JP2015114600A - 光学レンズの製造方法、光学レンズ及び遮光膜 - Google Patents

光学レンズの製造方法、光学レンズ及び遮光膜 Download PDF

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Abstract

【課題】 高温・高湿時に発生していたレンズと遮光膜の界面で発生する白点欠陥を低減する光学レンズの製造方法に関する。【解決手段】 熱硬化性樹脂、着色剤、個数平均粒径が5nm以上50nm以下の第1の無機粒子、ビッカース硬度が22.0以上73.0以下である第2の無機粒子、及び、有機溶媒を含有する塗料を準備する工程と、光学レンズの非光学面に、前記塗料を接触式塗布方法で塗布する工程と、前記非光学面に塗布された前記塗料を乾燥して遮光膜を形成する工程と、を有し、前記第2の無機粒子は、前記遮光膜中の含有量が、3質量%以上11質量%以下であることを特徴とする光学レンズの製造方法。【選択図】 図4

Description

本発明は、カメラ等に用いる遮光膜を有する光学レンズの製造方法光学レンズ及び遮光膜に関する。
カメラや望遠鏡等の光学機器に使用される光学レンズは、光学レンズへの入射光が表面反射や内面反射を起こし、フレアやゴーストを発生させ、光学機器の光学性能が低下するという課題がある。一般に、この反射を低減するため、非光学面に黒色の反射防止塗料を塗布して、反射防止塗膜を形成することが知られている。
特許文献1は、エポキシ樹脂等に粒子径が1μm以上11μm以下の石英やセリサイト及び非黒色の高屈折率のナノ微粒子を含有する遮光膜を記載している。この遮光膜が設けられた光学レンズは、表面反射を低減するとともに内面反射を低減している。
特開2011−186438号公報
特許文献1に記載の光学レンズは、1μm以上11μm以下の石英又はセリサイトを含有する遮光塗料をスポンジやフェルト等の塗り具にしみ込ませ、光学レンズ周辺部の非光学面に前記塗り具を接触させながら、塗布する。遮光塗料の塗布後、遮光塗料を乾燥および硬化して光学レンズが作製される。
このように作製された光学レンズは、高温・高湿環境下で長い時間使用すると、光学レンズの非光学面で、遮光膜の一部が剥離し、光学レンズ側から非光学面を見ると『白点欠陥』という課題が生じる場合がある。
本発明の目的は、上記課題を考慮してなされたものであり、高温・高湿試験時に発生していた白点欠陥を低減した光学レンズの製造方法、遮光膜およびそれを用いた光学レンズを提供するものである。
本発明は、熱硬化性樹脂、着色剤、個数平均粒径が5nm以上50nm以下の第1の無機粒子、ビッカース硬度が22.0以上73.0以下である第2の無機粒子、及び、有機溶媒を含有する塗料を準備する工程と、光学レンズの非光学面に、前記塗料を接触式塗布方法で塗布する工程と、前記非光学面に塗布された前記塗料を乾燥して遮光膜を形成する工程と、を有し、前記第2の無機粒子は、前記遮光膜中の含有量が、3.0質量%以上11.0質量%以下であることを特徴とする光学レンズの製造方法に関する。
また、本発明は、光学レンズの非光学面に遮光膜を設けている光学レンズであって、前記遮光膜は、熱硬化性樹脂、着色剤、個数平均粒径が10nm以上50nm以下の第1の無機粒子及びビッカース硬度が22.0乃至73.0である第2の無機粒子を含有し、前記第2の無機粒子は、前記遮光膜中の含有量が、3.0質量%以上11質.0量%以下であることを特徴とする光学レンズに関する。
また、本発明は、光学用レンズの非光学面に設けられる光学レンズ用遮光膜であって、前記遮光膜は、熱硬化性樹脂、着色剤、個数平均粒径が10nm以上50nm以下の第1の無機粒子及びビッカース硬度が22.0乃至73.0である第2の無機粒子を含有し、前記第2の無機粒子は、前記遮光膜中の含有量が、3.0質量%以上11.0質量%以下であることを特徴とする光学レンズ用遮光膜に関する。
本発明の光学レンズの製造方法は、高温・高湿時に発生していたレンズと遮光膜の界面で発生していた白点欠陥を低減することが可能である。
本発明の遮光塗膜が光学レンズの非光学面に形成されている状態を示す概略図である。 本発明の遮光塗膜の一実施態様を示す断面図である。 本発明の光学レンズの製造方法で用いることが可能な遮光塗料の塗布装置の一実施態様の概略図である。 本発明の光学レンズの製造方法で用いることが可能な遮光塗料の塗布装置の一実施態様の概略図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(光学レンズ)
本発明の光学レンズは、図1に示すように、光学レンズの非光学面2に遮光膜1が設けられている。非光学面2は、光学レンズの外周部の光軸の透過に寄与しない面であり、光学レンズの端面を含む面である。
本発明の光学レンズは、屈折率が1.4以上2.0以下に用いることが好ましく、1.7以上2.0以下に用いることがより好ましい。
光学レンズと遮光膜との屈折率の差は、内面反射を抑制するため0.0以上0.3以下が好ましい。
(遮光膜)
本発明の遮光膜1は、図2に示すように、熱硬化性樹脂5、第1の無機粒子3、第2の無機粒子4及び着色剤6を有している。
本発明の遮光膜1に含有する各成分について説明する。
本発明の遮光膜1に含有される熱硬化性樹脂5は、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、およびアクリル樹脂から選ばれる熱硬化性樹脂を適宜選択して用いることが可能である。これらの中で、エポキシ樹脂を用いることがより好ましい。
本発明の遮光膜1に含有される第1の無機粒子3としては、酸化チタン(TiO、屈折率:2.71、比重:4.2〜4.3、ビッカース硬度0.97)、酸化ジルコニウム(ZrO、屈折率:2.10、比重:5.5、ビッカース硬度11.8〜13)、酸化セリウム(CeO、屈折率:2.20、比重:7.1、ビッカース硬度0.27)、酸化錫(SnO、屈折率:2.00、比重:7.0、ビッカース硬度0.36)を用いることが可能である。
第1の無機粒子3の屈折率は、1.75以上2.92以下が好ましく、2.1以上2.71以下であることがより好ましい。
第1の無機粒子3の個数平均粒径は、5nm以上50nm以下が好ましく、10nm以上30nm以下であることがより好ましい。
第1の無機粒子3のビッカース硬度は、0.27〜13が好ましい。
本発明の第2の無機粒子4は、ビッカース硬度が22.0以上73.0以下である。本発明に用いられる第2の無機粒子4は、ビッカース硬度が22.0乃至28.0である炭化珪素や33.0乃至38.0の炭化ホウ素、70.0乃至73.0の窒化ホウ素を用いることが可能である。例えば、アルミナ(ビッカース硬度:18.0から20.0)等のビッカース硬度22.0未満の無機粒子を用いた場合には、光学レンズの非光学面に対する研磨効果が低く、白点欠陥を有効に抑制することが困難である。また、例えば、ダイヤモンド(ビッカース硬度:100)等のビッカース硬度が73.0を超える無機粒子を用いた場合には、光学散乱が大きいため、光学レンズの遮光膜として使用することが困難である。
第2の無機粒子は、個数平均粒径が1.0μm以上11.0μm以下であることが好ましく、3.0μm以上8.0μm以下であることがより好ましい。遮光膜中の第2の無機粒子の含有量は、3.0質量%以上11.0質量%以下であることが好ましい。
本発明に用いられる着色剤6としては、染料または顔料を用いることが可能であるが、染料を用いることが好ましい。
本発明に用いられる顔料は、溶媒に不溶な粒子であり、波長400nmから700nmの可視光を吸収する黒色顔料であり、平均消衰係数が高いことが好ましい。これらの条件を満たす顔料としては、例えばカーボンブラック、銅鉄マンガン複合酸化物、チタンブラック、酸化銅、酸化鉄(ベンガラ)から選ばれる少なくとも1種以上からなる黒色顔料が挙げられるが、これらに限定されない。なお、本発明における黒色度とは、波長400nmから700nmの光に対する最大透過率と最小透過率の比とである。また、本発明における黒色顔料および黒色無機粒子の黒色とは、黒色度が0.7以上1.0以下のものである。
顔料の個数平均粒径は、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。ここで、顔料の個数平均粒径は塗膜中に存在する粒子の実際の大きさとし、例えば顔料が凝集している場合は凝集した塊の大きさとする。よって、顔料の1次粒子径が0.1μmより小さくても、凝集後の個数平均粒子径が0.1μm以上であれば用いることが可能である。顔料の消衰係数は高いので、界面の消衰係数が高く、内面反射が大きくなる。また、凝集後の個数平均値が10μmより大きくなると遮光膜2の厚みが厚くなり、鏡筒にはまらないことがある。
本発明の遮光膜中に含有される顔料は、遮光膜に対して15.0質量%以上30.0質量%以下、好ましくは20.0質量%以上30.0質量%以下が好ましい。
染料は、波長400nmから700nmの可視光を吸収し、任意の溶媒に溶解可能な材料であれば良い。遮光膜の、波長400nmから700nmの光に対する最大透過率と最小透過率の比(最小透過率÷最大透過率)を0.7以上にするために、染料は1種類であっても良いし、黒色、赤色、黄色、青色など数種類の染料を混合して吸収波長を調整しても構わない。染料の種類としては、色の種類が豊富なアゾ染料が好ましいが、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、スチルベンゼン染料、ピラゾロン染料、チアゾール染料、カルボニウム染料、アジン染料であっても構わない。また、耐光性、耐水性、耐熱性などの堅牢性が増すので、クロム、コバルト、銅などの金属原子を含む染料が好ましい。
本発明の遮光膜中に含有される染料の含有量は、染料を単独で使用する場合には遮光膜に対して13.0質量%以上50.0質量%以下、好ましくは13.0質量%以上40.0質量%以下が好ましい。
本発明の遮光膜は、光学用レンズの非光学面に設けられる光学レンズ用遮光膜として用いることができる。
(光学レンズの製造方法)
本発明の光学レンズの製造方法は、熱硬化性樹脂、着色剤、個数個数粒径が10nm以上50nm以下の第1の無機粒子、ビッカース硬度が22.0乃至73.0である第2の無機粒子、有機溶媒を含有する塗料を準備する工程を有する。さらに、本発明の光学レンズの製造方法は、光学レンズの非光学面に接触式塗布方法で塗料を塗布する工程と、前記非光学面に塗布された前記塗料を乾燥して遮光膜を形成する工程を有すること特徴とする。
塗料を準備する工程では、上記の熱硬化性樹脂、着色剤、第1の無機粒子、第2の無機粒子と、有機溶媒を含有する塗料を用いることが可能である。
塗料中の有機溶媒としては、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、キシレン、1−ブタノール、酢酸ブチル、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などを用いることができる。これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を用いることが好ましい。
塗料中の樹脂成分の含有量は20質量%以上40質量%以下が好ましい。塗料中の着色剤の含有量は、15質量%以上35質量%以下が好ましい。塗料中の有機溶媒の含有量は、15質量%以上30質量%以下が好ましい。塗料中の第1の無機微粒子の含有量は、5質量%以上10質量部以下が好ましい。塗料中の第2の無機微粒子の含有量は、1質量%以上5質量%以下が好ましい。
塗料を塗布する工程では、接触式塗布方法で塗布する。塗料を塗布する工程について、図3および図4を用いて説明する。
図3に示すように、光学レンズの非光学面2に遮光塗料1Aを塗布する。遮光塗料1Aは塗り具7を用いて、接触方式で塗布する。
塗り具7としては、スポンジや刷毛等を用いることができる。接触方式とは、光学レンズの非光学面2と塗り具7を接触させて塗布する方法である。図4に示すように、塗り具7を用い、光学レンズの非光学面2に塗布と同時に塗料に含有する第2の無機粒子4によって、光学レンズの非光学面2の表面を粗面化し、非光学面2の活性化と塗料と非光学面2の接触面積が増加し、遮光膜の密着力が向上する。
遮光塗料の塗布は、非光学面2に塗り具7で1回以上3回以下塗布しておこなうことが好ましい。
[塗料組成物の調製方法]
本発明の遮光膜1の作製に用いられる塗料の調製は、次の工程によりおこなわれる。
エポキシ樹脂(製品名:jER828/三菱化学製)を30.6g、アゾ系染料(製品名:VALIFAST/オリエント化学製)26.3gを秤量する。次に、第1の無機粒子として個数平均粒径が20nmの酸化チタン粒子(ビッカース硬度0.97)が溶媒である1−メトキシ−2−プロパノールに25質量%含有しているチタニアスラリー(テイカ製)を29.4g、さらに第2の無機粒子として、個数平均粒径が6μmの炭化珪素粒子(信濃電気製錬製、ビッカース硬度22.0乃至28.0)を2.0g秤量した。
これら秤量した材料を遊星回転方式の混合・分散装置(商品名:泡とり練太郎/シンキー製)の250ml専用容器中で分散した。混合及び分散時間は20分間であったる。
[塗膜の形成方法]
前記調製した塗料を用いて、次工程の塗膜形成を実施する。具体的な塗布の方法としては、前記塗料の染み出す連続気孔が形成されたポリビニルアルコール製スポンジ(商品名:ベルイータ/アイオン製)に塗料を含浸する。次に、図3に示すように100rpmから120rpmで回転している光学レンズの非光学面2に前記含浸させたスポンジを接触させながら塗布する。
塗布後、恒温乾燥器に入れ、前記遮光塗料の焼成をおこなって本発明の遮光塗膜2を得る。焼成条件は、例えば温度80℃で120分間である。
本発明の遮光塗膜1の膜厚は、3μm以上15μm以下、好ましくは5μm以上10μm以下である。
[塗膜の高温・高湿試験]
塗膜の高温・高湿試験は遮光膜を形成した光学レンズを温度60℃で湿度90%に設定した恒温炉に入れることによって、1000時間の耐久試験をおこなう。
[塗膜の密着力測定方法]
塗膜の密着力測定方法は碁盤目試験(JIS K5600)により、高温・高湿試験前後の密着力測定をおこなう。
[塗膜の外観評価方法]
塗膜の外観評価方法はデジタルカメラで撮影した画像を処理し、具体的にはR(赤)、G(緑)、B(青)それぞれの輝度値ヒストグラムを測定し、平均値で比較する。
輝度値が65.0を超えるものを不合格とし、それ以下を合格とする。
[塗膜の密着力の評価]
基盤目試験の結果、100マス中90マス以上残っているものを〇、87マス以上89マス未満のものを△、100マスちゅう87マス未満のものを×と評価する。
次に、本発明の効果を実施例と比較例により具体的に説明する。
[個数平均粒径の測定方法]
レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を個数平均粒径とする。
(実施例1)
光学素子用遮光塗料の調製方法を下記の如くおこなった。
表1に組成を示した。エポキシ樹脂(製品名:jER828/三菱化学製)を30.6g、アゾ系染料(製品名:VALIFAST/オリエント化学製)を26.3g秤量した。次に、第1の無機粒子として、個数平均粒径が20nmの酸化チタン粒子が溶媒である1−メトキシ−2−プロパノールに25質量%含有しているチタニアスラリー(テイカ製)を29.4g秤量した。その後に、第2の無機粒子として、個数平均粒径が6μの炭化珪素を2g秤量した。
これら材料を遊星回転方式の混合・分散装置(商品名:泡とり練太郎/シンキー製)の250ml専用容器中で分散した。混合及び分散時間は20分間であった。
混合・分散により得られた塗料を、光学レンズの非光学面2に塗り具7によって塗布し(塗布時間2秒、塗り具の回転数100rpm)、恒温槽(温度80℃×2時間)により塗布膜を硬化し、遮光膜1を得た。遮光膜1の膜厚は、10.0μmであった。
光学レンズの非光学面2に遮光膜1を形成した後、信頼性試験の一項目である高温・高湿試験(温度60℃、湿度90%)をおこなった。
耐久完了後の遮光膜1の碁盤目試験をおこない、密着性の評価をおこなった。その結果、100マス中90マス残っており、良好な密着性を示した。
また、遮光膜1の外観も無機粒子の添加による散乱も少なく輝度値は49.5であり、品質上良好であった。得られた結果を表2に示す。
(実施例2)
第2の無機粒子である炭化ケイ素粒子の添加量が10.5質量%である以外は、実施例1と同様に遮光膜の形成をおこなった。
光学レンズの非光学面7に遮光膜2を形成した後、信頼性試験の一項目である高温・高湿試験(温度60℃、湿度90%)をおこなった。
耐久完了後の遮光膜1の碁盤目試験をおこない、密着性の評価をおこなった。その結果、100マス中95マス残っており、良好な密着性を示した。
また、遮光膜1の外観も無機粒子の添加による散乱も少なく輝度値は53.5であり、品質上良好であった。得られた結果を表2に示す。
(実施例3)
第2の無機粒子として、窒化ホウ素粒子の添加量が3.0質量%である以外は、実施例1と同様におこなった。
光学レンズの非光学面2に遮光膜1を形成した後、信頼性試験の一項目である高温・高湿試験(温度60℃、湿度90%)をおこなった。
耐久完了後の遮光膜1の碁盤目試験をおこない、密着性の評価をおこなった。その結果、100マス中92マス残っており、良好な密着性を示した。
また、遮光膜1の外観も無機粒子の添加による散乱も少なく輝度値は62.0であり、品質上良好であった。得られた結果を表2に示す。
(実施例4)
第2の無機粒子として、窒化ホウ素粒子の添加量が10.5質量%である以外は、実施例1同様に遮光膜の形成をおこなった。
光学レンズの非光学面2に形成した後、信頼性試験の一項目である高温・高湿試験(温度60℃、湿度90%)をおこなった。
耐久完了後の遮光膜1の碁盤目試験を行い、密着性の評価をおこなった。その結果、100マス中98マス残っており、良好な密着性を示した。
また、遮光膜1の外観も無機粒子の添加による散乱も少なく輝度値は55.0であり、品質上良好であった。得られた結果を表2に示す。
(比較例1)
第2の無機粒子として、石英粒子(ビッカース硬度8.6乃至9.8、個数平均粒径6.0μm)の添加量が10.5質量%である以外は、実施例1と同様にして遮光膜の形成をおこなった。
塗料を光学レンズの非光学面2に遮光膜を形成した後、信頼性試験の一項目である高温・高湿試験(温度60℃、湿度90%)をおこなった。
耐久完了後の遮光膜の碁盤目試験をおこない、密着性の評価をおこなった。その結果、100マス中86マスであり、剥離する塗膜が多く、密着性が低かった。
遮光膜の外観については、無機粒子による散乱も少なく輝度値は45.0であり、品質上良好であった。得られた結果を表2に示す。
(比較例2)
第2の無機粒子として、炭化ケイ素粒子の添加量が1.5質量%である以外は、実施例1と同様にして遮光膜の形成をおこなった。
光学レンズの非光学面2に遮光膜を形成した後、信頼性試験の一項目である高温・高湿試験(温度60℃、湿度90%)をおこなった。
耐久完了後の遮光膜の碁盤目試験をおこない、密着性の評価をおこなった。その結果、100マス中85マスであり、剥離する塗膜が多く、密着性が低かった。
遮光膜の外観については、無機粒子による散乱も少なく輝度値は48.0であり、品質上良好であった。得られた結果を表2に示す。
(比較例3)
第2の無機粒子として、炭化ケイ素粒子の添加量が13.5質量%である以外は、実施例1と同様にして遮光膜を形成した。
光学レンズの非光学面7に遮光膜を形成した後、信頼性試験の一項目である高温・高湿試験(温度60℃、湿度90%)をおこなった。
耐久完了後の遮光膜1の碁盤目試験をおこない、密着性の評価をおこなった。その結果、100マス中98マス残っており、良好な密着性を示した。
遮光膜の外観については、無機粒子による散乱が多く輝度値は68.0であり、品質上NGであった。得られた結果を表2に示す。
Figure 2015114600
Figure 2015114600
本発明の光学レンズは、放送用のレンズや屋外監視用カメラ用のレンズ等に使用することが出来る。
1 遮光膜
2 光学レンズの非光学面
3 第1の無機粒子
4 第2の無機粒子
5 熱硬化性樹脂
6 着色剤
7 塗り具

Claims (11)

  1. 熱硬化性樹脂、着色剤、個数平均粒径が5nm以上50nm以下の第1の無機粒子、ビッカース硬度が22.0以上73.0以下である第2の無機粒子、及び、有機溶媒を含有する塗料を準備する工程と、
    光学レンズの非光学面に、前記塗料を接触式塗布方法で塗布する工程と、
    前記非光学面に塗布された前記塗料を乾燥して遮光膜を形成する工程と、
    を有し、
    前記第2の無機粒子は、前記遮光膜中の含有量が、3.0質量%以上11.0質量%以下であることを特徴とする光学レンズの製造方法。
  2. 前記第2の無機粒子は、炭化ケイ素、炭化ホウ素又は窒化ホウ素であることを特徴とする請求項1に記載の光学レンズの製造方法。
  3. 前記第2の無機粒子は、個数平均粒径が、1.0μm以上11.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学レンズの製造方法。
  4. 前記第1の無機粒子は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム又は酸化錫を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学レンズの製造方法。
  5. 前記着色剤は、アゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、スチルベンゼン染料、ピラゾロン染料、チアゾール染料、カルボニウム染料、アジン染料の群から選ばれるいずれか1種を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光学レンズの製造方法。
  6. 光学レンズの非光学面に遮光膜を設けている光学レンズであって、
    前記遮光膜は、熱硬化性樹脂、着色剤、個数平均粒径が10nm以上50nm以下の第1の無機粒子及びビッカース硬度が22.0以上73.0以下である第2の無機粒子を含有し、
    前記第2の無機粒子は、前記遮光膜中の含有量が、3.0質量%以上11.0質量%以下であることを特徴とする光学レンズ。
  7. 前記第2の無機粒子は、炭化ケイ素、炭化ホウ素又は窒化ホウ素であることを特徴とする請求項6に記載の光学レンズ。
  8. 前記第2の無機粒子は、個数平均粒径が、1.0μm以上11.0μm以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載の光学レンズ。
  9. 前記第1の無機粒子は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム又は酸化錫を含有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の光学レンズ。
  10. 前記着色剤は、アゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、スチルベンゼン染料、ピラゾロン染料、チアゾール染料、カルボニウム染料、アジン染料の群から選ばれるいずれか1種を含むことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の光学レンズ。
  11. 光学用レンズの非光学面に設けられる光学レンズ用遮光膜であって、
    前記遮光膜は、熱硬化性樹脂、着色剤、個数平均粒径が10nm以上50nm以下の第1の無機粒子及びビッカース硬度が22.0以上73.0以下である第2の無機粒子を含有し、
    前記第2の無機粒子は、前記遮光膜中の含有量が、3.0質量%以上11.0質量%以下であることを特徴とする光学レンズ用遮光膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017211466A (ja) * 2016-05-25 2017-11-30 キヤノン株式会社 回折光学素子

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