JP4285264B2 - 有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法 Download PDF

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ディスプレイ、表示光源などに用いられる電気的発光素子を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置およびその製造方法並びに電子機器に関する。
近年液晶ディスプレイに替わる自発発光型ディスプレイとして有機物を用いた発光素子の開発が加速している。発光層に有機物を用いた発光素子を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置としては、Appl.Phys.Lett.51(12)、21 September 1987の913ページから示されているように低分子を蒸着法で成膜する方法と、Appl.Phys.Lett.71(1)、7 July 1997の34ページから示されているように高分子を塗布する方法が主に報告されている。
カラー化の手段としては低分子系材料の場合、マスク越しに異なる発光材料を所望の画素上に蒸着し形成する方法が行われている。一方、高分子系材料については、微細かつ容易にパターニングができることからインクジェット法を用いたカラー化が注目されている。インクジェット法による有機エレクトロルミネッセンス素子の形成としては以下の公知例が知られている。特開平7−235378、特開平10−12377、特開平10−153967、特開平11−40358、特開平11−54270、特開平11−339957である。
また、素子構造という観点からは、発光効率、耐久性を向上させるために、正孔注入/輸送層を陽極と発光層の間に形成することが多い(Appl.Phys.Lett.51、21 September 1987の913ページ)。従来、バッファ層や正孔注入/輸送層としては導電性高分子、例えばポリチオフェン誘導体やポリアニリン誘導体(Nature,357,477、1992)を用い、スピンコート等の塗布法により膜を形成する。低分子系材料においては正孔注入/輸送層として、フェニルアミン誘導体を蒸着で形成することが報告されている。
上記のインクジェット法は、有機エレクトロルミネッセンス材料からなる発光層材料を無駄にせず、簡便にかつ微細パターニング成膜する手段として大変有効である。
有機エレクトロルミネッセンス材料を用いた発光層をインクジエット法により形成する場合、有機エレクトロルミネッセンス材料等を溶質成分として、この溶質成分と溶媒とからなる組成物が用いられている。
この組成物としては、含まれる有機エレクトロルミネッセンス材料が1種類のみのもあるが、複数の有機エレクトロルミネッセンス材料を用いた組成物も広く用いられている。たとえば、発光材料と蛍光材料とを混合して、発光材料から発光された光を、蛍光材料によって、別の波長の光に変換することが行われている。
このように、有機エレクトロルミネッセンス材料が複数の場合、所望の発光特性を得るためには、各々の有機エレクトロルミネッセンス材料が分離することなく均一に混合した状態で成膜されることが必要である。
しかしながら、インクジェット法による薄膜成膜において用いられている液滴は極めて小さく蒸発時間が短い。そのため、液滴より蒸発した溶媒分子が基板近傍から十分に拡散される前に飽和に達してしまい、すでに成膜された薄膜さえも再溶解させてしまう。そして、再溶解の際に、各々の有機エレクトロルミネッセンス材料が相分離してしまい、その結果、有機エレクトロルミネッセンス装置の表示性能が劣化してしまう問題がしばしば生じていた。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、インクジェット法による相分離のない均一な発光層形成を可能とし、これにより、表示特性に優れた有機エレクトロルミネッセンス装置を製造可能な製造方法を提供することを課題とする。
また、均一な発光層を有し、表示作成に優れた有機エレクトロルミネッセンス装置を提供することを課題とする。さらに、この有機エレクトロルミネッセンス装置を用いた電子機器を提供することを課題とする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、有機エレクトロルミネッセンス材料を含む組成物2種類以上を、各組成物に対応する基板上の画素領域に順次吐出して発光層を成膜する工程を含む有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
正孔注入/輸送層を溶媒として極性溶媒を用いて吐出、成膜する第1工程と、
前記正孔注入/輸送層上に、正孔輸送層を溶媒としてシクロヘキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、またはこれらの混合物からなる非極性溶媒を用いて吐出、成膜する第2工程と、
第2工程の後、前記組成物の各々は溶媒としてシクロヘキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、またはこれらの混合物からなる非極性溶媒を含み、前記組成物のうち一方の組成物を吐出及び乾燥させた後、他方の組成物を吐出する第3工程を備えてなり、
前記組成物は溶媒と有機エレクトロルミネッセンス材料のみからなり、
前記一方の組成物と前記他方の組成物の溶媒は同一溶媒からなり、また前記一方の前記組成物に含まれる有機エレクトロルミネッセンス材料の数と他方の前記組成物に含まれる有機エレクトロルミネッセンス材料の数が等しく、
前記他方の組成物が前記一方の組成物より成膜後に相分離しやすいこと、また、後の工程で塗布する前記発光層に正孔輸送層の一部が溶け込み、残りは薄膜として前記正孔注入/輸送層と発光層の間に残存していることを特徴とする。
本発明によれば、成膜後において相分離しやすい組成物の吐出成膜を、成膜後において相分離しにくい組成物よりも後から行うこととした。そのため、吐出成膜後の再溶解による相分離を防ぐことができ、表示特性の優れた有機エレクトロルミネッセンス装置を製造することができる。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、有機エレクトロルミネッセンス材料を含む組成物2種類以上を、順次基板に成膜することにより、発光層を形成する有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記2種類以上の組成物のうち、前記組成物を構成する有機エレクトロルミネッセンス材料の数が同じである組成物の、基板に対する成膜順序を、前記組成物を構成する有機エレクトロルミネッセンス材料が成膜後において相分離しにくい順とし、
連続する2回の組成物の成膜において、先に吐出した組成物を乾燥させた後、次の組成物を成膜することを特徴とする。
本発明によれば、成膜後において相分離しやすい組成物の吐出成膜を、成膜後において相分離しにくい組成物よりも後から行うこととした。そのため、吐出成膜後の再溶解による相分離を防ぐことができ、表示特性の優れた有機エレクトロルミネッセンス装置を製造することができる。
本発明において、連続する2回の組成物の吐出において、先に吐出した組成物を乾燥させた後、次の組成物の吐出を行うことが好ましい。
これにより、再溶解による相分離をより確実に防止できる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、正孔注入/輸送層を形成する工程を更に有することを特徴とする。更に、隔壁によって隔てられた複数の画素領域を含んでおり、前記組成物が前記画素領域に吐出されることを特徴とする。また、前記基板に、複数の画素領域に対応する第1電極と、該複数の画素領域を隔てる隔壁と、前記複数の第1電極上に、正孔注入/輸送層と、を形成する工程の後、前記発光層を形成する工程を含み、前記発光層上に第2電極を形成することを特徴とすることが好ましい。
この場合は隔壁を設けることにより、画素領域毎に2種類以上の組成物を完全に分離して吐出成膜することができる。そのため、各発光層毎の独立性を確保しやすく、表示性能の優れた有機エレクトロルミネッセンス装置を得ることができる。
また、正孔注入/輸送層とを形成するので、発光効率や耐久性を向上させることができる。
なお、第2電極は、第1電極が陽極の場合には陰極、第1電極が陰極の場合には陽極である。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置は、上記本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の形成方法を用いて得られたことを特徴とする。
本発明によれば、均一な発光層を有し、表示性能に優れた有機エレクトロルミネッセンス装置とすることができる。
さらに、本発明の電子機器によれば、上記本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス装置を具備してなることを特徴とする。
本発明によれば、表示性能に優れた表示装置を備えた電子機器とすることができる。
次に、本実施形態の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法を図1〜図7を参照して説明する。
本実施形態の製造方法は、隔壁形成工程と、プラズマ処理工程と、正孔注入/輸送層形成工程と、表面改質工程と、発光層形成工程と、陰極形成工程と、封止工程とを具備して構成されている。
図1に示すように、隔壁形成工程では、必要に応じてTFT等(図示せず)が予め設けられている基板10に形成されたITO等からなる透明電極11上に、無機物バンク層12aと有機物バンク層12bを順次積層することにより、各画素領域を隔てるバンク層(隔壁)12を形成する。
無機物バンク層12aは、例えばCVD法、スパッタ法、蒸着法等によって基板10及び透明電極11の全面にSiO2、TiO2、SiN等の無機物膜を形成し、次にこの無機物膜をエッチング等によりパターニングして、透明電極11上の画素領域に開口部13aを設けることにより形成する。ただし、このとき、無機物バンク層12aを透明電極11の周縁部まで残しておくものとする。
また、無機物バンク層12aの膜厚は50〜200nmの範囲が好ましく、特に150nmがよい。
次に、基板10、透明電極11、無機物バンク層12aの全面に、有機物バンク層12bを形成する。
また、有機物バンク層12bは、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の有機樹脂を溶媒に溶かしたものを、スピンコート、ディップコート等により塗布して形成する。
そして、有機物バンク層12bをフォトリソグラフィ技術等によりエッチングして開口部13bを設ける。この有機物バンク層12bの開口部13bは、図1に示すように、無機物バンク層12aの開口部13aよりやや広く形成することが好ましい。これにより、透明電極11上に、無機物バンク層12a及び有機物バンク層12bを貫通する開口部13が形成される。
なお、開口部13の平面形状は、円形、楕円、四角、ストライプいずれの形状でも構わないが、インク組成物には表面張力があるため、四角形等の場合には、角部に丸みを持たせる方が好ましい。
次にプラズマ処理工程では、バンク部12の表面に、親インク性を示す領域と、撥インク性を示す領域を形成する。
このプラズマ処理工程は、予備加熱工程と、全面を親インク性にする親インク化工程と、有機物バンク層12bを撥インク性にする撥インク化工程と、冷却工程とに大別される。
予備加熱工程では、バンク部12を含む基板10を所定の温度まで加熱する。
加熱は、例えばプラズマ処理室内にて基板10を載せるステージにヒータを取り付け、このヒータで当該ステージごと基板10を、例えば70〜80℃に加熱することにより行う。
予備加熱を行うことにより、多数の基板にプラズマ処理を連続的に行った場合でも、処理開始直後と処理終了直前でのプラズマ処理条件をほぼ一定にすることができる。これにより、基板10間のバンク部12のインク組成物に対する親和性を均一化することができ、一定の品質を有する表示装置を製造することができる。
また、基板10を予め予備加熱しておくことで、後のプラズマ処理における処理時間を短縮することができる。
親インク化工程では、大気雰囲気中で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う。具体的には、バンク部12を含む基板10は加熱ヒータ内蔵の試料ステージ上に載置され、これにプラズマ状態の酸素が照射される。
O2プラズマ処理の条件は、例えば、プラズマパワー100〜800kW、酸素ガス流量50〜100cc/min、基板搬送速度0.5〜10mm/sec、基板温度70〜90℃の条件で行われる。
このO2プラズマ処理により、透明電極11及び無機物バンク層12aの露出面、並びに有機物バンク層12bの全面に水酸基が導入されて親インク性が付与される。
つぎに、撥インク化工程では、大気雰囲気中でテトラフルオロメタン(四フッ化炭素)を反応ガスとするプラズマ処理(CF4プラズマ処理)を行う。具体的には、バンク部12を含む基板10は加熱ヒータ内蔵の試料ステージ上に載置され、これにプラズマ状態のテトラフルオロメタン(四フッ化炭素)が照射される。
CF4プラズマ処理の条件は、例えば、プラズマパワー100〜800kW、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)ガス流量50〜100SCCM、基板搬送速度0.5〜10mm/sec、基板温度70〜90℃の条件で行われる。なお、試料ステージによる加熱は、第1プラズマ処理室52の場合と同様に、主として予備加熱された基板10の保温のために行われる。
なお、処理ガスは、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることができる。
CF4プラズマ処理により、先の工程で親インク性が付与された有機物バンク層にフッ素基が導入されて撥インク性が付与される。有機物バンク層12bを構成するアクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の有機物は、プラズマ状態のフルオロカーボンを照射することで容易に水酸基がフッ素基で置換され、撥インク化させることができるものである。
一方、透明電極11及び無機物バンク層12aの露出面もこのCF4プラズマ処理の影響を多少受けるが、親和性に影響を与えることはない。
次に冷却処理室54では、冷却工程として、プラズマ処理のために加熱された基板10を室温まで冷却する。具体的には、例えば、プラズマ処理後の基板10を、水冷プレート上に載置して冷却する。
プラズマ処理後の基板10を室温、または所定の温度(例えばインクジェット工程を行う管理温度)まで冷却することにより、次の正孔注入/輸送層形成工程を一定の温度で行うことができる。これにより、インクジェット法で正孔注入/輸送層材料を含むインク組成物を吐出させる際に、インク滴を一定の容積で連続して吐出させることができ、正孔注入/輸送層を均一に形成することができる。
上記のプラズマ処理工程では、材質が異なる有機物バンク層12a及び無機物バンク層12bに対して、O2プラズマ処理とCF4プラズマ処理とを順次行うことにより、バンク部12に親インク性の領域と撥インク性の領域を容易に設けることができる。
次に、正孔注入/輸送層形成工程では、インクジェット法により、正孔注入/輸送層材料を含むインク組成物15を透明電極11上の開口部13に吐出した後に乾燥処理及び熱処理を行い、正孔注入/輸送層16を形成する。
なお、この正孔注入/輸送層形成工程以降は、水分、酸素の無い、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
図2に示すように、インクジェットヘッド14に正孔注入/輸送層材料を含むインク組成物15を充填し、インクジェットヘッド14の吐出ノズルを開口部13に対向させ、インクジェットヘッド14と基板10とを相対移動させながら、インクジェットヘッド14から1滴当たりの液量が制御されたインク組成物15を透明電極11上に吐出する。
ここで用いるインク組成物15としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸(PSS)等の混合物を、極性溶媒に溶解させたインク組成物を用いることができる。極性溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルブタノール、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン(NMP)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)及びその誘導体、カルビト−ルアセテート、ブチルカルビト−ルアセテート等のグリコールエーテル類等を挙げることができる。
より具体的なインク組成物15の組成としては、PEDOT/PSS混合物(PEDOT/PSS=1:20):12.52重量%、PSS:1.44重量%、IPA:10重量%、NMP:27.48重量%、DMI:50重量%のものを例示できる。尚、インク組成物の粘度は2〜20Ps程度が好ましく、特に7〜10cPs程度が良い。
上記のインク組成物を用いることにより、インクジェットヘッド14の吐出ノズルに詰まりが生じることがなく安定吐出できる。
なお、正孔注入/輸送層16の材料は、R・G・Bの各発光層に対して同じ材料を用いても良く、各発光層毎に変えても良い。
吐出されたインク組成物15は、開口部13の親インク処理された透明電極11及び無機物バンク層12aに広がる。そして、インク組成物15が所定の吐出位置からはずれて有機物バンク層12b上に吐出されたとしても、有機物バンク層12bがインク組成物15で濡れることがなく、はじかれたインク組成物15が開口部13内に転がり込む。
インク組成物15の吐出量は、開口部13の大きさ、形成しようとする正孔注入/輸送層の厚さ、インク組成物中15の正孔注入/輸送層材料の濃度等により決定される。
また、インク組成物15は1回のみならず、数回に分けて同一の開口部13に吐出しても良い。この場合、各回におけるインク組成物15の量は同一でも良く、各回毎にインク量を変えても良い。更に同一の開口部13内の同一箇所のみならず、各回毎に開口部13内の異なる箇所にインク組成物15を吐出しても良い。
次に、図3に示すように、吐出後のインク組成物15を乾燥処理してインク組成物15に含まれる極性溶媒を蒸発させることにより、正孔注入/輸送層16を形成する。
この乾燥処理は、例えば窒素雰囲気中、室温で圧力を133.3Pa(1Torr)程度にして行う。圧力が低すぎるとインク組成物15が突沸してしまうので好ましくない。また、インク組成物15はバンク12の周壁面にも若干残留して付着するが、温度が室温を越えると、極性溶媒の蒸発速度が高まり、この残留付着量が過剰になってしまう。したがって、乾燥処理の温度は室温以下とすることが好ましい。
乾燥処理後は、窒素中、好ましくは真空中で200℃で10分程度加熱する熱処理を行うことで、正孔注入/輸送層16内に残存する極性溶媒や水を除去することが好ましい。
上記の正孔注入/輸送層形成工程では、吐出されたインク組成物15が、親インク性の透明電極11及び無機物バンク層12aの露出面部になじむ一方で、撥インク処理された有機物バンク層12bにはほとんど付着しないので、インク組成物15が有機物バンク層12bの上に誤って吐出された場合でも、インク組成物15がはじかれて透明電極11及び無機物バンク層12aの露出面部に転がり込む。これにより、透明画素電極電極11上に正孔注入/輸送層16を確実に形成することができる。
次に、発光層形成工程に先立ち表面改質工程を行う。すなわち、発光層形成工程では、正孔注入/輸送層16の再溶解を防止するために、発光層形成の際に用いるインク組成物の溶媒として、正孔注入/輸送層16に対して不溶な非極性溶媒を用いる。
しかしその一方で正孔注入/輸送層16は、非極性溶媒に対する親和性が低いため、非極性溶媒を含む発光層のインク組成物を正孔注入/輸送層16上に吐出しても、正孔注入/輸送層16によりインク組成物がはじかれ、正孔注入/輸送層16と発光層とを密着させることができなくなるか、あるいは発光層を均一に塗布できないおそれがある。
そこで、非極性溶媒に対する正孔注入/輸送層16の表面の親和性を高めるために、発光層形成の前に表面改質工程を行うことが好ましい。
表面改質工程は、発光層形成の際に用いるインク組成物の非極性溶媒と同一溶媒またはこれに類する溶媒である表面改質用溶媒を、インクジェット法、スピンコート法またはディップ法により正孔注入/輸送層16上に塗布した後に乾燥することにより行う。
インクジェット法による塗布は、インクジェットヘッドに表面改質用溶媒を充填し、インクジェットヘッドの吐出ノズルを正孔注入/輸送層16に対向させ、インクジェットヘッドと基板10とを相対移動させながら、表面改質用溶媒を正孔注入/輸送層16上に吐出することにより行う。
また、スピンコート法による塗布は、基板10を例えば回転ステージ上に載せ、上方から表面改質用溶媒を基板10上に滴下した後、基板10を回転させて表面改質用溶媒を基板10上の正孔注入/輸送層16の全体に広げることにより行う。なお、表面改質用溶媒は撥インク処理された有機物バンク層12b上にも一時的に広がるが、回転による遠心力で飛ばされてしまい、正孔注入/輸送層16上のみに塗布される。
更にディップ法による塗布は、基板10を例えば表面改質用溶媒に浸積させた後に引き上げて、表面改質用溶媒を正孔注入/輸送層16の全体に広げることにより行う。この場合も表面改質用溶媒が撥インク処理された有機物バンク層12b上に一時的に広がるが、引き上げの際に表面改質用溶媒が有機物バンク層12bからはじかれて正孔注入/輸送層16のみに塗布される。
ここで用いる表面改質用溶媒としては、インク組成物の非極性溶媒と同一なものとして例えば、シクロへキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等を例示でき、インク組成物の非極性溶媒に類するものとして例えば、トルエン、キシレン等を例示できる。
特に、インクジェット法により塗布する場合には、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、またはこれらの混合物、特にインク組成物と同じ溶媒混合物等を用いることが好ましく、スピンコート法またはディップ法による場合は、トルエン、キシレン等が好ましい。
乾燥は、インクジェット法で塗布した場合はホットプレート上に基板10を載せて200℃以下の温度で加熱して表面改質用溶媒を乾燥させることが好ましく、スピンコート法またはディップ法による場合は、基板10に窒素を吹き付けるか、あるいは基板を回転させて基板10表面に気流を発生させることで乾燥させることが好ましい。
尚、表面改質用溶媒の塗布を、正孔注入/輸送層入層形成工程の乾燥処理の後に行い、塗布後の表面改質用溶媒を乾燥させた後に、正孔注入/輸送層形成工程の熱処理を行っても良い。
このような表面改質工程を行うことで、正孔注入/輸送層16の表面が非極性溶媒になじみやすくなり、この後の工程で、発光層材料を含むインク組成物を正孔注入/輸送層16に均一に塗布することができる。
尚、上記の表面改質用溶媒に、正孔輸送層材料として一般に用いられるアリールアミン系化合物等を溶解してインク組成物とし、このインク組成物をインクジェット法により正孔注入/輸送層上に塗布して乾燥させることにより、正孔注入/輸送層上に極薄の正孔輸送層を形成しても良い。
正孔輸送層の大部分は、後の工程で塗布する発光層に溶け込むが、一部が正孔注入/輸送層16と発光層の間に薄膜状に残存し、これにより正孔注入/輸送層16と発光層との間のエネルギー障壁を下げて正孔の移動を容易にし、発光効率を向上させることができる。
次に発光層形成工程では、インクジェット法により、有機エレクトロルミネッセンス材料等の溶質成分と溶媒とからなるインク組成物17a、17b、17c(17cは図示を省略)を、後述する順番に従って、表面改質後の正孔注入/輸送層16上に吐出した後に乾燥処理及び熱処理して、発光層18a、18b、18cを順次形成する。
有機エレクトロルミネッセンス材料としては、[化1]〜[化5]に示すフルオレン系高分子誘導体や、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、その他ベンゼン誘導体に可溶な低分子有機EL材料、高分子有機EL材料等も用いることができる。例えば、ルブレン、ペリレン、9,10-ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等を用いることができる。
なお、[化1]〜[化5]においてnは重合度で、[化1]ではnは1000〜50万、[化2]ではnは1000〜50万、[化3]ではnは1000〜50万、[化4]ではnは1000〜50万、[化5]ではnは1000〜50万である。また、[化5]においてRはH、CH3、C25などである。
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非極性溶媒としては、正孔注入/輸送層16に対して不溶なものが好ましく、例えば、シクロへキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等を用いることができる。
このような非極性溶媒を発光層のインク組成物に用いることにより、正孔注入/輸送層16を再溶解させることなくインク組成物を塗布できる。
なお、溶質成分としては、有機エレクトロルミネッセンス材料の他に、バインダー、界面活性剤、粘度調整剤等が適宜含まれていても差し支えない。
図4に示すように、インクジェットヘッド14に、インク組成物17aを充填し、インクジェットヘッド14の吐出ノズルを正孔注入/輸送層16に対向させ、インクジェットヘッド14と基板10とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御されたインク滴として吐出し、インク組成物17aを正孔注入/輸送層16上に吐出する。
この場合、吐出されたインク組成物17aは、正孔注入/輸送層16上に広がってなじむ一方で、撥インク処理された有機物バンク層12bにはほとんど付着しないので、インク組成物17aが有機物バンク層12bの上に誤って吐出された場合でも、インク組成物17aがはじかれて正孔注入/輸送層16上に転がり込む。これにより、正孔注入/輸送層16に密着してインク組成物17aの層を形成することができる。
インク組成物17aの量は、形成しようとする発光層18aの厚さ、インク組成物中の発光層材料の濃度等により決定される。
また、インク組成物17aの滴下は1回のみならず、数回に分けて同一の正孔注入/輸送層16上に吐出しても良い。この場合、各回におけるインク滴の量は同一でも良く、各回毎にインク量を変えても良い。更に正孔注入/輸送層16の同一箇所のみならず、各回毎に正孔注入/輸送層16内の異なる箇所にインク滴を吐出しても良い。
次に、吐出後のインク組成物17aを乾燥処理することによりインク組成物に含まれる非極性溶媒を蒸発させて、図5に示すような発光層18aが形成される。
乾燥条件は、例えば、窒素雰囲気中、室温で圧力を133.3Pa(1Torr)程度として5〜10分行う条件としたり、40℃で窒素の吹き付けを5〜10分行う条件としたりすることができる。
その他の乾燥の手段としては、遠赤外線照射法、高温窒素ガス吹付法等を例示できる。
続けて、図6に示すように、インク組成物17aの場合と同様にして、インク組成物17bを滴下、乾燥して発光層18bを形成し、最後にインク組成物17cを滴下、乾燥して、発光層18cを形成し、図7に示すように、3種類の発光層18a、18b、18cが形成された基板とする。
ここで、3種類の発光層18a、18b、18cの形成順序は、以下のように決定する。
まず、有機エレクトロルミネッセンス材料の数が異なる場合には、有機エレクトロルミネッセンス材料の数が少ないものから順に行う。成分数の多い色の発光層を先に形成すると、後から形成した別の色の発光層のインク組成物から蒸発した溶媒蒸気によって、先に形成した発光層が再溶解して成分分離を起こすおそれがあるからである。
また、インク組成物を構成する有機エレクトロルミネッセンス材料の数が同じ場合には、成膜後において相分離しにくいものから順に行う。この相分離のしにくさは、比較すべきインク組成物を同一の乾燥条件の下に乾燥して、得られた発光層の相分離の度合いを比較することにより判断することができる。このとき、同一の乾燥条件としては、自然放置、加熱乾燥、減圧乾燥があげられるが、特に自然放置を選択することが好ましい。
相分離の度合いは、例えば得られた発光層による発光スペクトル中に、完全に相分離してしまったときに得られる波長の光がどの程度残存するかによって判断することができる。また、得られた発光層による発光スペクトル中における完全に相分離が生じなかったときに得られる波長の光の割合によって判断しても良い。
次に陰極形成工程では、発光層18a、18b、18c及び有機物バンク層12bの全面に、陰極19を形成する。陰極19は、複数の材料を積層して形成しても良い。
例えば、発光層に近い側には仕事関数が小さい材料で形成することが好ましく、例えばCa、Ba等を用いることが可能であり、また材料によっては下層にLiFを薄く形成した方がよい場合もある。また、上部側(封止側)には下部側(発光層側)の陰極層よりも仕事関数が高いものが好ましく、例えばAl膜、Ag膜、Mg/Ag積層膜等からなることが好ましい。また、その厚さは、例えば100〜1000nmの範囲が好ましく、特に200〜500nm程度がよい。
がよい。
これらの陰極(陰極層)は、例えば蒸着法、スパッタ法、CVD法等で形成することが好ましく、特に蒸着法で形成することが、発光層18a、18b、18cの熱による損傷を防止できる点で好ましい。
また、フッ化リチウムは、発光層18a、18b、18c上のみに形成しても良く、特定の何れかの発光層上のみに形成しても良い。この場合、他の発光層には、カルシウムからなる陰極が接することとなる。
また反射層上に、酸化防止のためにSiO、SiO2、SiN等の保護層を設けても良い。
最後に封止工程では、陰極19上の全面に熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂からなる封止材を塗布し、封止層20を形成する。さらに、封止層20上に封止用基板(図示せず)を積層する。
封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。大気中で行うと、反射層にピンホール等の欠陥が生じていた場合にこの欠陥部分から水や酸素等が陰極19に侵入して陰極19が酸化されるおそれがあるので好ましくない。
このようにして、図8に示すような有機エレクトロルミネッセンス装置が得られる。
本実施形態によれば、有機エレクトロルミネッセンス材料の数が多いインク組成物の吐出成膜を、有機エレクトロルミネッセンス材料の数が少ないインク組成物よりも後から行うこととすると共に、有機エレクトロルミネッセンス材料の数が同じであるインク組成物の、基板に対する吐出順序を、インク組成物を構成する有機エレクトロルミネッセンス材料が成膜後において相分離しにくい順とした。そのため、吐出成膜後の再溶解による相分離を防ぐことができ、表示特性の優れた有機エレクトロルミネッセンス装置を製造することができる。
次に、上記実施形態で製造された有機エレクトロルミネッセンス装置備えた電子機器の具体例について説明する。
図10(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図10(a)において、符号600は携帯電話本体を示し、符号601は表示部としての有機エレクトロルミネッセンス装置を示している。
図10(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図10(b)において、符号700は情報処理装置、符号701はキーボードなどの入力部、符号703は情報処理装置本体、符号702は表示部としての有機エレクトロルミネッセンス装置を示している。
図10(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図10(c)において、符号800は時計本体を示し、符号801は表示部としての有機エレクトロルミネッセンス装置を示している。
本実施形態よれば、表示性能に優れた表示装置を備えた電子機器とすることができる

上記実施形態に沿って、参考例、比較例に係る有機エレクトロルミネッセンス装置を
製造した。具体的な製造条件は下記のとおりであるが、発光層形成工程における順番以外
の条件は、各参考例、比較例とも共通である。
(隔壁形成工程)
ITOからなる透明画素電極上が開口するように、バンク層(隔壁)形成した。透明電
極は70.5μmピッチでマトリクス状に形成されているので、バンク層(隔壁)の開口
部も同様にマトリクス状に70.5μmピッチで形成されている。バンク層(隔壁)は、
SiO2からなる無機物バンク層と、ポリイミドからなる有機物バンク層とを積層して形
成した。それぞれのバンク層は、フォトリソグラフィ工程の後、エッチングすることによ
り形成した。バンク層の開口部の形状は円形とし、有機物バンク層の開口部の径は28μ
m、無機物バンク層の開口部の径は44μmとした。また、無機物バンク層の高さは、1
50nm、有機物バンク層の高さは2μmとした。
(プラズマ処理工程)
親インク化工程としてO2プラズマ処理を行った。O2プラズマ処理の条件は、室温、大
気圧下で、パワー300W、電極−基板間距離1mm、酸素ガス流量100ccm、ヘリ
ウムガス流量10SLM、テーブル搬送速度10mm/sで行った。続けて撥インク化工
程としてCF4プラズマ処理を行った。CF4プラズマ処理の条件は、CF4ガス流量10
0SCCM、ヘリウムガス流量10SLM、テーブル搬送速度3mm/sの往復で行った

(正孔注入/輸送層形成工程)
表1に示した正孔注入/輸送層用インク組成物(バイエル社製のバイトロンPと、ポリ
エチレンスルフォン酸の混合物)をインクジェットプリント装置のヘッド(エプソン社製
MJ−930C)から15pl吐出しパターン塗布。真空中(1torr)、室温、20
分という条件で溶媒を除去した。続けて、同じ正孔注入/輸送層用インク組成物を15p
l吐出しパターン塗布した。真空中(1torr)、室温、20分という条件で溶媒を除
去し、大気中、200℃(ホットプレート上)、10分の熱処理により正孔注入/輸送層
を形成した。
Figure 0004285264
(表面改質工程)
1,2,3,4−テトラメチルベンゼンをインクジェットプリント装置(エプソン社製MJ−930C)から吐出して塗布し、その後、ホットプレート上において200℃以下の温度で加熱して乾燥させた。
(発光層形成工程)
表2〜表4に示すインク組成物を調製した。表2は発光層(緑色)組成物、表3は発光層(青色)組成物、表4は発光層(赤色)組成物を各々示すものである。なお、表中の化合物1,2.4.5は、各々[化1]〜[化5]として上述したものである。
Figure 0004285264
Figure 0004285264
Figure 0004285264
(参考例1)
まず、表3に示した1%(wt/vol)濃度の発光層(青色)組成物をインクジェッ
トプリント装置(エプソン社製MJ−930C)から、N2ガスをフローしながら20p
l吐出し25℃、1atmの条件で乾燥し、青色発光層を得た。
次に、表2に示した1%(wt/vol)濃度の発光層(緑色)組成物を、N2ガスをフローしながら隣の開口部13に20pl吐出してから25℃、1atmの条件で乾燥し、緑色発光層を得た。
(参考例2)
まず、表3に示した1%(wt/vol)濃度の発光層(青色)組成物をインクジェッ
トプリント装置(エプソン社製MJ−930C)から、N2ガスをフローしながら20p
l吐出してから25℃、1atmの条件で乾燥し、青色発光層を得た。
次に、表4に示した1%(wt/vol)濃度の発光層(赤色)組成物を、N2ガスをフローしながら隣の開口部13に20pl吐出してから25℃、1atmの条件で乾燥し、赤色発光層を得た。
次に、表2に示した1%(wt/vol)濃度の発光層(緑色)組成物を、N2ガスをフローしながら、さらに隣の開口部13に20pl吐出してから25℃、1atmの条件で乾燥し、緑色発光層を得た。
(比較例)
まず、表2に示した1%(wt/vol)濃度の発光層(緑色)組成物をインクジェットプリント装置(エプソン社製MJ−930C)から、N2ガスをフローしながら20pl吐出してから25℃、1atmの条件で乾燥し、緑色発光層を得た。
次に、表3に示した1%(wt/vol)濃度の発光層(青色)組成物を、N2ガスを
フローしながら隣の開口部に20pl吐出してから25℃、1atmの条件で乾燥し、青
色発光層を得た。
(陰極形成工程)
陰極層として、蒸着法により2nmのLiF層を形成した後、さらに、蒸着法により2
0nmのカルシウム層を形成した。その後さらに陰極層としてスパッタリング法により2
00nmのアルミニウム層を形成した。
(封止工程)
陰極上の全面にエポキシ樹脂からなる封止材を塗布し、封止層を形成した。さらに、封
止層上に封止用基板を積層し、各参考例、比較例に係る有機エレクトロルミネッセンス装
置とした。
(評価)
図9に比較例と参考例1に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の緑色発光層の発光
スペクトルを示す。図9(A)に示すように、比較例の緑色発光層は、化合物1由来の青
色発光(430nm)が残り、斑のある水色発光を示した。
これに対して、図9(B)に示すように、参考例1の緑色発光層は、緑色の蛍光発光(
530nm)の、ほぼ均一なスペクトルを示した。
また、比較例、参考例1共に、青色発光層は、化合物1由来の青色発光(430nm)
の均一なスペクトルを示した。
このことから、有機エレクトロルミネッセンス材料の数が少ない発光層から順に形成することの有効性が確認された。
次に、参考例2に係る有機エレクトロルミネッセンス装置は、青色発光層(430nm
)、赤色発光層(640nm)、緑色発光層(530nm)、のいずれも均一なスペクト
ルを示した。
発光層(赤色)組成物と発光層(緑色)組成物とは、共に有機エレクトロルミネッセンス材料の数が3であるが、両組成物相分離のしにくさをN2フロー乾燥の条件で比較したところ、発光層(赤色)組成物の方が相分離しにくかった。
このことから、有機エレクトロルミネッセンス材料の数が同じ場合には、成膜後において相分離しにくい発光層から順に形成することの有効性が確認された。
以上詳細に説明したように、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法によれば、吐出成膜後の再溶解による相分離を防ぐことができ、表示特性の優れた有機エレクトロルミネッセンス装置を製造することができる。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置は、均一な発光層を有し、表示作成に優れた有機エレクトロルミネッセンス装置とすることができる。
また、本発明の電子機器は、表示性能に優れた表示装置を備えた電子機器とすることができる。
本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法の工程を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法の工程を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法の工程を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法の工程を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法の工程を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法の工程を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法の工程を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法の工程を示す断面図である。 本発明の比較例及び参考例に係る緑色発光層の発光スペクトル。(A)は比較例の発光スペクトルであり、(B)は参考例の発光スペクトルである。 本発明に係る製造方法によって製造された有機エレクトロルミネッセンス装置を備える電子機器を示す斜視図である。
符号の説明
10.ガラス基板
11.透明電極
12.バンク層
13.開口部
14.インクジェットヘッド
15.インク組成物(正孔注入/輸送用)
16.正孔注入/輸送層
17.インク組成物(発光層用)
18.発光層
19.陰極
20.封止層

Claims (2)

  1. 有機エレクトロルミネッセンス材料を含む組成物2種類以上を、各組成物に対応する基板上の画素領域に順次吐出して発光層を成膜する工程を含む有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
    正孔注入/輸送層を溶媒として極性溶媒を用いて吐出、成膜する第1工程と、
    前記正孔注入/輸送層上に、正孔輸送層を溶媒としてシクロヘキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、またはこれらの混合物からなる非極性溶媒を用いて吐出、成膜する第2工程と、
    第2工程の後、前記組成物の各々は溶媒としてシクロヘキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、またはこれらの混合物からなる非極性溶媒を含み、前記組成物のうち一方の組成物を吐出及び乾燥させた後、他方の組成物を吐出する第3工程を備えてなり、
    前記組成物は溶媒と有機エレクトロルミネッセンス材料のみからなり、
    前記一方の組成物と前記他方の組成物の溶媒は同一溶媒からなり、また前記一方の前記組成物に含まれる有機エレクトロルミネッセンス材料の数と他方の前記組成物に含まれる有機エレクトロルミネッセンス材料の数が等しく、
    前記他方の組成物が前記一方の組成物より成膜後に相分離しやすいこと、また、後の工程で塗布する前記発光層に正孔輸送層の一部が溶け込み、残りは薄膜として前記正孔注入/輸送層と発光層の間に残存していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、前記有機エレクトロルミネッセンス装置は、隔壁によって隔てられた複数の画素領域を含んでおり、前記組成物が前記画素領域に吐出されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
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