JP2020188717A - 細胞の数、形態又は形状を測定する方法及び装置 - Google Patents

細胞の数、形態又は形状を測定する方法及び装置 Download PDF

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【課題】多孔膜上で細胞を非侵襲的に観察する定量位相画像生成装置を提供する。【解決手段】定量位相画像生成装置1は、顕微鏡100と、情報処理部40とを備える。顕微鏡100は、対象物Sに照明光を照射する透過照明光学系10と、ステージ8と、結像光学系7と、落射照明光学系110と、検出部9とを備え、結像光学系7は、対物光学系20と、フィルターキューブ120と、リレー光学系30とを備え、透過照明光学系10は、光源11と、レンズ12と、バンドパスフィルター13と、視野絞り14と、レンズ15と、開口絞り16と、集光レンズ17とを備え、対物光学系20は、複数の対物レンズ21を備え、リレー光学系30は、結像レンズ31と、ビームスプリッター32と、ミラー33a,33b,33cと、レンズ34a,34b,34cと、接眼レンズ35とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、細胞の数、形態又は形状を測定する方法及び装置に関する。
定量位相イメージングは、測定試料の物理的/幾何学的な厚みの変化と屈折率の変化を積とする位相を測定することができる観察技術である。定量位相イメージングでは、試料を保持する容器、試料を含む液体の液面等により生じる光の干渉により、定量位相画像にノイズが生じる場合がある。特許文献1には、このようなノイズを減少させることを目的とした、デジタルホログラフィック顕微鏡用観察容器が記載されている。
ところで、Organ−on−a−Chip(オーガンチップ)とは、複数のヒト臓器細胞を一つのチップ上に集約したデバイスであり、薬剤スクリーニングや、ヒトに薬物を投与したときの薬効、薬物動態、安全性などの評価等に利用される。オーガンチップの一形態としては、流路の中央に多孔膜を配置して多孔膜上で細胞を培養し、その上下に異なる培地や試薬を流す構成を有するものがある。
特表2011−525252号公報
一実施形態に係る方法は、多孔膜上に配置された細胞の数、形態又は形状を測定する方法であって、非干渉方式の定量位相イメージングにより前記細胞の定量位相画像を生成する工程と、前記定量位相画像に基づいて前記細胞の数、形態又は形状を測定する工程とを含む方法である。
一実施形態に係る定量位相画像生成装置は、多孔膜上に配置された細胞の数、形態又は形状を測定するための定量位相画像を生成するものであり、顕微鏡と、装置制御部と、検出器と、画像生成部とを備える。前記顕微鏡は、多孔膜上に配置された細胞が配置されるステージと、前記細胞に照明光を照射する照明光学系と、対物レンズとを有する。前記装置制御部は、前記対物レンズの光軸に沿って互いに間隔Δz離れた複数の位置のそれぞれに前記対物レンズの焦点が配置されるように前記焦点の位置を調整するものである。前記検出器は、前記照明光学系から照射された照明光により、前記細胞から生じる光を検出するものである。前記画像生成部は、前記検出器が検出した前記光に基づいて、前記複数の位置に対応する光強度分布データを生成し、前記光強度分布データに基づいて、定量位相画像を生成するものである。前記装置制御部は、前記対物レンズの開口数NA、前記照明光の波長λ、及び、前記対物レンズと前記細胞との間の屈折率nの少なくとも1つに基づいて前記間隔Δzを設定するものである。
定量位相画像生成装置の構成を示す概念図である。 定量位相画像生成装置の情報処理部の構成を示す概念図である。 対象物による照明光の位相の変化により、計測される光の強度が変化することを示す概念図である。 計測面を説明する概念図である。 焦点間隔を説明する概念図である。 細胞培養容器及び細胞培養用インサートを用いた細胞培養を説明する模式断面図である。 オーガンチップの一形態の構成を説明する模式断面図である。 (a)及び(b)は、実験例1で撮影した、通常の細胞培養プレート上に配置された細胞の顕微鏡写真である。(a)は位相差画像であり、(b)は定量位相画像である。(c)は、(a)及び(b)の各画像に示す矢印に沿って、横軸に距離(μm)、縦軸に輝度(相対値)をそれぞれプロットしたグラフである。 (a)及び(b)は、実験例1で撮影した、多孔膜上に配置された細胞の顕微鏡写真である。(a)は位相差画像であり、(b)は定量位相画像である。(c)は、(a)及び(b)の各画像に示す矢印に沿って、横軸に距離(μm)、縦軸に輝度(相対値)をそれぞれプロットしたグラフである。 実験例2における計測面を説明する概念図である。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一又は対応する符号を付し、重複する説明は省略する。なお、各図における寸法比は、説明のため誇張している部分があり、必ずしも実際の寸法比とは一致しない。
[多孔膜上に配置された細胞の数、形態又は形状を測定する方法]
一実施形態において、本発明は、多孔膜上に配置された細胞の数、形態又は形状を測定する方法であって、非干渉方式の定量位相イメージングにより前記細胞の定量位相画像を生成する工程と、前記定量位相画像に基づいて前記細胞の数、形態又は形状を測定する工程と、を含む、方法を提供する。
多孔膜上で細胞を非侵襲的に観察する需要がある。例えば、マルチウェルプレート等の細胞培養容器のウェルの内部に細胞培養用インサート(カルチャーインサート)を配置し、インサートの内部で細胞を培養することが広く行われている。また、インサートの外部(細胞培養容器のウェル)でインサートの内部とは異なる細胞を培養する場合もある。細胞培養用インサートの底部には多孔膜が配置されており、インサートの内部と外部(細胞培養容器のウェルの内部)との間で物質交換が可能となっている。
図6は、一例として、細胞培養容器及び細胞培養用インサートを用いた細胞培養を説明する模式断面図である。図6に示すように、細胞培養容器600は、基板601及び基板601の一方面上に配置された側壁602から構成される空間(ウェル)を有している。基板601と側壁602は密着しており、ウェル内に培地等の液体を保持することができる。そして、ウェルの内部には、細胞培養用インサート610が配置されている。
細胞培養用インサート610の底部には、多孔膜611が配置されている。細胞培養用インサート610の内部には培地620が保持されている。また、細胞培養容器600のウェルの内部にも培地621が保持されている。
また、多孔膜611の上には細胞Cが配置されている。細胞Cは接着細胞であってもよいし、浮遊細胞であってもよい。浮遊細胞であっても、培養容器を静置すれば多孔膜611の上に沈み、観察することができる。
図7は、一例として、オーガンチップの構成を説明する模式断面図である。図7に示すように、オーガンチップ700は、一方面がオーガンチップ700の天井面711となる第1の基板710と、一方面がオーガンチップ700の底面721となる第2の基板720と、第1の基板710と第2の基板720との間に、第1の基板710及び第2の基板720に略平行に配置された多孔膜611と、第1の基板710、第2の基板720及び多孔膜611とを支持する支持体(図示せず)とを有する。第1の基板710と多孔膜611との間の空間は第1の流路740を形成し、第2の基板720と多孔膜611との間の空間は第2の流路750を形成する。多孔膜611のうち、第1の基板710に対向する面上では、細胞Cが培養される。また、第1の流路740には培地620が流される。また、第2の流路750には培地621が流される。培地620又は培地621には試薬等が添加されてもよい。
図6や図7に例示されるような多孔膜611上の細胞Cを観察する場合、従来の光学顕微鏡を用いて、細胞Cの明視野画像、位相差画像、微分干渉画像等を撮影しても、細胞Cの形状を鮮明に観察することが困難である。
これは、観察対象である細胞C以外に、多孔膜611、培地620及び621、細胞培養容器610の底面を構成する基板601、オーガンチップを構成する第1の基板710、第2の基板720等が、光学顕微鏡の光路に入ってしまうためである。
また、定量位相イメージングには光干渉を利用する方式(干渉方式)と、非干渉方式が存在する。図6や図7に例示されるような多孔膜611上の細胞Cを観察する場合に、干渉方式の定量位相イメージングを行っても、やはり細胞Cの形状を鮮明に観察することが困難である。また、特許文献1に記載されているような容器を用いても、干渉方式の定量位相イメージングを行えば、やはり細胞Cの形状を鮮明に観察することが困難である。
これは、上述したように、多孔膜611、培地620及び621、基板601多孔膜611、培地620及び621、基板601、基板710、基板720等が顕微鏡の光路に入って迷光となり、定量位相画像にノイズが生じるためである。特に、多孔膜611による干渉により、細胞Cの画像が不鮮明になる傾向にある。
これに対し、実施例において後述するように、発明者らは、非干渉方式の定量位相イメージングによれば、多孔膜上に配置された細胞の形状を正確に測定することができることを見出し、本発明を完成させた。
本明細書において細胞の形状を正確に測定するとは、細胞の形状を明瞭に観察するといいかえることもできる。ここで、「正確に」とは、例えば、明視野画像、位相差画像、微分干渉画像等と比較して、実際の細胞の形態や形状の測定精度が高いことを意味する。また、細胞の形態とは大きさや厚み等を意味する。また、細胞の形状とは、細胞の外面形状、細胞内部の細胞小器官の形状等を意味する。本実施形態の方法によれば、特に細胞の外面形状を明瞭に観察することができる。このため、細胞の数を正確に測定することもできる。ここで、細胞の形態や形状を正確に測定するとは、例えば、視野内に存在する細胞の高さや幅等の大きさ、細胞の位置等を正確にマッピングすることであってよい。本実施形態の方法によれば、多孔膜上で細胞を非侵襲的に観察することができる。
多孔膜としては、細胞培養等に通常用いられるものであれば特に限定されず、例えば、平均ポアサイズ0.1〜10μmの多孔膜が挙げられる。ポア密度は10〜10個/cm程度であってよい。また、多孔膜の厚さは、0.01〜1.0mm程度であってよい。また、多孔膜の材質としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
多孔膜は、細胞培養容器内に配置した細胞培養用インサートの底面に配置されているものであってもよい。また、細胞培養容器はオーガンチップを構成していてもよい。すなわち、多孔膜は、オーガンチップ内に配置されているものであってもよい。
本実施形態の方法は、光干渉の影響を実質的に受けないことから、細胞培養容器ごと、あるいは、オーガンチップごと顕微鏡のステージに載せて細胞を観察することができる。また、細胞培養容器の材質は、通常の細胞培養等に通常用いられる光透過性の高いものであれば特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ガラス、ポリエステル、ポリジメチルポリシロキサン(PDMS)等が挙げられる。
また、細胞培養容器の表面には、細胞の接着性を高めるための表面処理が施されていてもよい。このような表面処理としては、プラズマ処理等の物理的な浸水化処理;ゼラチン、フィブロネクチン、コラーゲン、細胞外マトリックス等の細胞接着物質の塗布等が挙げられる。
細胞培養容器の形状も特に限定されず、シャーレ;6ウェル、12ウェル、24ウェル、48ウェル、96ウェル等のウェルプレート;流体デバイス等が挙げられる。
上述したように、本実施形態の方法は、非干渉方式の定量位相イメージングにより細胞の定量位相画像を生成する工程と、前記定量位相画像に基づいて前記細胞の数、形態又は形状を測定する工程とを含む。
定量位相画像を生成する工程は、対物レンズの光軸方向に細胞を配置する工程と、前記細胞に照明光を照射する工程と、前記光軸に沿って互いに間隔Δz離れた複数の位置のそれぞれに前記対物レンズの焦点を配置して前記細胞からの光を検出する工程と、検出した前記光に基づいて、前記複数の位置のそれぞれに対応する光強度分布データを生成する工程と、前記光強度分布データに基づいて前記定量位相画像を生成する工程と、を含み、前記間隔Δzは、前記対物レンズの開口数NA、前記照明光の波長λ、及び、前記対物レンズと前記細胞との間の屈折率nの少なくとも1つに基づいて設定されてもよい。
また、前記間隔Δzは、更にパラメータkに基づいて設定され、前記kは、生成する前記定量位相画像において位相を復元する空間周波数を示す値であってもよい。
一態様において、前記間隔Δzは、下記式(100)に基づいて設定されてもよい。以下、各工程について説明する。
[式(100)中、NAは前記対物レンズの開口数を表し、λは前記照明光の波長を表し、nは前記対物レンズと前記細胞との間の屈折率を表し、kは前記定量位相画像の生成において位相を復元する空間周波数を示すパラメータを表し、前記パラメータkの値は1〜25である。]
定量位相画像とは、対象物における厚さの変化と屈折率の変化を積とする位相を表す(画像化した)画像である。既存の位相差画像や微分干渉画像は、位相に振幅が混ざる干渉画像であるため、対象物の位相を完全に定量化することができないが(振幅が無視でき、かつ位相が小さい条件のみ定量化することができる。)、定量位相画像は、対象物の位相が2倍、3倍、4倍等の様々な値に変化しても、定量的な位相を表すことができるため、対象物の位相を定量化した画像ということができる。
定量位相イメージングは、対象試料を染色する必要がなく、本来無色透明で見えにくい試料に明暗を付けて可視化できる利点に加え、生体細胞構造を反映した高さ情報を測定することができる。また、細胞の屈折率を固定値とすれば、細胞厚が低いものと高いものを比較でき、三次元構造を俯瞰することができる。このため、定量位相画像を培養細胞の品質管理等に応用することもできる。
図1は、本実施形態の方法に用いることができる定量位相画像生成装置の構成を示す概念図である。定量位相画像生成装置1は、顕微鏡、すなわち定量位相顕微鏡であり、顕微鏡(顕微鏡本体部)100と、情報処理部40とを備える。
顕微鏡100は、対象物(細胞)Sに照明光を照射する透過照明光学系10と、ステージ8と、結像光学系7と、落射照明光学系110と、検出部9とを備える。結像光学系7は、対物光学系20と、フィルターキューブ120と、リレー光学系30とを備える。なお、情報処理部40の機能は顕微鏡100から物理的に離れたPCやサーバ等の電子計算機等に配置してもよい。
透過照明光学系10は、光源11と、レンズ12と、バンドパスフィルター13と、視野絞り14と、レンズ15と、開口絞り16と、集光レンズ17とを備える。対物光学系20は、複数の対物レンズ21を備える。対物レンズ21としては、対物レンズ21a,21b,21cの複数の対物レンズがターレット等により保持されており、いずれかを適宜選択して使用する。リレー光学系30は、結像レンズ31と、ビームスプリッター32と、ミラー33a,33b,33cと、レンズ34a,34b,34cと、接眼レンズ35とを備える。接眼レンズ35はユーザの眼Eを近づけて覗き込むことができるように構成されている。
なお、交換可能な対物レンズ21の数は特に限定されない。また、顕微鏡100に含まれる光学系の態様は、対象物Sの所望の面の画像を取得することができれば特に限定されない。
図1において、顕微鏡100の光学系の光軸を一点鎖線L1で示し、光源11からの照明光(光束)を二点鎖線L2で模式的に示した。対物レンズ21のうち、対象物Sの観察に使用されている対物レンズを対物レンズ21aとすると、後に詳述する対物レンズ21aの光軸Loは、透過照明光学系10の光軸L1と一致しているため、これを図1においてL1(Lo)と示した。検出部9で検出された光の検出信号は、実線矢印A1で示されるように、情報処理部40に出力される。また、情報処理部40は顕微鏡100を制御するが、その制御を実線矢印A2で模式的に示した。一点鎖線L1,L2、実線矢印A1,A2は以下の実施形態でも同様のものを示す。
光源11は、ハロゲンランプ等の非コヒーレント光源を含み、情報処理部40による制御のもと、対象物Sに照射する照明光L2として非コヒーレント光を出射する。本実施形態の透過照明光学系10では、光源11から出射された非コヒーレント光が、後述する開口絞り16を含む透過照明光学系10の各光学部材により、位相復元が可能な光軸に略垂直な波面を有する光とされて対象物Sに照射される構成となっている。
「位相復元」とは、後に詳述するが、計測した対象物Sからの光の強度から、強度輸送方程式を用いて対象物Sの構造を反映した位相値を算出することである。照明光L2は、対象物Sの構造を反映した位相の計測が可能であればどのような波長の光でも構わないが、可視光で見えづらい対象物を位相計測により可視化できる観点では、そのまま可視光を使用することが簡素で好ましい。
なお、対象物Sに照射する照明光L2は、可視光でなくてもよく、紫外光や赤外光であってもよい。さらに、照明光L2の波面は透過照明光学系10の光軸に略垂直でなくとも、波面の形状が既知であればよく、例えば、照明光L2の波面は略球面であってもよい。また、光源11は、パルスレーザや連続発振(CW)レーザ等のコヒーレント光源を含み、照明光L2としてコヒーレント光を出射してもよい。
光源11から出射した照明光L2は、レンズ12に入射する。レンズ12に入射した照明光L2は、レンズ12により屈折され略平行な光となってレンズ12を出射し、バンドパスフィルター13に入射する。バンドパスフィルター13に入射した照明光L2は、所望の波長範囲の波長成分の光のみがバンドパスフィルター13により透過されて、視野絞り14に入射する。ここで、バンドパスフィルター13により透過される光の波長範囲は、軸上色収差によって発生する、位相を復元する際の、位相の実測値と実際の位相との誤差(後述の位相復元誤差)が大きくなり過ぎないように適宜設定する。バンドパスフィルター13は透過照明光学系10の光路に挿脱可能に構成されており、情報処理部40の制御のもと、適宜光路外の位置P1に退避可能に構成されている。バンドパスフィルター13を透過照明光学系10の光路に挿脱可能するバンドパスフィルター駆動部は、簡略化のため、図示を省略している。なお、バンドパスフィルター駆動部は必ずしも必要な構成でなく、例えば、ユーザが手動で、バンドパスフィルター13を透過照明光学系10の光路に挿脱してもよい。
なお、光源11としてレーザ光等の波長範囲が狭い光源を用いる際は、バンドパスフィルター13を光路に配置する必要は無い。また、バンドパスフィルター13を用いずに、対象物Sに対して結像側に配置されたフィルターキューブ120のフィルターにより、検出部9で検出する波長範囲を制限してもよい。
視野絞り14に入射した照明光L2は、その光束径が調節されて視野絞り14を出射し、レンズ15に入射する。レンズ15に入射した照明光L2は、レンズ15により収束されてレンズ15を出射し、開口絞り16に入射する。開口絞り16に入射した照明光L2は、その波面が球面状になるように変換され、開口絞り16を出射し、集光レンズ17に入射する。集光レンズ17に入射した照明光L2は、集光レンズ17により屈折され、対象物Sに照射される際に、透過照明光学系10の光軸に略垂直な波面を有する光となり、対象物Sに照射される。
対象物Sは、ステージ8上に配置される。対象物Sは、特に限定されないが、照明光が対象物Sに照射され透過する際に、振幅の変化の割合は比較的小さく、一方、位相の変化の割合は大きい場合に、本実施形態に係る位相計測の効果がより顕著に得られるので好ましい。このような物体を位相物体と呼ぶ。すなわち、位相物体は、透過光においては光の強度を変えず、位相のみを変える無色透明な物体である。培養細胞等の細胞は位相物体である。
ステージ8は、対物レンズ21aの光軸、及び当該光軸に垂直な軸に沿って移動可能に構成されている。ここで、対物レンズ21aの光軸とは、対物レンズ21aの対象物S側のレンズ面の光学中心と対物レンズ21aの焦点を通る直線で示される光軸Lo(図5参照)を指す。ステージ8は、モータ等の移動装置による電動駆動により、対象物Sを撮像する際に、対物レンズ21aの光軸Loに沿った移動が可能に構成されている。図5では、対物レンズ21aの光軸Loが、透過照明光学系10の光軸L1と一致している点を、Lo(L1)と示した。
以下の実施形態では、図1に座標軸900として示すように、顕微鏡100の光軸L1、すなわち対物レンズ21aの光軸Loに平行にz軸をとり、z軸に垂直であって紙面に平行にx軸を取り、x軸及びz軸に垂直にy軸をとる。情報処理部40は、図示しないステージ駆動部を駆動して、対象物Sにおける観察対象部分またはその近傍に、透過照明光学系10および対物レンズ21aの光軸Lo(L1)が一致するようにステージ8を移動する。
対物光学系20は、対物レンズ21を含んで構成される。本実施形態では、対物レンズ21としては、複数の対物レンズ21a,21b,21cを備える。後述するように、定量位相画像生成装置1では、開口数NA等の異なる対物レンズ21a,21b,21cを交換して対象物Sを撮像して、それぞれの対物レンズ21により得たデータに基づいて位相計測を行う際、位相復元パラメータを揃えることによって、得られる位相値のばらつきを抑制するように構成されている。
対物レンズ21を変更した際に計測される位相値の変化が大きいと、異なる対物レンズ21を用いて取得したデータの間の比較が難しくなる。また、異なる対物レンズ21を用いて取得したデータのうち、どの対物レンズ21を用いて取得したデータが位相を復元する際の精度が高いのか判断が難しい等の理由により、一連の測定に係る作業に負担が生じる。
落射照明光学系110は、水銀ランプ等の光源111や、フィルターキューブ120等を含んで構成され、蛍光観察等のための励起光を出射する。光源111から出射した光は、フィルターキューブ120に入射する。
フィルターキューブ120は、励起フィルター121と、ダイクロイックミラー122と、吸収フィルター123とを含んで構成され、光源111から入射した光のうち、所定波長の光を励起光として対象物Sへと反射する一方、対象物Sから発せられる蛍光をリレー光学系30へと透過させる。フィルターキューブ120は、落射光学系110の光路に挿脱可能に構成されており、情報処理部40の制御のもと、光路外の位置P2に適宜退避できるように構成されている。フィルターキューブ120を落射光学系110の光路に挿脱するフィルターキューブ駆動部は、簡略化のため、図示を省略している。なお、フィルターキューブ駆動部は必ずしも必要な構成でなく、例えば、ユーザが手動で、フィルターキューブ120を落射光学系110の光路に挿脱してもよい。
励起フィルター121は、光源111から入射した光のうち、所定の波長範囲の光を励起光として透過する。励起フィルター121の透過波長領域は、ダイクロイックミラー122の反射波長領域に一致する。ダイクロイックミラー122は、励起フィルター121を透過した励起光を対象物Sに向けて反射し、対物レンズ21aから入射した対象物Sからの蛍光を吸収フィルター123へと透過する。吸収フィルター123は、ダイクロイックミラー122から入射した光のうち、対象物Sや光学系からの不要な散乱光や迷光を吸収し、必要な光、すなわち、対象物Sからの蛍光のみをリレー光学系30の結像レンズ31に出射する。
リレー光学系30の結像レンズ31は、フィルターキューブ120から入射した光を検出部9に結像するように屈折させてビームスプリッター32に出射する。ビームスプリッター32は、フィルターキューブ120から入射した光の一部を検出部9へと反射し、残りは透過させてミラー33aに出射する。ミラー33aで反射した光は、レンズ34a、ミラー33b、レンズ34b、レンズ34c及びミラー33cの順で、ミラーでの反射又はレンズでの屈折を経て接眼レンズ35に入射する。接眼レンズ35に入射した光は接眼レンズ35により屈折されてユーザの眼Eに入射して知覚される。
検出部9は、CCDやCMOS等の撮像素子の検出器を含んで構成され、リレー光学系30のビームスプリッター32により反射された光を検出する。撮像素子はエリアセンサであってもよいし、リニアセンサであってもよいし、ポイントセンサであってもよい。検出した光に対応する検出信号は不図示のA/D変換器等により適宜A/D変換されて情報処理部40に出力される。いいかえると、検出部9は、対象物Sの像を撮像する。
なお、定量位相画像生成装置1では、対象物Sの構造を反映した位相の計測に際し、検出部9が、透過照明光学系10からの照明光L2が照射された対象物Sの像を撮像する構成にしたが、落射照明光学系110からの照明光が照射された対象物Sの像を撮像する構成にしてもよい。この場合、落射照明光学系110からの照明光は、対物レンズ21a(対物光学系20)を介して対象物Sに照射され、対象物Sで反射及び散乱した光に基づく対象物Sの像を検出部9で撮像する。
図2は、情報処理部40の構成を示した図である。情報処理部40は、入力部41と、表示部42と、通信部43と、記憶部44と、制御部50とを備える。制御部50は、装置制御部51と、解析部52とを備える。これらはバス等により接続されているが、簡略化のため省略している。装置制御部51は、最適条件計算部511を備える。解析部52は、位相復元処理部521と、画像構築部522と、画像解析部523とを備える。
入力部41は、キーボード、マウス及び/又はタッチパネル等の入力装置により構成され、顕微鏡100による対象物Sの撮像や解析部52による当該撮像により得られたデータの解析に必要な情報等を含む入力データを受け付ける。入力部41は、受け付けた入力データを、後述の記憶部44に適宜記憶させる。なお、入力データは、後述の通信部43を介して取得してもよい。
表示部42は、液晶モニタ等の表示装置により構成され、顕微鏡100による撮像の条件、当該撮像により得られたデータに基づいて解析部52が生成した解析結果及び定量位相画像等を表示する。
通信部43は、インターネット等の通信網を利用して通信を行う通信装置により構成され、顕微鏡100による撮像の条件、当該撮像により得られたデータに基づいて解析部52が生成した解析結果及び定量位相画像等を送信したり、適宜必要なデータを送受信したりする。
記憶部44は、不揮発性メモリ等の記憶装置により構成され、制御部50に処理を行わせるプログラム、顕微鏡100による撮像に必要なデータ、当該撮像により得られたデータ及び当該データに基づいて解析部52が生成した解析結果及び定量位相画像等を記憶する。
制御部50は、CPU等のマイクロプロセッサ等を含むプロセッサにより構成され、定量位相画像生成装置1を制御する動作の主体として機能する。すなわち、記憶部44等に搭載されているプログラムを実行することにより、顕微鏡100による対象物Sの撮像を行う装置制御処理、当該撮像により得られたデータの位相復元処理等の解析処理、及び出力処理等の各種処理を行う。
制御部50の装置制御部51は、ユーザにより入力された入力データに基づいて顕微鏡100による対象物Sの撮像に必要なパラメータを適宜算出するとともに、取得した当該パラメータ及び入力データ等に基づいて顕微鏡100の各部の動作を制御する。
最適条件計算部511は、顕微鏡100が対象物Sにおける複数の位置のそれぞれに対物レンズ21aの焦点を順次配置して検出部9により対象物Sからの光を検出する際に設定するための、当該複数の位置の間隔Δzを算出する。間隔Δzは透過照明光学系10の光軸方向(対物レンズの光軸方向)に設定される。この間隔Δzを焦点間隔と呼ぶ。焦点間隔Δzは、精度よく位相計測を行うために重要なパラメータである。以下、この点に関し、強度輸送方程式を利用した位相計測の方法に基づいて説明する。
図3は、位相物体を透過した光の強度分布が変化する点を説明する概念図である。対象物Sは、細胞等の位相物体であり、対象物Sには、波面W1,W2,W3により模式的に示されているように、互いに平行で、透過照明光学系10/対物レンズの光軸Lo(L1)に略垂直な波面を有する平面波が照射されている。平面波の進行方向は矢印A3で示した。対象物Sを透過した光は、振幅は大きく変化しないものの、位相が変化することにより、等位相面、すなわち波面が変化する(波面W4)。
ホイヘンス=フレネルの原理で、曲線状の波面を構成する光は、実線矢印A4で示されるように計測面i1に到達する。ここで、後に詳述するように、一例として対物レンズ21aの焦点が配置される対象物Sにおける特定の面(いいかえると、対物レンズ21aの合焦面)を計測面i1と称する。計測面i1は、対物レンズ21aの光軸に実質的に垂直な面である。
図3では、計測面i1は平面波の波面W1〜W3と実質的に平行である。計測面i1上では、上述のように対象物Sによる波面の変化に伴い所定の光の強度分布(以下、「光強度分布」という場合がある。)が形成される。対象物Sによる透過光の位相の変化と光強度分布との関係に基づいて、透過光の強度を解析することにより、位相の変化を計測する方法が提案されている。本実施形態では、以下に説明する強度輸送方程式を用いた方法を利用する。
伝播する波動における、強度Iと位相φの関係は、強度輸送方程式により記述される。強度輸送方程式は、以下の式(1)及び(2)による連立方程式である。詳細は、Paganin D. and Nugent K.A., Noninterferometric Phase Imaging with Partially Coherent Light, Physical Review Letters, Volume 80, 2586-2589, 1998.を参照されたい。なお、この文献は、特段の定めのない限り、参照としてここに組み込まれる。
ここで、∇の添字であるxyは、XY平面(光の伝搬方向に垂直な平面、すなわち本実施形態ではz軸に垂直な平面。ここで、z軸は透過照明光学系10/対物レンズの光軸Lo(L1)と一致する。)を示す。すなわち、式(2)の左辺に現れる∇xyφは、XY平面における位相φの勾配(gradient)を示す。式(1)の左辺と式(2)の右辺に現れるΦは、式(1)をポアソン方程式の形にして計算しやすいように導入された関数であり、検出したXY平面における強度Iのzに関する微分係数の分布を得て、ポアソン方程式(1)を解くことにより導出できる。式(1)を解いて得た関数Φと光強度分布から、式(2)を解いて位相分布φを算出することができる。
図4は、位相分布φの算出のために行う対象物Sからの光の検出方法を説明する図である。まず、対象物Sの計測面i1における光強度分布及び計測面i1におけるzに関する微分係数分布を得る必要がある。このため、装置制御部51は、図4で示すように、対物レンズ21aの焦点が所望の計測面i1に含まれるように設定して、結像光学系7により検出部9の検出面に対象物9の像を結像させて対象物Sからの光を検出部9に検出させる。検出部9の各画素からの検出信号は、制御部50(図2)に入力され、位相復元処理部521により各画素の位置と、各画素で検出された光強度とが対応付けられた光強度分布データが生成される。
光強度分布データは、ある座標zの値に対応する計測面上での座標(x、y)の位置に対応する、検出部9における各画素で検出された光の強度分布を表すデータである。光強度分布データは、当該座標x、y、zの値に対応する光強度を示すデータであり、ルックアップテーブルの形式で構築されている。例えば、あるzの値に対応する計測面上での光強度分布を色又は階調で区別して二次元にマッピングすることにより、当該zの位置における光の強度分布を示す画像(以下、「光強度画像」という場合がある。)を作成することができる。なお、所定の座標x、y、zの値に対応する光強度の値を取り出すことができれば、光強度分布データのデータ構造は特に限定されず、他の既存のデータ構造であってもよい。
計測面i1の位置(いいかえると、対物レンズ21aの焦点位置)は、検出部9により検出される対象物Sからの光の光強度のコントラストに基づいた位置に設定されることが好ましい。装置制御部51は、事前に(本実施形態に係る位相計測の前に)取得した対象物Sの三次元の光強度分布データから算出したパラメータ(以下に示す分散vz等の対象物Sからの光の光強度のコントラストを示すパラメータ)に基づいて、計測面i1の位置を設定することができる。上記三次元の光強度分布データを事前に撮像により取得する場合、この光強度分布データの取得のための撮像の際の対象物Sにおける焦点の位置は特に限定されず、適宜設定すればよい。
装置制御部51は、事前に取得した三次元の光強度分布データについて、各zの値に対応した、x方向及びy方向についての二次元の光強度分布をIz(x、y)としたとき、各zの値に対応する光強度分布の分散値vzを以下の式(11)により算出する。
ここで、Nxは事前に取得した光強度分布データのx方向のピクセル数、Nyは事前に取得した光強度分布データのy方向のピクセル数、Izの上にバーが示されたものは各zの値に対応する、当該光強度分布データ上の全ての(x,y)についてのIz(x,y)の算術平均等の平均値である。装置制御部51は、算出した各zの値に対応する分散vzに基づいて計測面i1の位置、すなわち、対物レンズ21aの焦点位置を設定する。例えば、装置制御部51は、算出した分散vzのうち、極小となる分散vzに対応するz方向の位置に計測面i1の位置を設定する。いいかえると、装置制御部51は、計測面i1の位置をコントラストが低い光強度分布データに対応するzの値に設置する。
市販のウェルプレートの場合、細胞(位相物体)内をz軸方向に異なる複数のz位置に順次移動させて、前記複数のz位置の各々で光強度分布データを取得して、極小となる分散vzに対応するz方向の位置を算出して、計測面i1の位置を設定できる。
トランズウェルの場合、多孔膜611の上にいる細胞に対して、計測面i1の位置を設定する必要がある。光強度分布データから、空間周波数が低い背景成分を除去して、ポア形状の円形度でフィルタリングした画像を生成して、細胞がしない背景領域に存在するポアに注目して、極小となる分散vzに対応するz方向の位置を算出した後、多孔膜の厚さ平均値分をオフセットさせたz位置を、計測面i1の位置に設定することが好ましい。
多孔膜611の厚さはxy平面に一定ではない(平坦でない)ために、ポアサイズとポア密度に依存して、局所的な厚さ変化が大きくなる傾向が確認されて、撮影視野内でも計測面i1の位置が一つに決定されない場合がある。
局所的な膜厚ばらつきが大きい場合には、撮影視野サイズ内の画素群を一度、四隅部及び中心部の画素領域に細かく分割して、分割した各々の画素領域のポアを抽出する。各々画素領域で算出した、極小となる分散vzに対応するz位置データ群の平均値を採用して、多孔膜の厚さ分をオフセットさせたz位置を、計測面i1の位置に設定できる。
装置制御部51は、最適条件計算部511が算出した焦点間隔Δzに基づいて、対物レンズ21aの焦点位置が、計測面i1上の位置からz軸に沿って−Δz及び+Δzの距離ずれたそれぞれの位置となるように計測面i2及びi3上に当該焦点位置を順次設定する。焦点間隔Δzの具体的な値の決定方法は後述する。装置制御部51は、これらの計測面i2及びi3にそれぞれ対物レンズ21aの焦点を配置した際に、結像光学系7により検出部9の検出面に対象物Sの像を結像させて対象物Sからの光を検出部9に検出させる。
計測面i2及びi3に対物レンズ21aの焦点を配置したそれぞれの場合に対応する検出部9の各画素からの検出信号は、制御部50(図2)に入力され、位相復元処理部521により各画素の位置と検出信号に基づいた光強度とが対応付けられた光強度分布データがそれぞれ生成される。なお、計測面i1〜i3上に配置される、それぞれの対物レンズ21aの焦点の位置は、それぞれ計測面i1〜i3上に存在すれば、XY平面上の位置は特に限定されない。
生成された計測面i2と計測面i3のそれぞれの計測面に対応するそれぞれの光強度分布データは、計測面i1における光強度のzに関する微分係数を算出するのに用いられる。位相復元処理部521は、計測面i2上の点及び計測面i3上の点であって、XY平面上での座標が同じ位置等の互いに対応する位置にある2点の強度の値の差分を、計測面i2及びi3の間の距離である2Δzで割ることにより、計測面i1における光強度のzに関する微分係数に相当するdI/dz=(I3−I2)/2Δzを算出する。
位相復元処理部521は、算出された光強度のzに関する微分係数分布に対応するデータ(以下、「微分係数分布データ」という場合がある。)を適宜記憶部44等に記憶させる。微分係数分布データは、座標x、y、zの値に対応する光強度のzに関する微分係数の分布を示すデータであり、ルックアップテーブルの形式で構築されている。なお、所定の座標x、y、zの値に対応するzに関する微分係数の値を取り出すことができれば、微分係数分布データのデータ構造は特に限定されず、他の既存のデータ構造であってもよい。
図5は、対象物Sを撮像する際の対物レンズ21aの焦点位置Fを計測面i1としたときの配置例を示す概念図である。図5では、ステージ8上に対象物Sが載置されている。図5では、対物レンズ21aの光軸Loに平行にz軸が設定され、対象物Sから対物レンズ21aへ向かう向きをz軸の+の向きとしている。また、焦点位置Fから対物レンズ21aに入射する光の光束を二点鎖線L200で模式的に示した。図5では、対物レンズ21aの焦点位置Fをz=z0とし、z=z0の点を含んでz軸に垂直な面を計測面i1として示している。
装置制御部51は、モータ等の移動装置を介して電動駆動することによりステージ8を移動させ、計測面i1,i2,i3上にそれぞれ対物レンズ21aの焦点位置を設定する。装置制御部51は、照明光学系10及び対物レンズ21aの光軸L1、Loに沿って互いに焦点間隔Δz離れた複数の位置のそれぞれに対物レンズ21aの焦点を順次配置する。ここで、「対物レンズ21aの光軸Loに沿って互いに焦点間隔Δz離れた複数の位置」とは、当該複数の位置を対物レンズ21aの光軸Loに射影した際に、互いにΔzの距離離れる複数の位置を指す。また、対物レンズ21aは結像光学系7においてステージ8側にあるため、対物レンズ21aの焦点位置Fは対物光学系20又は結像光学系7の焦点位置といいかえることもできる。
装置制御部51の最適条件計算部511は、本実施形態における顕微鏡100の設定情報と、後に詳述するパラメータkとを用い、焦点間隔Δzを以下の式(100)により算出する。ここで、顕微鏡100の設定情報とは、定量位相画像の生成のために顕微鏡100に設定される情報であり、例えば、対物レンズ21aの開口数、照明光L2の波長、対物レンズ21aと対象物Sとの間の屈折率の情報である。
ここで、λは照明光L2の波長であり、入力部41へのユーザの入力等に基づいて装置制御部51が設定する。nは対物レンズ21aと対象物Sとの間の屈折率であり、入力部41へのユーザの入力等に基づいて装置制御部51が設定する。装置制御部51は、対物レンズ21aが乾燥対物レンズの場合、対物レンズ21aと対象物Sとの間の雰囲気は空気であるため、空気の屈折率として例えばn=1.00に設定する。一方、対物レンズ21aが液浸対物レンズの場合、装置制御部51は、対物レンズ21aと対象物Sとの間に満たされる浸液の屈折率を屈折率nとして設定する。NAは対物レンズ21aの開口数であり、入力部41へのユーザの入力等に基づいて装置制御部51が設定する。
そして、最適条件計算部511は、顕微鏡100の設定情報に基づいて、焦点間隔Δzを算出する。具体的には、最適条件計算部511は、式(100)に示されたように、対物レンズ21aの開口数NA、照明光L2の波長λ、及び対物レンズ21aと対象物Sとの間の屈折率nの情報に基づいて焦点間隔Δzを算出する。
また、パラメータkは1以上の値であり、式(100)において、k=1の場合には、対物レンズ21aの性能を最大限に生かす遮断空間周波数まで、強度輸送方程式により位相復元を行うことができる。kの値が1より大きくなるにしたがって、強度輸送方程式により位相復元を行うことができる空間周波数は低くなる。以下、パラメータkを位相復元パラメータという場合がある。
なお、対象物Sの構造を反映した位相値と測定した位相値との差を位相復元誤差という。高い空間周波数で位相を復元すると、基本的に位相復元誤差が小さくなる。位相復元誤差が小さい場合には、実際の位相値により近い位相を復元することになる(つまり、より高精度に位相を復元することになる。)ので、位相を復元する際の精度(以下、「位相復元精度」という場合がある。)が高いということができる。
最適条件計算部511は、位相復元パラメータkを、25以下に設定することが好ましく、16以下に設定することがより好ましい。位相復元パラメータkが大きくなると、上記の通り、位相復元可能な空間周波数が低くなる。
k=25の場合における焦点間隔Δzを採用した場合では、対物レンズ21aの遮断空間周波数の5分の1の空間周波数まで復元することに相当する性能となる。また、k=16の場合における焦点間隔Δzを採用した場合では、対物レンズ21aの遮断空間周波数の4分の1の空間周波数まで復元することに相当する性能となる。可視光での数μm〜数百μm程度の大きさの細胞等の対象物S(位相物体)の観察では、位相復元パラメータkは25以下の比較的大きい値に設定すると細胞全体を検出する上で好ましく、パラメータkが16以下だと、核等の細胞内の比較的大きい構造物を検出しやすくなるため更に好ましい。
なお、上記の例においては、対物レンズ21aの遮断空間周波数の5分の1や4分の1の空間周波数まで復元することに相当するようにパラメータkの値を決定したが、パラメータkの値はこれらの値に限られることはなく、対象物Sの構造を反映した位相の計測に必要な分解能に応じて設定すればよい。
最適条件計算部511が、照明光L2の波長λが340nm、400nm、550nm、700nm及び1300nmにおける焦点間隔Δzを、位相復元パラメータkを1〜16の範囲として式(100)に基づいて設定する場合の数値範囲の例を以下の表1に示す。
最適条件計算部511は、特に可視光を照明光とした位相の計測に際し、各種の対物レンズ21に対し、位相復元パラメータkを1〜16の範囲として焦点間隔Δzを算出した表1の結果に基づき、焦点間隔Δzを0.07μm以上90.3μm以下に設定することが好ましい。焦点間隔Δzを0.07μm以上90.3μm以下に設定すると、開口数NAが0.3〜1.40等の範囲におけるいずれかの対物レンズ21を用いて、遮断空間周波数の4分の1から遮断空間周波数の全体までを精度よく位相復元することができる。つまり、多くの種類の対物レンズ21について、対物レンズ21の遮断空間周波数の大部分を精度よく(いいかえると、対物レンズ21の性能を活かして)位相復元することができる。
なお、対物レンズ21の開口数NAを0.3〜1.40の範囲としたが、この範囲に限られず、任意の開口数NAを有する対物レンズ21を用いてもよい。また、照明光L2の波長を、可視光を中心に340nm、400nm、550nm、700nm及び1300nmとしたが、この範囲に限られず、可視域の他の波長を含んでもよいし、紫外域や赤外域の波長を含んでもよい。
細胞の定量位相画像を生成した後、当該定量位相画像に基づいて細胞の数、形態又は形状を測定する。例えば、定量位相画像に基づいて、視野内に存在する細胞の、面積、体積、真円度若しくは真球度若しくは縦横比、高さや幅等の大きさ、細胞の位置等を算出することができる。また、多孔膜上に配置された細胞が複数個存在する場合には、細胞同士の間の間隙の面積を測定することもできる。
実施例において後述するように、細胞の数、形態又は形状を測定する工程は、定量位相画像の輝度情報に基づいて行われてもよい。
また、定量位相画像を生成する工程において、異なる時間における複数の定量位相画像を生成し、細胞の数、形態又は形状を測定する工程において、異なる時間における複数の定量位相画像に基づいて、細胞の数、形態又は形状の変化(経時変化)を測定することもできる。
[定量位相画像生成装置]
一実施形態において、本発明は、多孔膜上に配置された細胞の数、形態又は形状を測定するための定量位相画像を生成する定量位相画像生成装置であって、顕微鏡と、装置制御部と、検出器と、画像生成部とを備え、前記顕微鏡は、多孔膜上に配置された細胞が配置されるステージと、前記細胞に照明光を照射する照明光学系と、対物レンズとを有し、前記装置制御部は、前記対物レンズの光軸に沿って互いに間隔Δz離れた複数の位置のそれぞれに前記対物レンズの焦点が配置されるように前記焦点の位置を調整するものであり、前記検出器は、前記照明光学系から照射された照明光により、前記細胞から生じる光を検出するものであり、前記画像生成部は、前記検出器が検出した前記光に基づいて、前記複数の位置に対応する光強度分布データを生成し、前記光強度分布データに基づいて、定量位相画像を生成するものであり、前記装置制御部は、前記対物レンズの開口数NA、前記照明光の波長λ、及び、前記対物レンズと前記細胞との間の屈折率nの少なくとも1つに基づいて前記間隔Δzを設定するものである、定量位相画像生成装置を提供する。
本実施形態に係る定量位相画像生成装置は、図1等を参照して上述した定量位相画像生成装置と同様の構成を有しており、顕微鏡100と、装置制御部51と、検出部(検出器)9と、解析部(画像生成部)52とを備える。検出器9は、照明光学系(透過照明光学系10又は落射照明光学系110)から照射された照明光により、ステージ上の対象物(細胞、多孔膜等)から生じる光を検出する。
顕微鏡100は、多孔膜上に配置された細胞が配置されるステージ8と、前記細胞に照明光を照射する照明光学系(透過照明光学系10又は落射照明光学系110)と、対物レンズ21を有する。
本実施形態の定量位相画像生成装置のステージ8には、多孔膜上に配置された細胞が配置される。多孔膜上に配置された細胞としては、細胞培養容器、オーガンチップ等が挙げられる。
本実施形態の定量位相画像生成装置によれば、従来観察が困難であった、多孔膜上の細胞の数、形態又は形状を明瞭に測定することができる。また、多孔膜上の細胞を非侵襲的に観察することができる。
次に実施例を示して本実施形態を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実験例1]
24ウェルプレート(コーニング社)の各ウェルに0.6mLの細胞培養液を添加した。続いて、各ウェル内に細胞培養用インサート(コーニング社)を設置した。細胞培養用インサートの底面には、ポリエチレンテレフタレート製の多孔膜(ポアサイズ0.4μm、ポア密度4×10個/mm)が配置されていた。続いて、各細胞培養用インサートに、細胞培養液0.1mLに懸濁した腎臓近位尿細管上皮細胞(RPTEC細胞)を1×10個/cmの細胞密度で播種した。
また、比較のために、別の24ウェルプレート(コーニング社)の各ウェルに、細胞培養用インサートを使用せずに、RPTEC細胞を1×10個/cmの細胞密度で播種した。
続いて、培養した各細胞を顕微鏡で観察した。観察は24ウェルプレートごと顕微鏡のステージに載せて行い、同一視野において、明視野画像、定量位相画像及び位相差画像を撮影した。定量位相画像の撮像条件は次の通りであった。焦点位置Fは細胞とし、Δz=5μm、NA=0.3、λ=550nm、n=1.0、k=2.1。
図8(a)〜(c)は、細胞培養用インサートを使用していない、通常の細胞培養用プレートで培養した細胞の代表的な写真である。図8(a)に示す画像Aは、位相差画像である。図8(b)に示す画像Bは、定量位相画像である。また、図8(c)は、図8(a)及び(b)に示す矢印に沿って、横軸に距離(相対値)、縦軸に輝度(相対値)をそれぞれプロットしたグラフ(ラインプロファイル)である。図8(c)中、「画像A/位相差」は図8(a)に示す位相差画像のラインプロファイルであることを示し、「画像B/定量位相」は図8(b)に示す定量位相画像のラインプロファイルであることを示す。
その結果、多孔膜上でない、通常の細胞培養用プレート上の細胞は、位相差画像でも定量位相画像でも輝度情報に基づくセグメンテーションが容易であり、細胞の数、形態又は形状を明瞭に観察することができることが明らかとなった。図8(a)〜(c)の例では、細胞a〜細胞eの5個の細胞が観察された。また、位相差画像と異なり、定量位相画像では、輝度情報が細胞の高さ情報を示すことが明らかとなった。
また、図9(a)〜(c)は、多孔膜上で培養した細胞の代表的な写真である。図9(a)に示す画像Cは、位相差画像である。図9(b)に示す画像Dは、定量位相画像である。また、図9(c)は、図9(a)及び(b)に示す矢印に沿って、横軸に距離(相対値)、縦軸に輝度(相対値)をそれぞれプロットしたグラフ(ラインプロファイル)である。図9(c)中、「画像C/位相差」は図9(a)に示す位相差画像のラインプロファイルであることを示し、「画像D/定量位相」は図9(b)に示す定量位相画像のラインプロファイルであることを示す。
その結果、多孔膜上の細胞の位相差画像では、輝度情報に基づくセグメンテーションが不可能であることが明らかとなった。これに対し、定量位相画像では、多孔膜上の細胞であっても輝度情報に基づくセグメンテーションが容易であり、細胞の数、形態又は形状を明瞭に観察することができることが明らかとなった。図9(a)〜(c)の例では、細胞s、細胞t、細胞uの3個の細胞が観察された。
これは、位相差画像では、多孔膜の周囲の輝度が高く、セグメンテーション上のノイズになるのに対して、定量位相画像では、多孔膜は輝度値の低い領域となるため、輝度情報への影響が少ないためであると考えられた。図9(b)における黒い点は多孔膜に対応していると考えられた。また、多孔膜上の細胞においても、定量位相画像では、輝度情報を細胞の高さ情報とすることができると考えられた。
[実施例2]
(多孔膜領域の定量位相画像の検討)
図10に示すように、細胞(位相物体)内に計測面i1を設定して、複数のz位置の光強度分布データから復元した定量位相画像と、多孔膜611のポアP内に計測面i100を設定して、複数のz位置の光強度分布データから復元した定量位相画像とを演算処理し、細胞が存在しない背景領域に計測されるポアを除去した定量位相画像を構築した。
細胞(位相物体)内への計測面i1の設定は、上述したように、複数のz位置の各々で光強度分布データを取得した後、z位置に関する分散vzデータに基づいて決定した。撮影条件は、Δz=5μm、NA=0.3、λ=550nm、n=1.0、k=2.1とした。計測面i1を決定した後、計測面i1の上下の異なるz位置の光強度分布データ複数枚を再度撮像する必要はなく、分散vzデータを生成するために撮像した複数枚のz位置の光強度分布データの中から、定量位相画像を構築する用途に必要な枚数だけを選択して、転用することができた。細胞内に設定した計測面i1のz位置の上下の異なるz位置の光強度分布データ複数枚から、定量位相画像を生成した。
続いて、多孔膜611のポアP内に計測面i100を設定した定量位相画像を準備した。ポアP内の計測面i100は、上述したようにz位置に関する分散vzデータに基づいて決定した。計測面i100を決定した後、計測面i100の上下の異なるz位置の光強度分布データ複数枚を、再度撮像する必要はなく、分散vzデータを生成するために撮像した複数枚のz位置の光強度分布データの中から、定量位相画像を構築する用途に必要な枚数だけを選択して、転用することができた。細胞内に設定した計測面i100のz位置の上下の異なるz位置の光強度分布データ複数枚から、定量位相画像を生成した。
細胞領域に注目すると、計測面i1を含む光強度分布データから復元した定量位相画像は、多孔膜611のポアP内に計測面i100を含む光強度分布データから復元した定量位相画像と比較して、細胞構造の細かい凹凸(高周波成分)がより精度良く復元されていた。
一方、細胞が存在しない背景領域に計測されたポア部に注目すると、ポアP内に計測面i100を含む光強度分布データから復元した定量位相画像の方が、ポアPの高周波成分がより良好に復元されて、ポア形状がより明瞭であった。
また、計測面i1を含む光強度分布データから復元した定量位相画像は、ポア形状が明瞭でないため、円形度等の形態に基づくフィルタリングを使用して、細胞CとポアPを分離するセグメンテーションが困難であった。
また、多孔膜611のポアP内に計測面i100を含む光強度分布データから復元した定量位相画像は、背景領域のポアPがより明瞭であるため、高周波成分を抽出する周波数フィルタリングと、円形度等の形態に基づくフィルタリングを実施することで、ポア部だけの定量位相画像を生成することができた。また、計測面i1を含む光強度分布データから復元した定量位相画像は、ポア部だけの定量位相画像を減算することにより、ポアPを除去した定量位相画像を生成することができた。
7…結像光学系、8…ステージ、9…検出部(検出器)、10…透過照明光学系、11…光源、12,15…レンズ、13…バンドパスフィルター、14…視野絞り、16…開口絞り、17…集光レンズ、20…対物光学系、21,21a,21b,21c…対物レンズ、30…リレー光学系、31…結像レンズ、32…ビームスプリッター、33a,33b,33c…ミラー、34a,34b,34c…レンズ、35…接眼レンズ、40…情報処理部、41…入力部、42…表示部、43…通信部、44…記憶部、50…制御部、51…装置制御部、52…解析部(画像生成部)、100…顕微鏡100、110…落射照明光学系、111…水銀ランプ(光源)、120…フィルターキューブ、121…励起フィルター、122…ダイクロイックミラー、123…吸収フィルター、511…最適条件計算部、521…位相復元処理部、522…画像構築部、523…画像解析部、600…細胞培養容器、601,710,720…基板、602…側壁、610…細胞培養用インサート、611…多孔膜、620,621…培地、700…オーガンチップ、711,721…面、740,750…流路、900…座標軸、L1(Lo)…光軸、L2…照明光、P1,P2…位置、P…ポア、E…眼、i1,i2,i3,i100,i101,i102…計測面、L200…光束、W1,W2,W…3波面、C…細胞、F…焦点位置、S…対象物。

Claims (11)

  1. 多孔膜上に配置された細胞の数、形態又は形状を測定する方法であって、
    非干渉方式の定量位相イメージングにより前記細胞の定量位相画像を生成する工程と、
    前記定量位相画像に基づいて前記細胞の数、形態又は形状を測定する工程と、を含む、方法。
  2. 前記多孔膜は細胞培養等に通常用いられるポアサイズ、ポア密度、膜厚で構成される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記細胞の数、形態又は形状を測定する工程は、前記細胞の、面積、体積、真円度若しくは縦横比、又は、前記細胞の間隙の面積を測定する工程を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記細胞の数、形態又は形状を測定する工程が、前記定量位相画像の輝度情報に基づいて行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記多孔膜が、細胞培養容器内に配置した細胞培養用インサートの底面に配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記多孔膜が、Organ−on−a−Chip内に配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記定量位相画像を生成する工程において、異なる時間における複数の定量位相画像を生成し、
    前記細胞の数、形態又は形状を測定する工程において、前記細胞の数、形態又は形状の変化を測定する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記定量位相画像を生成する工程が、
    対物レンズの光軸方向に前記細胞を配置する工程と、
    前記細胞に照明光を照射する工程と、
    前記光軸に沿って互いに間隔Δz離れた複数の位置のそれぞれに前記対物レンズの焦点を配置して前記細胞からの光を検出する工程と、
    検出した前記光に基づいて、前記複数の位置のそれぞれに対応する光強度分布データを生成する工程と、
    前記光強度分布データに基づいて前記定量位相画像を生成する工程と、を含み、
    前記間隔Δzは、前記対物レンズの開口数NA、前記照明光の波長λ、及び、前記対物レンズと前記細胞との間の屈折率nの少なくとも1つに基づいて設定される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記間隔Δzは、更にパラメータkに基づいて設定され、前記kは、生成する前記定量位相画像において位相を復元する空間周波数を示す、請求項8に記載の方法。
  10. 前記Δz、前記NA、前記λ、前記n、前記kは下記式(100)を満たし、前記kの値は1〜25である、請求項9に記載の方法。
  11. 多孔膜上に配置された細胞の数、形態又は形状を測定するための定量位相画像を生成する定量位相画像生成装置であって、
    顕微鏡と、装置制御部と、検出器と、画像生成部とを備え、
    前記顕微鏡は、多孔膜上に配置された細胞が配置されるステージと、前記細胞に照明光を照射する照明光学系と、対物レンズとを有し、
    前記装置制御部は、前記対物レンズの光軸に沿って互いに間隔Δz離れた複数の位置のそれぞれに前記対物レンズの焦点が配置されるように前記焦点の位置を調整するものであり、
    前記検出器は、前記照明光学系から照射された照明光により、前記細胞から生じる光を検出するものであり、
    前記画像生成部は、前記検出器が検出した前記光に基づいて、前記複数の位置に対応する光強度分布データを生成し、前記光強度分布データに基づいて、定量位相画像を生成するものであり、
    前記装置制御部は、前記対物レンズの開口数NA、前記照明光の波長λ、及び、前記対物レンズと前記細胞との間の屈折率nの少なくとも1つに基づいて前記間隔Δzを設定するものである、定量位相画像生成装置。
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