JP2010206120A - 有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機elディスプレイ及び有機el照明 - Google Patents

有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機elディスプレイ及び有機el照明 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、低い電圧で駆動可能で、発光効率が高く、さらに駆動寿命が長い有機電界発光素子を作製するための有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、並びにそれを備えた有機ELディスプレイ及び有機EL照明を提供することを課題とする。
【解決手段】 有機化合物と有機溶媒とを含む有機電界発光素子用組成物において、組成物1mgあたりの電子スピン数が1x1015以上であることを特徴とする、有機電界発光素子用組成物。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、並びに有機ELディスプレイ及び有機EL照明に関する。
近年、有機薄膜を用いた電界発光素子(即ち、有機電界発光素子)の開発が行われている。有機電界発光素子における有機薄膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法と湿式成膜法が挙げられるが、いずれにしても、より寿命の長い有機電界発光素子が望まれている。
この課題を解決する為に、例えば、特許文献1には、正孔注入・輸送層、発光層、電子注入輸送層などのすべての有機層において、電子スピン数が少ない材料を用いて形成することが開示されている。また、特許文献2には、有機ラジカルを含む有機電界発光素子が開示されている。
しかしながら、得られる素子の駆動電圧、及び駆動寿命の点で改善の必要があった。
特開1999−054271号公報 特開2008−297258号公報
本発明は、低い電圧で駆動可能で、駆動寿命が長い有機電界発光素子を作製するための有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、並びにそれを備えた有機ELディスプレイ及び有機EL照明を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、有機電界発光素子用組成物の1mgあたりの電子スピン数を特定の値以上とすることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、有機化合物と有機溶媒とを含む有機電界発光素子用組成物において、組成物1mgあたりの電子スピン数が1x1015以上であることを特徴とする、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、並びに有機ELディスプレイ、及び有機EL照明に存する。
本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて得られる有機電界発光素子は、低い電圧で駆動可能であり、さらに、駆動寿命が長い。また、定電流駆動時の発光輝度の低下、電圧上昇、非発光部分(ダークスポット)の発生、短絡欠陥等が抑制される。
本発明の有機電界発光素子の構造の一例を模式的に示す断面図である。
本発明の有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、並びに有機ELディスプレイ及び有機EL照明の実施態様を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本
発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されない。
<有機電界発光素子用組成物>
本発明の有機電界発光素子用組成物は、有機化合物と有機溶媒とを含み、組成物1mgあたり電子スピン数が1x1015以上であることを特徴とする、有機電界発光素子用組成物である。
本発明における、電子スピン数は、以下の方法で測定を行う。
[電子スピンの測定方法]
本発明において、1mgあたりの電子スピン数を測定する方法は、電子スピン共鳴測定装置FA300(JEOL社製)を用いて測定を行う。
測定方法は、電子スピン共鳴法(Electron Spin Resonance Measurement;ESR法)で行う。
測定条件については、例えば下記の通りで行う。
測定条件:
中心磁場:323mT
掃引磁場幅:25mT
レスポンス:0.1sec
磁場掃引時間:2min
マイクロ波出力:0.1mW
試料管:石英製キャピラリーチューブ
定量のための標準試料として、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルの安息香酸エチル溶液を用いた。標準試料は、測定が可能なように濃度を調製して用いればよい。
尚、本発明の特定に用いる測定機器は、上記と同等の測定が可能であれば、上記の測定機器に限定されるものではなく、その他の測定機器を用いてもよいが、上記の測定機器を用いることが好ましい。
本発明の有機電界発光素子用組成物は、上記の測定方法による値で、組成物1mgあたりの電子スピン数は、通常1x1015以上、好ましくは3x1015以上、更に好ましくは5x1015以上、また、通常5x1017以下である。
上記範囲内であると電荷輸送能の高い電荷輸送膜が得られ、得られる素子の駆動電圧が低下するため好ましい。
また、本発明の有機電界発光素子用組成物は、電子スピンがカチオンラジカル種由来であることが好ましい。電子スピンがカチオンラジカル種由来であると、正孔輸送性がさらに高められるためである。
電子スピンがカチオンラジカル種由来であることは、以下の方法で確認できる。
組成物中に、カチオンラジカル種が含まれていると、それと対をなすアニオンも存在する。つまり、上記ESR法によりラジカル種の存在を確認し、また、イオン分析法によりアニオンの存在を確認する。
<正孔注入・輸送層形成用組成物>
本発明の有機電界発光素子用組成物が、正孔注入・輸送層形成用組成物である場合の構成成分の一例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、本発明の有機電界発光素子用組成物が、正孔注入・輸送層形成用組成物である場合は、一電子酸化されやすい正孔注入・輸送材料、一電子酸化しやすい電子受容性化合物、並びに該正孔注入・輸送材料、及び電子受容性化合物を溶解し、ラジカル種を安定に溶媒
和する有機溶媒を含む組成物であることが好ましい。
<正孔注入・輸送材料>
本発明の有機電界発光素子用組成物が、正孔注入・輸送層形成用組成物として用いられる場合、含有される有機化合物としては、正孔注入・輸送材料であることが好ましい。
正孔注入・輸送材料としては、以下に記載の材料から適宜選択して本発明の構成とすることができる。
(正孔注入・輸送材料の分子量)
また、本発明に係る正孔注入・輸送材料は低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよいが、耐熱性、電荷輸送性、成膜性等の点において、高分子化合物であることが好ましい。
本発明における低分子化合物とは、分子量に分布を有するものではなく、単一の分子量を有する化合物をいう。また、本発明における高分子化合物とは、分子量に分布を有する化合物であって、例えば構造中に繰り返し単位を有する化合物をいう。
正孔注入・輸送材料が低分子化合物である場合の分子量は、通常300以上、好ましくは500以上、また、通常5000以下、好ましくは2500以下の範囲である。正孔注入・輸送材料の分子量が小さ過ぎると電荷輸送性が低下する場合があり、大き過ぎると溶解性が低下する場合がある。
一方、正孔注入・輸送材料が高分子化合物である場合の重量平均分子量は、通常500以上、好ましくは2000以上、より好ましくは4000以上、また、通常2,000,000以下、好ましくは500,000以下、より好ましくは200,000以下の範囲である。正孔注入・輸送材料の重量平均分子量がこの下限値を下回ると、正孔注入・輸送材料の成膜性が低下する可能性があり、また、正孔注入・輸送材料のガラス転移温度、融点及び気化温度が低下するため耐熱性が著しく損なわれる可能性がある。また、重量平均分子量がこの上限値を超えると、不純物の高分子量化によって正孔注入・輸送材料の精製が困難となる可能性がある。
なお、この重量平均分子量はSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)測定により決定される。SEC測定では高分子量成分ほど溶出時間が短く、低分子量成分ほど溶出時間が長くなるが、分子量既知のポリスチレン(標準試料)の溶出時間から算出した校正曲線を用いて、サンプルの溶出時間を分子量に換算することによって、重量平均分子量が算出される。数平均分子量についても同様に算出される。後述の正孔輸送性ポリマー等の重量平均分子量及び数平均分子量についても同様である。
(正孔注入・輸送材料の構造)
正孔注入・輸送層を形成する材料(正孔注入・輸送材料)としては、正孔輸送能が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが好ましい。そのために、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、正孔移動度が大きく、安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが好ましい。
発光層に接して使用する場合、特に、発光層からの発光を消光したり、発光層との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させたりしないことが好ましい。
更に、1mgあたりの電子スピン数を向上させるために、一電子酸化されやすい正孔注入・輸送材料が好ましく、この観点から4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。
このような正孔注入・輸送材料としては、アリールアミン誘導体、フルオレン誘導体、スピロ誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導
体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、シロール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。
また、例えば、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリアリールアミン誘導体、ポリビニルトリフェニルアミン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリアリーレン誘導体、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン誘導体、ポリアリーレンビニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体等が挙げられる。これらは、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上ある高分子や、所謂デンドリマーであってもよい。
中でも、ポリアリールアミン誘導体やポリアリーレン誘導体が好ましい。
ポリアリールアミン誘導体としては、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物であることが好ましい。特に、下記式(II)で表される繰り返し単位からなる高分子化合物であることが好ましく、この場合、繰り返し単位それぞれにおいて、Ar又はArが異なっているものであってもよい。
Figure 2010206120
(式(II)中、Ar及びArは、各々独立して、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。)
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環又は2〜5縮合環由来の基及びこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の基及びこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
溶解性、耐熱性の点から、Ar及びArは、各々独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環由来の基やベンゼン環が2環以上連結してなる基(例えば、ビフェニル基、ビフェニレン基や、ターフェニル基、ターフェニレン基)が好ましい。
中でも、ベンゼン環由来の基(フェニル基)、ベンゼン環が2環連結してなる基(ビフェニル基)及びフルオレン環由来の基(フルオレニル基)が好ましい。
Ar及びArにおける芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換
基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アシル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シロキシ基、シアノ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基などが挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、前記式(II)におけるArやArとして例示した置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基などのアリーレン基をその繰り返し単位に有する高分子化合物が挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)及び/又は下記式(III−2)からなる繰り返し単位を有する高分子化合物が好ましい。
Figure 2010206120
(式(III−1)中、Ra、Rb、R及びRは、各々独立に、アルキル基、アルコキシ基、フェニルアルキル基、フェニルアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又はカルボキシ基を表す。t及びsは、各々独立に、0〜3の整数を表す。t又はsが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のRa又はRbは同一であっても異なっていてもよく、隣接するRa又はRbどうしで環を形成していてもよい。)
Figure 2010206120
(式(III−2)中、R及びRは、各々独立に、上記式(III−1)におけるRa、Rb、R又はRと同義である。r及びuは、各々独立に、0〜3の整数を表す。r又はuが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のR及びRは同一であっても異なっていてもよく、隣接するR又はRどうしで環を形成していてもよい。Xは、5員環又は6員環を構成する原子又は原子群を表す。)
Xの具体例としては、―O―、―BR―、―NR―、―SiR―、―PR―、―SR―、―CR―又はこれらが結合してなる基である。尚、Rは、水素原子又は任意の有機基を表す。
また、ポリアリーレン誘導体としては、上記式(III−1)及び/又は上記式(III−2)からなる繰り返し単位に加えて、さらに下記式(III−3)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2010206120
(式(III−3)中、Ar〜Arは、各々独立に、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。v及びwは、各々独立に0又は1を表す。)
Ar〜Arの具体例としては、前記式(II)における、Ar及びArと同様である。
上記式(III−1)〜(III−3)の具体例及びポリアリーレン誘導体の具体例等は、特開2008−98619号公報に記載のものなどが挙げられる。
正孔注入・輸送材料が高分子化合物である場合は、繰り返し単位中にフルオレン環を含む高分子化合物であることが、電荷輸送能が高められる点で好ましい。
上記、正孔注入・輸送材料の骨格にさらに不溶化基を有する化合物(以下、「不溶化性化合物」と称することがある)であることが、膜の、有機溶媒に対する不溶性を向上できる点で好ましい。
容易に積層することが可能な点で不溶化基を有する化合物(以下、「不溶化性化合物」と称する場合がある)であることが好ましい。
[不溶化基]
不溶化基とは、熱及び/又は活性エネルギー線の照射により反応する基であり、反応後は反応前に比べて有機溶媒や水への溶解性を低下させる効果を有する基である。
本発明においては、不溶化基は、解離基又は架橋性基であることが好ましい。
(解離基)
本発明における正孔注入・輸送材料は、不溶化基として、解離基を有していることが不溶化後(解離反応後)の電荷輸送能に優れる点で好ましい。
ここで、解離基とは、結合している芳香族炭化水素環から70℃以上で解離し、さらに溶媒に対して可溶性を示す基をいう。ここで、溶媒に対して可溶性を示すとは、化合物が熱及び/又は活性エネルギー線の照射によって反応する前の状態で、常温でトルエンに0.1重量%以上溶解することをいい、化合物のトルエンへの溶解性は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。
このような解離基として好ましくは、芳香族炭化水素環側に極性基を形成せずに熱解離する基であり、逆ディールスアルダー反応により熱解離する基であることがより好ましい。
またさらに、100℃以上で熱解離する基であることが好ましく、300℃以下で熱解離する基であることが好ましい。
解離基の具体例は、以下の通りであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
解離基が2価の基である場合の具体例は、以下の<2価の解離基群A>の通りである。
<2価の解離基群A>
Figure 2010206120
解離基が1価の基である場合の具体例は、以下の<1価の解離基群B>の通りである。
<1価の解離基群B>
Figure 2010206120
(架橋性基)
また、本発明における正孔輸送材料は、不溶化基として、架橋性基を有していることが、熱及び/又は活性エネルギー線の照射により起こる反応(不溶化反応)の前後で、溶媒に対する溶解性に大きな差を生じさせることができる点で好ましい。
ここで、架橋性基とは、熱及び/又は活性エネルギー線の照射により近傍に位置するほかの分子の同一又は異なる基と反応して、新規な化学結合を生成する基のことをいう。
架橋性基としては、不溶化がしやすいという点で、例えば、架橋性基群Tに示す基が挙げられる。
[架橋性基群T]
Figure 2010206120
(式中、R〜Rは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Ar31は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。)
エポキシ基、オキセタン基などの環状エーテル基、ビニルエーテル基などのカチオン重合によって不溶化反応する基が、反応性が高く不溶化が容易な点で好ましい。中でも、カチオン重合の速度を制御しやすい点でオキセタン基が特に好ましく、カチオン重合の際に素子の劣化をまねくおそれのあるヒドロキシル基が生成しにくい点でビニルエーテル基が好ましい。
シンナモイル基などアリールビニルカルボニル基、ベンゾシクロブテン環由来の基などの環化付加反応する基が、電気化学的安定性をさらに向上させる点で好ましい。
また、架橋性基の中でも、不溶化後の構造が特に安定な点で、ベンゾシクロブテン環由来の基が特に好ましい。
架橋性基は分子内の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基に直接結合してもよいが、2価の基を介して結合してもよい。この2価の基としては、−O−基、−C(=O)−基又は(置換基を有していてもよい)−CH−基から選ばれる基を任意の順番で1〜30個連結してなる2価の基を介して、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基に結合することが好ましい。
以下、正孔輸送材料が、不溶化性化合物である場合の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<不溶化性化合物の具体例>
Figure 2010206120
Figure 2010206120
Figure 2010206120
Figure 2010206120
Figure 2010206120
Figure 2010206120
Figure 2010206120
Figure 2010206120
また、本発明における正孔注入・輸送材料が、上記不溶化基を有さない化合物である場合は、例えばPEDOT/PSS(Adv.Mater.,2000年,12巻,481頁)やエメラルジン塩酸塩(J.Phys.Chem.,1990年,94巻,7716頁)等の酸化重合(脱水素重合)によって得られる高分子化合物が挙げられる。ここでいう酸化重合は、モノマーを酸性溶液中で、ペルオキソ二硫酸塩等を用いて化学的に、又は、電気化学的に酸化するものである。この酸化重合(脱水素重合)の場合、モノマーが酸化されることにより高分子化されるとともに、酸性溶液由来のアニオンを対アニオンとする、カチオンラジカルを含む高分子が生成する。この酸化重合の際に、ハロゲン原子を含有する酸を用いると、ハロゲン原子を含有した対アニオンを有するカチオンラジカルを含む高分子が得られるため、熱的、電気的安定性に優れ、好ましい。
(有機溶媒)
有機溶媒としては、正孔注入・輸送層形成用組成物中の各成分を良好に溶解でき、且つ、これらの成分と好ましからぬ化学反応を生じないものであれば、その種類に制限はない。ラジカル種を失活させる可能性のある物質又は該物質を発生させるものを含まない溶媒が好ましい。
上記の点で、好ましい溶媒の例としては、エーテル系溶媒エステル系溶媒及びケトン系
溶媒が挙げられる。
エーテル系溶媒の具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテルなどが挙げられる。これらのエーテル系溶媒は何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
エステル系溶媒の具体例としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステルなどが挙げられる。これらのエステル系溶媒は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
また、一種又は二種以上のエーテル系溶媒と、一種又は二種以上のエステル系溶媒とを、任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ケトン系溶媒の具体例としては、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトフェノンなどが挙げられる。これらのケトン系溶媒は何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
また、一種又は二種以上のエーテル系溶媒と、一種又は二種以上のエステル系溶媒とを、任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、一種又は二種以上のエーテル系溶媒と、一種又は二種以上のケトン系溶媒とを、任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、一種又は二種以上のエステル系溶媒と、一種又は二種以上のケトン系溶媒とを、任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、上述のエーテル系溶媒及びエステル系溶媒以外に使用可能な溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。また、これらの溶媒のうち一種又は二種以上を、上述のエーテル系溶媒及びエステル系溶媒のうち一種又は二種以上と組み合わせて用いてもよい。特に、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒は、酸化剤とポリマーを溶解する能力が低いため、エーテル系溶媒及びエステル系溶媒と混合して用いることが好ましい。
正孔注入・輸送層形成用組成物における溶媒の含有率は、通常1重量%以上、好ましくは70重量%以上、また、通常99.999重量%以下、好ましくは99重量%以下の範囲が望ましい。
正孔注入・輸送層形成用組成物における正孔注入・輸送材料の含有率は、通常0.001重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、また、通常99重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲が望ましい。
正孔注入・輸送層形成用組成物における電子受容性化合物の含有率は、通常0.00001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、また、通常50重量%以下、通常5重量%以下、より好ましくは1重量%以下の範囲が望ましい。
更に、正孔注入・輸送層形成用組成物は、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分の例としては、レベリング剤、消泡剤等が挙げられる。
レベリング剤の例としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。レベリング剤は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正孔注入・輸送層形成用組成物中におけるレベリング剤の含有率は、通常0.0001重量%以上、好ましくは0.001重量%以上、また、通常1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下の範囲である。レベリング剤の含有率が少な過ぎるとレベリング不良となる場合があり、多過ぎると膜の電気特性を阻害する場合がある。
消泡剤の例としては、シリコーンオイル、脂肪酸エステル、リン酸エステル等が挙げられる。消泡剤は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正孔注入・輸送層形成用組成物中における消泡剤の含有率は、通常0.0001重量%以上、好ましくは0.001重量%以上、また、通常1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下の範囲である。消泡剤の含有率が少な過ぎると消泡効果がなくなる場合があり、多過ぎると膜の電気特性を阻害する場合がある。
本発明の有機電界発光素子用組成物に含まれる有機化合物は、目的に応じて種々の化合物を用いることができるが、成膜性に優れる点で、高分子化合物であることが好ましい。
さらに、電荷輸送能が高められるため、繰り返し単位中に、置換基を有していてもよいフルオレン環を有していることが好ましい。
(電子受容性化合物)
本発明の有機電界発光素子用組成物は、正孔注入・輸送層形成用組成物である場合、電子受容性化合物を含む。
電子受容性化合物としては、酸化力を有し、上述の正孔注入・輸送材料から一電子受容する能力を有する化合物が好ましい。具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
電子受容性化合物の例としては、例えば、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート等の有機基の置換したオニウム塩、塩化鉄(III)(特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物、テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物、フラーレン誘導体、ヨウ素等が挙げられる。
上記の化合物のうち、強い酸化力を有する点で、有機基の置換したオニウム塩、高原子価の無機化合物等が好ましい。また、種々の溶媒に対する溶解性が高く湿式成膜法で膜を形成するのに適用可能である点で、有機基の置換したオニウム塩、シアノ化合物、芳香族ホウ素化合物等が好ましい。
電子受容性化合物として好適な有機基の置換したオニウム塩、シアノ化合物、芳香族ホウ素化合物の具体例としては、国際公開第2005/089024号パンフレットに記載のものが挙げられ、その好ましい例も同様である。例えば、下記構造式で表わされる化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2010206120
なお、電子受容性化合物は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。
(カチオンラジカル種)
カチオンラジカル種としては、正孔注入・輸送材料から一電子取り除いた化学種であるカチオンラジカルと、対アニオンとからなるイオン化合物が好ましい。但し、カチオンラジカルが正孔輸送能の高分子化合物由来である場合、カチオンラジカルは高分子化合物の繰り返し単位から一電子取り除いた構造となる。
カチオンラジカルとしては、正孔注入・輸送材料として前述した化合物から一電子取り除いた化学種であることが好ましい。正孔注入・輸送材料として好ましい化合物から一電子取り除いた化学種であることが、非晶質性、可視光の透過率、耐熱性、及び溶解性などの点から好適である。
ここで、カチオンラジカル種は、前述の正孔注入・輸送材料と電子受容性化合物を混合することにより生成させることができる。即ち、前述の正孔注入・輸送材料と電子受容性化合物とを混合することにより、正孔注入・輸送材料から電子受容性化合物へと電子移動が起こり、正孔注入・輸送材料のカチオンラジカルと対アニオンとからなるカチオンイオン化合物が生成する。
PEDOT/PSS(Adv.Mater.,2000年,12巻,481頁)やエメラルジン塩酸塩(J.Phys.Chem.,1990年,94巻,7716頁)等の高分子化合物由来のカチオンラジカル種は、酸化重合(脱水素重合)することによっても生成する。
ここでいう酸化重合は、モノマーを酸性溶液中で、ペルオキソ二硫酸塩等を用いて化学的に、又は、電気化学的に酸化するものである。この酸化重合(脱水素重合)の場合、モノマーが酸化されることにより高分子化されるとともに、酸性溶液由来のアニオンを対アニオンとする、高分子の繰り返し単位から一電子取り除かれたカチオンラジカルが生成する。
<発光層形成用組成物である場合>
発光層についても、正孔注入・輸送層形成用組成物である場合と同様の方法で、1mgあたりの電子スピン数を向上させることができる。
本発明の有機電界発光素子用組成物が、発光層形成用組成物として用いられる場合、含有される有機化合物としては、発光材料であることが好ましい。
発光材料としては、低分子化合物でも高分子化合物でもよいが、精製が容易である点から、低分子化合物であることが好ましい。発光性低分子化合物は、以下に記載の材料から適宜選択して本発明の構成とすることができる。
(発光性低分子化合物)
発光性低分子化合物としては、単一の分子量で規定される発光の性質を有する化合物であれば特に制限はなく、公知の材料を適用可能である。例えば、蛍光発光性低分子化合物であってもよく、燐光発光性低分子化合物であってもよいが、内部量子効率の観点から、好ましくは燐光発光性低分子化合物である。
なお、溶媒への溶解性を向上させる目的で、発光性低分子化合物の分子の対称性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることが好ましい。
以下、発光性低分子化合物のうち蛍光発光性低分子化合物の例を挙げるが、蛍光発光性低分子化合物は以下の例示物に限定されるものではない。
青色発光を与える蛍光発光性低分子化合物(青色蛍光発光性低分子化合物)としては、例えば、ナフタレン、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、クリセン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼン及びそれらの誘導体等が挙げられる。
緑色発光を与える蛍光発光性低分子化合物(緑色蛍光発光性低分子化合物)としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、Al(CNO)などのアルミニウム錯体等が挙げられる。
黄色発光を与える蛍光発光性低分子化合物(黄色蛍光発光性低分子化合物)としては、例えば、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。
赤色発光を与える蛍光発光性低分子化合物(赤色蛍光発光性低分子化合物)としては、例えば、DCM(4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6−(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran)系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
燐光発光性低分子化合物としては、例えば、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)第7〜11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。
周期表第7〜11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。
錯体の配位子としては、(ヘテロ)アリールピリジン配位子、(ヘテロ)アリールピラゾール配位子などの(ヘテロ)アリール基とピリジン、ピラゾール、フェナントロリンなどが連結した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位子が好ましい。ここで、(ヘテロ)アリールとは、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
燐光発光性低分子化合物として、具体的には、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、トリス(2−フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2−フェニルピリジン)パラジウム、ビス(2−フェニルピリジン)白金、トリス(2−フェニルピリジン)オスミウム、トリス(2−フェニルピリジン)レニウム、オクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン等が挙げられる。
発光性低分子化合物として用いる化合物の分子量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常10000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは40
00以下、更に好ましくは3000以下、また、通常100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、更に好ましくは400以上の範囲である。発光性低分子化合物の分子量が小さ過ぎると、耐熱性が著しく低下したり、ガス発生の原因となったり、膜を形成した際の膜質の低下を招いたり、或いはマイグレーションなどによる有機電界発光素子のモルフォロジー変化を来したりする場合がある。一方、発光性低分子化合物の分子量が大き過ぎると、発光性低分子化合物の精製が困難となってしまったり、溶媒に溶解させる際に時間を要したりする傾向がある。
なお、上述した発光性低分子化合物は、いずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
以下に、発光性低分子化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、式中Hexはヘキシル基を表す。
<発光性低分子化合物の例示>
Figure 2010206120
Figure 2010206120
[電荷輸送性材料]
本発明の有機電界発光素子は、発光層を構成する材料として、さらに電荷輸送材料を含有していてもよい。
本発明における電荷輸送性低分子化合物とは、正孔輸送性や電子輸送性などの電荷輸送性を有する化合物であって、単一の分子量で規定される化合物である。
本発明においては、電荷輸送性低分子化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
発光層において、発光性低分子化合物をドーパント材料とし、電荷輸送性低分子化合物をホスト材料として用いることが好ましい。
電荷輸送性低分子化合物は、従来有機電界発光素子の発光層に用いられている化合物であればよく、特に発光層のホスト材料として使用されている化合物が好ましい。
電荷輸送性低分子化合物として具体的には、芳香族アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、オリゴチオフェン系化合物、ポリチオフェン系化合物、ベンジルフェニル系化合物、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン系化合物、シラザン系化合物、シラナミン系化合物、ホスファミン系化合物、キナクリドン系化合物、アントラセン系化合物、ピレン系化合物、カルバゾール系化合物、ピリジン系化合物、フェナントロリン系化合物、オキサジアゾール系化合物、シロール系化合物等が挙げられる。
例えば、4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで
代表わされる2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4',4''−トリス(1−ナフ
チルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン系化合物(J.Lumin.,72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン系化合物(Chem.Commun.,2175頁、1996年)、2,2',7,7'−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9'−スピ
ロビフルオレン等のフルオレン系化合物(Synth.Metals,91巻、209頁、1997年)、4,4'−N,N'−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール系化合物、2−(4−ビフェニリル)−5−(p−ターシャルブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(tBu−PBD)、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)などのオキサジアゾール系化合物、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール系化合物、バソフェナントロリン(BPhen)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP、バソクプロイン)などのフェナントロリン系化合物等が挙げられる。
電荷輸送性低分子化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、式中、Buはブチル基、Etはエチル基を表す。
<電荷輸送性低分子化合物の例示>
Figure 2010206120
[組成物]
発光層は、発光性低分子化合物、電荷輸送性低分子化合物及び溶媒を含有する、本発明の有機電界発光素子用組成物(発光層用組成物)を用いて成膜することにより形成ことが好ましい。
発光層用組成物は、発光性低分子化合物、及び電荷輸送性化合物を含有する。
発光性低分子化合物、及び電荷輸送性化合物は、上記の通りである。
(溶媒)
発光層形成用組成物、有機溶媒を含む。含まれる有機溶媒としては、前記(有機溶媒)の項に記載の溶媒を用いることができる。
その他の溶媒としては、発光性低分子化合物及び電荷輸送性低分子化合物が良好に溶解する溶媒であればよい。
溶媒の溶解性としては、常温・常圧下で、発光性低分子化合物及び電荷輸送性低分子化合物を、各々、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上溶解することが好ましい。
以下に溶媒の具体例を挙げるが、本発明の効果を損なわない限り、これらに限定されるものではない。
例えば、n−デカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロヘキサン等のアルカン類;トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;等が挙げられる。
中でも好ましくは、アルカン類や芳香族炭化水素類である。これらの溶媒は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。
また、より均一な膜を得るためには、成膜直後の液膜から溶媒が適当な速度で蒸発することが好ましい。このため、溶媒の沸点は通常80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、また、通常270℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは沸点230℃以下である。
溶媒の使用量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、発光層用組成物100重量部に対して、好ましくは10重量部以上、より好ましくは50重量部以上、特に好ましくは80重量部以上、また、好ましくは99.95重量部以下、より好ましくは99.9重量部以下、特に好ましくは99.8重量部以下である。含有量が下限を下回ると、粘性が高くなりすぎ、成膜作業性が低下する可能性がある。一方、上限を上回ると、成膜後、溶媒を除去して得られる膜の厚みが稼げなくなるため、成膜が困難となる傾向がある。なお、発光層用組成物として2種以上の溶媒を混合して用いる場合には、これらの溶媒の合計がこの範囲を満たすようにする。
また、本発明における発光層用組成物は、成膜性の向上を目的として、レベリング剤や消泡剤等の各種添加剤を含有してもよい。
<本発明の構成にすることによって効果が得られる理由>
以下、本発明の構成とすることにより、効果が得られる理由を以下の通り推測する。
電子スピン数は、組成物中に含まれるラジカル種の多さに比例する。また、ラジカル種はフリーキャリアとして、電荷の輸送を担う役割を果たす。
つまり、ラジカル種が多い組成物を用いて形成された膜は抵抗率が小さくなる。素子とした場合は、駆動電圧が低下し、これに伴い、電流効率の向上、駆動寿命が長くなるといった、本発明が奏する効果がもたらされる。
<有機電界発光素子>
以下に、本発明の方法で製造される有機電界発光素子の層構成及びその形成方法等について、図1を参照して説明する。
図1は本発明にかかる有機電界発光素子の構造例を示す断面の模式図であり、図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、7は電子輸送層、8は電子注入層、9は陰極を各々表す。
(基板)
基板は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシート等が用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン等の透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
(陽極)
陽極2は発光層側の層への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又はスズの酸化物等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等により構成される。
陽極2の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法等により行われることが多い。また、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いて陽極2を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板上に塗布することにより陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板上に薄膜を形成したり、基板上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが好ましい。この場合、陽極2の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意であり、陽極2は基板と同一でもよい。また、さらには、上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
陽極2に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的に、陽極2表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることは好ましい。
[正孔注入層]
正孔注入層は、陽極2から発光層へ正孔を輸送する層であり、通常、陽極2上に形成される。
本発明に係る正孔注入層は、本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて湿式成膜法で形成されることが特に好ましい。
正孔注入層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
[正孔輸送層]
本発明に係る正孔輸送層4の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔輸送層4を湿式成膜法により形成することが好ましい。
湿式成膜法で形成する場合は、本発明の有機電界発光素子用組成物を用いることが好ましい。
正孔輸送層4は、正孔注入層がある場合には正孔注入層3の上に、正孔注入層3が無い場合には陽極2の上に形成することができる。 また、本発明の有機電界発光素子は、正
孔輸送層を省いた構成であってもよい。
正孔輸送層4を形成する材料としては、正孔輸送性が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが好ましい。そのために、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、正孔移動度が大きく、安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが好ましい。また、多くの場合、発光層5に接するため、発光層5からの発光を消光したり、発光層5との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させたりしないことが好ましい。
このような正孔輸送層4の材料としては、従来、正孔輸送層の構成材料として用いられている材料であればよく、例えば、前述の正孔注入層3に使用される正孔注入・輸送材料として例示したものが挙げられる。また、アリールアミン誘導体、フルオレン誘導体、スピロ誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、シロール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。
また、例えば、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリアリールアミン誘導体、ポリビニルトリフェニルアミン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリアリーレン誘導体、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン誘導体、ポリアリーレンビニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体等が挙げられる。これらは、交互共重合体、ランダム重合体、ブロック重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上ある高分子や、所謂デンドリマーであってもよい。
中でも、ポリアリールアミン誘導体やポリアリーレン誘導体が好ましい。
ポリアリールアミン誘導体としては、下記式(II)で表される繰り返し単位を含む重合体であることが好ましい。特に、下記式(II)で表される繰り返し単位からなる重合体であることが好ましく、この場合、繰り返し単位それぞれにおいて、Ar又はArが異なっているものであってもよい。
Figure 2010206120
(式(II)中、Ar及びArは、各々独立して、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。)
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環又は2〜5縮合環由来の基及びこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の基及びこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
溶解性、耐熱性の点から、Ar及びArは、各々独立に、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環由来の基やベンゼン環が2環以上連結してなる基(例えば、ビフェニル基やターフェニル基)が好ましい。
中でも、ベンゼン環由来の基(フェニル基)、ベンゼン環が2環連結してなる基(ビフェニル基)及びフルオレン環由来の基(フルオレニル基)が好ましい。
Ar及びArにおける芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アシル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シロキシ基、シアノ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基などが挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、前記式(II)におけるArやArとして例示した置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基などのアリーレン基をその繰り返し単位に有する重合体が挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)及び/又は下記式(III−2)からなる繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
Figure 2010206120
(式(III−1)中、Ra、Rb、R及びRは、各々独立に、アルキル基、アルコキシ基、フェニルアルキル基、フェニルアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又はカルボキシ基を表す。t及びsは、各々独立に、0〜3の整数を表す。t又はsが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のRa又はRbは同一であっても異なっていてもよく、隣接するRa又はRbどうしで環を形成していてもよい。)
Figure 2010206120
(式(III−2)中、R及びRは、各々独立に、上記式(III−1)におけるRa、Rb、R又はRと同義である。r及びuは、各々独立に、0〜3の整数を表す。r又はuが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のR及びRは同一であっても異なっていてもよく、隣接するR又はRどうしで環を形成していてもよい。Xは、5員環又は6員環を構成する原子又は原子群を表す。)
Xの具体例としては、―O―、―BR―、―NR―、―SiR―、―PR―、―SR―、―CR―又はこれらが結合してなる基である。尚、Rは、水素原子又は任意の有機基を表す。
また、ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)及び/又は下記式(III−2)からなる繰り返し単位に加えて、さらに下記式(III−3)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2010206120
(式(III−3)中、Ar〜Arは、各々独立に、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。v及びwは、各々独立に0又は1を表す。)Ar〜Arの具体例としては、前記式(II)における、Ar及びArと同様である。
上記式(III−1)〜(III−3)の具体例及びポリアリーレン誘導体の具体例等は、特開2008−98619号公報に記載のものなどが挙げられる。
湿式成膜法で正孔輸送層4を形成する場合は、上記正孔注入層3の形成と同様にして、正孔輸送層形成用組成物を調製した後、湿式成膜後、加熱乾燥させる。
正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔注入・輸送材料の他、溶剤を含有する。用いる溶剤は上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、成膜条件、加熱乾燥条件等も正孔注入層3の形成の場合と同様である。
真空蒸着法により正孔輸送層を形成する場合もまた、その成膜条件等は上記正孔注入層3の形成の場合と同様である。
正孔輸送層4は、上記正孔注入・輸送材料の他、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などを含有していてもよい。
正孔輸送層4はまた、架橋性化合物を架橋して形成される層であってもよい。架橋性化合物は、架橋性基を有する化合物であって、架橋することにより網目状高分子化合物を形成する。
この架橋性基の例を挙げると、オキセタン、エポキシなどの環状エーテル由来の基;ビニル基、トリフルオロビニル基、スチリル基、アクリル基、メタクリロイル、シンナモイル等の不飽和二重結合由来の基;ベンゾシクロブテン由来の基などが挙げられる。
架橋性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。 架橋性
化合物は1種のみを有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で有していてもよい。
架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物としては、上記の例示したものが挙げられ、これら正孔輸送性化合物に対して、架橋性基が主鎖又は側鎖に結合しているものが挙げられる。特に架橋性基は、ア
ルキレン基等の連結基を介して、主鎖に結合していることが好ましい。また、特に正孔輸送性化合物としては、架橋性基を有する繰り返し単位を含む重合体であることが好ましく、上記式(II)や式(III−1)〜(III−3)に架橋性基が直接又は連結基を介して結合した繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物の例を挙げると、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等の含窒素芳香族化合物誘導体;トリフェニルアミン誘導体;シロール誘導体;オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。その中でも、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体等の含窒素芳香族誘導体;トリフェニルアミン誘導体、シロール誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが好ましく、特に、トリフェニルアミン誘導体がより好ましい。
架橋性化合物を架橋して正孔輸送層4を形成するには、通常、架橋性化合物を溶剤に溶解又は分散した正孔輸送層形成用組成物を調製して、湿式成膜により成膜して架橋させる。
正孔輸送層形成用組成物には、架橋性化合物の他、架橋反応を促進する添加物を含んでいてもよい。架橋反応を促進する添加物の例を挙げると、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合物、オニウム塩等の重合開始剤及び重合促進剤;縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、ジアリールケトン化合物等の光増感剤;などが挙げられる。
また、さらに、レベリング剤、消泡剤等の塗布性改良剤;電子受容性化合物;バインダー樹脂;などを含有していてもよい。
正孔輸送層形成用組成物は、架橋性化合物を通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下含有する。
このような濃度で架橋性化合物を含む正孔輸送層形成用組成物を下層(通常は正孔注入層3)上に成膜後、加熱及び/又は光などの電磁エネルギー照射により、架橋性化合物を架橋させて網目状高分子化合物を形成する。
成膜時の温度、湿度などの条件は、前記正孔注入層3の湿式成膜時と同様である。
成膜後の加熱の手法は特に限定されない。加熱温度条件としては、通常120℃以上、好ましくは400℃以下である。
加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。加熱手段としては特に限定されないが、成膜された層を有する積層体をホットプレート上に載せたり、オーブン内で加熱するなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
光などの電磁エネルギー照射による場合には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、赤外ランプ等の紫外・可視・赤外光源を直接用いて照射する方法、あるいは前述の光源を内蔵するマスクアライナ、コンベア型光照射装置を用いて照射する方法などが挙げられる。光以外の電磁エネルギー照射では、例えばマグネトロンにより発生させたマイクロ波を照射する装置、いわゆる電子レンジを用いて照射する方法が挙げられる。照射時間としては、膜の溶解性を低下させるために必要な条件を設定することが好ましいが、通常、0.1秒以上、好ましくは10時間以下照射される。
加熱及び光などの電磁エネルギー照射は、それぞれ単独、あるいは組み合わせて行って
もよい。組み合わせる場合、実施する順序は特に限定されない。
このようにして形成される正孔輸送層4の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
{発光層}
発光層は、前記[発光層]の項で記載の材料、成膜方法で形成することができる。好ましい材料、及び方法も同様である。
{正孔阻止層}
発光層と後述の電子注入層8との間に、正孔阻止層を設けてもよい。正孔阻止層は、発光層の上に、発光層の陰極側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層は、陽極2から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送する役割とを有する。
正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。このような条件を満たす正孔阻止層の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996号公報)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005−022962号公報に記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層の材料として好ましい。
なお、正孔阻止層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正孔阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成できる。
正孔阻止層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
{電子輸送層}
発光層と後述の電子注入層8の間に、電子輸送層を設けてもよい。
電子輸送層は、素子の発光効率を更に向上させることを目的として設けられるもので、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成される。
電子輸送層に用いられる電子輸送性化合物としては、通常、陰極又は電子注入層8からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物を用いる。このような条件を満たす化合物としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−ヒドロキシフラボン金属錯体、5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
なお、電子輸送層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子輸送層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
電子輸送層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常300nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
{電子注入層}
電子注入層8は、陰極から注入された電子を効率良く発光層へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行なうには、電子注入層8を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられ、その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
更に、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送化合物に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は、通常、5nm以上、中でも10nm以上が好ましく、また、通常200nm以下、中でも100nm以下が好ましい。
なお、電子注入層8の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子注入層8の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
{陰極}
陰極は、発光層側の層(電子注入層8又は発光層など)に電子を注入する役割を果たすものである。
陰極の材料としては、前記の陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
なお、陰極の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
陰極の膜厚は、通常、陽極2と同様である。
さらに、低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上に更に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層すると、素子の安定性が増すので好ましい。この目的のために、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。なお、これらの材料は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
{その他の層}
本発明に係る有機電界発光素子は、その趣旨を逸脱しない範囲において、別の構成を有していてもよい。例えば、その性能を損なわない限り、陽極2と陰極との間に、上記説明にある層の他に任意の層を有していてもよく、また、任意の層が省略されていてもよい。
{電子阻止層}
有していてもよい層としては、例えば、電子阻止層が挙げられる。
電子阻止層は、正孔注入層又は正孔輸送層と発光層との間に設けられ、発光層から移動してくる電子が正孔注入層に到達するのを阻止することで、発光層内で正孔と電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層内に閉じこめる役割と、正孔注入層から注入された正孔を効率よく発光層の方向に輸送する役割とがある。特に、発光材料として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合は電子阻止層を設けることが効果的である。
電子阻止層に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いこと等が挙げられる。更に、本発明においては、発光層を本発明に係る有機層として湿式成膜法で作製する場合には、電子阻止層にも湿式成膜の適合性が求められる。このような電子阻止層に用いられる材料としては、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(国際公開第2004/084260号パンフレット)等が挙げられる。
なお、電子阻止層の材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
電子阻止層の形成方法に制限はない。従って、湿式成膜法、蒸着法や、その他の方法で形成することができる。
さらに陰極と発光層又は電子輸送層との界面に、例えばフッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化リチウム(Li2O)、炭酸セシウム(II)(CsCO3)等で形成された極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Applied Physics Letters, 1997年, Vol.70, pp.152;特開平10−74586号公報;IEEE Transactions on Electron Devices, 1997年,Vol.44, pp.1245;SID 04 Digest, pp.154等参照)。
また、以上説明した層構成において、基板以外の構成要素を逆の順に積層することも可能である。例えば、図1の層構成であれば、基板上に他の構成要素を陰極、電子注入層8、電子輸送層、正孔阻止層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極2の順に設けてもよい。
更には、少なくとも一方が透明性を有する2枚の基板の間に、基板以外の構成要素を積層することにより、本発明に係る有機電界発光素子を構成することも可能である。
また、基板以外の構成要素(発光ユニット)を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その場合には、各段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合は、それら2層)の代わりに、例えば五酸化バナジウム(V25)等からなる電荷発生層(Carrier Generation Layer:CGL)を設けると、段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
更には、本発明に係る有機電界発光素子は、単一の有機電界発光素子として構成してもよく、複数の有機電界発光素子がアレイ状に配置された構成に適用してもよく、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構成に適用してもよい。
また、上述した各層には、本発明の効果を著しく損なわない限り、材料として説明した以外の成分が含まれていてもよい。
<有機ELディスプレイ及び有機EL照明>
本発明の有機ELディスプレイ及び有機EL照明は、上述のような本発明の有機電界発光素子を備えるものである。有機ELディスプレイ及び有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機ELディスプレイ及び有機EL照明を形成することができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明はその要旨を逸脱しない限り任意に変更して実施できる。
(合成例1)
Figure 2010206120
窒素雰囲気下、原料A(18.1 mmol)、アニリン(38.0 mmol)、9,9−ジヘキシル−2,7−ジブロモフルオレン(28 mmol) 、ナトリウム-tert-ブトキシド(179 mmol)をトルエンに溶解し、溶液を60℃に加熱した後、窒素気流下で別途調整した触媒溶液を加えた。触媒溶液は、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.18mmol)のトルエン5ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(1.44mmol)を加え、60℃まで加温することにより調製した。1時間半、加熱還流後、1,4−ジブロモベンゼン(27.44 mmol)を添加し、2時間、加熱還流した。放冷後、反応液をエタノール(600mL)に再沈殿し、析出物を濾取することで、粗ポリマーを得た。
窒素雰囲気下、粗ポリマー、ブロモベンゼン(0.36mmol) 、ナトリウム-tert-ブトキシド(80 mmol)をトルエンに溶解した後、別途調整した触媒溶液を加えた。2時間半加熱還流した後、ジフェニルアミン及び別途調整した触媒溶液を添加し4時間反応した。触媒溶液は、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0.09mmol)のトルエン5ml溶液に、トリ−t−ブチルホスフィン(0.72mmol)を加え、60℃まで加温することにより調製した。放冷後、反応液をエタノール(600mL)に再沈し、析出物を濾取することで、末端を処理した粗ポリマーを得た。
末端を処理した粗ポリマーをトルエンに溶解した後、1N塩酸を加え攪拌した。有機層
を濃縮し、エタノール(1200mL)と28%アンモニア水溶液(120mL)の混合液に再沈殿し、析出物を濾取し、乾燥後、再びトルエンに溶解させ、アセトンに再沈殿させた。さらに、カラムクロマトグラフィーによる精製を行い、トルエン溶液からエタノールに再沈殿することにより、目的のポリマー(P1)(8.6g)を得た。
重量平均分子量(Mw)=57,000
分散度(Mw/Mn) =1.8
(比較合成例1)
合成例1において、再沈殿で使用した溶媒であるエタノールをすべてイソプロパノールに変更した他は、合成例1と同様にして合成して、前記構造式(P1)で表される化合物を得た。
重量平均分子量(Mw)=47,000
分散度(Mw/Mn) =1.8
<電子スピンの測定>
(参考例1)
下記式(P1)に示す繰り返し構造を有する高分子材料(重量平均分子量:57000,分散度:1.8)2.0重量%、下記式(A1)に示す4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート0.2重量%を、溶媒として安息香酸エチルに溶解して、組成物Aを作製した。
Figure 2010206120
この組成物Aの電子スピンを以下の通り測定した。
[電子スピンの測定]
本発明において、1mgあたりの電子スピン数を測定する方法は、電子スピン共鳴測定装置FA300(JEOL社製)を用いて測定を行った。
測定方法は、電子スピン共鳴法(Electron Spin Resonance Measurement;ESR法)で、下記の測定条件で測定を行った。
測定条件:
中心磁場:323mT
掃引磁場幅:25mT
レスポンス:0.1sec
磁場掃引時間:2min
マイクロ波出力:0.1mW
試料管:石英製キャピラリーチューブ
定量のための標準試料として、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルの安息香酸エチル溶液を用いた。
測定した結果を、表1に示す。
(比較参考例1)
参考例1において、合成例1で合成された前記式(P1)に示す繰り返し構造を有する高分子化合物(重量平均分子量:57000,分散度:1.8)を、比較合成例1で合成された前記式(P1)に示す繰り返し構造を有する高分子化合物に変更した以外は、参考例1と同様にして、組成物Bを調製した。
また、参考例1と同様にして、電子スピンの測定を行った。
測定した結果を表1に示す。
<有機電界発光素子の作製>
(実施例1)
図1(正孔注入層/正孔輸送層/発光層の3層)に示す有機電界発光素子を作製した。
ガラス基板1上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を120nmの厚さに堆積したもの(三容真空社製、スパッタ成膜品)を、通常のフォトリソグラフィー技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。パターン形成したITO基板を、界面活性剤水溶液による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄、超純水による水洗の順で洗浄後、圧縮空気で乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
次いで、参考例1で調製した組成物Aを下記条件で陽極上にスピンコートにより成膜して、膜厚30nmの正孔注入層を得た。
<正孔注入層3の成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 大気中
加熱条件 大気中 230℃ 3時間
正孔注入層を成膜した基板を真空蒸着装置内に移し、油回転ポンプにより装置の粗排気を行った後、装置内の真空度が1.3×10−4Pa以下になるまでクライオポンプを用いて排気した後、以下の構造式に示す化合物(H1)を真空蒸着法にて成膜し、正孔輸送層を得た。蒸着速度は0.5Å/秒に制御して膜厚45nmの膜の正孔輸送層を形成した。
Figure 2010206120
次に、化合物(C3)を真空蒸着法によって積層し発光層を得た。蒸着速度を0.7〜1.2Å/秒の範囲で制御し、正孔輸送層の上に積層して膜厚60nmの膜の発光層を形成した。
Figure 2010206120
ここで、発光層までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして装置内の真空度が1.3×10−4Pa以下になるまで排気した。
電子注入層として、先ずフッ化リチウム(LiF)を、モリブデンボートを用いて、蒸着速度0.08〜0.13Å/秒の範囲で制御し、0.5nmの膜厚で電子輸送層7の上に成膜した。次に、陰極9としてアルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度0.5〜6.0Å/秒の範囲で制御して膜厚80nmのアルミニウム層を形成した。以上の2層の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
引き続き、素子が保管中に大気中の水分等で劣化することを防ぐため、以下に記載の方法で封止処理を行った。
真空蒸着装置に連結された窒素グローブボックス中で、23mm×23mmサイズのガラス板の外周部に、約1mmの幅で光硬化性樹脂30Y−437(スリーボンド社製)を塗布し、中央部に水分ゲッターシート(ダイニック社製)を設置した。この上に、陰極形成を終了した基板を、蒸着された面が乾燥剤シートと対向するように貼り合わせた。その後、光硬化性樹脂が塗布された領域のみに紫外光を照射し、樹脂を硬化させた。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性は以下の通りである。
輝度/電流:3.1[cd/A]@100cd/m
電圧:4.6[V]@100cd/m
また、発光特性、及び輝度半減期(規格化)については、表1に示す。
表1に示すが如く、本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて形成された素子は、駆動電圧が低く、更に駆動寿命が長いことが分かる。
(比較例1)
実施例1において、参考例1で調製した組成物Aを、参考比較例1で調製した組成物B
に変更した以外は、実施例1と同様にして素子を作製した。
この素子の発光特性は以下の通りである。
輝度/電流:3.1[cd/A]@100cd/m
電圧:5.0[V]@100cd/m
また、発光特性と輝度半減期(規格化)について、表1に示す。
Figure 2010206120
本発明は、有機電界発光素子が使用される各種の分野、例えば、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯等の分野において、好適に使用することが出来る。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極

Claims (10)

  1. 有機化合物と有機溶媒とを含む有機電界発光素子用組成物において、
    組成物1mgあたりの電子スピン数が1x1015以上であることを特徴とする、有機電界発光素子用組成物。
  2. 上記有機化合物が、高分子化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の有機電界発光素子用組成物。
  3. 繰り返し単位中に、部分構造としてフルオレン環を含む高分子化合物を含有することを特徴とする、請求項2に記載の有機電界発光素子用組成物。
  4. 前記有機溶媒が、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、又はケトン系溶媒、の少なくとも一つを含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機電界発光素子用組成物。
  5. 前記電子スピンがカチオンラジカル種由来であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機電界発光素子用組成物。
  6. 基板と、該基板上に設けられた陽極、有機層、及び陰極とを備えた有機電界発光素子であって、
    該有機層が、請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機電界発光素子用組成物を用いて形成された有機層を含むことを特徴とする、有機電界発光素子。
  7. 前記有機層が、発光層を含み、
    該発光層が、湿式成膜法により形成されたことを特徴とする、請求項6に記載の有機電界発光素子。
  8. 前記発光層が、発光性低分子化合物を含有することを特徴とする、請求項6又7に記載の有機電界発光素子。
  9. 請求項6〜8のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を備えたことを特徴とする、有機ELディスプレイ。
  10. 請求項6〜8のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を備えたことを特徴とする、有機EL照明。
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