JP2020501525A - グルタチオンレダクターゼ - Google Patents

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    • C12Y108/01007Glutathione-disulfide reductase (1.8.1.7), i.e. glutathione reductase (NADPH)

Abstract

本発明は、a)配列番号1の成熟ポリペプチド配列を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドまたは2)配列番号1の成熟ポリペプチド配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドからなる群から選択される、グルタチオンレダクターゼ活性を有するポリペプチドに関する。【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
[技術分野]
本発明は、グルタチオンレダクターゼ活性を有するポリペプチドおよびそのようなポリペプチドを含む組成物に関する。本発明はまた、グルタチオンレダクターゼをコードする核酸にも、核酸を含む発現ベクターにも、および核酸または発現ベクターを含む組換え宿主細胞にも関する。本発明は、ポリペプチドの調製のための方法およびシスチンの還元のためのポリペプチドの使用にさらに関する。本発明は、そのうえ、シスチンの酵素的還元のための方法に関する。
[背景技術]
グルタチオンレダクターゼ(GRとも略される)(EC1.8.1.7)は、グルタチオンジスルフィド(GSSG)のスルフヒドリル型グルタチオン(GSH)への還元を触媒し、これは、酸化ストレスに抵抗し、還元性環境を維持する際に有用な分子である。酸化ストレスへの抵抗および還元性環境の提供は、食品用途、たとえば食品の保存のために有益である。
GSHの還元性環境から恩恵を受けることができるであろう1つの用途は、シスチンまたはL−シスチンのシステインまたはL−システインへの還元である。システインは、食料品、医薬、およびパーソナルケアの産業において前駆物質となる。より大規模な食品用途のうちの1つは、香料の産生である。たとえば、メイラード反応におけるシステインの糖との反応により、肉の香料がもたらされる。システインはまた、パン焼き用の加工助剤としても使用され、酸化防止剤として天然果実ジュース製品に追加される。食品添加物として使用される場合、システインは、E番号E920を有する。
様々なグルタチオンレダクターゼが同様の変換を触媒するが、これは、それらが同様の用途に適していることを意味するものではない。様々な用途は、酵素が働かなければならない条件に対して異なる要求をするであろう。酵素的変換の速度に影響を及ぼすかもしれない物理的および化学的パラメーターは、温度(反応速度に対して正の効果を有するが、酵素の安定性に対して負の効果を有するかもしれない)、含水量、pH、塩濃度、食品マトリックスの構造の完全性、酵素の活性化因子または阻害剤の存在、基質および生成物の濃度などである。
そのため、改善された特性を有するいくつかの用途のための、たとえば、耐熱性が有利となるかもしれないより高温での用途において、改善されたグルタチオンレダクターゼの必要が存続している。
食品における用途については、GSHに微生物汚染がないことが重要である。微生物汚染を回避する1つの解決策は、少なくとも40℃などのような高温でGSHを産生することである。
[概要]
本発明は、グルタチオンレダクターゼ活性を有するポリペプチドの同定に基づく。ポリペプチドは、たとえばケトミウム・サーモフィラム(Chaetomium thermophilum)種由来などのようにケトミウム(Chaetomium)属の微生物に由来してもよい。
本発明のポリペプチドは、好ましくは、好熱性、たとえば、耐熱性(すなわち、その酵素活性に関して熱処理に耐えることができる)および/または熱活性(thermoactive)(すなわち、高温でその十分な酵素活性をただ単に生じさせる)である。本発明のポリペプチドは、その代わりにまたはそのうえ、広範なpH範囲にわたっておよび/または比較的高いもしくは低いpHで活性なポリペプチドであってもよい。
改善された好熱性特性を有するグルタチオンレダクターゼの提供は、その用途を広げる重要な手段となる。熱活性および耐熱性グルタチオンレダクターゼは、他のグルタチオンレダクターゼにまさって実質的な利点を有する。たとえば、GSSGの還元は、熱活性または耐熱性グルタチオンレダクターゼを使用して、比較的高い温度で行うことができ、これは、高い温度が役割を果たすプロセスとの適合性をもたらす。さらに、より高い温度でのGSSGの還元は、より速い反応速度で行うことができる。
広範なpH範囲で活性なグルタチオンレダクターゼもまた、広く異なるpH範囲で様々なプロセスにおいて本発明のポリペプチドを使用することが可能であるかもしれないので、有利である。pH値がプロセスにおいて著しい変動を受けやすいプロセスにおいてそのようなポリペプチドを使用することもまた、可能である。6〜10のpH値が生じるプロセスもまた、可能である。
グルタチオンレダクターゼ活性を有する本発明のポリペプチドは、特に食品成分の産生において、好ましくは、40℃を上回る温度でのシスチンのシステインへの還元において使用されてもよい。システインが食品成分の微生物汚染の危険性を低下させるので、これは有益である。
したがって、本発明は、
a)配列番号1の成熟ポリペプチド配列を含むアミノ酸配列を有するポリペプチド;
b)配列番号1の成熟ポリペプチド配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
c)配列番号2の成熟ポリペプチドコード配列の相補鎖に中程度のストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする配列を含む核酸によってコードされるポリペプチド;および
d)配列番号2の成熟ポリペプチドコード配列に対して少なくとも50%の配列同一性を有する核酸によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド
からなる群から選択されるグルタチオンレダクターゼ活性を有するポリペプチドを提供する。
本発明はまた、
−配列番号2の成熟ポリペプチドコード配列に対して少なくとも50%の配列同一性を有する配列を含む、請求項1または請求項2に記載のグルタチオンレダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸。
−宿主細胞におけるグルタチオンレダクターゼの発現を指示する1つ以上のコントロール配列に作動可能に連結された請求項3に記載の核酸を含む発現ベクター。
−本発明のポリペプチド、本発明の核酸、または本発明の発現ベクターを含む組換え宿主細胞。
−本発明のポリペプチドの調製のための方法であって、
ポリペプチドの産生を可能にする条件下で適した発酵培地において本発明による宿主細胞を培養するステップ;および任意選択で
ポリペプチドを回収するステップ
を含む方法。
−酸化チオールの還元のための本発明のポリペプチドの使用。
−シスチンのシステインへの酵素的還元のための方法であって、
本発明のポリペプチド、補助因子、および媒介物質を含む還元溶液とシスチンを接触させるステップ;ならびに任意選択で
システインを回収するステップ
を含む方法。
−システインおよび本発明のポリペプチドを含む組成物。
をも提供する。
図1は、実施例1において使用される発現ベクターを示す図である。 図2は、様々な温度でのケトミウム・サーモフィラム(Chaetomium thermophilum)由来の真菌グルタチオンレダクターゼポリペプチドおよび酵母グルタチオンレダクターゼの温度活性を示す図である。 図3は、様々なpHでのケトミウム・サーモフィラム(Chaetomium thermophilum)由来のグルタチオンレダクターゼポリペプチドおよび酵母グルタチオンレダクターゼの相対的活性を示す図である。 図4は、30分後の様々な温度でのケトミウム・サーモフィラム(Chaetomium thermophilum)由来の真菌グルタチオンレダクターゼポリペプチドおよび酵母グルタチオンレダクターゼの残存活性を示す図である。 図5は、ケトミウム・サーモフィラム(Chaetomium thermophilum)由来のグルタチオンレダクターゼポリペプチドおよび酵母グルタチオンレダクターゼを使用するシステインの形成を示す図である。
[配列表の説明]
配列番号1は、ケトミウム・サーモフィラム(Chaetomium thermophilum)由来のグルタチオンレダクターゼポリペプチドのアミノ酸配列を示す。
配列番号2は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)における発現のためにコドンペアを最適化したケトミウム・サーモフィラム(Chaetomium thermophilum)由来のグルタチオンレダクターゼポリペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を示す。
[発明を実施するための形態]
用語「相補鎖」は、用語「相補体(complement)」と区別なく使用することができる。核酸の相補鎖は、コード鎖の相補体または非コード鎖の相補体とすることができる。二本鎖核酸を指す場合、ポリペプチドをコードする核酸の相補体は、アミノ酸配列をコードする鎖の相補鎖またはそれを含有する任意の核酸分子を指す。典型的に、リバース相補鎖が、意図される。
用語「発現」は、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾、および分泌を含むが、これらに限定されない、ポリペプチドの産生に関与する任意のステップを含む。
「発現ベクター」は、ポリヌクレオチドのインビトロにおけるまたは宿主細胞における発現および/または翻訳のための適切なコントロール配列(プロモーターならびに転写および翻訳停止シグナルなど)に作動可能に連結された、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。
発現ベクターは、任意のベクター(たとえばプラスミドまたはウイルス)であってもよく、これは、好都合に、組換えDNA手順にかけることができ、ポリヌクレオチドの発現をもたらすことができる。ベクターの選択は、典型的に、ベクターが導入されることになっている細胞とベクターの適合性に依存するであろう。ベクターは、線状のまたは閉環状のプラスミドであってもよい。ベクターは、自己複製ベクター、すなわち、染色体外の独立体として存在し、その複製が染色体の複製に依存しないベクター、たとえばプラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体、または人工染色体であってもよい。その代わりに、ベクターは、宿主細胞の中に導入された場合に、ゲノムの中に統合され、それが統合された染色体と一緒に複製されるベクターであってもよい。組込み型クローニングベクターは、宿主細胞の染色体においてランダムにまたは所定の標的遺伝子座で統合してもよい。ベクター系は、単一のベクターもしくはプラスミドまたは2つ以上のベクターもしくはプラスミドであってもよく、これらは、宿主細胞のゲノムの中に導入されることになっているDNA全体またはトランスポゾンを一緒に含有する。
本明細書において定義される「宿主細胞」は、遺伝子操作に適した有機体であり、本発明によるポリペプチドなどのような標的生成物の工業生産に有用である細胞密度で培養されてもよい有機体である。宿主細胞は、自然界で見つけられる宿主細胞または遺伝子操作もしくは古典的な突然変異誘発の後に親宿主細胞から誘導される宿主細胞であってもよい。好都合には、宿主細胞は、組換え宿主細胞である。
用語「ハイブリダイゼーション」は、核酸化合物などのようなオリゴマー化合物の実質的に相補的な鎖の対形成を意味する。
ハイブリダイゼーションは、低、中程度の、または高ストリンジェンシー条件下で実行されてもよい。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、約45℃で6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でハイブリダイズさせること、その後に続く、少なくとも50℃での0.2×SSC、0.1% SDSにおける2回の洗浄を含む(洗浄の温度は、低ストリンジェンシー条件については55℃まで増加させることができる)。中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、約45℃で6×SSC中でハイブリダイズさせること、その後に続く、60℃での0.2×SSC、0.1% SDSにおける1回以上の洗浄を含み、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、約45℃で6×SSC中でハイブリダイズさせること、その後に続く、65℃での0.2×SSC、0.1% SDSにおける1回以上の洗浄を含む。
核酸またはポリヌクレオチド配列は、少なくとも5つのヌクレオチドまたは核酸の単位を含むヌクレオチドポリマーとして本明細書において定義される。ヌクレオチドまたは核酸は、RNAおよびDNAを指す。用語「核酸」および「ポリヌクレオチド配列」は、本明細書において区別なく使用される。
用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって連結され、かつ5つを超えるアミノ酸残基を含有するアミノ酸残基を含む分子を指す。本明細書において使用される用語「タンパク質」は、用語「ポリペプチド」と同義であり、また2つ以上のポリペプチドを指してもよい。したがって、用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、区別なく使用することができる。ポリペプチドは、機能性を追加するために任意選択で修飾されてもよい(たとえばグリコシル化、リン酸化、アシル化、ファルネシル化、プレニル化、スルホン化、およびその他同種のもの)。ある条件下で特異的な基質の存在下において活性を示すポリペプチドは、酵素と呼ばれてもよい。遺伝子コードの縮重の結果として、与えられたポリペプチドをコードする多くのヌクレオチド配列が産生されてもよいことが理解されるであろう。
「単離核酸断片」は、断片として天然に存在しておらず、かつ自然の状態では見つけられないであろう核酸断片である。
本明細書において使用される用語「単離ポリペプチド」は、少なくとも1つの構成成分、たとえば、単離ポリペプチドが天然に関連している他のポリペプチド材料から取り出されるポリペプチドを意味する。単離ポリペプチドは、あらゆる他の不純物がなくてもよい。単離ポリペプチドは、SDS−PAGEまたはこの目的に適しており、かつ当業者に知られている任意の他の分析方法によって決定されるように、少なくとも50%純粋、たとえば少なくとも60%純粋、少なくとも70%純粋、少なくとも75%純粋、少なくとも80%純粋、少なくとも85%純粋、少なくとも80%純粋、少なくとも90%純粋、または少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%純粋である。単離ポリペプチドは、組換え宿主細胞によって産生されてもよい。
好ましくは、本発明のポリペプチドまたは本発明のポリペプチドを含む組成物は、グルタチオンレダクターゼ酵素活性以外の酵素活性がない。より好ましくは、本発明のポリペプチドまたは本発明のポリペプチドを含む組成物は、ペプチダーゼ活性、プロテアーゼ活性、および/またはホスファターゼ活性がない。
「成熟ポリペプチド」は、その最終的な形態をしたポリペプチドとして本明細書において定義され、mRNAのポリペプチドへの翻訳および前記ポリペプチドの翻訳後修飾の後に得られる。翻訳後修飾は、N−末端プロセシング、C−末端切断、グリコシル化、リン酸化、ならびに切断によるシグナルペプチドなどのようなリーダー配列、プロペプチド、および/またはプレプロペプチドの切り出しを含む。
「成熟ポリペプチドコード配列」は、成熟ポリペプチドをコードする(そのアミノ酸配列に関する)ポリヌクレオチドを意味する。
用語「核酸構築物」は、本明細書において、天然に存在する遺伝子から単離されるまたはそうでなければ自然界には存在しないようなかたちで組み合わせられ、並列させられた、核酸のセグメントを含有するように修飾された一本鎖または二本鎖の核酸分子と呼ばれる。核酸構築物という用語は、核酸構築物が、コード配列の発現に必要とされるコントロール配列をすべて含有する場合、用語「発現カセット」と同義であり、前記コントロール配列は、前記コード配列に作動可能に連結される。
用語「プロモーター」は、転写を開始するためにRNAポリメラーゼが結合し、ポリメラーゼを核酸配列の正確な下流転写開始部位に導くDNA配列として本明細書において定義される。プロモーターはまた、調節因子の結合部位を含んでいてもよい。
用語「組換え」は、細胞、核酸、タンパク質、またはベクターに関して使用される場合、細胞、核酸、タンパク質、またはベクターが異種核酸もしくはタンパク質の導入または本来の核酸もしくはタンパク質の改変によって修飾されたことまたは細胞がそのように修飾された細胞に由来することを示す。したがって、たとえば、組換え細胞は、細胞の本来の(非組換え)形態内では見つけられない遺伝子を発現するまたはそうでなければ異常に発現される、不十分に発現される、もしくは全く発現されない本来の遺伝子を発現する。用語「組換えの」は、「遺伝子修飾された」および「トランスジェニックの」と同義である。
用語「配列同一性」または「配列相同性」は、本明細書において区別なく使用される。本発明の目的のために、2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の配列相同性または配列同一性のパーセンテージを決定するために、配列は、最適な比較の目的のためにアライメントされることについてここで説明する。2つの配列の間のアライメントを最適化するために、ギャップが、比較される2つの配列のいずれかに導入されてもよい。そのようなアライメントは、比較されている配列の全長に対して実行することができる。その代わりに、アライメントは、より長さの短いもの、たとえば約20、約50、約100、またはそれ以上のヌクレオチド/塩基またはアミノ酸に対して実行されてもよい。配列同一性は、報告されたアライメント領域にわたる2つの配列の間の完全な一致のパーセンテージである。
配列の比較および2つの配列の間の配列同一性のパーセンテージの決定は、数学的なアルゴリズムを使用して達成することができる。当業者は、いくつかの様々なコンピュータープログラムが、2つの配列をアライメントし、かつ2つの配列の間の同一性を決定するのに利用可能であるという事実に気づくであろう(Kruskal,J.B.(1983)An overview of sequence comparison In D.Sankoff and J.B.Kruskal,(ed.),Time warps,string edits and macromolecules:the theory and practice of sequence comparison,pp.1−44 Addison Wesley)。2つのアミノ酸配列の間のまたは2つのヌクレオチド配列の間の配列同一性パーセントは、2つの配列のアライメントのためにNeedlemanおよびWunschのアルゴリズムを使用して決定されてもよい。(Needleman,S.B.and Wunsch,C.D.(1970)J.Mol.Biol.48,443−453)。アミノ酸配列およびヌクレオチド配列はともに、アルゴリズムによってアライメントすることができる。Needleman−Wunschアルゴリズムは、コンピュータープログラムNEEDLEに実装されている。本発明の目的のために、EMBOSSパッケージのNEEDLEプログラムを使用した(バージョン2.8.0またはそれ以上、EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite(2000)Rice,P.Longden,I.and Bleasby,A.Trends in Genetics 16,(6)pp276−277,http://emboss.bioinformatics.nl/)。タンパク質配列については、EBLOSUM62を置換マトリックスに使用する。ヌクレオチド配列については、EDNAFULLを使用する。使用する任意選択のパラメーターは、10のギャップオープンペナルティーおよび0.5のギャップエクステンションペナルティーとする。これらの異なるパラメーターはすべて、わずかに異なる結果をもたらすであろうが、異なるアルゴリズムを使用したとしても、2つの配列の全体的な同一性パーセンテージは有意には変化しないことを当業者は十分に理解するであろう。
上記に記載されるプログラムNEEDLEによるアライメントの後に、クエリー配列および本発明の配列の間の配列同一性のパーセンテージは、以下のように計算される:両方の配列における同一のアミノ酸または同一のヌクレオチドを示すアライメントにおける対応する位置の数をアライメントにおけるギャップの総数の引き算の後にアライメントの全体の長さで割る。本明細書において定義される同一性は、NOBRIEFオプションを使用することによってNEEDLEから得ることができ、「最長の同一性(longest−identity)」としてプログラムの出力において標識される。
本発明の核酸およびタンパク質配列は、公的なデータベースに対して検索を実行するために、たとえば、他のファミリーメンバーまたは関係する配列を同定するために、「クエリー配列」としてさらに使用することができる。そのような検索は、Altschul,et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403−10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実行することができる。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の核酸分子に対して相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12により実行することができる。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質分子に対して相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3により実行することができる。比較目的のために、ギャップアラインメント(gapped alignment)を得るために、Gapped BLASTは、Altschul et al.,(1997)Nucleic Acids Res.25(17):3389−3402において記載されるように利用することができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(たとえばXBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを使用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/のNational Center for Biotechnology Informationのホームページを参照。
合成核酸または合成ポリペプチドなどのような「合成分子」は、インビトロにおける化学的または酵素的合成によって産生される。それは、最適な宿主有機体に最適なコドン使用頻度で作製される様々な核酸を含むが、これらに限定されない。
合成核酸は、好ましくは、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2006/077258号パンフレットおよび/または国際公開第2008000632号パンフレットに記載される方法に従ってコドンの使用について最適化されてもよい。国際公開第2008/000632号パンフレットは、コドンペア最適化について扱う。コドンペア最適化は、それらのコドン使用頻度、特に使用されるコドンペアに関して修飾されたポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現の改善および/またはコードポリペプチドの産生の改善を得るために最適化される方法である。コドンペアは、コード配列における2つの続くトリプレット(コドン)のセットとして定義される。当業者らは、コドン使用頻を、宿主種に依存して適応させる必要があり、配列番号2からかなり相同性が乖離した変異体を場合によりもたらすかもしれないが、なお本発明によるポリペプチドをコードすることを知っているであろう。
本発明は、
a)配列番号1の成熟ポリペプチド配列を含むアミノ酸配列を有するまたは配列番号1のポリペプチド配列を含むアミノ酸配列を有するポリペプチド;
b)配列番号1の成熟ポリペプチド配列と少なくとも50%の配列同一性を有するまたは配列番号1のポリペプチド配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
c)配列番号2の成熟ポリペプチドコード配列のまたは配列番号2のポリペプチドコード配列の相補鎖に中程度のストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする配列を含む核酸によってコードされるポリペプチド;および
d)配列番号2の成熟ポリペプチドコード配列に対してまたは配列番号2のポリペプチドコード配列に対して少なくとも50%の配列同一性を有する核酸によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド
からなる群から選択されるグルタチオンレダクターゼ活性(EC1.8.1.7)を有するポリペプチドに関する。
本発明のポリペプチドの長所は、それが熱安定性で、かつより高い温度でその活性を保持することである。これは、たとえば、ポリペプチドの活性を不活性化することなく混入を低下させるために熱処理を含む食料品プロセスにおいて本発明のポリペプチドの使用を可能にする。
本発明はまた、
i.配列番号1の(成熟)ポリペプチド配列と、少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
ii.配列番号2の成熟ポリペプチドコード配列(または対応する野生型配列または酵母、たとえばサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などのような異種有機体における発現のためにコドン最適化されたもしくはコドンペア最適化された配列)の相補鎖に高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする配列を含む核酸によってコードされるポリペプチド;または
ii.配列番号2の(成熟)ポリペプチドコード配列(または対応する野生型配列または酵母、たとえばサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などのような異種有機体における発現のためにコドン最適化されたもしくはコドンペア最適化された配列)に対して少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する核酸によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド
である本発明のポリペプチドをも提供する。
本発明はまた、そのようなポリペプチドの単離された、実質的に純粋な、純粋な、組換え、合成、または変異ポリペプチドであるポリペプチドに関する。
本発明のポリペプチドは、ケトミウム・サーモフィラム(Chaetomium thermophilum)になどのように、ケトミウム(Chaetomium)属の有機体に由来し得るものであってもよい。本発明のポリペプチドの起源に関しての、〜に「由来する」または「由来し得る」という用語は、本発明によるポリペプチドでBLAST検索を実行した場合に、本発明によるポリペプチドが、微生物の細胞などのような天然の供給源に由来し得るものであってもよく、その内因性ポリペプチドが、本明細書において開示されるポリペプチドと最も高い相同性または同一性パーセンテージを示すことを意味する。
好ましくは、本発明のポリペプチドは、配列番号1の(成熟)ポリペプチド配列に対して、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85、86%、87%、88%、89% 90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%もしくは100%の配列同一性を有するポリペプチドであってもよい。
本発明によるポリペプチドは、任意の適したポリヌクレオチド配列によってコードされてもよい。典型的に、ポリヌクレオチド配列は、特定の宿主細胞における本明細書において開示されるポリペプチドの発現のためのコドン最適化またはコドンペア最適化配列である。本発明のポリペプチドは、たとえば分泌のために適切なコントロール配列および/またはシグナル配列を含むポリヌクレオチド配列によってコードされてもよい。
本発明のポリペプチドは、配列番号2の成熟ポリペプチドコード配列(または対応する野生型配列fまたは桿菌属(Bacillus)、たとえばバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)などのような異種有機体における発現のためにコドン最適化されたもしくはコドンペア最適化された配列)の相補鎖に中程度のストリンジェンシー下で、好ましくは高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされてもよい。
本発明のポリペプチドはまた、配列番号2の(成熟)ポリペプチドコード配列(または対応する野生型配列または酵母、たとえばサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などのような異種有機体における発現のためにコドン最適化されたもしくはコドンペア最適化された配列)に対して、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89% 90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%もしくは100%の同一性を有する核酸によってコードされてもよい。
本発明のポリペプチドはまた、成熟ポリペプチド配列番号1の1つ以上の位置に置換、欠失、および/または挿入を含む、配列番号1の成熟ポリペプチドの変異体であってもよい。配列番号1の成熟ポリペプチドの変異体は、配列番号1の成熟ポリペプチドのアミノ酸と1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12または12を超えるアミノ酸において異なるアミノ酸配列であってもよい。
一実施形態では、本発明は、本明細書において開示されるポリペプチドの生物学的に活性な断片を特徴とする。
本発明のポリペプチドは、天然に存在するポリペプチドまたは遺伝子修飾もしくは組換えポリペプチドであってもよい。
本発明のポリペプチドは、精製されてもよい。タンパク質の精製は、当業者に知られている。
本発明のポリペプチドは、好ましくは、耐熱性および/または熱活性であってもよい。そのうえまたはその代わりに、本発明のポリペプチドは、広範囲のpH範囲にわたって活性であってもよいおよび/または比較的高いもしくは低いpHで活性であってもよい。
本発明のポリペプチドは、耐熱性であってもよい。本明細書における「耐熱性の」は、本発明のポリペプチドが、50℃での30分間のインキュベーション期間の後に少なくとも60%の残存グルタチオンレダクターゼ活性を有してもよいことを意味する。本発明のポリペプチドは、55℃、60℃、65℃、または70℃での30分間のインキュベーション期間の後に少なくとも50%の残存グルタチオンレダクターゼ活性を有してもよい。
本明細書における「残存活性」は、他の点では同一の反応条件(pH、基質など)下での酵素の温度最適条件の範囲でのはじめの比/容量活性と比較した、特定の温度での特定のインキュベーション期間の後に酵素が有する任意の比/容量酵素活性を意味する。酵素の比/容量活性は、酵素量(たとえばmgまたはmlでの)当たりの単位時間(たとえば分での)当たりの、変換された基質の特定の量(たとえばμmolでの)を意味する。酵素の残存活性は、パーセンテージ(%)として表現される、はじめの比/容量活性で割った、前述のインキュベーション期間の後の酵素の比/容量活性からもたらされる。この場合、酵素の比活性は、U/mgで示されてもよく、酵素の容量活性は、U/mlで示されてもよい。その代わりに、酵素の比/容量活性はまた、説明の意味でカタール/mgまたはカタール/mlで示すこともできる。
用語「酵素活性」はまた、場合によっては、「触媒活性」または「触媒効率」とも呼ばれ、当業者にたいてい知られており、酵素の変換速度を指し、通常、比kkat/Kによって表現され、kkatは、触媒定数(回転回数とも呼ばれる)であり、K値は、反応速度がその最大値の半分に位置する基質濃度に相当する。その代わりに、酵素の酵素活性はまた、比活性によって特定することもできる(変換された基質のμmol×mg−1×分−1;上記参照)または容量活性(変換された基質のμmol×ml−1×分−1;上記参照)。
酵素活性に関して、Structure and Mechanism in Protein Science:A guide to enzyme catalysis and protein folding,Alan Fersht,W.H.Freeman,1999;Fundamentals of Enzyme Kinetics,Athel Cornish−Bowden,Wiley−Blackwell 2012 and Voet et al.,“Biochemie”[Biochemistry],1992,VCH−Verlag,Chapter 13,pages 331−332などのような一般的な文献を参照することもできる。
したがって、本発明の耐熱性ポリペプチドは、50℃の温度で30分後に少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%の残存活性を有してもよい。好ましくは、本発明のポリペプチドは、50℃の温度で30分後に75%〜90%などのように75%〜100%の範囲の残存活性を有する。
グルタチオンレダクターゼ活性を有する本発明のポリペプチドは、好ましくは熱活性である。本明細書における「熱活性の」は、そのようなポリペプチドの温度最適条件が、少なくとも約50℃、少なくとも約55℃、少なくとも約60℃であることを意味する。
熱活性(thermoactivity)は、実施例2において説明されるように決定されてもよい。
用語「温度最適条件」は、当業者にたいてい知られており、酵素がその最大の酵素活性を示す温度範囲に関する。このことに関連して、Enzyme Assays:A Practical Approach.Robert Eisenthal,ichael J.Danson.Oxford University Press 2002:Voet et al.,“Biochemie”,1992,VCH−Verlag,Chapter 13,page 331;I.H.Segel,Enzyme Kinetics:Behavior and Analysis of Rapid Equilibrium and Steady−State Enzyme Systems,Wiley Interscience,1993;およびA.G.Marangoni,Enzyme Kinetics:A Modern Approach,Wiley Interscience,2002などのような関連する文献を参照することができる。
本明細書において、温度最適条件は、好ましくは、本発明のポリペプチドが、他の点では一定の反応条件下で最大の酵素活性の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%を有する温度範囲であることが理解される。
本発明によるポリペプチドの温度最適条件は、好ましくは、55°〜65℃の範囲などのように50°〜70℃の範囲にある。
したがって、本発明のポリペプチドは、好ましくは、耐熱性(すなわち、その酵素活性に関して熱処理に耐えることができる)および/または熱活性(すなわち、高温でその十分な酵素活性をただ単に生じさせる)である。
本発明のポリペプチドは、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、または少なくとも9のpHなどのように比較的高いpHで活性であってもよい。
用語「pH最適条件」は、当業者にたいてい知られており、酵素がその最大の酵素活性を有するpH範囲に関する。このことに関連して、Enzyme Assays:A Practical Approach,Robert Eisenthal,Michael J.Danson,Oxford University Press 2002 and Voet et al.,“Biochemie”,1992,VCH−Verlag,Chapter 13,page 331などのような関連する文献を参照することができる。本明細書において、pH最適条件という用語は、本発明に従って使用されるグルタチオンレダクターゼが、他の点では一定の反応条件下で最大の酵素活性の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%を有するpH範囲を意味することが典型的に理解される。
本発明のポリペプチドは、非常に広範囲のpH範囲にわたって活性であってもよい。pH6〜pH10の範囲では、本発明のポリペプチドは、好ましくは、最大の活性の少なくとも10%の活性を有してもよい。この結果として、広く異なるpH範囲で異なるプロセスにおいて本発明のポリペプチドを使用することが可能であってもよい。pH値がプロセスにおいて著しい変動を受けやすいプロセスにおいて本発明のポリペプチドを使用することも可能である。6〜10のpH値が生じるプロセスもまた、可能である。
pH6.0〜pH10の全pH範囲にわたって、本発明のポリペプチドは、最大の活性、すなわち、他の点では同一の条件下での、好ましくは最適温度および濃度での最適pH値での最大の活性と比較して、少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、さらに好ましくは少なくとも20%、最も好ましくは少なくとも25%、特に少なくとも30%の活性を有する。
本発明は、配列番号2の成熟ポリペプチドコード配列に対して少なくとも50%の配列同一性を有する配列を含む、グルタチオンレダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸をさらに提供する。
本発明の核酸は、配列番号2に対してまたはそのいずれかの成熟ポリペプチドコード配列に対して、少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89% 90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含んでいてもよい。
本発明のポリヌクレオチド配列は、配列番号2を含んでいてもよいまたはそのいずれかの成熟ポリペプチドコード配列を含んでいてもよい。
本発明の核酸は、配列番号2の核酸の単離された、実質的に純粋な、純粋な、組換え、合成、または変異核酸であってもよい。変異核酸配列は、たとえば、配列番号2に対して少なくとも80%の配列同一性を有してもよい。
本発明はまた、本発明の核酸を含む核酸構築物をも提供する。本発明の核酸または宿主細胞におけるポリペプチドの発現を指示する1つ以上のコントロール配列に作動可能に連結された本発明の核酸を含む発現ベクター。
当業者に知られている、核酸構築物または発現ベクターの中に核酸を挿入するいくつかの方法があり、たとえばSambrook&Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.,CSHL Press,Cold Spring Harbor,NY,2001を参照されたい。プロモーター配列およびターミネーター配列などのようなコントロール配列により本発明のポリペプチドをコードする核酸を操作することが望ましくてもよい。
プロモーターは、突然変異、切断型、およびハイブリッドプロモーターを含む、転写活性を示す、真核生物または原核生物の宿主細胞に適した任意の適切なプロモーター配列であってもよく、細胞にとって内因性の(本来の)または異種の(外来性の)細胞外または細胞内ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドから得られてもよい。プロモーターは、恒常的または誘発性プロモーターであってもよい。誘発性プロモーターは、たとえば、デンプン誘発性プロモーターであってもよい。
本発明はまた、本明細書において開示される核酸または発現ベクターを含む宿主細胞または組換え宿主細胞をも提供する。適した宿主細胞は、哺乳動物、昆虫、植物、真菌、もしくは藻細胞または細菌細胞であってもよい。
好ましくは、宿主細胞または組換え宿主細胞は、真核生物、より好ましくは酵母である。より好ましくは、本発明の宿主細胞は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)または組換えサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。
より好ましくは、本発明の宿主細胞は、耐熱性宿主細胞または中温性宿主細胞または35℃未満で活性ピークを有する宿主細胞である。耐熱性宿主細胞の利点は、望まれない酵素副活性(side activity)を、たとえば40〜75℃の熱処理によって容易に低下させることができるということである。
好ましくは、本発明の組換え宿主細胞は、好ましくはサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)であるが、デヒドロゲナーゼ酵素、好ましくは耐熱性および/または熱活性デヒドロゲナーゼ酵素をコードする核酸をさらに含む。好ましくは、桿菌属(Bacillus)に由来する、好ましくは、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)またはバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)に由来するグルコースデヒドロゲナーゼ酵素をコードする核酸。バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)に由来する酵素の例は、米国特許第5126256号明細書および米国特許第5114853号明細書から知られている。より好ましくは、遺伝子構築物は、グルコースデヒドロゲナーゼ酵素などのようなデヒドロゲナーゼ酵素の過剰発現を可能にする。本明細書において開示される核酸または発現ベクターとデヒドロゲナーゼ酵素をコードする核酸を組み合わせるという利点は、組換え宿主細胞が、両方の酵素を提供することである。(グルコース)デヒドロゲナーゼ酵素は、補助因子の再生成に好都合に使用することができる。
本発明者らは、宿主としてサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を使用することによって、ペプチダーゼ、プロテアーゼ、およびホスファターゼなどのような望まれない副活性が低下することを見出した。
本発明はまた、本発明のポリペプチドの産生のための方法であって、ポリペプチドの産生を促す条件下で適した発酵培地において宿主細胞を培養するステップおよびポリペプチドを産生するステップを含む方法に関する。当業者は、発酵培地のpH、温度、および組成などのように、使用される宿主細胞に依存して、本明細書において開示されるポリペプチドの産生のためのプロセスを実行する方法を理解している。宿主細胞は、振盪フラスコにおいてまたは0.5もしくは1リットル以上〜10〜100立方メートル以上の体積を有する発酵槽において培養することができる。培養は、宿主細胞の必要条件に依存して好気的にまたは嫌気的に実行されてもよい。
好都合には、本明細書において開示されるポリペプチドは、発酵培地から回収されるまたは単離される。
その代わりに、本明細書において開示されるポリペプチドは、単離された発酵培地から回収されない。発酵培地または本発明の組換え宿主細胞またはサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)は、発酵培地から回収されることなく、酸化チオールの還元のための酵素的還元にすぐに使用することができる。
そのため、本発明は、酸化チオールの還元のための本発明のポリペプチドの使用に関する。好ましくは、本発明は、酸化グルタチオンの還元のためのまたは還元グルタチオンの産生のための本発明のポリペプチドの使用に関する。より好ましくは、本発明は、媒介物質、好ましくはグルタチオンによる酸化チオールの還元のための本発明のポリペプチドの使用に関する。より好ましくは、本発明は、シスチンの還元のための本発明のポリペプチドの使用に関する。より好ましくは、本発明は、25℃〜75℃の範囲内の温度での、好ましくは、30℃〜65℃または35℃〜60℃の範囲内の、より好ましくは40℃〜75℃の範囲内の、最も好ましくは45℃〜75℃またはさらに50℃もしくは60℃〜75℃の範囲内の温度での、酸化チオールの還元のための本発明のポリペプチドの使用に関する。
本発明はまた、シスチンのシステインへの酵素的還元のための方法であって、
本発明のポリペプチド、補助因子、および媒介物質を含む還元溶液とシスチンを接触させるステップ;ならびに任意選択で
システインを回収するステップ
を含む方法にも関する。
本発明者らは、本発明のポリペプチドをシスチンの酵素的還元に効率的に使用することができるかもしれないことを見出した。本発明のポリペプチドは、特に、高温でシスチンの酵素的還元を可能にし、これは、システインによる微生物汚染の危険性の低下において有益である。これは、システインの食料品への用途において有利である。
そのため、好ましい実施形態では、還元溶液とシスチンを接触させる本発明のステップは、25℃〜75℃の範囲内の温度で、好ましくは、30℃〜65℃または35℃〜60℃の範囲内の、より好ましくは40℃〜75℃の範囲内の、最も好ましくは45℃〜75℃またはさらに50℃もしくは60℃〜75℃の範囲内の温度で実行される。
補助因子は、本発明との関係で使用されるように、本発明のポリペプチドを支援するヘルパー分子を意味することが意図される。好ましくは、補助因子は、補酵素である。好ましくは、補助因子は、好ましくは酸化型(NADP+)のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)または好ましくは酸化型(NAD+)のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)である。
本発明との関係で使用される媒介物質は、電子移動プロセスを促進する化合物、すなわち、シスチンへの電子の移動を触媒して還元システインをもたらす化合物を意味することが意図される。好ましくは、本発明の媒介物質は、グルタチオンである。グルタチオンは、酸化型(GSSGとも略される)であっても、還元形(GSHとも略される)であってもよい。
好ましい実施形態では、本発明の還元溶液は、少なくとも6のpHを有する。より好ましくは、本発明の還元溶液は、少なくとも6.5、少なくとも7、少なくとも7.5、少なくとも8.5、または少なくとも9.0のpHを有する。より好ましくは、還元溶液のpHは、高くとも7、高くとも8、高くとも9、高くとも10、高くとも11、または高くとも12である。
好ましい実施形態では、本発明の還元溶液は、補助因子再生成系をさらに含む。還元の過程の間に補助因子を追加するための特別なステップが必要とされないので、補助因子再生成系の使用は、シスチンの酵素的還元のプロセスの改善を提供する。さらに、シスチンのシステインへの還元をもたらすために必要とされる補助因子の量がより少なくなるので、補助因子を再生成することはコスト効率がよい。好ましくは、補助因子再生成系は、酵素および対応する基質を含む。好ましくは、補助因子再生成系は、グルコースデヒドロゲナーゼおよびグルコースならびに/またはギ酸デヒドロゲナーゼおよびホルマートを含む。好ましくは、グルコースデヒドロゲナーゼおよびグルコースならびに/またはギ酸デヒドロゲナーゼは、耐熱性ならびに/または熱活性酵素である。より好ましくは、グルコースデヒドロゲナーゼは、桿菌属(Bacillus)に由来する、より好ましくは、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)またはバチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)に由来する。耐熱性デヒドロゲナーゼ酵素は、たとえば米国特許第5126256号明細書および米国特許第5114853号明細書から知られており、B・メガテリウム(B megaterium)に由来するデヒドロゲナーゼを示す。ギ酸デヒドロゲナーゼは、NADHの再生成に特に適していることがわかっており、グルコースデヒドロゲナーゼは、NADPHおよびNADHの両方の再生成に適している。本発明の補助因子再生成系における代わりとなる酵素は、アルコールデヒドロゲナーゼ、NADP依存性ギ酸デヒドロゲナーゼ、グルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼ、H駆動型のNAD(P)+還元ヒドロゲナーゼ、またはホスフィットデヒドロゲナーゼ(phosphite dehydrogenase)である。アルコールデヒドロゲナーゼおよびアルコール、より好ましくは、イソプロパノールとアルコールデヒドロゲナーゼまたはエタノールとアルコールデヒドロゲナーゼを含む補助因子再生成系が、特に好ましい。基質としてのアルコールと共にアルコールデヒドロゲナーゼを使用する利点は、イソプロパノールを使用した後のアセトンおよびエタノールを使用した後のアセトアルデヒドなどのような、アルコールデヒドロゲナーゼによって形成される生成物が、揮発性であり、そのため、それらを、本発明の還元溶液および/またはシステインを含む溶液から容易に取り出すことができるかもしれないことである。
好ましい実施形態では、本発明の方法は、工業規模で実行される。本発明の説明の全体にわたって、工業規模の方法または工業プロセスは、≧10L、好ましくは≧100L、より好ましくは≧1m、≧5m、さらにより好ましくは≧10m、最も好ましくは≧25m、好ましくは250m未満の体積規模を有する還元溶液を使用する方法を包含することが理解されてもよい。
別の好ましい実施形態では、本発明の還元は、含有される、システインのシスチンへの再酸化を触媒することができる化合物が少ない、すなわち5%未満(wt)もしくは1%未満(wt)であるまたは含有されない。電子を「奪う」傾向を有する、そのような化合物の例は、第二鉄、硝酸、第二銅イオンである。利点は、本発明の還元溶液におけるシステインの量の増加である。
さらに別の好ましい実施形態では、本発明の還元溶液は、水溶液である。好ましくは、還元溶液または水溶液は、バッファーを含む。好ましくは、バッファーは、リン酸ナトリウムバッファーである。その代わりに、バッファーは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンバッファー(もしくはトリスHClバッファー)または2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸バッファー(MESバッファーと略される)である。
本発明の酵素的還元によって産生されるシステインは微生物汚染がなく、したがって、食料品への用途において安全な使用を可能にするという利点からして、本発明は、システインおよび本発明のポリペプチドを含む組成物に関する。より詳細には、本発明の組成物は、食料品組成物である。食料品組成物は、安全であると見なされるおよび/または食品の製造で使用するに適した組成物である。より好ましくは、本発明の組成物は、グルコン酸、ギ酸、グルコース、ホルマート、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、グルタチオン(GSHまたはGSSG)、アセトン、およびアセトアルデヒドから選択される1つ以上のものをさらに含む。
さらに、本発明から結果として生じるシステインは、好都合には、食品において、食品マトリックスにおいて、またはプロセスフレーバーの産生のために使用することができる。
本発明は、下記の非限定的な実施例においてさらに例証される。
[実施例]
[実施例1:S.セレビシエ(S.cerevisiae)におけるケトミウム・サーモフィラム(Chaetomium thermophilum)由来のグルタチオンレダクターゼの発現]
高い温度で機能するグルタチオンレダクターゼ(GR)活性を有するポリペプチドをケトミウム・サーモフィラム(Chaetomium thermophilum)変種サーモフィラム、株DSM1495に起源を持つケトミウム・サーモフィラム(Chaetomium thermophilum)から得た。
配列番号1のアミノ酸配列を、国際公開第2008/000632号パンフレットにおいて記載されるように、S.セレビシエ(S.cerevisiae)特異的コドンペア最適化のために鋳型として使用した。クローニングの目的のために、BsaI認識部位を含有するDNA配列を、真菌GRをコードする遺伝子の5’−および3’−端に導入した。ゴールデンゲートクローニングを使用することによって、真菌GR遺伝子を、S.セレビシエ(S.cerevisiae)TDH3プロモーターおよびTAL1ターミネーターの中間に置き、続いて、増殖のために大腸菌(E.coli)に形質転換した。形質転換体は、ネオマイシンに対する抵抗性を与えるカナマイシン抵抗性遺伝子を使用して選択した。THD3プロモーター−真菌GR配列番号2−TAL1ターミネーター(POT)発現カセットを含有するプラスミドを単離し、POTの増幅ならびに図1に示される直線化S.セレビシエ(S.cerevisiae)2ミクロン発現ベクターpRS30gの5’−および3’−端に相同である50塩基対DNA配列の同時の追加のためにPCR反応において鋳型として使用した。真菌GR POT発現カセットおよび直線化pRS30gを、内因性グルタチオンレダクターゼ活性を欠く(ΔGLR1)公的に入手可能なS.セレビシエ(S.cerevisiae)CEN.PK113−7DにPEG酢酸リチウム(LIAC)法を介して同時形質転換した。ベクター骨格および真菌GR POTは、機能的な発現ベクターの中に相同組換えを介してインビボにおいて組み換えられる。形質転換体の選択は、G418抵抗性を与えるpRS30gに存在するKanMxマーカーを使用して行った。適正な形質転換体を、酵母抽出物、フィトン(phytone)、Dグルコース培地(YEPh−D培地)+G418(200μg/ml)において培養した。この前培養物は、Verduyn培地(Verduyn C,Postma E,Scheffers WA,van Dijken JP.1992a.Effect of Benzoic Acid on Metabolic Fluxes in Yeasts:A Continuous−Culture Study on the Regulation of Respiration and Alcoholic Fermentation.Yeast 8:501−517.)+G418における発酵(2L振盪フラスコ中400ml、200RPM、30℃)のために0.1の開始OD600まで接種するために使用した。24時間のインキュベーションの後、細胞を遠心分離し、milli−Q water(mQ)で洗浄し、湿ったペレット重量に基づいて10%w/wまで200mM Tris−HCLバッファー(pH7.5)において懸濁した。懸濁液を、1mlずつ、500mgガラスビーズ(0.45〜0.50mm)を含有する2mlのチューブに移した。細胞は、Precellys 24ホモジナイザーで40秒間、5000RPMで3回、チューブを十分に振盪させることによって機械的に溶解し、合間に氷上で2分間冷却した。不溶性の細胞片は、12.000RPMでの15分間の4℃での遠心分離、上清のプール、および3000RPMでの60分間の遠心分離によって取り出した。この無細胞抽出物を、グルタチオンレダクターゼの供給源として使用した。
[実施例2:耐熱性グルタチオンレダクターゼの生化学的な特徴付け]
[2.1 耐熱性真菌グルタチオンレダクターゼ&酵母グルタチオンレダクターゼの温度依存性の活性]
様々な温度での実施例1による酵素およびサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(Sigma−Aldrich、G3664)酵素由来の市販で入手可能な酵母グルタチオンレダクターゼの活性を、15分間、アッセイバッファー0.1M Tris pH8.0中の10mM GSSGおよび0.5mM NADPHとの酵素のインキュベーションならびに直後に340nmで吸光度を測定することによって定量化した。反応液を、所望の温度(20〜80℃の間でおよそ10℃ごと)に設定したウォーターバス中のガラス試験管において、その温度で15分間、NADPHの許容され得る変換をもたらすことが予想された希釈度でインキュベートした。15分後、反応液を、溶けかかった氷上で急速に冷却することによってクエンチし、読み取りを2分以内に実行した。1本のチューブをブランク(酵素の代わりにバッファーを追加)として追加し、さらなるブランクはウォーターバス中でインキュベートしなかったが、反応の間、氷上で保存した(氷ブランク)。氷ブランクは、開始時に1回およびその日の終わりに1回の2回測定した。測定した吸光度を、対応するブランク(同じ温度でインキュベートした)および様々な希釈係数に対して補正し、活性を、酵素について観察された最も高い活性を基準として示した。反応の開始時の反応混合物の組成は、以下のとおりであった:250マイクロリットル アッセイバッファーpH8.0+250マイクロL 40mM GSSG+250マイクロL 2mM NADPH+反応を開始するための250マイクロリットル酵素希釈液。
GRの相対的活性を図2に示す。真菌耐熱性グルタチオンレダクターゼは、60℃で最大の触媒活性を示す。
[2.2 真菌耐熱性グルタチオンレダクターゼのpH依存性の活性]
両方のGR酵素についてのpH曲線を、室温で0.1Mリン酸バッファーにおいてpH6〜10の間のすべてのpH単位で活性をアッセイすることによって得た。GR酵素なしのブランクをすべてのpHに含めた。pH6〜9のバッファーは、所望のpHを得るために様々な比で0.1M Na2HPO4溶液および0.1M NaH2PO4溶液を混合することによって作製した。バッファーがpH10に達するためには水酸化ナトリウムの追加を必要とした。50mMのNADPHストックを、milliQ水中で調製し、水酸化ナトリウムを追加して、NADPHが可溶性で安定するpH8にした。GSSG溶液は、それぞれのpHについて別々に調製した(20mM=15mL Greinerチューブ中61.3mg/5mLバッファー)。酵素は、最初に、水中で20×に希釈し、次いで、様々なpH設定値のバッファー中で100×に希釈した。NADPHストック溶液は、酵素の追加の前のNADPHのバックグラウンド変換を最小限にするために、アッセイを開始する前に所望のバッファー中で25×に少し希釈した。アッセイは以下のとおりに実行し:100マイクロL GSSG溶液pH X+50マイクロリットルNADPH溶液pH X+50マイクロリットル希釈酵素pH X、次に、所望のpHでの反応速度の読み取り340nmを実行した。反応の傾き(Δ340nm/分)を、同じpHのブランクの反応(酵素の代わりにバッファーを追加した)の傾きに対して補正し、活性を、その酵素について測定された最も高い活性を基準として示した。第1の測定シリーズは、真菌GR(非熱ショック)についてのものとし、第2のシリーズは、酵母GRについてのものとした。
相対的活性を図3に示す。真菌GRは、8〜10の間のpHで最大の触媒活性を示す。
[2.3 真菌グルタチオンレダクターゼの熱安定性(30分間)]
実施例1において産生された真菌GRを、可能性のあるプロテアーゼ活性を不活性化するために熱ショックにかけた。サンプル溶液におけるグリセロールのあらゆる安定作用を妨げるために、サンプルをバッファー中で100倍に希釈し、サンプルを、ウォーターバス中で60分間65℃にさらした。サンプルを、15mLプラスチックGreinerチューブ中で、あらかじめ平衡化したバッファー(0.1M Tris pH8.0)に対して希釈した。次いで、チューブを閉じ、ウォーターバス中にすぐに戻した。60分後、チューブを効率的に冷却するために、溶けかかった氷上に置いた。サンプルを冷蔵保存した。熱ショックにかけた真菌GR(既に100×に希釈)および市販の酵母GR(Sigma−Aldrich G3664)をアッセイバッファー(0.1M Tris pH8.0)においてそれぞれ20×および2500×に希釈した。溶液を2枚のPCRプレートのウェルに移し(ウェル当たり100マイクロL、酵素サンプル当たり8ウェルを3カラム)、残った希釈液は、溶けかかった氷上に保った。PCR機器は、カラムの方向にプレートにわたって温度勾配を適用するようにプログラムした。一方のPCRプレートは、64〜40℃の範囲にわたる温度で(A→H=64/62.5/59.4/54.6/49.2/44.6/41.5/40℃)、他方は、56〜80℃の範囲にわたる温度で(A→H=80/78.5/75.4/70.6/65.2/60.6/57.5/56℃)インキュベートした。温度勾配を30分間保持し、次いで、PCRプレートは、速やかに冷却し(PCR機器において)、分析まで4℃の一定温度に戻した(この場合、約20分間)。両方のプレートを、PCR機器において同時にではあるが異なる機械(同じタイプの)でインキュベートした。
両方のGR酵素についての温度安定性プロファイルを図4に示す。真菌GRは、40〜65度の間の温度範囲で安定しているが、酵母GRは、55度での30分間のインキュベーションの後にその活性の80%超を失う。
[2.4 真菌グルタチオンレダクターゼの熱安定性の応用(16時間)]
熱ショックにかけた真菌GR(既に100×に希釈)および市販の酵母GR(Sigma−Aldrich G3664)をバッファー(0.1M Tris pH8)において20×および2500×に希釈した。サンプルを2枚のPCRプレート(ウェル当たり100マイクロL)に移し、残った希釈液を一晩、冷蔵保存した。一方のプレートは30℃で、他方は、50℃で、PCR機械において16時間(蓋の温度105℃)インキュベートした。16時間後、PCRプログラムは、活性の分析まで温度を4℃まで下げた。活性の分析のために、50マイクロリットルをPCRプレートのウェルからMTPにおけるGR活性アッセイに移した。ブランク(酵素の代わりにバッファー)を、NADPHのバックグラウンド変換による傾き(Δ340nm/分)の補正のために含めた。様々なウェル(温度当たり酵素当たりに8つ)の結果を平均し、冷蔵庫で一晩保存したサンプルの活性(=100%、酵素がその条件下で安定していることを仮定)を基準として示した。熱ショック真菌GRおよび市販で入手可能な酵母GRの16時間のインキュベーションは以下の結果をもたらした(表1)。
Figure 2020501525
[実施例3:グルタチオンの存在下においてシスチンをシステインに還元するためのグルタチオンレダクターゼの使用]
シスチンのシステインへの還元を、媒介物質としての酸化グルタチオンおよび補助因子としてのNADPHの存在下において真菌GRおよび酵母GR(sigma)を使用して実行した。反応の概要は、以下のとおりとする。
CYS−CYS+2GSH→2CYS+GSSG
GSSG+NADPH→2GSH+NADP+H
反応は、温度およびpHのコントロールと共に200mlのジャケット容器において実行した。総使用体積は100mlとした。反応は2つの容器において実行した。容器1は参照酵母GR(Sigma)を含有し、容器2は耐熱性真菌GRを含有した。反応は摂氏55度で実行し、pHはNaOH(1M)で8にコントロールした。反応物および酵素の濃度を表2に要約する。
Figure 2020501525
サンプルは、t=0(酵素の追加の直前)、0.25、1、2、3、5時間に得た。200μlのサンプルを、13.000RPMで1分遠心分離し、100μlの上清を、900μlの0.111N HCL(0.1N HCLの最終濃度)に移し、混合し、−20℃で保存した。サンプルはすべて、L−シスチン、L−システイン、GSH、GSSG、およびこれらの構成成分の組み合わせを測定するためにLCMS−MS法によって分析した。そのうえ、反応の完了は、透明なサンプル溶液によって視覚的に確認し、可溶性の低いL−シスチンが高度に可溶性のL−システインに還元されたことが示された。時間毎のシステイン形成を図5に示す。インキュベーションの5時間以内の真菌GRの使用による約10g/l L−シスチンのL−システインへの完全な還元。酵母GR(sigma)の存在下におけるシステインのレベルは、時間毎に増加せず、酵素は適用した条件下で活性でなかったことを示した。

Claims (15)

  1. グルタチオンレダクターゼ活性を有するポリペプチドであって、
    a)配列番号1の成熟ポリペプチド配列を含むアミノ酸配列を有するポリペプチド;
    b)配列番号1の成熟ポリペプチド配列と少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
    c)配列番号2の成熟ポリペプチドコード配列の相補鎖に中程度のストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする配列を含む核酸によってコードされるポリペプチド;および
    d)配列番号2の成熟ポリペプチドコード配列に対して少なくとも50%の配列同一性を有する核酸によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド
    からなる群から選択される、ポリペプチド。
  2. ケトミウム・サーモフィラム(Chaetomium thermophilum)に由来し得る、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 配列番号2の成熟ポリペプチドコード配列に対して少なくとも50%の配列同一性を有する配列を含む、請求項1または2に記載のグルタチオンレダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸。
  4. 宿主細胞におけるグルタチオンレダクターゼの発現を指示する1つ以上のコントロール配列に作動可能に連結された、請求項3に記載の核酸を含む発現ベクター。
  5. 請求項1もしくは2に記載のポリペプチド、請求項3に記載の核酸、または請求項4に記載の発現ベクターを含む組換え宿主細胞。
  6. 組換え酵母細胞、好ましくは、組換えサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)細胞である、請求項5に記載の組換え宿主細胞。
  7. 請求項1または2に記載のポリペプチドの調製のための方法であって、
    前記ポリペプチドの産生を可能にする条件下で適した発酵培地において請求項5に記載の宿主細胞を培養するステップ;および任意選択で
    前記ポリペプチドを回収するステップ
    を含む、方法。
  8. 酸化チオールの還元のための、請求項1または2に記載のポリペプチドの使用。
  9. シスチンのシステインへの酵素的還元のための方法であって、
    請求項1または2に記載のポリペプチド、補助因子、および媒介物質を含む還元溶液とシスチンを接触させるステップ;ならびに任意選択で
    前記システインを回収するステップ
    を含む方法。
  10. 前記還元溶液と前記シスチンを接触させる前記ステップは、25℃〜75℃の範囲内の温度で実行される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記媒介物質は、グルタチオンである、請求項10または11に記載の方法。
  12. 前記補助因子は、好ましくは酸化型(NADP+)のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)または好ましくは酸化型(NAD+)のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記還元溶液は、少なくとも6のpHを有する、請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. システインおよび請求項1または2に記載のポリペプチドを含む組成物。
  15. グルコン酸、ギ酸、グルコース、ホルマート、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、グルタチオン、アセトン、およびアセトアルデヒドから選択される1つ以上のものをさらに含む、請求項14に記載の組成物。
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