JP2005322437A - 有機el素子の製造方法及び有機el素子並びに電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 有機EL素子において、塗布法によって形成された発光層と、真空蒸着法によって形成された有機低分子層との密着力を高める。
【解決手段】 発光層4上に有機低分子層5を形成した後、該有機低分子層5を加熱処理する。蒸着される有機低分子系材料の分子や分子団は加熱処理によって有機低分子層5と発光層4との界面付近で拡散し、有機低分子層5と発光層4との密着力が向上する。加熱処理を行う温度は有機低分子層5のガラス転移温度以下であり、有機低分子層5が結晶化することもない。よって、有機低分子層5の電子輸送性も損なわれることがない。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば、塗布法によって形成された発光層上に、真空蒸着法によって形成された有機低分子層を備えた有機EL素子、及びその製造方法、並びにそのような有機EL素子を具備する各種電子機器の技術分野に関する。
有機EL(Electroluminescence)素子では、基板上に形成された電極膜上に、少なくとも一層の有機化合物からなる有機薄膜たる発光層が成膜され、更にこの上に、他の電極膜が成膜される。
有機EL素子の特性に影響を及ぼす因子として、発光層への電子・正孔の注入バランスの制御、積層した膜どうしの密着性が挙げられ、これらの因子と有機EL素子の劣化との間には相関が見られる。有機EL素子の発光特性や寿命を向上させるためにも有機薄膜の成膜技術は重要な課題であり、様々な検討がなされている。
例えば、特許文献1に開示された有機EL素子の製造方法によれば、真空蒸着法を用いて低分子色素からなる有機層の成膜後に、この有機層を構成する材料の中で最も低いガラス転移温度から−20℃〜+20℃の温度範囲で加熱処理することで、有機EL素子の長寿命化を可能としている。
さらに、特許文献2に開示された技術によれば、基板上、又は基板上に形成された正孔注入/輸送層上に、有機発光材料と所定の溶媒とを含む有機EL素子用インク組成物を吐出し、真空中での加熱処理をしている。
特開平11−40352号公報 特開2003−282248号公報
しかしながら、インクジェット方式の如き塗布法で作製する有機薄膜は、積層した膜同士の界面における密着性が高くないため、有機EL素子の素子特性に悪影響を及ぼすという問題点がある。また、塗布法では、積層した膜同士が相溶することから、真空蒸着法に比べて積層することが難しい。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、例えば、インクジェット方式の如き塗布法によって形成された発光層上に、有機低分子系材料を真空蒸着法で積層してなる有機EL素子の層間の密着力及び発光特性を高めることを可能ならしめる、有機EL素子の製造方法、及び有機EL素子、並びにそのような有機EL素子を具備する各種電子機器を提供することを課題とする。
本発明に係る有機EL素子の製造方法は上記課題を解決するために、第1の有機層を塗布法によって形成する塗布工程と、前記第1の有機層上に真空蒸着法によって第2の有機層を形成する蒸着工程と、前記第2の有機層を前記第2の有機層のガラス転移温度以下の温度で加熱処理する加熱処理工程とを備える。
本発明に係る有機EL素子の製造方法によれば、例えば、有機高分子系材料を塗布して発光層を形成し、その発光層上に有機低分子系材料を真空蒸着して有機低分子層を形成する。このような有機低分子層を該有機低分子層のガラス転移温度以下の温度で加熱処理することにより、有機低分子層と発光層との接触面積を増大させることができ、これら有機薄膜間の密着力を高めることが可能になる。従って、このようにして形成された有機EL素子は、素子寿命や発光特性の如き素子特性が高められていることになる。また、ガラス転移温度以下の温度で加熱処理される第2の有機層は、例えば、発光層と電極膜との間に設けられる電極界面層に限定されるものではなく、電極膜であってもよい。発光層等の第2の有機層を形成する材料は、有機高分子系材料に限定されるものではなく、有機低分子系材料であってもよい。例えば、有機高分子系材料とは、分子量が1万以上の有機材料であり、有機低分子系材料とは、分子量が数十〜数百程度の有機材料である。
本発明に係る有機EL素子の製造方法の一態様では、前記塗布工程において、前記第1の有機層をインクジェット方式により形成する。
この態様によれば、インクジェット方式は、発光層を形成する有機高分子材料を所定の領域にのみ塗布することができるため、該有機高分子材料を殆ど無駄にすることがない。また、インクジェット方式によれば、真空蒸着法のようにチャンバー内で成膜する必要がなく、簡便に発光層を形成することが可能となり、設備投資を低減することもできる。したがって、有機EL素子の製造コストを低減することが可能となる。
インクジェット方式によれば、例えば、赤、青、緑の三原色に対応する組成物を所定のパターンで吐出することにより、各色に発光する素子を複数形成することも容易である。また、インクジェット方式によれば、任意の組成物量、組成物の噴射回数、形成されるパターンを容易に且つ簡便に調整することが可能であり、発光層の発光特性、膜厚等の膜性状を制御することもできる。
本発明に係る有機EL素子の製造方法の他の態様では、前記蒸着工程において、前記第2の有機層は有機低分子系材料で形成される。
例えば、有機低分子系材料によって形成される有機薄膜は、真空蒸着法によって形成される場合が多い。このような有機薄膜は、発光層との密着力が十分でない場合が多い。よって、この態様によれば、このような有機薄膜を該有機薄膜のガラス転移温度以下の温度で加熱処理することによって有機薄膜と発光層との接触面積を増大させ、該有機薄膜と発光層との密着力を高めることが可能となる。
本発明に係る有機EL素子の製造方法の他の態様では、前記第2の有機層上に電子注入電極を形成する電極形成工程を更に備え、前記蒸着工程において、前記第2の有機層は、前記第1の有機層及び前記電子注入電極間における電子注入機能又は正孔ブロック機能を高める層として機能するように形成されてもよい。
この態様によれば、第2の有機層の一例である有機低分子層は、加熱処理されることによって発光層との密着力が高められるとともに、膜質も向上する。したがって、電子注入機能又は正孔ブロック機能が高められた有機低分子層は、効率良く発光層に電子と正孔とを閉じ込めることができ、有機EL素子の発光特性を高めることができる。
本発明に係る有機EL素子は上記課題を解決するために、塗布法によって形成された第1の有機層と、真空蒸着法によって前記第1の有機層上に形成され、当該第2の有機層のガラス転移温度以下の温度で加熱処理された第2の有機層とを備える。
本発明に係る有機EL素子は、例えば、有機高分子系材料を塗布することによって形成された発光層上に、真空蒸着法によって成膜された有機薄膜を備える。このような有機薄膜は、該有機薄膜のガラス転移温度以下の温度で加熱処理されていることから、加熱処理されていない場合に比べて発光層との密着力が高い。したがって、このような有機EL素子は、素子寿命や発光特性等が従来の素子に比べて格段に向上している。なお、有機薄膜は、電極膜でもよく、発光層と電極膜との間に設けられる電極界面層であってもよい。有機薄膜は、有機低分子系材料で形成されていてもよい。
本発明に係る有機EL素子の一態様では、前記第2の有機層上に電子注入電極を更に備え、前記第2の有機層は、前記第1の有機層及び前記電子注入電極間における電子注入機能又は正孔ブロック機能を高める層として機能してもよい。
この態様によれば、第2の有機層の一例である有機低分子層は、加熱処理されることによって発光層との密着力が高められるとともに、膜質も向上する。したがって、電子注入機能又は正孔ブロック機能が高められた有機低分子層は、効率良く発光層に電子と正孔とを閉じ込めることができ、有機EL素子の発光特性を高めることができる。
本発明に係る電子機器は上記問題点を解決するため、上述した本発明に係る有機EL素子を具備する。
本発明の電子機器は、上述した本発明の有機EL装置(但し、その各種態様を含む)を具備してなるので、高品質な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(有機EL素子の構成)
図1において、有機EL素子7は、基板1上に順次重ねて形成される、正孔注入電極2、正孔注入/輸送層3、発光層4、有機低分子層5及び電子注入電極6を備えて構成される。有機EL素子7は、その動作時には、正孔注入電極2から注入される正孔と電子注入電極6から注入される電子とが再結合することによって発光する発光素子である。
基板1は、本発明に係る有機EL素子が形成される「基板」の一例であり、光透過性を有する基板である。基板1としては、例えばガラス基板が用いられる。基板1上には有機EL素子を駆動する等のための配線が形成されていてもよい。
正孔注入電極2は、例えば、有機高分子系材料を塗布して形成される電極膜である。正孔注入/輸送層3は、発光層4と正孔注入電極2との間に設けられるバッファ層であり、発光層4と正孔注入電極2との接合性を高める。正孔注入/輸送層3は、有機EL素子7の動作時において、正孔の注入効率を高めるとともに、注入された正孔の移動速度を高める機能も有する。正孔注入/輸送層3は、例えば、有機高分子系材料を塗布して形成された有機層であり、インクジェット方式の如き塗布法によって形成されている。正孔注入/輸送層3を形成する有機高分子系材料としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン等のポリチオフェン誘導体とポリチレンスルホン酸等の混合物を用いることができる。正孔注入電極2及び正孔注入/輸送層3は、発光層4を形成する前に加熱処理される。加熱処理によってこれらの有機薄膜に残留する溶媒が気化され、正孔注入電極2及び正孔注入/輸送層3は安定な有機薄膜になる。
発光層4は、本発明に係る「第1の有機層」の一例であり、有機EL素子7の動作時において、電子と正孔とが再結合して光が発生する有機薄膜である。発光層4は、発光材料とされる有機化合物を正孔注入/輸送層3上に塗布して形成される。発光層4を形成する際には、発光材料とされる有機化合物を溶解或いは分散させた溶液をインクジェット方式やスピンコート法の如き塗布法によって塗布する。この溶液に含まれる溶媒は加熱処理によって気化し、発光層4は安定な有機薄膜となる。
発光材料とされる有機化合物は、発光層を加熱処理する際に高分子化する材料であってもよい。このような高分子材料としては、例えば、共役系高分子有機化合物の前駆体であって、蛍光色素等とともに有機EL素子用組成物として正孔注入/輸送層上に形成された後、加熱硬化されることによって共役系高分子を生成し得るものをいう。このような高分子材料としては、例えば、前駆体がスルホニウム塩の場合、加熱処理されることによりスルホニウム基が脱離し、共役系高分子有機化合物となるものが挙げられる。このような共役系高分子有機化合物は固体で強い蛍光を有し、均質な固体超薄膜を形成することができる。さらに、このような化合物の前駆体は、硬化した後に強固な共役系高分子膜を形成することから、加熱硬化前においては前駆体溶液(エマルジョン)をインクジェットパターニングに適用可能な所望の粘度に調整することができ、簡便且つ短時間で最適な条件で膜形成することができる。
このような前駆体としては、例えばポリアリレンビニレン前駆体が好ましい。ポリアリレンビニレン前駆体は、水溶性或いは有機溶媒に可溶であり、ポリマー化が可能であるため、光学的にも高品質の薄膜を得ることができる。このようなポリアリレンビニレン前駆体としては、PPV(ポリ(パラーフェニレンビニレン))前駆体、MO-PPV(ポリ(2,5-ジメトキシ-1,4-フェニレンビニレン))前駆体、CN-PPV(ポリ(2,5-ビスヘキシルオキシ-1,4-フェニレン-(1-シアノビニレン)))前駆体、MEH-PPV(ポリ[2-メトキシ-5-(2´-エチレンヘキシルオキシ)]-パラ-フェニレンビニレン)前駆体、等のPPV誘導体の前駆体、PTV(ポリ(2,5-チエニレンビニレン))前駆体等のポリ(アルキルチオフェン)前駆体、PFV(ポリ(2,5-フリレンビニレン))前駆体、ポリ(パラフェニレン)前駆体、ポリアルキルフルオレン前駆体等が挙げられる。
PPV又はPPV誘導体の前駆体は水に可溶であり、成膜後の加熱により高分子化してPPV層を形成する。さらに、PPV又はPPV誘導体の前駆体は、強い蛍光を持ち、また二重結合のπ電子がポリマー鎖上で非極在化している導電性高分子でもあるため、高性能の有機EL素子を得ることができる。
発光層4を形成する有機化合物は、上述した前駆体を有するものでなくてもよい。発光層4を形成する際には、沸点が200℃以上である高沸点溶媒に有機化合物である発光材料を溶解してなる溶液を塗布してもよい。このような有機化合物は、ポリフルオレン系誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、またはこれら高分子材料に、ベリレン色素、クマリン色素、ローダミン色素、例えば、ルブレン、ペリレン、9,10-ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープすることにより用いられる。これらの有機化合物は、0.5〜1.5wt%の濃度で含有されていることが望ましい。なお、発光層4は高分子系材料、又は低分子系材料のいずれの有機化合物を用いても形成することができる。例えば、高分子系材料とは分子量が1万以上の有機化合物であり、低分子系材料とは分子量が数十〜数百程度の有機化合物である。
発光材料の溶媒とされる高沸点溶媒は、大気圧下で200〜400℃の沸点を有し、これら高沸点溶媒は、単独、若しくはこれら混合物として使用されるものであってもよい。高沸点溶媒の具体例としては、ドデシルベンゼン(沸点331℃)、シクロヘキシルベンゼン(沸点240℃)、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン(沸点203℃)、3−イソプロピルビフェニル(沸点290℃)、3−メチルビフェニル(沸点272℃)、4−メチルビフェニル(沸点267℃)、p−アニシルアルコール(沸点259℃)、1−メチルナフタレン(沸点240〜243℃)、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(沸点207℃)、或いはこれらの誘導体等が挙げられる。
このような高沸点溶媒に溶かされた発光材料がインクジェット装置等で吐出され、発光層4が形成される際には、溶媒は完全に蒸発せずに発光層4中に残っている。したがって、発光層4を加熱処理することによって溶媒を気化させ、安定な発光層4を形成する。発光層4を安定化させるために、大気圧未満の減圧下で発光層4を加熱処理してもよい。減圧下においては、これら高沸点溶媒の沸点(200〜400℃)を下げることができることから、低い温度で発光層4を加熱処理することが可能となる。これにより、発光層4に含まれる溶媒の突沸を抑制することができ、突沸によって発光層4に生じる凹凸や孔を低減することが可能となる。したがって、発光層4の表面の平滑性や膜どうしの密着性に優れた発光層4を形成することができる。発光層4は、有機低分子層5が形成される前に加熱処理されることによって安定化されていればよい。また、発光層4は大気圧下で加熱処理されていてもよい。
有機低分子層5は、本発明に係る「第2の有機層」の一例であり、発光層4上に真空蒸着法によって形成されている。有機低分子層5を形成する有機低分子系材料は、数十〜数百程度の分子量を有する有機化合物であり、有機低分子層5の膜厚は、例えば1nm〜100nm程度である。有機低分子層5は、電子注入電極6と発光層4との間に設けられる電極界面層であり、有機EL素子7の動作時において、電子注入電極6から注入される電子を発光層4に流し易くする電子輸送性を有する。
有機低分子層5は、真空蒸着法によって発光層4上に形成された後、有機低分子層5のガラス転移温度以下の温度で加熱処理されている。ガラス転移温度以下の温度で加熱処理された有機低分子層5は結晶化することがなく、電子輸送性の如き所要の機能を維持しながら、有機低分子層5と発光層4との接触面積が増大することになる。このような接触面積の増大によって、有機低分子層5と発光層4との密着力が高められている。ガラス転移温度以下の温度で加熱処理された有機EL素子7の素子特性、及び素子寿命は、加熱処理しない場合(すなわち、常温(20℃)環境下に曝された状態)に比べて格段に向上する。例えば、発光層4との密着力が増大し、且つ膜質が向上した有機低分子層5は、有機EL素子の動作時の電子注入機能及び正孔ブロック機能が高められている。電子注入機能又は正孔ブロック機能が高められた有機低分子層は、効率良く発光層に電子と正孔とを閉じ込めることができ、有機EL素子の発光特性を高めることができる。
なお、実際の製造工程においては、有機低分子層5は、常温(20℃)以上、且つ有機低分子層5のガラス転移温度以下の温度範囲で加熱処理される。有機低分子層5は、電子注入電極6を形成するためのチャンバー内で加熱処理されてもよい。有機低分子層5の加熱処理と電子注入電極6の真空蒸着とを同一チャンバー内で行うことによって、2つの製造工程を同一設備内で連続して行うことができ、製造工程及び製造設備を簡略化することもできる。有機低分子層5の蒸着、有機低分子層5の加熱処理、及び電子注入電極6の真空蒸着を同一チャンバー内で行ってもよく、これら複数の製造工程を一の装置で行うことによって、製造工程の効率を高めることができるとともに製造設備を低減することもできる。
電子注入電極6は、例えば、有機低分子層5との接着力が高い有機低分子系材料を用いて形成される。電子注入電極6は、電子注入効率と有機低分子層5との接合性とが考慮された最適な材料で形成される。
なお、本実施形態においては、基板1上に、順次、正孔注入電極2、正孔注入/輸送層3、発光層4、有機低分子層5、及び電子注入電極6が重ねて形成された有機EL素子7について説明したが、本発明に係る有機EL素子は上述した素子構造に限定されるものではない。本発明に係る有機EL素子は、塗布法によって形成された第1の有機層上に、真空蒸着法によって第2の有機層を形成し、第2の有機層のガラス転移温度以下の温度で該第2の有機層を加熱処理して得られる有機EL素子であればいかなる素子構造を有するものでもよいことは勿論である。加えて、本実施形態においては便宜上、基板1上に単純な有機EL素子7が形成される場合について説明しているが、実際には、例えばこのような有機EL素子がバンクで区分けされてマトリクス状に多数設けられていてもよく、フルカラーの画像表示を行うための、マトリクス駆動が可能な多数の有機EL素子が基板上に形成されていてもよい。更に、このような有機EL素子をアクティブマトリクス駆動するためのスイッチング素子や、そのための配線が基板1上に設けられていてもよい。
(有機EL素子の製造方法)
次に、図1を参照して説明した有機EL素子の製造方法について図2及び図3を参照しながら説明する。ここで、図2は、製造プロセスの各工程における図1に対応する断面の構成を、順を追って示す工程図であり、図3は、加熱処理される前後の有機低分子層5と発光層4との界面の模式図である。
図2(a)に示すように、先ず電子注入電極2から発光層4までを形成する。より具体的には、基板1を洗浄した後、基板1上に正孔注入電極2をインクジェット装置によって形成する。正孔注入電極2の表面には、残りかすや空気中のゴミ、或いは湿気などが残留しているので、これらを洗浄によって取り除く。さらにその上に、正孔注入/輸送層3を形成する組成物を吐出し、加熱及び乾燥して正孔注入/輸送層3を形成する。組成物とは、有機高分子材料を溶媒に溶解させてなるインクのことである。正孔注入電極2及び正孔注入/輸送層3は、溶媒を含んだままの不安定な薄膜である。よって、正孔注入電極2及び正孔注入/輸送層3を加熱処理することによって乾燥させ、これら有機薄膜を安定化させる。
正孔注入/輸送層3上にインクジェット方式やスピンコート法の如き塗布法によって発光材料を塗布して発光層4を形成する。発光層4を形成する発光材料は、例えば、有機高分子系材料であり、所要の溶媒に溶解、或いは分散されて塗布される。発光層4は未だ加熱処理されていないことから、溶媒は十分に気化していない。よって、発光層4を加熱処理し、溶媒を十分に気化させる。このようにして、有機低分子層5を形成する前に発光層4を安定化させておく。なお、発光層4を形成する材料は、有機高分子系材料に限定されず、有機低分子系材料であってもよい。
続いて、図2(b)に示すように、発光層4上に有機低分子層5を形成する。より具体的には、発光層4まで形成された積層体を真空蒸着装置のチャンバー内に搬送し、有機低分子層5を真空蒸着法によって形成する。有機低分子層5の膜厚は、例えば、1nm〜100nm程度である。有機低分子層5を形成する有機低分子系材料としては、発光層4や電子注入電極6との密着性、蒸着条件等の各種条件を考慮して最適な材料を選択すればよい。
発光層4上に有機低分子層5を形成した後、該有機低分子層5を加熱処理する。蒸着される有機低分子系材料の分子や分子団は加熱処理によって運動エネルギーを得ることになり、有機低分子層5と発光層4との界面付近で拡散する。したがって、有機低分子層5と発光層4との接触面積が増大し、有機低分子層5と発光層4との密着力が高められる。これら分子や分子団の拡散により、有機低分子層5が緻密になり、有機低分子層5の膜質も向上する。このように、発光層4との密着力が増大し、且つ膜質が向上した有機低分子層5は、有機EL素子の動作時の電子注入機能及び正孔ブロック機能が高められている。電子注入機能又は正孔ブロック機能が高められた有機低分子層は、効率良く発光層に電子と正孔とを閉じ込めることができ、有機EL素子の発光特性を高めることができる。
有機低分子層5を加熱処理する温度は、該有機低分子層5のガラス転移温度以下の温度である。有機低分子層5のガラス転移温度を超える温度で加熱処理を行った場合、有機低分子層5は、溶融後に結晶化してしまう。結晶化した有機低分子層5は、発光層4と電子注入電極6との間に設けられる電極界面層としての機能を発揮することができなくなる。したがって、ガラス転移温度以下の温度で加熱処理された有機低分子層5は、電子を発光層4に流し易くする電子輸送性を維持しながら、発光層4との密着力が高められることになる。
ここで、図3を参照しながら、発光層4と有機低分子層5との界面の状態について詳細に説明する。
図3(a)は、加熱処理前の有機低分子層5と発光層4との界面の状態を示す図である。有機低分子層5を構成する粒子11(有機低分子系材料の分子若しくはこれら分子が集合した分子団)は、発光層4の表面に蒸着されている。粒子11は発光層4の表面12に蒸着されただけなので、発光層4の表面に十分粒子が密集しておらず、互いの粒子間に隙間が存在する。さらに、粒子11と表面12との間にも多数の隙間が存在した状態である。このような隙間の存在により、有機低分子層5と表面12との接触面積が十分でなく、十分な密着力を得ることが難しい。
図3(b)は、加熱処理後の有機低分子層5と発光層4との界面の状態を示す図である。有機低分子層5を加熱処理することによって粒子11が表面12に拡散し、有機低分子層5と表面12との間の隙間が殆どなくなる。このようにして、有機低分子層5と発光層4との接触面積が増大し、有機低分子層5と発光層4との密着力が向上する。なお、有機低分子層5の膜厚も均一となり、膜質も高められることになる。加熱処理の温度は、有機低分子層5のガラス転移温度以下であることから、該有機低分子層5は結晶化することもなく、電子輸送性も維持されることになる。
再び図2(b)において、有機低分子層5を加熱処理する際には、有機低分子層5を蒸着したチャンバー内に加熱ユニットを設けておき、有機低分子層5の蒸着に続いて加熱処理を行えばよい。このように、同一チャンバー内で有機低分子層5の蒸着と加熱処理とを行うことによって、有機低分子層5が形成された積層体を別途加熱装置に搬送する手間を省くことができる。さらに、別々の装置で有機低分子層5の蒸着と加熱処理を行う場合に比べて製造装置を低減することもできる。よって、有機EL素子の製造コストを抑制することが可能となる。
続いて、図2(c)に示すように、有機低分子層5を加熱処理した後、加熱処理された有機低分子層5上に電子注入電極6を形成し、有機EL素子7を形成する。電子注入電極6も、有機低分子層5と同様に真空蒸着法によって形成されることから、有機低分子層5を形成したチャンバー内で続けて該電子注入電極6を蒸着してもよい。電子注入電極6を形成する有機低分子系材料は、電子注入機能や有機低分子層5との密着力等を考慮して、最適な材料が選択される。電子注入電極6上には、図示しない封止部が形成され、有機EL素子7が完成する。
なお、本実施形態の有機EL素子の製造方法は、発光層4の表面に直接有機低分子層5を形成する場合に限定されず、他の有機薄膜を形成する場合にも好適な方法である。
以上、図2及び図3を参照しながら説明したように、本実施形態に係る有機EL素子の製造方法によれば、真空蒸着法によって形成された有機薄膜の機能を損なわない範囲の温度条件で該有機薄膜を加熱処理することによって、層間の密着力を高めることができ、発光特性及び素子寿命が高められた高品質の有機EL素子を製造することが可能になる。
なお、本実施形態で説明した態様においては、有機EL素子を一素子製造する場合を説明しているが、本実施形態に係る有機EL素子の製造方法を応用すれば複数の素子を同時に形成することもでき、さらに異なる波長の光、すなわち異なるカラーの光を発光する有機EL素子を製造することもできる。例えば、発光層を形成する有機化合物をインクジェット方式によって塗り分ければ、一つの基板上に異なる発光波長を有するカラー表示用の有機EL素子を複数形成することが可能である。
(電子機器の実施形態)
次に、本発明に係る有機EL装置が各種電子機器に適用される場合について説明する。
<A:モバイル型コンピュータ>
先ず、モバイル型のパーソナルコンピュータに、上述した有機EL素子を適用した例について、図4を参照して説明する。ここに、図4は、コンピュータ1200の構成を示す斜視図である。
図4において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、図示しない有機EL素子を用いて構成された表示部1005を有する表示ユニット1206とを備えている。本発明の一実施形態に係る有機EL素子を備える表示部1005は、有機EL素子の発光効率が高いことから、低消費電力で高品質の画像を表示することができる。表示部1005が備える複数の有機EL素子がそれぞれ赤、緑、青の光の三原色の光を発光することによって、該表示部1005はフルカラー表示で画像表示を行うことができる。
<B:携帯型電話機>
更に、この有機EL素子を携帯型電話機に適用した例について、図5を参照して説明する。ここに、図5は、携帯型電話機1300の構成を示す斜視図である。図5において、携帯型電話機1300は、複数の操作ボタン1302と共に、本発明の一実施形態である有機EL素子を有する表示部1305を備えるものである。
表示部1305は、上述の表示部1305と同様に有機EL素子の発光効率が高いことから、低消費電力で高品質の画像を表示することができる。特に、携帯型電話機1300では、充電を行うことなく連続して動作させることができる時間が長いほど良い。したがって、上述の有機EL素子を用いることによって、充電を行うことなく、長時間にわたって携帯型電話機1300を動作させることが可能となる。また、表示部1305が備える複数の有機EL素子がそれぞれ赤、緑、青の光の三原色の光を発光することによって、該表示部1305はフルカラー表示で画像表示を行うこともできる
尚、本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う有機EL素子の製造方法及び有機EL素子並びに電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本実施形態に係る有機EL素子の構成図である。 本実施形態に係る有機EL素子の製造方法を、順を追って示す製造工程断面図である。 本実施形態に係る有機EL素子の製造方法における、有機低分子層と発光層との界面状態を示した模式図である。 電子機器の一実施形態に係るコンピュータの斜視図である。 電子機器の他の実施形態に係る携帯型電話機の斜視図である。
符号の説明
正孔注入電極 2、正孔注入/輸送層 3、発光層 4、有機低分子層 5、電子注入電極6、有機EL素子 7、コンピュータ 1200、携帯型電話機 1300

Claims (7)

  1. 第1の有機層を塗布法によって形成する塗布工程と、
    前記第1の有機層上に真空蒸着法によって第2の有機層を形成する蒸着工程と、
    前記第2の有機層を前記第2の有機層のガラス転移温度以下の温度で加熱処理する加熱処理工程と、
    を備えたことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  2. 前記塗布工程において、前記第1の有機層をインクジェット方式により形成することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 前記蒸着工程において、前記第2の有機層は有機低分子系材料で形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL素子の製造方法。
  4. 前記第2の有機層上に電子注入電極を形成する電極形成工程を更に備え、
    前記蒸着工程において、前記第2の有機層は、前記第1の有機層及び前記電子注入電極間における電子注入機能又は正孔ブロック機能を高める層として機能するように形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 塗布法によって形成された第1の有機層と、
    真空蒸着法によって前記第1の有機層上に形成され、当該第2の有機層のガラス転移温度以下の温度で加熱処理された第2の有機層と、
    を備えたことを特徴とする有機EL素子。
  6. 前記第2の有機層上に電子注入電極を更に備え、
    前記第2の有機層は、前記第1の有機層及び前記電子注入電極間における電子注入機能又は正孔ブロック機能を高める層として機能することを特徴とする請求項5に記載の有機EL素子。
  7. 請求項5又は6に記載の有機エレクトロルミネセンス装置を具備することを特徴とする電子機器。

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