JP2020205280A - 圧着接続部材の製造方法及びセレーション部材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被覆用のエナメル層を有する被圧着体との接触が確実に行われ、信頼性の高い圧着接続を行うことができ、製造が容易でありかつ製造コストが安価となる圧着接続部材の製造方法及びセレーション部材の製造方法を提供する。【解決手段】圧着部と、圧着部の内側に配置され、被圧着体への圧着方向に突出する鋭利な突起が開口端部にそれぞれ形成された複数の貫通孔を有するセレーション部とを備えた圧着接続部材の製造方法は、ダイの孔の径とパンチの径とがほぼ等しくかつダイの孔の開口端部に環状のテーパ部が設けられたダイとパンチとを用いてプレス打ち抜き加工することにより、複数の貫通孔の開口端部に圧着方向に突出する環状の鋭利な突起を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁膜が表面に被着された例えばアルミニウム電線等の電線と圧着接続する圧着接続部材の製造方法及びセレーション部材の製造方法に関する。
アルミニウム電線等の電線の表面にエナメル層等の絶縁膜が被着されている場合、この電線に端子を圧着接続しても、絶縁膜の存在により端子と電線との電気的導通が必ずしも得られず、絶縁膜を除去して電線と端子との良好な接触を得る必要があった。
図12はダレ面のある貫通孔を有する従来の圧着端子における圧着動作を説明するため模式的な時系列断面を示している。
表面にエナメル層121が被着された電線120を、図12(A)に示すようにダレ面のある貫通孔123aを有する接続端子122に押圧し、圧着する場合の動作を説明する。一般に、エナメル層121は、電線保護のために、この電線120より伸縮性が優れており、電線120を曲げても切れないように柔らかな素材となっている。従って、図12(B)及び(C)に示すように、圧着が行われ電線120がセレーション部123の貫通孔123a内に押し込まれた場合にエナメル層121も延びてこの貫通孔123a内に入り込んでしまう。セレーション部123の貫通孔123aは、ほとんどの場合にそのエッジがダレ面となっていて鈍角となっており、エナメル層121がこのエッジに押しつけられても切断されない。貫通孔123a内に入り込んだエナメル層121が延びきると、部分的な切断は生じるが、貫通孔123aの側面のほとんどをエナメル層121が覆う状態となるため、電線120と接続端子122とを電気的に確実に接続することが難しかった。
特許文献1には、このようなエナメル層等の絶縁層を除去又は壊して良好な電気的接触を得るために、接続端子に、エンボス工程において生産された材料の盛りによって形成された鋭利な傾斜形状輪郭を備えた複数の鋸歯状構造を含む鋸歯状配置を設けることが記載されている。
特表2013−538423号公報
しかしながら、特許文献1に記載された複数の鋸歯状構造を含む鋸歯状配置を有する接続端子によると、この接続端子を電線に圧着した場合、鋸歯状構造が電線の軸横断方向に伸長しているため、電線にこれら鋸歯状構造によって局部的に断面縮小部分が発生し、切断等機械的強度の劣化につながる恐れがある。
また、特許文献1に記載されたような複数の鋸歯状構造を作成するには、エンボス工程において特殊な処理を行う必要があり、製造工程が煩雑となり、工程数も増えるため、製造コストが高くなるという問題もあった。
従って本発明の目的は、被覆用のエナメル層を有する被圧着体との接触が確実に行われると共に被圧着体の切断を招くこともなく、信頼性の高い圧着接続を行うことができる圧着接続部材の製造方法及びセレーション部材の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、製造が容易でありかつ製造コストが安価となる圧着接続部材の製造方法及びセレーション部材の製造方法を提供することにある。
圧着接続部材は、圧着部と、この圧着部の内側に配置され、被圧着体への圧着方向に突出する少なくとも1つの鋭利な突起が開口端部にそれぞれ形成された複数の孔を有するセレーション部とを備えている。
セレーション部は、例えば電線である被圧着体への圧着方向に突出する少なくとも1つの鋭利な突起が開口端部に形成された複数の孔を有している。このようなセレーション部が接続端子又は圧着スリーブの圧着部の内側に配置されているため、このセレーション部の内部に被圧着体である電線を挿入し、圧着部を圧着することにより、電線の表面に被着されている絶縁用のエナメル層が少なくとも1つの鋭利な突起によってせん断される。その結果、電線が貫通孔内に食い込み、電線とセレーション部との接触が確実に行われるので、信頼性の高い圧着接続を行うことができる。
少なくとも1つの鋭利な突起が、頂角が90度以下の突起であることが好ましい。
セレーション部の複数の孔が、被圧着体への圧着方向に突出する少なくとも1つの突起が圧着方向側の開口端部に形成された複数の貫通孔であることも好ましい。
セレーション部の複数の孔が、被圧着体への圧着方向に突出する少なくとも1つの突起が開口端部に形成された複数の非貫通孔であることも好ましい。
セレーション部が、圧着部とは独立して形成されたセレーション部材であり、このセレーション部材の複数の貫通孔が、プレス打ち抜き加工孔であることも好ましい。
この場合、少なくとも1つの鋭利な突起が、プレス打ち抜き加工により開口端部に形成された少なくとも1つの鋭利な突起又はバリであることがより好ましい。プレス打ち抜き加工を行う際に、ダイの孔の径とパンチの径とをほぼ等しくしてダイの孔とパンチとの間隙(クリアランス)を最小限とすると共に、ダイの孔の開口端部に環状のテーパ部を設けることにより、セレーション部の貫通孔の開口端部にこの環状のテーパ部に対応した環状の鋭利な突起が形成される。また、ダイの孔の径をパンチの径より多少大きくしてダイの孔とパンチとの間隙を設ければ、貫通孔の内面において打ち抜き方向の先側が破断面となっているため、その先の開口端部に、1つ又は複数の鋭利なバリ(かえり)が発生する。このように、セレーション部に突起を意図的に形成することなく、単にプレス打ち抜き加工によって貫通孔を設けるのみで良いため、即ち、プレス加工におけるパンチの打ち抜き時の開口端のテーパ作成及びクリアランスの有無により、鋭利な突起又はバリを作成可能であるため、製造が容易でありかつ製造コストを安価となる。
セレーション部が、圧着部の一部として一体的に形成されていることも好ましい。
セレーション部が、銅又は銅合金による基材と、この基材の表面に形成された錫メッキ層とを有していることも好ましい。
圧着接続部材が、先端部に設けられた舌部と、この舌部の基端部に配置された圧着部とを備えている圧着接続端子であることも好ましい。
圧着接続部材が、圧着部が両端部に配置された圧着スリーブであることも好ましい。
圧着接続構造は、上述の圧着接続部材と、この圧着接続部材の圧着部におけるセレーション部内に挿入されて圧着された、被覆用のエナメル層を有するアルミニウム製の被圧着体、例えば被覆用のエナメル層を有するアルミニウム電線とを備えている。
セレーション部材は、圧着部の内側に配置され、被圧着体への圧着方向に突出する少なくとも1つの鋭利な突起が開口端部にそれぞれ形成された複数の孔を有している。
セレーション部材は、例えば電線である被圧着体への圧着方向に突出する少なくとも1つの鋭利な突起が開口端部に形成された複数の孔を有している。このようなセレーション部材を接続端子又は圧着スリーブの圧着部の内側に配置し、セレーション部材の内部に被圧着体である電線を挿入し、圧着部を圧着することにより、電線の表面に被着されている絶縁用のエナメル層が少なくとも1つの鋭利な突起によってせん断される。その結果、電線が貫通孔内に食い込み、電線とセレーション部材との接触が確実に行われるので、信頼性の高い圧着接続を行うことができる。
少なくとも1つの鋭利な突起が、頂角が90度以下の突起であることが好ましい。
複数の孔が、被圧着体への圧着方向に突出する少なくとも1つの突起が圧着方向側の開口端部に形成された複数の貫通孔であることも好ましい。
複数の孔が、被圧着体への圧着方向に突出する少なくとも1つの突起が開口端部に形成された複数の非貫通孔であることも好ましい。
セレーション部材の複数の貫通孔が、プレス打ち抜き加工孔であることも好ましい。
銅又は銅合金による基材と、基材の表面に形成された錫メッキ層とを有していることも好ましい。
本発明によれば、圧着方向に突出する少なくとも1つの鋭利な突起が開口端部に形成された複数の孔を有しているセレーション部又はセレーション部材が接続端子又は圧着スリーブの圧着部に配置されているため、このセレーション部又はセレーション部材の内部に被圧着体である電線を挿入し、圧着部を圧着することにより、電線の表面に被着された絶縁用のエナメル層が少なくとも1つの鋭利な突起によってせん断される。その結果、電線が貫通孔内に食い込み、電線とセレーション部又はセレーション部材との接触が確実に行われるので、信頼性の高い圧着接続を行うことができる。
本発明の圧着接続部材の構成及び機能を説明するために圧着接続端子の圧着部及びセレーション部材の構成を概略的に示す断面図である。 図1の圧着接続端子におけるセレーション部材の一部構成を概略的に示す断面図である。 図1の圧着接続端子による圧着動作を説明するための断面図である。 本発明の他の圧着接続部材の圧着部及びセレーション部材の構成を概略的に示す断面図である。 本発明のさらに他の圧着接続部材におけるセレーション部材の構成を概略的に示す断面図である。 本発明の圧着接続部材の一実施形態として圧着接続端子の全体構成を概略的に示しており、(A)は平面図、(B)は一部破断側面図である。 図6の実施形態において曲げ加工する前のセレーション部材の一例を示す平面図である。 図6の実施形態において曲げ加工後のセレーション部材の一例を示しており、(A)は側面図、(B)は正面図である。 図6の実施形態においてプレス打ち抜き加工によって形成される貫通孔における鋭利な突起形成の原理を説明しており、(A)、(B)及び(C)はその時系列断面図である。 図6の実施形態においてプレス打ち抜き加工によって形成される貫通孔におけるバリ発生の原理を説明しており、(A)は1つの貫通孔の断面形状の模式的に示す図、(B)は貫通孔の内面の状態を模式的に示す図である。 ダレ面のない貫通孔を有する圧着端子における圧着動作を説明する模式的な時系列断面図である。 ダレ面のある貫通孔を有する従来の圧着端子における圧着動作を説明する模式的な時系列断面図である。
図1は本発明の圧着接続部材の構成及び機能を説明するために圧着接続端子の圧着部及びセレーション部材の構成を概略的に示しており、図2はこの圧着接続端子におけるセレーション部材の一部構成を概略的に示しており、図3はこの圧着接続端子による圧着動作を説明している。
図1に示すように、圧着接続端子10の圧着部(バレル)12は、この例では、円筒形状に形成されており、その内部にはこの圧着部12とは別個に独立して形成された略円筒形状のセレーション部材13が挿嵌されている。圧着部12は銅又は銅合金の平板から円筒形状(断面が円形状)に形成されており、表面に錫メッキが施されている。セレーション部材13も同様に銅又は銅合金の平板から形成されており、表面に錫メッキが施されている。
セレーション部材13は複数の貫通孔13aを備えており、各貫通孔13aの開口端部には、図1及び図2に示すように、例えば電線である被圧着体への圧着方向に突出する少なくとも1つの鋭利な突起13bが形成されている。鋭利な突起13bは頂角が90度以下の鋭利な突起であり、例えば、銅又は銅合金の平板にプレス打ち抜き加工で複数の貫通孔を形成する際に孔の打ち抜き方向の開口端部に形成される環状の鋭利な突起又は単数若しくは複数の鋭利なバリ(かえり)である。
このような鋭利な突起13bを有するセレーション部材13を被圧着体であるエナメル被覆のアルミニウム電線32に圧着させた状態が図3に示されている。即ち、アルミニウム電線32の周囲にはエナメル層31が被覆されており、セレーション部材13をこのアルミニウム電線32に圧着させると、エナメル層31がこれら鋭利な突起13bによってせん断され、貫通孔13a内にアルミニウム電線32が食い込み、これによってアルミニウム電線32とセレーション部材13との電気的な接触が確実に行われる。その結果、信頼性の高い確実な圧着接続を行うことができる。
図4は本発明の他の圧着接続部材の圧着部及びセレーション部材の構成を概略的に示している。図1の例では、圧着部12が円筒形状に形成されており、その内部に略円筒形状のセレーション部材13が挿嵌されているが、図4(A)に示すように、圧着部42を略V字状断面を有するように形成し、その内側に略V字状断面を有し鋭利な突起43bを有するセレーション部材43を重畳させるように構成しても良い。また、圧着部42′を図4(B)に示すように、角筒形状(断面が矩形形状)に形成し、その内側に角筒形状の鋭利な突起43b′を有するセレーション部材43′を重畳させるように構成しても良い。
図5は本発明のさらに他の圧着接続部材におけるセレーション部材の構成を概略的に示している。同図に示すように、セレーション部材53として、開口端部に例えば電線である被圧着体への圧着方向に突出する鋭利な突起53bが形成された複数の非貫通孔53aを設けたものを用いても良い。
次に、より具体的な実施形態により本発明を詳細に説明する。図6は本発明の圧着接続部材の一実施形態として圧着接続端子の全体構成を概略的に示している。
同図に示すように、本実施形態の圧着接続端子60は、先端部に設けられ相手側部品に接続される舌部(タング)61と、この舌部61の基端に設けられ、被圧着体である電線に圧着される圧着部(バレル)62とを備えている。圧着部62は円筒形状に形成されており、その内部に略円筒形状のセレーション部材63が挿嵌されている。
舌部61及び圧着部62は銅又は銅合金の平板から図示の形状に一体的に形成されており、表面に錫メッキが施されている。本実施形態におけるセレーション部材63を除く圧着接続端子部分は圧着端子として市販されている。
図7は本実施形態において曲げ加工する前のセレーション部材63′を示しており、図8は曲げ加工後のセレーション部材63を示している。
セレーション部材63′は、図7に示すように、銅又は銅合金の平板をプレス打ち抜き加工して形成された多数の貫通孔63aを有しており、各貫通孔63aの開口端部には環状の鋭利な突起63bが形成されている。この平板状のセレーション部材63′の図7における横方向の両端が奥方向に曲がるように曲げ加工されることにより、図8に示すような略円筒形状のセレーション部材63が形成される。単なる一例であるが、圧着接続端子60の圧着部62の内径が約1.7φ(mm)である場合、円筒形状のセレーション部材63の外径はこれにほぼ等しい約1.7φ(mm)であり、例えば、曲げ加工前のセレーション部材63′の周方向長さが約4.5(mm)、軸方向長さが約5.0(mm)、厚みが約0.15(mm)であり、セレーション部材63′における隣接する貫通孔63aのピッチが約0.3(mm)、貫通孔63aの内径が約0.15(mm)である。
セレーション部材63′又は63は、銅又は銅合金(例えば、銅ニッケル合金)の表面に錫メッキを施して形成されている。錫メッキは、プレス打ち抜き加工した平板状のセレーション部材63′に対して行っても良いし、曲げ加工した後の略円筒形状のセレーション部材63に対して行っても良い。
図9は本実施形態においてプレス打ち抜き加工によって形成される貫通孔における鋭利な突起形成の原理を説明している。
図9(A)に示すように、プレス打ち抜き加工を行う際に、ダイ90の孔の径とパンチ92の径とをほぼ等しくしてダイ90の孔とパンチ92との間隙を最小限とすると共に、ダイ90の孔の開口端部に環状のテーパ部90aを設ける。
次いで、図9(B)に示すように、パンチ92が相対的に下降して、銅又は銅合金の平板91′を載置したダイ90の孔内に押し込まれると、この平板91′が押し延ばされ、環状のテーパ部90a内に押し込まれる。
さらに、パンチ92が下降すると、図9(C)に示すように、平板91′に貫通孔が形成されてセレーション部91が形成される。その際、セレーション部91の貫通孔の開口端部に環状のテーパ部90aに対応した形状を有する環状の鋭利な突起91bが形成される。
図10は本実施形態の変更態様においてプレス打ち抜き加工によって形成される各貫通孔におけるバリ発生の原理を説明している。
プレス打ち抜き加工を行う際に、ダイ106の孔の径をパンチ107の径より多少大きくしてダイ106の孔とパンチ107との間隙(クリアランス)Cを設けると、以下に説明するように、打ち抜き方向に突出する単数又は複数の鋭利なバリが発生する。
以下、プレス打ち抜き加工におけるバリ発生の原理を説明する。貫通孔101に関する打ち抜き方向は、図10(A)の矢印100に示すように、上から下方向であるとする。
図10(A)に示すように、パンチ107が、平板を載置したダイ106に対して矢印100方向に相対的に下降し、この平板の表面に当接してさらに下降すると、平板のパンチ107及びダイ106の接触表面は凹凸が次第にならされて滑らかなR形状を有するダレ面が形成される。図10(A)及び(B)には、パンチ107の刃面側に形成されたダレ面102が示されている。即ち、貫通孔101の内面における上方開口部には、滑らかな形状のダレ面102が最終的に形成される。
さらに、パンチ107が相対的に下降すると、パンチ107及びダイ106の刃先付近の平板材料が降伏し、パンチ107及びダイ106は平板材料内の表面近傍に塑性変形の一種であるせん断変形をおこしながら次第に深く食い込んで行く。図10(A)及び(B)には、パンチ107の刃面側に形成されたせん断面103が示されている。即ち、貫通孔101の内面におけるダレ面102の下方には、縦筋を有するせん断面103が最終的に形成される。
パンチ107及びダイ106の食い込みがさらに進行すると、パンチ107又はダイ106の側面部に接する平板材料が極めて大きな引っ張りひずみを受けるため、この部分から亀裂(クラック)が発生し始める。パンチ107及びダイ106間のクリアランスCに沿ってこのクラックが成長し、パンチ107及びダイ106の両方のクラックがつながって打ち抜きが終了する。図10(A)及び(B)には、パンチ107の刃面側に形成された破断面104が示されている。即ち、貫通孔101の内面におけるせん断面103の下方には、破断面104が最終的に形成される。
さらに、パンチ107及びダイ106間のクリアランスCの存在により、打ち抜き方向の先側であるダイ106側の平板材料表面には単数又は複数の鋭利なバリ105が形成される。図10(A)及び(B)には、打ち抜き方向の先側であるダイ側の平板材料表面に形成された鋭利なバリ105が示されている。即ち、貫通孔101の内面における下方開口部には打ち抜き方向に突出する単数又は複数の鋭利なバリ105が最終的に形成される。なお、パンチ107及びダイ106間のクリアランスCを変更することによって、バリ105の高さを調整することができる。
図11はダレ面のない貫通孔を有する圧着端子における圧着動作を説明するため模式的な時系列断面を示している。
表面にエナメル層111が被着された電線110を、図11(A)に示すようにダレ面のない貫通孔113aを有する接続端子112に押圧し、圧着する場合の動作を説明する。図12の場合と比較して、セレーション部113にダレ面のない貫通孔113aを有する場合、図11(B)及び(C)に示すように、圧着が行われ電線110がセレーション部113の貫通孔113a内に押し込まれると、エナメル層111はその貫通孔113aのエッジでせん断される。従って、この場合、貫通孔113aの側面と電線110とが接触し、電線110と接続端子112とが電気的で接続される。
特に本実施形態では、セレーション部の貫通孔の開口部に鋭利な突起が形成されるため、エナメル層が確実にせん断され、電線と接続端子との確実な電気的な接続が行われるので、信頼性の極めて高い導通を得ることができる。
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、セレーション部材13(図3参照)がプレス打ち抜き加工によって形成された複数の貫通孔13aを有しているため、これら複数の貫通孔13aの打ち抜き方向の先側の開口端部には、打ち抜き方向に突出する鋭利な突起13bが形成されている。セレーション部材13は、これら鋭利な突起13bの形成されている面が内面となるように曲げ加工されて略筒状となっており、このようなセレーション部材13が圧着接続端子の圧着部内部に挿嵌されている。このため、セレーション部材13の内部にアルミニウム電線32を挿入し、圧着動作を行うことにより、アルミニウム電線32の表面に被着された絶縁用のエナメル層31を鋭利な突起13bがせん断し、アルミニウム電線32が貫通孔13a内に食い込み、アルミニウム電線32とセレーション部材13との接触が確実に行われるので、信頼性の高い圧着接続を行うことができる。また、特別な処理を行うことによりセレーション部材13に突起を意図的に形成することなく、単にプレス打ち抜き加工によって貫通孔13aを設けるのみで良いため、即ち、プレス加工におけるパンチの打ち抜きにより鋭利な突起13bの発生を意図的に調整可能であるため、製造が容易でありかつ製造コストを安価となる。
さらに、本実施形態によれば、エナメル層31がせん断されるため、アルミニウム電線32を完全な塑性領域に至るまでセレーション部材13圧着することができ、これによりアルミニウムと端子表面にメッキされた錫との合金層が形成されるため、電解腐食発生を確実に防止できる。また、鋭利な突起13bによってアルミニウム電線32の酸化皮膜をも破壊できるため、接触抵抗への影響発生を防止できる。さらに、鋭利な突起13bによりアルミニウム電線32の変形量を必要とする最小量に抑えることができるため、引張強度の低下を防止できる。さらにまた、鋭利な突起13bによって囲むことにより応力の高くなった部位と他の緩慢な部位とを遮断し、閉じ込められた領域に応力を集中することで、接触境界面の反発力(内部応力)を維持し冷間流れを防止できる。
なお、上述した実施形態においては、セレーション部材が略円筒形状となっているが、セレーション部材の形状はこれに限定されるものではなく、圧着部(バレル)の形状に合わせた任意の形状とすることができる。例えば、セレーション部材の断面形状を、円形状に限ることなく、長円形状、楕円形状、矩形形状(図4(B)参照)、略V字形状(図4(A)参照)、又はその他の形状とすることができる。
また、上述した実施形態では、電線として、エナメル層が表面に被着されたアルミニウム電線を用いているが、エナメル層が表面に被着されたアルミニウム合金線、エナメル層が表面に被着された銅線、エナメル層が表面に被着された銅合金線、又はエナメル層が表面に被着されたその他の金属電線を用いても良い。
さらにまた、上述した実施形態は、舌部と、圧着部とを有する圧着接続端子の場合であるが、本発明の圧着接続部材は、上述のごとき構成の圧着部を両端部に有する圧着スリーブであっても良い。
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
10、63 圧着接続端子
12、62 圧着部
13、63、63′、67、91 セレーション部材
13a、63a、101、113a、123a 貫通孔
13b、63b、91b、93 突起
31、111、121 エナメル層
32 アルミニウム電線
61 舌部
64、91′ 平板
65 セレーション部材部分
66 外形部分
90、107 ダイ
90a 開口端テーパ部
92、106 パンチ
100 打ち抜き方向
102 ダレ
103 せん断面
104 破断面
105 バリ
110、120 電線
112、122 接続端子
113、123 セレーション部

Claims (10)

  1. 圧着部と、該圧着部の内側に配置され、被圧着体への圧着方向に突出する鋭利な突起が開口端部にそれぞれ形成された複数の貫通孔を有するセレーション部とを備えた圧着接続部材の製造方法であって、ダイの孔の径とパンチの径とがほぼ等しくかつ前記ダイの孔の開口端部に環状のテーパ部が設けられた前記ダイと前記パンチとを用いてプレス打ち抜き加工することにより、前記複数の貫通孔の前記開口端部に前記圧着方向に突出する環状の前記鋭利な突起を形成することを特徴とする圧着接続部材の製造方法。
  2. 前記鋭利な突起が、頂角が90度以下の突起であることを特徴とする請求項1に記載の圧着接続部材の製造方法。
  3. 前記セレーション部が、前記圧着部とは独立して形成されたセレーション部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧着接続部材の製造方法。
  4. 前記セレーション部が、前記圧着部の一部として一体的に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧着接続部材の製造方法。
  5. 前記セレーション部が、銅又は銅合金による基材と、該基材の表面に形成された錫メッキ層とを有していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の圧着接続部材の製造方法。
  6. 前記圧着接続部材が、先端部に設けられた舌部と、該舌部の基端部に配置された前記圧着部とを備えている圧着接続端子であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の圧着接続部材の製造方法。
  7. 前記圧着接続部材が、前記圧着部が両端部に配置された圧着スリーブであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の圧着接続部材の製造方法。
  8. 圧着部の内側に配置され、被圧着体への圧着方向に突出する鋭利な突起が開口端部にそれぞれ形成された複数の貫通孔を有するセレーション部材の製造方法であって、ダイの孔の径とパンチの径とがほぼ等しくかつ前記ダイの孔の開口端部に環状のテーパ部が設けられた前記ダイと前記パンチとを用いてプレス打ち抜き加工することにより、前記複数の貫通孔の前記開口端部に前記圧着方向に突出する環状の前記鋭利な突起を形成することを特徴とするセレーション部材の製造方法。
  9. 前記鋭利な突起が、頂角が90度以下の突起であることを特徴とする請求項8に記載のセレーション部材の製造方法。
  10. 前記セレーション部材が、銅又は銅合金による基材と、該基材の表面に形成された錫メッキ層とを有していることを特徴とする請求項8又は9に記載のセレーション部材の製造方法。
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