JP2010235708A - 蛍光発光材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機elディスプレイ及び有機el照明 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】500nmより短波長領域の照度が、20ルクス以下である環境下で昇華精製された化合物であって、スチリル基或いはトリアリールアミノ基を有する蛍光発光材料である。該蛍光発光材料を含む有機電界発光素子用組成物を用いて湿式成膜法で有機層を形成し有機電界発光素子の発光層に用いる。
【選択図】なし
Description
有機電界発光素子の各構成層の形成方法としては、真空蒸着法と湿式成膜法がある。このうち、真空蒸着法では、テレビやモニタ用の中・大型フルカラーパネルなどを製作する場合、歩留まりの観点で課題を有する。そのため、中でもこれら大面積の用途には湿式成膜法が好適である。
例えば、特許文献1では、下記式で示される材料を用いて、湿式成膜法によって作製した素子が開示されている。
更に本発明は、上記蛍光発光材料を含む有機電界発光素子用組成物、該組成物を用いて湿式成膜法で形成された層を有する有機電界発光素子、並びに有機ELディスプレイ及び有機EL照明を提供することを課題とする。
さらに検討を重ねた結果、昇華精製時の環境において、ある特定の光波長以下の環境とすることにより、上記課題を解決することを見出して、本発明に到達した。
即ち、本発明は、500nmより短波長領域の照度が、20ルクス以下である環境下で昇華精製された化合物からなることを特徴とする、蛍光発光材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、並びにこれを備えた有機ELディスプレイ及び有機EL照明に存する。
Lディスプレイ及び有機EL照明の実施態様を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されない。
本発明は、500nmより短波長領域の照度が、20ルクス以下である環境下で昇華精製された化合物からなる蛍光発光材料に存する。
本発明における蛍光発光材料は、500nmより短波長領域の照度が、20ルクス以下である環境下で昇華精製された化合物からなる。上記化合物としては、蛍光発光性の化合物(以下、「蛍光発光性化合物」と称する場合がある)であれば特に制限はなく公知のものを適用することができるが、例えば、ナフタレン、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、クリセン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼン及びそれらの誘導体等が挙げられる。
また、本発明における蛍光発光性化合物は、電荷輸送能が向上し、得られる素子の発光効率が向上する点で、更に下記式(1)で表される構造を部分構造として有する化合物であることが好ましい。
[蛍光発光性化合物の具体例]
本発明における昇華精製は、500nmより短波長領域の照度が、20ルクス以下である環境下で行う。
(昇華精製の方法)
蛍光発光性化合物の昇華精製は、例えば以下の方法で行う。
r以上、好ましくは5×10−7Torr以上、さらに好ましくは1×10−6Torr以上である。
上記範囲内であると、低温にて昇華させることができ、熱劣化を防ぐことができる。また、材料中の残存酸素の量をすくなくすることができるため、好ましい。
上記範囲内であると、熱によって起きる蛍光発光性化合物の結合開裂がしにくくなるため好ましい。
昇華精製時の500nmより短波長領域の照度は、以下の測定方法で、通常20ルクス以下、好ましくは10ルクス以下、さらに好ましくは5ルクス以下である。尚、下限値については、理想的には0である。
上記範囲内であると、光により分子が励起されたとしても、化合物が分解につながる励起状態には達しにくいため好ましい。
昇華精製を行う環境の照度は、以下の方法で測定する。
500nmより短波長領域の照度の測定は、例えば、照度計ANA−F9(東京光電社製)を用いて測定することができる。
より具体的には、上記照度計の受光部に干渉フィルターSU0500(朝日分光社製)などを重ねて、波長500nm以上の光をカットして測定を行う。
(昇華精製における光波長)
本発明の昇華精製を行う環境の光の最低波長端は、下記に記載の測定方法で、通常500nmより大きく、好ましくは520nm以上、さらに好ましくは550nm以上、また通常600nm以下、好ましくは550nmである。
(500nmより短波長領域の照度を低減させる手段)
昇華精製をおこなう環境を500nmより短波長領域の照度が、20ルクス以下である環境とするためには、特に制限はないが、市販のイエロー蛍光ランプや半導体工場用イエロー蛍光ランプを用いることができ、例えば、FLR40SY/MやFLR40SY―IC/M(三菱電機オスラム社製)などが挙げられる。
本発明の構成とすることで、効果が得られる理由を以下の通り推測する。
蛍光発光材料は、特に湿式成膜法で用いる場合には、溶剤への溶解性を向上させる必要がある。ここで、溶剤に対する溶解性を向上させる場合、例えば、長鎖アルキル基を導入したり、骨格と骨格との結合をリジッドでない構造とする。このような構造を有する化合物を加熱した場合、長鎖アルキル基や、骨格と骨格との結合のリジッドでない構造部分が、分子内で熱振動を起こす。この熱振動を起こした状態で、500nmより短波長の光が照射されると、励起状態となって分解反応を起こす。
これにより、昇華精製しても、純度が向上せず、むしろ分解などによる不純物が増加して、素子とした場合に、駆動電圧が高かったり、駆動寿命が短いといった改善点を有した。
<有機電界発光素子用組成物>
本発明の有機電界発光素子用組成物は、少なくとも上記蛍光発光材料を含有する。
該有機電界発光素子用組成物における蛍光発光材料の含有量は、通常0.5重量部以上、好ましくは1重量部以上、通常50重量部以下、好ましくは10重量部以下である。この範囲とすることにより、発光効率の向上及び素子の低電圧化の効果が得られる。尚、前記蛍光発光材料は組成物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
組成物に含有される溶剤は、湿式成膜により蛍光発光材料を含む層を形成するために用いる、揮発性を有する液体成分である。
溶剤は、溶質が良好に溶解する溶剤であれば特に限定されないが、以下の例が好ましい。
また、より均一な膜を得るためには、塗布直後の液膜から溶剤が適当な速度で蒸発することが好ましい。このため、溶剤の沸点は通常80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、また、通常270℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは沸点230℃以下である。
本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて、発光層を形成する場合には、本発明の蛍
光発光材料をホスト材料とし、他の電荷輸送性化合物をドーパント材料として含んでいてもよいし、本発明の蛍光発光材料をドーパント材料とし、他の電荷輸送性化合物をホスト材料として含んでいてもよい。また、ドーパント材料、ホスト材料ともに、本発明の蛍光発光材料であってもよい。
有機電界発光素子用組成物には、必要に応じて、上記の化合物等の他に、更に他の化合物を含有していてもよい。例えば、上記の溶剤の他に、別の溶剤を含有していてもよい。そのような溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。
<有機電界発光素子>
以下に、本発明の方法で製造される有機電界発光素子の層構成及びその一般的形成方法等について、図1を参照して説明する。
上記湿式成膜法にて形成された有機層は、発光層であることが好ましい。
図1は本発明にかかる有機電界発光素子の構造例を示す断面の模式図であり、図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、7は電子輸送層、8は電子注入層、9は陰極を各々表す。
尚、本発明において湿式成膜法とは、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等湿式で成膜される方法をいう。これらの成膜方法の中でも、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法が好ましい。これは、有機電界発光素子に用いられる塗布用組成物特有の液性に合うためである。
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、
ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
陽極2は発光層側の層への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又はスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合、陽極2の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意であり、陽極2は基板1と同一でもよい。また、さらには、上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
(正孔注入層)
正孔注入層3は、陽極2から発光層5へ正孔を輸送する層であり、通常、陽極2上に形成される。
正孔注入層3の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
湿式成膜により正孔注入層3を形成する場合、通常は、正孔注入層3を構成する材料を適切な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調製し、この正孔注入層形成用組成物を適切な手法により、正孔注入層3の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形成する。
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層の構成材料として正孔輸送性化合物及び溶剤を含有する。
正孔輸送性化合物は、通常、有機電界発光素子の正孔注入層に使用される、正孔輸送性を有する化合物であれば、重合体などの高分子化合物であっても、単量体などの低分子化合物であってもよいが、高分子化合物であることが好ましい。
正孔注入層3の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種又は2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種又は2種以上とを併用することが好ましい。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果による均一な発光の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
よい。
Ar1〜Ar16の芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の基が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環由来の基がさらに好ましい。
R1及びR2が任意の置換基である場合、該置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが挙げられる。
また、正孔輸送性化合物としては、ポリチオフェンの誘導体である3,4-ethylenedioxythiophene(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を高分子量ポリスチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマー(PEDOT/PSS)もまた好ましい。また、このポリマーの末端を
メタクリレート等でキャップしたものであってもよい。
可能性がある。
正孔注入層形成用組成物は正孔注入層の構成材料として、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
モニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素;ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン等が挙げられる。
正孔注入層或いは正孔注入層形成用組成物中の電子受容性化合物の正孔輸送性化合物に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常100モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
正孔注入層の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述の正孔輸送性化合物や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正孔注入層の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。また、この溶剤の沸点は通常110℃以上、好ましくは140℃以上、中でも200℃以上、通常400℃以下、中でも300℃以下であることが好ましい。溶剤の沸点が低すぎると、乾燥速度が速すぎ、膜質が悪化する可能性がある。また、溶剤の沸点が高すぎると乾燥工程の温度を高くする必要があし、他の層や基板に悪影響を与える可能性がある。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、等が挙げられる。
これらの溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
(成膜方法)
正孔注入層形成用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜により、正孔注入層3の下層に該当する層(通常は、陽極2)上に塗布成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形成する。
塗布工程における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.01ppm以上、通常80%以下である。
塗布後、通常加熱等により正孔注入層形成用組成物の膜を乾燥させる。加熱工程において使用する加熱手段の例を挙げると、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射などが挙げられる。中でも、膜全体に均等に熱を与えるためには、クリーンオーブン及びホットプレートが好ましい。
真空蒸着により正孔注入層3を形成する場合には、正孔注入層3の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種又は2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合は各々独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極2上に正孔注入層3を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層3を形成することもできる。
×10−6Torr(0.13×10−4Pa)以上、通常9.0×10−6Torr(12.0×10−4Pa)以下である。 蒸着速度は、本発明の効果を著しく損なわない
限り限定されないが、通常0.1Å/秒以上、通常5.0Å/秒以下である。蒸着時の成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上で、好ましくは50℃以下で行われる。
本発明に係る正孔輸送層4の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔輸送層4を湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔輸送層4は、正孔注入層がある場合には正孔注入層3の上に、正孔注入層3が無い場合には陽極2の上に形成することができる。 また、本発明の有機電界発光素子は、正
孔輸送層を省いた構成であってもよい。
ポリアリールアミン誘導体としては、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む重合体であることが好ましい。特に、下記式(II)で表される繰り返し単位からなる重合体であることが好ましく、この場合、繰り返し単位それぞれにおいて、Ara又はArbが異なっているものであってもよい。
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環又は2〜5縮合環由来の基及びこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
Ara及びArbにおける芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アシル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シロキシ基、シアノ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基などが挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)及び/又は下記式(III−2)からなる繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
Xの具体例としては、―O―、―BR―、―NR―、―SiR2―、―PR―、―SR―、―CR2―又はこれらが結合してなる基である。尚、Rは、水素原子又は任意の有機基を表す。本発明における有機基とは、少なくとも一つの炭素原子を含む基である。
Arc〜Arjの具体例としては、前記式(II)における、Ara及びArbと同様である。
上記式(III−1)〜(III−3)の具体例及びポリアリーレン誘導体の具体例等は、特開2008-98619号公報に記載のものなどが挙げられる。
正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔輸送性化合物の他、溶剤を含有する。用いる
溶剤は上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、成膜条件、加熱乾燥条件等も正孔注入層3の形成の場合と同様である。
正孔輸送層4は、上記正孔輸送性化合物の他、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などを含有していてもよい。
正孔輸送層4はまた、架橋性化合物を架橋して形成される層であってもよい。架橋性化合物は、架橋性基を有する化合物であって、架橋することにより網目状高分子化合物を形成する。
架橋性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。 架橋性
化合物は1種のみを有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で有していてもよい。
正孔輸送層形成用組成物には、架橋性化合物の他、架橋反応を促進する添加物を含んでいてもよい。架橋反応を促進する添加物の例を挙げると、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合物、オニウム塩等の重合開始剤及び重合促進剤;縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、ジアリールケトン化合物等の光増感剤;などが挙げられる。
正孔輸送層形成用組成物は、架橋性化合物を通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下含有する。
成膜時の温度、湿度などの条件は、前記正孔注入層3の湿式成膜時と同様である。
成膜後の加熱の手法は特に限定されない。加熱温度条件としては、通常120℃以上、好ましくは400℃以下である。
光などの活性エネルギー照射による場合には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、赤外ランプ等の紫外・可視・赤外光源を直接用いて照射する方法、あるい
は前述の光源を内蔵するマスクアライナ、コンベア型光照射装置を用いて照射する方法などが挙げられる。光以外の活性エネルギー照射では、例えばマグネトロンにより発生させたマイクロ波を照射する装置、いわゆる電子レンジを用いて照射する方法が挙げられる。照射時間としては、膜の溶解性を低下させるために必要な条件を設定することが好ましいが、通常、0.1秒以上、好ましくは10時間以下照射される。
このようにして形成される正孔輸送層4の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
{発光層}
正孔注入層3の上、又は正孔輸送層4を設けた場合には正孔輸送層4の上には発光層5が設けられる。発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極2から注入された正孔と、陰極9から注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。
発光層5は、その構成材料として、少なくとも、発光の性質を有する材料(発光材料)を含有するとともに、好ましくは、正孔輸送能を有する化合物(正孔輸送性化合物)、あるいは、電子輸送能を有する化合物(電子輸送性化合物)、を含有する。本発明においては、発光材料として、本発明の蛍光発光材料を用いることが好ましく、特に青色発光材料として用いることが好ましい。
(発光性化合物)
本発明の有機電界発光素子は、本発明の効果を損なわない限り、本発明の蛍光発光材料以外の材料を、発光層に含んでいてもよい。
以下、発光材料のうち蛍光発光性化合物の例を挙げるが、蛍光発光性化合物は以下の例示物に限定されるものではない。
青色発光を与える蛍光発光性化合物(青色蛍光色素)としては、例えば、ナフタレン、
ペリレン、ピレン、クリセン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼン及びそれらの誘導体等が挙げられる。
黄色発光を与える蛍光発光性化合物(黄色蛍光色素)としては、例えば、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。
周期表第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。
発光層5における発光材料の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.05重量%以上、通常35重量%以下である。発光材料が少なすぎると発光ムラを生じる可能性があり、多すぎると発光効率が低下する可能性がある。なお、2種以上の発光材料を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにす
る。
発光層5には、その構成材料として、正孔輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、正孔輸送性化合物のうち、低分子量の正孔輸送性化合物の例としては、前述の正孔注入層3における(低分子量の正孔輸送性化合物)として例示した各種の化合物のほか、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルに代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(Journal of Luminescence, 1997年, Vol.72−74, pp.985)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chemical Communications, 1996年, pp.2175)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synthetic Metals, 1997年, Vol.91,pp.209)等が挙げられる。
発光層5における正孔輸送性化合物の割合は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1重量%以上、通常65重量%以下である。正孔輸送性化合物が少なすぎると短絡の影響を受けやすくなる可能性があり、多すぎると膜厚ムラを生じる可能性がある。なお、2種以上の正孔輸送性化合物を併用する場合には、これらの合計の含有量が上記範囲に含まれるようにする。
発光層5には、その構成材料として、電子輸送性化合物を含有させてもよい。ここで、電子輸送性化合物のうち、低分子量の電子輸送性化合物の例としては、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)や、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)や、バソフェナントロリン(BPhen)や、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)や、4,4’−ビス(9−カルバゾール)−ビフェニル(CBP)等が挙げられる。なお、発光層5において、電子輸送性化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明に係る湿式成膜法により発光層5を形成する場合は、上記材料を適切な溶剤に溶解させて発光層形成用組成物を調製し、それを用いて成膜することにより形成する。
発光層5を本発明に係る湿式成膜法で形成するための発光層形成用組成物に含有させる発光層用溶剤としては、発光層の形成が可能である限り任意のものを用いることができる。発光層用溶剤の好適な例は、上記正孔注入層形成用組成物で説明した溶剤と同様である。
また、発光層形成用組成物中の発光材料、正孔輸送性化合物、電子輸送性化合物等の固形分濃度としては、通常0.01重量%以上、通常70重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると膜に欠陥が生じる可能性がある。
発光層5の膜厚は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。発光層5の膜厚が、薄すぎると膜に欠陥が生じる可能性があり、厚すぎると駆動電圧が上昇する可能性がある。
発光層5と後述の電子注入層8との間に、正孔阻止層6を設けてもよい。正孔阻止層6は、発光層5の上に、発光層5の陰極9側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層6は、陽極2から移動してくる正孔を陰極9に到達するのを阻止する役割と、陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送する役割とを有する。
正孔阻止層6の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成できる。
正孔阻止層6の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
発光層5と後述の電子注入層8の間に、電子輸送層7を設けてもよい。
電子輸送層7は、素子の発光効率を更に向上させることを目的として設けられるもので
、電界を与えられた電極間において陰極9から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送することができる化合物より形成される。
電子輸送層7の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
電子輸送層7の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
電子注入層8は、陰極9から注入された電子を効率良く発光層5へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行なうには、電子注入層8を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられ、その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
電子注入層8の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
{陰極}
陰極9は、発光層5側の層(電子注入層8又は発光層5など)に電子を注入する役割を果たすものである。
用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
陰極9の膜厚は、通常、陽極2と同様である。
さらに、低仕事関数金属から成る陰極9を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので好ましい。この目的のために、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。なお、これらの材料は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明に係る有機電界発光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。例えば、その性能を損なわない限り、陽極2と陰極9との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、任意の層が省略されていてもよい。
有していてもよい層としては、例えば、電子阻止層が挙げられる。
電子阻止層は、正孔注入層3又は正孔輸送層4と発光層5との間に設けられ、発光層5から移動してくる電子が正孔注入層3に到達するのを阻止することで、発光層5内で正孔と電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層5内に閉じこめる役割と、正孔注入層3から注入された正孔を効率よく発光層5の方向に輸送する役割とがある。特に、発光材料として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合は電子阻止層を設けることが効果的である。
電子阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
効率を向上させる有効な方法である(Applied Physics Letters, 1997年, Vol.70, pp.152;特開平10−74586号公報;IEEE Transactions on Electron Devices, 1
997年,Vol.44, pp.1245;SID 04 Digest, pp.154等参照)。
層8、電子輸送層7、正孔阻止層6、発光層5、正孔輸送層4、正孔注入層3、陽極2の順に設けてもよい。
更には、少なくとも一方が透明性を有する2枚の基板の間に、基板以外の構成要素を積層することにより、本発明に係る有機電界発光素子を構成することも可能である。
また、上述した各層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、材料として説明した以外の成分が含まれていてもよい。
本発明の有機ELディスプレイ及び有機EL照明は、上述のような本発明の有機電界発光素子を備えるものである。有機ELディスプレイ及び有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
(合成例1)
化合物Aの合成
)199ml、ジアミノスチルベン・ニ塩酸塩19.82g(0.07mol)、2−ブロモナフタレン14.49g(0.07mol)、カリウムt−ブトキシド23.52g(0.21mol)を添加し、減圧−窒素パージを3回繰り返して、窒素置換を行った後、窒素気流下で80℃で8時間反応させた。得られた反応液に水を加え、分液し、脱水処理後、濃縮し、カラムクロマトグラフィにより化合物1を1.5g得た。
また、化合物Aのトルエンに対する溶解度は、5wt%であった。
[化合物の精製]
(実施例1)
合成例1で得られた化合物Aを用いて、以下の方法で昇華精製を行った。
昇華精製装置中、ガラス管中にサンプルをいれ、真空度を1.0×10−5Torrまで減圧した。炉の温度を310℃まで昇温し、2時間加熱して、本発明の蛍光発光材料(A−1)を得た。
(500nmより短波長領域の照度の測定)
上記昇華精製装置の上で、照度計ANA−F9(東京光電社製)に、波長500nm以上の光をカットするフィルターSU0500(朝日分光社製)で受光部を覆って、500
nmより短波長領域の照度測定した。測定した500nmより短波長領域の照度は0ルクスであった。
実施例1において、イエロー蛍光ランプFLR40SY/M(三菱電機 オスラム社製)を、白色灯FLR40SW/M(三菱電機 オスラム社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして昇華精製を行って、蛍光発光材料(A−2)を得た。
尚、昇華精製した部分を回収し、HPLCにて純度を測定したところ、純度85%であった。
[絶対発光量子収率]
(実施例2)
実施例1で得られた本発明の蛍光発光材料(A−1)の絶対発光量子収率を、絶対発光量子収率測定器C9920−02(浜松フォトニクス社製)を用いて以下の通り測定を行った。蛍光発光材料(A−1)をCH2Cl2に溶解して10−5mol/L溶液とし、測定用石英ガラスセルに入れて、測定器にセットした。これを313nmの光で励起して測定を行い、絶対発光量子収率を得た。
また、465nmに発光を示し、青色発光であることが確認された。
(比較例2)
実施例2において、本発明の蛍光発光材料(A−1)を、比較例1で得られた発光材料(A−2)に変更した他は、実施例2と同様にして量子収率を測定した。
また、465nmに発光を示し、青色発光であることが確認された。
また、蛍光発光性化合物の発光を失活させる不純物が少ないため、得られる素子の駆動電圧が低く、また駆動寿命が長い。
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
Claims (8)
- 500nmより短波長領域の照度が、20ルクス以下である環境下で昇華精製された化合物からなることを特徴とする、蛍光発光材料。
- 前記化合物が、スチリル基を有することを特徴とする、請求項1に記載の蛍光発光材料。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光発光材料を含有することを特徴とする、有機電界発光素子用組成物。
- さらに、溶剤を含有することを特徴とする、請求項4に記載の有機電界発光素子用組成物。
- 陽極、陰極、及び該陽極と該陰極との間に設けられた有機層を有する有機電界発光素子であって、
該有機層が、請求項5に記載の有機電界発光素子用組成物を用いて、湿式成膜法にて形成された層を含むことを特徴とする、有機電界発光素子。 - 請求項6に記載の有機電界発光素子を備えたことを特徴とする、有機ELディスプレイ。
- 請求項6に記載の有機電界発光素子を備えたことを特徴とする、有機EL照明。
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