JP2020205179A - 液滴吐出装置、薄膜製造方法及び有機電子デバイスの製造方法 - Google Patents

液滴吐出装置、薄膜製造方法及び有機電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】所望の着弾状態となるように液滴を吐出可能な液滴吐出装置、その液滴吐出装置を用いた薄膜製造方法及び有機電子デバイスの製造方法を提供する。【解決手段】一実施形態に係る液滴吐出装置18Aは、撥液領域12を有する下地基板10Aを第1方向に搬送する搬送機構20と、第1方向に交差する第2方向に配置されており液滴Dを吐出するための複数のノズル42を有する吐出ヘッド36と、第1方向において吐出ヘッドの下流に配置されており、吐出ヘッドから吐出され撥液領域に着弾した複数の液滴である複数の着弾液滴D1を撮像する撮像装置24と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、液滴吐出装置、薄膜製造方法及び有機電子デバイスの製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンスデバイス(以下、「有機ELデバイス」と称す)といった有機電子デバイスは、基板と、基板上に順に設けられた第1電極層、機能層及び第2電極層とを有する。有機電子デバイスに含まれるいくつかの層を、インクジェット印刷法を用いて薄膜として形成する場合がある(特許文献1参照)。インクジェット印刷法を用いて薄膜を形成する際には、形成すべき膜(層)の材料を含む液滴を吐出ヘッドから基板上に吐出し、基板に着弾した複数の液滴が連なって形成される液膜を乾燥させることで上記薄膜を得る。
国際公開第2007/004627号
有機電子デバイスといった複数の層を含むデバイスでは、層の形成状態がデバイス特性に影響を与える。上記複数の層のうちのいくつかの層をインクジェット印刷法で形成する場合、層を所望の状態で形成するためには、吐出ヘッドからの液滴の吐出状態を最適化しておく必要がある。紙のように浸透性を有する対象物に液滴を塗布する場合、上記対象物に塗布された液滴の状態を把握しやすい。
しかしながら、上記複数の層を含むデバイスにおいて、インクジェット印刷法で層が形成される下地部分は、通常、液滴が染みこまない非浸透性を有し、更に一定の撥液性を有する。この場合、上記下地部分に着弾した液滴は下地部分に染みこまないことから、液滴の着弾状態に基づいて吐出条件を調整し、所望の着弾状態となるように液滴を吐出することが難しかった。
そこで、本発明は、所望の着弾状態となるように液滴を吐出可能な液滴吐出装置、その液滴吐出装置を用いた薄膜製造方法及び有機電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る液滴吐出装置は、撥液領域を有する下地基板を第1方向に搬送する搬送機構と、上記第1方向に交差する第2方向に配置されており液滴を吐出するための複数のノズルを有する吐出ヘッドと、上記第1方向において上記吐出ヘッドの下流に配置されており、上記吐出ヘッドから吐出され上記撥液領域に着弾した複数の上記液滴である複数の着弾液滴を撮像する撮像装置と、を備える。
上記液滴吐出装置では、撥液領域上の上記複数の着弾液滴を撮像装置で撮像する。これにより、撮像装置で得られた画像に基づいて着弾液滴の状態を把握できる。このように着弾液滴の状態がわかれば、それに基づいて液滴の吐出条件を調整可能である。その結果、所望の着弾状態となるように液滴を吐出できる。
一実施形態に係る液滴吐出装置は、上記第1方向において上記吐出ヘッドの下流に配置される乾燥装置を更に備え、上記撮像装置は、上記吐出ヘッドと上記乾燥装置との間に配置されていればよい。この場合、撮像装置は、着弾液滴が乾燥する前の状態、すなわち、着弾時の状態に近い状態で着弾液滴を撮像できる。そのようにして撮像装置で得られた画像に基づいて液滴の吐出条件を調整すれば、一層、所望の着弾状態となるように液滴を吐出できる。
上記第1方向において、上記撮像装置は、上記吐出ヘッド寄りに配置されていてもよい。この場合も、撮像装置は、着弾時の状態に近い状態で着弾液滴を撮像できる。そのため、撮像装置で得られた画像に基づいて液滴の吐出条件を調整すれば、一層、所望の着弾状態となるように液滴を吐出できる。
上記第1方向において、上記撮像装置は、上記着弾液滴の体積が着弾時の体積の1/20より大きい体積を有する上記着弾液滴を撮像可能に、配置されていてもよい。この場合も、撮像装置は、着弾時の状態に近い状態で着弾液滴を撮像できる。そのため、撮像装置で得られた画像に基づいて液滴の吐出条件を調整すれば、一層、所望の着弾状態となるように液滴を吐出できる。
一実施形態に係る液滴吐出装置は、上記撮像装置で得られた画像データを解析することによって、複数の上記着弾液滴を特定する解析装置を更に備えてもよい。このように解析装置を用いることで、着弾液滴の着弾状態を素早く把握できる。
上記撮像装置は、少なくとも上記第2方向に沿って配置された全ての複数の上記着弾液滴を有する着弾液滴列を含むように、複数の上記着弾液滴を撮像してもよい。これにより、着弾液滴の着弾パターンを把握できる。
上記撮像装置は、上記第1方向において少なくとも隣接する2つの上記着弾液滴列を含むように、複数の上記着弾液滴を撮像してもよい。これにより、着弾液滴の着弾パターンを把握できる。
上記下地基板は長尺形状を有してもよい。この場合、上記搬送機構は、ロールツーロール方式で上記下地基板を搬送してもよい。
一実施形態に係る液滴吐出装置は、上記吐出ヘッドの上流に配置される撥液処理装置を更に備え、上記撥液領域は、上記下地基板のうち上記撥液処理装置によって撥液処理が施された領域であってもよい。この場合、例えば、撥液領域の撥液性を撥液処理装置で調整可能である。
一実施形態に係る液滴吐出装置は、上記下地基板と上記吐出ヘッドとの相対位置を調整する相対位置調整機構を備えてもよい。相対位置調整機構により、上記下地基板と上記吐出ヘッドとの相対位置を調整することで、所望の着弾状態となるように、液滴を吐出しやすい。
本発明の他の側面に係る薄膜製造方法は、撥液領域を有する下地基板を第1方向に搬送しながら、薄膜材料を含む複数の液滴を上記撥液領域上に吐出して薄膜を製造する薄膜製造方法であり、上記撥液領域と実質的に同じ撥液性を有する検査基板部を、上記第1方向に搬送しながら、上記第1方向に交差する第2方向に配置された複数のノズルを有する吐出ヘッドから、複数の上記液滴を所定の吐出条件で吐出する第1吐出工程と、上記第1吐出工程において上記検査基板部に着弾した複数の上記液滴である複数の着弾液滴を撮像する撮像工程と、上記撮像工程で得られた画像データに基づいて、複数の上記着弾液滴の着弾状態が所望の着弾状態と異なるか否かを判定する判定工程と、上記下地基板を上記第1方向に搬送しながら、上記吐出ヘッドから複数の上記液滴を上記所定の吐出条件で上記撥液領域に吐出する第2吐出工程と、上記第2吐出工程において上記撥液領域に吐出された複数の上記液滴で形成される液膜を乾燥させて薄膜を得る乾燥工程と、を備え、上記第2吐出工程の前に、上記第1吐出工程、上記撮像工程及び上記判定工程を実施し、上記判定工程において、複数の上記着弾液滴の着弾状態が所望の着弾状態と異なると判定した場合、上記第2吐出工程の前に、複数の上記着弾液滴の着弾状態が所望の着弾状態となるように、上記所定の吐出条件を調整する調整工程を実施する。
上記薄膜製造方法では、第1吐出工程で検査基板部に着弾した複数の液滴である複数の着弾液滴を撮像し、得られた画像データに基づいて、複数の上記着弾液滴の着弾状態が所望の着弾状態と異なるか否かを判定する。この判定で、複数の上記着弾液滴の着弾状態が所望の着弾状態と異なると判定した場合、複数の上記着弾液滴の着弾状態が所望の着弾状態となるように、上記所定の吐出条件を調整する。その後、下地基板の撥液領域に吐出ヘッドから液滴を吐出して薄膜を形成する。このように、複数の着弾液滴の画像に基づいて、液滴の吐出条件を調整できるので、下地基板の撥液領域上において所望の着弾状態となるように液滴を吐出できる。その結果、所望の状態で薄膜を形成可能である。
上記撮像工程では、上記着弾液滴の体積が着弾時の体積の1/20以下になる前に、複数の上記着弾液滴を撮像してもよい。この場合も、着弾時の状態に近い状態で複数の着弾液滴を撮像できる。そのため、撮像工程で得られた画像に基づいて液滴の吐出条件を調整すれば、一層、所望の着弾状態となるように液滴を吐出できる。
上記所定の吐出条件は、上記吐出ヘッドと上記下地基板との相対位置関係、上記吐出ヘッドにおける上記第2方向に沿った複数の上記液滴の吐出位置、上記液滴の時間的な吐出間隔の少なくとも一つを含み得る。
上記調整工程では、上記液滴の着弾時に、複数の上記着弾液滴が互いに接しないように、上記第2方向に沿った複数の上記液滴の吐出位置を調整してもよい。これにより、複数の上記着弾液滴が互いに接しないように、液滴を撥液領域上に吐出できる。この場合、上記調整工程では、複数の上記ノズルのうち上記液滴を吐出するノズルの選択条件を変更することによって、上記第2方向に沿った複数の上記液滴の吐出位置を調整してもよい。
上記調整工程では、上記液滴の着弾時に、上記第1方向において隣接する上記着弾液滴が互いに接しないように、上記吐出ヘッドからの上記液滴の時間的な吐出間隔を調整してもよい。これにより、上記第1方向において隣接する上記着弾液滴が互いに接しないように、液滴を撥液領域上に吐出できる。
上記下地基板は長尺形状を有し、上記下地基板は、上記下地基板の長手方向において順に同じ撥液性を有する第1領域及び第2領域を有し、上記第1領域が上記検査基板部であり、上記下地基板を上記検査基板側から上記下地基板の長手方向に搬送しながら上記検査基板部に対して上記第1吐出工程を実施し、上記下地基板の上記長手方向において上記第2領域に対して上記第2吐出工程を実施してもよい。この場合、実際に薄膜を製造する条件により近い状態で、第1吐出工程、撮像工程、判定工程及び調整工程を実施できる。その結果、薄膜を所望の状態で形成し易い。
上記第1吐出工程の前に、撥液領域を有しない基板原板の表面を撥液処理して、撥液領域を有する上記下地基板を形成する撥液処理工程を更に備えてもよい。この場合、撥液領域の撥液性を容易に調整しやすい。
本発明の更に他の側面に係る有機電子デバイスの製造方法は、基板上に順に設けられた第1電極層、機能層及び第2電極層を有する有機電子デバイスを製造する方法であり、上記第1電極層、上記機能層及び上記第2電極層のうち少なくとも一つの層を、上述した薄膜製造方法で、上記基板を含むと共に撥液領域を有する下地基板上に形成する。有機電子デバイスでは、層の形成状態がデバイス性能に影響を与える。上述した薄膜製造方法では薄膜を所望の状態で形成できるので、上記有機電子デバイスの製造方法では、所望の性能を有する有機電子デバイスを製造できる。その結果、有機電子デバイスの製造歩留まりの向上が図れる。
本発明によれば、所望の着弾状態となるように液滴を吐出可能な液滴吐出装置、その液滴吐出装置を用いた薄膜製造方法及び有機電子デバイスの製造方法を提供できる。
図1は、第1実施形態に係る薄膜製造方法で使用する基板を説明するための模式図である。 図2は、第1実施形態に係る薄膜製造方法で使用する液滴吐出装置の一例の概略構成を示す模式図である。 図3は、図2に示した液滴吐出装置を吐出ヘッド側からみた場合を一部拡大して模式的に示した模式図である。 図4は、撮像装置による撮像領域を説明するための図面である。 図5は、判定工程での判定条件を説明するための図面である。 図6は、第1実施形態に係る薄膜製造方法の一例のフローチャートである。 図7は、第2実施形態に係る有機ELデバイス(有機電子デバイス)の製造方法で製造される有機ELデバイスの概略構成を示す模式図である。 図8は、液滴吐出装置の他の例の概略構成を示す模式図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
(第1実施形態)
第1実施形態では、一実施形態に係る薄膜製造方法及びその薄膜製造方法に使用する液滴吐出装置を説明する。第1実施形態に係る薄膜製造方法は、インクジェット印刷法を利用して基板上に薄膜を形成する方法である。具体的には、第1実施形態に係る薄膜製造方法では、薄膜材料を含む複数の液滴を吐出ヘッドから所定パターンで基板上に着弾させて、基板上に薄膜を形成する。第1実施形態に係る薄膜製造方法で形成する薄膜としては、例えば有機ELデバイス、有機太陽電池、有機フォトディテクタ、有機トランジスタ等といった有機電子デバイスが有する電極層、機能層等が例示される。上記薄膜の厚さの例は、1nm〜100nmである。
図1に示したように、第1実施形態に係る薄膜製造方法で使用する基板(下地基板)10Aは、長尺形状を有するとともに、可撓性を有する。本実施形態において、基板10Aは液滴Dが実質的に染みこまない非浸透性を有する。このような基板10Aの例は、プラスチック基板、高分子フィルムなどである。基板10Aの表面12のうち少なくとも一部は一定の撥液性を有する撥液領域である。撥液領域は、例えば液滴Dの接触角が30°〜90°である撥液性を有する。上記接触角は、JIS R3257:1999に準じて測定された静的接触角である。材料の異なる複数の薄膜を基板10A上に形成する場合、撥液領域は、異なる複数の薄膜それぞれを形成するための液滴Dに対して一定の撥液性を有し、例えば異なる複数の薄膜それぞれを形成するための液滴Dの接触角が例示したような接触角を有する領域であり得る。
基板10Aは、撥液性を有する材料から構成されていてもよいし、撥液性を有しない材料から構成されていてもよい。基板10Aの材料自体が撥液性を有しない場合、基板10Aの表面12の少なくとも一部が撥液処理され上記撥液領域が形成されていればよい。以下では、断らない限り、基板10Aの表面12全体が撥液領域である。
基板10Aの表面12は、その長手方向において、一端側から順に第1領域14と、第2領域16とを有する。第1領域14及び第2領域16の表面は、同じ撥液性を有する撥液領域である。長尺の基板10Aを例えばロールツーロール方式などで長手方向に搬送しながら基板10Aに所定処理(例えば、薄膜形成処理など)行う場合、搬送機構に基板10Aをセットし搬送できる状態にするために、リード部として知られる一定の長さの領域には処理を行わないことがある。第1領域14は、上述したようなリード部であり得る。第1実施形態において、第1領域14は、インクジェット印刷法を利用して薄膜を形成するために、吐出ヘッド36からの液滴Dの吐出条件を調整するための検査領域(検査基板部)である。第2領域16は、実際の製造対象としての薄膜が形成される領域である。
図2及び図3を利用して、第1実施形態に係る薄膜製造方法で使用する液滴吐出装置18Aを説明する。液滴吐出装置18Aは、図2及び図3に示したように、搬送機構20と、インクジェット印刷装置22と、撮像装置24と、解析装置26と、乾燥装置28と、を備える。液滴吐出装置18Aは、搬送機構20と、インクジェット印刷装置22と、撮像装置24とを備えていれば、解析装置26及び乾燥装置28のうちの少なくとも一方を備えていなくてもよい。
搬送機構20は、巻出し部30と、巻出し部30から第1方向に離して配置された巻取り部32とを有し、ロールツーロール方式で基板10Aを搬送する。巻出し部30には、ロール状に巻かれた基板10Aがセットされる。巻出し部30から巻き出された基板10Aは、巻取り部32に巻きかけられ、ロール状に巻き取られる。巻出し部30から巻き出された基板10Aが、巻取り部32に巻き取られることによって、基板10Aは、巻出し部30から巻取り部32に向けて(すなわち第1方向に)連続的に搬送される。巻出し部30と巻取り部32の間には、基板10Aを支持する複数の搬送ロール34が設けられてもよい。通常、基板10Aへの塗布液の塗布開始位置から薄膜が形成されるまでは、基板10Aは水平搬送される。この水平搬送のため、例えば基板10Aをエア浮上させて水平を維持するエア浮上装置が用いられてもよい。
搬送機構20が複数の搬送ロール34を有する実施形態では、後述する吐出ヘッド36の下方近傍に位置する搬送ロール34の第1方向に対する向きを調整することによって、第1方向に搬送される基板10Aの搬送経路を調整することも可能である。よって、複数の搬送ロール34、特に、吐出ヘッド36の下方近傍に位置する複数の搬送ロール34は、吐出ヘッド36と基板10Aとの相対位置を調整する相対位置調整機構としても機能する。
インクジェット印刷装置22は、複数の液滴Dを、基板10A上に所定パターンで着弾するように吐出する。インクジェット印刷装置22は、吐出ヘッド36と、供給源38と、制御装置40とを有する。
吐出ヘッド36は、基板10A上に基板10Aから離して配置されており、形成すべき薄膜の材料を含む塗布液を液滴Dとして基板10A上に吐出する。吐出ヘッド36は、第1方向と交差する第2方向に沿って配置された複数のインクジェットノズル42を含む。吐出ヘッド36は、複数のインクジェットノズル42から、基板10A上に仮想的に設定される所定パターンで配置された目標着弾位置p(図5参照)に向けて液滴Dを吐出する。
第1実施形態では、第2方向は第1方向と実質的に直交する方向である。しかしながら、第2方向は第1方向と交差していればよい。図2及び図3では、一つの吐出ヘッド36を例示している。しかしながら、例えば、それぞれが複数のインクジェットノズル42を有する複数の吐出ヘッド36が、第2方向に沿って配置されていてもよい。吐出ヘッド36は、第2方向に沿って配置された複数のインクジェットノズル42を含むノズル列を、第1方向に複数有してもよい。或いは、インクジェット印刷装置22は、複数の吐出ヘッド36を、第1方向に複数有してもよい。
吐出ヘッド36は、例えば支持体44で支持される。支持体44は、例えば基板10Aに対する吐出ヘッド36の位置を調整可能に吐出ヘッド36を支持するように構成され得る。支持体44は、例えば第1方向及び第2方向の少なくとも一方に吐出ヘッド36を移動可能に構成されてもよいし、ある位置を中心に吐出ヘッド36を回転可能に構成されていてもよい。このような支持体44は、吐出ヘッド36と基板10Aとの相対位置を調整する相対位置調整機構として機能し得る。なお、図3では、図2に示した支持体44の図示を省略している。
供給源38は、吐出ヘッド36から液滴Dとして基板10Aに吐出する塗布液を貯留し、供給ラインを介して塗布液を吐出ヘッド36に供給する。
制御装置40は、複数のインクジェットノズル42からの液滴Dの吐出を制御する。液滴Dの吐出制御は、各インクジェットノズル42それぞれから液滴Dを吐出する場合と吐出しない場合の制御、及び、各インクジェットノズル42からの液滴Dの吐出量の制御を含む。制御装置40は、供給源38から吐出ヘッド36への塗布液の供給量を制御してもよい。
撮像装置24は、第1方向において、吐出ヘッド36の下流に配置されている。撮像装置24は、吐出ヘッド36から基板10Aに吐出され着弾した複数の液滴Dである複数の着弾液滴D1を着弾時の状態に近い状態で撮像できるように、吐出ヘッド36寄りに配置されていることが好ましく、吐出ヘッド36の直後に配置されていることがより好ましい。撮像装置24は、例えば、着弾液滴D1の体積が、着弾時の体積に対して1/20以下となる前、すなわち1/20より大きい体積の状態の着弾液滴D1を撮像できるように、配置され得る。吐出ヘッド36に対して着弾液滴D1の体積が1/20以下となる位置は、例えば着弾液滴D1の物性(固形分濃度及び沸点、蒸気圧、表面張力などの溶媒特性)、着弾液滴D1の周囲雰囲気の圧力、着弾液滴D1の周囲温度、基板10Aの搬送速度などによって規定され得る。
撮像装置24は、図4に例示したように、複数の着弾液滴D1が撮像領域Aに入るように配置されている。これにより、撮像装置24で得られた画像データに基づいて、複数の着弾液滴D1の着弾パターンを特定可能である。撮像領域Aの第2方向の長さは、第2方向に沿って配置された全ての複数の着弾液滴D1を有する着弾液滴列が撮像領域Aに含まれる長さであることが好ましい。更に、撮像領域Aの第1方向の長さは、基板10Aにおいて、第1方向において少なくとも隣接する2つの着弾液滴列が撮像領域Aに含まれる長さであることが好ましい。図4では、基板10Aの第2方向全体を撮像可能であり、かつ第1方向において3列分を撮像可能な撮像領域Aの例を示している。
撮像装置24は、複数の着弾液滴D1を一度に撮像可能な装置であれば限定されない。撮像装置24の例は、CCDカメラ、CMOSイメージセンサ、FoveonX3などである。撮像装置24は、例えば第2方向に沿って複数の撮像部を備えていてもよい。
解析装置26は、撮像装置24からの画像データを受け取り、画像データを解析する。解析装置26は、上記画像データを解析することによって、基板10A上における複数の着弾液滴D1の着弾状態、すなわち、各着弾液滴D1の着弾位置及び形状を特定する。これにより、複数の着弾液滴D1の着弾パターンも特定される。
解析装置26は、上記特定して得られる基板10A上の複数の着弾液滴D1の着弾状態に対して、所望の着弾状態(設計段階での着弾状態)、すなわち、複数の着弾液滴D1の目標着弾位置p及び形状を重畳し、表示する機能を有してもよい。
上記画像データの解析並びに画像の重畳などは、公知の画像処理ソフト(例えば画像認識ソフト)などを利用して行い得る。
解析装置26は、複数の着弾液滴D1の着弾状態と所望の着弾状態とを比較し、それらが一致するか異なるかを判定する機能及び判定結果を表示する機能を有してもよい。
図5は、上記判定基準の一例を説明するための図面である。図5において、互いに交差する一点鎖線の交点が目標着弾位置pを示している。図5では、複数の目標着弾位置pが格子パターンで配置されている場合を例示しているが、複数の目標着弾位置pが配置される所定パターンは格子パターンに限定されない。図5において、破線で示した円Cが、所望の着弾液滴D1の形状(サイズを含む)及び目標着弾位置pに対する所望の着弾液滴D1の配置である。実線で示した着弾液滴D1a,D1bは、所望の着弾状態と異なる状態で着弾した液滴の説明用の例示である。
図5に示したように、例えば、円Cからずれて液滴が着弾している場合(例えば、図5の着弾液滴D1a参照)、着弾液滴のサイズが設計上のものより小さい(例えば、図5の着弾液滴D1b)若しくは大きい場合の少なくとも一方を満たす場合、着弾液滴の形状が所望の形状と異なる場合、目標着弾位置p及びその近傍に液滴Dが着弾していない場合(すなわち対応するインクジェットノズル42から液滴Dが吐出されていない場合)の少なくとも一つを満たす場合には、解析装置26は、着弾液滴D1の着弾状態が、所望の着弾状態とは異なると判定する。
上記判定では、一定の許容範囲を考慮してもよい。例えば、着弾液滴D1が円Cからずれていても、一定の許容範囲内であれば円Cの状態で着弾していると判定してもよいし、着弾液滴D1の形状(サイズを含む)が所望の着弾液滴D1の形状とが異なっていても、一定の許容範囲内であれば同じ形状と判定してもよい。
基板10A上にアライメントマークが形成されており撮像装置24がアライメントマークも撮像する実施形態では、着弾液滴D1の着弾位置の特定及び特定された着弾位置と目標着弾位置pとの差の算出は、アライメントマークを基準位置として行ってもよい。同様に、撮像装置24が、基板10Aの第2方向における両端の少なくとも一方を撮像する場合は、上記アライメントマークの代わりに、上記両端の少なくとも一方を基準位置に使用してもよい。
解析装置26は、上記各種機能を実現するために演算部、記憶部及び制御部などを備え得る。解析装置26は、上記各種機能を実現可能に構成された専用の装置でもよい。或いは、例えばパーソナルコンピュータといった汎用コンピュータにおいて、上記各種機能を実現するプログラムを実施させることで上記汎用コンピュータを解析装置26として用いてもよい。
第1実施形態では、解析装置26を撮像装置24とは別の装置として説明している。しかしながら、撮像装置24に、解析装置26の上述した機能が組み込まれていてもよい。この場合、液滴吐出装置18Aは解析装置26を備えなくてもよい。
乾燥装置28は、図2に示したように、第1方向において撮像装置24の下流に配置される。乾燥装置28は、複数の着弾液滴D1がつらなった液膜LMを乾燥するように配置されている。乾燥装置28は、上記液膜LMを乾燥させて薄膜を形成する。
次に、液滴吐出装置18Aを用いた薄膜製造方法の一例を説明する。図6は、薄膜製造方法のフローチャートである。
まず、巻出し部30から基板10Aを第1領域14側から巻き出し、第1方向に連続的に搬送する。基板10Aを連続的に搬送しながら、吐出ヘッド36から、複数の液滴Dを所定の吐出条件で第1領域14上に吐出する(第1吐出工程S10)。
上記第1吐出工程S10において第1領域14に着弾した複数の液滴Dである複数の着弾液滴D1を撮像装置24で撮像する(撮像工程S11)。撮像装置24は得られた画像のデータを解析装置26に入力する。
撮像工程S11で撮像された画像データに基づいて、複数の着弾液滴D1の着弾状態が所望の着弾状態と異なるか否かを判定する(判定工程S12)。解析装置26が前述したように判定機能を有する実施形態を用いて、上記判定工程S12を具体的に説明する。
まず、解析装置26が、撮像装置24から入力された画像データを解析し、基板10A上における複数の着弾液滴D1の着弾状態、すなわち、各着弾液滴D1の着弾位置及び形状を特定する。次に、特定された複数の着弾液滴D1の着弾状態と、所望の着弾状態(設計段階での着弾状態)とを比較することで、複数の着弾液滴D1の着弾状態が所望の着弾状態と異なるか否かを判定する。判定基準は、例えば図5を利用して説明したとおりである。
解析装置26が前述したように判定機能を有しない場合、例えば、解析装置26により特定された基板10A上の複数の着弾液滴D1の着弾状態と、所望の着弾状態とをユーザが比較し、判定してもよい。この場合、解析装置26は、基板10A上の複数の着弾液滴D1の着弾状態に対して、所望の着弾状態、すなわち、複数の着弾液滴D1の目標着弾位置p及び形状を重畳し、表示する機能を有することが好ましい。
判定工程S12において、複数の着弾液滴D1の着弾状態が所望の着弾状態と異なると判定された場合(判定工程S12で「NO」)、複数の着弾液滴D1の着弾状態が所望の着弾状態となるように、所定の吐出条件を調整する(調整工程S13)。
調整工程S13では、例えば、吐出ヘッド36と基板10Aとの相対位置関係、第2方向に沿った複数の液滴Dの吐出位置、液滴Dの時間的な吐出間隔の少なくとも一つを調整する。吐出ヘッド36と基板10Aとの相対位置関係の調整は、吐出ヘッド36が例えば図2を利用して説明した支持体44に支持されていれば、支持体44によって吐出ヘッド36の位置を調整してもよいし、例えば、吐出ヘッド36の下方に搬送ロール34が配置されている場合、その複数の搬送ロール34の配置状態を調整して、基板10Aの搬送経路を調整してもよい。第2方向に沿った複数の液滴Dの吐出位置の調整は、例えば、吐出ヘッド36が有する複数のインクジェットノズル42のうち液滴Dを吐出するインクジェットノズル42の選択条件を変更することを含む。
上記第1吐出工程S10、撮像工程S11、判定工程S12及び調整工程S13を、判定工程S12で、複数の着弾液滴D1の着弾状態が所望の着弾状態であると判定されるまで繰り返す。基板10Aは、その間も搬送されるので、基板10Aにおいて、複数の着弾液滴D1の着弾状態が所望の着弾状態であると判定されるまでの領域が第1領域14とみなせる。
判定工程S12において、複数の着弾液滴D1の着弾状態が所望の着弾状態であると判定された場合(判定工程S12で「YES」)、この判定後に連続的に搬送されてくる基板10Aを第2領域16と見なして、第2吐出工程S14を実施する。この第2吐出工程S14では、基板10Aを連続的に搬送しながら、吐出ヘッド36から複数の液滴Dを、第1吐出工程S10の場合と同じ所定の吐出条件で基板10A上に吐出する。調整工程S13で、例えば第1吐出工程S10での所定の吐出条件が調整されている場合、第2吐出工程S14での液滴Dの吐出条件は、調整後の吐出条件である。
その後、第2吐出工程S14において基板10A上に吐出された複数の液滴Dで形成される液膜を乾燥装置28で乾燥させて薄膜を得る(乾燥工程S15)。
上記薄膜製造方法では、第1吐出工程S10、撮像工程S11、判定工程S12及び調整工程S13を実施することで、所定の吐出条件を管理している。よって、第1吐出工程S10、撮像工程S11、判定工程S12及び調整工程S13は、所定の吐出条件の管理工程でもある。一方、第2吐出工程S14及び乾燥工程S15によって、実際に薄膜を形成している。よって、第2吐出工程S14及び乾燥工程S15は、薄膜形成工程である。
インクジェット印刷法では、まず、複数の液滴Dを基板10A上に着弾させる。着弾した液滴Dは時間が経つにつれて広がることを利用して、液膜LMを形成する。その液膜LMを乾燥させることで薄膜が得られる。よって、薄膜を所望の状態で形成するためには、液滴Dを、基板10A上に所望の着弾状態で着弾させる必要がある。
液滴吐出装置18A及びそれを利用した薄膜製造方法では、複数の液滴Dが撥液領域(第1領域14の場合も含む)に着弾すると、着弾した上記複数の液滴Dである複数の着弾液滴D1を撮像装置24で撮像する。撮像装置24で得られた画像に基づいて、複数の着弾液滴D1の着弾状態(着弾位置、着弾液滴D1の形状などを含む)が、所望の着弾状態か否かを判定可能である。このように判定が可能であることで、複数の着弾液滴D1の着弾状態が、所望の着弾状態でない場合には、液滴Dの吐出条件を、複数の着弾液滴D1の着弾状態が所望の着弾状態となるように、調整できる。このように調整された吐出条件では、複数の液滴Dは、所望の着弾状態で撥液領域に着弾する。薄膜は、複数の着弾液滴D1によって形成されるので、複数の着弾液滴D1の着弾状態が所望の着弾状態であれば、所望の状態の薄膜を形成可能である。従って、薄膜の製造歩留まりが向上する。この場合、製造に要するエネルギーを節約できるとともに、不良品などが生じにくいので、薄膜の製造に要する材料及び部材などを有効に活用できる。すなわち、液滴吐出装置18A及びそれを利用した薄膜製造方法は、省エネ及び省資源に資する。
液滴吐出装置18A及びそれを利用した薄膜製造方法では、実際に薄膜を形成する装置において、吐出ヘッド36からの液滴Dの吐出条件を調整するので、所望の状態の薄膜を形成しやすい。
液滴吐出装置18A及び薄膜製造方法では、撮像装置24による撮像を利用することで、複数の着弾液滴D1に対する情報を一括して得ることができる。そのため、基板10Aを搬送しながらリアルタイムで、複数の着弾液滴D1に対する情報を取得できるので、着弾時に近い着弾状態と所望の着弾状態とを比較可能である。
撥液領域に着弾した液滴D(着弾液滴D1)の接触角が例えば90°を超える場合(撥液性が大きすぎる場合)、着弾液滴D1は着弾位置から移動し易く、着弾位置を特定しにくい。一方、着弾液滴D1の接触角が30°より小さい場合(撥液性が小さすぎる場合)、着弾液滴D1は着弾と同時に濡れ広がりすぐに他の着弾液滴D1と合体するなどして、個々の着弾液滴D1の大きさ、位置などの測定がしにくい。よって、撥液領域は、着弾液滴D1の接触角が30°〜90°である一定の撥液性を有することが好ましい。この場合、着弾液滴D1は、着弾位置からの移動が抑制されるとともに、上述したような着弾直後における個々の着弾液滴D1の合体が抑制された状態で溶媒が蒸発していくので、正確な着弾状態を把握し易い。
撮像装置24が、吐出ヘッド36と乾燥装置28との間に配置されている実施形態では、着弾液滴D1が乾く前の状態、すなわち、着弾時の状態に近い状態で着弾液滴D1を撮像できる。
液滴Dの撮像は、着弾と乾燥する前の状態との間の任意の時点で実施可能である。しかしながら、溶媒の蒸発が進んで着弾液滴D1の高さが低くなると着弾状態の計測が難しくなる傾向があるので、低くなりすぎない時点で撮像することが望ましい。すなわち液滴体積が着弾時の体積の1/20より大きい体積を有する間に液滴を撮像することが好ましい。
吐出条件は、通常、例えば目標着弾位置pを目指して液滴Dを吐出するように設定されている。よって、所望の着弾状態と比較する着弾液滴D1の着弾状態は、着弾時の状態により近い状態であることが好ましい。一方、撥液領域の撥液性が適度でない場合(例えば、上述した一定の撥液性と異なる場合)には、時間が経つと着弾位置から液滴Dがずれたり、サイズ及び形状が大幅に変わる場合もある。よって、所望の着弾状態と比較すべき着弾液滴D1の状態が、そもそも着弾時の状態と変わっている場合があり得る。
そのため、上述したように、着弾時の状態に近い状態の複数の着弾液滴D1を撮像できるように、撮像装置24が配置されていることが、所望の着弾状態になるように吐出条件を設定するために好ましい。よって、例えば、撮像装置24は、吐出ヘッド36の直後のように、吐出ヘッド36寄りに配置されていることが好ましい。例えば、撮像装置24は、着弾した液滴Dの体積が1/20以下となる前に、着弾液滴D1を撮像できるように、配置されていることが好ましい。
撮像装置24の撮像領域Aが、第2方向において、少なくとも上記第2方向に沿って配置された全ての複数の上記着弾液滴を有する着弾液滴列を含むように設定されている実施形態では、着弾液滴D1の着弾パターンを把握できる。更に、撮像領域Aが、第1方向において、少なくとも隣接する2つの着弾液滴列を含む場合は、着弾液滴D1の着弾パターンをより一層把握しやすい。
(第2実施形態)
第2実施形態として、第1実施形態で説明した液滴吐出装置18A及び薄膜製造方法を利用した、有機電子デバイスの一例である有機ELデバイスの製造方法を説明する。
図7は、一実施形態に係る液滴吐出装置18A及び薄膜製造方法を用いて製造される有機ELデバイス46の概略構成を示す模式図である。有機ELデバイス46は、基板(下地基板)10Bと、基板10B上に順に設けられた陽極層(第1電極層)48、有機EL部50及び陰極層(第2電極層)52とを有する。以下では、断らない限り、有機ELデバイス46は、ボトムエミッション型のデバイスである。
[基板]
基板10Bは、有機ELデバイス46が出射する光(波長400nm〜800nmの可視光を含む)に対して透光性を有する。基板10Bの厚さの例は、30μm〜700μmである。
基板10Bは、プラスチック基板及び高分子フィルムなどの可撓性基板である。基板10Bの材料としては、例えばポリエーテルスルホン(PES);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル樹脂;アセタール樹脂;ポリイミド樹脂;エポキシ樹脂が挙げられる。上記のような基板10Bは、非浸透性を有し且つ撥液性(例えば、第1実施形態で例示した一定の撥液性)を有する。基板10B上には、水分バリア機能を有するバリア層が形成されていてもよい。バリア層は、水分をバリアする機能に加えて、ガス(例えば酸素)をバリアする機能を有してもよい。
[陽極層]
陽極層48は基板10B上に設けられている。陽極層48には、光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物及び金属等の薄膜を用いることができ、光透過率の高い薄膜が好適に用いられる。陽極層48は、導電体(例えば金属)からなるネットワーク構造を有してもよい。陽極層48の厚さは、光の透過性、電気伝導度等を考慮して決定され得る。陽極層48の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陽極層48の材料としては、例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、銅等が挙げられ、これらの中でもITO、IZO、又は酸化スズが好ましい。陽極層48は、例示した材料からなる薄膜として形成され得る。陽極層48の材料には、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機物を用いてもよい。この場合、陽極層48は、透明導電膜として形成され得る。
[有機EL部]
有機EL部50は、陽極層48及び陰極層52に印加された電圧に応じて、電荷の移動及び電荷の再結合などの有機ELデバイス46の発光に寄与する機能部である。有機EL部50は発光層50aを有する。図7では、有機EL部50が発光層50aである場合を示している。
発光層50aは、光(可視光を含む)を発する機能を有する機能層である。発光層50aは、有機層であり、通常、主として蛍光及びりん光の少なくとも一方を発光する有機物、又はこの有機物とこれを補助するドーパント材料とから構成される。ドーパント材料は、例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。上記有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよい。発光層50aの厚さは、例えば約2nm〜200nmである。
主として蛍光及びりん光の少なくとも一方を発光する発光性材料である有機物としては、例えば以下の色素系材料、金属錯体系材料及び高分子系材料が挙げられる。
(色素系材料)
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などが挙げられる。
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、又はAl、Zn、Be、Ir、Ptなどを中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを配位子に有する金属錯体が挙げられ、例えばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体などが挙げられる。
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどが挙げられる。
(ドーパント材料)
ドーパント材料としては、例えばペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどが挙げられる。
有機EL部50は、発光層50aの他、少なくとも一つの機能層を有してもよい。すなわち、有機EL部50は多層構造を有してもよい。有機EL部50の層構成の例を以下に示す。下記層構成の例では、陽極層48及び陰極層52と各種機能層の配置関係を示すために、陽極層及び陰極層も括弧書きで記載している。
(a)(陽極層)/正孔注入層/発光層/(陰極層)
(b)(陽極層)/正孔注入層/発光層/電子注入層/(陰極層)
(c)(陽極層)/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
(d)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/(陰極層)
(e)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/(陰極層)
(f)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
(g)(陽極層)/発光層/電子注入層/(陰極層)
(h)(陽極層)/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
記号「/」は、記号「/」の両側の層同士が接合していることを意味している。
正孔注入層は、陽極層48から発光層50aへの正孔注入効率を向上させる機能を有する機能層である。正孔注入層は、無機層でもよいし、有機層でもよい。正孔注入層の材料は公知の材料が用いられる。
正孔輸送層は、正孔注入層(又は正孔注入層がない場合には陽極層48)から正孔を受け取り、発光層50aまで正孔を輸送する機能を有する機能層である。正孔輸送層は有機層である。正孔輸送層の材料には公知の材料が用いられる。
電子輸送層は、電子注入層(又は電子注入層がない場合には陰極層52)から電子を受け取り、発光層50aまで電子を輸送する機能を有する機能層である。電子輸送層は有機層である。電子輸送層の材料には公知の材料が用いられ得る。
電子注入層は、陰極層52から発光層50aへの電子注入効率を向上させる機能を有する機能層である。電子注入層は無機層でもよいし、有機層でもよい。電子注入層の材料は、公知の材料でよい。
正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層の厚さは、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
[陰極層]
陰極層52は、有機EL部50上に設けられている。陰極層52の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、電気伝導度、耐久性等を考慮して設定される。陰極層52の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
有機EL部50からの光(具体的には、発光層からの光)が陰極層52で反射して陽極層48側に進むように、陰極層52の材料は、有機EL部50が有する発光層からの光(特に可視光)に対して反射率の高い材料が好ましい。陰極層52の材料としては、例えばアルミニウム、銀等が挙げられる。陰極層52として、導電性金属酸化物及び導電性有機物等からなる透明導電性電極を用いてもよい。
有機ELデバイス46は、有機EL部50の水分などによる劣化を防止するための封止部材を備えてもよい。封止部材は、少なくとも有機EL部50を封止するように陰極層52上に設けられ得る。封止部材で少なくとも有機EL部50を封止する形態では、例えば、陽極層48及び陰極層52の一部は、外部接続のために封止部材から引き出され得る。
次に、有機ELデバイス46の製造方法の一例を説明する。有機ELデバイス46を製造する場合、可撓性を有する長尺の基板10Bを準備する。基板10Bをその長手方向に搬送しながら、基板10Bに離散的に設定された複数のデバイス形成領域それぞれの上に、陽極層48、有機EL部50及び陰極層52を順に形成する。すなわち、陽極層48を形成する陽極層形成工程、有機EL部50を形成する有機EL部形成工程及び陰極層52を形成する陰極層形成工程をこの順で実施する。有機EL部50が多層構造を有する形態の有機EL部形成工程では、有機EL部50が有する複数の層(機能層)のうち陽極層48側の層から順に形成すればよい。
陰極層形成工程で陰極層52を形成した後、各デバイス形成領域を個片化することによって、有機ELデバイス46を得る。有機ELデバイス46が、少なくとも有機EL部50を封止する封止部材を備える形態では、陰極層52を形成した後の基板10Bに封止部材を設ければよい。
有機ELデバイス46の製造方法では、有機ELデバイス46が有する複数の層、すなわち、陽極層48、有機EL部50に含まれる少なくとも一つの機能層及び陰極層52のうち、少なくとも一つの層(以下、「着目層」と称す)を、本実施形態の液滴吐出装置18A及びそれを用いた薄膜製造方法で形成する。有機ELデバイス46が有する複数の層のうち上記着目層以外の層は、ドライ成膜法で形成されてもよい。ドライ成膜法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法などが挙げられる。着目層の厚さは、例えば第1実施形態で例示した薄膜の厚さであればよい。
第1実施形態で説明した薄膜製造方法を利用して上記着目層を形成する場合を説明する。有機ELデバイス46が有する着目層を形成する場合、上記長尺の基板10Bを、第1実施形態で説明した基板10Aとして使用する。図6に示したフローチャートにおいて、第1吐出工程S10、撮像工程S11、判定工程S12及び調整工程S13、すなわち、管理工程は、着目層としての薄膜を形成する第2吐出工程S14及び乾燥工程S15を実施する前に行っていればよい。したがって、例えば、着目層が、有機EL部50が有する機能層である場合、次のような形態であってもよい。まず、陽極層形成工程を実施する前に、第1吐出工程S10、撮像工程S11、判定工程S12及び調整工程S13を行う。次いで、陽極層形成工程を行う。その後、第2吐出工程S14及び乾燥工程S15を実施して着目層としての薄膜を形成する。
有機EL部50が多層構造である実施形態において、例えば有機EL部50が有する複数の機能層を全て第1実施形態で説明した薄膜製造方法を利用して形成する場合、液滴吐出装置18Aでは、有機EL部50が有する複数の機能層それぞれの材料を基板10B(10A)に吐出するためのインクジェット印刷装置22及び撮像装置24の組が、基板10B(10A)の搬送方向に沿って配置され得る。このような実施形態では、複数のインクジェット印刷装置22に対して少なくとも一つの制御装置40があればよく、複数の撮像装置24に対して少なくとも一つの解析装置26があればよい。
有機EL部50が有する複数の機能層を全て第1実施形態で説明した薄膜製造方法を利用して形成する実施形態では、基板10Aの第1領域14に相当する基板10Bの領域を、各機能層に対応する対応領域に分割し、基板10Bを搬送しながら、機能層形成のためのインクジェット印刷装置22とそれに対応する撮像装置24の組を利用して、各機能層に対応する対応領域に対して第1吐出工程S10、撮像工程S11、判定工程S12及び調整工程S13を実施すればよい。
上記有機ELデバイス46の製造方法は、第1実施形態で説明した液滴吐出装置18A及び薄膜製造方法を利用している。この場合、有機ELデバイス46に含まれ薄膜製造方法で形成される層を所望の状態で形成できる。有機ELデバイス46では、層の状態がデバイス特性に影響を与えやすい。そのめ、所望の状態の層を形成できることで、設計段階で想定した特性を有する有機ELデバイス46を効率的に製造できる。すなわち、上記有機ELデバイス46の製造方法では、有機ELデバイス46の高い製造歩留まりを実現できる。この場合、製造に要するエネルギーを節約できるとともに、不良品などが生じにくいので、有機ELデバイス46の製造に要する材料及び部材などを有効に活用できている。すなわち、上記有機ELデバイス46の製造方法は、省エネ及び省資源に資する。
以上、本発明の種々の実施形態を説明した。しかしながら、本発明は、例示した種々の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
これまでの説明では、薄膜が形成される下地基板は、表面全体が撥液領域である基板であった。しかしながら、下地基板の表面の一部が撥液領域であればよい。このような実施形態において、下地基板が長尺形状を有し、第1実施形態で説明したように、下地基板の第1領域を、検査基板部として使用し、第1領域以外の領域に含まれる第2領域を、製造すべき薄膜を形成する領域として使用する場合、第1領域及び第2領域が同じ撥液性を有する撥液領域であればよい。
下地基板は、薄膜製造方法が実施されるまで(すなわち、第1吐出工程が実施されるまで)は撥液領域を有しなくてもよい。このような実施形態を、液滴吐出装置の他の例を模式的に示した図8を利用して説明する。撥液領域を有しない基板を、説明の便宜のため、基板原板10Cと称するとともに、重複する説明を省略するため、図2に示した液滴吐出装置18Aと対応する要素には同じ符号をつけて液滴吐出装置18Bを説明する。
図8に示した液滴吐出装置18Bが有する巻取り部32には、ロール状の基板原板10Cがセットされる。液滴吐出装置18Bは、第1方向において、吐出ヘッド36の上流に、基板原板10Cを撥液処理する撥液処理装置54を更に備える。撥液処理装置54は、例えば基板原板10Cの表面をプラズマ処理することで基板原板10Cの表面に撥液性を付与する。この液滴吐出装置18Bでは、巻取り部32から巻き出された基板原板10Cは、撥液処理装置54内を通過する際に、撥液処理されることで撥液領域が付与される。よって、撥液処理装置54より下流の基板原板10Cが、第1実施形態で説明した基板(下地基板)10Aとして機能する。液滴吐出装置18Bにおいて、撥液処理装置54より下流の構成は、液滴吐出装置18Aと同様であるので、液滴吐出装置18Bを用いて薄膜を形成する場合には、第1吐出工程の前に撥液処理装置により撥液処理工程を実施する点以外は、第1実施形態で説明した薄膜製造方法を実施可能である。
図8に示した液滴吐出装置18Bの説明では、撥液処理装置54を、撥液領域を有しない基板原板10Cに撥液領域を形成する装置として説明した。しかしながら、撥液処理装置54は、例えば、第1実施形態で説明した基板(下地基板)が有する撥液領域の撥液性を調整するために用いられてもよい。
下地基板が有する撥液領域の撥液性、特に、図8に示した液滴吐出装置18Bの場合のように、撥液処理装置による表面処理して得られた撥液領域の撥液性は、撥液領域に着弾した液滴の濡れ性(液滴の広がり)から把握し得る。薄膜製造方法で使用する液滴に対して種々の撥液性を有する撥液領域に対する接触角及び着弾した際の液滴の体積との関係を事前に実験的に求めておけば、撮像装置で得られた画像データを解析することで、下地基板が有する撥液領域と着弾した液滴との接触角をリアルタイムで算出できる。すなわち、薄膜形成用の液滴に対する撥液領域の撥液性をリアルタイムで評価できる。よって、撥液性が所望の撥液性(例えば、液滴の接触角が例示した範囲を実現する撥液性)でない場合、撥液処理装置を用いて撥液領域の撥液性を調整可能である。
薄膜製造方法において実際に薄膜を形成する前の工程である管理工程、すなわち、第1吐出工程、撮像工程、判定工程及び調整工程までは、長尺形状を有する基板の一部(第1領域)を利用して行っていた。しかしながら、上記管理工程は、実際に薄膜を形成するための下地基板が有する撥液領域と同じ撥液性を有する限り、実際に薄膜を形成するための下地基板とは別の基板である検査基板部を用いて行ってもよい。検査基板部は、長尺形状でもよいし、枚葉形状でもよい。このように、実際に薄膜を形成するための下地基板とは別の検査基板部を使用する実施形態において、例えば、第2実施形態で説明したように、有機ELデバイスを、図6に示した薄膜製造方法を利用して製造する場合、有機ELデバイスの製造を適宜中断して、検査基板部を搬送機構で搬送しながら、上記管理工程を実施して液滴の吐出条件を再調整してもよい。これにより、薄膜をより所望の状態で形成できる。
更に、長尺形状を有する基板の搬送方向において、下地基板のうち先端側近傍の部分を第1領域として説明した。しかしながら、例えば、下地基板を搬送する際、吐出ヘッドの下を、第1領域の後に第2領域が通過するように、少なくとも一つの第1領域及び第2領域の組が設定されていればよい。よって、長尺の基板において、第2領域の位置が把握できていれば、例えば、長尺形状を有する下地基板を搬送しながら薄膜を形成する過程において、薄膜の形成を一旦中断して、上記管理工程を実施して液滴の吐出条件を再調整してもよい。
液滴吐出装置が有する搬送機構は、下地基板を搬送できればロールツーロール方式の搬送機構に限定されない。
第1実施形態では、液滴吐出装置が、吐出ヘッドと下地基板との相対位置を調整する相対位置調整機構を備える実施形態において、相対位置調整機構の例として、吐出ヘッドを動かす機構の例として支持体44(図2参照)を例示し、下地基板を動かす機構の例として搬送ロール34を例示した。しかしながら、相対位置調整機構は、吐出ヘッドを動かす機構及び基板を動かす機構の少なくとも一方を備えていれば良い。
第2実施形態で説明した有機ELデバイスの製造方法は、陽極層形成工程、有機EL部形成工程及び陰極層形成工程を備える。しかしながら、例えば陽極層が予め形成された基板を準備しておけば、陽極層形成工程は不要であり、有機ELデバイスの製造方法は、有機EL部形成工程及び陰極層形成工程を備えればよい。
下地基板として、基板10A及び基板10Bを例示した。しかしながら、下地基板は、基板10A又は基板10Bを含み、例示した撥液領域を有していればよい。例えば、第2実施形態において、着目層の形成前に、基板10B上に他の層が形成されている場合、下地基板は、基板10Bと、その他の層とを有する基板であり得る。例えば、基板10B上に、陽極層を形成した後、着目層を形成する場合、下地基板は、陽極層と基板10Bとを有する。この場合、陽極層を形成した後に、第1吐出工程S10、撮像工程S11、判定工程S12及び調整工程S13を実施してもよい。
第1の電極層が陽極層であり、第2電極層が陰極層である場合を説明したが、第1電極層が陰極層であり、第2電極層が陽極層でもよい。
10A,10B…基板(下地基板)、10C…基板原板、12…表面(撥液領域)、14…第1領域、16…第2領域、18A,18B…液滴吐出装置、20…搬送機構、22…インクジェット印刷装置、24…撮像装置、26…解析装置、28…乾燥装置、34…搬送ロール(相対位置調整機構)、36…吐出ヘッド、42…インクジェットノズル(ノズル)、44…支持体(相対位置調整機構)、46…有機ELデバイス(有機電子デバイス)、48…陽極層(第1電極層)、50a…発光層(機能層)、52…陰極層、54…撥液処理装置、A…撮像領域、D…液滴、D1…着弾液滴。

Claims (20)

  1. 撥液領域を有する下地基板を第1方向に搬送する搬送機構と、
    前記第1方向に交差する第2方向に配置されており液滴を吐出するための複数のノズルを有する吐出ヘッドと、
    前記第1方向において前記吐出ヘッドの下流に配置されており、前記吐出ヘッドから吐出され前記撥液領域に着弾した複数の前記液滴である複数の着弾液滴を撮像する撮像装置と、
    を備える、
    液滴吐出装置。
  2. 前記第1方向において前記吐出ヘッドの下流に配置される乾燥装置を更に備え、
    前記撮像装置は、前記吐出ヘッドと前記乾燥装置との間に配置されている、
    請求項1に記載の液滴吐出装置。
  3. 前記第1方向において、前記撮像装置は、前記吐出ヘッド寄りに配置されている、
    請求項1又は2に記載の液滴吐出装置。
  4. 前記第1方向において、前記撮像装置は、前記着弾液滴の体積が着弾時の体積の1/20より大きい体積を有する前記着弾液滴を撮像可能に、配置されている、
    請求項1〜3の何れか一項に記載の液滴吐出装置。
  5. 前記撮像装置で得られた画像データを解析することによって、複数の前記着弾液滴を特定する解析装置を更に備える、
    請求項1〜4の何れか一項に記載の液滴吐出装置。
  6. 前記撮像装置は、少なくとも前記第2方向に沿って配置された全ての複数の前記着弾液滴を有する着弾液滴列を含むように、複数の前記着弾液滴を撮像する、
    請求項1〜5の何れか一項に記載の液滴吐出装置。
  7. 前記撮像装置は、前記第1方向において少なくとも隣接する2つの前記着弾液滴列を含むように、複数の前記着弾液滴を撮像する、
    請求項6に記載の液滴吐出装置。
  8. 前記下地基板は長尺形状を有する、
    請求項1〜7の何れか一項に記載の液滴吐出装置。
  9. 前記搬送機構は、ロールツーロール方式で前記下地基板を搬送する、
    請求項1〜8の何れか一項に記載の液滴吐出装置。
  10. 前記吐出ヘッドの上流に配置される撥液処理装置を更に備え、
    前記撥液領域は、前記下地基板のうち前記撥液処理装置によって撥液処理が施された領域である、
    請求項1〜9の何れか一項に記載の液滴吐出装置。
  11. 前記下地基板と前記吐出ヘッドとの相対位置を調整する相対位置調整機構を備える、
    請求項1〜10の何れか一項に記載の液滴吐出装置。
  12. 撥液領域を有する下地基板を第1方向に搬送しながら、薄膜材料を含む複数の液滴を前記撥液領域上に吐出して薄膜を製造する薄膜製造方法であって、
    前記撥液領域と実質的に同じ撥液性を有する検査基板部を、前記第1方向に搬送しながら、前記第1方向に交差する第2方向に配置された複数のノズルを有する吐出ヘッドから、複数の前記液滴を所定の吐出条件で吐出する第1吐出工程と、
    前記第1吐出工程において前記検査基板部に着弾した複数の前記液滴である複数の着弾液滴を撮像する撮像工程と、
    前記撮像工程で得られた画像データに基づいて、複数の前記着弾液滴の着弾状態が所望の着弾状態と異なるか否かを判定する判定工程と、
    前記下地基板を前記第1方向に搬送しながら、前記吐出ヘッドから複数の前記液滴を前記所定の吐出条件で前記撥液領域に吐出する第2吐出工程と、
    前記第2吐出工程において前記撥液領域に吐出された複数の前記液滴で形成される液膜を乾燥させて薄膜を得る乾燥工程と、
    を備え、
    前記第2吐出工程の前に、前記第1吐出工程、前記撮像工程及び前記判定工程を実施し、
    前記判定工程において、複数の前記着弾液滴の着弾状態が所望の着弾状態と異なると判定した場合、前記第2吐出工程の前に、複数の前記着弾液滴の着弾状態が所望の着弾状態となるように、前記所定の吐出条件を調整する調整工程を実施する、
    薄膜製造方法。
  13. 前記撮像工程では、前記着弾液滴の体積が着弾時の体積の1/20以下になる前に、前記着弾液滴を撮像する、
    請求項12に記載の薄膜製造方法。
  14. 前記所定の吐出条件は、前記吐出ヘッドと前記下地基板との相対位置関係、前記吐出ヘッドにおける前記第2方向に沿った複数の前記液滴の吐出位置、前記液滴の時間的な吐出間隔の少なくとも一つを含む、
    請求項12又は13に記載の薄膜製造方法。
  15. 前記調整工程では、前記液滴の着弾時に、複数の前記着弾液滴が互いに接しないように、前記第2方向に沿った複数の前記液滴の吐出位置を調整する、
    請求項12〜14の何れか一項に記載の薄膜製造方法。
  16. 前記調整工程では、複数の前記ノズルのうち前記液滴を吐出するノズルの選択条件を変更することによって、前記第2方向に沿った複数の前記液滴の吐出位置を調整する、
    請求項15に記載の薄膜製造方法。
  17. 前記調整工程では、前記液滴の着弾時に、前記第1方向において隣接する前記着弾液滴が互いに接しないように、前記吐出ヘッドからの前記液滴の時間的な吐出間隔を調整する、
    請求項15又は16に記載の薄膜製造方法。
  18. 前記下地基板は長尺形状を有し、
    前記下地基板は、前記下地基板の長手方向において順に同じ撥液性を有する第1領域及び第2領域を有し、
    前記第1領域が前記検査基板部であり、
    前記下地基板を前記検査基板側から前記基板の長手方向に搬送しながら前記検査基板部に対して前記第1吐出工程を実施し、
    前記下地基板の前記長手方向において前記第2領域に対して前記第2吐出工程を実施する、
    請求項12〜17の何れか一項に記載の薄膜製造方法。
  19. 前記第1吐出工程の前に、撥液領域を有しない基板原板の表面を撥液処理して、撥液領域を有する前記下地基板を形成する撥液処理工程を更に備える、
    請求項12〜18の何れか一項に記載の薄膜製造方法。
  20. 基板上に順に設けられた第1電極層、機能層及び第2電極層を有する有機電子デバイスを製造する方法であって、
    前記第1電極層、前記機能層及び前記第2電極層のうち少なくとも一つの層を、請求項12〜19の何れか一項に記載の薄膜製造方法で、前記基板を含むと共に撥液領域を有する下地基板上に形成する、
    有機電子デバイスの製造方法。
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