JP2009266814A - 有機電界発光素子の製造方法、有機電界発光素子、有機elディスプレイ及び有機el照明 - Google Patents

有機電界発光素子の製造方法、有機電界発光素子、有機elディスプレイ及び有機el照明 Download PDF

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一郎 今田
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一毅 岡部
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Abstract

【課題】湿式成膜法により形成される有機層を有する有機電界発光素子の製造方法において、通電時の輝度の低下が少なく、駆動寿命に優れた有機電界発光素子が得られる製造方法を提供する。
【解決手段】
第一の電極の形成工程と、湿式成膜工程を含む有機層の形成工程と、第二の電極の形成工程とを有する有機電界発光素子の製造方法であって、
該有機層の形成工程が、湿式成膜工程より後に相対湿度が40%以下、又は酸素の体積濃度が20%以下の環境における保存工程を含む、有機電界発光素子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、湿式成膜法により形成される有機層を有する有機電界発光素子の製造方法に関するものである。
コダック社による蒸着法を用いた積層型の有機電界発光(electroluminescence:以下「EL」と略する場合がある。)素子の発表以来、有機ELディスプレイの開発が盛んに行なわれ、現在実用化されつつある。
このような積層型有機EL素子では、陽極と陰極との間に複数の有機層(発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層等)が積層して設けられる。これらの有機層の形成法として、真空蒸着法が知られている。しかしながら、真空蒸着法では、均質で欠陥のない薄膜を得ることが困難な場合があり、且つ、数層もの有機層を形成するには長時間を要するために、素子の製造効率の面で課題があった。
これに対して、積層型有機EL素子の複数の有機層を湿式成膜法によって形成する技術が報告されている。例えば、特許文献1では、低分子有機材料を溶剤に溶かした有機薄膜形成用溶液を用いて形成された有機薄膜を有する有機EL素子が記載されている。
特開2004−199935号公報
しかしながら、このような有機EL素子の製造方法において、湿式成膜法により有機層を成膜後、保存工程を含む場合、湿気を多く含む環境下で保存していたため、発光効率、駆動寿命、及び歩留まりが低下したり、駆動電圧が上昇する等という課題があった。例えば湿気を多く含む環境下で有機層を保存した場合、有機層表面に水分が吸着されることがあり、この有機層上に新たな有機層や電極等を形成すると、有機層の剥離やダークスポットの形成、素子の劣化等が生じることがある。これは、有機層表面に水分が存在すると、その部分に電荷が集中しやすく、この状態で電流を流すと、有機層表面で電荷の局在化が生じて、膜均一性が崩れること、水の電気分解により発生したラジカルが有機化合物と反応すること等による。また特に有機層中にエステル基を有する化合物が含有されている場合、大気中の水分によって加水分解されて不純物を形成し、素子特性に影響を及ぼす場合があった。
また、有機層中に酸素によって酸化する基(例えばヒドロキシル基やアルデヒド基等)を含む場合には、上記保存中にこれらの基が酸化されて不純物となり、素子特性に影響を及ぼす場合があった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は湿式成膜法により形成される有機層を有し、製造過程で保存工程を有する有機電界発光素子の製造方法において、通電時の輝度の低下が少なく、駆動寿命に優れた有機電界発光素子が得られる製造方法、及びこれにより得られる有機電界発光素子、並びに有機ELディスプレイ及び有機EL照明を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、有機電界発光素子を製造する際、湿式成膜法により有機層を形成した後に、湿度が所定の条件下、若しくは酸素の体積濃度が所定の条件下で、該有機層を保存することによって、有機電界発光素子の素子特性を向上させることが可能であることを見出し、本発明に至った。
本発明の要旨は、第一の電極の形成工程と、湿式成膜工程を含む有機層の形成工程と、第二の電極の形成工程とを有する有機電界発光素子の製造方法であって、該有機層の形成工程が、湿式成膜工程より後に相対湿度が40%以下、又は酸素の体積濃度が20%以下の環境における保存工程を含むことを特徴とする、有機電界発光素子の製造方法に存する(請求項1)。
該保存工程の期間は、1時間以上、400日以下であることが好ましく(請求項2)、該前記保存工程が、真空環境又は不活性ガス環境若しくは乾燥空気環境下で行なわれることが好ましい(請求項3)。
また、湿式成膜法により形成される該有機層が、正孔注入層及び/又は正孔輸送層であることが好ましく(請求項4)、保存工程の温度が、0℃以上、100℃以下であることが好ましい(請求項5)。
また本発明の別の要旨は、上記有機電界発光素子の製造方法により製造された有機電界発光素子を有することを特徴とする有機ELディスプレイ(請求項7)、及び有機EL照明(請求項8)に存する。
本発明によれば、有機層を湿式成膜法により成膜後、所定の条件下で、該有機層を保存することによって、通電時の輝度の低下が少なく、駆動寿命に優れた有機電界発光素子、並びに、その有機電解発光素子を備えた有機ELディスプレイ及び有機EL照明を製造することができる。
本発明の有機電界発光素子の構造の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の有機電界発光素子の構造の他の例を模式的に示す断面図である。 本発明の有機電界発光素子の構造の他の例を模式的に示す断面図である。
以下に、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変更して実施することができる。
本発明の有機電界発光素子(以下、適宜「有機EL素子」ともいう。)の製造方法は、第一の電極と、湿式成膜法により形成される有機層と、第二の電極とをこの順に有する有機電界発光素子を製造する方法であって、該有機層の形成工程が、湿式成膜工程より後に相対湿度が40%以下、又は酸素の体積濃度が20%以下の環境における保存工程を含む有機電界発光素子の製造方法である。すなわち本発明により製造される有機電界発光素子は、陽極と、該陽極に対向するように形成された陰極と、該陽極及び該陰極の間に形成され、かつ湿式成膜法により形成された有機層とを備える。なお通常、陽極と陰極との間には、有機層として少なくとも発光層(本発明では、主に有機発光層を指す。)を備える。また有機層としてその他の層、例えば正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、及び電子輸送層等を備えていてもよい。
本発明の有機EL素子の製造方法では、上記陽極及び陰極間に形成される有機層のうち、少なくとも1つの層(以下、「特定有機層」ともいう。)を、特定有機層形成法により形成することを特徴とする。特定有機層形成法とは、湿式成膜法により特定有機層を成膜して形成した後(湿式成膜工程より後)、該特定有機層を所定の条件下で保存する保存工程を行なう方法である。なお、特定有機層以外の層については、蒸着法や湿式成膜法等、いずれの方法により形成することもできる。
本発明では、有機層を湿式成膜法により成膜後、所定の条件下で保存する(上記特定有機層形成法)。従来は、湿気を多く含む環境下や大気中で保存を行っていたが、このような条件下では空気中の水分や、異物等が有機層表面に吸着され、有機層の剥離やダークスポット、輝点の形成などに繋がる可能性が高かった。また、有機層に水分が存在すると、そこに電荷が集中し、素子の劣化を促進することや、水の電気分解により発生したラジカルが有機化合物と反応する可能性もあった。その為、製造途中で保存工程を行なった場合には、通電時の駆動寿命や駆動寿命に優れた有機電界発光素子を得ることが難しかった。
しかしながら、本発明は、所定の条件にて保存を行うことにより、上記の現象が起きず、更に素子特性を向上させるものとなる。
これは、特定有機層形成法によって、該有機層表面に吸着した水分や大気中の異物がなくなるためである。つまり、水分や大気中の異物が吸着することによる上記デメリットが生じず、さらに得られる有機電界発光素子の素子特性を向上させることが可能となり、長い寿命の素子が得られる。
以下、本発明の有機EL素子の製造方法における特定有機層形成法について説明し、その後、本発明により製造される有機EL素子の構成や、各構成部材を形成するための工程(本発明の有機EL素子の製造方法におけるその他の工程)等について説明する。
1.特定有機層形成法
特定有機層形成法は、本発明により製造される有機EL素子の、第一の電極及び第二の電極間に形成される有機層のうちの、少なくとも1層(特定有機層)を形成する際に用いられ、湿式成膜法により特定有機層を成膜する湿式成膜工程と、湿式成膜工程より後に、相対湿度が40%以下、又は酸素の体積濃度20%以下の環境における保存工程とを行なう方法である。特定有機層形成法では、上記湿式成膜工程及び保存工程に加えて、適宜他の工程を有していてもよい。他の工程としては、例えば以下で説明する前処理工程や乾燥工程、冷却工程等が挙げられる。
特定有機層形成法は、本発明により製造される有機EL素子の有機層のうち、どの有機層を形成する際にも適用することができる。本発明においては、有機層のうちの1層のみを特定有機層形成法により形成してもよく、また2層以上を特定有機層形成法により形成してもよい。
なお、一般的に有機EL素子の製造方法においては、湿式成膜法により1層、もしくは2層以上の有機層を成膜した後、さらに真空蒸着法により他の有機層を積層することが多い。このような場合、本発明では湿式成膜法により成膜を行なった後(湿式成膜工程後)、かつ真空蒸着法による成膜を行なう前に、特定有機層形成法を行なうことが好ましい。これは、特定有機層形成法における保存工程が、特に湿式成膜法により形成された有機層への水分の吸着の抑制や、酸化の抑制に効果的であり、このようなタイミングで保存工程を行なうことによって、有機EL素子の素子特性の向上効果を得やすいからである。なお、特定有機層形成法の後に行なわれる工程には特に制限がなく、例えば蒸着法による有機層や第2の電極の形成だけでなく、湿式成膜法による有機層の形成等が行なわれてもよい。
ここで、特定有機層形成法では保存工程が行われるため、特定有機層形成法により形成される特定有機層は一般的に酸化還元耐性、熱耐性に優れたものが好ましい。このような特定有機層の具体例としては、後述する正孔注入層等があるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また本発明においては、正孔輸送層、または正孔注入層を特定有機層形成法により形成することがより好ましく、特に製造効率等の工業的観点や、湿式成膜法により均一な膜形成が可能であるという点等から正孔注入層を特定有機層形成法により形成することが好ましい。以下、特定有機層形成法における各工程について説明するが、前処理工程、乾燥工程、及び冷却工程は必要に応じて行なうものとされる。
1−1.前処理工程
特定有機層を形成する前に、形成面(例えば第1の電極等)に付着した不純物を除去する前処理工程を行なうことができる。これにより、イオン化ポテンシャルを調整して、特定有機層への正孔あるいは電子注入性を向上させること等ができる。前処理方法としては、例えば特定有機層を第一の電極上に形成する場合等には、表面をアルコール等を用いて溶剤洗浄をしたり、紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりする方法が好適である。
なお、特定有機層の形成面となる層、すなわち特定有機層と隣接して形成される層の種類は、有機EL素子の構造等に応じて適宜選択され、この層の形成方法は特に制限がない。例えば蒸着法により形成される層であってもよく、また湿式成膜法により形成される層であってもよい。
1−2.湿式成膜工程
湿式成膜工程は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意に条件を設定して実施することができる。ただし、湿式成膜工程においては、有機層を湿式成膜法により形成する。具体的には、特定有機層の材料及び溶剤を含有する組成物(以下、適宜「塗布用組成物」ということがある。)を、膜状に塗布形成することによって成膜する。
(1−2−1)溶剤
塗布用組成物に用いられる溶剤としては、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、例えば、エーテル系溶剤及びエステル系溶剤が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、等が挙げられる。
また、上述のエーテル系溶剤及びエステル系溶剤以外に使用可能な溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
なお、これらの溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。また、エーテル系溶剤及びエステル系溶剤以外の溶剤の1種又は2種以上を、上述のエーテル系溶剤及びエステル系溶剤のうち1種又は2種以上と組み合わせて用いてもよい。
ただし、上述した溶剤の中でも、湿式成膜法にて形成する特定有機層の材料を溶解する能力(溶剤能)が高い溶剤が好ましい。塗布用組成物の濃度を任意に設定して、湿式成膜工程の効率に優れる濃度の塗布用組成物を調製できるためである。
また、塗布用組成物中における特定有機層の材料の濃度としては、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上である。また通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると膜に欠陥が生じる可能性がある。
なお、有機EL素子は、通常、多数の有機化合物からなる層(有機層)を積層して形成するため、各層が何れも均一な層であることが好ましい。ここで、湿式成膜法で層を形成する場合、各有機層の形成用の組成物中にある程度以上の水分が存在すると、塗膜に水分が混入して膜の耐久性が損なわれるため、塗布用組成物中の水分含有量はできるだけ少ない方が好ましい。また、有機EL素子は、陰極等の水分により著しく機能が低下する材料が多く使用されているため、素子の機能低下の観点からも水分の存在はできるだけ少ない方が好ましい。以上の理由から、塗布用組成物中に含まれる水分量は、通常1重量%以下、中でも0.1重量%以下に抑えることが好ましい。
塗布用組成物中の水分量を低減する方法としては、例えば窒素ガスシールの使用、乾燥剤の使用、溶剤を予め脱水すること、水の溶解度が低い溶剤を使用すること等の手法が挙げられる。中でも、塗布用組成物を塗布する際に塗膜が大気中の水分を吸収して白化する現象を防ぐという観点からは、水の溶解度が低い溶剤を使用することが好ましい。具体的には、塗布用組成物は水の溶解度が低い溶剤、例えば25℃における水の溶解度が1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である溶剤を、塗布用組成物全体に対して通常10重量%以上、中でも30重量%以上、特に50重量%以上の濃度で含有することが好ましい。
(1−2−2)成膜方法
湿式成膜工程における成膜方法は、目的とする領域に均一に塗布可能な方法であれば、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はない。例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、等が挙げられる。
これらの成膜方法の中でも、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法が好ましい。有機EL素子に用いられる塗布用組成物に特有の液性に合うためである。
(1−2−3)成膜温度
湿式成膜工程を行なう環境における成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、乾燥速度の制御を容易とする点で、10℃以上が好ましく、13℃以上がより好ましく、16℃以上がさらに好ましい。また50℃以下が好ましく、40℃以下がより好ましく、30℃以下がさらに好ましい。
(1−2−4)成膜湿度
湿式成膜工程を行なう環境における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.01ppm以上、好ましくは0.05ppm以上、より好ましくは0.1ppm以上、また、通常80%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは1%以下、特に好ましくは100ppm以下である。相対湿度が小さすぎると、湿式成膜工程における成膜条件の制御が困難となる可能性がある。また、大きすぎると特定有機層への水分吸着が影響しやすくなる可能性がある。
(1−2−5)酸素の体積濃度
湿式成膜工程を行なう環境における酸素の体積濃度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは0.01ppm以上、より好ましくは0.05ppm以上、また、好ましくは50%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは100ppm以下である。酸素の体積濃度が低すぎる環境は制御が難しく、また酸素の体積濃度が高すぎると、特定有機層内部に酸素が拡散することで、素子特性に影響を与える可能性がある。
(1−2−6)パーティクル数
成膜環境下における微粒子の数(すなわち、パーティクル数)は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、ダークスポット低減の観点から、粒径0.5μm以上のパーティクルが、1mあたり通常10000個以下、好ましくは5000個以下である。特に好ましくは、粒径0.3μm以上のパーティクルが、1mあたり5000個以下である。下限値に制限はないが、工業的実用性の観点から、通常粒径0.3μm以上のパーティクルが1mあたり100個は存在することが考え得る。パーティクル数が大きすぎるとダークスポットを生じる可能性があり、また、上記下限値を下回るほど環境制御が困難になる傾向がある。
なお、微粒子のパーティクル数は、光散乱方式により検出され、例えば、ハンドヘルドパーティクルカウンターKR(リオン株式会社製)で検出できる。
(1−2−7)膜厚
湿式成膜工程において形成される特定有機層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、膜の均一性が優れる点で、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上、さらに好ましくは20nm以上である。また好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。
1−3.乾燥工程
乾燥工程は本発明の効果を著しく損なわない限り、任意に変更して実施することができる。但し、乾燥工程とは上記湿式成膜工程により成膜された塗布用組成物中の溶剤を除去する工程をいう。
(1−3−1)乾燥方式
乾燥工程における乾燥方式は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限されないが、例えば、熱処理、減圧処理、不活性ガス処理、スパッタ処理、等が挙げられる。その中でも、膜中の残存溶剤を低減させやすい点で、熱処理が好ましい。
上記の処理は、単独で行なってもよく、また複数組み合わせて行ってもよい。複数の処理を組み合わせる場合には任意の順で処理を行ってもよいし、全部又は処理の一部を並行して行ってもよい。ただし、乾燥ムラが少なくなる条件で乾燥を行うことが好ましい。
(1−3−2)乾燥温度
乾燥工程における乾燥温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、熱処理を行なう場合、通常50℃以上、好ましくは80℃以上である。また、通常300℃以下、好ましくは250℃以下である。温度が高すぎると他の層に影響を及ぼす可能性があり、また、低すぎると膜中に溶剤が残る可能性がある。
なお、乾燥温度とは、炉内ベーク方式の場合には環境温度、ホットプレート方式の場合にはプレート温度、ヒーターを用いる方式の場合には環境温度をいう。
(1−3−3)乾燥時間
乾燥工程における乾燥時間は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは30秒以上、より好ましくは1分以上、さらに好ましくは2分以上である。また好ましくは5時間以下、より好ましくは2時間以下、さらに好ましくは1時間以下である。乾燥時間が長すぎると他の層の成分が拡散する傾向があり、また、短すぎると膜が不均質になる傾向がある。
(1−3−4)相対湿度
乾燥工程における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上である。また、好ましくは80%以下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは20%以下である。相対湿度が高すぎると膜中に水分が残存する傾向がある。
(1−3−5)真空度
乾燥工程における真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、減圧処理を行なう場合には、好ましくは1×10−2Pa以下、より好ましくは1×10−3Pa以下、さらに好ましくは5×10−4Pa以下である。また下限値に制限はないが、通常1×10−5Pa以上である。真空度が高すぎると、真空度を高くするために時間を要し、その間の環境制御が困難になる傾向があり、また、低すぎると膜中に溶剤が残存しやすくなる傾向がある。
(1−3−6)乾燥工程後の膜厚
乾燥工程の後の特定有機層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上、さらに好ましくは20nm以上である。また、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm、さらに好ましくは150nm以下である。この下限値を下回ると薄膜に欠陥が発生する可能性があり、また、この上限値を上回ると駆動電圧が高くなり、また膜厚ムラにより発光の輝度ムラを生じる可能性がある。
(1−3−7)乾燥工程後の膜厚精度
乾燥工程の後の特定有機層の膜の膜厚精度は、好ましくは500%以下、より好ましくは300%以下、さらに好ましくは200%以下である。また好ましくは2%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは8%以上である。膜厚精度が大きすぎると、発光ムラ等、素子特性が不安定になる傾向があり、小さすぎると膜欠陥が発生しやすくなる傾向があり、膜質が均質でなくなる傾向がある。
なお、特定有機層の膜厚精度とは、特定有機層の膜厚の、最大値と最小値との比と定義される。測定は、例えば、接触式膜厚計または干渉式膜厚計などを用いるが、同様の測定が可能であればこれらに限定されない。
尚、上記測定機器を用いる場合、測定は、例えば任意の点6箇所を測定して、その内の最大値と最小値から算出を行う。
1−4.冷却工程
特定有機層が、乾燥工程において熱処理を施されたり、その他の工程で加熱されたりした場合、該特定有機層を冷却させる工程(冷却工程)を行なってもよい。冷却工程は、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意に変更して実施することができる。具体的には、以下に説明する各項目のうち、1つ以上を満たしていることが好ましい。
(1−4−1)冷却方式
冷却工程における冷却方式としては、本発明の効果を著しく損なわない限りは限定されないが、例えば、特定有機層の置かれる環境温度を冷却したい温度範囲にする方法、プレート(ホットプレート)上に基材を搭載しそのプレートを介して特定有機層を冷却させる方法等が挙げられる。
(1−4−2)冷却温度
冷却工程における冷却温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、乾燥した塗布用組成物の膜(特定有機層)を、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下、特に好ましくは80℃以下、また、下限に制限はないが、通常5℃以上に冷却する。冷却温度が高すぎると、他の層の成分が拡散する可能性があり、また低すぎると特定有機層中に結晶が生じる可能性がある。
なお、冷却温度とは環境温度のことである。ホットプレート方式の場合にはプレート温度のことをいう。
(1−4−3)冷却速度
冷却工程における冷却速度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは0.1℃/分以上、より好ましくは0.5℃/分以上、さらに好ましくは0.8℃/分以上、特に好ましくは1℃/分以上である。また好ましくは50℃/分以下、より好ましくは30℃/分以下、さらに好ましくは20℃/分以下、特に好ましくは10℃/分以下である。冷却速度が小さすぎると製造コストが高くなる可能性があり、大きすぎると隣接する膜間の線膨張が異なることによって、膜質が低下する可能性がある。
(1−4−4)湿度
冷却工程における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは0.01ppm以上、より好ましくは0.05ppm以上、さらに好ましくは0.08ppm以上である。また、好ましくは50%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは1%以下である。相対湿度が低すぎると、環境を一定に制御することが困難になる傾向があり、また、素子の安定的な製造ができない可能性がある。また、相対湿度が大きすぎると膜表面に水分が物理吸着する可能性がある。
(1−4−5)冷却時間
冷却工程における冷却時間は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは5時間以下、より好ましくは3時間以下、さらに好ましくは1時間以下、特に好ましくは30分以下である。また好ましくは30秒以上である。冷却時間が短すぎると膜歪みを生じる傾向がある。
(1−4−6)冷却環境
冷却工程における冷却環境は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、例えば、真空環境、不活性ガス環境が挙げられる。
真空環境の場合、真空度は、好ましくは1×10−2Pa以下、より好ましくは1×10−3Pa以下である。また下限値は通常ないが、1×10−5Pa以上が好ましい。真空度が高すぎると、真空度を高くするために時間を要し、その間の環境制御が困難となる傾向がある。
また、不活性ガスとしては、窒素ガス、希ガス類、不燃性ガス類等が挙げられる。なお、不活性ガスは1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(1−4−7)冷却工程前後の膜厚差
冷却工程の前後で特定有機層の膜厚差は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、冷却工程前の膜厚を100%としたときに、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。膜厚差が大きすぎると、膜歪みによる膜の剥離等の可能性がある。なお、下限は0%であるが、工業的入手性の観点から、通常1%以上である。
1−5.保存工程
本発明でいう保存とは、上記湿式成膜工程で湿式成膜法により成膜し、必要に応じて乾燥工程又は冷却工程を行なった特定有機層を、該特定有機層の上に新たな有機層、若しくは電極を成膜するまで、特定の条件下、すなわち相対湿度が40%以下、または酸素の体積濃度が20%以下の環境下で保持している状態を指し、静置された状態での保存だけではなく、運搬等の輸送状態での保存も含む。また、特定有機層を保存するとは、特定有機層が形成された基板全体を保存することも含む。
ここで、保存工程における環境としては、上記相対湿度及び酸素の体積濃度のうち、いずれかの条件を満たしていれば本発明に含まれるものとするが、特に上記相対湿度及び酸素の体積濃度の両方の条件を満たしていることが好ましい。これにより、本発明により製造される有機EL素子の素子特性をより向上させることが可能となり、また寿命を長いものとすることができる。
(1−5−1)保存期間
保存工程における保存期間は、通常40分以上、好ましくは1時間以上、更に好ましくは8時間以上であり、特に好ましくは24時間以上である。また通常400日以下、好ましくは200日以下、さらに好ましくは100日以下である。下限より短い場合は、本発明の効果が得られ難い傾向があり、上限より長い場合には、パーティクルや水分等が付着する可能性が高くなり、本発明の効果が得られにくい傾向がある。
(1−5−2)保存時期
保存工程において上記特定有機層を保存する時期は、湿式成膜法で特定有機層を形成した後(湿式成膜工程より後)であれば、いずれのタイミングでもよい。上記乾燥工程における乾燥が加熱処理によって行われる場合は冷却工程後が好ましく、乾燥工程が加熱処理以外の方法によって行なわれる場合には乾燥工程後が好ましい。
(1−5−3)保存温度
保存工程における保存温度は、通常0℃以上、好ましくは10℃以上である。また通常100℃以下、好ましくは80℃以下である。0℃未満であると、実質的な湿度が増加してしまい、素子特性の向上効果が低下する可能性がある。また、100℃を越えると、特定有機層の機能が低下する可能性がある。
(1−5−4)保存湿度
保存工程における相対湿度は、通常1ppt以上、好ましくは10ppt以上、また、通常40%以下、好ましくは20%以下である。この上限値を上回ると、特定有機層への水分吸着が影響しやすくなり素子特性が向上しにくくなる可能性がある。また、相対湿度は少ないことが特に好ましい為、前記相対湿度の下限値は理想的には0%である。
(1−5−5)酸素の体積濃度
保存工程における酸素の体積濃度は、好ましくは1ppt以上、より好ましくは10ppt以上、また、通常20%以下、好ましくは18%以下、さらに好ましくは10%以下である。上記下限値より酸素の体積濃度が低い環境は制御が難しく、また上記上限値より酸素の体積濃度が高いと、特定有機層内部に酸素が拡散することで、素子特性に影響を与える可能性がある。
(1−5−6)保存環境
保存工程における環境は、本発明の効果を著しく損なわない限りは特に制限はないが、例えば、真空環境、不活性ガス環境又は乾燥空気環境であることが好ましい。
真空環境にする具体的な方式としては、例えば、密閉可能なチャンバー内に特定有機層が形成された基板を配置してチャンバー内を減圧して保存する方式が挙げられる。具体的な真空度については後述する。
不活性ガス環境とする際の不活性ガスとしては、保存される特定有機層に含有される成分との反応性を有さないガスが用いられる。このような不活性ガスとして、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガスなどの希ガス類、フロンガスなどの不燃性ガス類等が挙げられ、好ましくは窒素ガス、特に好ましくはアルゴンガスである。これらの不活性ガスは1種、または2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いることができる。
また、不活性ガス環境における不活性ガスの濃度は、通常85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、また、通常99%以下、好ましくは98%以下である。上記下限値濃度以下であると、特定有機層内部に不活性ガス以外の成分、たとえば酸素等が拡散することで、素子特性に影響を与える可能性があり、上限値濃度以上であるとその環境制御が難しくなる傾向がある。
また、乾燥空気環境とする際の乾燥空気とは、空気よりも相対湿度及び酸素の体積濃度が低い空気のことをいう。乾燥空気としては、露点が通常−100℃以上、好ましくは−80℃以上、より好ましくは−70℃以上である。また通常−10℃以下、好ましくは−20℃以下、より好ましくは−30℃以下である。上記上限値以上であると水分が膜に付着する可能性が高くなり、下限値以下であると環境の制御が困難となる傾向がある。
また、不活性ガス及び乾燥空気は、それぞれ1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(1−5−7)真空度
保存工程における真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に制限はないが、真空環境で保存を行う場合には、好ましくは1×10−2Pa以下、より好ましくは1×10−3Pa以下、さらに好ましくは5×10−4Pa以下、また下限値は通常ないが、好ましくは1×10−5Pa以上である。上限値以下とすることにより、安定した環境で膜を保存することができる。
また、不活性ガス環境、乾燥空気環境又は、その他の環境下で保存される場合の真空度は、通常1×10−4Pa以上、好ましくは1×10−3Pa以上、また、通常1×10Pa以下、好ましくは0.2×10Pa以下である。この下限値を下回ると、本来特定有機層中に残留すべき成分(例えば、有機材料、あるいはアクセプタ成分、ドナー成分、相溶化剤など)が減少してしまう可能性があり、また、この上限値を上回ると、実質的な湿度が増加してしまい本発明の効果が低下する可能性がある。
(1−5−8)基板の保存角度
本発明においては、保存工程における水平面(地面と水平な面)と湿式成膜法により成膜された特定有機層表面との成す角(成膜された特定有機層の上面を水平面と平行に下向きにした状態を、該特定有機層と水平面とが成す角が0°とする。)は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、後述するパーティクルの付着等を低減させる点で、通常0°以上、好ましくは3°以上、さらに好ましくは5°以上である。また通常90°以下、好ましくは85°以下、さらに好ましくは80°以下である。
(1−5−9)パーティクル数
保存工程における雰囲気中の微粒子数(パーティクル数)は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、ダークスポット低減の観点から、粒径0.5μm以上のパーティクルが、1mあたり通常10000個以下、好ましくは5000個以下である。特に好ましくは、粒径0.3μm以上のパーティクルが、1mあたり5000個以下である。工業的実用性の観点から、通常粒径0.3μm以上のパーティクルが1mあたり100個は存在することが考え得る。パーティクル数が大きすぎるとダークスポットを生じる可能性があり、また、上記範囲を下回るほど環境制御が困難になる傾向がある。
なお、微粒子のパーティクル数は、光散乱方式により検出され、例えば、ハンドヘルドパーティクルカウンターKR(リオン株式会社製)で検出できる。
1−6.その他の工程
特定有機層形成法においては、上記各工程の前後、または工程中に、必要に応じて上記以外の工程を有していてもよい。
2.有機電界発光素子の構成
以下、本発明の有機電界発光素子の製造方法によって得られる有機電界発光素子(以下、「本発明の有機電界発光素子」ともいう。)と、有機電界発光素子の製造方法における上述の特定有機層形成法以外の工程について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、その製造工程に少なくとも上記特定有機層形成法を含む。このような製造方法により製造される有機電界発光素子としては、通常は基板を備え、当該基板上に第1の電極が形成され、その上に1層以上の有機層が形成され、さらにその有機層上に第2の電極が形成された積層型の構成を有するものである。ここで、第1の電極、及び第2の電極は、何れかが陽極であり、他方が陰極である。有機層のうち一層は、通常発光層であり、その他の有機層の例としては、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、電子阻止層などの層が挙げられる。
尚、上述の特定有機層は、正孔注入層及び/又は正孔輸送層とすることが好ましい。
正孔注入層及び/又は正孔輸送層が特定有機層の場合は、該層の形成方法は前述の特定有機層形成法を用い、またそうでない場合は以下に記すとおり、通常の有機層の形成法にて形成する。
本発明の製造方法にて得られる有機電界発光素子を、図3を用いて説明する。
図3は本発明にかかる有機電界発光素子10cの構造例を示す断面の模式図であり、図3において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、7は電子輸送層、8は電子注入層、9は陰極を各々表す。
(基板)
基板1は有機電界発光素子10cの支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組合せで用いてもよい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意することが好ましい。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化する可能性がある。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
(陽極)
陽極2は発光層5側の層への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属;インジウム及び/又はスズの酸化物等の金属酸化物;ヨウ化銅等のハロゲン化金属;カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。
本実施形態においては、以下に説明する陽極2を形成する工程が、第一の電極の形成工程とされるが、有機電界発光素子の構成によっては、陽極2を形成する工程が、第二の電極の形成工程とされる場合もある。
陽極2の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法等により行われることが多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極2を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、中でも80%以上とすることが好ましい。この場合、陽極2の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意であり、陽極2は基板1と同一でもよい。また、さらには、上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
陽極2に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的に、陽極2表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることが好ましい。
(正孔注入層)
正孔注入層3は、陽極2から発光層5へ正孔を輸送する層であり、通常、陽極2上に形成される。
本発明に係る正孔注入層3の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、均質で欠陥がない薄膜を容易に得られる点や、形成のための時間が短くて済む点から、正孔注入層3を湿式成膜法により形成することが好ましい。上記陽極2として一般的に用いられるITO(インジウム・スズ酸化物)は、その表面が10nm程度の表面粗さ(Ra)を有するのに加えて、局所的に突起を有することが多く、短絡欠陥を生じ易いという課題があった。陽極2の上の正孔注入層3を湿式成膜法により形成することは、真空蒸着法で形成する場合と比較して、陽極2表面の凹凸に起因する素子の欠陥の発生を低減するという利点をも有する。また特に、正孔注入層3を上記特定有機層形成法により形成することが好ましい。これにより、有機EL素子の素子特性を良好なものとすることができ、素子の寿命を長いものとすることが可能である。
正孔注入層3の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
<湿式成膜法による正孔注入層の形成>
湿式成膜により正孔注入層3を形成する場合、通常は、正孔注入層3を構成する材料を適切な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調製し、この正孔注入層形成用組成物を適切な手法(湿式成膜法)により、正孔注入層3の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形成する。また正孔注入層3を特定有機層形成法により形成する場合には、上記湿式成膜工程後、上述の保存工程を行なう。
<正孔輸送性化合物>
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層3の構成材料として正孔輸送性化合物及び溶剤を含有する。
正孔輸送性化合物は、通常、有機電界発光素子の正孔注入層に使用される、正孔輸送性を有する化合物であれば、重合体などの高分子化合物であっても、単量体などの低分子化合物であってもよいが、高分子化合物であることが好ましい。
正孔輸送性化合物としては、陽極2から正孔注入層3への電荷注入障壁の観点から4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。
尚、本発明において誘導体とは、例えば、芳香族アミン誘導体を例にするならば、芳香族アミンそのもの及び芳香族アミンを主骨格とする化合物を含むものであり、重合体であっても、単量体であってもよい。
正孔注入層3の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種又は2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種又は2種以上とを併用することが好ましい。
上記例示した中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましく、特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果による均一な発光の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Figure 2009266814
(式(I)中、Ar及びArは、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar〜Arは、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Yは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す。また、Ar〜Arのうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2009266814
(上記各式中、Ar〜Ar16は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。R及びRは、各々独立して、水素原子又は任意の置換基を表す。))
Ar〜Ar16の芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の基が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環由来の基がさらに好ましい。
Ar〜Ar16の芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが好ましい。
及びRが任意の置換基である場合、該置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが挙げられる。
式(I)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、国際公開第2005/089024号パンフレットに記載のものが挙げられる。
また、正孔輸送性化合物としては、ポリチオフェンの誘導体である3,4−ethylenedioxythiophene(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を高分子量ポリスチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマー(PEDOT/PSS)もまた好ましい。また、このポリマーの末端をメタクリレート等でキャップしたものであってもよい。
正孔注入層形成用組成物中の、正孔輸送性化合物の濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜厚の均一性の点で通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると成膜された正孔注入層に欠陥が生じる可能性がある。
<電子受容性化合物>
正孔注入層形成用組成物は正孔注入層3の構成材料として、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が挙げられる。さらに具体的には、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開2005/089024号パンフレット);塩化鉄(III)(特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素;ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン等が挙げられる。
これらの電子受容性化合物は、正孔輸送性化合物を酸化することにより正孔注入層の導電率を向上させることができる。
正孔注入層3或いは正孔注入層形成用組成物中の電子受容性化合物の正孔輸送性化合物に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常100モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
(その他の構成材料)
正孔注入層3の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述の正孔輸送性化合物や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(溶剤)
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正孔注入層の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。また、この溶剤の沸点は通常110℃以上、好ましくは140℃以上、中でも200℃以上、通常400℃以下、中でも300℃以下であることが好ましい。溶剤の沸点が低すぎると、乾燥速度が速すぎ、膜質が悪化する可能性がある。また、溶剤の沸点が高すぎると乾燥工程の温度を高くする必要があし、他の層や基板に悪影響を与える可能性がある。
溶剤として例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤などが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、等が挙げられる。
その他、ジメチルスルホキシド、等も用いることができる。
これらの溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
(成膜方法)
正孔注入層形成用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜により、正孔注入層3の下層に該当する層(通常は、陽極2)上に塗布成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形成する。
湿式成膜工程における温度は、組成物中に結晶が生じることによる膜の欠損を防ぐため、10℃以上が好ましく、50℃以下が好ましくい。
湿式成膜工程における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.01ppm以上、通常80%以下である。
塗布後、通常加熱等により正孔注入層形成用組成物の膜を乾燥させる。加熱工程において使用する加熱手段の例を挙げると、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射などが挙げられる。中でも、膜全体に均等に熱を与えるためには、クリーンオーブン及びホットプレートが好ましい。
加熱工程における加熱温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り、正孔注入層形成用組成物に用いた溶剤の沸点以上の温度で加熱することが好ましい。また、正孔注入層形成用組成物に用いた溶剤が2種類以上含まれている混合溶剤の場合、少なくとも1種類がその溶剤の沸点以上の温度で加熱されるのが好ましい。溶剤の沸点上昇を考慮すると、加熱工程においては、好ましくは120℃以上、好ましくは410℃以下で加熱することが好ましい。
加熱工程において、加熱温度が正孔注入層形成用組成物の溶剤の沸点以上であり、かつ塗布膜の十分な不溶化が起こらなければ、加熱時間は限定されないが、好ましくは10秒以上、通常180分以下である。加熱時間が長すぎると他の層の成分が拡散する傾向があり、短すぎると正孔注入層が不均質になる傾向がある。加熱は2回に分けて行ってもよい。
<真空蒸着法による正孔注入層の形成>
真空蒸着により正孔注入層3を形成する場合には、正孔注入層3の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種又は2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合は各々独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極2上に正孔注入層3を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層3を形成することもできる。
蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1×10−6Torr(0.13×10−4Pa)以上、通常9.0×10−6Torr(12.0×10−4Pa)以下である。 蒸着速度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1Å/秒以上、通常5.0Å/秒以下である。蒸着時の成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上で、好ましくは50℃以下で行われる。
(正孔輸送層)
本発明に係る正孔輸送層4の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔輸送層4を湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔輸送層4は、正孔注入層3がある場合には正孔注入層3の上に、正孔注入層3が無い場合には陽極2の上に形成することができる。また、本発明の有機電界発光素子は、正孔輸送層4を省いた構成であってもよい。
正孔輸送層4を形成する材料としては、正孔輸送性が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが好ましい。そのために、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、正孔移動度が大きく、安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが好ましい。また、多くの場合、発光層5に接するため、発光層5からの発光を消光したり、発光層5との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させたりしないことが好ましい。
このような正孔輸送層4の材料としては、従来、正孔輸送層の構成材料として用いられている材料であればよく、例えば、前述の正孔注入層3に使用される正孔輸送性化合物として例示したものが挙げられる。また、アリールアミン誘導体、フルオレン誘導体、スピロ誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、シロール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。
また、例えば、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリアリールアミン誘導体、ポリビニルトリフェニルアミン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリアリーレン誘導体、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン誘導体、ポリアリーレンビニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体等が挙げられる。これらは、交互共重合体、ランダム重合体、ブロック重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上ある高分子や、所謂デンドリマーであってもよい。
中でも、ポリアリールアミン誘導体やポリアリーレン誘導体が好ましい。
ポリアリールアミン誘導体としては、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む重合体であることが好ましい。特に、下記式(II)で表される繰り返し単位からなる重合体であることが好ましく、この場合、繰り返し単位それぞれにおいて、Ar又はArが異なっているものであってもよい。
Figure 2009266814
(式(II)中、Ar及びArは、各々独立して、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。)
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環又は2〜5縮合環由来の基及びこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の基及びこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
有機溶剤に対する溶解性、耐熱性の点から、Ar及びArは、各々独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環由来の基やベンゼン環が2環以上連結してなる基(例えば、ビフェニル基やターフェニル基)が好ましい。
中でも、ベンゼン環由来の基(フェニル基)、ベンゼン環が2環連結してなる基(ビフェニル基)及びフルオレン環由来の基(フルオレニル基)が好ましい。
Ar及びArにおける芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アシル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シロキシ基、シアノ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基などが挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、前記式(II)におけるArやArとして例示した置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基などのアリーレン基をその繰り返し単位に有する重合体が挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)及び/又は下記式(III−2)からなる繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
Figure 2009266814
(式(III−1)中、Ra、Rb、R及びRは、各々独立に、アルキル基、アルコキシ基、フェニルアルキル基、フェニルアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又はカルボキシ基を表す。t及びsは、各々独立に、0〜3の整数を表す。t又はsが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のRa又はRbは同一であっても異なっていてもよく、隣接するRa又はRb同士で環を形成していてもよい。)
Figure 2009266814
(式(III−2)中、R及びRは、各々独立に、上記式(III−1)におけるRa、Rb、R又はRと同義である。r及びuは、各々独立に、0〜3の整数を表す。r又はuが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のR及びRは同一であっても異なっていてもよく、隣接するR又はR同士で環を形成していてもよい。Xは、5員環又は6員環を構成する原子又は原子群を表す。)
Xの具体例としては、―O―、―BR―、―NR―、―SiR―、―PR―、―SR―、―CR―又はこれらが結合してなる基である。尚、Rは、水素原子又は任意の有機基を表す。本発明における有機基とは、少なくとも一つの炭素原子を含む基である。
また、ポリアリーレン誘導体としては、上記式(III−1)及び/又は上記式(III−2)からなる繰り返し単位に加えて、さらに下記式(III−3)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2009266814
(式(III−3)中、Ar〜Arは、各々独立に、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。v及びwは、各々独立に0又は1を表す。)
Ar〜Arの具体例としては、前記式(II)における、Ar及びArと同様である。
上記式(III−1)〜(III−3)の具体例及びポリアリーレン誘導体の具体例等は、特開2008−98619号公報に記載のものなどが挙げられる。湿式成膜法で正孔輸送層4を形成する場合は、上記正孔注入層3の形成と同様にして、正孔輸送層形成用組成物を調製した後、湿式成膜後、加熱乾燥させる。
正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔輸送性化合物の他、溶剤を含有する。用いる溶剤は上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、成膜条件、加熱乾燥条件等も正孔注入層3の形成の場合と同様である。
真空蒸着法により正孔輸送層4を形成する場合もまた、その成膜条件等は上記正孔注入層3の形成の場合と同様である。
正孔輸送層4は、上記正孔輸送性化合物の他、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などを含有していてもよい。
正孔輸送層4はまた、架橋性化合物を架橋して形成される層であってもよい。架橋性化合物は、架橋性基を有する化合物であって、架橋することにより網目状高分子化合物を形成する。
この架橋性基の例を挙げると、オキセタン、エポキシなどの環状エーテル由来の基;ビニル基、トリフルオロビニル基、スチリル基、アクリル基、メタクリロイル、シンナモイル等の不飽和二重結合由来の基;ベンゾシクロブテン由来の基などが挙げられる。
架橋性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。 架橋性化合物は1種のみを有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で有していてもよい。
架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物としては、上記の例示したものが挙げられ、これら正孔輸送性化合物に対して、架橋性基が主鎖又は側鎖に結合しているものが挙げられる。特に架橋性基は、アルキレン基等の連結基を介して、主鎖に結合していることが好ましい。また、特に正孔輸送性化合物としては、架橋性基を有する繰り返し単位を含む重合体であることが好ましく、上記式(II)や式(III−1)〜(III−3)に架橋性基が直接又は連結基を介して結合した繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物の例を挙げると、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等の含窒素芳香族化合物誘導体;トリフェニルアミン誘導体;シロール誘導体;オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。その中でも、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体等の含窒素芳香族誘導体;トリフェニルアミン誘導体、シロール誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが好ましく、特に、トリフェニルアミン誘導体がより好ましい。
架橋性化合物を架橋して正孔輸送層4を形成するには、通常、架橋性化合物を溶剤に溶解又は分散した正孔輸送層形成用組成物を調製して、湿式成膜により成膜して架橋させる。
正孔輸送層形成用組成物には、架橋性化合物の他、架橋反応を促進する添加物を含んでいてもよい。架橋反応を促進する添加物の例を挙げると、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合物、オニウム塩等の重合開始剤及び重合促進剤;縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、ジアリールケトン化合物等の光増感剤;などが挙げられる。
また、さらに、レベリング剤、消泡剤等の塗布性改良剤;電子受容性化合物;バインダー樹脂;などを含有していてもよい。
正孔輸送層形成用組成物は、架橋性化合物を通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下含有する。
このような濃度で架橋性化合物を含む正孔輸送層形成用組成物を下層(通常は正孔注入層3)上に成膜後、加熱及び/又は光などの活性エネルギー照射により、架橋性化合物を架橋させて網目状高分子化合物を形成する。
塗布時の温度、湿度などの条件は、前記正孔注入層3の湿式成膜時と同様である。塗布後の加熱の手法は特に限定されない。加熱温度条件としては、通常120℃以上、好ましくは400℃以下である。
加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。加熱手段としては特に限定されないが、成膜された層を有する積層体をホットプレート上に載せたり、オーブン内で加熱するなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
光などの活性エネルギー照射による場合には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、赤外ランプ等の紫外・可視・赤外光源を直接用いて照射する方法、あるいは前述の光源を内蔵するマスクアライナ、コンベア型光照射装置を用いて照射する方法などが挙げられる。光以外の活性エネルギー照射では、例えばマグネトロンにより発生させたマイクロ波を照射する装置、いわゆる電子レンジを用いて照射する方法が挙げられる。照射時間としては、膜の溶解性を低下させるために必要な条件を設定することが好ましいが、通常、0.1秒以上、好ましくは10時間以下照射される。
加熱及び光などの活性エネルギー照射は、それぞれ単独、あるいは組み合わせて行ってもよい。組み合わせる場合、実施する順序は特に限定されない。
このようにして形成される正孔輸送層4の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
(発光層)
正孔注入層3の上、又は正孔輸送層4を設けた場合には正孔輸送層4の上には発光層5が設けられる。発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極2から注入された正孔と、陰極9から注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。
<発光層の材料>
発光層5は、その構成材料として、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送の性質を有する化合物(正孔輸送性化合物)、あるいは、電子輸送の性質を有する化合物(電子輸送性化合物)を含有する。発光材料をドーパント材料として使用し、正孔輸送性化合物や電子輸送性化合物などをホスト材料として使用してもよい。発光材料については特に限定はなく、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよい。更に、発光層5は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、その他の成分を含有していてもよい。なお、湿式成膜法で発光層5を形成する場合は、何れも低分子量の材料を使用することが好ましい。なお、本発明でいう低分子量とは、重量平均分子量が通常6000以下のものをいい、好ましくは5000以下、より好ましくは1500以下である。
・発光材料
発光材料としては、任意の公知の材料を適用可能である。例えば、蛍光発光材料であってもよく、燐光発光材料であってもよいが、内部量子効率の観点から、好ましくは燐光発光材料である。また、青色は蛍光発光材料を用い、緑色や赤色は燐光発光材料を用いるなど、組み合わせて用いてもよい。
なお、溶剤への溶解性を向上させる目的で、発光材料の分子の対称性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることが好ましい。
以下、発光材料のうち蛍光発光材料の例を挙げるが、蛍光色素は以下の例示物に限定されるものではない。
青色発光を与える蛍光発光材料(青色蛍光色素)としては、例えば、ナフタレン、ペリレン、ピレン、クリセン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼン及びそれらの誘導体等が挙げられる。
緑色発光を与える蛍光発光材料(緑色蛍光色素)としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、Al(CNO)などのアルミニウム錯体等が挙げられる。
黄色発光を与える蛍光発光材料(黄色蛍光色素)としては、例えば、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光発光材料(赤色蛍光色素)としては、例えば、DCM(4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
燐光発光材料としては、例えば、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)第7〜11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。
周期表第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。
錯体の配位子としては、(ヘテロ)アリールピリジン配位子、(ヘテロ)アリールピラゾール配位子などの(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナントロリンなどが連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
燐光発光材料として、具体的には、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、トリス(2−フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2−フェニルピリジン)パラジウム、ビス(2−フェニルピリジン)白金、トリス(2−フェニルピリジン)オスミウム、トリス(2−フェニルピリジン)レニウム、オクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン等が挙げられる。
発光材料として用いる化合物の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3000以下、また、通常100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、更に好ましくは400以上の範囲である。発光材料の分子量が小さ過ぎると、耐熱性が著しく低下したり、ガス発生の原因となったり、膜を形成した際の膜質の低下を招いたり、或いはマイグレーションなどによる有機電界発光素子のモルフォロジー変化を来したりする場合がある。一方、発光材料の分子量が大き過ぎると、有機化合物の精製が困難となってしまったり、溶剤に溶解させる際に時間を要したりする傾向がある。
なお、上述した発光材料は、いずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
発光層5における発光材料の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.05重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、通常35重量%以下、好ましくは25重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。発光材料が少なすぎると発光ムラを生じる可能性があり、多すぎると発光効率が低下する可能性がある。なお、2種以上の発光材料を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
・正孔輸送性化合物
発光層5には、その構成材料として、正孔輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、正孔輸送性化合物のうち、低分子量の正孔輸送性化合物の例としては、前述の正孔注入層3における正孔輸送性化合物として例示した各種の化合物のほか、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルに代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(Journal of Luminescence, 1997年, Vol.72−74, pp.985)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chemical Communications, 1996年, pp.2175)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synthetic Metals, 1997年, Vol.91,pp.209)等が挙げられる。
なお、発光層5において、正孔輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
発光層5における正孔輸送性化合物の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、通常65重量%以下である。正孔輸送性化合物が少なすぎると短絡の影響を受けやすくなる可能性があり、多すぎると膜厚ムラを生じる可能性がある。なお、2種以上の正孔輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
・電子輸送性化合物
発光層5には、その構成材料として、電子輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、電子輸送性化合物のうち、低分子量の電子輸送性化合物の例としては、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)や、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)や、バソフェナントロリン(BPhen)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)や、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−ビフェニル(CBP)等が挙げられる。なお、発光層5において、電子輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
発光層5における電子輸送性化合物の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、通常65重量%以下である。電子輸送性化合物が少なすぎると短絡の影響を受けやすくなる可能性があり、多すぎると膜厚ムラを生じる可能性がある。なお、2種以上の電子輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
<発光層の形成>
湿式成膜法により発光層5を形成する場合は、上記材料を適切な溶剤に溶解させて発光層形成用組成物を調製し、それを用いて成膜することにより形成する。なお、発光層は特定有機層形成法により形成してもよい。また、発光層の形成方法は、湿式成膜法以外の方法であってもよい。
発光層5を湿式成膜法で形成するための発光層形成用組成物に含有させる発光層用溶剤としては、発光層の形成が可能である限り任意のものを用いることができる。発光層用溶剤の好適な例は、上記正孔注入層形成用組成物で説明した溶剤と同様である。
発光層5を形成するための発光層形成用組成物に対する発光層用溶剤の比率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.01重量%以上、通常70重量%以下である。なお、発光層用溶剤として2種以上の溶剤を混合して用いる場合には、これらの溶剤の合計がこの範囲を満たすようにする。
また、発光層形成用組成物中の発光材料、正孔輸送性化合物、電子輸送性化合物等の固形分濃度としては、通常0.01重量%以上、通常70重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると膜に欠陥が生じる可能性がある。
発光層形成用組成物を湿式成膜後、得られた塗膜を乾燥し、溶剤を除去することにより、発光層が形成される。具体的には、上記正孔注入層の形成において記載した方法と同様である。湿式成膜法の方式は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されず、前述のいかなる方式も用いることができる。
発光層5の膜厚は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。発光層5の膜厚が、薄すぎると膜に欠陥が生じる可能性があり、厚すぎると駆動電圧が上昇する可能性がある。
(正孔阻止層)
発光層5と後述の電子注入層8との間に、正孔阻止層6を設けてもよい。正孔阻止層6は、発光層5の上に、発光層5の陰極9側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層6は、陽極2から移動してくる正孔を陰極9に到達するのを阻止する役割と、陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送する役割とを有する。
正孔阻止層6を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止層の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体;ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体;ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報);3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報);バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005−022962号パンフレットに記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層6の材料として好ましい。
なお、正孔阻止層6の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正孔阻止層6の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成できる。
正孔阻止層6の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
(電子輸送層)
発光層5と後述の電子注入層8との間に、電子輸送層7を設けてもよい。
電子輸送層7は、素子の発光効率を更に向上させることを目的として設けられるもので、電界を与えられた電極間において陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送することができる化合物より形成される。
電子輸送層7に用いられる電子輸送性化合物としては、通常、陰極9又は電子注入層8からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物を用いる。このような条件を満たす化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
なお、電子輸送層7の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子輸送層7の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
電子輸送層7の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
(電子注入層)
電子注入層8は、陰極9から注入された電子を効率良く発光層5へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行なうには、電子注入層8を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられ、その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
更に、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送化合物に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は、通常、5nm以上、中でも10nm以上が好ましく、また、通常200nm以下、中でも100nm以下が好ましい。
なお、電子注入層8の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子注入層8の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
(陰極)
陰極9は、発光層5側の層(電子注入層8又は発光層5など)に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極9の材料としては、前記の陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
なお、陰極9の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
陰極9の膜厚は、通常、陽極2と同様である。
さらに、低仕事関数金属から成る陰極9を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので好ましい。この目的のために、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。なお、これらの材料は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本実施形態においては、陰極9を形成する工程が、第二の電極の形成工程とされるが、有機EL素子の構成によっては、陰極9を形成する工程が、第一の電極の形成工程とされる場合もある。なお、陰極の形成する工程は、上記陰極9の材料に応じてその方法は適宜選択される。
(その他の層)
本発明に係る有機電界発光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。例えば、その性能を損なわない限り、陽極2と陰極9との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、任意の層が省略されていてもよい。
<電子阻止層>
上記各層以外に有していてもよい層としては、例えば、電子阻止層が挙げられる。
電子阻止層は、正孔注入層3又は正孔輸送層4と発光層5との間に設けられ、発光層5から移動してくる電子が正孔注入層3に到達するのを阻止することで、発光層5内で正孔と電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層5内に閉じこめる役割と、正孔注入層3から注入された正孔を効率よく発光層5の方向に輸送する役割とがある。特に、発光材料として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合は電子阻止層を設けることが効果的である。
電子阻止層に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いこと等が挙げられる。更に、本発明においては、発光層5を本発明に係る有機層として湿式成膜法で作製する場合には、電子阻止層にも湿式成膜の適合性が求められる。このような電子阻止層に用いられる材料としては、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(国際公開第2004/084260号パンフレット)等が挙げられる。
なお、電子阻止層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
<その他>
さらに陰極9と発光層5又は電子輸送層7との界面に、例えばフッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化リチウム(Li2O)、炭酸セシウム(II)(CsCO3)等で形成された極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Applied Physics Letters, 1997年, Vol.70, pp.152;特開平10−74586号公報;IEEE Transactions on Electron Devices, 1997年,Vol.44, pp.1245;SID 04 Digest, pp.154等参照)。また正孔緩和層等を設けてもよい。
<正孔緩和層>
正孔緩和層は、発光層5の陰極9側に隣接して形成される層であり、発光層5と正孔緩和層界面への正孔の蓄積を緩和する働きをする層である。また、電子を効率よく発光層の方向へ輸送する役割も有する。
正孔緩和層のイオン化ポテンシャルは通常5.5eV以上、好ましくは5.6eV以上、より好ましくは5.7eV以上、また通常6.7eV以下、好ましくは6.4eV以下、より好ましくは6.0eV以下である。このイオン化ポテンシャルの値が大きすぎても、小さすぎても正孔を発光層5と正孔緩和層の界面に留めてしまう可能性がある。
イオン化ポテンシャル(Ip)はイオン化ポテンシャル測定装置PCR−101(Optel製)により測定することができる。
正孔緩和層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、好ましくは0.3nm以上、より好ましくは0.5nm以上であり、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下である。膜厚が薄すぎると、薄膜に欠陥が発生する可能性があり、厚すぎれば、駆動電圧が高くなる可能性がある。
正孔緩和層は蒸着成膜法によって形成することが好ましい。ここで蒸着成膜法としては、真空蒸着法、レーザー転写法、抵抗加熱法、電子ビーム法、PVD(物理蒸着)、CVD(化学蒸着)が好ましく、中でも真空蒸着法が好ましい。
また、以上説明した層構成において、基板以外の構成要素を逆の順に積層することも可能である。例えば、図3の層構成であれば、基板1上に他の構成要素を陰極9、電子注入層8、電子輸送層7、正孔阻止層6、発光層5、正孔輸送層4、正孔注入層3、陽極2の順に設けてもよい。
更には、少なくとも一方が透明性を有する2枚の基板の間に、基板以外の構成要素を積層することにより、本発明に係る有機電界発光素子を構成することも可能である。
また、基板以外の構成要素(発光ユニット)を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その場合には、各段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合は、それら2層)の代わりに、例えば五酸化バナジウム(V25)等からなる電荷発生層(Carrier Generation Layer:CGL)を設けると、段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
更には、本発明に係る有機電界発光素子は、単一の有機電界発光素子として構成してもよく、複数の有機電界発光素子がアレイ状に配置された構成に適用してもよく、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構成に適用してもよい。
また、上述した各層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、材料として説明した以外の成分が含まれていてもよい。
(有機ELディスプレイ及び有機EL照明)
本発明の有機ELディスプレイ及び有機EL照明は、上述のような本発明の有機電界発光素子を備えるものである。有機ELディスプレイ及び有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機ELディスプレイ及び有機EL照明を形成することができる。
本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作成した。
(ITO基板の作製)
ガラス製の基板1の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(スパッター成膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。
(前処理)
パターン形成したITO基板を、界面活性剤による超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、圧縮空気で乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を1分間を行った。
(正孔注入層の成膜(湿式成膜工程))
次いで、正孔注入層3を以下のように湿式成膜法によって形成した。正孔注入層3の材料は、下記式(1−2)の繰り返し構造を有するポリマー(重量平均分子質量29400、数平均分子量12600、ガラス転移温度160℃)2重量%と、酸化剤として、下記式(A1)で表される4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート0.4重量%とを、安息香酸エチルに溶解させた組成物を調製し、この組成物を前記ITO基板上にスピンコートで成膜した。
スピンコート条件として、スピナ回転数500rpm、2秒、そして1500rpm、30秒の2段階で行った。乾燥の条件は230℃のクリーンオーブンにより15分間加熱を行うことで、膜厚30nmの薄膜を形成することが出来た。
Figure 2009266814
Figure 2009266814
(保存工程)
正孔注入層3まで形成した素子を真空蒸着装置内に、水平面と正孔注入層3表面の成す角が0°の状態で設置し、真空度1.2×10−5Pa、23℃±1.5℃中で24時間保存した。この際の相対湿度は59ppt(大気圧101325Paでの相対湿度を50%とした時の計算値)、酸素の体積濃度は24ppt(大気圧101325Paでの酸素の体積濃度を21%とした時の計算値)であった。
(発光層の成膜)
湿式成膜法により形成し、上記保存工程を経た正孔注入層3を有するITO基板に、下記に示す化合物PPDを、真空蒸着法で正孔注入層3の上に積層して膜厚45nmの発光層5を形成した。
Figure 2009266814
(電子輸送層の成膜)
湿式成膜法により形成した正孔注入層3と真空蒸着法により形成した発光層5を有するITO基板に、電子輸送層7として下記に示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体ET−1を膜厚60nmとなるように積層した。
Figure 2009266814
(電子注入層及び陰極の成膜、並びに封止)
ここで、電子輸送層7までの蒸着を行った素子を、一度、前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして、陽極であるITOストライプと直交する形状の2mm幅のストライプ状シャドーマスクを素子に密着させ、別の真空蒸着装置内に設置して、電子輸送層7と同様の真空蒸着法により、電子注入層8としてフッ化リチウム(LiF)を膜厚0.5nm、次いで陰極9としてアルミニウムを膜厚80.0nmとなるようにそれぞれ積層した。
引き続き、素子が保管中に大気中の水分等で劣化することを防ぐため、以下に記載の方法で封止処理を行った。
真空蒸着装置に連結された窒素グローブボックス中で、23mm×23mmサイズのガラス板の外周部に、約1mmの幅で光硬化性樹脂を塗布し、中央部に水分ゲッターシートを設置した。この上に、陰極形成を終了した基板を、蒸着された面が乾燥剤シートと対向するように貼り合わせた。その後、光硬化性樹脂が塗布された領域のみに紫外光を照射し、樹脂を硬化させた。
[比較例1]
実施例1の正孔注入層3の湿式成膜後の保存工程において、水平面と正孔注入層3の成す角を0°から75°にし、真空度1.2×10−5Paから大気圧(1.0×10)に変更した以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。この際の相対湿度は50%であり、酸素の体積濃度は21%であった。
[比較例2]
実施例1の正孔注入層3の湿式成膜後の保存工程を行なうことなく、正孔注入層3形成後、直ちに発光層5を成膜したこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
[結果]
実施例1、比較例1、及び比較例2でそれぞれ得られた有機電界発光素子について、下記方法により測定した輝度半減期、及び21mA/cm一定電流駆動の結果を以下表1に示す。
[測定方法]
<輝度半減期>
輝度半減期の測定方法は、作製した有機EL素子に、試験時の電流値が21mA/cmとなる直流一定電流を通電したときの輝度変化をフォトダイオードにより観察することにより行い、輝度値が試験開始時の半分となるまでの時間(輝度半減期)を求めた。通電試験は、室温を空調により23±1.5℃に制御した室内で行なった。
<駆動条件>
駆動の測定方法は、作製した有機EL素子に、21mA/cm一定電流駆動し、電圧上昇を求めた。
Figure 2009266814
表1に示すが如く、保存工程を行なった実施例1では、通常の条件で保存工程を行なった場合(比較例1)及び保存工程を行なわなかった場合(比較例2)より駆動時における輝度低下が小さく、さらに輝度半減時間が長い、すなわち長寿命な素子特性を有する有機電界発光素子が得られた。
[実施例2]
図2に示す構造を有する電界発光素子を以下の方法で作製した。正孔注入層3の形成までは、実施例1と同様にして行った。
(保存工程)
正孔注入層3まで形成した素子を窒素置換のグローボックス内に、水平面と正孔注入層3の成す角が75°の状態で設置し、酸素の体積濃度0.4〜0.6ppm、水分濃度0.1ppm以下、温度23±1.5℃中で24時間保存した。
(発光層の形成)
次いで、発光層5を以下のように湿式成膜法によって形成した。発光層の材料は以下に示す材料H−1、H−2及びD−1を50対50対5の割合で混合し、この混合物2.0重量%をキシレンに溶解させた組成物を調整し、この組成物を前記ITO基板上にスピンコートで成膜した。
スピンコート条件として、スピナ回転数500rpm、2秒、そして1500rpm、30秒の2段階で行った。その後、130℃で1時間乾燥を行うことで、膜厚40nmの発光層5を形成した。
Figure 2009266814
(正孔阻止層及び電子輸送層の形成)
得られた発光層5の上に、真空蒸着法により正孔阻止層6として下記に示す化合物HB−1を膜厚5nm、次いで電子輸送層7として下記に示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体ET−1を膜厚30nmとなるようにそれぞれ順次積層した。
Figure 2009266814
(電子注入層及び陰極の形成、並びに封止)
次いで、電子注入層8及び陰極9の形成を実施例1と同様にして行い、封止処理を行なった。以上の手順によって、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。
[実施例3]
実施例2おける正孔注入層3の湿式成膜後の保存工程を、正孔注入層3まで形成した素子を乾燥空気中に、水平面と正孔注入層3表面の成す角が75°の状態で設置し、相対湿度2%以下(乾燥空気の定義から言えば、露点が−30℃以下、−70℃以上の空気)、酸素の体積濃度21%±1%、温度23±1.5℃中で24時間保管した。
[比較例3]
実施例2の正孔注入層3の湿式成膜工程後の保存工程を行なわず、直ちに発光層5を成膜したことに変更した以外は、実施例2と同様にして有機電界発光素子を作製した。
[結果]
実施例2、実施例3、及び比較例3でそれぞれ得られた有機電界発光素子について、下記方法により測定した輝度半減期、及び2500nitとなる電圧の結果を以下表1に示す。
[測定方法]
<輝度半減期>
輝度半減期の測定方法は、作製した有機EL素子に、試験時直流一定電流を通電したときの輝度が2500nitとなる電圧をかけたときの輝度変化をフォトダイオードにより観察することにより行ない、輝度値が試験開始時の半分となるまでの時間(輝度半減期)を求めた。通電試験は、室温を空調により23±1.5℃に制御した室内で行なった。
<駆動条件>
駆動電圧の測定方法は、作製した有機EL素子に、最初に直流一定電流を通電したときの輝度が、2500nitとなる電圧を測定した。
Figure 2009266814
以上の結果より、保存工程を実施することにより、保存しない場合より、駆動時における輝度低下が少なく、安定な有機EL素子を得ることができた。
[実施例4]
正孔注入層3の形成までは、実施例1と同様にして形成した。尚、正孔注入層の形成において、保存工程は行わなかった。
(正孔輸送層の形成(湿式成膜工程))
次いで、正孔輸送層4を以下のように湿式成膜法によって形成した。正孔輸送層の材料は、下記式(HT−1)で表される繰り返し単位を有するポリマー(重量平均分子量:76000、数平均分子量:31700)を調製し、下記の条件でスピンコートにより塗布して、加熱により架橋させることで膜厚20nmの正孔輸送層を成膜した。
Figure 2009266814
<正孔輸送層形成用組成物>
溶媒 トルエン
組成物濃度 0.4重量%
<正孔輸送層の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 窒素中、230℃、1時間
(保存工程)
正孔輸送層4まで形成した素子を窒素置換のグローブボックス内に、水平面と正孔輸送層4との成す角が75°の状態で設置し、保存環境として酸素の体積濃度0.6ppm以下、水分濃度0.1ppm以下、23℃±1.5℃中で42時間保存した。
(発光層の成膜)
次に、発光層5を形成するにあたり、以下に示す有機化合物(C4)、及び(D1)を用いて下記に示す発光層形成用組成物を調製し、以下に示す条件で正孔輸送層上にスピンコートして膜厚40nmで発光層を得た。
Figure 2009266814
<発光層形成用組成物>
溶媒 トルエン
組成物濃度 C4:0.80重量%
D1:0.08重量%
<発光層の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 窒素中、130℃、1時間
(正孔阻止層の成膜)
ここで、発光層5までを成膜した基板を、窒素グローブボックスに連結された真空蒸着装置内に移し、装置内の真空度が1.4×10-4Pa以下になるまで排気した後、下記有機化合物BAlq(C2)を真空蒸着法によって積層した。蒸着速度を0.7〜0.9Å/秒の範囲で制御し、発光層5の上に積層して膜厚10nmの膜の正孔阻止層6を形成した。
Figure 2009266814
(電子輸送層の成膜)
続いて、下記有機化合物Alq(C3)を加熱して蒸着を行い、電子輸送層7を成膜した。蒸着速度は0.7〜1.0Å/秒の範囲で制御し、膜厚30nmの膜を正孔阻止層6の上に積層して電子輸送層を7形成した。
Figure 2009266814
ここで、電子輸送層7までの蒸着を行った素子を正孔阻止層6、及び電子輸送層7を蒸着したチャンバーに連結されたチャンバーへと真空中で搬送し、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極のITOストライプとは直交するように素子に密着させた。
電子注入層8として、先ずフッ化リチウム(LiF)を、モリブデンボートを用いて、蒸着速度0.34Å/秒、真空度5.3×10-4Paで制御し、0.5nmの膜厚で電子輸送層の上に成膜した。次に、陰極としてアルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度1.8〜2.5Å/秒、真空度7.8×10-4Paで制御して膜厚80nmのアルミニウム層を形成した。以上の2層の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
引き続き、素子が保管中に大気中の水分等で劣化することを防ぐため、以下に記載の方法で封止処理を行った。
窒素グローブボックス中で、23mm×23mmサイズのガラス板の外周部に、約1mmの幅で光硬化性樹脂30Y−437(スリーボンド社製)を塗布し、中央部に水分ゲッターシート(ダイニック社製)を設置した。この上に、陰極形成を終了した基板を、蒸着された面が乾燥剤シートと対向するように貼り合わせた。その後、光硬化性樹脂が塗布された領域のみに紫外光を照射し、樹脂を硬化させた。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。
実施例4において作製した有機電界発光素子の特性、及び初期輝度を2000cd/mとして直流駆動試験を行い、輝度が1000cd/mまで減少するまでの時間(輝度50%減衰寿命)、及び電流効率を表3にまとめる。
表3に示すが如く、本発明の有機電界発光素子は、駆動寿命が長く、また電流効率が高いことが分かる。
(比較例4)
実施例3の正孔輸送層4の湿式成膜後の保存工程において、水平面と正孔輸送層4の成す角を0°から75°にし、保存環境を大気圧(1.0×10)に変更した以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。
(比較例5)
実施例3の正孔輸送層4の湿式成膜後の保存工程を行なわず、直ちに発光層5の成膜を行なうことに変更した以外は、実施例1と同様に有機電界発光素子を作製した。
Figure 2009266814
(実施例5)
下記の正孔輸送層4を用い、発光層5に使用する溶媒とその濃度、成膜条件を変更し、正孔阻止層6の代わりに正孔緩和層を用いたこと以外は実施例2と同様である。
(正孔輸送層の形成(湿式成膜工程))
正孔輸送層4を以下のように湿式成膜法によって形成した。正孔輸送層4の材料は、下記式(HT−1)で表される繰り返し単位を有するポリマー(重量平均分子量:60000、数平均分子量:27000)を調製し、下記の条件でスピンコートにより塗布して、加熱により架橋させることで膜厚20nmの正孔輸送層4を成膜した。
Figure 2009266814
<正孔輸送層形成用組成物>
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
組成物濃度 1.4重量%
<正孔輸送層の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 窒素中、230℃、1時間
(保存工程)
正孔輸送層4まで形成した素子を窒素置換のグローブボックス内に、水平面と正孔輸送層4の成す角が75°の状態で設置し、保存環境として酸素の体積濃度1.0ppm以下、水分濃度0.1ppm以下、23℃±1.5℃中で70分保存した。
(発光層の成膜)
次に、発光層5を形成するにあたり、以下に示す有機化合物(H−1)、(H−2)、及び(D−2)を用いて下記に示す有機電界発光素子組成物を調製し、以下に示す条件で正孔輸送層上にスピンコートして膜厚40nmで発光層を得た。
Figure 2009266814
<発光層形成用組成物>
溶媒 シクロヘキシルベンゼン
組成物濃度 H−1:2.75重量%
H−2:2.75重量%
D−1:0.28重量%
<正孔輸送層の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 窒素中
加熱条件 減圧下(0.1MPa)、230℃、1時間
(正孔緩和層の成膜)
ここで、発光層5までを成膜した基板を、窒素グローブボックスに連結された真空蒸着装置内に移し、装置内の真空度が4.0×10-5Pa以下になるまで排気した後、下記に示す有機化合物(HA−1)を真空蒸着法によって積層し正孔緩和層を得た。蒸着速度を0.8〜0.9Å/秒の範囲で制御し、発光層5の上に積層して膜厚10nmの膜の正孔緩和層を形成した。
Figure 2009266814
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。
実施例5において作製した有機電界発光素子の特性、及び初期輝度を2000cd/mとして直流駆動試験を行い、輝度が1000cd/mまで減少するまでの時間(輝度50%減衰寿命)、を下記の表6にまとめる。
(実施例6)
正孔輸送層4まで形成した素子を窒素置換のグローブボックス内に、水平面と正孔輸送層4の成す角が75°の状態で設置し、保存環境として酸素の体積濃度1.0ppm以下、水分濃度0.1ppm以下、23℃±1.5℃中で40分保存したこと以外は実施例5と同様である。
Figure 2009266814
本発明は、有機EL光素子が使用される各種の分野、例えば、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯等の分野において、好適に使用することが出来る。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極

Claims (8)

  1. 第一の電極の形成工程と、
    湿式成膜工程を含む有機層の形成工程と、
    第二の電極の形成工程と
    を有する有機電界発光素子の製造方法であって、
    該有機層の形成工程が、湿式成膜工程より後に相対湿度が40%以下、又は酸素の体積濃度が20%以下の環境における保存工程を含む
    ことを特徴とする、有機電界発光素子の製造方法。
  2. 前記保存工程が、1時間以上、400日以下である
    ことを特徴とする、請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  3. 前記保存工程が、真空環境又は不活性ガス環境若しくは乾燥空気環境下で行なわれる
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  4. 前記有機層が、正孔注入層及び/又は正孔輸送層である
    ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  5. 前記保存工程の温度が、0℃以上、100℃以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機電界発光素子の製造方法により製造された
    ことを特徴とする、有機電界発光素子。
  7. 請求項6に記載の有機電界発光素子を備えた
    ことを特徴とする、有機ELディスプレイ。
  8. 請求項6に記載の有機電界発光素子を備えた
    ことを特徴とする、有機EL照明。
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