JP2021001650A - 真空断熱材用積層体およびそれを用いた真空断熱材 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性を向上させ、かつ高温環境下においても長期間耐熱性を保持できる真空断熱材用積層体、および真空断熱材を提供する。【解決手段】芯材を真空断熱材用積層体で被覆し、内部を脱気し真空状態とした真空断熱材に用いられる真空断熱材用積層体であって、積層体が少なくともガスバリア層および熱融着層とから構成され、各層を貼り合わせる接着剤が二液硬化型の接着剤であり、前記接着剤中に、接着剤の主剤に対して重量%濃度で0.1〜10%のポリロタキサン含有樹脂を含む。【選択図】図2
Description
本発明は、真空断熱材用積層体およびそれを用いた真空断熱材に関する。
近年、地球温暖化防止のため温室効果ガスの削減が推進されており、電気製品や車両、設備機器ならびに建物等の省エネルギー化が求められている。
中でも、消費電力量の低減の観点から、電気製品、車両、建築等の物品への真空断熱材の採用が進められている。これらの物品に真空断熱材を備えることで、物品全体としての断熱性能を向上させることが可能となり、エネルギー削減効果が期待される。
中でも、消費電力量の低減の観点から、電気製品、車両、建築等の物品への真空断熱材の採用が進められている。これらの物品に真空断熱材を備えることで、物品全体としての断熱性能を向上させることが可能となり、エネルギー削減効果が期待される。
真空断熱材は、芯材を積層体で包み、芯材の周囲を真空状態にし、気体による熱伝導率を限りなくゼロに近づけることにより、断熱性能を高めた断熱材である。
真空断熱材は、一般に、対向させた2枚の外装材(以下、一対の外装材とする場合がある。)の周縁を熱で溶着させて袋体とし、その中に発泡樹脂や繊維材等の芯材を入れ、脱気して内部を真空状態とし、袋体の開口を封止して密閉することで形成されている。
真空断熱材はその内部が高真空状態にあることから、内部での空気の対流による熱移動が遮断されるため、高い断熱性能を発揮することができる。
真空断熱材はその内部が高真空状態にあることから、内部での空気の対流による熱移動が遮断されるため、高い断熱性能を発揮することができる。
真空断熱材の断熱性能を長期間維持するためには、内部の真空状態を保持する必要がある。そのため、真空断熱材に用いられる外装材には、外部からガスが透過することを防止するためのガスバリア性、芯材を覆って密着封止するための熱接着性等の種々の機能が要求され、上記外装材としては、通常、これらの機能を備える複数の機能層の積層体が用いられる。
例えば、特許文献1〜3には、真空断熱材の芯材側から熱融着層、単層または多層のガスバリア層、および単層または多層の保護層がこの順で積層された外装材が開示されている。また、外装材を構成するこれらの機能層は、通常、層間接着層を介して積層される。
例えば、特許文献1〜3には、真空断熱材の芯材側から熱融着層、単層または多層のガスバリア層、および単層または多層の保護層がこの順で積層された外装材が開示されている。また、外装材を構成するこれらの機能層は、通常、層間接着層を介して積層される。
しかし、真空断熱材は電化製品等に組み込まれたり、屈曲され長期間使用することがあるが、外装材を構成する機能層が伸縮し各層が剥がれてしまい真空断熱材内部の真空状態が維持できなくなり、その結果、長期間、断熱性能を発揮できなくなるという問題がある。
上記問題を鑑み、本発明は、耐熱性を向上させ、かつ高温環境下においても長期間耐熱性を保持できる真空断熱材用積層体、および真空断熱材を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
芯材を真空断熱材用積層体で被覆し、内部を脱気し真空状態とした真空断熱材に用いられ
る真空断熱材用積層体であって、各層を貼り合わせる接着剤が二液硬化型の接着剤であり、前記接着剤中に、接着剤の主剤に対して重量%濃度で0.1〜10%ポリロタキサン含有樹脂を含むものである。
これにより、各層の伸縮が発生しても接着剤が追随し、各層が剥離せずバリア性が保たれ、真空断熱材の断熱性能を保つことが可能となる。
芯材を真空断熱材用積層体で被覆し、内部を脱気し真空状態とした真空断熱材に用いられ
る真空断熱材用積層体であって、各層を貼り合わせる接着剤が二液硬化型の接着剤であり、前記接着剤中に、接着剤の主剤に対して重量%濃度で0.1〜10%ポリロタキサン含有樹脂を含むものである。
これにより、各層の伸縮が発生しても接着剤が追随し、各層が剥離せずバリア性が保たれ、真空断熱材の断熱性能を保つことが可能となる。
また上記発明において、前記接着剤は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールのいずれかのポリオールよりなる主剤と、芳香族系または脂肪族系のイソシアネートよりなる硬化剤と、を有する二液硬化型のポリウレタン系接着剤からなることが好ましい。
上記発明においては、前記ガスバリア層の上記熱溶着層が位置する側の面と反対の面側に、保護層が接着剤を介して配置されていることが好ましい。保護層によりガスバリア層や熱融着層等の機能層を保護することができ、積層体および真空断熱材の耐熱性および耐傷性を向上させることができるからである。
本発明は、芯材および上記芯材を覆うように対向して配置される積層体を有し、対向する上記外装材の周縁が封止された真空断熱材であって、対向する積層体の少なくとも一方は、ガスバリア層、および熱融着層を少なくとも有する上記積層体を用いてなる真空断熱材を提供する。
本発明の真空断熱材用積層体においては、上記の層の組成により耐熱性を向上させることができ、高温環境下での長期使用が可能であるという作用効果を奏する。
以下に、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら詳細な説明を加える。ただし本発明はこれらの例にのみ限定されるものではない。
図1は、本発明に係る真空断熱材の一実施形態を説明するための断面模式図である。芯材(3)は真空断熱材用積層体(2)で被覆され封入されて袋体とされ、真空断熱材(1)を構成する。このとき内部は脱気され、真空状態となっていることで、断熱性能を高めている。また、真空断熱材用積層体(2)はその熱融着層同士を対向する形で重ねて熱融着させて密封される。
図2は、本発明に係る真空断熱材用積層体(2)の一実施形態を説明するための部分断面模式図である。ここに示した発明を実施するための形態の例においては、積層体の基材フィルムとして例えばポリアミドフィルム(4)を用いる。この層が、真空断熱材の最外層となる。
ガスバリア層(9)として、ドライラミネート層(8)を介してアルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(5)が積層されている。さらにガスバリア層(9)として、ドライラミネート層(8)を介してアルミニウム蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体(VM−EVOH)フィルム(6)が積層されている。 さらにドライラミネート層(8)を介して熱融着層(7)を形成し、真空断熱材用積層体(2)を構成している。
なお、このガスバリア層の、熱融着層(7)側とは反対の面側に、ドライラミネート層(8)を介して保護層(図示せず)を積層させてもよい。保護層については後述する。
次に積層体の各構成要素について説明を加える。基材フィルムには、高分子材料を素材としたプラスチックフィルムを用いることができる。プラスチックフィルムは高分子樹脂組成物からなるフィルムであって、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロンー6、ナイロンー66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。
例えば図2に示した実施形態例は、ポリアミドフィルムを用いた例であるが、真空断熱材を被覆する最外層の材料として、強度の点でより好ましい。
例えば図2に示した実施形態例は、ポリアミドフィルムを用いた例であるが、真空断熱材を被覆する最外層の材料として、強度の点でより好ましい。
真空断熱材用積層体は、内部の真空状態を維持するためにガスバリア性が求められる。そのために積層体を構成する層中にガスバリア層を設けてガスバリア性を付与するが、ガスバリア層としてはアルミニウムなどの金属箔を用いることもでき、また表面に蒸着薄膜層を設けたガスバリアフィルムを用いることもできる。
ガスバリアフィルムは、たとえばプラスチック材料からなる基材フィルムを用い、その片面に蒸着薄膜層を設けて形成されるが、蒸着薄膜層と保護層を順次積層したものを用いてもよい。
ガスバリアフィルムは、たとえばプラスチック材料からなる基材フィルムを用い、その片面に蒸着薄膜層を設けて形成されるが、蒸着薄膜層と保護層を順次積層したものを用いてもよい。
基材フィルムのプラスチック材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム等を用いることができる。これらは、機械的強度や寸法安定性を有するものであれば、延伸されたものでも未延伸のものでも構わない。通常これらのものを、フィルム状に加工して用いられる。特に耐熱性等の観点から二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムやポリアミドフィルムが好ましく用いられる。
また、ガスバリアフィルムの蒸着薄膜層が設けられる面と反対側の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが使用されていても良い。また、蒸着薄膜層との密着性を良くするために、基材の積層面側を前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理、薬品処理、溶剤処理などのいずれかの処理を施しても良い。
ガスバリアフィルムの厚さは、とくに限定されるものではなく、またフィルムとしての適性を考慮して、単体フィルム以外の異なる性質のフィルムを積層したフィルムを使用することもできる。加工性を考慮すれば、3〜200μmの範囲が好ましく、特に6〜30μmがより好ましい。
また、量産性を考慮すれば、連続的に各層を形成できる長尺の連続フィルムとすることが望ましい。
次に蒸着薄膜層は、金属、例えばアルミニウム、銅、銀など、もしくは無機酸化物、例えばイットリウムタンタルオキサイド、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム或いはそれらの混合物の蒸着膜からなり、酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する。これらの中では、特にアルミニウム、酸化アルミニウム及び酸化珪素、酸化マグネシウムが好ましい。なお、上述の金属および無機酸化物に限定されず、酸素、水蒸気等のガスバリア性を有する材料であれば用いることができる。
蒸着薄膜層の厚さは、用いられる化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、5〜1000nmの範囲内が望ましく、その厚さは適宜選択することができる。ただし、膜厚が5nm未満の場合は、均一な膜が得られず、膜厚が十分とはいえない。また、無機酸化物の場合、膜厚が1000nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを発揮することができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがある。
蒸着薄膜層をフィルム上に形成する方法としては、通常の真空蒸着法により形成することができる。また、その他の薄膜形成方法としてスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(PCVD) などを用いることも可能である。生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れる。
真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかが好ましい。また、蒸着薄膜層と基材の密着性及び蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素ガスなど吹き込む反応蒸着を行ってよい。
真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかが好ましい。また、蒸着薄膜層と基材の密着性及び蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素ガスなど吹き込む反応蒸着を行ってよい。
(保護層)
さらに、ガスバリア層を形成するために蒸着薄膜層に重ねて形成することのできる、コーティングによる保護層を説明する。
保護層は、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物、または両者、あるいは(b)塩化錫の少なくともいずれか1つを含む水溶液、あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成される。例えば、水溶性高分子と塩化錫を水系(水あるいは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、あるいはこれに金属アルコキシドを直接、あるいは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を調整し溶液とする。この溶液を無機化酸化物からなる蒸着薄膜層6にコーティング後、加熱乾燥し形成される。
さらに、ガスバリア層を形成するために蒸着薄膜層に重ねて形成することのできる、コーティングによる保護層を説明する。
保護層は、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物、または両者、あるいは(b)塩化錫の少なくともいずれか1つを含む水溶液、あるいは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成される。例えば、水溶性高分子と塩化錫を水系(水あるいは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、あるいはこれに金属アルコキシドを直接、あるいは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を調整し溶液とする。この溶液を無機化酸化物からなる蒸着薄膜層6にコーティング後、加熱乾燥し形成される。
コーティング剤に用いられる水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(PVA)を用いるとガスバリア性が最も優れる。このPVA は、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるものであり、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等までを含み、特に限定されない。
またコーティング剤に用いられる塩化錫は、塩化第一錫(SnCl2)、塩化第二錫(SnCl4)、或いはそれらの混合物であってもよい。またこれらの塩化錫は、無水物でも水和物でもあってもよい。
更にコーティング剤に用いられる金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n(M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH3,C2H5等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的にはテトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)4〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C3H7)3〕などがあげられ、中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
コーティング剤のガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて加えることができる。
例えばコーティング剤に加えられるイソシアネート化合物としては、その分子中に2 個以上のイソシアネート基を有するものが好ましい。例えばトリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネートなどのモノマー類と、これらの重合体、誘導体が挙げられる。
コーティング剤の塗布方法には、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の手段を用いることができる。被膜の厚さは、コーティング剤の種類や加工機や加工条件によって異なる。乾燥後の厚さが、0.01μm以下の場合は、均一な塗膜が得られず十分なガスバリア性を得られない場合があるので好ましくない。また厚さが50μmを超える場合は膜にクラックが生じ易くなるため問題がある。好ましくは0.01〜50μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmの範囲にあることである。
なお、蒸着薄膜層、保護層上にさらに蒸着薄膜層、保護層を同様に設けることも可能であり、必要に応じて複数層を積層して設けることができる。このように複数層を積層することで、さらに本発明の真空断熱材用積層体のガスバリア性及び機械強度を向上させることが可能となる。
(接着剤)
真空断熱材積層体を構成する接着剤は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールのいずれかのポリオールよりなる主剤と、芳香族系または脂肪族系のイソシアネートよりなる硬化剤と、を有する二液硬化型のポリウレタン系接着剤であり、主剤に対して重量濃度%で0.1〜10%ポリロタキサン含有樹脂を含む。
真空断熱材積層体を構成する接着剤は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールのいずれかのポリオールよりなる主剤と、芳香族系または脂肪族系のイソシアネートよりなる硬化剤と、を有する二液硬化型のポリウレタン系接着剤であり、主剤に対して重量濃度%で0.1〜10%ポリロタキサン含有樹脂を含む。
ポリロタキサン含有樹脂は、分子中に反応性水酸基を有する環状分子と、当該環状分子を串刺し状に貫通する直鎖状分子と、当該直鎖状分子の両末端に配置された前記環状分子の脱離を防止する封止基とを有するポリロタキサン化合物である。
接着剤をこのような構成とすることで、積層体の各層の伸縮が発生しても接着剤が追随し、各層が剥離せずバリア性が保たれ、真空断熱材の断熱性能を保つことが可能となる。
真空断熱材用積層体のガスバリア層を構成する各層の積層方法は、たとえば2液硬化型ウレタン系接着剤を用いたドライ・ラミネーションによる方法などが採用できるが、特に指定するものではない。
(熱融着層)
熱融着層の材質としては、ポリオレフィン樹脂が強度上望ましい。上記熱融着層は、通常、本発明の真空断熱材用積層体の積層方向の一方において最表層を担う層である。
熱融着層の材質としては、ポリオレフィン樹脂が強度上望ましい。上記熱融着層は、通常、本発明の真空断熱材用積層体の積層方向の一方において最表層を担う層である。
熱融着層の厚さとしては、所望の接着力を有することができる大きさであればよく、例えば20μm〜100μmの範囲内、中でも25μm〜90μmの範囲内、特に30μm〜80μmの範囲内が好ましい。熱融着層の厚さが上記範囲よりも大きいと、本発明の真空断熱材用積層体全体としてのガスバリア性や外観等が悪化する場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、所望の接着力が得られず、高温下で長時間使用する間に剥離が生じる場合がある。
(真空断熱材)
本発明における積層体を用いた真空断熱材は、熱融着層が芯材と接するようにして配置される。
また、芯材を覆うように対向して配置される積層体は、両方が優れた耐熱性を示すことから、本発明の真空断熱材による強度劣化が起こり難くなる。
本発明の真空断熱材が高温環境下において長期間曝されても、上記真空断熱材の端部や積層体の層間での剥離の発生や劣化を抑制することができ、本発明の真空断熱材の内部を長期間にわたり高真空状態に維持できるからである。
なお、上記積層体の透明性の有無は問わない。
本発明における積層体を用いた真空断熱材は、熱融着層が芯材と接するようにして配置される。
また、芯材を覆うように対向して配置される積層体は、両方が優れた耐熱性を示すことから、本発明の真空断熱材による強度劣化が起こり難くなる。
本発明の真空断熱材が高温環境下において長期間曝されても、上記真空断熱材の端部や積層体の層間での剥離の発生や劣化を抑制することができ、本発明の真空断熱材の内部を長期間にわたり高真空状態に維持できるからである。
なお、上記積層体の透明性の有無は問わない。
本発明における真空断熱材に用いられる芯材は、対向する外装材に積層体より覆われて内包されるものである。芯材の材料としては、一般に真空断熱材の芯材に使用される材料を用いることができる。例えばシリカ等の粉体、ウレタンポリマー等の発泡体、グラスウール等の繊維体等の多孔質体が挙げられる。なお上記多孔質体は、空隙率が50%以上、中でも90%以上であることが好ましい。熱伝導率の低い芯材とすることができるからである。
芯材は、外部から浸入する微量のガスを吸着するためのゲッター剤を含んでいても良い。ゲッター剤としては、例えばシリカ、アルミナ、ゼオライト、活性炭等の真空断熱材に使用される一般的な材料が挙げられる。
芯材の厚さとしては、所望の断熱効果を発揮できる厚さであれば特に限定されず、例えば、減圧後の状態で1mm〜30mmの範囲内であることが好ましい。
本発明の真空断熱材の内部の真空度としては、5Pa以下であることが好ましい。真空断熱材内部の空気の対流を遮断し、断熱性能を向上させることができるからである。
本発明の真空断熱材の熱伝導率(初期熱伝導率)としては、例えば25℃環境下で10mW・m−1・K−1以下、中でも5mW・m−1・K−1以下、特に3mW・m−1・K−1以下であることが好ましい。真空断熱材が熱を外部に伝導しにくくなることから、高い断熱効果を奏することができるからである。なお、上記熱伝導率はJIS−A−1412−3に従い熱伝導率測定装置(英弘精機製 HC−074)を用いた熱流計法により測定された値である。
本発明の真空断熱材の製造方法は、少なくとも一方の外装材に上述した第1の外装材を用いて芯材を封入し、内部を脱気して真空状態にして密閉することが可能な方法であれば特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
本発明の真空断熱材は、電化機器用真空断熱材、建築用真空断熱材、保冷保温箱体用真空断熱材、自動車用真空断熱材等として、断熱を必要とするあらゆる場所に用いることができる。
以下、実施例1、2および比較例1〜3に基づいて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例にのみ限定されるものではない。
[実施例1]
材料構成は、下記のとおりであって、図2の積層体の層構成を参照しながら説明する。
『接着剤の作製』
主剤(ポリエステルポリオール)に対し、重量%濃度で0.1%ポリロタキサン含有樹脂を混合した。その後、芳香族系イソシアネートを混合させ、本発明における接着剤を作製
した。
材料構成は、下記のとおりであって、図2の積層体の層構成を参照しながら説明する。
『接着剤の作製』
主剤(ポリエステルポリオール)に対し、重量%濃度で0.1%ポリロタキサン含有樹脂を混合した。その後、芳香族系イソシアネートを混合させ、本発明における接着剤を作製
した。
まず、厚さ25μmのポリアミドフィルム(4)(興人フィルム&ケミカルズ株式会社製 製品名:ボニールRX)に、厚さ12μmのバリアコートアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(5)を、前記接着剤をドライラミネート層(8)として用いて、積層、接着した。
次いで、アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(5)の外面に、厚さ12μmのアルミニウム蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(6)(株式会社クラレ製 製品名:VM-XL)を、前記接着剤をドライラミネート層(8)として用いて貼りあわせた。
更に、アルミニウム蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(6)の外面に、前記接着剤をドライラミネート層(8)として用いて、熱融着層として厚さ50μmの直鎖状ポリエチレンフィルム(7)(三井化学東セロ株式会社製 製品名:FCS)を貼りあわせ、真空断熱材用積層体(2)を得た。
次いで、アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(5)の外面に、厚さ12μmのアルミニウム蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(6)(株式会社クラレ製 製品名:VM-XL)を、前記接着剤をドライラミネート層(8)として用いて貼りあわせた。
更に、アルミニウム蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(6)の外面に、前記接着剤をドライラミネート層(8)として用いて、熱融着層として厚さ50μmの直鎖状ポリエチレンフィルム(7)(三井化学東セロ株式会社製 製品名:FCS)を貼りあわせ、真空断熱材用積層体(2)を得た。
次に、この真空断熱材用積層体を用い、真空断熱材を構成する三方袋を作成した(300mm×300mm)。芯材としてガラス繊維(290mm×290mm)を封入し、真空包装装置にて袋内の圧力を1.0Paとした後、包装袋の開口部を加熱融着し、厚さ5mm、縦300mm、横300mmの真空断熱材(1)を得た。
[実施例2]
接着剤の作製について、主剤(ポリエステルポリオール)に対し、重量%濃度で10%のポリロタキサン含有樹脂を混合した以外は、実施例1と同様にして、真空断熱材用積層体(2)及び真空断熱材(1)を得た。
接着剤の作製について、主剤(ポリエステルポリオール)に対し、重量%濃度で10%のポリロタキサン含有樹脂を混合した以外は、実施例1と同様にして、真空断熱材用積層体(2)及び真空断熱材(1)を得た。
[比較例1]
接着剤の作製について、主剤(ポリエステルポリオール)に対し、重量%濃度で0.05%のポリロタキサン含有樹脂を混合した以外は実施例1と同様にして、真空断熱材用積層体(2)及び真空断熱材(1)を得た。
接着剤の作製について、主剤(ポリエステルポリオール)に対し、重量%濃度で0.05%のポリロタキサン含有樹脂を混合した以外は実施例1と同様にして、真空断熱材用積層体(2)及び真空断熱材(1)を得た。
[比較例2]
接着剤の作製について、主剤(ポリエステルポリオール)に対し、重量%濃度で15%のポリロタキサン含有樹脂を混合した以外は、実施例1と同様にして、真空断熱材用積層体(2)及び真空断熱材(1)を得た。
接着剤の作製について、主剤(ポリエステルポリオール)に対し、重量%濃度で15%のポリロタキサン含有樹脂を混合した以外は、実施例1と同様にして、真空断熱材用積層体(2)及び真空断熱材(1)を得た。
[比較例3]
接着剤の作製について、主剤(ポリエステルポリオール)に対し、芳香族系イソシアネートのみを混ぜた以外は、実施例1と同様にして、真空断熱材用積層体(2)及び真空断熱材(1)を得た。
接着剤の作製について、主剤(ポリエステルポリオール)に対し、芳香族系イソシアネートのみを混ぜた以外は、実施例1と同様にして、真空断熱材用積層体(2)及び真空断熱材(1)を得た。
(評価)
<ラミネート強度の測定>
JIS−K−6854に準じて測定を行なった。
テンシロン万能材料試験機RTFシリーズ(株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて測定した。温度条件は室温(25℃)と高温(80℃)で実施した。
<ラミネート強度の測定>
JIS−K−6854に準じて測定を行なった。
テンシロン万能材料試験機RTFシリーズ(株式会社エー・アンド・デイ製)を用いて測定した。温度条件は室温(25℃)と高温(80℃)で実施した。
<酸素透過度の測定>
JIS K7126−2に従って温度30℃相対湿度差70%における酸素透過度の測定を行った。
JIS K7126−2に従って温度30℃相対湿度差70%における酸素透過度の測定を行った。
<ゲルボ試験>
210mm×297mmの試験片の297mmの両端を貼り合わせて円筒状に丸め、筒状にした試験片の両端を固定ヘッドと駆動ヘッドで保持し、440度のひねりを加えながら固定ヘッドと駆動ヘッドの間隔を7インチから3.5インチに狭めて、さらにひねりを加えたままヘッドの間隔を1インチまで狭め、その後ヘッドの間隔を3.5インチまで広げて、さらにひねりを戻しながらヘッドの間隔を7インチまで広げるという往復運動を40回/minの速さで、25℃で200回行った。
さらにゲルボ試験を行った試験片について、JIS K7126−2に従って温度30℃相対湿度差70%における酸素透過度の測定を行った。
210mm×297mmの試験片の297mmの両端を貼り合わせて円筒状に丸め、筒状にした試験片の両端を固定ヘッドと駆動ヘッドで保持し、440度のひねりを加えながら固定ヘッドと駆動ヘッドの間隔を7インチから3.5インチに狭めて、さらにひねりを加えたままヘッドの間隔を1インチまで狭め、その後ヘッドの間隔を3.5インチまで広げて、さらにひねりを戻しながらヘッドの間隔を7インチまで広げるという往復運動を40回/minの速さで、25℃で200回行った。
さらにゲルボ試験を行った試験片について、JIS K7126−2に従って温度30℃相対湿度差70%における酸素透過度の測定を行った。
<熱伝導率の測定>
JIS−A−1412−3に準じて測定を行なった。
真空断熱材を温度80℃で8週間保持し、熱伝導率測定装置(英弘精機製 HC−074)を用いて、その間の熱伝導率を測定した。
JIS−A−1412−3に準じて測定を行なった。
真空断熱材を温度80℃で8週間保持し、熱伝導率測定装置(英弘精機製 HC−074)を用いて、その間の熱伝導率を測定した。
(評価結果)
実施例1、2および比較例1、2、3の評価結果を表1と表2に示す。表1は層の構成、表2は測定結果をまとめている。
実施例1、2および比較例1、2、3の評価結果を表1と表2に示す。表1は層の構成、表2は測定結果をまとめている。
表1、表2から、実施例1、2は、比較例1〜3と比べて、高温時でもラミネート強度が保たれること、ゲルボ試験時にも酸素透過度が劣化せず、バリア性が保たれることにより熱伝導率が良いことが分かった。
1・・・真空断熱材
2・・・真空断熱材用積層体
3・・・芯材
4・・・ポリアミドフィルム(基材フィルム)
5・・・アルミニウム蒸着PETフィルム
6・・・アルミニウム蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム
7・・・熱融着層
8・・・接着層
9・・・ガスバリア層
2・・・真空断熱材用積層体
3・・・芯材
4・・・ポリアミドフィルム(基材フィルム)
5・・・アルミニウム蒸着PETフィルム
6・・・アルミニウム蒸着エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム
7・・・熱融着層
8・・・接着層
9・・・ガスバリア層
Claims (4)
- 芯材を真空断熱材用積層体で被覆し、内部を脱気し真空状態とした真空断熱材に用いられる真空断熱材用積層体であって、積層体が少なくともガスバリア層および熱融着層とから構成され、各層を貼り合わせる接着剤が二液硬化型の接着剤であり、前記接着剤中に、接着剤の主剤に対して重量%濃度で0.1〜10%のポリロタキサン含有樹脂を含むことを特徴とする真空断熱材用積層体。
- 前記接着剤は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオールのいずれかのポリオールよりなる主剤と、芳香族系または脂肪族系のイソシアネートよりなる硬化剤と、を有する二液硬化型のポリウレタン系接着剤からなることを特徴とする真空断熱材用積層体。
- 前記ガスバリア層の前記熱溶着層が位置する側の面と反対の面側に、保護層が接着剤を介して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱材用積層体。
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載の真空断熱材用積層体を用いてなることを特徴とする真空断熱材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019115340A JP2021001650A (ja) | 2019-06-21 | 2019-06-21 | 真空断熱材用積層体およびそれを用いた真空断熱材 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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ID=73993832
Family Applications (1)
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JP2019115340A Pending JP2021001650A (ja) | 2019-06-21 | 2019-06-21 | 真空断熱材用積層体およびそれを用いた真空断熱材 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2021001650A (ja) |
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2019
- 2019-06-21 JP JP2019115340A patent/JP2021001650A/ja active Pending
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