JP2021004850A - 積層型ガスセンサ素子及びその製造方法 - Google Patents

積層型ガスセンサ素子及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021004850A
JP2021004850A JP2019119932A JP2019119932A JP2021004850A JP 2021004850 A JP2021004850 A JP 2021004850A JP 2019119932 A JP2019119932 A JP 2019119932A JP 2019119932 A JP2019119932 A JP 2019119932A JP 2021004850 A JP2021004850 A JP 2021004850A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
duct
ceramic
ceramic layer
sensor element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019119932A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7140059B2 (ja
Inventor
千万人 佐藤
Chimato Sato
千万人 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP2019119932A priority Critical patent/JP7140059B2/ja
Publication of JP2021004850A publication Critical patent/JP2021004850A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7140059B2 publication Critical patent/JP7140059B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
    • Y02A50/20Air quality improvement or preservation, e.g. vehicle emission control or emission reduction by using catalytic converters

Landscapes

  • Measuring Oxygen Concentration In Cells (AREA)

Abstract

【課題】電極部に接続されるリード部が配置される部位において、接合界面で生じる割れや剥離を抑制可能な積層型ガスセンサ素子を提供する。【解決手段】積層型ガスセンサ素子1は、第1セラミックス層20と第2セラミックス層30とを、接合層40を介して積層してなる。第1セラミックス層20には、電極部21、22に接続されるリード部21a、22aが形成され、第2セラミックス層30には、ガス導入ダクト31となる凹部32が形成される。第1セラミックス層20に形成されるダクト側リード21aの一部は、ガス導入ダクト31に面して配置され、残部が接合層40と接合されており、かつ、接合層40とダクト側リード21aの接合界面に、互いの構成材料が凹凸状に食い込むアンカー層10を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、複数のセラミックス層を積層してなる積層型ガスセンサ素子と、その製造方法に関する。
車両エンジン用の空燃比センサやNOxセンサ等の排ガスセンサとして、固体電解質を用いた電気化学的セルを有するガスセンサ素子が用いられている。このようなガスセンサ素子は、電気化学的セルを構成するセラミックス層に、ガス導入路等を構成するセラミックス層を積層した積層型の素子構造を有する。例えば、特許文献1には、固体電解質体の両面に一対の電極部を形成した酸素濃淡電池セルを有する1セル型、又は、酸素濃淡電池セル及び酸素ポンプセルを有する2セル型としたセラミックス層に、ガス導入ダクトとなる凹部を有するとなるセラミックス層や、ヒータとなるセラミックス層を積層した空燃比センサ素子が開示されている。
酸素濃淡電池セルは、その両側の酸素濃度に応じた濃淡電池起電力を発生するもので、酸素ポンプ素子は、濃淡電池起電力が0となるように、酸素の汲み込みないし汲み出しを行う。ガス導入ダクトには、基準ガスとなる大気が導入される。また、ガス導入ダクトとなるセラミックス層の反対側に、排ガスが拡散抵抗層を介して導入されるチャンバ形成用のセラミックス層が積層された空燃比センサ素子や、NOx検出セルを含む3セル型としたNOxセンサ素子等が知られている。
特開平11−316211号公報
より厳しくなる排ガス規制に対応するために、ガスセンサ素子による検出精度の向上が求められている。例えば、空燃比センサ素子では、リッチ側においてより広域の空燃比を検出可能とするために、特許文献1に記載されるようなセラミックス層の長手方向に延びるガス導入ダクトを、より大きく形成することが有効であり、基準の酸素濃度となる十分な大気を導入するために、素子内部に占める体積割合をより大きくすることが求められる。また、NOxセンサ素子のように、排ガス中に含まれる低濃度の成分を検出する場合においても、必要な検出精度を確保するために、ガス導入ダクトがさらに大きくなる傾向にある。
一方で、ガスセンサ素子は、エンジン始動直後に、早期に電気化学的セルを活性化させて、被検出ガスの検出を開始することが求められている。そのために、積層型ガスセンサ素子の全体を、より小型化して、ヒータ通電による昇温を促進することが望まれる。その場合には、素子をより小型にしながら、ガス導入ダクトをより大きくする必要があり、ガス導入ダクト側において、電極部から引き出されるリード部の一部が、ガス導入ダクトに露出する配置となることがある。
このような配置では、ガス導入ダクト側のリード部と、セラミックス層との十分な接合性を確保することが難しい。これは、電気化学的セルが構成されるセラミックス層と、ガス導入ダクトが構成されるセラミックス層とを接合する際に、例えば、接着剤ペーストからなる接合層を中間層として介在させると共に、圧着圧力を低く抑えているためである。これにより、圧着時に生じる局所的な応力集中が緩和され、脱脂・焼成過程で、異種材料からなるセラミックス層間の接合面に、残留応力による亀裂が発生するのを抑制できるが、接合力が弱くなりやすい。特に、ガス導入ダクト側のリード部が露出する構成では、接合力が弱いと、接合面における剥離や割れが生じる要因となる。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、電極部を有するセラミックス層と凹部を有するセラミックス層が接合層にて接合される構成において、電極部に接続されるリード部と接合層との間に剥離や割れ等が生じるのを抑制可能な積層型ガスセンサ素子及びその製造方法を提供することにある。
本発明の一態様は、
互いに異なる材料組成からなる第1セラミックス層(20)と第2セラミックス層(30)とを、絶縁性セラミックス材料を含む接合層(40)を介して積層してなり、
上記第1セラミックス層には、電極部(21、22)と上記電極部に接続されるリード部(21a、22a)とが形成され、
上記第2セラミックス層には、上記第1セラミックス層に積層されて、ガス導入ダクト(31)となる凹部(32)が形成される積層型ガスセンサ素子(1)であって、
上記リード部は、上記第1セラミックス層の上記ガス導入ダクト側の表面に形成されるダクト側リード(21a)の一部が、上記ガス導入ダクトに面して配置され、残部が上記接合層と接合されており、かつ、上記接合層と上記ダクト側リードとの接合界面に、互いの構成材料が凹凸状に食い込むアンカー層(10)を有する、積層型ガスセンサ素子にある。
本発明の他の態様は、
互いに異なる材料組成からなる第1セラミックス層(20)と第2セラミックス層(30)とを、絶縁性セラミックス材料を含む接合層(40)を介して積層してなり、
上記第1セラミックス層には、電極部(21、22)と上記電極部に接続されるリード部(21a、22a)とが形成され、
上記第2セラミックス層には、上記第1セラミックス層に積層されて、ガス導入ダクト(31)となる凹部(32)が形成される積層型ガスセンサ素子(1)の製造方法であって、
上記接合層を、少なくとも第1層(41)と第2層(42)とを有する複層構造とし、
上記第1セラミックス層の表面に、上記電極部及び上記リード部を形成するに際して、上記第1セラミックス層の上記ガス導入ダクト側の表面に、上記リード部のうちのダクト側リード(21a)を、その一部が、上記ガス導入ダクトに面して配置されるように印刷形成する印刷工程と、
上記第1層と上記第1セラミックス層との間に、上記ダクト側リードを配置して加圧圧着し、第1積層体(A)とする第1圧着工程と、
上記第1積層体の上記第1層側に、上記第2層を介して、上記第2セラミックス層を積層し、上記第1圧着工程よりも低い加圧力で圧着して、第2積層体(B)とする第2圧着工程と、
上記第2積層体を焼成する焼成工程と、を有する積層型ガスセンサ素子の製造方法にある。
上記構成の積層型ガスセンサ素子は、第1セラミックス層に形成されるダクト側リードの一部が、第2セラミックス層に形成されるガス導入ダクトに露出する構成であるため、製造過程での層間の剥離の懸念があるが、第2セラミックス層との間に介在させた接合層とダクト側リードとの間に、アンカー層を有することで、接合性を向上させることができる。アンカー層は、ダクト側リードと接合層の構成材料が、互いに食い込む凹凸構造を有し、層間剥離やそれを起点とする亀裂等の発生を抑制することができる。
このような積層型ガスセンサ素子は、例えば、接合層を複層構造とし、その第1層と、電極部及びリード部を形成した第1セラミックス層とを、比較的高い加圧力で圧着することで、リード部との接合面にアンカー層を形成することができる。さらに、第1層が形成された第1セラミックス層には、第2層を用いて、凹部を有する第2セラミックス層と圧着することができる。このとき、第1層と第2層は、同じ接合層同士の結合となるために、より低い加圧力で、接合性を確保することができ、接合層を介して複数のセラミックス層が接合された構成となる。
したがって、ダクト側リードの一部が、ガス導入ダクトに露出する構成であっても、接合層と接する界面にアンカー層を有することで、接合面における剥離や割れを抑制可能となる。
以上のごとく、上記態様によれば、電極部を有するセラミックス層と凹部を有するセラミックス層が接合層にて接合される構成において、電極部に接続されるリード部と接合層との間に剥離や割れ等が生じるのを抑制可能な積層型ガスセンサ素子及びその製造方法を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態1における、積層型ガスセンサ素子の主要部を示す横断面図で、図2のI部における断面図。 実施形態1における、積層型ガスセンサ素子の全体構造を示す斜視図。 実施形態1における、積層型ガスセンサ素子の主要部を示す横断面図で、図2のIII部における断面図。 実施形態1における、積層型ガスセンサ素子の主要部を拡大して示す模式的な断面図。 実施形態1における、積層型ガスセンサ素子の全体構造を示す展開斜視図。 実施形態1における、積層型ガスセンサ素子の製造方法を説明するための製造工程図。 比較形態1における、積層型ガスセンサ素子の全体構造を示す展開斜視図。 比較形態1における、積層型ガスセンサ素子の製造方法を説明するための製造工程図。 試験例1における、積層型ガスセンサ素子の長手方向における切断面のSEM画像に基づく模式図とその主要部の拡大SEM画像(倍率:×3000)。 試験例1における、積層型ガスセンサ素子の幅方向における切断面のSEM画像(倍率:×200)。 実施形態2における、積層型ガスセンサ素子の全体構造を示す斜視図及びその主要部を示す横断面図。 実施形態2における、積層型ガスセンサ素子の主要部を示す積層方向の断面図で、図11の横断面図のA−A線断面図。 実施形態2の変形例における、積層型ガスセンサ素子の主要部を示す横断面図。 実施形態2の変形例における、積層型ガスセンサ素子の主要部を示す横断面図。
(実施形態1)
以下に、積層型ガスセンサ素子及びその製造方法に係る実施形態1について、図面を参照して説明する。図1〜図3に示される積層型ガスセンサ素子(以下、適宜、ガスセンサ素子と略称する)1は、例えば、自動車用エンジンの排ガス浄化システムに用いられるガスセンサの主要部を構成して、排ガス等の被測定ガス中の特定ガス濃度を検出する。具体的には、ガスセンサ素子1は、ガスセンサのハウジング内に収容されて、先端側が排ガス管内に位置するように取り付けられ、基端側は基準ガスとなる大気中に位置する。排ガスに含まれる特定ガスとしては、酸素やNOx等のガスが挙げられ、ガスセンサとしての酸素センサや、空燃比センサ、NOxセンサ等に用いられる。
ガスセンサ素子1は、互いに異なる材料組成からなる第1セラミックス層20と第2セラミックス層30とを、絶縁性セラミックス材料を含む接合層40を介して積層してなる。
第1セラミックス層20には、電極部となる基準電極21及び検出電極22と、リード部となるダクト側リード21a及び検出側リード部22aとが、形成される。基準電極21はダクト側リード21aに、検出電極22は検出側リード部22aに、それぞれ接続されている。
第2セラミックス層30には、第1セラミックス層20側に開口する凹部32が形成されている。凹部32は、第1セラミックス層20に積層されて、ガス導入ダクトとなる大気ダクト31を形成する。大気ダクト31は、ガスセンサ素子1の基端側に開口して、外部から大気が導入される。
リード部のうちダクト側リード21aは、第1セラミックス層20の大気ダクト31側の表面に形成されており、その一部は、大気ダクト31に面して配置され、残部は、接合層40と接合されている。さらに、接合層40とダクト側リード21aとの接合界面に、互いの構成材料が凹凸状に食い込むアンカー層10を有する。
好適には、接合層40は、複層構造であり、第1セラミックス層20及びダクト側リード21aに接する第1層41と、第2セラミックス層20に接する第2層42とを、少なくとも有する。このとき、接合層40は、第1層41とダクト側リード21aとの接合界面に、アンカー層10を有する。
具体的には、ダクト側リード21aは、金属材料を主成分とし共材としてセラミックス材料を含む導電性材料にて構成される。
このとき、図4に示されるように、アンカー層10は、ダクト側リード21aのセラミックス材料と、接合層40の絶縁性セラミックス材料とが、互いに凹凸状に食い込み合うアンカー構造を有する。
好適には、アンカー層10の厚さは、5μm以下であることが望ましい。
また、好適には、ダクト側リード21aと第1セラミックス層20との接合界面においても、凹凸形状のアンカー層10が設けられる。さらには、リード部のうち検出側リード22aについても、その接合界面に、凹凸形状のアンカー層10を有することが望ましい。
図5、図6に示されるように、上記構成の積層型ガスセンサ素子1は、以下に製造方法を示すように、印刷工程と、第1圧着工程(積層・圧着工程)と、第2圧着工程(第2層印刷工程、第2層接合工程)と、焼成工程を経て、製造することができる。
すなわち、接合層40を、少なくとも第1層41と第2層42とを有する複層構造とし、
印刷工程では、第1セラミックス層20の表面に、電極部21、22とリード部21a、22aを形成するに際して、第1セラミックス層20のガス導入ダクト31側の表面に、リード部21a、22aのうちのダクト側リード21aを、その一部が、ガス導入ダクト31に面して配置されるように印刷形成する。
第1圧着工程では、第1層41と第1セラミックス層20との間に、ダクト側リード21aを配置して加圧圧着し、第1積層体Aとする。
第2圧着工程では、第1積層体Aの第1層41側に、第2層42を介して、第2セラミックス層30を積層し、第1圧着工程よりも低い加圧力で圧着して、第2積層体Bとする。
焼成工程では、この第2積層体Bを焼成して、ガスセンサ素子1とする。
本形態のガスセンサ素子1は、接合層40が複層構造を有するので、その第1層41と接するダクト側リード21aを、例えば、第1層41と第1セラミックス層20との間で圧着し、第1層41との接合界面に、アンカー層10を設けることができる。これにより、ダクト側リード21aの近傍において、層間の剥がれや割れが生じるのを抑制し、第1セラミックス層20と第2セラミックス層30との接合性が向上する。
次に、ガスセンサ素子1の詳細構成について、例えば、空燃比センサ素子への適用例として説明する。
図1、図3に示すように、本形態のガスセンサ素子1は、複数のセラミックス層が一体的に積層された積層型素子として構成される。図2に示すように、ガスセンサ素子1は、長い直方体形状の外形を有しており、以降の説明では、その積層方向をX方向(例えば、図2の上下方向)、その長手方向をY方向(例えば、図2の左右方向)とする。
図1、図3において、ガスセンサ素子1は、検出セル2が形成される第1セラミックス層20と、大気ダクト31となる凹部32が形成される第2セラミックス層30と、これら両層を接合する接合層40と、チャンバ形成層50及び遮蔽層60との積層体として構成される。チャンバ形成層50及び遮蔽層60は、大気ダクト31と反対側に配置される。チャンバ形成層50には、チャンバ51となる抜穴部52が形成され、遮蔽層60とチャンバ51の間には、多孔質拡散抵抗層61が設けられる。
ガスセンサ素子1は、Y方向において、基端側となる一方の端面(例えば、図2の右端面)に、大気ダクト31が開口して、外部から大気を取り込み可能となっている。また、ガスセンサ素子1の基端側において、X方向における一方の端面(例えば、図2の上端面)には、一対の端子部T1、T2が配置されている。一対の端子部T1、T2は、ガスセンサ素子1の内部において、図1に示す一対のリード部(すなわち、ダクト側リード21a及び検出側リード部22a)に接続される。
ガスセンサ素子1の内部には、Y方向の先端側となる他方の端面(例えば、図2の左端面)側に、図3に示す検出セル2が配置される。検出セル2の一対の電極部(すなわち、基準電極21及び検出電極22)は、それぞれ、ダクト側リード21a及び検出側リード部22aを介して、一対の端子部T1、T2と接続される。
これにより、検出セル2によるセンサ検出結果を、一対の端子部T1、T2から、図示しないエンジン制御部へ出力可能となっている。
図3において、第1セラミックス層20は、酸素イオン導電性の固体電解質材料を骨材とする固体電解質シートからなる。第1セラミックス層20には、大気ダクト31に面する表面に基準電極21が設けられ、チャンバ51に面する表面に検出電極22が設けられて、電気化学的セルである検出セル2を構成している。チャンバ51は、第1セラミックス層20とチャンバ形成層50及び遮蔽層60にて取り囲まれる空間部によって形成される。多孔質拡散抵抗層61は、多孔質のセラミックス層からなり、遮蔽層60の内側にチャンバ51に面するように埋設されて、短手方向の両側面からチャンバ51に至る拡散抵抗路を形成する。これにより、多孔質拡散抵抗層61から、所定の拡散抵抗を有して、チャンバ51内に排ガスを導入可能となっている。
このとき、検出セル2の一対の電極部に所定電圧を印加すると、センサ出力が排ガス中の酸素濃度に応じた限界電流特性を示す。これを利用して、大気ダクト31に導入される大気(酸素濃度約20%)を基準とし、チャンバ51内の酸素濃度に応じて検出セル2に発生する電流値から、広域の空燃比を高精度に制御可能となる。
第1セラミックス層20となる酸素イオン導電性の固体電解質材料としては、ジルコニアを主成分とするジルコニア系固体電解質等が好適に用いられる。
第1セラミックス層20に積層されるチャンバ形成層50及び遮蔽層60、大気ダクト31が形成される第2セラミックス層30は、アルミナ等の絶縁性セラミックス材料を骨材とする絶縁性シートからなる。基準電極21及び検出電極22、これら電極と接続されるダクト側リード21a及び検出側リード部22aは、貴金属材料を主成分とし共材としてセラミックス材料を含む導電性材料からなる。
図5に示すように、ガスセンサ素子1は、好適には、第2セラミックス層30に内蔵されるヒータ層70を有する。第2セラミックス層30は、シート状に形成されたダクト形成層301とヒータ基材層302の二層構造となっており、これらの層間に、ヒータ層70が埋設される。ヒータ層70は、Y方向において、ヒータ基材層302の先端側に配置されるヒータ電極71と、ヒータ電極71の両端に接続されて、基端側へ延びる一対のヒータリード72a、72bからなる。ヒータリード72a、72bは、ヒータ基材層302に設けられるスルーホールTHを介して、ダクト形成層301と反対側の表面に配置される一対の端子部T3、T4に接続される。
第2セラミックス層30のダクト形成層301には、大気ダクト31に対応する所定深さの凹部32が形成されてY方向に延び、基端側に開口している。ダクト形成層301と、第1セラミックス層20との間には、二層構造の接合層40が配置される。接合層40は、第1セラミックス層20側の第1層41と、ダクト形成層301側の第2層42とからなり、いずれも、ダクト形成層301と同等形状、すなわち、大気ダクト31に対応する形状の切り欠きを有するシート状となっている。
第1セラミックス層20と、接合層40の間には、基準電極21とこれに接続されるダクト側リード21aが配置される。Y方向において、基準電極21は、第1セラミックス層20の先端側に、大気ダクト31となる凹部32内に位置するように配置され、ダクト側リード21aは、凹部32の側縁に沿って、基端側へ延びている。ダクト側リード21aの延出端は、チャンバ形成層50及び遮蔽層60に設けられるスルーホールTHを介して、端子部T1と接続される。
このとき、図1に示すように、第2セラミックス層30の幅(すなわち、短手方向の長さ)に対して、ダクト側リード21aが幅広に形成される場合には、その一部が大気ダクト31に露出する配置となる。その場合には、ダクト側リード21aを、第1セラミックス層20と接合層40の第1層41との間に挟持し、ダクト側リード21aと第1層41との接合界面に、アンカー層10を形成することで、ダクト側リード21aの剥離を抑制することができる。
図4に示すように、アンカー層10は、ダクト側リード21aと第1層41とが圧着されることにより、層間に形成される凹凸形状である。アンカー層10では、ダクト側リード21aの構成材料粒子と第1層41の構成材料粒子とが、互いの表面層にアンカー状に入り込んで密着し、層間の剥がれや割れを抑制して、接合性を向上させる。好適には、アンカー層10の凹凸の大きさは、例えば、0.1μm〜1μm程度の範囲にあり、アンカー層10の厚さは、5μm以下であることが好ましい。ここで、アンカー層10の厚さ(例えば、図中に示すt)は、凹凸を含む領域を概略平行な2本の線で区画したときに、2本の線間の距離で表される。アンカー層10の形成は、例えば、試料断面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真等にて確認することができる。
好適には、ダクト側リード21aと第1セラミックス層20との接合界面においても、アンカー層10が形成されることが望ましい。これにより、ダクト側リード21aの両面において、接合界面にアンカー層10が形成され、層間が凹凸形状のアンカー層10を介して圧着されることで、層間の剥がれや割れを抑制して、接合性をより向上させることができる。
接合層40の第2層42は、第1層41と第2セラミックス層30との間に介在して、検出セル2が形成される第1セラミックス層20と、大気ダクト31が形成される第2セラミックス層30との間を密着させる。このように、接合層40を複層構造とすることで、ガスセンサ素子1の全体の接合性を確保することが容易になる。
接合層40の第1層41は、アルミナ等の絶縁性セラミックス材料を骨材とする絶縁性シート又は絶縁性ペーストにて構成され、第2層42は、同様の絶縁性シート又は絶縁性ペーストにて構成することができる。その際には、ダクト側リード21aと接合される第1層41を、シート状の成形体の状態で、ダクト側リード21aと圧着する。その後、シート状の成形体又は絶縁性ペースト状の第2層42を介設して、焼成することにより、第1層41及び第2層42が一体となった接合層40とすることができる。
接合層40は、少なくとも第1層41と第2層42を有していればよく、これらの間に、同様の絶縁性シート又は絶縁性ペーストからなる1層以上を介在させて、3層以上の複層構造としても、もちろんよい。
図5において、検出セル2の検出電極22は、チャンバ形成層50の抜穴部52の内側において、第1セラミックス層20の表面に配置され、検出電極22に接続される検出側リード22aは、抜穴部52からチャンバ形成層50の表面を基端側へ延びている。検出側リード22aの延出端は、遮蔽層60に設けられるスルーホールTHを介して、端子部T2と接続される。多孔質拡散抵抗層61は、例えば、遮蔽層60のチャンバ51に面する一部を切り欠いて形成される凹部に埋設され、遮蔽層60の短手方向の両側面に渡って配置される。
図1に示すように、好適には、検出側リード22aについても、チャンバ形成層50との接合界面及び遮蔽層60との接合界面に、それぞれ、アンカー層10が形成されることが望ましい。これにより、検出側リード22aaの両面において、接合界面にアンカー層10が形成され、層間が凹凸形状のアンカー層10を介して圧着されることで、接合性をより向上させることができる。
(製造工程)
次に、上記構成のガスセンサ素子1の製造方法について、説明する。
図6に一例を示す製造工程では、まず、印刷工程にて、ガスセンサ素子1を構成するセラミックスシートの対応する表面に、一対の電極部21、22やリード部21a、22a、ヒータリード72a、72b、端子部T1〜T4等を、印刷形成する。これに先立って、ガスセンサ素子1の各セラミックス層に対応するセラミックスシートが、それぞれ用意される。その後、第1圧着工程としての積層・圧着工程と、第2圧着工程としての第2層印刷工程及び第2層接合工程と、焼成工程とを、順次行って、複数のセラミックス層が積層されたガスセンサ素子1とする。
ここで、第1セラミックス層20となる固体電解質シートは、例えば、ジルコニア系固体電解質材料からなる骨材粒子と有機バインダ等の添加成分を含むセラミックス材料を用い、シート状に成形したグリーンシートからなる。ジルコニア系固体電解質としては、例えば、ジルコニアにイットリア等の安定化剤を添加した部分安定化ジルコニアが挙げられる。有機バインダとしては、例えば、PVB(すなわち、ポリビニルブチラール)等が好適に用いられる。
第2セラミックス層30となるダクト形成層301及びヒータ基材層302、チャンバ形成層50、遮蔽層60は、例えば、アルミナ等の絶縁性セラミックス材料からなる骨材粒子と、有機バインダ等の添加成分を含むセラミックス材料を、シート状に成形したグリーンシートからなる。有機バインダとしては、例えば、PVB等が好適に用いられる。
接合層40となる第1層41は、例えば、アルミナ等の絶縁性セラミックス材料からなる骨材粒子と、有機バインダ等の添加成分を含むセラミックス材料を、シート状に成形したグリーンシートからなる。あるいは、セラミックス材料をペースト状に調整した絶縁性ペーストを用いることもできる。有機バインダとしては、例えば、PVB等が好適に用いられる。第2層42は、同様のセラミックス材料からなり、例えば、シート状に成形又はペースト状に調整されたものを用いて構成される。ここでは、後述する第2層印刷工程に供するために、印刷可能なペースト状としている。
一対の電極部21、22、リード部21a、22a、ヒータリード72a、72b、端子部T1〜T4は、例えば、白金等の貴金属材料の粒子と、共材となるセラミックス材料の粒子と、有機バインダ等の添加成分を含む導電性ペーストからなる。共材としては、アルミナ又はジルコニア、アルミナ及びジルコニアの混合材等が挙げられる。有機バインダとしては、エチルセルロース又はエチルセルロースを含む混合樹脂バインダ等が、好適に用いられる。
印刷工程では、遮蔽層60となるセラミックスシートの基端側の表面に、端子部T1、T2となる導電層が印刷形成されると共に、スルーホールTH内に、導電性ペーストが充填される。また、先端側において、端子部T1、T2と反対側の表面に、多孔質拡散抵抗層61となるセラミックスシートが埋設される。
また、第1セラミックス層20とチャンバ形成層50となるセラミックスシートの積層体には、先端側の両表面に、一対の基準電極21、検出電極22となる導電層が印刷形成される。さらに、先端側から基端側へ、ダクト側リード21a、検出側リード22aとなるリードパターンが印刷形成されると共に、基端側のスルーホールTH内に、導電性ペーストが充填される。
このとき、第1セラミックス層20に形成されるダクト側リード21aは、次工程にて積層される接合層40の切り欠き401に沿って、その側縁と一部が重なるように配置される。
一方、第2セラミックス層30のヒータ基材層302には、先端側の表面に、ヒータ電極71となる導電層が印刷形成され、基端側には、ヒータ電極71と反対側の表面に、一対の端子部T3、T4となる導電層が印刷形成される。また、ヒータ電極71の両端から、基端側へ、一対のヒータリード72a、72bとなるヒータパターンが印刷形成され、スルーホールTHに充填される導電性ペーストを介して、端子部T3、T4と接続される。
第1圧着工程である積層・圧着工程では、チャンバ形成層50と第1セラミックス層20との積層体に、さらに、遮蔽層60となるセラミックスシートと、接合層40の第1層41となるセラミックスシート又はペーストを積層して圧着する。遮蔽層60はチャンバ形成層50側に、第1層41は第1セラミックス層20側に、それぞれ積層され、プレス圧50〜60MPaで圧着して、第1積層体Aとする。
なお、遮蔽層60を、チャンバ形成層50に積層する際には、チャンバ51となる抜穴部52に、焼成により焼失可能な充填材を、予め充填しておくことで、プレス圧を所定の高圧とすることが可能になる。
このとき、図中に、第1積層体Aの基端側の横断面を示すように、第1層41と第1セラミックス層20との間に、ダクト側リード21aの一部が挟持された状態で、プレスされることで、ダクト側リード21aとの接合界面に、第1層41又は第1セラミックス層20を構成する骨材粒子が食い込み、又は、ダクト側リード部21aの構成粒子が、第1層41又は第1セラミックス層20側へ食い込んで、アンカー層10が形成される。
同時に、検出側リード22aにおいても、チャンバ形成層50又は遮蔽層60との接合界面に、同様のアンカー層10が形成される。
一方、ヒータ基材層302には、ダクト形成層301が積層・圧着されることで、第2セラミックス層30となる積層体が、別途形成される。
次いで、第2圧着工程である第2層印刷工程において、第1積層体Aには、積層方向の端面となる第1層41の表面に、絶縁性ペーストを用いて、第2層42となる絶縁層が印刷形成される。これにより、接合層40となる第1層41と第2層とが、同等形状に積層形成される。
さらに、第2層接合工程において、第2層42を形成した第1積層体Aに、第2セラミックス層30となる積層体を、第1セラミックス層20とダクト形成層301が隣接するように積層し、プレス圧1〜5MPaで圧着して、第2積層体Bとする。
これにより、第1層41と第2層42とが接合されて接合層40が形成され、第1セラミックス層20と接合層40とダクト形成層301の凹部32とで囲まれる空間部にて、大気ダクト31が形成される。
なお、第1積層体Aに、第2セラミックス層30に積層する際には、大気ダクト31となる凹部32の容積が大きいことから、チャンバ形成層50の抜穴部52のように、焼失可能な充填材等を用いることができない。そのために、第2圧着工程では、第1圧着工程におけるプレス圧よりも低い加圧力となるように、第1層41と第2層42との接合が可能な範囲で、比較的低いプレス圧に設定される。大気ダクト31となる凹部32の形状は例えば、幅0.5mm〜2.0mm、高さ0.05mm〜1.0mmの範囲に設定される。幅や高さが上記範囲を下回ると、大気の導入に必要な容積が確保できず、上記範囲を上回ると、焼成時に大きな応力が生じて、剥離や割れの抑制が困難となるおそれがある。
その後、焼成工程において、得られた第2積層体Bを焼成することで、ガスセンサ素子1とする。このようにして得られたガスセンサ素子1において、ダクト側リード21a及び検出側リード22aの厚みは、例えば、4μm〜20μmであり、接合層40の厚みは、例えば、10μm〜50μmであることが好ましい。このとき、接合層40を構成する第1層41又は第2層42の厚みは、それぞれ5μm〜25μmの範囲に設定することができ、焼成時の熱収縮等を考慮して、焼成前の厚みを決定することが望ましい(例えば、6μm〜31μm)。各層の厚みが上記範囲を下回ると、両層を生産性よく積層し良好な接合性を得ることが容易でなく、上記範囲を上回ると、焼成時に生じる応力が大きくなり、剥離や割れの抑制が困難となるおそれがある。
なお、各セラミックス層を構成するグリーンシートの焼成収縮率は、例えば、14%〜21%、リード部となる導電性ペーストの焼成収縮率は、5%〜30%の範囲に調整される。接合層40は、例えば、第1層41の焼成収縮率が、12%〜20%、第2層42の焼成収縮率が、13%〜21%の範囲となるように調整される。
このようにして、複層構造の接合層40を介して、第1セラミックス層20と第2セラミックス層30とが接合され、アンカー層10により、ダクト側リード21a及び検出側リード22aの接合性を確保しながら、接合部40の近傍に応力が加わることを抑制して、積層・圧着工程における剥がれや、焼成工程における割れ等の発生を抑制することができる。
(比較形態1)
図7、図8に、以下の試験例に供するための比較形態1として、従来構成の積層型ガスセラミックス素子1とその製造工程を示す。
図7に示すように、比較形態1の積層型ガスセラミックス素子1は、上記実施形態1と、接合層40が一層構造である点のみ異なっている。図8に示すように、比較形態1における接合層40は、実施形態1における接合層40のように第1層41及び第2層42を有さず、実施形態1の第1圧着工程に対応する積層・印刷工程において、接合層40は用いられない。そのため、積層・印刷工程(例えば、プレス圧50〜60MPa)では、ダクト側リード21aは、第1セラミックス層20との接合面でのみ、アンカー層10が形成される。次いで、得られた積層体Cには、接合層印刷工程において、ダクト側リード21aが形成された第1セラミックス層20の表面に、例えば、絶縁性ペーストを用いて、接合層40となる絶縁層が印刷形成される。
さらに、接合工程において、第2セラミックス層30となる積層体を、第1セラミックス層20とダクト形成層301が隣接するように積層し、プレス圧1〜5MPaで圧着して、積層体Dとする。このとき、ダクト側リード21aと接合層40との間に、アンカー層10は形成されない。この積層体Dを、焼成工程において、焼成することにより、比較形態1の積層型ガスセラミックス素子1となる。
比較形態1の製造工程では、第1セラミックス層20と第2セラミックス層30とを、絶縁性ペーストからなる接合層40で、直接接着しており、内部に大気ダクト31となる大きな空間部を有するために、加圧力を高くすることができない。また、ダクト側リード21aに用いられる導電性ペーストは、接合層40に用いられる絶縁性ペーストと、それぞれに含まれる樹脂バインダ等の有機成分が異なるため、樹脂同士の結合による接合性の向上が期待できず、接合力が弱くなる。さらに、素子形状に切断する加工工程での層間剥離の懸念もあり、脱脂・焼成過程での層間剥離を起点にした割れ等の要因になっていたと推測される。
(試験例)
上述した製造工程により、上記実施形態1の構成の積層型ガスセラミックス素子1を製造し、長手方向に切断して、ダクト側リード21aと、第1セラミックス層20及び接合層40との接合界面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。
図9中に、SEM画像に基づく模式図とその拡大画像(倍率:×3000)を示すように、ダクト側リード21aと接合層40の第1層41との間に、0.1μm〜1μm程度の多数の凹凸が繰り返し現れるアンカー層10が確認された。また、ダクト側リード21aと第1セラミックス層20との間にも、同様の凹凸構造からなるアンカー層10が確認された。
ここで、拡大画像中のダクト側リード21aにおいて、白い部分は、ダクト側リード21aの構成材料に含まれる金属材料粒子(白金)であり、灰色の部分は、セラミックス材料粒子(ジルコニア)である。また、第1層41において、黒い部分は、その構成材料に含まれるセラミックス材料粒子(アルミナ)である。第1層41との接合界面には、ダクト側リード21aのうちのセラミックス材料粒子が比較的多く分布しており、第1層41と圧着されることで、互いの構成材料に含まれるセラミックス材料粒子同士が、接合界面に食い込み、アンカー層10が形成されたものと推測される。
なお、比較のため、上記図7、図8に示した比較形態1の積層型ガスセラミックス素子1を、上述した製造工程により製造し、同様にして、接合界面を観察したところ、ダクト側リード21aと接合層40との接合界面に、実施形態1のような凹凸構造のアンカー層10は見られなかった。
また、上記実施形態1の積層型ガスセラミックス素子1を、幅方向に切断して、接合層40の積層構造を観察した。
図10に、SEM画像(倍率:×200)を示すように、接合層40は、第1層41と第2層42とが積層された、段付きの二層構造となっていることが確認された、このとき、接合層40は、第1層41が第2層42よりも大気ダクト31側に位置する段付き構造をしており、接合後の脱脂・焼成過程において、応力が局所的に集中するのを緩和するために、より好ましい。このような段付き構造は、例えば、接合層40の第1層41と第2層42とを構成する絶縁性ペーストに含まれる有機バインダの配合量等により、焼成収縮率を調整することで得られる。
(実施形態2)
積層型ガスセンサ素子に係る実施形態2について、図11、図12を参照して説明する。本形態においても、ガスセンサ素子1は、第1セラミックス層20と第2セラミックス層30とを、複層構造の接合層40を介して積層してなり、第1セラミックス層20に形成されるダクト側リード21aの形状及び配置が異なっている。それ以外のガスセンサ素子1の基本構成は、上記実施形態1と同様であり、以下、相違点を中心に説明する。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
図11に示すように、本形態のガスセンサ素子1においても、上記実施形態1と同様に、第1セラミックス層20の両面に、図示しない一対の電極部21、22に接続されるダクト側リード21a及び検出側リード22aが形成され、スルーホールTHに充填される導電材を介して、端子部T1、T2に接続されている。また、第2セラミックス層30の内部には、図示しないヒータ電極71に接続されるヒータリード72a、72bが形成され、スルーホールTHに充填される導電材を介して、端子部T3、T4と接続されている。
このとき、図12に示すように、大気ダクト31に露出するダクト側リード21aを、大気ダクト31の幅よりも幅広に形成することもできる。その場合には、ダクト側リード21aは、幅方向の両端が、第1セラミックス層20と、接合層40の第1層41との間に挟持され、接合界面にアンカー層10がそれぞれ形成される(例えば、図11参照)。基準電極21は、大気ダクト31の内側に、これより幅狭に配置される。
ガスセンサ素子1がより小型化又は大気ダクト31がより大型化した場合、あるいは、ダクト側リード21aを含む基準電極21を所望の特性とするために、ダクト側リード21aがより幅広に形成された場合に、大気ダクト31の幅よりも、ダクト側リード21aの幅が大きくなることがある。そのような場合には、本形態のように、検出側リード22aの幅方向の両側を、第1セラミックス層20と第1層41の間に配置して、その両方において、検出側リード22aと第1層41との間にアンカー層10を設けることで、接合性を向上させることができる。
図13に変形例として示すように、上記実施形態2の構成において、接合層40の第1層41を、第2層42よりも大気ダクト31の内側に位置するように形成し、段付きの積層構造とすることもできる。このような配置では、接合層40の第1層41が、ダクト側リード21aをより内側まで覆うことで、アンカー層10を介した接合面積がより大きくなる。また、上述したように、段付き形状により、接合界面に加わる応力を緩和して、接合性をより向上する効果が得られる。
あるいは、図14に変形例として示すように、接合層40の第1層41を、ダクト側リード21aの全体を覆うように形成することもできる。このような配置により、アンカー層10を介した接合面積が、さらに大きくなり、接合性が向上する。
このように、大気ダクト31の容積が確保される範囲で、第1層41を大気ダクト31のより内側に配置することで、接合性を確保しながら、素子の小型化と大気ダクト31の大型化を両立させることができる。
なお、図13、図14の変形例では、検出側リード22aの図示を省略しているが、上記実施形態2と同様の構成とすることができる。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
例えば、上記各実施形態では、積層型ガスセンサ素子1を空燃比センサ素子として用いる例について説明したが、これに限らず、NOxセンサ素子等の排ガスセンサ素子や、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するための種々のガスセンサ素子として用いることができる。その場合には、上述した1セル型の素子構造に限らず、2セル型又は3セル型等、複数セルを有する素子構造とすることもできる。
さらに、上記各実施形態では、自動車用エンジンの排ガス浄化システムに用いられるガスセンサへの適用例として説明したが、自動車用エンジンや排ガス浄化システムに限るものではなく、種々のガスセンサへの適用が可能である。
1 ガスセンサ素子
10 アンカー層
20 第1セラミックス層
21 基準電極(電極部)
21a ダクト側リード(リード部)
30 第2セラミックス層
31 大気ダクト(ガス導入ダクト)
40 接合層
41 第1層
42 第2層

Claims (8)

  1. 互いに異なる材料組成からなる第1セラミックス層(20)と第2セラミックス層(30)とを、絶縁性セラミックス材料を含む接合層(40)を介して積層してなり、
    上記第1セラミックス層には、電極部(21、22)と上記電極部に接続されるリード部(21a、22a)とが形成され、
    上記第2セラミックス層には、上記第1セラミックス層に積層されて、ガス導入ダクト(31)となる凹部(32)が形成される積層型ガスセンサ素子(1)であって、
    上記リード部は、上記第1セラミックス層の上記ガス導入ダクト側の表面に形成されるダクト側リード(21a)の一部が、上記ガス導入ダクトに面して配置され、残部が上記接合層と接合されており、かつ、上記接合層と上記ダクト側リードとの接合界面に、互いの構成材料が凹凸状に食い込むアンカー層(10)を有する、積層型ガスセンサ素子。
  2. 上記接合層は複層構造であり、上記第1セラミックス層及び上記ダクト側リードに接する第1層(41)と、上記第2セラミックス層に接する第2層(42)とを、少なくとも有すると共に、上記第1層と上記ダクト側リードとの接合界面に、上記アンカー層を有する、積層型ガスセンサ素子。
  3. 上記ダクト側リードは、金属材料を主成分とし共材としてセラミックス材料を含む導電性材料からなり、
    上記アンカー層は、上記ダクト側リードのセラミックス材料と、上記接合層の上記絶縁性セラミックス材料とが、互いに凹凸状に食い込み合うアンカー構造を有する、請求項1又は2に記載のガスセンサ素子。
  4. 上記アンカー層の厚さは、5μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスセンサ素子。
  5. 上記第1セラミックス層と上記第2セラミックス層は、それぞれ、平板状のセラミックスシートからなり、
    上記凹部は、上記第2セラミックス層の長手方向に延びて、その一端側に開口しており、
    上記ダクト側リードは、上記凹部の側縁に沿って配置されると共に、上記ダクト側リードの少なくとも一部が、上記凹部の側縁よりも内側に位置する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスセンサ素子。
  6. 上記接合層は、上記第1層が上記第2層よりも上記凹部の内側に位置する、請求項5に記載のガスセンサ素子。
  7. 上記ダクト側リードと上記第1セラミックス層との接合界面に、上記アンカー層を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスセンサ素子。
  8. 互いに異なる材料組成からなる第1セラミックス層(20)と第2セラミックス層(30)とを、絶縁性セラミックス材料を含む接合層(40)を介して積層してなり、
    上記第1セラミックス層には、電極部(21、22)と上記電極部に接続されるリード部(21a、22a)とが形成され、
    上記第2セラミックス層には、上記第1セラミックス層に積層されて、ガス導入ダクト(31)となる凹部(32)が形成される積層型ガスセンサ素子(1)の製造方法であって、
    上記接合層を、少なくとも第1層(41)と第2層(42)とを有する複層構造とし、
    上記第1セラミックス層の表面に、上記電極部及び上記リード部を形成するに際して、上記第1セラミックス層の上記ガス導入ダクト側の表面に、上記リード部のうちのダクト側リード(21a)を、その一部が、上記ガス導入ダクトに面して配置されるように印刷形成する印刷工程と、
    上記第1層と上記第1セラミックス層との間に、上記ダクト側リードを配置して加圧圧着し、第1積層体(A)とする第1圧着工程と、
    上記第1積層体の上記第1層側に、上記第2層を介して、上記第2セラミックス層を積層し、上記第1圧着工程よりも低い加圧力で圧着して、第2積層体(B)とする第2圧着工程と、
    上記第2積層体を焼成する焼成工程と、を有する積層型ガスセンサ素子の製造方法。
JP2019119932A 2019-06-27 2019-06-27 積層型ガスセンサ素子及びその製造方法 Active JP7140059B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019119932A JP7140059B2 (ja) 2019-06-27 2019-06-27 積層型ガスセンサ素子及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019119932A JP7140059B2 (ja) 2019-06-27 2019-06-27 積層型ガスセンサ素子及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021004850A true JP2021004850A (ja) 2021-01-14
JP7140059B2 JP7140059B2 (ja) 2022-09-21

Family

ID=74098137

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019119932A Active JP7140059B2 (ja) 2019-06-27 2019-06-27 積層型ガスセンサ素子及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7140059B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5953267U (ja) * 1982-10-01 1984-04-07 日本電子機器株式会社 酸素センサ
US5141825A (en) * 1991-07-26 1992-08-25 Westinghouse Electric Corp. Method of making a cermet fuel electrode containing an inert additive
JPH09304321A (ja) * 1996-05-20 1997-11-28 Denso Corp セラミック積層体及びその製造方法
JP2016011884A (ja) * 2014-06-30 2016-01-21 株式会社デンソー ガスセンサ素子及びその製造方法
JP2016070740A (ja) * 2014-09-29 2016-05-09 株式会社デンソー 積層型ガスセンサ素子およびその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5953267U (ja) * 1982-10-01 1984-04-07 日本電子機器株式会社 酸素センサ
US5141825A (en) * 1991-07-26 1992-08-25 Westinghouse Electric Corp. Method of making a cermet fuel electrode containing an inert additive
JPH09304321A (ja) * 1996-05-20 1997-11-28 Denso Corp セラミック積層体及びその製造方法
JP2016011884A (ja) * 2014-06-30 2016-01-21 株式会社デンソー ガスセンサ素子及びその製造方法
JP2016070740A (ja) * 2014-09-29 2016-05-09 株式会社デンソー 積層型ガスセンサ素子およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7140059B2 (ja) 2022-09-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4911910B2 (ja) NOx測定電極部構造及びその形成方法並びにNOxセンサ素子
US10955376B2 (en) Gas sensor
US10113988B2 (en) Gas sensor
JP3597234B2 (ja) ガス混合物中のガス成分を測定するためのプレーナ型電気化学式センサおよびその製造方法
JP4172279B2 (ja) ガスセンサ
US11327043B2 (en) Sensor element for gas sensor
JP6966352B2 (ja) センサ素子、ガスセンサ及びセンサ素子の製造方法
JP5158009B2 (ja) ガスセンサ素子及びその製造方法、並びにガスセンサ
JP2007024670A (ja) セラミック積層体及びそれを具備するガスセンサ
JP4093784B2 (ja) 積層型ガスセンサ素子及びその製造方法並びにガスセンサ
JP2019158494A (ja) ガスセンサ
JP7140059B2 (ja) 積層型ガスセンサ素子及びその製造方法
US9696274B2 (en) Gas sensor element and gas sensor
JP2008157649A (ja) 積層型ガスセンサ
US20210389270A1 (en) Sensor element of gas sensor
US11016054B2 (en) Gas sensor element and gas sensor including same
JP4706569B2 (ja) 積層型ガスセンサ
JP5115247B2 (ja) ガスセンサ素子
JP2003521709A (ja) 電気化学的な測定プローブおよび、該電気化学的な測定プローブを製造するための方法
WO2021166311A1 (ja) センサ素子、ガスセンサ及びセンサ素子の製造方法
JP4223471B2 (ja) ガスセンサ素子
JP4262764B2 (ja) 積層型ガスセンサ素子
JP5035078B2 (ja) ガスセンサ素子
JP7457664B2 (ja) センサ素子及びガスセンサ
US20060049049A1 (en) Sensor element

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210825

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220413

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220510

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220621

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220809

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220822

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7140059

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151