JP2020200740A - 透水コンクリート舗装の舗装構造及び施工方法 - Google Patents

透水コンクリート舗装の舗装構造及び施工方法 Download PDF

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【課題】降雨によって舗装体内の貯留した雨水を、効率的に排水可能な透水コンクリート舗装の舗装構造及び施工方法を提供する。【解決手段】透水路盤20と、透水路盤20の上部に舗設されるとともに、舗装表面11の骨材12に平滑な研削表面が形成されるポーラスコンクリート舗装と、を有し、前記ポーラスコンクリート舗装は、2m以下の間隔で鉛直方向に切断されて複数のポーラスコンクリート舗装版が形成されて成ることを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、舗装体内の雨水を効率的に排水可能な、透水コンクリート舗装の舗装構造及び施工方法に関する。
従来、排水構造物の設計降雨強度は50mm/hrであったが、近年、気候変動の影響から、例えば首都圏では設計降雨強度が110mm/hrに改訂されている。しかしながら、所謂ゲリラ豪雨が頻発する現代において、十分な降雨対策が行われていない状況にある。
このような状況の中、従来から、舗装面に降った雨水を舗装面下の路盤や路床に浸透させることができるアスファルト舗装として透水性舗装があり、例えば、特許文献1の段落0065や図1等に記載されているように、降雨強度の増加に対応して、路床部に排水用の有孔管を布設するなどの対応が従来採られていた。
特開2001−262502号公報
しかし、上記したような従来型の透水性舗装において、表層の透水係数は一般的に10−2cm/secオーダーであり、前述したような100mm/hr以上の雨水を瞬時に舗装体以下に浸透させることはできない。また、従来型の透水性舗装は、路面骨材の粗度が大きいため、表層の空隙部に雨水が流れ込むのに時間を要するという問題がある。
さらに、従来型の透水性舗装において、クラッシャラン等で構築される路盤は、一般的に間隙率が10%以下であり、舗装面に降った雨水を一旦貯留して流出量を調整するには容量が足りていない。
加えて、従来型の透水性舗装の性質として、路盤内に貯留した雨水を路床以下に浸透させたり、さらに排水暗渠を設置した場合であっても、雨水による路盤の飽和状態を脱するのに相当の時間を要するという課題を抱えている。
そこで本願発明は、降雨によって舗装体内の貯留した雨水を、効率的に排水可能な透水コンクリート舗装の舗装構造及び施工方法を提供することを目的とする。
(1)路盤(透水路盤20)と、該路盤(透水路盤20)の上部に舗設されるとともに、舗装表面11の骨材12に平滑な研削表面が形成されるポーラスコンクリート舗装10と、を有し、前記ポーラスコンクリート舗装10は、2m以下の間隔で鉛直方向に切断されて複数のポーラスコンクリート舗装版が形成されて成ることを特徴とする透水コンクリート舗装100。
上記(1)の構成によれば、ポーラスコンクリート舗装10は、2m以下の間隔で鉛直方向に切断されて複数のポーラスコンクリート舗装版が形成されるので、ポーラスコンクリート舗装版に車輪の輪荷重が加わることによって、切断目地40を境にして下方に向けて路盤(透水路盤20)を圧縮し、舗装体内に貯留していた雨水を舗装表面11に排出させることが可能となる。
これにより、舗装表面11に排出された雨水を晴天時に蒸発させることが可能となるほか、平滑な研削表面を形成させて表面に露頭した骨材個々の粗度係数を下げるとともに舗装表面11の表面積を減少させたポーラスコンクリート舗装10によって、雨水を速やかに空隙13に流入させることも可能となる。このような作用・効果により、再び起こり得るゲリラ豪雨を前に、透水コンクリート舗装100における雨水の貯留容量をリカバリーすることが可能となる。
加えて、貯留雨水が舗装表面11へ排水される際に、ポーラスコンクリート舗装10の空隙内に堆積した土砂等の異物が一緒に排出されるため、空隙潰れ等が抑制され、透水コンクリート舗装100の透水機能を長期間に亘って維持することが可能となる。
(2)前記路盤(透水路盤20)の間隙率は30%以上であり、前記ポーラスコンクリート舗装10の透水係数は3×10−2cm/sec以上である(1)に記載の透水コンクリート舗装100。
上記(2)の構成によれば、前述の(1)による効果に加え、路盤(透水路盤20)の間隙率を30%以上とすることにより、より多くの雨水を貯留することができ、さらに、ポーラスコンクリート舗装10の透水係数を3×10−2cm/sec以上とすることにより、大量の雨水を速やかに舗装体内に浸透させることが可能となる。
(3)前記舗装表面11の前記骨材12の表面粗さ(Ra)はRa≦0.6μmである(1)〜(2)のいずれかに記載の透水コンクリート舗装100。
上記(3)の構成によれば、前述の(1)又は(2)のいずれかによる効果に加え、舗装表面11の骨材12の表面粗さ(Ra)をRa≦0.6μmとすることにより、舗装表面11の雨水を速やかに空隙13内に流入させることが可能となる。
(4)前記路盤(透水路盤20)は単粒砕石又はバラストによって構築される(1)〜(3)のいずれかに記載の透水コンクリート舗装100。
上記(4)の構成によれば、前述の(1)〜(3)のいずれかによる効果に加え、路盤(透水路盤20)の路盤材料として単粒砕石又はバラストを使用することにより、間隙率が10%以下となる通常のクラッシャラン等による路盤に比べて、大幅に透水機能や雨水の貯留量を向上させることができる。
加えて、単粒砕石またはバラストを使用することによって、雨水が浸透することによる路盤(透水路盤20)の軟弱化を防ぐことが可能となる。
(5)前記骨材12に形成される前記平滑な研削表面は光沢を有し、周囲の鏡像を映し出すことが可能である(1)〜(4)のいずれかに記載の透水コンクリート舗装100。
上記(5)の構成によれば、前述の(1)〜(4)のいずれかによる効果に加え、ポーラスコンクリート舗装10の舗装表面11に周囲の鏡像を映し出すことが可能な平滑で光沢のある研削面を形成することにより、磨かれた御影石調の透水コンクリート舗装100を構築することが可能となる。
(6)路盤を構築する路盤構築工程と、前記路盤の上部にポーラスコンクリート舗装を舗設する舗装工程と、前記ポーラスコンクリート舗装の舗装表面を研削する研削工程と、前記ポーラスコンクリート舗装を所定の間隔で鉛直方向に切断する切断工程と、を有し、前記研削工程では、前記舗装表面の骨材を研削して平滑な研削表面を形成し、前記切断工程では、前記ポーラスコンクリート舗装を2m以下の間隔で鉛直方向に切断して複数のポーラスコンクリート舗装版を形成することを特徴とする透水コンクリート舗装の施工方法。
上記(6)の構成によれば、ポーラスコンクリート舗装10を、2m以下の間隔で鉛直方向に切断し、複数のポーラスコンクリート舗装版を形成することにより、当該ポーラスコンクリート舗装版に車輪の輪荷重が加わると、切断目地40を境にして下方に向けて路盤(透水路盤20)が圧縮され、舗装体内に貯留していた雨水を舗装表面11に排出させるとともに、路床30への雨水の浸透を促進することが可能となる。
これにより、舗装表面11に排出された雨水を晴天時に蒸発させることが可能となるほか、平滑な研削表面が形成されたポーラスコンクリート舗装10によって、速やかに周辺の排水溝などへ雨水を排水することも可能となる。このような作用・効果により、再び起こり得るゲリラ豪雨を前に、透水コンクリート舗装100における雨水の貯留容量をリカバリーすることが可能となる。
加えて、貯留雨水が舗装表面11へ排水される際に、ポーラスコンクリート舗装10の空隙内に堆積した土砂等の異物が一緒に排出されるため、空隙潰れ等が抑制され、透水コンクリート舗装100の透水機能を長期間に亘って維持することが可能となる。
本発明の実施例における透水コンクリート舗装の施工手順を説明するための断面図を模式的に示している。 本発明の実施例における透水コンクリート舗装の断面の一例であり、雨水の浸透態様を模式的に示している。 本発明の実施例におけるポーラスコンクリート舗装の切断態様を説明する図であって、(a)には模式断面図が、(b)には模式平面図が示されている。 本発明の実施例におけるポーラスコンクリート舗装版のポンピング態様を説明する模式断面図である。 本発明の実施例における透水コンクリート舗装の施工順序の一例を示した施工フロー図である。
以下、本発明の実施形態に係る透水コンクリート舗装100の舗装構造及び施工方法について、図5に示された施工フロー図に従って説明する。
(透水路盤工:S100)
図1には、本発明の実施形態に係る透水コンクリート舗装100の施工順序を説明するための断面図が模式的に示されているが、まず路床30の上部に所定の厚さを有する透水路盤20を構築する。なお、路盤材として単粒砕石又はバラスト等を使用し、透水路盤20の間隙率を30%以上とすることが好ましい。
上記のような本発明の透水路盤20により、間隙率が10%以下となる通常のクラッシャラン等による路盤に比べて、大幅に透水機能を向上させることができるとともに、より多くの雨水を透水路盤20内に貯留させることが可能となっている。加えて、雨水を速やかに透水路盤20内に取り込み、路床30への浸透を促すことが可能となっている。
さらに、単粒砕石又はバラストを使用することによって、雨水が浸透することによる透水路盤20の軟弱化を防ぐことが可能となっている。なお、単粒砕石等の粒径は適宜選択することが可能であり、大きな間隙率を確保することができるものであれば、必ずしも単粒砕石やバラストの使用に限定されるものではない。
(透水舗装工:S110)
続いて、図1の模式断面図に図示されるように、透水路盤20の上部に所定の厚さを有し、連続した空隙13を有するポーラスコンクリート舗装10の舗設を行う。なお、雨水を速やかに舗装体内に浸透させる観点から、透水係数は3×10−2cm/sec以上とすることが好ましい。
上記したように、本発明では、透水性舗装において一般的に用いられる開粒度のアスファルト混合物ではなく、セメントを使用したポーラスコンクリートを舗装材料として使用している。これにより、夏場の高温時にアスファルトが軟化して空隙潰れを起こし、透水機能が大幅に低下してしまうような不具合を確実に防止することが可能となっている。
(舗装表面の研削処理:S120)
上記のようにしてポーラスコンクリート舗装10の舗設が完了し、当該ポーラスコンクリートが所定の強度を確保したら、ポーラスコンクリート舗装10の舗装表面11に対して研削処理を行う。
図1には研削処理前のポーラスコンクリート舗装10の断面が示されており、研削前の骨材12の表面は凹凸を有する粗面となっている。そして、研削処理では汎用の研削装置を使用し、骨材12の表面を研削して図2に示されるような平滑な研削面を形成する。これにより舗装表面11の表面積を減らすとともに、骨材12の表面の粗度係数を下げることによって、雨水を速やかに空隙13に流入させることが可能となる。
なお、上記した研削装置は、舗装表面11を研削できるものであれば特に機種が限定されるものではないが、例えば、舗装表面11に対して平行に回転する研削用ブレードを備えた研削装置を使用すると、骨材12の研削面を非常に滑らかに形成することができる。また、舗装表面11に対して垂直に回転する研削用ブレードを使用することも可能である。
また、研削処理においては、一度に所定の研削厚さの研削を行っても良いし、複数回に分けて研削装置による研削を行って、所定の研削厚さまで研削を行うようにしてもよい。例えば、第一段階で行う研削厚さ分を粗削りで行い、最終仕上げ段階では設定した研削厚さまで肌理細かく研削することも可能である。これにより、研削工程を効率よく短期間で行うことができる。
より具体的には、第一段階で行う粗削りでは、研削装置に粗目の研削用ブレードを取り付けて研削し、最終段階で行う研削では、研削面を肌理細かく研削できるような細目の研削用ブレードを取り付けて研削することが可能である。このような方法によれば、骨材12に、周囲の鏡像を映し出すことが可能な平滑で光沢のある研削面を形成することが可能となり、美観性に優れた意匠的な舗装表面11を形成することができる。
また、研削処理では、概ね0.5mm〜5mmの範囲内で研削されるのが好ましく、骨材12の研削面の表面粗さ(Ra)をRa≦0.6μmとすることで、骨材12の表面の粗度係数を下げ、雨水を速やかに空隙13に流入させることが可能となる。
(ポーラスコンクリート舗装の切断:S130)
続いて、図3(a)の断面図及び図3(b)の平面図に示されるように、舗設されて舗装表面11の研削処理が完了したポーラスコンクリート舗装10の全断面を、所定の間隔で鉛直方向に切断し、切断目地40を形成する。より詳細に説明すると、切断目地40の幅は3〜10mm程度とし、汎用の舗装カッターを使用してポーラスコンクリート舗装10の全断面を切断する。このようにして、図3(b)の平面図に示されるような区画された複数のポーラスコンクリート舗装版が形成される。
なお、本実施例では、図3(a)、(b)に図示される切断目地間隔L及びWを2m以下にして切断目地40が形成されている。この切断目地間隔L及びWは、普通自家用車における前輪と後輪との距離である所謂ホイールベースの寸法に基づいており、必ず車両の前輪と後輪がそれぞれ異なるポーラスコンクリート舗装版に載るように設定している。すなわち、車両の進行に併せて順次各ポーラスコンクリート舗装版に車両の前輪と後輪が載るように構成されている。
図4の断面図には、切断目地40を境にして、車輪の輪荷重が加わっていないポーラスコンクリート舗装版10Bと、車輪の輪荷重が加わっているポーラスコンクリート舗装版10Aとが模式断面図として図示されている。図示されるように、車輪の輪荷重か加わっているポーラスコンクリート舗装版10Aは、切断目地40を境にして、下方に向けて透水路盤20を圧縮し、舗装体内に貯留していた雨水を舗装表面11に排出させるように構成されている。
このようなポーラスコンクリート舗装版10Aによるポンピング作用によって舗装表面11に排出された雨水は、晴天時に蒸発させることが可能となるほか、研削されて平滑となった舗装表面11によって、速やかに周辺の排水溝などへ排水することが可能となっている。
したがって、上記のようなポンピング作用による貯留雨水の排水効果によって、再び起こり得るゲリラ豪雨を前に、透水コンクリート舗装100における雨水の貯留容量をリカバリーすることが可能となっている。
加えて、ポーラスコンクリート舗装版10Aのポンピング作用により、貯留雨水の排水と伴に、ポーラスコンクリート舗装10の空隙13内に堆積した土砂等の異物が排出されるため、空隙潰れ等が抑制され、透水コンクリート舗装100の透水機能を長期間に亘って維持することが可能となっている。
[その他の実施例]
以上、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明したが、各技術構成は上記した実施例に限定されるものではない。
例えば、本発明の透水コンクリート舗装100においては、舗装表面11に研削が施される対象となるポーラスコンクリート舗装10の仕様により、様々な視覚的効果を期待することができる。例えば、着色顔料を含んだポーラスコンクリート舗装10や、舗装表面11が塗材により着色されたポーラスコンクリート舗装10を適用した場合は、骨材の研削面と、研削されていない部分との色合いにより、複雑な色調を有する透水コンクリート舗装100を構築することが可能となる。
また、ポーラスコンクリート舗装10に配合される骨材12として、石灰石やガラス、様々な色を有する骨材12を配合することも可能であり、これにより、通常の砕石骨材を使用する場合よりも舗装全体を明るく見せたり、ガラスなどを使用して光を乱反射させて見せたりと、様々な美観性、機能性を持たせることも可能である。
また、図4に図示されるように、透水路盤20内に2点鎖線で示される態様で導水シート50を配してもよく、このように構成することで、前述したポンピング作用によって透水路盤20底部の貯留雨水を揚水させ、さらに上記導水シート50によって透水コンクリート舗装100の外部へ雨水を導水させることが可能となる。
例えば、実施例として、幅2mの導水シート50を3m間隔で透水コンクリート舗装100の横断方向に帯状に配し、透水コンクリート舗装100脇の植え込みに導水したり、公知の給水型熱環境対策舗装構造物に対して導水することも可能である。
また、上記導水シート50は、透水路盤20の上面より50mm程度下方の位置に配することが望ましいが、任意の深さ位置に配することが可能であり、垂直方向へ30cm程度の揚水能力を有する上記導水シート50を使用することによって、貯留水を排水したり、上記したように導水して有効に利用することが可能である。
以上、本発明の実施形態や別実施形態について説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
10 ポーラスコンクリート舗装
11 舗装表面
12 骨材
20 透水路盤
100 透水コンクリート舗装

Claims (6)

  1. 路盤と、該路盤の上部に舗設されるとともに、舗装表面の骨材に平滑な研削表面が形成されるポーラスコンクリート舗装と、を有し、
    前記ポーラスコンクリート舗装は、2m以下の間隔で鉛直方向に切断されて複数のポーラスコンクリート舗装版が形成されて成る
    ことを特徴とする透水コンクリート舗装。
  2. 前記路盤の間隙率は30%以上であり、前記ポーラスコンクリート舗装の透水係数は3×10−2cm/sec以上である
    請求項1に記載の透水コンクリート舗装。
  3. 前記舗装表面の前記骨材の表面粗さ(Ra)はRa≦0.6μmである
    請求項1又は2に記載の透水コンクリート舗装。
  4. 前記路盤は単粒砕石又はバラストによって構築される
    請求項1〜3のいずれかに記載の透水コンクリート舗装。
  5. 前記骨材に形成される前記平滑な研削表面は光沢を有し、周囲の鏡像を映し出すことが可能である
    請求項1〜4のいずれかに記載の透水コンクリート舗装。
  6. 路盤を構築する路盤構築工程と、
    前記路盤の上部にポーラスコンクリート舗装を舗設する舗装工程と、
    前記ポーラスコンクリート舗装の舗装表面を研削する研削工程と、
    前記ポーラスコンクリート舗装を所定の間隔で鉛直方向に切断する切断工程と、を有し、
    前記研削工程では、前記舗装表面の骨材を研削して平滑な研削表面を形成し、
    前記切断工程では、前記ポーラスコンクリート舗装を2m以下の間隔で鉛直方向に切断して複数のポーラスコンクリート舗装版を形成する
    ことを特徴とする透水コンクリート舗装の施工方法。
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