JP2021003835A - 化粧シート - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、耐候性を向上させつつ、長期間使用した場合であっても、化粧シートを構成する層間での剥離や浮き(部分的な剥離)の発生を低減することが可能な化粧シートを提供することを目的とする。【解決手段】本実施形態に係る化粧シート10は、基材1と、透明熱可塑性樹脂層5と、表面保護層6とをこの順に備えた化粧シートであって、透明熱可塑性樹脂層5は、紫外線吸収剤と光安定剤とを含有するポリプロピレン樹脂組成物で形成され、表面保護層6は、紫外線吸収剤と光安定剤とを含有するアクリル系樹脂組成物で形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、化粧シートに関する。
従来、積層されたオレフィン樹脂系化粧シートの最表層である表面保護層に、吸光度の高い紫外線吸収剤を添加することで、化粧シートの耐候性を向上させる場合があった。なお、耐候性を向上させた化粧シートに関する技術としては、例えば、特許文献1〜4に記載されたものがある。
特開2008−238444号公報 特開2007−118584号公報 特開2005−088481号公報 特開2011−16277号公報
しかし、従来の化粧シートは、長期間使用した場合に、表面保護層の下層に位置する層、例えば透明接着性樹脂層や絵柄層の近傍で剥離や浮き(部分的な剥離)が発生することが多い。
そこで、本発明は、かかる問題点に鑑み、耐候性を向上させつつ、長期間使用した場合であっても、化粧シートを構成する層間での剥離や浮き(部分的な剥離)の発生を低減することが可能な化粧シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る化粧シートは、基材と、透明熱可塑性樹脂層と、表面保護層とをこの順に備えた化粧シートであって、前記透明熱可塑性樹脂層は、紫外線吸収剤と光安定剤とを含有するポリプロピレン樹脂組成物で形成され、前記表面保護層は、紫外線吸収剤と光安定剤とを含有するアクリル系樹脂組成物で形成されていることを要旨とする。
本発明によれば、耐候性を向上させつつ、長期間使用した場合であっても、化粧シートを構成する層間での剥離や浮き(部分的な剥離)の発生を低減することが可能な化粧シートを提供することができる。
本発明の実施形態に係る化粧シートの構造を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る化粧シート及び化粧部材について、図面を参照しつつ説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識を基に設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた形態も、本発明の範囲に含まれる。また、各図面は、理解を容易にするため適宜誇張して表現している。
(化粧シート)
図1に示すように、本発明の実施形態に係る化粧シート10は、基材層1と、絵柄層2と、プライマー層3と、透明接着性樹脂層4と、透明熱可塑性樹脂層5と、表面保護層6とがこの順で積層されている。具体的には、化粧シート10は、基材層1と、基材層1の表面1a側に設けられた絵柄層2と、絵柄層2の表面2a側に設けられたプライマー層3と、プライマー層3の表面3a側に設けられた透明接着性樹脂層4と、透明接着性樹脂層4の表面4a側に設けられた透明熱可塑性樹脂層5と、透明熱可塑性樹脂層5の表面5a側に設けられた表面保護層6とを備える。更に、化粧シート10は、基材層1の裏面1b側にプライマー層7が設けられている。化粧シート10の厚さは40μm以上300μm以下が好ましい。
また、透明熱可塑性樹脂層5の表面5aには、エンボス加工により形成された凹凸模様8が設けられている。凹凸模様8としては、例えば、絵柄層2の絵柄と同調した模様を用いてもよいし、絵柄と非同調の模様を用いてもよい。凹凸模様8の凹凸の深さは、耐汚染性能や触感性能等の面から、10μm以下が好ましい。
(基材層)
基材層(基材)1の材料としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで基材に使用されている熱可塑性樹脂と同様のものを使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂等、或いはこれらの2種以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を使用できる。
ポリオレフィン系樹脂としては、既に列挙した多くの種類から、化粧シート10の使用目的等に応じて適宜選択して使用すればよい。特に、一般的な用途に最も好適なのは、ポリプロピレン系樹脂、すなわち、プロピレンを主成分とする単独又は共重合体である。例えば、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂等を単独又は適宜配合したものや、それらに更にアタクチックポリプロピレンを適宜配合した樹脂等を使用することができる。また、プロピレン以外のオレフィン系単量体を含む共重合体であってもよく、例えば、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1又はオクテン−1のコモノマーの1種又は2種以上を15モル%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体等を例示できる。また、通常ポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられている低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体又はその水素添加物等の改質剤を適宜添加できる。
また、本実施形態における基材層1は、不透明に着色された着色オレフィン系樹脂層(着色熱可塑性樹脂層)であって隠蔽性を有することが好ましい。これにより、基材層1は、例えば化粧シート10と所定の基板とを貼り合わせて化粧部材を形成する際に、基板表面の色のばらつきや欠陥等を隠蔽することができる。また、基板表面の質感を活かす場合、基材層1は、基板表面を透視可能な程度の透明性を有する着色オレフィン系樹脂層であることが好ましい。
(絵柄層)
絵柄層2は、化粧シート10に絵柄による意匠性を付与するための層である。
絵柄層2は、印刷インキやコーティング剤等を用いて形成される。印刷インキ等としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで絵柄層に使用されている印刷インキ等と同様のものを使用できる。例えば、アクリル系インキを用いることができる。アクリル系インキとしては、例えば、アクリルポリオール系ビヒクルにイソシアネート硬化剤を配合してなる2液硬化型ウレタン樹脂をバインダ樹脂に用いたインキを使用することができる。また、絵柄層2には、その他の樹脂成分を必要に応じ添加してもよい。絵柄層2のバインダ樹脂以外の成分としては、例えば、顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、光安定剤など各種添加剤などを用いることができる。顔料としては、例えば、縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等が挙げられる。
絵柄層2を設ける方法は、特に限定さるものではなく、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、インキジェット印刷など通常の印刷方法を用いることができる。また、絵柄層2の絵柄としては、任意の絵柄を用いることができ、例えば、木目柄、石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様等、或いはこれらの2種類以上の組み合わせ等を用いることできる。
(透明接着性樹脂層)
透明接着性樹脂層4は、基材層1(下台)と透明熱可塑性樹脂層5(上台)とを接着させるための層である。本実施形態において、絵柄層2を積層した基材層1と透明熱可塑性樹脂層5とは、透明接着性樹脂層4を介して接合されていればよく、接合手法は、熱ラミネート、押出ラミネート、ドライラミネート、サンドラミネートなどの各種ラミネート手法を用いることができる。ここで、本実施形態による化粧シート10の諸性能を考慮すると、接合手法はドライラミネート手法が好ましい。このため、透明接着性樹脂層4は、ドライラミネート接着剤を用いたドライラミネート接着剤層であることが好ましい。また、透明接着性樹脂層4は、例えば、グラビアコート、マイクログラビアコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコートなど通常の塗布方法を用いて形成される。
また、透明接着性樹脂層4は、マレイン酸変性ランダムポリプロピレン樹脂及びエチレン−プロピレン共重合樹脂の少なくとも一方を含むことが好ましい。
透明接着性樹脂層4は、上述のポリオレフィン樹脂に紫外線吸収剤と光安定剤とを添加した組成物を用いて形成されたものであってもよい。
透明接着性樹脂層4に含有される紫外線吸収剤は、後述する透明熱可塑性樹脂層5に含有される紫外線吸収剤と同じトリアジン系紫外線吸収剤であってもよい。また、透明接着性樹脂層4に含有される光安定剤は、後述する透明熱可塑性樹脂層5に含有される光安定剤と同じN−OR型光安定剤であってもよい。
(プライマー層)
プライマー層3は、絵柄層2と透明接着性樹脂層4との密着性を向上させることにより、基材層1と透明熱可塑性樹脂層5との密着性を向上させるための層である。例えば本実施形態では、ポリオールとポリイソシアネートとの付加重合反応により合成されたウレタン樹脂を用いる。ポリオールとしては、例えば、ウレタン変性ポリエステルポリオールが挙げられる。また、ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートが挙げられる。
アクリルポリオールとイソシアネートとの比率は、密着力を考慮した場合、アクリルポリオール:イソシアネートの比率が、8〜12:1が好ましい。特に、アクリルポリオール:イソシアネートの比率が、9〜11:1がより好ましい。
(透明熱可塑性樹脂層)
透明熱可塑性樹脂層5は、化粧シート10の耐候性を向上させるための層である。透明熱可塑性樹脂層5は、例えば、ポリオレフィン樹脂を用いて形成される。ポリオレフィン樹脂としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで透明熱可塑性樹脂層に使用されているポリオレフィン樹脂と同様のものを使用できる。例えば、透明熱可塑性樹脂層5を構成するポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン樹脂を用いることができる。また、透明熱可塑性樹脂層5を構成するポリオレフィン樹脂の種類は、1種類であってもよいし、複数の種類であってもよい。そして、このポリプロピレン樹脂には、紫外線吸収剤と光安定剤とが添加されている。つまり、透明熱可塑性樹脂層5は、紫外線吸収剤と光安定剤とを含有するポリプロピレン樹脂組成物(ポリオレフィン樹脂組成物)で形成されている。
透明熱可塑性樹脂層5に含有される紫外線吸収剤は、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。透明熱可塑性樹脂層5に含有されるトリアジン系紫外線吸収剤は、例えば、下記式(1)及び下記式(2)の少なくとも一方で表される構造を有していてもよい。つまり、透明熱可塑性樹脂層5は、トリアジン系紫外線吸収剤として、下記式(1)及び下記式(2)の少なくとも一方で表される紫外線吸収剤を含んでいることが好ましい。
Figure 2021003835
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また、透明熱可塑性樹脂層5における紫外線吸収剤の含有量は、ポリプロピレン樹脂(樹脂成分)100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下の範囲内が好ましい。透明熱可塑性樹脂層5における紫外線吸収剤の含有量が、0.1質量部未満の場合には、十分な耐候性が得られない場合がある。また、透明熱可塑性樹脂層5における紫外線吸収剤の含有量が、10質量部を超える場合には、ポリプロピレン樹脂(樹脂成分)の含有率が相対的に低くなるため、透明熱可塑性樹脂層5の形成時に問題が発生する場合がある。
透明熱可塑性樹脂層5に含有される光安定剤は、N−OR型光安定剤が好ましい。
また、透明熱可塑性樹脂層5における光安定剤の含有量は、ポリプロピレン樹脂(樹脂成分)100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下の範囲内が好ましい。透明熱可塑性樹脂層5における光安定剤の含有量が、0.1質量部未満の場合には、十分な耐候性が得られない場合がある。また、透明熱可塑性樹脂層5における光安定剤の含有量が、10質量部を超える場合には、ポリプロピレン樹脂(樹脂成分)の含有率が相対的に低くなるため、透明熱可塑性樹脂層5の形成時に問題が発生する場合がある。
また、透明熱可塑性樹脂層5の厚さは、1μm以上10μm以下の範囲内が好ましい。透明熱可塑性樹脂層5の厚さが上記数値範囲内であれば、十分な耐候性が確実に得られる。
(表面保護層)
表面保護層6は、化粧シート10の耐候性を向上させるための層である。表面保護層6は、例えば、アクリル系樹脂を用いて形成される。アクリル系樹脂としては、特に制限はなく、従来の化粧シートで表面保護層に使用されているアクリル系樹脂と同様のものを使用できる。例えば、表面保護層6を構成するアクリル系樹脂として、メチルメタクリレートモノマーとシクロヘキシルメタクリレートの混合物からなるアクリル系樹脂を用いることができる。また、表面保護層6を構成するアクリル系樹脂の種類は、1種類であってもよいし、複数の種類であってもよい。そして、このアクリル系樹脂には、紫外線吸収剤と光安定剤とが添加されている。つまり、表面保護層6は、紫外線吸収剤と光安定剤とを含有するアクリル系樹脂組成物で形成されている。
表面保護層6に含有される紫外線吸収剤は、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。表面保護層6に含有されるトリアジン系紫外線吸収剤は、例えば、下記式(3)及び下記式(4)の少なくとも一方で表される構造を有している。つまり、表面保護層6は、トリアジン系紫外線吸収剤として、下記式(3)及び下記式(4)の少なくとも一方で表される紫外線吸収剤を含んでいることが好ましい。
Figure 2021003835
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また、表面保護層6における紫外線吸収剤の含有量は、アクリル系樹脂(樹脂成分)100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下の範囲内が好ましい。表面保護層6における紫外線吸収剤の含有量が、1質量部未満の場合には、十分な耐候性が得られない場合がある。また、表面保護層6における紫外線吸収剤の含有量が、20質量部を超える場合には、アクリル系樹脂(樹脂成分)の含有率が相対的に低くなるため、表面保護層6の形成時に問題が発生する場合がある。
表面保護層6に含有される光安定剤は、N−OR型光安定剤が好ましい。表面保護層6に含有されるN−OR型光安定剤は、例えば、下記式(5)で表される構造を有している。
Figure 2021003835
また、表面保護層6における光安定剤の含有量は、アクリル系樹脂(樹脂成分)100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下の範囲内が好ましい。表面保護層6における光安定剤の含有量が、1質量部未満の場合には、十分な耐候性が得られない場合がある。また、表面保護層6における光安定剤の含有量が、20質量部を超える場合には、アクリル系樹脂(樹脂成分)の含有率が相対的に低くなるため、表面保護層6の形成時に問題が発生する場合がある。
なお、表面保護層6における紫外線吸収剤の含有量は、透明熱可塑性樹脂層5における紫外線吸収剤の含有量よりも多くてもよい。また、表面保護層6における光安定剤の含有量は、透明熱可塑性樹脂層5における光安定剤の含有量よりも多くてもよい。
また、表面保護層6の厚さは、1μm以上10μm以下の範囲内が好ましい。表面保護層6の厚さが上記数値範囲内であれば、十分な耐候性が確実に得られる。
また、表面保護層6は、凹凸模様8が形成されている領域に形成されていてもよいし、形成されていなくてもよい。なお、表面保護層6が、凹凸模様8が形成されている領域に形成されていれば、形成されていない場合と比較して、耐久性(耐候性)が向上するため、好ましい。
(プライマー層)
プライマー層7は、化粧シート10を所定の基板11に貼り合わせて化粧部材20を形成する際に、基板11への接着に用いられる接着剤9と化粧シート10との密着性を向上させるために、必要に応じて施される層である。例えば、基板11が木質系材料や金属系材料で形成されている場合には、接着剤として、酢酸ビニルエマルジョン系、2液硬化型ウレタン系等の接着剤が使用されるため、プライマー層7は、これらの接着剤に合わせた樹脂設計とすることが望ましい。例えば、プライマー層7には、ウレタン系、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系等を採用することができる。特に、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの配合による2液硬化型ウレタン系のプライマー剤等が好ましい。また、これらの材料にシリカや硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機質粉末を添加してプライマー層7を形成すると、巻取保存時のブロッキングの防止や、投錨効果による接着力の向上に有効である。
(凹凸模様)
凹凸模様8は、化粧シート10の表面に立体的な意匠感を付与するためのものである。凹凸模様8としては、任意の凹凸形状を用いることができる。例えば、木目導管状、石目状、布目状、抽象柄状、和紙状、スウェード状、皮革状、梨地状、砂目状、ヘアーライン状、平行直線群、或いはこれらの組み合わせ等を用いることができる。また、凹凸模様8の形成方法としては、例えば、基材層1の表面1aに対する透明熱可塑性樹脂層5の積層前、積層後又は積層と同時に行われる、ダブリングエンボス法、押出ラミネート同時エンボス法等を採用することができる。
以上説明したように、本発明の実施形態による化粧シート10は、基材層1と、透明接着性樹脂層4と、透明熱可塑性樹脂層5と、表面保護層6と、がこの順に積層されており、透明熱可塑性樹脂層5は、紫外線吸収剤と光安定剤とを含有するポリプロピレン樹脂組成物で形成され、表面保護層6は、紫外線吸収剤と光安定剤とを含有するアクリル系樹脂組成物で形成されている。
化粧シート10は、透明熱可塑性樹脂層5と表面保護層6の両方に紫外線吸収剤と光安定剤とを含んでいるため、紫外線等が照射された場合であっても透明接着性樹脂層4や絵柄層2が受けるダメージを低減することができる。このため、耐候性を向上させつつ、長期間使用した場合であっても、化粧シート10を構成する層間での剥離や浮き(部分的な剥離)の発生を低減することが可能となる。
また、透明熱可塑性樹脂層5に含有される紫外線吸収剤が、トリアジン系紫外線吸収剤であれば、透明熱可塑性樹脂層5の紫外線遮蔽性能が増加し、下層であるプライマー層3や絵柄層2の劣化を抑制することができる。その結果、耐候性を更に向上させつつ、長期間使用した場合であっても、化粧シート10を構成する層間での剥離や浮き(部分的な剥離)の発生を更に低減することが可能となる。
また、透明熱可塑性樹脂層5に含有されるトリアジン系紫外線吸収剤が下記式(1)及び下記式(2)の少なくとも一方で表される構造を有していれば、透明熱可塑性樹脂層5の紫外線遮蔽性能が確実に増加し、下層であるプライマー層3や絵柄層2の劣化を確実に抑制することができる。その結果、耐候性を向上させつつ、長期間使用した場合であっても、化粧シート10を構成する層間での剥離や浮き(部分的な剥離)の発生を確実に低減することが可能となる。
Figure 2021003835
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また、透明熱可塑性樹脂層5に含有される光安定剤がN−OR型光安定剤であれば、透明熱可塑性樹脂層5を構成する透明熱可塑性樹脂自体の耐久性を向上させることができる。その結果、劣化による表面保護層6の界面付近での透明熱可塑性樹脂の凝集破壊を防ぐことができるため、表面保護層6の剥離を防止し、更には、透明熱可塑性樹脂自体のクラックの発生等を防止することができる。
また、表面保護層6に含有される紫外線吸収剤がトリアジン系紫外線吸収剤であれば、表面保護層6の紫外線遮蔽性能が増加し、下層である透明熱可塑性樹脂層5、プライマー層3、或いは絵柄層2の劣化を抑制することができる。
また、表面保護層6に含有されるトリアジン系紫外線吸収剤が下記式(3)及び下記式(4)の少なくとも一方で表される構造を有していれば、表面保護層6の紫外線遮蔽性能が確実に増加し、下層である透明熱可塑性樹脂層5、プライマー層3、或いは絵柄層2の劣化を確実に抑制することができる。その結果、耐候性を向上させつつ、長期間使用した場合であっても、化粧シート10を構成する層間での剥離や浮き(部分的な剥離)の発生を確実に低減することが可能となる。
Figure 2021003835
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また、表面保護層6に含有される光安定剤がN−OR型光安定剤であれば、表面保護層6を構成する樹脂自体の耐久性を向上させることができる。その結果、劣化による表面保護層6のクラックや亀裂を抑制することができ、光沢の低下や表面の割れを抑制することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
<実施例1>
着色熱可塑性樹脂層(基材層)1として、厚み55μmのポリエチレンシート(リケンテクノス(株)製「TPN」)を用いた。次に、この着色熱可塑性樹脂層1の一方の面上に、グラビア印刷法により絵柄層2を形成した。この絵柄層2として、木質柄模様(東洋インキ製造(株)製「ラミスター」)を施した。次に、着色熱可塑性樹脂層1の一方の面上に、グラビア印刷法によりプライマー層7(東洋インキ製造(株)製「ラミスター」)を約1μmの厚みで形成した。
次に、絵柄層2上にプライマー層3を形成した。プライマー層3は、ウレタン変性ポリエステルポリオール80質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート10質量部、イソホロンジイソシアネート10質量部で混合してなる2液硬化型のアンカーコート剤を、厚み1μmとなるように絵柄層2の表面に、グラビアコート法を用いて塗布して設けた。
次に、透明接着性樹脂層4を形成するための樹脂として、マレイン酸変性ランダムポリプロピレン樹脂70.0質量部に対してエチレン−プロピレン共重合樹脂30.0質量部、添加したものを用意した。
また、透明熱可塑性樹脂層5を形成するための樹脂として、立体規則性の低いホモポリプロピレン「TPO」((株)プライムポリマー製、MFR4.5g/10min)に、下記式(1)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤「サイアソーブ1164」(サンケミカル(株)製)0.25質量%と、下記式(2)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤「チノソーブS」(BASFジャパン(株)製)0.25質量%とを添加したものを用意した。また、N−OR型ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤「TINUVIN850」(BASFジャパン(株)製)0.5質量%を用意した。
Figure 2021003835
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次に、用意した各樹脂を、透明熱可塑性樹脂層5の厚みが60μmとなるように、また透明接着性樹脂層4の厚みが10μmとなるように、共押出しラミネーション法を用いてプライマー層3上にラミネートした。なお、プライマー層3上へのラミネートは、透明接着性樹脂層4側に濃度20g/m、流量3.0m/時間の量でオゾンガスを吹き付けながら行った。
最後に、このラミネートした透明熱可塑性樹脂層5の表面にコロナ処理を施した後に表面保護層6を形成した。表面保護層6は、メチルメタクリレートモノマー80質量部とシクロヘキシルメタクリレート20質量部の混合物からなるアクリル系樹脂組成物を主成分とし、下記式(3)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤「アデカスタブLA−46」(株)ADEKA製)6質量部、下記式(4)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤「TINUVIN479」(BASFジャパン(株)製)6質量部、下記式(5)で表されるN−OR型ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤「TINUVIN123」(BASFジャパン(株)製)5質量部、及び、固形分調整用に酢酸エチル溶剤を添加した固形分量33質量部の主剤溶液と、固形分調整用に酢酸エチル溶剤を添加した固形分量75質量部のヘキサメチレンジイソシアネート型硬化剤溶液とを、主溶液と硬化剤溶液の比率が10:1(この時の主剤溶液中の水酸基数と硬化剤溶液中のイソシアネート基数の比率は約1:2)となるように混合した。これに、更に溶剤成分として酢酸エチルを添加して固形分量を20質量部に調整した塗工液を、溶剤揮発後の厚さで9μmとなるように塗工した。こうして、表面保護層6を形成し、実施例1の化粧シートを形成した。
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(金属化粧部材)
金属基材(基板)11として、厚さ1mmのアルミ板に、接着剤9として、2液硬化性ウレタン系接着剤(乾燥状態での塗布量:25g/m)を介して上記化粧シートを貼り合わせて金属化粧部材を作成した。金属板及び化粧シートは、アルミ板と化粧シート10のシート状の基材1とが対向するようにして貼り合わせた。こうして、実施例1の化粧部材(サンプル)を形成した。
<実施例2>
表面保護層6に用いる紫外線吸収剤(アデカスタブLA−46)を、下記式(6)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤「TINUVIN400」(BASFジャパン(株)製)6質量部とした以外は、実施例1と同様にして実施例2のサンプルを得た。
Figure 2021003835
<比較例1>
透明熱可塑性樹脂層5に用いる紫外線吸収剤(サイアソーブ1164及びチノソーブS)を、下記式(7)で表されるベンゾトリアゾール系「TINUVIN326」(BASFジャパン(株)製)とし、表面保護層6に用いる紫外線吸収剤(アデカスタブLA−46及びTINUVIN479)を、下記式(8)で表されるベンゾトリアゾール系「TINUVIN329」6質量部とし、下記式(9)で表されるベンゾトリアゾール系「TINUVIN1130」6質量部(ともにBASFジャパン(株)製)とした以外は、実施例1と同様にして比較例1のサンプルを得た。
Figure 2021003835
Figure 2021003835
Figure 2021003835
<比較例2>
透明熱可塑性樹脂層5に用いる光安定剤(TINUVIN850)を、下記式(10)で表されるヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤「キマソーブ2020」(BASFジャパン(株)製)0.5質量%とし、表面保護層6に用いる光安定剤(TINUVIN123)を、下記式(11)で表されるヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を「TINUVIN292」(BASFジャパン(株)製)6質量部とし、表面保護層6に用いる紫外線吸収剤(アデカスタブLA−46)を、下記式(6)で表されるトリアジン系紫外線吸収剤「TINUVIN400」(BASFジャパン(株)製)6質量部とした以外は、実施例1と同様にして比較例2のサンプルを得た。
Figure 2021003835
Figure 2021003835
Figure 2021003835
上記サンプルをメタルウェザーにて耐候性試験を実施し、耐久性を評価した。なお、耐候性試験(メタルウェザー)の条件は以下の通りである。
・ライトモード:照度65mW/cm、ブラックパネル温度63℃、湿度50%、20時間
・湿潤モード:ブラックパネル温度30℃、湿度98%、4時間
・湿潤モードの前後にシャワー30秒
上記モードを1サイクルとし、63サイクル実施した。
判定基準は以下の通りである。
○:外観に異常無し
△:外観に僅かな白化や剥離を確認
×:外観に異常あり(クラック、基材黄変、チョーキング、剥離)
なお、本評価では、「△」、「○」を合格とした。
Figure 2021003835
表1に示すように、実施例1〜2に示した化粧部材(化粧シート)は、耐久性の評価結果がいずれも合格となった。一方、表1に示すように、比較例1〜2の化粧部材(化粧シート)は、耐久性の評価結果が「×」であり、問題がある点が見受けられた。
以上のように、実施例1〜2の化粧部材(化粧シート)は、比較例1〜2の化粧部材(化粧シート)よりも、耐候性(耐久性)が向上しており、長期間使用した場合であっても、化粧シートを構成する層間での剥離や浮き(部分的な剥離)の発生が低減していることが確認された。
1 基材層
1a、2a、3a、4a、5a 表面
1b 裏面
2 絵柄層
3 プライマー層
4 透明接着性樹脂層
5 透明熱可塑性樹脂層
6 表面保護層
7 プライマー層
8 凹凸模様
9 接着剤
10 化粧シート
11 基板
20 化粧部材

Claims (7)

  1. 基材と、透明熱可塑性樹脂層と、表面保護層とをこの順に備えた化粧シートであって、
    前記透明熱可塑性樹脂層は、紫外線吸収剤と光安定剤とを含有するポリプロピレン樹脂組成物で形成され、
    前記表面保護層は、紫外線吸収剤と光安定剤とを含有するアクリル系樹脂組成物で形成されていることを特徴とする化粧シート。
  2. 前記透明熱可塑性樹脂層に含有される前記紫外線吸収剤は、トリアジン系紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記トリアジン系紫外線吸収剤は、下記式(1)及び下記式(2)の少なくとも一方で表される構造を有することを特徴とする請求項2に記載の化粧シート。
    Figure 2021003835
    Figure 2021003835
  4. 前記透明熱可塑性樹脂層に含有される前記光安定剤は、N−OR型光安定剤であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の化粧シート。
  5. 前記表面保護層に含有される前記紫外線吸収剤は、トリアジン系紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の化粧シート。
  6. 前記トリアジン系紫外線吸収剤は、下記式(3)及び下記式(4)の少なくとも一方で表される構造を有することを特徴とする請求項5に記載の化粧シート。
    Figure 2021003835
    Figure 2021003835
  7. 前記表面保護層に含有される前記光安定剤は、N−OR型光安定剤であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の化粧シート。
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