JP2020197156A - 自動車用のウォータポンプ一体式内燃機関 - Google Patents

自動車用のウォータポンプ一体式内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】回転軸をメカニカルシールで水封しているウォータポンプにおいて、ドレン水溜まり部の容量を無理なく増大できる構造を実現させる。【解決手段】シリンダブロック2の前面にフロントカバー3が固定されており、ウォータポンプ1のカバーハウジング4がフロントカバー3に固定されている。フロントカバー3の一部が、ポンプ室16を有するポンプハウジングを兼用している。ドレン通路は、カバーハウジング4に形成された下向きドレン通路21と、フロントカバー3及びシリンダブロック2の横向き張り出し部5,6に貫通した横向きドレン通路23とを有しており、横向きドレン通路23にドレン水溜まり部24,25を形成している。ドレン水溜まり部24,25は機関本体を構成する部材の合わせ面に形成されているため、容量を無理なく増大できる。【選択図】図1

Description

本願発明は、ウォータポンプを機関本体に一体化した自動車用内燃機関に関するものである。
自動車用の内燃機関は一般に水冷式であり、このため、クランク軸で駆動されるウォータポンプを備えている。ウォータポンプはクランクプーリによって駆動されるが、特許文献1に開示されているように、ウォータポンプの全体が機関本体とは独立した構造になっているものと、特許文献2に開示されているように、ポンプ室を機関本体に形成した一体化タイプとがある。
いずれにしても、ウォータポンプは、一端部にインペラーが固定された回転軸を備えており、回転軸はベアリングによってカバーハウジングに回転自在に保持されている。そして、カバーハウジングには、冷却水がベアリングの側に流れるのを阻止するシール材(メカルニカルシール)を設けているが、シール材の水封機能は完全とは云えず、僅かながら漏水(ドレン水)が発生しやすい。
そこで、回転軸とシール座との隙間を通過した冷却水がベアリングまで到達しないように、カバーハウジングには、漏洩したドレン水を排出するドレン通路が形成されているが、ドレン水がそのまま地面に流下すると、例えばガレージに駐車して暖機運転をしているときに水滴が床に落ちることで欠陥や故障と誤認されることがあるため、ドレン通路にドレン水溜まり部を設けている。
その例として特許文献1では、回転軸が回転自在に保持されたカバーハウジングとポンプ室が形成されたポンプハウジングとの合わせ面にドレン水溜まり部を形成して、ドレン水溜まり部の上端部に排出口を形成すると共に、ドレン水溜まり部の中途高さ位置に、ドレン水が排出口にダイレクトに向かうことを阻止する制御壁を形成することが開示されている。
他方、特許文献2では、ドレン水溜まり部は、回転軸が回転自在に保持されたカバーハウジングに形成しており、カバーハウジングとフロントカバーとの合わせ面にドレン水の排出口を形成している。特許文献2のように、フロントカバーをウォータポンプのハウジングの一部に兼用すると、部材点数を抑制して内燃機関を軽量化できる利点がある。
特開2011−247179号公報 特開2016−070094号公報
さて、ドレン通路にドレン水溜まり部を形成しているのは、既述のとおり、ドレン水ができるだけ流れ落ちないように溜めておくためなので、ドレン水溜まり部の容量はできるだけ大きいのが望ましい。この点、特許文献1のような外付け式のウォータポンプでは、ハウジングを大きくすることはできないため、ドレン水溜まり部の容量を大きくすることに限度がある。
他方、特許文献2のようにウォータポンプを機関本体に組み込んだ方式では、フロントカバーやシリンダブロックを利用することにより、大きな容量のドレン水溜まり部を形成することができると云える。
本願発明はこのような現状を背景にして成されたものであり、特許文献2のようにウォータポンプの構成要素を機関本体で兼用している構成において、機関本体を有効利用してドレン水溜まり部の容量増大を実現しようとするものである。
本願発明は、
「シリンダブロックとその前面に固定されていてタイミングチェーンを覆うフロントカバー、及び、クランクプーリで駆動されるウォータポンプを備えており、
前記ウォータポンプは、前記フロントカバーを貫通する回転軸と、前記フロントカバーの外面に固定されると共に前記回転軸を回転自在に保持するカバーハウジングとを有しており、前記フロントカバーを利用して前記ウォータポンプのポンプ室を形成している」
という基本構成になっている。
そして、上記基本構成において、
「前記回転軸のシール部を通過して前記ポンプ室から漏洩した冷却水が排出されるドレン通路を、前記カバーハウジングに設けた下向きドレン通路と、前記下向きドレン通路の下端に連通して前記フロントカバーとシリンダブロックとに貫通した横向きドレン通路とで構成し、少なくとも前記フロントカバーとシリンダブロックとの合わせ面に、前記横向きドレン通路の断面積を大きくしたドレン水溜まり部を形成している」
という構成を付加している。
本願発明において、ドレン水溜まり部は、シリンダブロックとフロントカバーとの合わせ面に形成することに加えて、カバーハウジングとフロントカバーとの合わせ面に形成してもよい。
本願発明では、シリンダブロックやフロントカバーは大きな体積であるため、本願発明のようにシリンダブロックやフロントカバーを利用してドレン水溜まり部を形成すると、ドレン水溜まり部の容量を従来に比べて格段に大きくできる。
従って、ドレン水が地面に流れ落ちることを抑制して、欠陥や故障と誤認される事態を防止又は著しく抑制できる。また、ウォータポンプと上向きドレン通路も備えていて、ドレン水を蒸発させて放散させることも行われているが、ドレン水の溜まり量を増大できると、ドレン水溜まり部がドレン水で満杯になる前にドレン水を蒸発させる機能も向上するため、ドレン水溜まり部が満杯になることを抑制できる。この面でも、ドレン水の垂れ落ちを抑制できる。
しかも、シリンダブロックやフロントカバーは、ドレン水溜まり部を大型化したことによって軽量化されるため、燃費の向上にも貢献できる。
実施形態のように、ドレン水溜まり部を、シリンダブロックとフロントカバーとの合わせ面に形成した第2ドレン水溜まり部と、フロントカバーとカバーハウジングとの合わせ面に形成された第1ドレン水溜まり部とで構成して、両者を仕切る隔壁に連通穴を形成すると、内燃機関の振動や車体の振れによってドレン水が第1ドレン水溜まり部から第2ドレン水溜まり部に移行することを抑制できるため、ドレン水溜まり部が満杯でないのに揺れや振動によってドレン水が地面に落ちるという不具合を大幅に抑制できる。従って、ドレン水溜まり部の容量を大きくしたことの効果を的確に享受できる。
実施形態の要部を内燃機関の吸気側面の方向から見た縦断側面図である。 要部の斜視図であり、カバーハウジングはフランジのみを表示している。 カバーハウジングを図1のIII-III 視方向から見た図である。 要部の破断斜視図である。
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下では、方向を特定するため前後・左右の文言を使用するが、前後方向はクランク軸線方向、左右方向はクランク軸線及びシリンダボア軸線と直交した方向としている。前と後ろについては、タイミングチェーンが配置されている側を前、変速機が配置されている側を後ろとしている。
本実施形態では、内燃機関は、クランク軸を車幅方向に向けると共に、機関本体の排気側面を車体の前進方向に向けた横置き前排気の姿勢でエンジンルームに配置されている。従って、内燃機関の前後左右と車体の前後左右とは90度相違している。また、車体の向きを基準にすると、機関本体の吸気側面は後ろ側に向いている。
(1).基本構造
図1は、ウォータポンプ1の配置部を排気側面の方向から見た縦断側面図であり、この図に示すように、機関本体は、シリンダブロック2とその前面に固定されたフロントカバー(チェーンカバー)3とを有しており、フロントカバー3の前面に、ウォータポンプ1の構成要素であるカバーハウジング4が固定されている。
図2に示すように、シリンダブロック2とフロントカバー3とには、タイミングチェーンの配置空間よりも吸気側に突出した横向き張り出し部5,6を形成しており、フロントカバー3の横向き張り出し部6にカバーハウジング4が固定されている。シリンダブロック2の横向き張り出し部5には、冷却水戻り通路7が内蔵されたボス部8が一体に繋がっている。なお、図2において符号9で示すのは、ブローバイガスからオイルミストを除去するセパレータ室であり、セパレータ室9は蓋で塞がれる。
図1に示すように、カバーハウジング4には、回転軸10がボールベアリング11を介して回転自在に保持されており、回転軸10のうちカバーハウジング4から外側にはみ出た一端部にプーリ12が固定されている。ウォータポンプ1のプーリ12とクランクプーリ(図示せず)とには、補機駆動ベルト(図示せず)が巻き掛けられている。プーリ12は、カバーハウジング4を部分的に囲うように椀状に形成されており、回転軸10には補強円板13を介して固定されている。ボールベアリング11は、カバーハウジング4に圧入されたアウターレース14を有している。
カバーハウジング4は、回転軸10を保持する厚肉の部分と、複数のボルト挿通穴4a(図2参照)が開口したフランジ4bとを有しており、フランジ4bは下方に長くなっている。
回転軸10は、フロントカバー3を貫通して冷却水戻り通路7に臨んだ他端部を有しており、この他端部にインペラー15を固定している。そして、フロントカバー3に、ポンプ室16を形成している。従って、フロントカバー3の一部が、ウォータポンプ1のポンプハウジングの一部を構成している。ウォータポンプ1は、シリンダブロック2の上部に配置されている。
本実施形態では、冷却水は、ポンプ室16には回転軸10の軸心方向から流入して、インペラー15の回転軌跡の外周方向(接線方向)に排出される。そこで、シリンダブロック2のうち冷却水戻り通路7の上方部に、冷却水送り通路17が形成されている。図示は省略するが、冷却水送り通路17は、シリンダブロック2に形成されたウォータジャケットに向かう部分と、シリンダヘッドに向かう部分とに分岐しており、冷却水の温度で作動するサーモ弁により、殆どがシリンダヘッドのウォータジャケットに流れる状態と、殆どがシリンダブロックのウォータジャケットに流れる状態とに切り替わるようになっている。
回転軸10には、ポンプ室16の冷却水がボールベアリング11に向けて流れることを防止するため、第1及び第2のシール材18,19が、ある程度の間隔を開けた状態で嵌まっている。第1シール材18はカバーハウジング4に回転不能に嵌着しており、第2シール材19はアウターレース14に回転不能に嵌着している。従って、回転軸10は、両シール材18,19に対して回転自在に嵌まっており、2つのシール材18,19を備えたメカニカルシール構造によってポンプ室16と水封されている。
(2).ドレン通路
そして、カバーハウジング4のうち両シール材18,19の間の部位に、第1シール材18を漏洩した冷却水(ドレン水)を排出するため、上向きドレン通路20と下向きドレン通路21とを形成している。上向きドレン通路20は、冷却水を蒸発させて排出するものであり、出口20aはプーリ12の内部に向けて開口している。従って、水蒸気は、プーリ12の回転によって吸引されて外部に放散していく。符号22で示すのは、ドリル加工によって形成された穴を塞いでいるプラグである。
下向きドレン通路21の下端には、フロントカバー3及びシリンダブロック2の横向き張り出し部5,6に貫通した横向きドレン通路23が連通している。横向きドレン通路23は、カバーハウジング4とフロントカバー3との合わせ面に形成された第1ドレン水溜まり部24と、フロントカバー3とシリンダブロック2との合わせ面に形成された第2ドレン水溜まり部25と、両ドレン水溜まり部24,25を仕切る隔壁26に形成された連通穴27と、シリンダブロック2の横向き張り出し部5に形成した排出穴28とを有している。
2つのドレン水溜まり部24,25の上面は略同じ高さになっているが、下面について見ると、第2ドレン水溜まり部25の下面が第1ドレン水溜まり部24の下面よりも少し低くなっている(同じ高さでもよい。)。連通穴27と排出穴28とは略同じ高さになっており、両ドレン水溜まり部24,25の上端近くに位置している。容量は、第2ドレン水溜まり部25が第1ドレン水溜まり部24よりも大きくなっている。
この構成において、第1シール材18を漏洩した冷却水の一部は蒸発して上向きドレン通路20から放散され、残りは、下向きドレン通路21に流下していったん第1ドレン水溜まり部24に溜まり、第1ドレン水溜まり部24が満杯になったら連通穴27から第2ドレン水溜まり部25に流れ込み、第2ドレン水溜まり部25が満杯になると排出穴28から外部に流下する。
この場合、両ドレン水溜まり部24,25はフロントカバー3とシリンダブロック2との横向き張り出し部5,6に形成されているが、横向き張り出し部5,6はある程度の前後幅を有しているため、両ドレン水溜まり部24,25ともある程度の前後幅を確保できると共に、両ドレン水溜まり部24,25の下面を低くすることは問題なく行えるため、両ドレン水溜まり部24,25の容量を任意に設定できる。従って、ドレン水が簡単には地面に垂れ落ちないように、十分に溜めておくことができる。また、ドレン水溜まり部24,25の容量増大により、フロントカバー3及びシリンダブロック2を軽量化して燃費向上にも貢献できる。
また、ドレン水を両ドレン水溜まり部24,25で大量に溜めておけることにより、ドレン水を蒸発させて上ドレン通路20から排出させる機能を向上できるため、第2ドレン水溜まり部25が満杯になることを抑制できる。この面でも、ドレン水の垂れ落ちを大幅に抑制できる。
実施形態では、横向きドレン通路23に2つのドレン水溜まり部24,25を形成したが、フロントカバー3を部分的に貫通させて1つのドレン水溜まり部を形成することも可能である。すなわち、フロントカバー3に隔壁26を備えていない形態に形成することも可能である。但し、この場合は、車体の揺れなどにより、ドレン水が排出穴28に移動しやすくなるおそれがある。
この点、実施形態のように2つのドレン水溜まり部24,25を隔壁26で区分すると、冷却水の移動を抑制して、両ドレン水溜まり部24,25が満杯になる前に冷却水が垂れ落ちる現象を防止できる利点がある。なお、ドレン水溜まり部24,25は、各部材をダイキャスト又は鋳造で製造するに際して、簡単に形成できる。
本実施形態の内燃機関は、シリンダボア軸線が鉛直線に対して少しの角度(例えば数度〜10度)前傾するようにスラントさせている。他方、シリンダブロック2の横向き張り出し部5は、シリンダブロック2の上部に位置しているため、横向きドレン通路23の排出穴28から流下したドレン水を、シリンダブロック2の吸気側面に伝い落とすことができる。
そして、シリンダブロック2は運転によって昇温しているため、ドレン水を、シリンダブロック2の吸気側面を伝って流れる途中で蒸発させることができる。例えば、図2において符号29で示すのはオルタネータを取り付けるためのボス部であり、ドレン水は、横向きドレン通路23の排出口28からボス部29に伝い流れて、更に、クランクケースなどに流下し得るため、シリンダブロック2との接触による蒸発を促進できる。本実施形態では、この面においても、ドレン水が地面に垂れ落ちることを防止又は大幅に抑制できる。
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、第1ドレン水溜まり部24と第2ドレン水溜まり部25との2つのドレン水溜まり部を設ける場合、第1ドレン水溜まり部24を第2ドレン水溜まり部25よりも深く形成することが可能である。回転軸は、樹脂リングなどで回転自在に保持してもよい。
本願発明は、自動車用内燃機関に具体化できる。従って、産業上利用できる。
1 ウォータポンプ
2 シリンダブロック
3 フロントカバー
4 カバーハウジング
5,6 横向き張り出し部
7 冷却水戻り通路
10 回転軸
11 ボールベアリング
12 プーリ
15 インペラー
16 ポンプ室
17 冷却水送り通路
18,19 シール材
20 上向きドレン通路
21 下向きドレン通路
23 横向きドレン通路
24,25 ドレン水溜まり部
26 隔壁
27 連通穴
28 排出穴

Claims (1)

  1. シリンダブロックとその前面に固定されていてタイミングチェーンを覆うフロントカバー、及び、クランクプーリで駆動されるウォータポンプを備えており、
    前記ウォータポンプは、前記フロントカバーを貫通する回転軸と、前記フロントカバーの外面に固定されると共に前記回転軸を回転自在に保持するカバーハウジングとを有しており、前記フロントカバーを利用して前記ウォータポンプのポンプ室を形成している構成であって、
    前記回転軸のシール部を通過して前記ポンプ室から漏洩した冷却水が排出されるドレン通路を、前記カバーハウジングに設けた下向きドレン通路と、前記下向きドレン通路の下端に連通して前記フロントカバーとシリンダブロックとに貫通した横向きドレン通路とで構成し、少なくとも前記フロントカバーとシリンダブロックとの合わせ面に、前記横向きドレン通路の断面積を大きくしたドレン水溜まり部を形成している、
    自動車用のウォータポンプ一体式内燃機関。
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