JP6052191B2 - 製鋼スラグの資源化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、製鋼工程で発生する製鋼スラグに含有される鉄及び燐を分離・回収し、回収した鉄及び燐を資源として有効活用するとともに、鉄及び燐を分離した後の製鋼スラグを石灰源などとして利用する方法に関し、詳しくは、バーナーを具備した反応容器で鉄及び燐を含有する製鋼スラグに還元処理を実施して製鋼スラグから鉄及び燐を分離・回収する際に、燐及び鉄を安定して効率良く分離・回収することのできる製鋼スラグの資源化方法に関する。
近年、環境対策及び省資源の観点から、製鋼スラグのリサイクル使用を含めて、製鋼スラグの発生量を削減することが実施されている。例えば、溶銑の予備処理で脱燐された溶銑の転炉脱炭精錬で発生するスラグ(転炉脱炭精錬において発生するスラグを「転炉スラグ」という)を、鉄源及び造滓剤用のCaO源として、鉄鉱石の焼結工程を経て高炉にリサイクルすることや、溶銑予備処理の脱燐処理工程でのCaO源としてリサイクルすることなどが行われている。尚、溶銑予備処理の脱燐処理(「予備脱燐処理」ともいう)とは、溶銑を転炉などにて脱炭精錬する前に、予め溶銑中の燐を除去する処理のことである。
予備脱燐処理された溶銑(「脱燐溶銑」ともいう)、特に鉄鋼製品の燐濃度レベルまで予備脱燐処理された脱燐溶銑を使用した脱炭精錬において発生する転炉スラグは、燐をほとんど含有しておらず、このスラグを高炉へリサイクルすることに起因する溶銑での燐濃度の増加(ピックアップ)は危惧する必要はない。しかしながら、予備脱燐処理時に発生したスラグや、予備脱燐処理されていない溶銑(「通常溶銑」ともいう)或いは予備脱燐処理されていても脱燐処理後の燐濃度が鉄鋼製品の燐濃度レベルまで低下していない脱燐溶銑を使用した転炉脱炭精錬で発生する転炉スラグのように、燐を含有するスラグを高炉へリサイクルした場合には、酸化物の形態で高炉にリサイクルされた燐が、高炉内で還元されて溶銑の燐含有量を増加させ、その結果、溶銑からの脱燐の負荷が増加するという悪循環に陥る。尚、燐を含有する製鋼スラグを予備脱燐処理などの酸化精錬へリサイクルする場合も、既に燐を含有することから脱燐剤としての機能が損なわれているので、リサイクルされる量は限られる。
一方、燐鉱石の枯渇問題や、中国、米国などによる燐鉱石の囲い込みのために、燐資源が高騰しており、溶銑中の不純物である燐を溶銑から除去する鉄鋼プロセスにおいて発生する製鋼スラグ中の燐が貴重な燐資源として見直されている。但し、高炉から出銑される溶銑の燐濃度は0.1質量%程度であり、従来の一般的な溶銑の予備脱燐処理や溶銑の脱炭精錬で生成される製鋼スラグの燐酸(P25)濃度は高々5質量%程度であり、濃度が低すぎて燐酸資源としての活用先はほとんどなく、製鋼スラグ中の燐は回収されていないのが実情であった。
そこで、製鋼スラグのリサイクルに起因する溶銑燐濃度のピックアップの防止、及び、製鋼スラグ中の燐の回収を図るべく、以下のような技術が提案されている。
製鋼スラグから燐酸資源を回収する技術としては、例えば特許文献1には、燐濃度が0.17〜0.50質量%の溶銑に対して予備脱燐処理を2回に分けて実施し、2回目の予備脱燐処理で生成する燐含有スラグを高炉装入原料の一部として高炉に装入することにより、高炉から出銑される溶銑中の燐濃度を0.17〜0.50質量%に維持し、1回目の予備脱燐処理で生成する高濃度の燐酸を含有するスラグを燐酸資源として回収する方法が提案されている。
また、特許文献2には、燐濃度が0.17〜0.50質量%の溶銑を予備脱燐処理することにより、生成するスラグを高濃度の燐酸を含有する燐酸資源として回収し、このとき得られる予備脱燐処理後の溶銑を転炉にて脱炭精錬し、この脱炭精錬で生成する燐を含有する転炉スラグを高炉装入原料の一部として高炉に装入することにより、高炉から出銑される溶銑中の燐濃度を0.17〜0.50質量%に維持する方法が提案されている。
一方、製鋼スラグから燐を分離・回収する技術としては、例えば特許文献3には、燐を含有する製鋼スラグを、炭素、珪素、アルミニウムなどの還元剤を用いて還元処理して、前記製鋼スラグ中の鉄酸化物及び燐酸化物を燐含有溶鉄として還元・回収し、該燐含有溶鉄を脱燐処理し、この脱燐処理で生成する高濃度の燐酸を含有するスラグを燐酸資源として回収するとともに、鉄酸化物及び燐酸化物が除去された製鋼スラグを製銑工程または製鋼工程におけるCaO源としてリサイクルする技術が提案されている。
また、特許文献4には、転炉での溶銑の脱炭精錬において発生した脱炭精錬スラグと、溶銑の予備処理において発生した予備脱燐スラグとを、これらを混合した後の混合物の塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))が1.5〜2.8になるように混合し、この混合物に対して炭素、珪素、アルミニウムのうちの1種類以上を含有する還元剤を用いて前記スラグ中の鉄酸化物を還元するための還元処理を行い、該還元処理によって得られた金属鉄を鉄源として利用するとともに、前記還元処理後のスラグを土木建築材料、環境改善材料、燐酸肥料用原料の何れか1種または2種以上として利用する技術が提案されている。
特開平8−3612号公報 特開平8−3613号公報 特開2010−168641号公報 特開2012−7190号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題がある。
即ち、特許文献1及び特許文献2では、燐含有量の多いスラグを得るために、従来の工程に対して、特別な工程を追加する必要があり、予備脱燐処理コストやスラグ回収コストが上昇するという問題がある。例えば、予備脱燐処理を2回に分けて行う特許文献1では、脱燐処理設備が2基必要であり、設備費の増加によって予備脱燐処理コストが上昇する。仮に1基の脱燐処理設備で行った場合には、脱燐処理可能量が約半分になり、生産性が低下して予備脱燐処理コストが上昇する。
特許文献3及び特許文献4は、固体還元剤を使用して燐を含有する製鋼スラグを還元処理することを記載しているが、固体還元剤に比較してスラグとの接触面積が大きく、燐及び鉄の還元反応への寄与が大きいと考えられる還元性ガスを利用することは何ら記載していない。つまり、特許文献3及び特許文献4では効率的な還元処理が行われているとは言い難い。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、バーナーを具備した反応容器で鉄及び燐を含有する製鋼スラグに還元処理を実施して製鋼スラグから鉄及び燐を分離・回収する際に、燐及び鉄を安定して効率良く分離・回収することのできる製鋼スラグの資源化方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]製鋼精錬プロセスにおいて発生した燐を含有する製鋼スラグを、バーナーを具備する反応容器に還元剤とともに装入して還元処理し、前記製鋼スラグ中の鉄酸化物及び燐酸化物を燐含有還元鉄として前記製鋼スラグから還元・回収する製鋼スラグの資源化方法であって、前記製鋼スラグと酸化珪素源とを予め混合した製鋼スラグ混合物を前記反応容器に装入し、該製鋼スラグ混合物の組成に応じて前記反応容器内の処理温度及び/または前記反応容器内の雰囲気ガスのCOガスとCO2ガスとの比(CO/CO2)を調整して還元処理を行うことを特徴とする、製鋼スラグの資源化方法。
[2]前記製鋼スラグ混合物の組成から計算されるフォスフェイトキャパシティ、COガス−CO2ガスの平衡から計算される前記雰囲気ガスの酸素ポテンシャル、前記燐含有還元鉄中の燐の活量係数、及び前記処理温度から下記の(1)式によって計算される、還元処理後の製鋼スラグ混合物中の燐濃度(質量%Pslag)と還元処理後の燐含有還元鉄中の燐濃度[質量%Pmetal]との比の対数値(log[(質量%Pslag)/[質量%Pmetal]])として定義される指標Aが6以下となるように、前記製鋼スラグ混合物の組成に応じて前記反応容器内の処理温度及び/または前記雰囲気ガスの比(CO/CO2)を調整することを特徴とする、上記[1]に記載の製鋼スラグの資源化方法。
但し、(1)式において、CPO4 3-はフォスフェイトキャパシティ(−)、PO2は雰囲気ガスの酸素ポテンシャル(atm)、fPは燐含有還元鉄中の燐の活量係数(−)、Tは処理温度(K)である。
[3]前記燐含有還元鉄として鉄酸化物及び燐酸化物が還元・回収された後の前記製鋼スラグを石灰源として利用することを特徴とする、上記[1]または上記[2]に記載の製鋼スラグの資源化方法。
本発明によれば、製鋼スラグ混合物の組成に応じて反応容器内の処理温度及び/または反応容器内の雰囲気ガスのCOガスとCO2ガスとの比(CO/CO2)を調整して還元処理を行うので、製鋼スラグからの燐及び鉄の回収率を安定して高位に保つことが実現され、燐を含有する製鋼スラグのCaO源としての資源化が促進されると同時に、燐含有製鋼スラグから分離・回収された燐含有還元鉄の燐資源としての資源化が促進され、且つ、製鉄所から外部に排出されるスラグ量を削減することが可能となる。
製鋼スラグ混合物の塩基度と製鋼スラグ混合物からの脱燐率との関係を示す図である。 製鋼スラグ混合物の塩基度と製鋼スラグ混合物からの脱鉄率との関係を示す図である。 製鋼スラグ混合物の塩基度を1.0の一定値とした条件での、処理温度と脱燐率との関係を示す図である。 指標Aと製鋼スラグ混合物からの脱燐率との関係を示す図である。 雰囲気ガスの酸素ポテンシャルを一定値として固定し、製鋼スラグ混合物の塩基度、及び、処理温度を変化させたときの指標Aの値を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、製鋼スラグに含有される燐及び鉄を資源として分離・回収する還元処理を効率的に実施するために、製鋼スラグを加熱し、且つ、雰囲気(気相)中のCOガスとCO2ガスとの比(CO/CO2)を制御することのできる、バーナーを具備したロータリーキルン型の試験装置を用いて、製鋼スラグの還元処理試験を実施した。尚、反応容器としては、ロータリーキルン型の試験装置に限らず、気相でのCOガス燃焼の制御ができる、つまり、雰囲気(気相)中のCOガスとCO2ガスとの比(CO/CO2)を制御することのできるバーナーを具備していれば、どのような処理炉であっても構わない。ここで、比(CO/CO2)は、COガスの体積とCO2ガスの体積との比((体積%CO)/(体積%CO2))である。バーナーの燃料ガスとしては、プロパンガスや天然ガスなどの炭化水素系ガスを使用する。
5.0kgの製鋼スラグに、珪砂やシリコンスラッジなどの酸化珪素源を、その配合量を種々変更して配合し、製鋼スラグと酸化珪素源との混合物(「製鋼スラグ混合物」と呼ぶ)の塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))を0.1〜1.9に調整した。この製鋼スラグ混合物に0.5kgのコークスを還元剤として加え、コークスとともに試験装置の炉芯管に装入し、バーナー加熱により炉芯管の炉内温度を1300℃に保持した上で、炉芯管からの排ガスを連続的に分析しながら炉芯管内の雰囲気ガス中のCOガスとCO2ガスとの比(CO/CO2)を0〜1.0と変化させて、45分間の還元処理実験を実施した。バーナーへの燃料ガス供給量に対する酸素ガス供給量を変更することで、排ガスの比(CO/CO2)を制御した。尚、本発明者らは、製鋼スラグの還元処理によって生成する還元鉄に還元した燐が溶解することを、過去の試験で確認している。また、この試験ではコークスを還元剤として使用しているが、珪素やアルミニウムも還元剤として使用可能である。
図1に、処理温度を1300℃としたときの、製鋼スラグ混合物の塩基度と製鋼スラグ混合物からの脱燐率との関係を示す。ここで、製鋼スラグ混合物からの脱燐率とは、「(還元処理前の製鋼スラグ混合物中燐濃度(質量%)−還元処理後の製鋼スラグ混合物中燐濃度(質量%))×100/還元処理前の製鋼スラグ混合物中燐濃度(質量%)」で表される値である。図1に示すように、製鋼スラグ混合物の塩基度が低位であるほど、製鋼スラグ混合物から燐が還元されやすい傾向が見られるが、製鋼スラグ混合物の塩基度が同一であっても、反応容器内の比(CO/CO2)に応じて、脱燐率つまり還元の程度が異なることを知見した。
図2に、処理温度を1300℃としたときの、製鋼スラグ混合物の塩基度と製鋼スラグ混合物からの脱鉄率との関係を示す。脱鉄率は、上記の脱燐率と同様に、試験前後での製鋼スラグ混合物中の鉄の質量濃度の変化率である。図2に示すように、上記の脱燐率と塩基度との関係とは異なり、脱鉄率と製鋼スラグ混合物の塩基度との相関関係は弱く、反応容器内の比(CO/CO2)が高位である強還元条件であれば、鉄は燐に比して容易に製鋼スラグから分離されることがわかった。
また、製鋼スラグ混合物の塩基度を1.0の一定値に調整に、この製鋼スラグ混合物5.0kgを、2.0kgの還元剤(コークス)とともに試験装置の炉芯管に装入し、処理温度を1150〜1500℃、反応容器内の比(CO/CO2)を0〜1.0と変化させて45分間の還元試験を実施した。
図3に、製鋼スラグ混合物の塩基度を1.0の一定値とした条件での、処理温度と脱燐率との関係を示す。処理温度が高い処理条件ほど、製鋼スラグからの燐還元が促進される傾向が見られたが、一方で、処理温度が低くても、反応容器内の比(CO/CO2)が高ければ脱燐率が高位であり、処理温度が高くても、反応容器内の比(CO/CO2)が低ければ、脱燐率が低位であることがわかった。
このように、製鋼スラグ混合物からの脱燐率と、製鋼スラグ混合物の塩基度、反応容器内の処理温度、反応容器内のCOガスとCO2ガスとの比(CO/CO2)との間に相関が見られたので、最適な還元処理条件を得るべく、以下に示す解析を実施した。
図1に示すように、製鋼スラグ混合物の塩基度が高位であるほど、製鋼スラグ混合物からの燐分離が困難となる。このようなスラグの脱燐能力、即ち、スラグの燐保有能力は、塩基度などのスラグ組成に依存することが知られており、スラグの燐保有能力としてフォスフェィトキャパシティという指標が使用されている。
このフォスフェィトキャパシティについて、刊行物1は、下記の(2)式に示す気相とスラグとの平衡反応式において、スラグのフォスフェィトキャパシティ(CPO4 3-)は下記の(3)式で表されるとしている(刊行物1:C.Wagner,Metall.Trans.B,vol.6B(1975),p.405)。
但し、(2)式において、P2(g)は気相の燐ガス、O2(g)は気相の酸素ガス、(O2-)はスラグ中の酸素イオン、(PO4 3-)はスラグ中のPO4イオンである。また、(3)式のCPO4 3-はフォスフェィトキャパシティであり、(3)式のKPO4 3-は、(2)式で示す反応の平衡定数、aO 2-は、(2)式で示す反応のスラグ中酸素イオンの活量、fPO4 3-は、(2)式で示す反応のスラグ中PO4イオンの活量係数、PP2は、(2)式で示す反応の燐ガスの分圧、PO2は(2)式で示す反応の酸素ガスの分圧、質量%PO4 3-はスラグ中のPO4 3-濃度(質量%)、質量%Pslagはスラグ中の燐濃度(質量%)である。(3)式の最後の右辺の各項が、測定可能な物理量である。
製鋼スラグからの燐の分離・還元の程度を表す指標として、還元処理後の製鋼スラグ混合物中燐濃度(質量%Pslag)と還元処理後の燐含有還元鉄中燐濃度[質量%Pmetal]との比((質量%Pslag)/[質量%Pmetal])の対数値(log[(質量%Pslag)/[質量%Pmetal]])を、下記の(4)式に示すように指標Aと定義した。この指標Aの値が小さくなるほど、製鋼スラグからの燐の分離・還元が促進されることを意味する。
この指標Aを別の表示方法で表示することを検討した結果、指標Aは、上記(3)式に示すフォスフェイトキャパシティ(CPO4 3-)の定義式、下記の(5)式に示す燐ガスの溶鉄への溶解反応から決まる燐ガス分圧(PP2)、及び、下記の(6)式に示すCOガス−CO2ガスの平衡で決まる酸素ガス分圧(PO2)を組み合わせることで、下記の(1)式で表されることがわかった。下記の(5)式における[P]は溶鉄中の燐を示す。尚、(6)式の熱力学的データは、刊行物2(刊行物2:日本金属学会編、金属物理化学(平成8年)、P.199)に基づく。
ここで、製鋼スラグ混合物のフォスフェイトキャパシティ(CPO4 3-)を計算するにあたり、刊行物3に報告されている下記の(7)式を用いて算出した(刊行物3:水渡ら、CAMP-ISIJ vol.8(1995).p.183)。
但し、(7)式において、Tは処理温度(K)、各種酸化物の濃度は、製鋼スラグ混合物中の各種酸化物の濃度(質量%)である。尚、FetOは、FeOやFe23などの鉄酸化物全体の合計濃度を意味する。
製鋼分野では、(1)式((4)式と同一)で定義する指標Aは、一般的に燐分配比と呼ばれ、転炉などにおける精錬時のスラグ/メタル間の燐移動量を評価する際に用いられる指標となっている。一方、本発明のように、(1)式に、還元処理前のスラグ組成から計算されるフォスフェイトキャパシティ(CPO4 3-)、ガス組成から計算される雰囲気ガスの酸素ポテンシャル(PO2)、燐含有還元鉄の組成から計算される燐の活量係数(fP)、及び、反応容器内の処理温度(T)を適用すると、(1)式から算出される指標Aは、スラグからの燐及び鉄の還元度合いの尺度となる。
図4に、種々の実験結果から計算した指標Aと製鋼スラグ混合物からの脱燐率との関係を示す。図4に示すように、指標Aが小さくなるほど脱燐率が上昇することがわかった。(1)式で算出される指標Aは、スラグ組成つまりスラグの塩基度を反映するフォスフェイトキャパシティ(CPO4 3-)、気相の還元強度を示す雰囲気ガスの酸素ポテンシャル(PO2)、及び、還元処理時の処理温度(T)の影響を反映していることから、製鋼スラグ混合物からの脱燐率と良好な相関が見られた。特に、指標Aが6以下のときに、脱燐率が高位となることがわかった。
本発明は、上記試験結果に基づくものであり、本発明に係る製鋼スラグの資源化方法は、製鋼精錬プロセスにおいて発生した燐を含有する製鋼スラグを、バーナーを具備する反応容器に還元剤とともに装入して還元処理し、前記製鋼スラグ中の鉄酸化物及び燐酸化物を燐含有還元鉄として前記製鋼スラグから還元・回収する製鋼スラグの資源化方法であって、前記製鋼スラグと酸化珪素源とを予め混合した製鋼スラグ混合物を前記反応容器に装入し、該製鋼スラグ混合物の組成に応じて前記反応容器内の処理温度及び/または前記反応容器内の雰囲気ガスのCOガスとCO2ガスとの比(CO/CO2)を調整して還元処理を行うことを必須条件とする。この場合に、(1)式で算出される指標Aが6以下となるように、製鋼スラグ混合物の組成に応じて、反応容器内の処理温度及び/または雰囲気ガスの比(CO/CO2)を調整することが好ましい。
尚、上記試験では、製鋼スラグに、珪砂やシリコンスラッジなどの酸化珪素源を添加して製鋼スラグ混合物の塩基度を調整しているが、燐を含有する製鋼スラグ自体の塩基度が0.5〜2.0の場合には、この製鋼スラグに酸化珪素源を添加する必要はなく、製鋼スラグの組成に応じて反応容器内の処理温度及び/または反応容器内の雰囲気ガスのCOガスとCO2ガスとの比(CO/CO2)を調整して還元処理を行えばよい。塩基度が0.5〜2.0の製鋼スラグは、溶融温度が高くなく、還元しやすく、後述する実施例で例示すように、十分に燐及び鉄を還元・分離することができるからである。
ここで、燐を含有する製鋼スラグとは、予備処理として溶銑に行う脱燐処理で発生したスラグや、予備脱燐処理されていない溶銑或いは予備脱燐処理されていても脱燐処理後の燐濃度が鉄鋼製品の燐濃度レベルまで低下していない脱燐溶銑を使用した転炉脱炭精錬で発生する転炉スラグである。
還元処理によって製鋼スラグから燐及び鉄を還元除去する本発明の具体的な処理条件は、例えば、以下のようにして行うことができる。
(1)式において、雰囲気ガスの酸素ポテンシャル(logPO2:単位=atm)を−8.5の一定値として固定し、製鋼スラグ混合物の塩基度、及び、処理温度を変化させたときの指標Aの値を図5に示す。この場合、製鋼スラグの組成は一定値とし、この製鋼スラグへの酸化珪素源の添加量を調整することで製鋼スラグ混合物の塩基度を調整している。また、燐含有還元鉄の組成は、上記の試験実績の平均値に基づき、炭素濃度が3.5質量%、燐濃度が1.5質量%として計算している。
図5に示すように、指標Aが6以下となる条件の処理温度は、製鋼スラグ混合物の塩基度によって異なり、例えば、製鋼スラグ混合物の塩基度が0.5の場合には処理温度を1280℃以上にする必要があり、一方、製鋼スラグ混合物の塩基度が2.0の場合には処理温度を1450℃以上にする必要があることがわかる。
即ち、指標Aが6以下となる条件の範囲内で、製鋼スラグ混合物の組成に応じて反応容器内の処理温度及び/または反応容器内の雰囲気ガスのCOガスとCO2ガスとの比(CO/CO2)を調整して還元処理を行えばよい。
以上説明したように、本発明によれば、製鋼スラグ混合物または製鋼スラグの組成に応じて反応容器内の処理温度及び/または反応容器内の雰囲気ガスのCOガスとCO2ガスとの比(CO/CO2)を調整して還元処理を行うので、製鋼スラグからの燐及び鉄の回収率を安定して高位に保つことが実現され、燐を含有する製鋼スラグのCaO源としての資源化が促進されると同時に、燐含有製鋼スラグから分離された燐含有還元鉄の燐資源としての資源化が促進される。
塩基度が3.5の200トンの転炉スラグと、塩基度調整材としての珪石と、還元剤としてのコークスとを混合し、この混合物を、加熱バーナーを備えたロータリーキルンに装入し、バーナーによって装入した前記混合物を加熱して、転炉スラグの還元処理試験を実施した。コークスの配合量は20トンとした。
塩基度を0.5〜3.0に調整した製鋼スラグ混合物に対し、雰囲気ガスのCOガスとCO2ガスとの比(CO/CO2)を0.01〜1.0の範囲、処理温度を1300〜1500℃の範囲で変化させ、(1)式で算出される指標Aを調整した。表1に試験条件及び試験結果を示す。
本発明例1〜16に関しては、処理温度及び製鋼スラグ混合物の塩基度によらず、指標Aを6よりも小さくしたことで、脱燐率及び脱鉄率が高位となった。これに対して、比較例1では製鋼スラグ混合物の塩基度が高いこと、比較例2では処理温度が低いこと、比較例3では雰囲気ガスの酸素ポテンシャル(PO2)が高いことに起因して、指標Aが6を上回り、脱燐率は5〜15%と低位であり、スラグ中の燐を十分に還元することができなかった。
本発明例1〜16の還元処理後のスラグを鉄鉱石の焼結工程において造滓剤用のCaO源として使用し、製造した焼結鉱を鉄源として高炉に装入し、高炉溶銑を製造した。溶製された高炉溶銑の燐濃度は0.1質量%程度で、製鋼スラグのリサイクルによる燐濃度の上昇はほとんど見られなかった。またリサイクルを行った際の高炉スラグを用いて高炉スラグセメントを製造したが、従来と品質が同等であり、何ら問題はなく利用可能であった。また、本発明例1〜16の還元処理後のスラグを製鋼工程における精錬用のCaO源としても用いたが、何ら問題なく精錬操業を行うことができた。
尚、還元試験に供した転炉スラグと同等品質の転炉スラグをそのまま鉄鉱石の焼結鉱のCaO源としてリサイクルした場合には、高炉から出銑される溶銑の燐濃度が高くなり、その後の製鋼工程におけるCaO系の造滓剤や酸素源の原単位が増加し、発生スラグ量が1.5倍になるとともに、生産性が20%低下した。
また、製鋼スラグ混合物から還元して得られた、燐を0.5〜2.5質量%含有する燐含有還元鉄は、燐酸肥料原料の燐鉱石の代替として使用できるのみならず、溶鋼の成分調整用合金鉄の代替として、何ら問題なく利用することができた。

Claims (2)

  1. 製鋼精錬プロセスにおいて発生した燐を含有する製鋼スラグを、バーナーを具備する反応容器に還元剤とともに装入して還元処理し、前記製鋼スラグ中の鉄酸化物及び燐酸化物を燐含有還元鉄として前記製鋼スラグから還元・回収する製鋼スラグの資源化方法であって、
    前記製鋼スラグと酸化珪素源とを予め混合した製鋼スラグ混合物を前記反応容器に装入し、前記製鋼スラグ混合物の組成から計算されるフォスフェイトキャパシティ、COガス−COガスの平衡から計算される囲気ガスの酸素ポテンシャル、前記燐含有還元鉄中の燐の活量係数、及び理温度から下記の(1)式によって計算される、還元処理後の製鋼スラグ混合物中の燐濃度(質量%Pslag)と還元処理後の燐含有還元鉄中の燐濃度[質量%Pmetal]との比の対数値(log[(質量%Pslag)/[質量%Pmetal]])として定義される指標Aが6以下となるように、前記製鋼スラグ混合物の組成に応じて前記反応容器内の処理温度及び/または前記雰囲気ガスの比(CO/CO)を調整することを特徴とする、製鋼スラグの資源化方法。

    但し、(1)式において、CPO4 3−はフォスフェイトキャパシティ(−)、PO2は雰囲気ガスの酸素ポテンシャル(atm)、fは燐含有還元鉄中の燐の活量係数(−)、Tは処理温度(K)である。
  2. 前記燐含有還元鉄として鉄酸化物及び燐酸化物が還元・回収された後の前記製鋼スラグを石灰源として利用することを特徴とする、請求項1に記載の製鋼スラグの資源化方法。
JP2014009972A 2014-01-23 2014-01-23 製鋼スラグの資源化方法 Active JP6052191B2 (ja)

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