JP2020187851A - 電線配索治具及び電線配索方法 - Google Patents

電線配索治具及び電線配索方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電線束の配索精度を維持しながら結束バンドの先端不要部を安全な状態に切断できるようにする。【解決手段】電線Wの挿入スペース9を挟んで下端連結部4から上方に延びる一対の支持アーム3a、3bを備えた電線受部2の支持アーム3a、3bの内側面に、電線を結束する結束バンドを収容するためのガイド溝5が形成された電線配索治具Mであって、片方の支持アーム3bが、電線配索時の定位置から結束バンドの締付切断工具の作業スペースSを確保し得る退避位置へと回動可能とされている。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車などのワイヤーハーネスを製造する際に用いる電線配索治具、特に、電線の配索と同時に結束バンドで電線を結束するのに有用な電線配索治具及び当該治具を用いた電線配索方法に関する。
電線を所定の形態に配索してワイヤーハーネスを製造する場合、U字状の電線受部を有する電線配索治具が広く用いられている。その際、配索と同時に、配索治具上で結束バンドにより電線を結束することもよく行われている。
特許文献1には、電線の配索と同時に電線の結束を行う電線配索治具及び電線配索方法の従来例が記載されている。以下、図4〜図8を参照して、電線配索治具及び電線配索方法の従来例を簡単に説明する。
図4に示す従来の電線配索治具100は、図示しない配索作業板(組立図板とも言われる)上に立設される支持軸部101の上端にU字状の電線受部102を有している。U字状の電線受部102は、電線の挿入スペース109を挟んで下端連結部104から上方に延びる一対の支持アーム103、103を備えている。支持アーム103、103から下端連結部104の内側面には、挿入スペース109内に収容された電線Wを結束する結束バンド120を収容するためのガイド溝105が形成されている。
結束バンド120は、帯状に延びるバンド部121の基端にバンドロック部122を一体に設けたものである。バンド部121には歯列123が形成され、バンドロック部122の挿通孔124の内部には、バンド部121の歯列123の任意の歯と係合する図示しない係止爪が設けられている。結束バンドがバンドクリップ(バンドクランプ)の場合には、バンドロック部122に、パネル孔に挿入係止するアンカー部(クリップ)が一体に形成されている。
この電線配索治具100を用いて電線を配索する場合は、図4(a)に示すように、バンドロック部122を片方の支持アーム103の上端に位置させた状態で、バンド部121をガイド溝105に収容し、結束バンド120をU字状の電線受部102に沿ってU字状にセットする。この状態で、結束バンド120の上で一対の支持アーム103、103間の挿入スペース109に電線Wを挿入し、支持アーム103、103を用いて電線Wを所定の形態で配索する。
次に電線Wを配索したら、図4(b)に示すように、結束バンド120のバンド部121の先端をバンドロック部122の挿通孔124に挿通して、ループ状に閉じた結束バンド120で電線Wの束を包囲する。更に、図4(c)に示すように、バンドロック部122から突き出したバンド部121の先端を、バンドロック部122から引っ張ることでループを小さくするよう締め込む。こうすることで、バンド部121の歯列123のうちの任意の歯が挿通孔124の中の係止爪と係合して、バンド部121が抜けないようロックされ、電線Wの束が結束バンド120によって強固に結束される。その後は、バンドロック部122から突出しているバンド部121の先端側の部分を不要部としてカッタで切除する。
この電線配索治具100の場合、図4(c)に示すように、バンド部121をバンドロック部122に挿通して締め込みロックする際に、作業スペースの関係上、固定状態にある支持アーム103の上端位置で締め込み作業をせざるを得ない。そのため、電線WがU字状の電線受部102内で上方に持ち上げられた状態となり、その結果、U字状の電線受部102の内底部で配索した電線束の配索精度が低下する問題がある。
また、電線受部102がU字形のままであると、結束バンド120の締付・切断時に、締付切断工具の先端が電線配索治具の支持アーム103に当たり、適正な締め付けができないのみならず、バンドロック部122からのバンド部121の突出量を小さくする位置でバンド部121を切断することが難しい。
また、図5〜図8に示す例で用いられる電線配索治具200は、図示しない配索作業板(組立図板とも言われる)上に立設される支持軸部201の上端にU字状の電線受部202を有している。図5に示すように、U字状の電線受部202は、電線の挿入スペース209を挟んで下端連結部204から上方に延びる一対の支持アーム203a、203bを備えている。支持アーム203a、203bから下端連結部204の内側面には、挿入スペース209内に収容された電線Wを結束するバンドクリップ(結束バンド)220を収容するためのガイド溝205が形成されている。
バンドクリップ220は、バンド部221の基端にバンドロック部222を一体に設け、バンドロック部222の外面にアンカー部(クリップ)225を一体に設けたものである。バンド部221には歯列223が形成され、バンドロック部222の挿通孔224の内部には、バンド部221の歯列223の任意の歯と係合する図示しない係止爪が設けられている。アンカー部225は、バンドロック部222の外面に突設されており、車体パネル等のパネル孔に挿入係止される。
電線受部202の下端連結部204の上面には、バンドクリップ220のバンドロック部222を保持する凹部207が設けられ、凹部207の内底面に、バンドクリップ220のアンカー部225を収容する穴部208が設けられている。また、一方の支持アーム203bの基端部から下端連結部204にかけて、バンド引き抜き孔210が設けられている。
電線配索治具200を用いて電線を配索する場合は、図5に示すように、バンドロック部222を電線受部202の凹部207に位置決めし、バンド部221を一方の支持アーム203bのガイド溝205に収容する。この状態で、図6に示すように、一対の支持アーム203a、203bの間の挿入スペース209に電線Wの幹線W1を挿入し、支持アーム203aを用いて電線Wの分岐線W2を所定の形態で配索する。
次に、図7中に矢印Rで示すように、一方の支持アーム203bのガイド溝205により案内したバンドクリップ220のバンド部221の先端を、反対側の他方の支持アーム203aのガイド溝205に向けて延ばし、ループ状に丸めたバンド部221で電線Wの束を包囲する。そして、バンド部221の先端を他方の支持アーム203aのガイド溝205の案内に従って電線Wの下側に潜らせ、バンドロック部222の挿通孔224に挿通する。
その後、図8に示すように、バンドロック部222の挿通孔124を挿通して外に突き抜けたバンド部221の先端を、バンド引き抜き孔210から工具300を用いて引っ張る。そうすると、ループが小さくなるようにバンド部221が締め込まれて、バンド部221の歯列223のうちの任意の歯が挿通孔224の中の係止爪と係合する。これにより、バンド部221が抜けないようロックされて、電線Wの束がバンドクリップ220によって結束される。その後、バンドロック部222から突出しているバンド部221の先端不要部を工具(バンドカッタ)300で切除する。
ところで、バンド部221の先端不要部は、工具(バンドカッタ)300により切断除去されるが、切断除去したとしても、少なくともバンド引き抜き孔210に挿通している部分だけ、切断端部がバンドロック部222より突出して残ることになる。
切断端部は鋭利な縁を有するので、突出量が多いと、ワイヤハーネスの運搬時や取り扱い時に周辺部品等と干渉し、周辺部品等を傷つける可能性がある。したがって、切断端部の突出量は少ない方が望ましい。しかし、電線配索治具200では、バンド引き抜き孔210を通して工具300により、バンドロック部222から突出したバンド部221の先端不要部を切断するため、切断端部の突出量が多くなりがちとなる問題がある。
特開2000−285754号公報
上述のように、従来の電線配索治具では、電線の配索精度を維持しながら、結束バンドの先端不要部を安全な状態に切断することが困難であった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電線束の配索精度を維持しながら、結束バンドの先端不要部を安全な状態に切断することのできる電線配索治具及び当該治具を用いた電線配索方法を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る電線配索治具及び電線配索方法は、下記(1)〜(5)を特徴としている。
(1) 電線が挿入される電線受部を備え、
前記電線受部は、電線の挿入スペースを挟んで下端連結部から上方に延びる一対の支持アームを有し、
前記支持アームの内側面に、前記挿入スペース内の電線を結束する結束バンドを収容するためのガイド溝が形成され、
前記一対の支持アームの少なくとも一方が、電線配索時の定位置から、前記結束バンドの締付切断工具の作業スペースを確保し得る退避位置へと移動可能とされている、
ことを特徴とする電線配索治具。
(2) 前記支持アームが、前記挿入スペース内の電線の延在方向と交差する方向への移動を規制された状態で上下方向に回動可能に設けられている、
ことを特徴とする上記(1)に記載の電線配索治具。
(3) 前記下端連結部に、前記支持アームを立設状態で前記定位置に保持する台座が設けられ、
前記台座及び前記支持アームには、当該台座及び支持アームの合わせ部を密着状態に保持する係合手段が設けられている、
ことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の電線配索治具。
(4) 前記係合手段が、マグネットにより構成されている、
ことを特徴とする上記(3)に記載の電線配索治具。
(5) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載の電線配索治具を用いて電線を配索しつつ当該電線配索治具上で結束バンドにより電線を結束する電線配索方法であって、
前記電線配索治具を配索作業板上に設置するとともに、前記支持アームを前記定位置に保持して前記電線受部を構成する工程と、
結束バンドを前記支持アームのガイド溝に収容することで、前記電線受部に結束バンドをセットする工程と、
前記電線受部にセットされた前記結束バンドの上で、前記一対の支持アーム間の挿入スペースに電線を挿入し、前記支持アームを用いて電線を所定の形態で配索する工程と、
前記結束バンドのバンド部の先端を当該結束バンドのバンドロック部の挿通孔に挿通し、ループ状に閉じた結束バンドで電線の束を包囲する工程と、
前記支持アームを前記定位置から前記退避位置まで移動させることで、当該支持アームのあった場所に締付切断工具を用いるための作業スペースを確保する工程と、
前記作業スペースに締付切断工具を挿入して、該締付切断工具により、前記結束バンドを締め付け、前記バンドロック部から突出した前記バンド部の不要先端部を切除する工程と、
を備えることを特徴とする電線配索方法。
上記(1)の構成の電線配索治具によれば、電線配索時には、電線受部を例えばU字などの通常の形態で使用することができるので、配索精度を保ちながら配索作業を通常のように行うことができる。また、配索後は、移動可能とされた支持アームを、電線配索時の定位置から、結束バンドの締付切断工具の作業スペースを確保し得る退避位置へと移動することにより、無理なく工具をバンドロック部に近づけて作業することができる。したがって、結束バンドの先端不要部を、突出量を最小にしながら切断することができ、安全な切断端部を得ることができる。また、支持アームが退避して作業スペースが確保されることにより、電線束を配索位置から動かさずに、工具によって結束バンドを切断でき、切断に伴う配索精度の低下を招かない。
上記(2)の構成の電線配索治具によれば、移動可能とされた支持アームを上下方向に回動させることにより、当該支持アームを配索時の定位置と配索後の退避位置とに移動することができる。その際、当該支持アームが、電線の延在方向と交差する方向への移動を規制された状態で上下方向に回動するので、移動する支持アームと電線の干渉を避けることができる。
上記(3)の構成の電線配索治具によれば、移動可能とされた支持アームを配索時の定位置に移動した際に、台座と支持アームの合わせ部を係合手段によって密着した状態に保っておくことができる。したがって、合わせ部に隙間が生じないようにすることができ、電線に力が加わっても、合わせ部に電線が噛み込むことがなく、配索作業をスムーズに行うことができる。
上記(4)の構成の電線配索治具によれば、マグネットの吸引力で台座と支持アームを密着状態に保つので、密着状態の維持を効果的に行うことができるとともに、構造が簡単であり、係合及び係合解除が容易にできる。
上記(5)の構成の電線配索方法によれば、電線配索時には、電線受部を例えばU字などの通常の形態で使用して配索するので、配索精度を保ちながら配索作業を通常のように行うことができる。また、配索後は、移動可能とされた支持アームを、電線配索時の定位置から、結束バンドの締付切断工具の作業スペースを確保し得る退避位置へと移動することにより、無理なく工具をバンドロック部に近づけて作業することができる。したがって、結束バンドの先端不要部を、突出量を最小にしながら切断することができ、安全な切断端部を得ることができる。また、支持アームが退避して作業スペースが確保されることにより、電線束を配索位置から動かさずに、工具によって結束バンドを切断でき、切断に伴う配索精度の低下を招かない。
本発明によれば、電線束の配索精度を維持しながら、結束バンドの先端不要部を安全な状態に切断することができる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、本発明の実施形態に係る電線配索治具の構成を示す図で、図1(a)は電線配索治具の構成を示す斜視図、図1(b)は電線配索時のU字状の電線受部の状態を示す概略正面図、図1(c)は電線配索後に片方の支持アームを退避位置に移動させた状態を示す概略正面図である。 図2は、本発明の実施形態に係る電線配索治具を用いて配索作業を行う際の工程説明図で、図2(a)は電線配索時の状態を示す概略正面図、図2(b)はループ状に丸めた結束バンドで電線束を包囲した状態を示す概略正面図、図2(c)は電線配索後に片方の支持アームを退避位置に移動させることで確保された作業スペースに締付切断工具を挿入して結束バンドの先端不要部を切断している状態を示す概略正面図である。 図3は、本発明の実施形態に係る電線配索治具を用いて配索作業を行っている状態を示す上方から見た概略平面図である。 図4は、従来の電線配索治具を用いた配索作業の様子を示す図で、図4(a)は電線配索時の状態を示す斜視図、図4(b)はループ状に丸めた結束バンドで電線束を包囲した状態を示す斜視図、図4(c)は更に結束バンドを締め付けて電線束を結束した状態を示す斜視図である。 図5は、従来の別の電線配索治具の構成を示す斜視図である。 図6は、図5の電線配索治具で電線配索作業を行っている状態を示す斜視図である。 図7は、図5の電線配索治具で電線配索後にループ状に丸めた結束バンドで電線束を包囲した状態を示す正面図である。 図8は、バンド引き抜き孔から引き出したバンド部の先端を工具により更に引っ張って締め付けを強めている状態を示す正面図である。
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
図1は、本実施形態に係る電線配索治具Mの構成を示す図で、図1(a)は電線配索治具Mの構成を示す斜視図、図1(b)は電線配索時のU字状の電線受部2の状態を示す概略正面図、図1(c)は電線配索後に片方の支持アーム3bを退避位置に移動させた状態を示す概略正面図である。
図1(a)〜(c)に示すように、本実施形態の電線配索治具Mは、図示しない配索作業板(組立図板とも言われる)上に立設される支持軸部1と、支持軸部1の上端に固定されたU字状の電線受部2とを有している。U字状の電線受部2は、電線の挿入スペース9を挟んで下端連結部4から上方に延びる一対の支持アーム3a、3bを備えている。支持アーム3a、3bから下端連結部4の内側面には、挿入スペース9内に収容された電線Wを結束する結束バンド(後述)を収容するためのガイド溝5が形成されている。
片方の支持アーム3bは、下端連結部4から分割されており、分割支持アーム13として、電線配索時の定位置から、図1(c)に示すように、結束バンドの締付切断工具の作業スペースSを確保し得る退避位置へと移動可能とされている。分割支持アーム13の下端連結部4に対する分割位置15は、分割支持アーム13が電線配索時の定位置から移動しても、束にした電線Wが脱落しない位置、つまり、下端連結部4にU字状の湾曲形状の一部が残るような位置に設定されている。具体的には、図1(b)に示すように、電線受部2の内周面の最下位置から分割位置15までの高さをH、電線束の径をDとすると、
D/2 ≦ H < D
を満たすようにHを設定するのが望ましい。もちろん、この範囲外であっても、作業に支障のない位置であれば構わない。
分割支持アーム13は、回動アーム10に一体的に設けられている。回動アーム10は、側面視L字形となっており、L字の一方の直線部として分割支持アーム13が設けられ、他方の直線部として基端側アーム12が設けられている。下端連結部4には、分割支持アーム13の下端が載る台座7が設けられており、その台座7の外側面にはブラケット50が設けられている。ブラケット50は、回動アーム10を支持するようになっており、挿入スペース9に収容される電線の延在方向に沿う方向に延出している。すなわち、ブラケット50は、電線受部2の正面方向に延出している。
回動アーム10は、基端側アーム12の先端部を回動軸11を介してブラケット50に連結することにより、ブラケット50に回動可能に支持されている。回動方向は、挿入スペース9に収容される電線の延在方向を含む面内の上下方向である。すなわち、回動アーム10に設けられた分割支持アーム13は、図1(a)中に実線で示す退避位置と二点鎖線で示す電線配索時の定位置との間で、矢印A、B方向に回動自在に設けられている。したがって、分割支持アーム13は、挿入スペース9内の電線の延在方向と交差する方向への移動を規制された状態で上下方向に回動する。回動軸11は、基端側アーム12とブラケット50に形成した孔にピンを挿入して構成してもよいし、基端側アーム12とブラケット50に形成した凹部と凸部の嵌合構造によって構成してもよい。
回動アーム10の曲がり部、つまり、基端側アーム12と分割支持アーム13の連結部の外側角部は、下端連結部4の台座7に嵌まるように切り欠かれている。そして、分割支持アーム13の下端面17が、合わせ面として台座7の上面(合わせ面)に載るようになっており、それらの合わせ面に、係合手段としてのマグネット8、18が設けられている。こられのマグネット8、18は、分割支持アーム13が定位置に移動した際に、台座7と分割支持アーム13の合わせ面を密着状態に保持する役割を果たす。一対のマグネット8、18の一方を、鉄などの磁性体で置き換えてもよいし、磁性体として合わせ面の一方に磁性体プレートを貼り付けてもよい。つまり、係合手段として、台座7と分割支持アーム13の一方に、他方を吸着するマグネットが設けられていればよい。このようにマグネット8、18で吸着させると、台座7と分割支持アーム13の合わせ面に隙間を生じないようにすることができる。そのため、台座7と分割支持アーム13の合わせ部に配索電線が張力等で噛み込むことを防止できる。
次に、本実施形態の電線配索治具Mを用いた電線配索方法を図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態の電線配索治具Mを用いて配索作業を行う際の工程説明図で、図2(a)は電線配索時の状態を示す概略正面図、図2(b)はループ状に丸めた結束バンド20で電線束を包囲した状態を示す概略正面図、図2(c)は電線配索後に分割支持アーム13を退避位置に移動させることで確保された作業スペースSに締付切断工具300を挿入して結束バンド20の先端不要部を切断している状態を示す概略正面図である。
まず、結束バンド20について先に説明する。
図2(a)に示すように、結束バンド20は、一般に可撓性を有する樹脂の一体成形品として構成されており、帯状に延びる柔軟なバンド部21と、該バンド部21の基端に設けられた直方体形状のバンドロック部22とを有している。バンド部21の片面には、図示しない歯列が形成されている。バンドロック部22には、バンド部21を先端側から挿通させる挿通孔24が設けられており、挿通孔24の内部には、図示しない係止爪が設けられている。
そして、バンド部21を先端側からバンドロック部22の挿通孔24に挿通してループを作ることにより、係止爪がバンド部の歯列の任意の歯と係合し、これにより、バンド部が抜け止めロックされるようになっている。したがって、バンド部21のループが小さくなるように、バンドロック部22から突き出したバンド部21の先端側をバンドロック部22から引っ張ることにより、ループで包囲した電線束を締め付けつつ結束することができる。
なお、結束バンドがバンドクリップ(バンドクランプ)である場合には、バンドロック部22に、パネル孔に挿入係止するアンカー部(クリップ)が一体に形成されている。
本実施形態の電線配索治具Mを用いて、電線を配索しつつ、当該電線配索治具M上で結束バンド20により電線を結束する場合は、次の工程順に作業を進める。
(1)まず、図2(a)に示すように、電線配索治具Mを配索作業板(図示略)上に設置するとともに、分割支持アーム13を定位置に保持してU字状の電線受部2を構成する。この際、マグネット8、18の働きにより、台座7に分割支持アーム13が密着状態で載ることにより、完全なU字状の電線受部2が形成される。
(2)次に、結束バンド20を支持アーム3a、3bのガイド溝5に収容することで、U字状の電線受部2に結束バンド20をU字状にセットする。
(3)次に、結束バンド20の上で、一対の支持アーム3a、3b間の挿入スペース9に電線Wを挿入し、支持アーム3a、3bを用いて電線Wを所定の形態で配索する。
(4)次に、図2(b)に示すように、結束バンド20のバンド部21の先端をバンドロック部22の挿通孔24に挿通し、ループ状に閉じた結束バンド20で電線Wの束を包囲する。
(5)次に、図2(c)に示すように、分割支持アーム13(3b)を電線配索時の定位置から退避位置まで回動させることで、当該分割支持アーム13(3b)のあった場所に締付切断工具300を用いるための作業スペースSを確保する。
(6)そして、その作業スペースSに、例えばバンドガンなどの締付切断工具300を挿入して、該工具300により、結束バンド20を締め付け、バンドロック部22から突出したバンド部21の不要先端部を切除する。この際、工具300を結束バンド20のバンドロック部22に当たる位置まで近づけてバンド部21の先端不要部を切断除去することができる。そのため、バンドロック部22からのバンド部21の先端突出量を最小にすることができる。
以上のように、本実施形態に係る電線配索治具M及び電線配索方法によれば、電線配索時には、U字状の電線受部2を通常のU字の形態で使用することができるので、配索精度を保ちながら配索作業を通常のように行うことができる。また、配索後は、移動可能とされた支持アーム3b(分割支持アーム13)を、電線配索時の定位置から、結束バンド20の締付切断工具300の作業スペースSを確保し得る退避位置へと移動することにより、無理なく工具300をバンドロック部22に近づけて作業することができる。したがって、結束バンド20の先端不要部を、突出量を最小にしながら切断することができ、安全な切断端部を得ることができる。また、支持アーム3b(分割支持アーム13)が退避して作業スペースSが確保されることにより、電線Wの束を配索位置から動かさずに、工具300によって結束バンド20を切断でき、切断に伴う配索精度の低下を招かない。
また、本実施形態に係る電線配索治具M及び電線配索方法によれば、移動可能とされた支持アーム3b(分割支持アーム13)を上下方向に回動させることにより、当該支持アーム3b(13)を配索時の定位置と配索後の退避位置とに移動することができる。その際、当該支持アーム3b(13)が、電線Wの延在方向と交差する方向への移動を規制された状態で上下方向に回動するので、移動する支持アーム3b(13)と電線Wの干渉を避けることができる。
また、本実施形態に係る電線配索治具M及び電線配索方法によれば、移動可能とされた支持アームを配索時の定位置に移動した際に、台座と支持アームの合わせ部を係合手段(マグネット8、18)によって密着した状態に保っておくことができる。したがって、合わせ部に隙間が生じなくなることにより、電線Wに力が加わっても、合わせ部に電線Wが噛み込むことがなく、配索作業をスムーズに行うことができる。特に、マグネット8、18の吸引力で台座7と分割支持アーム13を密着状態に保つので、密着状態の維持を効果的に行うことができるとともに、構造が簡単であり、係合及び係合解除が容易にできる。
図3は、実施形態の電線配索治具Mを用いて配索作業を行っている状態を示す上方から見た概略平面図である。
ここで組み立てるワイヤーハーネスは、複数の電線Wと、電線Wの端部に接続された複数のコネクタCとから構成されている。複数の電線Wは、電線配索治具MのU字状の電線受部2に保持され、複数のコネクタCは図示しないコネクタ固定治具にそれぞれ保持されることになる。
ここで、上述した本発明の実施形態に係る電線配索治具及び電線配索方法の特徴をそれぞれ以下[1]〜[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 電線(W)が挿入される電線受部(2)を備え、
前記電線受部(2)は、電線(W)の挿入スペース(9)を挟んで下端連結部(4)から上方に延びる一対の支持アーム(3a、3b)を有し、
前記支持アーム(3a、3b)の内側面に、前記挿入スペース(9)内の電線(W)を結束する結束バンド(20)を収容するためのガイド溝(5)が形成され、
前記一対の支持アーム(3a、3b)の少なくとも一方が、電線配索時の定位置から、前記結束バンド(20)の締付切断工具(300)の作業スペース(S)を確保し得る退避位置へと移動可能とされている、
ことを特徴とする電線配索治具(M)。
[2] 前記支持アーム(3b、13)が、前記挿入スペース(9)内の電線(W)の延在方向と交差する方向への移動を規制された状態で上下方向に回動可能に設けられている、
ことを特徴とする上記[1]に記載の電線配索治具(M)。
[3] 前記下端連結部(4)に、前記支持アーム(3b、13)を立設状態で前記定位置に保持する台座(7)が設けられ、
前記台座(7)及び前記支持アーム(3b、13)には、当該台座(7)及び支持アーム(3b、13)の合わせ部を密着状態に保持する係合手段(8、18)が設けられている、
ことを特徴とする上記[1]または[2]に記載の電線配索治具(M)。
[4] 前記係合手段が、マグネット(8、18)により構成されている、
ことを特徴とする上記[3]に記載の電線配索治具(M)。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかに記載の電線配索治具(M)を用いて電線(W)を配索しつつ当該電線配索治具(M)上で結束バンド(20)により電線(W)を結束する電線配索方法であって、
前記電線配索治具(M)を配索作業板上に設置するとともに、前記支持アーム(3b、13)を前記定位置に保持して前記電線受部(2)を構成する工程と、
結束バンド(20)を前記支持アームのガイド溝に収容することで、前記電線受部(2)に結束バンド(20)をセットする工程と、
前記電線受部(2)にセットされた前記結束バンド(20)の上で、前記一対の支持アーム(3a、3b)間の挿入スペース(9)に電線(W)を挿入し、前記支持アーム(3a、3b)を用いて電線(W)を所定の形態で配索する工程と、
前記結束バンド(20)のバンド部(21)の先端を当該結束バンド(20)のバンドロック部(22)の挿通孔(24)に挿通し、ループ状に閉じた結束バンド(20)で電線(W)の束を包囲する工程と、
前記支持アーム(3b、13)を前記定位置から前記退避位置まで移動させることで、当該支持アーム(3b、13)のあった場所に締付切断工具(300)を用いるための作業スペースを確保する工程と、
前記作業スペース(S)に締付切断工具(300)を挿入して、該締付切断工具(300)により、前記結束バンド(20)を締め付け、前記バンドロック部(22)から突出した前記バンド部(21)の不要先端部を切除する工程と、
を備えることを特徴とする電線配索方法。
2 電線受部
3a、3b 支持アーム
4 下端連結部
5 ガイド溝
7 台座
8,18 マグネット(係合手段)
9 挿入スペース
11 回動軸
12 基端側アーム
13 分割支持アーム
15 分割位置
20 結束バンド
21 バンド部
22 バンドロック部
24 挿通孔
300 締付切断工具
M 電線配索治具
W 電線
S 作業スペース

Claims (5)

  1. 電線が挿入される電線受部を備え、
    前記電線受部は、電線の挿入スペースを挟んで下端連結部から上方に延びる一対の支持アームを有し、
    前記支持アームの内側面に、前記挿入スペース内の電線を結束する結束バンドを収容するためのガイド溝が形成され、
    前記一対の支持アームの少なくとも一方が、電線配索時の定位置から、前記結束バンドの締付切断工具の作業スペースを確保し得る退避位置へと移動可能とされている、
    ことを特徴とする電線配索治具。
  2. 前記支持アームが、前記挿入スペース内の電線の延在方向と交差する方向への移動を規制された状態で上下方向に回動可能に設けられている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電線配索治具。
  3. 前記下端連結部に、前記支持アームを立設状態で前記定位置に保持する台座が設けられ、
    前記台座及び前記支持アームには、当該台座及び支持アームの合わせ部を密着状態に保持する係合手段が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電線配索治具。
  4. 前記係合手段が、マグネットにより構成されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載の電線配索治具。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電線配索治具を用いて電線を配索しつつ当該電線配索治具上で結束バンドにより電線を結束する電線配索方法であって、
    前記電線配索治具を配索作業板上に設置するとともに、前記支持アームを前記定位置に保持して前記電線受部を構成する工程と、
    結束バンドを前記支持アームのガイド溝に収容することで、前記電線受部に結束バンドをセットする工程と、
    前記電線受部にセットされた前記結束バンドの上で、前記一対の支持アーム間の挿入スペースに電線を挿入し、前記支持アームを用いて電線を所定の形態で配索する工程と、
    前記結束バンドのバンド部の先端を当該結束バンドのバンドロック部の挿通孔に挿通し、ループ状に閉じた結束バンドで電線の束を包囲する工程と、
    前記支持アームを前記定位置から前記退避位置まで移動させることで、当該支持アームのあった場所に締付切断工具を用いるための作業スペースを確保する工程と、
    前記作業スペースに締付切断工具を挿入して、該締付切断工具により、前記結束バンドを締め付け、前記バンドロック部から突出した前記バンド部の不要先端部を切除する工程と、
    を備えることを特徴とする電線配索方法。
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