JP7047815B2 - 低リン鋼の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼製造プロセス用原料として用いられるリン含有物質中のリンを予め低減させてから各プロセスにおいて用いることで、低リン鋼の製造を行う方法に関する。
[定義]
以下、この明細書中において、「P」「P」などアルファベットで記した場合はその化学式の物質を表し、「リン」とカナで記した場合は、形態を問わずその物質に含まれるリンを表す。
また、この明細書中で気体の体積を「リットル」の単位で表す場合は、温度273K、雰囲気圧力が1atmの標準状態に換算して示す。また、圧力の単位atmは、1.01325×10Paである。そして、物質中のP含有量をmass%で表す場合には、形態を問わずその物質に含まれるリンの含有率を示した。
高炉で溶製される溶銑は、鉄鉱石等の製鉄原料成分(固体酸化物)に由来するリン(P)を不可避に含んでいるのが普通である。そのリンは、鋼材にとっては有害成分であると考えられている。このことから、鉄鋼製品の材料特性を向上させるために、一般には、製銑から製鋼のいずれかの段階において脱リン処理するのが普通である。例えば、その脱リン処理としては、溶銑中あるいは溶鋼中のリンを、酸素ガスや酸化鉄などの酸素源によって酸化させてPとし、その後、このPをCaOを主成分とするスラグ中に移行させることによって除去する方法がある。なお、溶銑中あるいは溶鋼中のリンは、酸素ガスなどによって酸化されてスラグ中に移行するが、その際、鉄もまた酸化されることから、該スラグ中には鉄も酸化鉄の形態で含まれることになる。
近年、環境対策および省資源の観点から、製鋼スラグのリサイクル使用を含めて、製鋼スラグの発生量を削減する試みがある。例えば、溶銑予備(脱リン)処理(溶銑を転炉にて脱炭精錬する前に、該溶銑中のリンを予め除去する処理)した溶銑の脱炭精錬時に発生するスラグ(転炉スラグ)というのは、造滓剤用CaO源や鉄源として用いることができる他、焼結原料として用いることで高炉にリサイクルすること、あるいは溶銑予備処理工程のCaO源としてリサイクルする試みがある。
脱リンのための溶銑予備処理をした溶銑(以下、「脱リン溶銑」という)、特に鉄鋼製品のリン濃度レベルまで脱リンした脱リン溶銑は、これを転炉で脱炭精錬した場合、このときに発生する転炉スラグは、リンをほとんど含有していないものになる。従って、このような転炉スラグを高炉へリサイクルしたとしても、溶銑のリン濃度の増加(ピックアップ)を危惧する必要はない。しかしながら、予備脱リン処理時に発生したスラグ、または予備脱リン処理されていない溶銑(以下、これを「通常溶銑」ともいう)、あるいは予備脱リン処理されていても脱リン処理後のリン濃度が鉄鋼製品のリン濃度レベルまで低下していないような脱リン溶銑を、転炉で脱炭精錬したときに発生するリン含有量の多い転炉スラグの場合、これを高炉にリサイクルすると、そのリンが、高炉内で還元されることから、溶銑中のリン含有量が増加し、溶銑脱リンの負荷が却って増加するという問題が起こる。
一般に、鉄鋼製品は、強度を向上させために、マンガン(Mn)を添加することがある。ところで、マンガン含有鋼を溶製する場合、溶鋼中のMn濃度を高めるために、マンガン鉱石や、炭素含有量が1.0~7.5mass%以下のフェロマンガン、炭素の含有量が2.0mass%以下のシリコンマンガン、炭素含有量が0.01mass%以下の金属マンガンなどのマンガン源が用いられる。ただし、マンガン鉱石を除く他のマンガン源は、炭素含有量が低くなるほど原料価格が上昇することが知られている。そこで、製造コストの低減を目的として、マンガン源として安価なマンガン鉱石を用いたマンガン含有鋼の溶製が行われている。しかしながら、安価なマンガン鉱石というのは、リンを多く含有しており、これをマンガン源として使用すると、鋼材中のリン濃度が上昇し、品質を低下させるという問題があり、マンガン鉱石の使用は制限されているのが実情である。
このように、製鉄プロセスで用いられる主原料あるいは副原料中には、一般に、多くのリンが含まれており、こうしたリン含有物質に含まれるリン濃度やその使用量によっては、最終的に得られる鉄鋼製品中のリンの含有量が多くなることが知られている。即ち、リンは、鉄鋼製品としての品質に悪影響を及ぼすため、リンの含有量は抑制することが求められる。そのためには、リン含有量の低い主原料あるいは副原料の使用が求められる。ただし、そのためにはコスト増を招く。そこで、従来、製鉄用主原料あるいは副原料からなるリン含有物質から、リンを事前に除去するいくつかの技術が提案されている。
例えば、特許文献1では、CaO含有量が25mass%以下かつCaO/(SiO+Al)比が5以下の鉄鉱石、含チタン鉄鉱石、含ニッケル鉱石、含クロム鉱石、あるいはこれらの鉱石を主成分とする混合物に対し、Ar,He,N,CO,H,炭化水素の一種もしくはこれらの混合ガスを1600℃以上で接触させることにより、リンを除去する方法を提案している。
また、特許文献2には、リン含有量の高い鉄鉱石を0.5mm以下に粉砕し、これに水を加えてパルプ濃度を35mass%前後とし、溶剤にHSOまたはHClを添加してpH2.0以下で反応させることにより、リン鉱物を分解溶出すると共に、ついで磁力選別により磁鉄鉱等の磁着物を採取し、非磁着物たるSiOやAl等をスライムとして沈降分離すると共に、このとき液中に溶出したPを消石灰または生石灰を添加してpH5.0~10.0の範囲内で中和することにより、リン酸カルシウムとして分離回収する方法が開示されている。
また、特許文献3には、微生物アスペルギルス エスピー KSC-1004株あるいは微生物フザリウム エスピー KSC-1005株を用いることにより鉄鉱石の脱リンを行う方法が開示されている。
さらに、非特許文献1では、水蒸気圧を制御した水素-水蒸気混合ガスによる高リン鉄鉱石の還元についての研究報告がなされており、鉄鉱石から直接的に脱リンする方法が提案されている。
特開昭54-83603号公報 特開昭60-261501号公報 特開2000-119759号公報
鉄と鋼Vol.100(2014), No.2, p.325
しかしながら、上記各従来技術には以下のような解決しなければならない課題がある。即ち、特許文献1に開示の方法は、処理温度が1600℃以上と高温であり、多くのエネルギーを要するという課題がある。さらに、この方法は、鉱石を溶融状態で処理するため、容器の損耗や高温融体の取扱いが困難であるという課題もある。次に、特許文献2に開示の方法は、酸を用いた湿式処理であり、回収した磁着物を主原料として利用するための乾燥に時間とコストがかかるという課題がある。さらに、この方法は、事前に0.5mm以下に粉砕するのに時間とコストを要するという課題もある。また、特許文献3の方法は、特許文献2の方法と同様に湿式処理のため、リン除去後の鉱石を主原料として利用するための乾燥に時間とコストを要するという課題がある。さらに、非特許文献1は、鉱石中のリン除去率が最大で13%と低いという課題を抱えている。しかも、この方法は、反応ガスとして水素を利用するため、工業規模で安全に処理する設備等についての検討が必要であるところ、それがなされていないという課題もある。
そこで、本発明は、従来技術が抱えている前述の課題を解決するために開発した方法であり、その目的とするところは、鉄鋼製造プロセス用原料として用いられるリン含有物質中のリンを、予め脱リン処理してから該プロセスのいずれか少なくとも1以上の段階で用いるようにすることで、低リン鋼を有利に製造する方法を提案することにある。
従来技術が抱えている前述の課題を解決するために開発した本発明は、鉄鋼製造プロセス用原料のうちの粒径が10mm未満の粉鉱石であるリン含有物質を、窒素分圧P N2 (atm)が下記(1)式を満たし、かつ処理温度T(℃)および酸素分圧P O2 (atm)が下記(2)式および下記(3)式を満たす処理雰囲気中にて窒素含有ガスと反応させることにより、該リン含有物質中のリンを除去して低リン含有物質とする脱リン処理を施した後、得られた該低リン含有物質を該鉄鋼製造プロセスのいずれか1以上の段階で用いることを特徴とする、低リン鋼の製造方法である。

Figure 0007047815000001
Figure 0007047815000002
Tm:融点(℃)
Figure 0007047815000003
なお、本発明においては、
)前記低リン含有物質中のリンの含有量が0.005mass%以上0.05mass%以下であること、
)前記鉄鋼製造プロセスが、焼結鉱の製造、高炉の製錬、溶銑の予備処理、転炉による予備脱リン処理、転炉による脱炭精錬のいずれかであること、
がより好ましい実施形態である。
本発明によれば、鉄鋼製造プロセス用原料として用いられるリン含有物質を、焼結鉱の製造や高炉での製錬、転炉などによる製鋼精錬などの処理に先立って予め脱リン処理した原料、即ち該リン含有物質をそれの融解温度(融点)未満の温度に加熱して窒素含有ガスと反応させることにより、該リン含有物質中のリンを窒化リン(PN)のガスとして予め除去した原料を用いることで、低リン鋼を容易に製造することができる。
特に、本発明によれば、予備的に脱リン処理した原料を用意しておくことができるので、低リン鋼製造のための鉄鋼製造プロセスの各段階のいつでもこれを利用することができる。
しかも、本発明によれば、安価なリン含有物質の原料の使用量を増加させることができると共に、鉄鋼製造プロセスにおけるリン除去に要する精錬剤の使用量を削減できるようになり、ひいてはスラグ発生量の低減を通じて鉄ロス量の低減を図ることができる。
化学式(1)の反応(a)と化学式(3)の反応(c)の平衡が成り立つときの温度と酸素分圧との関係を示す図である。 窒素分圧とリン除去率との関係を示す図である。 処理の温度とリン除去率との関係を示す図である。 処理の温度と酸素分圧との関係を示す図である。 窒化脱リン処理粉鉱石の配合割合と焼結鉱中のP濃度との関係を示す図である。 実施例3における窒化脱リン処理焼結鉱の配合割合と出銑P濃度との関係を示す図である。 実施例4における窒化脱リン処理粉鉱石配合割合とΔP濃度との関係を示す図である。 実施例5における粉鉱石添加量と予備処理前後のP濃度変化(ΔP濃度)との関係を示す図である。 実施例6における生銑の脱炭処理時における粉鉱石添加量(t)とΔP濃度との関係を示す図である。 実施例6における予備処理銑の脱炭処理時における粉鉱石添加量(t)とΔP濃度との関係を示す図である。
本発明の開発にあたり、発明者らは、鉄鋼製造プロセス用原料として、リン濃度が高い安価な鉄鉱石に着目し、その鉄鉱石粉を焼結鉱の製造や高炉での製錬あるいは製鋼(転炉等)精錬用の原料として使用できるようにするために、該鉄鉱石粉(以下、「鉱石粉」もしくは「粉鉱石」と略して言う)から予めリンを除去したものを使用する方法についての研究を進めた。
鉄鋼の製錬や精錬に用いられる鉄鉱石の多くは、海外、例えばオーストラリアやブラジルなどから輸入されることが多い。これらの国々の鉄鉱石鉱山では、採掘に大型の重機が用いられ、鉄道やトラック、船舶などにより我国鉄鋼会社の工場まで運搬される。そして、各工場内の原料使用設備までの運搬は、アンローダーや重機、コンベアー、ガスなどを使って搬送されている。このような採掘から運搬までの過程で、原料は不可避に破砕されて広い粒度分布を持つようになる。その内、10mm以上の鉄鉱石を塊鉱石、10mm未満の鉄鉱石を粉鉱石と称している。また、必要に応じて、ジョークラッシャーやロッドミルなどの破砕設備による粒度調整と、篩い器を用いた分級処理も行われる。
鉄鉱石の運搬方法と諸設備への供給方法は、鉄鉱石等の粒度や強度などの性状と使用する設備により異なっている。例えば、10mm以上の塊鉱石については、コンベアーなどで連続的に運搬が可能な一方で、ガスによる搬送は困難である。また、塊鉱石の添加方法は自重による自然落下によることが多く、高炉や転炉ではそれぞれの上部からコンベアー等を用いて直接装入するか、あるいはこれらの上部に設けたホッパー等の貯蔵設備にコンベアー等を用いて貯蔵し、必要な時に必要量を切出して装入することとしている。
なお、粒径(JIS-Z-8801-1で提案された公称目開きの篩を使って篩い分けされた大きさ)が10mm未満の大きさの粉鉱石については、ガスによる搬送が可能な一方で、コンベアーなどでの運搬では目詰まりを起こし、運搬効率が低下する。また、その粉鉱石については、これを自重により自然落下させると、製錬・精錬設備内での粉塵飛散による目詰まりや、ホッパー等の貯蔵設備内での棚吊り現象の発生、および添加した粉鉱石が集塵されて添加歩留りの低下を招くなどの問題が生じる。
この点、発明者らの研究によると、例えばリン含有量の高い粉鉱石を用いた焼結鉱の製造あるいは製錬・精錬に際しては、これらの処理に先立って、リンを予め窒化処理によって除去した粉鉱石(リン含有物質)を用いることが推奨されるが、その際には粉鉱石の粒度ごとに使用するプロセスや使用方法を変えることが望ましいことがわかった。下記表1は、粉鉱石の成分組成の一例を示す。
Figure 0007047815000004
なお、表1では、粉鉱石の鉄含有量を表すためにT.Feの濃度で記載したが、実際にはほぼ全てがFeの形態で存在する。また、リンは、珪素(Si)およびアルミニウム(Al)に比較すると酸素との親和力が弱いことから、リン含有物質を、炭素や珪素、アルミニウムなどで還元すれば、リン含有物質中のPは容易に還元されることが知られている。一方で、鉄酸化物Feは酸素との親和力がリンと同等であることから、リン含有物質を、炭素や珪素、アルミニウムなどで還元すると、同時にFeも還元されることになる。
ただし、リンは鉄中への溶解度が高く、とくに還元により生成したリンは、還元により生成する鉄の中に迅速に溶解して、高リン含有鉄となる。このように、還元によるリンの除去方法は、リン除去率が低いという課題があった。
そこで、発明者らは、この問題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、リンは、一窒化リン(PN)の気体として除去すれば、金属鉄が生成しない温度および酸素分圧での処理が可能となり、リンの鉄への吸着を抑制して低リン含有物質にすることが可能になることを見出した。
即ち、発明者らは、リン含有物質中にPとして存在するリンを、所定の温度と雰囲気中で処理することにより、一窒化リン(PN)の気体として除去する下記の化学式1に示す反応(a)が、リン含有物質に含まれる鉄酸化物が還元されて金属鉄となる下記の化学式2に示す反応(b)よりも安定であることを熱力学検討によって知見した。
Figure 0007047815000005
Figure 0007047815000006
化学式1として示す上記反応について、平衡が成り立つときの温度と酸素分圧の関係を図1に示す。そして、この図1には、比較のために、固体炭素と一酸化炭素ガスの平衡(化学式3に示す反応)により達成可能な温度と酸素分圧の関係を併せて示した。ここで、P活量は0.001とし、N分圧は0.9atmとし、PN分圧は0.001atmとして、C活量は1とし、CO分圧は1atmと仮定した。
Figure 0007047815000007
図1において、化学式1の反応(a)、化学式3の反応(c)はそれぞれの線より下側の温度と酸素分圧の領域において、反応(a)、反応(c)はそれぞれ右側に進行する。即ち、反応(a)によるリンの窒化除去を生じさせるためには、800℃では酸素分圧を2.2×10-19atm以下、1000℃では1.45×10-14atm以下、1200℃では4.66×10-11atm以下の酸素分圧とすることが必要である。
ここで、酸素分圧を低減させるためには、酸化物として安定な元素、例えばCaやMg、Al、Ti、Si、Cなどの単体を共存させることが有効であるが、金属元素の単体は高価である。そこで、本発明では、処理コスト低減の観点から、炭素(C)による酸素分圧の低減を図ることが好ましい。それは、図1の記載から分るように、724℃以上の温度において、固体炭素により達成される酸素分圧は、リンの窒化除去反応(a)を進行させるのに十分な値となることからもわかる。
次に、上述した検討結果を踏まえ、リンの窒化除去の可否を確認する実験を行った。この実験では、リン含有物質として、粒径を1~3mmに調整した鉄鉱石10gを用い、固体炭素として試薬カーボン(粒径:0.25mm未満)5gを用い、それぞれ別のアルミナ製ボート上に乗せて、小型の電気抵抗炉内に静置した。その炉内にArガスを1リットル/minで供給しながら所定温度(600~1400℃)まで加熱した後、Arガスの供給を停止し、そのArガスに代え一酸化炭素(CO)と窒素(N)との混合ガス3リットル/minを供給し、60分間一定の温度に保持した。なお、一酸化炭素と窒素の混合ガスの比率は、窒素分圧PN2が0~1atmの範囲となるように変化させた。所定の時間経過後、一酸化炭素と窒素の混合ガスの供給を停止してArガス1リットル/minに切り替え、室温まで降温させた後に前記粉鉄鉱石を回収した。また、この実験では、試薬カーボンを静置した側が上流となるようにガスを供給し、一酸化炭素ガスと試薬カーボンが先に反応するようにした。
図2は、前記処理を1000℃にて実施した前後の鉄鉱石の組成分析結果から求めたリン除去率(ΔP={(実験前P濃度)-(実験後P濃度)}/(実験前P濃度))(%)と窒素分圧(PN2)(atm)の関係を示すものである。この図2からわかるように、窒素分圧(PN2)が0および1atmの場合を除き、リン含有物質からはリンが除去されており、特に、窒素分圧(PN2)が0.2~0.9atmのときに60%以上という高いリン除去率が得られている。なお、窒素分圧0.2atm未満でリン除去率が低い理由としては、窒素分圧が低すぎて所定の処理時間内では反応(a)によるリン除去が十分に進行しなかったためだと考えられる。また、窒素分圧0.9atm超えでは、COガスの供給量が少なく、鉄鉱石中の酸化鉄の熱分解により発生する酸素により酸素分圧が上昇し、リンの窒化除去反応(a)が抑制されたためだと考えられる。このことは、100%窒素ガス(PN2=1atm)の供給では、リンが除去できていないことからも理解できる。
次に、図3は、前記処理をCO=10vol%(PCO=0.1atm)、N=90vol%(PN2=0.9atm)の混合ガスにて実施した実験前後の鉄鉱石の組成分析結果から求めたリン除去率(ΔP%)と処理温度(T℃)の関係を示す。この図3からわかるように、750~1300℃の温度域において、高いリン除去率が得られており、リンの窒化除去に好ましいことがわかる。なお、750℃未満でリン除去率が低い理由としては、図1に示したように、724℃以下ではリン窒化除去に必要な酸素分圧を固体炭素で達成できなかったことが一因と考えられる。また、1350℃および1400℃においては、鉄鉱石が半溶融~溶融して、回収した試料が一体化しており、その結果、鉄鉱石粒の隙間や気孔が消失し、ガスと接触する界面積が大幅に減少したのが原因と考えられる。この点について、示差熱分析法により測定した鉄鉱石の融点(Tm)は1370℃であり、その0.95倍の1300℃では高いリン除去率が得られたため、「0.95×Tm(℃)」以下とすることがリン除去のための反応界面積確保の上で好ましいと考えられる。
以上説明したように、リン含有物質中のリンを窒化除去して低リン含有物質を得るためには、所定の温度での処理と窒素分圧PN2で規定される低酸素分圧環境となる窒素供給が必要と考えられる。このような処理をするための設備としては、電気炉、回転炉床炉、キルン炉、流動層型加熱炉などの原料予備処理設備において温度と雰囲気(窒素分圧)の制御が可能な設備であればよい。
また、本発明において、原料としての高いリン含有物質中のリンを除去(低減)させて低リン含有物質にする窒化脱リン処理を施すに当たり、酸素分圧を低減させて、所定の窒素分圧PN2として脱リンを図る方法としては、
(1)固体の還元剤と窒素ガスとを高温で接触させる、
(2)一酸化炭素、水素、炭化水素等の還元性ガスを窒素ガスに混合する、
(3)電圧を印加した固体電解質に窒素ガスを導入して酸素を除去する、
などの方法であれば、どんな方法でもよい。
なお、前記粉鉱石などのリン含有物質は、前述した窒化脱リン処理によって、Pの含有量を、0.005mass%以上0.05mass%以下の低リン含有物質にすることがより好ましい。その理由は、前記処理に得られる該低リン含有物質中のリンの含有量を0.005mass%未満にすることは95%以上の高いリン除去率が必要となり、処理時間・処理コストが増大するという課題があり、一方でその量が0.05mass%超では同程度のリン濃度の原料(粉鉱石)の購入価格と比べて処理コストの方が高くなるからである。原料(粉鉱石)の予備処理段階での脱リン処理によって得られるより好ましいPの含有量は、0.02mass%~0.04mass%である。
本発明において、鉄鋼製造プロセス用原料であるリン含有物質の予備的に行われる前期窒化脱リン処理は、少なくとも焼結処理の前段階までに、例えば、各種竪形炉、ロータリーキルン、回転炉床炉などを用いて予備処理することであり、これらによる処理によって、前述した低リン含有物質(P:0.005-0.05mass%)を得ることが重要である。
そして、本発明では、前述したような窒化脱リン処理を施して得られた低リン含有物質を次に、焼結鉱の製造、トピードカーなどによる溶銑予備処理(脱リン)、転炉での脱リン用精錬剤(副原料)として、製鋼精錬段階において、これらの段階の鉄鋼製造プロセスの少なくとも1以上の段階において使用するのである。
(粉鉱石の窒化脱リン処理)
5トン/hr規模の回転炉床炉に粉鉄鉱石を装入し、加熱バーナーに供給する燃料と酸素の量とその比率、さらに窒素ガスの供給量を調整して、処理温度、酸素分圧、窒素分圧を制御した窒化脱リン処理を施した。この設備(回転炉床炉)では、装入から排出までの時間が30分となるように操業条件を設定し、装入した試料が15分時点で存在する場所の温度測定とガス組成分析を行った。ガス中の一酸化炭素(CO)および二酸化炭素(CO)の濃度を赤外線ガス分析装置により測定し、その残りを窒素ガスとして扱った。また、酸素分圧はCO/CO比の測定値から、以下の式より算出した。
Figure 0007047815000008
処理条件および実施結果について、窒素分圧ごとに表2~表6に示した。それぞれの窒素分圧は0.2atm(表2)、0.5atm(表3)、0.9atm(表4)、0.15atm(表5)、0.95atm(表6)とした。
Figure 0007047815000009
Figure 0007047815000010
Figure 0007047815000011
Figure 0007047815000012
Figure 0007047815000013
上記の表2~6のうち、とくに表5から明らかなように、窒素分圧PN2が0.15atmにおいては、リン除去率は最大でも30%であった(比較例NO.43~48)。このことはつまり、窒素分圧PN2が0.15atmにおいては、雰囲気ガス中の窒素の供給が不十分であり、リンの窒化反応(a)の進行が遅く今回の処理時間の30分程度では十分にリンが除去されないことがわかった。
また、表6から明らかなように、窒素分圧PN2が0.95atmにおいては、リン除去は全く確認されなかった。その理由としては、雰囲気中のCOガス量が十分でなく、鉄鉱石の熱分解により生じる酸素、および鉄鉱石の装入口や装置の隙間から巻き込まれる空気に含まれる酸素を除去しきれなかった結果、窒化除去に必要な酸素分圧を確保できなかったと考えられる。このことは、ガス分析においてCOガスがほとんど検出されていないことと一致している。
一方で、表2~4に記載の本発明例1~30においては、リン除去率が60%以上と高くなっている。このことから、高いリン除去率を得るためには、窒素分圧PN2atmが下記式(1)式を満たす必要があることがわかる。
(式1)
Figure 0007047815000014
次に、表2に示す温度と酸素分圧の関係を図4に示す。ここで、リン除去率が60%以上を示した例(本発明例1~10)を○で、リン除去率が10%未満の例(比較例1~11)を×でプロットした。
図4から明らかなように、温度と酸素分圧との関係では、下記式(2)、(3)を満たす時に高いリン除去率が得られていることがわかる。ここで、Tは処理温度(℃)、Tmは試料の融点(鉄鉱石:1370℃)である。
(式2)
Figure 0007047815000015
(式3)
Figure 0007047815000016
上記式(2)、(3)の条件を外れた場合において、リン除去率が低位であった原因としては、以下の理由が考えられる。即ち、比較例1~3は、700℃以下での処理であり、CO-CO平衡から決まる酸素分圧では、リンの窒化除去に必要な低酸素分圧を達成できなかったためと考えられる。また、比較例9~11は、1400℃での処理であり、試料鉄鉱石の融点1370℃以上での処理であったため、試料が溶融して内部の気孔や粒間の隙間が消失した結果、界面積が大幅に低減したと考えられる。なお、比較例4~8は、(2)式の温度範囲を満たすが、酸素分圧が(3)式を満たさず、リンの窒化除去に必要な低酸素分圧を達成できなかったためと考えられる。
なお、同じ評価を表3、表4に記載の発明例11~30、比較例12~33に対して行うと、上記と同様の結果となっており、上記式(2)および上記式(3)の条件を満たす時に60%以上の高いリン除去率が得られることが分かる。同様の設備を用い、処理時間を変更した場合にも、上記式(1)~(3)の条件を満たす時に、高いリン除去率が得られる。
(脱リン処理後の粉鉱石を用いた焼結鉱の製造)
粉鉱石を予め窒化脱リン処理した原料を用いて、下方吸引式のドワイトロイド焼結機にて、焼結鉱を製造する操業を行った。脱リン処理後の粉鉱石と、石灰石やドロマイトなどのCaO系副原料、生石灰等の造粒助剤、コークス粉や無煙炭などの炭材を個別に切り出し、ドラムミキサに適量の水を加えて混合し、造粒して平均径が3~6mmの疑似粒子である焼結用原料を得た。こうして得られた焼結用原料を、焼結機の給鉱部に配設されているサージホッパーからドラムフィーダーと切り出しシュートを介して無端移動式の焼結機パレットに装入し、カットゲートによって600mmの厚さの焼結ベッドを形成した。その後、装入層の上部に配設された点火炉によって、装入層上部の炭材に点火するとともに、パレットの下方に配設されたウインドボックスを介して装入層の上方のガスを下方に吸引することにより、装入層内の炭材を順次に燃焼させて焼結鉱を製造した。
この実施例においては、粉鉱石の内、本発明に従う窒化脱リン処理を施した粉鉱石の割合を変化させる操業を行った(本発明例31~40)。粉鉱石の窒化脱リン処理として、CO=10vol%(PCO=0.1atm)、N=90vol%(PN2=0.9atm)の混合ガスを100リットル/分で供給し、1,000℃で1時間の処理を行った。窒化脱リン処理前後の粉鉱石の組成を表7に示す。比較のため、窒化脱リン処理を施していない粉鉱石のみでの操業も行った(比較例76)。表8は、本発明に従う窒化脱リン処理を施した本発明例(31~40)と比較例(76)の粉鉱石の配合割合と、得られた焼結鉱中のP濃度を示す。
Figure 0007047815000017
Figure 0007047815000018
そして、窒化脱リン処理を施した粉鉱石の配合割合と、製造された焼結鉱中のP濃度の関係を図5に示す。この図5から明らかなように、窒化脱リン処理を施した粉鉱石を使用することで、その使用割合の増加と共に、焼結鉱中のP濃度が低下し、窒化脱リン処理粉鉱石の使用割合が多いほど焼結鉱中のP濃度の低下が大きかった。
(窒化脱リン処理後の粉鉱石を用いて製造した焼結鉱を用いた高炉の操業)
内容積5,000mの高炉を用い、実施例2で得られた焼結鉱を用いた操業を行った(本発明例41~50)。高炉原料の20mass%を塊鉱石、75mass%を当該焼結鉱とし、残り5mass%はペレットとして、還元剤比が495kg/t-溶銑となるようにコークスを装入した。高炉に装入した塊鉱石、窒化脱リン処理済み鉱石および未処理それぞれの粉鉱石から作製した焼結鉱、ペレットの組成を表9に示す。本発明に従う窒化脱リン処理済みの焼結鉱は実施例2の発明例40に相当するものを用いた。高炉原料およびコークスは、コンベアーにより高炉上部まで運搬し、旋回シュートを介して高炉内へと落下することで装入した。出銑比が2.0t-溶銑/m/日となるように熱風炉を介して1,120℃の空気を供給した。比較例として、窒化脱リン処理を施していない未処理の焼結鉱のみを用いた操業を行った(比較例77)。また、装入した窒化脱リン処理済みおよび未処理の焼結鉱の配合割合を表10に示す。
Figure 0007047815000019
Figure 0007047815000020
表10に示した、窒化脱リン処理、同未処理焼結鉱の配合割合と出銑P濃度との関係を図6に示す。図6より明らかなように、本発明に従う窒化脱リン処理を施した粉鉱石を用いて製造した焼結鉱を高炉で使用することで、出銑P濃度が低下しており、本発明に適合する方法で製造した焼結鉱の使用割合が多いほど、溶銑中のP濃度の低下が大きかった。
(窒化脱リン処理後の粉鉱石を用いた溶鉄の予備処理)
300t規模のトピードカーにおいて、溶銑の予備処理(脱リン)を実施する際の副原料として、本発明に従う窒化脱リン処理を実施した粉状鉱石を用いた操業を行った(本発明例51~60)。溶銑装入量は300tとし、粉石灰2.5tと粉状鉱石12.0tを予め混合した精錬剤を、窒素ガスをキャリアガスとして、トピードカー内に挿入したインジェクションランスから供給した。トピードカーに装入した溶銑成分と温度、溶銑予備処理後の溶銑成分と温度、および添加した精錬剤の重量を表11に示す。使用した精錬剤(鉱石)は実施例2と同様の処理を施したものであり、組成は表7に示したとおりのものである。比較例として、本発明に適合する窒化脱リン処理未実施の粉鉱石のみを用いた操業も行った(比較例78)。
Figure 0007047815000021
表11に示した、窒化脱リン処理粉鉱石(精錬剤)の配合割合と処理後溶銑のP濃度との関係を図7に示す。この図7より明らかなように、本発明に適合する窒化脱リン処理を施した粉鉱石(精錬剤)を使用することで、ΔP濃度が増加し、その使用割合が多いほどΔP濃度増加が大きかった。また、処理前後の温度には大きな差は見られなかった。
(窒化脱リン処理後の粉鉱石を予備処理脱リンのための副原料として用いる転炉の操業)
280t規模の転炉において、予備処理脱リンを施す際の副原料として、本発明に従って処理した粉鉱石を用いて操業を行った(本発明例61~63)。ここで、溶銑装入量は280tとし、溶銑Si濃度に応じてスラグ塩基度(%CaO/%SiO)を2.3となるように塊石灰添加量を調整した。ここで、前記粉鉱石は、転炉脇のディスペンサータンクに格納しておき、年令に応じてArやNなどの不活性ガスによって搬送し、送酸用の上吹きランスから炉内へと投射した。一方、塊石灰は、転炉上部のホッパーに格納しておき必要量を切り出して自然落下により炉内に装入した。次いで、上吹きランスから気体酸素を吹き付け、予備処理後のC濃度が約3.0%となるように酸素吹き付け量を制御した。転炉に装入した溶銑成分と温度、予備処理後の溶銑成分と温度、および添加した塊石灰と粉鉱石重量を表12に示す。使用した粉鉱石は実施例2と同様の処理を実施したものであり、組成は表7に示したとおりである。比較例として、粉鉱石を用いない操業および前記窒化脱リン処理を施していない未処理粉鉱石を用いた操業も行った(比較例79~82)。
Figure 0007047815000022
図8は、粉鉱石添加量と予備処理(窒化脱リン処理)前後のP濃度変化量(ΔP濃度)の関係を示したものである。この図8から明らかなように、同じ鉄鉱石添加量であっても、本発明に適合する例の方がΔP濃度が大きくなっていることが分る。これは塊鉱石中のP濃度が低位となっているためだと考えられる。また、粉鉱石を添加していない比較例79と比べて、比較例80~82でΔP濃度が大きくなっている。これは粉鉱石が還元される際にエネルギーが消費されて溶銑温度が低下し、溶銑の脱リン反応が進行しやすい低温条件になったためだと考えられる。
(窒化脱リン処理後粉鉱石を転炉の脱炭吹錬時に副原料として用いる転炉製錬)
280t規模の転炉において、脱炭吹錬を実施する際の副原料として、本発明に従って窒化脱リン処理した粉鉱石を用いた操業を行った。装入する溶銑は、生銑、予備処理銑(脱リン)の2通りとした(生銑:本発明例64~66、予備処理銑:本発明例67~69)。溶銑装入量は280tとし、生銑を用いた操業ではスラグ中のSiO量が12kg/tとなるように溶銑Si濃度に応じて珪石の添加を行った。予備処理銑を用いた操業では、280tの溶銑に対して0.8tの珪石添加を行った。いずれの操業においても、スラグ塩基度(%CaO/%SiO)が3.0となるように、塊石灰の添加量を調整した。ここで、粉状鉱石は転炉脇のディスペンサータンクに格納されており、ArやNなどの不活性ガスによって搬送し、送酸用の上吹きランスから炉内へと投射した。珪石および塊石灰は、転炉上部のホッパーに個別に格納しておき、必要量を切出して自然落下により炉内に装入した。上吹きランスからは気体酸素を吹き付け、処理後のC濃度が約0.05mass%となるように酸素吹き付け量を制御した。転炉に装入した溶銑成分と温度、予備処理後の溶銑成分と温度、および添加した塊石灰と粉鉱石重量を表13、14に示す。使用した鉱石は実施例2と同様の処理を実施した粉鉱石であり、組成は表7に示したとおりである。比較として、粉鉱石を用いない操業および本発明に従う窒化脱リン処理を施していない粉鉱石を用いた操業も行った(生銑:比較例83~86、予備処理銑:比較例87~90)。
Figure 0007047815000023
Figure 0007047815000024
生銑および予備処理銑を用いて転炉にて脱炭処理を施したときの粉鉱石の添加量と予備処理前後のP濃度変化量(ΔP濃度)の関係を、図9、10にそれぞれ示す。図9、10から明らかなように、生銑、予備処理銑のいずれにおいても、同じ粉鉱石の添加であっても、本発明例の方がΔP濃度が大きくなっていることが分かる。これは粉鉱石中のP濃度が低くなっているためだと考えられる。また、該粉鉱石を添加していない比較例83、87と比べて、比較例84~86、88~90でΔP濃度が大きくなっている。これは粉鉱石が還元される際にエネルギーが消費されて溶銑温度が低下し、溶銑の脱リン反応が進行しやすい低温条件となったためだと考えられる。
以上の説明から明らかなように、鉄鋼の製・精錬においてリンを除去しようとすると、精錬剤としてCaOを含有する生石灰や消石灰、ドロマイトなどを添加するとスラグが生成する。この場合、脱リン精錬は通常酸化の条件で行われ、同時に鉄も酸化されるため、スラグ中に鉄が取り込まれ、鉄ロスが生じて、歩留りが低下する。また、鉄鋼精錬は1300~1700℃の高温で行われ、スラグも同等の温度とする必要があるため、エネルギーロスも発生する。
一般に、溶銑からP濃度0.001mass%相当のリンを除去するためには、予備処理脱リンにおいては、CaO換算で200~250g/t-溶銑を添加する必要があり、鉄ロス量は75~100g/t-溶銑に達し、転炉での脱炭精錬においては、CaO換算で約450g/t-溶銑を添加する必要があり、鉄ロス量は200g/t-溶銑になる。
このように、低リン鋼を製造するための鉄鋼精錬において、リンを除去するためには、多量の副原料の添加やエネルギーが必要である。この点、前述した本発明の場合、鉄鋼製造プロセス用原料として用いられるリン含有物質を、窒素含有ガスと反応させることによって、該リン含有物質中のリンを予め窒化除去することで、鉄鋼製造プロセスにおいて効果的にリン濃度の低減が果され、前述のような多量の副原料の添加やエネルギーを必要とすることなく、低リン鋼の製造が可能となる。
本発明に係る技術は、例示した焼結機や高炉、混銑車、転炉などを使う鉄鋼製造プロセスだけでなく、他の原料処理設備、溶銑製造用竪形炉、製鋼精錬炉などに用いても有効な方法である。

Claims (3)

  1. 鉄鋼製造プロセス用原料のうちの粒径が10mm未満の粉鉱石であるリン含有物質を、窒素分圧P N2 (atm)が下記(1)式を満たし、かつ処理温度T(℃)および酸素分圧P O2 (atm)が下記(2)式および下記(3)式を満たす処理雰囲気中にて窒素含有ガスと反応させることにより、該リン含有物質中のリンを除去して低リン含有物質とする脱リン処理を施した後、得られた該低リン含有物質を該鉄鋼製造プロセスのいずれか1以上の段階で用いることを特徴とする、低リン鋼の製造方法。

    Figure 0007047815000025
    Figure 0007047815000026
    Tm:融点(℃)
    Figure 0007047815000027
  2. 前記低リン含有物質中のリンの含有量が0.005mass%以上0.05mass%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の低リン鋼の製造方法。
  3. 前記鉄鋼製造プロセスが、焼結鉱の製造、高炉の製錬、溶銑の予備処理、転炉による予備脱リン処理、転炉による脱炭精錬のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の低リン鋼の製造方法。
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