JP2021004850A - 積層型ガスセンサ素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
互いに異なる材料組成からなる第1セラミックス層(20)と第2セラミックス層(30)とを、絶縁性セラミックス材料を含む接合層(40)を介して積層してなり、
上記第1セラミックス層には、電極部(21、22)と上記電極部に接続されるリード部(21a、22a)とが形成され、
上記第2セラミックス層には、上記第1セラミックス層に積層されて、ガス導入ダクト(31)となる凹部(32)が形成される積層型ガスセンサ素子(1)であって、
上記リード部は、上記第1セラミックス層の上記ガス導入ダクト側の表面に形成されるダクト側リード(21a)の一部が、上記ガス導入ダクトに面して配置され、残部が上記接合層と接合されており、かつ、上記接合層と上記ダクト側リードとの接合界面に、互いの構成材料が凹凸状に食い込むアンカー層(10)を有する、積層型ガスセンサ素子にある。
互いに異なる材料組成からなる第1セラミックス層(20)と第2セラミックス層(30)とを、絶縁性セラミックス材料を含む接合層(40)を介して積層してなり、
上記第1セラミックス層には、電極部(21、22)と上記電極部に接続されるリード部(21a、22a)とが形成され、
上記第2セラミックス層には、上記第1セラミックス層に積層されて、ガス導入ダクト(31)となる凹部(32)が形成される積層型ガスセンサ素子(1)の製造方法であって、
上記接合層を、少なくとも第1層(41)と第2層(42)とを有する複層構造とし、
上記第1セラミックス層の表面に、上記電極部及び上記リード部を形成するに際して、上記第1セラミックス層の上記ガス導入ダクト側の表面に、上記リード部のうちのダクト側リード(21a)を、その一部が、上記ガス導入ダクトに面して配置されるように印刷形成する印刷工程と、
上記第1層と上記第1セラミックス層との間に、上記ダクト側リードを配置して加圧圧着し、第1積層体(A)とする第1圧着工程と、
上記第1積層体の上記第1層側に、上記第2層を介して、上記第2セラミックス層を積層し、上記第1圧着工程よりも低い加圧力で圧着して、第2積層体(B)とする第2圧着工程と、
上記第2積層体を焼成する焼成工程と、を有する積層型ガスセンサ素子の製造方法にある。
以上のごとく、上記態様によれば、電極部を有するセラミックス層と凹部を有するセラミックス層が接合層にて接合される構成において、電極部に接続されるリード部と接合層との間に剥離や割れ等が生じるのを抑制可能な積層型ガスセンサ素子及びその製造方法を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
以下に、積層型ガスセンサ素子及びその製造方法に係る実施形態1について、図面を参照して説明する。図1〜図3に示される積層型ガスセンサ素子(以下、適宜、ガスセンサ素子と略称する)1は、例えば、自動車用エンジンの排ガス浄化システムに用いられるガスセンサの主要部を構成して、排ガス等の被測定ガス中の特定ガス濃度を検出する。具体的には、ガスセンサ素子1は、ガスセンサのハウジング内に収容されて、先端側が排ガス管内に位置するように取り付けられ、基端側は基準ガスとなる大気中に位置する。排ガスに含まれる特定ガスとしては、酸素やNOx等のガスが挙げられ、ガスセンサとしての酸素センサや、空燃比センサ、NOxセンサ等に用いられる。
第1セラミックス層20には、電極部となる基準電極21及び検出電極22と、リード部となるダクト側リード21a及び検出側リード部22aとが、形成される。基準電極21はダクト側リード21aに、検出電極22は検出側リード部22aに、それぞれ接続されている。
このとき、図4に示されるように、アンカー層10は、ダクト側リード21aのセラミックス材料と、接合層40の絶縁性セラミックス材料とが、互いに凹凸状に食い込み合うアンカー構造を有する。
また、好適には、ダクト側リード21aと第1セラミックス層20との接合界面においても、凹凸形状のアンカー層10が設けられる。さらには、リード部のうち検出側リード22aについても、その接合界面に、凹凸形状のアンカー層10を有することが望ましい。
すなわち、接合層40を、少なくとも第1層41と第2層42とを有する複層構造とし、
印刷工程では、第1セラミックス層20の表面に、電極部21、22とリード部21a、22aを形成するに際して、第1セラミックス層20のガス導入ダクト31側の表面に、リード部21a、22aのうちのダクト側リード21aを、その一部が、ガス導入ダクト31に面して配置されるように印刷形成する。
第1圧着工程では、第1層41と第1セラミックス層20との間に、ダクト側リード21aを配置して加圧圧着し、第1積層体Aとする。
第2圧着工程では、第1積層体Aの第1層41側に、第2層42を介して、第2セラミックス層30を積層し、第1圧着工程よりも低い加圧力で圧着して、第2積層体Bとする。
焼成工程では、この第2積層体Bを焼成して、ガスセンサ素子1とする。
図1、図3に示すように、本形態のガスセンサ素子1は、複数のセラミックス層が一体的に積層された積層型素子として構成される。図2に示すように、ガスセンサ素子1は、長い直方体形状の外形を有しており、以降の説明では、その積層方向をX方向(例えば、図2の上下方向)、その長手方向をY方向(例えば、図2の左右方向)とする。
これにより、検出セル2によるセンサ検出結果を、一対の端子部T1、T2から、図示しないエンジン制御部へ出力可能となっている。
第1セラミックス層20に積層されるチャンバ形成層50及び遮蔽層60、大気ダクト31が形成される第2セラミックス層30は、アルミナ等の絶縁性セラミックス材料を骨材とする絶縁性シートからなる。基準電極21及び検出電極22、これら電極と接続されるダクト側リード21a及び検出側リード部22aは、貴金属材料を主成分とし共材としてセラミックス材料を含む導電性材料からなる。
次に、上記構成のガスセンサ素子1の製造方法について、説明する。
図6に一例を示す製造工程では、まず、印刷工程にて、ガスセンサ素子1を構成するセラミックスシートの対応する表面に、一対の電極部21、22やリード部21a、22a、ヒータリード72a、72b、端子部T1〜T4等を、印刷形成する。これに先立って、ガスセンサ素子1の各セラミックス層に対応するセラミックスシートが、それぞれ用意される。その後、第1圧着工程としての積層・圧着工程と、第2圧着工程としての第2層印刷工程及び第2層接合工程と、焼成工程とを、順次行って、複数のセラミックス層が積層されたガスセンサ素子1とする。
このとき、第1セラミックス層20に形成されるダクト側リード21aは、次工程にて積層される接合層40の切り欠き401に沿って、その側縁と一部が重なるように配置される。
一方、ヒータ基材層302には、ダクト形成層301が積層・圧着されることで、第2セラミックス層30となる積層体が、別途形成される。
図7、図8に、以下の試験例に供するための比較形態1として、従来構成の積層型ガスセラミックス素子1とその製造工程を示す。
図7に示すように、比較形態1の積層型ガスセラミックス素子1は、上記実施形態1と、接合層40が一層構造である点のみ異なっている。図8に示すように、比較形態1における接合層40は、実施形態1における接合層40のように第1層41及び第2層42を有さず、実施形態1の第1圧着工程に対応する積層・印刷工程において、接合層40は用いられない。そのため、積層・印刷工程(例えば、プレス圧50〜60MPa)では、ダクト側リード21aは、第1セラミックス層20との接合面でのみ、アンカー層10が形成される。次いで、得られた積層体Cには、接合層印刷工程において、ダクト側リード21aが形成された第1セラミックス層20の表面に、例えば、絶縁性ペーストを用いて、接合層40となる絶縁層が印刷形成される。
図9中に、SEM画像に基づく模式図とその拡大画像(倍率:×3000)を示すように、ダクト側リード21aと接合層40の第1層41との間に、0.1μm〜1μm程度の多数の凹凸が繰り返し現れるアンカー層10が確認された。また、ダクト側リード21aと第1セラミックス層20との間にも、同様の凹凸構造からなるアンカー層10が確認された。
図10に、SEM画像(倍率:×200)を示すように、接合層40は、第1層41と第2層42とが積層された、段付きの二層構造となっていることが確認された、このとき、接合層40は、第1層41が第2層42よりも大気ダクト31側に位置する段付き構造をしており、接合後の脱脂・焼成過程において、応力が局所的に集中するのを緩和するために、より好ましい。このような段付き構造は、例えば、接合層40の第1層41と第2層42とを構成する絶縁性ペーストに含まれる有機バインダの配合量等により、焼成収縮率を調整することで得られる。
積層型ガスセンサ素子に係る実施形態2について、図11、図12を参照して説明する。本形態においても、ガスセンサ素子1は、第1セラミックス層20と第2セラミックス層30とを、複層構造の接合層40を介して積層してなり、第1セラミックス層20に形成されるダクト側リード21aの形状及び配置が異なっている。それ以外のガスセンサ素子1の基本構成は、上記実施形態1と同様であり、以下、相違点を中心に説明する。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
このように、大気ダクト31の容積が確保される範囲で、第1層41を大気ダクト31のより内側に配置することで、接合性を確保しながら、素子の小型化と大気ダクト31の大型化を両立させることができる。
なお、図13、図14の変形例では、検出側リード22aの図示を省略しているが、上記実施形態2と同様の構成とすることができる。
例えば、上記各実施形態では、積層型ガスセンサ素子1を空燃比センサ素子として用いる例について説明したが、これに限らず、NOxセンサ素子等の排ガスセンサ素子や、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するための種々のガスセンサ素子として用いることができる。その場合には、上述した1セル型の素子構造に限らず、2セル型又は3セル型等、複数セルを有する素子構造とすることもできる。
10 アンカー層
20 第1セラミックス層
21 基準電極(電極部)
21a ダクト側リード(リード部)
30 第2セラミックス層
31 大気ダクト(ガス導入ダクト)
40 接合層
41 第1層
42 第2層
Claims (8)
- 互いに異なる材料組成からなる第1セラミックス層(20)と第2セラミックス層(30)とを、絶縁性セラミックス材料を含む接合層(40)を介して積層してなり、
上記第1セラミックス層には、電極部(21、22)と上記電極部に接続されるリード部(21a、22a)とが形成され、
上記第2セラミックス層には、上記第1セラミックス層に積層されて、ガス導入ダクト(31)となる凹部(32)が形成される積層型ガスセンサ素子(1)であって、
上記リード部は、上記第1セラミックス層の上記ガス導入ダクト側の表面に形成されるダクト側リード(21a)の一部が、上記ガス導入ダクトに面して配置され、残部が上記接合層と接合されており、かつ、上記接合層と上記ダクト側リードとの接合界面に、互いの構成材料が凹凸状に食い込むアンカー層(10)を有する、積層型ガスセンサ素子。 - 上記接合層は複層構造であり、上記第1セラミックス層及び上記ダクト側リードに接する第1層(41)と、上記第2セラミックス層に接する第2層(42)とを、少なくとも有すると共に、上記第1層と上記ダクト側リードとの接合界面に、上記アンカー層を有する、積層型ガスセンサ素子。
- 上記ダクト側リードは、金属材料を主成分とし共材としてセラミックス材料を含む導電性材料からなり、
上記アンカー層は、上記ダクト側リードのセラミックス材料と、上記接合層の上記絶縁性セラミックス材料とが、互いに凹凸状に食い込み合うアンカー構造を有する、請求項1又は2に記載のガスセンサ素子。 - 上記アンカー層の厚さは、5μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスセンサ素子。
- 上記第1セラミックス層と上記第2セラミックス層は、それぞれ、平板状のセラミックスシートからなり、
上記凹部は、上記第2セラミックス層の長手方向に延びて、その一端側に開口しており、
上記ダクト側リードは、上記凹部の側縁に沿って配置されると共に、上記ダクト側リードの少なくとも一部が、上記凹部の側縁よりも内側に位置する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスセンサ素子。 - 上記接合層は、上記第1層が上記第2層よりも上記凹部の内側に位置する、請求項5に記載のガスセンサ素子。
- 上記ダクト側リードと上記第1セラミックス層との接合界面に、上記アンカー層を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスセンサ素子。
- 互いに異なる材料組成からなる第1セラミックス層(20)と第2セラミックス層(30)とを、絶縁性セラミックス材料を含む接合層(40)を介して積層してなり、
上記第1セラミックス層には、電極部(21、22)と上記電極部に接続されるリード部(21a、22a)とが形成され、
上記第2セラミックス層には、上記第1セラミックス層に積層されて、ガス導入ダクト(31)となる凹部(32)が形成される積層型ガスセンサ素子(1)の製造方法であって、
上記接合層を、少なくとも第1層(41)と第2層(42)とを有する複層構造とし、
上記第1セラミックス層の表面に、上記電極部及び上記リード部を形成するに際して、上記第1セラミックス層の上記ガス導入ダクト側の表面に、上記リード部のうちのダクト側リード(21a)を、その一部が、上記ガス導入ダクトに面して配置されるように印刷形成する印刷工程と、
上記第1層と上記第1セラミックス層との間に、上記ダクト側リードを配置して加圧圧着し、第1積層体(A)とする第1圧着工程と、
上記第1積層体の上記第1層側に、上記第2層を介して、上記第2セラミックス層を積層し、上記第1圧着工程よりも低い加圧力で圧着して、第2積層体(B)とする第2圧着工程と、
上記第2積層体を焼成する焼成工程と、を有する積層型ガスセンサ素子の製造方法。
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