JP2021004379A - 低リン鋼の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
以下、この明細書中において、「P」「P2O5」などアルファベットで記した場合はその化学式の物質を表し、「リン」とカナで記した場合は、形態を問わずその物質に含まれるリンを表す。
(1)前記リン含有物質は、粒径が10mm未満の大きさの粉鉄鉱石であること、
(2)前記低リン含有物質中のリンの含有量が0.005mass%以上0.05mass%以下であること、
(3)前記窒素含有ガスによる脱リン処理は、処理雰囲気中における窒素分圧PN2を0.2〜0.9atmに保持して行うこと、
(4)前記鉄鋼製造プロセスが、焼結鉱の製造、高炉の製錬、溶銑の予備処理、転炉による予備脱リン処理、転炉による脱炭精錬のいずれかであること、
がより好ましい実施形態である。
特に、本発明によれば、予備的に脱リン処理した原料を用意しておくことができるので、低リン鋼製造のための鉄鋼製造プロセスの各段階のいつでもこれを利用することができる。
しかも、本発明によれば、安価なリン含有物質の原料の使用量を増加させることができると共に、鉄鋼製造プロセスにおけるリン除去に要する精錬剤の使用量を削減できるようになり、ひいてはスラグ発生量の低減を通じて鉄ロス量の低減を図ることができる。
(1)固体の還元剤と窒素ガスとを高温で接触させる、
(2)一酸化炭素、水素、炭化水素等の還元性ガスを窒素ガスに混合する、
(3)電圧を印加した固体電解質に窒素ガスを導入して酸素を除去する、
などの方法であれば、どんな方法でもよい。
5トン/hr規模の回転炉床炉に粉鉄鉱石を装入し、加熱バーナーに供給する燃料と酸素の量とその比率、さらに窒素ガスの供給量を調整して、処理温度、酸素分圧、窒素分圧を制御した窒化脱リン処理を施した。この設備(回転炉床炉)では、装入から排出までの時間が30分となるように操業条件を設定し、装入した試料が15分時点で存在する場所の温度測定とガス組成分析を行った。ガス中の一酸化炭素(CO)および二酸化炭素(CO2)の濃度を赤外線ガス分析装置により測定し、その残りを窒素ガスとして扱った。また、酸素分圧はCO/CO2比の測定値から、以下の式より算出した。
(式1)
(式2)
(式3)
粉鉱石を予め窒化脱リン処理した原料を用いて、下方吸引式のドワイトロイド焼結機にて、焼結鉱を製造する操業を行った。脱リン処理後の粉鉱石と、石灰石やドロマイトなどのCaO系副原料、生石灰等の造粒助剤、コークス粉や無煙炭などの炭材を個別に切り出し、ドラムミキサに適量の水を加えて混合し、造粒して平均径が3〜6mmの疑似粒子である焼結用原料を得た。こうして得られた焼結用原料を、焼結機の給鉱部に配設されているサージホッパーからドラムフィーダーと切り出しシュートを介して無端移動式の焼結機パレットに装入し、カットゲートによって600mmの厚さの焼結ベッドを形成した。その後、装入層の上部に配設された点火炉によって、装入層上部の炭材に点火するとともに、パレットの下方に配設されたウインドボックスを介して装入層の上方のガスを下方に吸引することにより、装入層内の炭材を順次に燃焼させて焼結鉱を製造した。
内容積5,000m3の高炉を用い、実施例2で得られた焼結鉱を用いた操業を行った(本発明例41〜50)。高炉原料の20mass%を塊鉱石、75mass%を当該焼結鉱とし、残り5mass%はペレットとして、還元剤比が495kg/t−溶銑となるようにコークスを装入した。高炉に装入した塊鉱石、窒化脱リン処理済み鉱石および未処理それぞれの粉鉱石から作製した焼結鉱、ペレットの組成を表9に示す。本発明に従う窒化脱リン処理済みの焼結鉱は実施例2の発明例40に相当するものを用いた。高炉原料およびコークスは、コンベアーにより高炉上部まで運搬し、旋回シュートを介して高炉内へと落下することで装入した。出銑比が2.0t−溶銑/m3/日となるように熱風炉を介して1,120℃の空気を供給した。比較例として、窒化脱リン処理を施していない未処理の焼結鉱のみを用いた操業を行った(比較例77)。また、装入した窒化脱リン処理済みおよび未処理の焼結鉱の配合割合を表10に示す。
300t規模のトピードカーにおいて、溶銑の予備処理(脱リン)を実施する際の副原料として、本発明に従う窒化脱リン処理を実施した粉状鉱石を用いた操業を行った(本発明例51〜60)。溶銑装入量は300tとし、粉石灰2.5tと粉状鉱石12.0tを予め混合した精錬剤を、窒素ガスをキャリアガスとして、トピードカー内に挿入したインジェクションランスから供給した。トピードカーに装入した溶銑成分と温度、溶銑予備処理後の溶銑成分と温度、および添加した精錬剤の重量を表11に示す。使用した精錬剤(鉱石)は実施例2と同様の処理を施したものであり、組成は表7に示したとおりのものである。比較例として、本発明に適合する窒化脱リン処理未実施の粉鉱石のみを用いた操業も行った(比較例78)。
280t規模の転炉において、予備処理脱リンを施す際の副原料として、本発明に従って処理した粉鉱石を用いて操業を行った(本発明例61〜63)。ここで、溶銑装入量は280tとし、溶銑Si濃度に応じてスラグ塩基度(%CaO/%SiO2)を2.3となるように塊石灰添加量を調整した。ここで、前記粉鉱石は、転炉脇のディスペンサータンクに格納しておき、年令に応じてArやN2などの不活性ガスによって搬送し、送酸用の上吹きランスから炉内へと投射した。一方、塊石灰は、転炉上部のホッパーに格納しておき必要量を切り出して自然落下により炉内に装入した。次いで、上吹きランスから気体酸素を吹き付け、予備処理後のC濃度が約3.0%となるように酸素吹き付け量を制御した。転炉に装入した溶銑成分と温度、予備処理後の溶銑成分と温度、および添加した塊石灰と粉鉱石重量を表12に示す。使用した粉鉱石は実施例2と同様の処理を実施したものであり、組成は表7に示したとおりである。比較例として、粉鉱石を用いない操業および前記窒化脱リン処理を施していない未処理粉鉱石を用いた操業も行った(比較例79〜82)。
280t規模の転炉において、脱炭吹錬を実施する際の副原料として、本発明に従って窒化脱リン処理した粉鉱石を用いた操業を行った。装入する溶銑は、生銑、予備処理銑(脱リン)の2通りとした(生銑:本発明例64〜66、予備処理銑:本発明例67〜69)。溶銑装入量は280tとし、生銑を用いた操業ではスラグ中のSiO2量が12kg/tとなるように溶銑Si濃度に応じて珪石の添加を行った。予備処理銑を用いた操業では、280tの溶銑に対して0.8tの珪石添加を行った。いずれの操業においても、スラグ塩基度(%CaO/%SiO2)が3.0となるように、塊石灰の添加量を調整した。ここで、粉状鉱石は転炉脇のディスペンサータンクに格納されており、ArやN2などの不活性ガスによって搬送し、送酸用の上吹きランスから炉内へと投射した。珪石および塊石灰は、転炉上部のホッパーに個別に格納しておき、必要量を切出して自然落下により炉内に装入した。上吹きランスからは気体酸素を吹き付け、処理後のC濃度が約0.05mass%となるように酸素吹き付け量を制御した。転炉に装入した溶銑成分と温度、予備処理後の溶銑成分と温度、および添加した塊石灰と粉鉱石重量を表13、14に示す。使用した鉱石は実施例2と同様の処理を実施した粉鉱石であり、組成は表7に示したとおりである。比較として、粉鉱石を用いない操業および本発明に従う窒化脱リン処理を施していない粉鉱石を用いた操業も行った(生銑:比較例83〜86、予備処理銑:比較例87〜90)。
Claims (5)
- 鉄鋼製造プロセス用原料のうちの粉鉱石であるリン含有物質を、当該リン含有物質の融解温度未満の温度にて窒素含有ガスと反応させることにより、該リン含有物質中のリンを除去して低リン含有物質とする脱リン処理を施した後、得られた該低リン含有物質を該鉄鋼製造プロセスのいずれか1以上の段階で用いることを特徴とする、低リン鋼の製造方法。
- 前記リン含有物質は、粒径が10mm未満の大きさの粉鉄鉱石であることを特徴とする、請求項1に記載の低リン鋼の製造方法。
- 前記低リン含有物質中のリンの含有量が0.005mass%以上0.05mass%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の低リン鋼の製造方法。
- 前記窒素含有ガスによる脱リン処理は、処理雰囲気中における窒素分圧PN2を0.2〜0.9atmに保持して行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の低リン鋼の製造方法。
- 前記鉄鋼製造プロセスが、焼結鉱の製造、高炉の製錬、溶銑の予備処理、転炉による予備脱リン処理、転炉による脱炭精錬のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の低リン鋼の製造方法。
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JP2020020010A (ja) * | 2018-08-02 | 2020-02-06 | 日本製鉄株式会社 | 高燐鉄鉱石の還元方法 |
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