JP2020199757A - 膜を有する物品、光学機器、塗料、および物品の製造方法 - Google Patents

膜を有する物品、光学機器、塗料、および物品の製造方法 Download PDF

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【課題】 指紋などの汚れを防ぐ防汚性と太陽光に対する膜の遮熱性に優れた光学機器の表面に設ける膜を有する物品、塗料を提供する。【解決手段】 少なくとも、樹脂と、ビーズと、酸化チタンと、を含み、前記酸化チタンの含有率は、前記ビーズの含有率に対して1/5以上である膜が基材上に形成されていることを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、膜を有する物品、光学機器、塗料、および物品の製造方法に関する。特に、カメラやビデオ、放送機器などの光学機器のレンズ鏡筒やその他の屋外で使用される可能性があるカメラ本体、監視カメラ、お天気カメラ等の光学機器の表面に設ける膜、塗料、光学機器に関する。
カメラやビデオ、放送機器などの光学機器の表面に設ける膜は意匠性を持たせると共にさらに機能性が求められている。例えば人が撮影の際に触れることがある場合には指紋や油脂などが付着することが多いため防汚性が求められる。光学機器に用いる塗料として指紋が付きにくくするには親水性にし汚れを濡れ広がらせる。あるいは反対にフッ素のような疎水性にする。さらには表面を凹凸構造にし、汚れの接触面積を少なくすることによって汚れの付着を少なくする技術が知られている。
またこのような光学機器は屋外で使用されることが多いため、防汚機能に加えて赤道直下等の過酷な太陽光条件下での遮熱性も求められる。
特許文献1には、塗料に樹脂ビーズを添加することで意匠性を高めた凹凸模様形成塗料が記載されている。
特開平9−302272号公報
特許文献1では凹凸構造により指紋の付着等は低減されるが、樹脂ビーズは太陽光を透過させてしまうため、遮熱効果が低い。赤道直下等の過酷な太陽光条件下で、光学機器を使用する場合、基材の変形等により光学機器の性能を低下させてしまう恐れがある。
上記課題を解決するため、本発明は指紋などの汚れを防ぐ防汚性と太陽光に対する膜の遮熱性に優れた膜を表面に有する物品、および塗料を提供することを目的としたものである。
本発明の物品は、少なくとも、樹脂と、ビーズと、酸化チタンと、を含み、前記酸化チタンの含有率は、前記ビーズの含有率に対して面積%が1/5以上である膜が基材上に形成されていることを特徴とする。
あるいは、本発明の物品は、少なくとも、樹脂と、樹脂からなるビーズと、シリカで表面が被覆された酸化チタンと、を含む膜が基材上に形成されていることを特徴とする。
また、本発明の光学機器は、少なくとも、樹脂と、ビーズと、酸化チタンと、を含み、前記酸化チタンの含有率は、前記ビーズの含有率に対して面積%が1/5以上である膜が基材上に形成されていることを特徴とする。
あるいは、本発明の光学機器は、少なくとも、樹脂と、樹脂からなるビーズと、シリカで表面が被覆された酸化チタンと、を含む膜が基材上に形成されていることを特徴とする。
また、本発明の塗料は、少なくとも、樹脂と、ビーズと、酸化チタンと、を含み、前記酸化チタンの含有率は、塗料中の不揮発成分に対して20質量%以上55質量%以下であることを特徴とする。
あるいは、本発明の塗料は、少なくとも、樹脂と、樹脂からなるビーズと、シリカで表面が被覆された酸化チタンと、を含むことを特徴とする。
指紋などの汚れを防ぐ防汚性と太陽光に対する膜の遮熱性に優れた光学機器の表面に設ける膜を有する物品、塗料を提供することができる。
第1の実施形態を示す模式図である。 第2の実施形態を説明する図である。 本発明の光学機器の一態様を示す外観図である。 温度の評価方法を示す模式図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の物品の一例である第1の実施形態における一部断面図を示す。図1において、1は基材であり、プラスチックあるいは金属の基材に本実施形態の塗料を塗布することで、その表面に遮熱性能に優れた膜(本実施形態に係る膜)が形成される。
つまり、本実施形態の物品は、その表面に遮熱性能に優れた膜(本実施形態に係る膜)を有している。本実施形態の物品は、特に光学機器に好適に用いられる。光学機器は、例えば、カメラやビデオ、放送機器などに用いられる交換レンズである。また、その他の屋外で使用される可能性がある、レンズを透過した光により画像を形成する画像形成装置であるカメラ本体、ビデオ本体、監視カメラ、お天気カメラ等である。本実施形態の光学機器は、屋外で使用された場合太陽光が照射される部分(外表面と称する)に本実施形態に係る膜を形成しておくことにより、より高い遮熱効果が発揮される。図3(a)は本実施形態の光学機器の一態様である、レンズを保持する保持部を有するレンズ鏡筒を含むカメラ用交換レンズの外観を示している。交換レンズは、レンズ鏡筒30と三脚座33を有し、レンズ鏡筒30はレンズ、固定筒31、環状部材32などで構成されている。本実施形態の光学機器は、レンズ鏡筒30の固定筒31や環状部材32、三脚座33などの表面に、遮熱性能に優れた膜(本実施形態に係る膜)が形成されている。固定筒31や環状部材32、三脚座33などの熱による変形を抑えることで、精度の低下を抑制でき、高精度な画像を形成することが可能となる。固定筒31や環状部材32、三脚座33の材料は特に限定されるものではなく、プラスチックでもあっても金属であってもよい。
本実施形態の膜は、少なくとも、樹脂2とビーズ3と酸化チタン4を含んでいる。ビーズ3を含むことで、表面が凹凸状態となり、指紋等の汚れが付きにくくなる。本明細書においてビーズ3を第一の粒子と称する場合がある。
本実施形態の膜に含まれるビーズ3の材料は特に限定されず、無機、有機どのようなものであってもよい。無機のビーズとしては、シリカ、ガラス、シリコーンビーズが好ましい。有機のビーズとしては、透明性が高く、比重が軽い、樹脂ビーズが好ましい。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂から選ばれる1種類、あるいは複数の種類を含んでいてもよい。基材、用途等により種類を選択することができる。
本実施形態のビーズ3の形状としては凹凸構造の形成のためには球状が好ましい。本明細書において球状とは、真円度の平均が0.8以上であることをいう。真円度の平均が0.8以上であるとは、まず、膜の断面のサンプルを5か所切り出し、顕微鏡で拡大し、それぞれのサンプルについて、ビーズ3の断面を10個ずつ観察する。観察した10個×5サンプルのビーズ3の真円度の平均が0.8以上であることを言う。真円度とは、以下の式から算出される。
真円度=4π(断面の面積)/(断面の周長)
本明細書において、膜の断面とは、膜表面の法線方向に対して平行な方向に切り出した面であるとする。膜表面の法線方向とは、膜表面に凹凸がある場合は、凸部分を結んだ面の法線方向とする。
また、ビーズ3の平均粒子径は、5μmより大きく50μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上30μm以下である。本実施形態のビーズが5μm以下であると凹凸構造が形成されにくく、汚れが付着しやすくなる。30μm以上ではビーズが膜表面から露出してしまう恐れがあり、露出してしまうと意匠性が損なわれてしまう。本明細書において、ビーズ(第一の粒子)とは、平均粒子径が5μmより大きく50μm以下の粒子であると定義する。ビーズ3の平均粒子径は、個数基準の平均粒子径であり、塗布前の塗料の状態の場合は、動的光散乱法により測定できる。また、膜の状態から測定する場合は、まず、本実施形態に係る膜の断面のサンプルを5か所切り出し、顕微鏡で拡大する。次に、5か所についてEnergy Dispersive X−ray Spectroscopy(EDS)でビーズ3を面分析し、それぞれのビーズ3の粒子径を求め、その平均値を算出する。本明細書においては、粒子の最大横断長を粒子径とする。1か所につき10個以上の粒子径を求めて平均値を算出する。最後に、5か所の平均値を求める。この5か所の平均値を、本実施形態に係る膜に含まれるビーズ3の平均粒子径とする。
ビーズ3の含有率は5面積%以上80面積%以下が好ましく、より好ましくは30面積%以上60面積%以下である。ビーズ3の含有率が5面積%未満になると凹凸構造がまばらになり防汚性が悪化する恐れがある。また、樹脂ビーズの含有率が60面積%を超えると、基材との密着性が悪化する恐れがある。本実施形態に係る膜に含まれるビーズの含有率は、以下のように測定することができる。まず、本実施形態に係る膜の断面を5か所切り出し、顕微鏡で拡大する。膜の断面は、膜表面の法線方向に対して平行な方向に切り出す。次に、5か所についてEnergy Dispersive X−ray Spectroscopy(EDS)でビーズを面分析し、単位面積当たりのビーズの含有率を算出する。最後に、5か所の平均値より本実施形態に係る膜に含まれるビーズの含有率を算出し、この値を膜に含まれるビーズの含有率(面積%)とする。本明細書において、単位面積当たりの含有率を、面積含有率(%)あるいは面積%と表記する。
膜にビーズ3を含んでいると、表面が凹凸状態となり、指紋等の汚れが付きにくくなるが、遮熱性能に影響する可視または近赤外線の多くは膜中のビーズを透過し、基材に到達するため全体としての反射率が低下し、遮熱性能が低下してしまう。ため、ビーズ3を透過した光が基材に到達し、遮熱性能が低下してしまう。そこで、本実施形態の膜は、酸化チタンを10面積%以上80面積%以下、より好ましくは30面積%以上60面積%以下含ませることを特徴としている。また、酸化チタンの含有率(面積%)は、ビーズの含有率(面積%)に対して1/5以上であることを特徴としている。本実施形態の酸化チタンは、太陽光の日射反射率が高く、材料単独での日射反射率が10%を超える。この酸化チタンを、10面積%以上80面積%以下、より好ましくは30面積%以上60面積%以下含ませることにより、ビーズの周囲により多くの酸化チタンを配置させることができる。あるいは、酸化チタンの含有率を、ビーズの含有率に対して1/5以上とすることにより、ビーズの周囲により多くの酸化チタンを配置させることができる。発明者らは、これによりビーズ3を含む膜であっても所望な遮熱性能を発揮させることが可能となることを見出したものである。
また、本実施形態の膜は、明度が20以上95以下であることが好ましく、より好ましくは50以上80以下である。酸化チタン4は、白色であることから、膜の明度を50以上に調整することが可能となる。本実施形態において、膜の明度が25未満になると、日射反射率が低下し、温度低減効果が悪化する。本実施形態の塗料を用いて形成した膜の明度が95を超えると色が白くなりすぎて汚れが目立ちやすくなる恐れがある。
また、本実施形態の膜に含まれる酸化チタンは無酸素状態における光触媒作用をブロックするために表面にシリカ等が被覆されていてもよい。
酸化チタンの粒子径は、平均粒子径が10nm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以上3μm以下である。本実施形態の酸化チタンの平均粒子径が10nm未満になると粒子の表面積が増加するため、光触媒作用が増加し、樹脂2の分子鎖を切断し変色する恐れがある。また、本実施形態の酸化チタンの平均粒子径が5μmを超えると均一に酸化チタンを膜中に分散させることが難しく、遮熱性能が損なわれてしまう場合がある。
酸化チタン4の粒子径は、個数基準の平均粒子径であり、塗布前の塗料の状態の場合は、動的光散乱法により測定できる。また、膜の状態から測定する場合は、まず、本実施形態に係る膜の断面のサンプルを5か所切り出し、顕微鏡で拡大する。次に、5か所についてEnergy Dispersive X−ray Spectroscopy(EDS)で酸化チタン4を面分析し、それぞれの酸化チタン4の粒子径を求め、その平均値を算出する。1か所につき10個以上の粒子径を求めて平均値を算出する。最後に、5か所の平均値を求める。この5か所の平均値を、本実施形態に係る膜に含まれる酸化チタン4の平均粒子径とする。
本実施形態に係る膜に含まれる酸化チタン4の含有率は、以下のように測定することができる。まず、上述した方法で、本実施形態に係る膜に含まれるビーズの含有率(面積%)を算出しておく。次に、ビーズを含まない、ビーズに隣接する部分と、ビーズとビーズの間の部分の膜の断面をそれぞれ5か所切り出し、顕微鏡で拡大する。次に、それぞれの5か所についてEnergy Dispersive X−ray Spectroscopy(EDS)で酸化チタンを面分析し、100%から、ビーズの含有率(面積%)を引いた面積%中に含まれる酸化チタンの含有率(面積%)を算出する。例えばビーズの含有率が40面積%だった場合、100%から、ビーズの含有率(面積%)を引いた面積%は60面積%となる。その60面積%中に酸化チタンが50面積%含まれる場合、酸化チタンの含有率は、30面積%となる。最後に、それぞれ5か所の平均値の平均値を算出し、膜に含まれる酸化チタンの含有率(面積%)とする。
(樹脂)
本実施形態の膜に含まれる樹脂2の含有率は、5面積%以上80面積%以下が好ましく、より好ましくは30面積%以上60面積%以下である。本実施形態に含まれる樹脂2の含有率が5面積%未満になると基材との密着性が悪化する恐れがある。また、本実施形態の樹脂の含有率が60面積%を超えると、防汚性のための凹凸構造にならない恐れがある。本実施形態の膜に含まれる樹脂2は、特に限定されるものではないが、一例としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタンアクリル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂の硬化物が挙げられる。これらの樹脂の硬化物は1種類であってもよいし、複数の種類を含んでいても構わない。
本実施形態に係る膜に含まれる樹脂2の含有率は、以下のように測定することができる。まず、上述した方法で、本実施形態に係る膜に含まれるビーズの含有率(面積%)を算出しておく。次に、ビーズを含まない部分の膜の断面を5か所切り出し、顕微鏡で拡大する。次に、5か所についてEnergy Dispersive X−ray Spectroscopy(EDS)で樹脂を面分析し、100%から、ビーズの含有率(面積%)を引いた面積%中に含まれる樹脂の含有率(面積%)を算出する。例えばビーズの含有率が40面積%だった場合、100%から、ビーズの含有率(面積%)を引いた面積%は60面積%となる。その60面積%中に樹脂が50面積%含まれる場合、樹脂の含有率は、30面積%となる。最後に、5か所の平均値を算出し、膜に含まれる樹脂の含有率(面積%)とする。
(基材)
基材としては、任意の材料を用いることが出来るが、金属やプラスチックが好ましい。金属材料の一例としては、アルミニウム、チタン、ステンレス、マグネシウム合金、リチウムマグネシウム合金等が挙げられる。プラスチックの一例としては、ポリカーボネート樹脂、アクリアル樹脂、ABS樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
また、基材の膜厚としては任意の厚みを持つことが出来るが、0.5mm以上5mm以下、より好ましくは、0.5mm以上2mm以下であることが好ましい。膜厚が0.5mm未満になるとレンズ鏡筒の形状を保持することが困難である。また、膜厚が5mmを超えると部材のコストが高くなる。
(プライマー)
基材上に、膜との密着性を向上させるために、膜との界面にプライマーを有していてもよい。
プライマーとしては、任意の材料を用いることが出来るが、一例としてはエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、プライマーには本実施形態の粒子や本実施形態以外の粒子が含まれていても構わない。また、着色剤、分散剤、硬化剤、硬化触媒、可塑剤、チキソ付与剤、レベリング剤、有機着色剤、無機着色剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、カップリング剤、溶媒の残渣が含まれていても構わない。
また、プライマーの膜厚としては2μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上30μm以下がより好ましい。膜厚が2μm未満では膜の密着性が低下することがあり、50μmを超えると位置精度に悪影響を及ぼすことがある。
本明細書では、基材とプライマーの両方合わせて基材と称する場合がある。つまり、本明細書では、基材はプライマーを含む場合がある。
(膜の膜厚)
本実施形態に係る膜は、膜厚20μm以上70μm以下であることが好ましい。膜厚が20μm未満になると、日射反射率が低下する恐れがある。また、膜厚が70μmを超えると光学機器の位置精度に悪影響を及ぼすことがある。
(酸化チタン以外の膜の明度を調整するための粒子)
本実施形態に係る膜は、明度を調整するための粒子(着色剤)を、上記酸化チタン4以外にも含んでいてもよい。粒子の材料は特に限定されないが、赤外線の反射性能が高い公知の顔料を使用することができる。例えばキナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、アゾ系顔料を含むことが好ましい。アゾ系顔料アゾ系顔料としては、アゾ基を有する化合物であれば任意の粒子を用いることが出来る。本実施形態の膜に含まれるアゾ系顔料の色としては、黒色系、黄色系、赤色系、橙色系などが挙げられるが、黒色系が太陽光による退色が起こった際の、色味変化(a*、b*)が少ないのでより好ましい。また、太陽光の反射率が高いことが好ましく、アゾ系顔料単独での日射反射率が10%を超える材料を選択することが好ましい。アゾ系顔料の一例としては、ニッケルアゾ顔料、不溶性アゾ系顔料、溶性アゾ系顔料、高分子量アゾ系顔料、アゾメチンアゾ顔料系顔料等が挙げられる。これらのアゾ系顔料は1種類を用いても複数の種類を含んでも構わない。
本実施形態の膜に含まれるアゾ系顔料の平均粒子径としては10nm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm以上2μm以下である。平均粒子径が10nm未満になると粒子の表面積が増加するため、耐光性が悪化し、変色する恐れがある。また、平均粒子径が5μmを超えると均一に酸化チタンを膜中に分散させることが難しく、遮熱性能が損なわれてしまう場合がある。アゾ系顔料の粒子径は、個数基準の平均粒子径であり、塗布前の塗料の状態の場合は、動的光散乱法により測定できる。また、膜の状態から測定する場合は、まず、本実施形態に係る膜の断面のサンプルを5か所切り出し、顕微鏡で拡大する。膜の断面は、膜表面の法線方向に対して平行な方向に切り出すことが好ましい。次に、5か所についてEnergy Dispersive X−ray Spectroscopy(EDS)でアゾ系顔料を面分析し、それぞれのアゾ系顔料の粒子径を求め、その平均値を算出する。1か所につき10個以上の粒子径を求めて平均値を算出する。最後に、5か所の平均値を求める。この5か所の平均値を、本実施形態に係る膜に含まれるアゾ系顔料の平均粒子径とする。
本実施形態に係る膜に含まれるアゾ系顔料の含有率は0.1面積%以上0.4面積%以下が好ましく、より好ましくは0.15面積%以上0.3面積%以下である。アゾ系顔料の含有率が0.1面積%未満になると膜の明度が高くなりすぎて、防汚性が悪化する。また、アゾ系顔料の含有率が0.4面積%以上になると、膜の明度が低くなりすぎて日射反射率が悪化する。本実施形態に係る膜に含まれるアゾ系顔料の含有率は、以下のように測定することができる。まず、上述した方法で、本実施形態に係る膜に含まれるビーズの含有率(面積%)を算出しておく。次に、ビーズを含まない部分の膜の断面を5か所切り出し、顕微鏡で拡大する。次に、5か所についてEnergy Dispersive X−ray Spectroscopy(EDS)で樹脂を面分析し、100%から、ビーズの含有率(面積%)を引いた面積%中に含まれるアゾ系顔料の含有率(面積%)を算出する。例えばビーズの含有率が40面積%だった場合、100%から、ビーズの含有率(面積%)を引いた面積%は60面積%となる。その60面積%中にアゾ系顔料が1面積%含まれる場合、アゾ系顔料の含有率は、0.6面積%となる。最後に、5か所の平均値を算出し、膜に含まれるアゾ系顔料の含有率(面積%)とする。
(シリカ粒子)
本実施形態に係る膜では、さらにシリカ粒子を含んでいてもよい。シリカの平均粒子径は10nm以上5μm以下であることが好ましい。本実施形態のシリカの平均粒子径が10nm未満になると表面凹凸構造が形成されにくく、汚れが付着しやすくなり、5μm以上では塗膜の凹凸が大きくなり、膜厚精度が悪化する恐れがある。
シリカ粒子の形状は任意のものを用いることが出来る。シリカ粒子の形状の一例としては、球形、不定形、星形、鎖状、中空、多孔質が挙げられる。これらのシリカ粒子は、1種類を用いても複数の種類を含んでも構わない。
本実施形態のシリカ粒子の粒子径は、個数基準の平均粒子径であり、シリカ粒子の平均粒子径は、塗布前の塗料の状態の場合は、動的光散乱法により測定できる。また、膜の状態から測定する場合は、まず、上述した方法で、本実施形態に係る膜に含まれるビーズの含有率(面積%)を算出しておく。次に、ビーズを含まない部分の膜の断面を5か所切り出し、顕微鏡で拡大する。次に、5か所についてEnergy Dispersive X−ray Spectroscopy(EDS)で樹脂を面分析し、100%から、ビーズの含有率(面積%)を引いた面積%中に含まれるシリカ粒子の含有率(面積%)を算出する。例えばビーズの含有率が40面積%だった場合、100%から、ビーズの含有率(面積%)を引いた面積%は60面積%となる。その60面積%中にシリカ粒子が1面積%含まれる場合、シリカ粒子の含有率は、0.6面積%となる。最後に、5か所の平均値を算出し、膜に含まれるシリカ粒子の含有率(面積%)とする。
(その他の添加剤)
本実施形態に係る膜には、その他の任意の添加材を含んでいてもよい。その一例としては、分散剤、硬化剤、硬化触媒、可塑剤、チキソ性付与剤、レベリング剤、艶消し剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、カップリング剤、上記以外の色味を調整するための無機微粒子および有機微粒子等が挙げられる。
《塗料》
次に、本実施形態の塗料およびその製造方法について説明する。
本実施形態の塗料は、少なくとも樹脂とビーズと酸化チタンを含む。
(ビーズ)
本実施形態の塗料に含まれるビーズの材料は特に限定されず、無機、有機どのようなものであってもよい。無機のビーズとしては、シリカ、ガラス、またはシリコーンビーズが好ましい。有機のビーズとしては、透明性が高く、比重が軽い、樹脂ビーズが好ましい。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂から選ばれる1種類、あるいは複数の種類を含んでいてもよい。
本実施形態のビーズの形状としては凹凸構造の形成のためには球状が好ましい。また、ビーズ3の平均粒子径は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上30μm以下である。本実施形態のビーズが5μm以下であると凹凸構造が形成されにくく、汚れが付着しやすくなる。50μm以上ではビーズが膜表面から露出してしまう恐れがあり、露出してしまうと意匠性が損なわれてしまう。ビーズの粒子径は、個数基準の平均粒子径であり、動的光散乱法により測定できる。
本実施形態の塗料に含まれるビーズの含有率は、塗料中の不揮発成分に対して0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上15質量%以下である。ビーズの含有率が0.5質量%未満になると凹凸構造がまばらになり防汚性が悪化する恐れがある。また、ビーズの含有率が20質量%以上になると、基材との密着性が悪化する恐れがある。塗料中の不揮発成分に対してのビーズの含有率は、遠心分離をおこない、沈降物として分離することで含有率を測定することができる。
(酸化チタン)
本実施形態の塗料に含まれる酸化チタンは、無酸素状態における光触媒作用をブロックするために表面にシリカ等が被覆されていてもよい。
酸化チタンの粒子径は、10nm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以上1μm以下である。本実施形態の酸化チタンの平均粒子径が10nm未満になると粒子の表面積が増加するため、光触媒作用が増加し、樹脂2の分子鎖を切断し変色する恐れがある。また、本実施形態の酸化チタンの平均粒子径が5μmを超えると均一に酸化チタンを膜中に分散させることが難しく、遮熱性能が損なわれてしまう場合がある。
酸化チタン4の粒子径は、個数基準の平均粒子径であり、塗布前の塗料の状態の場合は、動的光散乱法により測定できる。
本実施形態の塗料に含まれる酸化チタンの含有率は、塗料中の不揮発成分に対して20質量%以上55質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%より多く45質量%以下である。本実施形態の酸化チタンの含有率が20質量%より少ないと遮熱効果が低下する。含有率が55質量%を超えると塗膜内で均一に分散されなくなり、膜ムラの原因となる。適切な遠心分離により沈降物として分離し、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)により測定することができる。本明細書において、塗料中の不揮発成分に対する含有率を質量含有率(%)あるいは質量%と表記する。
(樹脂)
本実施形態の塗料に含まれる樹脂は、特に限定されるものではないが、一例としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタンアクリル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂が挙げられる。これらの樹脂は1種類であってもよいし、複数の種類を含んでいても構わない。
また、本実施形態の樹脂の含有率は、5質量%以上80質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以上50質量%以下である。本実施形態の樹脂の含有率が5質量%未満になると基材との密着性が悪化する恐れがある。また、本実施形態の樹脂の含有率が50質量%を超えると、防汚性のための凹凸構造にならない恐れがある。塗料中の不揮発成分に対しての樹脂の含有率は、適切な遠心分離により沈降物として分離し、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)により測定することができる。
(酸化チタン以外の膜の明度を調整するための粒子)
本実施形態に係る塗料は、明度を調整するための粒子(着色剤)を、上記酸化チタン以外にも含んでいてもよい。粒子の材料は特に限定されないが、赤外線の反射性能が高い公知の顔料を使用することができる。例えばキナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、アゾ系顔料を含むことが好ましい。アゾ系顔料アゾ系顔料としては、アゾ基を有する化合物であれば任意の粒子を用いることが出来る。本実施形態の塗料に含まれるアゾ系顔料の色としては、黒色系、黄色系、赤色系、橙色系などが挙げられるが、黒色系が太陽光による退色が起こった際の、色味変化(a*、b*)が少ないのでより好ましい。また、太陽光の反射率が高いことが好ましく、アゾ系顔料単独での日射反射率が10%を超える材料を選択することが好ましい。アゾ系顔料の一例としては、ニッケルアゾ顔料、不溶性アゾ系顔料、溶性アゾ系顔料、高分子量アゾ系顔料、アゾメチンアゾ顔料系顔料等が挙げられる。これらのアゾ系顔料は1種類を用いても複数の種類を含んでも構わない。
本実施形態の塗料に含まれるアゾ系顔料の平均粒子径としては10nm以上5μmであることが好ましく、より好ましくは50nm以上2μm以下である。平均粒子径が10nm未満になると粒子の表面積が増加するため、耐光性が悪化し、変色する恐れがある。また、平均粒子径が5μmを超えると均一に酸化チタンを膜中に分散させることが難しく、遮熱性能が損なわれてしまう場合がある。アゾ系顔料の粒子径は、個数基準の平均粒子径であり、動的光散乱法により測定できる。
本実施形態の塗料に含まれるアゾ系顔料の含有率は塗料中の不揮発成分に対して0.1質量%以上1.0質量%以下が好ましく、より好ましくは0.15質量%以上0.5質量%以下である。アゾ系顔料の含有率が0.1質量%未満になると膜の明度が高くなりすぎて、防汚性が悪化する恐れがある。また、アゾ系顔料の含有率が1.0質量%以上になると、膜の明度が低くなりすぎて日射反射率が悪化する。塗料中の不揮発成分に対しての樹脂の含有率は、適切な遠心分離により沈降物として分離し、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)により測定することができる。
膜の明度を調整するための粒子として、酸化チタン、アゾ系顔料以外の材料を含んでいてもよく、材料の一例としては、アルミナ、ジルコニア、シリカ、中空シリカ、酸化亜鉛、顔料が挙げられる。これらの材料は1種類で用いてもよいし組み合わせて用いても構わない。希望する明度、光沢度、色味を調整するための無機微粒子および有機微粒子等を用いてもよい。
(シリカ粒子)
本実施形態の塗料では、さらにシリカ粒子を含んでいてもよい。シリカの平均粒子径は10nm以上5μmであることが好ましい。本実施形態のシリカの平均粒子径が10nm未満になると表面凹凸構造が形成されにくく、汚れが付着しやすくなり、5μm以上では塗膜の凹凸が大きくなり、膜厚精度が悪化する恐れがある。
シリカ粒子の形状は任意のものを用いることが出来る。シリカ粒子の形状の一例としては、球形、不定形、星形、鎖状、中空、多孔質が挙げられる。これらのシリカ粒子は、1種類を用いても複数の種類を含んでも構わない。
本実施形態のシリカ粒子の粒子径は、個数基準の平均粒子径であり、シリカ粒子の平均粒子径は、塗布前の塗料の状態の場合は、動的光散乱法により測定できる。
シリカ粒子の含有率は、塗料中の不揮発成分に対して塗料中の不揮発成分に対して0.5質量%以上10質量%以下であり好ましくは1質量%以上5質量%以下である。シリカの含有率が0.5質量%未満になると膜表面の反射によりこの反射光が画質に悪影響を与える恐れがある。また本実施形態のシリカ粒子の含有率が10質量%を超えると塗料中で沈降堆積する恐れがある。塗料中の不揮発成分に対してのシリカ粒子の含有率は適切な遠心分離により沈降物として分離し、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)により測定することができる。
(溶媒)
本実施形態の塗料では、さらに溶剤を含む。
溶剤の材料は特に限定されないが、一例としては、水、シンナー、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチルが挙げられる。また、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、キシレン、アセトン、セロソルブ類、グリコールエーテル類、エーテル類が挙げられる。これらの溶剤は、1種類であっても複数の種類を含んでいても構わない。
本実施形態の塗料の好ましい粘度は、10mPa・s以上10000mPa・s以下であり、より好ましくは50mPa・s以上500mPa・s以下である。塗料の粘度が10mPa・s未満になると塗布後の遮熱膜の膜厚が薄くなる箇所が生じる場合がある。また、10000mPa・sを超えると、塗料の塗布性が低下する恐れがある。
(その他の添加剤)
本実施形態に係る膜には、その他の任意の添加材を含んでいてもよい。その一例としては、分散剤、硬化剤、硬化触媒、可塑剤、チキソ性付与剤、レベリング剤、艶消し剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、カップリング剤、上記以外の色味を調整するための無機微粒子および有機微粒子等が挙げられる。
≪光学機器上面に形成するための塗料の製造方法≫
以下に、本実施形態の塗料の製造方法について説明する。
本実施形態の光学機器上面に形成するための塗料の製造方法としては、本実施形態の樹脂ビーズ、シリカ被覆酸化チタンを塗料中に分散できれば、特に限定されない。一例としては、ビーズミル、ボールミル、ジェットミル、三本ローラー、遊星回転装置、ミキサー、超音波分散機、ホモジナイザー等が挙げられる。
《物品の製造方法》
本実施形態に係る物品の製造方法は、20μm以上70μm以下で本実施形態の塗料を基材上に均一に塗布出来れば、塗布方法および硬化方法は、特に限定されるものではない。
塗布方法としては、ハケ塗り、スプレー塗布、ディップコーティング、転写等が挙げられる。また、本実施形態の膜は1層塗りであっても、多層塗りであっても構わない。
また、硬化方法としては室温放置しても構わないし、熱により硬化を促進させたり、紫外線を与えても構わない。熱を与えて硬化させる方法としては、加熱炉、ヒーター、赤外線加熱等が挙げられる。硬化温度としては、室温から400℃が好ましく、更に室温から200℃が好ましい。
このように、本実施形態の物品は、基材に本実施形態の塗料を塗布することで、その表面に遮熱性能に優れた膜(本実施形態に係る膜)が形成される。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成は、第1の実施形態と同じ符号を付して、その詳細な説明及び図面は省略する。
本実施形態の物品は、プラスチックあるいは金属の基材に本実施形態の塗料を塗布することで、その表面に遮熱性能に優れた膜(本実施形態に係る膜)が形成される。つまり、本実施形態の物品は、基材の表面に遮熱性能に優れた膜(本実施形態に係る膜)を有している。本実施形態に係る膜は、少なくとも、樹脂と樹脂によるビーズ(樹脂ビーズ)とシリカによって表面が被覆された酸化チタンを含んでいる。第1の実施形態の膜に含まれるビーズの材料は、特に限定されないが、本実施形態は、樹脂ビーズを用いた場合において発生する課題を解決するものである。第1の実施形態と同様、樹脂ビーズ7を含むことで、表面が凹凸状態となり、指紋等の汚れが付きにくくなる。また、膜の色調整のため、あるいは遮熱効果を高めるために入れる酸化チタンは、第1の実施形態においては、特に限定されないが、本実施形態においては、シリカによって表面が被覆された酸化チタンを用いることを特徴としている。
樹脂ビーズを用いた場合、シリカによって表面が被覆されていない酸化チタンであると、以下のような課題があることが分かった。図2(a)は、膜に含まれる酸化チタンが、表面が被覆されていない酸化チタン10である場合の、樹脂ビーズ7と酸化チタン10の状態を表した図である。ビーズが樹脂であると、樹脂ビーズ7と酸化チタン10は、膜の形成過程で、ゼータ電位がマイナスの符号を持つ樹脂によるビーズ7の周囲にゼータ電位がプラスの符号を持つ酸化チタン10が引き寄せられる。しかし、酸化チタン10のプラス価が高いために酸化チタン10同士の斥力が働き、酸化チタン10同士が離れようとしてしまうため、ビーズの周りに酸化チタン10を被覆させることが難しい(被覆率を高めることが難しい)。この状態の膜に太陽光を照射すると、酸化チタン10がある程度ビーズの周囲に集まっているため、酸化チタン10が太陽光を反射し、遮熱効果はある程度発揮される。しかし、図2(b)に示すように膜表面にテープ5などを貼ると膜の内部は無酸素状態になる。この無酸素状態において、樹脂ビーズ7の周りに位置している酸化チタン10が太陽光による光触媒作用で活性化をし、樹脂ビーズ7を劣化させてしまう。そして樹脂ビーズ7が劣化してしまった部分から膜がはがれてしまったり、膜割れが発生してしまうことがわかった。
そこで、本実施形態は、酸化チタンの表面をシリカで被覆することで、無酸素状態での太陽光による樹脂ビーズの劣化を防ぐことを見出したものである。
図2(c)に示すように本実施形態の膜は、樹脂ビーズ7とシリカ9で表面を被膜した酸化チタン6が添加されている。膜中ではゼータ電位がマイナスの樹脂ビーズ7の周囲にゼータ電位がマイナスであるシリカ9で被覆された酸化チタン6が、高密度に(高い被覆率で)周囲に存在する。これは酸化チタンの高いプラス価をシリカで緩和し、斥力を抑えることにより樹脂ビーズ7の周囲に高密度で被覆させることができるからである。
本実施形態の膜は、樹脂ビーズ7の周囲に高密度で酸化チタンを配置させることができるため、第1の実施形態で説明した、膜中の酸化チタンの含有率よりも少ない含有率であっても、優れた遮熱効果を発揮させることができる。
また、本実施形態の膜に太陽光を照射しても周囲の酸化チタンにより太陽光は反射され耐光は維持される。さらにテープを貼った無酸素状態での太陽光の照射においてもシリカ9で被覆されているので酸化チタン6の光触媒作用はブロックすることができ、樹脂の劣化を防ぐことができる。
このように本実施形態の膜は、防汚性と無酸素状態における耐光性を維持することができる。
つまり、本実施形態によれば、膜剥がれや、膜割れの心配がない、意匠性と遮熱性を兼ね備えた膜を表面に有する光学機器等の物品を提供することが出来る。
(ビーズ)
本実施形態の膜に含まれる樹脂ビーズ7について説明する。
本実施形態の膜に含まれる樹脂ビーズ7の材料は樹脂であれば特に限定されない。一例としてアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂から選ばれる1種類を用いても複数の種類を含んでも構わない。
(シリカ被覆酸化チタン)
本明細書において、シリカ9で表面が被膜された酸化チタン6粒子とは、酸化チタン粒子6の少なくとも表面の一部がシリカ9で覆われていればシリカ9で表面が被覆された酸化チタン6粒子であるとする。シリカ9で表面が被覆された酸化チタン6の酸化チタンは、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタンを用いることが出来る。シリカ9で表面が被覆された酸化チタン6は、表面積全体に対して80%以上がシリカ9で被覆されていることが好ましい。
また、本実施形態の膜に含まれるシリカ9で被覆された酸化チタン6の含有率は、5面積%以上80面積%以下、より好ましくは10面積%以上60面積%以下である。また、前記シリカ9で表面が被覆された酸化チタン6の含有率は、前記樹脂からなるビーズの含有率に対して1/6以上である。本実施形態のシリカで被覆された酸化チタンの含有率が5面積%未満になると無酸素状態における太陽光照射時の光触媒作用ブロックが少ないため、樹脂ビーズの劣化を防ぐことができない恐れがある。また、含有率が80面積%を超えると塗膜内で均一に分散されなくなり、膜ムラの原因となる。
本実施形態に係る膜に含まれる酸化チタン4の含有率は、以下のように測定することができる。まず、上述した方法で、本実施形態に係る膜に含まれるビーズの含有率(面積%)を算出しておく。次に、ビーズを含まない、ビーズに隣接する部分と、ビーズとビーズの間の部分の膜の断面をそれぞれ5か所切り出し、顕微鏡で拡大する。次に、それぞれの5か所についてEnergy Dispersive X−ray Spectroscopy(EDS)で酸化チタンを面分析し、100%から、ビーズの含有率(面積%)を引いた面積%中に含まれる酸化チタンの含有率(面積%)を算出する。例えばビーズの含有率が40面積%だった場合、100%から、ビーズの含有率(面積%)を引いた面積%は60面積%となる。その60面積%中に酸化チタンが50面積%含まれる場合、酸化チタンの含有率は、30面積%となる。最後に、それぞれ5か所の平均値の平均値を算出し、膜に含まれる酸化チタンの含有率(面積%)とする。
また、本実施形態のシリカで被覆された酸化チタンの平均粒子径は、樹脂ビーズとの粒子径の比より求められる。シリカで被覆された酸化チタンの平均粒子径を1とした時、樹脂ビーズ平均粒子径は、30以上300以下の範囲であることが好ましい。30未満であると樹脂ビーズとシリカで被覆された酸化チタンとのゼータ電位の差が少なく、シリカで被覆された酸化チタンが樹脂ビーズ周囲に引き寄せられず、樹脂ビーズに太陽光が透過し、膜全体の反射率が悪化し、遮熱効果が低下する恐れがある。また、300以上となると表面積の差が大きくなり、樹脂ビーズの表面に、シリカで被覆された酸化チタンが存在しない(被覆されない)部分ができてしまう。存在しない(被覆されない)部分ができてしまうと、樹脂ビーズに太陽光が透過する部分が存在してしまい、膜全体の反射率が悪化し、遮熱効果が低下する恐れがある。
以上の樹脂ビーズの平均粒子径範囲と平均粒子径の比よりシリカで被覆された酸化チタンの平均粒子径は10nm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以上1μm以下である。
本実施形態の物品の、基材、プライマー等については、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。また、本実施形態の膜に含まれる樹脂、シリカで被覆された酸化チタン以外の膜の明度を調整するための粒子、シリカ粒子、その他の添加剤や、膜厚等は第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
《塗料》
次に、本実施形態の塗料について説明する。
本実施形態の塗料は、少なくとも樹脂と樹脂ビーズとシリカで被覆された酸化チタンを含む。
(ビーズ)
本実施形態の塗料に含まれる樹脂ビーズ7の材料は樹脂であれば特に限定されない。一例としてアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂から選ばれる1種類を用いても複数の種類を含んでも構わない。
(酸化チタン)
本実施形態のシリカで被覆された酸化チタン6の平均粒子径は、樹脂ビーズ7との粒子径の比より求められる。シリカで被覆された酸化チタン6の平均粒子径を1とした時、樹脂ビーズ平均粒子径は、30以上300以下の範囲であることが好ましい。30未満であると樹脂ビーズとシリカで被覆された酸化チタン6とのゼータ電位の差が少なく、シリカで被覆された酸化チタン6が樹脂ビーズ7周囲に引き寄せられず、樹脂ビーズ7に太陽光が透過し、膜全体の反射率が悪化し、遮熱効果が低下する恐れがある。また、300以上となると表面積の差が大きくなり、樹脂ビーズ7の表面に、シリカで被覆された酸化チタン6が存在しない(被覆されない)部分ができてしまう。存在しない(被覆されない)部分ができてしまうと、樹脂ビーズ7に太陽光が透過する部分が存在してしまい、膜全体の反射率が悪化し、遮熱効果が低下する恐れがある。
以上の樹脂ビーズの平均粒子径範囲と平均粒子径の比よりシリカで被覆された酸化チタン6の平均粒子径は10nm以上5μmであることが好ましく、より好ましくは100nm以上3μm以下である。
本実施形態の酸化チタンの平均粒子径が10nm未満になると粒子の表面積が増加するため、光触媒作用が増加し、樹脂2の分子鎖を切断し変色する恐れがある。また、本実施形態の酸化チタンの平均粒子径が5μmを超えると均一に酸化チタンを膜中に分散させることが難しく、遮熱性能が損なわれてしまう場合がある。
シリカ被覆酸化チタン4の平均粒子径は、個数基準の平均粒子径であり、塗布前の塗料の状態の場合は、動的光散乱法により測定できる。
本実施形態の塗料に含まれるシリカで被覆された酸化チタンの含有率は、塗料中の不揮発成分に対して10質量%より多く55質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%より多く45質量%以下である。本実施形態のシリカで被覆された酸化チタンの含有率が10質量%未満になると遮熱効果が低下し無酸素状態における太陽光照射時の光触媒作用ブロックが少ないため、樹脂ビーズの劣化を防ぐことができない恐れがある。含有率が50質量%を超えると塗膜内で均一に分散されなくなり、膜ムラの原因となる。塗料中の不揮発成分に対しての酸化チタンの含有率は、適切な遠心分離により沈降物として分離し、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)により測定することができる。
本実施形態の塗料に含まれる樹脂、酸化チタン以外の膜の明度を調整するための粒子、シリカ粒子、溶媒、その他の添加剤等は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
(他の実施形態)
図3(b)は、本発明の光学機器の一態様であるレンズを保持する保持部を有するレンズ鏡筒を含む交換レンズが結合された一眼レフデジタルカメラの断面図を示している。
本発明の光学機器とは、双眼鏡、顕微鏡、半導体露光装置、交換レンズ、カメラ等の電子機器等、本発明の膜が形成された機器であって、特に、光学素子を含む光学系を備える機器のことをいう。あるいは光学素子を通過した光によって画像を生成する機器のことをいう。
また、本発明の光学機器は、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等のカメラシステムや、携帯電話機等の本発明の光学素子を通過した光を受光する撮像素子を備える電子機器であってもよい。なお、電子機器に搭載されるモジュール状の形態、例えばカメラモジュールを撮像装置とする場合もある。
本発明の光学機器は、太陽光などの光にさらされ、また指紋などの汚れが付着する外装部分に本発明の遮熱性能に優れた膜(本実施形態に係る膜)が形成されていることが好ましい。これにより指紋などの汚れを防ぐとともに、光学機器表面で太陽光等の熱を反射することができるため、熱の光学機器内部への侵入を抑制し、光学機器内部に設けられている精密部品の変形を抑えることが可能となる。これにより、遮熱性に優れる光学機器を提供することができる。
図3(b)において、カメラ本体602と光学機器である本発明の膜が形成されたレンズ鏡筒の外筒620を含む交換レンズ601とが結合されているが、交換レンズ601はカメラ本体602対して着脱可能である。
被写体からの光は、交換レンズの601内の撮影光学系の光軸上に配置された複数のレンズ603、605などからなる光学系を通過し、撮像素子に受光される。
ここで、レンズ605はレンズ鏡筒の内筒604によって支持されて、フォーカシングやズーミングのためにレンズ鏡筒の外筒620に対して可動支持されている。レンズ鏡筒の外筒620に本発明の遮熱性能に優れた膜が形成されていることにより、レンズ鏡筒の内筒604の変形を抑え、レンズ鏡筒の内筒604によって支持されているレンズ605の位置を所定の位置に保つことができる。
撮影前の観察期間では、被写体からの光は、カメラ本体の筐体621内の主ミラー607により反射され、プリズム611を透過後、ファインダレンズ612を通して撮影者に撮影画像が映し出される。主ミラー607は例えばハーフミラーとなっており、主ミラーを透過した光はサブミラー608によりAF(オートフォーカス)ユニット613の方向に反射され、例えばこの反射光は測距に使用される。また、主ミラー607は主ミラーホルダ640に接着などによって装着、支持されている。不図示の駆動機構を介して、撮影時には主ミラー607とサブミラー608を光路外に移動させ、シャッタ609を開き、撮像素子610にレンズ鏡筒601から入射した撮影光像を結像させる。また、絞り606は、開口面積を変更することにより撮影時の明るさや焦点深度を変更できるよう構成される。
以下に、本発明における好適な実施例について説明する。
実施例1から3における塗料の調製、膜の作製、膜の評価は下記の方法で行った。
<膜の粒子径および面積含有率の求め方>
測定用のサンプルは膜の状態から測定した。測定用のサンプルには50mm×70mm角で厚みが1mmのポリカーボネート樹脂に本発明の膜を形成して用いた。ポリカーボネート樹脂板にスピンコーターで所望の膜厚になるように塗布し、焼成した。焼成後の膜を膜表面の法線方向に対して平行な方向に切り出しフィールドエミッション走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察した。次にEnergy Dispersive X−ray Spectroscopy(EDS)で対象物質を面分析し、画像処理にてそれぞれの粒子径を求め、その平均値を算出した。ビーズについては1か所につき10個以上の粒子径を求めて平均値を算出した。最後に、5か所の平均値を求めた。
また、含有率は、本実施形態に係る膜の断面を5か所切り出し、フィールドエミッション走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察した。膜の断面は、膜表面の法線方向に対して平行な方向に切り出した。次に、5か所についてEnergy Dispersive X−ray Spectroscopy(EDS)で対象物質を面分析し、画像処理にて単位面積当たりの含有率を算出した。最後に、5か所の平均値より本実施形態に係る膜に含まれる対象物質の含有率を算出し、この値を膜に含まれる対象物質の含有率(面積%)とした。
<日射反射率評価>
以下に、日射反射率評価について説明する。日射反射率は、分光光度計(U−4000,日立ハイテク)を用いて反射率を測定した後に日射反射率に換算した。
波長300nmから波長2500nmの光を入射させ反射率を測定した。次に、測定した反射率にJIS−K560(塗膜の日射反射率の求め方)に基づいて、重み付けの数値(重価係数)を掛け合わせて積分し、積分値より日射反射率を算出した。
測定用のサンプルには50mm×70mm角で厚みが1mmのポリカーボネート樹脂に本発明の膜を形成して用いた。ポリカーボネート樹脂板にスピンコーターで所望の膜厚になるように塗布し、焼成した。
次に膜の上面にセロハンテープ(CT−12M;ニチバン)を貼り付けた。そして、耐光性試験機(SUNTESTXXL+;ATLAS)で300nmから400nmで放射強度が50±2W/mでブラックパネルの温度が63℃±3℃の条件で200時間投入した。耐光試験終了後にセロハンテープを膜から剥がしてアセトンで洗浄後、24時間以内に分光光度計で波長300mmから波長2500nmの反射率を測定し、JISK 560に基づいて、日射反射率を算出した。
日射反射率としては、日射反射率が60%以上であれば温度低減効果が高いので非常に良好な膜と言える。また、日射反射率が50%以上60%未満であれば温度低減効果が比較的高いので良好な膜と言える。日射反射率が50%未満になると温度低減効果が下がるので良好な膜とは言えない。
(A〜Cの3段階評価)
A:日射反射率が70%以上
B:日射反射率が60%以上70%未満
C:日射反射率が60%未満
<遮熱効果>
図4は温度の評価方法を示す模式図である。図4に示すように、温度測定にはランプ22、温度測定用治具25および温度評価用の試験片23を用いた。温度評価用の試験片23には、には50mm×70mm角で厚みが1mmのポリカーボネート樹脂に本発明の膜を形成して用いた。このポリカーボネート樹脂板にスピンコーターで所望の膜厚になるように塗布し、焼成した。温度測定用治具25には、表面が自色で120mm×120mm×120mmの段ボールを用い、温度評価用の試験片23取り付け部分に40mm×40mmの窓部を設けた。また、ランプ22にはハイラックスMT150FD6500K(岩崎電気)を用いた。
次に、温度測定用治具25に温度評価用の試験片23を取り付け、温度評価用の試験片23の裏面に熱電対を取り付けた。温度評価用の試験片23が取り付けられた温度測定用治具25をランプ22の距離が100mmになるように設置した。次にランプ22を60分間照射し、60分後の温度を測定した。
温度低減効果は、温度評価用の試験片23の表面に黒色のブランクを形成して温度測定し、実施例の膜の温度測定結果との差分を計算して温度低減効果とした。
黒色のブランクとしては、カーボンブラック(MA100,三菱化学)20gを用いた。さらに、エポキシ樹脂(jER828;三菱化学)100g、アミン硬化剤(STll,三菱化学)70g、シンナー20gを遊星回転装置で混合した塗料を試験片23の表面に塗布し、焼成して作製した。
温度低減効果が7℃以上であれば非常に遮熱効果が高い膜であると言える。温度低減効果が3℃以上7℃未満であれば比較的遮熱効果が高い膜であると言える。また、温度低減効果が3℃未満であれば遮熱効果が良好な膜とは言えない。
(A〜Cの3段階評価)
A:温度低減効果が7℃以上
B:温度低減効果が3℃以上7℃未満
C:温度低減効果が3℃未満
<膜の防汚性評価>
膜の防汚性評価には光沢度計を用い光沢度(VG7000、日本電飾工業株式会社)を用いて60度における光沢度を測定した。測定用のサンプルには50mm×70mm角で厚みが1mmのポリカーボネート樹脂に本発明の膜を形成して用いた。このポリカーボネート樹脂板にスピンコーターで所望の膜厚になるように塗布し、焼成した。焼成後に、光沢度計で本発明の膜の光沢度の値を測定した。次に、素手でサンプルに指紋をつけ、その後本発明の膜の光沢度の値を測定した。
光沢度変化Δ=指紋添付後の光沢度−指紋添付前の光沢度
光沢度変化Δが0.5未満であれば光沢度変化が非常に少ない防汚効果の良好な膜と言える。明度変化が0.5以上1.0未満であれば防汚効果が良好な膜と言える。明度変化が1.0以上になると色味変化が大きく、防汚効果が良好な膜とは言えない。
(A〜Cの4段階評価)
A:光沢度変化±が0.5未満
B:光沢度変化±が0.5以上2.0未満
C:光沢度変化±が2.0以上
<膜はがれ評価>
測定用のサンプルには50mm×70mm角で厚みが1mmのポリカーボネート樹脂に本発明の膜を形成して用いた。このポリカーボネート樹脂板にスピンコーターで所望の膜厚になるように塗布し、焼成した。焼成後に、本発明の膜の上面にセロハンテープ(CT−12M;ニチバン)を貼り付けた。そして、耐光性試験機(SUNTESTXXL+;ATLAS)に300nmから400nmで放射強度が50±2W/mでブラックパネルの温度が63℃±3℃の条件で200時間投入した。耐光試験終了後にセロハンテープを膜から剥がしてアセトンで洗浄後、目視にて膜剥がれを確認した。
A:膜剥がれなし
B:膜剥がれあり
[実施例1]
<塗料の調製>
実施例1は、以下の方法で塗料を作製した。樹脂125g、アゾ系顔料0.5g、面積含有率23%となるように酸化チタン145gを秤量した。また、さらに樹脂ビーズ40g(面積含有率39%)、シリカ5g、分散剤5g、溶剤100gを秤量し、ボールミルにて15時間攪拌し、主剤を得た。得られた主剤10gに対して硬化剤1gを混合し、実施例1の塗料を得た。
樹脂にはオレスターQ−691(三井化学)を用いた。アゾ系顔料には、クロモファインブラックA1103(大日精化工業)を用いた。酸化チタンには、PT−301(石原産業;平均粒子径0.27μm、表面処理なし)を用いた。樹脂ビーズにはMZ−20(綜研化学;平均粒子径20μmを用いた。シリカにはACEMATT−OK607を用いた。硬化剤には、タケネートD−120N(三井化学)を用いた。
<膜の作製>
実施例1では、以下の方法で膜を作製した。上記の塗料をポリカーボネート板にスピンコーターで30μmの膜厚になるように本発明の膜を塗布し、室温で一晩乾燥後、110℃で30分間焼成し、実施例1の膜を得た。
[実施例2〜21]
実施例2〜21では、表1〜2の条件にする以外は実施例1と同様にして、塗料および膜を作製した。
[実施例22〜27]
実施例23〜27では、表3の条件の塗料を作成する以外は実施例1と同様にして、塗料および膜を作製した。
Figure 2020199757
Figure 2020199757
Figure 2020199757
評価結果を表4〜6に示す。
実施例1の膜は、日射反射率が60%以上であり、温度低減効果(遮熱効果)は7℃以上で非常に良好であり、防汚性(光沢度変化)は±0.5未満であり非常に良好であった。
実施例2の膜は、実施例1に対して酸化チタンの面積含有率を17%、ビーズの面積含有率が80%になるように酸化チタン、ビーズの量を調整した塗料を用いた。実施例2の膜は、日射反射率は50%以上60%未満であり良好であった。温度低減効果(遮熱効果)も3℃以上7℃未満であり良好であった。防汚性(光沢度変化)も±0.5以上1.0未満であり良好であった。
実施例3は、実施例1に対してビーズの粒子径を5μmに変更し、酸化チタンの面積含有率が23%、ビーズの面積含有率が32%になるように調整した塗料を用いた。
実施例7は、実施例1に対してビーズの粒子径を3μm、ビーズの材料をガラスビーズに変更し、酸化チタンの面積含有率が23%、ビーズの面積含有率が30%になるように調整した塗料を用いた。実施例3および実施例7の膜は、日射反射率が60%以上であり、温度低減効果(遮熱効果)は7℃以上で非常に良好であった。防汚性(光沢度変化)も±0.5以上1.0未満で良好であった。
実施例4は、実施例1に対してビーズの粒子径を50μmに変更し、酸化チタンの面積含有率が23%、ビーズの面積含有率が40%になるように調整した塗料を用いた。
実施例5は、実施例1に対して、酸化チタンの粒子径を0.01μmに変更し、ビーズの材料をガラスビーズに変更し、酸化チタンの面積含有率が20%、ビーズの面積含有率が39%になるように調整した塗料を用いた。
実施例6は、酸化チタンの粒子径を5μmに変更し、ビーズの材料をガラスビーズに変更し、ビーズの粒子径を50μmに変更し、酸化チタンの面積含有率が25%、ビーズの面積含有率が39%になるように調整した塗料を用いた。
実施例8は、実施例1に対して、ビーズの粒子径を55μmに変更し、酸化チタンの面積含有率が23%、ビーズの面積含有率が42%になるように調整した塗料を用いた。
実施例9は、実施例1に対して、酸化チタンの粒子径を0.005μmに変更し、ビーズの材料をガラスビーズに変更し、ビーズの粒子径を5μmに変更し、酸化チタンの面積含有率が18%、ビーズの面積含有率が39%になるように調整した塗料を用いた。
実施例12は、実施例1に対して、着色剤としてカーボンブラックを用い、酸化チタンの面積含有率が23%、ビーズの面積含有率が39%になるように調整した塗料を用いた。
実施例4、5、6、8、9、12の膜は、日射反射率は50%以上60%未満で良好であった。また、温度低減効果(遮熱効果)も3℃以上7℃未満で良好であり、防汚性(光沢度変化)は±0.5未満であり非常に良好であった。
実施例10は、実施例1に対して酸化チタンの粒子径7μmに変更し、ビーズの材料をガラスビーズに変更し、酸化チタンの面積含有率は27%、ビーズの面積含有率は39%になるように調整した塗料を用いた。実施例10の膜は、日射反射率が60%以上で非常に良好であり、温度低減効果(遮熱効果)も3℃以上7℃未満で良好、防汚性(光沢度変化)は±0.5未満であり非常に良好であった。
実施例11は、実施例1に対して着色剤としてペリレン系を用い、酸化チタンの面積含有率が23%、ビーズの面積含有率が39%になるように調整した塗料を用いた。実施例11の膜は、実施例1と同じくどの項目も非常に良好な結果であった。
第二の実施形態に係る実施例として、実施例13〜21を行なった。
実施例13は、実施例1に対して、酸化チタンを、シリカで表面が被覆された酸化チタンに変更した塗料を用いた。実施例13の膜は日射反射率が60%以上であり、温度低減効果(遮熱効果)は7℃以上で非常に良好であり、防汚性(光沢度変化)は±0.5未満であり膜剥がれもなく非常に良好であった。
実施例2の膜は、実施例13に対して、酸化チタンの面積含有率が14%、ビーズの面積含有率が80%になるように調整した塗料を用いた。実施例2の膜は日射反射率は50%以上60%未満で良好、温度低減効果(遮熱効果)も3℃以上7℃未満で良好、防汚性(光沢度変化)も±0.5以上1.0未満で良好であり、膜剥がれもなかった。
実施例15は、実施例13に対してビーズの粒子径を5μmに変更し、酸化チタンの面積含有率が23%、ビーズの面積含有率が32%になるように調整した塗料を用いた。
実施例18は、実施例13に対してビーズの粒子径を3μmに変更し、酸化チタンの面積含有率が23%、ビーズの面積含有率が30%になるように調整した塗料を用いた。実施例15の膜および実施例18の膜は日射反射率が60%以上であり、温度低減効果(遮熱効果)は7℃以上で非常に良好であり、防汚性(光沢度変化)も±0.5以上1.0未満で良好であり、膜剥がれもなかった。
実施例16は、実施例13に対してビーズの粒子径を50μmに変更し、酸化チタンの面積含有率が23%、ビーズの面積含有率が40%になるように調整した塗料を用いた。
実施例17は、実施例13に対して酸化チタンの粒子径を0.01μmに変更し、酸化チタンの面積含有率が20%、ビーズの面積含有率が39%になるように調整した塗料を用いた。
実施例19は、実施例13に対してビーズの粒子径を55μmに変更し、酸化チタンの面積含有率が23%、ビーズの面積含有率が42%になるように調整した塗料を用いた。
実施例21は、実施例13に対して着色剤としてカーボンブラックを用い、酸化チタンの面積含有率が23%、ビーズの面積含有率が39%になるように調整した塗料を用いた。
実施例16、17、19、21の膜の日射反射率は50%以上60%未満で良好であり、温度低減効果(遮熱効果)も3℃以上7℃未満で良好であり、防汚性(光沢度変化)は±0.5未満であり膜剥がれもなく非常に良好であった。
実施例20は、実施例13に対して着色剤としてペリレン系を用い、酸化チタンの面積含有率が23%、ビーズの面積含有率が39%になるように調整した塗料を用いた。実施例20は実施例13と同じように、どの項目も非常に良好な結果であった。
実施例22は、実施例13に対して塗料中の不揮発成分に対する酸化チタンの質量含有率を20%、ビーズの質量含有率を10%に調整した塗料を用いた。
実施例25は、実施例22に対してビーズの粒子径を50μmに変更し、塗料中の不揮発成分に対する酸化チタンの質量含有率を40%、ビーズの質量含有率を8%に調整した塗料を用いた。
実施例26は、実施例22に対して酸化チタンの粒子径を0.01μmに変更し、ビーズをガラスビーズに変更し、塗料中の不揮発成分に対する酸化チタンの質量含有率を40%、ビーズの質量含有率を18%に調整した塗料を用いた。
実施例27は、実施例26に対して酸化チタンの粒子径を5μmに変更した塗料を用いた。実施例22、25、26、27の塗料から作成された膜の日射反射率は50%以上60%未満で良好、温度低減効果(遮熱効果)も3℃以上7℃未満で良好、防汚性(光沢度変化)は±0.5未満であり非常に良好であった。
実施例23は、実施例22に対して塗料中の不揮発成分に対する酸化チタンの質量含有率を55%、ビーズの質量含有率を10%に調整した塗料を用いた。実施例23の塗料から作成される膜は実施例1同じくどの項目も非常に良好な結果であった。
実施例24は、実施例26に対して酸化チタンの粒子径を0.3μmに変更し、ビーズの粒子径を5μmに変更し、塗料中の不揮発成分に対する酸化チタンの質量含有率を40%、ビーズの質量含有率を15%に調整した塗料を用いた。実施例24の塗料から作成される実施例24の膜は、日射反射率が60%以上であり、温度低減効果(遮熱効果)は7℃以上で非常に良好であり、防汚性(光沢度変化)も±0.5以上1.0未満で良好であった。
Figure 2020199757
Figure 2020199757
Figure 2020199757
[比較例1〜19]
比較のための塗料の調整、膜の作成、膜の評価を前述の実施例1〜19と同様に行った。表7〜9に構成材料の条件、添加量、含有率を示す。
Figure 2020199757
Figure 2020199757
Figure 2020199757
比較例の評価結果を表10〜12に示す。
比較例1は、実施例1に対してビーズの粒子径を5μmに変更し、酸化チタンの面積含有率を8%、ビーズの面積含有率が62%になるように酸化チタン、ビーズの量を調整した塗料を用いた。
比較例5は、実施例1に対してビーズの粒子径を3μmに変更し、酸化チタンの面積含有率を8%、ビーズの面積含有率が62%になるように調整した塗料を用いた。
比較例1および比較例5の膜は日射反射率が50%未満であり、温度低減効果(遮熱効果)も3℃未満で悪く、防汚性(光沢度変化)が±2.0以上で悪かった。
比較例2は、実施例1に対してビーズの粒子径を50μmに変更し、酸化チタンの面積含有率を10%、ビーズの面積含有率が85%になるように調整した塗料を用いた。
比較例3は、実施例1に対して酸化チタンの粒子径を0.01μmに変更し、酸化チタンの面積含有率を9%、ビーズの面積含有率が57%になるように調整した塗料を用いた。
比較例4は、実施例1に対して酸化チタンの粒子径を5μmに変更し、酸化チタンの面積含有率を10%、ビーズの面積含有率が53%になるように調整した塗料を用いた。
比較例6は、実施例1に対してビーズの粒子径を55μmに変更し、酸化チタンの面積含有率を8%、ビーズの面積含有率が42%になるように調整した塗料を用いた。
比較例7は、酸化チタンの粒子径を0.005μm、ビーズの材料をガラスビーズに変更し、酸化チタンの面積含有率を10%、ビーズの面積含有率が70%になるように調整した塗料を用いた。
比較例8は、実施例1に対して酸化チタンの粒子径を7μmに変更し、酸化チタンの面積含有率を10%、ビーズの面積含有率が55%になるように調整した塗料を用いた。
比較例2、3、4、6、7、8の膜は、日射反射率が50%未満であり、温度低減効果(遮熱効果)も3℃未満で悪かったが防汚性(光沢度変化)は±0.5未満であり非常に良好であった。
第二の実施形態に係る比較例として比較例9〜15を行なった。
比較例9は、実施例14に対してビーズの粒子径を5μmに変更し、酸化チタンの面積含有率を8%、ビーズの面積含有率が62%になるように調整した塗料を用いた。比較例9の膜はテープ貼り付け部の膜剥がれはなかったが、日射反射率が50%未満であり、温度低減効果(遮熱効果)も3℃未満で悪く、防汚性(光沢度変化)が±2.0以上で悪かった。
比較例10は、実施例14に対してビーズの粒子径を50μmに変更し、酸化チタンの面積含有率を13%、ビーズの面積含有率が85%になるように調整した塗料を用いた。比較例10の膜はテープ貼り付け部の膜剥がれはなかったが、日射反射率が50%未満であり、温度低減効果(遮熱効果)も3℃未満で悪かったが、防汚性(光沢度変化)は±0.5未満であり非常に良好であった。
比較例11は、実施例14に対して酸化チタンの粒子径を0.01μmに変更し、ビーズの粒子径を10μmに変更し、酸化チタンの面積含有率を8%、ビーズの面積含有率が57%になるように調整した塗料を用いた。
比較例12は、実施例14にたいして酸化チタンの粒子径を5μmに変更し、酸化チタンの面積含有率を8%、ビーズの面積含有率が53%になるように調整した塗料を用いた。
比較例14は、実施例14に対してビーズの粒子径を55μmに変更し、酸化チタンの面積含有率を8%、ビーズの面積含有率が55%になるように調整した塗料を用いた。
比較例15は、実施例14に対して酸化チタンの粒子径を7μmに変更し、酸化チタンの面積含有率を10%、ビーズの面積含有率が70%になるように調整した塗料を用いた。
比較例11、12、14、15の膜は日射反射率が50%未満であり、温度低減効果(遮熱効果)も3℃未満で悪かったが、防汚性(光沢度変化)は±0.5未満であり非常に良好であった。しかし、テープ貼り付け部の膜剥がれが発生した。
比較例13は、実施例14に対してビーズの粒子径を3μmに変更し、酸化チタンの面積含有率を8%、ビーズの面積含有率が62%になるように調整した塗料を用いた。
比較例13の膜は日射反射率が50%未満であり、温度低減効果(遮熱効果)も3℃未満で悪く、防汚性(光沢度変化)が±2.0以上で悪く、さらにテープ貼り付け部の膜剥がれが発生した。
比較例16は、実施例22に対して酸化チタンの塗料中の不揮発成分に対する質量含有率を18%に調整した塗料を用いた。比較例16の塗料からなる膜は日射反射率が50%未満であり、温度低減効果(遮熱効果)も3℃未満で悪かったが、防汚性(光沢度変化)は±0.5未満であり非常に良好であった。
比較例17は、実施例22に対して酸化チタンの塗料中の不揮発成分に対する質量含有率を58%に調整した塗料を用いた。
比較例19は、実施例22に対して酸化チタンの粒子径を0.01μmに変更し、塗料中の不揮発成分に対する酸化チタンの質量含有率を35%、ビーズの質量含有率を22%に調整した塗料を用いた。比較例17および比較例19の塗料からなる膜は日射反射率が60%以上であり、温度低減効果(遮熱効果)は7℃以上で非常に良好であり、防汚性(光沢度変化)は±0.5未満であり非常に良好であったがテープ貼り付け部の膜剥がれが発生した。
比較例18は、実施例22に対して塗料中の不揮発成分に対する酸化チタンの質量含有率を35%、ビーズの質量含有率を0.3%に調整した塗料を用いた。比較例18の塗料からなる膜はテープ貼り付け部の膜剥がれはなかったが、日射反射率が60%以上であり、温度低減効果(遮熱効果)は7℃以上で非常に良好であったが、防汚性(光沢度変化)が1.0以上であり悪かった。
Figure 2020199757
Figure 2020199757
Figure 2020199757
本発明の光学機器上面に形成される膜は、カメラやビデオ、放送機器などの光学機器のレンズ鏡筒や、その他の屋外で使用される可能性があるカメラ本体、ビデオ本体、監視カメラ、お天気カメラ等に利用することが出来る。

Claims (26)

  1. 少なくとも、樹脂と、ビーズと、酸化チタンと、を含み、
    前記酸化チタンの含有率(面積%)は、前記ビーズの含有率(面積%)に対して1/5以上である膜が基材上に形成されていることを特徴とする物品。
  2. 前記ビーズは、平均粒子径が、5μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1記載の物品。
  3. 前記酸化チタンは、平均粒子径が、10nm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の物品。
  4. 少なくとも、樹脂と、樹脂からなるビーズと、シリカで表面が被覆された酸化チタンと、を含む膜が基材上に形成されていることを特徴とする物品。
  5. 前記シリカで表面が被覆された酸化チタンの含有率(面積%)は、前記樹脂からなるビーズの含有率(面積%)に対して1/6以上であることを特徴とする請求項4記載の物品。
  6. 前記樹脂ビーズは、平均粒子径が、5μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項4または5記載の物品。
  7. 前記シリカで表面が被覆された酸化チタンは、平均粒子径が、10nm以上5μm以下であることを特徴とする請求項4乃至6いずれか一項記載の物品。
  8. 前記膜は、さらにシリカ粒子を含むことを特徴とする請求項1乃至7いずれか一項記載の物品。
  9. 前記基材は、プライマーを含むことを特徴とする請求項1乃至8いずれか一項記載の物品。
  10. 少なくとも、樹脂と、ビーズと、酸化チタンと、を含み、
    前記酸化チタンの含有率(面積%)は、前記ビーズの含有率(面積%)に対して1/5以上である膜が基材上に形成されていることを特徴とする光学機器。
  11. 前記ビーズは、平均粒子径が、5μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項10記載の光学機器。
  12. 前記酸化チタンは、平均粒子径が、10nm以上5μm以下であることを特徴とする請求項10または11記載の光学機器。
  13. 少なくとも、樹脂と、樹脂からなるビーズと、シリカで表面が被覆された酸化チタンと、を含む膜が基材上に形成されていることを特徴とする光学機器。
  14. 前記シリカで表面が被覆された酸化チタンの含有率(面積%)は、前記樹脂からなるビーズの含有率(面積%)に対して1/6以上であることを特徴とする請求項13記載の光学機器。
  15. 前記樹脂ビーズは、平均粒子径が、5μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項14記載の光学機器。
  16. 前記シリカで表面が被覆された酸化チタンは、平均粒子径が、10nm以上5μm以下であることを特徴とする請求項13乃至15いずれか一項記載の光学機器。
  17. 前記膜は、さらにシリカ粒子を含むことを特徴とする請求項10乃至16いずれか一項記載の光学機器。
  18. 前記基材は、プライマーを含むことを特徴とする請求項10乃至17いずれか一項記載の光学機器。
  19. 少なくとも、樹脂と、ビーズと、酸化チタンと、を含み、
    前記酸化チタンの含有率は、塗料中の不揮発成分に対して20質量%以上55質量%以下であることを特徴とする塗料。
  20. 前記ビーズは、平均粒子径が、5μmより大きく50μm以下であることを特徴とする請求項19記載の塗料。
  21. 前記酸化チタンは、平均粒子径が、10nm以上5μm以下であることを特徴とする請求項19または20記載の塗料。
  22. 少なくとも、樹脂と、樹脂からなるビーズと、シリカで表面が被覆された酸化チタンと、を含むことを特徴とする塗料。
  23. 前記シリカで表面が被覆された酸化チタンの含有率は、塗料中の不揮発成分に対して10質量%より多く55質量%以下であることを特徴とする請求項22記載の塗料。
  24. 前記樹脂ビーズは、平均粒子径が、5μmより大きく50μm以下であることを特徴とする請求項22または23記載の塗料。
  25. 前記シリカで表面が被覆された酸化チタンは、平均粒子径が、10nm以上5μm以下であることを特徴とする請求項22乃至24いずれか一項記載の塗料。
  26. 前記膜は、さらにシリカ粒子を含むことを特徴とする請求項19乃至25いずれか一項記載の塗料。
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