含有するドメインのサイズは、10nm以上、500nm以下であることが好ましい。ドメインのサイズが小さいほど可塑効果が向上することから、前記ドメインサイズは、10nm以上、300nm以下であることが好ましい。前記ドメインサイズは、後述する非晶性樹脂との相溶性に由来した化学的な親和性と、製造条件などによって制御することができる。
本発明における結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の水酸基価は、低温定着性、帯電保持性の観点から20mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましく、20mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。
該水酸基価が200mgKOH/g以下であることで、融点が低下し、トナーの低温定着性と帯電保持性がより向上する。
一方、該水酸基価が20mgKOH/gであることで、水酸基に起因して後述する非晶性樹脂との相溶性が高まり、低温定着性が向上する。
本発明の結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体が極性基である水酸基を有するにも関わらず帯電維持性が良好な理由は定かではないが、樹脂中の該水酸基がオレフィン部位中でミクロ相分離し、水酸基の運動性が下がったためではないかと考えられる。
水酸基価とは,試料1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の水酸基価の水酸基価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(試薬の準備)
特級無水酢酸25gをメスフラスコ100mLに入れ、ピリジンを加えて全量を100mLにし、十分に振りまぜてアセチル化試薬を得る。得られたアセチル化試薬は、湿気、炭酸ガス等に触れないように、褐色びんにて保存する。フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95vol%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。特級水酸化カリウム35gを20mLの水に溶かし、エチルアルコール(95vol%)を加えて1lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間静置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.5モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.5モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成されたものを用いる。
(水酸基価測定)
結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の試料1.0gを200mL丸底フラスコに精秤し、これに前記のアセチル化試薬5.0mLをホールピペットを用いて正確に加える。この際、試料がアセチル化試薬に溶解しにくいときは、特級トルエンを少量加えて溶解する。フラスコの口に小さな漏斗をのせ、約97℃のグリセリン浴中にフラスコ底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首の温度が浴の熱を受けて上昇するのを防ぐため、丸い穴をあけた厚紙をフラスコの首の付根にかぶせることが好ましい。1時間後、グリセリン浴からフラスコを取り出して放冷する。放冷後、漏斗から水1mLを加えて振り動かして無水酢酸を加水分解する。さらに完全に加水分解するため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱する。放冷後、エチルアルコール5mLで漏斗およびフラスコの壁を洗う。指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
続いて、結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の試料を用いない空滴定を、上記操作と同様に行う。
得られた結果を下記式に代入して、水酸基価を算出する。
A=[{(B−C)×28.05×f}/S]+D
ここで、A:水酸基価(mgKOH/g)、B:空滴定試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)、D:結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の酸価(mgKOH/g)である。
上記各式で示されるモノマーユニットの質量[l]及び[m]、並びに、モノマーユニットY2の含有量は一般的な分析手法を用いて測定することができる。
例えば、核磁気共鳴法(H−NMR)や熱分解ガスクロマトグラフィー法などの手法が適用できる。
以下、H−NMRを用いた測定方法を示す。
例えば、式(1)で示されるモノマーユニットのアルキレン基の水素原子の積分値、式(2)で示されるモノマーユニットの水酸基が結合するメチン基の水素原子の積分値を比較することで、各モノマーユニットの含有比率が算出できる。
具体的には、エチレン−ポバール共重合体における各モノマーユニットの含有比率は下記の装置を用いて以下の方法で算出する。
装置:JNM−ECZR series FT NMR(JEOL日本電子社製)
0.00ppmの内部標準としてのテトラメチルシラン、及び、添加剤としてのテトラフルオロ酢酸(TFA)を含む重ジメチルスルホキシド(DMSO)0.5mLに、試料約5mgを溶解させる。得られた溶液を試料管に入れ、繰り返し時間を2.7秒、積算回数を16回の条件でH−NMRスペクトルを測定する。
1.1−1.4ppmのピークがエチレンに由来するモノマーユニットのCH−CHに相当し、3.0−4.0ppm付近のピークがビニルアルコールに由来するモノマーユニットのCHに相当する。それらのピークの積分値の比を計算して、各モノマーユニットの含有比率を算出する。
また、本発明に係る結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の融点は、80℃以上150℃以下であることが好ましい。
トナーの耐久性の観点から、融点は80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましい。一方、低温定着性の観点から、融点は150℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましく、110℃以下であることがより一層好ましい。オレフィン系水酸基含有共重合体の融点は、例えば、水酸基を有するモノマーユニット(すなわち、モノマーユニットY2)の含有量で制御することができる。
なお、上記融点は示査走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。具体的には、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温から昇温速度10℃/minでサンプルを昇温しながら熱量測定を行う。次いで、得られたDSC曲線より、吸熱ピークのピーク温度を融点とする。また、トナー中に存在する結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の融点も同様の手法で測定できる。その際に、トナー中に存在する離型剤による融点が観察される場合がある。離型剤の融点と結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の融点との判別は、トナーからヘキサン溶媒を使用したソックスレー抽出によって離型剤を抽出し、離型剤単体の示査走査熱量測定を上記方法で行い、得られた融点とトナーの融点を比較することにより行う。
前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の軟化点(Tm)は、トナー使用時の衝撃や圧力に耐える観点から、100℃以上160℃以下であることが好ましい。
該軟化点(Tm)は、前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の分子量を変えることで制御することが可能であり、分子量を大きくすることで軟化点を上げることができる。
本発明において、軟化点(Tm)は、荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」((株)島津製作所製)を用い、装置付属のマニュアルに従って測定する。
本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させながら溶融する。そして、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストンの降下量(mm)と温度(℃)から流動曲線をグラフ化できる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。
なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。
まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量(流出終了点、Smaxとする)と、流出が開始した時点におけるピストンの降下量(最低点、Sminとする)との差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminとの和となるときの流動曲線の温度を、1/2法における溶融温度とする。
試料には、1.2gの試料を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、標準手動式ニュートンプレス NT−100H、エヌピーエーシステム(株)製)を用いて10MPaで、60秒間圧縮成型し、直径8mmの円柱状としたものを用いる。
測定における具体的な操作は、装置に付属のマニュアルに従って行う。
CFT−500Dの測定条件は、以下のとおりである。
試験モード:昇温法
開始温度:60℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):5.0kgf
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
該結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の製造方法は、特に限定されないが、製造の容易性から、エチレン−酢酸ビニル共重合体を加水分解する製造方法が挙げられる。
具体的には、酢酸ビニル由来のモノマーユニットの含有量が4質量%以上34質量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体を、トルエンとエタノールの混合溶媒中で水酸化ナトリウムを用いて90℃の条件でリフラックスする製造方法が挙げられる。
なお、本発明の結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の高温高湿度下での帯電保持性は、以下の方法にて測定できる。結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体0.01gをアルミパンに計量し、ストロコロン帯電装置を用いて−600Vに帯電させる。続いて、温度30℃、相対湿度80%の雰囲気下で表面電位計(トレックジャパン製:model347)を用いて表面電位の変化挙動を30分間測定する。測定結果を下記式に代入して電荷保持率を算出し、その絶縁性を評価できる。
30分後の電荷保持率(%)=[30分後の表面電位]/[初期表面電位]×100
前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体単体の30分後の電荷保持率(%)は、80%を超える方が好ましく、90%を超える方がさらに好ましい。前記電荷保持性は、結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体が前述の化学構造を含有することで前記範囲を満足する。
次に、前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体と相溶する、本発明における非晶性樹脂について以下に詳細に記載する。
本発明において、非晶性樹脂は、トナーに通常用いられる公知の重合体を使用することが可能である。
具体的には、下記の重合体を用いることが可能であり、これらは2つ以上組み合わせて用いても良い。
ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、非晶性ポリエステル、結晶性ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂。これらの中で、低分子量であっても強度に優れるため、低温定着性と機械的強度とを両立できる非晶性ポリエステルが好ましい。
非晶性ポリエステルとしては、アルコールモノマーとカルボン酸モノマーが縮重合したものが用いられる。
アルコールモノマーとしては以下のものが挙げられる。ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン。
一方、カルボン酸モノマーとしては、以下のものが挙げられる。フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物。
また、その他にも以下のモノマーを使用することが可能である。
グリセリン、ソルビット、ソルビタン、さらには例えばノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類;トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸類。
それらの中でも、特に、
2価アルコールモノマー成分としてビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を50モル%以上含み、
2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸モノマー成分として含む、
これらのポリエステルユニット成分で縮重合した非晶性ポリエステルが、上記非晶性樹脂のSP値(溶解度パラメーター)と該結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体のSP値との差が小さくなり、相溶性が高まることからより好ましい。
本発明の非晶性樹脂と該結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体とが相溶する組み合わせを選択するためには、以下を考慮するとよい。
本発明で、用いる非晶性樹脂と結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体とのソルビリティパラメータ値(SP値)の差の絶対値(ΔSP値)が、0.0以上2.5以下であることが好ましい。前記差の絶対値(ΔSP値)は、0.0以上2.0以下であることがより好ましく、0.00以上1.8以下であることがさらに好ましい。
上記SP値は、Fedorsの式を用いて求めることができる。ここで、Δei、及びΔviの値は著「コーティングの基礎科学」54〜57頁、1986年(槇書店)の表3〜9による原子及び原子団の蒸発エネルギーとモル体積(25℃)」を参照した。
式:δi=[Ev/V](1/2)=[Δei/Δvi](1/2)
Ev:蒸発エネルギー
V:モル体積
Δei:i成分の原子又は原子団の蒸発エネルギー
Δvi:i成分の原子又は原子団のモル体積
例えば、ノナンジオールとセバシン酸からなる結晶性ポリエステルは、繰り返し単位として、原子団(−COO)×2+(−CH)×17から構成され、計算SP値は下記式によって求められる。
δi=[Δei/Δvi](1/2)=[{(4300)×2+(1180)×17}/{(18)×2+(16.1)×17}](1/2)
SP値(δi)は9.63となる。
本発明の非晶性樹脂のガラス転移温度は、30℃以上、80℃以下であることが好ましい。30℃より小さい場合は、保存性が悪くなり、かつ高温高湿度環境下で樹脂の分子運動に起因した抵抗低下が誘起され帯電性が低下する。一方、ガラス転移温度80℃より高い場合は定着性に劣る。また、ガラス転移温度が40℃以上であることが保存性の観点からより好ましい。また、ガラス転移温度が70℃以下であることが定着性の観点からより好ましい。
なお、上記ガラス転移温度(Tg)は、DSC(メトラー・トレド(株)製: DSC822/EK90)を用いて測定する。具体的には、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで−100℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/minで昇温しながら熱量測定を行う。次いで、得られたDSC曲線より、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線のこう配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
本発明において、非晶性樹脂の軟化温度(Tm)は、70℃以上150℃以下であることが好ましく、80℃以上140℃以下であることがより好ましく、80℃以上130℃以下であることがさらに好ましい。Tmが上記の温度範囲内であれば、耐ブロッキング性と耐オフセット性との両立が良好に図られ、さらに、高温時において定着時のトナー溶融成分の紙への染込みが程度となり、良好な表面平滑性が得られる。
本発明において、非晶性樹脂の軟化温度の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」((株)島津製作所製)を用いて行った。なお、CFT−500Dは、上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させながら溶融してシリンダ底部の細管孔から押し出し、この際のピストンの降下量(mm)と温度(℃)から流動曲線をグラフ化できる装置である。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化温度(Tm)とした。
なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。
まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量(流出終了点、Smaxとする)と、流出が開始した時点におけるピストンの降下量(最低点、Sminとする)との差の1/2を求めた(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、ピストンの降下量がXとSminとの和となるときの流動曲線の温度を、1/2法における溶融温度とした。
測定試料は、約1.2gの結着樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、標準手動式ニュートンプレス NT−100H、エヌピーエーシステム(株)製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
測定における具体的な操作は、装置に付属のマニュアルに従って行なう。
CFT−500Dの測定条件は、以下のとおりである。
試験モード:昇温法
開始温度:60℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):5.0kgf
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
本発明のトナー製造方法は、少なくとも、上記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体、上記非晶性樹脂を含有するトナー粒子が得られるものであればよい。粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法などの公知のトナーの製造方法で造粒することが可能であり、特に限定されるものではない。
以下、粉砕法でのトナー製造手順の一例について説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、非晶性樹脂、結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体、必要に応じて離型剤、着色剤、及び荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、非晶性樹脂および結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体中に離型剤等を分散させる。混練吐出温度は、使用する非晶性樹脂および結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体、着色剤によって適宜調整可能であるが一般的には100〜180℃が好ましい。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーなどのバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機((株)神戸製鋼所製)、TEM型2軸押出機(東芝機械(株)製)、PCM混練機(池貝鉄工社製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、下記の粉砕機で粗粉砕した後、さらに、例えば、下記の微粉砕機で微粉砕する。
粉砕機:クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルなど
微粉砕機:クリプトロンシステム(川崎重工業(株)製)、スーパーローター(日清エンジニアリング(株)製)、ターボ・ミル(フロイントターボ社製)やエアージェット方式による微粉砕機
その後、必要に応じて下記の分級機や篩分機を用いて分級し、分級品(トナー粒子)を得る。
分級機や篩分機:慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)など
中でも、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)は、分級と同時にトナー粒子の球形化処理を行うことができ、転写効率の向上という点で好ましい。
また、必要に応じて、粉砕後に、下記の表面処理装置を用いて、球形化処理などのトナー粒子の表面処理を行うこともできる。
表面処理装置:ハイブリタイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック工業(株)製)など
トナーの平均円形度は、転写性の向上とクリーニング性を両立する観点から0.930以上0.985以下であることが好ましい。粉砕法にてトナーを製造する場合、上記平均円形度のトナーを製造するには、トナー粒子に球形化処理などの表面処理や熱処理による表面処理を行うことで製造することができる。
さらに、必要に応じて、トナー粒子の表面に外添剤が外添処理される。外添剤を外添処理する方法としては、分級されたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、下記の混合装置を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
混合装置:ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)、ノビルタ(ホソカワミクロン(株)製)等
続いて、本発明のトナーに必要に応じて添加する着色剤、および離型剤について記載する。
<着色剤>
着色剤は、少なくとも公知の有機顔料、カーボンブラックなどの顔料を含有している。着色剤はさらに、染料を含有していても良い。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254が挙げられる。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性粉体、あるいは、前記イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、単独または混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。本発明に用いる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナーへの分散性の点から選択される。
シアン着色剤、マゼンタ着色剤、イエロー着色剤又は黒色着色剤の含有量は、トナーを構成する樹脂である非晶性樹脂および結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体100質量部に対し1〜20質量部であることが好ましい。
<離型剤>
離型剤としては、以下のものが挙げられる。ポリエチレンの如き低分子量ポリオレフィン類;加熱により融点(軟化点)を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;ステアリン酸ステアリルの如きエステルワックス類;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油の如き植物系ワックス;ミツロウの如き動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エステルワックスの如き鉱物・石油系ワックス;及びそれらの変性物。
離型剤の含有量は、トナーを構成する樹脂である非晶性樹脂および結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体100質量部に対し1〜25質量部であることが好ましい。1質量部未満である場合、高温での定着性が不十分となり、25質量部を超えるとトナー表層に露出する場合がある。
<実施例>
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて更に詳細に説明するが、これらは本発明の技術的範囲をなんら限定するものではない。
<結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体;EVOH−Aの製造例>
下記のエチレン−酢酸ビニル共重合体A 100部を、トルエン500mLとエタノール500mLとの混合溶媒(温度90℃)中で溶解させた。
エチレン−酢酸ビニル共重合体A(酢酸ビニルに由来するモノマーユニットの含有量:15質量%、酸価:0mgKOH/g、重量平均分子量:110000、軟化点(Tm):128℃、融点:86℃)
続いて、水酸化ナトリウム10部を添加し、6時間リフラックスを行った。その後、エタノールで洗浄することでEVOH−A(エチレン−ポバール共重合体;すなわち、結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体)を得た。得られた共重合体の物性を表1に示す。
<結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体;EVOH−Bの製造例>
前記のエチレン−酢酸ビニル共重合体Aの代わりに下記のエチレン−酢酸ビニル共重合体Bを使用した以外はEVOH−Aの製造例と同様にしてEVOH−Bを製造した。
エチレン−酢酸ビニル共重合体B(酢酸ビニルに由来するモノマーユニットの含有量:28質量%、酸価:0mgKOH/g、Tm:115℃、融点:69℃)
得られた共重合体の物性を表1に示す。
<結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体;EVOH−Cの製造例>
前記のエチレン−酢酸ビニル共重合体Aの代わりに下記のエチレン−酢酸ビニル共重合体Cを使用した以外はEVOH−Aの製造例と同様にしてEVOH−Cを製造した。
エチレン−酢酸ビニル共重合体C(酢酸ビニルに由来するモノマーユニットの含有量:15質量%、酸価:0mgKOH/g、Tm:98℃、融点:81℃)
得られた共重合体の物性を表1に示す。
<結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体;EVOH−Dの製造例>
前記のエチレン−酢酸ビニル共重合体Aの代わりに下記のエチレン−酢酸ビニル共重合体Dを使用した以外はEVOH−Aの製造例と同様にしてEVOH−Dを製造した。
エチレン−酢酸ビニル共重合体D(酢酸ビニルに由来するモノマーユニットの含有量:15質量%、酸価:0mgKOH/g、Tm:155℃、融点:89℃)
得られた共重合体の物性を表1に示す。
<結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体;EVOH−Eの製造例>
前記のエチレン−酢酸ビニル共重合体Aの代わりに下記のエチレン−酢酸ビニル共重合体Eを使用した以外はEVOH−Aの製造例と同様にしてEVOH−Eを製造した。
エチレン−酢酸ビニル共重合体E(酢酸ビニルに由来するモノマーユニットの含有量:5質量%、酸価:0mgKOH/g、Tm:140℃、融点:105℃)
得られた共重合体の物性を表1に示す。
<結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体;EVOH−Fの製造例>
前記のエチレン−酢酸ビニル共重合体Aの代わりに下記のエチレン−酢酸ビニル共重合体Fを使用した以外はEVOH−Aの製造例と同様にしてEVOH−Fを製造した。
エチレン−酢酸ビニル共重合体F(酢酸ビニルに由来するモノマーユニットの含有量:3質量%、酸価:0mgKOH/g、Tm:138℃、融点:110℃)
得られた共重合体の物性を表1に示す。
<結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体;EVOH−Gの製造例>
前記のエチレン−酢酸ビニル共重合体Aの代わりにエチレン−酢酸ビニル−スチレン共重合体Aを使用した以外は、EVOH−Aの製造例と同様にしてEVOH−Gを製造した。
エチレン−酢酸ビニル−スチレン共重合体A(R=H、R=H、R=CH、モノマーユニットY2の含有量:15質量%、エチレンユニット/酢酸ビニルユニット/スチレンユニットの重合比率:81/15/4、水酸基価=0mgKOH/g、融点:75℃、Tm:130℃)
得られた共重合体の物性を表1に示す。
<結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体;EVOH−Hの製造例>
前記のエチレン−酢酸ビニル共重合体Aの代わりに下記のエチレン−酢酸ビニル−スチレン共重合体EVA−Cを使用した以外は、EVOH−Aの製造例と同様にしてEVOH−Hを製造した。
エチレン−酢酸ビニル−スチレン共重合体EVA−C(R=H、R=H、R=CH、モノマーユニットY2の含有量:5質量%、エチレンユニット/酢酸ビニルユニット/スチレンユニットの重合比率:70/5/25、水酸基価=0mgKOH/g、融点:71℃、Tm:118℃)
得られた共重合体の物性を表1に示す。
<非晶性樹脂Aの製造例>
ジオール成分:
・ポリオキシプロピレン(2.8)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
:100モル部
ジカルボン酸成分:
・テレフタル酸 :85モル部
・アジピン酸 :15モル部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対を備えた反応槽に、上記モル比にてモノマー成分を投入し、上記混合物100質量部に対しオルトチタン酸テトライソプロピル0.10質量部を加え、次に反応槽内を窒素ガスで置換した。その後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、非晶性樹脂Aを得た。
得られた非晶性樹脂Aは、ピーク分子量(Mp)が5000、軟化点(Tm)が90℃、ガラス転移温度(Tg)が52℃であった。
<非晶性樹脂Bの製造例>
ジオール成分:
・ポリオキシプロピレン(2.8)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
:100モル部
ジカルボン酸成分、多価カルボン酸成分:
・テレフタル酸 :65モル部
・アジピン酸 :15モル部
・トリメリット酸 :20モル部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対を備えた反応槽に、上記モル比にてモノマー成分を投入し、上記混合物100質量部に対しオルトチタン酸テトライソプロピル0.10質量部を加え、次に反応槽内を窒素ガスで置換した。その後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、非晶性樹脂Bを得た。
得られた非晶性樹脂Bは、ピーク分子量(Mp)が8700、軟化点(Tm)が142℃、ガラス転移温度(Tg)が57℃であった。
<非晶性樹脂Cの製造例>
ジオール成分:
・ポリオキシプロピレン(2.8)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
:50モル部
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
:50モル部
ジカルボン酸成分、多価カルボン酸成分:
・テレフタル酸 :65モル部
・アジピン酸 :15モル部
・トリメリット酸 :20モル部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対を備えた反応槽に、上記モル比にてモノマー成分を投入し、上記混合物100質量部に対しオルトチタン酸テトライソプロピル0.10質量部を加え、次に反応槽内を窒素ガスで置換した。その後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、非晶性樹脂Cを得た。
得られた非晶性樹脂Cは、ピーク分子量(Mp)が5500、軟化点(Tm)が94℃、ガラス転移温度(Tg)が50℃であった。
<非晶性樹脂Dの製造例>
ジオール成分:
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
:100モル部
ジカルボン酸成分、多価カルボン酸成分:
・テレフタル酸 :65モル部
・アジピン酸 :15モル部
・トリメリット酸 :20モル部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対を備えた反応槽に、上記モル比にてモノマー成分を投入し、上記混合物100質量部に対しオルトチタン酸テトライソプロピル0.10質量部を加え、次に反応槽内を窒素ガスで置換した。その後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、非晶性樹脂Dを得た。
得られた非晶性樹脂Dは、ピーク分子量(Mp)が5700、軟化点(Tm)が94℃、ガラス転移温度(Tg)が49℃であった。
<非晶性樹脂Eの製造例>
・スチレン 70質量部
・アクリル酸n−ブチル 24質量部
・マレイン酸モノブチル 6質量部
・2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン 1質量部
四つ口フラスコ内でキシレン200質量部を撹拌しながら四つ口フラスコ内を十分に窒素で置換し、120℃に昇温させた後、上記各成分を3.5時間かけて四つ口フラスコ内に滴下した。更にキシレン還流下で重合を完了し、減圧下で溶媒を蒸留除去してビニル系樹脂(I)を得た。得られたビニル系樹脂(I)のGPCによる分子量測定の結果を表1に示す。
<結晶性ポリエステルAの製造例>
ジカルボン酸成分:
・アジピン酸 100モル部
ジオール成分:
・1,6−ヘキサンジオール 200モル部
十分に加熱乾燥した二口フラスコに、上記のモノマー成分を投入し、上記混合物100質量部に対しオルトチタン酸テトライソプロピル0.10質量部を加え、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ちながら昇温した。その後、230℃で縮重合反応させ、さらに減圧して250℃に昇温することで結晶性ポリエステルA(重量平均分子量[Mw]:15600、融点[Mp]:60℃)を得た。
<結晶性ポリエステルBの製造例>
アジピン酸の代わりに1,12−ドデカンジカルボン酸を使用し、1,6−ヘキサンジオールの代わりに1,12−ドデカンジオールを使用した以外は結晶性ポリエステルAの製造と同様にして結晶性ポリエステルB(Mw:18900、融点:88℃)を得た。
<単体の電荷保持性評価>
上記で製造した結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の単体の高温高湿度下での帯電保持性を、以下の方法にて測定した。
また、表1に記載の市販のエチレンポバール2種
エチレンポバール樹脂「EVOH−I」(日本合成化学製:ソアノールA4412、モノマーユニットY2の含有量:67.0質量%、融点164℃、
エチレンポバール樹脂「EVOH−J」(日本合成化学製:ソアノールDC3212、モノマーユニットY2の含有量77.0質量%、融点183℃)、
従来使用されてきた結晶性化合物である、
結晶性ポリエステルA[組成(モル比)〔1,9−ノナンジオール:セバシン酸=100:100〕、数平均分子量(Mn)=5,500、重量平均分子量(Mw)=15,500、ピーク分子量(Mp)=11,400、Mw/Mn=2.8、融点=78℃、酸価=13mgKOH/g]、
結晶性ポリエステルB[組成(モル比)〔1,9−ノナンジオール:セバシン酸=100:100〕、数平均分子量(Mn)=5,500、重量平均分子量(Mw)=15,500、ピーク分子量(Mp)=11,400、Mw/Mn=2.8、融点=78℃、酸価=13mgKOH/g],
ドコサノール、ステアリン酸、
も同条件で測定し、比較検証した。
測定試料0.01gをアルミパンに計量し、ストロコロン帯電装置を用いて−600Vに帯電させた。続いて、温度30℃、相対湿度80%の雰囲気下で表面電位計(トレックジャパン製:model347)を用いて表面電位の変化挙動を30分間測定した。測定結果を下記式に代入して電荷保持率を算出し、その絶縁性を評価した。評価結果を、表2に示す。
30分後の電荷保持率(%)=[30分後の表面電位]/[初期表面電位]×100
(評価基準)
A:30分後の結晶性化合物の摩擦帯電保持率が80%以上
B:30分後の結晶性化合物の摩擦帯電保持率が60%以上80%未満
C:30分後の結晶性化合物の摩擦帯電保持率が60%未満
<トナーの製造例1>
<トナー粒子の製造例1>
・非晶性樹脂A 60質量部
・非晶性樹脂B 20質量部
・結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体(EVOH−A) 10質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度89℃) 5質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、日本コークス工業(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、(株)池貝製)にて吐出温度140℃にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、フロイントターボ(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF−300(ホソカワミクロン(株)製)を用い、分級を行い、トナー粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s-1、分散ローター回転数を120s-1とした。
得られたトナー粒子1 100部に、下記の材料を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、日本コークス工業(株)製)で回転数30s-1、回転時間10min混合して、トナー1を得た。
・ヘキサメチルジシラザン4質量%で表面処理したBET比表面積25m/gの疎水性シリカ微粒子 1.0部
・ポリジメチルシロキサン10質量%で表面処理したBET比表面積100m/gの疎水性シリカ微粒子 0.8部
<トナーの製造例2〜7>
表4に示すように、結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体(EVOH−A)を、
結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体(EVOH−B)、
結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体(EVOH−C)、
結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体(EVOH−D)、
結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体(EVOH−E)、
結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体(EVOH−F)、又は
結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体(EVOH−G)、にそれぞれ変更した以外はトナーの製造例1と同様にして、トナー2〜7を得た。
<トナー粒子の製造例8>
・非晶性樹脂A 50質量部
・非晶性樹脂B 20質量部
・結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体(EVOH−B) 20質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度89℃) 5質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、日本コークス工業(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、(株)池貝製)にて吐出温度140℃にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、フロイントターボ(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF−300(ホソカワミクロン(株)製)を用い、分級を行い、トナー粒子8を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s-1、分散ローター回転数を120s-1とした。
得られたトナー粒子8 100部に、下記の材料を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、日本コークス工業(株)製)で回転数30s-1、回転時間10min混合して、トナー8を得た。
・ヘキサメチルジシラザン4質量%で表面処理したBET比表面積25m2/gの疎水性シリカ微粒子 1.0部
・ポリジメチルシロキサン10質量%で表面処理したBET比表面積100m2/gの疎水性シリカ微粒子 0.8部
<トナーの製造例9〜10>
表4に示すように、非晶性樹脂Aを、
非晶性樹脂C、
非晶性樹脂Dに、それぞれ変更した以外はトナーの製造例1と同様にして、トナー9〜10を得た。
<トナーの製造例11>
非晶性樹脂Aおよび非晶性樹脂Bを非晶性樹脂Eに変更した以外はトナーの製造例1と同様にして、トナー11を得た。
<トナーの製造例12〜18>
表4に示すように、結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体(EVOH−A)を、
結晶性ポリエステルA、
結晶性ポリエステルB、
ステアリン酸、
ドコサノール、
結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体(EVOH−H)、
結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体(EVOH−I)、又は
結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体(EVOH−J)に、それぞれ変更した以外はトナーの製造例1と同様にして、トナー12〜18を得た。
<トナー粒子の製造例19>
・非晶性樹脂A 40質量部
・非晶性樹脂B 20質量部
・結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体(EVOH−B) 30質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度89℃) 5質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、日本コークス工業(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、(株)池貝製)にて吐出温度140℃にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、フロイントターボ(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティF−300(ホソカワミクロン(株)製)を用い、分級を行い、トナー粒子19を得た。運転条件は、分級ローター回転数を130s-1、分散ローター回転数を120s-1とした。
得られたトナー粒子19 100部に、下記の材料を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、日本コークス工業(株)製)で回転数30s-1、回転時間10min混合して、トナー19を得た。
・ヘキサメチルジシラザン4質量%で表面処理したBET比表面積25m2/gの疎水性シリカ微粒子 1.0部
・ポリジメチルシロキサン10質量%で表面処理したBET比表面積100m2/gの疎水性シリカ微粒子 0.8部
<実施例1〜11 トナー1〜11>
上記トナー1〜11を用いて、下記の評価を実施した。結果を表3に示す。
<比較例1〜8 トナー12〜19>
上記トナー12〜19を用いて、下記の評価を実施した。結果を表3に示す。
<低温定着性の評価>
上記トナー1〜19と、シリコーン樹脂で表面コートしたフェライトキャリア(平均粒径42μm)とを、トナー含有量が8質量%になるように混合して、二成分現像剤を調製した。
当該二成分現像剤を市販のフルカラーデジタル複写機(CLC1100、キヤノン(株)製)に充填し、受像紙(64g/m)上に未定着のトナー画像(0.6mg/cm)を形成した。市販のフルカラーデジタル複写機(imageRUNNER ADVANCE C5051、キヤノン(株)製)から取り外した定着ユニットを定着温度が調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。常温常湿下、プロセススピードを246mm/秒に設定し、前記未定着画像を定着させたときの様子を目視にて評価した。
具体的には、まず、定着ユニットの温度を135℃に設定して、前記未定着画像の定着を試みて、定着されたかを目視により判断した。
そして、135℃で定着できたと判断した場合は、未定着画像を再度形成し、定着ユニットの温度を125℃に設定して、前記未定着画像の定着を再度試みて、定着されたかを目視により判断した。
一方、135℃では定着できなかった判断した場合も、未定着画像を再度形成し、定着ユニットの温度を145℃に設定して、前記未定着画像の定着を再度試みて、定着されたかを目視により判断した。
評価結果を表3に示す。
(評価基準)
A:130℃以下の温度領域で定着が可能
B:130℃より高く、140℃以下の温度領域で定着が可能
C:140℃より高い温度領域にしか定着可能領域がない
<帯電保持性の評価>
定着性評価と同様に、上記トナー1〜19と、シリコーン樹脂で表面コートしたフェライトキャリア(平均粒径42μm)とを、トナー含有量が8質量%になるように混合して、二成分現像剤を調製した。
ここで、トナー粒子の帯電量は、ホソカワミクロン(株)のEspartアナライザーにて測定した。Espartアナライザーは、電場と音響場とを同時に形成させた検知部(測定部)に試料粒子を導入し、レーザードップラー法で粒子の移動速度を測定して、粒径と帯電量とを測定する装置である。装置の測定部に入った試料粒子は、音響場と電場の影響を受け、水平方向に偏倚しながら落下し、この水平方向の速度のビート周波数がカウントされる。カウント値は、コンピュータに割り込みで入力され、リアルタイムでコンピュータ画面に粒子径分布あるいは単位粒径当たりの帯電量分布が示される。そして、所定の個数分の帯電量が測定されると画面は停止し、その後、帯電量と粒子径の3次元分布や粒径別の帯電量分布、平均帯電量(クーロン/重量)などが画面に表示される。Espartアナライザーの測定部に試料粒子として上記現像剤を導入することで、トナーの帯電量を測定できる。
上記手法にて初期トナーの摩擦帯電量を測定後、当該二成分現像剤を恒温恒湿槽中(温度30℃、相対湿度80%)で一週間静置し、摩擦帯電量を再度測定した。
測定結果を下記式に代入して摩擦帯電量の保持率を算出し、下記基準で評価した。評価結果を表3に示す。
式:トナーの摩擦帯電保持率(%)=[1週間後のトナーの摩擦帯電量]/[初期トナーの摩擦帯電量]×100
(評価基準)
A:1週間後のトナーの摩擦帯電保持率が80%以上
B:1週間後のトナーの摩擦帯電保持率が60%以上80%未満
C:1週間後のトナーの摩擦帯電保持率が60%未満
Figure 2021004965
Figure 2021004965
Figure 2021004965
Figure 2021004965

Claims (6)

  1. 非晶性樹脂および結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体は、下記式(1)で示されるモノマーユニットY1と下記式(2)で示されるモノマーユニットY2とを有し、
    前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の水酸基価が、20mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、
    前記トナー粒子中の前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の含有量が、前記トナー粒子中の非晶性樹脂100質量部に対して1以上30質量部以下であることを特徴とするトナー:
    Figure 2021004965
    Figure 2021004965
    (前記式(1)及び(2)中、RはH又はCHを示し、RはH又はCHを示す。)
  2. 前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の全質量をWとし、
    前記式(1)で示されるモノマーユニットY1の質量をlとし、
    前記式(2)で示されるモノマーユニットY2の質量をmとしたときに、
    該結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体における、(l+m)/Wの値が、0.80以上である、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の融点が、80℃以上150℃以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記結晶性オレフィン系水酸基含有共重合体の軟化点が、100℃以上160℃以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記非晶性樹脂が非晶性ポリエステルである請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記非晶性樹脂が、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を50モル%以上含むアルコールモノマーとカルボン酸モノマーとを縮重合して得られる非晶性ポリエステルである請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー

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