JP2020522432A - 自由側軸受、ステアリングギヤおよびステアリングシステム - Google Patents

自由側軸受、ステアリングギヤおよびステアリングシステム Download PDF

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Abstract

自動車のステアリングギヤ用の自由側軸受であって、ピボット軸受(10)を有し、該ピボット軸受(10)は、前記ステアリングギヤのねじ状ピニオン軸(4)を支持するために設けられた軸受内輪(11)と、軸受スリーブ(26)に組み込まれた軸受外輪(12)とを有している。さらに、前記軸受スリーブ(26)はガイド部材(29)と協働するようになっており、かつ該ガイド部材(29)は前記ステアリングギヤのボックス(1)内に固定的に組み込むために設けられた保持部材(32)と協働するようになっており、これにより、前記ねじ状ピニオン軸(4)にトルクが与えられていない場合には、前記軸受スリーブ(26)は、該軸受スリーブ(26)の長手方向軸線(25)に対して半径方向に向けられた第1の方向において、前記保持部材(32)に対して相対的に移動可能であるのに対し、前記ねじ状ピニオン軸(4)にトルクが与えられた場合には、前記軸受スリーブ(26)が、該軸受スリーブの前記長手方向軸線(25)に対してやはり半径方向に向けられかつさらに前記第1の方向に対して垂直に向けられた第2の方向において、前記保持部材(32)に対して相対的に動かされ、これにより前記ガイド部材(29)が、前記保持部材(32)または前記軸受スリーブ(26)のガイド開口(33)内で傾倒することにより、前記第1の方向における前記軸受スリーブ(26)の、前記保持部材(32)に対して相対的な運動が阻止されている。

Description

本発明は、ステアリングギヤ用の自由側軸受に関する。本発明はさらに、このような自由側軸受を備えたステアリングギヤならびにこのようなステアリングギヤを備えたステアリングシステム、特にパワーアシステッドステアリングシステムに関する。
大抵の自動車に取り付けられるパワーアシステッドステアリングシステムは、操舵時にアシストトルクを生ぜしめることにより、運転者によってステアリングコラムにもたらされるべきステアリングモーメントを軽減する。
周知のパワーアシステッドステアリングシステムは、液圧式または電気式のステアリングモータの駆動出力を変換し、例えばステアリングコラムに伝達するステアリングギヤに基づいている。このようなステアリングギヤは通常、ねじ状転動伝動装置の形態で、特にねじ歯車伝動装置またはウォームギヤとして形成されている。これらのステアリングギヤには、ステアリングコラムと直接または間接的に結合された歯車、ならびにこの歯車と噛み合っていて、ステアリングモータにより軸を介して駆動されるピニオンが含まれる。
このようなステアリングギヤでは、構成部材の製造誤差、各ギヤエレメントの異なる熱膨張、プラスチック製歯車の場合は材料の摩耗および/または固化に基づき形成されるギヤ遊びが問題である、ということが判った。特にいわゆる切替操舵に際して、すなわちステアリングを切る方向を連続して交互に切り替える操舵に際して、前記のようなギヤ遊びは、ピニオンと歯車との歯の、対向して位置する各側面同士が交互に当接することから生じる、望ましくないノイズを発生させる。
前記ギヤ遊びは、ピニオン軸の長手方向軸線に対して垂直に、かつピニオンと歯車との歯列係合部に対して間隔をあけて延在する軸線を中心として旋回可能に、ピニオン軸が支持されており、かつ1つまたは複数のばね部材により歯車に対して押圧されることにより解消される、ということが知られている。この場合、ピニオン軸の旋回性は通常、ピニオン軸を端部側で支持する2つの軸受のうちの一方に組み入れられる。この軸受は、「固定側軸受」と呼ばれる。この場合、他方の端部の領域に設けられる軸受は、旋回運動により惹起される変位を可能にするために、所定の可動性を備えて形成されている(いわゆる「自由側軸受」)。固定側軸受は、特に駆動側に設けられていてもよいのに対し、自由側軸受は、ピニオン軸の自由端部に設けられている。この場合、ピニオンを歯車に圧着するための1つまたは複数のばね部材が、自由側軸受と固定側軸受の両方に組み込まれていてもよい。
固定側軸受を介して弾発用のばね力が生ぜしめられるようなステアリングギヤは、例えば独国特許出願公開第102009054655号明細書から公知である。このステアリングギヤにおいて想定されているのは、固定側軸受の領域でピニオン軸を収容している転がり軸受の外面を、旋回スリーブ内で支持する点である。旋回スリーブは、転がり軸受を概ね遊び無しで収容する軸受スリーブと、ステアリングギヤのボックスの収容部において概ね遊び無く保持された外側リングとを有しており、この場合、外側リングと軸受スリーブとは、複数のねじりウェブを介して結合されており、ねじりウェブは、外側リングが軸受スリーブに対して回動させられるとねじられるようになっている。ステアリングギヤの取付け後には、ねじりウェブはねじられた状態であり、これにより生ぜしめられた弾性的な戻り作用が、ピニオン軸の弾発を生ぜしめるようになっている。
前掲の独国特許出願公開第102009054655号明細書に記載のものに類似したステアリングギヤの構成は、独国特許出願公開第102008040673号明細書、欧州特許第2836416号明細書および欧州特許第2836417号明細書から公知である。
熱に起因する膨張、ステアリングギヤ、特に歯車および/またはピニオン軸の、プラスチックから形成された部材の幾何学形状変化、吸水ならびに歯車および/またはピニオン軸の回転の半径方向の振れに基づくピニオン軸の変位を可能にするためには、固定側軸受により規定される旋回軸線を中心としたピニオン軸の旋回性が、所定の最小限の、いわゆる基本的な遊びにおいて与えられていなければならない。同時に、基本的な遊びは制限されていなければならない。ピニオン軸を介してステアリングモータの駆動出力が歯車に伝達されると、ばねにより荷重が加えられたピニオン軸は、特にステアリングギヤの自由側軸受により形成されていてもよい旋回運動用の終端ストッパに到達するまで、歯列力に基づき、歯車からますます離れる方向へ旋回させられるからである。
このようなステアリングギヤの構造的な設計の枠内で寸法設定された基本的な遊びは、使用するにつれ、特にプラスチックから形成されている場合のステアリングギヤ部材の摩耗ならびに固化(すなわち永続的な荷重に基づく塑性変形)に基づき拡大する。また、製造に起因する形状誤差および位置誤差も、基本的な遊びの拡大につながる恐れがある。これにより、ピニオン軸用の弾発の寸法設定において、ステアリングギヤの想定される使用期間の終了時におそらく生じる基本的な遊びが考慮され、この場合も、十分に大きな弾発が生ぜしめられていることが望ましく、新品状態のステアリングギヤに加えられるばねの荷重を、不都合に高い摩擦が歯列に生じてしまう大きさに選択せざるを得ない。
したがって、想定される使用期間にわたって可能な限り不変であり、さらに、不都合に高い摩擦を歯列に生ぜしめること無く、特に熱に起因する膨張、吸水および/または製造誤差に基づく、ギヤ遊びに対する予想され得る影響を相殺することができる基本的な遊びを有していることが有利である、と考えられる。
本発明の根底を成す課題は、前記のような、可能な限り不変の基本的な遊びが実現されたステアリングギヤを提供することにある。
この課題は特許請求項1記載の、ステアリングギヤ用の自由側軸受により解決される。このような自由側軸受を備えた、自動車のステアリングシステム用のステアリングギヤならびにこのようなステアリングギヤを備えたステアリングシステムは、特許請求項7および10に記載されている。本発明による自由側軸受ひいては本発明によるステアリングギヤならびに本発明によるステアリングシステムの有利な構成は、各従属請求項および/または以下の本発明の説明に記載されている。
ステアリングギヤ用の本発明による自由側軸受は、ピボット軸受(好適には転がり軸受、特に好適には玉軸受)を有しており、ピボット軸受は、ステアリングギヤのねじ状ピニオン軸を支持するために設けられた軸受内輪と、軸受スリーブに組み込まれた(すなわち軸受スリーブに内蔵されたまたは軸受スリーブ自体により形成された)軸受外輪とを有している。さらに、軸受スリーブは(好適にはピン状の)ガイド部材と協働するようになっており、かつガイド部材はステアリングギヤのボックス内に固定的にもしくは不動に、特に一体に組み込むために設けられた保持部材と協働するようになっており、これにより、ねじ状ピニオン軸に荷重が加えられていない場合、すなわちトルクが与えられていない場合には、軸受スリーブは、軸受スリーブの長手方向軸線に対して半径方向に向けられた第1の方向において、保持部材に対して相対的に移動可能であるのに対し、ねじ状ピニオン軸にトルクが与えられた場合には、軸受スリーブが、軸受スリーブの長手方向軸線に対して半径方向に向けられかつ第1の方向に対して垂直に向けられた第2の方向において、保持部材に対して相対的に動かされ、これによりガイド部材は、保持部材または軸受スリーブのガイド開口内で(もしくは軸受スリーブに結合された部材内で)傾倒する、ということが想定されている。
「長手方向軸線」とは、本発明では所定のボデーまたは所定の中空空間の、ボデー/中空空間の最大長手方向延在部に沿って延在すると共に、ボデー/中空空間の複数の異なる横断面の幾何学的な中心点を結ぶ軸線を意味する。
自動車のステアリングシステム用に設けられた本発明によるステアリングギヤは、少なくとも1つの歯車と、これに噛み合うねじ状ピニオン(特にウォームピニオン)と、ねじ状ピニオンを把持するねじ状ピニオン軸とを有しており、ねじ状ピニオン軸は、ねじ状ピニオンの一方の側において本発明による自由側軸受に支持されており、自由側軸受の保持部材は、ステアリングギヤのボックス内に固定的に組み込まれている。ステアリングギヤのボックス内への機能部材の固定的な組込みは、保持部材が、ボックス自体により形成されているかまたはボックスに(例えばねじ締結されてまたは別の形式で摩擦結合式にかつ/または形状結合式にかつ/または材料結合式に)結合されていることにより、行うことができる。
さらに本発明によるステアリングギヤに関して、ねじ状ピニオン軸は、ねじ状ピニオンの他方の側において固定側軸受に支持されており、固定側軸受が形成する旋回軸線を中心として、ねじ状ピニオン軸が旋回可能である、ということが想定されていてもよく、この場合、自由側軸受のガイド部材の長手方向軸線は、前記旋回軸線に対して横方向にかつ特に垂直に向けられている。このような固定側軸受には、ピボット軸受(好適には転がり軸受、特に好適には玉軸受)が含まれていてもよく、ピボット軸受は、ステアリングギヤのねじ状ピニオン軸を支持するために設けられた軸受内輪と、軸受スリーブ内に収容された軸受外輪とを有している。さらに、旋回リングが設けられていてもよく、旋回リングは、1つまたは複数のねじりウェブを介して旋回可能に結合された外側リングと内側リングとを有しており、この場合、内側リングは軸受スリーブに結合されており(このことには統合された特に一体の構成が含まれていることが望ましい)、外側リングは固定側軸受をステアリングギヤのボックス内で支持するために設けられている。
本発明によるステアリングシステムは、少なくとも1つの本発明によるステアリングギヤならびに回転駆動するようにねじ状ピニオン軸と結合されたステアリングモータを有している。さらに、ステアリングギヤの歯車は、ステアリングシステムのステアリングシャフト、特にステアリングコラムと相対回動不能にまたは回転駆動するように結合されていてもよい。本発明によるステアリングシステムは、特にパワーアシステッドステアリングシステムとして形成されていてもよく、パワーアシステッドステアリングシステムにより、ステアリングモータを介してアシストトルクを生ぜしめることができるようになっており、これにより、自動車を操舵するために、パワーアシステッドステアリングシステムを有する自動車の運転者によりステアリングコラムにもたらされるべきステアリングモーメントが(場合によっては一時的にゼロにまでも)低減されている。これに対して択一的に、操舵に必要とされる全てのステアリングモーメントがステアリングモータにより(常時)生ぜしめられるように、ステアリングシステムを形成する可能性もある。
本発明による自由側軸受の機能原理は、ピニオンがねじ状ピニオンとして形成されていることに基づき、ステアリングモータからねじ状ピニオン軸に伝達されかつねじ状ピニオン軸から歯車に伝達される駆動出力の伝達時に、ねじ状ピニオン軸が歯列力に基づき、固定側軸受の本来の旋回軸線を中心として旋回させられるだけでなく、この旋回軸線に対して垂直に位置する第2の軸線を中心としても(僅かに)旋回させられることに基づいており、このことは、ねじ状ピニオン軸の支持部(特に固定側軸受)における遊びもしくは弾性変形に起因する。本発明による自由側軸受の構成はこの点を、前記第2の軸線を中心としたねじ状ピニオン軸の、比較的小さくはあるが(好適には最小限の)所定の変位(旋回距離)が行われた後に、ガイド開口内でのガイド部材の傾倒を生ぜしめるために利用しており、これにより、本来の旋回軸線を中心としたねじ状ピニオン軸の旋回も制限もしくは阻止される。つまり、ガイド部材とガイド開口との協働により、(本来の)旋回軸線を中心としたねじ状ピニオン軸の旋回運動に対して緊締作用を有するストッパが達成され、このストッパは、ステアリングギヤおよび特に歯車ならびにねじ状ピニオンが使用期間に応じて有している実際の摩耗状態に関係無く、本来の旋回軸線に対して垂直に位置する第2の軸線を中心とした実質的に同じ旋回運動の後には常に有効になり、この場合、第2の軸線を中心とした前記旋回運動の大きさは、ステアリングギヤの使用期間にわたり、実質的に不変である。実際にはねじ状ピニオン軸の弾発に基づき、ねじ状ピニオン軸に加えられた荷重により生ぜしめられ、弾発に抗して作用する力が弾発を過剰補償する前に、緊締作用を有するストッパが有効になる、ということを達成することができ、これにより、本発明による自由側軸受は、(ねじ状ピニオン軸がトルクを与えられた場合に、これに基づいた)固定側軸受により規定された旋回軸線を中心としたねじ状ピニオン軸の旋回を、実質的に直接にひいては完全に阻止するようになっている。
ガイド開口は、片側が開いたガイド通路(すなわちガイド溝)として形成されていても、周方向において完全に閉じられたガイド開口として形成されていてもよい。
本発明による自由側軸受の、特に構造的な観点において有利な1つの構成では、本発明による機能性を得るために、好適には
‐軸受スリーブは、(少なくとも、ガイド部材の長手方向軸線の方向における相対運動ならびに軸受スリーブの長手方向軸線に対して平行な軸線を中心とした傾動が阻止されているように、すなわち好適には完全に不動の結合部が設けられているように)ガイド部材と(好適には直接に)結合されており、ガイド部材の、軸受スリーブの長手方向軸線から間隔をあけて配置された部分は、保持部材の、軸受スリーブの長手方向軸線に対して半径方向に延在するガイド開口内で軸方向に可動にガイドされている、または
‐ガイド部材は、保持部材に結合されており、ガイド部材の、軸受スリーブの長手方向軸線から間隔をあけて配置された少なくとも1つの部分は、軸受スリーブの長手方向軸線に対して半径方向に延在する、軸受スリーブの少なくとも1つのガイド開口内(もしくは軸受スリーブに結合された少なくとも1つの部材内)で軸方向に可動にガイドされている、ということが想定されていてもよい。この場合、ガイド部材は一方では、保持部材と不動に結合されていてもよく、この場合も第1の択一的な構成の場合と同様、ガイド開口内でのガイド部材の傾倒は、ガイド部材と保持部材とが、軸受スリーブの長手方向軸線に対して偏心して結合されているもしくは協働することにより実現される。これにより、ねじ状ピニオン軸に加えられたトルクに基づき生ぜしめられた、前記第2の軸線を中心とした旋回が、軸受スリーブを、その長手方向軸線を中心として僅かに回動させ、これにより、ガイド開口内の軸受ピンの傾斜位置が生ぜしめられる。ガイド部材は他方では、保持部材と(少なくとも軸受スリーブの長手方向軸線に対して好適には平行に延在する軸線を中心として)旋回可能に結合されていてもよく、この場合はねじ状ピニオン軸にトルクが加えられた際のガイド開口内での軸受ピンの傾倒を保証するために、軸受スリーブは追加的に、その長手方向軸線を中心として回動しないように位置固定されていることが望ましい。軸受スリーブの、その長手方向軸線を中心とした回動に抗するこのような位置固定は、本発明によるステアリングギヤにおいて好適には、この軸受スリーブが、ステアリングギヤの固定側軸受用の軸受スリーブと少なくとも相対回動不能にかつ特に一体に形成されていることにより達成され得る。ガイド部材と保持部材との間の旋回可能な結合は、ピボットジョイントに基づいていても、(例えばガイド部材の)弾性変形に基づいていてもよい。
本発明による自由側軸受の1つの好適な実施形態では、ガイド部材の長手方向軸線は、軸受スリーブの長手方向軸線に対して半径方向に延在しひいては軸受スリーブの長手方向軸線と交差していることが想定されていてもよい。これにより、緊締作用を有するストッパの実現に関して対称が達成され、その結果、(本来の旋回軸線を中心とした)ねじ状ピニオン軸の、ステアリングモータによりねじ状ピニオン軸が駆動される両回転方向に関して実質的に同じ大きさの(特に最小の)旋回性が達成されることになる。
本発明による自由側軸受の、特に構造的な観点において有利な1つの実施形態では、ガイド部材は、軸受スリーブの、軸方向において(すなわち軸受スリーブの長手方向軸線に沿って延在する方向において)ピボット軸受の軸受外輪から間隔をあけて配置された部分において、軸受スリーブの1つまたは複数の収容開口を貫通して延在していることが想定されていてもよい。このような自由側軸受は、有利には軸受スリーブの長手方向軸線に対して半径方向における比較的コンパクトな構成形式という点において優れていてもよい。さらに、ガイド部材が保持部材のガイド開口内で可動にガイドされているような、本発明による自由側軸受の構成では、さらに好適には、ガイド部材は(形状結合式および/または摩擦結合式および/または材料結合式の結合に基づき)固定的にもしくは不動に、軸受スリーブの収容開口内に配置されていることが想定されていてもよい。これに対して、ガイド部材が軸受けスリーブの少なくとも1つのガイド開口内で可動にガイドされているような、本発明による自由側軸受の1つの構成では、軸受スリーブの収容開口は、相応のガイド開口として用いられる。
これに対して択一的な、本発明による自由側軸受の1つの実施形態では、ガイド部材は、軸受スリーブの、ピボット軸受の軸受外輪とも統合された部分において、軸受スリーブに結合されている、つまりガイド部材は、ピボット軸受の半径方向外側に配置されていることが想定されていてもよい。このような自由側軸受は、有利には軸受スリーブの長手方向軸線の方向における比較的コンパクトな構成形式という点において優れていてもよい。
好適には、ガイド部材は別個の構成部材として、軸受スリーブと材料結合式にかつ/または形状結合式にかつ/または摩擦結合式に結合されていることが想定されていてもよく、このことは、このような本発明による自由側軸受の製造にポジティブな影響を及ぼし得る。しかしまた、ガイド部材と軸受スリーブとを統合し、特に一体に形成する可能性もある。
さらに、ガイド部材は、保持部材の収容開口内に位置するガイドヘッドを有しており、ガイドヘッドは、ガイド部材ヘッドに続くガイド部材軸部に比べ、より大きな横断面を少なくとも一部に有している、ということが想定されていてもよい。ガイド部材がさらに、保持部材のガイド開口内で可動にガイドされているような、本発明による自由側軸受の1つの構成では、ガイド部材ヘッドの比較的大きな横断面は特に、ガイド開口内でのガイド部材(ヘッド)の傾倒による緊締作用が生じる前に、ガイド部材の傾斜を十分に可能にするために用いることができる。これに対して、ガイド部材が軸受けスリーブの1つまたは複数のガイド開口内で可動にガイドされているような、本発明による自由側軸受の1つの構成では、ガイド部材ヘッドの比較的大きな横断面は特に、保持部材の収容開口と協働して、例えばボールヘッドジョイントの形態の旋回軸受を形成するために用いることができる。
本発明は他に、本発明によるステアリングシステムを備えた自動車にも関する。
特に特許請求項および特許請求項全般を説明する明細書における不定冠詞(″ein″, ″eine″, ″einer″および″eines″)について、それ自体は数詞を意味するものではない。これに相応して、不定冠詞が付されたコンポーネントに関しては、これらのコンポーネントが少なくとも1つ設けられていると共に、複数設けられていてもよいことを意味する。
以下に、本発明を図示の実施例に基づき、より詳しく説明する。
第1の実施形態に基づく、本発明によるステアリングギヤを示す縦断面図である。 図1に示したステアリングギヤの固定側軸受を正面から見た図である。 図1に示した断面III−IIIに沿った、ステアリングギヤの部分横断面図である。 第2の実施形態に基づく、本発明によるステアリングギヤを示す縦断面図である。 図4にVで示した部分の拡大図である。 図4に示した断面VI−VIに沿った、ステアリングギヤの部分横断面図である。 図1〜図6に示したステアリングギヤの自由側軸受の機能原理を概略的に示す図である。 択一的な実施形態に基づく、本発明による自由側軸受の機能原理を概略的に示す図である。 別の択一的な実施形態に基づく、本発明による自由側軸受の機能原理を概略的に示す図である。
図1には、第1の実施形態に基づく、自動車のステアリングシステム用の本発明によるステアリングギヤの主要構成部材が示されている。
ステアリングギヤはボックス1を有しており、ボックス1の内部には、歯車2ならびに歯車2に噛み合うねじ状ピニオン3が支持されている。ねじ状ピニオン3と、このねじ状ピニオン3を把持しているねじ状ピニオン軸4とは、ウォームの形態で一体に形成されている。
歯車2は、ステアリングギヤの被動軸5に固く取り付けられている。図示の実施例では歯車2と相対回動不能に結合するための歯列を有しているこの被動軸5は、一方の端部にステアリングピニオン(図示せず)を有していてもよく、ステアリングピニオンは、例えば少なくとも一部がラックとして形成されたタイロッドに噛み合っており、これにより、被動軸5の回転時にタイロッドは、周知の形式で車輪操舵アーム(図示せず)を介して自動車の操舵輪(図示せず)の旋回運動に変換され得る並進運動を実施する。ただし被動軸5は、ステアリングホイール(図示せず)に相対回動不能に結合されていて、ステアリングピニオン(図示せず)を介してタイロッドに作用する、パワーアシステッドステアリングシステムのステアリングコラムであってもよい。
ねじ状ピニオン軸4は、駆動側の端部を有しており、駆動側の端部を介してねじ状ピニオン軸4は、ステアリングモータ(例えば電動モータ)(図示せず)の出力軸に結合可能である。この駆動側の端部の領域において、ねじ状ピニオン軸4は第1の軸受を介してボックス1内に支持されている。この軸受は、ねじ状ピニオン軸4の、旋回軸線7(図2参照)を中心とした旋回を可能にする固定側軸受6として形成されている。この旋回は、ねじ状ピニオン軸4の、駆動側の端部とは反対の側に位置する自由端部の変位を生ぜしめ、そこでねじ状ピニオン軸4は、本発明による自由側軸受8を介して支持されている。この自由側軸受8は、ねじ状ピニオン軸4の旋回に基づき生じる、ねじ状ピニオン軸4の前記自由端部の変位を、所定の範囲で可能にするように形成されている。
固定側軸受6と自由側軸受8とは両方共、それぞれ玉軸受の形態のピボット軸受9,10を有している。これらのピボット軸受9.10の軸受内輪11内には、ねじ状ピニオン軸4の対応する部分が支持されている一方で、ピボット軸受9,10の軸受外輪12は、それぞれ軸受装置13,14内に支持されており、軸受装置13,14もやはり、ボックス1内に収容されている。軸受装置13,14は構造的に、固定側軸受6の場合には旋回軸線7を中心としたねじ状ピニオン軸4の旋回を、かつ自由側軸受8の場合にはねじ状ピニオン軸4の自由端部の変位を、規定通りに可能にするように形成されている。
このために固定側軸受6の軸受装置13は、円環形の横断面を有する軸受スリーブ15を有しており、軸受スリーブ15の内側の第1の長手方向部分にはピボット軸受9が収容されており、第2の長手方向部分には旋回リング16の内側リング17が収容されている。旋回リング16の内側リング17は、支持ディスク21を介在させた状態で回動不能に、かつ軸方向で位置固定されて軸受スリーブ15内で支持されており、この場合、旋回リング16の内側リング17は、ピボット軸受9の軸受外輪12に支持されている。旋回リング16は内側リング17の他に、さらに外側リング18を有している。この外側リング18は、2つのねじりウェブ19(図2参照)を介して内側リング17と結合されている。外側リング18、内側リング17およびねじりウェブ19は、好適には例えばばね鋼から一体に形成されている。
ねじ状ピニオン軸4における固定側軸受6のピボット軸受9の軸方向での位置固定は、連結部材22を介在させた状態で、ねじ23を介して行われており、ねじ23は、ねじ状ピニオン軸4の対応する端部に設けられた雌ねじ山に螺入している。連結部材22は、ねじ状ピニオン軸4に対するステアリングモータの駆動出力の伝達にも用いられ、このために連結部材22とねじ状ピニオン軸4とは、互いに相対回動不能に結合されている。この相対回動不能な結合は、ねじ状ピニオン軸4の外側歯列が、連結部材22の相補的な内側歯列に係合することにより達成される。
ボックス1内での旋回リング16の外側リング18の軸方向の位置固定は、ねじリング24を介して行われており、ねじリング24は、ボックス1の対応する雌ねじ山に螺入させられた雄ねじ山を有している。
2つのねじりウェブ19は旋回軸線7の位置を規定しており、ねじ状ピニオン軸4の弾発を得るために、旋回軸線7を中心として、外側リング18が内側リング17に対して相対的に旋回することができるようになっている。ただしこの場合、ねじりウェブ19ひいては旋回軸線7は、旋回リング16ひいてはねじ状ピニオン軸4の横断面の中心を通って延在しているのではなく、この中心に対して半径方向にずらされて延在している(図2参照)。つまり旋回軸線7は、ねじ状ピニオン軸4の長手方向軸線25とは交差していない。旋回リング16の中心に対するねじりウェブ19の半径方向のずれに基づき、旋回軸線7はねじ状ピニオン軸4の外周付近へ移動させられ、これにより、ねじ状ピニオン3と歯車2との歯が噛み合った時に生じる歯列力に基づき、この歯列力の作用線の、旋回軸線7からの距離に関連して生じる、もしくは生じると考えられる反作用モーメントの形成を減少させるまたは回避することができるようになっている。反作用モーメントを可能な限り完全に回避するために、旋回軸線7は、歯車2とねじ状ピニオン3の2つのピッチ円もしくは転動円の接触点に形成された接平面内に位置している、ということが想定されている。
旋回リング16のねじりウェブ19は、内側リング17に対する外側リング18の旋回ひいては歯車2もしくはボックス1に対して相対的なねじ状ピニオン軸4の旋回を可能にするだけでなく、同時にねじ状ピニオン軸4のねじ状ピニオン3を歯車2の歯列に押し込むばね力をも生ぜしめ、これにより、最小限のギヤ遊びひいてはステアリングギヤの作動中の少ないノイズ発生を、特にいわゆる切替操舵に際して達成することができる。このばね力は、ステアリングギヤの取付け時に、ねじ状ピニオン軸4が歯車2と接触することにより変位させられ、これによりねじりウェブ19が十分にねじられることに基づき生じ、これにより、ねじりウェブ19がねじられた結果生じる弾性的な戻しモーメントが、ねじ状ピニオン軸4の前記変位に抗して作用し、ひいてはねじ状ピニオン軸4を歯車2に対して押圧することになる。
自由側軸受8の軸受装置14も、やはり円環形の横断面を有する軸受スリーブ26を有している。軸受スリーブ26の所定の長手方向部分内には、自由側軸受8のピボット軸受10が配置されており、この場合、このピボット軸受10の軸受外輪12の外面は、軸受スリーブ26の内面と直接に接触している。軸受スリーブ26の第2の長手方向部分ひいてはピボット軸受10から軸方向に離間した部分に、軸受スリーブ26は、(長手方向軸線28に対して)同軸に方向付けられた2つの収容開口27を有しており、収容開口27内にはガイド部材29が(例えば緊締結合により)固定されて配置されている。ガイド部材29は、その長手方向延在長さ全体にわたり円形の横断面を有しているが、この場合は別の、例えば角形の横断面も可能である。収容開口27の長手方向軸線28ひいてはガイド部材29の長手方向軸線28も、軸受スリーブ26の長手方向軸線25に対して半径方向に方向付けられており、ひいてはこれらの長手方向軸線25,28は交差しており、この場合は同時に、実質的に垂直な方向が想定されている。軸受スリーブ26の外側に配置された(図1および図3では上側の)端部において、ガイド部材29はガイド部材ヘッド30を形成しており、ガイド部材ヘッド30の(長手方向延在長さにわたり不変の)横断面は、以下でガイド部材軸部31と呼ばれるガイド部材29の残りの部分の(長手方向延在長さにわたり不変の)横断面よりも大きくなっている。ガイド部材ヘッド30を含む終端部分でもって、ガイド部材29は、自由側軸受8の保持部材32により形成されたガイド開口33内でガイドされている。保持部材32は、ステアリングギヤのボックス1に固定されてもしくは不動に組み込まれており、このために複数のねじ20を介してボックス1と直接に結合されている。円形の開口横断面を有する、したがって円筒形のガイド開口33の長手方向軸線28は、ステアリングギヤの無負荷状態では、ガイド部材29の長手方向軸線28に対して同軸に方向付けられている。さらに、ガイド開口の開口横断面もしくは直径は、規定通りに(比較的僅かでも)ガイド部材ヘッド30の横断面もしくは直径よりも大きくなっており、これによりとりわけ、ガイド開口33内でのガイド部材29もしくはガイド部材ヘッド30の軸方向移動性が与えられている。この移動性に基づき、自由側軸受8は基本的に、固定側軸受6により形成され、自由側軸受8のガイド部材29の長手方向軸線28に対して可能な限り正確に垂直に延在する旋回軸線7を中心とした、ねじ状ピニオン軸4の旋回を可能にする。
ねじ状ピニオン軸4が、ステアリングギヤの作動中に2つの可能な回転方向のうちの一方へステアリングモータにより回転駆動されると、このことは歯列力に基づき、固定側軸受6のねじりウェブ19の弾性的な予荷重が増大する中で、ねじ状ピニオン軸4の(図1では上向きの)旋回をねじりウェブ19により形成された旋回軸線7を中心として生ぜしめるであろう力を生ぜしめるだけでなく、旋回軸線7に対して垂直に方向付けられた第2の軸線34を中心とした旋回をも生ぜしめ、この場合、この旋回性は、特に固定側軸受6における遊びならびにねじりウェブ19の弾性変形に基づき可能になる。この旋回運動は、ねじ状ピニオン軸4から自由側軸受8のピボット軸受10へ伝達され、ピボット軸受10から軸受スリーブ26へ伝達され、これに関係するごく短い変位の後には既に、ガイド部材ヘッド30がガイド開口33の壁に接触させられる。ガイド開口33の壁に突き当たるガイド部材29による、軸受スリーブ26の片側のみの偏心的な支持に基づき、ねじ状ピニオン軸4がさらに第2の軸線34を中心として旋回すると、ガイド部材29を内蔵した軸受けスリーブ26に僅かなねじれが生じ、これによりガイド部材ヘッド30はガイド開口33内で傾倒する。このとき、一方ではガイド部材ヘッド30の、ガイド部材軸部31に対して遠位に支持された端部に形成されかつ他方ではガイド部材ヘッド30とガイド部材軸部31との間の移行部に形成された、ガイド部材29の縁部35が高圧下でガイド開口33の壁に接触する。
この傾倒が行われると直ちに、自由側軸受8は第2の軸線34を中心としたねじ状ピニオン軸4のさらなる旋回だけでなく、旋回軸線7を中心としたねじ状ピニオン軸4のさらなる旋回をも阻止するようになっており、これにより、ねじ状ピニオン軸4の相応の旋回運動に対するエンドストッパが形成されている。つまり、旋回軸線7を中心としたねじ状ピニオン軸4の旋回に対するこのエンドストッパは、ガイド部材ヘッド30がガイド開口33内で傾倒する前に、旋回軸線7に対して垂直に位置する第2の軸線34を中心としてねじ状ピニオン軸4が旋回可能な距離に、直接に関連している。ねじ状ピニオン軸4のこの旋回性は、ステアリングギヤの摩耗状態および場合によってはねじ状ピニオン3ならびに歯車2の固化状態には実質的に左右されないため、自由側軸受8の本発明による構成に基づき、旋回軸線7を中心としたねじ状ピニオン軸4の旋回に対する制限が実現され、この制限は、トルクにより、すなわちステアリングギヤの作動中にねじ状ピニオン軸4にトルクが与えられる場合もやはり、前記摩耗状態および場合によっては固化状態にも左右されず、特に、ねじ状ピニオン軸4にトルクが与えられるとすぐに有効になる、もしくはねじ状ピニオン軸4に荷重が加えられることにより生じた力が、固定側軸受6による弾発に基づき生じる反対の力を過剰補償する前に有効になるため、これにより生ぜしめられる、ステアリングギヤの作動中の、旋回軸線7を中心としたねじ状ピニオン軸4の旋回が、自由側軸受8により阻止されている。
つまり本発明による自由側軸受8は、原則としてステアリングギヤの使用期間全体にわたり、ステアリングギヤの作動中にねじ状ピニオン軸4にトルクが加えられている場合には、旋回軸線7を中心としたねじ状ピニオン軸4の旋回を十分にまたは完全に阻止するようになっており、これにより、最小限の基本的な遊びもしくはこれに関する十分な遊びの自由が生じることになる。このこともやはり、固定側軸受6のねじりウェブ19の比較的弱い予荷重(ねじれ)によっても、歯車2に対するねじ状ピニオン軸4の十分な弾発を保証する、ということを可能にし、これにより、特に切替操舵時の望ましくない騒音特性が回避され得る。同時に、プラスチック製部材における吸水に基づく、熱に起因した膨張や幾何学形状変化は常に、ねじ状ピニオン軸4がまさにトルクを与えられないとき(すなわち、自動車のステアリングシステムが操舵運動を実施しないとき)に補償され得る。このときには本発明による自由側軸受8により、旋回軸線7を中心としたねじ状ピニオン軸4の旋回が可能になるからである。これにより、望ましくない高い摩擦が、特にねじ状ピニオン3と歯車2との間の歯列において回避され得る。
図4〜図6には、本発明によるステアリングギヤの1つの択一的な実施形態が示されており、このステアリングギヤは、(本発明による)自由側軸受8の構成に関してのみ、図1〜図3に示したステアリングギヤと相違しているに過ぎない。
図4〜図6に示すステアリングギヤの自由側軸受8の場合、ガイド部材29は、取付け部分36を有しており、取付け部分36でもってガイド部材29は軸受スリーブ26の収容開口27内に収容されており、収容開口27内に例えば材料結合式に(例えばろう接されて)、摩擦結合式に(例えばプレス嵌めにより)または形状結合式に(例えばねじ締結により)取り付けられている。この場合、収容開口27ひいてはガイド部材29も、軸受スリーブ26の、ピボット軸受10の軸受外輪12も配置された(長手方向軸線)部分に位置している。さらに、ガイド部材29は横断面寸法に対して拡大されたガイド部材ヘッド30を形成していない。むしろガイド部材29は、ガイド部材29の、軸受スリーブ26の収容開口27内への挿入深さを制限する環状のストッパ37を起点として、ガイド部材29の自由端部に到るまで、一定の横断面寸法を有している。
図4〜図6に示したステアリングギヤにおける保持部材32は、U字形のプレートとして形成されておりひいては一方の側に向かって開いたガイド開口33を形成しており、この場合、ガイド開口33の(開口底部を起点として開いた側に到るまでの)長手方向は、軸受スリーブ26もしくはねじ状ピニオン軸4の長手方向軸線25に向かって延在している。横方向に関して、ガイド開口33は例えば横断面正方形のガイド部材29の幅に対して、単に小さな過剰寸法を有しているに過ぎず、図1〜図3に示したステアリングギヤの自由側軸受8に関して既に説明したような機能形式に基づき、ステアリングギヤの作動中にねじ状ピニオン軸4がトルクを与えられると直ちに、ガイド開口33内でガイド部材29が傾倒することにより、実質的に直接に、固定側軸受6の旋回軸線7を中心としたねじ状ピニオン軸4の旋回を制限することができるようになっている。これに対して、ガイド開口33の長手方向に関しては、ガイド開口33はガイド部材29よりも大幅に大きな寸法を有しており、これにより、(ねじ状ピニオン軸4に荷重が加えられていない状態で可能な)旋回軸線7を中心としたねじ状ピニオン軸4の旋回は、保持部材32によりガイドされ、さらに、ねじ状ピニオン軸4に荷重が加えられることに基づく、ねじ状ピニオン軸4の長手方向軸線25の方向での、ねじ状ピニオン軸4およびこれに結合された自由側軸受8のコンポーネントの運動が可能である。
保持部材32は、保持部材ホルダ38に不動に結合されており、保持部材ホルダ38もやはり、ステアリングギヤのボックス1内に不動に組み込まれている。保持部材32の、ガイド開口33に隣接する部分に、保持部材ホルダ38は取付け凹部39を形成しており、取付け凹部39内にはガイド部材29の終端部分が延在しており、この場合、取付け凹部39は、ステアリングギヤ用に設定された、ガイド部材29の、保持部材32に対して相対的な運動が、ガイド部材29と保持部材ホルダ38との接触により妨げられないような大きさに寸法設定されている。
図7〜図9には、本発明による自由側軸受8の3つの択一的な実施形態の機能原理が簡略図で示されている。
この場合、図7に示す自由側軸受8は、構造的かつ機能的に、図1〜図6に示したステアリングギヤの自由側軸受8にほぼ相当する。したがってガイド部材29は、他は図示しないステアリングギヤのボックス1に組み込まれた保持部材32により形成されたガイド開口33内で移動可能にガイドされていると共に、自由側軸受8の軸受スリーブ26に不動に結合されている。軸受スリーブ26の横方向運動に基づき、軸受スリーブ26に内蔵されたねじ状ピニオン軸4(図7〜図9には図示せず)に荷重が加えられると、ガイド開口33内でガイド部材29が傾倒し、軸受スリーブ26の横方向運動は、ガイド開口33内でのガイド部材29の、軸受スリーブ26の長手方向軸線28に対して偏心的な支持に基づき、軸受スリーブ26の僅かな回動ひいてはガイド開口33内のガイド部材29の傾斜もしくは傾倒をも生ぜしめる。図8に示した自由側軸受8の場合も、この機能形式は概ね同じであり、この実施形態の場合はガイド部材29が、ボックス1に組み込まれた保持部材32に不動に結合されていると共に、長手方向軸線28に対して偏心的に、軸受スリーブ26により形成されたガイド開口33内で可動に支持されている。
図9に示す自由側軸受8の場合も、軸受スリーブ26により形成されたガイド開口33内でのガイド部材29の相応に可動の支持が想定されている。ただしこの実施形態では、ガイド部材29は、軸受スリーブ26の長手方向軸線28に対して実質的に平行に位置する軸線を中心として旋回可能に、ボックス1に組み込まれた保持部材32に結合されている。本発明による自由側軸受のこのような構成において、ガイド部材29の旋回運動をもたらす軸受スリーブ26の横方向運動に基づき、軸受スリーブ26のガイド開口33内でガイド部材29を傾倒させるためには、適当な手段により、例えばステアリングギヤの自由側軸受8の軸受スリーブ26と、固定側軸受6の軸受スリーブ15とを相対回動不能に結合することにより、軸受スリーブ26が、ガイド部材29の旋回により生ぜしめられたモーメントに基づき長手方向軸線28を中心として回動することを防ぐ必要がある。
1 ボックス
2 歯車/ねじ状ギヤ/ウォームギヤ
3 ねじ状ピニオン/ウォーム
4 ねじ状ピニオン軸
5 被動軸
6 固定側軸受
7 旋回軸線
8 自由側軸受
9 固定側軸受のピボット軸受
10 自由側軸受のピボット軸受
11 ピボット軸受の軸受内輪
12 ピボット軸受の軸受外輪
13 固定側軸受の軸受装置
14 自由側軸受の軸受装置
15 固定側軸受の軸受スリーブ
16 旋回リング
17 旋回リングの内側リング
18 旋回リングの外側リング
19 ねじりウェブ
20 ねじ
21 支持ディスク
22 連結部材
23 ねじ
24 ねじリング
25 ねじ状ピニオン軸/軸受スリーブの長手方向軸線
26 自由側軸受の軸受スリーブ
27 自由側軸受の軸受スリーブの収容開口
28 自由側軸受の軸受スリーブ/ガイド部材/ガイド開口の収容開口の長手方向軸線
29 ガイド部材
30 ガイド部材ヘッド
31 ガイド部材軸部
32 保持部材
33 ガイド開口
34 第2の軸線
35 ガイド部材の縁部
36 ガイド部材の取付け部分
37 ガイド部材のストッパ
38 保持部材ホルダ
39 保持部材ホルダの取付け凹部

Claims (10)

  1. ステアリングギヤ用の自由側軸受(8)であって、ピボット軸受(10)を有し、該ピボット軸受(10)は、前記ステアリングギヤのねじ状ピニオン軸(4)を支持するために設けられた軸受内輪(11)と、軸受スリーブ(26)に組み込まれた軸受外輪(12)とを有する、自由側軸受(8)において、
    前記軸受スリーブ(26)はガイド部材(29)と協働し、かつ該ガイド部材(29)は前記ステアリングギヤのボックス(1)内に固定的に組み込むために設けられた保持部材(32)と協働し、これにより、
    前記ねじ状ピニオン軸(4)にトルクが与えられていない場合には、前記軸受スリーブ(26)が、該軸受スリーブ(26)の長手方向軸線(25)に対して半径方向に向けられた第1の方向において、前記保持部材(32)に対して相対的に運動可能であり、
    前記ねじ状ピニオン軸(4)にトルクが与えられた場合には、前記軸受スリーブ(26)が、該軸受スリーブの前記長手方向軸線(25)に対して半径方向に向けられかつさらに前記第1の方向に対して垂直に向けられた第2の方向において、前記保持部材(32)に対して相対的に動かされ、これによりガイド部材(29)が、前記保持部材(32)または前記軸受スリーブ(26)のガイド開口(33)内で傾倒することにより、前記第1の方向における前記軸受スリーブ(26)の、前記保持部材(32)に対して相対的な運動が阻止されていることを特徴とする、自由側軸受(8)。
  2. 前記軸受スリーブ(26)は、前記ガイド部材(29)と結合されており、該ガイド部材(29)の、前記軸受スリーブ(26)の前記長手方向軸線(25)から間隔をあけて配置された部分は、前記保持部材の、前記軸受スリーブ(26)の前記長手方向軸線(25)に対して半径方向に延在するガイド開口内で軸方向に可動にガイドされている、または
    前記ガイド部材(29)は、前記保持部材(32)に結合されており、前記ガイド部材(29)の、前記軸受スリーブ(26)の前記長手方向軸線(25)から間隔をあけて配置された少なくとも1つの部分は、前記軸受スリーブ(26)の前記長手方向軸線(25)に対して半径方向に延在する、前記軸受スリーブ(26)の少なくとも1つのガイド開口内で軸方向に可動にガイドされている、請求項1記載の自由側軸受(8)。
  3. 前記ガイド部材(29)は、前記保持部材(32)と旋回可能に結合されており、前記軸受スリーブは、その長手方向軸線を中心として回動しないように位置固定されている、請求項1または2記載の自由側軸受(8)。
  4. 前記ガイド部材(29)は、前記軸受スリーブ(26)の、軸方向において前記ピボット軸受(10)の前記軸受外輪(12)から間隔をあけて配置された部分において、前記軸受スリーブ(26)の1つまたは複数の収容開口(27)を貫通して延在している、請求項1から3までのいずれか1項記載の自由側軸受(8)。
  5. 前記ガイド部材(29)は、前記軸受スリーブ(26)の、前記ピボット軸受(10)の前記軸受外輪(12)とも統合された部分において、前記軸受スリーブ(26)に結合されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の自由側軸受(8)。
  6. 前記ガイド部材(29)は別個の構成部材として、前記軸受スリーブ(26)と材料結合式にかつ/または形状結合式にかつ/または摩擦結合式に結合されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の自由側軸受(8)。
  7. 自動車のステアリングシステム用のステアリングギヤであって、歯車(2)と、該歯車(2)に噛み合うねじ状ピニオン(3)と、該ねじ状ピニオン(3)を把持するねじ状ピニオン軸(4)とを有し、該ねじ状ピニオン軸(4)は、前記ねじ状ピニオン(3)の一方の側において、請求項1から6までのいずれか1項記載の自由側軸受(8)に支持されており、該自由側軸受(8)の保持部材(32)は、当該ステアリングギヤのボックス(1)内に固定的に組み込まれている、ステアリングギヤ。
  8. 前記ねじ状ピニオン軸(4)は、前記ねじ状ピニオン(3)の他方の側において固定側軸受(6)に支持されており、該固定側軸受(6)が形成する旋回軸線(7)を中心として、前記ねじ状ピニオン軸(4)が旋回可能であり、前記自由側軸受(8)のガイド開口(33)の長手方向軸線(28)は、前記旋回軸線(7)に対して横方向にかつ特に垂直に向けられている、請求項7記載のステアリングギヤ。
  9. 前記保持部材(32)は、前記ボックス(1)と直接に結合されているか、または該ボックス(1)により形成されている、請求項7または8記載のステアリングギヤ。
  10. 請求項7から9までのいずれか1項記載のステアリングギヤおよび該ステアリングギヤのねじ状ピニオン軸(4)と回転駆動式に結合されたステアリングモータを備えた、ステアリングシステム。
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